説明

画像読み取り装置およびプログラム

【課題】原稿の読み取り速度を変更した場合でも読み取られる画像に変化が生じにくい画像読み取り装置等を提供する。
【解決手段】点灯して原稿に対して光を照射する光源55と、原稿からの反射光を受光し受光した光を光電変換して画像信号としての電荷を蓄積するCCDイメージセンサ59と、光源55と原稿とを相対的に移動させる移動手段と、読み取り形式に応じて移動手段の移動速度を制御することでCCDイメージセンサ59における原稿の読み取り速度を調節する移動速度制御部と、CCDイメージセンサ59が電荷を蓄積している期間中に読み取り形式に基づき光源55を消灯する期間を設けることで、CCDイメージセンサ59で蓄積する電荷が飽和する量に達しないように光源55の点灯時間を制御する点灯時間制御部と、を備えることを特徴とする画像読み取り装置1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読み取り装置、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機やファクシミリ、コンピュータ入力用のスキャナ等として、原稿の画像情報を自動的に読み取る画像読み取り装置が用いられている。この種の画像読み取り装置では、原稿の搬送路に直交する方向に延設される光源を用いて原稿に光を照射し、照射された原稿から反射した反射光をイメージセンサ等にて受光することで、原稿上の画像を読み取っている。
【0003】
特許文献1には、原稿又は基準板に光を照射するそれぞれ光量調整可能なN個の光源と、原稿又は基準板からの反射光をアナログ信号に変換する光学読取手段と、アナログ信号をゲイン処理する調整手段と、ゲイン処理されたアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換器と、調整手段に対してゲイン値を設定する制御手段と、を備え、制御手段は、N個の光源を単独で点灯して基準板の読取走査を行いA/D変換器へ入力される入力信号がA/D変換器の最大入力レベルと最小入力レベルとの間でかつ最大入力レベル近傍のレベルの略[1/N]倍となる各光源のN個のゲイン値を取得し、調整手段に対してN個のゲイン値の中から選択された一つのゲイン値を設定すると共に選択されたゲイン値に係る光源以外の光源の光量調整をした状態で原稿の画像読み取りを行う画像読取装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−51566号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、原稿の読み取り形式によって原稿の読み取り速度を変更する場合がある。そして原稿の読み取り速度を変更した場合でも読み取られる画像に変化が生じにくいことが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、点灯して原稿に対して光を照射する光源と、前記原稿からの反射光を受光し受光した光を光電変換して画像信号としての電荷を蓄積する読み取り部と、前記光源と前記原稿とを相対的に移動させる移動手段と、読み取り形式に応じて前記移動手段の移動速度を制御することで、前記読み取り部における読み取り速度を調節する移動速度制御部と、前記読み取り部が電荷を蓄積している期間中に読み取り形式に基づき前記光源を消灯する期間を設けることで、当該読み取り部で蓄積する電荷が飽和する量に達しないように当該光源の点灯時間を制御する点灯時間制御部と、を備えることを特徴とする画像読み取り装置である。
【0007】
請求項2に記載の発明は、前記画像信号を予め定められた増幅率で増幅する増幅手段をさらに備え、前記増幅手段は、前記光源を連続的に点灯状態とするときに前記読み取り部に蓄積される電荷が飽和しない量となる場合は、前記読み取り速度に基づき前記増幅率を変更することを特徴とする請求項1に記載の画像読み取り装置である。
請求項3に記載の発明は、前記読み取り部は、電荷結合素子を用いて蓄積された前記電荷を垂直転送および水平転送することで前記画像信号として取り出す半導体素子を備え、前記点灯時間制御部は、前記電荷を水平転送する期間中に前記光源を消灯する期間を設けることで前記点灯時間を制御することを特徴とする請求項1または2に記載の画像読み取り装置である。
請求項4に記載の発明は、前記読み取り部は、電荷結合素子を用いて蓄積された前記電荷を垂直転送および水平転送することで前記画像信号として取り出す半導体素子を備え、前記点灯時間制御部は、前記電荷を垂直転送する期間の開始時および終了時をはさみ予め定められた時間内には前記光源の点灯および消灯を行なわないことを特徴とする請求項1または2に記載の画像読み取り装置である。
【0008】
請求項5に記載の発明は、コンピュータに、点灯して原稿に対して光を照射する光源を制御する点灯制御機能と、前記原稿からの反射光を受光し受光した光を光電変換して画像信号としての電荷を蓄積する読み取り部を制御する読み取り部制御機能と、読み取り形式に応じて前記光源と前記原稿とを相対的に移動させる移動手段の移動速度を制御する移動速度制御機能と、を実現し、前記点灯制御機能では、前記読み取り部が電荷を蓄積している期間中に読み取り形式に基づき前記光源を消灯する期間を設けることで、当該読み取り部で蓄積する電荷が飽和する量に達しないように当該光源の点灯時間を制御することを特徴とするプログラムである。
請求項6に記載の発明は、前記画像信号を予め定められた増幅率で増幅する増幅手段を制御する増幅手段制御機能を備え、前記光源を連続的に点灯状態とするときに前記読み取り部に蓄積される電荷が飽和しない量となる場合は、前記読み取り部の読み取り速度に基づき前記増幅率を変更することを特徴とする請求項5に記載のプログラムである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明によれば、本構成を採用しない場合に比較して、原稿の読み取り速度を変更した場合でも読み取られる画像に変化が生じにくい画像読み取り装置を提供することができる。
請求項2の発明によれば、本構成を採用しない場合に比較して、ノイズがより少ない読み取り画像を得ることができる。
請求項3の発明によれば、本構成を採用しない場合に比較して、読み取られる画像の色の変動がより生じにくくなる。
請求項4の発明によれば、本構成を採用しない場合に比較して、光源の点灯および消灯に伴う色変化の影響をより受けにくくすることができる。
請求項5の発明によれば、本構成を採用しない場合に比較して、原稿の読み取り速度を変更した場合でも読み取られる画像に変化が生じにくくする機能をコンピュータにより実現できる。
請求項6の発明によれば、本構成を採用しない場合に比較して、ノイズがより少ない読み取り画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本実施の形態の画像読み取り装置の構成例を示す図である。
【図2】本実施の形態の光源の構成例を示す図である。
【図3】制御・画像処理ユニットを説明するためのブロック図である。
【図4】信号処理部を説明するためのブロック図である。
【図5−1】画像処理回路の動作の一例を説明するためのフローチャートである。
【図5−2】画像処理回路の動作の一例を説明するためのフローチャートである。
【図6】光源コントロールが光源を動作させる制御信号、およびCCDコントロールがCCDイメージセンサを動作させる制御信号を説明した図である。
【図7】CCDイメージセンサにおいて光電変換した電荷を転送する動作について説明した図である。
【図8】CCDイメージセンサの読み取り速度と、出力増幅回路における増幅率の関係を説明した概念図である。
【図9】(a)〜(c)は、読み取りモードを変更したときの光源点灯信号のタイミングチャートである。
【図10】装置コントロールの動作の一例を説明したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<画像読み取り装置全体の説明>
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本実施の形態の画像読み取り装置1の構成例を示す図である。同図に示す画像読み取り装置1では、固定された原稿の画像を読み取ることが可能であるとともに、搬送される原稿の画像を読み取ることも可能となっている。そして、この画像読み取り装置1は、積載された原稿束から原稿を順次搬送する原稿送り装置10と、スキャンによって画像を読み込む読み取り装置50とを備えている。
【0012】
原稿送り装置10は、複数枚の原稿からなる原稿束を積載する原稿積載部11、この原稿積載部11の下方に設けられ、読み取りが終了した原稿を積載する排紙積載部12を備える。また、原稿送り装置10は、原稿積載部11の原稿を取り出して搬送する用紙搬送ロール13を備える。さらに、用紙搬送ロール13の原稿搬送方向下流側には、フィードロールおよびリタードロールによって用紙を一枚ずつに捌く捌き機構14が設けられる。原稿が搬送される第1搬送路31には、原稿搬送方向上流側から順に、プレレジロール15、レジロール16、プラテンロール17、およびアウトロール18が設けられる。また、原稿送り装置10の内部には、コンタクトイメージセンサ(CIS:Contact Image Sensor)ユニット40が設けられている。
【0013】
プレレジロール15は、一枚ずつに捌かれた原稿を下流側のロールに向けて搬送すると共に原稿のループ形成を行う。レジロール16は、回転を一旦停止した後にタイミングを合わせて回転を再開し、後述する読み取り装置50に対してレジストレーション(ずれ)調整を施しながら原稿を供給する。プラテンロール17は、読み取り装置50にて読み込み中の原稿搬送をアシストする。アウトロール18は、読み取り装置50にて読み込まれた原稿をさらに下流に搬送する。また、アウトロール18よりも原稿搬送方向下流側には、原稿を排紙積載部12に導くための第2搬送路32が設けられる。この第2搬送路32には、排出ロール19が設けられる。
【0014】
さらに、この画像読み取り装置1では、原稿の両面に形成された画像を1プロセスで読み取ることができるよう、アウトロール18の出口側とプレレジロール15の入口側との間に第3搬送路33が設けられている。なお、上述した排出ロール19は、原稿を第3搬送路33に反転搬送する機能も有している。
さらにまた、この画像読み取り装置1には、原稿の両面読み取りを行った際、その排出時に原稿を再度反転させて排紙積載部12に排出するための第4搬送路34が設けられている。この第4搬送路34は、第2搬送路32の上部側に設けられている。そして、上述した排出ロール19は、原稿を第4搬送路34に反転搬送する機能も有している。
【0015】
一方、読み取り装置50は、上述した原稿送り装置10を開閉可能に支持すると共に、この原稿送り装置10を装置フレーム51によって支え、また、原稿送り装置10によって搬送される原稿の画像読み取りを行っている。この読み取り装置50は、筐体を形成する装置フレーム51、画像を読み込むべき原稿を静止させた状態で載せる第1プラテンガラス52A、原稿送り装置10によって搬送される原稿を読み取るための光の開口部を有する第2プラテンガラス52Bを備えている。ここで、第2プラテンガラス52Bは、例えば長尺の板状構造をなす透明なガラスプレートで構成される。
【0016】
また、読み取り装置50は、第2プラテンガラス52Bの下に静止し、あるいは第1プラテンガラス52Aの全体にわたってスキャンして画像を読み込むフルレートキャリッジ53、フルレートキャリッジ53から得られた光を結像部へ供給するハーフレートキャリッジ54を備えている。フルレートキャリッジ53には、点灯して原稿に対して光を照射する光源55、光源55からの光を反射して原稿に照射する第1ミラー57A、および原稿から得られた反射光を反射する第2ミラー57Bが設けられている。さらに、ハーフレートキャリッジ54には、第2ミラー57Bから得られた光を結像部へ提供する第3ミラー57Cおよび第4ミラー57Dが設けられている。また、読み取り装置50は、ハーフレートキャリッジ54および光源55を備えたフルレートキャリッジ53を、副走査方向に移動させるモータ等の駆動源(不図示)を備えている。この駆動源は、光源55と原稿とを相対的に移動させる移動手段の一例として機能している。
【0017】
そして読み取り装置50は、さらに、結像用レンズ58と、原稿の画像を読み取るために原稿からの反射光を受光し受光した光を光電変換して画像信号としての電荷を蓄積する読み取り部の一例であるCCD(Charge Coupled Devices:電荷結合素子)イメージセンサ59とを備えている。これらのうち、結像用レンズ58は、第4ミラー57Dから得られた光学像を光学的に縮小する。また、CCDイメージセンサ59は、結像用レンズ58によって結像された光学像を光電変換する。つまり、読み取り装置50では、所謂縮小光学系を用いてCCDイメージセンサ59に像を結像させている。CCDイメージセンサ59は、例えば3ラインカラーCCDセンサ等によって構成される。このCCDイメージセンサ59は、原稿からの反射光を画素単位で光電変換し、R(赤)、G(緑)、B(青)のアナログ画像信号(以下、「RGB信号」と記す。)を画像信号として出力する。また、読み取り装置50は、第1プラテンガラス52Aと第2プラテンガラス52Bとの間に、原稿送り装置10において搬送される原稿を案内するガイド56Aが形成されており、このガイド56Aの下部には、主走査方向に沿って伸びる白基準板56Bおよび彩度基準部材の一例としての彩度基準板56Cが装着されている。
【0018】
また、読み取り装置50は、制御部の一例としての制御・画像処理ユニット60をさらに備える。制御・画像処理ユニット60は、コンタクトイメージセンサユニット40に設けられるイメージセンサ(不図示)およびCCDイメージセンサ59から入力される原稿の画像データに、予め定められた処理を施す。また、制御・画像処理ユニット60は、画像読み取り装置1の読み取り動作における各部の動作を制御する。
【0019】
次に、画像読み取り装置1により原稿の読み取りを行う場合について説明する。例えば、第1プラテンガラス52Aに置かれた原稿の画像を読み取る場合には、フルレートキャリッジ53とハーフレートキャリッジ54とが、2:1の割合でスキャン方向(矢印方向)に移動する。このとき、フルレートキャリッジ53における光源55から第1ミラー57Aを介し、原稿の被読み取り面に対して光が照射される。そして、原稿からの反射光は、第2ミラー57Bにて反射される。
【0020】
その後、反射光は、第3ミラー57C、および第4ミラー57Dの順に反射されて結像用レンズ58に導かれる。そして、結像用レンズ58に導かれた光は、CCDイメージセンサ59の受光面に結像される。詳しくは後述するがCCDイメージセンサ59は1次元のセンサであり、1ライン分を同時に処理している。そして、このライン方向(スキャンの主走査方向)の1ラインの読み取りが終了すると、主走査方向とは直交する方向(副走査方向)にフルレートキャリッジ53は移動し、原稿の次のラインを読み取る。これを原稿サイズ全体に亘って実行することで、1ページの原稿読み取りが完了する。
【0021】
一方、原稿送り装置10によって搬送される原稿の画像を読み取る場合には、原稿送り装置10によって搬送される原稿が第2プラテンガラス52Bの上を通過する。このとき、フルレートキャリッジ53とハーフレートキャリッジ54とは、図1に示す実線の位置に停止した状態にある。そして、原稿送り装置10のプラテンロール17を経た原稿の1ライン目の反射光が、第2ミラー57B、第3ミラー57C、および第4ミラー57Dを経て結像用レンズ58に導かれる。この場合、原稿送り装置10は、光源55と原稿とを相対的に移動させる移動手段の一例として機能している。
【0022】
そして、反射光は結像用レンズ58にて結像され、CCDイメージセンサ59によって画像が読み込まれる。そして、1次元のセンサであるCCDイメージセンサ59によって主走査方向の1ライン分が同時に処理された後、原稿送り装置10によって搬送される原稿の次の主走査方向の1ラインが読み込まれる。その後、原稿の後端が、第2プラテンガラス52Bの読み取り位置を通過することによって、副走査方向に亘って1ページの読み取りが完了する。ここで、本実施の形態では、CCDイメージセンサ59により原稿の第一面の読み取りを行うときに、同時にコンタクトイメージセンサユニット40によって、原稿の第二面の読み取りを行うこともできる。
【0023】
<光源の説明>
図2は、本実施の形態の光源55の構成例を示す図である。
図2に示した光源55は、多層基板550上に配され列状に並ぶLED(Light Emitting Diode)チップ551と、多層基板550に形成され、光源55を固定するための取り付け孔552と、LEDチップ551の光の出射方向に配置されLEDチップ551からの光を導くと共に予め定められた配光分布で放射するための導光板560とを備える。
【0024】
多層基板550は、本実施の形態ではガラスエポキシ基板であり、単一基板が積層することで形成される。多層基板550のLEDチップ551が配置される面(表の面)、この面に対向する面(裏の面)、および単一基板間には銅などからなる金属膜により配線が形成されている。
【0025】
LEDチップ551は、GaN系の半導体層を内部に有し、青色の光を生成するが、LEDチップ551表面に塗布された蛍光体により色変換が行なわれ、白色光を放射する。また、LEDチップ551は、多層基板550上で主走査方向に列状に配され、その間隔は同程度となっている。
【0026】
導光板560は、アクリル等の透明樹脂からなり、上述の通りLEDチップ551の光の出射方向に配置されLEDチップ551からの光を導く。そして、導光板560から光が出射する出射面560aには、図示しないフィルタが設けられている。このフィルタには、予め定められたパターンの凹凸構造が形成されている。そしてこの凹凸構造により出射する光を予め定められた配光分布とすることができる。導光板560は図示しない取り付け金具により多層基板550と予め定められた距離で取り付けられ、固定される。
【0027】
<制御・画像処理ユニットの説明>
次に、図1に示す制御・画像処理ユニット60について説明する。
図3は、制御・画像処理ユニット60を説明するためのブロック図である。本実施の形態が適用される制御・画像処理ユニット60は、CCDイメージセンサ59(図1参照)から得られた画像情報を処理する信号処理部70と、原稿送り装置10および読み取り装置50を制御する装置コントロール80とを備えている。
【0028】
信号処理部70では、CCDイメージセンサ59からの出力に対して予め定められた画像処理を施している。これら信号処理部70からの出力は、例えばプリンタ等のIOT(Image Output Terminal)や、パーソナルコンピュータ(PC)等のホストシステムへ出力される。
【0029】
図4は、信号処理部70を説明するためのブロック図である。
図4に示した信号処理部70は、サンプルホールド回路71と、黒レベル調整回路72と、増幅手段の一例である出力増幅回路73と、A/D変換回路74と、画像処理回路(DSP:Digital Signal Processor)75と、画像メモリ76とを備える。
【0030】
サンプルホールド回路71は、CCDイメージセンサ59からアナログ画像データとしてのRGB信号を受け取り、標本化(サンプリング)して一定時間保持(ホールド)する。そしてRGB信号は、黒レベル調整回路72により黒の輝度レベルを調整された後、出力増幅回路73により予め定められた増幅率で増幅され、予め定められた出力レベルになる。
次にアナログ信号であるRGB信号は、A/D変換回路74によりCCDイメージセンサ59の画素毎にA/D変換され、デジタル画像データとしてのDR、DG、DB信号となる。A/D変換後のデジタル画像データは、例えば濃度が8ビット(256階調)で表されるようになっており、黒では最小の0、白では最大の255が出力される。そしてDR、DG、DB信号は、詳しくは後述する画像処理回路75においてシェーディング補正やガンマ補正等の画像処理を施され、出力される。
【0031】
図3に戻り、装置コントロール80は、片面読み取りや両面読み取りの制御等を含め、原稿送り装置10および読み取り装置50の全体を制御する画像読み取りコントロール81、CCDイメージセンサ59を制御するCCDコントロール82、読み取りタイミングに合わせて光源55を制御する光源コントロール83、読み取り装置50におけるモータのオン/オフ、移動速度の制御などを行いフルレートキャリッジ53とハーフレートキャリッジ54とのスキャン動作を制御するスキャンコントロール84、原稿送り装置10におけるモータの制御、各種ロールの動作やフィードクラッチの動作、ゲートの切り替え動作等を制御する搬送機構コントロール85を備えている。これらの各種コントロールからは、原稿送り装置10および読み取り装置50に対して制御信号が出力され、かかる制御信号に基づいて、これらの動作制御が可能となる。
【0032】
画像読み取りコントロール81は、ホストシステムからの制御信号や、例えば自動選択読み取り機能に際して検出されるセンサ出力、ユーザインタフェース(UI)を介したユーザからの選択等に基づいて、読み取りモード(読み取り形式)を設定し、原稿送り装置10および読み取り装置50を制御している。このような読み取りモードとしては、第1プラテンガラス52A上に原稿を載せて読み取る原稿固定読み取りモード、あるいは、1パスによる片面読み取りモードや反転パスを用いた反転両面読み取りモード等の原稿流し読み取りモードが考えられる。また、例えば原稿を読み取って得られた画像データに予め定められた画像処理を施すことにより、文字画像の読み取りやすさを確保した画像データを出力する文字画像読み取りモード(文字モード)や、原稿を読み取って得られた画像データに予め定められた画像処理を施すことにより、写真画像の見やすさを確保した画像データを出力する写真画像読み取りモード(写真モード)などが設定可能となっている。さらに原稿を白黒で読み取る白黒読み取りモードや、原稿をカラーで読み取るカラー読み取りモードが設定可能である。そして他にも画像を拡大または縮小する拡大/縮小モードなどがある。
【0033】
<画像処理回路の動作の説明>
次に画像処理回路75の動作について詳細に説明を行なう。
図5−1および図5−2は、画像処理回路75の動作の一例を説明するためのフローチャートである。
まず画像処理回路75は、A/D変換回路74からデジタル画像データとしてのDR、DG、DB信号を受け取る(ステップ101)。そして画像データを画像メモリ76に保持する(ステップ102)。次に画像データを画像メモリ76から読み出し、シェーディング補正を行なう(ステップ103)。続けて画像データはガンマ補正がなされ(ステップ104)、原稿の地色検知をして地色を除去する処理を行なう(ステップ105)。そして上記の画像処理が行なわれた画像データは、再び画像メモリ76に保持される(ステップ106)。
【0034】
次に画像処理回路75は、画像を50%縮小する処理を行なうか否かを判断する(ステップ107)。そして50%縮小を行なう場合(ステップ107でYes)、画像処理回路75は、画像データを画像メモリ76から読み出し、画像データの中から主走査方向および副走査方向において、1つおきに画素を削除する処理を行なう(ステップ108)。これにより画像を50%縮小することができる。そして50%縮小後、画像データは、再び画像メモリ76に保持される(ステップ109)。
【0035】
次に画像処理回路75は、画像を主走査方向に拡大/縮小する処理を行なうか否かを判断する(ステップ110)。そして主走査方向に拡大/縮小を行なう場合(ステップ110でYes)、画像処理回路75は、画像データを画像メモリ76から読み出し、予め定められた処理を行なうことで、画像を主走査方向に拡大/縮小する(ステップ111)。そして主走査方向に拡大/縮小する処理が行なわれた後は、画像データは、再び画像メモリ76に保持される(ステップ112)。
【0036】
さらに画像処理回路75は、画像を副走査方向に拡大/縮小する処理を行なうか否かを判断する(ステップ113)。そして副走査方向に拡大/縮小を行なう場合(ステップ113でYes)、画像処理回路75は、画像データを画像メモリ76から読み出し、予め定められた処理を行なうことで、画像を副走査方向に拡大/縮小する(ステップ114)。そして副走査方向に拡大/縮小する処理が行なわれた後は、画像データは、再び画像メモリ76に保持される(ステップ115)。
【0037】
そして画像処理回路75は、画像データを画像メモリ76から読み出し、平滑化/強調フィルタ処理を行なう(ステップ116)。これらの処理を行なうことで画像に載ったランダムなノイズを除去したり、画素ごとの濃度値の細かい変化を少なくすること(平滑化)や、文字等のエッジ部の濃度値の変化を強調すること(強調化)ができる。そしてこの処理が行なわれた後は、画像データは、再び画像メモリ76に保持される(ステップ117)。
【0038】
なお上述した画像を50%縮小する処理、画像を主走査方向に拡大/縮小する処理、画像を副走査方向に拡大/縮小する処理を行なうか否かは、例えば、ユーザインタフェースを介してユーザが指定したか否かにより決定される。また主走査方向に拡大/縮小する処理および副走査方向に拡大/縮小する処理に先んじて別途50%縮小する処理を行なうのは、この処理が簡単に行なうことができるため、画像処理回路75に対する負荷が軽くなるためである。
【0039】
本実施の形態では、画像処理回路75は、以上の処理をソフトウェアにより行なう。そのため画像を拡大/縮小する処理を行なう場合、上述のように別途処理が必要となるため処理に要する負荷が増加する。さらに上述したように画像データは、画像メモリ76との間で頻繁に保持および読み出しが行なわれる。これは画像処理回路75の処理能力が限られるため、一度に多くの画像処理を行なうことができず、基本的に1つの画像処理を行なった後は、いったん画像メモリ76に保持し、再度画像メモリ76から読み出して、次の画像処理を行なうという動作を繰り返すためである。そのためこの処理によっても画像処理回路75に対する負荷は増加する。これらの理由により画像読み取りの速度に対して画像処理回路75の処理が追いつかなくなるときがある。これはカラー読み取り時において、より顕著となる。つまりカラー読み取り時は、白黒読み取り時に対し、画像信号の量が3倍になるため、それだけ画像処理回路75の負荷が増加する。
【0040】
そのため本実施の形態では、特に読み取りモードがカラー読み取りの場合、および拡大/縮小処理を伴う場合は、原稿の読み取り速度を遅くすることで対処を行なっている。より具体的にはカラー読み取りの場合および拡大/縮小処理を伴う場合は、上述した駆動源等の移動手段の移動速度を遅くし、CCDイメージセンサ59における原稿の読み取り速度を遅くする。本実施の形態では、この制御をスキャンコントロール84により行なっている。つまりスキャンコントロール84は、読み取りモードに応じて移動手段の移動速度を制御することで、CCDイメージセンサ59における読み取り速度を調節する移動速度制御部の一例として機能する。
【0041】
しかしながら移動手段の移動速度を遅くし、CCDイメージセンサ59における原稿の読み取り速度を遅くした場合、CCDイメージセンサ59に蓄積する電荷が飽和し、CCDイメージセンサ59の飽和出力電圧を超えてしまう場合がある。つまり原稿の読み取り速度を遅くすることで、CCDイメージセンサ59の光蓄積期間が長くなり、露光量が増加する。そのため原稿の読み取り速度が予め定められた速度以下になると、CCDイメージセンサ59が受光する光が飽和露光量以上となり、CCDイメージセンサ59に蓄積する電荷が飽和する量(飽和電荷量)にまで達する。この場合、原稿の読み取りを正常に行なうことが困難になる。
【0042】
そこで、本実施の形態では、このような場合に、読み取りモードに基づき、光源を消灯する期間を設けることで光源の点灯時間を制御し、CCDイメージセンサ59で蓄積する電荷が飽和する量に達しないようにしている。つまり光源コントロール83は、点灯時間制御部の一例として機能する。
【0043】
<光源およびCCDイメージセンサの動作の説明>
図6は、光源コントロール83が光源55を動作させる制御信号、およびCCDコントロール82がCCDイメージセンサ59を動作させる制御信号を説明した図である。
図中、上段は、光源コントロール83が光源55を動作させる制御信号のタイミングチャートである。また下段は、CCDコントロール82がCCDイメージセンサ59を動作させる制御信号のタイミングチャートである。
【0044】
ここで下段のタイミングチャートは、CCD駆動クロック(CLK)である。本実施の形態の場合、時間a〜時間dの期間が主走査方向1ラインの画像情報の転送期間であり、また同様に主走査方向1ライン分の光の蓄積期間である。そして転送期間は、垂直転送期間と水平転送期間の2つの期間に分かれる。
【0045】
図7は、CCDイメージセンサ59において光電変換した電荷を転送する動作について説明した図である。
CCDイメージセンサ59には、原稿により反射された光を受光する受光面にフォトダイオードがライン状に配されている。本実施の形態では、R(Red)、G(Green)、B(Blue)の各色に対応するフォトダイオードが、3列に配列し、原稿に記録された画像をRGBの各色で読み取ることが可能となっている。なお本実施の形態では、このフォトダイオードは、1列につき例えば、7500個配列する。図7では、このうち1列を例示し図示している。
【0046】
図7においてフォトダイオードPは、主走査方向に一列に配され、1つのフォトダイオードPが画像読み取り装置1(図1参照)で原稿を読み取る際の1画素に相当する。そしてフォトダイオードPに光を照射されると光電変換が生じフォトダイオードPに電荷が蓄積される。蓄積される電荷の量は、蓄積される時間(蓄積期間)および照射される光の量に比例する。フォトダイオードPでは、予め定められた蓄積期間で電荷が蓄積され、そして画像信号として取り出される。そして一般的なCCDイメージセンサ59では、電荷を取り出すのに垂直転送および水平転送を行なうことで行なう。即ちフォトダイオードPに蓄積された電荷は、まず垂直転送され、電荷転送部Dに送られる。電荷転送部Dは、CCD(Charge Coupled Devices:電荷結合素子)からなる半導体素子である。そして電荷転送部Dから電荷を順次水平転送することで、1ライン分の画像信号として取り出すことができる。
【0047】
図6に戻りフォトダイオードPにおいて蓄積された電荷は、まず垂直転送期間の時間a〜時間bにおいて、図7で説明を行なったフォトダイオードPから電荷転送部Dへ電荷の垂直転送が行なわれる。そして時間c1〜時間c2の間に電荷転送部Dにおける1回目の水平転送が行なわれる。さらに時間c3〜時間c4の間に2回目の水平転送が行なわれ、以下1ライン分の電荷が全て水平転送されるまで、この水平転送が繰り返される。またこの垂直転送および水平転送を行なっている時間a〜時間dの間にフォトダイオードPには次の1ラインの電荷が光電変換されて蓄積される。そしてこの電荷についても次の周期において垂直転送および水平転送が行なわれ、CCDイメージセンサ59外部に画像情報として出力される。
【0048】
そして本実施の形態では、上段のタイミングチャートで示すようにCCDイメージセンサ59の蓄積期間中に光源点灯信号をONからOFFにし、光源55を消灯する期間(時間L1〜時間L2の期間)を設けている。これによりCCDイメージセンサ59に蓄積される電荷が減少する。そのためCCDイメージセンサ59に蓄積される電荷が飽和する量に達しないようにすることができる。
【0049】
なお光源55の消灯期間を設けるのは、光源55を連続的に点灯状態とするときにCCDイメージセンサ59の露光量が飽和露光量以上となり、CCDイメージセンサ59に蓄積される電荷が飽和電荷量に達する場合である。即ち光源55を連続的に点灯状態としてもCCDイメージセンサ59の露光量が飽和露光量未満となる場合は、消灯期間は、設ける必要はない。つまり移動手段の移動速度が予め定められた速度を超えることで、原稿の読み取り速度が、予め定められた速度を超えた場合は、CCDイメージセンサ59の露光量が飽和露光量未満となる。そしてこの場合は、CCDイメージセンサ59に蓄積される電荷は飽和電荷量に達しないので、光源55の消灯期間を設ける必要はない。
【0050】
ここで、光源55の消灯期間は、CCDイメージセンサ59が電荷を水平転送する期間中に設けることが好ましい。光源55は、上述したように例えば、LEDにより発する光を利用するが、LEDの点灯および消灯の前後は、色味が変化しやすい。そのためCCDイメージセンサ59が電荷を垂直転送する期間にかかって光源55の消灯期間を設けた場合は、LEDの色味の変化の影響を受け、原稿を正常に読み取れなくなるおそれがある。
【0051】
同様の理由により、CCDイメージセンサ59が、電荷を垂直転送する期間の開始時(時間a)および終了時(時間b)をはさみ予め定められた時間内には光源55の点灯および消灯を行なわないことが好ましい。これを図6中では、時間aをはさんだ時間a1〜時間a2、および時間bをはさんだ時間b1〜時間b2の期間として示している。つまりこの時間a1〜時間a2、および時間b1〜時間b2の期間は、光源55の色味が変化しやすい時間であり、この期間を避けて光源55の消灯時間を設けることが好ましい。
【0052】
また本実施の形態では、光源55を連続的に点灯状態とするときにCCDイメージセンサ59に蓄積される電荷が飽和しない量となる場合は、読み取り速度に基づき出力増幅回路73(図4参照)の増幅率を変更する。
【0053】
図8は、CCDイメージセンサ59の読み取り速度と、出力増幅回路73における増幅率の関係を説明した概念図である。図8において横軸は、読み取り速度を表わし、縦軸は、出力増幅回路73における増幅率を表わす。
【0054】
図8において、読み取り速度V1以下では、光源55を連続的に点灯状態とするときにCCDイメージセンサ59に蓄積する電荷が飽和電荷量に達する。そしてこの読み取り速度V1を超える速度領域では、出力増幅回路73の増幅率を増加している。これは読み取り速度V1を超える速度領域において、CCDイメージセンサ59の光の蓄積期間が短いときは、出力増幅回路73の増幅率を増加させ、CCDイメージセンサ59の光の蓄積期間が長いときは、出力増幅回路73の増幅率を減少させると言い換えることもできる。このようにすることで、出力増幅回路73からの出力レベルが、ほぼ一定となり、CCDイメージセンサ59の光の蓄積期間に依存しにくくなる。そしてCCDイメージセンサ59の光の蓄積期間が長いときは、より多くの光を光電変換し画像情報とすることができるので、S/N比(Signal to Noise ratio)をより良くすることができる。
【0055】
図9(a)〜(c)は、読み取りモードを変更したときの光源点灯信号のタイミングチャートである。
このうち図9(a)は、白黒読み取り時において拡大/縮小処理を行なわないときの光源点灯信号のタイミングチャートである。また図9(b)は、白黒読み取り時において拡大/縮小処理を行なうときの光源点灯信号のタイミングチャートである。さらに図9(c)は、カラー読み取り時において拡大/縮小処理を行なわないときの光源点灯信号のタイミングチャートである。
【0056】
図9(a)においてCCDイメージセンサ59による1ラインの読み取り時間は、時間e〜時間fの時間である。この時間は、具体的には、例えば300μsである。即ちCCDイメージセンサ59の光の蓄積期間は、時間e〜時間fの期間となる。この蓄積期間では、CCDイメージセンサ59に蓄積する電荷は飽和電荷量には達しないため、光源点灯信号は、ONのままであり、光源55は、消灯せず点灯状態を維持する。
【0057】
また図9(b)においては、1ラインの読み取り時間は、図9(a)の場合に対して例えば、2倍となり、時間e〜時間gの時間である。よってCCDイメージセンサ59の光の蓄積期間は、時間e〜時間gの期間となる。この蓄積期間は、図9(a)に対し2倍であるが、CCDイメージセンサ59に蓄積する電荷は飽和電荷量には達しないため、光源点灯信号は、ONのままであり、光源55は、消灯せず点灯状態を維持する。しかしながらCCDイメージセンサ59から出力される画像信号の強度は2倍となるので、出力増幅回路73(図4参照)の増幅率を図9(a)の場合に対し半分とし、出力増幅回路73からの出力レベルを図9(a)の場合とほぼ同じとする。このようにすることで図9(a)の場合より読み取られる画像のS/N比を良くすることができる。
【0058】
また図9(c)においては、1ラインの読み取り時間は、例えば、図9(a)の場合に対して例えば、4倍となり、時間e〜時間iの時間である。よってCCDイメージセンサ59の光の蓄積期間は、時間e〜時間iの期間となる。この蓄積期間は、図9(a)に対し4倍である。そして本実施の形態では、光源55が点灯状態のままでは、CCDイメージセンサ59に蓄積する電荷は飽和電荷量に達してしまう。そのため光源点灯信号を時間g〜時間iの間でONからOFFとし、光源55の消灯期間を設ける。なおこの場合CCDイメージセンサ59から出力される画像信号の強度は、図9(b)とほぼ同じとなるため、出力増幅回路73の増幅率を図9(b)の場合と同じとし、出力増幅回路73からの出力レベルを図9(a)〜(b)の場合とほぼ同じとする。
【0059】
<装置コントロール全体の動作の説明>
次に上述した光源55およびCCDイメージセンサ59の制御を含む装置コントロール80全体の動作について説明を行なう。
図10は、装置コントロール80の動作の一例を説明したフローチャートである。
まず画像読み取りコントロール81が、センサ出力、ユーザインタフェース(UI)を介したユーザからの選択等に基づいて、読み取りモードを設定する(ステップ201)。そして設定した読み取りモードに基づき画像読み取りコントロール81は、移動手段の移動速度(スキャン速度)を決定する(ステップ202)。
また画像読み取りコントロール81は、光源55の消灯期間を決定する(ステップ203)。この消灯期間は、読み取りモードまたはスキャン速度の何れかに基づき決定することができる。なお上述したように読み取りモードによっては、消灯期間を設定しないようにすることもできる。
【0060】
そして光源コントロール83は、光源点灯信号をOFFからONにすることで光源55を点灯させる(ステップ204)。それとともにスキャンコントロール84がステップ202で決定されたスキャン速度でスキャンを開始する(ステップ205)。
次に予め定められたタイミングでCCDイメージセンサ59が1ライン目の読み取りを行なう(ステップ206)。この読み取りは、図6〜図7に示したようにCCDコントロール82から出力されるCCD駆動クロックに従い、CCDイメージセンサ59が光電変換された電荷を垂直転送および水平転送することにより行なわれる。
【0061】
そしてこの水平転送の期間中に光源コントロール83は、画像読み取りコントロール81により決定された消灯期間において光源点灯信号をONからOFFとして光源55の消灯を行なう(ステップ207)。また1ライン目の読み取りが終了すると、画像読み取りコントロール81は、読み取るべきラインがまだ残っているかを判定し(ステップ208)、残っていなければ(ステップ208でNo)、原稿の読み取りを終了する。また残っていれば(ステップ208でYes)、ステップ206に戻り、次のラインの読み取りを行なう。
【0062】
装置コントロール80が、以上のような制御を行なうことで、読み取り速度が変化してもCCDイメージセンサ59に蓄積される電荷が飽和電荷量に達しないようにすることができる。そして読み取り速度が変化しても読み取られる画像に変化が生じにくくなる。
【0063】
なお以上説明を行った本実施の形態における信号処理部70や装置コントロール80が行なう処理は、ソフトウェアとハードウェア資源とが協働することにより実現される。即ち、画像読み取り装置1に設けられた制御用コンピュータ内部の図示しないCPUが、画像読み取り装置1内の信号処理部70や装置コントロール80の各機能を実現するプログラムを実行し、これらの各機能を実現させる。
【0064】
よって図10で説明を行った装置コントロール80が行なう処理は、コンピュータに、点灯して原稿に対して光を照射する光源55を制御する点灯制御機能と、原稿からの反射光を受光し受光した光を光電変換して画像信号としての電荷を蓄積するCCDイメージセンサ59を制御する読み取り部制御機能と、読み取りモードに応じて光源55と原稿とを相対的に移動させる移動手段の移動速度を制御する移動速度制御機能と、を実現し、点灯制御機能では、CCDイメージセンサ59が電荷を蓄積している期間中に読み取りモードに基づき光源55を消灯する期間を設けることで、CCDイメージセンサ59で蓄積する電荷が飽和する量に達しないように当該光源55の点灯時間を制御するプログラムとして捉えることもできる。
【符号の説明】
【0065】
1…画像読み取り装置、55…光源、59…CCDイメージセンサ、60…制御・画像処理ユニット、70…信号処理部、73…出力増幅回路、75…画像処理回路、80…装置コントロール、81…画像読み取りコントロール、82…CCDコントロール、83…光源コントロール、84…スキャンコントロール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
点灯して原稿に対して光を照射する光源と、
前記原稿からの反射光を受光し受光した光を光電変換して画像信号としての電荷を蓄積する読み取り部と、
前記光源と前記原稿とを相対的に移動させる移動手段と、
読み取り形式に応じて前記移動手段の移動速度を制御することで、前記読み取り部における読み取り速度を調節する移動速度制御部と、
前記読み取り部が電荷を蓄積している期間中に読み取り形式に基づき前記光源を消灯する期間を設けることで、当該読み取り部で蓄積する電荷が飽和する量に達しないように当該光源の点灯時間を制御する点灯時間制御部と、
を備えることを特徴とする画像読み取り装置。
【請求項2】
前記画像信号を予め定められた増幅率で増幅する増幅手段をさらに備え、
前記増幅手段は、前記光源を連続的に点灯状態とするときに前記読み取り部に蓄積される電荷が飽和しない量となる場合は、前記読み取り速度に基づき前記増幅率を変更することを特徴とする請求項1に記載の画像読み取り装置。
【請求項3】
前記読み取り部は、電荷結合素子を用いて蓄積された前記電荷を垂直転送および水平転送することで前記画像信号として取り出す半導体素子を備え、
前記点灯時間制御部は、前記電荷を水平転送する期間中に前記光源を消灯する期間を設けることで前記点灯時間を制御することを特徴とする請求項1または2に記載の画像読み取り装置。
【請求項4】
前記読み取り部は、電荷結合素子を用いて蓄積された前記電荷を垂直転送および水平転送することで前記画像信号として取り出す半導体素子を備え、
前記点灯時間制御部は、前記電荷を垂直転送する期間の開始時および終了時をはさみ予め定められた時間内には前記光源の点灯および消灯を行なわないことを特徴とする請求項1または2に記載の画像読み取り装置。
【請求項5】
コンピュータに、
点灯して原稿に対して光を照射する光源を制御する点灯制御機能と、
前記原稿からの反射光を受光し受光した光を光電変換して画像信号としての電荷を蓄積する読み取り部を制御する読み取り部制御機能と、
読み取り形式に応じて前記光源と前記原稿とを相対的に移動させる移動手段の移動速度を制御する移動速度制御機能と、
を実現し、
前記点灯制御機能では、前記読み取り部が電荷を蓄積している期間中に読み取り形式に基づき前記光源を消灯する期間を設けることで、当該読み取り部で蓄積する電荷が飽和する量に達しないように当該光源の点灯時間を制御することを特徴とするプログラム。
【請求項6】
前記画像信号を予め定められた増幅率で増幅する増幅手段を制御する増幅手段制御機能を備え、
前記光源を連続的に点灯状態とするときに前記読み取り部に蓄積される電荷が飽和しない量となる場合は、前記読み取り部の読み取り速度に基づき前記増幅率を変更することを特徴とする請求項5に記載のプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5−1】
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【図5−2】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−30900(P2013−30900A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−164332(P2011−164332)
【出願日】平成23年7月27日(2011.7.27)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】