説明

画像記録装置

【課題】画像録装置の搬送機構における部品誤差及び組み立て誤差による違い又は記録媒体種類の違いにより、画像記録のタイミングを計るための記録媒体検出部による間隔情報が実際とは異なるため、適宜、間隔情報及び検出有効範囲情報を更新する。
【解決手段】画像記録装置1は、記録媒体種類毎に間隔情報と検出有効範囲情報を有し、複数の実間隔情報を記録媒体種類毎に分類保持し、上位装置16からの指示、又は所定の条件により間隔情報と検出有効範囲情報を更新することを可能にした間隔情報管理部14を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体の検出情報を管理する情報管理部を有する画像記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、記録媒体の全幅を超える記録領域を有し、主走査方向に延びるノズル列を有するライン形記録ヘッドを備えて、主走査方向と直交する搬送方向に搬送される記録媒体に記録液(インク滴)を吐出して、文字や画像等の情報を記録する液体噴射記録装置であるフルライン型の画像記録装置がある。
【0003】
このような画像記録装置において、記録媒体へ位置精度良くインク滴を着弾させるためには、搬送される記録媒体の位置を正確に検出する必要があり、その方法として例えば特許文献1が提案されている。
【0004】
この特許文献1において、画像記録装置には、第1の記録媒体検出部と、その搬送下流側に第2の記録媒体検出部が設けられている。この構成において、第1の記録媒体検出部での記録媒体検出から第2の記録媒体検出部の配置位置を中心とした特定の範囲内で、第2の記録媒体検出部による記録媒体検出が行えた場合は、第2の記録媒体検出部による検出情報に基づいて画像記録を行っている。
【0005】
一方、第2の記録媒体検出部の配置位置を中心とした特定の範囲内で、第2の記録媒体検出部による記録媒体検出が行えなかった場合は、第1の記録媒体検出部の検出情報に基づいて記録動作を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−231620号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述した特許文献1によると、第2の記録媒体検出部の配置位置(間隔情報)は、予め本画像形成装置の調整時に、第1の記録媒体検出部で記録媒体が検出されてから、第2の記録媒体検出部で記録媒体を検出するまでの搬送情報(エンコーダパルス数)を計時して求めたものであり、検出有効範囲については、ずれ量として想定されるものとある。
【0008】
しかしながら、同一種(材質及び厚さ等が同じ)の記録媒体においても、搬送ローラの中心から搬送面までの距離の違いや、搬送ベルトのベルト内の厚みの違いといった部品内の差異や、記録媒体毎の摩擦力の違いを有している。これらの違いにより、記録媒体毎に第1の記録媒体検出部で記録媒体を検出してから第2の記録媒体検出部で記録媒体を検出するまでの間隔が異なっている。従って、一度の計時で得られる間隔情報を用いた場合は、第2の記録媒体の検出有効範囲の中心及び、第1の記録媒体検出部のみを使用した画像記録の開始位置のずれの中心としても適正でない可能性がある。
【0009】
また、記録媒体種類が異なった場合には、第1の記録媒体検出部の記録媒体検出から、第2の記録媒体検出部の記録媒体検出までの間隔とずれ量が異なる場合がある。このため、第2の記録媒体検出部における検出及び、未検出に対する誤検出率の可能性を大きくし、第1の記録媒体検出部のみを使用した画像記録の開始位置のずれの中心としても適正でないことがある。
【0010】
さらに、汚れ(紙粉、インクミスト)による記録媒体検出部の感応変化や、ローラやベルトの摩耗による記録媒体の搬送量の変化が使用度に応じて生ずるため、画像記録開始時の位置ずれを軽減させる機能を安定して提供するには、使用度に応じて間隔情報、検出有効範囲情報を更新することが望ましい。
【0011】
そこで本発明は、記録媒体種類毎に間隔情報と検出有効範囲情報を有し、複数の実間隔情報を記録媒体種類毎に分類保持し、上位装置からの指示、又は所定の条件により間隔情報と検出有効範囲情報を更新することを可能にした間隔情報管理部を有する画像記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明に従う実施形態の画像記録装置は、記録媒体を戴置搬送する搬送機構と、搬送機構と対向して設けられ、前記記録媒体の搬送機構による搬送の過程において画像記録を行う画像記録部と、前記搬送機構に記録媒体を供給する記録媒体供給機構と、前記記録媒体供給機構と前記搬送機構間に設けられ、記録媒体の有無を検出する第1の記録媒体検出部と、第1の記録媒体検出部の搬送下流、かつ、画像記録部の搬送上流に、搬送機構と対向する位置に設けられ、記録媒体の有無を検出する第2の記録媒体検出部と、第1の記録媒体検出部から第2の記録媒体検又はまでの間隔情報と、検出有効範囲情報とを有する制御部と、記録媒体種類毎の間隔情報と検出有効範囲を有し、複数分の実間隔情報を記録媒体毎に分類保持し、上位装置からの指示、または所定の条件により、複数分の実間隔情報から適正間隔情報と適正範囲情報を算出し、各適正情報で間隔情報と範囲情報を更新する間隔情報管理部を前記制御部に有する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、記録媒体種類毎に間隔情報と検出有効範囲情報を有し、複数の実間隔情報を記録媒体種類毎に分類保持し、上位装置からの指示、又は所定の条件により間隔情報と検出有効範囲情報を更新することを可能にした間隔情報管理部を有することで、記録媒体種類の違い、使用度による変化に対応し、適正な記録媒体検出、記録位置出しを行う画像記録装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る画像記録装置の概念的な構成例を示すブロック図である。
【図2】図2は、第1の実施形態に係る画像記録装置の記録媒体の搬送に関する主たる構成部位を示す図である。
【図3A】図3Aは、間隔情報管理部の処理について説明するためのフローチャートの一部である。
【図3B】図3Bは、図3に続く間隔情報管理部の処理について説明するためのフローチャートの一部である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る画像記録装置の概念的な構成例を示すブロック図である。図2は、本実施形態に係る画像記録装置において、記録媒体の位置検出に要する構成部位を示す図である。尚、 図2において、記録媒体の搬送方向で上流側から下流側に向かう方向をX軸方向(記録媒体搬送方向または副走査方向)とし、記録媒体の幅方向をY軸方向(主走査方向)とし、上方をZ軸方向とし、それぞれの軸方向は互いに直交している。
【0016】
画像記録装置1は、主な構成部位として、記録媒体44を保持し搬送する搬送機構2と、搬送機構2で搬送される記録媒体44に画像記録を行う画像記録部3と、収納した記録媒体44を一枚ずつ取り出して供給する記録媒体供給機構4と、記録媒体供給機構4から供給された記録媒体44の搬送姿勢を矯正し搬送機構2に受け渡すレジスト機構5と、レジスト機構5と搬送機構2の間に設置された第1の記録媒体検出部6と、第1の記録媒体検出部6の搬送方向下流側で且つ、搬送機構2と対向する位置に設置された第2の記録媒体検出部7と、装置全体を制御する制御部8と、を備えている。
【0017】
本実施形態では、画像記録部3として、記録媒体の幅に満たない画像記録領域(ノズル列)を有する短尺なインクジェットヘッドを記録媒体の幅を超える長さになるように、複数配列してラインヘッドを構成している。そして、フルカラー記録を行う場合は、少なくともブラック(Black)、シアン(Cyan)、マゼンタ(Magenta)、イエロー(Yellow)の4色のインクを吐出するラインヘッドをそれぞれに設置することで実現される。
【0018】
制御部8は、電気信号の入出力を行う入出力部(I/O部)9と、演算処理を行う演算処理部10と、記憶部11とで構成される。
この記憶部11は、演算処理部10に逐次処理される画像記録部の動作を規定したプログラムを記憶するプログラム記憶部12と、各情報値を不揮発保持する保持記憶部13と、演算結果やプログラムで使用する各情報値を一時的に保持する一時記憶部15とから構成される。
【0019】
また、保持記憶部13には、記録媒体種毎の間隔情報(1〜n)と、間隔情報初期値(1〜n)と、検出有効範囲情報(1〜n)と、検出有効範囲情報初期値(1〜n)と、実間隔情報(1〜n,1〜m)と、実間隔情報取得数(1〜n)、実間隔情報書き込み位置(1〜n)とを保持する間隔情報管理部14が設けられている。以後、これら情報をまとめて間隔情報管理情報とする。
上位装置16は、例えばホストコンピュータにより構成され、記録媒体種を予め規定した番号で指定する記録媒体種番号を少なくとも有する画像記録管理情報と、画像データを、制御部8に通信する。
【0020】
図2は、第1の実施形態に係る画像記録装置の記録媒体の搬送に関する主たる構成部位を示す図である。
搬送機構2は、不図示の機構フレームに、吸引孔を有するプラテン20と、吸引機構21とを設置し、さらにプラテン20の上下流に駆動ローラ23及び従動ローラ24を配置し、プラテン20下方にテンション調整用ローラ25を配置して、吸引孔を全面に施した無端の搬送ベルト22を回動可能に架設する。また、搬送機構2の上流において、送られてきた記録媒体を搬送ベルト22上に戴置するために、搬送ベルト22と当接する戴置ローラ26が回転可能に設置されている。
【0021】
駆動ローラ23には、不図示のモータが直接又はギヤ等を介して連結され、制御部8により所望する速度で駆動される。従動ローラ24には、不図示のロータリーエンコーダが設けられ、搬送ベルト22の移動量に同期して生成されるパルスを制御部8に出力する。
【0022】
記録媒体供給機構4は、多数の記録媒体44を収納可能に構成された記録媒体収納部41と、記録媒体収納部41内の記録媒体44に押し当てられるピックアップローラ40と、ピックアップローラ40により取り出される記録媒体44を摩擦力の差を利用して、他の記録媒体44と分離する分離機構42と、分離機構42に当接して、記録媒体44をレジスト機構5に受け渡す供給ローラ43とで構成される。
【0023】
供給ローラ43には不図示のモータが設置されており、制御部8により駆動される。また、ピックアップローラ40に、不図示のクラッチが供給ローラ43の回動力を伝達可能に設置されており、制御部8が伝達クラッチを制御することにより間欠駆動することができる。
【0024】
レジスト機構5は、透過型光センサを使用した記録媒体検出部50と、当接した一対のレジストローラ対51で構成される。レジストローラ対51のローラ51aには図示しないモータが設置された駆動ローラであり、制御部8により駆動される。ローラ51aの下側のローラ51bは、追従して回転する従動ローラである。また、制御部8は、記録媒体検出部50からの記録媒体44の検出信号が入力され、記録媒体44の有無を判定することができる。
【0025】
第1の記録媒体検出部6は、レジスト機構5と搬送機構2の間に設置される透過型光センサである。第1の記録媒体検出部6は、検出した受光量に従って変動する電圧信号を生成して、制御部8に送出する。制御部8は、予め定めた第1の閾値と、入力した電圧信号とを比較する。この比較において、電圧信号が第1の閾値よりも低ければ、記録媒体44が存在すると判定し、反対に高ければ記録媒体44が存在しないと判定する。
【0026】
次に、第2の記録媒体検出部7は、搬送機構2の戴置ローラ26と、画像記録部3の間に設置される反射型光センサである。第2の記録媒体検出部7は、受光量に従って変動する電圧信号を生成して、制御部8に送出する。制御部8は、予め定めた第2の閾値と、入力した電圧信号とを比較し、電圧信号が第2の閾値よりも高ければ記録媒体44が存在すると判定し、反対に低ければ記録媒体44が存在しないと判定する。
【0027】
次に図1及び図2を参照して、本実施形態の画像記録装置による画像記録動作について説明する。
画像記録装置1は、上位装置16から送出された画像記録管理情報と画像データを受け取ると、画像記録管理情報のうちの記録媒体種情報を間隔情報管理部14に設定する。このとき、間隔情報管理部14は、記録媒体種に応じて間隔情報Paと検出有効範囲αを設定する。
【0028】
制御部8は、搬送機構2の吸引機構21を駆動して、吸引を開始するとともに、駆動ローラ23に接続された不図示のモータを駆動させ、搬送ベルト22を回動させる。さらに、制御部8は、記録媒体供給機構4の供給ローラ43に接続された不図示のモータを駆動させて、供給ローラ43を回動させた後、ピックアップローラ43に接続されたクラッチを制御して一定時間ピックアップローラ43を回動させる。これにより、記録媒体収納機構41に収納された記録媒体44が取り出されて、供給ローラ43と分離機構42の間に送り込まれる。送り込まれた記録媒体44は、分離機構42と供給ローラ43の搬送動作により、他の記録媒体と分離されて、1枚が取り出される。
【0029】
制御部8は、レジスト機構5の記録媒体検出部50で記録媒体44の有無を検出し、一定時間経過するまで、供給ローラ43の回動を継続させる。これにより、記録媒体44は、その搬送方向先端が停止するレジストローラ対51の当接部に押し当てられて撓み、レジストローラ対51の当接線に搬送方向先端面が略平行になるように記録媒体44の搬送姿勢が矯正される。
【0030】
その後、制御部8は、供給ローラ43を停止させた後、レジストローラ対51の上側のローラ51aに接続されている不図示のモータを駆動し、搬送姿勢を矯正した記録媒体44を搬送機構2に搬送する。搬送された記録媒体44は、戴置ローラ26に当接すると、回動する搬送ベルト22上に差し出されて密着され、下流側へ搬送される。
【0031】
制御部8は、第1の記録媒体検出部6で記録媒体44を検出すると、搬送機構2のロータリーエンコーダから出力される出力パルスのカウントを開始する。図2に示すように、制御部8は、この出力パルスのカウント値がPa−αになった時点から、Pa+αになるまでの検知有効区間内で、第2の記録媒体検出部7で記録媒体44を検出した場合は、第2の記録媒体検出部7における検出時点の出力パルスのカウント値を間隔情報管理部14にセットし、さらに、初期値を0として出力パルスのカウントを開始する。前述の検知有効区間において、第2の記録媒体検出部7で記録媒体44を検出できなかった場合は、初期値をαとして出力パルスのカウントを開始する。
【0032】
次に、制御部8は、出力パルスのカウント値が、Pdに達した時点で画像記録部3のインクジェットヘッドに画像記録を実行させる。Pdは、第2の記録媒体検出部6における記録媒体検出から、記録媒体44が画像記録部3のインクジェットヘッドに到達するまでのロータリーエンコーダの出力パルス数であり、初期値を設計値とし、装置毎に調整可能とする。
【0033】
その調整方法としては、実際の画像記録装置で記録媒体44に記録された画像位置と期待した画像位置(任意に定めた位置)との差分をエンコーダパルス数に変換し、画像記録を行った際のPdに対して調整する方法が用いられる。記録媒体44は、画像記録部3により画像記録されながら、搬送機構2に引き続き戴置状態で搬送され、不図示の排出部に排出されて格納される。
【0034】
次に、図3A,3Bに示すフローチャートを参照して、間隔情報管理部14の処理について説明する。
まず、間隔情報管理部14は、電源が投入されると、初期設定動作として、間隔情報管理情報を一時記憶部15の対応する各情報(テーブル)にコピー入力する(ステップS1)。ここでは、間隔情報:Interval[I]、検出有効範囲情報:Range[I]、記録媒体種の実間隔情報:R_Interval[I][J]、書き込み位置:Wp[I]、実間隔情報取得数:Num[I]とする。但し、I=1〜n,J=1〜mとする。間隔情報管理部14は、制御部8からの記録媒体種番号のセット、実間隔情報のセット、初期化指示を受けた際に、各処理を実施する。
【0035】
制御部8から画像記録動作開始時に記録媒体種番号がセットされか否かを判定する(ステップS2)。この判定で記録媒体種番号がセットされた場合は(YES)、間隔情報管理部14は、記録媒体種番号を一時記憶部15に保持される情報Kに入力する(ステップS3)。その後、間隔情報管理部14は、指定された記録媒体種の実間隔情報取得数Num[K]が規定個数であるmであるか否かを判定する(ステップS4)。
【0036】
この判定で、Num[K]がmである場合は(YES)、十分な実間隔情報を保持していると判定する。その判定により、指定された記録媒体種の実間隔情報であるR_Interval[K][1],…, R_Interval[K][m]の平均値を求め、Interval[K]に入力する(ステップS5)。さらに、このR_Interval[K][1],…, R_Interval[K][m]の標準分散σを算出し、σを3倍したものをRange[K]に入力する(ステップS6)。この設定により、間隔情報管理部14は、これまで記憶されている間隔情報管理情報と現在の間隔情報管理情報との間に、予め定めた差が生じた場合には、一時記憶部15に保持されている指定された記録媒体種の間隔情報と検出有効範囲情報を最適なものに更新することができる。
【0037】
次に、間隔情報管理部14は、一時記憶部15に格納される現在の間隔情報管理情報で保持記憶部13の各情報を更新することにより、保持記憶部13の各情報を最適なものに更新し(ステップS7)、次のステップS8に移行する。
【0038】
前述したステップS4の判定において、Num[K]がmでない場合には(NO)、制御部8で使用される間隔情報Paに、指定された記録媒体種の間隔情報であるInterval[K]を入力する(ステップS8)。さらに、検出有効範囲情報αに、指定された記録媒体種の間隔情報であるRange[K]を入力し(ステップS9)、ステップS2に戻る。
【0039】
また前述したステップS2の判定において、記録媒体種番号がセットされていなかった場合には(NO)、制御部8により画像記録動作時に実間隔情報がセットされたか否かを判定する(ステップS10)。この判定において、実間隔情報をセットされていた場合には(YES)、間隔情報管理部14は、指定された記録媒体種の実間隔情報を格納するR_Interval[K][Wp[K]]に実間隔情報を入力する(ステップS11)。ここで、情報Kは画像記録動作開始時に、ステップS3において保持された記録媒体種番号であり、Wp[K]はステップS1において記憶部11からコピーされた、指定された記録媒体種の書き込み位置である。
【0040】
次に、間隔情報管理部14は、書き込み位置Wp[K]に”1”を加算して増加させ(ステップS12)、指定された記録媒体種の実間隔情報取得数Num[K]に”1”を加算して増加させる(ステップS13)。
【0041】
前記増加により、書き込み位置Wp[K]がmより大きくなったか否かを判定し(ステップS14)、書き込み位置Wp[K]がmより大きくなった場合は(YES)、間隔情報管理部14は、書き込み位置Wp[K]に1を入力する(ステップS15)。このように書き込み位置を管理することにより、間隔情報管理部14は、最新の実間隔情報m個を常時保持することができる。
【0042】
また、上記増加された実間隔情報取得数Num[K]がmより大きくなったか否かを判定し(ステップS16)、実間隔情報取得数Num[K]がmより大きくなった場合は(YES)、間隔情報管理部14は、実間隔情報取得数Num[K]にmを入力して(ステップS17)、ステップS4における間隔情報、検知有効範囲情報の更新条件を維持する。
【0043】
次に、間隔情報管理部14は、これまで記憶されている間隔情報管理情報と現在の間隔情報管理情報との間に、予め定めた差が生じた場合には、一時記憶部15に格納される現在の間隔情報管理情報で保持記憶部13の各情報を更新することにより、保持記憶部13の各情報を最適なものに更新し(ステップS18)、ステップS2に戻る。
【0044】
また、前述したステップS10の判定において、実間隔情報がセットされていなかった場合には(NO)、制御部8から間隔情報管理部14に初期化指示が通知されたか否かを判定する(ステップS19)。この判定で初期化指示が通知されていなかった場合には(NO)、ステップ2に戻る。一方、初期化指示が通知された場合には(YES)、以下の設定処理を行う(ステップS20)。
【0045】
ステップS20における、制御部8から間隔情報管理部14に初期化指示が通知された場合の処理について説明する。制御部8から初期化指示が通知されるのは、その上位装置16からユーザが間隔情報管理情報の初期化を指示する場合である。例えば、装置組み立て後の初調整時や、部品を交換した場合の調整時である。
【0046】
つまり、制御部8から初期化指示が通知された場合、間隔情報管理部14は、Interval[1],…,Interval[n]に保持記憶部の間隔情報初期値[1],…,間隔情報初期値[n]を入力する。また、Range[1],…,Range[n]に検出有効範囲情報初期値[1],…,検出有効範囲情報初期値[n]を入力するとともに、Wp[1],…,Wp[n]に1を、Num[1],…,Num[n]に0を入力する。その後、一時記憶部15に格納される現在の間隔情報管理情報で保持記憶部13の各情報を更新することにより、保持記憶部13の各情報を更新し(ステップS21)、ステップS2に戻る。ここで、間隔情報初期値[1],…,間隔情報初期値[n]、及び検出有効範囲情報初期値[1],…,検出有効範囲情報初期値[n]は、設計、及び実機試験により、経験的に求められた数値である。
【0047】
以上説明したように、本実施形態の画像記録装置によれば、画像記録動作時に実間隔情報を記録媒体種毎に分類保持し、記録動作開始時に実間隔情報から、画像記録が行われる記録媒体種に対する最新最適な間隔情報と検出有効範囲を設定することが可能となり、精度良く安定した画像位置出しを行うことができる。
【0048】
尚、本実施形態は、記録媒体の搬送方向先端部の検出のみに限るものではなく、後端部の検出に用いてもよい。また、複数の記録媒体供給機構から供給される場合は、記録媒体供給機構毎に記録媒体種毎の間隔情報、有効範囲情報を間隔情報管理部に持たせてもよい。さらに、第1の記録媒体検出部は、透過型光学センサに限定されるものではなく、例えば、記録媒体の接触時に搬送経路下に感知部材が倒れ隠れるよう設置した機械式の接触センサでも容易に適用することができる。
【符号の説明】
【0049】
1…画像記録装置、2…搬送機構、3…画像記録部、4…記録媒体供給機構、5…レジスト機構、6…第1の記録媒体検出部、7…第2の記録媒体検出部、8…制御部、9…入出力部(I/O部)、10…演算処理部、11…記憶部、12…プログラム記憶部、13…保持記憶部、14…間隔情報管理部、15…一時記憶部、16…上位装置、20…プラテン、21…吸引機構、22…搬送ベルト、23…駆動ローラ、24…従動ローラ、35…テンション調整用ローラ、40…ピックアップローラ、41…記録媒体収納部、42…分離機構、43…供給ローラ、44…記録媒体、50…記録媒体検出部、51…レジストローラ対。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体を戴置し搬送する搬送機構と、
搬送機構と対向して設けられ、該搬送機構に搬送される前記記録媒体に画像記録を行う画像記録部と、
前記搬送機構に前記記録媒体を供給する記録媒体供給機構と、
前記記録媒体供給機構と前記搬送機構間に設けられ、前記記録媒体の有無を検出する第1の記録媒体検出部と、
前記第1の記録媒体検出部より搬送方向下流側、且つ前記画像記録部より搬送方向上流側で、前記搬送機構と対向する位置に設けられ、前記記録媒体の有無を検出する第2の記録媒体検出部と、
前記第1の記録媒体検出部から前記第2の記録媒体検出部までの間隔情報と、検出有効範囲情報と、を有し、
前記第1の記録媒体検出部による検出情報から前記間隔情報に定められた間隔を中心とした前記検出有効範囲情報に定められた範囲内で、前記第2の記録媒体検出部が前記記録媒体を検出した場合は、前記第2の記録媒体検出部の検出情報を用いて、また前記検出有効範囲内で前記第2の記録媒体検出部で記録媒体を検出されなかった場合は、前記第1の記録媒体検出部による検出情報と前記間隔情報を用いて、前記画像記録部に画像記録を行わせる制御部と、
前記制御部に画像データ及び画像記録に関する情報を入力する上位装置と、を有する画像記録装置であって、
前記制御部に、画像記録動作時に得られる前記第1の記録媒体検出部による記録媒体検出時から、前記第2の記録媒体検出部による記録媒体検出時までの実間隔情報を複数分保持し、前記上位装置からの指示により複数分の実間隔情報から適正間隔情報と適正範囲情報を算出し、各適正情報で間隔情報と範囲情報を更新する間隔情報管理部を有することを特徴とする画像記録装置。
【請求項2】
前記間隔情報管理部は、記録媒体種類毎の間隔情報を有し、画像記録動作開始時に、前記上位装置から通知される画像記録情報の記録媒体種類に基づいて、前記制御部が使用する間隔情報と検出有効範囲情報を変更するとともに、画像記録動作時に得られる実間隔情報を記録媒体種類毎に分類保持し、分類毎の複数分の実間隔情報から各記録媒体の各適正間隔情報を算出し、各適正間隔情報で各間隔情報を更新することを特徴とする請求項1の画像記録装置。
【請求項3】
複数の前記記録媒体供給機構を有し、前記間隔情報管理部が、記録媒体供給機構毎の間隔情報を有し、使用する記録媒体供給機構毎に、前記制御部が使用する間隔情報と検出有効範囲情報を変更するとともに、画像記録動作時に得られる実間隔情報を記録媒体供給機構毎に分類保持し、分類毎の複数分の実間隔情報から各記録媒体の各適正間隔情報を算出し、各適正間隔情報で各間隔情報を更新することを特徴とする請求項1又は、請求項2の画像記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【公開番号】特開2011−255576(P2011−255576A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−131483(P2010−131483)
【出願日】平成22年6月8日(2010.6.8)
【出願人】(000250502)理想科学工業株式会社 (1,191)
【出願人】(511050985)オルテック株式会社 (24)
【Fターム(参考)】