説明

画像読取装置及びこれを搭載した画像形成装置

【課題】反射板が集光機能の他、キャリッジによる走査を安定させる機能をも有した画像読取装置及びこれを搭載した画像形成装置を提供する。
【解決手段】原稿を載置する原稿面(6)と、原稿面に対して移動するキャリッジ(40)とを具備し、キャリッジは、ハウジング(41)と、ハウジングの光源取付台(44)に設置された棒状の光源(46)と、光源取付台とは別個に形成されており、光源を部分的に囲繞し、光源からの光を原稿面に向けて集光させるとともに、キャリッジによる走査を安定させる反射板(54)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機やファクシミリ等に代表される画像形成装置に用いられる画像読取装置及びこれを搭載した画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の画像読取装置では原稿面に原稿を載置し、画像形成装置のスタートボタンを押し下げると、この原稿は光学的に読み取られる。
そして、電子写真プロセスを用いる画像形成装置では、感光体ドラムを予め帯電し、このドラムの表面に光を照射して静電潜像を形成する。次いで、現像されたトナー画像を用紙に転写及び定着する。
【0003】
ここで、この原稿を光学的に読み取るには、適正な照度が原稿面に必要になる。そこで、高光沢性を有する反射板を棒状の光源の周囲に設置しておき、この光源から原稿面への直接光の他、反射板から原稿面への反射光をも利用し、原稿面にて所望の断面配光分布を得る技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。なお、この反射板の材料には、例えば光輝アルミ、アルミ蒸着シート、白色シート、若しくは白色樹脂等の如くの高光沢性を有する材料が知られている。
【0004】
【特許文献1】特開平4−282628号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述した光源や反射板は、原稿面に対して移動する樹脂製のキャリッジに設置されている。詳しくは、このキャリッジのハウジングは、その内部に複数のレンズやミラーが組み付けられている。そして、棒状の光源は、ハウジングの上部、つまり、その光源取付台に設置されており、ハウジングの内部から外部に引き出された給電線に接続されている。
【0006】
すなわち、この給電線はハウジングからはみ出し、これでは、給電線がキャリッジによる走査時に周辺部材に引っ掛かり易くなるとの問題がある。
また、このハウジングは、その内部の光路を極力広く確保すべく、空洞状に構成されている点にも留意しなければならない。つまり、ハウジングの厚さは小さくされ、その成型時には反りが、ミラー等の組み付け後には剛性が不足し得るとの懸念がある。
【0007】
これらの課題を解決すべく、反射板には走査を安定させるための何等かの措置が必要になる。しかし、上記従来の技術の反射板は、光源取付台に一体的に形成されており、この課題を解決するための措置については格別の配慮がなされていない。
そこで、本発明の目的は、上記課題を解消し、反射板が集光機能の他、キャリッジによる走査を安定させる機能をも有した画像読取装置及びこれを搭載した画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための第1の発明は、原稿を載置する原稿面と、原稿面に対して移動するキャリッジとを具備し、キャリッジは、ハウジングと、ハウジングの光源取付台に設置された棒状の光源と、光源取付台とは別個に形成されており、光源を部分的に囲繞し、光源からの光を原稿面に向けて集光させるとともに、キャリッジによる走査を安定させる反射板とを備える。
【0009】
第1の発明によれば、画像読取装置は、原稿面に対して移動するキャリッジを具備しており、このキャリッジのハウジング、詳しくは、その光源取付台には棒状の光源が設置されている。一方、このハウジングには、光源を部分的に囲繞して光を原稿面に向けて集光させる反射板が設置されているが、反射板は光源取付台とは別個に形成されている。
【0010】
そして、この反射板は、この集光機能の他、キャリッジによる走査を安定させる走査安定機能をも有している。このように、反射板が複数の機能を備えていれば、画像読取装置の部品点数が削減され、画像読取装置の軽量化及び低廉化に寄与する。
【0011】
第2の発明は、第1の発明の構成において、光源取付台に敷設され、光源に電力を供給する給電線を備え、反射板は、光源を部分的に囲繞する反射曲面と、反射曲面を支持するとともに、給電線を覆い隠す支持プレートとを有していることを特徴とする。
第2の発明によれば、第1の発明の作用に加えてさらに、反射板が光源取付台とは別部材で構成されることにより、給電線を覆い隠すことができる。これにより、この給電線はハウジングからはみ出さない。つまり、給電線が走査時にも周辺部材に引っ掛からないので、キャリッジによる走査が良好に実施可能になる。
【0012】
第3の発明は、第1や第2の発明の構成において、反射板は、光源を部分的に囲繞する反射曲面と、反射曲面を支持するとともに、光源取付台に係合する支持プレートとを有していることを特徴とする。
第3の発明によれば、第1や第2の発明の作用に加えてさらに、反射板が光源取付台とは別部材で構成されることにより、光源取付台に係合すれば、光源取付台やハウジングの剛性が向上する。よって、この場合にもキャリッジによる走査が良好に実施可能になる。
【0013】
第4の発明は、第1から第3の発明の構成において、光源は、冷陰極管ランプであることを特徴とする。
第4の発明によれば、第1から第3の発明の作用に加えてさらに、冷陰極管ランプを用いれば、キセノンランプを用いる場合に比して装置の低廉化がより一層達成される。
【0014】
第5の発明は、第1から第4の画像読取装置を搭載した画像形成装置であることを特徴とする。
第5の発明によれば、第1から第4の発明の作用に加えてさらに、反射板が上述した走査安定機能をも備えていれば、原稿の画像データを安定して読み取り可能になり、画像形成装置の信頼性向上に寄与する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、反射板が集光機能や走査安定機能との複数の機能を有した画像読取装置及びこれを搭載した画像形成装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1には、画像形成装置の一例である複合機1が左前上方から示されており、操作者に相対する複合機1の正面と、この複合機1の左側面とが見えている。この複合機1は装置本体2を備え、この本体2の内側には排紙トレイ36が形成されている。
【0017】
本実施例の装置本体2の上部には原稿押さえ4が配置され、この原稿押さえ4の下面にはコンタクトガラス(原稿面)6が配置されている(図2)。そして、このガラス6に載置された原稿の画像データは、スキャナ部(画像読取装置)7で光学的に読み取られる(図3)。なお、この原稿押さえ4に換えて、原稿を所定の画像読取位置に搬送する自動原稿搬送装置(ADF)も搭載可能である。
【0018】
コンタクトガラス6の手前側には操作パネル8が設置されている。このパネル8には、操作者の各種操作に供される複数の操作キーやスイッチが配置され、各種情報を表示する表示画面も設けられている。
装置本体2の下部には給紙カセット12が配置される。このカセット12は装置本体2に対して着脱可能に構成され、複合機1の正面側に向けて引き出されると、カセット12の内部が外部に開かれる。このカセット12の内部には、例えば普通紙が積層された状態で収納されている。
【0019】
一方、カセット12の上方にはフロントカバー20が配置されている。詳しくは、当該カバー20は、装置本体2の正面側を覆う門型状に形成され、その下端部分は装置本体2に回動自在に支持されている。
また、このカバー20には手差しトレイ22が設置され、このトレイ22はカバー20の近傍にて装置本体2に回動自在に支持されている。当該トレイ22は例えば厚紙等の特殊紙を積層可能に構成されている。そして、カバー20を複合機1の正面側に向けて引くと、装置本体2の内部が外部に開かれ、このカバー20を複合機1の背面側に向けて押し込めば、装置本体2の内部が閉じられる。
【0020】
図3に示される如く、この装置本体2の内部には、給紙カセット12や手差しトレイ22からの用紙搬送方向でみて下流側にレジストローラ14、画像形成部16及び転写部30が順番に配置されている。
画像形成部16は感光体ドラムを有し、また、この画像形成部16の近傍には露光部15が備えられており、この露光部15からは、レーザ光がドラムに向けて照射される。
【0021】
さらに、転写部30は転写ローラを有しており、このローラはドラムに対して圧接可能に構成されている。そして、これら転写ローラとドラムとは、供給されたトナーを用いてトナー像を用紙に転写するためのニップ部を形成する。なお、この際、この転写ローラにはトナーとは逆特性の電圧が印加される。
また、用紙搬送方向でみて転写部30の下流側には、定着部32及び排紙トレイ36が順番に配置されている。
【0022】
そして、この複合機1が印刷を行う際は、カセット12からの普通紙やトレイ22からの特殊紙が1枚ずつ分離して送出される。これら送出された普通紙や特殊紙である用紙はレジストローラ14に到達する。このローラ14は、用紙の斜め送りを矯正しつつ、画像形成部16で形成されるトナー画像との画像転写タイミングを計りながら、用紙を転写部30へと送出する。
【0023】
一方、同図の入力ポート60は、印刷の元になる画像データが外部やスキャナ部7からそれぞれ受信可能に構成されている。この画像データは、文字や符号、図形、記号、線図、模様等の各種の画像がデータ化されたものである、そして、このデータに基づき、コントローラ(メインECU)50ではレーザ光の照射が制御される。
【0024】
このコントローラ50はコンピュータとして機能する要素であり、CPUやメモリ等のハードウエア資源を有している。そして、コントローラ50は、このハードウエア資源を用いて所定のプログラムを実行する。これにより、画像形成部16においてドラム上に原稿画像の静電潜像が作られ、続いてこの静電潜像からドラム上にトナー画像が形成される。
【0025】
このトナー画像は上記ニップ部にて用紙に転写される。その後、用紙は未定着トナー画像を担持した状態で定着部32に向けて送られ、この定着部32にて所定の温度に達した熱ローラで加圧され、トナー画像が定着される。次いで、定着部32から送出された用紙は排出ローラ35を介して排紙トレイ36に排出される。
【0026】
ところで、上述したスキャナ部7は、コンタクトガラス6の下側にて配置され、このガラス6に沿って水平方向(副走査方向)に移動するキャリッジ40を有しており、原稿の画像データを読み取っている。
具体的には、キャリッジ40は、図4から図6に示されるように、略直方体形状のハウジング41を備えており、図示しない駆動モータやタイミングベルトを用いて、その長手方向(主走査方向)に略直交する方向に向けて移動する。
【0027】
このハウジング41は例えばABS樹脂にて空洞状に形成され、その内部に複数のレンズやミラー42が組み付けられている。
また、ハウジング41には、その上部分が光源取付台44で覆われており、この光源取付台44はキャリッジ40のカバーとしての機能も備えている。そして、当該取付台44には、棒状の冷陰極管ランプ(光源)46が設置されている。
【0028】
詳しくは、当該ランプ46は、その外周面に反射膜を有しない光源であり、その管長方向(主走査方向)の両端部分が光源取付台44に支持され、この両端部分は、ランプ46に電力を供給する給電線48に接続されている。給電線48はハウジング41の内部から外部に引き出されており、ハウジング41の外部ではランプ46の管長方向に沿って光源取付台44に敷設される一方(図5)、ハウジング41の内部では点灯回路基板(インバータ基板)に接続される。
【0029】
この光源取付台44には、ランプ46からの光をガラス6に向けて集光させる反射板54が取り付けられている。
具体的には、反射板54は例えば白色樹脂で構成され、図5に示されるように、光源取付台44とは別個に形成されており、この反射板54は、反射曲面56と、支持プレート64とから構成されている。
【0030】
当該反射曲面56は、断面視で略C字状に形成され(図4)、上記主走査方向、つまり、ランプ46の管長方向に亘ってランプ46の半周側を部分的に囲繞している。
これに対し、上記支持プレート64は、反射曲面56の外周面に連なっており、ランプ46の管長方向に亘って反射曲面56を支持している。また、当該プレート64は、その両端近傍及び中央部分の計3箇所に穿設された位置決め穴66を有し、さらに、本実施例では、各位置決め穴66,66の間に計2箇所の係合溝68が形成されている。
【0031】
ここで、反射板54がハウジング41の上方から光源取付台44に設置されると(図5)、反射曲面56がランプ46を部分的に囲繞し、支持プレート64は給電線48をほぼ覆い隠すことができる(図6)。
また、支持プレート64の位置決め穴66が、光源取付台44に立設された3つの位置決めピン70に係合し、同時に、支持プレート64の係合溝68が同じく光源取付台44に立設された2つの係合爪72に係合すれば、支持プレート64は光源取付台44の補強も可能になる。
【0032】
なお、これらピン70と係合爪72との位置を変更する、つまり、プレート64の両端近傍及び中央部分の計3箇所に係合溝68を有し、各係合溝68の間に計2箇所の位置決め穴66を形成すれば、支持プレート64は光源取付台44を確実に補強できる。
また、ランプ46を挟んで反射板54とは反対側の位置には、副反射板52が設けられている。この副反射板52は、光源取付台44に一体的に固定され、ランプ46からの光をガラス6に向けて集光させる。
【0033】
これらランプ46からの直接光、及び反射板54や副反射板52からの反射光がガラス6に照射されると、光軸を中心とした所望の断面配光分布が得られる。この照射された光はミラー42やレンズを経て光電変換素子(CCD)にて読み取られ、所定の信号に変換される。そして、原稿画像の静電潜像がドラム上に形成される。
【0034】
以上のように、本実施例によれば、スキャナ部7は、コンタクトガラス6に対して移動するキャリッジ40を具備しており、このキャリッジ40のハウジング41、詳しくは、その光源取付台44には棒状の冷陰極管ランプ46が設置されている。一方、このハウジング41には、ランプ46を部分的に囲繞して光をガラス6に向けて集光させる反射板54が設置されているが、この反射板54は光源取付台44とは別個に形成されている。
【0035】
そして、この反射板54は、この集光機能の他、キャリッジ40による走査を安定させる走査安定機能をも有している。すなわち、反射板54が複数の機能を備えていれば、スキャナ部7の部品点数が削減され、スキャナ部7の軽量化及び低廉化に寄与する。
【0036】
また、反射板54が光源取付台44とは別部材で構成されることにより、給電線48を覆い隠すことができる。換言すれば、支持プレート64が走査安定機能の1つとして給電線48の押さえ機能を備えている。これにより、この給電線48はハウジング41からはみ出さない。つまり、給電線48が走査時にも周辺部材に引っ掛からないので、キャリッジ40による走査が良好に実施可能になる。
【0037】
さらに、反射板54が光源取付台44とは別部材で構成され、反射曲面56と支持プレート64との組み合わせ形状が比較的高い断面2次モーメント有した形状であることにより、光源取付台44に係合すれば、光源取付台44の剛性が向上する。換言すれば、特に、支持プレート64が走査安定機能の1つとして光源取付台44やハウジング41の剛性向上機能を備えることになり、この場合にもキャリッジ40による走査が良好に実施可能になる。
【0038】
さらにまた、冷陰極管ランプ46を用いれば、キセノンランプを用いる場合に比して装置の低廉化がより一層達成される。
また、反射板54が、集光機能に加え、上述した給電線48の押さえ機能や光源取付台44の剛性向上機能を備えていれば、原稿の画像データを安定して読み取り可能になり、複合機1の信頼性向上に寄与する。
【0039】
本発明は、上記実施例に限定されず、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で種々の変更を行うことができる。例えば上記実施例の各構成は、その一部を省略したり、上記とは異なるように任意に組み合わせることができる。
また、上記実施例では画像形成装置として複合機に具現化した例を示しているが、本発明は複写機や、プリンタ、ファクシミリ等自体にも当然に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本実施例における画像形成装置の外観斜視図である。
【図2】図1の画像形成装置の外観斜視図であり、原稿面を視認させた状態を示す図である。
【図3】図1の画像形成装置の概略構成図である。
【図4】図3のスキャナ部の部分断面図である。
【図5】図3のスキャナ部の外観斜視図であり、キャリッジへの反射板の取り付け前を示す図である。
【図6】図3のスキャナ部の外観斜視図であり、キャリッジへの反射板の取り付け後を示す図である。
【符号の説明】
【0041】
1 複合機(画像形成装置)
6 コンタクトガラス(原稿面)
7 スキャナ部(画像読取装置)
40 キャリッジ
41 ハウジング
44 光源取付台
46 冷陰極管ランプ(光源)
48 給電線
54 反射板
56 反射曲面
64 支持プレート
72 係合爪


【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿を載置する原稿面と、
該原稿面に対して移動するキャリッジとを具備し、
該キャリッジは、
ハウジングと、
該ハウジングの光源取付台に設置された棒状の光源と、
前記光源取付台とは別個に形成されており、前記光源を部分的に囲繞し、該光源からの光を前記原稿面に向けて集光させるとともに、前記キャリッジによる走査を安定させる反射板と
を備えることを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像読取装置であって、
前記光源取付台に敷設され、前記光源に電力を供給する給電線を備え、
前記反射板は、
前記光源を部分的に囲繞する反射曲面と、
該反射曲面を支持するとともに、前記給電線を覆い隠す支持プレートと
を有していることを特徴とする画像読取装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の画像読取装置であって、
前記反射板は、
前記光源を部分的に囲繞する反射曲面と、
該反射曲面を支持するとともに、前記光源取付台に係合する支持プレートと
を有していることを特徴とする画像読取装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の画像読取装置であって、
前記光源は、冷陰極管ランプであることを特徴とする画像読取装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の画像読取装置を搭載したことを特徴とする画像形成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−219011(P2009−219011A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−62567(P2008−62567)
【出願日】平成20年3月12日(2008.3.12)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】