説明

画像読取システム、画像処理方法および画像処理プログラム

【課題】 フィルムのネガ・ポジ判定をより確実に行うことができる画像処理方法の提供。
【解決手段】 フィルムを光源で照明し、フィルムの各画像コマおよび画像コマに挟まれたコマ間を透過した光を受光した撮像装置の出力信号に基づいて、フィルムの濃淡画像データを生成し(ステップS1)、濃淡画像データから濃淡を反転した反転画像データを生成し(ステップS2)、濃淡画像データおよび反転画像データの各々から、コマ間と見なされる画像領域を抽出し(ステップS3)、濃淡画像データから抽出された画像領域の数と反転画像データから抽出された画像領域の数とに基づいて、フィルムがネガフィルムかポジフィルムかを判定する(ステップS4)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルムに形成された画像を読み取る画像読取システム、画像処理方法および画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
画像読取装置の一つに、カメラで撮影したフィルム画像を読みよるためのフィルムスキャナがある。フィルムスキャナでは、複数の画像コマを有するネガフィルムやポジフィルムから画像を読み取り、その画像データをパソコン等に出力して画像を表示させる等している。ネガフィルムの場合、ポジフィルムとは異なって読み取った画像を反転処理してから表示する必要があるので、フィルムスキャナにおいては予めフィルムがネガかポジかを認識しておく必要がある。一般的には、ネガ・ポジを手動設定できるようにし、オペレータがフィルムに合わせて設定を切り換えるようにしている。また、スキャナ自体にネガかポジかを判定する機能が設けられている場合もある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
上述したネガ・ポジ判定機能を有するフィルムスキャナでは赤外線を用いた光学センサを用いて、装填されたフィルムがネガフィルムであるかポジフィルムであるかを判定するようにしている。また、画像読み取り用のCCDセンサで画像コマ間の領域を読み取って、CCDセンサの出力に基づいてネガ・ポジを判定することも記載されている。
【0004】
【特許文献1】特開平11−98294号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来技術においては、赤外線センサを設ける必要がありコスト上昇を招くという欠点がある。また、CCDセンサでコマ間を読み取る方法の場合には、コマ間に正確に位置決めする必要がある。上記従来技術ではパーフォレーションを検出するセンサを設けているが、画像コマとパーフォレーションとの相対位置関係は、例えばフィルム装填時の装填状態によって異なり、正確な位置決めは難しい。そのため、読み取り位置がコマ間とずれてしまって、ネガ・ポジ判定が正確にできないおそれがあった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明による画像読取システムは、フィルムを光源で照明して、フィルムの各画像コマおよび画像コマに挟まれたコマ間を透過した光を受光する撮像装置と、撮像装置の出力信号に基づいてフィルムの濃淡画像データを生成する第1の生成手段と濃淡画像データから濃淡を反転した反転画像データを生成する第2の生成手段と、濃淡画像データおよび反転画像データの各々から、コマ間と見なされる画像領域を抽出する抽出手段と、濃淡画像データから抽出された画像領域の数と、反転画像データから抽出された画像領域の数とに基づいて、フィルムがネガフィルムかポジフィルムかを判定する判定手段とを備えることを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1に記載の画像読取システムにおいて、判定手段は、濃淡画像データから抽出された画像領域の数よりも反転画像データから抽出された画像領域の数の方が大きい場合にはネガフィルムと判定し、反転画像データから抽出された画像領域の数よりも濃淡画像データから抽出された画像領域の数の方が大きい場合にはポジフィルムと判定する。
請求項3の発明は、請求項2に記載の画像読取システムにおいて、判定手段は、撮像装置から出力されたコマ間と見なされる画像領域の信号に基づいて、フィルムがネガフィルムかポジフィルムかを判定する。
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の画像読取システムにおいて、判定手段によりポジフィルムと判定された場合には濃淡画像データから抽出された画像領域に基づいて各画像コマの先頭アドレスを算出し、判定手段によりネガフィルムと判定された場合には反転画像データから抽出された画像領域に基づいて各画像コマの先頭アドレスを算出するコマ間検出手段を備えたものである。
請求項5の発明による画像処理方法は、フィルムを光源で照明し、フィルムの各画像コマおよび画像コマに挟まれたコマ間を透過した光を受光した撮像装置の出力信号に基づいて、フィルムの濃淡画像データを生成する工程と、濃淡画像データから濃淡を反転した反転画像データを生成する工程と、濃淡画像データおよび反転画像データの各々から、コマ間と見なされる画像領域を抽出する工程と、濃淡画像データから抽出された画像領域の数と、反転画像データから抽出された画像領域の数とに基づいて、フィルムがネガフィルムかポジフィルムかを判定する工程とを有することを特徴とする。
請求項6の発明による画像処理プログラムは、フィルムを光源で照明し、フィルムの各画像コマおよび画像コマに挟まれたコマ間を透過した光を受光した撮像装置の出力信号に基づいて、フィルムの濃淡画像データを生成する処理と、濃淡画像データから濃淡を反転した反転画像データを生成する処理と、濃淡画像データおよび反転画像データの各々から、コマ間と見なされる画像領域を抽出する処理と、濃淡画像データから抽出された画像領域の数と、反転画像データから抽出された画像領域の数とに基づいて、フィルムがネガフィルムかポジフィルムかを判定する処理とをコンピュータ装置に実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、フィルムの画像コマおよびコマ間を透過した光を撮像装置で受光し、その撮像装置の出力信号に基づく画像データからコマ間と見なされる画像領域を抽出し、抽出された画像領域の数に基づいてネガフィルムかポジフィルムかを判定しているので、ネガ・ポジ判定を正確に行うことができる。また、従来のように光学センサを設ける必要がない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図を参照して本発明を実施するための最良の形態について説明する。図1は本発明による画像読取システムの一実施形態を示す概略構成図である。画像読取システムは撮影および現像が済んだ写真フィルムの画像を読み取ってデジタルデータに変換するスキャナ本体2と、画像処理を行うホストコンピュータ10とで構成されている。スキャナ本体2のCPU22は、外部インターフェース27を介してホストコンピュータ10との間で通信を行う。
【0009】
ホストコンピュータ10は、演算処理装置、ハードディスク等の記憶装置、キーボードやマウス等の入力装置101およびCRTや液晶ディスプレイ等の表示装置100を有する。ホストコンピュータ10には専用のドライバソフトウェアが組み込まれ、画像読取りを始めとした画像読取システムの種々の機能がドライバソフトウェアにてサポートされる。ユーザは、ホストコンピュータ10にてドライバソフトウェアを立ち上げ、入力装置101を用いて画像読取り指示やフィルム排出指示などを行う。
【0010】
スキャナ本体2はフィルム給送装置4が着脱自在に設けられており、フィルム給送装置4をスキャナ本体2に装着すると、フィルム給送装置4のコネクタ41とスキャナ本体2のコネクタ21とが接続される。フィルムFは複数の画像コマを有するストリップフィルムであり、フィルム給送装置4にはフィルムFを給送・排送するための駆動ローラ42と押圧ローラ43とが設けられている。フィルムFは駆動ローラ42と押圧ローラ43との間に挟み込まれ、図示左右方向に移送される。駆動ローラ42はフィルム駆動モータ44により駆動され、押圧ローラ43は不図示の押圧ばねの付勢力によってフィルムFを駆動ローラ42に押圧する。
【0011】
押圧ローラ43の図示左側に設けられたフィルム挿入口45の近くには、フィルムFが挿入されたか否かを確認するためのフィルム挿入センサ46が配設されている。フィルム挿入センサ46は反射型のフォトセンサであり、フィルムFからの反射光を検出することによりフィルムの有無を検出する。フィルム挿入センサ46によりフィルムFが検出されると、スキャナ本体2のCPU22からの指示によりモータ駆動回路23を介してフィルム駆動モータ44が駆動され、その駆動力により駆動ローラ42が回転してフィルムFが図示右方向に給送される。
【0012】
スキャナ本体2の光学ブロック24には、LED光源200と、CCDラインセンサ201と、フィルムFを透過した光をCCDラインセンサ201上に投影する光学系202とが設けられている。CCDラインセンサ201はセンサ駆動回路30により駆動される。LED光源200は、CPU22からの指示によりLED駆動回路25を介して点灯され、その照明光はフィルムFの露光領域を透過し、光学系202を介してCCDラインセンサ201により受光される。
【0013】
CCDラインセンサ201の光電変換出力は、アナログ画像信号として信号処理回路33に入力され、ここで増幅,相関二重サンプリング,シェーディング補正,暗電流補正,偶奇補正等の処理が施される。処理後の画像信号はA/D変換器26でデジタル信号に変換され、外部インターフェース27を介してホストコンピュータ10に送信される。メモリ31はCPU22の作業領域として使用される他、フィルム読み取り時に設定される各種読み取り条件や、画像処理中および画像処理後の画像データなどの記憶領域として使用される。ROM32には、スキャナ本体2の制御に必要なプログラムや各種パラメータ等が記憶されている。
【0014】
CCDラインセンサ201は1度に1ライン分の読取りを行うラインセンサであり、1コマ分の画像を読み取るには、上述した光学ブロック24とフィルムFとを相対移動(スキャン駆動)させ、1ライン分の移動と読取りとを交互に繰り返す必要がある。本実施形態では、スキャンモータ28により光学ブロック24をフィルムFに対してスキャン駆動する。スキャンモータ28の駆動は、CPU22からの指示によりスキャンモータ駆動回路29により行われる。
【0015】
《読み取り動作の説明》
スキャナ本体2による読み取り動作は、サムネイル画像データを生成するための粗スキャンと、本画像データを生成するための本スキャン(精細スキャン)とがある。フィルムFが図1に示すフィルム給送装置4のフィルム挿入口45に挿入されると、フィルム駆動モータ44を駆動してフィルムFを所定の位置まで引き込む。
【0016】
次に、粗スキャン開始の命令がホストコンピュータ10からスキャナ本体2に送信されて粗スキャンが開始され、フィルムFを図1の右方向に移動させる。そして、フィルムFを移動させながらLED光源200を赤(R)、緑(G)、青(B)と順次発光させ、フィルムFを透過した光をCCDラインセンサ201で受光する。CCDラインセンサ201から出力された1ライン分のR信号、G信号、B信号は信号処理回路33に入力され、そこで前述したような各種処理が施されて信号処理回路33から出力される。
【0017】
信号処理回路33から出力されたアナログ信号はA/D変換器26でデジタル信号に変換され、一旦メモり31に格納された後にホストコンピュータ10に送信される。このような1ライン毎の一連の処理をフィルムFの後端まで繰り返し、後端に達したならばフィルム駆動モータ44を停止して粗スキャンによるサムネイル画像読み取りを終了する。
【0018】
粗スキャンにより取得されたサムネイル画像データはホストコンピュータ10に送信され、ホストコンピュータ10のメモリに格納される。次いで、ホストコンピュータ10では、フィルムのネガ・ポジを判定する処理および各コマの先頭アドレスを算出する処理が実行され、それらの処理結果に基づいて本スキャンが行われる。以下では、フィルムFのネガ・ポジ判定および各コマの先頭アドレス算出の各処理動作について、図2のフローチャートを参照して説明する。
【0019】
図2のステップS1では、サムネイル画像データをグレースケール化し、さらに2値化処理して読み取りライン毎に黒画素の数をカウントする。ここでは、2値化処理後の白黒の画像データを濃淡画像データと呼ぶことにする。図3(b)は、図3(a)に示すフィルムFがネガフィルムである場合の濃淡画像データの一例を示したものである。図3(b)において、縦軸は黒画素の画素数、横軸は画像読み取り時のラインをそれぞれ表している。一例として示したフィルムFには4つの画像コマC1〜C4が形成されており、その画像コマC1〜C4に挟まれるようにコマ間が形成されている。
【0020】
フィルムFはネガフィルムなのでコマ間は透明状態になっており、CCDラインセンサ201で読み取ると、図3(b)に示すようにコマ間の黒画素の数はほぼゼロとなる。ただし、塵等があると黒画素が発生する場合がある。一方、画像が形成されている画像コマに対応する濃淡画像データには黒画素が多数見られ、コマ間に比べて黒画素の数が大きくなっている。また、画像コマC2の撮影画像は画像コマC1の撮影画像よりも暗いため、画像コマC2に対応する濃淡画像データのレベルは画像コマC1のそれよりも低くなっている。
【0021】
ステップS2では、ステップS1で生成した濃淡画像データの白黒を反転した反転画像データを生成する。図3(c)は、図3(b)に示す濃淡画像データの反転画像データを示している。濃淡画像データとは逆に、反転画像データではコマ間で黒画素の画素数が大きくなり、画像コマに対応するラインではコマ間よりも黒画素の画素数が小さくなる。図3(b)、図3(c)はフィルムFがネガフィルムである場合の濃淡画像データおよび反転画像データを示したものであるが、ポジフィルムの場合には、濃淡画像データは図3(c)に示すようなデータとなり、反転画像データは図3(b)に示すようなデータとなる。
【0022】
すなわち、全く同一被写体をネガフィルムおよびポジフィルムで撮影した場合、図3(b)はネガフィルムの濃淡画像データおよびポジフィルムの反転画像データを表しており、図3(c)はネガフィルムの反転画像データおよびポジフィルムの濃淡画像データを表している。
【0023】
続くステップS3では、濃淡画像データおよび反転画像データの各々から、隣り合う画像コマ同士に挟まれたコマ間と見なされる画像領域のデータを抽出する。図3(b)の濃淡画像データを用いてコマ間と見なされる画像領域のデータの抽出方法を説明すると、先ず、画像データのアドレス先頭から画素数が極大(max1)となるラインL1を探す。次に、画素数が急激に減少するラインL2を探す。
【0024】
そして、その画像領域のライン幅d1(=L1−L2)がコマ間に相当するライン幅Dcと等しい場合には、画像領域をコマ間と判定し、等しくない場合にはコマ間ではないと判定する。図3(b)の幅d1の画像領域はd1>Dcなので、コマ間ではないと判定する。なお、コマ間判定の値Dcに関しては、コマ間検出に影響が出ない程度に許容幅を持たせても良い。
【0025】
最初の極大(max1)に関する判定が終了したら、ラインL2までの画像データを削除する。すなわち、先頭アドレスからラインL2までの画素数をゼロとする。そして、再び先頭アドレスから画素数が極大(max2)となるラインL3を探し、同様のコマ間判定を行う。2番目の極大(max2)に関してはd2<Dcなので、この場合もコマ間ではないと判定する。このように、ネガフィルムの濃淡画像データの場合には、画素数の極大(max)は画像コマに相当するラインで検出されるが、それは撮影画像の画像データに基づいているのでライン幅が値Dcと一致することがほとんどなく、一般的にはコマ間と判定される可能性はほぼゼロとなる。図3(b)に示す例では、濃淡画像データでのコマ間抽出数N1はゼロとなる。
【0026】
一方、図3(c)に示すネガフィルムの反転画像データの場合には、コマ間の境界に相当するラインL6で画素数の極大(max4)が検出され、他方の境界に相当するラインL7で画素数が急激に減少する。この間のライン幅d4はDcと等しくなり、ライン幅d4の画像領域はコマ間と判定され、ラインL6は画像コマC4の先頭アドレスとしてメモリ31に記憶される。もちろん、この場合も画像コマに相当するラインL4で画素数の極大(max3)が検出されるが、ライン幅d3がd3<Dcであるためコマ間と判定されない。図3(c)に示す反転画像データでは4コマの画像コマに対して画像領域の抽出数N2は実際のコマ間数と同じ3つとなる。よって、ネガフィルムでは、ほとんどの場合についてN1<N2となる。
【0027】
フィルムFがポジフィルムの場合には、上述したように濃淡画像データの画素数分布は図3(c)のようなプロフィールとなり、反転画像データの画素数分布は図3(b)のようなプロフィールとなる。そのため、ポジフィルムの場合には、反転画像データにおいてはほとんどコマ間が検出されることはなく、画像領域の抽出数N2はゼロとなる場合が多い。一方、濃淡画像データの場合には画像領域の抽出数N1は実際のコマ間数と同じ3となる。
【0028】
ステップS3の画像領域抽出処理が終了したならば、ステップS4へ進む。ステップS4では、濃淡画像データで抽出された画像領域抽出数N1と反転画像データで抽出された画像領域抽出数N2とを比較し、N1<N2の場合にはステップS5へ進み、N1>N2の場合にはステップS6へ進み、N1=N2の場合にはステップS7へ進む。ステップS5へ進んだ場合には、フィルムFをネガフィルムと判定してその判定結果をメモリ31に記憶し、ステップS6へ進んだ場合にはフィルムFをポジフィルムと判定してその判定結果をメモリ31に記憶する。
【0029】
ところで、撮影画像の全てが全体的に暗い画像の場合には、2値化したときにコマ間と画像コマとの間に黒画素の数に大きな差が出ない場合がある。そのようなフィルムFでは、濃淡画像データおよび反転画像データのいずれの場合も抽出数N1,N2がゼロとなりN1=N2となることがある。その場合には、コマ間領域のRGBヒストグラムを参考にしてネガ・ポジの判定を行う。
【0030】
すなわち、ステップS4からステップS7へ進んだ場合には、ステップS7においてRGB信号のヒストグラムを取得して後述するようなRGB平均値を算出する。この場合、ステップS3においてコマ間として抽出された画像領域の読み取りデータ(RGB信号)、例えば、図3(c)のラインL6から所定ライン数(例えば10ライン)のRGB信号を用いる。
【0031】
RGB平均値は次のようにして算出される。コマ間位置と思われるあるエリアの画素の出力を確認し、各色の平均値を求め、さらに、それらの間の平均値を求める。式で表すと次式のようになる。
(RGB平均値)={(Rの平均値)+(Gの平均値)+(Bの平均値)}/3
【0032】
なお、コマ間が分からないようなフィルムにおいても、コマ間を計算で設定して判定する。この場合、設定したコマ間が実際にはコマ位置であるという場合もあり得るが、コマ間が分からなくなるような画像の場合には、コマ位置でもコマ間でも出力の差があまり見られないので、ネガフィルム・ポジフィルム間での出力差ははっきりする。
【0033】
フィルムFがネガフィルムであった場合にはコマ間は透明状態で出力は最大となり、ポジフィルムであった場合には不透明状態であるため出力は0に近くなる。その結果、コマ間のRGB平均値の大きさは異なり、ネガフィルムの方がポジフィルムよりも大きくなる。そこで、コマ間と画像コマとを判別するために、ネガフィルムのRGB平均値とポジフィルムのRGB平均値とを区別できるような中間値を閾値Xとして予め設定しておき、ステップS8においてRGB平均値とその閾値Xとを比較判定する。
【0034】
ステップS8では、ステップS7で算出されたRGB平均値が閾値Xに対して(RGB平均値)>Xであるか否かを判定する。そして、ステップS8でYES((RGB平均値)>X)と判定されるとステップS5へ進んでフィルムFをネガフィルムと判定し、NO((RGB平均値)≦X)と判定されるとステップS6へ進んでフィルムFをポジフィルムと判定する。
【0035】
ステップS5およびステップS6の判定処理が終了したならば、判定処理に従って画像コマC1〜C4の先頭アドレスを記憶する。すなわち、ステップS6でネガフィルムと判定された場合には、反転画像データを用いてステップS3で検出されたコマ間のラインL6(図3(c)参照)を、画像コマC4の先頭アドレスとして記憶する。同様に、ステップS3で検出されたラインL10およびL11を、それぞれ画像コマC3,C2の先頭アドレスとして記憶する。なお、画像コマC1の先頭アドレスについては、ステップS3においてコマ間に対応する画像領域が抽出されていないので、例えば、フィルムFの長さからコマ数を予測し、ラインL11から左側に所定ライン離れたラインL12を画像コマC1の先頭アドレスとして記憶する。
【0036】
一方、ステップS6でフィルムFがポジフィルムであると判定された場合には、濃淡画像データを用いて画像コマC1〜C4の先頭アドレスを算出する。ポジフィルムの濃淡画像データは図3(c)のようになるので、上述したネガフィルムと判定された場合と同様の処理により各画像コマC1〜C4の先頭アドレスを求めることができる。
【0037】
なお、上述したステップS7のRGB平均値算出を次のように行っても良い。図3(b)のようにコマ間が抽出されない濃淡画像データの場合には、画素数が極大(max1)となるラインL1から、所定ライン数(例えば10ライン)だけ図示左に移動したラインまでのRGB信号を用いる。逆に、図3(c)のようにコマ間が抽出される場合には、コマ間抽出時の画素数が極大(max4)となるラインL6から所定ライン数だけ図示左側に移動したラインまでのRGB信号を用いる。
【0038】
そのため、フィルムFがネガフィルムであった場合には、図3(b)の画像コマに対応する画像領域のデータを用いてRGB平均値が算出され、一方、ポジフィルムであった場合には、図3(c)のコマ間に対応する画像領域のデータを用いてRGB平均値が算出される。このようにして算出されたRGB平均値は、露光されていないコマ間のデータよりも被写体光が露光された画像コマの部分のデータの方が大きくなる。
【0039】
上述したように、本実施の形態ではコマ間と見なされる画像領域を抽出してネガ・ポジ判定を行っているので、コマ間が精度良く検出できネガ・ポジ判定の確実性が向上する。さらに、ネガ・ポジ判定における画像領域抽出処理はコマ間検出において兼用されるので、ネガ・ポジ判定およびコマ間検出における処理負荷の増加を抑えることができる。また、従来のような光学センサ等を設ける必要がないので、コストアップを防止できる。
【0040】
なお、上述した実施の形態では、スキャナ本体2で読み取った画像データをホストコンピュータ10に送信して、そこでネガ・ポジ判定を行っているが、ネガ・ポジ判定の一連の処理をスキャナ本体2で行い、判定結果をホストコンピュータ10に送信するような構成としても良い。また、コマ間検出の処理については一例を述べたものであり、上記処理に限らず種々のコマ間検出処理を適用することができる。さらに、R光、G光、B光を順次照射して、CCDラインセンサから順に出力されるR信号、G信号、B信号を用いてRGB平均値を算出したが、RGB信号に限定されるものではなくカラー信号であれば良い。例えば、補色フィルタを用いるカラーCCDを撮像装置として用いた場合には、RGB信号に代えてMg(マゼンタ)信号、Cy(シアン)信号、Ye(イエロー)信号をカラー信号として用いる。なお、本発明の特徴を損なわない限り、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではない。
【0041】
以上説明した実施の形態と特許請求の範囲の要素との対応において、CCDラインセンサ201は撮像装置を、ホストコンピュータ10は第1および第2の生成手段、抽出手段、判定手段およびコマ間検出手段をそれぞれ構成する。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明による画像読取システムの一実施形態を示す概略構成図である。
【図2】フィルムFのネガ・ポジ判定および各コマの先頭アドレス算出の各処理動作を示すフローチャートである。
【図3】(a)はフィルムFの平面図、(b)は濃淡画像データ、(c)は反転画像データを示す図である。
【符号の説明】
【0043】
2 スキャナ本体
4 フィルム給送装置
10 ホストコンピュータ
22 CPU
24 光学ブロック
33 信号処理回路
200 LED光源
201 CCDラインセンサ
F フィルム
C1〜C4 画像コマ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルムを光源で照明して、前記フィルムの各画像コマおよび前記画像コマに挟まれたコマ間を透過した光を受光する撮像装置と、
前記撮像装置の出力信号に基づいて前記フィルムの濃淡画像データを生成する第1の生成手段と、
前記濃淡画像データから濃淡を反転した反転画像データを生成する第2の生成手段と、
前記濃淡画像データおよび前記反転画像データの各々から、前記コマ間と見なされる画像領域を抽出する抽出手段と、
前記濃淡画像データから抽出された前記画像領域の数と、反転画像データから抽出された前記画像領域の数とに基づいて、前記フィルムがネガフィルムかポジフィルムかを判定する判定手段とを備えることを特徴とする画像読取システム。
【請求項2】
請求項1に記載の画像読取システムにおいて、
前記判定手段は、前記濃淡画像データから抽出された前記画像領域の数よりも反転画像データから抽出された前記画像領域の数の方が大きい場合にはネガフィルムと判定し、反転画像データから抽出された前記画像領域の数よりも前記濃淡画像データから抽出された前記画像領域の数の方が大きい場合にはポジフィルムと判定することを特徴とする画像読取システム。
【請求項3】
請求項2に記載の画像読取システムにおいて、
前記判定手段は、前記撮像装置から出力された前記コマ間と見なされる画像領域の信号に基づいて、前記フィルムがネガフィルムかポジフィルムかを判定することを特徴とする画像読取システム。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の画像読取システムにおいて、
前記判定手段によりポジフィルムと判定された場合には前記濃淡画像データから抽出された前記画像領域に基づいて各画像コマの先頭アドレスを算出し、前記判定手段によりネガフィルムと判定された場合には前記反転画像データから抽出された前記画像領域に基づいて各画像コマの先頭アドレスを算出するコマ間検出手段を備えたことを特徴とする読取画像システム。
【請求項5】
フィルムを光源で照明し、前記フィルムの各画像コマおよび前記画像コマに挟まれたコマ間を透過した光を受光した撮像装置の出力信号に基づいて、前記フィルムの濃淡画像データを生成する工程と、
前記濃淡画像データから濃淡を反転した反転画像データを生成する工程と、
前記濃淡画像データおよび前記反転画像データの各々から、前記コマ間と見なされる画像領域を抽出する工程と、
前記濃淡画像データから抽出された前記画像領域の数と、前記反転画像データから抽出された前記画像領域の数とに基づいて、前記フィルムがネガフィルムかポジフィルムかを判定する工程とを有することを特徴とする画像処理方法。
【請求項6】
フィルムを光源で照明し、前記フィルムの各画像コマおよび前記画像コマに挟まれたコマ間を透過した光を受光した撮像装置の出力信号に基づいて、前記フィルムの濃淡画像データを生成する処理と、
前記濃淡画像データから濃淡を反転した反転画像データを生成する処理と、
前記濃淡画像データおよび前記反転画像データの各々から、前記コマ間と見なされる画像領域を抽出する処理と、
前記濃淡画像データから抽出された前記画像領域の数と前記反転画像データから抽出された前記画像領域の数とに基づいて、前記フィルムがネガフィルムかポジフィルムかを判定する処理とをコンピュータ装置に実行させる画像処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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