画像記録装置
【課題】装置内に残留している記録媒体を、その残留している記録媒体の状態に応じて最適な方法で装置外へ排出することができる画像記録装置を提供すること。
【解決手段】図１３（ｅ）に示すように、両面印刷時において、表面に画像が記録された記録用紙１０３が、搬送経路２３において所定のカール癖を付けるために所定時間の間、停止中であった場合には、残りの停止時間が記憶される。そして、この停止中に電源が遮断された場合には、停止中の記録用紙１０３が装置内に残留することになるが、次回電源が投入された場合には、残りの停止時間が経過した後で、残留している記録用紙１０３を装置外へ排紙することで、確実に記録用紙１０３に必要なカール癖付けを行うことができ、記録用紙１０３の搬送中にジャムが発生するのが抑制される。
【解決手段】図１３（ｅ）に示すように、両面印刷時において、表面に画像が記録された記録用紙１０３が、搬送経路２３において所定のカール癖を付けるために所定時間の間、停止中であった場合には、残りの停止時間が記憶される。そして、この停止中に電源が遮断された場合には、停止中の記録用紙１０３が装置内に残留することになるが、次回電源が投入された場合には、残りの停止時間が経過した後で、残留している記録用紙１０３を装置外へ排紙することで、確実に記録用紙１０３に必要なカール癖付けを行うことができ、記録用紙１０３の搬送中にジャムが発生するのが抑制される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、画像記録装置に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
従来より、記録媒体の両面に画像を記録可能なインクジェット方式の画像記録装置が知られている。この種の画像記録装置に関し、次の特許文献１には、記録用紙の両面に画像を形成する両面制御モードで連続通紙を行っているときに、画像形成が停止した場合、画像形成部、用紙反転部、用紙排出部、及び、両面搬送部による記録用紙の搬送速度を通常搬送時の搬送速度よりも速くすることで、両面搬送部内の記録用紙を速やかに機外へ排出する技術が記載されている。
【特許文献１】特開２００２−２１１７９４号公報（段落第「００３１」）
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００３】
しかしながら、上述した特許文献１に記載されている技術では、画像形成が停止した場合における記録用紙の状態は、何ら考慮されていないので、例えば、通常の排紙方向とは逆方向に記録用紙を排出させることで、より短時間に記録用紙を機外へ排出できたり、機内で記録用紙を停止させ、記録用紙を乾燥中であった場合に、通常搬送時よりも速く記録用紙を機外へ排出してしまうと、未乾燥な状態で記録用紙が機外へ排出されてしまったり、機内で記録用紙を停止させ、記録用紙に所定のカール癖を付けている場合に、そのまま記録用紙を機外へ排出してしまうと、記録用紙に所望するカール癖が付かず、その影響で排出途中でジャムが発生したりするという不都合が生じる可能性がある。
【０００４】
このように、上述した特許文献１に記載されている技術では、機内に残留している記録用紙を機外へ排出する場合に、その残留している記録用紙の状態に応じて残留している記録用紙を最適な方法で機外へ排出することができないという問題点があった。
【０００５】
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、装置内に残留している記録媒体を、その残留している記録媒体の状態に応じて最適な方法で装置外へ排出することができる画像記録装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【０００６】
この目的を達成するために、請求項１記載の画像記録装置は、トレイに積載されている記録媒体に当接して、その記録媒体を給紙する給紙ローラと、その給紙ローラから給紙される記録媒体に画像を記録する記録ヘッドとを備え、前記記録媒体の表面と裏面との両面に画像を記録可能なものであって、前記給紙ローラによって前記記録媒体が給紙され、前記記録ヘッドによって前記記録媒体の両面に画像が記録され、その両面に画像が記録された記録媒体が装置外に排出されるまでの装置内における記録媒体の状態を検出する検出手段と、その検出手段によって検出された記録媒体の状態を記憶する不揮発性の記憶手段と、何らかの原因で前記記録媒体が装置内に残留した場合に、前記記憶手段に記憶されている記録媒体の状態に応じて、その残留している記録媒体を装置外に排出する排出方法を切換えて、その残留している記録媒体を装置外に排出させる排出制御手段とを備えている。
【０００７】
請求項２記載の画像記録装置は、請求項１に記載の画像記録装置において、前記記録ヘッドよりも下流側に配置され、正転および逆転可能に構成され、前記記録ヘッドを通過した記録媒体を挟持して、その挟持した記録媒体を外部に向けて、又は、前記記録媒体の表面が前記給紙ローラに当接するように再び前記給紙ローラに向けて搬送する一対の送りローラと、その一対の送りローラと、前記記録ヘッドとを結ぶ経路から枝分かれして、前記給紙ローラに向かって延びる裏面用経路とを備え、前記排出制御手段は、残留している記録媒体が、前記記録ヘッドによって前記記録媒体の表面に画像が記録された後、前記一対の送りローラに挟持され、その挟持された一対の送りローラによって前記裏面用経路を前記給紙ローラに向けて搬送されている状態であった場合には、前記一対の送りローラによって残留している記録媒体を逆送させて装置外に排出させる。
【０００８】
請求項３記載の画像記録装置は、請求項２に記載の画像記録装置において、前記一対の送りローラのうち、先に前記記録媒体の表面に当接する一方の送りローラは、他方の送りローラに従動して回転する従動ローラであり、その従動ローラを一端側に回転自在に軸支して上流側に延び、前記他方の送りローラの回転軸を中心に回動可能に構成され、他端側が前記記録媒体に当接して、前記一対の送りローラに挟持されている記録媒体を、上流側に位置している先端部から前記裏面用経路に誘導する経路切換アームを備え、前記排出制御手段は、残留している記録媒体が、前記経路切換アームによって前記裏面用経路に誘導されている状態であった場合には、前記他方の送りローラによって残留している記録媒体を逆送させて装置外に排出させる。
【０００９】
請求項４記載の画像記録装置は、請求項１から３のいずれかに記載の画像記録装置において、前記記録媒体の表面に画像が記録された後、裏面に画像が記録される前に、前記記録媒体を予め設定されている設定時間停止させる停止手段を備え、前記排出制御手段は、残留している記録媒体が前記停止手段によって停止している状態であった場合には、所定時間経過後に残留している記録媒体を装置外に排出させる。
【００１０】
請求項５記載の画像記録装置は、請求項４に記載の画像記録装置において、前記停止手段によって前記記録媒体を停止させている停止時間を計時する計時手段を備え、前記記憶手段は、前記計時手段によって計時されている停止時間を記憶し、前記排出制御手段は、残留している記録媒体が前記停止手段によって停止している状態であった場合には、前記設定時間から前記停止時間を除く残り時間が経過した後に残留している記録媒体を装置外に排出させる。
【００１１】
請求項６記載の画像記録装置は、請求項４又は５に記載の画像記録装置において、前記給紙ローラと前記記録ヘッドとの間にＵ字状に形成された経路であって、前記給紙ローラが当接した面とは反対の面が前記記録ヘッドと対向するように前記記録媒体を搬送する給紙経路を備え、前記停止手段は、前記記録媒体の表面に画像が記録された後、裏面に画像が記録される前に、再び前記給紙ローラによって前記給紙経路内を搬送される記録媒体がＵ字状に変形されている状態で、前記記録媒体を前記設定時間停止させる。
【発明の効果】
【００１２】
請求項１記載の画像記録装置によれば、給紙ローラによって記録媒体が給紙され、記録ヘッドによって記録媒体の両面に画像が記録され、その両面に画像が記録された記録媒体が装置外に排出されるまでの装置内における記録媒体の状態が検出手段によって検出され、その記録媒体の状態が不揮発性の記憶手段に記憶される。そして、何らかの原因で記録媒体が装置内に残留した場合には、記憶手段に記憶されている記録媒体の状態に応じて、その残留している記録媒体を装置外に排出する排出方法が排出制御手段によって切換えられて、その残留している記録媒体が装置外に排出されるので、装置内に残留している記録媒体を、その残留している記録媒体の状態に応じて最適な方法で装置外へ排出することができるという効果がある。
【００１３】
請求項２記載の画像記録装置によれば、請求項１に記載の画像記録装置の奏する効果に加え、表面に画像が記録された記録媒体は、記録ヘッドの下流側に配置されている一対の送りローラに挟持され、その挟持された一対の送りローラによって裏面用経路を給紙ローラに向けて搬送される。そして、残留している記録媒体が、一対の送りローラによって裏面用経路を給紙ローラに向けて搬送されている状態であった場合には、排出制御手段によって一対の送りローラが駆動され、残留している記録媒体が逆送して装置外に排出される。この場合、通常ルートを辿って残留している記録媒体を装置外へ排出するよりも短時間で残留している記録媒体を装置外へ排出させることができるという効果がある。
【００１４】
請求項３記載の画像記録装置によれば、請求項２に記載の画像記録装置の奏する効果に加え、一対の送りローラのうち、先に記録媒体の表面に当接する一方の送りローラは、他方の送りローラに従動して回転する従動ローラであり、記録媒体が一対の送りローラに挟持されている状態で、従動ローラを一端側に回転自在に軸支して上流側に延びる経路切換アームを、他方の送りローラの回転軸を中心に回動させると、経路切換アームの他端側が記録媒体に当接する。すると、一対の送りローラに挟持されている記録媒体は、上流側に位置している先端部から裏面用経路に誘導される。よって、一対の送りローラに挟持されている記録媒体を、画像が記録されている表面が給紙ローラに当接するように、簡単な構成で裏面用経路に誘導することができる。そして、残留している記録媒体が、経路切換アームによって裏面用経路に誘導されている状態であった場合には、排出制御手段によって一対の送りローラが駆動され、残留している記録媒体が逆送して装置外に排出される。この場合、通常ルートを辿って残留している記録媒体を装置外へ排出するよりも短時間で残留している記録媒体を装置外へ排出させることができるという効果がある。
【００１５】
請求項４記載の画像記録装置によれば、請求項１から３のいずれかに記載の画像記録装置の奏する効果に加え、表面に画像が記録された記録媒体は、裏面に画像が記録される前に、停止手段によって予め設定されている設定時間停止される。そして、残留している記録媒体が、停止手段によって停止している状態であった場合には、排出制御手段によって所定時間経過後に残留している記録媒体が装置外へ排出される。よって、例えば、表面に画像が記録された記録媒体を乾燥させるために表面に画像が記録された記録媒体を設定時間停止させている場合であれば、直ちに、記録媒体を装置外へ排出するよりも、所定時間経過後に記録媒体を装置外へ排出する方が、乾燥されていない記録媒体が装置外へ排出されるのを抑制することができるという効果がある。
【００１６】
請求項５記載の画像記録装置によれば、請求項４に記載の画像記録装置の奏する効果に加え、停止手段によって記録媒体を停止させている停止時間は計時手段によって計時されており、その停止時間は記憶手段に記憶されている。そして、残留している記録媒体が、停止手段によって停止している状態であった場合には、排出制御手段によって設定時間から停止時間を除く残り時間が経過した後に残留している記録媒体が装置外へ排出される。よって、例えば、表面に画像が記録された記録媒体を乾燥させるために表面に画像が記録された記録媒体を設定時間停止させている場合であれば、記録媒体が確実に乾燥された状態で、装置外へ排出することができるという効果がある。
【００１７】
請求項６記載の画像記録装置によれば、請求項４又は５に記載の画像記録装置の奏する効果に加え、表面に画像が記録された記録媒体は、表面が給紙ローラに当接するように給紙ローラまで搬送され、再び、給紙ローラによって給紙経路内に搬送され、その給紙経路内においてＵ字状に変形された状態で停止手段によって設定時間停止される。よって、Ｕ字状に変形された状態で停止している記録媒体は、給紙経路によって内側方向の押圧力を受けてカール付けがなされる。従って、記録媒体が給紙経路から記録ヘッドと対向する位置に搬送された場合に、記録ヘッドとプラテンとの間に円滑に搬送され、このカール付けがなされないことで、記録媒体が浮き上がり記録ヘッドとプラテンとの間でジャムが発生するのを抑制することができる。また、このカール付けは、給紙経路において、記録媒体をＵ字状に変形させた状態で設定時間停止させることで行われるので、カール付けのために、新たな物理的な構成を搭載する必要はなく、装置を大型化させることなく、且つ、簡単な構成で記録媒体を矯正することができる。更に、裏面に記録がされる前に、表面に記録された画像を乾燥させる乾燥時間を確保することができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１８】
以下、本発明の好ましい実施形態について、添付図面を参照して説明する。図１は、本発明の一実施形態である複合機１０の外観斜視図である。複合機１０は、記録媒体の一例である記録用紙の両面に画像を記録可能なインクジェット方式のプリンタ部１１を搭載し、記録用紙の表面に記録された画像を損傷させることなく、記録用紙の両面に画像を記録することができるものである。
【００１９】
複合機１０は、通話機能、ファクシミリ機能、プリンタ機能、スキャナ機能、及び、コピー機能などの各種の機能を有しており、プリンタ機能としては、記録用紙の両面に画像を記録する両面印刷機能を有している。
【００２０】
複合機１０には、主に、下部に設けられるプリンタ部１１と、上部に設けられるスキャナ部１２と、正面上部に設けられる操作パネル４０と、正面に設けられるスロット部４３とが設けられている。
【００２１】
プリンタ部１１は、正面に開口１３が形成されており、この開口１３から一部が露呈するようにして給紙トレイ２０及び排紙トレイ２１が上下２段に設けられている。給紙トレイ２０は、記録用紙を積載するためのものである。この給紙トレイ２０に積載された記録用紙は、プリンタ部１１の内部へ給送され、所望の画像が記録された後に排紙トレイ２１へ排紙されるようになっている。
【００２２】
スキャナ部１２は、いわゆるフラットベッドスキャナとして構成されている。原稿カバー３０は、複合機１０の天板として設けられており、その原稿カバー３０の下には、図示しないプラテンガラスが配置されている。原稿は、プラテンガラス上に載置され、原稿カバー３０に覆われた状態でスキャナ部１２に読み取られる。
【００２３】
操作パネル４０は、プリンタ部１１やスキャナ部１２を操作するためのものであって、各種操作ボタンや液晶表示部が設けられている。ユーザは、操作パネル４０を操作することで、各種機能の設定や動作を実行することができる。例えば、記録媒体としての記録用紙の種類（普通紙又は葉書）の設定や、記録用紙の表面のみに画像を記録する片面記録モードの設定、表裏両面に画像を記録する両面記録モードの設定、解像度（ドラフトモード又はフォトモード）の設定を、操作パネル４０を介して指示することができる。
【００２４】
スロット部４３は、記憶媒体である各種小型メモリカードが装填され得るように構成されている。例えば、スロット部４３に小型メモリカードが装填された状態でユーザーが操作パネル４０の操作を行うことにより、小型メモリカードに記憶された画像データを読み出し、その読み出した画像データを記録用紙に記録することができる。
【００２５】
次に、図２を参照して、プリンタ部１１の構成について概略する。図２は、プリンタ部１１の構造を示す縦断面図である。プリンタ部１１には、主に、記録用紙を搬送路２３に給紙する給送部１５と、給送部１５から給紙される記録用紙を搬送する搬送路２３と、搬送路２３を介して搬送される記録用紙にインク滴を吐出することで記録用紙に画像を記録する記録部２４と、記録用紙が排紙される排紙トレイ２１と、排紙トレイ２１と記録部２４との間に配置され、裏面に画像を記録するために記録用紙の経路を切り換える経路切換部４１と、経路切換部４１により経路が切り換えられた記録用紙を、給送部１５、搬送路２３側に案内する反転案内部１６とが設けられている。
【００２６】
給送部１５には、記録用紙を積載する給紙トレイ２０が設けられている。給紙トレイ２０は、プリンタ部１１の底側に配置され、上面が開放された箱状に構成されている。給紙トレイ２０に積載された記録用紙は、給紙ローラ２５によって搬送路２３に給紙される。
【００２７】
そして、記録用紙の片面（表面）に画像を記録する場合には、給紙ローラ２５によって給紙された記録用紙は、搬送路２３に沿って下方から上方へＵターンするように案内されて記録部２４に至り、記録部２４によって表面に画像が記録された後、排紙トレイ２１に排紙される。
【００２８】
一方、記録用紙の両面（表裏面）に画像を記録する場合には、表面に画像が記録された記録用紙を、表面が給紙ローラ２５に当接するように、経路切換部４１によって反転案内部１６へ案内し、給紙ローラ２５によって再び搬送路２３に給紙し、記録部２４によって記録媒体の裏面に画像を記録した後、排紙トレイ２１へ排紙される。
【００２９】
次に、図３を参照して、プリンタ部１１の構成について詳細に説明する。図３は、プリンタ部１１の部分拡大断面図である。
【００３０】
給送部１５には、給紙トレイ２０の上側に、給紙ローラ２５が配置されている。給紙ローラ２５は、給紙トレイ２０に積載された記録用紙を搬送路２３へ給紙するものであり、給紙アーム２６の先端に回転自在に軸支されている。給紙ローラ２５は、ＬＦモータ７１（図９参照）を駆動源として動力伝達機構２７を介して回転駆動される。この駆動伝達機構２７は直線状に並ぶ複数のギアで構成されており、これらが噛合されることにより構成されている。
【００３１】
給紙アーム２６は、その基端部が基軸２８に支持されており、基軸２８を回動中心軸として回転可能に構成されている。このため、給紙アーム２６は、給紙トレイ２０に対して接離可能に上下動することができる。また、給紙アーム２６は、自重により又はバネ等に付勢されて下側へ回動付勢されている。このため、給紙アーム２６は、通常において給紙トレイ２０に接触し、給紙トレイ２０が挿抜される際に上側へ退避するように構成されている。
【００３２】
給紙トレイ２０から記録用紙を給紙する場合には、給紙アーム２６が下側へ回動付勢され、給紙ローラ２５が給紙トレイ２０上の記録用紙に圧接された状態で、給紙ローラ２５を回転し、給紙ローラ２５のローラ面と記録用紙との間に発生する摩擦力により、最上位置の記録用紙が分離傾斜板２２へ送り出される。
【００３３】
そして、記録用紙の先端が分離傾斜板２２に当接すると、この記録用紙は上方へ案内され、矢印１４に沿って搬送路２３へ送り込まれる。給紙ローラ２５によって最上位置の記録用紙が送り出される際に、その直下の記録用紙が摩擦や静電気の作用によって共に送り出される場合もあるが、この記録用紙は分離傾斜板２２との当接によって制止される。
【００３４】
搬送路２３は、分離傾斜板２２から上方へ向かった後、正面側へＵ字状に曲がって形成されており、複合機１０の背面側（図３左側）から正面側（図３右側）へと延び、記録部２４を経て排紙トレイ２１へ通じている。
【００３５】
搬送路２３は、記録部２４等が配設されている箇所以外では、外側ガイド面と内側ガイド面とによって区画形成されている。例えば、複合機１０の背面側の搬送路２３の湾曲部１７は、外側ガイド部材１８及び内側ガイド部材１９が本体フレーム５３に固定されることにより形成されている。この場合、外側ガイド部材１８が外側ガイド面を形成し、内側ガイド部材１９が内側ガイド面を形成する。また、外側ガイド部材１８及び内側ガイド部材１９は、所定間隔をあけて対向配置されている。
【００３６】
搬送路２３が曲がっている箇所には、回転コロ２９が設けられている。この回転コロ２９は、回転自在に構成され、回転コロ２９のローラ面は、外側ガイド面に露出されている。よって、搬送路２３が曲がっている箇所においても、記録用紙が円滑に搬送される。
【００３７】
記録部２４は、搬送路２３の途中に配置されており、キャリッジ３８及び記録ヘッド３９とを備えている。記録ヘッド３９は、キャリッジ３８に搭載され、ガイドレール１０５、１０６に沿って主走査方向（図３紙面垂直方向）に往復動するように構成されている。
【００３８】
具体的には、キャリッジ３８は、ＣＲモータ９５（図９参照）を駆動源とし、例えばベルト駆動機構を介してスライドされる。なお、複合機１０の内部には、記録ヘッド３９とは独立してインクカートリッジ（図示せず）が配置されている。このインクカートリッジからインクチューブを通じてインクが記録ヘッド３９に供給される。そして、キャリッジ３８が往復動される間に、記録ヘッド３９からインクが微小なインク滴として吐出され、これにより、プラテン４２上を搬送される記録用紙に画像が記録される。
【００３９】
複合機１０の本体フレーム５３には、キャリッジ３８の位置を検出するリニアエンコーダ８５（図９参照）が設けられている。このリニアエンコーダ８５のエンコーダストリップがガイドレール１０５、１０６に配設されている。エンコーダストリップは、光を透過させる透光部及び光を遮断する遮光部を備えており、その透光部及び遮光部は、エンコーダストリップの長手方向に所定ピッチで交互に配置され所定のパターンを形成している。
【００４０】
また、キャリッジ３８の上面には、透過型センサである光学センサ１０７が設けられている。この光学センサ１０７は、エンコーダストリップに対応する位置に設けられており、キャリッジ３８と共にエンコーダストリップの長手方向に沿って往復動し、その往復動の際にエンコーダストリップのパターンを検出するものである。
【００４１】
さらに、キャリッジ３８には、プラテン４２上の記録用紙の存在の有無を検出するメディアセンサ８６（図９参照）が設けられている。メディアセンサ８６は、光源及び受光素子を備えており、光源から発せられた光は、プラテン４２上に搬送された記録用紙に照射される一方、プラテン４２上まで記録用紙が搬送されていない場合にはプラテン４２に照射される。そして、記録用紙又はプラテン４２に照射された光は反射され、その反射光を受光素子が受光しその受光量に応じた出力を行う。
【００４２】
記録部２４よりも搬送路２３の上流側には、搬送ローラ６０及びピンチローラ３１が設けられている。これらは対をなし、ピンチローラ３１は、搬送ローラ６０の下側に圧接するように配置されている。搬送ローラ６０及びピンチローラ３１は、搬送路２３を搬送される記録用紙を狭持してプラテン４２上へ送るものである。
【００４３】
また、記録部２４よりも搬送路２３の下流側には、排紙ローラ６２及び拍車ローラ６３が設けられている。排紙ローラ６２及び拍車ローラ６３は、記録済みの記録用紙を狭持して搬送路２３からさらに搬送方向下流側へ（排紙トレイ２１側へ）搬送するものである。
【００４４】
搬送ローラ６０及び排紙ローラ６２は、ＬＦモータ７１を駆動源として駆動され、搬送ローラ６０及び排紙ローラ６２の駆動は同期しており、画像記録時に間欠駆動される。これにより、記録用紙は所定の改行幅で送られながら画像記録がなされる。
【００４５】
なお、搬送ローラ６０には、ロータリーエンコーダ８７（図９参照）が設けられている。このロータリーエンコーダ８７は、搬送ローラ６０と共に回転するエンコーダディスク（図示せず）のパターンを光学センサで検出し、この光学センサが検出した信号に基づいて、搬送ローラ６０及び排紙ローラ６２の回転が制御される。また、画像記録の前後においては、搬送ローラ６０及び排紙ローラ６２は連続駆動され、迅速な用紙搬送が実現されている。
【００４６】
拍車ローラ６３は、記録済みの記録用紙を圧接するものであり、記録用紙に記録された画像が劣化しないように、拍車ローラ６３のローラ面には、拍車状に凹凸が形成されている。拍車ローラ６３は、排紙ローラ６２と接離する方向にスライド移動可能に設けられており、排紙ローラ６２に圧接するように付勢されている。なお、拍車ローラ６３を排紙ローラ６２に付勢する手段は、典型的にはコイルバネが採用される。
【００４７】
図３では図示されていないが、本実施形態では、複数の拍車ローラ６３が備えられており、各拍車ローラ６３は、記録用紙の搬送方向と直交する方向、すなわち記録用紙の幅方向に均等に並設されている。拍車ローラ６３の数は特に限定されるものではないが、本実施形態では８個に設定されている。
【００４８】
排紙ローラ６２と拍車ローラ６３との間に記録用紙が進入すると、拍車ローラ６３は、記録用紙の厚み分だけコイルバネの付勢力に抗して退避する。記録用紙は排紙ローラ６２に圧接され、排紙ローラ６２の回転力が確実に記録用紙へ伝達される。また、ピンチローラ３１も搬送ローラ６０に対して同様に弾性付勢されている。したがって、記録用紙は、搬送ローラ６０に圧接され、搬送ローラ６０の回転力が確実に記録用紙へ伝達される。
【００４９】
搬送路２３の搬送ローラ６０よりも上流側には、レジセンサ１０２（図９参照）が設けられている。このレジセンサ１０２は、検出子及び光学センサを備えており、検出子は、搬送路２３を横切るように配置され、搬送路２３に出没可能である。検出子は、常時搬送路２３に突出するように弾性付勢されており、搬送路２３を搬送される記録用紙が検出子に当接することにより、検出子が搬送路２３へ没入する。検出子の出没により、上記光学センサがＯＮ又はＯＦＦされる。したがって、記録用紙が検出子を出没させることによって、搬送路２３における記録用紙の先端又は後端の位置が検出される。
【００５０】
次に、図４及び図５を参照して、経路切換部４１について説明する。図４及び図５は、経路切換部周辺を拡大して示す拡大断面図であり、図５は、図４に示す状態の経路切換部４１が、中心軸５２を回転中心として回動した状態を示している。
【００５１】
経路切換部４１は、記録部２４よりも下流側に配置されている。具体的には、経路切換部４１は、記録部２４よりも搬送路２３の下流側部位３６、すなわち搬送路２３と反転案内部１６との境界部分における搬送方向下流側に配置されている。経路切換部４１には、ローラ対を構成する第１ローラ４５及び第２ローラ４６と、第２ローラ４６に並設された補助ローラ４７とが設けられている。
【００５２】
第１ローラ４５及び第２ローラ４６は、排紙ローラ６２及び拍車ローラ６３から送られた記録用紙１０３を狭持するものである。第１ローラ４５及び第２ローラ４６は、記録用紙１０３を搬送路２３に沿ってさらに搬送方向下流側へ（排紙トレイ２１側へ）搬送可能であると共に、記録用紙を反転案内部１６に搬送可能である。
【００５３】
第２ローラ４６及び補助ローラ４７は、フレーム４８に取り付けられている。このフレーム４８は、複合機１０の左右方向（図３の紙面垂直方向）に延びている（図６参照）。フレーム４８の断面形状は、略Ｌ字状に形成されており、これにより、フレーム４８の所要の曲げ剛性が確保されている。
【００５４】
フレーム４８は、一体化された８つのサブフレーム４９を備えている（図６参照）。各サブフレーム４９は、複合機１０の中心を基準として上記左右方向に対称に配置されている。各サブフレーム４９は、それぞれ一つの第２ローラ４６及び補助ローラ４７を軸支している。従って、フレーム４８は、それぞれ８つの第２ローラ４６及び補助ローラ４７を備えていることになり、各第２ローラ４６及び補助ローラ４７は、記録用紙の搬送方向と直交する方向、すなわち記録用紙１０３の幅方向に均等に並設されている。
【００５５】
第２ローラ４６及び補助ローラ４７は、各サブフレーム４９に設けられた支持軸５０、５１に軸支され、その支持軸５０、５１の回りに回転自在に構成されている。本実施形態では、第２ローラ４６及び補助ローラ４７は、拍車状に形成されている。補助ローラ４７は、第２ローラ４６よりも所定距離だけ搬送方向上流側に配置されている。各第２ローラ４６は、図示しないバネにより下方に付勢されており、常に第１ローラ４５に弾性的に押し付けられている。
【００５６】
第１ローラ４５は、所要の駆動伝達機構を介してＬＦモータ７１と連結されており、そのＬＦモータ７１を駆動源として回転駆動される。また、第１ローラ４５は、中心軸５２を備えており、その中心軸５２は、複合機１０の本体フレーム５３側に支持されている。
【００５７】
第１ローラ４５の上方には、第２ローラ４６が載置されている。第１ローラ４５は、単一の細長円柱状に形成されていてもよく、また、８つのローラがそれぞれ各第２ローラ４６と対向配置されていてもよい。
【００５８】
なお、第１ローラ４５は、ＬＦモータ７１によって正転及び逆転され、記録用紙を排紙トレイ２１側および反転案内部１６側に搬送可能に構成されている。即ち、搬送路２３に沿って搬送された記録用紙１０３は、第１ローラ４５と第２ローラ４６とによって挟持される。そして、第１ローラ４５が正転すると、記録用紙１０３は第１ローラ４５と第２ローラ４６とによって挟持されたまま搬送方向下流側へ搬送され、排紙トレイ２１に排紙される。他方、第１ローラ４５が逆転すると、記録用紙は第１ローラ４５と第２ローラ４６とによって挟持されたまま搬送方向上流側へ戻される。
【００５９】
本実施形態では、第１ローラ４５の外径は、排紙ローラ６２の外径よりも若干大きく設定されている。すなわち、両者が同回転速度で駆動された場合は、第１ローラ４５の周速度の方が排紙ローラ６２の周速度よりも大きくなる。そのため、記録用紙１０３が排紙ローラ６２及び第１ローラ４５の双方によって搬送されるときは、記録用紙１０３は常に搬送方向に引っ張られるようになっている。
【００６０】
ここで、図６乃至図８を参照して、上述したように構成された経路切換部４１の駆動機構４４について説明する。図６は、経路切換部４１の斜視図である。図７は、図６に示す矢印ＶＩＩ方向矢視図である。図８は、図６に示す矢印ＶＩＩＩ方向矢視図である。駆動機構４４は、経路切換部４１を図４に示す状態から図５に示す状態に駆動したり、図５に示す状態から図４に示す状態に復帰駆動させるためのものである。
【００６１】
図６に示すように、駆動機構４４には、中心軸５２に設けられた従動ギア５４と、これと噛み合う駆動ギア５５と、駆動ギア５５と連結されたカム５７とが設けられている。
【００６２】
カム５７は、回転駆動軸５８の一端に連結されており、回転駆動軸５８は、ＬＦモータ７１を駆動源として駆動される。図８に示すように、カム５７には案内溝５９が設けられている。この案内溝５９は、回転駆動軸５８の回りに環状に形成されている。具体的には、案内溝５９には、回転駆動軸５８を中心とする小円弧部６９及び大円弧部７０と、小円弧部６９の一端及び大円弧部７０の一端を連結する連結溝７２と、小円弧部６９の他端及び大円弧部７０の他端を連結する連結溝７３とが設けられている。
【００６３】
図６及び図７に示すように、従動ギア５４は、歯部６４とフランジ部６５とから構成されている。歯部６４は、中心軸５２を中心とするインボリュート歯車として構成されている。歯部６４は、中心軸５２に嵌め込まれ、中心軸５２の回りに回転することができるようになっている。また、フランジ部６５は、歯部６４と一体的に形成されており、フレーム４８と連結されている。したがって、歯部６４が回転すると、中心軸５２を回転中心としてフレーム４８、サブフレーム４９、第２ローラ４６及び補助ローラ４７が一体的に回転するようになっている。
【００６４】
駆動ギア５５は、支持軸６６に回動自在に支持されている。この支持軸６６は、本体フレーム５３に設けられている。駆動ギア５５は、歯部６７とアーム６８とによって構成されている。歯部６７は、上記支持軸６６を中心とするインボリュート歯車として構成されており、上記歯部６４と噛み合っている。アーム６８には、図８に示すピン５６が突設されており、ピン５６は、案内溝５９に嵌合しており、案内溝５９に沿ってスライド自在となっている。そして、歯部６７が回転することにより歯部６４が回転し、その結果、中心軸５２を回転中心としてフレーム４８、サブフレーム４９、第２ローラ４６及び補助ローラ４７が一体的に回転する。
【００６５】
図８が示すように、カム５７が回転すると、ピン５６は案内溝５９に沿って相対的に移動し、特に、連結溝７２、７３に沿ってスライドするときは、ピン５６は、カム５７の径方向に移動することになる。このため、図８においてカム５７が時計回り（矢印８２の方向）に回転されたときは、ピン５６が大円弧部７０、連結溝７２及び小円弧部６９に順に移動する。
【００６６】
従って、駆動ギア５５は、図７において時計回りに回転する。その結果、従動ギア５４は、図７において中心軸５２を中心として反時計回りに回転する。前述のように、従動ギア５４はフレーム４８と連結されているから、従動ギア５４が回転することにより、中心軸５２を回転中心としてフレーム４８、サブフレーム４９、第１ローラ４６及び補助ローラ４７が一体的に回転する。尚、この状態から上述したのとはカム５７が逆回転すれば、当然に、中心軸５２を回転中心としてフレーム４８、サブフレーム４９、第１ローラ４６及び補助ローラ４７が一体的に回転して、元の状態に復帰する。
【００６７】
本実施形態において、図４が示すような経路切換部４１の姿勢を「被記録媒体排出姿勢」、図５が示すような経路切換部４１の姿勢を「被記録媒体反転姿勢」とすれば、記録用紙の表面にのみ画像が記録される場合（片面記録）には、経路切換部４１が常時被記録媒体排出姿勢となり、搬送路２３に沿って搬送される記録用紙は、そのまま排紙トレイ２１側へ送られる（図４参照）。
【００６８】
一方、経路切換部４１が被記録媒体反転姿勢に変化したときは、図５に示すように、記録用紙１０３を反転案内部１６へ案内されるようになっている。具体的には、記録用紙の表裏両面に画像が記録される場合、まず、経路切換部４１が被記録媒体排出姿勢を維持し（図４参照）、表面に画像記録された記録用紙が搬送方向下流側へ送られる。その後、経路切換部４１が被記録媒体排出姿勢（図４参照）から被記録媒体反転姿勢（図５参照）に変化し、補助ローラ４７が記録用紙１０３を押さえつけて反転案内部１６側へ案内する。
【００６９】
再び、図４に戻り、説明を続ける。上述したように構成された経路切換部４１の下流側には、ガイド部７６が配置されている。ガイド部７６は、第１ローラ４５及び第２ローラ４６よりも搬送方向下流側に設けられている。本体フレーム５３に支持板７５が取り付けられており、この支持板７５にガイド部７６が設けられている。
【００７０】
このガイド部７６には、支持板７５の下面に固定された基部７７と、基部７７に支持されたガイドローラ７８とが設けられている。基部７７は支軸７９を備えており、ガイドローラ７８は、この支軸７９に回転自在に軸支されている。なお、本実施形態では、このガイドローラ７８は拍車状に形成されている。
【００７１】
このガイド部７６は、上記第１ローラ４５及び第２ローラ４６が逆転して記録用紙１０３が反転案内部１６へ送られているときに記録用紙１０３の記録面に接触する。また、ガイド部７６は、第１ローラ４５及び第２ローラ４６が正転して記録用紙１０３が反転案内部１６へ送られているときは、記録用紙１０３に接触しない。具体的には、ガイド部７６は、第１ローラ４５及び第２ローラ４６の接点と、排紙ローラ６２及び拍車ローラ６３の接点とを結ぶ仮想線と接触しない位置に設けられている。
【００７２】
記録用紙１０３が搬送方向の向きを変えて反転案内部１６に送られる場合には、記録用紙１０３のうち第１ローラ４５及び第２ローラ４６よりも下流側の部分は、記録用紙１０３の剛性によって反転案内部１６と平行な方向に向きが変えるよう作用する。しかし、ガイドローラ７８が記録用紙１０３の記録面に当接し、この記録用紙１０３を撓ませる。これにより、記録用紙１０３は、第１ローラ４５及び第２ローラ４６に巻き付けられるため、安定した搬送力を得ることができ、記録用紙１０３は、確実に反転案内部１６に送られる。
【００７３】
再び、図３に戻って説明を続ける。反転案内部１６は、搬送路２３に接続されており、記録部２４よりも搬送路２３の下流側部位３６に連続している。反転案内部１６は、表面に画像が記録された記録用紙を再び給紙トレイ２０上に導く反転経路を構成している。この反転経路は、第１ガイド面３２と第２ガイド面３３とによって区画形成されている。
【００７４】
本実施形態では、第１ガイド面３２及び第２ガイド面３３は、それぞれ、複合機１０の本体フレーム５３の内部に配置されたガイド部材３４及びガイド部材３５の表面により形成されている。各ガイド部材３４、３５は、所定間隔をあけて対向配置されており、第１ガイド面３２及び第２ガイド面３３は、搬送路２３の下流側部位３６から給紙ローラ２５の方へ斜め下方に延びている。
【００７５】
なお、本実施形態では、反転案内部１６は、記録用紙を給紙トレイ２０上に戻すように構成されているが、これに限定されるものではない。反転案内部１６は、要するに搬送路２３の下流側部位３６と上流側部位３７とを接続することができれば十分であり、したがって、記録用紙は、上流側部位３７よりも給紙トレイ２０側に戻されればよい。
【００７６】
次に、図９を参照して、複合機１０の制御部８４の構成について説明する。図９は、複合機１０の制御部８４の構成を示すブロック図である。制御部８４は、プリンタ部１１のみでなくスキャナ部１２も含む複合機１０の全体動作を制御するものであるが、スキャナ部１２についての詳細な説明は省略する。
【００７７】
制御部８４は、図に示すように、ＣＰＵ（Central Processing Unit）８８、ＲＯＭ（Read Only Memory）８９、ＲＡＭ（Random Access Memory）９０、電源オフ後も保持すべき設定やフラグ等が格納されるＥＥＰＲＯＭ（Electrically Erasable and Programmable ROM）９１を主とするマイクロコンピュータとして構成されており、バス９２を介してＡＳＩＣ（Application Specific Integrated Circuit）９３に接続されている。
【００７８】
ＲＯＭ８９には、複合機１０の各種動作を制御するためのプログラム等が格納されている。例えば、図１０に示す両面印刷処理を実行させる印刷処理プログラム８９ａが格納されている。ＲＡＭ９０は、ＣＰＵ８８が上記プログラムを実行する際に用いる各種データを一時的に記録する記憶領域又は作業領域として使用される。
【００７９】
ＥＥＰＲＯＭ９１は、書き換え可能な不揮発性のメモリである。ＥＥＰＲＯＭ９１には、用紙状態ステータス９１ａと、残り停止時間メモリ９１ｂとが割り当てられている。用紙状態ステータス９１ａは、両面印刷中における記録用紙１０３の装置内における状態を示すものである。
【００８０】
各状態に応じて「０」乃至「４」のステータスが記憶されている。具体的には、両面印刷開始から記録用紙１０３が第１停止位置（図１１（ａ）参照）までにある状態を「０」、経路切換部４１を駆動し、記録用紙１０３を反転案内部１６に進入させて、その先端が供給ローラ２５に到達する（図１２（ｄ）参照）までにある状態を「１」、給紙ローラ２５を駆動させ、記録用紙１０３が第２停止位置（図１３（ｅ）参照）にあり、所定停止時間の間、停止している状態を「２」、所定停止時間が経過した後の状態を「３」として記憶している。
【００８１】
そして、両面印刷中に、例えば、電源が遮断された場合には、次回電源を投入した際、図１５のフローチャートに示す初期処理を実行し、用紙状態ステータス９１ａに記憶されているステータスに応じて、装置内に残留する記録用紙１０３が所定の排紙方法で装置外に排紙される。
【００８２】
残り停止時間メモリ９１ｂには、第２停止位置（図１３（ｅ）参照）で所定時間停止している記録用紙１０３の残りの停止時間が記憶されている。これにより、両面印刷中に、第２停止位置（図１３（ｅ）参照）で記録用紙１０３が所定時間停止している場合に、例えば、電源が遮断され、次回電源を投入した場合でも、装置内に残留する記録用紙１０３の残り停止時間を把握することができる。
【００８３】
ＡＳＩＣ９３は、ＣＰＵ８８からの指令に従い、ＬＦモータ７１に通電する相励磁信号等を生成して、該信号をＬＦモータ７１の駆動回路９４に付与し、該駆動回路９４を介して駆動信号をＬＦモータ７１に通電することにより、ＬＦモータ７１の回転制御を行っている。
【００８４】
駆動回路９４は、給紙ローラ２５、搬送ローラ６０、排紙ローラ６２、第１ローラ４５などに接続されたＬＦモータ７１を駆動させるものであり、ＡＳＩＣ９３からの出力信号を受けて、ＬＦモータ７１を回転するための電気信号を生成する。該電気信号を受けてＬＦモータ７１が回転し、該ＬＦモータ７１の回転力がギアや駆動軸等からなる周知の駆動機構を介して、給紙ローラ２５、搬送ローラ６０、排紙ローラ６２、第１ローラ４５へ伝達される。
【００８５】
この複合機１０では、ＬＦモータ７１は、給紙トレイ２０からの記録用紙の給紙のための駆動源となっており、また、プラテン４２上に位置する記録用紙の搬送や記録済みの記録用紙を排紙トレイ２１へ排紙するための駆動源となっており、更には、所定の動力伝達機構を介して排紙ローラ６２を駆動する駆動源にもなっている。
【００８６】
即ち、ＬＦモータ７１は、搬送ローラ６０と、駆動伝達機構２７を介して給紙ローラ２５と、所定の動力伝達機構を介して排紙ローラ６２とを駆動する。なお、所定の動力伝達機構は、例えば歯車列により構成してもよいし、組付スペースの関係上、タイミングベルト等を使用してもよい。
【００８７】
また、ＡＳＩＣ９３は、ＣＰＵ８８からの指令に従い、ＣＲ（キャリッジ）モータ９５に通電する相励磁信号等を生成して、該信号をＣＲモータ９５の駆動回路９６に付与し、該駆動回路９６を介して駆動信号をＣＲモータ９５に通電することにより、ＣＲモータ９５の回転制御を行っている。
【００８８】
駆動回路９６は、上記キャリッジ３８に接続されたＣＲモータ９５を駆動させるものであり、ＡＳＩＣ９３からの出力信号を受けて、ＣＲモータ９５を回転するための電気信号を生成する。該電気信号を受けてＣＲモータ９５が回転し、該ＣＲモータ９５の回転力がキャリッジ３８へ伝達されことによりキャリッジ３８が往復動される。
【００８９】
駆動回路９７は、記録ヘッド３９から所定のタイミングでインクを記録用紙１０３に対して選択的に吐出させるものであり、ＣＰＵ８８から出力される駆動制御手順に基づいてＡＳＩＣ９３において生成された出力信号を受け、記録ヘッド３９を駆動制御する。
【００９０】
ＡＳＩＣ９３には、スキャナ部１２や、複合機１０の操作指示を行うための操作パネル４０、各種小型メモリカードが挿入されるスロット部４３、パソコン等の外部機器とパラレルケーブルやＵＳＢケーブルを介してデータの送受信を行うためのパラレルインタフェース（Ｉ／Ｆ）９８及びＵＳＢインタフェース（Ｉ／Ｆ）９９、ファクシミリ機能を実現するためのＮＣＵ（Network Control Unit）１００やモデム（MODEM）１０１が接続されている。
【００９１】
その他、ＡＳＩＣ９３には、給紙ローラ２５から搬送ローラ６０近傍に記録用紙１０３が搬送されたことを検出するレジセンサ１０２、ＬＦモータ７１により駆動された各ローラの回転量を検出するロータリエンコーダ８７、キャリッジ３８の移動量を検出するためのリニアエンコーダ８５、プラテン４２上の記録用紙１０３の存在の有無を検出するメディアセンサ８６が接続されている。
【００９２】
ここで、複合機１０の制御部８４で行われる処理を簡単に説明する。複合機１０の電源がオンされると、キャリッジ３８は、一旦そのスライド端まで移動され、リニアエンコーダ８５による検出位置が初期化される。キャリッジ３８が初期位置からスライド移動すると、キャリッジ３８に設けられた光学センサ１０７がエンコーダストリップのパターンを検出する。
【００９３】
制御部８４は、光学センサ１０７の検出に基づくパルス信号数によって、キャリッジ３８の移動量を把握し、この移動量に基づいてキャリッジ３８の往復動を制御すべく、ＣＲモータ９５の回転を制御する。また、制御部８４は、レジセンサ１０２の出力信号及びロータリーエンコーダ８７が検出するエンコーダ量に基づいて記録用紙１０３の先端又は後端の位置並びに記録用紙１０３の搬送量を把握する。
【００９４】
制御部８４は、記録用紙１０３の先端がプラテン４２の所定の位置に到達すると、記録用紙１０３を所定の改行幅ごとに間欠搬送すべくＬＦモータ７１の回転を制御する。この改行幅は、画像記録の条件として入力された解像度等に基づいて設定される。特に高解像度記録、具体的には、縁無し写真記録が行われる場合においては、メディアセンサ８６による記録用紙１０３の存在の検出と、ロータリーエンコーダ８７が検出するエンコーダ量とに基づいて、制御部８４が記録用紙１０３の先端、後端を正確に検知する。
【００９５】
さらに、メディアセンサ８６による記録用紙１０３の存在の検出と、リニアエンコーダ８５が検出するエンコーダ量とに基づいて、制御部８４が記録用紙１０３の両端の位置を正確に検知する。そして、このようにして検知された記録用紙１０３の先端、後端及び両端の位置に基づいて、制御部８４は、インクジェット記録ヘッド３９によるインク滴の吐出を制御する。
【００９６】
次に、図１０を参照して、複合機１０のＣＰＵ８８で実行される両面印刷処理について説明する。図１０は、複合機１０のＣＰＵ８８で実行される両面印刷処理を示したフローチャートである。尚、図１０の両面印刷処理では、両面印刷が指示された場合として説明する。図１１乃至図１４は、両面印刷時における記録用紙１０３の状態を時系列順に示す断面図である。
【００９７】
この両面印刷処理は、まず、用紙状態ステータス９１ａを「０」に設定する（Ｓ１）。次に、給紙ローラ２５を駆動して、給紙トレイ２０から記録用紙１０３を矢印１４の方向に沿って搬送路２３内に搬送する。搬送路２３内において、記録用紙１０３は、給紙ローラ２５が当接した面とは反対の面（表面）が記録ヘッド３９のノズル形成と対向するように反転される。
【００９８】
そして、記録用紙１０３が搬送ローラ６０及びピンチローラ３１に到達すると、搬送ローラ６０及びピンチローラ３１で記録用紙１０３を挟持して、搬送ローラ６０及びピンチローラ３１によって記録用紙１０３を記録ヘッド３９とプラテン４２との間に搬送し、記録ヘッド３９と対向する表面への画像記録を開始する（Ｓ２）。
【００９９】
表面への画像記録を開始した場合、搬送ローラ６０及びピンチローラ３１によって記録用紙１０３を間欠的に搬送し、記録用紙１０３が停止している状態でキャリッジ３８をスライドさせて記録ヘッド３９によって記録用紙１０３の表面に画像を記録する。
【０１００】
また、記録用紙１０３が排紙ローラ６２及び拍車ローラ６３に到達すると、排紙ローラ６２及び拍車ローラ６３を駆動し、排紙ローラ６２及び拍車ローラ６３によって記録用紙１０３を更に下流側に搬送する。更に、記録用紙１０３が第１ローラ４５及び第２ローラ４６に到達すると、第１ローラ４５及び第２ローラ４６を駆動し、第１ローラ４５及び第２ローラ４６によって記録用紙１０３を更に下流側に搬送する。この間に、記録用紙１０３の表面への画像記録を終了する（Ｓ３）。
【０１０１】
そして、図１１（ａ）に示すように、記録用紙１０３が、第１ローラ４５及び第２ローラ４６に挟持され、且つ、上流側の端部が排紙ローラ６２の下流側に延びる第１ガイド面３２に支持されている状態となる第１停止位置まで、第１ローラ４５及び第２ローラ４６によって記録用紙１０３を搬送し、第１停止位置で第１ローラ４５及び第２ローラ４６の駆動を停止し（Ｓ４）、用紙状態ステータス９１ａを「１」に設定する（Ｓ５）。即ち、両面印刷を開始してから記録用紙１０３が第１停止位置に到達するまでが用紙状態ステータス９１ａに「０」が記憶される。
【０１０２】
その後、図１１（ａ）に示すように、被記録媒体排出姿勢にある経路切換部４１を、図１１（ｂ）に示すように、徐々に、被記録媒体反転姿勢（図１２（ｃ）参照）へ変化させるように、経路切換部４１を駆動する（Ｓ６）。経路切換部４１を回転駆動する場合には、第１ローラ４５の支持軸５０を中心として経路切換部４１を回動する。すなわち、第２ローラ４６は、記録用紙１０３を挟持したままで第１ローラ４５の周面上を転動し、補助ローラ４７が記録用紙１０３を記録用紙１０３の表面側から反転案内部１６に向けて押圧する。これにより、図１２（ｃ）に示したように、記録用紙１０３は、記録用紙１０３の上流側に位置する先端部（表面の後端、裏面の先端）が反転案内部１６側に進入する。
【０１０３】
そして、第１ローラ４５及び第２ローラ４６を逆転駆動し、記録用紙１０３を反転案内部１６内において給紙ローラ２５に向けて搬送する（Ｓ７）。その後、図１２（ｄ）に示すように、記録用紙１０３の先端部（表面の後端、裏面の先端）が、給紙ローラ２５に到達すると、用紙状態ステータス９１ａを「２」に設定する（Ｓ８）。即ち、経路切換部４１を駆動してから給紙ローラ２５に到達するまでが用紙状態ステータス９１ａに「１」が記憶される。
【０１０４】
記録用紙１０３が給紙ローラ２５に到達すると、給紙ローラ２５を駆動する（Ｓ９）。但し、給紙ローラ２５は、記録用紙１０３が給紙ローラ２５に到達してから所定時間経過後に駆動し、この間は、第１ローラ４５及び第２ローラ４６を逆転させ続ける。これにより、記録用紙１０３の斜行が整えられ、給紙ローラ２５による再給紙性を向上させることができる。
【０１０５】
そして、給紙ローラ２５と、第１ローラ４５及び第２ローラ４６とによって記録用紙１０３を搬送し、図１３（ｅ）に示すように、記録用紙１０３が搬送路２３においてＵ字状に変形される状態となる第２停止位置まで到達した場合には、第２停止位置で給紙ローラ２５と、第１ローラ４５及び第２ローラ４６との駆動を所定時間停止する（Ｓ１０）。
【０１０６】
記録用紙１０３を停止させると、所定時間の計時を開始し、残り停止時間が０かを判断し（Ｓ１１）、残り停止時間が０でなければ（Ｓ１１：Ｎｏ）、１秒待機して（Ｓ１２）、残り停止時間を１秒減算し（Ｓ１３）、その残り停止時間を残り停止時間メモリ９２ａに記憶する（Ｓ１４）。そして、このＳ１１乃至Ｓ１４までの処理を、Ｓ１１において、残り停止時間が０と判断されるまで実行し、残り停止時間が０と判断された場合には（Ｓ１１：Ｙｅｓ）、用紙状態ステータス９１ａを「３」に設定する（Ｓ１５）。即ち、給紙ローラ２５に到達してから第２停止位置での所定の停止時間が経過するまでが用紙状態ステータス９１ａに「２」が記憶される。
【０１０７】
このように、表面記録後、裏面記録前に、記録用紙１０３を搬送路２３においてＵ字状に変形させた状態で所定時間停止させると、記録用紙１０３に所望のカール癖を付けることができる。これにより、ジャムを発生させることなく記録用紙１０３を搬送ローラ６０及びピンチローラ３１に導入できる。また、記録ヘッド３９とプラテン４２との間に記録用紙１０３を円滑に搬送できる。また、このカール癖付けは、搬送路２３内において、記録用紙２３をＵ字状に変形させた状態で行われるので、カール癖付けのために、新たな物理的な構成を搭載する必要がなく、装置を大型化させることなく、且つ、簡単な構成で記録用紙１０３にカール癖を付けることができる。更に、表面に記録された画像を乾燥させる乾燥時間としても利用することができる。
【０１０８】
こうして、第２停止位置で記録用紙１０３を所定時間停止させると、その後は、図１３（ｆ）に示すように、搬送路２３において、記録用紙１０３は給紙ローラ２５が当接した面（表面）とは反対の面（裏面）が記録ヘッド３９のノズル形成と対向するように反転され、裏面に対して記録ヘッド３９によって画像記録を開始する（Ｓ１６）。
【０１０９】
そして、記憶用紙１０３の先端部（裏面の先端）が経路切換部４１に進入する前に、図１４（ｇ）に示すように、経路切換部４１を被記録媒体反転姿勢から、再び被記録媒体排出姿勢に変化するように経路切換部４１を駆動する（Ｓ１７）。その後、記録用紙１０３の裏面への画像記録が終了し（Ｓ１８）、両面に画像が記録された記録用紙１０３を第１ローラ４５及び第２ローラ４６によって搬送方向下流側へ搬送する。このとき、第１ローラ４５及び第２ローラ４６は正転し、記録用紙１０３は排紙トレイ２１へ排紙される（Ｓ１９）。そして、最後に、用紙状態ステータス９１ａを「０」に設定し（Ｓ２０）、本処理を終了する。即ち、第２停止位置での所定時間の停止が終了してから排紙されるまでが用紙状態ステータス９１ａに「３」が記憶される。
【０１１０】
次に、図１５を参照して、初期化処理について説明する。この処理は、複合機１０の電源が投入された場合にＣＰＵ８８によって実行される処理である。この初期化処理では、まず、用紙状態ステータス９１ａのステータスが読み取られる（Ｓ４０）。
【０１１１】
その読み取った用紙状態ステータス９１ａが「０」であった場合、即ち、両面印刷開始から記録用紙１０３が第１停止位置に到達するまでの場合には、通常の排紙処理を実行し（Ｓ２１）、本処理を終了する。本実施形態の場合、通常の排紙処理とは、記録用紙１０３に片面印刷をする場合と同様の経路を辿って、記録用紙１０３を排紙トレイ２１に排紙する処理である。
【０１１２】
次に、Ｓ４０で読み取った用紙状態ステータス９１ａが「１」であった場合、即ち、第１停止位置で停止している記録用紙１０３に対して、経路切換部４１を駆動してから、記録用紙１０３を反転案内部１６に進入させて、その先端が供給ローラ２５に到達するまでの場合には、第１ローラ４５を駆動して、装置内に残留している記録用紙１０３を逆送させて排紙トレイ２１に排紙する（Ｓ２２）。
【０１１３】
そして、経路切換部４１を駆動して、経路切換部４１を図４に示す被記録媒体排出姿勢にした後に（Ｓ２３）、本処理を終了する。この場合、記録用紙１０３は排紙トレイ２１の近くに位置するので、通常の排紙処理によって記録用紙１０３を排紙するよりも短時間で残留する記録用紙１０３を装置外に排紙することができる。
【０１１４】
次に、Ｓ４０で読み取ったステータスが「２」であった場合、即ち、給紙ローラ２５を駆動させてから、記録用紙１０３が第２停止位置で所定停止時間の間停止している場合には、残り停止時間メモリ９２ａに記憶されている残り停止時間を読み出し、残り停止時間の計時を開始し、その残り停止時間が０かを判断する（Ｓ２４）。残り停止時間が０でなければ（Ｓ２４：Ｎｏ）、１秒待機して（Ｓ２５）、残り停止時間を１秒減算し（Ｓ２６）、その残り停止時間を残り停止時間メモリに記憶する（Ｓ２７）。そして、このＳ２４乃至Ｓ２７までの処理を、Ｓ２４において、残り停止時間が０と判断されるまで実行し、残り停止時間が０と判断された場合には（Ｓ２４：Ｙｅｓ）、用紙状態ステータス９１ａを「３」に設定する（Ｓ２８）。
【０１１５】
そして、給紙ローラ２５を駆動し（Ｓ２９）、経路切換部４１を駆動して、経路切換部４１を図４に示す被記録媒体排出姿勢にした後に（Ｓ３０）、通常の排紙処理を実行し（Ｓ３１）、本処理を終了する。
【０１１６】
用紙状態ステータス９１ａが「２」であった場合、残り停止時間メモリ９１ｂに記憶されていた残り停止時間が経過した後に、記録用紙１０３を排紙することで、記録用紙１０３にカール癖付けを確実に行うことができ、記録用紙１０３を搬送ローラ６０に円滑に導入でき、記録ヘッド３９とプラテン４２との間でジャムが発生するのを抑制することができる。また、乾燥時間も確保することができ、未乾燥の状態で記録用紙１０３が排紙されるのを抑制することもできる。
【０１１７】
次に、Ｓ４０で読み取ったステータスが「３」であった場合、即ち、所定停止時間が経過した後の状態である場合には、給紙ローラ２５を通過済か否かを判断し（Ｓ３２）、通過前であれば（Ｓ３２：Ｎｏ）、給紙ローラ２５を駆動した後で（Ｓ３３）、通過後であれば（Ｓ３２：Ｙｅｓ）、給紙ローラ２５を駆動することなく、経路切換部４１を駆動して、経路切換部４１を図４に示す被記録媒体排出姿勢にした後に（Ｓ３４）、通常の排紙処理を実行し（Ｓ３５）、本処理を終了する。
【０１１８】
このように、本実施形態によれば、両面印刷中に、例えば、装置の電源が遮断された場合、両面印刷中の記録用紙１０３は装置内に残留することになるが、両面印刷中の記録用紙１０３の状態は、用紙状態ステータス９１ａに記憶されており、その用紙状態ステータス９１ａに記憶されている状態に応じて、その残留している記録用紙１０３を装置外に排紙する排紙方法が切換えられて、残留している記録用紙１０３が装置外に排紙されるので、装置内に残留している記録用紙１０３を、残留している記録用紙１０３の状態に応じた最適な方法で装置外へ排紙することができる。
【０１１９】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能であることは容易に推察できるものである。
【０１２０】
例えば、上述した実施形態では、表面または裏面に画像を記録している場合に記録用紙１０３が装置内に残留した場合には、通常の排紙処理によって記録用紙を排紙する場合について説明したが、表面または裏面に画像を記録している場合に記録用紙１０３が装置内に残留した場合には、インクが乾燥していない可能性があるので、表面または裏面に画像を記録している状態を示す用紙状態ステータスを設け、かかる場合には、所定時間経過後に、記録用紙１０３を排紙するように構成しても良い。また、この場合、吐出したインク量をＥＥＰＲＯＭ９１に記憶しておき、吐出したインク量によって（例えば、インク吐出量が多ければ長く、少なければ短く）排紙するまでの待機時間を変更するように構成しても良い。かかる場合には、未乾燥の状態で記録用紙１０３が排紙されるのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【０１２１】
【図１】本発明の一実施形態の複合機の外観斜視図である。
【図２】複合機のプリンタ部の構造を示す縦断面図である。
【図３】プリンタ部の部分拡大断面図である。
【図４】経路切換部周辺を拡大して示す拡大断面図である。
【図５】経路切換部周辺を拡大して示す拡大断面図である。
【図６】経路切換部の斜視図である。
【図７】図６に示す矢印ＶＩＩ方向矢視図である。
【図８】図６に示す矢印ＶＩＩＩ方向矢視図である。
【図９】複合機の制御部の構成を示すブロック図である。
【図１０】両面印刷処理を示すフローチャートである。
【図１１】両面印刷時における記録用紙の状態を時系列順に示す断面図である。
【図１２】両面印刷時における記録用紙の状態を時系列順に示す断面図である。
【図１３】両面印刷時における記録用紙の状態を時系列順に示す断面図である。
【図１４】両面印刷時における記録用紙の状態を時系列順に示す断面図である。
【図１５】初期化処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【０１２２】
１０ 複合機（画像記録装置）
１６ 反転案内部（裏面用経路）
２０ 給紙トレイ（トレイ）
２３ 搬送路（給紙経路）
２５ 給紙ローラ
３９ 記録ヘッド
４１ 経路切換部（付勢手段、経路切換アーム）
４５ 第１ローラ（一対の送りローラの一部、他方のローラ）
４６ 第２ローラ（一対の送りローラの一部、従動ローラ）
４８ フレーム（経路切換アーム）
４９ サブフレーム（経路切換アーム）
９１ａ 用紙状態ステータス（記憶手段）
９１ｂ 残り停止時間メモリ（記憶手段）
１０３ 記録用紙（記録媒体）
Ｓ１，Ｓ５，Ｓ８，Ｓ１５ 検出手段の一部
Ｓ１０ 停止手段の一部
Ｓ２３， 排出制御手段の一部
【技術分野】
【０００１】
本発明は、画像記録装置に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
従来より、記録媒体の両面に画像を記録可能なインクジェット方式の画像記録装置が知られている。この種の画像記録装置に関し、次の特許文献１には、記録用紙の両面に画像を形成する両面制御モードで連続通紙を行っているときに、画像形成が停止した場合、画像形成部、用紙反転部、用紙排出部、及び、両面搬送部による記録用紙の搬送速度を通常搬送時の搬送速度よりも速くすることで、両面搬送部内の記録用紙を速やかに機外へ排出する技術が記載されている。
【特許文献１】特開２００２−２１１７９４号公報（段落第「００３１」）
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００３】
しかしながら、上述した特許文献１に記載されている技術では、画像形成が停止した場合における記録用紙の状態は、何ら考慮されていないので、例えば、通常の排紙方向とは逆方向に記録用紙を排出させることで、より短時間に記録用紙を機外へ排出できたり、機内で記録用紙を停止させ、記録用紙を乾燥中であった場合に、通常搬送時よりも速く記録用紙を機外へ排出してしまうと、未乾燥な状態で記録用紙が機外へ排出されてしまったり、機内で記録用紙を停止させ、記録用紙に所定のカール癖を付けている場合に、そのまま記録用紙を機外へ排出してしまうと、記録用紙に所望するカール癖が付かず、その影響で排出途中でジャムが発生したりするという不都合が生じる可能性がある。
【０００４】
このように、上述した特許文献１に記載されている技術では、機内に残留している記録用紙を機外へ排出する場合に、その残留している記録用紙の状態に応じて残留している記録用紙を最適な方法で機外へ排出することができないという問題点があった。
【０００５】
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、装置内に残留している記録媒体を、その残留している記録媒体の状態に応じて最適な方法で装置外へ排出することができる画像記録装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【０００６】
この目的を達成するために、請求項１記載の画像記録装置は、トレイに積載されている記録媒体に当接して、その記録媒体を給紙する給紙ローラと、その給紙ローラから給紙される記録媒体に画像を記録する記録ヘッドとを備え、前記記録媒体の表面と裏面との両面に画像を記録可能なものであって、前記給紙ローラによって前記記録媒体が給紙され、前記記録ヘッドによって前記記録媒体の両面に画像が記録され、その両面に画像が記録された記録媒体が装置外に排出されるまでの装置内における記録媒体の状態を検出する検出手段と、その検出手段によって検出された記録媒体の状態を記憶する不揮発性の記憶手段と、何らかの原因で前記記録媒体が装置内に残留した場合に、前記記憶手段に記憶されている記録媒体の状態に応じて、その残留している記録媒体を装置外に排出する排出方法を切換えて、その残留している記録媒体を装置外に排出させる排出制御手段とを備えている。
【０００７】
請求項２記載の画像記録装置は、請求項１に記載の画像記録装置において、前記記録ヘッドよりも下流側に配置され、正転および逆転可能に構成され、前記記録ヘッドを通過した記録媒体を挟持して、その挟持した記録媒体を外部に向けて、又は、前記記録媒体の表面が前記給紙ローラに当接するように再び前記給紙ローラに向けて搬送する一対の送りローラと、その一対の送りローラと、前記記録ヘッドとを結ぶ経路から枝分かれして、前記給紙ローラに向かって延びる裏面用経路とを備え、前記排出制御手段は、残留している記録媒体が、前記記録ヘッドによって前記記録媒体の表面に画像が記録された後、前記一対の送りローラに挟持され、その挟持された一対の送りローラによって前記裏面用経路を前記給紙ローラに向けて搬送されている状態であった場合には、前記一対の送りローラによって残留している記録媒体を逆送させて装置外に排出させる。
【０００８】
請求項３記載の画像記録装置は、請求項２に記載の画像記録装置において、前記一対の送りローラのうち、先に前記記録媒体の表面に当接する一方の送りローラは、他方の送りローラに従動して回転する従動ローラであり、その従動ローラを一端側に回転自在に軸支して上流側に延び、前記他方の送りローラの回転軸を中心に回動可能に構成され、他端側が前記記録媒体に当接して、前記一対の送りローラに挟持されている記録媒体を、上流側に位置している先端部から前記裏面用経路に誘導する経路切換アームを備え、前記排出制御手段は、残留している記録媒体が、前記経路切換アームによって前記裏面用経路に誘導されている状態であった場合には、前記他方の送りローラによって残留している記録媒体を逆送させて装置外に排出させる。
【０００９】
請求項４記載の画像記録装置は、請求項１から３のいずれかに記載の画像記録装置において、前記記録媒体の表面に画像が記録された後、裏面に画像が記録される前に、前記記録媒体を予め設定されている設定時間停止させる停止手段を備え、前記排出制御手段は、残留している記録媒体が前記停止手段によって停止している状態であった場合には、所定時間経過後に残留している記録媒体を装置外に排出させる。
【００１０】
請求項５記載の画像記録装置は、請求項４に記載の画像記録装置において、前記停止手段によって前記記録媒体を停止させている停止時間を計時する計時手段を備え、前記記憶手段は、前記計時手段によって計時されている停止時間を記憶し、前記排出制御手段は、残留している記録媒体が前記停止手段によって停止している状態であった場合には、前記設定時間から前記停止時間を除く残り時間が経過した後に残留している記録媒体を装置外に排出させる。
【００１１】
請求項６記載の画像記録装置は、請求項４又は５に記載の画像記録装置において、前記給紙ローラと前記記録ヘッドとの間にＵ字状に形成された経路であって、前記給紙ローラが当接した面とは反対の面が前記記録ヘッドと対向するように前記記録媒体を搬送する給紙経路を備え、前記停止手段は、前記記録媒体の表面に画像が記録された後、裏面に画像が記録される前に、再び前記給紙ローラによって前記給紙経路内を搬送される記録媒体がＵ字状に変形されている状態で、前記記録媒体を前記設定時間停止させる。
【発明の効果】
【００１２】
請求項１記載の画像記録装置によれば、給紙ローラによって記録媒体が給紙され、記録ヘッドによって記録媒体の両面に画像が記録され、その両面に画像が記録された記録媒体が装置外に排出されるまでの装置内における記録媒体の状態が検出手段によって検出され、その記録媒体の状態が不揮発性の記憶手段に記憶される。そして、何らかの原因で記録媒体が装置内に残留した場合には、記憶手段に記憶されている記録媒体の状態に応じて、その残留している記録媒体を装置外に排出する排出方法が排出制御手段によって切換えられて、その残留している記録媒体が装置外に排出されるので、装置内に残留している記録媒体を、その残留している記録媒体の状態に応じて最適な方法で装置外へ排出することができるという効果がある。
【００１３】
請求項２記載の画像記録装置によれば、請求項１に記載の画像記録装置の奏する効果に加え、表面に画像が記録された記録媒体は、記録ヘッドの下流側に配置されている一対の送りローラに挟持され、その挟持された一対の送りローラによって裏面用経路を給紙ローラに向けて搬送される。そして、残留している記録媒体が、一対の送りローラによって裏面用経路を給紙ローラに向けて搬送されている状態であった場合には、排出制御手段によって一対の送りローラが駆動され、残留している記録媒体が逆送して装置外に排出される。この場合、通常ルートを辿って残留している記録媒体を装置外へ排出するよりも短時間で残留している記録媒体を装置外へ排出させることができるという効果がある。
【００１４】
請求項３記載の画像記録装置によれば、請求項２に記載の画像記録装置の奏する効果に加え、一対の送りローラのうち、先に記録媒体の表面に当接する一方の送りローラは、他方の送りローラに従動して回転する従動ローラであり、記録媒体が一対の送りローラに挟持されている状態で、従動ローラを一端側に回転自在に軸支して上流側に延びる経路切換アームを、他方の送りローラの回転軸を中心に回動させると、経路切換アームの他端側が記録媒体に当接する。すると、一対の送りローラに挟持されている記録媒体は、上流側に位置している先端部から裏面用経路に誘導される。よって、一対の送りローラに挟持されている記録媒体を、画像が記録されている表面が給紙ローラに当接するように、簡単な構成で裏面用経路に誘導することができる。そして、残留している記録媒体が、経路切換アームによって裏面用経路に誘導されている状態であった場合には、排出制御手段によって一対の送りローラが駆動され、残留している記録媒体が逆送して装置外に排出される。この場合、通常ルートを辿って残留している記録媒体を装置外へ排出するよりも短時間で残留している記録媒体を装置外へ排出させることができるという効果がある。
【００１５】
請求項４記載の画像記録装置によれば、請求項１から３のいずれかに記載の画像記録装置の奏する効果に加え、表面に画像が記録された記録媒体は、裏面に画像が記録される前に、停止手段によって予め設定されている設定時間停止される。そして、残留している記録媒体が、停止手段によって停止している状態であった場合には、排出制御手段によって所定時間経過後に残留している記録媒体が装置外へ排出される。よって、例えば、表面に画像が記録された記録媒体を乾燥させるために表面に画像が記録された記録媒体を設定時間停止させている場合であれば、直ちに、記録媒体を装置外へ排出するよりも、所定時間経過後に記録媒体を装置外へ排出する方が、乾燥されていない記録媒体が装置外へ排出されるのを抑制することができるという効果がある。
【００１６】
請求項５記載の画像記録装置によれば、請求項４に記載の画像記録装置の奏する効果に加え、停止手段によって記録媒体を停止させている停止時間は計時手段によって計時されており、その停止時間は記憶手段に記憶されている。そして、残留している記録媒体が、停止手段によって停止している状態であった場合には、排出制御手段によって設定時間から停止時間を除く残り時間が経過した後に残留している記録媒体が装置外へ排出される。よって、例えば、表面に画像が記録された記録媒体を乾燥させるために表面に画像が記録された記録媒体を設定時間停止させている場合であれば、記録媒体が確実に乾燥された状態で、装置外へ排出することができるという効果がある。
【００１７】
請求項６記載の画像記録装置によれば、請求項４又は５に記載の画像記録装置の奏する効果に加え、表面に画像が記録された記録媒体は、表面が給紙ローラに当接するように給紙ローラまで搬送され、再び、給紙ローラによって給紙経路内に搬送され、その給紙経路内においてＵ字状に変形された状態で停止手段によって設定時間停止される。よって、Ｕ字状に変形された状態で停止している記録媒体は、給紙経路によって内側方向の押圧力を受けてカール付けがなされる。従って、記録媒体が給紙経路から記録ヘッドと対向する位置に搬送された場合に、記録ヘッドとプラテンとの間に円滑に搬送され、このカール付けがなされないことで、記録媒体が浮き上がり記録ヘッドとプラテンとの間でジャムが発生するのを抑制することができる。また、このカール付けは、給紙経路において、記録媒体をＵ字状に変形させた状態で設定時間停止させることで行われるので、カール付けのために、新たな物理的な構成を搭載する必要はなく、装置を大型化させることなく、且つ、簡単な構成で記録媒体を矯正することができる。更に、裏面に記録がされる前に、表面に記録された画像を乾燥させる乾燥時間を確保することができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１８】
以下、本発明の好ましい実施形態について、添付図面を参照して説明する。図１は、本発明の一実施形態である複合機１０の外観斜視図である。複合機１０は、記録媒体の一例である記録用紙の両面に画像を記録可能なインクジェット方式のプリンタ部１１を搭載し、記録用紙の表面に記録された画像を損傷させることなく、記録用紙の両面に画像を記録することができるものである。
【００１９】
複合機１０は、通話機能、ファクシミリ機能、プリンタ機能、スキャナ機能、及び、コピー機能などの各種の機能を有しており、プリンタ機能としては、記録用紙の両面に画像を記録する両面印刷機能を有している。
【００２０】
複合機１０には、主に、下部に設けられるプリンタ部１１と、上部に設けられるスキャナ部１２と、正面上部に設けられる操作パネル４０と、正面に設けられるスロット部４３とが設けられている。
【００２１】
プリンタ部１１は、正面に開口１３が形成されており、この開口１３から一部が露呈するようにして給紙トレイ２０及び排紙トレイ２１が上下２段に設けられている。給紙トレイ２０は、記録用紙を積載するためのものである。この給紙トレイ２０に積載された記録用紙は、プリンタ部１１の内部へ給送され、所望の画像が記録された後に排紙トレイ２１へ排紙されるようになっている。
【００２２】
スキャナ部１２は、いわゆるフラットベッドスキャナとして構成されている。原稿カバー３０は、複合機１０の天板として設けられており、その原稿カバー３０の下には、図示しないプラテンガラスが配置されている。原稿は、プラテンガラス上に載置され、原稿カバー３０に覆われた状態でスキャナ部１２に読み取られる。
【００２３】
操作パネル４０は、プリンタ部１１やスキャナ部１２を操作するためのものであって、各種操作ボタンや液晶表示部が設けられている。ユーザは、操作パネル４０を操作することで、各種機能の設定や動作を実行することができる。例えば、記録媒体としての記録用紙の種類（普通紙又は葉書）の設定や、記録用紙の表面のみに画像を記録する片面記録モードの設定、表裏両面に画像を記録する両面記録モードの設定、解像度（ドラフトモード又はフォトモード）の設定を、操作パネル４０を介して指示することができる。
【００２４】
スロット部４３は、記憶媒体である各種小型メモリカードが装填され得るように構成されている。例えば、スロット部４３に小型メモリカードが装填された状態でユーザーが操作パネル４０の操作を行うことにより、小型メモリカードに記憶された画像データを読み出し、その読み出した画像データを記録用紙に記録することができる。
【００２５】
次に、図２を参照して、プリンタ部１１の構成について概略する。図２は、プリンタ部１１の構造を示す縦断面図である。プリンタ部１１には、主に、記録用紙を搬送路２３に給紙する給送部１５と、給送部１５から給紙される記録用紙を搬送する搬送路２３と、搬送路２３を介して搬送される記録用紙にインク滴を吐出することで記録用紙に画像を記録する記録部２４と、記録用紙が排紙される排紙トレイ２１と、排紙トレイ２１と記録部２４との間に配置され、裏面に画像を記録するために記録用紙の経路を切り換える経路切換部４１と、経路切換部４１により経路が切り換えられた記録用紙を、給送部１５、搬送路２３側に案内する反転案内部１６とが設けられている。
【００２６】
給送部１５には、記録用紙を積載する給紙トレイ２０が設けられている。給紙トレイ２０は、プリンタ部１１の底側に配置され、上面が開放された箱状に構成されている。給紙トレイ２０に積載された記録用紙は、給紙ローラ２５によって搬送路２３に給紙される。
【００２７】
そして、記録用紙の片面（表面）に画像を記録する場合には、給紙ローラ２５によって給紙された記録用紙は、搬送路２３に沿って下方から上方へＵターンするように案内されて記録部２４に至り、記録部２４によって表面に画像が記録された後、排紙トレイ２１に排紙される。
【００２８】
一方、記録用紙の両面（表裏面）に画像を記録する場合には、表面に画像が記録された記録用紙を、表面が給紙ローラ２５に当接するように、経路切換部４１によって反転案内部１６へ案内し、給紙ローラ２５によって再び搬送路２３に給紙し、記録部２４によって記録媒体の裏面に画像を記録した後、排紙トレイ２１へ排紙される。
【００２９】
次に、図３を参照して、プリンタ部１１の構成について詳細に説明する。図３は、プリンタ部１１の部分拡大断面図である。
【００３０】
給送部１５には、給紙トレイ２０の上側に、給紙ローラ２５が配置されている。給紙ローラ２５は、給紙トレイ２０に積載された記録用紙を搬送路２３へ給紙するものであり、給紙アーム２６の先端に回転自在に軸支されている。給紙ローラ２５は、ＬＦモータ７１（図９参照）を駆動源として動力伝達機構２７を介して回転駆動される。この駆動伝達機構２７は直線状に並ぶ複数のギアで構成されており、これらが噛合されることにより構成されている。
【００３１】
給紙アーム２６は、その基端部が基軸２８に支持されており、基軸２８を回動中心軸として回転可能に構成されている。このため、給紙アーム２６は、給紙トレイ２０に対して接離可能に上下動することができる。また、給紙アーム２６は、自重により又はバネ等に付勢されて下側へ回動付勢されている。このため、給紙アーム２６は、通常において給紙トレイ２０に接触し、給紙トレイ２０が挿抜される際に上側へ退避するように構成されている。
【００３２】
給紙トレイ２０から記録用紙を給紙する場合には、給紙アーム２６が下側へ回動付勢され、給紙ローラ２５が給紙トレイ２０上の記録用紙に圧接された状態で、給紙ローラ２５を回転し、給紙ローラ２５のローラ面と記録用紙との間に発生する摩擦力により、最上位置の記録用紙が分離傾斜板２２へ送り出される。
【００３３】
そして、記録用紙の先端が分離傾斜板２２に当接すると、この記録用紙は上方へ案内され、矢印１４に沿って搬送路２３へ送り込まれる。給紙ローラ２５によって最上位置の記録用紙が送り出される際に、その直下の記録用紙が摩擦や静電気の作用によって共に送り出される場合もあるが、この記録用紙は分離傾斜板２２との当接によって制止される。
【００３４】
搬送路２３は、分離傾斜板２２から上方へ向かった後、正面側へＵ字状に曲がって形成されており、複合機１０の背面側（図３左側）から正面側（図３右側）へと延び、記録部２４を経て排紙トレイ２１へ通じている。
【００３５】
搬送路２３は、記録部２４等が配設されている箇所以外では、外側ガイド面と内側ガイド面とによって区画形成されている。例えば、複合機１０の背面側の搬送路２３の湾曲部１７は、外側ガイド部材１８及び内側ガイド部材１９が本体フレーム５３に固定されることにより形成されている。この場合、外側ガイド部材１８が外側ガイド面を形成し、内側ガイド部材１９が内側ガイド面を形成する。また、外側ガイド部材１８及び内側ガイド部材１９は、所定間隔をあけて対向配置されている。
【００３６】
搬送路２３が曲がっている箇所には、回転コロ２９が設けられている。この回転コロ２９は、回転自在に構成され、回転コロ２９のローラ面は、外側ガイド面に露出されている。よって、搬送路２３が曲がっている箇所においても、記録用紙が円滑に搬送される。
【００３７】
記録部２４は、搬送路２３の途中に配置されており、キャリッジ３８及び記録ヘッド３９とを備えている。記録ヘッド３９は、キャリッジ３８に搭載され、ガイドレール１０５、１０６に沿って主走査方向（図３紙面垂直方向）に往復動するように構成されている。
【００３８】
具体的には、キャリッジ３８は、ＣＲモータ９５（図９参照）を駆動源とし、例えばベルト駆動機構を介してスライドされる。なお、複合機１０の内部には、記録ヘッド３９とは独立してインクカートリッジ（図示せず）が配置されている。このインクカートリッジからインクチューブを通じてインクが記録ヘッド３９に供給される。そして、キャリッジ３８が往復動される間に、記録ヘッド３９からインクが微小なインク滴として吐出され、これにより、プラテン４２上を搬送される記録用紙に画像が記録される。
【００３９】
複合機１０の本体フレーム５３には、キャリッジ３８の位置を検出するリニアエンコーダ８５（図９参照）が設けられている。このリニアエンコーダ８５のエンコーダストリップがガイドレール１０５、１０６に配設されている。エンコーダストリップは、光を透過させる透光部及び光を遮断する遮光部を備えており、その透光部及び遮光部は、エンコーダストリップの長手方向に所定ピッチで交互に配置され所定のパターンを形成している。
【００４０】
また、キャリッジ３８の上面には、透過型センサである光学センサ１０７が設けられている。この光学センサ１０７は、エンコーダストリップに対応する位置に設けられており、キャリッジ３８と共にエンコーダストリップの長手方向に沿って往復動し、その往復動の際にエンコーダストリップのパターンを検出するものである。
【００４１】
さらに、キャリッジ３８には、プラテン４２上の記録用紙の存在の有無を検出するメディアセンサ８６（図９参照）が設けられている。メディアセンサ８６は、光源及び受光素子を備えており、光源から発せられた光は、プラテン４２上に搬送された記録用紙に照射される一方、プラテン４２上まで記録用紙が搬送されていない場合にはプラテン４２に照射される。そして、記録用紙又はプラテン４２に照射された光は反射され、その反射光を受光素子が受光しその受光量に応じた出力を行う。
【００４２】
記録部２４よりも搬送路２３の上流側には、搬送ローラ６０及びピンチローラ３１が設けられている。これらは対をなし、ピンチローラ３１は、搬送ローラ６０の下側に圧接するように配置されている。搬送ローラ６０及びピンチローラ３１は、搬送路２３を搬送される記録用紙を狭持してプラテン４２上へ送るものである。
【００４３】
また、記録部２４よりも搬送路２３の下流側には、排紙ローラ６２及び拍車ローラ６３が設けられている。排紙ローラ６２及び拍車ローラ６３は、記録済みの記録用紙を狭持して搬送路２３からさらに搬送方向下流側へ（排紙トレイ２１側へ）搬送するものである。
【００４４】
搬送ローラ６０及び排紙ローラ６２は、ＬＦモータ７１を駆動源として駆動され、搬送ローラ６０及び排紙ローラ６２の駆動は同期しており、画像記録時に間欠駆動される。これにより、記録用紙は所定の改行幅で送られながら画像記録がなされる。
【００４５】
なお、搬送ローラ６０には、ロータリーエンコーダ８７（図９参照）が設けられている。このロータリーエンコーダ８７は、搬送ローラ６０と共に回転するエンコーダディスク（図示せず）のパターンを光学センサで検出し、この光学センサが検出した信号に基づいて、搬送ローラ６０及び排紙ローラ６２の回転が制御される。また、画像記録の前後においては、搬送ローラ６０及び排紙ローラ６２は連続駆動され、迅速な用紙搬送が実現されている。
【００４６】
拍車ローラ６３は、記録済みの記録用紙を圧接するものであり、記録用紙に記録された画像が劣化しないように、拍車ローラ６３のローラ面には、拍車状に凹凸が形成されている。拍車ローラ６３は、排紙ローラ６２と接離する方向にスライド移動可能に設けられており、排紙ローラ６２に圧接するように付勢されている。なお、拍車ローラ６３を排紙ローラ６２に付勢する手段は、典型的にはコイルバネが採用される。
【００４７】
図３では図示されていないが、本実施形態では、複数の拍車ローラ６３が備えられており、各拍車ローラ６３は、記録用紙の搬送方向と直交する方向、すなわち記録用紙の幅方向に均等に並設されている。拍車ローラ６３の数は特に限定されるものではないが、本実施形態では８個に設定されている。
【００４８】
排紙ローラ６２と拍車ローラ６３との間に記録用紙が進入すると、拍車ローラ６３は、記録用紙の厚み分だけコイルバネの付勢力に抗して退避する。記録用紙は排紙ローラ６２に圧接され、排紙ローラ６２の回転力が確実に記録用紙へ伝達される。また、ピンチローラ３１も搬送ローラ６０に対して同様に弾性付勢されている。したがって、記録用紙は、搬送ローラ６０に圧接され、搬送ローラ６０の回転力が確実に記録用紙へ伝達される。
【００４９】
搬送路２３の搬送ローラ６０よりも上流側には、レジセンサ１０２（図９参照）が設けられている。このレジセンサ１０２は、検出子及び光学センサを備えており、検出子は、搬送路２３を横切るように配置され、搬送路２３に出没可能である。検出子は、常時搬送路２３に突出するように弾性付勢されており、搬送路２３を搬送される記録用紙が検出子に当接することにより、検出子が搬送路２３へ没入する。検出子の出没により、上記光学センサがＯＮ又はＯＦＦされる。したがって、記録用紙が検出子を出没させることによって、搬送路２３における記録用紙の先端又は後端の位置が検出される。
【００５０】
次に、図４及び図５を参照して、経路切換部４１について説明する。図４及び図５は、経路切換部周辺を拡大して示す拡大断面図であり、図５は、図４に示す状態の経路切換部４１が、中心軸５２を回転中心として回動した状態を示している。
【００５１】
経路切換部４１は、記録部２４よりも下流側に配置されている。具体的には、経路切換部４１は、記録部２４よりも搬送路２３の下流側部位３６、すなわち搬送路２３と反転案内部１６との境界部分における搬送方向下流側に配置されている。経路切換部４１には、ローラ対を構成する第１ローラ４５及び第２ローラ４６と、第２ローラ４６に並設された補助ローラ４７とが設けられている。
【００５２】
第１ローラ４５及び第２ローラ４６は、排紙ローラ６２及び拍車ローラ６３から送られた記録用紙１０３を狭持するものである。第１ローラ４５及び第２ローラ４６は、記録用紙１０３を搬送路２３に沿ってさらに搬送方向下流側へ（排紙トレイ２１側へ）搬送可能であると共に、記録用紙を反転案内部１６に搬送可能である。
【００５３】
第２ローラ４６及び補助ローラ４７は、フレーム４８に取り付けられている。このフレーム４８は、複合機１０の左右方向（図３の紙面垂直方向）に延びている（図６参照）。フレーム４８の断面形状は、略Ｌ字状に形成されており、これにより、フレーム４８の所要の曲げ剛性が確保されている。
【００５４】
フレーム４８は、一体化された８つのサブフレーム４９を備えている（図６参照）。各サブフレーム４９は、複合機１０の中心を基準として上記左右方向に対称に配置されている。各サブフレーム４９は、それぞれ一つの第２ローラ４６及び補助ローラ４７を軸支している。従って、フレーム４８は、それぞれ８つの第２ローラ４６及び補助ローラ４７を備えていることになり、各第２ローラ４６及び補助ローラ４７は、記録用紙の搬送方向と直交する方向、すなわち記録用紙１０３の幅方向に均等に並設されている。
【００５５】
第２ローラ４６及び補助ローラ４７は、各サブフレーム４９に設けられた支持軸５０、５１に軸支され、その支持軸５０、５１の回りに回転自在に構成されている。本実施形態では、第２ローラ４６及び補助ローラ４７は、拍車状に形成されている。補助ローラ４７は、第２ローラ４６よりも所定距離だけ搬送方向上流側に配置されている。各第２ローラ４６は、図示しないバネにより下方に付勢されており、常に第１ローラ４５に弾性的に押し付けられている。
【００５６】
第１ローラ４５は、所要の駆動伝達機構を介してＬＦモータ７１と連結されており、そのＬＦモータ７１を駆動源として回転駆動される。また、第１ローラ４５は、中心軸５２を備えており、その中心軸５２は、複合機１０の本体フレーム５３側に支持されている。
【００５７】
第１ローラ４５の上方には、第２ローラ４６が載置されている。第１ローラ４５は、単一の細長円柱状に形成されていてもよく、また、８つのローラがそれぞれ各第２ローラ４６と対向配置されていてもよい。
【００５８】
なお、第１ローラ４５は、ＬＦモータ７１によって正転及び逆転され、記録用紙を排紙トレイ２１側および反転案内部１６側に搬送可能に構成されている。即ち、搬送路２３に沿って搬送された記録用紙１０３は、第１ローラ４５と第２ローラ４６とによって挟持される。そして、第１ローラ４５が正転すると、記録用紙１０３は第１ローラ４５と第２ローラ４６とによって挟持されたまま搬送方向下流側へ搬送され、排紙トレイ２１に排紙される。他方、第１ローラ４５が逆転すると、記録用紙は第１ローラ４５と第２ローラ４６とによって挟持されたまま搬送方向上流側へ戻される。
【００５９】
本実施形態では、第１ローラ４５の外径は、排紙ローラ６２の外径よりも若干大きく設定されている。すなわち、両者が同回転速度で駆動された場合は、第１ローラ４５の周速度の方が排紙ローラ６２の周速度よりも大きくなる。そのため、記録用紙１０３が排紙ローラ６２及び第１ローラ４５の双方によって搬送されるときは、記録用紙１０３は常に搬送方向に引っ張られるようになっている。
【００６０】
ここで、図６乃至図８を参照して、上述したように構成された経路切換部４１の駆動機構４４について説明する。図６は、経路切換部４１の斜視図である。図７は、図６に示す矢印ＶＩＩ方向矢視図である。図８は、図６に示す矢印ＶＩＩＩ方向矢視図である。駆動機構４４は、経路切換部４１を図４に示す状態から図５に示す状態に駆動したり、図５に示す状態から図４に示す状態に復帰駆動させるためのものである。
【００６１】
図６に示すように、駆動機構４４には、中心軸５２に設けられた従動ギア５４と、これと噛み合う駆動ギア５５と、駆動ギア５５と連結されたカム５７とが設けられている。
【００６２】
カム５７は、回転駆動軸５８の一端に連結されており、回転駆動軸５８は、ＬＦモータ７１を駆動源として駆動される。図８に示すように、カム５７には案内溝５９が設けられている。この案内溝５９は、回転駆動軸５８の回りに環状に形成されている。具体的には、案内溝５９には、回転駆動軸５８を中心とする小円弧部６９及び大円弧部７０と、小円弧部６９の一端及び大円弧部７０の一端を連結する連結溝７２と、小円弧部６９の他端及び大円弧部７０の他端を連結する連結溝７３とが設けられている。
【００６３】
図６及び図７に示すように、従動ギア５４は、歯部６４とフランジ部６５とから構成されている。歯部６４は、中心軸５２を中心とするインボリュート歯車として構成されている。歯部６４は、中心軸５２に嵌め込まれ、中心軸５２の回りに回転することができるようになっている。また、フランジ部６５は、歯部６４と一体的に形成されており、フレーム４８と連結されている。したがって、歯部６４が回転すると、中心軸５２を回転中心としてフレーム４８、サブフレーム４９、第２ローラ４６及び補助ローラ４７が一体的に回転するようになっている。
【００６４】
駆動ギア５５は、支持軸６６に回動自在に支持されている。この支持軸６６は、本体フレーム５３に設けられている。駆動ギア５５は、歯部６７とアーム６８とによって構成されている。歯部６７は、上記支持軸６６を中心とするインボリュート歯車として構成されており、上記歯部６４と噛み合っている。アーム６８には、図８に示すピン５６が突設されており、ピン５６は、案内溝５９に嵌合しており、案内溝５９に沿ってスライド自在となっている。そして、歯部６７が回転することにより歯部６４が回転し、その結果、中心軸５２を回転中心としてフレーム４８、サブフレーム４９、第２ローラ４６及び補助ローラ４７が一体的に回転する。
【００６５】
図８が示すように、カム５７が回転すると、ピン５６は案内溝５９に沿って相対的に移動し、特に、連結溝７２、７３に沿ってスライドするときは、ピン５６は、カム５７の径方向に移動することになる。このため、図８においてカム５７が時計回り（矢印８２の方向）に回転されたときは、ピン５６が大円弧部７０、連結溝７２及び小円弧部６９に順に移動する。
【００６６】
従って、駆動ギア５５は、図７において時計回りに回転する。その結果、従動ギア５４は、図７において中心軸５２を中心として反時計回りに回転する。前述のように、従動ギア５４はフレーム４８と連結されているから、従動ギア５４が回転することにより、中心軸５２を回転中心としてフレーム４８、サブフレーム４９、第１ローラ４６及び補助ローラ４７が一体的に回転する。尚、この状態から上述したのとはカム５７が逆回転すれば、当然に、中心軸５２を回転中心としてフレーム４８、サブフレーム４９、第１ローラ４６及び補助ローラ４７が一体的に回転して、元の状態に復帰する。
【００６７】
本実施形態において、図４が示すような経路切換部４１の姿勢を「被記録媒体排出姿勢」、図５が示すような経路切換部４１の姿勢を「被記録媒体反転姿勢」とすれば、記録用紙の表面にのみ画像が記録される場合（片面記録）には、経路切換部４１が常時被記録媒体排出姿勢となり、搬送路２３に沿って搬送される記録用紙は、そのまま排紙トレイ２１側へ送られる（図４参照）。
【００６８】
一方、経路切換部４１が被記録媒体反転姿勢に変化したときは、図５に示すように、記録用紙１０３を反転案内部１６へ案内されるようになっている。具体的には、記録用紙の表裏両面に画像が記録される場合、まず、経路切換部４１が被記録媒体排出姿勢を維持し（図４参照）、表面に画像記録された記録用紙が搬送方向下流側へ送られる。その後、経路切換部４１が被記録媒体排出姿勢（図４参照）から被記録媒体反転姿勢（図５参照）に変化し、補助ローラ４７が記録用紙１０３を押さえつけて反転案内部１６側へ案内する。
【００６９】
再び、図４に戻り、説明を続ける。上述したように構成された経路切換部４１の下流側には、ガイド部７６が配置されている。ガイド部７６は、第１ローラ４５及び第２ローラ４６よりも搬送方向下流側に設けられている。本体フレーム５３に支持板７５が取り付けられており、この支持板７５にガイド部７６が設けられている。
【００７０】
このガイド部７６には、支持板７５の下面に固定された基部７７と、基部７７に支持されたガイドローラ７８とが設けられている。基部７７は支軸７９を備えており、ガイドローラ７８は、この支軸７９に回転自在に軸支されている。なお、本実施形態では、このガイドローラ７８は拍車状に形成されている。
【００７１】
このガイド部７６は、上記第１ローラ４５及び第２ローラ４６が逆転して記録用紙１０３が反転案内部１６へ送られているときに記録用紙１０３の記録面に接触する。また、ガイド部７６は、第１ローラ４５及び第２ローラ４６が正転して記録用紙１０３が反転案内部１６へ送られているときは、記録用紙１０３に接触しない。具体的には、ガイド部７６は、第１ローラ４５及び第２ローラ４６の接点と、排紙ローラ６２及び拍車ローラ６３の接点とを結ぶ仮想線と接触しない位置に設けられている。
【００７２】
記録用紙１０３が搬送方向の向きを変えて反転案内部１６に送られる場合には、記録用紙１０３のうち第１ローラ４５及び第２ローラ４６よりも下流側の部分は、記録用紙１０３の剛性によって反転案内部１６と平行な方向に向きが変えるよう作用する。しかし、ガイドローラ７８が記録用紙１０３の記録面に当接し、この記録用紙１０３を撓ませる。これにより、記録用紙１０３は、第１ローラ４５及び第２ローラ４６に巻き付けられるため、安定した搬送力を得ることができ、記録用紙１０３は、確実に反転案内部１６に送られる。
【００７３】
再び、図３に戻って説明を続ける。反転案内部１６は、搬送路２３に接続されており、記録部２４よりも搬送路２３の下流側部位３６に連続している。反転案内部１６は、表面に画像が記録された記録用紙を再び給紙トレイ２０上に導く反転経路を構成している。この反転経路は、第１ガイド面３２と第２ガイド面３３とによって区画形成されている。
【００７４】
本実施形態では、第１ガイド面３２及び第２ガイド面３３は、それぞれ、複合機１０の本体フレーム５３の内部に配置されたガイド部材３４及びガイド部材３５の表面により形成されている。各ガイド部材３４、３５は、所定間隔をあけて対向配置されており、第１ガイド面３２及び第２ガイド面３３は、搬送路２３の下流側部位３６から給紙ローラ２５の方へ斜め下方に延びている。
【００７５】
なお、本実施形態では、反転案内部１６は、記録用紙を給紙トレイ２０上に戻すように構成されているが、これに限定されるものではない。反転案内部１６は、要するに搬送路２３の下流側部位３６と上流側部位３７とを接続することができれば十分であり、したがって、記録用紙は、上流側部位３７よりも給紙トレイ２０側に戻されればよい。
【００７６】
次に、図９を参照して、複合機１０の制御部８４の構成について説明する。図９は、複合機１０の制御部８４の構成を示すブロック図である。制御部８４は、プリンタ部１１のみでなくスキャナ部１２も含む複合機１０の全体動作を制御するものであるが、スキャナ部１２についての詳細な説明は省略する。
【００７７】
制御部８４は、図に示すように、ＣＰＵ（Central Processing Unit）８８、ＲＯＭ（Read Only Memory）８９、ＲＡＭ（Random Access Memory）９０、電源オフ後も保持すべき設定やフラグ等が格納されるＥＥＰＲＯＭ（Electrically Erasable and Programmable ROM）９１を主とするマイクロコンピュータとして構成されており、バス９２を介してＡＳＩＣ（Application Specific Integrated Circuit）９３に接続されている。
【００７８】
ＲＯＭ８９には、複合機１０の各種動作を制御するためのプログラム等が格納されている。例えば、図１０に示す両面印刷処理を実行させる印刷処理プログラム８９ａが格納されている。ＲＡＭ９０は、ＣＰＵ８８が上記プログラムを実行する際に用いる各種データを一時的に記録する記憶領域又は作業領域として使用される。
【００７９】
ＥＥＰＲＯＭ９１は、書き換え可能な不揮発性のメモリである。ＥＥＰＲＯＭ９１には、用紙状態ステータス９１ａと、残り停止時間メモリ９１ｂとが割り当てられている。用紙状態ステータス９１ａは、両面印刷中における記録用紙１０３の装置内における状態を示すものである。
【００８０】
各状態に応じて「０」乃至「４」のステータスが記憶されている。具体的には、両面印刷開始から記録用紙１０３が第１停止位置（図１１（ａ）参照）までにある状態を「０」、経路切換部４１を駆動し、記録用紙１０３を反転案内部１６に進入させて、その先端が供給ローラ２５に到達する（図１２（ｄ）参照）までにある状態を「１」、給紙ローラ２５を駆動させ、記録用紙１０３が第２停止位置（図１３（ｅ）参照）にあり、所定停止時間の間、停止している状態を「２」、所定停止時間が経過した後の状態を「３」として記憶している。
【００８１】
そして、両面印刷中に、例えば、電源が遮断された場合には、次回電源を投入した際、図１５のフローチャートに示す初期処理を実行し、用紙状態ステータス９１ａに記憶されているステータスに応じて、装置内に残留する記録用紙１０３が所定の排紙方法で装置外に排紙される。
【００８２】
残り停止時間メモリ９１ｂには、第２停止位置（図１３（ｅ）参照）で所定時間停止している記録用紙１０３の残りの停止時間が記憶されている。これにより、両面印刷中に、第２停止位置（図１３（ｅ）参照）で記録用紙１０３が所定時間停止している場合に、例えば、電源が遮断され、次回電源を投入した場合でも、装置内に残留する記録用紙１０３の残り停止時間を把握することができる。
【００８３】
ＡＳＩＣ９３は、ＣＰＵ８８からの指令に従い、ＬＦモータ７１に通電する相励磁信号等を生成して、該信号をＬＦモータ７１の駆動回路９４に付与し、該駆動回路９４を介して駆動信号をＬＦモータ７１に通電することにより、ＬＦモータ７１の回転制御を行っている。
【００８４】
駆動回路９４は、給紙ローラ２５、搬送ローラ６０、排紙ローラ６２、第１ローラ４５などに接続されたＬＦモータ７１を駆動させるものであり、ＡＳＩＣ９３からの出力信号を受けて、ＬＦモータ７１を回転するための電気信号を生成する。該電気信号を受けてＬＦモータ７１が回転し、該ＬＦモータ７１の回転力がギアや駆動軸等からなる周知の駆動機構を介して、給紙ローラ２５、搬送ローラ６０、排紙ローラ６２、第１ローラ４５へ伝達される。
【００８５】
この複合機１０では、ＬＦモータ７１は、給紙トレイ２０からの記録用紙の給紙のための駆動源となっており、また、プラテン４２上に位置する記録用紙の搬送や記録済みの記録用紙を排紙トレイ２１へ排紙するための駆動源となっており、更には、所定の動力伝達機構を介して排紙ローラ６２を駆動する駆動源にもなっている。
【００８６】
即ち、ＬＦモータ７１は、搬送ローラ６０と、駆動伝達機構２７を介して給紙ローラ２５と、所定の動力伝達機構を介して排紙ローラ６２とを駆動する。なお、所定の動力伝達機構は、例えば歯車列により構成してもよいし、組付スペースの関係上、タイミングベルト等を使用してもよい。
【００８７】
また、ＡＳＩＣ９３は、ＣＰＵ８８からの指令に従い、ＣＲ（キャリッジ）モータ９５に通電する相励磁信号等を生成して、該信号をＣＲモータ９５の駆動回路９６に付与し、該駆動回路９６を介して駆動信号をＣＲモータ９５に通電することにより、ＣＲモータ９５の回転制御を行っている。
【００８８】
駆動回路９６は、上記キャリッジ３８に接続されたＣＲモータ９５を駆動させるものであり、ＡＳＩＣ９３からの出力信号を受けて、ＣＲモータ９５を回転するための電気信号を生成する。該電気信号を受けてＣＲモータ９５が回転し、該ＣＲモータ９５の回転力がキャリッジ３８へ伝達されことによりキャリッジ３８が往復動される。
【００８９】
駆動回路９７は、記録ヘッド３９から所定のタイミングでインクを記録用紙１０３に対して選択的に吐出させるものであり、ＣＰＵ８８から出力される駆動制御手順に基づいてＡＳＩＣ９３において生成された出力信号を受け、記録ヘッド３９を駆動制御する。
【００９０】
ＡＳＩＣ９３には、スキャナ部１２や、複合機１０の操作指示を行うための操作パネル４０、各種小型メモリカードが挿入されるスロット部４３、パソコン等の外部機器とパラレルケーブルやＵＳＢケーブルを介してデータの送受信を行うためのパラレルインタフェース（Ｉ／Ｆ）９８及びＵＳＢインタフェース（Ｉ／Ｆ）９９、ファクシミリ機能を実現するためのＮＣＵ（Network Control Unit）１００やモデム（MODEM）１０１が接続されている。
【００９１】
その他、ＡＳＩＣ９３には、給紙ローラ２５から搬送ローラ６０近傍に記録用紙１０３が搬送されたことを検出するレジセンサ１０２、ＬＦモータ７１により駆動された各ローラの回転量を検出するロータリエンコーダ８７、キャリッジ３８の移動量を検出するためのリニアエンコーダ８５、プラテン４２上の記録用紙１０３の存在の有無を検出するメディアセンサ８６が接続されている。
【００９２】
ここで、複合機１０の制御部８４で行われる処理を簡単に説明する。複合機１０の電源がオンされると、キャリッジ３８は、一旦そのスライド端まで移動され、リニアエンコーダ８５による検出位置が初期化される。キャリッジ３８が初期位置からスライド移動すると、キャリッジ３８に設けられた光学センサ１０７がエンコーダストリップのパターンを検出する。
【００９３】
制御部８４は、光学センサ１０７の検出に基づくパルス信号数によって、キャリッジ３８の移動量を把握し、この移動量に基づいてキャリッジ３８の往復動を制御すべく、ＣＲモータ９５の回転を制御する。また、制御部８４は、レジセンサ１０２の出力信号及びロータリーエンコーダ８７が検出するエンコーダ量に基づいて記録用紙１０３の先端又は後端の位置並びに記録用紙１０３の搬送量を把握する。
【００９４】
制御部８４は、記録用紙１０３の先端がプラテン４２の所定の位置に到達すると、記録用紙１０３を所定の改行幅ごとに間欠搬送すべくＬＦモータ７１の回転を制御する。この改行幅は、画像記録の条件として入力された解像度等に基づいて設定される。特に高解像度記録、具体的には、縁無し写真記録が行われる場合においては、メディアセンサ８６による記録用紙１０３の存在の検出と、ロータリーエンコーダ８７が検出するエンコーダ量とに基づいて、制御部８４が記録用紙１０３の先端、後端を正確に検知する。
【００９５】
さらに、メディアセンサ８６による記録用紙１０３の存在の検出と、リニアエンコーダ８５が検出するエンコーダ量とに基づいて、制御部８４が記録用紙１０３の両端の位置を正確に検知する。そして、このようにして検知された記録用紙１０３の先端、後端及び両端の位置に基づいて、制御部８４は、インクジェット記録ヘッド３９によるインク滴の吐出を制御する。
【００９６】
次に、図１０を参照して、複合機１０のＣＰＵ８８で実行される両面印刷処理について説明する。図１０は、複合機１０のＣＰＵ８８で実行される両面印刷処理を示したフローチャートである。尚、図１０の両面印刷処理では、両面印刷が指示された場合として説明する。図１１乃至図１４は、両面印刷時における記録用紙１０３の状態を時系列順に示す断面図である。
【００９７】
この両面印刷処理は、まず、用紙状態ステータス９１ａを「０」に設定する（Ｓ１）。次に、給紙ローラ２５を駆動して、給紙トレイ２０から記録用紙１０３を矢印１４の方向に沿って搬送路２３内に搬送する。搬送路２３内において、記録用紙１０３は、給紙ローラ２５が当接した面とは反対の面（表面）が記録ヘッド３９のノズル形成と対向するように反転される。
【００９８】
そして、記録用紙１０３が搬送ローラ６０及びピンチローラ３１に到達すると、搬送ローラ６０及びピンチローラ３１で記録用紙１０３を挟持して、搬送ローラ６０及びピンチローラ３１によって記録用紙１０３を記録ヘッド３９とプラテン４２との間に搬送し、記録ヘッド３９と対向する表面への画像記録を開始する（Ｓ２）。
【００９９】
表面への画像記録を開始した場合、搬送ローラ６０及びピンチローラ３１によって記録用紙１０３を間欠的に搬送し、記録用紙１０３が停止している状態でキャリッジ３８をスライドさせて記録ヘッド３９によって記録用紙１０３の表面に画像を記録する。
【０１００】
また、記録用紙１０３が排紙ローラ６２及び拍車ローラ６３に到達すると、排紙ローラ６２及び拍車ローラ６３を駆動し、排紙ローラ６２及び拍車ローラ６３によって記録用紙１０３を更に下流側に搬送する。更に、記録用紙１０３が第１ローラ４５及び第２ローラ４６に到達すると、第１ローラ４５及び第２ローラ４６を駆動し、第１ローラ４５及び第２ローラ４６によって記録用紙１０３を更に下流側に搬送する。この間に、記録用紙１０３の表面への画像記録を終了する（Ｓ３）。
【０１０１】
そして、図１１（ａ）に示すように、記録用紙１０３が、第１ローラ４５及び第２ローラ４６に挟持され、且つ、上流側の端部が排紙ローラ６２の下流側に延びる第１ガイド面３２に支持されている状態となる第１停止位置まで、第１ローラ４５及び第２ローラ４６によって記録用紙１０３を搬送し、第１停止位置で第１ローラ４５及び第２ローラ４６の駆動を停止し（Ｓ４）、用紙状態ステータス９１ａを「１」に設定する（Ｓ５）。即ち、両面印刷を開始してから記録用紙１０３が第１停止位置に到達するまでが用紙状態ステータス９１ａに「０」が記憶される。
【０１０２】
その後、図１１（ａ）に示すように、被記録媒体排出姿勢にある経路切換部４１を、図１１（ｂ）に示すように、徐々に、被記録媒体反転姿勢（図１２（ｃ）参照）へ変化させるように、経路切換部４１を駆動する（Ｓ６）。経路切換部４１を回転駆動する場合には、第１ローラ４５の支持軸５０を中心として経路切換部４１を回動する。すなわち、第２ローラ４６は、記録用紙１０３を挟持したままで第１ローラ４５の周面上を転動し、補助ローラ４７が記録用紙１０３を記録用紙１０３の表面側から反転案内部１６に向けて押圧する。これにより、図１２（ｃ）に示したように、記録用紙１０３は、記録用紙１０３の上流側に位置する先端部（表面の後端、裏面の先端）が反転案内部１６側に進入する。
【０１０３】
そして、第１ローラ４５及び第２ローラ４６を逆転駆動し、記録用紙１０３を反転案内部１６内において給紙ローラ２５に向けて搬送する（Ｓ７）。その後、図１２（ｄ）に示すように、記録用紙１０３の先端部（表面の後端、裏面の先端）が、給紙ローラ２５に到達すると、用紙状態ステータス９１ａを「２」に設定する（Ｓ８）。即ち、経路切換部４１を駆動してから給紙ローラ２５に到達するまでが用紙状態ステータス９１ａに「１」が記憶される。
【０１０４】
記録用紙１０３が給紙ローラ２５に到達すると、給紙ローラ２５を駆動する（Ｓ９）。但し、給紙ローラ２５は、記録用紙１０３が給紙ローラ２５に到達してから所定時間経過後に駆動し、この間は、第１ローラ４５及び第２ローラ４６を逆転させ続ける。これにより、記録用紙１０３の斜行が整えられ、給紙ローラ２５による再給紙性を向上させることができる。
【０１０５】
そして、給紙ローラ２５と、第１ローラ４５及び第２ローラ４６とによって記録用紙１０３を搬送し、図１３（ｅ）に示すように、記録用紙１０３が搬送路２３においてＵ字状に変形される状態となる第２停止位置まで到達した場合には、第２停止位置で給紙ローラ２５と、第１ローラ４５及び第２ローラ４６との駆動を所定時間停止する（Ｓ１０）。
【０１０６】
記録用紙１０３を停止させると、所定時間の計時を開始し、残り停止時間が０かを判断し（Ｓ１１）、残り停止時間が０でなければ（Ｓ１１：Ｎｏ）、１秒待機して（Ｓ１２）、残り停止時間を１秒減算し（Ｓ１３）、その残り停止時間を残り停止時間メモリ９２ａに記憶する（Ｓ１４）。そして、このＳ１１乃至Ｓ１４までの処理を、Ｓ１１において、残り停止時間が０と判断されるまで実行し、残り停止時間が０と判断された場合には（Ｓ１１：Ｙｅｓ）、用紙状態ステータス９１ａを「３」に設定する（Ｓ１５）。即ち、給紙ローラ２５に到達してから第２停止位置での所定の停止時間が経過するまでが用紙状態ステータス９１ａに「２」が記憶される。
【０１０７】
このように、表面記録後、裏面記録前に、記録用紙１０３を搬送路２３においてＵ字状に変形させた状態で所定時間停止させると、記録用紙１０３に所望のカール癖を付けることができる。これにより、ジャムを発生させることなく記録用紙１０３を搬送ローラ６０及びピンチローラ３１に導入できる。また、記録ヘッド３９とプラテン４２との間に記録用紙１０３を円滑に搬送できる。また、このカール癖付けは、搬送路２３内において、記録用紙２３をＵ字状に変形させた状態で行われるので、カール癖付けのために、新たな物理的な構成を搭載する必要がなく、装置を大型化させることなく、且つ、簡単な構成で記録用紙１０３にカール癖を付けることができる。更に、表面に記録された画像を乾燥させる乾燥時間としても利用することができる。
【０１０８】
こうして、第２停止位置で記録用紙１０３を所定時間停止させると、その後は、図１３（ｆ）に示すように、搬送路２３において、記録用紙１０３は給紙ローラ２５が当接した面（表面）とは反対の面（裏面）が記録ヘッド３９のノズル形成と対向するように反転され、裏面に対して記録ヘッド３９によって画像記録を開始する（Ｓ１６）。
【０１０９】
そして、記憶用紙１０３の先端部（裏面の先端）が経路切換部４１に進入する前に、図１４（ｇ）に示すように、経路切換部４１を被記録媒体反転姿勢から、再び被記録媒体排出姿勢に変化するように経路切換部４１を駆動する（Ｓ１７）。その後、記録用紙１０３の裏面への画像記録が終了し（Ｓ１８）、両面に画像が記録された記録用紙１０３を第１ローラ４５及び第２ローラ４６によって搬送方向下流側へ搬送する。このとき、第１ローラ４５及び第２ローラ４６は正転し、記録用紙１０３は排紙トレイ２１へ排紙される（Ｓ１９）。そして、最後に、用紙状態ステータス９１ａを「０」に設定し（Ｓ２０）、本処理を終了する。即ち、第２停止位置での所定時間の停止が終了してから排紙されるまでが用紙状態ステータス９１ａに「３」が記憶される。
【０１１０】
次に、図１５を参照して、初期化処理について説明する。この処理は、複合機１０の電源が投入された場合にＣＰＵ８８によって実行される処理である。この初期化処理では、まず、用紙状態ステータス９１ａのステータスが読み取られる（Ｓ４０）。
【０１１１】
その読み取った用紙状態ステータス９１ａが「０」であった場合、即ち、両面印刷開始から記録用紙１０３が第１停止位置に到達するまでの場合には、通常の排紙処理を実行し（Ｓ２１）、本処理を終了する。本実施形態の場合、通常の排紙処理とは、記録用紙１０３に片面印刷をする場合と同様の経路を辿って、記録用紙１０３を排紙トレイ２１に排紙する処理である。
【０１１２】
次に、Ｓ４０で読み取った用紙状態ステータス９１ａが「１」であった場合、即ち、第１停止位置で停止している記録用紙１０３に対して、経路切換部４１を駆動してから、記録用紙１０３を反転案内部１６に進入させて、その先端が供給ローラ２５に到達するまでの場合には、第１ローラ４５を駆動して、装置内に残留している記録用紙１０３を逆送させて排紙トレイ２１に排紙する（Ｓ２２）。
【０１１３】
そして、経路切換部４１を駆動して、経路切換部４１を図４に示す被記録媒体排出姿勢にした後に（Ｓ２３）、本処理を終了する。この場合、記録用紙１０３は排紙トレイ２１の近くに位置するので、通常の排紙処理によって記録用紙１０３を排紙するよりも短時間で残留する記録用紙１０３を装置外に排紙することができる。
【０１１４】
次に、Ｓ４０で読み取ったステータスが「２」であった場合、即ち、給紙ローラ２５を駆動させてから、記録用紙１０３が第２停止位置で所定停止時間の間停止している場合には、残り停止時間メモリ９２ａに記憶されている残り停止時間を読み出し、残り停止時間の計時を開始し、その残り停止時間が０かを判断する（Ｓ２４）。残り停止時間が０でなければ（Ｓ２４：Ｎｏ）、１秒待機して（Ｓ２５）、残り停止時間を１秒減算し（Ｓ２６）、その残り停止時間を残り停止時間メモリに記憶する（Ｓ２７）。そして、このＳ２４乃至Ｓ２７までの処理を、Ｓ２４において、残り停止時間が０と判断されるまで実行し、残り停止時間が０と判断された場合には（Ｓ２４：Ｙｅｓ）、用紙状態ステータス９１ａを「３」に設定する（Ｓ２８）。
【０１１５】
そして、給紙ローラ２５を駆動し（Ｓ２９）、経路切換部４１を駆動して、経路切換部４１を図４に示す被記録媒体排出姿勢にした後に（Ｓ３０）、通常の排紙処理を実行し（Ｓ３１）、本処理を終了する。
【０１１６】
用紙状態ステータス９１ａが「２」であった場合、残り停止時間メモリ９１ｂに記憶されていた残り停止時間が経過した後に、記録用紙１０３を排紙することで、記録用紙１０３にカール癖付けを確実に行うことができ、記録用紙１０３を搬送ローラ６０に円滑に導入でき、記録ヘッド３９とプラテン４２との間でジャムが発生するのを抑制することができる。また、乾燥時間も確保することができ、未乾燥の状態で記録用紙１０３が排紙されるのを抑制することもできる。
【０１１７】
次に、Ｓ４０で読み取ったステータスが「３」であった場合、即ち、所定停止時間が経過した後の状態である場合には、給紙ローラ２５を通過済か否かを判断し（Ｓ３２）、通過前であれば（Ｓ３２：Ｎｏ）、給紙ローラ２５を駆動した後で（Ｓ３３）、通過後であれば（Ｓ３２：Ｙｅｓ）、給紙ローラ２５を駆動することなく、経路切換部４１を駆動して、経路切換部４１を図４に示す被記録媒体排出姿勢にした後に（Ｓ３４）、通常の排紙処理を実行し（Ｓ３５）、本処理を終了する。
【０１１８】
このように、本実施形態によれば、両面印刷中に、例えば、装置の電源が遮断された場合、両面印刷中の記録用紙１０３は装置内に残留することになるが、両面印刷中の記録用紙１０３の状態は、用紙状態ステータス９１ａに記憶されており、その用紙状態ステータス９１ａに記憶されている状態に応じて、その残留している記録用紙１０３を装置外に排紙する排紙方法が切換えられて、残留している記録用紙１０３が装置外に排紙されるので、装置内に残留している記録用紙１０３を、残留している記録用紙１０３の状態に応じた最適な方法で装置外へ排紙することができる。
【０１１９】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能であることは容易に推察できるものである。
【０１２０】
例えば、上述した実施形態では、表面または裏面に画像を記録している場合に記録用紙１０３が装置内に残留した場合には、通常の排紙処理によって記録用紙を排紙する場合について説明したが、表面または裏面に画像を記録している場合に記録用紙１０３が装置内に残留した場合には、インクが乾燥していない可能性があるので、表面または裏面に画像を記録している状態を示す用紙状態ステータスを設け、かかる場合には、所定時間経過後に、記録用紙１０３を排紙するように構成しても良い。また、この場合、吐出したインク量をＥＥＰＲＯＭ９１に記憶しておき、吐出したインク量によって（例えば、インク吐出量が多ければ長く、少なければ短く）排紙するまでの待機時間を変更するように構成しても良い。かかる場合には、未乾燥の状態で記録用紙１０３が排紙されるのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【０１２１】
【図１】本発明の一実施形態の複合機の外観斜視図である。
【図２】複合機のプリンタ部の構造を示す縦断面図である。
【図３】プリンタ部の部分拡大断面図である。
【図４】経路切換部周辺を拡大して示す拡大断面図である。
【図５】経路切換部周辺を拡大して示す拡大断面図である。
【図６】経路切換部の斜視図である。
【図７】図６に示す矢印ＶＩＩ方向矢視図である。
【図８】図６に示す矢印ＶＩＩＩ方向矢視図である。
【図９】複合機の制御部の構成を示すブロック図である。
【図１０】両面印刷処理を示すフローチャートである。
【図１１】両面印刷時における記録用紙の状態を時系列順に示す断面図である。
【図１２】両面印刷時における記録用紙の状態を時系列順に示す断面図である。
【図１３】両面印刷時における記録用紙の状態を時系列順に示す断面図である。
【図１４】両面印刷時における記録用紙の状態を時系列順に示す断面図である。
【図１５】初期化処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【０１２２】
１０ 複合機（画像記録装置）
１６ 反転案内部（裏面用経路）
２０ 給紙トレイ（トレイ）
２３ 搬送路（給紙経路）
２５ 給紙ローラ
３９ 記録ヘッド
４１ 経路切換部（付勢手段、経路切換アーム）
４５ 第１ローラ（一対の送りローラの一部、他方のローラ）
４６ 第２ローラ（一対の送りローラの一部、従動ローラ）
４８ フレーム（経路切換アーム）
４９ サブフレーム（経路切換アーム）
９１ａ 用紙状態ステータス（記憶手段）
９１ｂ 残り停止時間メモリ（記憶手段）
１０３ 記録用紙（記録媒体）
Ｓ１，Ｓ５，Ｓ８，Ｓ１５ 検出手段の一部
Ｓ１０ 停止手段の一部
Ｓ２３， 排出制御手段の一部
【特許請求の範囲】
【請求項１】
トレイに積載されている記録媒体に当接して、その記録媒体を給紙する給紙ローラと、その給紙ローラから給紙される記録媒体に画像を記録する記録ヘッドとを備え、前記記録媒体の表面と裏面との両面に画像を記録可能な画像記録装置において、
前記給紙ローラによって前記記録媒体が給紙され、前記記録ヘッドによって前記記録媒体の両面に画像が記録され、その両面に画像が記録された記録媒体が装置外に排出されるまでの装置内における記録媒体の状態を検出する検出手段と、
その検出手段によって検出された記録媒体の状態を記憶する不揮発性の記憶手段と、
何らかの原因で前記記録媒体が装置内に残留した場合に、前記記憶手段に記憶されている記録媒体の状態に応じて、その残留している記録媒体を装置外に排出する排出方法を切換えて、その残留している記録媒体を装置外に排出させる排出制御手段とを備えていることを特徴とする画像記録装置。
【請求項２】
前記記録ヘッドよりも下流側に配置され、正転および逆転可能に構成され、前記記録ヘッドを通過した記録媒体を挟持して、その挟持した記録媒体を外部に向けて、又は、前記記録媒体の表面が前記給紙ローラに当接するように再び前記給紙ローラに向けて搬送する一対の送りローラと、
その一対の送りローラと、前記記録ヘッドとを結ぶ経路から枝分かれして、前記給紙ローラに向かって延びる裏面用経路とを備え、
前記排出制御手段は、残留している記録媒体が、前記記録ヘッドによって前記記録媒体の表面に画像が記録された後、前記一対の送りローラに挟持され、その挟持された一対の送りローラによって前記裏面用経路を前記給紙ローラに向けて搬送されている状態であった場合には、前記一対の送りローラによって残留している記録媒体を逆送させて装置外に排出させることを特徴とする請求項１に記載の画像記録装置。
【請求項３】
前記一対の送りローラのうち、先に前記記録媒体の表面に当接する一方の送りローラは、他方の送りローラに従動して回転する従動ローラであり、
その従動ローラを一端側に回転自在に軸支して上流側に延び、前記他方の送りローラの回転軸を中心に回動可能に構成され、他端側が前記記録媒体に当接して、前記一対の送りローラに挟持されている記録媒体を、上流側に位置している先端部から前記裏面用経路に誘導する経路切換アームを備え、
前記排出制御手段は、残留している記録媒体が、前記経路切換アームによって前記裏面用経路に誘導されている状態であった場合には、前記他方の送りローラによって残留している記録媒体を逆送させて装置外に排出させることを特徴とする請求項２に記載の画像記録装置。
【請求項４】
前記記録媒体の表面に画像が記録された後、裏面に画像が記録される前に、前記記録媒体を予め設定されている設定時間停止させる停止手段を備え、
前記排出制御手段は、残留している記録媒体が前記停止手段によって停止している状態であった場合には、所定時間経過後に残留している記録媒体を装置外に排出させることを特徴とする請求項１から３のいずれかに記載の画像記録装置。
【請求項５】
前記停止手段によって前記記録媒体を停止させている停止時間を計時する計時手段を備え、
前記記憶手段は、前記計時手段によって計時されている停止時間を記憶し、
前記排出制御手段は、残留している記録媒体が前記停止手段によって停止している状態であった場合には、前記設定時間から前記停止時間を除く残り時間が経過した後に残留している記録媒体を装置外に排出させることを特徴とする請求項４に記載の画像記録装置。
【請求項６】
前記給紙ローラと前記記録ヘッドとの間にＵ字状に形成された経路であって、前記給紙ローラが当接した面とは反対の面が前記記録ヘッドと対向するように前記記録媒体を搬送する給紙経路を備え、
前記停止手段は、前記記録媒体の表面に画像が記録された後、裏面に画像が記録される前に、再び前記給紙ローラによって前記給紙経路内を搬送される記録媒体がＵ字状に変形されている状態で、前記記録媒体を前記設定時間停止させることを特徴とする請求項４又は５に記載の画像記録装置。
【請求項１】
トレイに積載されている記録媒体に当接して、その記録媒体を給紙する給紙ローラと、その給紙ローラから給紙される記録媒体に画像を記録する記録ヘッドとを備え、前記記録媒体の表面と裏面との両面に画像を記録可能な画像記録装置において、
前記給紙ローラによって前記記録媒体が給紙され、前記記録ヘッドによって前記記録媒体の両面に画像が記録され、その両面に画像が記録された記録媒体が装置外に排出されるまでの装置内における記録媒体の状態を検出する検出手段と、
その検出手段によって検出された記録媒体の状態を記憶する不揮発性の記憶手段と、
何らかの原因で前記記録媒体が装置内に残留した場合に、前記記憶手段に記憶されている記録媒体の状態に応じて、その残留している記録媒体を装置外に排出する排出方法を切換えて、その残留している記録媒体を装置外に排出させる排出制御手段とを備えていることを特徴とする画像記録装置。
【請求項２】
前記記録ヘッドよりも下流側に配置され、正転および逆転可能に構成され、前記記録ヘッドを通過した記録媒体を挟持して、その挟持した記録媒体を外部に向けて、又は、前記記録媒体の表面が前記給紙ローラに当接するように再び前記給紙ローラに向けて搬送する一対の送りローラと、
その一対の送りローラと、前記記録ヘッドとを結ぶ経路から枝分かれして、前記給紙ローラに向かって延びる裏面用経路とを備え、
前記排出制御手段は、残留している記録媒体が、前記記録ヘッドによって前記記録媒体の表面に画像が記録された後、前記一対の送りローラに挟持され、その挟持された一対の送りローラによって前記裏面用経路を前記給紙ローラに向けて搬送されている状態であった場合には、前記一対の送りローラによって残留している記録媒体を逆送させて装置外に排出させることを特徴とする請求項１に記載の画像記録装置。
【請求項３】
前記一対の送りローラのうち、先に前記記録媒体の表面に当接する一方の送りローラは、他方の送りローラに従動して回転する従動ローラであり、
その従動ローラを一端側に回転自在に軸支して上流側に延び、前記他方の送りローラの回転軸を中心に回動可能に構成され、他端側が前記記録媒体に当接して、前記一対の送りローラに挟持されている記録媒体を、上流側に位置している先端部から前記裏面用経路に誘導する経路切換アームを備え、
前記排出制御手段は、残留している記録媒体が、前記経路切換アームによって前記裏面用経路に誘導されている状態であった場合には、前記他方の送りローラによって残留している記録媒体を逆送させて装置外に排出させることを特徴とする請求項２に記載の画像記録装置。
【請求項４】
前記記録媒体の表面に画像が記録された後、裏面に画像が記録される前に、前記記録媒体を予め設定されている設定時間停止させる停止手段を備え、
前記排出制御手段は、残留している記録媒体が前記停止手段によって停止している状態であった場合には、所定時間経過後に残留している記録媒体を装置外に排出させることを特徴とする請求項１から３のいずれかに記載の画像記録装置。
【請求項５】
前記停止手段によって前記記録媒体を停止させている停止時間を計時する計時手段を備え、
前記記憶手段は、前記計時手段によって計時されている停止時間を記憶し、
前記排出制御手段は、残留している記録媒体が前記停止手段によって停止している状態であった場合には、前記設定時間から前記停止時間を除く残り時間が経過した後に残留している記録媒体を装置外に排出させることを特徴とする請求項４に記載の画像記録装置。
【請求項６】
前記給紙ローラと前記記録ヘッドとの間にＵ字状に形成された経路であって、前記給紙ローラが当接した面とは反対の面が前記記録ヘッドと対向するように前記記録媒体を搬送する給紙経路を備え、
前記停止手段は、前記記録媒体の表面に画像が記録された後、裏面に画像が記録される前に、再び前記給紙ローラによって前記給紙経路内を搬送される記録媒体がＵ字状に変形されている状態で、前記記録媒体を前記設定時間停止させることを特徴とする請求項４又は５に記載の画像記録装置。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図１２】
【図１３】
【図１４】
【図１５】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図１２】
【図１３】
【図１４】
【図１５】
【公開番号】特開２００９−９０４９８（Ｐ２００９−９０４９８Ａ）
【公開日】平成２１年４月３０日（２００９．４．３０）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００７−２６１３１４（Ｐ２００７−２６１３１４）
【出願日】平成１９年１０月４日（２００７．１０．４）
【出願人】（０００００５２６７）ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２１年４月３０日（２００９．４．３０）
【国際特許分類】
【出願日】平成１９年１０月４日（２００７．１０．４）
【出願人】（０００００５２６７）ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Ｆターム（参考）】
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