説明

画像読取装置、及び画像読取制御方法

【課題】クロックに周波数変調が掛けられた場合でも読み取り画像データの画質低下を低減する。
【解決手段】画像読取装置は、基準クロックである第1クロックを生成する手段と、第1クロックを変調して第2クロックを生成する手段と、第2クロックの開始に応じて、第1クロックの1周期の1/N(Nは整数)の周期の第3クロックを生成する手段と、第3クロックに同期したタイミングでアナログ信号を出力する手段と、第3クロックに同期したタイミングでサンプリング信号を生成する手段と、サンプリング信号に同期したタイミングでアナログ信号をサンプリングする手段と、を有する。ここで、サンプリング信号を生成する手段は、第1クロックの半周期ごとのタイミングにサンプリングが行われるように、サンプリング信号を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取技術に関する。
【背景技術】
【0002】
スキャナー、コピー機、ファクシミリ、複合機等の画像読取装置には、イメージセンサー、イメージセンサーの制御回路、光源ランプ等を搭載したキャリッジと、キャリッジの制御回路、AFE(Analog Front End)、画像処理回路、メインCPU等を備えたメイン基板とが、ケーブル(例えばFFC(Flexible Flat Cable))で接続された構造のものがある(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−017572号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような画像読取装置では、例えば、イメージセンサーを駆動するための基準クロックは、メイン基板からケーブルを介してイメージセンサーの制御回路へと出力される。イメージセンサーの制御回路は、供給された基準クロックに基づいてイメージセンサーを駆動するための駆動クロックを生成し、イメージセンサーに出力する。イメージセンサーにより読み取られた原稿の画像データ(アナログ出力信号)は、駆動クロックに合わせてケーブルを介してメイン基板へと出力される。メイン基板のAFE(Analog Front End)は、基準クロックに基づいてアナログ出力信号のサンプリング(CDS:Correlated Double Sampling)を行う。
【0005】
ところで、画像読取装置で使用されるクロックが高周波数である場合には、EMI(電磁妨害:Electro Magnetic Interference)が発生し、画像データの品質に影響を与えることがある(例えば、画像に筋状のノイズが入る。)。EMIによるノイズ対策方法として、例えば、メイン基板からイメージセンサーの制御回路へ供給される基準クロックを、SSCG(周波数変調機能付きクロック発生回路:Spread Spectrum Clock Generator)により周波数変調に掛けて、変調クロックとして出力する方法がある。
【0006】
しかしながら、基準クロックに周波数変調が掛けられる一方、イメージセンサーの駆動クロックには周波数変調が掛けられない。そのため、アナログ出力信号とサンプリング信号のタイミングに相対的なずれが生じてしまう。その結果、アナログ出力信号を適切なタイミングでサンプリングすることができなくなり、読み取った画像データにノイズが入り、画質が低下する。
【0007】
本発明は、クロックに周波数変調が掛けられた場合でも読み取り画像データの画質低下を低減する画像読取技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するための本発明の第一態様は、イメージセンサーを制御するセンサー制御部と、前記イメージセンサーからアナログ信号を受信してデジタル信号に変換するメイン制御部とを備える画像読取装置であって、基準クロックである第1クロックを生成する第1クロック生成手段と、前記第1クロックを変調して第2クロックを生成する第2クロック生成手段と、前記第2クロックの開始に応じて、前記第1クロックの1周期の1/N(Nは整数)の周期の第3クロックを生成する第3クロック生成手段と、前記第3クロックに同期したタイミングで前記アナログ信号を出力するアナログ信号出力手段と、前記第3クロックに同期したタイミングでサンプリング信号を生成するサンプリング信号生成手段と、前記サンプリング信号に同期したタイミングで前記アナログ信号をサンプリングするサンプリング手段と、を有し、前記サンプリング信号生成手段は、前記第1クロックの半周期ごとのタイミングに前記サンプリング手段によるサンプリングが行われるように、前記サンプリング信号を生成する、ことを特徴とする。
【0009】
ここで、上記の画像読取装置であって、前記第3クロック生成手段は、前記アナログ信号出力手段及び前記サンプリング信号生成手段に前記第3クロックを出力する、ことを特徴としていていもよい。
【0010】
また、上記のいずれかの画像読取装置であって、前記メイン制御部は、前記第1クロック生成手段と、前記第2クロック生成手段と、前記サンプリング手段と、を有し、前記センサー制御部は、前記第3クロック生成手段と、前記アナログ信号出力手段と、前記サンプリング信号生成手段と、を有する、ことを特徴としていてもよい。
【0011】
上記の課題を解決するための本発明の第二態様は、イメージセンサーを制御するセンサー制御部と、前記イメージセンサーからアナログ信号を受信してデジタル信号に変換するメイン制御部とを備える画像読取装置であって、基準クロックである第1クロックを生成する第1クロック生成手段と、前記第1クロックを変調して第2クロックを生成する第2クロック生成手段と、前記第2クロックの生成の開始に応じて、前記第1クロックの1周期の1/N(Nは整数)の周期の第3クロックを生成する第3クロック生成手段と、前記第3クロックに同期したタイミングで前記アナログ信号を出力するアナログ信号出力手段と、前記第1クロックに同期したタイミングでサンプリング信号を生成するサンプリング信号生成手段と、前記サンプリング信号に同期したタイミングで前記アナログ信号をサンプリングするサンプリング手段と、を有し、前記サンプリング信号生成手段は、前記第1クロックの半周期ごとのタイミングに前記サンプリング手段によるサンプリングが行われるように、前記サンプリング信号を生成する、ことを特徴とする。
【0012】
ここで、上記の画像読取装置であって、前記メイン制御部は、前記第1クロック生成手段と、前記第2クロック生成手段と、前記サンプリング信号生成手段と、前記サンプリング手段と、を有し、前記センサー制御部は、前記第3クロック生成手段と、前記アナログ信号出力手段と、を有する、ことを特徴としていてもよい。
【0013】
上記の課題を解決するための本発明の第三態様は、イメージセンサーを制御するセンサー制御部と、前記イメージセンサーからアナログ信号を受信してデジタル信号に変換するメイン制御部とを備える画像読取装置における画像読取制御方法であって、基準クロックである第1クロックを生成する第1クロック生成ステップと、前記第1クロックを変調して第2クロックを生成する第2クロック生成ステップと、前記第2クロックの開始に応じて、前記第1クロックの1周期の1/N(Nは整数)の周期の第3クロックを生成する第3クロック生成ステップと、前記第3クロックに同期したタイミングで前記アナログ信号を出力するアナログ信号出力ステップと、前記第3クロックに同期したタイミングでサンプリング信号を生成するサンプリング信号生成ステップと、前記サンプリング信号に同期したタイミングで前記アナログ信号をサンプリングするサンプリングステップと、を含み、前記サンプリング信号生成ステップは、前記第1クロックの半周期ごとのタイミングに前記サンプリングステップによるサンプリングが行われるように、前記サンプリング信号を生成する、ことを特徴とする。
【0014】
上記の課題を解決するための本発明の第四態様は、イメージセンサーを制御するセンサー制御部と、前記イメージセンサーからアナログ信号を受信してデジタル信号に変換するメイン制御部とを備える画像読取装置における画像読取制御方法であって、基準クロックである第1クロックを生成する第1クロック生成ステップと、前記第1クロックを変調して第2クロックを生成する第2クロック生成ステップと、前記第2クロックの生成の開始に応じて、前記第1クロックの1周期の1/N(Nは整数)の周期の第3クロックを生成する第3クロック生成ステップと、前記第3クロックに同期したタイミングで前記アナログ信号を出力するアナログ信号出力ステップと、前記第1クロックに同期したタイミングでサンプリング信号を生成するサンプリング信号生成ステップと、前記サンプリング信号に同期したタイミングで前記アナログ信号をサンプリングするサンプリングステップと、を有し、前記サンプリング信号生成ステップは、前記第1クロックの半周期ごとのタイミングに前記サンプリングステップによるサンプリングが行われるように、前記サンプリング信号を生成する、ことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第一実施形態の一例に係る画像読取装置1の概略構成を示すブロック図。
【図2】第一実施形態の各種クロックとアナログ出力信号の関係を説明するタイミングチャート。
【図3】本発明の第二実施形態の一例に係る画像読取装置1の概略構成を示すブロック図。
【図4】第二実施形態の各種クロックとアナログ出力信号の関係を説明するタイミングチャート。
【図5】クロック変調がない又はクロック変調がある従来の画像読取装置1の概略構成を示すブロック図。
【図6】クロック変調がない従来の各種クロックとアナログ出力信号の関係を説明するタイミングチャート。
【図7】クロック変調がある従来の各種クロックとアナログ出力信号の関係を説明するタイミングチャート。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の第一実施形態について図面を参照して説明する。
【0017】
図1は、本発明の第一実施形態の一例に係る画像読取装置1の概略構成を示すブロック図である。
【0018】
画像読取装置1は、筐体の上面に原稿台(不図示)を備えた、いわゆるフラットベッド型画像読取装置である。画像読取装置1は、センサー制御基板300が搭載されたキャリッジ(不図示)を移動させながら、イメージセンサー320により透明板の原稿台に載置された原稿の画像を読み取る。画像読取装置1は、スキャナーに限られず、スキャン機能を有するファクシミリ、コピー機、複合機等であってもよい。
【0019】
画像読取装置1は、メイン制御基板100と、FFC200と、センサー制御基板300とを有する。メイン制御基板100とセンサー制御基板300は、FFC200により接続されている。
【0020】
センサー制御基板300は、TG(Timing Generator)310およびイメージセンサー320を備える。本実施形態では、センサー制御基板300はイメージセンサー320と一体となっているが、もちろん、別体となっていてもよい。
【0021】
なお、キャリッジ(不図示)は、センサー制御基板300に加え、LEDなどの光源ランプを備える。また、キャリッジは、原稿台の盤面に対し平行なガイド用のシャフト等にスライド自在に取り付けられており、モーターにより回転するベルトにより副走査方向(もしくはその逆方向)に牽引される。
【0022】
TG310は、メイン制御基板100からFFC200を介してクロックA−(変調クロック)を受信する。ここでクロックA−とは、SoC(System on a Chip)110がクロックA(基準クロック)を周波数変調して出力したクロックである。また、TG310は、クロックA−に基づいてイメージセンサー320に供給するためのクロックB(駆動クロック)を生成し、イメージセンサー320に出力する。TG310は、例えば、分周回路によりクロックBを生成する。
【0023】
また、TG310は、クロックA−に基づいて生成した駆動クロックBと同期した、CDSのタイミングを示すCDS信号を生成し、FFC200を介してメイン制御基板100のAFE120に送る。本実施形態では、クロックBの1周期は、基準クロックAの1周期の1/N(Nは整数)である。なお、TG310は、クロックA−の開始及び停止に従って、クロックBの生成の開始及び停止を制御する。
【0024】
イメージセンサー320は、主走査方向に並んだ複数のセンサーチップからなる。各センサーチップは、例えば、通常のCCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサーと同様の構成を備えている。イメージセンサー320は、原稿に反射した光の受光量に応じて蓄積した電荷を、TG310から入力されたクロックBに同期した電気信号(アナログ出力信号)として、FFC200を介してメイン制御基板100に送る。
【0025】
メイン制御基板100は、画像読取装置1の全体を制御し、原稿の画像データを読み取るための種々の処理を行う。そのため、メイン制御基板100は、SoC110と、AFE120とを備える。
【0026】
SoC110は、クロックAを発生する機構と、クロックAを周波数変調してクロックA−を生成する機構とを有する。SoC110は、クロックA−を用いて、原稿の画像データの読み取り動作を制御する。
【0027】
SoC110は、クロックA−をFFC200を介してセンサー制御基板300のTG310に出力する。また、クロックBと同期したCDS信号によるサンプリングにより生成されたデジタル信号をAFE120から受け付ける。なお、SoC110は、キャリッジの光源ランプの発光、キャリッジを移動するためのモーター等の制御も行う。
【0028】
また、SoC110は、AFE120から出力される画素データ(デジタル信号)を順次受信し、各種画像処理(例えば、シェーディング補正など)を施し、所定の大きさ(たとえば、1ページ)の原稿の画像データを形成する。
【0029】
なお、SoC110は、例えば、主制御装置であるCPUと、プログラム等が記録されたROMと、メインメモリーとしてデータ等を一時的に格納するRAMと、ホスト等との入出力を制御するインターフェイスと、所定の画像処理を行う回路と、各構成要素間の通信経路となるバスとを備えた、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)で構成することができる。
【0030】
AFE120は、イメージセンサー320から出力された出力信号(アナログ信号)を、SoC110が使用可能なデジタル信号に変換して出力する。AFE120は、例えば、CDS回路、ゲイン回路、A/D変換回路などを有する。AFE120は、センサー制御基板300のTG310から供給されるクロックBと同期したCDS信号に基づいて、イメージセンサー320のクロックBに同期したアナログ出力信号について、CDS回路によるサンプリングを行い、デジタル信号としてSoC110に出力する。
【0031】
本実施形態が適用された画像読取装置1は、以上のように構成される。ただし、この構成は、本願発明の特徴を説明するにあたって主要構成を説明したのであって、上記の構成に限られない。また、一般的な画像読取装置が備える他の構成を排除するものではない。
【0032】
また、上記した各構成要素は、画像読取装置1の構成を理解容易にするために、主な処理内容に応じて分類したものである。構成要素の分類の仕方や名称によって、本願発明が制限されることはない。画像読取装置1の構成は、処理内容に応じて、さらに多くの構成要素に分類することもできる。また、1つの構成要素がさらに多くの処理を実行するように分類することもできる。また、各構成要素の処理は、1つのハードウェアで実行されてもよいし、複数のハードウェアで実行されてもよい。
【0033】
次に、上記の第一実施形態の画像読取装置1により実現される画像データの読み取り制御について説明する。
【0034】
まず、図5を参照する。図5は、クロック変調がない又はクロック変調がある従来の画像読取装置1の概略構成を示すブロック図である。図1と異なる点を中心に説明する。
【0035】
本図では、SoC110bは、クロックA又はクロックA−をFFC200を介してセンサー制御基板300のTG310bに出力する。また、SoC110bは、クロックA又はクロックA−と同期したCDS信号をAFE120に出力する。
【0036】
TG310bは、メイン制御基板100からFFC200を介してクロックA又はクロックA−を受信する。CDS信号をAFE120bに送らない。
【0037】
AFE120bは、SoC110bから供給されるクロックA又はクロックA−と同期したCDS信号に基づいて、イメージセンサー320のクロックBに同期したアナログ出力信号について、CDS回路によるサンプリングを行い、デジタル信号としてSoC110に出力する。
【0038】
図6は、クロック変調がない従来の各種クロックとアナログ出力信号の関係を説明するタイミングチャートである。なお、各クロック、信号の出力タイミングは、図示する周期、間隔等に限定されるものではない。
【0039】
本図では、メイン制御基板のSoC110bは、生成した基準クロックAを変調することなくセンサー制御基板300に送信する(センサー制御基板入力クロック)。センサー制御基板のイメージセンサー320は、基準クロックAに基づいてTG310bにより生成された駆動クロックB(センサー制御基板出力クロック)に同期したアナログ出力信号を、メイン制御基板100に出力する。メイン制御基板100のAFE120bは、基準クロックAに同期したサンプリング指示信号に基づいてアナログ出力信号のサンプリングを行う。
【0040】
この場合、クロックBは、その周期の終端とクロックAの周期の終端のタイミングが一致するようにTG310bにより生成される。本図の例では、クロックBの2周期の終端が、クロックAの半周期の終端と一致している(T0、T1、T2(T0)、T3(T1)、T4(T2))。従って、クロックAに同期するサンプリング指示信号のタイミングは、クロックBに同期するアナログ出力信号のサンプリングすべき基準レベル及び信号レベルの位置に適切に合っている。
【0041】
一方で、図7を参照する。図7は、クロック変調がある従来の各種クロックとアナログ出力信号の関係を説明するタイミングチャートである。なお、各クロック、信号の出力タイミングは、図示する周期、間隔等に限定されるものではない。
【0042】
本図では、メイン制御基板のSoC110bは、生成した基準クロックAを変調して、周期Aよりも周期が短い変調クロックA−を生成し、センサー制御基板300に送信する(センサー制御基板入力クロック)。センサー制御基板300のイメージセンサー320は、変調クロックA−に基づいてTG310bにより生成された駆動クロックB(センサー制御基板出力クロック)に同期したアナログ出力信号を、メイン制御基板100に出力する。メイン制御基板100のAFE120bは、変調クロックA−に同期したサンプリング指示信号に基づいてアナログ出力信号のサンプリングを行う。
【0043】
この場合、クロックBは、その周期の終端とクロックAの周期の終端のタイミングが一致するようにTG310bにより生成される。そのため、クロックBとクロックA−の周期のタイミングは、クロックA−の1周期ごとに、時間経過とともにずれる量が大きくなってしまう(T0〜T2、T2(T0)〜T4(T2))。同様に、クロックBと同期したアナログ出力信号とクロックA−の周期のタイミングも、クロックA−の1周期ごとに、時間経過とともにずれる量が大きくなってしまう(T0〜T2、T2(T0)〜T4(T2))。従って、クロックA−に同期するサンプリング指示信号のタイミングは、クロックBに同期するアナログ出力信号のサンプリングすべき基準レベル及び信号レベルの位置から、時間経過とともにずれてしまう。
【0044】
このサンプリングのタイミングのずれを補正するため、クロックBは、周期A−の1周期ごとの同期ポイントで、リセット(調整)される。本図の例では、クロックBの4周期目の途中で、再度1周期目が開始されている(T2(T0)、T4(T2))。
【0045】
しかしながら、上記のような補正では、クロックBと同期したアナログ出力信号の終端部分が途中でリセットされてしまう。その結果、アナログ出力信号の信号レベルが適切にサンプリングされず、画像データにノイズが入ってしまうおそれがある。
【0046】
そこで、第一実施形態では、TG110が駆動クロックBと同期したサンプリング指示信号を生成し、AFE120に送る。図2は、第一実施形態の各種クロックとアナログ出力信号の関係を説明するタイミングチャートである。なお、各クロック、信号の出力タイミングは、図示する周期、間隔等に限定されるものではない。
【0047】
本図では、メイン制御基板100のSoC110は、生成した基準クロックAを変調して変調クロックA−を生成し、センサー制御基板300に送信する(センサー制御基板入力クロック)。センサー制御基板300のイメージセンサー320は、変調クロックA−に基づいてTG310により生成された駆動クロックB(センサー制御基板出力クロック)に同期したアナログ出力信号を、メイン制御基板100に出力する。TG310は、クロックA−に基づいて生成した駆動クロックBと同期したサンプリング指示信号を、メイン制御基板100のAFE120に送る。メイン制御基板100のAFE120は、駆動クロックBに同期したサンプリング指示信号に基づいてアナログ出力信号のサンプリングを行う。
【0048】
この場合、クロックBは、その周期の終端とクロックAの周期の終端のタイミングが一致するようにTG310により生成される。また、サンプリングのタイミングのずれを補正するため、サンプリング指示信号は、クロックBと同期したタイミングで出力される。本図の例では、サンプリング指示信号は、その周期の終端とクロックBの周期の終端のタイミングが一致するようにTG310により生成される。クロックBは、少なくとも出力開始タイミングでクロックA−と同期されていればよい。
【0049】
このような構成によれば、クロックBのクロックA−に対するずれ量は、リセットされない。そのため、クロックBと同期したアナログ出力信号の終端部分が途中でリセットされない。また、サンプリング指示信号がクロックBと同期しているため、サンプリングのタイミングは、クロックBに同期するアナログ出力信号のサンプリングすべき基準レベル及び信号レベルの位置から、時間経過とともにずれにくい。その結果、(図7の場合と比べて)アナログ出力信号の信号レベルがより適切な位置でサンプリングされ、画像データのノイズが低減される。なお、クロックBに同期するサンプリング指示信号は、クロックBよりも周波数が低いので、EMIが発生するおそれは低い。
【0050】
以上、本発明の第一実施形態について説明した。本実施形態によれば、クロックに周波数変調が掛けられた場合でも読み取り画像データの画質低下を低減することができる。
【0051】
すなわち、本実施形態では、アナログ出力信号が同期する駆動クロックBを、アナログ出力信号のサンプリング指示信号の生成に用いている。これにより、クロックBに同期するサンプリング指示信号とアナログ出力信号との相対的なずれがより低減され、より適切なタイミングでサンプリングを行うことができる。
【0052】
次に、本発明の第二実施形態について図面を参照して説明する。第一実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0053】
図3は、本発明の第二実施形態の一例に係る画像読取装置1の概略構成を示すブロック図である。
【0054】
本実施形態では、第一実施形態と異なり、TG310aは、AFE120aに対してサンプリング指示信号を供給しない。一方、SoC110aは、クロックAの周期Aから固定的な時間分遅延させた(クロックAと同期した)、CDSのタイミングを示すCDS信号を、AFE120aに出力する。また、クロックAと同期したCDS信号によるサンプリングにより生成されたデジタル信号をAFE120aから受け付ける。AFE120aは、SoC110aから供給されるクロックAと同期したCDS信号に基づいて、イメージセンサー320のクロックBに同期したアナログ出力信号について、CDS回路によるサンプリングを行い、デジタル信号としてSoC110に出力する。
【0055】
次に、上記の第二実施形態の画像読取装置1により実現される画像データの読み取り制御について説明する。
【0056】
図5〜図7を参照して説明した問題を解決するため、第二実施形態では、SoC110aが基準クロックAから所定時間に遅延させたサンプリング指示信号を生成し、AFE120aに出力する。図4は、第二実施形態の各種クロックとアナログ出力信号の関係を説明するタイミングチャートである。なお、各クロック、信号の出力タイミングは、図示する周期、間隔等に限定されるものではない。
【0057】
本図では、メイン制御基板100のSoC110aは、生成した基準クロックAを変調して変調クロックA−を生成し、センサー制御基板300に送信する(センサー制御基板入力クロック)。また、SoC110aは、基準クロックAから固定時間遅延させたサンプリング指示信号を生成し、AFE120aに出力する。センサー制御基板300のイメージセンサー320は、変調クロックA−に基づいてTG310aにより生成された駆動クロックB(センサー制御基板出力クロック)に同期したアナログ出力信号を、メイン制御基板100に出力する。メイン制御基板100のAFE120aは、基準クロックAから固定時間遅延させたサンプリング指示信号に基づいてアナログ出力信号のサンプリングを行う。
【0058】
この場合、クロックBは、その周期の終端とクロックAの周期の終端のタイミングが一致するようにTG310aにより生成される。また、サンプリングのタイミングのずれを補正するため、サンプリング指示信号は、クロックAと同期したタイミングで出力される。本図の例では、サンプリング指示信号は、その周期の終端と、クロックAの半周期の終端のタイミングが一致するようにSoC110aにより生成される。すなわち、クロックAの立ち上がり及び立ち下がりから固定時間の経過後にサンプリング指示信号が生成される。
【0059】
このような構成によれば、クロックBのクロックA−に対するずれ量は、リセットされない。そのため、クロックBと同期したアナログ出力信号の終端部分が途中でリセットされない。また、サンプリング指示信号がクロックAと同期している(クロックBとも同期していることとなる)ため、サンプリングのタイミングは、クロックBに同期するアナログ出力信号のサンプリングすべき基準レベル及び信号レベルの位置から、時間経過とともにずれにくい。その結果、(図7の場合と比べて)アナログ出力信号の信号レベルがより適切な位置でサンプリングされ、画像データのノイズが低減される。
【0060】
以上、本発明の第二実施形態について説明した。本実施形態によれば、クロックに周波数変調が掛けられた場合でも読み取り画像データの画質低下を低減することができる。
【0061】
すなわち、本実施形態では、アナログ出力信号が同期する駆動クロックBの基準となるクロックAを、アナログ出力信号のサンプリング指示信号の生成に用いている。これにより、クロックAに同期するサンプリング指示信号と、クロックBに同期するアナログ出力信号との相対的なずれがより低減され、より適切なタイミングでサンプリングを行うことができる。
【0062】
以上、本発明の実施形態について説明した。なお、上記の本発明の実施形態は、本発明の要旨と範囲を例示することを意図し、限定するものではない。多くの代替物、修正および変形例が当業者にとって明らかである。
【符号の説明】
【0063】
1:画像読取装置、100:メイン制御基板、110:SoC、110a:SoC、110b:SoC、120:AFE、120a:AFE、120b:AFE、200:FFC、300:センサー制御基板、310:TG、310a:TG、310b:TG、320:イメージセンサー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イメージセンサーを制御するセンサー制御部と、前記イメージセンサーからアナログ信号を受信してデジタル信号に変換するメイン制御部とを備える画像読取装置であって、
基準クロックである第1クロックを生成する第1クロック生成手段と、
前記第1クロックを変調して第2クロックを生成する第2クロック生成手段と、
前記第2クロックの開始に応じて、前記第1クロックの1周期の1/N(Nは整数)の周期の第3クロックを生成する第3クロック生成手段と、
前記第3クロックに同期したタイミングで前記アナログ信号を出力するアナログ信号出力手段と、
前記第3クロックに同期したタイミングでサンプリング信号を生成するサンプリング信号生成手段と、
前記サンプリング信号に同期したタイミングで前記アナログ信号をサンプリングするサンプリング手段と、を有し、
前記サンプリング信号生成手段は、前記第1クロックの半周期ごとのタイミングに前記サンプリング手段によるサンプリングが行われるように、前記サンプリング信号を生成する、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像読取装置であって、
前記第3クロック生成手段は、前記アナログ信号出力手段及び前記サンプリング信号生成手段に前記第3クロックを出力する、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の画像読取装置であって、
前記メイン制御部は、前記第1クロック生成手段と、前記第2クロック生成手段と、前記サンプリング手段と、を有し、
前記センサー制御部は、前記第3クロック生成手段と、前記アナログ信号出力手段と、前記サンプリング信号生成手段と、を有する、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項4】
イメージセンサーを制御するセンサー制御部と、前記イメージセンサーからアナログ信号を受信してデジタル信号に変換するメイン制御部とを備える画像読取装置であって、
基準クロックである第1クロックを生成する第1クロック生成手段と、
前記第1クロックを変調して第2クロックを生成する第2クロック生成手段と、
前記第2クロックの生成の開始に応じて、前記第1クロックの1周期の1/N(Nは整数)の周期の第3クロックを生成する第3クロック生成手段と、
前記第3クロックに同期したタイミングで前記アナログ信号を出力するアナログ信号出力手段と、
前記第1クロックに同期したタイミングでサンプリング信号を生成するサンプリング信号生成手段と、
前記サンプリング信号に同期したタイミングで前記アナログ信号をサンプリングするサンプリング手段と、を有し、
前記サンプリング信号生成手段は、前記第1クロックの半周期ごとのタイミングに前記サンプリング手段によるサンプリングが行われるように、前記サンプリング信号を生成する、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項5】
請求項4に記載の画像読取装置であって、
前記メイン制御部は、前記第1クロック生成手段と、前記第2クロック生成手段と、前記サンプリング信号生成手段と、前記サンプリング手段と、を有し、
前記センサー制御部は、前記第3クロック生成手段と、前記アナログ信号出力手段と、を有する、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項6】
イメージセンサーを制御するセンサー制御部と、前記イメージセンサーからアナログ信号を受信してデジタル信号に変換するメイン制御部とを備える画像読取装置における画像読取制御方法であって、
基準クロックである第1クロックを生成する第1クロック生成ステップと、
前記第1クロックを変調して第2クロックを生成する第2クロック生成ステップと、
前記第2クロックの開始に応じて、前記第1クロックの1周期の1/N(Nは整数)の周期の第3クロックを生成する第3クロック生成ステップと、
前記第3クロックに同期したタイミングで前記アナログ信号を出力するアナログ信号出力ステップと、
前記第3クロックに同期したタイミングでサンプリング信号を生成するサンプリング信号生成ステップと、
前記サンプリング信号に同期したタイミングで前記アナログ信号をサンプリングするサンプリングステップと、を含み、
前記サンプリング信号生成ステップは、前記第1クロックの半周期ごとのタイミングに前記サンプリングステップによるサンプリングが行われるように、前記サンプリング信号を生成する、
ことを特徴とする画像読取制御方法。
【請求項7】
イメージセンサーを制御するセンサー制御部と、前記イメージセンサーからアナログ信号を受信してデジタル信号に変換するメイン制御部とを備える画像読取装置における画像読取制御方法であって、
基準クロックである第1クロックを生成する第1クロック生成ステップと、
前記第1クロックを変調して第2クロックを生成する第2クロック生成ステップと、
前記第2クロックの生成の開始に応じて、前記第1クロックの1周期の1/N(Nは整数)の周期の第3クロックを生成する第3クロック生成ステップと、
前記第3クロックに同期したタイミングで前記アナログ信号を出力するアナログ信号出力ステップと、
前記第1クロックに同期したタイミングでサンプリング信号を生成するサンプリング信号生成ステップと、
前記サンプリング信号に同期したタイミングで前記アナログ信号をサンプリングするサンプリングステップと、を有し、
前記サンプリング信号生成ステップは、前記第1クロックの半周期ごとのタイミングに前記サンプリングステップによるサンプリングが行われるように、前記サンプリング信号を生成する、
ことを特徴とする画像読取制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−166676(P2011−166676A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−30263(P2010−30263)
【出願日】平成22年2月15日(2010.2.15)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】