説明

画像記録装置

【課題】ラインヘッドを微小振動させて高画質画像を記録する構成において、クリーニング等を実施するために、ラインヘッドの移動機構を設けた場合に、微小移動させるためのモータ等の駆動源は駆動時に別の振動を発生させてヘッドの位置精度に影響を与えている。
【解決手段】ラインヘッドを搭載するヘッドホルダに画像記録位置を保持するための位置決め部材を設け、且つ微小振動を行う駆動源を位置決め部材の近傍に設けることにより、駆動源による振動を減少させ、且つラインヘッドの微小移動の位置精度を高める画像記録装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録ヘッドを微小移動させることで高画質化を可能にする画像記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な画像記録装置として、記録ヘッドのノズルから吐出したインク滴を記録媒体に着弾して画像を記録するインクジェットプリンタが知られている。このインクジェットプリンタの中には、画像記録の高速化を図るために、記録媒体の搬送方向と直交する主走査方向(幅方向)に延伸し、記録媒体の幅以上の長さを有する画像記録領域(ノズル列長)を有する記録ヘッドであるラインヘッドがある。又は、記録媒体の幅に満たないノズル列長を有する短尺な記録ヘッドを複数個用いて、千鳥状に配置し、主走査方向に延伸したヘッド構成のラインヘッドもある。
【0003】
これらのラインヘッドは、ラインヘッドのノズルと対向して設けられ記録媒体を保持搬送するプラテンにより記録媒体を搬送移動させて、記録を行うラインプリンタに搭載される。このようなラインプリンタにおいて、記録画像の高品位化のために、ラインヘッドを主走査方向に微小移動させるものが知られている。
例えば、特許文献1には、記録媒体を複数回に渡り、ラインヘッドの直下を通過させて、記録媒体が通過する毎に、ラインヘッドを主走査方向に微小移動させた後、画像記録することにより、主走査方向の記録の高密度化を図る画像記録装置が提案されている。
【0004】
一般的なラインプリンタの基本的な構成では、固定するように設けられたラインヘッドにおけるノズルピッチがそのまま記録媒体移動方向に直行する主走査方向の記録ドット密度となるという特徴がある。そのため、主走査方向の高画質化を実現するためには、ノズルピッチの微細化を行う必要があり、技術的、コスト的困難を伴うこととなる。
【0005】
この対策として、特許文献1に記載の画像記録装置は、搭載したラインヘッドを主走査方向に移動可能に保持するガイドからなる第1のヘッドホルダと、この第1のヘッドホルダを主走査方向に微小移動位置決めする偏心カム及びモータからなるヘッド微小移動部と、を有している。このインクジェット方式の画像記録装置は、ラインヘッドを主走査方向に微小移動させて、記録のドットピッチを微細化することにより、主走査方向の画像記録をより高画質化している。
【0006】
この画像記録装置は、ヘッドを微小移動させながら数回に分けて印字を行う。最初に印字したドットの間に次のドットがくるように、ヘッドを微小移動させて印字する。これを数回繰り返すことでドット間隔が小さくなり微細化が可能となる。このように、ヘッドを微小移動させながら印字を行うことで、ヘッドのノズルピッチを微細化した時と同等の効果を得ることが可能となる。
【0007】
また、ヘッドのノズルや近傍に付着したゴミを除去するために、ヘッドのノズルが設けられたノズル面をブレード等により拭き取る等のヘッドクリーニング部を搭載し、ヘッドクリーニングを行う構成が一般的に知られている。ヘッドクリーニングを行うためには、通常、記録媒体を保持するプラテンに近接するように設けられたラインヘッドのノズル面をプラテンから離間する必要がある。
【0008】
この離間を実現するために、第1ヘッドホルダ及びヘッド微小移動部を搭載し移動可能な第2のヘッドホルダと、第2のヘッドホルダを移動させる第2のヘッドホルダ移動部と、画像記録の際に第2のヘッドホルダの少なくとも主走査方向の位置決めを行う主走査方向位置決め部と、を有する画像記録装置が考えられる。尚、第2のヘッドホルダ移動部は、ラインヘッドをプラテンに対して接離可能に移動させる。
【0009】
第2のヘッドホルダ移動部は、画像記録位置から第2のヘッドホルダを移動させることにより、第1のヘッドホルダを介し第2のヘッドホルダに搭載されているラインヘッドを、プラテンから離間させるとともにクリーニング位置に移動させる。この移動と供に、ラインヘッドとヘッドクリーニング部とを近接させて、ラインヘッドのノズルをクリーニングする。そのクリーニング後、第2のヘッドホルダ移動部は、第2のヘッドホルダに搭載されたラインヘッドをプラテンに近接した画像記録位置に戻す。第2のヘッドホルダは、主走査方向位置決め部により少なくとも主走査方向の位置決めされた後、ラインヘッドのノズルからインクを吐出し画像記録を行う。このようにラインヘッドに対して、ヘッドクリーニングを行うことで、安定的に記録画像の高品位化を図ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平8−310049号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
前述した第1のヘッドホルダ、ヘッド微小移動部、第2のヘッドホルダ、第2のヘッドホルダ移動部及び、主走査方向位置決め部を有する画像記録装置において、記録媒体に対し主走査方向のドット位置のずれ無く画像記録を行うためには、画像記録時におけるラインヘッドの主走査方向の位置を厳密に精度よく位置決めする必要がある。
【0012】
第2の主走査方向位置決め部に対し、第1のヘッドホルダを移動させるヘッドホルダ微小移動部が離れて設けられていると、第1のヘッドホルダを微小移動させるためにヘッド微小移動部を駆動させた際の振動が、小さな振動でもラインヘッド又は第1、第2のヘッドホルダの位置の変動要因となる可能性が大きくなり、ラインヘッドの主走査方向の位置精度が悪化する要因となる。
【0013】
また、第2のヘッドホルダが画像記録位置にあるときに第2のヘッドホルダの主走査方向を位置決めする主走査方向位置決め部と、第2のヘッドホルダに搭載され第1のヘッドホルダを移動位置決めするヘッド微小移動部とが、例えば第2のヘッドホルダの主走査方向において中央を境とし互いに反対側の端部に設けられた場合等、離れた位置に設けられた場合、例えば第2のヘッドホルダの中央を境とした一端側に各々を配置する場合等、近接した位置に設けられた場合に比べ、各々の位置を決める部品の加工寸法のばらつきが大きくなり、ひいては第1のヘッドホルダを介し第2のヘッドホルダに搭載されているラインヘッドの主走査方向の位置に、個々の画像記録装置固有の主走査方向の位置のばらつきが生じてしまう。
【0014】
さらに、主走査方向位置決め部とヘッド微小移動部とが、第2のヘッドホルダの主走査方向の中央を境とし互いに反対の端部に設けられていると、第1のヘッドホルダを微小移動させるためにヘッド微小移動部の駆動源であるモータ等を駆動させた際の振動が、小さな振動でもラインヘッドおよび/または第1、第2のヘッドホルダへの位置変動の要因となる可能性が大きくなり、ラインヘッドの主走査方向の位置精度が悪化する要因となる。
【0015】
さらに、ヘッド微小移動部のモータ等の駆動源が駆動時に発生させる振動を、ラインヘッドの微小移動と比較して考えると、振動によりラインヘッドの位置が変動しヘッドの位置精度に影響し、ラインヘッドを正確な位置に設定できない可能性がある。
そこで本発明は、記録ヘッドの微小移動により高画質の画像を記録するヘッド微小移動部の位置精度を向上させた画像記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するために、本発明に従う実施形態は、 記録媒体を搬送するプラテンと、前記記録媒体の搬送方向と直行する主走査方向に一定の間隔で設けられた複数のノズルから、搬送される前記記録媒体にインクを吐出して画像を記録する少なくとも1つのラインヘッドと、前記ラインヘッドが固定される第1のヘッドホルダと、前記第1のヘッドホルダを前記主走査方向にスライド移動可能に保持する第2のヘッドホルダと、前記第2のヘッドホルダに設けられ、画像記録時に前記第1のヘッドホルダを前記間隔よりも小さい距離のスライド移動を行う微小移動駆動部と、画像記録時において、前記プラテンに対する前記第2のヘッドホルダの少なくとも前記主走査方向の位置を規制する主走査方向位置決め部と、を具備し、前記微小移動部と前記主走査方向位置決め部とを、前記第2のヘッドホルダにおける前記主走査方向の同一端側に設けた画像記録装置を提供する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、記録ヘッドの微小移動により高画質の画像を記録するヘッド微小移動部の位置精度を向上させた画像記録装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、本発明の実施形態に係るヘッド微小移動部を備える画像記録装置の概念的な構成例を示す図である。
【図2】図2は、ドラムの回転軸方向から見たドラムと記録ヘッドの位置関係を含む構成を示す図である。
【図3】図3は、記録ヘッドのノズル面の構成例を示す図である。
【図4】図4(a)乃至(d)は、第2のヘッドホルダ移動部の構成及び動作状態を示す図である。
【図5】図5は、ヘッド微小移動部を示す全体図である。
【図6】図6(a)は、ヘッド微小移動部の詳細上面図、図6(b)は、ヘッド微小移動部の詳細側面図である。
【図7】図7(a)乃至(d)は、記録ヘッドのノズルが移動し、記録媒体に吐出されたインク滴の状態を示す図である。
【図8】図8(a)、(b)は、偏心カムの形状を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
本発明の一実施形態に係るヘッド微小移動部を備える画像記録装置について説明する。図1は、画像記録装置の概念的な構成例を示す図である。図2は、ドラムの回転軸方向から見たドラムと記録ヘッドの位置関係を含む構成を示す図である。図3は、記録ヘッドのノズル面の構成例を示す図である。
【0020】
本実施形態の画像記録装置1は、複数の記録ヘッド4から異なる複数色、例えば、4色のインクを吐出して、移動する記録媒体にカラー画像を記録する、ラインプリンタを例としている。勿論、記録される画像は4色によるカラー画像に限定されるものではなく、1色の白黒画像も含め、記録ヘッドの数量は限定されるものではない。
【0021】
このラインプリンタ1は、複数の記録媒体17が装填された記録媒体カートリッジ9と、記録媒体カートリッジ9から記録媒体17を取り出す記録媒体供給部8と、プラテンとなるドラム2と複数の搬送用ローラを有する記録媒体17を搬送する搬送機構18と、複数の記録ヘッド4を有する記録ヘッド部52と、画像が記録された記録媒体17を排出する記録媒体排出部12と、記録ヘッド4へ供給するインクが充填されたインクボトル7と、記録ヘッド部52を移動させる第2のヘッドホルダ移動部5と、記録ヘッド部52をクリーニングするクリーニングユニット6と、クリーニングユニット6で受けた廃インクを貯蔵する廃液タンク16と、で構成される。
【0022】
記録ヘッド部52は、複数の記録ヘッド4を搭載し、それぞれの記録ヘッド4のノズル面がドラム2の記録媒体17の保持面である外周面(記録媒体保持面)に対し予め定められた間隔を空けて近接するように配置する。クリーニングユニット6は、ドラムと隣接するように並設される。第2のヘッドホルダ移動部5は、ドラム2とクリーニングユニット6との間に設けられ、記録ヘッド部52を、記録ヘッド部52により画像を記録する画像記録位置と、クリーニングユニット6によりクリーニング処理を行うクリーニング位置と、に移動させる。この移動動作は、クリーニング処理時だけではなく、例えばドラム上に記録媒体17が詰まった場合のジャム処理時等に、これらの画像記録位置とクリーニング位置の間で、記録ヘッド部52を移動させる。勿論、ジャム処理時等において、クリーニング位置まで記録ヘッド部52を移動させなくとも処理ができる場合には、ドラム2から記録ヘッド部52を離間させた状態だけであっても良い。
【0023】
さらに、ラインプリンタ1は、搬送機構18において、記録媒体17をプラテンであるドラム2に導入する案内板10と、記録媒体17を帯電させる帯電ローラ11と、記録媒体17の電荷を除去する除電ローラ14と、ドラム2の外周面に張り付いた記録媒体17を剥がす剥離爪13とを有している。尚、矢印mは、記録媒体17の搬送方向を示している。
【0024】
ドラム2は、プラテンとして例えば、金属製の中空円筒形状に形成され、その外周面が記録媒体17を密着保持(本実施形態では静電吸着)し、図示しないモータにより回転して、記録媒体17を搬送する。尚、本実施形態では、プラテンとしてドラムを用いているが、これに限らず、複数ローラで無端ベルトを弛み無く保持する構成で、記録媒体をベルト搬送するプラテンであってもよい。この場合、ファン等により負圧を発生させて多数の小孔が開口された無端ベルトに記録媒体を吸着保持させればよい。
【0025】
図2に示すように、記録ヘッド部52は、複数の記録ヘッド4を備えている。これらの記録ヘッド4は、ドラム2の外周面に沿って、インクの吐出方向がドラム2の中心に向かうように放射状に位置付けられ、保持されている。図2においては、2つの平板が連結された形状のヘッドホルダに記録ヘッドのノズル面がドラム2の外周面と正対するように傾けて取り付けられた構成である。勿論、この形状に限定されるものではなく、ドラム2の外周面に沿った弧形状であってもよい。
【0026】
本実施形態における記録ヘッド4は、主走査方向において、記録媒体17の幅以上の記録領域(ノズル列長)を有する固定型の記録ヘッドからなるラインヘッド又は、図5に示すように、記録媒体17の幅に満たないノズル列長(画像記録領域)を有する短尺記録ヘッドを複数用いて、記録媒体の幅方向(主走査方向)に沿って並列や千鳥状に配列したラインヘッドでもよい。以下の説明では、短尺の記録ヘッド4を用いたラインヘッドを例として説明する。又、本実施形態においては、複数のラインヘッドを用いたカラー画像記録に対応する構成を示して説明しているが、1色(例えば、黒のみ)の画像記録であれば、1つのラインヘッドを設けた画像記録装置に対しても適用することができる。
【0027】
記録ヘッド4は、インクを吐出するインク吐出ノズル40を1列又は複数列に配置している。図2中のB方向から見たインク吐出面53では、一例として、2列のインク吐出ノズル40を示している。図3では、ノズル面の詳細な構成を示している。なお、図3に示す矢印Eは、記録媒体17の搬送方向を示し、矢印Dは後述する記録ヘッド4の主走査方向への微小移動方向を示している。
【0028】
この構成において、1列目におけるインク吐出ノズル40は、図3に示すように、主走査方向に距離C分離れて、規則正しく配列されている。また、図3に示す2列目のインク吐出ノズル40は、主走査方向において1列目の距離Cの間に入り込むように、例えば距離Cの1/2だけずれて配置されている。これは1/2だけずらすことにより、1列目におけるインク吐出ノズル40によるドット間を埋めるように、2列目のドットが着弾されるため、高解像度が実現される。この距離Cの1/2の距離がノズルピッチとなる。
【0029】
画像が記録された記録媒体17は、ドラム2から剥離爪13により剥がされて、排出トレイ12aに収納される。また、排出された記録媒体17の画像に白スジ等の記録不良が発生した場合には、装置フレーム等に固定されているクリーニングユニット6に後述する第2のヘッドホルダ移動部5を用いて記録ヘッド4を当接させてクリーニング処理を行う。
【0030】
クリーニングユニット6は、記録ヘッド4のノズルに宛がわれ、クリーニング処理時にノズルから吐出された粘度の高いインク等が一時的に貯められるように、クリーニングユニット本体がインクパン形状を成し、最下位部には排出口26が設けられている。さらに排出口26と廃液タンク16は、インクチューブにより接続され、インクパンに溜まったインクが排出口26からインクチューブを経て廃液タンク16に流れ込むように構成されている。
【0031】
クリーニングユニット6には、公知な構成であり、吸引クリーニング部又は、ワイプを含むワイプ移動機構のいずれか又は両方が設置されている。吸引クリーニング部は、記録ヘッド4を吸引して粘度の高いインク及びノズル周囲の紙粉等のごみを吸引する。ワイプは、記録ヘッドのノズル面に溜まったインクや付着したゴミを除去し、且つノズルにメニスカスを形成させる。ワイプ移動機構は、ワイプを記録ヘッド4のノズル列方向(主走査方向)に移動させる。
【0032】
また、画像記録装置が何ら駆動(起動)せず、長期間放置された場合には、記録ヘッド4のノズル内又は、そのノズル周囲に付着しているインクが乾燥し粘度が高くなることを防止するために、クリーニングユニット6には、弾性を有するヘッドキャップを設けている。このキャップは、画像記録等を行わないときには、記録ヘッド4を覆い、外気に対して、気密になるように密閉保持する。
【0033】
このように構成された本実施形態の画像記録装置による画像記録動作の概要について説明する。
ユーザによる画像記録の操作指示に従い、画像データの受信後、記録媒体17は、記録媒体カートリッジ9から記録媒体供給部8により給送される。取り出された記録媒体は、案内板10を経て、帯電ローラに11によって電荷が加えられた後、回転するドラム2に受け渡されて、ドラム外周面である記録媒体保持面に密着される。
【0034】
ドラム2の回転により、記録媒体17が記録ヘッド4のノズル面下方を通過する際に、各ノズルから画像データに従ったタイミングで吐出されたインク滴が記録媒体17に着弾し、画像を形成する。画像が記録された記録媒体17は、除電ローラ14により、記録媒体17に帯電していた電荷が除去される。電荷除去の後、記録媒体17は剥離爪13によってドラム2から取り剥がされ、記録媒体排出部12に排出される。
【0035】
そして、画像記録された記録媒体17に、インクが吐出されない時に発生する白スジ等の画像不良が起こった場合には、記録ヘッド4のクリーニング処理を実施する。このクリーニング処理の実施に際して、第2のヘッドホルダ移動部5により記録ヘッド部52は画像記録位置からクリーニング位置に移動される。
【0036】
次に、図4(a)乃至(d)を参照して、第2のヘッドホルダ移動部5の構成及び動作について説明する。図4(a)は、画像記録時の第2のヘッドホルダ移動部5の構成を示す図であり、図4(b)乃至図4(d)は、第2のヘッドホルダ移動部5の画像記録位置からクリーニング位置までの姿勢変化の状態を示す図である。
【0037】
図4(a)に示すように、第2のヘッドホルダ移動部5は、揺動による記録ヘッド部52の姿勢変化を行う姿勢変化機構601と、姿勢変化機構601に設けられて、記録ヘッド部52を昇降する昇降機構602とで構成される。具体的な構成例について説明する。
姿勢変化機構601は、図示しない装置フレーム等上で、画像記録位置[A]とクリーニング位置[B]の中間位置に設けられるモータ611と、モータ611を駆動する図示しないモータ駆動制御部とにより構成される。
【0038】
図4(a)に示すように、昇降機構602は、モータ611の回転軸612に固定される連結板621と、連結板621に設けられたガイドピン613とスリット626で嵌合して、連結板621に対しスライド移動可能であるとともに記録ヘッド部52が固定された連結板622と、連結板622の両側端と摺動して移動方向をガイドするための連結板621の両側に設けられたガイド部623a,623bと、連結板621に固定されたソレノイド624と、連結板622に設けられ、ソレノイド624の可動部(ソレノイド軸)624aが固定されるストッパ625と、で構成される。
【0039】
さらに、連結板621と連結板622とを連結するバネ627が設けられている。このバネ627による付勢力は、ソレノイド624の駆動を補助するように機能する。つまり、ソレノイド624が記録ヘッド部52をドラム2またはクリーニングユニット6から離間させて、保持し、姿勢変化機構601により記録ヘッド部52を回動した後に記録ヘッド部52をドラム2またはクリーニングユニット6に近接させるまで、ソレノイド624の保持力に寄与する。
【0040】
図4(a)乃至(d)を参照して、第2のヘッドホルダ移動部5による画像記録位置からクリーニング位置までの姿勢変化を伴う記録ヘッド部52の移動動作について説明する。
図4(a)に示すように、記録ヘッド部52は、ドラム2に近接する画像記録位置[A]に配置されている。ユーザからのクリーニング処理又はジャム処理等の開始指示により図示しない駆動制御部は、ソレノイド624を駆動し、図4(b)に示すように、記録ヘッド部52をドラム2から離間(矢印s)させて、離間させた状態で記録ヘッド部52を保持する。
【0041】
次に、図4(c)に示すように、モータ611を駆動して、連結板621をクリーニング位置の方向(矢印r)に回動させる。記録ヘッド部52がクリーニングユニット6と対向した位置でモータ611を停止させた後、ソレノイド624を駆動して記録ヘッド部52をクリーニングユニット6に近接させて、記録ヘッド4のノズル面がクリーニングユニット6に当接するクリーニング位置[B]で停止する。このクリーニングユニット6に当接する際、記録ヘッド4のノズル面に吸引ノズルとワイプが宛がわれるように適正な位置に保持され、クリーニング処理が実行される。
【0042】
図4(d)は、記録ヘッド部52の移動に伴う軌跡を示す。この移動において、記録ヘッド部52は、ドラム2上に配置されている画像記録位置[A]の時には、ドラム2の外周面に沿った傾き状態である。移動を開始する際に、まず、記録ヘッド部52の姿勢を保持したまま斜め上に上昇する。次に、モータ611による連結板621の回動に伴い、記録ヘッド部52は、クリーニングユニット6の斜め上方まで円弧状に揺動する。この時、ソレノイド624は、揺動する記録ヘッド部52にドラム2の外周面が接触しない高さまで上昇させる。
【0043】
記録ヘッド部52は、クリーニングユニット6の傾きに合わせるように、クリーニングユニット6の斜め上方で揺動を停止される。ソレノイド624は、記録ヘッド部52を下降させて、クリーニングユニット6に当接し、記録ヘッド4をクリーニングする。
【0044】
クリーニング処理が終了した後には、前述とは逆の手順で、第2のヘッドホルダ移動部5により、記録ヘッド部52は画像記録位置へ移動する。そして、記録ヘッド部52は、後述する位置決め固定部200により、位置が固定され保持される。
【0045】
次に、図5乃至図8を参照して、ヘッド微小移動部15について説明する。
図5は、ヘッド微小移動部を示す全体図である。図6(a)は、ヘッド微小移動部の詳細上面図である。図6(b)は図6(a)の断面JJを示すヘッド微小移動部の詳細側面図である。図7(a)乃至(d)は、記録ヘッドのノズルが移動し、記録媒体に吐出されたインク滴の状態を示す図である。図8(a)、(b)は、偏心カムの形状を示す概念図である。ここで、図7(a)に示す矢印Eは、記録媒体17の搬送方向を示し、図7(a)乃至図7(d)に示す矢印Xは、第1のヘッドホルダ3の主走査方向における移動距離を示している。
【0046】
記録ヘッド部52は、第2のヘッドホルダ101と、複数の記録ヘッド4を搭載保持するとともに主走査方向に移動可能に第2のヘッドホルダ101に搭載された単数又は複数の第1のヘッドホルダ3と、各々の第1のヘッドホルダ3を主走査方向に微小移動し保持するヘッド微小移動部15を備える。なお、本実施形態においては、第1のヘッドホルダ3を2個設け、各々の第1のヘッドホルダ3にヘッド微小移動部15を設けた形態を例として挙げる。
【0047】
第1のヘッドホルダ3は、記録ヘッド4のインク吐出面53とドラム2の記録媒体保持面との距離(ヘッドギャップ)を保ちつつ、主走査方向に移動できるように、スライドレール等の図示しない主走査方向移動ガイドによって第2のヘッドホルダ101に保持されている。
【0048】
ヘッド微小移動部15は、図6(a)(b)における第2のヘッドホルダ101の主走査方向の中央を境とした右端側に設けられている。ヘッド微小移動部15は、概略的な構成として、第2のヘッドホルダ101に固定された回転駆動部となるモータ24と、このモータ24により回転する偏心カム23と、第1のヘッドホルダ3に回転可能に固定され偏心カム23に押し当てられたコロ20(回転部)と、で構成される。またヘッド微小移動部15の偏心カム23とコロ20が常時、押し当てられるように付勢する弾性部材(例えば、コイルバネ)26が、第1のヘッドホルダと第2のヘッドホルダに固定されている。以下、構成について詳細に説明する。
【0049】
コロ20は、高さが低い円盤形状を含む円筒形状である。
記録ヘッド4を搭載する第1のヘッドホルダ3の主走査方向の端面には、円筒形状のコロ20を設置するためのコロベース25が固定されている。コロ20は、コロベース25に立設されたコロ軸21に、コロベアリング30を介在させて回転自在に保持される。
【0050】
尚、本実施形態は、ベアリングとコロを別体に設けた構成になっているが、コロと一体的に構成される、所謂ローラベアリング(又は、ボールベアリング)を用いてもよく、外周面が円筒形状を成し回転自在であれば、特に限定されるものではない。また、図6(b)では、コロ20を支持するコロ軸21は、片側支持であるが、第1のヘッドホルダ3に、コロ軸21の両端を支持するコロベース25を設けた両端保持構造であってもよい。
【0051】
第2のヘッドホルダ101には、モータベース28が固定され、モータベース28にはモータ24が取り付けられている。モータ24は、モータ軸22の回転中心が、コロ軸21の中心と記録媒体17の搬送方向において同位置に設けられるとともに、モータ軸22には、偏心カム23が固着される。モータ24は、回転位置を制御可能なサーボモータやステッピングモータを用いることが好ましい。第1のヘッドホルダ3と第2のヘッドホルダ101の間には、偏心カム23とコロ20の係合状態を維持させるための付勢バネ26a、26bが設置されている。
【0052】
偏心カム23には、周面に回転中心から所定の半径を有する複数の記録位置が設けられている。記録ヘッド部52が画像記録位置に位置決めされた状態で、コロ20を連れ回らせつつ、偏心カム23を回転移動させ、カム23の各々の前記記録位置がコロ20と主走査方向に当接する状態において、記録ヘッド4が記録媒体17の搬送方向の同一位置にインクを吐出することにより、記録媒体17の主走査方向に高密度に画像を記録する。
偏心カム23は、図6(a)に示すように、円盤形状を成し、一例として、周面にはほぼ90度毎に記録位置[1]、[2]、[3]、[4]が設けられている。
この例において、偏心カム23は、回転中心から各記録位置までの半径長さが、記録位置[1]から記録位置[4]に向かって長くなるように、回転中心及び周面を設定している。各記録位置における偏心カム23の半径の差は、第1のヘッドホルダ3の主走査方向の移動量であり、記録媒体に形成される主走査方向のドットのピッチ(図7(b)に示す距離X)と同じである。ドットのピッチは、少なくともノズルピッチよりは小さい。本実施形態では、1つのノズルピッチの間に、3つのドットピッチが設けられるように設定されている。
【0053】
図6(a)に示すように、偏心カム23には、外周上に4つの記録位置として、位置[1]、[2]、[3]、[4]が設けられている。偏心カム23は、図6(a)における反時計回りの一方方向に回転し、位置[1]、[2]、[3]、[4]の順に、記録媒体17の搬送方向の同一位置にインクを吐出し画像を記録する。その後、偏心カム23を位置[4]から位置[1]に回転させ、次の画像記録を始める。
【0054】
また、第1のヘッドホルダ3の主走査方向の移動距離は、隣接するドット間の距離であるため微小であり、つまり、各記録位置における偏心カム23の半径の差(段差)は微小である。
【0055】
以下に説明する、図8(a)、(b)においては、分かり易くするために、偏心を極端に示した偏心カムの概念的な図であるが、実際には、微小な段差が付いた円盤形状である。また、図6(a)では、偏心カム23に4つの記録位置[1]、[2]、[3]、[4]を設けたが、これに限らず、例えば、図8(a),(b)に示すように、偏心カム23に5つの記録位置を設け、主走査方向の画像記録の更なる高密度化を図ってもよい。
【0056】
図8(a)では、偏心カム23に複数、例えば5つの記録位置を設け、位置[1]、[2]、[3]、[4]、[5]として示すと共に、偏心カム23は、位置[1]、[2]、[3]、[4]、[5]の順に反時計回りに回転し、記録媒体17の搬送方向の同一位置にインクを吐出して画像を記録する。その後、逆転して位置[5]から位置[1]へ時計回りに戻り、次の画像記録を開始する。
【0057】
尚、図8(a)に示す偏心カム23においては、次の画像記録を始める前に、偏心カム23を時計回りに回転し、位置[5]から位置[1]へ戻しているが、これに限らず、位置[1]、[2]、[3]、[4]、[5]の順に偏心カム23を反時計回りに回転して、画像を記録した後、次の画像記録は、位置[5]、[4]、[3]、[2]、[1]の順に偏心カム23を時計回りに回転し画像を記録してもよい。
【0058】
図8(b)では、偏心カム23を上下で対称形状に形成し、さらに、偏心カム23の上下の半分を各々4分割している。偏心カム23に8つの記録位置を設け、位置[1]、[2]、[3]、[4]、[5]、[4]'、[3]'、[2]'として示している。これらは、記録位置における位置[2]と[2]'、位置[3]と[3]'、位置[4]と[4]'の各々の記録位置における偏心カム23の半径は同じ長さとする。そして偏心カム23は、反時計回りの1方向に回転し、位置[1]、[2]、[3]、[4]、[5]の各位置で、記録媒体の搬送方向同一位置で画像記録し、その後、位置[5]、[4]'、[3]'、[2]'、[1]の順で、次の画像記録を行い、再び、位置[1]から次の画像記録を始める。
【0059】
なお、本実施形態においては、ヘッド微小移動部を、モータ24と偏心カム23とコロ20との構成としたが、これに限らず、例えばコロを用いず、偏心カムが突き当たる当接部を設けるのみでもよい。またモータと偏心カムを用いず、リニアアクチュエータと当接部でヘッド微小移動部を構成し、リニアアクチュエータの軸の伸縮方向を主走査方向とし、リニアアクチュエータの軸の伸縮により、ヘッドの微小移動を行ってもよい。
【0060】
次に、本実施形態におけるヘッドホルダを主走査方向に微小移動させての画像の記録方法について説明する。
ラインプリンタ1は、外部機器(パソコン等)から記録指令(画像データを含む印刷指示)を受けると、記録媒体カートリッジ9から記録媒体17を取り出す。その記録媒体17は、記録媒体供給部8を通過し、案内板10を通り、ドラム2へ搬送され、帯電ローラ11によって電荷が加えられたドラム2表面に密着保持される。
【0061】
ドラム2の回転により、記録媒体17の搬送方向先端が記録ヘッド4の記録領域(インク吐出領域)に突入すると、記録ヘッド4のインク吐出ノズル40は、インク吐出を開始し、記録媒体17の搬送方向末端が記録ヘッド4を通過する時にインクの吐出を停止する。
【0062】
この時、図7(a)に示すように、主走査方向の偏心カム23の記録位置[1]における回目の画像を記録媒体17に記録する。
次に、ドラム2の回転により記録媒体17の搬送方向先端が再度、記録ヘッド4に到達するまでの間に、図示しない制御機構によりモータ24が回転し、コロ20との当接部が図6(a)に示す位置[2]になるように、モータ軸22に固着された偏心カム23が反時計回りに回動する。この時、第1のヘッドホルダ3に設置したコロ20も付勢バネ26(a)、26(b)により偏心カム23に係合しているため、連れ回り回動する。
【0063】
次に、コロ20との当接部が図6(a)に示す偏心カム23の位置[2]まで回動すると、第1のヘッドホルダ3に搭載された記録ヘッド4のインク吐出ノズル40aは、図7(a)に示す位置[1]から距離X(ドットのピッチ)の長さだけ主走査方向に移動して図7(b)に示す位置[2]となる。
【0064】
再度、記録媒体17の搬送方向先端が記録ヘッド4とドラム2の隙間に入ってくると、インクが記録媒体17に噴射され、図7(b)に示すように、最初の画像記録位置に対して、距離Xが離れた位置に画像を記録する。
【0065】
以降、同様に、コロ20との当接部が図5(a)に示す偏心カム23の位置[3]、[4]の各記録位置において、図6(c)及び図6(d)に示す画像記録を行い、記録媒体17の1枚の画像記録を終了する。画像記録が終了すると、除電ローラ14により記録媒体17の電荷が除去される。
【0066】
電荷が除去された記録媒体17は、剥離爪13によってドラム2から剥ぎ取られ、ラインプリンタ1から機外に排出される。1枚の記録媒体17の画像記録が終了すると、偏心カム23は元の位置[1]まで回動し、次の記録媒体17の画像記録に備える。尚、本実施形態では、記録媒体の1面にのみ画像を記録するラインプリンタを示したが、これに限らず、既知の記録媒体反転手段を搭載して、記録媒体17の表面への画像記録を終了した後、記録媒体17を反転し、表面と同様に裏面への画像記録を行い、その後、記録媒体17を排出し、次の記録媒体の画像記録に移行してもよい。
【0067】
また、本実施形態では、例として1枚の記録媒体17を搬送保持するドラム2を示したが、これに限らず、ドラムの直径を大型化し、複数枚の記録媒体17を搬送保持するドラムとしてもよい。
【0068】
また、本実施形態では、偏心カム23に4つの記録位置を設け、各々の記録位置において主走査方向の画像記録を行っている。1枚の画像記録時に4回による記録を行う場合、記録媒体17を記録ヘッドの下方を4回通過させることとなり、従来の1回通過による記録に対して、1枚の画像記録に掛かる時間を要している。
【0069】
そこで、このような4回記録による高画質モードに対して、2回記録による通常画質モードと、1回記録による低画質モード(又は、高速記録モード)を選択能に設けてもよい。即ち、写真等の高画質が求められる場合には、高画質モードを選択して4回の画像録媒を行う。一方、グラフ等のように通常画質でよければ、通常画質モードを選択して、記録媒体17を2回記録ヘッドの下を通過させ、4つのうちの位置[1]、[3]において画像記録することにより、高画質モードによりも通常画質ではあるが、記録時間を短縮することができる。
【0070】
また、図8(a)では、コロ20の当接位置が位置[5]に達した後は、モータ24を逆回転させて偏心カム23を元の位置まで戻す。図8(b)においては、モータ24を逆回転させず、偏心カム23の上側半分の位置[1]、[2]、[3]、[4]、[5]による移動往路で1枚目の記録媒体に画像記録を行う。次に、偏心カム23の下側半分の位置[5]、[4]'、[3]'、[2]'、[1]による移動復路で2枚目の画像記録を行い、コロ20との当接位置を偏心カム23の最初の位置[1]に戻す。
【0071】
図6(a)及び(b)を参照して、第2のヘッドホルダ101の画像記録位置における位置決め固定部200について説明する。
ドラム2は、ドラム2の回転軸に設けられたドラムベアリング210、211を介して、フレーム27、50に回転可能に設けられているとともに、フレーム27に対し主走査方向の位置が決められている。つまりドラム2の主走査方向の位置はフレーム210を基準としている。
【0072】
前述した第1のヘッドホルダ3及びヘッド微小移動部15が搭載された第2のヘッドホルダ101は、側面部がフレーム27に取り付けられた固定ベース202及び側面部がフレーム50に取り付けられた固定ベース205の上面に当て付く。固定ベース202は、ドラム2の回転軸にあるドラムベアリング210の外輪部に位置決めされた状態でフレーム27に取り付けられており、固定ベース205は、ドラム2の回転軸にあるドラムベアリング211の外輪部に位置決めされた状態でフレーム50に取り付けられている。この固定ベース202、205の各々の上面には位置決めピン201、204が立設されており、第2のヘッドホルダ101には位置決めピン201、204の各々に対応し開口された位置決め用丸穴101a及び位置決め用長穴101bが設けられている。
【0073】
ドラム2の主走査方向の位置を決めているフレーム27に固定ベース202を介し設けられた位置決めピン201と、第2のヘッドホルダ101に設けられた位置決め用丸穴101aとは、がたつき無く嵌合する。この位置決めピン201と位置決め用丸穴101aとの勘合により、第2のヘッドホルダ101は主操作方向における位置決めがなされる。この位置決めピン201と位置決め用丸穴101aは主走査方向位置決め部である。主走査方向位置決め部である、位置決めピン201及び位置決め用丸穴101aは、ヘッド微小移動部15と同様に、図6(a)(b)における第2のヘッドホルダ101の主走査方向の中央を境とした右端側の領域に設けられている。
また、第2のヘッドホルダ101に設けられた位置決め用長穴101bは、主走査方向に伸び2つの対向する面を有しており、位置決め用長穴101bに設けられたこの2つの面と位置決めピン204とはがたつき無く勘合する。この位置決めピン204と位置決め用長穴101bとの勘合により、第2のヘッドホルダ101は記録媒体17の搬送方向における位置決めがなされる。この位置決めピン204と位置決め用長穴101bは搬送方向位置決め部である。搬送方向位置決め部である、位置決めピン204及び位置決め用長穴101bは、図6(a)(b)における第2のヘッドホルダ101の主走査方向の中央を境とした左端側に設けられている。
【0074】
このような嵌合構成により、第2のヘッドホルダ101は、主走査方向の位置を含め、フレーム27、50に位置決めされる。フレーム27、50に位置決めされた第2のヘッドホルダ101は、フレーム27に回動可能に取り付けられた固定レバー203により、図6(a)に示すように、固定ベース202に押し付けられて固定される。図6(a)に示すように、固定レバー203を上方に回動して開くと、固定ベース202(位置決めピン201)及び固定ベース204(位置決めピン204)から第2のヘッドホルダ101の着脱が可能となり、第2のヘッドホルダ移動部5により画像記録位置から離間可能になる。
【0075】
本実施形態においては、ヘッド微小移動部15と、主走査方向位置決め部である位置決めピン201及び位置決め用丸穴101aと、を主走査方向における第2のヘッドホルダ101の中央より端側で、同じ端側に配置する特徴がある。つまり、第2のヘッドホルダ101の同じ側の近接位置に設けることにより、各々の位置を決める部品の加工寸法のばらつきを低減させるとともに、振動の発生を抑制し、より位置精度を高めることができる。
【0076】
尚、本実施形態の主走査方向位置決め部は、位置決め用丸穴101aと位置決めピン201とで構成したが、これに限定されるものではなく、突起形状の凸部と、これに嵌合する凹部とでも良い。また、本実施形態では、主走査方向位置決め部を、ピンと穴又は、凸部と凹部で構成したが、これらが対であれば、第2のヘッドホルダ101と固定ベース202のいずれに設けてもよい。また、位置決め用長穴101bと位置決めピン204からなる搬送方向位置決め部においても同様である。
【0077】
また、搬送方向位置決め部は、第2のヘッドホルダ101における主走査方向位置決め部やヘッド微小移動部15を設けた側とは反対側に配置することにより、近接して設けるよりは、記録ヘッド4の微小移動によるブレや振動を抑制することができ、より位置精度を高めることができる。
【0078】
第2のヘッドホルダ101は、ヘッドクリーニング時、第2のヘッドホルダ移動部5によりクリーニングユニット6が設けられたクリーニング位置に移動するが、その時、固定レバー203は回動し固定を解除する。
よって、ヘッド微小移動部15や主走査方向位置決め部の近傍であり、図6(a)(b)における第2のヘッドホルダ101の主走査方向の中央を境とした同じ端部側の領域に第2のヘッドホルダ101を固定する固定レバー203が配置されることで、モータ24の近傍の第2のヘッドホルダ101側面部を押し付け固定するので、モータ24の微振動の影響を極力抑えることが可能となる。
【0079】
以上説明したように、本発明の実施形態によれば、第2のヘッドホルダの主走査方向の中央を境とした片側に、つまりヘッド微小移動部の近傍に主走査方向位置決め部を設けることにより、ヘッド微小移動部と主走査方向位置決め部の主走査方向の配置距離が短く、部品の加工寸法のばらつきを小さくすることができ、個々の画像記録装置固有のラインヘッドの主走査方向の位置のばらつきを抑えることができるとともに、ヘッド微小移動部の微振動によるヘッドへの変動要因を抑えることが可能となる。結果、安定したラインヘッドの主走査方向の位置精度を確保できる。
【符号の説明】
【0080】
1…画像記録装置、2…ドラム、3…第1のヘッドホルダ、4…記録ヘッド、5…第2のヘッドホルダ移動部、6…クリーニングユニット、7…インクボトル、8…記録媒体供給部、9…記録媒体カートリッジ、10…案内板、12…記録媒体排出部、13…剥離爪、14…除電ローラ、15…ヘッド微小移動部、16…廃液タンク、17…記録媒体、18…搬送機構、40…インク吐出ノズル、52…記録ヘッド部、53…インク吐出面、601…姿勢変化機構、602…昇降機構、613…ガイドピン、611…モータ、612…回転軸、621,622…連結板、623a,623b…ガイド部、624…ソレノイド、624a…可動部(ソレノイド軸)、625…ストッパ、626…スリット、627…バネ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体を搬送するプラテンと、
前記記録媒体の搬送方向と直行する主走査方向に一定の間隔で設けられた複数のノズルから、搬送される前記記録媒体にインクを吐出して画像を記録する少なくとも1つのラインヘッドと、
前記ラインヘッドが固定される第1のヘッドホルダと、
前記第1のヘッドホルダを前記主走査方向にスライド移動可能に保持する第2のヘッドホルダと、
前記第2のヘッドホルダに設けられ、画像記録時に前記第1のヘッドホルダを前記間隔よりも小さい距離のスライド移動を行う微小移動駆動部と、
画像記録時において、前記プラテンに対する前記第2のヘッドホルダの少なくとも前記主走査方向の位置を規制する主走査方向位置決め部と、
を具備し、
前記微小移動部と前記主走査方向位置決め部とを、前記第2のヘッドホルダにおける前記主走査方向の同一端側に設けたことを特徴とする画像記録装置。
【請求項2】
前記ラインヘッドの前記ノズルが設けられたノズル面を清掃するクリーニング部を有し、
前記第2のヘッドホルダは、搭載した前記ラインヘッドを、画像記録時における画像記録位置と、前記クリーニング部に対向したクリーニング位置と、に移動可能であるとともに、
前記主走査方向位置決め部は、搭載したラインヘッドが前記画像記録位置に配置された際に、前記第2のヘッドホルダを少なくとも主走査方向に固定位置決めすることを特徴とする請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項3】
前記主走査方向位置決め部は、前記第2のヘッドホルダと画像記録装置のフレームのどちらか一方に設けられた凸部と、他方に設けられた凹部とからなり、前記凸部と前記凹部の嵌合により、前記第2のヘッドホルダを主走査方向に位置決めすることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像記録装置。
【請求項4】
1枚の前記記録媒体への画像記録が完了するまでに、前記記録媒体は、予め設定された回数を前記ラインヘッドの直下を通過するとともに、前記ヘッド微小移動部により、前記ラインヘッドを主走査方向に微小移動させて、画像記録を行うことを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか1つに記載の画像記録装置。
【請求項5】
前記微小移動部と前記主走査方向位置決め部とを設けた前記第2のヘッドホルダにおける前記幅方向の同一端側に、前記第2のヘッドホルダを固定する又は、着脱自在に開放する固定レバーを設けたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1つに記載の画像記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−135989(P2012−135989A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−291168(P2010−291168)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】