説明

画像診断装置及び画像診断装置のスキャンデータ送信方法

【課題】画像診断装置において、回転体と支持体との間に設けられてスキャンデータが送信される送信経路の一部で不具合が生じた場合でも、スキャンを停止させることなく続行し、しかも、得られる被検体の検出画像の品質を維持する。
【解決手段】被検体の回りを回転する回転体1とこの回転体1を回転可能に支持する支持体2とを有し、回転体1に設けられたスキャンデータ取得部4で取得した被検体のスキャンデータを回転体1と支持体2との間に設けられた複数の送信経路20を使用して回転体1側から支持体2側に送信する画像診断装置において、支持体2側で受信したスキャンデータに異常が有ると検出した場合、異常が有ると検出されたスキャンデータに対応付けられて回転体1側のスキャンデータ保存部5に保存されたスキャンデータを、異常が有ると検出されたスキャンデータが送信された送信経路20と異なる他の送信経路20を使用して支持体2側に再送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、画像診断装置及び画像診断装置のスキャンデータ送信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、被検体の検出画像を得る画像診断装置として、X線CT装置やPET(Positron
Emission Tomography)−CT装置等が普及している。これらの画像診断装置は、X線管とX線検出器とを保持して被検体の回りを回転する回転体と、この回転体を回転可能に支持する支持体とを有し、X線管から照射されて被検体を透過したX線をX線検出器で検出することにより被検体のスキャンデータを取得している。
【0003】
回転体と支持体との間には、X線検出器で取得した被検体のスキャンデータを支持体側に設けられている画像処理部に送信するための複数の送信経路が設けられている。この送信経路としては、光通信や無線通信などの手法を用いた非接触タイプのものが一般化している。
【0004】
このような送信経路において故障などの不具合が発生すると、その不具合が発生した送信経路を使用して送信されたスキャンデータに異常が発生する。そして、送信経路の不具合が送信経路の一部で発生した場合であっても、スキャンデータを取得するためのスキャンが停止されていた。
【0005】
そこで、下記特許文献1に記載されたように、送信経路の一部で故障などの不具合が発生した場合、不具合が発生していない他の送信経路を用いてスキャンデータの送信を行うようにした画像診断装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−253627号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載された画像診断装置においては、送信経路の一部で不具合が発生した場合、回転体の回転速度を遅くしたり、使用するX線検出器の検出素子列数を減らしたりする縮退運転モードに切替えてスキャンを継続するため、得られる被検体の検出画像の品質が低下している。
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、回転体と支持体との間に設けられてスキャンデータが送信される送信経路の一部に故障などの不具合が発生し、その送信経路を送信されたスキャンデータに異常が発生した場合において、スキャンを停止させることがなく、しかも、得られる被検体の検出画像の品質を維持することができる画像診断装置及び画像診断装置のスキャンデータ送信方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施形態の画像診断装置は、被検体の回りを回転する回転体とこの回転体を回転可能に支持する支持体とを有し、回転体に設けられたスキャンデータ取得部で取得した被検体のスキャンデータを回転体と支持体との間に設けられた複数の送信経路を使用して回転体側から支持体側に送信する画像診断装置において、回転体に設けられてスキャンデータを保
存するスキャンデータ保存部と、支持体側で受信したスキャンデータの異常の有無を検出する異常有無検出部と、異常有無検出部がスキャンデータに異常が有ることを検出した場合、スキャンデータ保存部に保存されたスキャンデータであって異常が有ることを検出されたスキャンデータに対応付けられたスキャンデータをスキャンデータ保存部から呼び出し、呼び出したスキャンデータを異常が有ることを検出されたスキャンデータが送信された送信経路と異なる他の送信経路を使用して支持体側に再送信する再送信部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1の実施形態のX線CT装置における制御部の構成を示すブロック図である。
【図2】第1の実施形態におけるスキャンデータ送信方法を説明するフローチャートである。
【図3】第2の実施形態のX線CT装置における制御部の構成を示すブロック図である。
【図4】第2の実施形態におけるスキャンデータ送信方法を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態を図1及び図2に基づいて説明する。図1は、第1の実施形態の画像診断装置であるX線CT装置における制御部の構成を示すブロック図である。このX線CT装置は、寝台(図示せず)上に載置された被検体(図示せず)の回りを回転する回転体1と、回転体1を回転可能に支持する支持体2とを備えている。
【0012】
回転体1には、被検体に対してX線を照射するX線管3と、被検体を透過したX線を検出することにより被検体のスキャンデータを取得するスキャンデータ取得部であるX線検出器4と、X線検出器4で取得したスキャンデータを保存するスキャンデータ保存部5と、回転体1側の各部を制御する回転体側制御部6とが設けられている。スキャンデータ保存部5に保存されたスキャンデータは、一定長さごとに分割されている。
【0013】
支持体2には、X線検出器4で取得されたスキャンデータに基づいて被検体の検出画像を作成する画像処理部7と、支持体2側の各部を制御する支持体側制御部8とが設けられている。
【0014】
回転体側制御部6には、制御のための各種演算等を行うメイン制御部9と、支持体2側の支持体側制御部8との間でスキャンデータや各種信号の送受信を行う回転体側送受信部10と、支持体側制御部8に送信されるスキャンデータに対して或る計算式に従った計算を行いその計算結果を送信されるスキャンデータに添付する回転体側計算部11と、送信経路情報添付部12と、スキャンデータ消去部13と、再送信部14とが設けられている。
【0015】
支持体側制御部8に送信されるスキャンデータは、一定長さごとに分割されている。送信されるスキャンデータの分割長さと、スキャンデータ保存部5に保存されるスキャンデータの分割長さとは同じ長さであり、即ち、スキャンデータ保存部5には支持体側制御部8に送信されたスキャンデータと同じものが保存されている。スキャンデータ保存部5に保存されたスキャンデータと支持体側制御部8に送信されたスキャンデータとの同じものには、目印となる情報が添付されて対応付けられている。送信経路情報添付部12とスキャンデータ消去部13と再送信部14とについては、後から説明する。
【0016】
支持体側制御部8には、制御のための各種演算等を行うメイン制御部15と、回転体1側の支持体側制御部8との間でスキャンデータや各種信号の送受信を行う支持体側送受信部16と、支持体側送受信部16で受信したスキャンデータに対して回転体側計算部11での計算と同じ計算式に従った計算を行う支持体側計算部17と、支持体側送受信部16で受信したスキャンデータの異常の有無を検出する異常有無検出部18とが設けられている。
【0017】
異常有無検出部18では、回転体側計算部11での計算結果と支持体側計算部17での計算結果とを比較し、その計算結果が異なる場合にはスキャンデータに異常が有ることを検出し、その計算結果が同じ場合にはスキャンデータに異常が無いことを検出する。異常有無検出部18がスキャンデータに異常があることを検出した場合は、支持体側制御部8から回転体側制御部6に対して異常検出信号が送信される。一方、異常有無検出部18がスキャンデータに異常が無いことを検出した場合は、支持体側制御部8から回転体側制御部6に対して異常無し信号が送信される。
【0018】
また、支持体側制御部8には、X線CT装置の操作部19が接続されている。操作部19では、X線CT装置を駆動させて被検体の検出画像を得るための各種操作が行われ、その操作に応じた信号が操作部19から支持体側制御部8に送信される。
【0019】
回転体側送受信部10と支持体側送受信部16との間には、複数の送信経路20が設けられている。これらの送信経路20を用いて、回転体側送受信部10と支持体側送受信部16との間でスキャンデータや各種信号の送受信が行われる。
【0020】
回転体側制御部6に設けられている送信経路情報添付部12は、スキャンデータが送信経路20を送信される場合、そのスキャンデータがどの送信経路20を送信されたかを示す送信経路情報を送信される各スキャンデータに添付する。支持体側制御部8で受信されたスキャンデータに送信経路情報が添付されていることにより、異常有無検出部18でスキャンデータに異常が有ることを検出された場合、そのスキャンデータに添付されている送信経路情報を見ることにより、そのスキャンデータがどの送信経路20を送信されたかを容易に知ることができる。
【0021】
回転体側制御部6に設けられているスキャンデータ消去部13は、支持体側制御部8で受信したスキャンデータに異常が無いことが異常有無検出部18で検出され、支持体側制御部8から回転体側制御部6に異常無し信号が送信された場合、スキャンデータ保存部5に保存されたスキャンデータであって異常が無いことを検出されたスキャンデータに対応付けられたスキャンデータを、スキャンデータ保存部5から消去する。
【0022】
回転体側制御部6に設けられている再送信部14は、支持体側制御部8で受信したスキャンデータに異常が有ることを異常有無検出部18が検出し、支持体側制御部8から回転体側制御部6に異常検出信号が送信された場合、スキャンデータ保存部5に保存されたスキャンデータであって異常が有ることを検出されたスキャンデータに対応付けられたスキャンデータをスキャンデータ保存部5から呼び出し、呼び出したスキャンデータを支持体側制御部8に再送信する。この場合の再送信では、異常が有ることを検出されたスキャンデータが送信された送信経路20と異なる他の送信経路20が使用される。
【0023】
図2は、第1の実施形態のX線CT装置におけるスキャンデータ送信方法について説明するフローチャートである。
【0024】
操作部19から支持体側制御部8に対してスキャン指示が行われると(ステップS1)、このスキャン指示に基づいて支持体側制御部8から回転体側制御部6へスキャン実行信
号が送信され(ステップS2)、スキャンが実行され(ステップS3)、スキャンデータが取得される。
【0025】
スキャンデータが取得されると、取得されたスキャンデータはスキャンデータ保存部5に保存される(ステップS4)。スキャンデータ保存部5へのスキャンデータの保存は、スキャンデータを一定長さごとに分割して行われる。
【0026】
また、取得されたスキャンデータは、スキャンデータ保存部5に保存するために分割された一定長さと同じ長さごとに支持体側制御部8に送信され、送信されるスキャンデータに対して異常検出のための或る計算式に従った計算が回転体側計算部11で行われる(ステップS5)。
【0027】
回転体側計算部11での計算結果は送信されるスキャンデータに添付され、さらに、送信されるスキャンデータに対して送信される送信経路20を示す送信経路情報が添付され、これらの計算結果と送信経路情報とが添付されたスキャンデータが支持体側制御部8に送信される(ステップS6)。
【0028】
スキャンデータが支持体側制御部8で受信されると、受信したスキャンデータに対し、回転体側計算部11での計算と同じ計算式に従った異常検出のための計算が支持体側計算部17で行われる(ステップS7)。
【0029】
支持体側計算部17での計算が行われると、回転体側計算部11で計算された計算結果と、支持体側計算部17で計算された計算結果とが同じであるか否かが異常有無検出部18で検出される(ステップS8)。回転体側計算部11での計算結果と支持体側計算部17での計算結果とが異なる場合には、異常有無検出部18は、支持体側制御部8で受信したスキャンデータに異常が有ることを検出する。一方、回転体側計算部11での計算結果と支持体側計算部17での計算結果とが同じである場合には、異常有無検出部18は、支持体側制御部8で受信したスキャンデータに異常が無いことを検出する。このスキャンデータの異常は、送信経路20の一部に故障などの不具合が発生し、スキャンデータがその不具合が発生した送信経路20を送信されたことが原因となって発生する場合が多い。
【0030】
異常有無検出部18が、スキャンデータに異常が有ることを検出した場合には(ステップS8のNO)、支持体側制御部8から回転体側制御部6に対して異常検出信号が送信される(ステップS9)。
【0031】
回転体側制御部6に異常検出信号が送信されると、回転体側制御部6では、異常が有ることを検出されたスキャンデータに対応付けられているスキャンデータがスキャンデータ保存部5から呼び出される(ステップS10)。呼び出されたスキャンデータに対しては、ステップS5での計算が行われ、この計算結果と支持体側制御部8に送信される場合に使用される送信経路20の送信経路情報とが添付され、支持体側制御部8に送信(再送信)される(ステップS6)。この場合、異常が有ることを検出されたスキャンデータが送信された送信経路20と異なる他の送信経路20を使用して再送信される。支持体側制御部8に再送信されたスキャンデータに対しては、ステップS7の支持体側計算部17での計算が行われ、ステップS8の異常有無検出部18による異常の有無の検出が行われる。
【0032】
異常有無検出部18がスキャンデータに異常が無いことを検出した場合には(ステップS8のYES)、スキャンデータに異常が無いことを示す異常無し信号が支持体側制御部8から回転体側制御部6に送信される(ステップS11)。
【0033】
回転体側制御部6に異常無し信号が送信されると、回転体側制御部6では、スキャンデ
ータ保存部5に保存されたスキャンデータであって異常が無いことを検出されたスキャンデータに対応付けられたスキャンデータがスキャンデータ消去部13により消去される(ステップS12)。
【0034】
その後、スキャンが終了したか否かが検出され(ステップS13)、スキャンが終了しない場合にはステップS3に戻り、スキャンが終了した場合には一連のスキャンデータ送信が終了する。
【0035】
このような構成において、X線検出器4で取得された被検体のスキャンデータは、スキャンデータ保存部5に保存されるとともに、送信経路20を使用して支持体側制御部8に送信され、画像処理部7で画像処理が行われる。なお、送信されたスキャンデータとスキャンデータ保存部5に保存されたスキャンデータとには同じものが存在し、同じもの同士はそれぞれ対応付けられている。
【0036】
ここで、送信経路20を使用して支持体側制御部8に送信されたスキャンデータにおいて、送信経路20の不具合が原因となって異常が発生する場合があり、このスキャンデータの異常は支持体側制御部8の異常有無検出部18で検出される。異常有無検出部18でスキャンデータに異常が有ることを検出された場合には、支持体側制御部8から回転体側制御部6に対して異常検出信号が送信される。この異常検出信号が送信されると、スキャンデータ保存部5に保存されたスキャンデータであって異常が有ることを検出されたスキャンデータに対応付けられたスキャンデータがスキャンデータ保存部5から呼び出され、呼び出されたスキャンデータが支持体側制御部8に再送信され、再送信されたスキャンデータを用いて画像処理部7で画像処理が行われる。再送信されるスキャンデータは、異常が有ることを検出されたスキャンデータが送信された送信経路20と異なる他の送信経路20を使用して送信される。このため、再送信されたスキャンデータにおいて送信経路20の不具合が原因となる異常の発生を防止することができる。
【0037】
したがって、送信経路20の一部に不具合が発生したために支持体側制御部8に送信されたスキャンデータに異常が発生しても、被検体のスキャンを停止させることなく、しかも、回転体1の回転速度を遅くしたり、使用するX線検出器4の検出素子列数を減らしたりすることなくスキャンを継続することができ、得られる被検体の検出画像の品質を維持することができる。
【0038】
異常有無検出部18では、支持体側制御部8で受信したスキャンデータについて、回転体側計算部11で行われた計算結果と支持体側計算部17で行われた計算結果とを比較し、計算結果が異なる場合にスキャンデータに異常が有ることを検出し、計算結果が同じ場合にはスキャンデータに異常が無いことを検出する。このため、スキャンデータの異常の有無の検出を容易に行うことができる。
【0039】
回転体側制御部6から支持体側制御部8へ送信経路20を使用して送信されるスキャンデータには、そのスキャンデータがどの送信経路20を使用して送信されたかを示す送信経路情報が添付されている。このため、スキャンデータに異常が有ることを検出された場合、そのスキャンデータがどの送信経路20を使用して送信されたかを容易に確認することができ、スキャンデータの再送信時には異常が有ることを検出されたスキャンデータが送信された送信経路20と異なる他の送信経路20を確実に使用することができる。
【0040】
支持体側制御部8で受信されたスキャンデータについて、異常が無いことを異常有無検出部18が検出した場合には、支持体側制御部8から回転体側制御部6へ異常無し信号が送信される。この異常無し信号が送信された場合には、回転体側制御部6では、スキャンデータ保存部5に保存されたスキャンデータであって異常が無いことを検出されたスキャ
ンデータに対応付けられたスキャンデータがスキャンデータ消去部13により消去される。このため、スキャンデータ保存部5の記憶容量を小さくすることができ、小型で安価なスキャンデータ保存部5を使用することができる。
【0041】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態を図3及び図4に基づいて説明する。なお、図1及び図2において説明した構成要素と同じ構成要素には同じ符号を付け、重複する説明は省略する。
【0042】
第2の実施形態と第1の実施形態との基本的構成は同じであり、異なる点は、異常有無検出部18によりスキャンデータに異常が有ることを検出された場合において、スキャンデータ保存部5から再送信されるスキャンデータの内容である。
【0043】
図3は、第2の実施形態のX線CT装置における制御部の構成を示すブロック図である。このX線CT装置は、被検体(図示せず)の回りを回転する回転体1Aと、回転体1Aを回転可能に支持する支持体2Aとを備えている。
【0044】
回転体1Aには、X線管3と、X線検出器4と、スキャンデータ保存部5と、回転体1A側の各部を制御する回転体側制御部6Aとが設けられている。
【0045】
支持体2Aには、画像処理部7と、支持体2A側の各部を制御する支持体側制御部8Aとが設けられている。
【0046】
回転体側制御部6Aには、メイン制御部9と、回転体側送受信部10と、回転体側計算部11と、送信経路情報添付部12と、再送信部14Aとが設けられている。再送信部14Aについては後から説明する。
【0047】
支持体側制御部8Aには、メイン制御部15と、支持体側送受信部16と、支持体側計算部17と、異常有無検出部18と、検出済スキャンデータ破棄部21とが設けられている。
【0048】
検出済スキャンデータ破棄部21は、支持体側制御部8Aで受信したスキャンデータに異常が有ることを異常有無検出部18で検出した場合、その異常が検出されたスキャンデータが送信された送信経路20を使用して送信されたスキャンデータであって、異常有無検出部18による異常有無の検出時には異常が無いと検出された検出済みのスキャンデータを破棄する。
【0049】
回転体側制御部6Aに設けられている再送信部14Aは、異常有無検出部18がスキャンデータに異常が有ることを検出した場合、スキャンデータ保存部5に保存されたスキャンデータであって異常が有ることを検出されたスキャンデータに対応付けられたスキャンデータに加え、検出済スキャンデータ破棄部21によって破棄されたスキャンデータに対応付けられたスキャンデータをスキャンデータ保存部5から呼び出し、呼び出したスキャンデータを支持体側制御部8Aに再送信する。この場合の再送信では、異常が有ることを検出されたスキャンデータが送信された送信経路20と異なる他の送信経路20が使用される。
【0050】
図4は、第2の実施形態におけるX線CT装置のスキャンデータ送信方法について説明するフローチャートである。
【0051】
ステップS1からステップS8までは、第1の実施形態と同様に行われる。ステップS8において、異常有無検出部18がスキャンデータに異常が無いことを検出した場合には
(ステップS8のYES)、スキャンデータに異常が無いことを示す異常無し信号が支持体側制御部8から回転体側制御部6に送信される(ステップS11)。その後、スキャンが終了したか否かが検出され(ステップS13)、スキャンが終了しない場合にはステップS3に戻り、スキャンが終了した場合には一連のスキャンデータの送信が終了する。
【0052】
一方、ステップS8において、異常有無検出部18がスキャンデータに異常が有ることを検出した場合には(ステップS8のNO)、異常が有ることを検出されたスキャンデータが送信された送信経路20を使用して支持体側制御部8Aに送信されたスキャンデータであって異常有無の検出時には異常が無いと検出された検出済みのスキャンデータが、検出済スキャンデータ破棄部21により破棄される(ステップS14)。
【0053】
ついで、支持体側制御部8Aから回転体側制御部6Aに対して異常検出信号が送信される(ステップS15)。
【0054】
回転体側制御部6Aに異常検出信号が送信されると、スキャンデータ保存部5に保存されたスキャンデータであって異常が有ることを検出されたスキャンデータに対応付けられたスキャンデータに加え、検出済スキャンデータ破棄部21により破棄されたスキャンデータに対応付けられたスキャンデータがスキャンデータ保存部5から呼び出される(ステップS16)。
【0055】
呼び出されたスキャンデータに対しては、ステップS5での計算が行われ、この計算結果と支持体側制御部8に送信される場合に使用される送信経路20の送信経路情報とが添付され、支持体側制御部8に送信(再送信)される(ステップS6)。この場合、異常が有ることを検出されたスキャンデータが送信された送信経路20と異なる他の送信経路20を使用して再送信される。支持体側制御部8に再送信されたスキャンデータに対しては、ステップS7の支持体側計算部17での計算が行われ、ステップS8の異常有無検出部18による異常の有無の検出が行われる。
【0056】
このような構成において、この第2の実施形態によれば、異常有無検出部18によりスキャンデータに異常が有ることを検出され、スキャンデータ保存部5に保存されたスキャンデータを支持体側制御部8Aに再送信する場合、異常が有ることを検出されたスキャンデータに対応付けられたスキャンデータのみでなく、異常が有ることを検出されたスキャンデータが送信された送信経路20を使用して送信された検出済みのスキャンデータに対応付けられたスキャンデータも再送信される。
【0057】
ここで、異常が有ることを検出されたスキャンデータが送信された送信経路20を使用して送信され、異常有無の検出時には異常が無いと検出された検出済みのスキャンデータのなかには、異常が有ってもその異常が検出されなかった可能性がある。そこで、異常が有ることを検出されたスキャンデータが送信された送信経路20を使用して送信され、異常が無いと検出された検出済みのスキャンデータを検出済スキャンデータ破棄部21によって破棄する。そして、破棄したスキャンデータに対応付けられたスキャンデータをスキャンデータ保存部5から呼び出して再送信する。これにより、送信経路20の不具合が原因となって異常が発生している可能性のあるスキャンデータを確実に排除することができ、信頼度の高い高品質の検出画像を得ることができる。
【0058】
以上説明した各実施形態によれば、回転体1のスキャンデータ取得部であるX線検出器4で検出した被検体のスキャンデータを、回転体1を回転可能に支持する支持体2と回転体1との間に設けられた複数の送信経路20を使用して回転体1側から支持体2側に送信し、支持体2側に送信されたスキャンデータに異常が有ることを検出した場合、回転体1に設けられたスキャンデータ保存部5に保存されたスキャンデータであって異常が検出さ
れたスキャンデータに対応付けられているスキャンデータを、異常が検出されたスキャンデータが送信された送信経路20と異なる他の送信経路20を使用して支持体2側に再送信することができる。これにより、送信経路20の一部の不具合が原因で支持体2側に送信されたスキャンデータに異常が発生した場合でも、被検体のスキャンを停止させることがなく、しかも、回転体1の回転速度を遅くしたり、使用するX線検出器4の検出素子列数を減らしたりすることなくスキャンを継続でき、得られる被検体の検出画像の品質を維持することができる。
【0059】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、様々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変更は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0060】
1 回転体
1A 回転体
2 支持体
2A 支持体
3 X線管
4 X線検出器、スキャンデータ取得部
5 スキャンデータ保存部
11 回転体側計算部
12 送信経路情報添付部
13 スキャンデータ消去部
14 再送信部
14A 再送信部
17 支持体側計算部
18 異常有無検出部
20 通信経路
21 検出済スキャンデータ破棄部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体の回りを回転する回転体とこの回転体を回転可能に支持する支持体とを有し、前記回転体に設けられたスキャンデータ取得部で取得した前記被検体のスキャンデータを前記回転体と前記支持体との間に設けられた複数の送信経路を使用して前記回転体側から前記支持体側に送信する画像診断装置において、
前記回転体に設けられて前記スキャンデータを保存するスキャンデータ保存部と、
前記支持体側で受信した前記スキャンデータの異常の有無を検出する異常有無検出部と、
前記異常有無検出部が前記スキャンデータに異常が有ることを検出した場合、前記スキャンデータ保存部に保存された前記スキャンデータであって異常が有ることを検出された前記スキャンデータに対応付けられた前記スキャンデータを前記スキャンデータ保存部から呼び出し、呼び出した前記スキャンデータを異常が有ることを検出された前記スキャンデータが送信された前記送信経路と異なる他の前記送信経路を使用して前記支持体側に再送信する再送信部と、
を備えることを特徴とする画像診断装置。
【請求項2】
前記異常有無検出部が前記スキャンデータに異常が無いことを検出した場合、前記スキャンデータ保存部に保存された前記スキャンデータであって異常が無いことを検出された前記スキャンデータに対応付けられた前記スキャンデータを前記スキャンデータ保存部から消去するスキャンデータ消去部を備えることを特徴とする請求項1記載の画像診断装置。
【請求項3】
前記異常有無検出部が前記スキャンデータに異常が有ることを検出した場合、異常が有ることを検出された前記スキャンデータが送信された前記送信経路を使用して送信された前記スキャンデータであって前記異常有無検出部での検出では異常が無いと検出された検出済みの前記スキャンデータを破棄する検出済スキャンデータ破棄部を有し、
前記再送信部は、前記スキャンデータ保存部に保存された前記スキャンデータであって、異常が検出された前記スキャンデータに対応付けられた前記スキャンデータと、前記検出済スキャンデータ破棄部により破棄された前記スキャンデータに対応付けられた前記スキャンデータとを前記スキャンデータ保存部から呼び出して再送信することを特徴とする請求項1記載の画像診断装置。
【請求項4】
前記支持体側に送信される前記スキャンデータに対して或る計算式に従った計算を行いその計算結果を送信される前記スキャンデータに添付する回転体側計算部と、前記支持体側で受信した前記スキャンデータに対して前記回転体側計算部での計算と同じ計算式に従った計算を行う支持体側計算部とが設けられ、
前記異常有無検出部は、前記回転体側計算部での計算結果と前記支持体側計算部での計算結果とが異なる場合に前記スキャンデータに異常が有ることを検出し、前記計算結果が同じ場合に前記スキャンデータに異常が無いことを検出することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の画像診断装置。
【請求項5】
前記送信経路を送信される前記スキャンデータに、それぞれどの前記送信経路を送信されたかを示す送信経路情報を添付する送信経路情報添付部が設けられていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の画像診断装置。
【請求項6】
前記回転体に、前記被検体に対してX線を照射するX線管と、前記被検体を透過したX線を検出するスキャンデータ取得部であるX線検出器とが設けられていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一項に記載の画像診断装置。
【請求項7】
被検体の回りを回転する回転体に設けられたスキャンデータ取得部により前記被検体のスキャンデータを取得するステップと、
取得した前記スキャンデータを前記回転体に設けられたスキャンデータ保存部に保存するステップと、
取得した前記スキャンデータを、前記回転体側からこの回転体を回転可能に支持する支持体側へこれらの前記回転体と前記支持体との間に設けられた複数の送信経路を使用して送信するステップと、
前記支持体側で受信した前記スキャンデータの異常の有無を検出するステップと、
前記支持体側で受信した前記スキャンデータに異常が有ることを検出した場合に、前記スキャンデータ保存部に保存された前記スキャンデータであって異常が有ることを検出された前記スキャンデータに対応付けられた前記スキャンデータを前記スキャンデータ保存部から呼び出し、呼び出した前記スキャンデータを異常が有ることを検出された前記スキャンデータが送信された前記送信経路と異なる他の前記送信経路を使用して前記支持体側に再送信するステップと、
を備えることを特徴とする画像診断装置のスキャンデータ送信方法。
【請求項8】
前記スキャンデータの異常の有無を検出する前記ステップで異常が無いことを検出された場合、前記スキャンデータ保存部に保存された前記スキャンデータであって異常が無いことを検出された前記スキャンデータに対応付けられた前記スキャンデータを前記スキャンデータ保存部から消去するステップを備えることを特徴とする請求項7記載の画像診断装置のスキャンデータ送信方法。
【請求項9】
前記スキャンデータの異常の有無を検出する前記ステップで異常が有ることを検出された場合、異常が有ることを検出された前記スキャンデータが送信された前記送信経路を使用して送信された前記スキャンデータであって異常の有無を検出する前記ステップでは異常が無いと検出された検出済みの前記スキャンデータを破棄するステップを有し、
前記スキャンデータを再送信する前記ステップでは、前記スキャンデータ保存部に保存された前記スキャンデータであって、異常が有ると検出された前記スキャンデータに対応付けられた前記スキャンデータと、前記ステップにおいて破棄された前記スキャンデータに対応付けられた前記スキャンデータとを前記スキャンデータ保存部から呼び出して再送信することを特徴とする請求項7記載の画像診断装置のスキャンデータ送信方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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