画像診断装置
【課題】画像診断装置を熟知している操作者の操作を学習し、最適な操作ガイドを表示する。
【解決手段】画像診断装置(10)は、被検者の撮像開始から撮像終了までの一連の第1シーケンス及び第2シーケンスの内、一つ一つの操作をA(1)操作からA(n)操作からなるA(i)操作として記憶する操作記録部(175)と、A(i)操作をm個の操作ごとのブロックにまとめるブロック化手段(178)と、ブロック化されたm個の操作に基づいて、A(i)操作に続くA(i+1)操作の確率を計算する確率計算部(176)と、A(i)操作を表示する表示部(180)と、A(i)操作の操作がなされた後、確率が計算された一番高い確率のA(i+1)操作を表示部に表示させる表示制御部(177)と、を備える。
【解決手段】画像診断装置(10)は、被検者の撮像開始から撮像終了までの一連の第1シーケンス及び第2シーケンスの内、一つ一つの操作をA(1)操作からA(n)操作からなるA(i)操作として記憶する操作記録部(175)と、A(i)操作をm個の操作ごとのブロックにまとめるブロック化手段(178)と、ブロック化されたm個の操作に基づいて、A(i)操作に続くA(i+1)操作の確率を計算する確率計算部(176)と、A(i)操作を表示する表示部(180)と、A(i)操作の操作がなされた後、確率が計算された一番高い確率のA(i+1)操作を表示部に表示させる表示制御部(177)と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作ガイド機能を備える画像診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像診断装置を操作する操作者は、医師などの指示に適応する撮影方法を画像診断装置の数十から数百種類ある撮影方法のデータベースの中から選択している。操作者は、指示を満足させる撮影方法を選択するだけでなく、被検者の状態により複数の操作及び撮影の条件を変更するなどして最良の画像を作成している。
【0003】
特許文献1は、最良の画像を作成するために、複数の操作ガイド方法を画像診断装置に用意しておき、手順に従いガイドする機能を提案している。特許文献1に開示された方法は、操作ガイドを表示することで初心者及び臨時の操作者(以下、未習得者と称する。)が画像診断装置を扱うことができるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−158963号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、画像診断装置に用意された操作ガイドは、予め用意されたものである。このため、日々変化する撮影方法、被検者の状態及び画像診断装置の状態に適応する操作ガイドを表示することが難しいという問題がある。
【0006】
本発明は、上記問題に鑑み、操作ガイドに学習機能をもたせて画像診断装置を熟知している操作者(以下、習得者と称する。)の操作を学習し、最適な操作ガイドを表示する画像診断装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の観点は、被検体を撮像する画像診断装置である。画像診断装置は、画像診断装置は被検者の撮像開始から撮像終了までの一連の第1シーケンスの内、一つ一つの操作をA(1)操作からA(n)操作からなるA(i)操作として記憶し、且つ前記第1シーケンスと異なる第2シーケンスに対しても同様にA(i)操作を記憶する操作記録部と、A(i)操作をm個の操作ごとのブロックにまとめるブロック化手段と、ブロック化されたm個の操作に基づいて、A(i)操作に続くA(i+1)操作の確率を計算する確率計算部と、A(i)操作を表示する表示部と、A(i)操作の操作がなされた後、確率が計算された一番高い確率のA(i+1)操作を表示部に表示させる表示制御部と、を備える。
但し、i及びnは自然数、mは自然数でn>m>1を満たす。
【0008】
第2の観点の画像診断装置は、第1の観点に記載の画像診断装置において、操作記録部が、第1目的に応じて第1シーケンスのA(i)操作を記憶し、且つ第1目的とは異なる2目的に応じて第2シーケンスのA(i)操作を記憶し、表示制御部は表示部に画像診断装置を操作して達成しようと試みる第1目的及び前記第2目的を表示させ、表示された第1目的及び第2目的のいずれかが選択された後、確率計算部は選択された第1目的又は第2目的の下でA(i)操作に続くA(i+1)操作の確率を計算する。
【0009】
第3の観点の画像診断装置は、第1の観点又は第2の観点に記載の画像診断装置において、操作記録部に現在行われている動作をA(i)操作として記憶させる学習モードを備え、学習モードが選択された際は、操作記録部は、操作A(i)を記憶する。
【0010】
第4の観点の画像診断装置は、第1の観点から第3の観点のいずれか一項に記載の画像診断装置において、表示制御部が表示部に確率順に複数のA(i+1)操作を表示させる。
【0011】
第5の観点の画像診断装置は、第4の観点に記載の画像診断装置において、表示制御部が、表示部に確率順に複数のA(i+1)操作を異なる強調表示で表示させる。
【0012】
第6の観点の画像診断装置は、第4の観点に記載の画像診断装置において、表示制御部が、表示部に確率順に複数のA(i+1)操作をダイアログボックスで表示させる。
【0013】
第7の観点の画像診断装置は、第1の観点から第6の観点のいずれか一項に記載の画像診断装置において、像診断装置に警告又はトラブルが生じた際に、表示制御部が、表示部に確率の一番高いA(i+1)操作を表示させるとともに次に確率が高いA(i+1)操作を表示させる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の画像診断装置は、学習機能を装備した操作ガイドにより、最適な操作ガイドを適宜表示することで、未習得者においても習熟者と同様な操作が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】磁気共鳴イメージング装置10の概略構成図である。
【図2】第1実施形態の操作記録部のフローチャートである。
【図3】シーケンスSQの操作A(i)を示した図である。
【図4】確率計算部176のフローチャートである。
【図5】(a)は、第10シーケンスSQ10において10個の操作A(1)〜A(10)を図示している。 (b)は、第10シーケンスSQ10が3個ずつのブロックBに分割された例を図示している。
【図6】第1ブロックB1の操作A(1)〜A(3)及び次の操作A(4)の操作内容を示した図である。
【図7】磁気共鳴イメージング装置10のシステム環境設定画面の一例を示した図である。
【図8】操作画面の一例を示した図である。
【図9】図8に示された操作内容の一部であるスキャン条件についての説明である。
【図10】(a)は、次の操作A(i+1)の操作内容を強調表示した図である。 (b)は、操作内容(数値)を確率順に並べた図である。 (c)は、次の操作A(i+1)の操作内容をダイアログボックスDBで表示させた図である。
【図11】第2実施形態の操作記録部のフローチャートである。
【図12】目的PPの選択項目のダイアログボックスDBを示した図である。
【図13】(a)は、第11シーケンスSC11の10個の操作A(i)及び3個の目的PPを示した図である。 (b)は、第11シーケンスSC11が3個ずつに分割された場合を図示している。
【図14】第1ブロックB1において、目的PP(1)及び目的PP(11)が記録されている状態を示した図である。
【図15】目的PPの表示と、次の操作A(i+1)を示した図である。
【図16】警告またはトラブル時のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の実施形態では磁気共鳴イメージング装置用の操作ガイド機能について説明する。しかし、操作ガイド機能は、X線CT装置、核医学装置又は超音波画像診断装置等の画像診断装置においても適用できる。
【0017】
<<第1実施形態>>
<磁気共鳴イメージング装置の構成>
図1は、第1実施形態の磁気共鳴イメージング装置10の概略構成図である。図1を参照して、第1実施形態の磁気共鳴イメージング装置10の構成及びその基本動作について説明する。
【0018】
磁気共鳴イメージング装置10は、マグネットシステム100、勾配コイル駆動部130、RFコイル駆動部140、データ収集部150、パルスシーケンス制御部160、データ処理部170、表示部180及び操作部190を有する。
【0019】
マグネットシステム100は、主磁場コイル部102、勾配コイル部106及びRFコイル部108を有している。これら各コイル部は概ね円筒状の形状を有し、概ね円柱状のボアに互いに同軸状に配置されている。ボア内には被検者SBが寝台110に載置されており、寝台110は、撮影部位に応じて、マグネットシステム100内のボア内を移動可能になっている。
【0020】
主磁場コイル部102は、マグネットシステム100の内部空間に静磁場を形成する。静磁場の方向は、概ね被検者SBの体軸の方向に平行であり水平磁場を形成する。主磁場コイル部102は、通常、超伝導コイルを用いて構成されるが、超伝導コイルに限らず永久磁石等を用いて構成してもよい。
【0021】
勾配コイル部106は、互いに直交する3軸、すなわち、スライス軸、位相軸及び周波数軸の方向において、それぞれ主磁場コイル部102によって形成された静磁場強度に勾配を持たせるための3種の勾配磁場を発生する。このような勾配磁場の発生を可能にするために、勾配コイル部106は、図示しない3系統の勾配コイルを有する。勾配コイル部106には勾配コイル駆動部130が接続されており、勾配コイル駆動部130は勾配コイル部106に駆動信号を与えて勾配磁場を発生させる。勾配コイル駆動部130は、勾配コイル部106における3系統の勾配コイルに対応して、図示しない3系統の駆動回路を有する。
【0022】
RFコイル部108は、静磁場空間に被検者SBの体内のスピンを励起するための高周波磁場を形成する。高周波磁場を形成することをRF励起信号の送信といい、RF励起信号をRFパルスという。RFコイル部108にはRFコイル駆動部140が接続されており、RFコイル駆動部140はRFコイル部108に駆動信号を与え、その駆動信号に基づいてRFコイル部108はRFパルスを送信する。励起されたスピンが生じる電磁波すなわち核磁気共鳴信号は、RFコイル部108によって受信される。RFコイル部108にはデータ収集部150が接続されている。データ収集部150は、RFコイル部108が受信したエコー信号(又はMR受信信号)をデジタルデータとして収集する。
【0023】
勾配コイル駆動部130、RFコイル駆動部140及びデータ収集部150にはパルスシーケンス制御部160が接続されている。
【0024】
シーケンス制御部160は、操作者が入力した撮影条件、すなわち撮影プロトコルに従い、勾配コイル駆動部130及びRFコイル駆動部140を駆動させる。
【0025】
表示部180は、グラフィックディスプレー等で構成されている。表示部180はデータ処理部170に接続されている。表示部180は、操作画面、及び画像再構成された画像などを表示することができる。
【0026】
操作部190は、ポインティングデバイスを有するキーボード等で構成される。操作部190はデータ処理部170に接続されている。操作部190は、操作者によって表示部180を介して操作される。操作部190は、キーボード等の代わりに表示部180にタッチパネルを配置してもよい。
【0027】
データ処理部170は、演算部171、データ記憶部172及び操作記録部175で構成され、各種データの処理及びプログラムを実行する。演算部171は、確率計算部176、表示制御部177及びブロック化手段178を有している。データ記憶部172は、各種撮影プロトコル、各種プログラム及び各種データを記憶し、演算部171を介して適宜読み出しと書き込みが行われる。操作記録部175、確率計算部176、表示制御部177及びブロック化手段178については後述する。
【0028】
データ収集部150が収集した多くの核磁気共鳴信号は、データ処理部170に入力される。データ処理部170は、データ収集部150が収集した撮影データをデータ記憶部172に記憶させる。
【0029】
<操作記録部>
演算部171の操作記録部175は、操作者(習得者)が被検者SBを寝台110に載置して撮像を開始し始める時点から被検者SBを寝台110から下ろす時点までのすべての操作を記録することが可能である。また、操作記録部175は、被検者SBを寝台110に載置して撮像を開始し始める時点から被検者SBを寝台110から下ろす時点までの一部の操作を記憶することも可能である。
【0030】
操作記録部175は、最初の操作を操作A(1)とした場合、被検者SBごとに操作A(1)から操作終了の操作A(n)までを記録する。本実施形態では操作記憶部175は、データ記憶部172と区別して説明されているが、それらが一つの記憶部であってもよい。
【0031】
第1被検者SB1の一連の撮像開始から撮影終了までの操作を第1シーケンスSQ1(図3を参照)とすると、操作記録部175は、複数の操作A(i)からなる第1シーケンスSQ1を記憶する。また、第2被検者SB2の一連の撮像開始から撮影終了までの操作を第2シーケンスSQ2(図3を参照)とすると、操作記録部175は、複数の操作A(i)からなる第2シーケンスSQ2を記憶することができる。なお、iは自然数である。
【0032】
このように、操作記録部175は、被検者SBごとにシーケンスSQを増やすことができ、複数のシーケンスSQがデータベース化される。
【0033】
図2は操作記録部175のフローチャートである。
ステップS01において、習得者は、学習モードのスイッチLM(図7又は図8を参照)を押す。学習モードのスイッチLMが押されると、操作記録部175は、それ以降の習得者の操作を記録する。学習モードになっている場合は、習得者が認識し易いように、学習モードボタンの点灯または表示部の背景色等を変化させる。
【0034】
ステップS02において、操作記録部175は、カウンタiを1にセットする。
ステップS03において、操作記録部175は、習得者の操作内容opとカウンタとを収集する。つまり、操作記録部175は、例えば、操作A(1)が、「A(1)=プロトコル呼出しボタンのオン」などと、記録する。
【0035】
ステップS04において、演算部171は、学習モードのスイッチLM(図7又は図8を参照)が再度押されたかを判断する。再度、スイッチLMが押されると、学習モードは終了する。スイッチLMが再度押されていなければ、ステップS05に移動する。スイッチLMが再度押されると、ステップS06に移動する。なお、学習モードのスイッチLMが再度押されなくても、被検者SBの登録が解除になった場合にも、学習モードは終了する。
【0036】
ステップS05において、操作記録部175は、カウンタiに1を足すことによりiの数を増加させる。そしてステップS03に進み、引き続き操作記録部175は、操作内容とカウンタとを収集する。
【0037】
ステップS06において、操作記録部175は記録された操作の順番及び内容を記憶する。図3は、シーケンスSQの操作A(i)を示した図である。図示されるように、第1シーケンスSQ1においては、A(1)、A(2)、A(3)・・・A(i)、・・A(n)の操作に、それぞれop1、op6、op11、op16・・・op20の操作内容が記録される。第2シーケンスSQ2においては、A(1)、A(2)、A(3)・・・A(i)、・・A(n)の操作に、それぞれop2、op7、op12、op17・・・op1の操作内容が記録される。同様に、操作記録部175は、学習モードのスイッチLMが押されるごとにシーケンスSQを追加し、その操作A(i)を記録する。操作内容op6は、例えば撮影視野FOVを上げる、操作内容op11は、例えば繰り返し時間TRを下げる、操作内容op16は、例えばエコー時間を上げる等である。
【0038】
図3においては、第1シーケンスSQ1から第6シーケンスSQ6までの操作内容の記録が示されている。なお、第1シーケンスSQ1から第5シーケンスSQ5の操作A(1)、A(2)、A(3)、A(4)は、全ての操作内容op1〜op20が異なっている。しかし、第6シーケンスSQ6に示されるように、被検者SBが異なっていても、第1シーケンスSQ1と同様な操作内容opも存在する。記憶されるシーケンスSQが増えるほど、同様な操作内容opが混在してくる。
【0039】
操作記録部175に記憶された操作A(i)はデータベースとして蓄積されて演算部171による解析が可能となっている。
【0040】
<確率計算部及びブロック化手段>
演算部171の確率計算部176は、操作A(i)のデータベースを解析し、操作者が次に行う操作A(i+1)の操作内容opの確率を計算する。
【0041】
確率計算部176及びブロック化手段178は、操作記録部175の学習モードの終了時または所定のタイミングで実行される。ブロック化手段178は、シーケンスSQを1以上の操作A(i)からなるブロックBに分ける。そして確率計算部176は、操作A(i+1)の操作内容opの確率を計算する。
図4は、確率計算部176のフローチャートである。
【0042】
ステップS11において、確率計算部176は、操作記録部175に記憶されたシーケンスSQごとに操作A(i)を読み込む。例えば、図5(a)は、第10シーケンスSQ10において10個の操作A(1)〜A(10)を図示している。確率計算部176は記憶された第10シーケンスSQ10を読み込む。
【0043】
ステップS12において、ブロック化手段178は、シーケンスSQをm個ずつのブロックBに分割する。なお、mは自然数である。例えば、図5(b)は第10シーケンスSQ10が3個ずつに分割された場合を図示している。図示されるように、ブロック化手段178は、m=3として第10シーケンスSQ10を3個ずつのブロックBに分割する。ブロックBは操作A(1)〜A(3)、操作A(2)〜A(4)・・・といった操作A(i)を一つずつずらして3個ずつのブロックBに分割する。10個の操作A(i)からなる第10シーケンスSQ10は、8個のブロックBに分割されることになる。
【0044】
図4に戻り、ステップS13において、確率計算部176は、分割されたブロックBとその次の操作A(i)との操作内容opを記録する。図6は、第1ブロックB1の操作A(1)〜A(3)及び次の操作A(4)の操作内容opを示した図である。図6に示されるように、確率計算部176は、第1ブロックB1の操作A(1)〜A(3)の操作内容を記録していき、同時にその次の操作A(4)の操作内容も記録する。
【0045】
図4に戻り、ステップS14において、確率計算部176は対象となる全てのシーケンスSQが読み込まれたかを判断する。例えば、確率計算部176は、図3で示された第1シーケンスSQ1からSC6も、読み込む。全てのシーケンスSQが読み込まれていない場合はステップS11に戻り、全てのシーケンスSQが読み込まれている場合にはステップS15に移る。
【0046】
ステップS15において、確率計算部176は、m個の連続する操作内容opの次にされる操作内容opの確率を計算する。図6で示されたように、例えば操作A(1)には操作内容op1、op2、op3が記録され、操作A(2)には操作内容op6、op7、op8が記録され、操作A(3)には操作内容op11、op12、op13が記録され、操作A(4)には操作内容op16、op17、op18が記録されている。なお、説明し易いように操作A(1)〜A(4)において全て異なる操作内容opとしている。
【0047】
第1シーケンスSQ1の操作内容が、実線の矢印で示される。第1シーケンスSQ1の操作内容opは、順に操作内容op1、op6、op11、op16と実行された。図3に示された第6シーケンスSQは、破線の矢印で示されるように、操作内容opが順に操作内容op1、op6、op11、op17と実行された。確率計算部176は、操作内容op1、op6、op11の操作パターン後に実行される操作A(i)が、操作内容op16又はop17と計算し、その確率が50%と計算する。また、図3に示された第3シーケンスSQは、操作内容op3、op8、op13の操作パターンしかない。このため、確率計算部176は、その後に実行される操作内容op18を計算し、その確率が100%と計算する。このように確率計算部176は、ブロックBごとに操作内容opを解析し、次に実行される操作内容opとその操作内容opの確率を計算する。
【0048】
以上のようにして、ブロック化手段178は、複数のシーケンスSQをブロックBごとに分割し、確率計算部176は、複数の操作A(i)からなる操作内容の後に、次に実行される操作A(i+1)の操作内容を計算する。なお、シーケンスSQをブロックBに分割するmは、任意に設定できる。また、mは自然数であり、n>m>1の条件を満たす。
<表示制御部>
【0049】
磁気共鳴イメージング装置10の操作において、学習モードのスイッチLMを押すのは、一般に習得者である。複数の習得者が操作した操作内容又は一人の習得者が複数の被検者SBに対して操作した操作内容が、操作記憶部175に記憶される。次に、習得者の操作内容に基づいて、操作ガイドを受けながら、未習得者が磁気共鳴イメージング装置10を操作する。
【0050】
演算部171の表示制御部177は、確率計算部176が計算した確率に基づいて次に実行させる操作内容opを表示部180に表示する。未習得者は習得者の操作方法を表示制御部177の操作ガイドにより提案されるため、最適な磁気共鳴イメージング装置10の操作を行うことが可能となる。
【0051】
図7は、磁気共鳴イメージング装置10のシステム環境設定(system Preference)画面の一例を示した図である。システム環境設定画面は、磁気共鳴イメージング装置10の初期設定を行う画面である。図7に示されたシステム環境設定には、学習モードのスイッチLMをオンオフする項目、又は操作ガイドのスイッチOGをオンオフする項目が含まれる。習得者は、磁気共鳴イメージング装置10に操作内容を操作記憶部175に記憶させる際に、システム環境設定画面で学習モードのスイッチLMをオンする。そして操作内容が操作記憶部175に記憶されたら、習得者は、学習モードのスイッチLMをオフする。
【0052】
次に、習得者は、操作ガイドのスイッチOGをオンにする。操作ガイドのスイッチOGをオンにしておくと、次に磁気共鳴イメージング装置10を使用する未習得者は、システム環境設定画面を見ることなく、操作画面を見ることになる。そして、未習得者は、操作ガイドを受けながら、磁気共鳴イメージング装置10を操作する。以上のように、習得者が、システム環境設定画面を使って学習モード又は操作ガイドを設定する場合には、図8に示される学習モードのスイッチLM及び操作ガイドのスイッチOGは不要になる。
【0053】
一方、システム環境設定で、学習モード又は操作ガイドを設定しないことも可能である。この場合には、図7に学習モードのスイッチLM及び操作ガイドのスイッチOGは不要であり、図8に示される操作画面に学習モードのスイッチLM及び操作ガイドのスイッチOGが表示される。次に、システム環境設定画面でなく、図8に示される操作画面で学習モード及び操作ガイドを設定する場合について説明する。
【0054】
図8は、操作画面の一例を示した図であり、図9は、図8に示された操作内容の一部であるスキャン条件についての説明である。図8に示されるように、操作画面は複数の操作内容を有するため、未習得者は、次の操作はどうすべきか判断に困ることがある。
【0055】
表示制御部177は、操作者(未習得者)が、操作ガイドのスイッチOG(図8を参照)をオンにすることで、操作ガイドを表示させる。以下は表示制御部177の具体的な操作ガイドを示す。
【0056】
表示制御部177は、未操作者が操作ガイドのスイッチOGをオンすることで起動する。図10は図8の領域Gを拡大した図である。
【0057】
これまで、未習得者は、操作A(i−2)、A(i−1)及びA(i)を行っている。そして、未習得者は、次の操作A(i+1)を行う。
【0058】
図10(a)は、次の操作A(i+1)の操作内容を強調表示した図である。表示制御部177は、確率計算部176が計算した確率の高い順番に操作内容を色分けして表示させる。例えば、1番目に確率の高い操作内容を赤色RDで示し、2番目に確率の高い操作内容を黄色YEで示し、3番目に確率の高い操作を青色BLで表示させている。図10(a)では、表示制御部177は、操作内容「Phase」の背景を例えば赤色RDで表示し、操作内容「Frequency」の背景を黄色YEで表示し、操作内容「NEX」の背景を青色BLで表示している。
【0059】
未習得者は、次の操作A(i+1)として、操作内容「Phase」をプルダウンメニューからある値を設定してもよいし、また操作内容「NEX」をプルダウンメニューからある値を設定してもよい。従来の磁気共鳴イメージング装置10は、予め用意された操作ガイドのみであった。しかし、第1実施形態では、未習得者は、確率に基づいて、複数の次の操作A(i+1)の中から1つの操作を選択できる。
【0060】
例えば、未習得者は、次の操作A(i+1)として一番確率の高い「Phase」の操作を選択したとする。図10(b)では、操作内容「Phase」のプルダウンメニューの項目入力値が1番目に「224」、2番目に「192」、3番目に「256」、4番目に「512」、5番目に「160」として並び変えて表示されている。項目入力値の左側の数値は確率の高い順番である。表示制御部177は項目入力値を確率計算部176が計算した確率の高い順に並び変えてプルダウンメニューに表示させる。未習得者は、さらに次の操作A(i+2)として、確率に基づいて、複数の操作A(i+2)の中から1つの操作を選択できる。
【0061】
図10(c)は、図10(a)又は(b)と異なり、次の操作A(i+1)をダイアログボックスDBで表示させた図である。図10(c)において、表示制御部177は、操作内容「Phase」の操作が70%の確率、操作内容「Frequency」の操作が20%の確率、操作内容「NEX」の操作が10%の確率であることが示されている。表示制御部177は、ダイアログボックスDBを図8の領域Hなどに表示したり、自由に移動可能なウィンドウとして表示したりする。なお、確率の高い操作内容を、色(図10(a))と確率表示(図10(c))とを組み合わせて表示するようにしてもよい。
【0062】
確率計算部176は、これまで未習得者が行った操作A(i−2)、A(i−1)及びA(i)に基づいて、次の操作A(i+1)を計算する。表示制御部177は、計算された結果に基づいて、次の操作A(i+1)とその確率とをダイアログボックスDB1に表示する。未習得者は、ダイアログボックスDB1に表示された内容を参考にして、次の操作A(i+1)を選択する。未習得者が操作A(i+1)を選択すると、表示制御部177は次の操作A(i+2)のダイアログボックスDB2が開く。図10(c)では次のダイアログボックスDB1の下側にダイアログボックスDB2が表示されている。
【0063】
未習得者が、ダイアログボックスDB1で示された操作ガイドに基づいて、一番確率の低い、操作内容「Frequency」を選択したとする。すると、確率計算部176は、未習得者が行った操作A(i−1)、A(i)及びA(i+1)に基づいて、次の操作A(i+2)を計算する。図10(c)のダイアログボックスDB2では、操作A(i+1)として操作内容「Frequency」が設定されたため、操作内容「NEX」の操作が80%の確率、操作内容「Scan」の操作が20%の確率であることが示されている。このように、ダイアログボックスDBは一つの操作A(i)が終了する毎に更新される。
【0064】
第1実施形態の磁気共鳴イメージング装置10は、操作記録部175が習得者の操作を記録し、確率計算部176が次の操作の確率を計算する。そして、表示制御部177が、未習得者に理解し易いように、次の操作A(i+1)とその確率とを表示する。未習得者は、習得者と同等な操作をすることができるとともに、次の操作の確率に基づいて、複数の操作の中から1つの操作を選択できる。
【0065】
<<第2実施形態>>
第2実施形態の磁気共鳴イメージング装置10は、目的に応じた操作ガイドを表示させる。第1実施形態での確率計算部176は、操作手順の確率を表示しているだけで、操作目的が表示されていない。このため、未習得者が次の操作の確率だけは次の操作の選択時にその選択に困ることがある。このため、第2実施形態では、習得者の操作目的も操作手順とともに記憶し、未習得者の操作をガイドする磁気共鳴イメージング装置を説明する。第2実施形態の磁気共鳴イメージング装置10は、第1実施形態と基本的に同様な構成である。そのため、同一な構成については説明を省き、同一な符号を用いる。
【0066】
<操作記録部>
第2実施形態の操作記録部175は、目的PPとともに、操作A(1)からA(n)までのシーケンスSQを記憶する。目的PPは、被検者SBをどのように撮影するか等の撮影目的、及び被検者の撮影部位を含む概念である。
【0067】
図11は、操作記録部175のフローチャートである。
ステップS21において、操作者(習得者)は、学習モードのスイッチLM(図8を参照)を押す。学習モードのスイッチLMが押されると、操作記録部175は、それ以降の習得者の操作Aを記録する。
ステップS22において、操作記録部175は、カウンタi及びkを1にセットする。
【0068】
ステップS23において、演算部171は、目的PPを入力するかを判断する。目的PPを入力しない場合はステップS26に進み、目的を入力する場合はステップS24に進む。演算部171は、目的入力ボタンのスイッチPB(図8を参照)が習得者によって押されると、目的PPを入力すると判断し、スイッチPBが押されないと目的PPを入力しないと判断する。
【0069】
ステップS24において、習得者は、操作の目的PPを入力する。目的PPの入力方法は、あらかじめ用意された目的内容を選択する方法、または目的内容を習得者が任意で入力する方法がある。図12は目的PPの選択項目のダイアログボックスDB3を示した図である。ダイアログボックスDB3は図8の領域Hなどに表示させる。ダイアログボックスDB3は、目的PPとして「スキャン時間の短縮」、「画質の改善」、及び「その他の目的」などの選択項目を表示する。習得者は、そのうちの一つを選択する。また、「その他の目的」が選択されると、その他の選択項目の表示、または任意入力の画面を開く。習得者は、任意入力の画面を使って自由に目的PPを入力することができ、その入力値は記憶されて選択項目に追加される。最初に選択された目的は目的PP(1)と定義される。操作記録部175は、例えば、目的PP(1)が「息止め時間の短縮」と記録する。
【0070】
ステップS24で操作の目的PP(1)が選択されると、ステップS25では、操作記録部175は、カウンタkに1を足すことによりkの数を増加させる。
【0071】
ステップS26において、操作記録部175は、習得者の操作内容opを操作A(1)として記憶する。
【0072】
ステップS27において、演算部171は、学習モードが終了されたか否かを判断する。操作記録部175は、学習モードが終了されるまでステップS28に移動し、学習モードが終了されるとステップS29に移動する。
【0073】
ステップS28において、操作記録部175は、カウンタiに1を足すことによりiの数を増加させる。そしてステップS23に進む。そしてステップS23からステップ28までが繰り返される。例えば、習得者が寝台110を被検者SBの頭部を撮影できる位置まで操作を行った後、次に習得者が撮影プロトコルを設定する操作をする際には、ステップS24で、再度目的PP(2)を設定する。操作記録部175は、例えば、目的PP(2)が「画質の改善」と記録する。
【0074】
ステップS29において、操作記録部175は、操作の順番、操作内容op及び操作目的PPを記憶する。図13(a)は、第11シーケンスSQ11の10個の操作A(i)及び3個の目的PPを示した図である。データ記憶部172に記憶された操作A(i)及び目的PPは、データベースとして蓄積されて演算部171による解析が可能となっている。
【0075】
<確率計算部及びブロック化手段>
演算部171の確率計算部176は、操作A(i)及び目的PPが記憶されたデータベースを解析することで、操作者が次に押す操作内容の確率を計算する。
【0076】
確率計算部176及びブロック化手段は、操作記録部175の学習モードの終了時または所定のタイミングで実行される。ブロック化手段178は、シーケンスSQをブロックBに分ける。さらに確率計算部176は、目的PPに応じて次の操作A(i+1)の操作内容opの確率を計算する。確率計算部176は、図4に示された確率計算部176のフローチャートと同様に処理される。以下、第1実施形態の図4のフローチャート処理と第2実施形態との異なる点を説明する。
【0077】
図4のステップS11において、確率計算部176は、シーケンスSQごとに操作A(i)及び目的PPを読み込む。例えば、確率計算部176は、図13(a)に示された10個の操作A(i)及び3個の目的PPを読み込む。
【0078】
図4のステップS12において、ブロック化手段178は、シーケンスSQをm個ずつのブロックBに分割する。例えば、図13(b)は、第11シーケンスSQ11が3個ずつに分割された場合を図示している。ブロック化手段178は、例えばm=3としてシーケンスSQを3個ずつのブロックBに分割する。
【0079】
確率計算部176は、ブロックB内に目的PPの入力があると、その目的PPをそのブロックBに記憶する。また、ブロックB内に目的PPの入力ない場合は一つ前のブロックBで記憶された目的PPを採用して記憶する。
【0080】
例えば、第1ブロックB1は、第1ブロックB1内に存在する目的PP(1)を含む。第2ブロックB2は、第2ブロックB2内に目的PPが存在しないため、前の第1ブロックB1の目的PP(1)を含む。第3ブロックB3及び第4ブロックB4は、第3ブロックB3及び第4ブロックB4内に存在する目的PP(2)を含む。第5ブロックB5は、目的PPが存在しないため、前の第4ブロックB4の目的PP(2)を含む。同様に、第6ブロックB6及び第7ブロックB7は、目的PP(2)を含む。第8ブロックB8は、第8ブロックB8内に存在する目的PP(3)を含む。
【0081】
図4のステップS13及びステップS14において、第1実施形態と同様に、確率計算部176は、分割されたブロックB及びその次の操作A(i)の操作内容opを記録し、対象となる全てのシーケンスSQが読み込まれたかとを判断する。
【0082】
図4のステップS15において、確率計算部176は、目的PPが伴ったm個の連続する操作内容の次の操作A(i+1)の操作内容opの確率を計算する。例えば、図14に示されるように、第11シーケンスSQ11は、実線で示されるように操作内容op1、op6、op11、op16が実行され、第12シーケンスSQ12は、破線の矢印で示されるように、順に操作内容op1、op6、op11、op17が実行されている。第1ブロックB1内では、第11シーケンスSQ11及び第12シーケンスSQ12は、同じ操作内容opである。しかし、第11シーケンスSQ11は、操作A(1)と操作A(2)との間に目的PP(1)を有している。一方、第12シーケンスSQ12は操作A(2)と操作A(3)との間に、目的PP(1)とは異なる目的PP(11)を有している。
【0083】
第1実施形態のように、目的PPを有しないシーケンスでは、次の操作A(4)で操作内容op16が行われる確率は50%になり、操作内容op17が行われる確率は50%になる。一方、第2実施形態のように、目的を有するシーケンスでは、確率計算部176は、目的PPに応じた次の操作A(4)の確率を計算する。目的が目的PP(1)であれば、次の操作A(4)は、操作内容op16が100%の確率である。目的が目的PP(11)であれば、次の操作A(4)は、操作内容op17の確率が100%である。このようにブロックB内が同じ操作内容opがあっても、次の操作A(i+1)は、目的PPが入力されることで限定される。未習得者は、目的に応じて操作を的確に行うことができる。
【0084】
<表示制御部>
次に未習得者が、操作ガイドを受けながら、未習得者が磁気共鳴イメージング装置10を操作する。
演算部171の表示制御部177は、確率計算部176で解析した目的PPを表示し、さらに次の操作A(i+1)を表示する。図15は、目的PPの表示と、次の操作A(i+1)を示した図である。未習得者が操作A(1)から操作A(3)(操作内容op1、op6、op11)まで操作すると、確率計算部176は、データベースに記録された同じ操作が検索する。第1ブロックB1において、目的PP(1)及び目的PP(11)の入力が記録されているので、表示制御部177は、目的PP(1)及び目的PP(11)を表示する。未習得者が目的PP(1)を選択すると、表示制御部177は、確率計算部176の確率から、操作内容op16を表示する。また、未習得者が目的PP(11)を選択すると、表示制御部177は、操作内容op17を表示する。これにより、未習得者は、所望する操作目的を選択することで目的にあった操作A(i+1)を行うことが可能となる。なお、1つの目的PPを選択しても、複数の操作内容がある場合には、表示制御部177は、図10に示されたように確率順に次の操作A(i+1)を表示する。
【0085】
表示制御部177は、未習得者が操作ガイドのスイッチOGをオンにすることで操作ガイドのダイアログボックスDBを表示させる。表示制御部177は、目的PPを図12で示されたダイアログボックスDBを用いて操作目的を未習得者に選択させる。未習得者は、表示された「スキャン時間の短縮」、「画質の改善」、「撮影部位」、「その他の目的」などの選択項目から1つの目的を選択する。
【0086】
第2実施形態の磁気共鳴イメージング装置10では、操作記録部175が習得者の操作目的と操作とを記録し、確率計算部176が、ブロックBから操作目的PPと次の操作A(i+1)との確率を計算する。そのため、磁気共鳴イメージング装置10は、未習得者に操作目的に応じた最適な操作を可能にさせる。
【0087】
<<第3実施形態>>
第3実施形態の操作記録部175は、警告またはトラブルに対して、未習得者に対応させることも可能である。通常の操作状況において、未習得者は、突発的な警告またはトラブルに対応できないことが多い。操作記録部175は、警告またはトラブルに対して、習得者が採った複数の操作Aを記録する。そして、未習得者が同様な警告またはトラブルに遭遇した際に、表示制御部177は、警告またはトラブルに対応する、次の操作A(i+1)を表示する。
【0088】
警告には、軽微な警告から重度の警告まで様々ある。このため、未習得者は表示された警告に対して操作を続行してよいものか、パラメータの変更をすればよいのかの判断に迷う。軽度の警告の一例として、SAR(specific absorption rate:比吸収率)の警告がある。SARは、磁気共鳴イメージング装置10におけるRFパルスを被検者SBに用いた場合のジュール熱の発生状況を示している。SARは、磁気共鳴イメージング装置10ごとに設定値が設定されている。磁気共鳴イメージング装置10の操作中にSARが設定値以上になると、演算部171は警告表示を行う。
【0089】
図16は、警告またはトラブル時のフローチャートである。
ステップS31において、操作者(習得者)は、エラー記録モードのスイッチER(図8を参照)を押す。操作記録部175は、エラー記録モードのスイッチERが押されると、習得者が認識し易いようにエラー記録モードのボタンの点灯または表示部の背景色を変化させる。
【0090】
ステップS32において、操作記録部175は、発生した警告またはトラブルを記録する。また、操作記録部175はエラー記録モードのスイッチERが押された一つ前の事象(警告またはトラブル)を記録する。
ステップS33において、操作記録部175はカウンタiを1にセットする。
【0091】
ステップS34において、操作記録部175は、操作A(i)として、習得者が操作する操作内容opとカウンタとを収集する。操作A(i)に、習得者の任意のコメントが付け加えられてもよい。例えば、習得者が例えばトラブル対処方法などのコメントを入力し、操作記録部175は、そのコメントを記憶することが可能である。未習得者は、警告またはトラブルの情報を共有することが可能であり、警告またはトラブルを解決する手法の一手段をしてコメントを利用することが可能である。
【0092】
ステップS35において、演算部171は、エラー記録モードを終了するかを判断する。操作記録部175は、エラー記録モードが終了されるまでステップS36に移動し、操作A(i)を記録する。習得者が点灯しているスイッチERを再度押すと、エラー記録モードが終了し、ステップS37に移動する。
【0093】
ステップS36において、操作記録部175は、カウンタiに1を足すことによりiの数を増加させる。
【0094】
ステップS37において、操作記録部175は、操作A(i)を全て記憶する。
確率計算部176は、第1実施形態と同様に次の操作A(i+1)の確率を算出する。
【0095】
未習得者が、磁気共鳴イメージング装置10を操作中に、警告またはトラブルが表示された場合、未習得者は、操作ガイドのスイッチOG(図8を参照)を押す。すると、表示制御部177は、図10に示されたように、次の操作A(i+1)を、確率順に色付けしたり、ダイアログボックスDBを表示したりする。
【0096】
第3実施形態の磁気共鳴イメージング装置10は、警告またはトラブルの発生時に操作記録部175が警告またはトラブルと共に習得者の操作及びコメントを記録する。そして、確率計算部176が、警告またはトラブル後の操作と確率を計算する。さらに、表示制御部177が、未習得者に警告またはトラブルの回避方法を提示して最適な操作を行わせることができる。
【0097】
上述したように、本件は第1実施形態から第3実施形態を説明した。これらいずれの実施形態でも、予め記憶された画一的な操作ガイドではなく、病院毎、操作者毎又は被検者毎に、磁気共鳴イメージング装置10の操作方法が学習される。そのため、未習得者は、より柔軟的に磁気共鳴イメージング装置10を操作することができる。
【符号の説明】
【0098】
10 … 磁気共鳴イメージング装置
100 … マグネットシステム、110 … 寝台
102 … 主磁場コイル部、106 … 勾配コイル部、108 … コイル部
130 … 勾配コイル駆動部
140 … コイル駆動部、150 … データ収集部
160 … パルスシーケンス制御部、170 … データ処理部
171 … 演算部、172 … データ記憶部
175 … 操作記録部、176 … 確率計算部
177 … 表示制御部、180 … 表示部、190 … 操作部
B … ブロック
BL … 青色、RD … 赤色、YE … 黄色
DB(DB1、DB2、DB3) … ダイアログボックス
ER … エラー記録モードスイッチ
G、H … 領域
i、k … カウンタ
LM … 学習モードスイッチ
OG … 操作ガイドスイッチ
PB … 目的ボタンスイッチ
SB … 被検者
SC … シーケンス
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作ガイド機能を備える画像診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像診断装置を操作する操作者は、医師などの指示に適応する撮影方法を画像診断装置の数十から数百種類ある撮影方法のデータベースの中から選択している。操作者は、指示を満足させる撮影方法を選択するだけでなく、被検者の状態により複数の操作及び撮影の条件を変更するなどして最良の画像を作成している。
【0003】
特許文献1は、最良の画像を作成するために、複数の操作ガイド方法を画像診断装置に用意しておき、手順に従いガイドする機能を提案している。特許文献1に開示された方法は、操作ガイドを表示することで初心者及び臨時の操作者(以下、未習得者と称する。)が画像診断装置を扱うことができるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−158963号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、画像診断装置に用意された操作ガイドは、予め用意されたものである。このため、日々変化する撮影方法、被検者の状態及び画像診断装置の状態に適応する操作ガイドを表示することが難しいという問題がある。
【0006】
本発明は、上記問題に鑑み、操作ガイドに学習機能をもたせて画像診断装置を熟知している操作者(以下、習得者と称する。)の操作を学習し、最適な操作ガイドを表示する画像診断装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の観点は、被検体を撮像する画像診断装置である。画像診断装置は、画像診断装置は被検者の撮像開始から撮像終了までの一連の第1シーケンスの内、一つ一つの操作をA(1)操作からA(n)操作からなるA(i)操作として記憶し、且つ前記第1シーケンスと異なる第2シーケンスに対しても同様にA(i)操作を記憶する操作記録部と、A(i)操作をm個の操作ごとのブロックにまとめるブロック化手段と、ブロック化されたm個の操作に基づいて、A(i)操作に続くA(i+1)操作の確率を計算する確率計算部と、A(i)操作を表示する表示部と、A(i)操作の操作がなされた後、確率が計算された一番高い確率のA(i+1)操作を表示部に表示させる表示制御部と、を備える。
但し、i及びnは自然数、mは自然数でn>m>1を満たす。
【0008】
第2の観点の画像診断装置は、第1の観点に記載の画像診断装置において、操作記録部が、第1目的に応じて第1シーケンスのA(i)操作を記憶し、且つ第1目的とは異なる2目的に応じて第2シーケンスのA(i)操作を記憶し、表示制御部は表示部に画像診断装置を操作して達成しようと試みる第1目的及び前記第2目的を表示させ、表示された第1目的及び第2目的のいずれかが選択された後、確率計算部は選択された第1目的又は第2目的の下でA(i)操作に続くA(i+1)操作の確率を計算する。
【0009】
第3の観点の画像診断装置は、第1の観点又は第2の観点に記載の画像診断装置において、操作記録部に現在行われている動作をA(i)操作として記憶させる学習モードを備え、学習モードが選択された際は、操作記録部は、操作A(i)を記憶する。
【0010】
第4の観点の画像診断装置は、第1の観点から第3の観点のいずれか一項に記載の画像診断装置において、表示制御部が表示部に確率順に複数のA(i+1)操作を表示させる。
【0011】
第5の観点の画像診断装置は、第4の観点に記載の画像診断装置において、表示制御部が、表示部に確率順に複数のA(i+1)操作を異なる強調表示で表示させる。
【0012】
第6の観点の画像診断装置は、第4の観点に記載の画像診断装置において、表示制御部が、表示部に確率順に複数のA(i+1)操作をダイアログボックスで表示させる。
【0013】
第7の観点の画像診断装置は、第1の観点から第6の観点のいずれか一項に記載の画像診断装置において、像診断装置に警告又はトラブルが生じた際に、表示制御部が、表示部に確率の一番高いA(i+1)操作を表示させるとともに次に確率が高いA(i+1)操作を表示させる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の画像診断装置は、学習機能を装備した操作ガイドにより、最適な操作ガイドを適宜表示することで、未習得者においても習熟者と同様な操作が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】磁気共鳴イメージング装置10の概略構成図である。
【図2】第1実施形態の操作記録部のフローチャートである。
【図3】シーケンスSQの操作A(i)を示した図である。
【図4】確率計算部176のフローチャートである。
【図5】(a)は、第10シーケンスSQ10において10個の操作A(1)〜A(10)を図示している。 (b)は、第10シーケンスSQ10が3個ずつのブロックBに分割された例を図示している。
【図6】第1ブロックB1の操作A(1)〜A(3)及び次の操作A(4)の操作内容を示した図である。
【図7】磁気共鳴イメージング装置10のシステム環境設定画面の一例を示した図である。
【図8】操作画面の一例を示した図である。
【図9】図8に示された操作内容の一部であるスキャン条件についての説明である。
【図10】(a)は、次の操作A(i+1)の操作内容を強調表示した図である。 (b)は、操作内容(数値)を確率順に並べた図である。 (c)は、次の操作A(i+1)の操作内容をダイアログボックスDBで表示させた図である。
【図11】第2実施形態の操作記録部のフローチャートである。
【図12】目的PPの選択項目のダイアログボックスDBを示した図である。
【図13】(a)は、第11シーケンスSC11の10個の操作A(i)及び3個の目的PPを示した図である。 (b)は、第11シーケンスSC11が3個ずつに分割された場合を図示している。
【図14】第1ブロックB1において、目的PP(1)及び目的PP(11)が記録されている状態を示した図である。
【図15】目的PPの表示と、次の操作A(i+1)を示した図である。
【図16】警告またはトラブル時のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の実施形態では磁気共鳴イメージング装置用の操作ガイド機能について説明する。しかし、操作ガイド機能は、X線CT装置、核医学装置又は超音波画像診断装置等の画像診断装置においても適用できる。
【0017】
<<第1実施形態>>
<磁気共鳴イメージング装置の構成>
図1は、第1実施形態の磁気共鳴イメージング装置10の概略構成図である。図1を参照して、第1実施形態の磁気共鳴イメージング装置10の構成及びその基本動作について説明する。
【0018】
磁気共鳴イメージング装置10は、マグネットシステム100、勾配コイル駆動部130、RFコイル駆動部140、データ収集部150、パルスシーケンス制御部160、データ処理部170、表示部180及び操作部190を有する。
【0019】
マグネットシステム100は、主磁場コイル部102、勾配コイル部106及びRFコイル部108を有している。これら各コイル部は概ね円筒状の形状を有し、概ね円柱状のボアに互いに同軸状に配置されている。ボア内には被検者SBが寝台110に載置されており、寝台110は、撮影部位に応じて、マグネットシステム100内のボア内を移動可能になっている。
【0020】
主磁場コイル部102は、マグネットシステム100の内部空間に静磁場を形成する。静磁場の方向は、概ね被検者SBの体軸の方向に平行であり水平磁場を形成する。主磁場コイル部102は、通常、超伝導コイルを用いて構成されるが、超伝導コイルに限らず永久磁石等を用いて構成してもよい。
【0021】
勾配コイル部106は、互いに直交する3軸、すなわち、スライス軸、位相軸及び周波数軸の方向において、それぞれ主磁場コイル部102によって形成された静磁場強度に勾配を持たせるための3種の勾配磁場を発生する。このような勾配磁場の発生を可能にするために、勾配コイル部106は、図示しない3系統の勾配コイルを有する。勾配コイル部106には勾配コイル駆動部130が接続されており、勾配コイル駆動部130は勾配コイル部106に駆動信号を与えて勾配磁場を発生させる。勾配コイル駆動部130は、勾配コイル部106における3系統の勾配コイルに対応して、図示しない3系統の駆動回路を有する。
【0022】
RFコイル部108は、静磁場空間に被検者SBの体内のスピンを励起するための高周波磁場を形成する。高周波磁場を形成することをRF励起信号の送信といい、RF励起信号をRFパルスという。RFコイル部108にはRFコイル駆動部140が接続されており、RFコイル駆動部140はRFコイル部108に駆動信号を与え、その駆動信号に基づいてRFコイル部108はRFパルスを送信する。励起されたスピンが生じる電磁波すなわち核磁気共鳴信号は、RFコイル部108によって受信される。RFコイル部108にはデータ収集部150が接続されている。データ収集部150は、RFコイル部108が受信したエコー信号(又はMR受信信号)をデジタルデータとして収集する。
【0023】
勾配コイル駆動部130、RFコイル駆動部140及びデータ収集部150にはパルスシーケンス制御部160が接続されている。
【0024】
シーケンス制御部160は、操作者が入力した撮影条件、すなわち撮影プロトコルに従い、勾配コイル駆動部130及びRFコイル駆動部140を駆動させる。
【0025】
表示部180は、グラフィックディスプレー等で構成されている。表示部180はデータ処理部170に接続されている。表示部180は、操作画面、及び画像再構成された画像などを表示することができる。
【0026】
操作部190は、ポインティングデバイスを有するキーボード等で構成される。操作部190はデータ処理部170に接続されている。操作部190は、操作者によって表示部180を介して操作される。操作部190は、キーボード等の代わりに表示部180にタッチパネルを配置してもよい。
【0027】
データ処理部170は、演算部171、データ記憶部172及び操作記録部175で構成され、各種データの処理及びプログラムを実行する。演算部171は、確率計算部176、表示制御部177及びブロック化手段178を有している。データ記憶部172は、各種撮影プロトコル、各種プログラム及び各種データを記憶し、演算部171を介して適宜読み出しと書き込みが行われる。操作記録部175、確率計算部176、表示制御部177及びブロック化手段178については後述する。
【0028】
データ収集部150が収集した多くの核磁気共鳴信号は、データ処理部170に入力される。データ処理部170は、データ収集部150が収集した撮影データをデータ記憶部172に記憶させる。
【0029】
<操作記録部>
演算部171の操作記録部175は、操作者(習得者)が被検者SBを寝台110に載置して撮像を開始し始める時点から被検者SBを寝台110から下ろす時点までのすべての操作を記録することが可能である。また、操作記録部175は、被検者SBを寝台110に載置して撮像を開始し始める時点から被検者SBを寝台110から下ろす時点までの一部の操作を記憶することも可能である。
【0030】
操作記録部175は、最初の操作を操作A(1)とした場合、被検者SBごとに操作A(1)から操作終了の操作A(n)までを記録する。本実施形態では操作記憶部175は、データ記憶部172と区別して説明されているが、それらが一つの記憶部であってもよい。
【0031】
第1被検者SB1の一連の撮像開始から撮影終了までの操作を第1シーケンスSQ1(図3を参照)とすると、操作記録部175は、複数の操作A(i)からなる第1シーケンスSQ1を記憶する。また、第2被検者SB2の一連の撮像開始から撮影終了までの操作を第2シーケンスSQ2(図3を参照)とすると、操作記録部175は、複数の操作A(i)からなる第2シーケンスSQ2を記憶することができる。なお、iは自然数である。
【0032】
このように、操作記録部175は、被検者SBごとにシーケンスSQを増やすことができ、複数のシーケンスSQがデータベース化される。
【0033】
図2は操作記録部175のフローチャートである。
ステップS01において、習得者は、学習モードのスイッチLM(図7又は図8を参照)を押す。学習モードのスイッチLMが押されると、操作記録部175は、それ以降の習得者の操作を記録する。学習モードになっている場合は、習得者が認識し易いように、学習モードボタンの点灯または表示部の背景色等を変化させる。
【0034】
ステップS02において、操作記録部175は、カウンタiを1にセットする。
ステップS03において、操作記録部175は、習得者の操作内容opとカウンタとを収集する。つまり、操作記録部175は、例えば、操作A(1)が、「A(1)=プロトコル呼出しボタンのオン」などと、記録する。
【0035】
ステップS04において、演算部171は、学習モードのスイッチLM(図7又は図8を参照)が再度押されたかを判断する。再度、スイッチLMが押されると、学習モードは終了する。スイッチLMが再度押されていなければ、ステップS05に移動する。スイッチLMが再度押されると、ステップS06に移動する。なお、学習モードのスイッチLMが再度押されなくても、被検者SBの登録が解除になった場合にも、学習モードは終了する。
【0036】
ステップS05において、操作記録部175は、カウンタiに1を足すことによりiの数を増加させる。そしてステップS03に進み、引き続き操作記録部175は、操作内容とカウンタとを収集する。
【0037】
ステップS06において、操作記録部175は記録された操作の順番及び内容を記憶する。図3は、シーケンスSQの操作A(i)を示した図である。図示されるように、第1シーケンスSQ1においては、A(1)、A(2)、A(3)・・・A(i)、・・A(n)の操作に、それぞれop1、op6、op11、op16・・・op20の操作内容が記録される。第2シーケンスSQ2においては、A(1)、A(2)、A(3)・・・A(i)、・・A(n)の操作に、それぞれop2、op7、op12、op17・・・op1の操作内容が記録される。同様に、操作記録部175は、学習モードのスイッチLMが押されるごとにシーケンスSQを追加し、その操作A(i)を記録する。操作内容op6は、例えば撮影視野FOVを上げる、操作内容op11は、例えば繰り返し時間TRを下げる、操作内容op16は、例えばエコー時間を上げる等である。
【0038】
図3においては、第1シーケンスSQ1から第6シーケンスSQ6までの操作内容の記録が示されている。なお、第1シーケンスSQ1から第5シーケンスSQ5の操作A(1)、A(2)、A(3)、A(4)は、全ての操作内容op1〜op20が異なっている。しかし、第6シーケンスSQ6に示されるように、被検者SBが異なっていても、第1シーケンスSQ1と同様な操作内容opも存在する。記憶されるシーケンスSQが増えるほど、同様な操作内容opが混在してくる。
【0039】
操作記録部175に記憶された操作A(i)はデータベースとして蓄積されて演算部171による解析が可能となっている。
【0040】
<確率計算部及びブロック化手段>
演算部171の確率計算部176は、操作A(i)のデータベースを解析し、操作者が次に行う操作A(i+1)の操作内容opの確率を計算する。
【0041】
確率計算部176及びブロック化手段178は、操作記録部175の学習モードの終了時または所定のタイミングで実行される。ブロック化手段178は、シーケンスSQを1以上の操作A(i)からなるブロックBに分ける。そして確率計算部176は、操作A(i+1)の操作内容opの確率を計算する。
図4は、確率計算部176のフローチャートである。
【0042】
ステップS11において、確率計算部176は、操作記録部175に記憶されたシーケンスSQごとに操作A(i)を読み込む。例えば、図5(a)は、第10シーケンスSQ10において10個の操作A(1)〜A(10)を図示している。確率計算部176は記憶された第10シーケンスSQ10を読み込む。
【0043】
ステップS12において、ブロック化手段178は、シーケンスSQをm個ずつのブロックBに分割する。なお、mは自然数である。例えば、図5(b)は第10シーケンスSQ10が3個ずつに分割された場合を図示している。図示されるように、ブロック化手段178は、m=3として第10シーケンスSQ10を3個ずつのブロックBに分割する。ブロックBは操作A(1)〜A(3)、操作A(2)〜A(4)・・・といった操作A(i)を一つずつずらして3個ずつのブロックBに分割する。10個の操作A(i)からなる第10シーケンスSQ10は、8個のブロックBに分割されることになる。
【0044】
図4に戻り、ステップS13において、確率計算部176は、分割されたブロックBとその次の操作A(i)との操作内容opを記録する。図6は、第1ブロックB1の操作A(1)〜A(3)及び次の操作A(4)の操作内容opを示した図である。図6に示されるように、確率計算部176は、第1ブロックB1の操作A(1)〜A(3)の操作内容を記録していき、同時にその次の操作A(4)の操作内容も記録する。
【0045】
図4に戻り、ステップS14において、確率計算部176は対象となる全てのシーケンスSQが読み込まれたかを判断する。例えば、確率計算部176は、図3で示された第1シーケンスSQ1からSC6も、読み込む。全てのシーケンスSQが読み込まれていない場合はステップS11に戻り、全てのシーケンスSQが読み込まれている場合にはステップS15に移る。
【0046】
ステップS15において、確率計算部176は、m個の連続する操作内容opの次にされる操作内容opの確率を計算する。図6で示されたように、例えば操作A(1)には操作内容op1、op2、op3が記録され、操作A(2)には操作内容op6、op7、op8が記録され、操作A(3)には操作内容op11、op12、op13が記録され、操作A(4)には操作内容op16、op17、op18が記録されている。なお、説明し易いように操作A(1)〜A(4)において全て異なる操作内容opとしている。
【0047】
第1シーケンスSQ1の操作内容が、実線の矢印で示される。第1シーケンスSQ1の操作内容opは、順に操作内容op1、op6、op11、op16と実行された。図3に示された第6シーケンスSQは、破線の矢印で示されるように、操作内容opが順に操作内容op1、op6、op11、op17と実行された。確率計算部176は、操作内容op1、op6、op11の操作パターン後に実行される操作A(i)が、操作内容op16又はop17と計算し、その確率が50%と計算する。また、図3に示された第3シーケンスSQは、操作内容op3、op8、op13の操作パターンしかない。このため、確率計算部176は、その後に実行される操作内容op18を計算し、その確率が100%と計算する。このように確率計算部176は、ブロックBごとに操作内容opを解析し、次に実行される操作内容opとその操作内容opの確率を計算する。
【0048】
以上のようにして、ブロック化手段178は、複数のシーケンスSQをブロックBごとに分割し、確率計算部176は、複数の操作A(i)からなる操作内容の後に、次に実行される操作A(i+1)の操作内容を計算する。なお、シーケンスSQをブロックBに分割するmは、任意に設定できる。また、mは自然数であり、n>m>1の条件を満たす。
<表示制御部>
【0049】
磁気共鳴イメージング装置10の操作において、学習モードのスイッチLMを押すのは、一般に習得者である。複数の習得者が操作した操作内容又は一人の習得者が複数の被検者SBに対して操作した操作内容が、操作記憶部175に記憶される。次に、習得者の操作内容に基づいて、操作ガイドを受けながら、未習得者が磁気共鳴イメージング装置10を操作する。
【0050】
演算部171の表示制御部177は、確率計算部176が計算した確率に基づいて次に実行させる操作内容opを表示部180に表示する。未習得者は習得者の操作方法を表示制御部177の操作ガイドにより提案されるため、最適な磁気共鳴イメージング装置10の操作を行うことが可能となる。
【0051】
図7は、磁気共鳴イメージング装置10のシステム環境設定(system Preference)画面の一例を示した図である。システム環境設定画面は、磁気共鳴イメージング装置10の初期設定を行う画面である。図7に示されたシステム環境設定には、学習モードのスイッチLMをオンオフする項目、又は操作ガイドのスイッチOGをオンオフする項目が含まれる。習得者は、磁気共鳴イメージング装置10に操作内容を操作記憶部175に記憶させる際に、システム環境設定画面で学習モードのスイッチLMをオンする。そして操作内容が操作記憶部175に記憶されたら、習得者は、学習モードのスイッチLMをオフする。
【0052】
次に、習得者は、操作ガイドのスイッチOGをオンにする。操作ガイドのスイッチOGをオンにしておくと、次に磁気共鳴イメージング装置10を使用する未習得者は、システム環境設定画面を見ることなく、操作画面を見ることになる。そして、未習得者は、操作ガイドを受けながら、磁気共鳴イメージング装置10を操作する。以上のように、習得者が、システム環境設定画面を使って学習モード又は操作ガイドを設定する場合には、図8に示される学習モードのスイッチLM及び操作ガイドのスイッチOGは不要になる。
【0053】
一方、システム環境設定で、学習モード又は操作ガイドを設定しないことも可能である。この場合には、図7に学習モードのスイッチLM及び操作ガイドのスイッチOGは不要であり、図8に示される操作画面に学習モードのスイッチLM及び操作ガイドのスイッチOGが表示される。次に、システム環境設定画面でなく、図8に示される操作画面で学習モード及び操作ガイドを設定する場合について説明する。
【0054】
図8は、操作画面の一例を示した図であり、図9は、図8に示された操作内容の一部であるスキャン条件についての説明である。図8に示されるように、操作画面は複数の操作内容を有するため、未習得者は、次の操作はどうすべきか判断に困ることがある。
【0055】
表示制御部177は、操作者(未習得者)が、操作ガイドのスイッチOG(図8を参照)をオンにすることで、操作ガイドを表示させる。以下は表示制御部177の具体的な操作ガイドを示す。
【0056】
表示制御部177は、未操作者が操作ガイドのスイッチOGをオンすることで起動する。図10は図8の領域Gを拡大した図である。
【0057】
これまで、未習得者は、操作A(i−2)、A(i−1)及びA(i)を行っている。そして、未習得者は、次の操作A(i+1)を行う。
【0058】
図10(a)は、次の操作A(i+1)の操作内容を強調表示した図である。表示制御部177は、確率計算部176が計算した確率の高い順番に操作内容を色分けして表示させる。例えば、1番目に確率の高い操作内容を赤色RDで示し、2番目に確率の高い操作内容を黄色YEで示し、3番目に確率の高い操作を青色BLで表示させている。図10(a)では、表示制御部177は、操作内容「Phase」の背景を例えば赤色RDで表示し、操作内容「Frequency」の背景を黄色YEで表示し、操作内容「NEX」の背景を青色BLで表示している。
【0059】
未習得者は、次の操作A(i+1)として、操作内容「Phase」をプルダウンメニューからある値を設定してもよいし、また操作内容「NEX」をプルダウンメニューからある値を設定してもよい。従来の磁気共鳴イメージング装置10は、予め用意された操作ガイドのみであった。しかし、第1実施形態では、未習得者は、確率に基づいて、複数の次の操作A(i+1)の中から1つの操作を選択できる。
【0060】
例えば、未習得者は、次の操作A(i+1)として一番確率の高い「Phase」の操作を選択したとする。図10(b)では、操作内容「Phase」のプルダウンメニューの項目入力値が1番目に「224」、2番目に「192」、3番目に「256」、4番目に「512」、5番目に「160」として並び変えて表示されている。項目入力値の左側の数値は確率の高い順番である。表示制御部177は項目入力値を確率計算部176が計算した確率の高い順に並び変えてプルダウンメニューに表示させる。未習得者は、さらに次の操作A(i+2)として、確率に基づいて、複数の操作A(i+2)の中から1つの操作を選択できる。
【0061】
図10(c)は、図10(a)又は(b)と異なり、次の操作A(i+1)をダイアログボックスDBで表示させた図である。図10(c)において、表示制御部177は、操作内容「Phase」の操作が70%の確率、操作内容「Frequency」の操作が20%の確率、操作内容「NEX」の操作が10%の確率であることが示されている。表示制御部177は、ダイアログボックスDBを図8の領域Hなどに表示したり、自由に移動可能なウィンドウとして表示したりする。なお、確率の高い操作内容を、色(図10(a))と確率表示(図10(c))とを組み合わせて表示するようにしてもよい。
【0062】
確率計算部176は、これまで未習得者が行った操作A(i−2)、A(i−1)及びA(i)に基づいて、次の操作A(i+1)を計算する。表示制御部177は、計算された結果に基づいて、次の操作A(i+1)とその確率とをダイアログボックスDB1に表示する。未習得者は、ダイアログボックスDB1に表示された内容を参考にして、次の操作A(i+1)を選択する。未習得者が操作A(i+1)を選択すると、表示制御部177は次の操作A(i+2)のダイアログボックスDB2が開く。図10(c)では次のダイアログボックスDB1の下側にダイアログボックスDB2が表示されている。
【0063】
未習得者が、ダイアログボックスDB1で示された操作ガイドに基づいて、一番確率の低い、操作内容「Frequency」を選択したとする。すると、確率計算部176は、未習得者が行った操作A(i−1)、A(i)及びA(i+1)に基づいて、次の操作A(i+2)を計算する。図10(c)のダイアログボックスDB2では、操作A(i+1)として操作内容「Frequency」が設定されたため、操作内容「NEX」の操作が80%の確率、操作内容「Scan」の操作が20%の確率であることが示されている。このように、ダイアログボックスDBは一つの操作A(i)が終了する毎に更新される。
【0064】
第1実施形態の磁気共鳴イメージング装置10は、操作記録部175が習得者の操作を記録し、確率計算部176が次の操作の確率を計算する。そして、表示制御部177が、未習得者に理解し易いように、次の操作A(i+1)とその確率とを表示する。未習得者は、習得者と同等な操作をすることができるとともに、次の操作の確率に基づいて、複数の操作の中から1つの操作を選択できる。
【0065】
<<第2実施形態>>
第2実施形態の磁気共鳴イメージング装置10は、目的に応じた操作ガイドを表示させる。第1実施形態での確率計算部176は、操作手順の確率を表示しているだけで、操作目的が表示されていない。このため、未習得者が次の操作の確率だけは次の操作の選択時にその選択に困ることがある。このため、第2実施形態では、習得者の操作目的も操作手順とともに記憶し、未習得者の操作をガイドする磁気共鳴イメージング装置を説明する。第2実施形態の磁気共鳴イメージング装置10は、第1実施形態と基本的に同様な構成である。そのため、同一な構成については説明を省き、同一な符号を用いる。
【0066】
<操作記録部>
第2実施形態の操作記録部175は、目的PPとともに、操作A(1)からA(n)までのシーケンスSQを記憶する。目的PPは、被検者SBをどのように撮影するか等の撮影目的、及び被検者の撮影部位を含む概念である。
【0067】
図11は、操作記録部175のフローチャートである。
ステップS21において、操作者(習得者)は、学習モードのスイッチLM(図8を参照)を押す。学習モードのスイッチLMが押されると、操作記録部175は、それ以降の習得者の操作Aを記録する。
ステップS22において、操作記録部175は、カウンタi及びkを1にセットする。
【0068】
ステップS23において、演算部171は、目的PPを入力するかを判断する。目的PPを入力しない場合はステップS26に進み、目的を入力する場合はステップS24に進む。演算部171は、目的入力ボタンのスイッチPB(図8を参照)が習得者によって押されると、目的PPを入力すると判断し、スイッチPBが押されないと目的PPを入力しないと判断する。
【0069】
ステップS24において、習得者は、操作の目的PPを入力する。目的PPの入力方法は、あらかじめ用意された目的内容を選択する方法、または目的内容を習得者が任意で入力する方法がある。図12は目的PPの選択項目のダイアログボックスDB3を示した図である。ダイアログボックスDB3は図8の領域Hなどに表示させる。ダイアログボックスDB3は、目的PPとして「スキャン時間の短縮」、「画質の改善」、及び「その他の目的」などの選択項目を表示する。習得者は、そのうちの一つを選択する。また、「その他の目的」が選択されると、その他の選択項目の表示、または任意入力の画面を開く。習得者は、任意入力の画面を使って自由に目的PPを入力することができ、その入力値は記憶されて選択項目に追加される。最初に選択された目的は目的PP(1)と定義される。操作記録部175は、例えば、目的PP(1)が「息止め時間の短縮」と記録する。
【0070】
ステップS24で操作の目的PP(1)が選択されると、ステップS25では、操作記録部175は、カウンタkに1を足すことによりkの数を増加させる。
【0071】
ステップS26において、操作記録部175は、習得者の操作内容opを操作A(1)として記憶する。
【0072】
ステップS27において、演算部171は、学習モードが終了されたか否かを判断する。操作記録部175は、学習モードが終了されるまでステップS28に移動し、学習モードが終了されるとステップS29に移動する。
【0073】
ステップS28において、操作記録部175は、カウンタiに1を足すことによりiの数を増加させる。そしてステップS23に進む。そしてステップS23からステップ28までが繰り返される。例えば、習得者が寝台110を被検者SBの頭部を撮影できる位置まで操作を行った後、次に習得者が撮影プロトコルを設定する操作をする際には、ステップS24で、再度目的PP(2)を設定する。操作記録部175は、例えば、目的PP(2)が「画質の改善」と記録する。
【0074】
ステップS29において、操作記録部175は、操作の順番、操作内容op及び操作目的PPを記憶する。図13(a)は、第11シーケンスSQ11の10個の操作A(i)及び3個の目的PPを示した図である。データ記憶部172に記憶された操作A(i)及び目的PPは、データベースとして蓄積されて演算部171による解析が可能となっている。
【0075】
<確率計算部及びブロック化手段>
演算部171の確率計算部176は、操作A(i)及び目的PPが記憶されたデータベースを解析することで、操作者が次に押す操作内容の確率を計算する。
【0076】
確率計算部176及びブロック化手段は、操作記録部175の学習モードの終了時または所定のタイミングで実行される。ブロック化手段178は、シーケンスSQをブロックBに分ける。さらに確率計算部176は、目的PPに応じて次の操作A(i+1)の操作内容opの確率を計算する。確率計算部176は、図4に示された確率計算部176のフローチャートと同様に処理される。以下、第1実施形態の図4のフローチャート処理と第2実施形態との異なる点を説明する。
【0077】
図4のステップS11において、確率計算部176は、シーケンスSQごとに操作A(i)及び目的PPを読み込む。例えば、確率計算部176は、図13(a)に示された10個の操作A(i)及び3個の目的PPを読み込む。
【0078】
図4のステップS12において、ブロック化手段178は、シーケンスSQをm個ずつのブロックBに分割する。例えば、図13(b)は、第11シーケンスSQ11が3個ずつに分割された場合を図示している。ブロック化手段178は、例えばm=3としてシーケンスSQを3個ずつのブロックBに分割する。
【0079】
確率計算部176は、ブロックB内に目的PPの入力があると、その目的PPをそのブロックBに記憶する。また、ブロックB内に目的PPの入力ない場合は一つ前のブロックBで記憶された目的PPを採用して記憶する。
【0080】
例えば、第1ブロックB1は、第1ブロックB1内に存在する目的PP(1)を含む。第2ブロックB2は、第2ブロックB2内に目的PPが存在しないため、前の第1ブロックB1の目的PP(1)を含む。第3ブロックB3及び第4ブロックB4は、第3ブロックB3及び第4ブロックB4内に存在する目的PP(2)を含む。第5ブロックB5は、目的PPが存在しないため、前の第4ブロックB4の目的PP(2)を含む。同様に、第6ブロックB6及び第7ブロックB7は、目的PP(2)を含む。第8ブロックB8は、第8ブロックB8内に存在する目的PP(3)を含む。
【0081】
図4のステップS13及びステップS14において、第1実施形態と同様に、確率計算部176は、分割されたブロックB及びその次の操作A(i)の操作内容opを記録し、対象となる全てのシーケンスSQが読み込まれたかとを判断する。
【0082】
図4のステップS15において、確率計算部176は、目的PPが伴ったm個の連続する操作内容の次の操作A(i+1)の操作内容opの確率を計算する。例えば、図14に示されるように、第11シーケンスSQ11は、実線で示されるように操作内容op1、op6、op11、op16が実行され、第12シーケンスSQ12は、破線の矢印で示されるように、順に操作内容op1、op6、op11、op17が実行されている。第1ブロックB1内では、第11シーケンスSQ11及び第12シーケンスSQ12は、同じ操作内容opである。しかし、第11シーケンスSQ11は、操作A(1)と操作A(2)との間に目的PP(1)を有している。一方、第12シーケンスSQ12は操作A(2)と操作A(3)との間に、目的PP(1)とは異なる目的PP(11)を有している。
【0083】
第1実施形態のように、目的PPを有しないシーケンスでは、次の操作A(4)で操作内容op16が行われる確率は50%になり、操作内容op17が行われる確率は50%になる。一方、第2実施形態のように、目的を有するシーケンスでは、確率計算部176は、目的PPに応じた次の操作A(4)の確率を計算する。目的が目的PP(1)であれば、次の操作A(4)は、操作内容op16が100%の確率である。目的が目的PP(11)であれば、次の操作A(4)は、操作内容op17の確率が100%である。このようにブロックB内が同じ操作内容opがあっても、次の操作A(i+1)は、目的PPが入力されることで限定される。未習得者は、目的に応じて操作を的確に行うことができる。
【0084】
<表示制御部>
次に未習得者が、操作ガイドを受けながら、未習得者が磁気共鳴イメージング装置10を操作する。
演算部171の表示制御部177は、確率計算部176で解析した目的PPを表示し、さらに次の操作A(i+1)を表示する。図15は、目的PPの表示と、次の操作A(i+1)を示した図である。未習得者が操作A(1)から操作A(3)(操作内容op1、op6、op11)まで操作すると、確率計算部176は、データベースに記録された同じ操作が検索する。第1ブロックB1において、目的PP(1)及び目的PP(11)の入力が記録されているので、表示制御部177は、目的PP(1)及び目的PP(11)を表示する。未習得者が目的PP(1)を選択すると、表示制御部177は、確率計算部176の確率から、操作内容op16を表示する。また、未習得者が目的PP(11)を選択すると、表示制御部177は、操作内容op17を表示する。これにより、未習得者は、所望する操作目的を選択することで目的にあった操作A(i+1)を行うことが可能となる。なお、1つの目的PPを選択しても、複数の操作内容がある場合には、表示制御部177は、図10に示されたように確率順に次の操作A(i+1)を表示する。
【0085】
表示制御部177は、未習得者が操作ガイドのスイッチOGをオンにすることで操作ガイドのダイアログボックスDBを表示させる。表示制御部177は、目的PPを図12で示されたダイアログボックスDBを用いて操作目的を未習得者に選択させる。未習得者は、表示された「スキャン時間の短縮」、「画質の改善」、「撮影部位」、「その他の目的」などの選択項目から1つの目的を選択する。
【0086】
第2実施形態の磁気共鳴イメージング装置10では、操作記録部175が習得者の操作目的と操作とを記録し、確率計算部176が、ブロックBから操作目的PPと次の操作A(i+1)との確率を計算する。そのため、磁気共鳴イメージング装置10は、未習得者に操作目的に応じた最適な操作を可能にさせる。
【0087】
<<第3実施形態>>
第3実施形態の操作記録部175は、警告またはトラブルに対して、未習得者に対応させることも可能である。通常の操作状況において、未習得者は、突発的な警告またはトラブルに対応できないことが多い。操作記録部175は、警告またはトラブルに対して、習得者が採った複数の操作Aを記録する。そして、未習得者が同様な警告またはトラブルに遭遇した際に、表示制御部177は、警告またはトラブルに対応する、次の操作A(i+1)を表示する。
【0088】
警告には、軽微な警告から重度の警告まで様々ある。このため、未習得者は表示された警告に対して操作を続行してよいものか、パラメータの変更をすればよいのかの判断に迷う。軽度の警告の一例として、SAR(specific absorption rate:比吸収率)の警告がある。SARは、磁気共鳴イメージング装置10におけるRFパルスを被検者SBに用いた場合のジュール熱の発生状況を示している。SARは、磁気共鳴イメージング装置10ごとに設定値が設定されている。磁気共鳴イメージング装置10の操作中にSARが設定値以上になると、演算部171は警告表示を行う。
【0089】
図16は、警告またはトラブル時のフローチャートである。
ステップS31において、操作者(習得者)は、エラー記録モードのスイッチER(図8を参照)を押す。操作記録部175は、エラー記録モードのスイッチERが押されると、習得者が認識し易いようにエラー記録モードのボタンの点灯または表示部の背景色を変化させる。
【0090】
ステップS32において、操作記録部175は、発生した警告またはトラブルを記録する。また、操作記録部175はエラー記録モードのスイッチERが押された一つ前の事象(警告またはトラブル)を記録する。
ステップS33において、操作記録部175はカウンタiを1にセットする。
【0091】
ステップS34において、操作記録部175は、操作A(i)として、習得者が操作する操作内容opとカウンタとを収集する。操作A(i)に、習得者の任意のコメントが付け加えられてもよい。例えば、習得者が例えばトラブル対処方法などのコメントを入力し、操作記録部175は、そのコメントを記憶することが可能である。未習得者は、警告またはトラブルの情報を共有することが可能であり、警告またはトラブルを解決する手法の一手段をしてコメントを利用することが可能である。
【0092】
ステップS35において、演算部171は、エラー記録モードを終了するかを判断する。操作記録部175は、エラー記録モードが終了されるまでステップS36に移動し、操作A(i)を記録する。習得者が点灯しているスイッチERを再度押すと、エラー記録モードが終了し、ステップS37に移動する。
【0093】
ステップS36において、操作記録部175は、カウンタiに1を足すことによりiの数を増加させる。
【0094】
ステップS37において、操作記録部175は、操作A(i)を全て記憶する。
確率計算部176は、第1実施形態と同様に次の操作A(i+1)の確率を算出する。
【0095】
未習得者が、磁気共鳴イメージング装置10を操作中に、警告またはトラブルが表示された場合、未習得者は、操作ガイドのスイッチOG(図8を参照)を押す。すると、表示制御部177は、図10に示されたように、次の操作A(i+1)を、確率順に色付けしたり、ダイアログボックスDBを表示したりする。
【0096】
第3実施形態の磁気共鳴イメージング装置10は、警告またはトラブルの発生時に操作記録部175が警告またはトラブルと共に習得者の操作及びコメントを記録する。そして、確率計算部176が、警告またはトラブル後の操作と確率を計算する。さらに、表示制御部177が、未習得者に警告またはトラブルの回避方法を提示して最適な操作を行わせることができる。
【0097】
上述したように、本件は第1実施形態から第3実施形態を説明した。これらいずれの実施形態でも、予め記憶された画一的な操作ガイドではなく、病院毎、操作者毎又は被検者毎に、磁気共鳴イメージング装置10の操作方法が学習される。そのため、未習得者は、より柔軟的に磁気共鳴イメージング装置10を操作することができる。
【符号の説明】
【0098】
10 … 磁気共鳴イメージング装置
100 … マグネットシステム、110 … 寝台
102 … 主磁場コイル部、106 … 勾配コイル部、108 … コイル部
130 … 勾配コイル駆動部
140 … コイル駆動部、150 … データ収集部
160 … パルスシーケンス制御部、170 … データ処理部
171 … 演算部、172 … データ記憶部
175 … 操作記録部、176 … 確率計算部
177 … 表示制御部、180 … 表示部、190 … 操作部
B … ブロック
BL … 青色、RD … 赤色、YE … 黄色
DB(DB1、DB2、DB3) … ダイアログボックス
ER … エラー記録モードスイッチ
G、H … 領域
i、k … カウンタ
LM … 学習モードスイッチ
OG … 操作ガイドスイッチ
PB … 目的ボタンスイッチ
SB … 被検者
SC … シーケンス
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体を撮像する画像診断装置であって、
前記画像診断装置は、
前記被検者の撮像開始から撮像終了までの一連の第1シーケンスの内、1つ1つの操作をA(1)操作からA(n)操作からなるA(i)操作として記憶し、且つ前記第1シーケンスと異なる第2シーケンスに対しても同様に前記A(i)操作を記憶する操作記録部と、
前記A(i)操作をm個の操作ごとのブロックにまとめるブロック化手段と、
前記ブロック化されたm個の操作に基づいて、A(i)操作に続くA(i+1)操作の確率を計算する確率計算部と、
前記A(i)操作を表示する表示部と、
前記A(i)操作の操作がなされた後、前記確率が計算された一番高い確率のA(i+1)操作を前記表示部に表示させる表示制御部と、
を備える画像診断装置。
但し、i及びnは自然数、mは自然数でn>m>1を満たす。
【請求項2】
前記操作記録部は、第1目的に応じて前記第1シーケンスの前記A(i)操作を記憶し、且つ前記第1目的とは異なる第2目的に応じて前記第2シーケンスの前記A(i)操作を記憶し、
前記表示制御部は前記表示部に前記画像診断装置を操作して達成しようと試みる前記第1目的及び前記第2目的を表示させ、
表示された前記第1目的及び前記第2目的のいずれかが選択された後、前記確率計算部は選択された前記第1目的又は前記第2目的の下で前記A(i)操作に続く前記A(i+1)操作の確率を計算する請求項1に記載の画像診断装置。
【請求項3】
前記操作記録部に現在行われている操作をA(i)操作として記憶させる学習モードを備え、
前記学習モードが選択された際に、前記操作記録部は、前記A(i)を記憶する請求項1又は請求項2に記載の画像診断装置。
【請求項4】
前記表示制御部は前記表示部に確率順に複数のA(i+1)操作を表示させる請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の画像診断装置。
【請求項5】
前記表示制御部は、前記表示部に確率順に複数のA(i+1)操作を異なる強調表示で表示させる請求項4に記載の画像診断装置。
【請求項6】
前記表示制御部は、前記表示部に確率順に複数のA(i+1)操作をダイアログボックスで表示させる請求項4に記載の画像診断装置。
【請求項7】
前記画像診断装置に警告又はトラブルが生じた際に、前記表示制御部は、前記表示部に警告又はトラブルを解消させる、確率が一番高いA(i+1)操作を表示させるとともに次に確率が高いA(i+1)操作を表示させる請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の画像診断装置。
【請求項1】
被検体を撮像する画像診断装置であって、
前記画像診断装置は、
前記被検者の撮像開始から撮像終了までの一連の第1シーケンスの内、1つ1つの操作をA(1)操作からA(n)操作からなるA(i)操作として記憶し、且つ前記第1シーケンスと異なる第2シーケンスに対しても同様に前記A(i)操作を記憶する操作記録部と、
前記A(i)操作をm個の操作ごとのブロックにまとめるブロック化手段と、
前記ブロック化されたm個の操作に基づいて、A(i)操作に続くA(i+1)操作の確率を計算する確率計算部と、
前記A(i)操作を表示する表示部と、
前記A(i)操作の操作がなされた後、前記確率が計算された一番高い確率のA(i+1)操作を前記表示部に表示させる表示制御部と、
を備える画像診断装置。
但し、i及びnは自然数、mは自然数でn>m>1を満たす。
【請求項2】
前記操作記録部は、第1目的に応じて前記第1シーケンスの前記A(i)操作を記憶し、且つ前記第1目的とは異なる第2目的に応じて前記第2シーケンスの前記A(i)操作を記憶し、
前記表示制御部は前記表示部に前記画像診断装置を操作して達成しようと試みる前記第1目的及び前記第2目的を表示させ、
表示された前記第1目的及び前記第2目的のいずれかが選択された後、前記確率計算部は選択された前記第1目的又は前記第2目的の下で前記A(i)操作に続く前記A(i+1)操作の確率を計算する請求項1に記載の画像診断装置。
【請求項3】
前記操作記録部に現在行われている操作をA(i)操作として記憶させる学習モードを備え、
前記学習モードが選択された際に、前記操作記録部は、前記A(i)を記憶する請求項1又は請求項2に記載の画像診断装置。
【請求項4】
前記表示制御部は前記表示部に確率順に複数のA(i+1)操作を表示させる請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の画像診断装置。
【請求項5】
前記表示制御部は、前記表示部に確率順に複数のA(i+1)操作を異なる強調表示で表示させる請求項4に記載の画像診断装置。
【請求項6】
前記表示制御部は、前記表示部に確率順に複数のA(i+1)操作をダイアログボックスで表示させる請求項4に記載の画像診断装置。
【請求項7】
前記画像診断装置に警告又はトラブルが生じた際に、前記表示制御部は、前記表示部に警告又はトラブルを解消させる、確率が一番高いA(i+1)操作を表示させるとともに次に確率が高いA(i+1)操作を表示させる請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の画像診断装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2013−42903(P2013−42903A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−182222(P2011−182222)
【出願日】平成23年8月24日(2011.8.24)
【出願人】(300019238)ジーイー・メディカル・システムズ・グローバル・テクノロジー・カンパニー・エルエルシー (1,125)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月24日(2011.8.24)
【出願人】(300019238)ジーイー・メディカル・システムズ・グローバル・テクノロジー・カンパニー・エルエルシー (1,125)
【Fターム(参考)】
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