説明

画像読取装置及びそれを備えた画像形成装置

【課題】原稿押さえ部の開閉負荷によるガイドレールの変形を抑制できる画像読取装置及びそれを備えた画像形成装置を提供する。
【解決手段】フレーム63の後部側面66bには内側に突出する深さ2mm〜3mmの絞り部70が設けられている。絞り部70にはビス穴70aが形成されており、ガイドレール67のビス穴67aとビス穴70aとを重ね合わせてビス71を螺入することで、ガイドレール67が後部側面66bに所定の間隔を隔てて固定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファクシミリや複写機等に用いられる画像読取装置及びそれを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置の本体中央部に画像形成部が配置され、最上部に画像読取部が配置されるとともに、画像形成部と画像読取部の間の空間に画像が形成された用紙を排紙する、いわゆる機内排紙型のファクシミリや複写機等の画像形成装置が知られている。
【0003】
このような機内排紙型の画像形成装置においては、構造上、装置の高さが高くなりがちであるため、装置高さの低減のため画像読取部の薄型化が求められている。しかし、原稿搬送部を開閉する際にヒンジ部に回転モーメントが発生するため、ヒンジ部を画像読取部に直接固定する構成の場合には、この回転モーメントにより画像読取部に大きな負荷が掛かり、歪みや変形が生じやすくなる。画像読取部に歪みや変形が発生すると、画像読取部の内部に設置されている走査装置や光学装置の位置関係に誤差が生じ、画像読み取り性能に悪影響を与えるため、歪みや変形が発生しないように画像読取部自体の構成を強固にする必要があり、画像読取部の薄型化、軽量化の妨げとなる上、コスト面においても不利となっていた。
【0004】
そこで、原稿搬送部の回動により生じるヒンジ部の回転モーメントによる画像読取部への負荷を軽減し、画像読取部の薄型化を可能とする方法が提案されており、特許文献1には、画像読取部と画像形成部とを連結する支柱にヒンジ部を固定することにより、ヒンジ部の回転モーメントの負荷を支柱に分散して画像読取部への負担を軽減した画像形成装置が開示されている。
【0005】
また、特許文献2には、画像読取装置のフレームの少なくとも一部にエンボス部を設けることにより、回転モーメントによる画像読取部への負荷を軽減する方法が開示されている。
【特許文献1】特開2003−51906号公報
【特許文献2】特開2005−130347号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の方法では、ヒンジ部が画像読取部の支柱に固定されているため、ヒンジ部の回転モーメントが支柱を介して画像読取部へある程度伝達されてしまう。そのため、画像読取部への負担を完全に抑え、画像読取部の変形を確実に防止することは困難であった。また、原稿搬送部の重量は機種によって様々であり、例えば高速処理の可能な画像形成装置においては積載可能な最大原稿量が多くなるため、それだけ原稿搬送部が大きくなり重量も重くなる。よって、支柱を通じての画像読取部への負担も大きくなると考えられる。
【0007】
また、特許文献2の方法においても、エンボス部によりフレームの剛性は向上するものの、原稿搬送部の開閉によるヒンジ部の取り付けられた後部側面の変形を完全に防止することは困難であった。また、一般的に後部側面にはランプやミラーが搭載されたキャリッジの駆動のためのガイドレールが設置されているため、後部側面の変形と共にガイドレールも変形し、画像の読み取り精度に悪影響を及ぼすという問題点があった。なお、ここでは原稿搬送部を備えた画像読取装置について説明したが、原稿押さえ部のみを有する画像読取装置においても程度の差はあるものの同様の問題点があった。
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑み、原稿押さえ部の開閉負荷によるガイドレールの変形を抑制できる画像読取装置及びそれを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明は、原稿を照明し、原稿からの反射光を画像光として結像する走査光学系と、該走査光学系が搭載されガイドレールに沿って移動可能なキャリッジとを有する画像読取部と、該画像読取部の上面を覆う原稿押さえ部と、該原稿押さえ部を前記画像読取部に対して回動自在に保持するヒンジ部と、を備えた画像読取装置において、前記画像読取部のフレームの前記ヒンジ部が取り付けられる側面の内側に、前記ガイドレールの一部のみが直接若しくは間接的に接触するように前記ガイドレールを取り付けたことを特徴としている。
【0010】
また本発明は、上記構成の画像形成装置において、前記原稿押さえ部の上部に設けられ原稿を読取位置へ搬送する原稿搬送部を備えたことを特徴としている。
【0011】
また本発明は、上記構成の画像形成装置において、前記フレームの内側に突出する絞り部を前記フレーム側面の複数箇所に設け、該絞り部に前記ガイドレールを取り付けたことを特徴としている。
【0012】
また本発明は、上記構成の画像形成装置において、前記ガイドレールの前記フレームとの当接面に、前記フレーム側に突出する絞り部を複数箇所に設け、該絞り部を前記フレーム側面に取り付けたことを特徴としている。
【0013】
また本発明は、上記構成の画像形成装置において、前記フレーム側面との間にスペーサを介在させて前記ガイドレールを取り付けたことを特徴としている。
【0014】
また本発明は、上記構成の画像形成装置において、前記ヒンジ部は、前記フレーム側面の両側角部から中央寄りに取り付けられており、前記ガイドレールの両端部近傍を、前記ヒンジ部の外側であって前記フレーム側面の両側角部近傍に1箇所ずつ固定したことを特徴としている。
【0015】
また本発明は、上記構成の画像読取装置が搭載された画像形成装置である。
【発明の効果】
【0016】
本発明の第1の構成によれば、画像読取部のフレームのヒンジ部が取り付けられる側面の内側に、ガイドレールの一部のみが直接若しくは間接的に接触するようにガイドレールを取り付けることにより、ガイドレールとフレーム側面との間に隙間が形成される。従って、原稿押さえ部の開閉により画像読取部のフレーム側面が変形した場合でも、それに伴うガイドレールの変形を抑制することができる。
【0017】
また、本発明の第2の構成によれば、上記第1の構成の画像読取装置において、原稿押さえ部の上部に設けられ原稿を読取位置へ搬送する原稿搬送部を備えることにより、重量の重い原稿搬送部が設けられた原稿押さえ部の開閉負荷によるガイドレールの変形を抑制できる。
【0018】
また、本発明の第3の構成によれば、上記第1又は第2の構成の画像読取装置において、フレームの内側に突出する絞り部をフレーム側面の複数箇所に設け、該絞り部にガイドレールを取り付けることにより、簡単な構成でフレーム側面の変形に伴うガイドレールの変形を抑制するとともに、部品点数や組み立て工数を削減でき、さらにフレーム自体の変形も抑制することができる。
【0019】
また、本発明の第4の構成によれば、上記第1又は第2の構成の画像読取装置において、ガイドレールのフレームとの当接面に、フレーム側に突出する絞り部を複数箇所に設け、該絞り部をフレーム側面に取り付けることにより、簡単な構成でフレーム側面の変形に伴うガイドレールの変形を抑制するとともに、部品点数や組み立て工数を削減ことができる。
【0020】
また、本発明の第5の構成によれば、上記第1又は第2の構成の画像読取装置において、フレーム側面との間にスペーサを介在させてガイドレールを取り付けることにより、簡単な構成でフレーム側面の変形に伴うガイドレールの変形を抑制することができる。
【0021】
また、本発明の第6の構成によれば、上記第1乃至第5のいずれかの構成の画像読取装置において、ヒンジ部をフレーム側面の両側角部から中央寄りに取り付け、ガイドレールの両端部近傍をフレーム側面の両側角部近傍に1箇所ずつ固定することにより、ガイドレールがヒンジ部から遠く且つ剛性の高いフレーム角部近傍に固定されるため、ガイドレールの固定部が変形し難くなり、ガイドレールの変形を最小限に抑制することができる。
【0022】
また、本発明の第7の構成によれば、上記第1乃至第6のいずれかの構成の画像読取装置を搭載することにより、ガイドレールの変形による画像読取不良の発生が抑制されるため、従来に比べコンパクトで、且つ画像品質も優れた画像形成装置となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の画像読取装置が搭載された画像形成装置の内部構成を示す正面断面図である。
【0024】
図1に示すように、画像形成装置100は、いわゆる胴内排出型のデジタル複写機であって、大きくは、本体ハウジング20と、その上部に配設された画像読取装置21とから構成されている。画像読取装置21は、原稿画像を電気信号として読み取るための後述する各種機構が設けられた画像読取部26と、複数枚の原稿を画像読取位置に順次搬送する原稿搬送部27とを有している。他方、本体ハウジング20内には、画像読取装置21で読み取られた原稿画像の電気信号に基づいて用紙に画像を転写するための後述する各種機構が設けられる。
【0025】
本体ハウジング20は、下ハウジング20aと、その上方で左側部に沿って位置し画像読取装置21に連結される連結ハウジング20bと、で構成され、下ハウジング20aには、用紙を収容し給紙するための給紙部や、用紙上にトナー画像を形成する画像形成部や、用紙上のトナー画像を定着するための定着部等が設けられ、他方、連結ハウジング20bには、定着後の用紙を搬送して排出するための用紙排出部が設けられている。また、画像読取装置21の直下における連結ハウジング20bの右側方には、右側面及び正面に向けて大きく開放された胴内排紙空間22が形成されており、この胴内排紙空間22には、連結ハウジング20bの右側面から水平方向に排出される用紙を受け取って積載するための用紙排出トレイ23が設けられている。
【0026】
画像読取部26の上面には、コンタクトガラス(原稿台)25や、正面側に表出した操作パネル(図示せず)が配設されている。更に、画像読取装置21の上方には、コンタクトガラス25における画像読取位置Rにシート状の原稿を搬送する原稿搬送部27を搭載した原稿押さえ部28が、画像読取部26の背面にヒンジ部によって開閉自在に支持されている。原稿押さえ部28は、コンタクトガラス25に対して閉じて原稿の読取動作がなされる閉状態と、コンタクトガラス25に対して開いた開状態とを取り得る。
【0027】
原稿搬送部27は、複数枚の原稿を整合して積載する原稿ガイド29aを備えた原稿給紙トレイ29と、コンタクトガラス25における画像読取位置Rの上方に位置し原稿給紙トレイ29が突設された原稿カバー30と、この原稿カバー30の側方で原稿押さえ部28の上面の一部に直付けで形成された原稿排出トレイ31とを含み、原稿給紙トレイ29から原稿カバー30内を経て原稿排出トレイ31に至る原稿搬送路dが形成されている。
【0028】
原稿カバー30内には、原稿搬送路dに沿って上流側から順に、ピックアップローラ32、搬送ローラ対33、レジストローラ対34、及び排出ローラ対35から成る原稿搬送手段が設けられている。これらのうちで搬送ローラ対33は、駆動ローラ33aと分離ローラ33bとから構成されていて、分離ローラ33bは回転負荷が所定トルクを下回る場合のみ駆動ローラ33aと逆方向に回転し、回転負荷が所定トルクを上回る場合には駆動ローラ33aと従動回転するようになっている。
【0029】
レジストローラ対34と排出ローラ対35の間には、コンタクトガラス25における画像読取位置Rに対向して配置されたシェーディング補正用の白基準板36と、白基準板36の上部にあって白基準板36を画像読取位置Rに向けて押圧するための原稿押圧部36aと、が設けられている。なお、原稿搬送路dは搬送ローラ対33から画像読取位置Rに至る間において反転するように湾曲している。
【0030】
また、原稿搬送路dには、原稿の存否を検知するための複数のセンサが適所に設けられている。例えば、原稿給紙トレイ29の中央部には原稿検知センサS1が、搬送ローラ対33の下流側には給紙センサS2が、排出ローラ対35の下流側には排出センサS3が、それぞれ設けられている。原稿給紙トレイ29上にセットされた原稿は、原稿搬送手段によって1枚づつ順次、原稿搬送路dを通して搬送され、画像読取位置Rを通過した後に原稿排出トレイ31上に順次排出される。原稿排出トレイ31上に排出された原稿はユーザの手によって取り出される。
【0031】
次に、原稿搬送部27を用いたシートスルー方式の原稿搬送動作について説明する。シートスルー方式の原稿搬送動作においては、先ず、原稿給紙トレイ29に画像面を上向きにセットされた複数枚の原稿は、ばね部材37aによって上向きに付勢された昇降板37により、所定の圧力でピックアップローラ32に押しつけられる。ここで操作パネルのコピー開始ボタンがオンされると、一次給紙駆動手段(不図示)により、ピックアップローラ32及び搬送ローラ対33が回転駆動される。
【0032】
原稿給紙トレイ29にセットされた原稿は、ピックアップローラ32によって通常上段の複数枚が搬送ローラ対33に送られる。搬送ローラ対33に送られた複数枚の原稿は、分離ローラ33bにより最上の1枚のみが分離されてレジストローラ対34に向けて搬送される。その際、その原稿の先端が給紙センサS2によって検出されてから所定の距離だけその原稿が搬送された後、一次給紙駆動手段の作動停止によって搬送ローラ対33の駆動ローラ33a及びピックアップローラ32の回転駆動が停止され一次給紙が終了する。一次給紙された原稿は、その先端がレジストローラ対34のニップ部に押圧され、且つその先端部に撓みが形成された状態で停止させられる。
【0033】
一次給紙が終了してから所定時間経過後、二次給紙が開始される。つまり、二次給紙駆動手段(不図示)の作動により、レジストローラ対34が回転駆動される。原稿は、レジストローラ対34により、画像読取位置Rを経て排出ローラ対35に向けて搬送された後、最終的には排出ローラ対35によって原稿排紙トレイ31上に排出される。その際、排出センサS3により原稿の後端通過を検知したことによって、原稿1枚の画像読み取りの完了を検出するようになっている。
【0034】
ここで排出センサS3は、原稿の給紙搬送完了毎に原稿枚数を計数するカウント機能を有しており、原稿検知センサS1が後続の原稿を検知していれば、2枚目以降の原稿搬送が上記と同様に続行される。なお、原稿は、画像読取位置Rを通過する際に、白基準板36と原稿押圧部36aによってコンタクトガラス25に向けて軽く押圧されながら搬送され、その原稿の画像が画像読取位置Rを通じて読み取られるようになっている。
【0035】
続いて、原稿の画像を電気信号として読み取るための画像読取部26の構成について、図1を参照しながら説明する。画像読取部26内には、原稿の画像面に向けて光を照射する光源であるランプ1と、このランプ1からの光を効率よく原稿の画像面に与えるための反射板2と、原稿反射光を直接に受けて反射させる第1ミラー3と、この第1ミラー3からの反射光を受けて反射させる第2ミラー4と、この第2ミラー4からの反射光を受けて反射させる第3ミラー5と、この第3ミラー5からの反射光を導入して集光するレンズ群(不図示)を保持した鏡胴6と、この鏡胴6のレンズ群で集光された原稿反射光を受けて電気信号に変換する光電変換素子(例えばライン型のCCD)7とがベースプレート10上に配設されている。なお、原稿反射光の光路を一点鎖線で示す。
【0036】
ここで、ランプ1、反射板2及び第1ミラー3は第1キャリッジ8上に一体的に固定され、また、第2ミラー4及び第3ミラー5は第2キャリッジ9上に一体的に固定されており、これらの第1キャリッジ8と第2キャリッジ9は、相互に独立しているが連携して往復移動可能になっている。つまり、上記のシートスルー方式で原稿画像の読取動作が行われる際は、第1キャリッジ8が画像読取位置Rの直下に移動して保持されるとともに、第2キャリッジ9が所定位置に保持され、他方、原稿固定方式の際は、第1キャリッジ8と第2キャリッジ9は相互に原稿反射光の光路長を一定に維持しながら往復移動(走査移動)する。
【0037】
このような構成のもと、ランプ1から照射されて原稿の画像面で反射した原稿反射光は、第1ミラー3〜第3ミラー5で反射して鏡胴6内のレンズ群に導入され、レンズ群で集光されて光電変換素子7上に結像する。そして、この光電変換素子7で光電変換処理がなされ、原稿画像は電気信号として読み取られる。
【0038】
続いて、読み取った原稿画像の電気信号に基づいてシートに画像を転写するために、本体ハウジング20内に設けられた各種機構の構成について、図1を参照しながら以下に説明する。先ず、シートの給紙部について述べる。下ハウジング20aの下部には、種々サイズのシート(主として用紙)を収納し、正面から出し入れ可能な給紙カセット40が配設されていて、この給紙カセット40に収納されているシートPは、繰り出しコロ40aにより1枚ずつ送り出される。また、下ハウジング20aの下部における左側面には、必要に応じて引き倒される開閉可能な手差しトレイ41が設けられていて、この手差しトレイ41にセットされているシート(用紙やOHPシート)P′は、繰り出しコロ41aにより1枚ずつ送り出される。
【0039】
次に、シート上にトナー画像を形成する画像形成部、及びシート上のトナー画像を定着するための定着部について述べる。下ハウジング20a内における給紙カセット40の上方には、主たる画像形成部を構成する感光体ドラム42をはじめ、この感光体ドラム42の周囲に、帯電装置43、レーザ露光ユニット44、現像装置45、転写ローラ46、及びクリーニング装置47が配設されている。また、下ハウジング20a内における転写ローラ46の上方且つ連結ハウジング20bの直下には定着装置48が配設されている。
【0040】
感光体ドラム42は、正帯電性のアモルファスシリコン製であって、駆動時には所定の周速度で図3中時計回りに回転する。感光体ドラム42の表面は、高電圧が印加された帯電装置43から発生したコロナ放電によって一様に帯電された後、上述した光電変換モジュール7からの原稿画像の電気信号に基づくレーザ露光ユニット44からのビーム光の照射によって、所定の明電位と暗電位の部分からなる静電潜像が形成される。
【0041】
更に、感光体ドラム42の回転によって、静電潜像は現像位置にまで回転移動する。現像装置45の構成要素である現像ローラ45aは、ステンレス製で内部に固定磁石を有しており、感光体ドラム42と所定の間隙をもって回転自在に支持され、駆動時には感光体ドラム42と同一方向に所定の周速度で回転する。現像装置45内には、例えば体積平均粒径9μm(コールターカウンターでの計測によるメジアン径)の正帯電の磁性トナーが充填されており、磁性ブレード(不図示)によって現像ローラ45aの表面にトナー薄層が形成される。また、現像ローラ45aには、所定の現像バイアス電圧が印加されている。現像領域に達したトナーは、その現像バイアス電圧により現像ローラ45aの表面から飛翔して感光体ドラム42の表面の静電潜像に吸着し、トナー像が形成(現像)される。
【0042】
ここで、給紙カセット40(又は手差しトレイ41)から1枚ずつ繰り出されてレジストローラ対49に到達したシートP(又はP′)は、感光体ドラム42上のトナー像が転写ローラ46に接近するのに同期して、レジストローラ対49で搬送タイミングが調整されながら上方に向けて送り出され、搬送路T1を通じて感光体ドラム42と転写ローラ46との間に搬送される。そして、そのシートPの先端とトナー像の先端が一致して転写ローラ46を通過することにより、トナー像中のトナーのほとんどがシートP上に転写される。
【0043】
シートP上に転写されずに感光体ドラム42の表面に残留したトナーは、クリーニング装置47によって感光体ドラム42から除去される。一方、トナー像が転写されたシートPは定着装置48へ送られる。定着装置48は、加熱ローラ48a及び加圧ローラ48bからなる定着ローラ対を有していて、この定着ローラ対によって互いのニップを通過するシートP上のトナー顕像を加熱・加圧して定着させ、これによりシートPには定着された転写画像が形成される。
【0044】
定着装置48を通過したシートPは、そのまま垂直上方に向く垂直搬送路T2に沿って連結ハウジング20b内に搬送される。この連結ハウジング20b内には、垂直搬送路T2に連結された搬送ローラ対50、用紙排出トレイ23にシートPを排出するための排出ローラ対51が配設されている。搬送ローラ対50から送り出されシートPは、搬送路T3を通って排出ローラ対51に達し、排出ローラ対51から用紙排出トレイ23へ排出される。
【0045】
図2及び図3は、本発明の画像読取装置を正面側及び背面側から見た斜視図である。図1と共通する部分は同一の符号を付して説明を省略する。原稿搬送部27は、画像読取部26に対しヒンジ部60を支点として、開状態から閉状態まで回動可能に固定されている。ヒンジ部60は、公知のカムスライダーやバネ等によって構成されており、原稿搬送部27を所定の操作力で操作可能にするとともに所定の角度で静止させることが可能となっている。
【0046】
また、原稿搬送部27を開放したとき、原稿搬送部27の重量のほとんどはヒンジ受け61に掛かっている。そして、原稿搬送部27の開閉により発生する装置前後方向(矢印XX′方向)のモーメントはヒンジ受け61を介してフレーム63の後部側面66b(図4参照)に伝達される。
【0047】
図4及び図5は、本発明の第1実施形態の画像読取装置を構成するフレームを正面側及び背面側から見た斜視図であり、図6は、フレームを上方から見た平面図である。フレーム63は、底面65と、底面65の周囲に立設された前部側面66a、後部側面66b、左側面66c及び右側面66dで構成されており、ヒンジ受け61は後部側面66bの左右2箇所に設けられている。
【0048】
前部側面66a及び後部側面66bの内側には断面コ字状のガイドレール67が取り付けられており、第1キャリッジ8及び第2キャリッジ9(図1参照)がガイドレール67上を往復移動してコンタクトガラス25(図1参照)上の原稿を走査する。底面65には鏡胴6や光電変換素子7が配設されたベースプレート10(図1参照)が装着される。また、後部側面66bの2箇所には凹状(内側に向けて凸状)の絞り部70が設けられている。
【0049】
絞り部70の拡大図を図7に示す。この例においては、フレーム63は厚さ1.6mmの亜鉛メッキ鋼板(SECC)で形成されており、後部側面66bの内側に深さ2mm〜3mmの略矩形状の凸部を設けて絞り部70としている。絞り部70にはビス穴63aが形成されており、ガイドレール67のビス穴67aとビス穴63aとを重ね合わせてビス71(図8参照)を螺入することでガイドレール67が後部側面66bに固定される。この絞り部70は、例えば画像読取装置21の組み立て前に、後部側面66bをプレスにより絞り加工して設けられる。
【0050】
図8は、第1実施形態の画像読取装置を構成するフレーム63の、後部側面66b付近の部分断面図(図5のAA′断面)である。本実施形態の構成では、図8に示すように、絞り部70の深さ分だけガイドレール67と後部側面66bとの間に隙間Dが形成される。これにより、後部側面66bの変形がガイドレール67に伝達されにくくなるため、原稿搬送部27の負荷により後部側面66bが変形したとしても、それに伴うガイドレール67の変形を防止することができる。
【0051】
絞り部70の形状、個数、及び配置については特に制限はないが、ガイドレール67を安定して取り付けるためには後部側面66bの2箇所以上に形成しておく必要がある。一方、絞り部70の個数が増加するにつれて後部側面66bとガイドレール67との接触面積が大きくなり、後部側面66bの変形がガイドレール67に伝達され易くなる。そのため、絞り部70は後部側面66bの2箇所に設けることが好ましく、原稿搬送部27の開閉による絞り部70の歪みや変形が最小限に抑えるために、図5に示すように、絞り部70をヒンジ部60からできるだけ離れたフレーム63の両角部近傍に1箇所ずつ設けることがより好ましい。
【0052】
なお、ここでは絞り部70の深さを2mm〜3mmとしたが、これに限定されるものではなく、フレーム63の変形防止効果及び加工の容易性等を考慮して、フレームの板厚や材質、原稿搬送部の重量等に応じて適宜選定される。さらに、絞り部70の大きさについても、フレーム63の高さやガイドレール67のレール幅等に応じて本発明の目的の範囲内で適宜変更可能である。
【0053】
図9は、本発明の第2実施形態の画像読取装置に用いられるガイドレールの部分拡大図であり、図10は、第2実施形態の画像読取装置を構成するフレーム63の後部側面66bにガイドレール67を取り付ける様子を示す部分断面図である。本実施形態においては、絞り部70をガイドレール67の背面(後部側面66bへの当接面)側に設け、絞り部70にビス穴67aを形成している。
【0054】
この構成により、ガイドレール67を後部側面66bにビス固定したとき、第1実施形態と同様に絞り部70の深さ分だけガイドレール67と後部側面66bとの間に隙間が形成される。従って、後部側面66bの変形に伴うガイドレール67の変形を防止することができる。本実施形態においても、絞り部70は後部側面66bの両角部近傍に対向する位置に1箇所ずつ設けることが好ましい。また、絞り部70の形状等についても第1実施形態と同様に適宜変更可能である。
【0055】
図11は、本発明の第3実施形態の画像読取装置に用いられるガイドレールの部分拡大図であり、図12は、第3実施形態の画像読取装置を構成するフレーム63の後部側面66bにガイドレール67を取り付ける様子を示す部分断面図である。本実施形態においては、絞り部70を設けずにガイドレール67と後部側面66bとの間にスペーサ73を介在させ、ガイドレール67のビス穴67a、スペーサ73の貫通穴73a、及び後部側面66bのビス穴63aにビス71(図8参照)を螺入してガイドレール67を固定する。
【0056】
この構成により、ガイドレール67を後部側面66bにビス固定したとき、スペーサ73の厚み分だけガイドレール67と後部側面66bとの間に隙間が形成される。従って、第1及び第2実施形態と同様に後部側面66bの変形に伴うガイドレール67の変形を防止することができる。本実施形態においても、ビス穴63aを後部側面66bの両角部近傍に1箇所ずつ設けてガイドレール67の両端部近傍を固定することが好ましい。また、スペーサ73を予めガイドレール67若しくは後部側面66bに固定しておいても良い。
【0057】
その他、本発明は上記各実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、上記各実施形態ではガイドレール67をフレーム63にビス固定しているが、ハトメやリベットを用いて固定しても良いし、溶接により固定しても良い。
【0058】
また、上記各実施形態においては、原稿搬送部27を支持するヒンジ受け61はフレーム63の外部に隣接して設けられているが、ヒンジ受け61をフレーム63の内側に設ける構成としても良く、画像読取装置21から支柱を下方に延長し、画像読取装置21と装置本体とが支柱により連結されるような構成としても良い。或いは、支柱を設けずフレーム63に直接ヒンジ部を取り付けて原稿搬送部27を支持することもできる。そして、これらの構成においても本発明が適用可能であるのはもちろんである。さらに、本発明は原稿押さえ部28の上部に原稿搬送部27が設けられていない構成においても有効である。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、原稿押さえ部がヒンジ部を介して開閉可能に支持される画像読取装置に利用可能であり、画像読取部のフレームのヒンジ部が取り付けられる側面の内側に、ガイドレールの一部のみが直接若しくは間接的に接触するようにガイドレールを取り付けたものである。
【0060】
これにより、原稿押さえ部の開閉により画像読取部のフレームが変形した場合でも、それに伴うガイドレールへの影響を最小限に抑えることができる。特に、原稿押さえ部の上部に重量の重い原稿搬送部が設けられている場合にもガイドレールの変形を効果的に抑制できる。ガイドレールの取り付け方法としては、フレーム側若しくはガイドレール側に絞り部を設ける方法や、フレーム及びガイドレールの間にスペーサを介在させる方法が挙げられる。特に、フレーム側に絞り部を設けた場合、スペーサ等の部品点数や組み立て工数を削減できるとともにフレームの剛性が高まりフレーム自体の変形も抑制できるため、画像読取装置、ひいてはこれを用いた画像形成装置全体の薄型化、軽量化にも貢献できる。
【0061】
また、ヒンジ部をフレーム側面の両側角部から中央寄りに取り付け、ガイドレールの両端部近傍をフレーム側面の両側角部近傍に1箇所ずつ固定することにより、ガイドレールの固定部が変形し難くなり、ガイドレールの変形を最小限に抑制可能となる。
【0062】
また、本発明の画像読取装置を搭載することにより、従来に比べコンパクトで、且つ画像品質も優れた画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】は、本発明の画像読取装置が搭載された画像形成装置の側面断面図である。
【図2】は、本発明の画像読取装置を正面側から見た外観斜視図である。
【図3】は、本発明の画像読取装置を背面側から見た外観斜視図である。
【図4】は、本発明の第1実施形態の画像読取装置を構成するフレームを正面側から見た斜視図である。
【図5】は、第1実施形態の画像読取装置を構成するフレームを背面側から見た斜視図である。
【図6】は、第1実施形態の画像読取装置を構成するフレームの平面図である。
【図7】は、絞り部の拡大図である。
【図8】は、フレームの後部側面付近の部分断面図である。
【図9】は、本発明の第2実施形態の画像読取装置に用いられるガイドレールの端部付近の斜視図である。
【図10】は、第2実施形態の画像読取装置を構成するフレームの後部側面にガイドレールを取り付ける様子を示す部分断面図である。
【図11】は、本発明の第3実施形態の画像読取装置に用いられるガイドレールの端部付近及びスペーサの斜視図である。
【図12】は、第3実施形態の画像読取装置を構成するフレームの後部側面にガイドレールを取り付ける様子を示す部分断面図である。
【符号の説明】
【0064】
1 ランプ(走査光学系)
2 反射板(走査光学系)
3 第1ミラー(走査光学系)
4 第2ミラー(走査光学系)
5 第3ミラー(走査光学系)
8 第1キャリッジ
9 第2キャリッジ
21 画像読取装置
25 コンタクトガラス(原稿台)
26 画像読取部
27 原稿搬送部
28 原稿押さえ部
60 ヒンジ部
61 ヒンジ受け
63 フレーム
63a ビス穴(フレーム側)
65 底面
66a〜66d 側面
67 ガイドレール
67a ビス穴(ガイドレール側)
70 絞り部
71 ビス
73 スペーサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿を照明し、原稿からの反射光を画像光として結像する走査光学系と、該走査光学系が搭載されガイドレールに沿って移動可能なキャリッジとを有する画像読取部と、
該画像読取部の上面を覆う原稿押さえ部と、
該原稿押さえ部を前記画像読取部に対して回動自在に保持するヒンジ部と、を備えた画像読取装置において、
前記画像読取部のフレームの前記ヒンジ部が取り付けられる側面の内側に、前記ガイドレールの一部のみが直接若しくは間接的に接触するように前記ガイドレールを取り付けたことを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記原稿押さえ部の上部に設けられ原稿を読取位置へ搬送する原稿搬送部を備えたことを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記フレームの内側に突出する絞り部を前記フレーム側面の複数箇所に設け、該絞り部に前記ガイドレールを取り付けたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記ガイドレールの前記フレームとの当接面に、前記フレーム側に突出する絞り部を複数箇所に設け、該絞り部を前記フレーム側面に取り付けたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記フレーム側面との間にスペーサを介在させて前記ガイドレールを取り付けたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像読取装置。
【請求項6】
前記ヒンジ部は、前記フレーム側面の両側角部から中央寄りに取り付けられており、前記ガイドレールの両端部近傍を、前記ヒンジ部の外側であって前記フレーム側面の両側角部近傍に1箇所ずつ固定したことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の画像読取装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の画像読取装置が搭載された画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−154186(P2010−154186A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−329698(P2008−329698)
【出願日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】