説明

画像認識装置、車載用画像認識装置および車載用画像認識方法

【課題】車載用画像認識装置において、周辺環境が暗い画像のFPNを正確に補正する。
【解決手段】車載用画像認識装置10は、ノイズ学習処理部11bが、車両1のイグニション・スイッチがオンにされると、イメージセンサ部14の絞り機構部14bを全閉にし、光学レンズ14cを介して入射してくる光量を遮断し、CMOSセンサ14aの全画素の画素値の平均を算出し、CMOSセンサ14aの各画素の画素値と、該平均との差分をFPN補正量としてそれぞれ算出し、該画素ごとにノイズ補正量記憶エリア12bに格納する。画像明暗判定部11cが、画像取得処理部11aによって取得された画像の全画素の画素値の合計を算出する。ノイズ補正処理部11dが、画像明暗判定部11cによって、画像取得処理部11aによって取得された画像の全画素の画素値の合計が所定閾値未満であると判定された場合に、FPN補正量で該画像の各画素の画素値を補正する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画素により構成される撮像素子への入射光に応じて撮影された画像に基づいて対象物を画像認識する画像認識装置、車載用画像認識装置および車載用画像認識方法に関し、特に、周辺環境が暗い画像のFPNを正確に補正することが可能な画像認識装置、車載用画像認識装置および車載用画像認識方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両のルームミラー付近に設置されるカメラで車両の前方を撮影し、そのカメラ画像を画像処理することによって路面上の白線や前方車両を認識する車載用画像認識装置が知られている。このカメラは、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)やCCD(Charge Coupled Device)などの撮像素子を利用して撮像対象の画像を電気信号に変換することによって動画を撮影する。
【0003】
このような撮像素子の画素は、個体間のバラツキや経年劣化によって、FPN(Fixed Pattern Noise、固定パターンノイズ)の影響を受ける。例えば、図4に示すように、画像の画素の真の画素値と、その画素を撮像素子で撮影した場合に出力される出力画素値とは、直線501に描かれるように、本来一致しなければならない。なお、画素の画素値が大きいほど明るい画素である。
【0004】
しかし、曲線502および曲線503に例示するように、撮像素子の画素は、個体間のバラツキがあって、撮像素子の画素ごとに真の画素値と、出力画素値との関係を表す特性曲線が異なることが現状である。例えば、曲線502は、直線501よりも下方に位置するため、実際の出力画素値は、本来出力されなければならない画素値よりも低い、すなわち画素が暗く表示されることとなる。
【0005】
一方、曲線503は、直線501よりも上方に位置するため、実際の出力画素値は、本来出力されなければならない画素値よりも高い、すなわち画素が明るく表示されることとなる。撮像素子の画素の真の画素値と、出力画素値との関係を表す特性曲線は、経年劣化によって、曲線503のようになる傾向がある。
【0006】
ここで、特に、真の画素値が所定値a以下の場合に曲線503の直線501からの乖離が大きいと、暗い画像である場合にFPNにより大きな影響を受けた輝点画素が発生することとなる。例えば、夜間やトンネルなどの周辺環境が暗い場合に、対象物を認識するためにカメラの感度を上げなければならない。しかし、このような場合に、カメラが撮影した画像は、このFPNの影響を受け、画像に輝点画素が混入しやすくなる。このため、認識すべき対象物が認識できなかったり、誤認識してしまったりという不都合があった。
【0007】
かかる不都合を解消するため、例えば、特許文献1に開示されるように、均一光照射に応じた全画素の画素値の平均値を算出し、この平均値と、各画素の画素値との差分量をFPN成分としてメモリに記憶し、撮影された画像の各画素の画素値を差分量で補正することによって、撮影された画像のFPNを除去する撮像装置が提案されている。
【0008】
また、特許文献2に開示されるように、カメラに光が入射していない状態における撮像素子の各画素の信号レベルをノイズレベルとして記憶し、撮影された画像の各画素の信号レベルをノイズレベルで補正することによって、FPNを除去する撮像表示装置が提案されている。
【0009】
さらに、特許文献3に開示されるように、白基準面読み取り時の各画素の画像信号レベルを複数回取得し、このうち最も白側の画像信号レベルを記憶し、この最も白側の画像信号レベルに基づいて撮像素子の画素ごとの出力バラツキを補正する画像読取装置が提案されている。
【0010】
【特許文献1】特開2005−79766号公報
【特許文献2】特開2002−344816号公報
【特許文献3】特開平9−65123号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上記特許文献1に代表される従来技術では、均一光照射に応じた各画素の画素値と、全画素の画素値の平均値との差分量をFPN成分とするため、均一光が照射されなかった場合に、正確なFPN補正をおこなうことが困難であった。
【0012】
また、上記特許文献2に代表される従来技術では、カメラに光が入射していない状態でのノイズレベルを取得し、撮影された画像の各画素の信号レベルをこのノイズレベルで補正することによってFPNを除去するものの、前述のノイズレベルをいかなる撮影状態の画像のノイズ補正にも無差別に使用するため、正確なFPN補正をおこない得ないおそれがあった。
【0013】
また、上記特許文献3に代表される従来技術では、白基準面に対する撮像素子の画素ごとの出力バラツキを補正することを目的とするため、暗い画像における撮像素子の画素ごとの出力バラツキを補正することは不可能であった。
【0014】
また、上記特許文献1〜3の従来技術を組み合わせたとしても、特に周辺環境が暗い画像のFPNを正確に補正することができないおそれがあった。本発明は、上記問題点(課題)を解消するためになされたものであって、特に周辺環境が暗い画像のFPNを正確に補正することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上述した問題を解決し、目的を達成するため、本発明は、画素により構成される撮像素子への入射光に応じて撮影された画像に基づいて対象物を画像認識する画像認識装置であって、自装置への電源投入を契機として、前記撮像素子への入射光を遮断する入射光遮断手段と、前記入射光遮断手段によって前記撮像素子への入射光が遮断された状態において各前記画素のノイズの補正値を算出してメモリ記憶させる補正値算出記憶手段と、前記撮像素子へ入射光が入射されて画像が撮影されると、該画像の全画素の画素値の合計が所定閾値未満であるか否かによって該画像の明暗を判定する画像明暗判定手段と、前記画像明暗判定手段によって、前記画像の全画素の画素値の合計が所定閾値未満であると判定された場合に、該撮像素子の各画素に対応する該画像の各画素のノイズを、前記補正値算出記憶手段によってメモリ記憶させられた各前記画素のノイズの補正値で補正する画素値補正手段とを有することを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、車両に搭載され、画素により構成される撮像素子への入射光に応じて撮影された画像に基づいて対象物を画像認識する車載用画像認識装置であって、前記車両への電源投入を契機として、前記撮像素子への入射光を遮断する入射光遮断手段と、前記入射光遮断手段によって前記撮像素子への入射光が遮断された状態において各前記画素のノイズの補正値を算出してメモリ記憶させる補正値算出記憶手段と、前記撮像素子へ入射光が入射されて画像が撮影されると、該画像の全画素の画素値の合計が所定閾値未満であるか否かによって該画像の明暗を判定する画像明暗判定手段と、前記画像明暗判定手段によって、前記画像の全画素の画素値の合計が所定閾値未満であると判定された場合に、該撮像素子の各画素に対応する該画像の各画素のノイズを、前記補正値算出記憶手段によってメモリ記憶させられた各前記画素のノイズの補正値で補正する画素値補正手段とを有することを特徴とする。
【0017】
また、本発明は、上記発明において、前記補正値算出記憶手段は、前記入射光遮断手段によって前記撮像素子への入射光が遮断された状態における該撮像素子の全画素の画素値の平均を算出し、該平均と、該撮像素子の各画素の画素値との差分を該各画素のノイズの補正値としてメモリ記憶させることを特徴とする。
【0018】
また、本発明は、上記発明において、前記画像明暗判定手段は、車載装置から取得される情報に基づいて前記画像の明暗を判定することを特徴とする。
【0019】
また、本発明は、上記発明において、前記画素値補正手段は、該撮像素子の各画素に対応する該画像の各画素の画素値から、前記補正値算出記憶手段によってメモリ記憶させられた各前記画素のノイズの補正値を差し引くことによって該撮像素子の各画素に対応する該画像の各画素のノイズを補正することを特徴とする。
【0020】
また、本発明は、車両に搭載され、画素により構成される撮像素子への入射光に応じて撮影された画像に基づいて対象物を画像認識する車載用画像認識装置による車載用画像認識方法であって、前記車両への電源投入を契機として、前記撮像素子への入射光を遮断する入射光遮断ステップと、前記入射光遮断ステップによって前記撮像素子への入射光が遮断された状態における該撮像素子の全画素の画素値の平均を算出し、該平均と、該撮像素子の各画素の画素値との差分を該各画素のノイズの補正値としてメモリ記憶させる補正値算出記憶ステップと、前記撮像素子へ入射光が入射されて画像が撮影されると、該画像の全画素の画素値の合計が所定閾値未満であるか否かによって該画像の明暗を判定する画像明暗判定ステップと、前記画像明暗判定ステップによって前記画像の全画素の画素値の合計が所定閾値未満であると判定された場合に、該撮像素子の各画素に対応する該画像の各画素の画素値から、前記補正値算出記憶ステップによってメモリ記憶させられた各前記画素のノイズの補正値を差し引くことによって該撮像素子の各画素に対応する該画像の各画素のノイズを補正する画素値補正ステップとを含んだことを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、自装置への電源投入または車両への電源投入を契機として撮像素子への入射光を遮断して算出された該撮像素子の各画素の画素値の補正値に基づき、撮像素子へ入射光が入射されて撮影された画像の全画素の画素値の合計が所定閾値未満であるか否かによって該画像の明暗を判定し、該画像の全画素の画素値の合計が所定閾値未満である場合に該画像が暗いと判定し、該撮像素子の各画素に対応する該画像の各画素の画素値を各画素の画素値の補正値で補正するので、周辺環境が暗い画像のFPNを正確に補正することが可能になるという効果を奏する。また、周辺環境が暗いために全体的に暗い画像のみを対象としてFPNを補正することが可能になるという効果を奏する。
【0022】
また、本発明によれば、撮像素子への入射光が遮断された状態における該撮像素子の全画素の画素値の平均を算出し、該平均と、該撮像素子の各画素の画素値との差分を該各画素の画素値の補正値とするので、周辺環境が暗い画像において突出して明るい輝点画素の画素値を補正することが可能になるという効果を奏する。
【0023】
また、本発明によれば、車載装置から取得される情報に基づいて画像が暗いと判定するので、車両に既存の装置を利用して画像の明暗判定を行うことが可能になるという効果を奏する。
【0024】
また、本発明によれば、撮像素子の各画素に対応する該画像の各画素の画素値から各画素の画素値の補正値を差し引くことによって該撮像素子の各画素に対応する該画像の各画素の画素値を補正するので、減算のみという少ない計算量でFPNを補正することが可能になるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下に添付図面を参照し、本発明の画像認識装置、車載用画像認識装置および車載用画像認識方法にかかる実施例を詳細に説明する。車載用画像認識装置は、自車両周辺の認識対象の測距をおこない、識別をおこなう装置である。なお、以下の実施例は、車載用の画像処理装置および画像処理方法について説明することとするが、これに限定されるものではなく、本発明は、一般的な画像処理装置および画像処理方法に広く適用可能である。
【実施例】
【0026】
先ず、実施例にかかる車載用画像認識装置の構成について説明する。図1は、実施例にかかる車載用画像認識装置の構成を示す機能ブロック図である。同図に示すように、実施例にかかる車載用画像認識装置10は、車両1において、CAN(Controller Area Network)などの車載有線ネットワーク100を介して、車載用画像認識装置10へカーナビゲーション情報、日付情報、時刻情報などを受け渡すカーナビゲーション装置20と、車両1の周囲の照度を検知した結果を車載用画像認識装置10へ受け渡す照度検知装置40と、車両1が備える車幅灯やヘッドライトの点灯状況を車載用画像認識装置10へ通知する車幅灯・ヘッドライト装置50とが接続されている。
【0027】
また、車載用画像認識装置10は、ディスプレイ装置などの表示手段である表示部13が接続されている。さらに、車載用画像認識装置10は、撮像装置であるイメージセンサ部14が接続されている。このイメージセンサ部14は、CMOSセンサ14aと、絞り機構部14bと、光学レンズ14cとを含んで構成される。イメージセンサ部14のCMOSセンサ14aは、光学レンズ14cおよび絞り機構部14bを介して、撮影対象物の像を取得して画像に変換し、車載用画像認識装置10へと受け渡す。また、車載用画像認識装置10は、記憶部12を含む。記憶部12は、画像バッファ12aと、ノイズ補正量記憶エリア12bとを含む。
【0028】
車載用画像認識装置10は、制御部11と、記憶部12とを有する。制御部11は、車載用画像認識装置10の全体制御をつかさどるマイクロ・コンピュータなどの制御手段であり、特に、実施例に密接に関係する構成要素としては、画像取得処理部11aと、ノイズ学習処理部11bと、画像明暗判定部11cと、ノイズ補正処理部11dと、画像表示制御部11eとを有する。
【0029】
画像取得処理部11aは、イメージセンサ部14から入力されるカメラ出力に基づき画像を取得し、記憶部12の画像バッファ12aに展開する。
【0030】
ノイズ学習処理部11bは、車両1の電源投入(IG ONまたはACC ON)にされたとき、または、車載用画像認識装置10の電源がオンにされたときを契機として、先ず、イメージセンサ部14の絞り機構部14bを制御して全閉にし、光学レンズ14cを介して入射してくる光量を遮断する。
【0031】
そして、CMOSセンサ14aの全画素の画素値の平均を算出し、CMOSセンサ14aの各画素の画素値と、該平均との差分をそれぞれ算出する。画素ごとの差分が、該各画素のFPN補正量である。ノイズ学習処理部11bは、各画素のFPN補正量を、該画素ごとにノイズ補正量記憶エリア12bに格納する。
【0032】
画像明暗判定部11cは、イメージセンサ部14の絞り機構部14bを適切に制御することによって画像取得処理部11aによって取得され、画像バッファ12aに展開されている画像の全画素の画素値の合計を算出する。
【0033】
そして、ノイズ補正処理部11dは、画像明暗判定部11cによって、画像バッファ12aに展開されている画像の全画素の画素値の合計が所定閾値未満であると判定された場合に、ノイズ補正量記憶エリア12bに格納される画素ごとのFPN補正量を読み出して、画像バッファ12aに展開されている画像の各画素の画素値を補正する。
【0034】
具体的には、ノイズ補正処理部11dは、画像バッファ12aに展開されている画像の各画素の画素値から画素ごとのFPN補正量を差し引くことによって、FPNを補正する。これによって、CMOSセンサ14aの画素の個体間のバラツキや経年劣化によるFPNによって輝点画素が発生することを抑制することが可能になる。ノイズ補正処理部11dによってFPNが補正された画像データは、画像表示制御部11eへと受け渡される。
【0035】
画像表示制御部11eは、ノイズ補正処理部11dによってFPNが補正された画像を表示部13に表示することとなる。なお、画像明暗判定部11cによって、画像バッファ12aに展開されている画像の全画素の画素値の合計が所定閾値未満であると判定されなかった場合には、画像表示制御部11eは、画像取得処理部11aによって、イメージセンサ部14を介して取得され、記憶部12の画像バッファ12aに展開されている画像を、FPN補正なしに表示部13に表示する。
【0036】
次に、図1に示した車載用画像認識装置10で実行されるFPN補正処理手順について説明する。図2は、図1に示した車載用画像認識装置10で実行されるFPN補正処理手順を示すフローチャートである。同図に示すように、先ず、車載用画像認識装置10の制御部11は、車両1のイグニション・スイッチのオンを検知する(ステップS101)。
【0037】
続いて、ノイズ学習処理部11bは、絞り機構部14bを制御して、レンズの絞りを全て閉じる(ステップS102)。続いて、ノイズ学習処理部11bは、CMOSセンサ14aの全画素の画素値を算出する(ステップS103)。
【0038】
続いて、ノイズ学習処理部11bは、CMOSセンサ14aの各画素の画素値からCMOSセンサ14aの全画素の画素値の平均値を差し引くことによって、画素値のバラツキ量を算出し、この差を画素ごとのFPN補正量として決定する(ステップS104)。
【0039】
続いて、ノイズ学習処理部11bは、ステップS104で決定された画素ごとのFPN補正量を、ノイズ補正量記憶エリア12bに格納することによって学習する(ステップS105)。続いて、ノイズ学習処理部11bは、絞り機構部14bを制御して、レンズの絞りを適切に開く(ステップS106)。
【0040】
そして、画像取得処理部11aは、入力画像を取得する(ステップS107)。続いて、画像明暗判定部11cは、車両1の周辺環境が、夜間もしくはトンネルなどの暗い環境であるか否かを判定する(ステップS108)。この判定は、上記したように、取得画像の全画素の画素値の合計が所定閾値未満であるか否かを判定することによっておこなう。
【0041】
なお、カーナビゲーション装置20から取得される時刻情報(周辺環境が暗い時刻であるか否か)または位置情報(トンネルなどの周辺環境が暗い位置であるか否か)、照度検知装置40から取得される車両1の周辺の照度、車幅灯・ヘッドライト装置50から取得される車幅灯・ヘッドライト装置の点灯状況などに応じて、周辺環境の明暗を判定することとしてもよい。
【0042】
車両1の周辺環境が暗い環境であると判定された場合に(ステップS108肯定)、入力画像に学習したFPN補正量を適用して、FPNを補正する(ステップS109)。一方、車両1の周辺環境が暗い環境であると判定されなかった場合には(ステップS108否定)、FPN補正処理は終了する。
【0043】
次に、図3−1および図3−2を参照して、実施例の効果について説明する。図3−1は、実施例を適用しない場合の、周辺環境が暗い場合のFPN補正処理前の画像例を示す図である。同図に示すように、暗い環境では、FPNによる輝点画素が画像に混入するため、画像認識率の低下を招き、誤認識率が高い。また、取得される画像自体も、輝点画素によって不鮮明となる。
【0044】
一方、図3−2は、実施例を適用した場合の、周辺環境が暗い場合のFPN補正処理後の画像例を示す図である。同図に示すように、暗い環境でも、FPNによる輝点画素が画像に混入せず、画像認識率が向上し、誤認識率の低下を図ることが可能になる。また、取得される画像自体も、輝点画素がなく鮮明となる。
【0045】
また、実施例では、イグニション・スイッチのオンの直後の度にFPN補正量の学習をおこなうため、CMOSセンサ14aの経年劣化にも追従して対応することが可能になる。
【0046】
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明は、これに限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内で、更に種々の異なる実施例で実施されてもよいものである。また、実施例に記載した効果は、これに限定されるものではない。
【0047】
また、上記実施例において説明した各処理のうち、自動的におこなわれるものとして説明した処理の全部または一部を手動的におこなうこともでき、あるいは、手動的におこなわれるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的におこなうこともできる。この他、上記実施例で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0048】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示のように構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
【0049】
さらに、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPU(Central Processing Unit)(またはMPU(Micro Processing Unit)、MCU(Micro Controller Unit)などのマイクロ・コンピュータ)および当該CPU(またはMPU、MCUなどのマイクロ・コンピュータ)にて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明は、車載用画像認識装置において、周辺環境が暗い画像のFPNを正確に補正したい場合に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】実施例にかかる車載用画像認識装置の構成を示す機能ブロック図である。
【図2】実施例にかかる車載用画像認識装置で実行されるFPN補正処理手順を示すフローチャートである。
【図3−1】実施例を適用しない場合の、周辺環境が暗い場合のFPN補正処理前の画像例を示す図である。
【図3−2】実施例を適用した場合の、周辺環境が暗い場合のFPN補正処理後の画像例を示す図である。
【図4】撮像素子を構成する画素の出力特性の例を示す図である。
【符号の説明】
【0052】
1 車両
10 車載用画像認識装置
11 制御部
11a 画像取得処理部
11b ノイズ学習処理部
11c 画像明暗判定部
11d ノイズ補正処理部
11e 画像表示制御部
12 記憶部
12a 画像バッファ
12b ノイズ補正量記憶エリア
13 表示部
14 イメージセンサ部
14a CMOSセンサ
14b 絞り機構部
14c 光学レンズ
20 カーナビゲーション装置
40 照度検知装置
50 車幅灯・ヘッドライト装置
100 車載有線ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画素により構成される撮像素子への入射光に応じて撮影された画像に基づいて対象物を画像認識する画像認識装置であって、
自装置への電源投入を契機として、前記撮像素子への入射光を遮断する入射光遮断手段と、
前記入射光遮断手段によって前記撮像素子への入射光が遮断された状態において各前記画素のノイズの補正値を算出してメモリ記憶させる補正値算出記憶手段と、
前記撮像素子へ入射光が入射されて画像が撮影されると、該画像の全画素の画素値の合計が所定閾値未満であるか否かによって該画像の明暗を判定する画像明暗判定手段と、
前記画像明暗判定手段によって、前記画像の全画素の画素値の合計が所定閾値未満であると判定された場合に、該撮像素子の各画素に対応する該画像の各画素のノイズを、前記補正値算出記憶手段によってメモリ記憶させられた各前記画素のノイズの補正値で補正する画素値補正手段と
を有することを特徴とする画像認識装置。
【請求項2】
車両に搭載され、画素により構成される撮像素子への入射光に応じて撮影された画像に基づいて対象物を画像認識する車載用画像認識装置であって、
前記車両への電源投入を契機として、前記撮像素子への入射光を遮断する入射光遮断手段と、
前記入射光遮断手段によって前記撮像素子への入射光が遮断された状態において各前記画素のノイズの補正値を算出してメモリ記憶させる補正値算出記憶手段と、
前記撮像素子へ入射光が入射されて画像が撮影されると、該画像の全画素の画素値の合計が所定閾値未満であるか否かによって該画像の明暗を判定する画像明暗判定手段と、
前記画像明暗判定手段によって、前記画像の全画素の画素値の合計が所定閾値未満であると判定された場合に、該撮像素子の各画素に対応する該画像の各画素のノイズを、前記補正値算出記憶手段によってメモリ記憶させられた各前記画素のノイズの補正値で補正する画素値補正手段と
を有することを特徴とする車載用画像認識装置。
【請求項3】
前記補正値算出記憶手段は、前記入射光遮断手段によって前記撮像素子への入射光が遮断された状態における該撮像素子の全画素の画素値の平均を算出し、該平均と、該撮像素子の各画素の画素値との差分を該各画素のノイズの補正値としてメモリ記憶させることを特徴とする請求項2に記載の車載用画像認識装置。
【請求項4】
前記画像明暗判定手段は、車載装置から取得される情報に基づいて前記画像の明暗を判定することを特徴とする請求項2または3に記載の車載用画像認識装置。
【請求項5】
前記画素値補正手段は、該撮像素子の各画素に対応する該画像の各画素の画素値から、前記補正値算出記憶手段によってメモリ記憶させられた各前記画素のノイズの補正値を差し引くことによって該撮像素子の各画素に対応する該画像の各画素のノイズを補正することを特徴とする請求項2、3または4に記載の車載用画像認識装置。
【請求項6】
車両に搭載され、画素により構成される撮像素子への入射光に応じて撮影された画像に基づいて対象物を画像認識する車載用画像認識装置による車載用画像認識方法であって、
前記車両への電源投入を契機として、前記撮像素子への入射光を遮断する入射光遮断ステップと、
前記入射光遮断ステップによって前記撮像素子への入射光が遮断された状態における該撮像素子の全画素の画素値の平均を算出し、該平均と、該撮像素子の各画素の画素値との差分を該各画素のノイズの補正値としてメモリ記憶させる補正値算出記憶ステップと、
前記撮像素子へ入射光が入射されて画像が撮影されると、該画像の全画素の画素値の合計が所定閾値未満であるか否かによって該画像の明暗を判定する画像明暗判定ステップと、
前記画像明暗判定ステップによって前記画像の全画素の画素値の合計が所定閾値未満であると判定された場合に、該撮像素子の各画素に対応する該画像の各画素の画素値から、前記補正値算出記憶ステップによってメモリ記憶させられた各前記画素のノイズの補正値を差し引くことによって該撮像素子の各画素に対応する該画像の各画素のノイズを補正する画素値補正ステップと
を含んだことを特徴とする車載用画像認識方法。

【図1】
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【図2】
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【図3−1】
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【図3−2】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−77279(P2009−77279A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−245764(P2007−245764)
【出願日】平成19年9月21日(2007.9.21)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】