説明

画像読取装置、画像読取方法および画像読取プログラム

【課題】 原稿に形成された画像から機密が漏洩するのを防止すること。
【解決手段】 MFPは、デジタル情報が埋め込まれた地紋パターンを含む原稿画像が形成された原稿を読み取り、原稿画像を出力する画像読取部(S01)と、画像読取部から出力される原稿画像から所定のパターンを検出する地紋パターン検出部(S03)と、検出された所定のパターンを解析し、デジタル情報を抽出するデジタル情報検出部(S05)と、抽出されたデジタル情報に基づいて、出力するためのデータを制御するCPU(S06、S07)と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像読取装置、画像読取方法および画像読取プログラムに関し、特にデジタル情報が埋め込まれた画像を読み取るのに適した画像読取装置、画像読取方法および画像読取プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、原稿に形成された画像を読み取り、画像から文字を認識し、認識した文字を表示する技術が知られている。例えば、特開平11−088633号公報に記載のEメール送受システムは、読取画像に含まれる通信情報の記入領域から少なくとも送信先のEメールアドレスを認識する情報認識手段と、認識された少なくとも送信先のEメールアドレスを含む通信情報を記憶するアドレス記憶手段と、記憶されている送信先のEメールアドレスを表示出力する表示手段と、を備えている。
【0003】
しかしながら、原稿にEメールアドレスを人が解読可能な文字の画像として形成しなければならないので、Eメールアドレスを表す文字の画像が原稿に不必要に形成されてしまうといった問題がある。
【0004】
また、特開平6−22119号公報には、デジタル情報が埋め込まれた地紋パターンの画像を原稿に形成する技術が記載されている。この技術によれば、埋め込まれたデジタル情報が解読不可能な地紋パターンの画像として形成されるので、原稿を見る人にデジタル情報が知られるのを防止することができる。しかしながら、原稿画像に機密情報が含まれている場合に、原稿画像が複写されると機密を含む画像が複製されてしまうといった問題がある。
【特許文献1】特開平11−088633号公報
【特許文献2】特開平6−22119号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明は上述した問題点を解決するためになされたもので、この発明の目的の一つは、原稿に形成された画像から機密が漏洩するのを防止することが可能な画像読取装置を提供することである。
【0006】
この発明の他の目的は、原稿に形成された画像から機密が漏洩するのを防止することが可能な画像読取方法および画像読取プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した目的を達成するためにこの発明のある局面によれば、画像読取装置は、デジタル情報が埋め込まれた地紋パターンを含む原稿画像が形成された原稿を読み取り、原稿画像を出力する読取手段と、読取手段から出力される原稿画像から所定のパターンを検出する検出手段と、検出された所定のパターンを解析し、デジタル情報を抽出する抽出手段と、抽出されたデジタル情報に基づいて、出力するためのデータを制御するデータ制御手段と、を備える。
【0008】
この局面に従えば、デジタル情報が埋め込まれた地紋パターンを含む原稿画像が形成された原稿が読み取られ、原稿画像から所定のパターンが検出される。そして、検出された所定のパターンが解析され、抽出されたデジタル情報に基づいて、データの出力が制御される。このため、原稿に画像を形成した後に、原稿に形成された画像またはその画像に埋め込まれたデジタル情報が機密情報を含んでいる場合、機密情報が出力されるのを防止することができる。その結果、原稿に形成された画像から機密が漏洩するのを防止することが可能な画像読取装置を提供することができる。
【0009】
好ましくは、ユーザを識別するための識別情報を受け付けるユーザ識別手段をさらに備え、データ制御手段は、受け付けられた識別情報に基づいて、抽出されたデジタル情報のうちから出力する部分を選択する選択手段を含む。
【0010】
この局面に従えば、ユーザを識別するための識別情報が受け付けられ、受け付けられた識別情報に基づいて、デジタル情報のうちから出力する部分が選択される。このため、ユーザにより出力可能なデジタル情報を異ならせることができる。
【0011】
好ましくは、抽出されたデジタル情報が認証情報を含む場合、認証情報が受け付けられることを条件に認証する認証手段をさらに備え、データ制御手段は、抽出されたデジタル情報が認証情報を含む場合、認証手段により認証されることを条件にデジタル情報を表示する。
【0012】
この局面に従えば、デジタル情報が認証情報を含む場合、認証情報が受け付けられることを条件に、デジタル情報が表示される。このため、デジタル情報が機密情報を含んでいる場合に、機密情報が漏洩するのを防止することができる。
【0013】
好ましくは、記録媒体に画像を形成する画像形成手段をさらに備え、データ制御手段は、デジタル情報が原稿の複写を禁止する情報を含んでいる場合、画像形成手段による原稿画像の形成を禁止する。
【0014】
この局面に従えば、デジタル情報が原稿の複写を禁止する情報を含んでいる場合、原稿画像を記録媒体に形成するのが禁止される。このため、原稿画像が機密情報を含んでいる場合に、機密情報が漏洩するのを防止することができる。
【0015】
好ましくは、記録媒体に画像を形成する画像形成手段をさらに備え、データ制御手段は、デジタル情報が原稿の一部の複写を禁止する情報を含んでいる場合、原稿画像から原稿の複写が禁止されている部分を除く部分画像を生成する部分画像生成手段を含み、画像形成手段は、部分画像を記録媒体に形成する。
【0016】
この局面に従えば、デジタル情報が原稿の一部の複写を禁止する情報を含んでいる場合、原稿画像から複写が禁止されている部分を除く部分画像が生成され、部分画像が記録媒体に形成される。このため、原稿画像のうち機密情報でない部分を記録媒体に形成することができる。
【0017】
好ましくは、抽出手段は、読取手段により複数枚の原稿が読み取られる場合、検出手段により複数枚の原稿からそれぞれ検出される複数の所定のパターンをまとめて解析し、デジタル情報を抽出する。
【0018】
この局面に従えば、複数枚の原稿が読み取られる場合、複数枚の原稿からそれぞれ検出される複数の所定のパターンがまとめて解析され、デジタル情報が抽出される。このため、複数枚の原稿に分けてデジタル情報を埋め込むことができる。
【0019】
好ましくは、データ制御手段は、読取手段により複数枚の原稿が読み取られる場合、原稿画像が出力される毎に、デジタル情報の表示を切り換える。
【0020】
好ましくは、データ制御手段は、抽出されたデジタル情報に基づいて、読取手段から出力される原稿画像の表示を制御する。
【0021】
この局面に従えば、原稿画像の表示が制御されるので、原稿画像が機密情報を含んでいる場合に、原稿画像が表示されて機密が漏洩するのを防止することができる。
【0022】
この発明の他の局面によれば、画像読取方法は、デジタル情報が埋め込まれた地紋パターンを含む原稿画像が形成された原稿を読み取るステップと、読み取って得られる原稿画像から所定のパターンを検出するステップと、検出された所定のパターンを解析し、デジタル情報を抽出するステップと、抽出されたデジタル情報に基づいて、出力するためのデータを制御するステップと、を含む。
【0023】
この局面に従えば、原稿に形成された画像から機密が漏洩するのを防止することが可能な画像読取方法を提供することができる。
【0024】
この発明のさらに他の局面によれば、画像読取プリグラムは、デジタル情報が埋め込まれた地紋パターンを含む原稿画像が形成された原稿を読み取るステップと、読み取って得られる原稿画像から所定のパターンを検出するステップと、検出された所定のパターンを解析し、デジタル情報を抽出するステップと、抽出されたデジタル情報に基づいて、出力するためのデータを制御するステップと、をコンピュータに実行させる。
【0025】
この局面に従えば、原稿に形成された画像から機密が漏洩するのを防止することが可能な画像読取プログラムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。以下の説明では同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰返さない。
【0027】
以下、画像読取装置の一例としてMFP(Multi Function Peripheral)を例に説明する。図1は、MFPの外観を示す斜視図である。図1を参照して、MFP100は、自動原稿搬送装置(ADF)10と、画像読取部20と、画像形成部40と、給紙部50と、後処理部60と、を含む。また、MFP100は、その上面にユーザとのユーザインターフェースとしての操作パネル9を備えている。
【0028】
ADF10は、原稿給紙トレイ11上にセットされた複数枚の原稿を1枚ずつ自動的に画像読取部20のプラテンガラス上に設定された所定の原稿読み取り位置まで搬送し、画像読取部20により原稿画像が読み取られた原稿を原稿排紙トレイ12上に排出する。画像読取部20は、原稿読取位置に搬送されてきた原稿に光を照射する光源と、原稿で反射し、レンズで集光された光を受光する光電変換素子とを含み、原稿のサイズに応じた原稿画像を走査する。光電変換素子は、受光した光を電気信号である原稿画像に変換して、画像処理部30に出力する。給紙部50は、給紙トレイに収納された用紙等の記憶媒体を画像形成部40に搬送する。
【0029】
画像処理部30は、原稿画像にノイズ除去処理、文字強調処理、スムージング処理等の画像処理を施す。画像処理部30についての詳細は後述する。画像形成部40は、周知の電子写真方式により画像を形成するものであって、画像処理部30から入力される原稿画像に基づいて、給紙部50により搬送される用紙等の記録媒体に画像を形成する。
【0030】
後処理部60は、画像が形成された記録媒体を排出する。後処理部60は、複数の排出トレイを有し、画像が形成された記録媒体をソートして排出することが可能である。また、後処理部60は、パンチ穴加工部、ステープル加工部を備えており、排出された記録媒体にパンチ穴加工、またはステープル加工することが可能である。
【0031】
なお、本実施の形態においては画像読取装置の一例としてMFP100を例に説明するが、MFP100に代えて、たとえば、スキャナ、プリンタ、ファクシミリ、パーソナルコンピュータ等であってもよい。
【0032】
図2は、MFPの回路構成の一例を示すブロック図である。図2を参照して、MFP100は、メイン回路101と、ファクシミリ部3と、通信制御部5と、を含む。メイン回路101は、自動原稿搬送装置(ADF)10と、画像読取部20と、画像処理部30と、画像形成部40と、給紙部50と、後処理部60とに接続されている。
【0033】
メイン回路101は、CPU111と、CPU111の作業領域として使用されるRAM112と、CPU111が実行するプログラム等を記憶するためのフラッシュメモリ113と、ディスプレイ114と、操作部115と、大容量記憶装置としてのハードディスクドライブ(HDD)116と、データ通信制御部117と、を含む。
【0034】
CPU111は、フラッシュメモリ113に記憶された画像読取プログラムを実行する。CPU111は、ディスプレイ114、操作部115、HDD116およびデータ通信制御部117と、それぞれ接続され、メイン回路101の全体を制御する。また、CPU111は、ファクシミリ部3、通信制御部5、ADF10、画像読取部20、画像形成部40、給紙部50、後処理部60と接続され、MFP100の全体を制御する。
【0035】
ディスプレイ114は、液晶表示装置(LCD)、有機ELD(Electro Luminescence Display)等の表示装置であり、ユーザに対する指示メニューや取得した画像データに関する情報等を表示する。操作部115は、複数のキーを備え、キーに対応するユーザの操作による各種の指示、文字、数字などのデータの入力を受付ける。操作部115は、ディスプレイ114上に設けられたタッチパネルを含む。ディスプレイ114と、操作部115とで、MFP100の上面に設けられる操作パネル9が構成される。
【0036】
データ通信制御部117は、TCP(Transmission Control Protocol)またはUDP(User Datagram Protocol)等の通信プロトコルで通信するためのインターフェースであるLAN端子118と、シリアル通信のためのシリアル通信インターフェース端子119とを有する。データ通信制御部117は、CPU111からの指示に従って、LAN端子118またはシリアル通信インターフェース端子119に接続された外部の機器との間でデータを送受信する。
【0037】
LAN端子118に、ネットワークに接続するためのLANケーブルが接続される場合、データ通信制御部117は、LAN端子118を介して接続された他のMFPまたはコンピュータと通信する。さらに、データ通信制御部117は、インターネットに接続された他のコンピュータと通信する。
【0038】
シリアル通信インターフェース端子119に機器が接続された場合、データ通信制御部117は、シリアル通信インターフェース端子119に接続された機器、例えば、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラまたは携帯情報端末との間で通信して画像データを入出力する。また、シリアル通信インターフェース端子119には、フラッシュメモリを内蔵したメモリカード119Aが接続可能である。CPU111は、データ通信制御部117を制御して、メモリカード119AからCPU111が実行するためのプログラムを読出し、フラッシュメモリ113に記憶することにより、プログラムを更新することが可能である。
【0039】
なお、CPU111が実行するためのプログラムを記憶する記録媒体としては、メモリカード119Aに限られず、フレキシブルディスク、カセットテープ、光ディスク(CD−ROM(Compact Disc−Read Only Memory)/MO(Magnetic Optical Disc)/MD(Mini Disc)/DVD(Digital Versatile Disc))、ICカード(メモリカードを含む)、光カード、マスクROM、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electronically EPROM)などの半導体メモリ等の媒体でもよい。さらに、CPU111がデータ通信制御部117を介して接続されたコンピュータからプログラムをダウンロードしてフラッシュメモリ113に記憶する、または、コンピュータがプログラムをフラッシュメモリ113に書込みするようにして、フラッシュメモリ113に記憶されたプログラムをRAM112にロードしてCPU111で実行するようにしてもよい。ここでいうプログラムは、CPU111により直接実行可能なプログラムだけでなく、ソースプログラム、圧縮処理されたプログラム、暗号化されたプログラム等を含む。
【0040】
通信制御部5は、CPU111を公衆交換電話網(PSTN)7に接続するためのモデムである。MFP100には、PSTN7における電話番号が予め割り当てられており、PSTN7に接続されたファクシミリ装置からMFP100に割り当てられた電話番号に発呼があると、通信制御部5がその発呼を検出する。通信制御部5は、発呼を検出すると通話を確立し、ファクシミリ部3に通信させる。
【0041】
ファクシミリ部3は、PSTN7に接続され、PSTN7にファクシミリデータを送信する、またはPSTN7からファクシミリデータを受信する。
【0042】
図3は、画像処理部30の詳細な機能を示す機能ブロック図である。図3を参照して、画像処理部30は、第1スキャナ画像処理部51と、第2スキャナ画像処理装置と、圧縮・伸張処理部71と、プリンタ画像処理部81と、地紋検出部91と、を含む。
【0043】
第1スキャナ画像処理部51は、画像読取部20が出力する原稿画像が1ラインずつ入力される。第1スキャナ画像処理部51は、シェーディング補正部53と、ライン間補正部55と、色収差補正部57とを含む。
【0044】
シェーディング補正部53は、原稿画像の1ライン分から画像読取部20が備える光源の照明ムラ等を除去する。シェーディング補正部53は、シェーディング補正した原稿画像の1ライン分をライン間補正部55に出力する。原稿画像の1ライン分のデータは、R(赤)データ、G(緑)データおよびB(青)データを含む。ライン間補正部55は、Rデータ、GデータおよびBデータそれぞれが原稿の同一ラインとなるようにRデータ、GデータおよびBデータを同期させる。色収差補正部57は、画像読取部20が備えるレンズによる主走査方向の歪を補正する。色収差補正部57は、補正後の原稿画像を第2スキャナ画像処理部61、地紋検出部91およびCPU111に出力する。色収差補正部57が出力する原稿画像は、R、GおよびBの画像を含む。
【0045】
第2スキャナ画像処理部61は、解像度変換部62と、下地飛ばし処理部63と、領域判別部65と、色変換部64と、文字エッジ補正部66と、誤差拡散部67と、を含む。解像度変換部62は、原稿画像を、ユーザが指定した解像度に変換する。下地飛ばし処理部63は、次の領域判別部65が領域を判別しやすくするために、原稿画像の下地部分の色を削除する。領域判別部65は、原稿画像のうちから文字が表された文字領域と、写真や図形が表された写真領域とを抽出する。色変換部64は、原稿画像をRGB色空間からCMY色空間に変換する。具体的には、原稿画像が含むR、GおよびBの画像を、CMYおよびK(黒)の画像に変換する。文字エッジ補正部66は、原稿画像の文字領域に対して、文字を強調する処理を施す。誤差拡散部67は、原稿画像のうち写真領域に誤差拡散処理を施す。
【0046】
圧縮・伸張処理部71は、第2スキャナ画像処理部61からCMYおよびKの画像を含む原稿画像が入力される。圧縮・伸張処理部71は、原稿画像を圧縮し、RAM112に記憶する。そして、CPU111からの指示に従って、RAM112に記憶された圧縮された原稿画像を読出し、伸張する。CPU111から画像形成指示があるまで、原稿画像を伸張しないので、その間、原稿画像が記録媒体に形成されるのを禁止することができる。また、圧縮・伸張処理部71は、CPU111から原稿画像の形成を禁止する指示が入力されると、RAM112に記憶されている圧縮された原稿画像を消去する。これにより、原稿画像が記録媒体に形成されるのを禁止することができる。
【0047】
プリンタ画像処理部81は、画像補正部82と、画像合成部83と、スクリーン処理部84と、を含む。画像補正部82は、圧縮・伸張処理部71から原稿画像が入力される。また、画像補正部82は、CPU111からマスク指示が入力される。マスク指示は、原稿画像の一部の領域(マスク領域)を示す情報を含む。画像補正部82は、マスク指示が入力されると、原稿画像の一部の領域を削除する。これにより、原稿画像の一部の画像が形成されるのを禁止することができる。
【0048】
画像合成部83は、CPU111から地紋付加指示が入力される。地紋付加指示は、地紋パターンを含む。地紋パターンは、デジタル情報が埋め込まれた画像であり、より具体的には、デジタル情報に関連付けられた複数の地紋が配列された画像である。デジタル情報は、0と1とが配列された情報である。地紋は、サイズ、濃度の異なる複数のドットを所定の規則で配列した画像である。所定数の0と1との配列と、複数の地紋のうち1つとが予め関連付けられている。画像合成部83は、CPU111から地紋付加指示が入力されると、原稿画像に地紋付加指示に含まれる地紋パターンを合成する。これにより、地紋パターンを含む原稿画像が生成される。
【0049】
スクリーン処理部84は、原稿画像のスクリーン線の数、形状、角度等を最適にするスクリーン処理を実行する。スクリーン処理部84は、処理後の原稿画像を、画像形成部40に出力する。
【0050】
地紋検出部91は、解像度変換処理部92と、前処理部93と、地紋パターン検出部94と、デジタル情報検出部95と、を含む。解像度変換処理部92は、第1スキャナ画像処理部から入力されるRGBの原稿画像を、所定の解像度に変換する。所定の解像度は、予め定められた解像度であればよく、地紋パターンを検出するのに適した解像度であればよい。
【0051】
前処理部93は、原稿画像からノイズを除去するなどの処理を実行する。また、地紋パターンを検出するために原稿画像を2値化するなどの処理を実行するようにしてもよい。地紋パターン検出部94は、原稿画像から複数の地紋を検出する。具体的には、予め定められた複数の地紋のいずれかが原稿画像に含まれていれば、その地紋を抽出する。そして、抽出した複数の地紋の配列順から地紋パターンを検出する。地紋パターン検出部94は、原稿画像から検出した地紋パターンをデジタル情報検出部95に出力する。
【0052】
デジタル情報検出部95は、地紋パターンからデジタル情報を検出する。地紋パターンは複数の地紋が配列されているため、複数の地紋それぞれに予め関連付けられた0と1との配列を、地紋の配列に従って配列することにより、デジタル情報を検出する。デジタル情報検出部95は、検出したデジタル情報をCPU111に出力する。
【0053】
図4は、CPUの機能の一例を示す機能ブロック図である。図4を参照して、CPU111は、画像処理部30からデジタル情報を受け付けるためのデジタル情報受付部121と、ディスプレイに表示するためのデジタル情報を制御する情報表示制御部123と、MFP100を操作するユーザを認証するためのユーザ認証部129と、画像処理部30から原稿画像を受け付けるための原稿画像受付部135と、認証情報受付部133と、認証部131と、画像認証情報受付部145と、画像認証部143と、ディスプレイ114に表示するための原稿画像を制御するための画像表示制御部137と、画像形成部40に画像形成させるための画像を制御するための画像形成制御部151と、を含む。
【0054】
デジタル情報受付部121は、画像処理部30からデジタル情報が入力されると、そのデジタル情報を受け付け、受け付けたデジタル情報を情報表示制御部123、認証部131、画像認証部143および画像形成制御部151に出力する。デジタル情報受付部121は、画像処理部30が1つの原稿画像を処理するごとに、その原稿画像から検出されたデジタル情報を受け付ける。デジタル情報受付部121は、1つの原稿画像から検出されたデジタル情報が、それ単体で1つのデジタル情報を構成するか否かを判断する。複数の原稿画像にデジタル情報が分割して埋め込まれている場合、デジタル情報受付部121は、デジタル情報を部分的に受け付ける。このため、デジタル情報受付部121は、画像処理部30から入力される複数の原稿画像にそれぞれ埋め込まれた複数のデジタル情報を、複数の原稿画像が読み取られるごとに受け付ける。デジタル情報受付部121は、原稿画像が読み取られるごとに受け付ける部分的なデジタル情報を、順にRAM112に記憶する。そして、デジタル情報受付部121は、1つのまとまりとしてのデジタル情報がRAM112に蓄積されると、RAM112から1つのまとまりとしてのデジタル情報を読出し、情報表示制御部123、認証部131、画像認証部143および画像形成制御部151に出力する。
【0055】
ユーザ認証部129は、MFP100を操作するユーザを認証する。ユーザが操作部115にユーザIDとパスワードとを入力すると、ユーザ認証部129は、操作部115からユーザIDとパスワードとを受け付ける。フラッシュメモリ113には、ユーザIDと、パスワードと、IDレベルとを含むユーザレコードを少なくとも1つ含むユーザテーブルが予め記憶されている。ユーザ認証部129は、ユーザテーブルを参照して、受け付けたユーザIDとパスワードとを含むユーザレコードがフラッシュメモリ113に記憶されているか否かを判断する。ユーザ認証部129は、受け付けたユーザIDとパスワードとを含むユーザレコードがフラッシュメモリ113に記憶されていれば認証し、そうでなければ認証しない。ユーザ認証部129は、認証に成功すると、認証したユーザのユーザIDを情報表示制御部123に出力する。
【0056】
認証部131は、デジタル情報受付部121からデジタル情報が入力される。デジタル情報が認証情報を含んでいる場合、認証部131は、ディスプレイ114に認証情報の入力をユーザに促すメッセージを表示する。ユーザが操作部115に認証情報を入力すると、認証情報受付部133は、操作部115から認証情報を受け付け、受け付けた認証情報を認証部131に出力する。認証部131は、デジタル情報に含まれる認証情報と、認証情報受付部133から入力される認証情報とを比較し、それらが一致すれば認証成功を示す信号を情報表示制御部123に出力する。
【0057】
情報表示制御部123は、デジタル情報が認証情報を含んでいる場合、認証部131から認証成功を示す信号が入力されると、デジタル情報をディスプレイ114に表示するが、認証部131から認証成功を示す信号が入力されなければ、デジタル情報をディスプレイ114に表示しない。
【0058】
情報表示制御部123は、選択部125と、禁止情報表示部127と、を含む。選択部125は、デジタル情報受付部121からデジタル情報が入力され、ユーザ認証部129からユーザIDが入力される。デジタル情報は、複数のIDレベルに分類されている。あるIDレベルに相当するデジタル情報の部分は、より低いIDレベルに相当する部分を含む。例えば、デジタル情報が、1〜5までの5段階のIDレベルに分類されている場合、IDレベル1が最もレベルが高く、IDレベル2、3、4、5の順にレベルが低いとすると、IDレベル5に相当するデジタル情報の部分は、他のIDレベル1〜4に相当する部分に含まれる。また、ユーザ認証部129によりユーザIDが認証されず、ユーザ認証部129からユーザIDが入力されない場合は最も低いIDレベル5とされる。
【0059】
選択部125は、フラッシュメモリ113に予め記憶されているユーザテーブルを参照し、ユーザ認証部129から入力されるユーザIDを含むユーザレコードを抽出し、そのユーザレコードに含まれるIDレベルを取得する。選択部125は、デジタル情報受付部121から入力されるデジタル情報のうちからIDレベルに相当する部分を抽出し、デジタル情報のうちから抽出した部分をディスプレイ114に表示する。このため、ユーザに予め付されたIDレベルによって、ディスプレイ114に表示するデジタル情報を異ならせることができる。
【0060】
禁止情報表示部127は、デジタル情報受付部121からデジタル情報が入力される。禁止情報表示部127は、デジタル情報が原稿の複写を禁止する情報を含んでいる場合、原稿の複写が禁止されていることを示すメッセージをディスプレイ114に表示する。
【0061】
画像認証部143は、デジタル情報受付部121からデジタル情報が入力される。デジタル情報が画像認証情報を含んでいる場合、画像認証部143は、ディスプレイ114に画像認証情報の入力をユーザに促すメッセージを表示する。ユーザが操作部115に認証情報を入力すると、画像認証情報受付部145は、操作部115から画像認証情報を受け付け、受け付けた画像認証情報を画像認証部143に出力する。画像認証部143は、デジタル情報に含まれる画像認証情報と、認証情報受付部133から入力される画像認証情報とを比較し、それらが一致すれば認証成功を示す信号を画像表示制御部137および画像形成制御部151に出力する。
【0062】
原稿画像受付部135は、画像読取部20から原稿画像が入力されると、その原稿画像を受け付け、受け付けた原稿画像を画像表示制御部137に出力する。
【0063】
画像表示制御部137は、デジタル情報受付部121からデジタル情報が入力され、原稿画像受付部135から原稿画像が入力される。画像表示制御部137は、入力されるデジタル情報が画像認証情報を含んでいる場合、画像認証部143から認証成功を示す信号が入力されると、原稿画像をディスプレイ114に表示するが、画像認証部143から認証成功を示す信号が入力されなければ、原稿画像をディスプレイ114に表示しない。ここでは、画像表示制御部137がディスプレイに表示する画像を、プレビュー画像という。
【0064】
なお、ここでは、画像認証情報と認証情報とが異なる場合を例に示したが、いずれか一方のみを用いるようにしてもよい。例えば認証情報のみを用いる場合、画像認証部143は、認証部131が認証成功を示す信号が入力されると、原稿画像をディスプレイ114に表示する。
【0065】
画像表示制御部137は、部分画像生成部139と、プレビュー画像補正部141とを含む。部分画像生成部139は、デジタル情報が原稿の複写を部分的に禁止する情報を含んでいる場合、原稿画像の複写が禁止されている部分をマスクし、複写が禁止されていない部分を含む部分画像を生成する。部分画像生成部139は、生成した部分画像(プレビュー画像)をディスプレイ114に表示する。画像表示制御部137は、デジタル情報が原稿の複写を部分的に禁止する情報を含んでいる場合、画像認証部143から認証成功を示す信号が入力される前に、部分画像生成部139により生成された部分画像をディスプレイ114に表示し、画像認証部143から認証成功を示す信号が入力されるとディスプレイ114に原稿画像を表示する。
【0066】
プレビュー画像補正部141は、デジタル情報が表示する原稿画像の表示方法を変更する情報を含む場合、表示するための原稿画像(プレビュー画像)を表示方法に従って補正する。表示方法を変更する情報は、例えば、表示する方向、明るさ、色味、解像度、大きさである。画像表示制御部137は、プレビュー画像補正部141により補正された原稿画像をディスプレイ114に表示する。
【0067】
画像形成制御部151は、画像形成禁止部153と、部分画像生成指示部155と、地紋パターン合成指示部157と、を含む。画像形成禁止部153は、デジタル情報受付部121から入力されるデジタル情報が原稿の複写を禁止する情報を含んでいる場合、原稿画像の形成を禁止する指示を画像処理部30の圧縮・伸張処理部71に出力する。これにより圧縮・伸張処理部71は、RAM112に記憶した圧縮された原稿画像を消去するので、原稿画像が記録媒体に形成されることがない。
【0068】
部分画像生成指示部155は、デジタル情報が原稿の複写を部分的に禁止する情報を含んでいる場合、原稿の複写が禁止されている部分をマスクするマスク指示を画像処理部30の画像補正部82に出力する。マスク指示は、原稿画像のマスクする領域を示すマスク領域情報を含む。これにより、画像処理部30の画像補正部82は、原稿画像のマスク領域情報で特定される領域の画像を部分的に削除した部分画像を生成するので、原稿の複写が禁止されている部分が記録媒体上に形成されることがない。
【0069】
地紋パターン合成指示部157は、埋め込み情報受付部159から埋め込み情報が入力される。埋め込み情報受付部159は、ユーザが操作部115に入力する埋め込み情報を受け付ける。埋め込み情報は、表示用データ、表示用データの出力を制御するための情報、原稿画像の出力を制御するための情報を含む。表示用データの出力を制御するための情報は、表示用データの全体または少なくとも一部の表示を禁止する情報、表示用データに対応するIDレベルおよび認証情報を含む。原稿画像の出力を制御するための情報は、原稿画像の全体または少なくとも一部の表示を禁止する情報、原稿画像を補正するための情報、原稿画像の全体または少なくとも一部の画像形成を禁止する情報および画像認証情報を含む。原稿画像を補正するための情報は、原稿画像を表示する方向、明るさ、色味、解像度、大きさを含む。
【0070】
地紋パターン合成指示部157は、埋め込み情報が入力されると、埋め込み情報をデジタル情報に変換する。埋め込み情報に対応して、予め定められた二進数のコードが定められており、その二進数のコードからなるデジタル情報に埋め込み情報を変換する。地紋パターン合成指示部157は、さらに、デジタル情報に基づいて、地紋の配列からなる地紋パターンを生成し、地紋パターンを含む地紋付加指示を画像処理部30の画像合成部83に出力する。これにより、画像合成部83は、原稿画像に地紋パターンを合成するので、地紋パターンを含む原稿画像が記録媒体上に形成される。
【0071】
図5は、操作パネル9に表示される画面の一例を示す第1の図である。図5においては、デジタル情報が、認証情報、および原稿のコピーを部分的に禁止する情報を含んでいる場合に表示される画面を示している。図5を参照して、ディスプレイ114は、メッセージを表示する領域と、プレビュー画像301と、パスワードを入力する領域311と、を含む。メッセージを表示する領域には、「セキュリティで保護された原稿が読み込まれました。保護を解除したい場合はパスワードを入力してください。」のメッセージが表示される。プレビュー画像301は、ハッチングで示す領域303,305が、マスクされる。ユーザが領域311にパスワードを入力すると、保護が解除される。
【0072】
図6は、操作パネル9に表示される画面の一例を示す第2の図である。図6は、図5に示した画面の領域311にパスワードが入力された場合に、表示される画面を示している。ここでは、認証情報と画像認証情報とを同じにした例を示している。すなわち、領域311に入力される1つのパスワードが、デジタル情報に含まれる認証情報および画像認証情報と一致する場合に表示される画面を示している。図6を参照して、ディスプレイ114にデジタル情報に含まれる表示用データ310が表示される。また、プレビュー画像301Aは、図5に示したプレビュー画像301と異なり、マスクされた領域303,305を含まず、原稿画像のすべての部分を含む。
【0073】
図7は、画像読取処理の流れの一例を示すフローチャートである。画像読取処理は、CPU111および画像処理部30が、フラッシュメモリ113に記憶された画像読取プログラムを実行することにより、CPU111または画像処理部30により実行される処理である。図7を参照して、CPU111または画像処理部30は、原稿が読み取られた否かを判断する。画像読取部20により原稿が読み取られるまで待機状態となり、画像読取部20により原稿が読み取られたならば処理をステップS02に進める。画像読取部20が原稿を読み取ると、CPU111は、画像読取部20から原稿画像を受け付ける(ステップS02)。
【0074】
次のステップS03においては、原稿画像が地紋パターンを含むか否かを判断する。原稿画像から予め定められた複数の地紋の少なくとも1つが抽出されたならば、地紋パターンを含むと判断する。原稿画像が地紋パターンを含むならば処理をステップS04に進め、そうでなければ処理をステップS07に進める。
【0075】
ステップS04においては、デジタル情報を検出する。具体的には、原稿画像から地紋パターンを抽出し、地紋パターンに含まれる複数の地紋にそれぞれ対応する0と1の配列の組を決定し、地紋の配列に従ってそれらを配列することにより、デジタル情報を決定する。
【0076】
次のステップS05においては、デジタル情報が表示用データを含むか否かを判断する。デジタル情報が表示用データを含むならば処理をステップS06に進め、そうでなければ処理をステップS07に進める。ステップS06においては、デジタル情報表示処理を実行し、処理をステップS07に進める。ステップS07においては、画像出力処理を実行し、処理をステップS08に進める。デジタル情報表示処理および画像出力処理については、後述する。
【0077】
ステップS08においては、次に読み取るべき原稿が存在するか否かを判断する。原稿が存在するならば処理をステップS01に戻し、存在しなければ処理を終了する。ADF10に原稿が存在するか否かにより判断する。したがって、1枚の原稿が読み取られるごとに、デジタル情報および原稿画像がディスプレイ114に表示される。
【0078】
図8は、デジタル情報表示処理の流れの一例を示すフローチャートである。デジタル情報表示処理は、図7のステップS06において実行される処理である。図8を参照して、表示用データがプロテクトされているか否かを判断する(ステップS11)。デジタル情報が認証情報(パスワード)を含むか否かを判断する。デジタル情報が認証情報を含むならば表示用データがプロテクトされていると判断する。表示用データがプロテクトされていれば処理をステップS12に進めるが、そうでなければ処理をステップS14に進める。
【0079】
ステップS12においては、ユーザにパスワードの入力を要求する。具体的には、ディスプレイ114にパスワードの入力を要求するメッセージを表示する。ユーザが操作部115にパスワードを入力すると、操作部115から入力されたパスワードを受け付ける。ステップS13においては、ユーザが入力したパスワードが認証情報と一致するか否かを判断する。パスワードと認証情報とが一致すれば処理をステップS14に進めるが、そうでなければ処理を画像読取処理に戻す。したがって、デジタル情報に含まれる認証情報と同じパスワードが入力されることを条件に、デジタル情報に含まれる表示用データを表示する。
【0080】
ステップS14においては、表示用データの表示が制限されているか否かを判断する。ここでは、デジタル情報がIDレベルにより分類されているか否かを判断する。デジタル情報がIDレベルより分類されていれば処理をステップS15に進め、そうでなければ処理をステップS23に進める。ステップS23においては、表示用データのすべてをディスプレイ114に表示する。
【0081】
ステップS15においては、ユーザIDが入力済みか否かを判断する。ユーザ認証部131により認証されたユーザIDが受け付けられているか否かを判断する。ユーザIDが入力済であれば処理をステップS16に進め、そうでなければ処理をステップS21に進める。ステップS21においては、デジタル情報に含まれる表示用データのうちIDレベルが設定されていない表示用データを選択し、処理をステップS22に進める。レベルが設定されていない表示用データは、ユーザIDが入力されていない場合に表示される表示用データである。
【0082】
ステップS16においては、ユーザIDに対応するIDレベルにより処理を分岐する。フラッシュメモリ113に予め記憶されているユーザテーブルからユーザIDを含むユーザレコードを読出し、そのユーザレコードに含まれるIDレベルを取得する。IDレベルがレベル1ならば処理をステップS20に進め、IDレベルがレベル2ならば処理をステップS19に進め、IDレベルがレベル3ならば処理をステップS18に進め、IDレベルがレベル4ならば処理をステップS17に進める。
【0083】
ステップS17においては、デジタル情報に含まれる表示用データのうちレベル4以下に設定されている表示用データを選択し、処理をステップS22に進める。レベル4以下に設定されている表示用データは、レベル4に設定されている表示用データと、レベル設定なしに設定されている表示用データとを含む。ステップS18においては、デジタル情報に含まれる表示用データのうちレベル3以下に設定されている表示用データを選択し、処理をステップS22に進める。ステップS19においては、デジタル情報に含まれる表示用データのうちレベル2以下に設定されている表示用データを選択し、処理をステップS22に進める。ステップS20においては、デジタル情報に含まれる表示用データのうちレベル1以下に設定されている表示用データ、換言すれば表示用データのすべてを選択し、処理をステップS22に進める。
【0084】
ステップS22においては、ステップS17〜ステップS21のいずれかで選択された表示用データをディスプレイ114に表示する。デジタル情報が、認証情報を含んでいれば、その認証情報が入力されることを条件にデジタル情報をディスプレイ114に表示するので、デジタル情報が機密情報を含む表示用データを含む場合、機密情報が漏洩するのを防止することができる。また、デジタル情報がIDレベルで分類された表示用データを含む場合、表示用データのうちIDレベルに対応する部分のみをディスプレイ114に表示するので、MFP100を操作するユーザごとに表示用データのうちから表示する部分を異ならせることができる。
【0085】
図9は、画像出力処理の流れの一例を示すフローチャートである。画像出力処理は、図7に示した画像読取処理のステップS07において実行される処理である。図9を参照して、CPU111は、原稿画像に基づいて、プレビュー画像を作成する(ステップS31)。ディスプレイ114に表示可能なサイズに原稿画像を縮小する縮小処理などを行う。
【0086】
そして、コピー禁止原稿か否かを判断する(ステップS32)。デジタル情報が原稿の複写を禁止する情報、または、原稿の一部の複写を禁止する情報を含んでいるか否かを判断する。コピー禁止原稿ならば処理をステップS33に進め、そうでなければ処理をステップS40に進める。
【0087】
ステップS33においては、原稿の複写が部分的に禁止されているか否かを判断する。デジタル情報が原稿の複写を禁止する情報と原稿の一部の複写を禁止する情報とのいずれを含んでいるかを判断する。原稿の一部の複写を禁止する情報を含んでいれば、部分的に禁止されていると判断し、処理をステップS34に進める。原稿の複写を禁止する情報を含んでいれば、処理をステップS51に進める。
【0088】
ステップS34においては、コピー禁止領域をマスクする。ステップS31で作成したプレビュー画像のうち原稿の一部の複写を禁止する情報に含まれる領域を削除し、別の画像で置き換えることによりマスクする。そして、プレビュー画像をディスプレイ114に表示する(ステップS35)。
【0089】
次のステップS36においては、ユーザに画像パスワードの入力を要求する。具体的には、ディスプレイ114に画像パスワードの入力を要求するメッセージを表示する。ユーザが操作部115に画像パスワードを入力すると、操作部115から入力された画像パスワードを受け付ける。ステップS37においては、ユーザが入力した画像パスワードがデジタル情報に含まれる画像認証情報と一致するか否かを判断する。画像パスワードと画像認証情報とが一致すれば処理をステップS38に進めるが、そうでなければ処理をステップS39に進める。ステップS38においては、プレビュー画像のマスクを除去する。具体的には、ステップS35で表示したプレビュー画像に代えて、ステップS31で作成したプレビュー画像をディスプレイ114に表示する。
【0090】
ステップS39においては、部分画像を生成し、処理をステップS40に進める。具体的には、画像処理部30にマスク指示を出力する。マスク指示は、デジタル情報に含まれる原稿画像の一部の領域(マスク領域)を示す情報を含む。これにより、画像補正部82により原稿画像の一部の領域が削除されるので、原稿画像の一部の画像が形成されるのを禁止することができる。
【0091】
ステップS40においては、表示方法が変更されているか否かを判断する。デジタル情報が表示方法を変更する情報を含むか否かを判断する。デジタル情報が表示方法を変更する情報を含むならば処理をステップS41に進め、そうでなければ処理をステップS42に進める。
【0092】
ステップS41においては、プレビュー画像を表示方法に従って補正する(ステップS41)。例えば、プレビュー画像を表示する方向、明るさ、色味、解像度、大きさを補正する。ステップS42においては、プレビュー画像をディスプレイ114に表示する。
【0093】
ステップS43においては、原稿画像を画像形成し、処理を画像読取処理に戻す。具体的には、画像処理部30の圧縮・伸張処理部71に画像形成指示を出力する。これにより、圧縮・伸張処理部71によりRAM112に記憶された原稿画像が読み出され、伸張され、プリンタ画像処理部81に出力されるので、画像形成部40により原稿画像が記録媒体に形成される。
【0094】
一方、ステップS51においては、ステップS36と同様に、ユーザに画像パスワードの入力を要求する。ステップS52においては、ユーザが入力した画像パスワードがデジタル情報に含まれる画像認証情報と一致するか否かを判断する。画像パスワードと画像認証情報とが一致すれば処理をステップS40に進めるが、そうでなければ処理をステップS53に進める。
【0095】
ステップS53においては、原稿画像を削除し、処理を画像読取処理に戻す。具体的には、圧縮・伸張処理部71に原稿画像の形成を禁止する指示を出力する。これにより、圧縮・伸張処理部71がRAM112に記憶されている圧縮された原稿画像を消去するので、原稿画像が記録媒体上に形成されるのが禁止される。
【0096】
図10は、画像読取処理の別の流れを示すフローチャートである。この画像読取処理は、デジタル情報が、複数の原稿画像に分けて埋め込まれている場合に実行される処理である。図10を参照して、図7に示した画像読取処理と異なる点は、ステップS04とステップS05との間にステップS04Aが追加された点である。その他の処理は、図7に示した処理と同じなので、ここでは説明を繰り返さない。
【0097】
ステップS04において、デジタル情報が検出された場合、ステップS04Aにおいて、全デジタル情報の検出が完了したか否かを判断する。デジタル情報に、途中または最終であることを示す情報を含めるようにすればよい。最終のデジタル情報を検出したならば処理をステップS05に進めるが、そうでなければ処理をステップS01に戻す。すなわち、最終のデジタル情報を検出するまで、原稿を読み取るようにし、すべてのデジタル情報が揃ってから処理をステップS05に進める。このため、1枚の原稿に埋め込むことのできる情報の上限値をデジタル情報が超える場合であっても、複数の原稿にデジタル情報を分けて埋め込むことができる。また、複数の原稿に分けてデジタル情報が埋め込まれている場合であっても、複数の原稿を読み取って、すべてのデジタル情報が揃った時点で、デジタル情報に対する表示制御、または原稿画像に対する表示またはプリント制御をすることができる。
【0098】
なお、本実施の形態においては、原稿画像の出力処理の一例として、画像形成部40による画像形成する場合を示したが、出力処理は、画像形成する処理の他に、フラッシュメモリ113等の記憶媒体へ記憶する処理、および他の装置へ送信する処理を含む。
【0099】
また、上述した実施の形態においては、画像読取装置の一例としてMFP100について説明したが、図7〜図10に示した処理をコンピュータに実行させるための画像読取方法、または画像読取プログラムとして発明を捉えることができるのは言うまでもない。
【0100】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0101】
<付記>
(1) 前記表示手段は、抽出された前記デジタル情報が前記原稿の複写を禁止する情報を含んでいる場合、前記原稿の複写が禁止されていることを表示する、請求項4に記載の画像読取装置。
(2) 前記データ制御手段は、前記デジタル情報が前記原稿の一部の複写を禁止する情報を含んでいる場合、前記原稿画像から前記原稿の複写が禁止されている前記部分を除く部分画像を生成する部分画像生成手段を含み、前記部分画像を表示する、請求項8に記載の画像読取装置。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】MFPの外観を示す斜視図である。
【図2】MFPの回路構成の一例を示すブロック図である。
【図3】画像処理部の詳細な機能を示す機能ブロック図である。
【図4】CPUの機能の一例を示す機能ブロック図である。
【図5】操作パネルに表示される画面の一例を示す第1の図である。
【図6】操作パネルに表示される画面の一例を示す第2の図である。
【図7】画像読取処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図8】デジタル情報表示処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図9】画像出力処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図10】画像読取処理の別の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0103】
9 操作パネル、10 ADF、20 画像読取部、30 画像処理部、40 画像形成部、50 給紙部、60 後処理部、51 スキャナ画像処理部、53 シェーディング補正部、55 ライン間補正部、57 色収差補正部、61 スキャナ画像処理部、62 解像度変換部、63 下地飛ばし処理部、64 色変換部、65 領域判別部、66 文字エッジ補正部、67 誤差拡散部、71 圧縮・伸張処理部、81 プリンタ画像処理部、82 画像補正部、83 画像合成部、84 スクリーン処理部、91 地紋検出部、92 解像度変換処理部、93 前処理部、94 地紋パターン検出部、95 デジタル情報検出部、100 MFP、101 メイン回路、111 CPU、112 RAM、113 フラッシュメモリ、114 ディスプレイ、115 操作部、116 HDD、117 データ通信制御部、119A メモリカード、121 デジタル情報受付部、123 情報表示制御部、125 選択部、127 禁止情報表示部、129 ユーザ認証部、131 認証部、133 認証情報受付部、135 原稿画像受付部、137 画像表示制御部、139 部分画像生成部、141 プレビュー画像補正部、143 画像認証部、145 画像認証情報受付部、151 画像形成制御部、153 画像形成禁止部、155 部分画像生成指示部、157 地紋パターン合成指示部、159 埋め込み情報受付部、301,301A プレビュー画像、310 表示用データ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタル情報が埋め込まれた地紋パターンを含む原稿画像が形成された原稿を読み取り、原稿画像を出力する読取手段と、
前記読取手段から出力される原稿画像から所定のパターンを検出する検出手段と、
検出された前記所定のパターンを解析し、デジタル情報を抽出する抽出手段と、
抽出された前記デジタル情報に基づいて、出力するためのデータを制御するデータ制御手段と、を備えた画像読取装置。
【請求項2】
ユーザを識別するための識別情報を受け付けるユーザ識別手段をさらに備え、
前記データ制御手段は、受け付けられた前記識別情報に基づいて、抽出された前記デジタル情報のうちから出力する部分を選択する選択手段を含む、請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
抽出された前記デジタル情報が認証情報を含む場合、前記認証情報が受け付けられることを条件に認証する認証手段をさらに備え、
前記データ制御手段は、抽出された前記デジタル情報が認証情報を含む場合、前記認証手段により認証されることを条件に前記デジタル情報を表示する、請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項4】
記録媒体に画像を形成する画像形成手段をさらに備え、
前記データ制御手段は、前記デジタル情報が前記原稿の複写を禁止する情報を含んでいる場合、前記画像形成手段による前記原稿画像の形成を禁止する、請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項5】
記録媒体に画像を形成する画像形成手段をさらに備え、
前記データ制御手段は、前記デジタル情報が前記原稿の一部の複写を禁止する情報を含んでいる場合、前記原稿画像から前記原稿の複写が禁止されている前記部分を除く部分画像を生成する部分画像生成手段を含み、
前記画像形成手段は、前記部分画像を記録媒体に形成する、請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項6】
前記抽出手段は、前記読取手段により複数枚の原稿が読み取られる場合、前記検出手段により複数枚の前記原稿からそれぞれ検出される複数の前記所定のパターンをまとめて解析し、デジタル情報を抽出する、請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項7】
前記データ制御手段は、前記読取手段により複数枚の原稿が読み取られる場合、前記原稿画像が出力される毎に、前記デジタル情報の表示を切り換える、請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項8】
前記データ制御手段は、抽出された前記デジタル情報に基づいて、前記読取手段から出力される前記原稿画像の表示を制御する、請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項9】
デジタル情報が埋め込まれた地紋パターンを含む原稿画像が形成された原稿を読み取るステップと、
読み取って得られる原稿画像から所定のパターンを検出するステップと、
検出された前記所定のパターンを解析し、デジタル情報を抽出するステップと、
抽出された前記デジタル情報に基づいて、出力するためのデータを制御するステップと、を含む画像読取方法。
【請求項10】
デジタル情報が埋め込まれた地紋パターンを含む原稿画像が形成された原稿を読み取るステップと、
読み取って得られる原稿画像から所定のパターンを検出するステップと、
検出された前記所定のパターンを解析し、デジタル情報を抽出するステップと、
抽出された前記デジタル情報に基づいて、出力するためのデータを制御するステップと、をコンピュータに実行させる画像読取プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−271099(P2008−271099A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−110493(P2007−110493)
【出願日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】