画像読取装置および画像形成装置
【課題】原稿搬送力の増大を抑制でき、かつ、原稿の厚み(コシ)による原稿読取部に当たる位置のばらつきを抑制することができる画像読取装置および画像形成装置を提供する。
【解決手段】読取出口ローラ対92の原稿搬送位置X1(読取出口ローラ対のニップ)を、読取位置Bよりも下側に設けている。また、読取位置Bから第二読取出口ローラ対93の原稿搬送位置X2までの原稿搬送路が、読取出口ローラ対92の原稿搬送位置X1から読取位置までの原稿搬送路に対して、第二固定読取部95の読取面95aに対して垂直に引いた線Mを基準に線対称となっている。また、第二読取出口ローラ対93の原稿搬送速度と、読取出口ローラ対92原稿搬送速度とは、等速度となっている。
【解決手段】読取出口ローラ対92の原稿搬送位置X1(読取出口ローラ対のニップ)を、読取位置Bよりも下側に設けている。また、読取位置Bから第二読取出口ローラ対93の原稿搬送位置X2までの原稿搬送路が、読取出口ローラ対92の原稿搬送位置X1から読取位置までの原稿搬送路に対して、第二固定読取部95の読取面95aに対して垂直に引いた線Mを基準に線対称となっている。また、第二読取出口ローラ対93の原稿搬送速度と、読取出口ローラ対92原稿搬送速度とは、等速度となっている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置および画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、画像読取部の読取位置に原稿を副走査方向に搬送することで、原稿画像の副走査を行うシートスルー方式の画像読取装置が知られている。画像読取部の読取面にゴミなどの異物が付着すると、このゴミが縦すじとなって、著しい画像劣化となってしまう。
【0003】
特許文献1には、画像読取部(イメージセンサ)の読取面に接触するように原稿を搬送することで、読取面に付着したゴミを除去する画像読取装置が記載されている。特許文献1の画像読取装置では、画像読取部よりも原稿搬送方向上流側に設けられた原稿搬送路を基準にして画像読取部側のガイド部材(以下、上ガイド部材という)と、上ガイド部材に原稿搬送路を挟んで対向配置した下ガイド部材とからなる1対のガイド部材を次のように構成することにより、画像読取部の読取面に搬送原稿を接触させている。すなわち、上記上ガイド部材の原稿搬送方向下流側の箇所を、下ガイド部材側へ折り曲げている。また、下ガイド部材の上ガイド部材の折り曲げ部よりも原稿搬送方向下流側の箇所を、画像読取部側へ折り曲げているのである。かかる構成を備えることで、搬送されてきた原稿は、上ガイド部材の折り曲げ部に突き当って、下ガイド部材側へ強制的に湾曲せしめられた後、下ガイド部材の折り曲げ部に突き当って、画像読み取り部側へ強制的に湾曲させめられることにより、原稿が上方へ向けて搬送されるようになり、画像読取部の読取面に原稿を接触させることができる。これにより、画像読取部の読取面に付着したゴミを除去することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の画像読取装置においては、上ガイド部材の折り曲げ部と下ガイド部材の折り曲げ部とにそれぞれ原稿を突き当てて、原稿を強制湾曲させて搬送しているため、原稿読取部へ搬送するために必要な搬送力が大きくなってしまう。その結果、原稿を搬送するためのモータが大型化してしまい、装置が大型化するという課題があった。また、大型のモータとなることにより、モータを支持する箇所の剛性を高める必要が生じ、コストアップに繋がるという課題もあった。また、原稿を各ガイド部材の折り曲げ部で強制湾曲させて搬送するため、原稿の厚み(コシ)により、原稿読取部に当たる位置がばらついてしまい、読取面に原稿が接触しない場合があり、原稿の厚みによっては、読取面に付着したゴミを良好に除去できない場合があるという課題もあった。
【0005】
本発明は以上の課題に鑑みなされたものであり、その目的は、原稿搬送力の増大を抑制でき、かつ、原稿の厚み(コシ)による原稿読取部に当たる位置のばらつきを抑制することができる画像読取装置および画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、原稿を搬送する搬送手段と、上記搬送手段によって搬送されてきた原稿の画像を読み取る読取手段と、上記搬送手段と上記読取手段との間に配置され、上記原稿をガイドするガイド手段とを備える画像読取装置において、上記読取手段の読取面に対して平行、かつ、上記読取手段の読取位置における原稿搬送方向に対して直交する方向から見たとき、上記搬送手段が、上記原稿に搬送力を付与する原稿搬送位置を、上記読取手段の読取面の垂直方向において、上記読取位置よりも下側に配置し、上記原稿搬送位置を通過した原稿が、上方へ向けてガイドされるようにガイド手段を構成したことを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の画像読取装置において、上記ガイド手段により形成される上記搬送手段から上記読取手段との対向する箇所に進入するまでの原稿搬送路を、直線状にし、上記読取手段と対向する箇所に進入するときの原稿搬送路が、該原稿搬送路を基準にして上記読取手段側に凸となるような形状としたことを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項1の画像読取装置において、上記ガイド手段により形成された原稿搬送路が、該原稿搬送路を基準にして上記読取手段側と反対側に凸となるような形状とし、上記読取手段と対向する箇所に進入するときの原稿搬送路が、該原稿搬送路を基準にして上記読取手段側に凸となるような形状としたことを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項2または3の画像読取装置において、上記ガイド手段は、上記原稿搬送路を基準にして、上記読取手段側に配置された第一ガイド部と、上記第一ガイド部と上記原稿搬送路を挟んで対向配置された第二ガイド部とを備え、上記読取手段の読取面に対して平行、かつ、上記読取手段の上記原稿読取位置における原稿搬送方向に対して直交する方向から見たとき、上記第一ガイド部が、上記第二ガイド部の原稿搬送方向下流端と上記原稿搬送位置とを結んだ線分よりも、上記原稿搬送路を基準にして上記読取手段側にあり、上記原稿読取位置と、上記第二ガイド部の原稿搬送方向下流端とを結んだ線分と、上記読取面とのなす角度をθ1、上記第二ガイド部の原稿搬送方向下流端と上記原稿搬送位置とを結んだ線分と、上記読取面とのなす角度をθ2としたとき、θ1<θ2としたことを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項2の画像読取装置において、上記ガイド手段は、上記原稿搬送路を基準にして、上記読取手段側に配置された第一ガイド部と、上記第一ガイド部と上記原稿搬送路を挟んで対向配置された第二ガイド部とを備え、上記読取手段の読取面に対して平行、かつ、上記読取手段の上記原稿読取位置における原稿搬送方向に対して直交する方向から見たとき、上記第一ガイド部の一部が、上記第二ガイド部の原稿搬送方向下流端と上記原稿搬送位置とを結んだ線分よりも、上記原稿搬送路を基準にして上記読取手段側と反対側に突き出た構成であり、上記原稿読取位置と、上記第二ガイド部の原稿搬送方向下流端とを結んだ線分と、上記読取面とのなす角度をθ1、上記第二ガイド部の原稿搬送方向下流端を通る上記第一ガイド部の接線と、上記読取面とのなす角度をθ3としたとき、θ1<θ3としたことを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項4または5の画像読取装置において、上記θ1を、4.1°以上、6.1°以下としたことを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項4乃至6いずれかの画像読取装置において、上記θ2または上記θ3を、13.2°以上、18.6°以下にしたことを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、請求項1乃至7いずれかの画像読取装置において、上記読取手段の読取面に対して平行、かつ、上記読取手段の原稿読取位置における原稿搬送方向に対して直交する方向から見たとき、上記読取面の垂直方向において、上記原稿読取位置よりも原稿搬送方向下流側に配置された下流側搬送手段が、原稿に搬送力を付与する原稿搬送位置を、上記原稿読取位置よりも下側に配置したことを特徴とするものである。
また、請求項9の発明は、請求項8の画像読取装置において、上記読取手段の読取面に対して平行、かつ、上記読取手段の原稿読取位置における原稿搬送方向に対して直交する方向から見たとき、上記原稿読取位置から上記下流側搬送手段までの原稿搬送路を、上記搬送手段から上記原稿読取位置までの原稿搬送路に対して、上記原稿読取位置における原稿搬送方向に対して直交する方向を基準線にして、線対称にしたことを特徴とするものである。
また、請求項10の発明は、請求項8または9の画像読取装置において、上記下流側搬送手段の原稿搬送速度を、上記搬送手段の原稿搬送速度と同じにしたことを特徴とするものである。
また、請求項11の発明は、原稿の画像を読み取る画像読取手段と、該画像読取手段による読取結果に基づいて画像を形成する画像形成手段とを備える画像形成装置において、上記画像読取手段として、請求項1乃至10のいずれかの画像読取装置を用いたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、搬送手段が原稿に搬送力を付与する原稿搬送位置を、上記読取手段の読取面に対して直交する方向において、上記読取位置よりも下側に配置することにより、ガイド手段で原稿搬送位置を通過した原稿を上方へガイドすることで、原稿を読取手段の読取面に突き当るように搬送することができ、原稿を読取面に当接させることができる。よって、特許文献1に記載の構成とは異なり、ガイド手段の上ガイド部材の折り曲げ部に原稿を突き当てて下向きに強制湾曲させて、原稿を一旦、下向きに搬送せずとも、原稿を、上方へ向けて搬送することができる。これにより、特許文献1に記載の構成に比べて、原稿読取部へ搬送するために必要な搬送力を低減することができる。その結果、特許文献1に記載の構成に比べて、小型のモータを用いることができ、装置の大型化を抑制することができる。また、小型のモータを用いることができることにより、モータを支持する剛性を特許文献1のものに比べて、弱めることができ、コストの削減を図ることができる。
また、搬送手段から読取手段へ原稿を上方へガイドするだけで、原稿を原稿を読取手段の読取面に当接させることができるので、特許文献1に記載のように、上ガイド部材で原稿を、一旦、下向きに強制湾曲させた後、下ガイド部材で上向きに搬送するものに比べて、原稿の厚み(コシ)により、搬送原稿の読取面への当接位置がばらつくのを抑制することができる。よって、原稿の厚みが異なっても、読取範囲に付着したゴミを良好に除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施形態に係る複写機を示す概略構成図。
【図2】同複写機における画像形成部の一部を拡大して示す部分構成図。
【図3】同画像形成部における4つのプロセスユニットからなるタンデム部の一部を示す部分拡大図。
【図4】同複写機のスキャナ及びADFを示す斜視図。
【図5】同ADFをスキャナの上部とともに示す概略構成図。
【図6】ADF全体の制御ブロック図。
【図7】固定読取部の制御部ブロック図。
【図8】従来の第二固定読取部の周辺を示す拡大構成図
【図9】A4用紙で連量180kgの原稿を搬送したときの従来構成における読取出口ローラ対の搬送トルクを示すグラフ。
【図10】従来構成における紙厚の異なる原稿を搬送したときの第二固定読取部の各位置における原稿接触回数を示す図。
【図11】本実施形態のADFにおける第二固定読取部周辺の概略構成図。
【図12】原稿の厚みが異なっても、読取面に原稿が接触できる条件についての一例を示す概略構成図。
【図13】原稿の厚みが異なっても、読取面に原稿が接触できる条件についての他の例を示す概略構成図。
【図14】各ガイド構成における原稿搬送方向各位置における原稿の第二固定読取部へ接触回数を調べたグラフ。
【図15】(a)は、θ2またはθ3の角度が大きいときの原稿の挙動について説明する模式図。(b)は、θ2またはθ3の角度が適正範囲のときの原稿の挙動について説明する図。
【図16】No.1のガイド構成における原稿搬送力の時間変化を示すグラフ。
【図17】No.5のガイド構成における原稿搬送力の時間変化を示すグラフ。
【図18】No.7のガイド構成における原稿搬送力の時間変化を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を、電子写真方式の複写機(以下、単に複写機500という)に適用した実施形態について説明する。
まず、本実施形態に係る複写機500の基本的な構成について説明する。
図1は、複写機500を示す概略構成図である。複写機500は、画像形成手段としての画像形成部1と、転写紙給紙装置40と、画像読取ユニット50とを備えている。画像読取装置としての画像読取ユニット50は、画像形成部1の上に固定されたスキャナ150と、これに支持されるシート搬送装置としての原稿自動搬送装置(以下、ADFという)51とを有している。
【0010】
転写紙給紙装置40は、ペーパーバンク41内に多段に配設された2つの転写紙給紙カセット42、転写紙給紙カセット42から転写紙Pを送り出す転写紙送出ローラ43、送り出された転写紙Pを分離して転写紙給紙路44に供給する転写紙分離ローラ45等を有している。また、画像形成部1の搬送路としての本体側転写紙給紙路37に、シート状部材としての転写紙Pを搬送する複数の搬送ローラ47等も有している。そして、転写紙給紙カセット42内の転写紙Pを画像形成部1内の本体側転写紙給紙路37内に給紙する。
【0011】
画像形成部1は、光書込装置2や、黒,イエロー,マゼンタ,シアン(K,Y,M,C)のトナー像を形成する4つのプロセスユニット3K,Y,M,C、転写ユニット24、紙搬送ユニット28、レジストローラ対33、定着装置34、スイッチバック装置36、本体側転写紙給紙路37等を備えている。そして、光書込装置2内に配設された図示しないレーザーダイオードやLED等の光源を駆動して、ドラム状の4つの感光体4K,Y,M,Cに向けてレーザー光Lを照射する。この照射により、感光体4K,Y,M,Cの表面には静電潜像が形成され、この潜像は所定の現像プロセスを経由してトナー像に現像される。
【0012】
図2は、画像形成部1の内部構成の一部を拡大して示す部分構成図である。また、図3は、4つのプロセスユニット3K,Y,M,Cからなるタンデム部の一部を示す部分拡大図である。4つのプロセスユニット3K,Y,M,Cは、それぞれ使用するトナーの色が異なる他はほぼ同様の構成になっているので、図3においては各符号に付すK,Y,M,Cという添字を省略している。
【0013】
プロセスユニット3K,Y,M,Cは、それぞれ、感光体4とその周囲に配設される各種装置とを1つのユニットとして共通の支持体に支持するものであり、複写機500本体の画像形成部1に対して着脱可能になっている。一つのプロセスユニット3は、感光体4の周りに、帯電装置5、現像装置6、ドラムクリーニング装置15、除電ランプ22等を有している。複写機500では、4つのプロセスユニット3K,Y,M,Cを、後述する中間転写ベルト25に対してその無端移動方向に沿って並べるように対向配設した、いわゆるタンデム型の構成になっている。
【0014】
感光体4としては、アルミニウム等の素管に、感光性を有する有機感光材の塗布による感光層を形成したドラム状のものを用いている。但し、無端ベルト状のものを用いても良い。
【0015】
現像装置6は、図示しない磁性キャリアと非磁性トナーとを含有する二成分現像剤を用いて潜像を現像するようになっている。内部に収容している二成分現像剤を攪拌しながら搬送して現像スリーブ12に供給する攪拌部7と、現像スリーブ12に担持された二成分現像剤中のトナーを感光体4に転移させるための現像部11とを有している。
【0016】
攪拌部7は、現像部11よりも低い位置に設けられており、互いに平行配設された2本の搬送スクリュ8、これら2本の搬送スクリュ8間に設けられた仕切り板、現像ケース9の底面に設けられたトナー濃度センサ10などを有している。
【0017】
現像部11は、現像ケース9の開口を通して感光体4に対向する現像スリーブ12、これの内部に回転不能に設けられたマグネットローラ13、現像スリーブ12に先端を接近させるドクタブレード14などを有している。現像スリーブ12は、非磁性の回転可能な筒状になっている。マグネットローラ13は、ドクタブレード14との対向位置から現像スリーブ12の回転方向に向けて順次並ぶ複数の磁極を有している。これら磁極は、それぞれ現像スリーブ12上の二成分現像剤に対して回転方向の所定位置で磁力を作用させる。これにより、攪拌部7から送られてくる二成分現像剤を現像スリーブ12表面に引き寄せて担持させるとともに、現像スリーブ12表面上で磁力線に沿った磁気ブラシを形成する。
【0018】
磁気ブラシは、現像スリーブ12の回転に伴ってドクタブレード14との対向位置を通過する際に適正な層厚に規制されてから、感光体4に対向する現像領域に搬送される。そして、現像スリーブ12に印加される現像バイアスと、感光体4の静電潜像との電位差によってトナーを静電潜像上に転移させて現像に寄与する。更に、磁気ブラシを形成し、現像スリーブ12に担持され現像領域を通過した二成分現像剤は、現像スリーブ12の回転に伴って再び現像部11内に戻り、マグネットローラ13の磁極間に形成される反発磁界の影響によってスリーブ表面から離脱した後、攪拌部7内に戻される。攪拌部7内には、トナー濃度センサ10による検知結果に基づいて、二成分現像剤に適量のトナーが補給される。現像装置6としては、二成分現像剤を用いるものの代わりに、磁性キャリアを含まない一成分現像剤を用いるものを採用してもよい。
【0019】
ドラムクリーニング装置15としては、弾性体からなるクリーニングブレード16を感光体4に押し当てる方式のものを用いているが、他の方式のものを用いてもよい。クリーニング性を高める目的で、本例では、外周面を感光体4に接触させる接触導電性のファーブラシ17を、図中矢印方向に回転自在に有する方式のものを採用している。このファーブラシ17は、図示しない固形潤滑剤から潤滑剤を掻き取って微粉末にしながら感光体4表面に塗布する役割も兼ねている。ファーブラシ17にバイアスを印加する金属製の電界ローラ18を図中矢示方向に回転自在に設け、これにスクレーパ19の先端を押し当てている。ファーブラシ17に付着したトナーは、ファーブラシ17に対してカウンタ方向に接触して回転しながらバイアスが印加される電界ローラ18に転位する。そして、スクレーパ19によって電界ローラ18から掻き取られた後、回収スクリュ20上に落下する。回収スクリュ20は、回収トナーをドラムクリーニング装置15における図紙面と直交する方向の端部に向けて搬送して、外部のリサイクル搬送装置21に受け渡す。リサイクル搬送装置21は、受け渡された回収トナーを現像装置6に送ってリサイクルする。
【0020】
除電ランプ22は、光照射によって感光体4の表面を除電する。除電された感光体4の表面は、帯電装置5によって一様に帯電せしめられた後、光書込装置2による光書込処理がなされる。複写機500では、帯電装置5として帯電バイアスが印加される帯電ローラを感光体4に当接させながら回転させるものを用いているが、感光体4に対して非接触で帯電処理を行うスコロトロンチャージャ等を用いてもよい。
【0021】
先に示した図2において、4つのプロセスユニット3K,Y,M,Cの感光体4K,Y,M,Cには、これまで説明してきたプロセスによってK,Y,M,Cトナー像が形成される。
【0022】
4つのプロセスユニット3K,Y,M,Cの下方には、転写ユニット24が配設されている。転写ユニット24は、複数のローラによって張架した中間転写ベルト25を、感光体4K,Y,M,Cに当接させながら図中時計回り方向に無端移動させる。これにより、感光体4K,Y,M,Cと、中間転写ベルト25とが当接するK,Y,M,C用の一次転写ニップが形成されている。K,Y,M,C用の一次転写ニップの近傍では、ベルトループ内側に配設された一次転写ローラ26K,Y,M,Cによって中間転写ベルト25を感光体4K,Y,M,Cに向けて押圧している。これら一次転写ローラ26K,Y,M,Cには、それぞれ図示しない電源によって一次転写バイアスが印加されている。これにより、K,Y,M,C用の一次転写ニップには、感光体4K,Y,M,C上のトナー像を中間転写ベルト25に向けて静電移動させる一次転写電界が形成されている。図中時計回り方向の無端移動に伴ってK,Y,M,C用の一次転写ニップを順次通過していく中間転写ベルト25のおもて面には、各一次転写ニップでトナー像が順次重ね合わせて一次転写される。この重ね合わせの一次転写により、中間転写ベルト25のおもて面には4色重ね合わせトナー像(以下、4色トナー像という)が形成される。
【0023】
転写ユニット24の図中下方には、駆動ローラ30と二次転写ローラ31との間に、無端状の紙搬送ベルト29を掛け渡して無端移動させる紙搬送ユニット28が設けられている。そして、二次転写ローラ31と、転写ユニット24の下部張架ローラ27との間に、中間転写ベルト25及び紙搬送ベルト29を挟み込んでいる。これにより、中間転写ベルト25のおもて面と、紙搬送ベルト29のおもて面とが当接する二次転写ニップが形成されている。二次転写ローラ31には図示しない電源によって二次転写バイアスが印加されている。一方、転写ユニット24の下部張架ローラ27は接地されている。これにより、二次転写ニップに二次転写電界が形成されている。
【0024】
この二次転写ニップの図中右側方には、レジストローラ対33が配設されている。また、レジストローラ対33のレジストニップの入口付近には、図示しないレジストローラセンサが配設されている。転写紙給紙装置40からレジストローラ対33に向けて搬送されてくる転写紙Pは、その先端が不図示のレジストローラセンサに検知された所定時間後に転写紙Pの搬送が一時停止し、レジストローラ対33のレジストニップに先端を突き当てる。この結果、転写紙Pの姿勢が修正され、画像形成との同期をとる準備が整う。
【0025】
転写紙Pの先願がレジストニップに突き当たると、レジストローラ対33は、転写紙Pを中間転写ベルト25上の4色トナー像に同期させ得るタイミングでローラ回転駆動を再開して、転写紙Pを二次転写ニップに送り出す。二次転写ニップ内では、中間転写ベルト25上の4色トナー像が二次転写電界やニップ圧の影響によって転写紙Pに一括二次転写され、転写紙Pの白色と相まってフルカラー画像となる。二次転写ニップを通過した転写紙Pは、中間転写ベルト25から離間して、紙搬送ベルト29のおもて面に保持されながら、その無端移動に伴って定着装置34へと搬送される。
【0026】
二次転写ニップを通過した中間転写ベルト25のおもて面には、二次転写ニップで転写紙Pに転写されなかった転写残トナーが付着している。この転写残トナーは、クリーニング部材が中間転写ベルト25に当接するベルトクリーニング装置32によって掻き取り除去される。
【0027】
定着装置34に搬送された転写紙Pは、定着装置34内における加圧や加熱によってフルカラー画像が定着させしめられた後、定着装置34から排紙ローラ対35に送られた後、機外の排紙トレイ501へと排出される。
【0028】
先に示した図1において、紙搬送ユニット28および定着装置34の下には、転写紙反転装置であるスイッチバック装置36が配設されている。これにより、両面プリントを行う場合には、片面に対する画像定着処理を終えた転写紙Pの搬送路が、切換爪によってスイッチバック装置36側に切り換えられ、そこで転写紙Pは反転されて再び二次転写転写ニップに進入する。そして、転写紙Pのもう片面にも画像の二次転写処理と定着処理とが施された後、排紙トレイ501上に排紙される。
【0029】
画像形成部1の上に固定されたスキャナ150やこれの上に固定されたADF51からなる画像読取ユニット50は、後述する2つの固定読取部や移動読取部152を有している。移動読取部152は、原稿MSに接触するようにスキャナ150のケーシング上壁に固定された第二コンタクトガラス155の直下に配設されており、光源や、反射ミラーなどからなる光学系を図中左右方向に移動させることができる。そして、光学系を図中左側から右側に移動させていく過程で、光源から発した光を第二コンタクトガラス155上に載置された原稿MSの下面で反射させた後、複数の反射ミラーを経由させて、スキャナ150に固定された画像読取センサ153で受光する。
【0030】
一方、画像読取ユニット50は固定読取部として、スキャナ150の内部に配設された第一固定読取部151と、ADF51内に配設された後述する第二固定読取部95とを有している。光源、反射ミラー、CCD等の画像読取センサなどを有する第一固定読取部151は、原稿MSに接触するようにスキャナ150のケーシング上壁に固定された第一コンタクトガラス154の直下に配設されている。そして、ADF51によって搬送される原稿MSが第一コンタクトガラス154上を通過する際に、光源から発した光を原稿MSの第一面で順次反射させながら、複数の反射ミラーを経由させて画像読取センサ153で受光する。これにより、光源や反射ミラー等からなる光学系を移動させることなく、原稿MSの第一面を走査する。また、第二固定読取部95は、第一固定読取部151を通過した後の原稿MSの第二面を走査する。
【0031】
スキャナ150の上に配設されたADF51は、本体カバー52に、読取前の原稿MSを載置するための原稿載置台53、シート材としての原稿MSを搬送するための原稿搬送部54、読取後の原稿MSをスタックするための原稿スタック台55などを保持している。
図4は、画像読取ユニット50の斜視説明図である。図4に示すように、スキャナ150に固定された蝶番159によって上下方向に揺動可能に支持されている。そして、その揺動によって開閉扉のような動きをとり、開かれた状態でスキャナ150の上面の第一コンタクトガラス154や第二コンタクトガラス155を露出させる。原稿束の片隅を綴じた本などの片綴じ原稿の場合には、原稿を1枚ずつ分離することができないため、ADF51による搬送を行うことができない。そこで、片綴じ原稿の場合には、ADF51を図4に示すように開いた後、読み取らせたいページが見開かれた片綴じ原稿を下向きにして第二コンタクトガラス155上に載せた後、ADF51を閉じる。そして、スキャナ150の図1に示した移動読取部152によってそのページの画像を読み取らせる。
【0032】
一方、互いに独立した複数の原稿MSを単に積み重ねた原稿束の場合には、その原稿MSをADF51によって1枚ずつ自動搬送しながら、スキャナ150内の第一固定読取部151やADF51内の第二固定読取部95に順次読み取らせていくことができる。この場合、原稿束を原稿載置台53上にセットした後、操作部108のコピースタートボタン158を押す。すると、ADF51が、原稿載置台53上に載置された原稿束の原稿MSを上から順に原稿搬送部54内に送り、それを反転させながら原稿スタック台55に向けて搬送する。この搬送の過程で、原稿MSを反転させた直後にスキャナ150の第一固定読取部151の真上に通す。このとき、原稿MSの第一面の画像がスキャナ150の第一固定読取部151によって読み取られる。
【0033】
次に、ADF51について説明する。
図5は、ADF51の要部構成をスキャナ150の上部とともに示す拡大構成図である。ADF51は、原稿セット部A、分離搬送部B、レジスト部C、ターン部D、第一読取搬送部E、第二読取搬送部F、排紙部G、スタック部H等を備えている。本実施形態のADF51の原稿搬送部54は、分離搬送部Bの下流側の突き当てセンサ72センサによる検知位置から、読取入口ローラ対90までの原稿MSが搬送される経路を構成する部分である。
また、ADF51は、装置本体に対してカバー回動中心145aを中心に回動することで、分離搬送部B、レジスト部C及びターン部Dの途中まで給紙経路を開閉する給紙部カバー145を備える。
【0034】
原稿セット部Aは、原稿MSの束が第一面が上方となるようにセットされる原稿載置台53等を有している。分離搬送部Bは、セットされた原稿MSの束から原稿MSを一枚ずつ分離して給送するものである。レジスト部Cは、給送された原稿MSに一時的に突き当たって原稿MSを整合し、整合した後の原稿MSを引き出し搬送するものである。ターン部Dは、C字状に湾曲する湾曲搬送部を有しており、この湾曲搬送部内で原稿MSを折り返しながらその上下を反転させて、原稿MSの第一面を下方に向けるものである。第一読取搬送部Eは、第一コンタクトガラス154の上で原稿MSを搬送しながら、第一コンタクトガラス154の下方からスキャナ150の内部に配設されている第一固定読取部151に原稿MSの第一面を読み取らせるものである。第二読取搬送部Fは、第二固定読取部95の下方に原稿MSを搬送しながら、原稿MSの第二面を第二固定読取部95に読み取らせるものである。また、排紙部Gは、両面の画像が読み取られた原稿MSをスタック部Hに向けて排出するものである。また、スタック部Hは、読取完了後の原稿MSを原稿スタック台55の上に積載保持するものである。
【0035】
図6は、ADF51全体の制御ブロック図である。ADF51の制御部は、原稿の搬送動作の駆動を行う駆動部である各モータ101〜105、113、114、各種センサ部、固定画像読取部300(第一固定読取部151または第二固定読取部95)、一連の動作を制御するコントローラ100等から構成されている。
【0036】
図7は、固定画像読取部300の制御部ブロック図である。固定画像読取部300は、光源部200、センサチップ201、画像処理部204、フレームメモリ205、出力制御回路206等から構成されている。
【0037】
読取を行う原稿MSの束は、第一面が上向きとなるように載せられた状態で原稿載置台53上にセットされる。原稿載置台53は、原稿先端部を支持し原稿MSの束の厚みに応じて図1中矢印a,b方向に揺動可能な可動原稿テーブル53bと、原稿後端側を支持する固定原稿テーブル53aとから構成される。原稿MSが原稿載置台53にセットされたときに、原稿載置台53上において、その幅方向(原稿MSの搬送方向に直交する方向で、図1の紙面に直交する方向)の両端に対してそれぞれ図示しないサイドガイドが突き当てられることで、幅方向における原稿MSの位置決めがなされる。
このようにして原稿載置台53にセットされる原稿MSは、可動原稿テーブル53bの上方で揺動可能に配設されたレバー部材であるセットフィラー62を押し上げる。これに伴って原稿セットセンサ63が原稿MSのセットを検知して、検知信号をコントローラ100に送信する。そして、この検知信号は、コントローラ100からインターフェイス回路(以下、I/F107と呼ぶ)を介して画像読取ユニット50の本体制御部111に送信される。
【0038】
また、固定原稿テーブル53aには、原稿MSの搬送方向の長さを検知する反射型フォトセンサまたは原稿一枚でも検知可能なアクチュエーター・タイプのセンサからなる複数の原稿長さセンサ(57、58a、58b)が配置されている。これらの原稿長さセンサにより、原稿MSの搬送方向の長さの概略が判定される(少なくとも同一原稿サイズの縦か横かを判断可能なセンサ配置が必要)。
【0039】
可動原稿テーブル53bの上方にはピックアップローラ80が配置されている。ピックアップローラ80は、分離部としての分離ニップを構成する給紙ベルト84及びリバースローラ85とともに給紙モータ102から駆動が伝達されることによって回転駆動する。
可動原稿テーブル53bは、底板上昇モータ105の駆動により、駆動するカム機構によって図5中矢印a,b方向に揺動する。原稿MSが原稿載置台53にセットされたことをセットフィラー62や原稿セットセンサ63で検知すると、コントローラ100は底板上昇モータ105を正転させて束状の原稿MSの最上面がピックアップローラ80と接触するように可動原稿テーブル53bを上昇させる。
ピックアップローラ80は、ピックアップ昇降モータ101によって駆動するカム機構により、図5中矢印c、d方向に移動可能となっている。可動原稿テーブル53bが上昇して可動原稿テーブル53b上の原稿MSの上面により押されて図中矢印c方向に上がる。これをテーブル上昇センサ59で検知することにより、可動原稿テーブル53bの上限までの上昇が検知される。これにより、ピックアップ昇降モータ101が停止するとともに底板上昇モータ105が停止する。
【0040】
操作部108よりコピースタートボタン158が押下され、本体制御部111からI/F107を介してADF51の制御部であるコントローラ100に原稿給紙信号が送信される。これにより、給紙モータ102が駆動してピックアップローラ80が正転駆動し、原稿載置台53上の数枚(理想的には1枚)の原稿MSをピックアップする。ピックアップローラ80の回転方向は、最上位の原稿MSを給紙口48に搬送する方向である。
【0041】
ピックアップローラ80によって送り出された原稿MSは、分離搬送部Bに進入して、給送部材たる給紙ベルト84との当接位置に送り込まれる。この給紙ベルト84は、駆動ローラ82と従動ローラ83とによって張架されており、給紙モータ102の正転に伴う駆動ローラ82の回転によって図5中時計回り方向に無端移動せしめられる。
この給紙ベルト84の下部張架面には、給紙モータ102の正転によって図中時計回りに回転駆動される分離部材であり重送阻止ローラであるリバースローラ85が当接している。この当接部である分離ニップにおいては、給紙ベルト84の表面が給紙方向に移動する。これに対し、リバースローラ85の表面は、給紙方向とは逆方向に移動しようとするが、リバースローラ85の駆動伝達部には不図示のトルクリミッタがあり、給紙方向に向かう力がトルクリミッタのトルクよりも大きいとリバースローラ85は給紙方向に表面移動するように回転する。
リバースローラ85は、給紙ベルト84に所定の圧力で当接しており、給紙ベルト84に直接当接している状態、または、原稿MSの1枚だけを介して給紙ベルト84に当接している状態(分離ニップに原稿MSが一枚だけ挟み込まれている状態)では、給紙ベルト84または原稿MSに連れ回り、図5中の反時計周り方向に回転する。但し、分離ニップに複数枚の原稿MSが挟み込まれたときには、連れ回り力がトルクリミッタのトルクよりも低くなるように設定されているため、リバースローラ85は連れ回り方向とは逆の図中時計回りに回転駆動する。これにより、最上位よりも下の原稿MSには、リバースローラ85によって給紙方向とは反対方向の移動力が付与されて、数枚の原稿から最上位の原稿MSだけが分離され、重送が防止される。
【0042】
給紙ベルト84とリバースローラ85との作用によって1枚に分離された原稿MSは、レジスト部Cに進入する。そして、原稿MSは給紙ベルト84によって更に送られ、突き当てセンサ72によって先端が検知されつつ、更に進んで停止しているプルアウトローラ対86に突き当たる。このとき駆動している給紙モータ102は、突き当てセンサ72による先端の検知から所定時間だけ駆動させて、その後停止させる。これにより、原稿MSが突き当てセンサ72による検知位置から所定量定められた距離だけ送られ、結果的には、原稿MSがプルアウトローラ対86に所定量の撓みをもって押し当てられた状態で給紙ベルト84による原稿MSの搬送が停止する。
突き当てセンサ72によって原稿MSの先端が検知されたときに、ピックアップ昇降モータ101を回転させることで、ピックアップローラ80を原稿MSの上面から退避させ原稿MSを給紙ベルト84の搬送力のみで送る。これにより、原稿MSの先端は、プルアウトローラ対86の上下のローラによって形成されるニップに進入し、先端の整合(スキュー補正)が行われる。
【0043】
プルアウトローラ対86は、上述したように、スキュー補正機能を有すると共に、分離後にスキュー補正された原稿MSを中間ローラ対66まで搬送するためのローラ対であり、プルアウトモータ113が駆動することにより2つのローラのうちの一方が回転駆動する。また、給紙ベルト84とプルアウトローラ対86とを回転駆動して、給紙ベルト84によってプルアウトローラ対86へ搬送されてきた原稿MSの先端をプルアウトローラ対86に突き当てスキュー補正せずに、プルアウトローラ対86で原稿を搬送する構成でもよい。
【0044】
プルアウトローラ対86の駆動源としては、給紙モータ102としてもよい。このような場合には、給紙モータ102を正転させたときには、ピックアップローラ80、給紙ベルト84及びリバースローラ85に駆動を伝達し、給紙モータ102を逆転させたときには、プルアウトローラ対86に駆動を伝達するように構成する。しかし、本実施形態のように、プルアウトローラ対86を独立した駆動であるプルアウトモータ113によって駆動することにより、モータの立ち上げ時間および立ち下げ時間を短縮することが可能となり、生産性が向上する。
【0045】
プルアウトローラ対86によって送り出された原稿MSは、原稿幅センサ73の直下を通過する。原稿幅センサ73は、反射型フォトセンサ等からなる紙検知センサを原稿幅方向(図5の紙面に直交する方向)に複数個並べたセンサであり、どの紙検知センサが原稿MSを検知するかに基づいて、原稿MSの幅方向のサイズを検知する。また、原稿MSの搬送方向の長さは、原稿MSの先端が突き当てセンサ72によって検知されてから、原稿MSが突き当てセンサ72によって検知されなくなる(原稿MSの後端が通過する)までのタイミングに基づいてモータパルスから検知する。
【0046】
プルアウトローラ対86及び中間ローラ対66の回転駆動によって搬送される原稿MSは、中間ローラ対66及び読取入口ローラ対90によって搬送されるターン部Dに進入する。
中間ローラ対66はプルアウトローラ対86の駆動源であるプルアウトモータ113と、読取入口ローラ対90の駆動源である読取入口モータ114との両方のモータから駆動が伝達される構成となっている。そして、2つのモータのうち、回転速度が速くなる側のモータの駆動によって回転速度が決まる機構を備えている。
ADF51では、プルアウトローラ対86及び中間ローラ対66の回転駆動によりレジスト部Cからターン部Dに原稿MSが搬送される際には、レジスト部Cでの搬送速度を第一読取搬送部Eでの搬送速度よりも高速に設定しており、原稿MSを第一読取搬送部Eへ送り込む処理時間の短縮が図られている。このとき、中間ローラ対66はプルアウトモータ113を駆動源として回転する。
【0047】
原稿MSの先端が読取入口センサ67により検出されると、読取入口ローラ対90の上下のローラによって形成されるニップに原稿MSの先端が進入する前に、原稿MSの搬送速度を第一読取搬送部Eでの搬送速度と同速にするために、プルアウトモータ113の減速を開始する。これと同時に、読取入口モータ114及び読取モータ103を正転駆動する。読取入口モータ114を正転駆動することで読取入口ローラ対90が搬送方向に回転駆動し、読取モータ103を正転駆動することで読取出口ローラ対92及び第二読取出口ローラ対93が搬送方向にそれぞれ駆動する。読取入口ローラ対90の駆動を開始し、プルアウトモータ113を減速することで、プルアウトモータ113から駆動伝達されることによる中間ローラ対66の回転速度よりも、読取入口モータ114から駆動伝達されることによる中間ローラ対66の回転速度の方が速くなると、中間ローラ対66は読取入口モータ114を駆動源として回転する。
【0048】
ターン部Dから第一読取搬送部Eに向かう原稿MSの先端をレジストセンサ65で検知すると、コントローラ100は、所定の時間をかけて各モータの駆動を減速することで、原稿MSの搬送速度を所定の搬送距離をかけて減速する。そして、コントローラ100は、第一固定読取部151による第一読取位置400の手前で原稿MSを一時停止するように制御すると共に、本体制御部111にI/F107を介してレジスト停止信号を送信する。
続いて、コントローラ100が本体制御部111より読取開始信号を受信すると、レジスト停止していた原稿MSの原稿先端が第一読取位置400に到達するまでに、原稿MSの搬送速度が所定の搬送速度に立ち上がるように、読取入口モータ114及び読取モータ103の駆動を制御する。これにより、原稿MSは搬送速度が増速されつつ、第一読取位置400に向かって搬送される。そして、読取入口モータ114のパルスカウントに基づいて算出された原稿MSの先端が第一読取位置400に到達するタイミングで、コントローラ100から本体制御部111に対して原稿MSの第一面の副走査方向有効画像領域を示すゲート信号が送信される。この送信は、原稿MSの後端が第一読取位置400を抜け出るまで続けられ、原稿MSの第一面が第一固定読取部151によって読み取られる。
【0049】
第一読取搬送部Eを通過した原稿MSは、読取出口ローラ対92のニップを通過した後、その先端が排紙センサ61によって検知され、さらに、その後、第二読取搬送部Fを通過して排紙部Gへと搬送される。
原稿MSの片面(第一面)のみを読み取る場合には、第二固定読取部95による原稿MSの第二面の読取が不要である。そこで、排紙センサ61によって原稿の先端が検知されると、排紙モータ104の正転駆動が開始されて、排紙ローラ対94における図中上側の排紙ローラが図中反時計回り方向に回転駆動される。また、排紙センサ61によって原稿MSの先端が検知されてからの排紙モータ104のパルスカウントに基づいて、原稿MSの後端が排紙ローラ対94のニップを抜け出るタイミングが演算される。そして、この演算結果に基づいて、原稿MSの後端が排紙ローラ対94のニップから抜け出る直前のタイミングで、排紙モータ104の駆動速度が減速せしめられて、原稿MSが原稿スタック台55から飛び出さないような速度で排紙されるように制御される。
【0050】
一方、原稿MSの両面(第一面及び第二面)を読み取る場合には、排紙センサ61によって原稿MSの先端が検知された後、第二固定読取部95に到達するまでのタイミングが読取モータ103のパルスカウントに基づいて演算される。そして、そのタイミングでコントローラ100から本体制御部111に対して原稿MSの第二面における副走査方向の有効画像領域を示すゲート信号が送信される。この送信は、原稿MSの後端が第二固定読取部95による第二読取位置を抜け出るまで続けられ、原稿MSの第二面が第二固定読取部95によって読み取られる。
【0051】
読取手段としての第二固定読取部95は、密着型イメージセンサ(CIS)からなり、原稿MSに付着している糊状の異物が読取面に付着することによる読取縦すじを防止する目的で、読取面にコーティング処理が施されている。
【0052】
次に、本実施形態の特徴点について説明する。
図8は、従来の第二固定読取部95の周辺を示す拡大構成図である。
図8に示すように、従来の構成においては、原稿MSが通過する原稿搬送路を挟んで第二固定読取部95に対向する位置には、原稿MSを非読取面側(第一面側)から支持する原稿支持手段としての第二読取ローラ96が配設されている。また、原稿を第二固定読取部95の読取面に当接させて、第二固定読取部95の読取面に付着した異物を除去するために、読取出口ローラ対92から第二固定読取部95の間に設けられた一対のガイド部材を以下のように構成している。すなわち、原稿搬送路を基準にして第二固定読取部95側の上ガイド部材221の原稿搬送方向下流側の箇所を、上ガイド部材220と対向する下ガイド部材220側へ折り曲げている。また、下ガイド部材220の上ガイド部材221の折り曲げ部220aよりも原稿搬送方向下流側の箇所を、第二固定読取部95側へ折り曲げている。
【0053】
図9は、A4用紙で連量180kgの原稿MSを搬送したときの図8に示す従来構成における読取出口ローラ対92の搬送トルクを示すグラフであり、図10は、従来構成における紙厚の異なる原稿MSを搬送したときの第二固定読取部95の各位置における原稿接触回数を示す図である。
図9に示すように、従来の構成においては、原稿MSが読取出口ローラ対92による搬送が開始(図9の点A)されてから、しばらくすると、急激に搬送トルクが上昇しているのがわかる。これは、原稿MSの先端が、上ガイド部材221の折り曲げ部221aに突き当たって、下ガイド部材220側へ強制的湾曲せしめられる結果、急激に搬送トルクが上昇したと考えられる。
また、図10に示すように、原稿MSの厚みにより、原稿MSの第二固定読取部95に接触する位置が異なることがわかる。第二固定読取部95の読取面は、読取位置に対して±2mmであるため、例えば、連量110kgの原稿の接触回数が最も多い位置を読取位置に設定しても、連量180kgの原稿MSや、連量35kgの原稿MSは、読取面にほとんど接触しないため、厚みの厚い原稿や、薄い原稿では、読取面のクリーニング効果を期待することができない。これも、従来の構成は、上ガイド部材221と下ガイド部材220とで原稿MSを強制湾曲させているので、原稿MSのコシにより、第二固定読取部95に接触する位置がばらついたものと考えられる。
【0054】
図11は、本実施形態における第二固定読取部95周辺の概略構成図である。
図11に示すように、本実施形態においては、下ガイド部材120が、原稿搬送路を挟んで第二固定読取部95に対向している。具体的には、下ガイド部材120は、原稿搬送路を挟んで第二固定読取部95と対向する対向ガイド部120bと、対向ガイド部120bよりも原稿搬送方向上流側に配置され、読取出口ローラ対92から第二固定読取部95まで原稿を案内する上流側下ガイド部120aと、対向ガイド部120bよりも原稿搬送方向下流側に配置され、第二固定読取部95から第二読取出口ローラ対93まで原稿を案内する下流側下ガイド部120cとを備えている。また、上流側下ガイド部120aに原稿搬送路を挟んで対向するよう上流側上ガイド部材121が設けられており、下流側下ガイド部120cに原稿搬送路を挟んで対向するよう下流側上ガイド部材122が設けられている。
【0055】
図11に示すように、本実施形態においては、読取出口ローラ対92の原稿搬送位置X1(読取出口ローラ対のニップ)を、読取位置Bよりも下側に設けている。また、読取位置Bから第二読取出口ローラ対93の原稿搬送位置X2までの原稿搬送路が、読取出口ローラ対92の原稿搬送位置X1から読取位置までの原稿搬送路に対して、第二固定読取部95の読取面95aに対して垂直に引いた線Mを基準に線対称となっている。また、第二読取出口ローラ対93の原稿搬送速度と、読取出口ローラ対92原稿搬送速度とは、等速度となっている。第二固定読取部95の読取面95aは、図中Cの範囲であり、読取位置Bに対して±2mmの範囲である。
【0056】
本実施形態においては、読取出口ローラ対92のニップである原稿搬送位置X1に進入した原稿MSは、上流側上ガイド部材121と、下ガイド部材120の上流側下ガイド部120aとに案内されて、読取位置Bへと移動する。このとき、読取出口ローラ対92の原稿搬送位置X1は、読取位置Bに対して図中下側にあるので、下ガイド部材の上流側下ガイド部120aと、第二固定読取部95と対向する対向ガイド部との交点Y1まで搬送された原稿は、第二固定読取部95の読取面95aへ向けて搬送される。これにより、原稿を読取面95a(図中Cの範囲内)に接触させることができ、読取面95aに付着した異物を原稿に付着させることができ、読取面95aに付着した異物をクリーニングすることができる。また、図8に示した従来の構成のように、上ガイド部材で、一旦、原稿を下向きに強制的に湾曲させずとも、原稿は、第二固定読取部95の読取面95aへ向けて搬送させることができる。これにより、原稿搬送に必要なトルクを減らすことができ、読取出口ローラ対92を駆動する駆動モータを小型化することができる。また、原稿を下向きに強制的に湾曲させないため、原稿のコシによる当接位置の変動を抑制することもできる。
【0057】
読取位置Bから第二読取出口ローラ対93の原稿搬送位置X2までの原稿搬送路が、読取出口ローラ対92の原稿搬送位置X1から読取位置までの原稿搬送路に対して、線Mを基準に線対称となっており、第二読取出口ローラ対93の原稿搬送位置X2が、読取位置よりも図中下側にあるため、下ガイド部材120の対向ガイド部120bと、下流側下ガイド部120cとの交点Y2を原稿MSの先端が越えると、原稿自身のコシにより、図中凸状に撓んで、搬送される。よって、下流側下ガイド部120cとの交点Y2を原稿の先端が越えた後は、原稿自身のコシにより、原稿MSを第二固定読取部95の読取面95aに接触させることができる。しかも本実施形態おいて、読取位置Bから原稿搬送方向上流側の原稿搬送路と、下流側の原稿搬送路とが線Mを基準に線対称となっているため、上流側原稿搬送路G1と下流側原稿搬送路G2とに跨って原稿が搬送されているときの原稿MSの挙動を安定化させることができる。これにより、原稿MSを安定的に読取面95aに接触させることができ、良好に読取面95aに付着した異物をクリーニングすることができる。また、第二読取出口ローラ対93の搬送速度を、読取出口ローラ対92の搬送速度よりも遅くしなくても、原稿を図中凸状に撓ませることができる。これにより、原稿MSの搬送速度の低下を抑制することができ、生産性を高めることができる。
【0058】
また、本実施形態においては、上流側上ガイド部材121と上流側下ガイド部120aとで形成された上流側原稿搬送路G1が、図中凹状となっている。これにより、上流側下ガイド部120aと対向ガイド部120bとの交点Y1まで搬送された原稿MSを、確実に第二固定読取部95の読取面95aに向けて搬送することができ、確実に原稿MSを第二固定読取部95の読取面95aに接触させることができる。
【0059】
次に、本発明者らが行った検証実験について説明する。
原稿の厚みが異なると、紙のコシも異なり、読取出口ローラ対92の原稿搬送位置X1から第二読取出口ローラ対93の原稿搬送位置X2までの搬送原稿MSの挙動が異なる場合がある。原稿MSの厚みにより、挙動が異なると、原稿MSの厚みによっては、読取面95a(図中Cの範囲)に原稿が接触しない場合があり、十分なクリーニング性が得られない場合がある。そこで、本発明者らは、原稿MSの厚みが異なっても、読取面95aに原稿MSが接触できる条件について、鋭意研究した。その結果、図12に示すように、第二固定読取部95の読取面95aと、上流側下ガイド部120aと対向ガイド部120bとの交点Y1と読取位置Bとを結んだ線L1とがなす角度θ1が、原稿MSを読取面95aに接触させるための重要な条件であることを突き止めた。角度θ1を小さくすると、原稿MSの第二固定読取部95との接触位置が、原稿搬送方向上流側にずれ、原稿MSが読取面95aで接触しなくなる。逆に、角度θ1を大きくすると、対向ガイド部120bと第二固定読取部95とのクリアランスが大きくなり、撓んだ原稿が、第二固定読取部95に接触しなくなる。よって、角度θ1を最適値にすることで、原稿MSを、読取面95aに接触させることが可能となる。
【0060】
また、図12に示すように、第二固定読取部95の読取面95aと、上流側下ガイド部120aと対向ガイド部120bとの交点Y1と読取出口ローラ対92の原稿搬送位置X1とを結んだ線L2とがなす角度θ2が、第二固定読取部95の読取面95aと、上流側上ガイド部材121の接線のうち、上流側下ガイド部120aと対向ガイド部120bとの交点Y1を通る接線L3とがなす角度θ3よりも大きいとき(θ2>θ3)は、原稿MSは、上流側上ガイド部材121と接触することなく、搬送される。すなわち、この場合は、原稿搬送位置X1(読取出口ローラ対92のニップ)が、上流側原稿搬送路G1内での搬送原稿MSの姿勢を決める重要な条件である。上流側原稿搬送路G1内での搬送原稿MSの姿勢によって、原稿搬送時の読取出口ローラ対92の搬送トルクや、原稿MSの第二固定読取部95との接触位置が変化する。このため、角度θ2も、原稿MSを読取面95aに接触させるための重要な条件である。
【0061】
一方、図13に示すように、θ2<θ3の場合は、原稿MSは、上流側上ガイド部材121の接線L3との接点Dと接触して、上流側上ガイド部材121が、上流側原稿搬送路G1内での搬送原稿MSの姿勢を決める重要な条件となる。よって、θ2<θ3の場合は、θ3が、原稿MSを読取面95aに接触させるための重要な条件となる。
【0062】
下記表1は、上記θ1およびθ2(またはθ3)をそれぞれ異なるガイド構成で、原稿搬送力と、クリーニング性(読取面95a(図中Cの範囲内)の接触回数)とを調べた結果を示すものである。また、図14は、各ガイド構成における原稿搬送方向各位置における原稿の第二固定読取部95へ接触回数を調べたグラフである。図14中のBは読取位置を示しており、図中Cは第二固定読取部95の読取面95aを示している。原稿搬送力は、ガイド板の形状などから、必要な搬送力をシミュレーション解析で求めた結果である。また、接触位置は、0.2秒毎に原稿と第二固定読取部95との接触部分の原稿搬送方向中心部の位置をシミュレーション解析で計測した。また、原稿が、読取面Cを抜けるまでの時間は約0.4秒であるので、読取面95aでの原稿MSの接触回数が400回以上の構成を、クリーニング性「OK」と判定し、400回未満のものをクリーニング性「NG」と判定した。また、検証条件は、A4横の用紙を搬送し、原稿搬送速度を595m/sに設定した。また、読取出口ローラ対92の原稿搬送位置X1から、第二読取出口ローラ対の原稿搬送位置X2までの原稿搬送長さは、76mmに設定した。
【0063】
【表1】
【0064】
表1に示すように、θ1の角度が、4.1°〜6.1°のときは、連量35kgの薄紙、連量180kgの厚紙ともに、読取面95aでの接触回数が、400回以上となり、いずれの場合も、良好なクリーニング性が得られる結果が得られた。一方、θ1の角度が2.9°のガイド構成(No.1、6)においては、図14(a)、(f)に示すような、読取面95a(図中Cの範囲)からはずれた位置に2つのピークを持つグラフが得られた。これは、第二固定読取部95と対向ガイド部120bとで形成された読取原稿搬送路G3(図11参照)で、原稿MSが波打って搬送されたため、図14に示すようなグラフとなったと考えられる。また、角度θ1が、7.1°のNo.7のガイド構成においては、図14(g)に示すように、原稿が、第二固定読取部95にほとんど接触していなかった。これは、角度θ1が大きくなりすぎ、第二固定読取部95と対向ガイド部120bとのクリアランスが大きくなって、原稿MSが撓んでも、第二固定読取部95に接触しなかったためと考えられる。このことから、θ1を、4.1°〜6.1°の範囲に設定することにより、良好なクリーニング性を確保することができる。
【0065】
また、θ1の角度が同一のNo.2、3、8の実験結果を比べると、θ2(またはθ3)の角度が大きいNo.2、No.3は、図14(b)、図14(c)に示すように、接触位置にばらつきが生じているが、No.8のガイド構成は、図14(h)に示すように、厚紙、薄紙とも、原稿がほぼ読取位置Bで接触していることがわかる。また、表1に示すように、No.8のガイド機構の方が、No.2、No.3のガイド構成に比べて、搬送力が低下していることがわかる。
これは、θ2(またはθ3)の角度が大きいNo.2、No.3は、図15(a)に示すように、交点Y1から第二固定読取部95へ向かう際の角度が、図15(b)に示すように、θ2(またはθ3)の角度が小さい場合に比べて大きくなる。その結果、原稿MSの先端が第二固定読取部95に突き当るような形となり先端が第二固定読取部95により強制的に湾曲せしめられる形で搬送されるようになり、搬送力が大きく、また、波打ちが生じやすくなったと考えられる。一方、No.8においては、交点Y1から第二固定読取部95へ向かう際の角度が小さく、原稿が第二固定読取部95にスムーズに案内されながら、湾曲するようになるため、搬送力が低下し、また、波打ちが生じにくいと考えられる。また、ガイド機構により無理な負荷をかけずに原稿MSを搬送することができ、原稿のコシの影響を極力抑えることができ、厚紙・薄紙ともに接触位置をほぼ同じ位置にすることができたと考えられる。
【0066】
また、θ1は、θ2やθ3よりも小さくする必要がある。これは、θ1がθ2よりも大きいと、読取位置Bが、図15(b)に示す位置よりも上方になり、原稿MSが、読取面95aに接触しなくなるためである。
【0067】
図16は、No.1のガイド構成における原稿搬送力の時間変化を示すグラフであり、図17は、No.5のガイド構成における原稿搬送力の時間変化を示すグラフであり、図18は、No.7のガイド構成における原稿搬送力の時間変化を示すグラフである。図16に示すように、No.1のガイド機構においては、θ2(またはθ39の角度が、大きいため、原稿MSの先端が第二固定読取部95に突入するときの角度が大きいため、読取出口ローラ対92による原稿搬送が開始されて、しばらくすると、急激に搬送力が増加する。一方、図17に示すように、No.5のガイド機構においては、θ2(またはθ3)の角度が小さいので、急激に搬送力が増加することなく、原稿をスムーズに第二固定読取部95に接触させて、搬送できていることがわかる。また、図17と、図18とを比較してわかるように、θ2(またはθ3)の角度が小さくすることで、原稿MSが第二固定読取部95に当たっていない場合と、ほぼ同じような変化が得られていることがわかる。つまり、No5.ガイド構成は、原稿に無理な負荷を掛けることなく、原稿を読取面95aに接触させて、搬送できていることを示していると考えられる。
【0068】
そして、表1からわかるように、θ2(またはθ3)の角度を、13.2〜18.6°の範囲で設定することにより、原稿搬送力を抑えることができる。これにより、読取出口ローラ対92を回転駆動させる駆動モータとしてトルクが大きな大型のモータを用いずとも、読取出口ローラ対92で原稿を良好に搬送することができる。これにより、装置の大型化を抑制することができる。
【0069】
本実施形態では、第二固定読取部95に下ガイド部材120を対向させているが、図8に示すように、従来構成同様、第二読取ローラ96を、第二固定読取部95の読取面95aに対向配置してもよい。
【0070】
また、上述では、上流側原稿搬送路G1を、第二固定読取部95と反対側(下ガイド部材側)へ湾曲させているが、上流側原稿搬送路G1を直線状に形成してもよい。上流側原稿搬送路G1を直線状にしても、原稿MSを、第二固定読取部95の読取面95aに原稿を当てることができる。
【0071】
以上、本実施形態の画像読取装置たるADF51は、原稿MSを搬送する搬送手段たる読取出口ローラ対92と、読取出口ローラ対92によって搬送されてきた原稿MSの画像を読み取る読取手段たる第二固定読取部95と、読取出口ローラ対92と第二固定読取部95との間に配置され、原稿MSをガイドするガイド手段(上流側上ガイド部材121、下ガイド部材120)とを備えている。第二固定読取部95の読取面95aに対して平行、かつ、第二固定読取部95の原稿読取位置Bにおける原稿搬送方向に対して直交する方向から見たとき、読取出口ローラ対92の原稿搬送位置X1を、読取位置Bよりも下側に配置し、ガイド手段で上方へ原稿をガイドした。かかる構成にすることにより、上述したように、上ガイド部材で、原稿を下ガイド部材側へ原稿を強制湾曲させずとも、原稿を第二固定読取部95の読取面95aに接触するよう、搬送することができ、読取出口ローラ対92の搬送トルクを低減することができる。これにより、モータの大型化を抑制することができ、装置の小型化を図ることができる。また、読取出口ローラ対92に駆動モータの駆動力伝達する機構にかかる負荷を低減することができ、装置の耐久性を向上させることができる。
【0072】
また、上流側上ガイド部材121と下ガイド部材の上流側下ガイド部120aにより形成された原稿搬送路たる上流側原稿搬送路G1が、上流側原稿搬送路G1を基準にして第二固定読取部95と反対側に凸となるような形状となっている。これにより、上流側原稿搬送G1内を搬送されてきた原稿MSを、第二固定読取部95の読取面95aに突入するように搬送することができる。また、第二固定読取部95と対向する箇所に進入するときの原稿搬送路が、原稿搬送路を基準にして第二固定読取部95側に凸となるような形状となっている。これにより、第二固定読取部の読取面に接触した原稿が、スムーズに第二固定読取部側へ湾曲させることができ、搬送トルクの上昇を抑制することができ、かつ、原稿を読取面95aに良好に接触させることができる。
【0073】
また、上流側上ガイド部材121と下ガイド部材120の上流側下ガイド部120aにより形成された原稿搬送路たる上流側原稿搬送路G1を直線状にしても、上流側原稿搬送G1内を搬送されてきた原稿MSを、第二固定読取部95の読取面95aに突入するように搬送することができる。
【0074】
また、上記ガイド手段は、上記原稿搬送路を基準にして、第二固定読取部95側に配置された第一ガイド部たる上流側上ガイド部材121と、上流側上ガイド部材121と上記原稿搬送路を挟んで対向配置された第二ガイド部たる上流側下ガイド部120aとを備え、上記第二固定読取部95の読取面に対して平行、かつ、上記第二固定読取部95の読取位置Bにおける原稿搬送方向に対して直交する方向から見たとき、上流側上ガイド部材121が、上流側下ガイド部120aの原稿搬送方向下流端(対向ガイド部120bとの交点)Y1と原稿搬送位置X1とを結んだ線分L2よりも、原稿搬送路を基準にして第二固定読取部95側にあるとき、読取位置Bと、上流側下ガイド部120aの原稿搬送方向下流端Y1とを結んだ線分L1と、上記読取面95aとのなす角度をθ1、上流側下ガイド部120aの原稿搬送方向下流端Y1と上記原稿搬送位置X1とを結んだ線分と、上記読取面95aとのなす角度をθ2としたとき、θ1<θ2とした。θ2が、θ1よりも小さいと、原稿搬送方向下流端Y1から読取面95aへ向かうときの原稿の搬送速度小さくなり、原稿MSが第二固定読取部95に接触しないおそれがある。θ1<θ2とすることにより、原稿MSを良好に読取面95aに接触させることができる。
【0075】
また、上流側上ガイド部材121の一部が、上記線分L2よりも下ガイド部材側にあるときは、上記第二ガイド部の原稿搬送方向下流端を通る上記第一ガイド部の接線と、上記読取面とのなす角度θ3をθ1よりも大きくする(θ1<θ3)。これにより、原稿MSを良好に読取面95aに接触させることができる。
【0076】
また、θ1の角度を4.1°以上、6.1°以下とすることにより、上述した検証実験に示したように、原稿の厚みが異なっても、良好に読取面95aに原稿MSを接触させることができる。これにより、読取面95aを良好にクリーニングすることができる。
【0077】
また、上記θ2または上記θ3を、13.2°以上、18.6°以下とすることで、上述した検証実験に示したように、原稿MSを搬送するときの読取出口ローラ対92に必要な搬送力を低減することができ、モータの大型化を抑制することができる。
【0078】
また、上記読取位置Bよりも原稿搬送方向下流側に配置された下流側搬送手段たる第二読取出口ローラ対93の搬送位置X2を、上記読取位置Bにおける原稿搬送路を基準にして、上記第二固定読取部95と反対側に配置した。これにより、原稿の先端が読取位置から第二読取出口ローラ対93へ搬送されると、原稿を読取面側へ湾曲させることができる。これにより、良好に読取面に原稿を接触させることができ、良好な読取面95aのクリーニング性を確保することができる。
【0079】
また、読取位置Bから第二読取出口ローラ対93までの原稿搬送路を、上記読取出口ローラ対92から上記読取位置Bまでの原稿搬送路に対して、上記原稿読取位置における原稿搬送方向に対して直交する方向を基準線にして、線対称にした。これにより、読取位置Bよりも原稿搬送上流側と下流側とで同様な湾曲で原稿を搬送することができる。これにより、安定して原稿MSを読取面95aに接触させることができる。
【0080】
また、第二読取出口ローラ対93の原稿搬送速度を、上記読取出口ローラ対92の原稿搬送速度と同じにした。本実施形態においては、上述のようにして原稿を搬送することで、第二読取出口ローラ対93の原稿搬送速度を、上記読取出口ローラ対92の原稿搬送速度よりも遅くせずとも、原稿を湾曲させることができる。よって、第二読取出口ローラ対93の原稿搬送速度を、上記読取出口ローラ対92の原稿搬送速度と同じにでき、第二読取出口ローラ対93の原稿搬送速度を、上記読取出口ローラ対92の原稿搬送速度よりも遅くしたものに比べて生産性を高めることができる。
【0081】
また、本実施形態の画像形成装置においては、上述したADF51を備えることで、縦スジの発生が抑制された良好な画像を複写することができる。
【符号の説明】
【0082】
1:画像形成部
50:画像読取ユニット
92:読取出口ローラ対
93:第二読取出口ローラ対
95:第二固定読取部
95a:読取面
120:下ガイド部材
120a:上流側下ガイド部
120b:対向ガイド部
120c:下流側下ガイド部
121:上流側上ガイド部材
122:下流側上ガイド部材
500:複写機
B:読取位置
G1:上流側原稿搬送路
G2:下流側原稿搬送路
G3:読取原稿搬送路
MS:原稿
【先行技術文献】
【特許文献】
【0083】
【特許文献1】特許第4477043号公報
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置および画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、画像読取部の読取位置に原稿を副走査方向に搬送することで、原稿画像の副走査を行うシートスルー方式の画像読取装置が知られている。画像読取部の読取面にゴミなどの異物が付着すると、このゴミが縦すじとなって、著しい画像劣化となってしまう。
【0003】
特許文献1には、画像読取部(イメージセンサ)の読取面に接触するように原稿を搬送することで、読取面に付着したゴミを除去する画像読取装置が記載されている。特許文献1の画像読取装置では、画像読取部よりも原稿搬送方向上流側に設けられた原稿搬送路を基準にして画像読取部側のガイド部材(以下、上ガイド部材という)と、上ガイド部材に原稿搬送路を挟んで対向配置した下ガイド部材とからなる1対のガイド部材を次のように構成することにより、画像読取部の読取面に搬送原稿を接触させている。すなわち、上記上ガイド部材の原稿搬送方向下流側の箇所を、下ガイド部材側へ折り曲げている。また、下ガイド部材の上ガイド部材の折り曲げ部よりも原稿搬送方向下流側の箇所を、画像読取部側へ折り曲げているのである。かかる構成を備えることで、搬送されてきた原稿は、上ガイド部材の折り曲げ部に突き当って、下ガイド部材側へ強制的に湾曲せしめられた後、下ガイド部材の折り曲げ部に突き当って、画像読み取り部側へ強制的に湾曲させめられることにより、原稿が上方へ向けて搬送されるようになり、画像読取部の読取面に原稿を接触させることができる。これにより、画像読取部の読取面に付着したゴミを除去することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の画像読取装置においては、上ガイド部材の折り曲げ部と下ガイド部材の折り曲げ部とにそれぞれ原稿を突き当てて、原稿を強制湾曲させて搬送しているため、原稿読取部へ搬送するために必要な搬送力が大きくなってしまう。その結果、原稿を搬送するためのモータが大型化してしまい、装置が大型化するという課題があった。また、大型のモータとなることにより、モータを支持する箇所の剛性を高める必要が生じ、コストアップに繋がるという課題もあった。また、原稿を各ガイド部材の折り曲げ部で強制湾曲させて搬送するため、原稿の厚み(コシ)により、原稿読取部に当たる位置がばらついてしまい、読取面に原稿が接触しない場合があり、原稿の厚みによっては、読取面に付着したゴミを良好に除去できない場合があるという課題もあった。
【0005】
本発明は以上の課題に鑑みなされたものであり、その目的は、原稿搬送力の増大を抑制でき、かつ、原稿の厚み(コシ)による原稿読取部に当たる位置のばらつきを抑制することができる画像読取装置および画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、原稿を搬送する搬送手段と、上記搬送手段によって搬送されてきた原稿の画像を読み取る読取手段と、上記搬送手段と上記読取手段との間に配置され、上記原稿をガイドするガイド手段とを備える画像読取装置において、上記読取手段の読取面に対して平行、かつ、上記読取手段の読取位置における原稿搬送方向に対して直交する方向から見たとき、上記搬送手段が、上記原稿に搬送力を付与する原稿搬送位置を、上記読取手段の読取面の垂直方向において、上記読取位置よりも下側に配置し、上記原稿搬送位置を通過した原稿が、上方へ向けてガイドされるようにガイド手段を構成したことを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の画像読取装置において、上記ガイド手段により形成される上記搬送手段から上記読取手段との対向する箇所に進入するまでの原稿搬送路を、直線状にし、上記読取手段と対向する箇所に進入するときの原稿搬送路が、該原稿搬送路を基準にして上記読取手段側に凸となるような形状としたことを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項1の画像読取装置において、上記ガイド手段により形成された原稿搬送路が、該原稿搬送路を基準にして上記読取手段側と反対側に凸となるような形状とし、上記読取手段と対向する箇所に進入するときの原稿搬送路が、該原稿搬送路を基準にして上記読取手段側に凸となるような形状としたことを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項2または3の画像読取装置において、上記ガイド手段は、上記原稿搬送路を基準にして、上記読取手段側に配置された第一ガイド部と、上記第一ガイド部と上記原稿搬送路を挟んで対向配置された第二ガイド部とを備え、上記読取手段の読取面に対して平行、かつ、上記読取手段の上記原稿読取位置における原稿搬送方向に対して直交する方向から見たとき、上記第一ガイド部が、上記第二ガイド部の原稿搬送方向下流端と上記原稿搬送位置とを結んだ線分よりも、上記原稿搬送路を基準にして上記読取手段側にあり、上記原稿読取位置と、上記第二ガイド部の原稿搬送方向下流端とを結んだ線分と、上記読取面とのなす角度をθ1、上記第二ガイド部の原稿搬送方向下流端と上記原稿搬送位置とを結んだ線分と、上記読取面とのなす角度をθ2としたとき、θ1<θ2としたことを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項2の画像読取装置において、上記ガイド手段は、上記原稿搬送路を基準にして、上記読取手段側に配置された第一ガイド部と、上記第一ガイド部と上記原稿搬送路を挟んで対向配置された第二ガイド部とを備え、上記読取手段の読取面に対して平行、かつ、上記読取手段の上記原稿読取位置における原稿搬送方向に対して直交する方向から見たとき、上記第一ガイド部の一部が、上記第二ガイド部の原稿搬送方向下流端と上記原稿搬送位置とを結んだ線分よりも、上記原稿搬送路を基準にして上記読取手段側と反対側に突き出た構成であり、上記原稿読取位置と、上記第二ガイド部の原稿搬送方向下流端とを結んだ線分と、上記読取面とのなす角度をθ1、上記第二ガイド部の原稿搬送方向下流端を通る上記第一ガイド部の接線と、上記読取面とのなす角度をθ3としたとき、θ1<θ3としたことを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項4または5の画像読取装置において、上記θ1を、4.1°以上、6.1°以下としたことを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項4乃至6いずれかの画像読取装置において、上記θ2または上記θ3を、13.2°以上、18.6°以下にしたことを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、請求項1乃至7いずれかの画像読取装置において、上記読取手段の読取面に対して平行、かつ、上記読取手段の原稿読取位置における原稿搬送方向に対して直交する方向から見たとき、上記読取面の垂直方向において、上記原稿読取位置よりも原稿搬送方向下流側に配置された下流側搬送手段が、原稿に搬送力を付与する原稿搬送位置を、上記原稿読取位置よりも下側に配置したことを特徴とするものである。
また、請求項9の発明は、請求項8の画像読取装置において、上記読取手段の読取面に対して平行、かつ、上記読取手段の原稿読取位置における原稿搬送方向に対して直交する方向から見たとき、上記原稿読取位置から上記下流側搬送手段までの原稿搬送路を、上記搬送手段から上記原稿読取位置までの原稿搬送路に対して、上記原稿読取位置における原稿搬送方向に対して直交する方向を基準線にして、線対称にしたことを特徴とするものである。
また、請求項10の発明は、請求項8または9の画像読取装置において、上記下流側搬送手段の原稿搬送速度を、上記搬送手段の原稿搬送速度と同じにしたことを特徴とするものである。
また、請求項11の発明は、原稿の画像を読み取る画像読取手段と、該画像読取手段による読取結果に基づいて画像を形成する画像形成手段とを備える画像形成装置において、上記画像読取手段として、請求項1乃至10のいずれかの画像読取装置を用いたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、搬送手段が原稿に搬送力を付与する原稿搬送位置を、上記読取手段の読取面に対して直交する方向において、上記読取位置よりも下側に配置することにより、ガイド手段で原稿搬送位置を通過した原稿を上方へガイドすることで、原稿を読取手段の読取面に突き当るように搬送することができ、原稿を読取面に当接させることができる。よって、特許文献1に記載の構成とは異なり、ガイド手段の上ガイド部材の折り曲げ部に原稿を突き当てて下向きに強制湾曲させて、原稿を一旦、下向きに搬送せずとも、原稿を、上方へ向けて搬送することができる。これにより、特許文献1に記載の構成に比べて、原稿読取部へ搬送するために必要な搬送力を低減することができる。その結果、特許文献1に記載の構成に比べて、小型のモータを用いることができ、装置の大型化を抑制することができる。また、小型のモータを用いることができることにより、モータを支持する剛性を特許文献1のものに比べて、弱めることができ、コストの削減を図ることができる。
また、搬送手段から読取手段へ原稿を上方へガイドするだけで、原稿を原稿を読取手段の読取面に当接させることができるので、特許文献1に記載のように、上ガイド部材で原稿を、一旦、下向きに強制湾曲させた後、下ガイド部材で上向きに搬送するものに比べて、原稿の厚み(コシ)により、搬送原稿の読取面への当接位置がばらつくのを抑制することができる。よって、原稿の厚みが異なっても、読取範囲に付着したゴミを良好に除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施形態に係る複写機を示す概略構成図。
【図2】同複写機における画像形成部の一部を拡大して示す部分構成図。
【図3】同画像形成部における4つのプロセスユニットからなるタンデム部の一部を示す部分拡大図。
【図4】同複写機のスキャナ及びADFを示す斜視図。
【図5】同ADFをスキャナの上部とともに示す概略構成図。
【図6】ADF全体の制御ブロック図。
【図7】固定読取部の制御部ブロック図。
【図8】従来の第二固定読取部の周辺を示す拡大構成図
【図9】A4用紙で連量180kgの原稿を搬送したときの従来構成における読取出口ローラ対の搬送トルクを示すグラフ。
【図10】従来構成における紙厚の異なる原稿を搬送したときの第二固定読取部の各位置における原稿接触回数を示す図。
【図11】本実施形態のADFにおける第二固定読取部周辺の概略構成図。
【図12】原稿の厚みが異なっても、読取面に原稿が接触できる条件についての一例を示す概略構成図。
【図13】原稿の厚みが異なっても、読取面に原稿が接触できる条件についての他の例を示す概略構成図。
【図14】各ガイド構成における原稿搬送方向各位置における原稿の第二固定読取部へ接触回数を調べたグラフ。
【図15】(a)は、θ2またはθ3の角度が大きいときの原稿の挙動について説明する模式図。(b)は、θ2またはθ3の角度が適正範囲のときの原稿の挙動について説明する図。
【図16】No.1のガイド構成における原稿搬送力の時間変化を示すグラフ。
【図17】No.5のガイド構成における原稿搬送力の時間変化を示すグラフ。
【図18】No.7のガイド構成における原稿搬送力の時間変化を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を、電子写真方式の複写機(以下、単に複写機500という)に適用した実施形態について説明する。
まず、本実施形態に係る複写機500の基本的な構成について説明する。
図1は、複写機500を示す概略構成図である。複写機500は、画像形成手段としての画像形成部1と、転写紙給紙装置40と、画像読取ユニット50とを備えている。画像読取装置としての画像読取ユニット50は、画像形成部1の上に固定されたスキャナ150と、これに支持されるシート搬送装置としての原稿自動搬送装置(以下、ADFという)51とを有している。
【0010】
転写紙給紙装置40は、ペーパーバンク41内に多段に配設された2つの転写紙給紙カセット42、転写紙給紙カセット42から転写紙Pを送り出す転写紙送出ローラ43、送り出された転写紙Pを分離して転写紙給紙路44に供給する転写紙分離ローラ45等を有している。また、画像形成部1の搬送路としての本体側転写紙給紙路37に、シート状部材としての転写紙Pを搬送する複数の搬送ローラ47等も有している。そして、転写紙給紙カセット42内の転写紙Pを画像形成部1内の本体側転写紙給紙路37内に給紙する。
【0011】
画像形成部1は、光書込装置2や、黒,イエロー,マゼンタ,シアン(K,Y,M,C)のトナー像を形成する4つのプロセスユニット3K,Y,M,C、転写ユニット24、紙搬送ユニット28、レジストローラ対33、定着装置34、スイッチバック装置36、本体側転写紙給紙路37等を備えている。そして、光書込装置2内に配設された図示しないレーザーダイオードやLED等の光源を駆動して、ドラム状の4つの感光体4K,Y,M,Cに向けてレーザー光Lを照射する。この照射により、感光体4K,Y,M,Cの表面には静電潜像が形成され、この潜像は所定の現像プロセスを経由してトナー像に現像される。
【0012】
図2は、画像形成部1の内部構成の一部を拡大して示す部分構成図である。また、図3は、4つのプロセスユニット3K,Y,M,Cからなるタンデム部の一部を示す部分拡大図である。4つのプロセスユニット3K,Y,M,Cは、それぞれ使用するトナーの色が異なる他はほぼ同様の構成になっているので、図3においては各符号に付すK,Y,M,Cという添字を省略している。
【0013】
プロセスユニット3K,Y,M,Cは、それぞれ、感光体4とその周囲に配設される各種装置とを1つのユニットとして共通の支持体に支持するものであり、複写機500本体の画像形成部1に対して着脱可能になっている。一つのプロセスユニット3は、感光体4の周りに、帯電装置5、現像装置6、ドラムクリーニング装置15、除電ランプ22等を有している。複写機500では、4つのプロセスユニット3K,Y,M,Cを、後述する中間転写ベルト25に対してその無端移動方向に沿って並べるように対向配設した、いわゆるタンデム型の構成になっている。
【0014】
感光体4としては、アルミニウム等の素管に、感光性を有する有機感光材の塗布による感光層を形成したドラム状のものを用いている。但し、無端ベルト状のものを用いても良い。
【0015】
現像装置6は、図示しない磁性キャリアと非磁性トナーとを含有する二成分現像剤を用いて潜像を現像するようになっている。内部に収容している二成分現像剤を攪拌しながら搬送して現像スリーブ12に供給する攪拌部7と、現像スリーブ12に担持された二成分現像剤中のトナーを感光体4に転移させるための現像部11とを有している。
【0016】
攪拌部7は、現像部11よりも低い位置に設けられており、互いに平行配設された2本の搬送スクリュ8、これら2本の搬送スクリュ8間に設けられた仕切り板、現像ケース9の底面に設けられたトナー濃度センサ10などを有している。
【0017】
現像部11は、現像ケース9の開口を通して感光体4に対向する現像スリーブ12、これの内部に回転不能に設けられたマグネットローラ13、現像スリーブ12に先端を接近させるドクタブレード14などを有している。現像スリーブ12は、非磁性の回転可能な筒状になっている。マグネットローラ13は、ドクタブレード14との対向位置から現像スリーブ12の回転方向に向けて順次並ぶ複数の磁極を有している。これら磁極は、それぞれ現像スリーブ12上の二成分現像剤に対して回転方向の所定位置で磁力を作用させる。これにより、攪拌部7から送られてくる二成分現像剤を現像スリーブ12表面に引き寄せて担持させるとともに、現像スリーブ12表面上で磁力線に沿った磁気ブラシを形成する。
【0018】
磁気ブラシは、現像スリーブ12の回転に伴ってドクタブレード14との対向位置を通過する際に適正な層厚に規制されてから、感光体4に対向する現像領域に搬送される。そして、現像スリーブ12に印加される現像バイアスと、感光体4の静電潜像との電位差によってトナーを静電潜像上に転移させて現像に寄与する。更に、磁気ブラシを形成し、現像スリーブ12に担持され現像領域を通過した二成分現像剤は、現像スリーブ12の回転に伴って再び現像部11内に戻り、マグネットローラ13の磁極間に形成される反発磁界の影響によってスリーブ表面から離脱した後、攪拌部7内に戻される。攪拌部7内には、トナー濃度センサ10による検知結果に基づいて、二成分現像剤に適量のトナーが補給される。現像装置6としては、二成分現像剤を用いるものの代わりに、磁性キャリアを含まない一成分現像剤を用いるものを採用してもよい。
【0019】
ドラムクリーニング装置15としては、弾性体からなるクリーニングブレード16を感光体4に押し当てる方式のものを用いているが、他の方式のものを用いてもよい。クリーニング性を高める目的で、本例では、外周面を感光体4に接触させる接触導電性のファーブラシ17を、図中矢印方向に回転自在に有する方式のものを採用している。このファーブラシ17は、図示しない固形潤滑剤から潤滑剤を掻き取って微粉末にしながら感光体4表面に塗布する役割も兼ねている。ファーブラシ17にバイアスを印加する金属製の電界ローラ18を図中矢示方向に回転自在に設け、これにスクレーパ19の先端を押し当てている。ファーブラシ17に付着したトナーは、ファーブラシ17に対してカウンタ方向に接触して回転しながらバイアスが印加される電界ローラ18に転位する。そして、スクレーパ19によって電界ローラ18から掻き取られた後、回収スクリュ20上に落下する。回収スクリュ20は、回収トナーをドラムクリーニング装置15における図紙面と直交する方向の端部に向けて搬送して、外部のリサイクル搬送装置21に受け渡す。リサイクル搬送装置21は、受け渡された回収トナーを現像装置6に送ってリサイクルする。
【0020】
除電ランプ22は、光照射によって感光体4の表面を除電する。除電された感光体4の表面は、帯電装置5によって一様に帯電せしめられた後、光書込装置2による光書込処理がなされる。複写機500では、帯電装置5として帯電バイアスが印加される帯電ローラを感光体4に当接させながら回転させるものを用いているが、感光体4に対して非接触で帯電処理を行うスコロトロンチャージャ等を用いてもよい。
【0021】
先に示した図2において、4つのプロセスユニット3K,Y,M,Cの感光体4K,Y,M,Cには、これまで説明してきたプロセスによってK,Y,M,Cトナー像が形成される。
【0022】
4つのプロセスユニット3K,Y,M,Cの下方には、転写ユニット24が配設されている。転写ユニット24は、複数のローラによって張架した中間転写ベルト25を、感光体4K,Y,M,Cに当接させながら図中時計回り方向に無端移動させる。これにより、感光体4K,Y,M,Cと、中間転写ベルト25とが当接するK,Y,M,C用の一次転写ニップが形成されている。K,Y,M,C用の一次転写ニップの近傍では、ベルトループ内側に配設された一次転写ローラ26K,Y,M,Cによって中間転写ベルト25を感光体4K,Y,M,Cに向けて押圧している。これら一次転写ローラ26K,Y,M,Cには、それぞれ図示しない電源によって一次転写バイアスが印加されている。これにより、K,Y,M,C用の一次転写ニップには、感光体4K,Y,M,C上のトナー像を中間転写ベルト25に向けて静電移動させる一次転写電界が形成されている。図中時計回り方向の無端移動に伴ってK,Y,M,C用の一次転写ニップを順次通過していく中間転写ベルト25のおもて面には、各一次転写ニップでトナー像が順次重ね合わせて一次転写される。この重ね合わせの一次転写により、中間転写ベルト25のおもて面には4色重ね合わせトナー像(以下、4色トナー像という)が形成される。
【0023】
転写ユニット24の図中下方には、駆動ローラ30と二次転写ローラ31との間に、無端状の紙搬送ベルト29を掛け渡して無端移動させる紙搬送ユニット28が設けられている。そして、二次転写ローラ31と、転写ユニット24の下部張架ローラ27との間に、中間転写ベルト25及び紙搬送ベルト29を挟み込んでいる。これにより、中間転写ベルト25のおもて面と、紙搬送ベルト29のおもて面とが当接する二次転写ニップが形成されている。二次転写ローラ31には図示しない電源によって二次転写バイアスが印加されている。一方、転写ユニット24の下部張架ローラ27は接地されている。これにより、二次転写ニップに二次転写電界が形成されている。
【0024】
この二次転写ニップの図中右側方には、レジストローラ対33が配設されている。また、レジストローラ対33のレジストニップの入口付近には、図示しないレジストローラセンサが配設されている。転写紙給紙装置40からレジストローラ対33に向けて搬送されてくる転写紙Pは、その先端が不図示のレジストローラセンサに検知された所定時間後に転写紙Pの搬送が一時停止し、レジストローラ対33のレジストニップに先端を突き当てる。この結果、転写紙Pの姿勢が修正され、画像形成との同期をとる準備が整う。
【0025】
転写紙Pの先願がレジストニップに突き当たると、レジストローラ対33は、転写紙Pを中間転写ベルト25上の4色トナー像に同期させ得るタイミングでローラ回転駆動を再開して、転写紙Pを二次転写ニップに送り出す。二次転写ニップ内では、中間転写ベルト25上の4色トナー像が二次転写電界やニップ圧の影響によって転写紙Pに一括二次転写され、転写紙Pの白色と相まってフルカラー画像となる。二次転写ニップを通過した転写紙Pは、中間転写ベルト25から離間して、紙搬送ベルト29のおもて面に保持されながら、その無端移動に伴って定着装置34へと搬送される。
【0026】
二次転写ニップを通過した中間転写ベルト25のおもて面には、二次転写ニップで転写紙Pに転写されなかった転写残トナーが付着している。この転写残トナーは、クリーニング部材が中間転写ベルト25に当接するベルトクリーニング装置32によって掻き取り除去される。
【0027】
定着装置34に搬送された転写紙Pは、定着装置34内における加圧や加熱によってフルカラー画像が定着させしめられた後、定着装置34から排紙ローラ対35に送られた後、機外の排紙トレイ501へと排出される。
【0028】
先に示した図1において、紙搬送ユニット28および定着装置34の下には、転写紙反転装置であるスイッチバック装置36が配設されている。これにより、両面プリントを行う場合には、片面に対する画像定着処理を終えた転写紙Pの搬送路が、切換爪によってスイッチバック装置36側に切り換えられ、そこで転写紙Pは反転されて再び二次転写転写ニップに進入する。そして、転写紙Pのもう片面にも画像の二次転写処理と定着処理とが施された後、排紙トレイ501上に排紙される。
【0029】
画像形成部1の上に固定されたスキャナ150やこれの上に固定されたADF51からなる画像読取ユニット50は、後述する2つの固定読取部や移動読取部152を有している。移動読取部152は、原稿MSに接触するようにスキャナ150のケーシング上壁に固定された第二コンタクトガラス155の直下に配設されており、光源や、反射ミラーなどからなる光学系を図中左右方向に移動させることができる。そして、光学系を図中左側から右側に移動させていく過程で、光源から発した光を第二コンタクトガラス155上に載置された原稿MSの下面で反射させた後、複数の反射ミラーを経由させて、スキャナ150に固定された画像読取センサ153で受光する。
【0030】
一方、画像読取ユニット50は固定読取部として、スキャナ150の内部に配設された第一固定読取部151と、ADF51内に配設された後述する第二固定読取部95とを有している。光源、反射ミラー、CCD等の画像読取センサなどを有する第一固定読取部151は、原稿MSに接触するようにスキャナ150のケーシング上壁に固定された第一コンタクトガラス154の直下に配設されている。そして、ADF51によって搬送される原稿MSが第一コンタクトガラス154上を通過する際に、光源から発した光を原稿MSの第一面で順次反射させながら、複数の反射ミラーを経由させて画像読取センサ153で受光する。これにより、光源や反射ミラー等からなる光学系を移動させることなく、原稿MSの第一面を走査する。また、第二固定読取部95は、第一固定読取部151を通過した後の原稿MSの第二面を走査する。
【0031】
スキャナ150の上に配設されたADF51は、本体カバー52に、読取前の原稿MSを載置するための原稿載置台53、シート材としての原稿MSを搬送するための原稿搬送部54、読取後の原稿MSをスタックするための原稿スタック台55などを保持している。
図4は、画像読取ユニット50の斜視説明図である。図4に示すように、スキャナ150に固定された蝶番159によって上下方向に揺動可能に支持されている。そして、その揺動によって開閉扉のような動きをとり、開かれた状態でスキャナ150の上面の第一コンタクトガラス154や第二コンタクトガラス155を露出させる。原稿束の片隅を綴じた本などの片綴じ原稿の場合には、原稿を1枚ずつ分離することができないため、ADF51による搬送を行うことができない。そこで、片綴じ原稿の場合には、ADF51を図4に示すように開いた後、読み取らせたいページが見開かれた片綴じ原稿を下向きにして第二コンタクトガラス155上に載せた後、ADF51を閉じる。そして、スキャナ150の図1に示した移動読取部152によってそのページの画像を読み取らせる。
【0032】
一方、互いに独立した複数の原稿MSを単に積み重ねた原稿束の場合には、その原稿MSをADF51によって1枚ずつ自動搬送しながら、スキャナ150内の第一固定読取部151やADF51内の第二固定読取部95に順次読み取らせていくことができる。この場合、原稿束を原稿載置台53上にセットした後、操作部108のコピースタートボタン158を押す。すると、ADF51が、原稿載置台53上に載置された原稿束の原稿MSを上から順に原稿搬送部54内に送り、それを反転させながら原稿スタック台55に向けて搬送する。この搬送の過程で、原稿MSを反転させた直後にスキャナ150の第一固定読取部151の真上に通す。このとき、原稿MSの第一面の画像がスキャナ150の第一固定読取部151によって読み取られる。
【0033】
次に、ADF51について説明する。
図5は、ADF51の要部構成をスキャナ150の上部とともに示す拡大構成図である。ADF51は、原稿セット部A、分離搬送部B、レジスト部C、ターン部D、第一読取搬送部E、第二読取搬送部F、排紙部G、スタック部H等を備えている。本実施形態のADF51の原稿搬送部54は、分離搬送部Bの下流側の突き当てセンサ72センサによる検知位置から、読取入口ローラ対90までの原稿MSが搬送される経路を構成する部分である。
また、ADF51は、装置本体に対してカバー回動中心145aを中心に回動することで、分離搬送部B、レジスト部C及びターン部Dの途中まで給紙経路を開閉する給紙部カバー145を備える。
【0034】
原稿セット部Aは、原稿MSの束が第一面が上方となるようにセットされる原稿載置台53等を有している。分離搬送部Bは、セットされた原稿MSの束から原稿MSを一枚ずつ分離して給送するものである。レジスト部Cは、給送された原稿MSに一時的に突き当たって原稿MSを整合し、整合した後の原稿MSを引き出し搬送するものである。ターン部Dは、C字状に湾曲する湾曲搬送部を有しており、この湾曲搬送部内で原稿MSを折り返しながらその上下を反転させて、原稿MSの第一面を下方に向けるものである。第一読取搬送部Eは、第一コンタクトガラス154の上で原稿MSを搬送しながら、第一コンタクトガラス154の下方からスキャナ150の内部に配設されている第一固定読取部151に原稿MSの第一面を読み取らせるものである。第二読取搬送部Fは、第二固定読取部95の下方に原稿MSを搬送しながら、原稿MSの第二面を第二固定読取部95に読み取らせるものである。また、排紙部Gは、両面の画像が読み取られた原稿MSをスタック部Hに向けて排出するものである。また、スタック部Hは、読取完了後の原稿MSを原稿スタック台55の上に積載保持するものである。
【0035】
図6は、ADF51全体の制御ブロック図である。ADF51の制御部は、原稿の搬送動作の駆動を行う駆動部である各モータ101〜105、113、114、各種センサ部、固定画像読取部300(第一固定読取部151または第二固定読取部95)、一連の動作を制御するコントローラ100等から構成されている。
【0036】
図7は、固定画像読取部300の制御部ブロック図である。固定画像読取部300は、光源部200、センサチップ201、画像処理部204、フレームメモリ205、出力制御回路206等から構成されている。
【0037】
読取を行う原稿MSの束は、第一面が上向きとなるように載せられた状態で原稿載置台53上にセットされる。原稿載置台53は、原稿先端部を支持し原稿MSの束の厚みに応じて図1中矢印a,b方向に揺動可能な可動原稿テーブル53bと、原稿後端側を支持する固定原稿テーブル53aとから構成される。原稿MSが原稿載置台53にセットされたときに、原稿載置台53上において、その幅方向(原稿MSの搬送方向に直交する方向で、図1の紙面に直交する方向)の両端に対してそれぞれ図示しないサイドガイドが突き当てられることで、幅方向における原稿MSの位置決めがなされる。
このようにして原稿載置台53にセットされる原稿MSは、可動原稿テーブル53bの上方で揺動可能に配設されたレバー部材であるセットフィラー62を押し上げる。これに伴って原稿セットセンサ63が原稿MSのセットを検知して、検知信号をコントローラ100に送信する。そして、この検知信号は、コントローラ100からインターフェイス回路(以下、I/F107と呼ぶ)を介して画像読取ユニット50の本体制御部111に送信される。
【0038】
また、固定原稿テーブル53aには、原稿MSの搬送方向の長さを検知する反射型フォトセンサまたは原稿一枚でも検知可能なアクチュエーター・タイプのセンサからなる複数の原稿長さセンサ(57、58a、58b)が配置されている。これらの原稿長さセンサにより、原稿MSの搬送方向の長さの概略が判定される(少なくとも同一原稿サイズの縦か横かを判断可能なセンサ配置が必要)。
【0039】
可動原稿テーブル53bの上方にはピックアップローラ80が配置されている。ピックアップローラ80は、分離部としての分離ニップを構成する給紙ベルト84及びリバースローラ85とともに給紙モータ102から駆動が伝達されることによって回転駆動する。
可動原稿テーブル53bは、底板上昇モータ105の駆動により、駆動するカム機構によって図5中矢印a,b方向に揺動する。原稿MSが原稿載置台53にセットされたことをセットフィラー62や原稿セットセンサ63で検知すると、コントローラ100は底板上昇モータ105を正転させて束状の原稿MSの最上面がピックアップローラ80と接触するように可動原稿テーブル53bを上昇させる。
ピックアップローラ80は、ピックアップ昇降モータ101によって駆動するカム機構により、図5中矢印c、d方向に移動可能となっている。可動原稿テーブル53bが上昇して可動原稿テーブル53b上の原稿MSの上面により押されて図中矢印c方向に上がる。これをテーブル上昇センサ59で検知することにより、可動原稿テーブル53bの上限までの上昇が検知される。これにより、ピックアップ昇降モータ101が停止するとともに底板上昇モータ105が停止する。
【0040】
操作部108よりコピースタートボタン158が押下され、本体制御部111からI/F107を介してADF51の制御部であるコントローラ100に原稿給紙信号が送信される。これにより、給紙モータ102が駆動してピックアップローラ80が正転駆動し、原稿載置台53上の数枚(理想的には1枚)の原稿MSをピックアップする。ピックアップローラ80の回転方向は、最上位の原稿MSを給紙口48に搬送する方向である。
【0041】
ピックアップローラ80によって送り出された原稿MSは、分離搬送部Bに進入して、給送部材たる給紙ベルト84との当接位置に送り込まれる。この給紙ベルト84は、駆動ローラ82と従動ローラ83とによって張架されており、給紙モータ102の正転に伴う駆動ローラ82の回転によって図5中時計回り方向に無端移動せしめられる。
この給紙ベルト84の下部張架面には、給紙モータ102の正転によって図中時計回りに回転駆動される分離部材であり重送阻止ローラであるリバースローラ85が当接している。この当接部である分離ニップにおいては、給紙ベルト84の表面が給紙方向に移動する。これに対し、リバースローラ85の表面は、給紙方向とは逆方向に移動しようとするが、リバースローラ85の駆動伝達部には不図示のトルクリミッタがあり、給紙方向に向かう力がトルクリミッタのトルクよりも大きいとリバースローラ85は給紙方向に表面移動するように回転する。
リバースローラ85は、給紙ベルト84に所定の圧力で当接しており、給紙ベルト84に直接当接している状態、または、原稿MSの1枚だけを介して給紙ベルト84に当接している状態(分離ニップに原稿MSが一枚だけ挟み込まれている状態)では、給紙ベルト84または原稿MSに連れ回り、図5中の反時計周り方向に回転する。但し、分離ニップに複数枚の原稿MSが挟み込まれたときには、連れ回り力がトルクリミッタのトルクよりも低くなるように設定されているため、リバースローラ85は連れ回り方向とは逆の図中時計回りに回転駆動する。これにより、最上位よりも下の原稿MSには、リバースローラ85によって給紙方向とは反対方向の移動力が付与されて、数枚の原稿から最上位の原稿MSだけが分離され、重送が防止される。
【0042】
給紙ベルト84とリバースローラ85との作用によって1枚に分離された原稿MSは、レジスト部Cに進入する。そして、原稿MSは給紙ベルト84によって更に送られ、突き当てセンサ72によって先端が検知されつつ、更に進んで停止しているプルアウトローラ対86に突き当たる。このとき駆動している給紙モータ102は、突き当てセンサ72による先端の検知から所定時間だけ駆動させて、その後停止させる。これにより、原稿MSが突き当てセンサ72による検知位置から所定量定められた距離だけ送られ、結果的には、原稿MSがプルアウトローラ対86に所定量の撓みをもって押し当てられた状態で給紙ベルト84による原稿MSの搬送が停止する。
突き当てセンサ72によって原稿MSの先端が検知されたときに、ピックアップ昇降モータ101を回転させることで、ピックアップローラ80を原稿MSの上面から退避させ原稿MSを給紙ベルト84の搬送力のみで送る。これにより、原稿MSの先端は、プルアウトローラ対86の上下のローラによって形成されるニップに進入し、先端の整合(スキュー補正)が行われる。
【0043】
プルアウトローラ対86は、上述したように、スキュー補正機能を有すると共に、分離後にスキュー補正された原稿MSを中間ローラ対66まで搬送するためのローラ対であり、プルアウトモータ113が駆動することにより2つのローラのうちの一方が回転駆動する。また、給紙ベルト84とプルアウトローラ対86とを回転駆動して、給紙ベルト84によってプルアウトローラ対86へ搬送されてきた原稿MSの先端をプルアウトローラ対86に突き当てスキュー補正せずに、プルアウトローラ対86で原稿を搬送する構成でもよい。
【0044】
プルアウトローラ対86の駆動源としては、給紙モータ102としてもよい。このような場合には、給紙モータ102を正転させたときには、ピックアップローラ80、給紙ベルト84及びリバースローラ85に駆動を伝達し、給紙モータ102を逆転させたときには、プルアウトローラ対86に駆動を伝達するように構成する。しかし、本実施形態のように、プルアウトローラ対86を独立した駆動であるプルアウトモータ113によって駆動することにより、モータの立ち上げ時間および立ち下げ時間を短縮することが可能となり、生産性が向上する。
【0045】
プルアウトローラ対86によって送り出された原稿MSは、原稿幅センサ73の直下を通過する。原稿幅センサ73は、反射型フォトセンサ等からなる紙検知センサを原稿幅方向(図5の紙面に直交する方向)に複数個並べたセンサであり、どの紙検知センサが原稿MSを検知するかに基づいて、原稿MSの幅方向のサイズを検知する。また、原稿MSの搬送方向の長さは、原稿MSの先端が突き当てセンサ72によって検知されてから、原稿MSが突き当てセンサ72によって検知されなくなる(原稿MSの後端が通過する)までのタイミングに基づいてモータパルスから検知する。
【0046】
プルアウトローラ対86及び中間ローラ対66の回転駆動によって搬送される原稿MSは、中間ローラ対66及び読取入口ローラ対90によって搬送されるターン部Dに進入する。
中間ローラ対66はプルアウトローラ対86の駆動源であるプルアウトモータ113と、読取入口ローラ対90の駆動源である読取入口モータ114との両方のモータから駆動が伝達される構成となっている。そして、2つのモータのうち、回転速度が速くなる側のモータの駆動によって回転速度が決まる機構を備えている。
ADF51では、プルアウトローラ対86及び中間ローラ対66の回転駆動によりレジスト部Cからターン部Dに原稿MSが搬送される際には、レジスト部Cでの搬送速度を第一読取搬送部Eでの搬送速度よりも高速に設定しており、原稿MSを第一読取搬送部Eへ送り込む処理時間の短縮が図られている。このとき、中間ローラ対66はプルアウトモータ113を駆動源として回転する。
【0047】
原稿MSの先端が読取入口センサ67により検出されると、読取入口ローラ対90の上下のローラによって形成されるニップに原稿MSの先端が進入する前に、原稿MSの搬送速度を第一読取搬送部Eでの搬送速度と同速にするために、プルアウトモータ113の減速を開始する。これと同時に、読取入口モータ114及び読取モータ103を正転駆動する。読取入口モータ114を正転駆動することで読取入口ローラ対90が搬送方向に回転駆動し、読取モータ103を正転駆動することで読取出口ローラ対92及び第二読取出口ローラ対93が搬送方向にそれぞれ駆動する。読取入口ローラ対90の駆動を開始し、プルアウトモータ113を減速することで、プルアウトモータ113から駆動伝達されることによる中間ローラ対66の回転速度よりも、読取入口モータ114から駆動伝達されることによる中間ローラ対66の回転速度の方が速くなると、中間ローラ対66は読取入口モータ114を駆動源として回転する。
【0048】
ターン部Dから第一読取搬送部Eに向かう原稿MSの先端をレジストセンサ65で検知すると、コントローラ100は、所定の時間をかけて各モータの駆動を減速することで、原稿MSの搬送速度を所定の搬送距離をかけて減速する。そして、コントローラ100は、第一固定読取部151による第一読取位置400の手前で原稿MSを一時停止するように制御すると共に、本体制御部111にI/F107を介してレジスト停止信号を送信する。
続いて、コントローラ100が本体制御部111より読取開始信号を受信すると、レジスト停止していた原稿MSの原稿先端が第一読取位置400に到達するまでに、原稿MSの搬送速度が所定の搬送速度に立ち上がるように、読取入口モータ114及び読取モータ103の駆動を制御する。これにより、原稿MSは搬送速度が増速されつつ、第一読取位置400に向かって搬送される。そして、読取入口モータ114のパルスカウントに基づいて算出された原稿MSの先端が第一読取位置400に到達するタイミングで、コントローラ100から本体制御部111に対して原稿MSの第一面の副走査方向有効画像領域を示すゲート信号が送信される。この送信は、原稿MSの後端が第一読取位置400を抜け出るまで続けられ、原稿MSの第一面が第一固定読取部151によって読み取られる。
【0049】
第一読取搬送部Eを通過した原稿MSは、読取出口ローラ対92のニップを通過した後、その先端が排紙センサ61によって検知され、さらに、その後、第二読取搬送部Fを通過して排紙部Gへと搬送される。
原稿MSの片面(第一面)のみを読み取る場合には、第二固定読取部95による原稿MSの第二面の読取が不要である。そこで、排紙センサ61によって原稿の先端が検知されると、排紙モータ104の正転駆動が開始されて、排紙ローラ対94における図中上側の排紙ローラが図中反時計回り方向に回転駆動される。また、排紙センサ61によって原稿MSの先端が検知されてからの排紙モータ104のパルスカウントに基づいて、原稿MSの後端が排紙ローラ対94のニップを抜け出るタイミングが演算される。そして、この演算結果に基づいて、原稿MSの後端が排紙ローラ対94のニップから抜け出る直前のタイミングで、排紙モータ104の駆動速度が減速せしめられて、原稿MSが原稿スタック台55から飛び出さないような速度で排紙されるように制御される。
【0050】
一方、原稿MSの両面(第一面及び第二面)を読み取る場合には、排紙センサ61によって原稿MSの先端が検知された後、第二固定読取部95に到達するまでのタイミングが読取モータ103のパルスカウントに基づいて演算される。そして、そのタイミングでコントローラ100から本体制御部111に対して原稿MSの第二面における副走査方向の有効画像領域を示すゲート信号が送信される。この送信は、原稿MSの後端が第二固定読取部95による第二読取位置を抜け出るまで続けられ、原稿MSの第二面が第二固定読取部95によって読み取られる。
【0051】
読取手段としての第二固定読取部95は、密着型イメージセンサ(CIS)からなり、原稿MSに付着している糊状の異物が読取面に付着することによる読取縦すじを防止する目的で、読取面にコーティング処理が施されている。
【0052】
次に、本実施形態の特徴点について説明する。
図8は、従来の第二固定読取部95の周辺を示す拡大構成図である。
図8に示すように、従来の構成においては、原稿MSが通過する原稿搬送路を挟んで第二固定読取部95に対向する位置には、原稿MSを非読取面側(第一面側)から支持する原稿支持手段としての第二読取ローラ96が配設されている。また、原稿を第二固定読取部95の読取面に当接させて、第二固定読取部95の読取面に付着した異物を除去するために、読取出口ローラ対92から第二固定読取部95の間に設けられた一対のガイド部材を以下のように構成している。すなわち、原稿搬送路を基準にして第二固定読取部95側の上ガイド部材221の原稿搬送方向下流側の箇所を、上ガイド部材220と対向する下ガイド部材220側へ折り曲げている。また、下ガイド部材220の上ガイド部材221の折り曲げ部220aよりも原稿搬送方向下流側の箇所を、第二固定読取部95側へ折り曲げている。
【0053】
図9は、A4用紙で連量180kgの原稿MSを搬送したときの図8に示す従来構成における読取出口ローラ対92の搬送トルクを示すグラフであり、図10は、従来構成における紙厚の異なる原稿MSを搬送したときの第二固定読取部95の各位置における原稿接触回数を示す図である。
図9に示すように、従来の構成においては、原稿MSが読取出口ローラ対92による搬送が開始(図9の点A)されてから、しばらくすると、急激に搬送トルクが上昇しているのがわかる。これは、原稿MSの先端が、上ガイド部材221の折り曲げ部221aに突き当たって、下ガイド部材220側へ強制的湾曲せしめられる結果、急激に搬送トルクが上昇したと考えられる。
また、図10に示すように、原稿MSの厚みにより、原稿MSの第二固定読取部95に接触する位置が異なることがわかる。第二固定読取部95の読取面は、読取位置に対して±2mmであるため、例えば、連量110kgの原稿の接触回数が最も多い位置を読取位置に設定しても、連量180kgの原稿MSや、連量35kgの原稿MSは、読取面にほとんど接触しないため、厚みの厚い原稿や、薄い原稿では、読取面のクリーニング効果を期待することができない。これも、従来の構成は、上ガイド部材221と下ガイド部材220とで原稿MSを強制湾曲させているので、原稿MSのコシにより、第二固定読取部95に接触する位置がばらついたものと考えられる。
【0054】
図11は、本実施形態における第二固定読取部95周辺の概略構成図である。
図11に示すように、本実施形態においては、下ガイド部材120が、原稿搬送路を挟んで第二固定読取部95に対向している。具体的には、下ガイド部材120は、原稿搬送路を挟んで第二固定読取部95と対向する対向ガイド部120bと、対向ガイド部120bよりも原稿搬送方向上流側に配置され、読取出口ローラ対92から第二固定読取部95まで原稿を案内する上流側下ガイド部120aと、対向ガイド部120bよりも原稿搬送方向下流側に配置され、第二固定読取部95から第二読取出口ローラ対93まで原稿を案内する下流側下ガイド部120cとを備えている。また、上流側下ガイド部120aに原稿搬送路を挟んで対向するよう上流側上ガイド部材121が設けられており、下流側下ガイド部120cに原稿搬送路を挟んで対向するよう下流側上ガイド部材122が設けられている。
【0055】
図11に示すように、本実施形態においては、読取出口ローラ対92の原稿搬送位置X1(読取出口ローラ対のニップ)を、読取位置Bよりも下側に設けている。また、読取位置Bから第二読取出口ローラ対93の原稿搬送位置X2までの原稿搬送路が、読取出口ローラ対92の原稿搬送位置X1から読取位置までの原稿搬送路に対して、第二固定読取部95の読取面95aに対して垂直に引いた線Mを基準に線対称となっている。また、第二読取出口ローラ対93の原稿搬送速度と、読取出口ローラ対92原稿搬送速度とは、等速度となっている。第二固定読取部95の読取面95aは、図中Cの範囲であり、読取位置Bに対して±2mmの範囲である。
【0056】
本実施形態においては、読取出口ローラ対92のニップである原稿搬送位置X1に進入した原稿MSは、上流側上ガイド部材121と、下ガイド部材120の上流側下ガイド部120aとに案内されて、読取位置Bへと移動する。このとき、読取出口ローラ対92の原稿搬送位置X1は、読取位置Bに対して図中下側にあるので、下ガイド部材の上流側下ガイド部120aと、第二固定読取部95と対向する対向ガイド部との交点Y1まで搬送された原稿は、第二固定読取部95の読取面95aへ向けて搬送される。これにより、原稿を読取面95a(図中Cの範囲内)に接触させることができ、読取面95aに付着した異物を原稿に付着させることができ、読取面95aに付着した異物をクリーニングすることができる。また、図8に示した従来の構成のように、上ガイド部材で、一旦、原稿を下向きに強制的に湾曲させずとも、原稿は、第二固定読取部95の読取面95aへ向けて搬送させることができる。これにより、原稿搬送に必要なトルクを減らすことができ、読取出口ローラ対92を駆動する駆動モータを小型化することができる。また、原稿を下向きに強制的に湾曲させないため、原稿のコシによる当接位置の変動を抑制することもできる。
【0057】
読取位置Bから第二読取出口ローラ対93の原稿搬送位置X2までの原稿搬送路が、読取出口ローラ対92の原稿搬送位置X1から読取位置までの原稿搬送路に対して、線Mを基準に線対称となっており、第二読取出口ローラ対93の原稿搬送位置X2が、読取位置よりも図中下側にあるため、下ガイド部材120の対向ガイド部120bと、下流側下ガイド部120cとの交点Y2を原稿MSの先端が越えると、原稿自身のコシにより、図中凸状に撓んで、搬送される。よって、下流側下ガイド部120cとの交点Y2を原稿の先端が越えた後は、原稿自身のコシにより、原稿MSを第二固定読取部95の読取面95aに接触させることができる。しかも本実施形態おいて、読取位置Bから原稿搬送方向上流側の原稿搬送路と、下流側の原稿搬送路とが線Mを基準に線対称となっているため、上流側原稿搬送路G1と下流側原稿搬送路G2とに跨って原稿が搬送されているときの原稿MSの挙動を安定化させることができる。これにより、原稿MSを安定的に読取面95aに接触させることができ、良好に読取面95aに付着した異物をクリーニングすることができる。また、第二読取出口ローラ対93の搬送速度を、読取出口ローラ対92の搬送速度よりも遅くしなくても、原稿を図中凸状に撓ませることができる。これにより、原稿MSの搬送速度の低下を抑制することができ、生産性を高めることができる。
【0058】
また、本実施形態においては、上流側上ガイド部材121と上流側下ガイド部120aとで形成された上流側原稿搬送路G1が、図中凹状となっている。これにより、上流側下ガイド部120aと対向ガイド部120bとの交点Y1まで搬送された原稿MSを、確実に第二固定読取部95の読取面95aに向けて搬送することができ、確実に原稿MSを第二固定読取部95の読取面95aに接触させることができる。
【0059】
次に、本発明者らが行った検証実験について説明する。
原稿の厚みが異なると、紙のコシも異なり、読取出口ローラ対92の原稿搬送位置X1から第二読取出口ローラ対93の原稿搬送位置X2までの搬送原稿MSの挙動が異なる場合がある。原稿MSの厚みにより、挙動が異なると、原稿MSの厚みによっては、読取面95a(図中Cの範囲)に原稿が接触しない場合があり、十分なクリーニング性が得られない場合がある。そこで、本発明者らは、原稿MSの厚みが異なっても、読取面95aに原稿MSが接触できる条件について、鋭意研究した。その結果、図12に示すように、第二固定読取部95の読取面95aと、上流側下ガイド部120aと対向ガイド部120bとの交点Y1と読取位置Bとを結んだ線L1とがなす角度θ1が、原稿MSを読取面95aに接触させるための重要な条件であることを突き止めた。角度θ1を小さくすると、原稿MSの第二固定読取部95との接触位置が、原稿搬送方向上流側にずれ、原稿MSが読取面95aで接触しなくなる。逆に、角度θ1を大きくすると、対向ガイド部120bと第二固定読取部95とのクリアランスが大きくなり、撓んだ原稿が、第二固定読取部95に接触しなくなる。よって、角度θ1を最適値にすることで、原稿MSを、読取面95aに接触させることが可能となる。
【0060】
また、図12に示すように、第二固定読取部95の読取面95aと、上流側下ガイド部120aと対向ガイド部120bとの交点Y1と読取出口ローラ対92の原稿搬送位置X1とを結んだ線L2とがなす角度θ2が、第二固定読取部95の読取面95aと、上流側上ガイド部材121の接線のうち、上流側下ガイド部120aと対向ガイド部120bとの交点Y1を通る接線L3とがなす角度θ3よりも大きいとき(θ2>θ3)は、原稿MSは、上流側上ガイド部材121と接触することなく、搬送される。すなわち、この場合は、原稿搬送位置X1(読取出口ローラ対92のニップ)が、上流側原稿搬送路G1内での搬送原稿MSの姿勢を決める重要な条件である。上流側原稿搬送路G1内での搬送原稿MSの姿勢によって、原稿搬送時の読取出口ローラ対92の搬送トルクや、原稿MSの第二固定読取部95との接触位置が変化する。このため、角度θ2も、原稿MSを読取面95aに接触させるための重要な条件である。
【0061】
一方、図13に示すように、θ2<θ3の場合は、原稿MSは、上流側上ガイド部材121の接線L3との接点Dと接触して、上流側上ガイド部材121が、上流側原稿搬送路G1内での搬送原稿MSの姿勢を決める重要な条件となる。よって、θ2<θ3の場合は、θ3が、原稿MSを読取面95aに接触させるための重要な条件となる。
【0062】
下記表1は、上記θ1およびθ2(またはθ3)をそれぞれ異なるガイド構成で、原稿搬送力と、クリーニング性(読取面95a(図中Cの範囲内)の接触回数)とを調べた結果を示すものである。また、図14は、各ガイド構成における原稿搬送方向各位置における原稿の第二固定読取部95へ接触回数を調べたグラフである。図14中のBは読取位置を示しており、図中Cは第二固定読取部95の読取面95aを示している。原稿搬送力は、ガイド板の形状などから、必要な搬送力をシミュレーション解析で求めた結果である。また、接触位置は、0.2秒毎に原稿と第二固定読取部95との接触部分の原稿搬送方向中心部の位置をシミュレーション解析で計測した。また、原稿が、読取面Cを抜けるまでの時間は約0.4秒であるので、読取面95aでの原稿MSの接触回数が400回以上の構成を、クリーニング性「OK」と判定し、400回未満のものをクリーニング性「NG」と判定した。また、検証条件は、A4横の用紙を搬送し、原稿搬送速度を595m/sに設定した。また、読取出口ローラ対92の原稿搬送位置X1から、第二読取出口ローラ対の原稿搬送位置X2までの原稿搬送長さは、76mmに設定した。
【0063】
【表1】
【0064】
表1に示すように、θ1の角度が、4.1°〜6.1°のときは、連量35kgの薄紙、連量180kgの厚紙ともに、読取面95aでの接触回数が、400回以上となり、いずれの場合も、良好なクリーニング性が得られる結果が得られた。一方、θ1の角度が2.9°のガイド構成(No.1、6)においては、図14(a)、(f)に示すような、読取面95a(図中Cの範囲)からはずれた位置に2つのピークを持つグラフが得られた。これは、第二固定読取部95と対向ガイド部120bとで形成された読取原稿搬送路G3(図11参照)で、原稿MSが波打って搬送されたため、図14に示すようなグラフとなったと考えられる。また、角度θ1が、7.1°のNo.7のガイド構成においては、図14(g)に示すように、原稿が、第二固定読取部95にほとんど接触していなかった。これは、角度θ1が大きくなりすぎ、第二固定読取部95と対向ガイド部120bとのクリアランスが大きくなって、原稿MSが撓んでも、第二固定読取部95に接触しなかったためと考えられる。このことから、θ1を、4.1°〜6.1°の範囲に設定することにより、良好なクリーニング性を確保することができる。
【0065】
また、θ1の角度が同一のNo.2、3、8の実験結果を比べると、θ2(またはθ3)の角度が大きいNo.2、No.3は、図14(b)、図14(c)に示すように、接触位置にばらつきが生じているが、No.8のガイド構成は、図14(h)に示すように、厚紙、薄紙とも、原稿がほぼ読取位置Bで接触していることがわかる。また、表1に示すように、No.8のガイド機構の方が、No.2、No.3のガイド構成に比べて、搬送力が低下していることがわかる。
これは、θ2(またはθ3)の角度が大きいNo.2、No.3は、図15(a)に示すように、交点Y1から第二固定読取部95へ向かう際の角度が、図15(b)に示すように、θ2(またはθ3)の角度が小さい場合に比べて大きくなる。その結果、原稿MSの先端が第二固定読取部95に突き当るような形となり先端が第二固定読取部95により強制的に湾曲せしめられる形で搬送されるようになり、搬送力が大きく、また、波打ちが生じやすくなったと考えられる。一方、No.8においては、交点Y1から第二固定読取部95へ向かう際の角度が小さく、原稿が第二固定読取部95にスムーズに案内されながら、湾曲するようになるため、搬送力が低下し、また、波打ちが生じにくいと考えられる。また、ガイド機構により無理な負荷をかけずに原稿MSを搬送することができ、原稿のコシの影響を極力抑えることができ、厚紙・薄紙ともに接触位置をほぼ同じ位置にすることができたと考えられる。
【0066】
また、θ1は、θ2やθ3よりも小さくする必要がある。これは、θ1がθ2よりも大きいと、読取位置Bが、図15(b)に示す位置よりも上方になり、原稿MSが、読取面95aに接触しなくなるためである。
【0067】
図16は、No.1のガイド構成における原稿搬送力の時間変化を示すグラフであり、図17は、No.5のガイド構成における原稿搬送力の時間変化を示すグラフであり、図18は、No.7のガイド構成における原稿搬送力の時間変化を示すグラフである。図16に示すように、No.1のガイド機構においては、θ2(またはθ39の角度が、大きいため、原稿MSの先端が第二固定読取部95に突入するときの角度が大きいため、読取出口ローラ対92による原稿搬送が開始されて、しばらくすると、急激に搬送力が増加する。一方、図17に示すように、No.5のガイド機構においては、θ2(またはθ3)の角度が小さいので、急激に搬送力が増加することなく、原稿をスムーズに第二固定読取部95に接触させて、搬送できていることがわかる。また、図17と、図18とを比較してわかるように、θ2(またはθ3)の角度が小さくすることで、原稿MSが第二固定読取部95に当たっていない場合と、ほぼ同じような変化が得られていることがわかる。つまり、No5.ガイド構成は、原稿に無理な負荷を掛けることなく、原稿を読取面95aに接触させて、搬送できていることを示していると考えられる。
【0068】
そして、表1からわかるように、θ2(またはθ3)の角度を、13.2〜18.6°の範囲で設定することにより、原稿搬送力を抑えることができる。これにより、読取出口ローラ対92を回転駆動させる駆動モータとしてトルクが大きな大型のモータを用いずとも、読取出口ローラ対92で原稿を良好に搬送することができる。これにより、装置の大型化を抑制することができる。
【0069】
本実施形態では、第二固定読取部95に下ガイド部材120を対向させているが、図8に示すように、従来構成同様、第二読取ローラ96を、第二固定読取部95の読取面95aに対向配置してもよい。
【0070】
また、上述では、上流側原稿搬送路G1を、第二固定読取部95と反対側(下ガイド部材側)へ湾曲させているが、上流側原稿搬送路G1を直線状に形成してもよい。上流側原稿搬送路G1を直線状にしても、原稿MSを、第二固定読取部95の読取面95aに原稿を当てることができる。
【0071】
以上、本実施形態の画像読取装置たるADF51は、原稿MSを搬送する搬送手段たる読取出口ローラ対92と、読取出口ローラ対92によって搬送されてきた原稿MSの画像を読み取る読取手段たる第二固定読取部95と、読取出口ローラ対92と第二固定読取部95との間に配置され、原稿MSをガイドするガイド手段(上流側上ガイド部材121、下ガイド部材120)とを備えている。第二固定読取部95の読取面95aに対して平行、かつ、第二固定読取部95の原稿読取位置Bにおける原稿搬送方向に対して直交する方向から見たとき、読取出口ローラ対92の原稿搬送位置X1を、読取位置Bよりも下側に配置し、ガイド手段で上方へ原稿をガイドした。かかる構成にすることにより、上述したように、上ガイド部材で、原稿を下ガイド部材側へ原稿を強制湾曲させずとも、原稿を第二固定読取部95の読取面95aに接触するよう、搬送することができ、読取出口ローラ対92の搬送トルクを低減することができる。これにより、モータの大型化を抑制することができ、装置の小型化を図ることができる。また、読取出口ローラ対92に駆動モータの駆動力伝達する機構にかかる負荷を低減することができ、装置の耐久性を向上させることができる。
【0072】
また、上流側上ガイド部材121と下ガイド部材の上流側下ガイド部120aにより形成された原稿搬送路たる上流側原稿搬送路G1が、上流側原稿搬送路G1を基準にして第二固定読取部95と反対側に凸となるような形状となっている。これにより、上流側原稿搬送G1内を搬送されてきた原稿MSを、第二固定読取部95の読取面95aに突入するように搬送することができる。また、第二固定読取部95と対向する箇所に進入するときの原稿搬送路が、原稿搬送路を基準にして第二固定読取部95側に凸となるような形状となっている。これにより、第二固定読取部の読取面に接触した原稿が、スムーズに第二固定読取部側へ湾曲させることができ、搬送トルクの上昇を抑制することができ、かつ、原稿を読取面95aに良好に接触させることができる。
【0073】
また、上流側上ガイド部材121と下ガイド部材120の上流側下ガイド部120aにより形成された原稿搬送路たる上流側原稿搬送路G1を直線状にしても、上流側原稿搬送G1内を搬送されてきた原稿MSを、第二固定読取部95の読取面95aに突入するように搬送することができる。
【0074】
また、上記ガイド手段は、上記原稿搬送路を基準にして、第二固定読取部95側に配置された第一ガイド部たる上流側上ガイド部材121と、上流側上ガイド部材121と上記原稿搬送路を挟んで対向配置された第二ガイド部たる上流側下ガイド部120aとを備え、上記第二固定読取部95の読取面に対して平行、かつ、上記第二固定読取部95の読取位置Bにおける原稿搬送方向に対して直交する方向から見たとき、上流側上ガイド部材121が、上流側下ガイド部120aの原稿搬送方向下流端(対向ガイド部120bとの交点)Y1と原稿搬送位置X1とを結んだ線分L2よりも、原稿搬送路を基準にして第二固定読取部95側にあるとき、読取位置Bと、上流側下ガイド部120aの原稿搬送方向下流端Y1とを結んだ線分L1と、上記読取面95aとのなす角度をθ1、上流側下ガイド部120aの原稿搬送方向下流端Y1と上記原稿搬送位置X1とを結んだ線分と、上記読取面95aとのなす角度をθ2としたとき、θ1<θ2とした。θ2が、θ1よりも小さいと、原稿搬送方向下流端Y1から読取面95aへ向かうときの原稿の搬送速度小さくなり、原稿MSが第二固定読取部95に接触しないおそれがある。θ1<θ2とすることにより、原稿MSを良好に読取面95aに接触させることができる。
【0075】
また、上流側上ガイド部材121の一部が、上記線分L2よりも下ガイド部材側にあるときは、上記第二ガイド部の原稿搬送方向下流端を通る上記第一ガイド部の接線と、上記読取面とのなす角度θ3をθ1よりも大きくする(θ1<θ3)。これにより、原稿MSを良好に読取面95aに接触させることができる。
【0076】
また、θ1の角度を4.1°以上、6.1°以下とすることにより、上述した検証実験に示したように、原稿の厚みが異なっても、良好に読取面95aに原稿MSを接触させることができる。これにより、読取面95aを良好にクリーニングすることができる。
【0077】
また、上記θ2または上記θ3を、13.2°以上、18.6°以下とすることで、上述した検証実験に示したように、原稿MSを搬送するときの読取出口ローラ対92に必要な搬送力を低減することができ、モータの大型化を抑制することができる。
【0078】
また、上記読取位置Bよりも原稿搬送方向下流側に配置された下流側搬送手段たる第二読取出口ローラ対93の搬送位置X2を、上記読取位置Bにおける原稿搬送路を基準にして、上記第二固定読取部95と反対側に配置した。これにより、原稿の先端が読取位置から第二読取出口ローラ対93へ搬送されると、原稿を読取面側へ湾曲させることができる。これにより、良好に読取面に原稿を接触させることができ、良好な読取面95aのクリーニング性を確保することができる。
【0079】
また、読取位置Bから第二読取出口ローラ対93までの原稿搬送路を、上記読取出口ローラ対92から上記読取位置Bまでの原稿搬送路に対して、上記原稿読取位置における原稿搬送方向に対して直交する方向を基準線にして、線対称にした。これにより、読取位置Bよりも原稿搬送上流側と下流側とで同様な湾曲で原稿を搬送することができる。これにより、安定して原稿MSを読取面95aに接触させることができる。
【0080】
また、第二読取出口ローラ対93の原稿搬送速度を、上記読取出口ローラ対92の原稿搬送速度と同じにした。本実施形態においては、上述のようにして原稿を搬送することで、第二読取出口ローラ対93の原稿搬送速度を、上記読取出口ローラ対92の原稿搬送速度よりも遅くせずとも、原稿を湾曲させることができる。よって、第二読取出口ローラ対93の原稿搬送速度を、上記読取出口ローラ対92の原稿搬送速度と同じにでき、第二読取出口ローラ対93の原稿搬送速度を、上記読取出口ローラ対92の原稿搬送速度よりも遅くしたものに比べて生産性を高めることができる。
【0081】
また、本実施形態の画像形成装置においては、上述したADF51を備えることで、縦スジの発生が抑制された良好な画像を複写することができる。
【符号の説明】
【0082】
1:画像形成部
50:画像読取ユニット
92:読取出口ローラ対
93:第二読取出口ローラ対
95:第二固定読取部
95a:読取面
120:下ガイド部材
120a:上流側下ガイド部
120b:対向ガイド部
120c:下流側下ガイド部
121:上流側上ガイド部材
122:下流側上ガイド部材
500:複写機
B:読取位置
G1:上流側原稿搬送路
G2:下流側原稿搬送路
G3:読取原稿搬送路
MS:原稿
【先行技術文献】
【特許文献】
【0083】
【特許文献1】特許第4477043号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿を搬送する搬送手段と、
上記搬送手段によって搬送されてきた原稿の画像を読み取る読取手段と、
上記搬送手段と上記読取手段との間に配置され、上記原稿をガイドするガイド手段とを備える画像読取装置において、
上記読取手段の読取面に対して平行、かつ、上記読取手段の読取位置における原稿搬送方向に対して直交する方向から見たとき、上記搬送手段が、上記原稿に搬送力を付与する原稿搬送位置を、上記読取手段の読取面の垂直方向において、上記読取位置よりも下側に配置し、上記原稿搬送位置を通過した原稿が、上方へ向けてガイドされるようにガイド手段を構成したことを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
請求項1の画像読取装置において、
上記ガイド手段により形成される上記搬送手段から上記読取手段との対向する箇所に進入するまでの原稿搬送路を、直線状にし、
上記読取手段と対向する箇所に進入するときの原稿搬送路が、該原稿搬送路を基準にして上記読取手段側に凸となるような形状としたことを特徴とする画像読取装置。
【請求項3】
請求項1の画像読取装置において、
上記ガイド手段により形成された原稿搬送路が、該原稿搬送路を基準にして上記読取手段側と反対側に凸となるような形状とし、
上記読取手段と対向する箇所に進入するときの原稿搬送路が、該原稿搬送路を基準にして上記読取手段側に凸となるような形状としたことを特徴とする画像読取装置。
【請求項4】
請求項2または3の画像読取装置において、
上記ガイド手段は、上記原稿搬送路を基準にして、上記読取手段側に配置された第一ガイド部と、上記第一ガイド部と上記原稿搬送路を挟んで対向配置された第二ガイド部とを備え、
上記読取手段の読取面に対して平行、かつ、上記読取手段の上記原稿読取位置における原稿搬送方向に対して直交する方向から見たとき、
上記第一ガイド部が、上記第二ガイド部の原稿搬送方向下流端と上記原稿搬送位置とを結んだ線分よりも、上記原稿搬送路を基準にして上記読取手段側にあり、
上記原稿読取位置と、上記第二ガイド部の原稿搬送方向下流端とを結んだ線分と、上記読取面とのなす角度をθ1、
上記第二ガイド部の原稿搬送方向下流端と上記原稿搬送位置とを結んだ線分と、上記読取面とのなす角度をθ2としたとき、
θ1<θ2
としたことを特徴とする原稿読取装置。
【請求項5】
請求項2の画像読取装置において、
上記ガイド手段は、上記原稿搬送路を基準にして、上記読取手段側に配置された第一ガイド部と、上記第一ガイド部と上記原稿搬送路を挟んで対向配置された第二ガイド部とを備え、
上記読取手段の読取面に対して平行、かつ、上記読取手段の上記原稿読取位置における原稿搬送方向に対して直交する方向から見たとき、
上記第一ガイド部の一部が、上記第二ガイド部の原稿搬送方向下流端と上記原稿搬送位置とを結んだ線分よりも、上記原稿搬送路を基準にして上記読取手段側と反対側に突き出た構成であり、
上記原稿読取位置と、上記第二ガイド部の原稿搬送方向下流端とを結んだ線分と、上記読取面とのなす角度をθ1、
上記第二ガイド部の原稿搬送方向下流端を通る上記第一ガイド部の接線と、上記読取面とのなす角度をθ3としたとき、
θ1<θ3
としたことを特徴とする画像読取装置。
【請求項6】
請求項4または5の画像読取装置において、
上記θ1を、4.1°以上、6.1°以下としたことを特徴とする画像読取装置。
【請求項7】
請求項4乃至6いずれかの画像読取装置において、
上記θ2または上記θ3を、13.2°以上、18.6°以下にしたことを特徴とする画像読取装置。
【請求項8】
請求項1乃至7いずれかの画像読取装置において、
上記読取手段の読取面に対して平行、かつ、上記読取手段の原稿読取位置における原稿搬送方向に対して直交する方向から見たとき、
上記読取面の垂直方向において、上記原稿読取位置よりも原稿搬送方向下流側に配置された下流側搬送手段が、原稿に搬送力を付与する原稿搬送位置を、上記原稿読取位置よりも下側に配置したことを特徴とする画像読取装置。
【請求項9】
請求項8の画像読取装置において、
上記読取手段の読取面に対して平行、かつ、上記読取手段の原稿読取位置における原稿搬送方向に対して直交する方向から見たとき、
上記原稿読取位置から上記下流側搬送手段までの原稿搬送路を、上記搬送手段から上記原稿読取位置までの原稿搬送路に対して、上記原稿読取位置における原稿搬送方向に対して直交する方向を基準線にして、線対称にしたことを特徴とする画像読取装置。
【請求項10】
請求項8または9の画像読取装置において、
上記下流側搬送手段の原稿搬送速度を、上記搬送手段の原稿搬送速度と同じにしたことを特徴とする画像読取装置。
【請求項11】
原稿の画像を読み取る画像読取手段と、該画像読取手段による読取結果に基づいて画像を形成する画像形成手段とを備える画像形成装置において、
上記画像読取手段として、請求項1乃至10のいずれかの画像読取装置を用いたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
原稿を搬送する搬送手段と、
上記搬送手段によって搬送されてきた原稿の画像を読み取る読取手段と、
上記搬送手段と上記読取手段との間に配置され、上記原稿をガイドするガイド手段とを備える画像読取装置において、
上記読取手段の読取面に対して平行、かつ、上記読取手段の読取位置における原稿搬送方向に対して直交する方向から見たとき、上記搬送手段が、上記原稿に搬送力を付与する原稿搬送位置を、上記読取手段の読取面の垂直方向において、上記読取位置よりも下側に配置し、上記原稿搬送位置を通過した原稿が、上方へ向けてガイドされるようにガイド手段を構成したことを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
請求項1の画像読取装置において、
上記ガイド手段により形成される上記搬送手段から上記読取手段との対向する箇所に進入するまでの原稿搬送路を、直線状にし、
上記読取手段と対向する箇所に進入するときの原稿搬送路が、該原稿搬送路を基準にして上記読取手段側に凸となるような形状としたことを特徴とする画像読取装置。
【請求項3】
請求項1の画像読取装置において、
上記ガイド手段により形成された原稿搬送路が、該原稿搬送路を基準にして上記読取手段側と反対側に凸となるような形状とし、
上記読取手段と対向する箇所に進入するときの原稿搬送路が、該原稿搬送路を基準にして上記読取手段側に凸となるような形状としたことを特徴とする画像読取装置。
【請求項4】
請求項2または3の画像読取装置において、
上記ガイド手段は、上記原稿搬送路を基準にして、上記読取手段側に配置された第一ガイド部と、上記第一ガイド部と上記原稿搬送路を挟んで対向配置された第二ガイド部とを備え、
上記読取手段の読取面に対して平行、かつ、上記読取手段の上記原稿読取位置における原稿搬送方向に対して直交する方向から見たとき、
上記第一ガイド部が、上記第二ガイド部の原稿搬送方向下流端と上記原稿搬送位置とを結んだ線分よりも、上記原稿搬送路を基準にして上記読取手段側にあり、
上記原稿読取位置と、上記第二ガイド部の原稿搬送方向下流端とを結んだ線分と、上記読取面とのなす角度をθ1、
上記第二ガイド部の原稿搬送方向下流端と上記原稿搬送位置とを結んだ線分と、上記読取面とのなす角度をθ2としたとき、
θ1<θ2
としたことを特徴とする原稿読取装置。
【請求項5】
請求項2の画像読取装置において、
上記ガイド手段は、上記原稿搬送路を基準にして、上記読取手段側に配置された第一ガイド部と、上記第一ガイド部と上記原稿搬送路を挟んで対向配置された第二ガイド部とを備え、
上記読取手段の読取面に対して平行、かつ、上記読取手段の上記原稿読取位置における原稿搬送方向に対して直交する方向から見たとき、
上記第一ガイド部の一部が、上記第二ガイド部の原稿搬送方向下流端と上記原稿搬送位置とを結んだ線分よりも、上記原稿搬送路を基準にして上記読取手段側と反対側に突き出た構成であり、
上記原稿読取位置と、上記第二ガイド部の原稿搬送方向下流端とを結んだ線分と、上記読取面とのなす角度をθ1、
上記第二ガイド部の原稿搬送方向下流端を通る上記第一ガイド部の接線と、上記読取面とのなす角度をθ3としたとき、
θ1<θ3
としたことを特徴とする画像読取装置。
【請求項6】
請求項4または5の画像読取装置において、
上記θ1を、4.1°以上、6.1°以下としたことを特徴とする画像読取装置。
【請求項7】
請求項4乃至6いずれかの画像読取装置において、
上記θ2または上記θ3を、13.2°以上、18.6°以下にしたことを特徴とする画像読取装置。
【請求項8】
請求項1乃至7いずれかの画像読取装置において、
上記読取手段の読取面に対して平行、かつ、上記読取手段の原稿読取位置における原稿搬送方向に対して直交する方向から見たとき、
上記読取面の垂直方向において、上記原稿読取位置よりも原稿搬送方向下流側に配置された下流側搬送手段が、原稿に搬送力を付与する原稿搬送位置を、上記原稿読取位置よりも下側に配置したことを特徴とする画像読取装置。
【請求項9】
請求項8の画像読取装置において、
上記読取手段の読取面に対して平行、かつ、上記読取手段の原稿読取位置における原稿搬送方向に対して直交する方向から見たとき、
上記原稿読取位置から上記下流側搬送手段までの原稿搬送路を、上記搬送手段から上記原稿読取位置までの原稿搬送路に対して、上記原稿読取位置における原稿搬送方向に対して直交する方向を基準線にして、線対称にしたことを特徴とする画像読取装置。
【請求項10】
請求項8または9の画像読取装置において、
上記下流側搬送手段の原稿搬送速度を、上記搬送手段の原稿搬送速度と同じにしたことを特徴とする画像読取装置。
【請求項11】
原稿の画像を読み取る画像読取手段と、該画像読取手段による読取結果に基づいて画像を形成する画像形成手段とを備える画像形成装置において、
上記画像読取手段として、請求項1乃至10のいずれかの画像読取装置を用いたことを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2012−199684(P2012−199684A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−61505(P2011−61505)
【出願日】平成23年3月18日(2011.3.18)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月18日(2011.3.18)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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