画像読取装置及び受光装置
【課題】受光した光の強度を示す情報を出力する受光部が他の受光部を介することなくその情報を出力するように構成した場合に比較して、複数の受光部に接続される配線の長さを短くすることが可能な画像読取装置及び受光装置を提供する。
【解決手段】画像読取装置100は、原稿9を照射する光源12と、光源12の光が原稿9で反射した反射光8bを受光して反射光8bの強度に応じた画像情報を生成する複数の受光部301,302,303と、複数の受光部301,302,303が生成した画像情報に基づいて画像処理を行う画像処理部413とを備え、複数の受光部301,302,303を、主走査方向に沿って配置するとともに、上流側の受光部301の画像情報をその下流側の他の受光部302,303を介して画像処理部413に転送するように直列に接続する。
【解決手段】画像読取装置100は、原稿9を照射する光源12と、光源12の光が原稿9で反射した反射光8bを受光して反射光8bの強度に応じた画像情報を生成する複数の受光部301,302,303と、複数の受光部301,302,303が生成した画像情報に基づいて画像処理を行う画像処理部413とを備え、複数の受光部301,302,303を、主走査方向に沿って配置するとともに、上流側の受光部301の画像情報をその下流側の他の受光部302,303を介して画像処理部413に転送するように直列に接続する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置及び受光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光源の光によって原稿を照射し、その反射光を複数の受光素子で受光して、これら複数の受光素子から得た画像データを上位の制御部に出力する画像読取装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の一次元イメージセンサでは、複数のホトダイオードを複数のブロックに分割し、1つのブロックに属する複数のホトダイオードに共通のパルス信号を供給することにより、これら同一ブロックの複数のホトダイオードから画像信号を取り出すように構成されている。それぞれのホトダイオードは、同一ブロック内では独立しており、かつ異なるブロックに属する他の対応するホトダイオードと共通する出力線に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−211881号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、受光した光の強度を示す情報を出力する受光部が他の受光部を介することなくその情報を出力するように構成した場合に比較して、複数の受光部に接続される配線の長さを短くすることが可能な画像読取装置及び受光装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[1]原稿を照射する光源と、前記光源の光が前記原稿で反射した反射光を受光して前記反射光の強度に応じた画像情報を生成する複数の受光部と、前記複数の受光部が生成した画像情報に基づいて画像処理を行う画像処理部とを備え、前記複数の受光部は、主走査方向に沿って配置されるとともに、上流側の受光部の画像情報をその下流側の他の受光部を介して前記画像処理部に転送するように直列に接続されている画像読取装置。
【0007】
[2]前記受光部は、前記反射光を光電変換して蓄積した電荷に応じた信号を出力する複数の受光素子と、前記複数の受光素子の出力信号を量子化された信号に変換して前記画像情報を生成する変換素子と、前記上流側の他の受光部から転送される画像情報を受け付ける受付手段と、前記変換素子が生成した画像情報及び前記受付手段が受け付けた画像情報を、出力順序を制御して前記下流側の他の受光部又は前記画像処理部に出力する出力手段と、を備える前記[1]に記載の画像読取装置。
【0008】
[3]前記受光部は、前記他の受光部との間における前記画像情報の転送方向を反転可能に構成されている前記[1]又は[2]に記載の画像読取装置。
【0009】
[4]第1の受光部と第2の受光部とを備え、前記第1の受光部は、受光した光の強度に応じた信号を出力する第1の受光素子と、前記第1の受光素子の出力信号を量子化された信号に変換して前記受光した光の強度を示す第1の受光情報を生成する第1の変換素子と、前記第1の受光情報を前記第2の受光部に出力する第1の出力手段とを有し、前記第2の受光部は、受光した光の強度に応じた信号を出力する第2の受光素子と、前記第2の受光素子の出力信号を量子化された信号に変換して前記受光した光の強度を示す第2の受光情報を生成する第2の変換素子と、前記第1の受光部から前記第1の受光情報を受け付ける受付手段と、前記第2の受光情報及び前記受付手段が受け付けた前記第1の受光情報とを出力する第2の出力手段とを有する、受光装置。
【発明の効果】
【0010】
請求項1,4に記載の発明によれば、受光した光の強度を示す情報を出力する受光部が他の受光部を介することなくその情報を出力するように構成した場合に比較して、複数の受光部に接続される配線の長さを短くすることが可能となる。
【0011】
請求項2に記載の発明によれば、主走査方向に沿った受光部の配置に応じた順番で画像情報を画像処理部に転送することができる。
【0012】
請求項3に記載の発明によれば、複数の受光部の間で画像情報を上流側から下流側、及び下流側から上流側に向かって転送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る画像読取装置の構成例を示す図である。
【図2】画像読取装置の全体構成の一例を示す図である。
【図3】受光部及び受光装置の具体例を示し、(a)は受光部の概略の構成の一例を示す図、(b)は複数の受光部を備えた受光装置の概略の構成の一例を示す図である。
【図4】送信部及び受信部の概略の構成例を示す図である。
【図5】画像読取装置の動作順序の一例を示すタイミングチャートである。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係る画像読取装置の動作順序の一例を示すタイミングチャートである。
【図7】本発明の第3の実施の形態に係る受光部間の送受信部の構成の一例を示す図である。
【図8】本発明の第4の実施の形態に係る受光部間の送受信部の構成の一例を示す図である。
【図9A】本発明の第5の実施の形態に係る受光部の概略の構成の一例を示す図である。
【図9B】本発明の第5の実施の形態に係る受光装置の概略の構成の一例を示す図である。
【図10】本発明の第5の実施の形態に係る画像読取装置の動作順序の一例を示すタイミングチャートである。
【図11A】本発明の第6の実施の形態に係る受光部の概略の構成の一例を示す図である。
【図11B】本発明の第6の実施の形態に係る受光装置の概略の構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[第1の実施の形態]
(画像読取装置の構成)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る画像読取装置の構成例を示す概略図である。この画像読取装置100は、例えば複写機等の画像形成装置に組み込まれ、本体部1と、本体部1に対して開閉可能な蓋部2とを有し、原稿9の表面9aの画像を読み取るように構成されている。
【0015】
本体部1は、ガラス等の透明体からなる原稿台11と、LED等の発光体からなる光源12と、光源12の光を主走査方向に導く一対の導光体13と、結像レンズ14と、受光部3とを有している。光源12,導光体13,結像レンズ14,及び受光部3は、画像読取部10を構成する。原稿台11の蓋部2側の面には、シェーディング補正のための白基準部材111が配置されている。
【0016】
結像レンズ14は、例えば主走査方向に並列する複数のセルフォックレンズ(登録商標)によって形成されたロッドレンズアレイからなり、原稿9と受光部3との間に配置されている。この結像レンズ14は、光源12から導光体13を介して原稿9を照射する照射光8aが原稿9の表面9aで反射した反射光8bを入射し、受光部3の受光素子に結像するように構成されている。受光部3の構成については後述する。
【0017】
蓋部2は、給紙トレイ21、原稿分離ロール22、原稿搬送ロール23、読取ロール24、排出ロール25、及び排紙台26を有し、本体部1の上方に配置されている。
【0018】
原稿分離ロール22、原稿搬送ロール23、読取ロール24、及び排出ロール25は、原稿搬送機構20を構成し、原稿9を給紙トレイ21から、読取ロール24と原稿台11との間の原稿読取位置を経由して、排紙台26まで搬送する。
【0019】
図2は、画像読取装置100の全体構成の一例を示す構成図である。画像読取装置100は、画像読取部10と、原稿搬送機構20と、画像読取装置100の全体の制御を行うコントローラ40と、原稿9の画像の読み取りを制御する読取制御部41と、ユーザの操作によって動作指示や各種設定等の入力が可能な操作パネル42とを有する。
【0020】
読取制御部41は、原稿搬送機構20を構成する各ロールを駆動する駆動制御部411と、光源12の点灯を制御する点灯制御部412と、受光部3から受け付けた画像情報(受光情報)に基づく画像処理を行う画像処理部413と、画像処理部413で画像処理を行った後の画像情報をコントローラ40に送信する送信部414とを有する。受光部3は、複数の受光素子を有する受光部(後述)を複数個備えて構成されている。
【0021】
画像処理部413は、受光素子の感度ばらつきを補正するシェーディング補正や、複数の受光部の間の位置に対応する画素の情報を周辺の画素の画像情報に基づいて生成する補間処理等の画像処理を行い、この画像処理後の画像情報を送信部414を介してコントローラ40に送る。
【0022】
コントローラ40は、受け取った画像情報を例えば複写機の画像形成部に出力して用紙に画像を印刷させ、あるいは通信回線で接続されたコンピュータや記憶媒体等に画像情報を出力する。
【0023】
(受光部の構成)
図3(a)は、受光部3を構成する受光部300の概略の構成の一例を示す。受光装置3は、この受光部300を複数備えて構成されている。
【0024】
受光部300は、フォトダイオードアレイ31と、ADコンバータアレイ32と、ラインメモリ33と、送信部34と、受信部35とを有する。この受光部300は、例えばセラミックやモールド樹脂等の封止材料によって封止され、1つの電子部品(受光部品)としてプリント基板等に実装される。
【0025】
フォトダイオードアレイ31は、n個(複数)のフォトダイオード311,312,・・・,31n−1,31nを備えている。これらのフォトダイオード311,312,・・・,31n−1,31nは、それぞれが受光素子の一例であり、原稿9の表面9aで反射した反射光8b(図1参照)を受けて光電変換し、発生した電荷を蓄積する。
【0026】
ADコンバータアレイ32は、同じくn個のAD変換素子321,322,・・・,32n−1,32nを備えている。これらのAD変換素子321,322,・・・,32n−1,32nは、それぞれが変換素子の一例であり、フォトダイオード311,312,・・・,31n−1,31nのそれぞれに対応している。これらのAD変換素子321,322,・・・,32n−1,32nは、フォトダイオード311,312,・・・,31n−1,31nに蓄積された電荷(信号電荷)をアナログ信号として読み出し、そのアナログ信号を量子化して例えば8ビットの画像情報としてのデジタル信号に変換する。
【0027】
ラインメモリ33は、同じくn個のレジスタ331,332,・・・,33n−1,33nを備えている。これらのレジスタ331,332,・・・,33n−1,33nは、それぞれがAD変換素子321,322,・・・,32n−1,32nに対応すると共に、第1のレジスタ331から第2のレジスタ332へ、また第2のレジスタ332からその後段のレジスタへと、レジスタの記憶内容を1つずつ予め定められた周期でシフトさせることが可能なシフトレジスタとして構成されている。
【0028】
送信部34は、ラインメモリ33を構成するn個のレジスタのうち、最後段の第nのレジスタ32nに記憶された画像情報を入力し、この画像情報を送信端子34aから送信する。また、送信部34は、第nのレジスタ32nから受け付けた未送信又は送信中の画像情報がある場合には、送信すべきデータがあることを示す送信リクエスト信号を出力端子34bから出力するように構成されている。送信部34及びラインメモリ33は、出力手段の一例である。
【0029】
受信部35は、外部から入力端子35bに入力される受信リクエスト信号に応じて受信端子35aからデータを受信し、受信したデータをラインメモリ33の最前段の第1のレジスタ321に記憶させるように構成されている。受信部35は、他の受光部300から転送される画像情報を受け付ける受付手段の一例である。
【0030】
なお、図示は省略しているが、受光部300内には、各部の動作タイミングを規定するために、例えばコントローラ40(図2参照)から入力されるクロック信号を受光部300の各部に伝達するためのクロック信号線が設けられている。すなわち、フォトダイオードアレイ31,ADコンバータアレイ32,ラインメモリ33,送信部34,及び受信部35の動作は、このクロック信号により同期して行われる。また、必要に応じてPLL回路(Phase-locked loop circuit:位相同期回路)を設けてもよい。
【0031】
また、受光部300には、入力端子30aから画像処理部413より出力されるリード信号が入力される。受光部300は、このリード信号に応じてADコンバータアレイ32の各AD変換素子321,322,・・・,32n−1,32nがフォトダイオードアレイ31の各フォトダイオード311,312,・・・,31n−1,31nからの電荷を示すアナログ信号をサンプルホールドし、これをデジタル信号に変換するように構成されている。ADコンバータアレイ32は、これらのデジタル信号をラインメモリ33の各レジスタ331,332,・・・,33n−1,33nに記憶させる。
【0032】
(受光部の接続構成)
図3(b)は、受光装置3の概略の構成例を示す。本実施の形態では、例として第1〜第3の受光部301〜303を配列した場合について説明する。また、以下の説明では、受光装置3のうち、第1の受光部301の側を上流側、第3の受光部303の側を下流側とする。
【0033】
第1〜第3の受光部301〜303の各受光素子は、図3(a)に示す受光部300と同じ構成及び機能を有するが、それぞれの受光部300を区別するために、最も上流側に配置された受光部300を「第1の受光部(符号301)」、第1の受光部301の下流側に接続された受光部300を「第2の受光部(符号302)」、第2の受光部302の下流側に接続された受光部300を「第3の受光部(符号303)」と称して説明する。
【0034】
第1の受光部301,第2の受光部302,及び第3の受光部303は、主走査方向に沿って、第1及び第2の伝送線路3a,3bを介して直列に接続されている。第1の受光部301の送信端子34aは、第2の受光部302の受信端子35aに第1の伝送線路3aを介して接続され、第2の受光部302の送信端子34aは、第3の受光部303の受信端子35aに第2の伝送線路3bを介して接続されている。第3の受光部303の送信端子34aは、第3の伝送線路3cを介して画像処理部314に接続されている。
【0035】
また、第1の受光部301の出力端子34bは、第2の受光部302の入力端子35bに接続され、第2の受光部302の出力端子34bは、第3の受光部303の入力端子35bに接続されている。第3の受光部303の出力端子34bは、画像処理部413に接続されている。第1の受光部301の入力端子35bは、グランド(0V)に接続されている。
【0036】
また、第1の受光部301,第2の受光部302,及び第3の受光部303のそれぞれの入力端子30aは、画像処理部413から出力される共通のリード信号(RD)の信号線に接続されている。
【0037】
(送信部及び受信部の構成)
図4は、送信部34と受信部35、及びその周辺部の概略の構成例を示す構成図である。この図では、例として第1の受光部301の送信部34と、第2の受光部302の受信部35とを示しているが、第2の受光部302と第3の受光部303との間の送信部34及び受信部35も同様に構成されている。
【0038】
送信部34は、シリアライザ341と、差動送信器342と、タイミング制御回路343とを有している。
【0039】
シリアライザ341は、ラインメモリ33における最後段の第nのレジスタ33nからの画像情報を示すパラレルデータをシリアルデータに変換し、このシリアルデータを差動送信器341に出力する。
【0040】
差動送信器342は、シリアライザ341から入力されたシリアルデータを第1の送信端子342a及び第2の送信端子342bから差動出力して送信する。この第1の送信端子342a及び第2の送信端子342bは、送信端子34a(図3(b)参照)を構成する。
【0041】
タイミング制御回路343は、入力端子30aにリード信号が入力された後、ラインメモリ33に画像情報が記憶されたタイミングで、シリアライザ341にパラレルデータからシリアルデータへの変換を実行すべき指令信号(イネーブル信号)を出力すると共に、出力端子34bから送信リクエスト信号を出力する。シリアライザ341は、この指令信号を受けて変換処理を開始する。
【0042】
受信部35は、差動受信器351と、デシリアライザ352と、タイミング制御回路353とを有している。
【0043】
差動受信器351は、第1の受光部301の差動送信器342の差動出力を第1の受信端子351a及び第2の受信端子351bから入力し、デシリアライザ352に出力する。この第1の受信端子351a及び第2の受信端子351bは、受信端子35a(図3(b)参照)を構成する。
【0044】
デシリアライザ352は、差動受信器351から入力されたシリアルデータをパラレルデータに変換し、このパラレルデータの情報をラインメモリ33における最前段の第1のレジスタ331に記憶させる。
【0045】
タイミング制御回路353は、第1の受光部301の出力端子34bから出力された送信リクエスト信号を入力端子35bから入力し、デシリアライザ352にシリアルデータからパラレルデータへの変換を実行すべき指令信号を出力する。
【0046】
また、タイミング制御回路353は、送信リクエスト信号がオフして最後に受信したデータが第1のレジスタ331に記憶された後、ラインメモリ33におけるレジスタ331,332,・・・,33n−1,33nの記憶内容のシフト動作をn回に亘って継続させるべく、ラインメモリ33にシフト動作指令信号を出力する。ラインメモリ33は、このシフト動作指令信号がオンしている間、予め定められた周期でシフト動作を実行する。
【0047】
(画像読取装置の動作)
次に、図1〜図5を参照して画像読取装置100の動作例を説明する。
図5は、画像読取装置100の動作順序の一例を示すタイミングチャートである。
【0048】
ユーザが原稿9を給紙トレイ21にセットし、操作パネル42を操作して画像の読み取りを指示すると、コントローラ40は、駆動制御部411に原稿9の搬送を開始すべき制御信号を送ると共に、点灯制御部412に光源12を点灯すべき制御信号を送る。これを受けて、駆動制御部411は原稿搬送機構20を制御して原稿9の搬送を開始する。また、点灯制御部412は光源12に電流を供給して光源12を点灯させる。
【0049】
原稿9の読み取り領域が原稿読取位置に到達すると、第1の受光部301,第2の受光部302,第3の受光部303,及び画像処理部413は、図5に示す一連の動作サイクルを副走査方向の読み取り位置ごとに繰り返し実行する。この一連の動作サイクルは、リードサイクル,AD変換サイクル,第1の転送サイクル,第2の転送サイクル,第3の転送サイクル,及びアイドルサイクルである。
【0050】
リードサイクルは、ADコンバータアレイ32のAD変換素子321,322,・・・,32n−1,32nが、フォトダイオードアレイ31の各フォトダイオード311,312,・・・,31n−1,31nから、それぞれのフォトダイオードが受光した反射光8bの強度に応じた信号を読み出す期間である。
【0051】
より詳細には、このリードサイクルは、画像処理部413からのリード信号の出力によって開始され、フォトダイオード311,312,・・・,31n−1,31nは、リード信号を受けて読み出しゲートを開き、光電変換により蓄積された信号電荷に対応したアナログ信号を出力する。AD変換素子321,322,・・・,32n−1,32nは、対応するフォトダイオードから出力されたアナログ信号をサンプルホールドし、次の露光のためにフォトダイオードの電荷をリセットする。これによりリードサイクルが終了する。
【0052】
AD変換サイクルは、ADコンバータアレイ32のAD変換素子321,322,・・・,32n−1,32nが、リードサイクルでサンプルホールドした信号電荷を量子化してデジタル信号に変換し、このデジタル信号をラインメモリ33の対応するレジスタ331,332,・・・,33n−1,33nに記憶させる期間である。
【0053】
より詳細には、AD変換素子321,322,・・・,32n−1,32nは、サンプルホールドしたアナログ信号の電圧と、カウント値のカウントアップと共に徐々に電圧値が上昇する比較対象電圧とを比較し、比較対象電圧の方が大きくなった時点のカウント値のデータを変換後のデジタル信号としてラインメモリ33の対応するレジスタ331,332,・・・,33n−1,33nに記憶させる。このラインメモリ33に記憶されたデジタルデータは、原稿9の対応する読み取り位置における反射光8bの強度を示す画像情報(受光情報)である。
【0054】
第1から第3の転送サイクルは、AD変換サイクルで第1の受光部301,第2の受光部302,及び第3の受光部303のラインメモリ33に記憶された画像情報を、画像処理部413に順次転送する期間である。
【0055】
図5に示す例では、AD変換サイクルにおいて、第1の受光部301のラインメモリ33に記憶された画像情報をデータA、第2の受光部302のラインメモリ33に記憶された画像情報をデータB、第3の受光部303のラインメモリ33に記憶された画像情報をデータCとして表している。
【0056】
第1の転送サイクルでは、第1の受光部301で生成された画像情報が第2の受光部302に、第2の受光部302で生成された画像情報が第3の受光部303に、第3の受光部303で生成された画像情報が画像処理部413に、それぞれ転送される。
【0057】
この転送の処理について、その手順を第1の転送サイクルにおける第1の受光部301から第2の受光部302への画像情報の転送を例にとって図3及び図4を参照して詳述すると、次のとおりである。
【0058】
第1の受光部301のラインメモリ33にADコンバータアレイ32からの画像情報が記憶された後、タイミング制御回路343は、シリアライザ341に指令信号を出力する。シリアライザ341は、ラインメモリ33の最後段のレジスタ33nに記憶された画像情報をパラレルデータとして読み出し、これをシリアルデータに変換して差動送信器342に出力する。ラインメモリ33は、最後段のレジスタ33nの画像情報が読み出された後、レジスタ331,332,・・・,33n−1,33nの記憶内容を1つずつ後段側にシフトさせる。この際、最後段のレジスタ33nに記憶されていた画像情報は消去される。また、タイミング制御回路343は、出力端子34bから第2の受光部302に送信リクエスト信号を出力する。
【0059】
第2の受光部302のタイミング制御回路353は、送信リクエスト信号に応じてデシリアライザ352にシリアルデータからパラレルデータへの変換を行わせる指令信号を出力する。また、差動受信器351は、一対の信号線からなる伝送線路3aを介して差動送信器342の出力信号を受信し、その受信信号に応じたシリアルデータをデシリアライザ352に出力する。デシリアライザ352は差動送信器342からのシリアルデータをパラレルデータに変換し、ラインメモリ33に出力する。このパラレルデータは、第1の受光部301から転送された画像情報として、最前段のレジスタ331に記憶される。
【0060】
上記の転送処理を繰り返して行うことで、第2の受光部302のラインメモリ33に順次第1の受光部301の画像情報が記憶されていく。そして、第1の受光部301及び第2の受光部302が上記の転送動作をn回繰り返すと、第1の受光部301のラインメモリ33に記憶されていた全ての画像情報が第2の受光部302のラインメモリ33に転送される。
【0061】
また、第1の転送サイクルでは、第2の受光部302の画像情報の第3の受光部303への転送、及び第3の受光部303の画像情報の画像処理部413への転送も、上記の第1の受光部301の画像情報の第2の受光部302への転送処理と同様の処理手順によって並行して実行する。この第1の転送サイクルでは、第1の受光部301,第2の受光部302,及び第3の受光部303の全てが送信すべき画像情報を記憶しているので、第1の受光部301,第2の受光部302,及び第3の受光部303がそれぞれ送信リクエスト信号を出力する。すなわち、第1の受光部301,第2の受光部302,及び第3の受光部303は、第1の転送サイクルの間、送信リクエスト信号をオン状態にする。
【0062】
第2の転送サイクルでは、第2の受光部302に記憶された画像情報が第3の受光部303に、第3の受光部303に記憶された画像情報が画像処理部413に、それぞれ転送される。この第2の転送サイクルにおいて、第2の受光部302から転送される画像情報は、AD変換サイクルにおいて第1の受光部301で生成された画像情報であり、第3の受光部303から転送される画像情報は、AD変換サイクルにおいて第2の受光部302で生成された画像情報である。
【0063】
また、第2の転送サイクルでは、第1の受光部301からの画像情報は既に転送を完了しているので、第1の受光部301の送信リクエスト信号はオフ状態である。第2の受光部302及び第3の受光部303は、転送すべき画像情報を記憶しているので、第2の受光部302及び第3の受光部303の送信リクエスト信号はオン状態である。
【0064】
第3の転送サイクルでは、第3の受光部303に記憶された画像情報が画像処理部413に転送される。この第3の転送サイクルにおいて、第3の受光部303から転送される画像情報は、AD変換サイクルにおいて第1の受光部301で生成された画像情報である。この第3の転送サイクルでは、第3の受光部303の送信リクエスト信号のみがオン状態である。
【0065】
このように、第1から第3の転送サイクルによって、AD変換サイクルにおいて第1の受光部301,第2の受光部302,及び第3の受光部303で生成された画像情報の画像処理部413への転送が完了する。
【0066】
第3の転送サイクルの後、第1の受光部301,第2の受光部302,及び第3の受光部303は、何れの処理も行わないアイドルサイクルに移行する。そして、画像処理部413から次のリード信号が出力されると、リードサイクル以降の処理を再度実行する。これにより、第1の受光部301,第2の受光部302,及び第3の受光部303は、前回よりも副走査方向に移動した別の読み取り位置で原稿9の画像を読み取る。
【0067】
画像処理部413は、第1から第3の転送サイクルにおいて転送された画像情報に対してシェーディング補正や補間処理等の画像処理を行い、画像処理後の画像情報をコントローラ40に送る。コントローラ40は、受け取った画像情報を例えば複写機の画像形成部に出力して用紙に画像を印刷させ、あるいは原稿9の全体の画像情報を集約して通信回線で接続されたコンピュータや記憶媒体等に出力する。
【0068】
[第2の実施の形態]
次に、図6を参照して本発明の第2の実施の形態を説明する。
図6は、本発明の第2の実施の形態に係る画像読取装置の動作順序の一例を示すタイミングチャートである。
【0069】
本実施の形態に係る画像読取装置は、第1の実施の形態に係る画像読取装置100と同様に構成されているが、第1の受光部301,第2の受光部302,及び第3の受光部303で生成された画像情報の転送サイクルの処理と、リードサイクル及びAD変換サイクルの処理とが並行して実行される点で異なっている。
【0070】
図6に示す例では、第3の転送サイクルの途中でリード信号がオンし、これによって第1の受光部301,第2の受光部302,及び第3の受光部303のフォトダイオードアレイ31及びADコンバータアレイ32がリードサイクル及びAD変換サイクルの処理を開始する。これらの処理は、第3の転送サイクルの転送処理と並行して実行される。
【0071】
なお、図6では、第3の転送サイクルとリードサイクル及びAD変換サイクルとを並行して実行する場合の例を示しているが、リードサイクル及びAD変換サイクルの処理により長時間を要する場合には、第2の転送サイクル及び第3の転送サイクルとリードサイクル及びAD変換サイクルとを並行して実行するようにしてもよい。さらには、第1の転送サイクルから第3の転送サイクルとリードサイクル及びAD変換サイクルとを並行して実行するようにしてもよい。あるいは、リードサイクルの処理のみを第1から第3の画像情報の転送サイクルの少なくとも何れかの処理と並行して実行するようにしてもよい。
【0072】
このように、リードサイクル及びAD変換サイクルの少なくとも何れかの処理を画像情報の転送サイクルの処理と並行して実行することで、第1の実施の形態に比較して、より高頻度に原稿9の画像の読み取りが実行される。
【0073】
[第3の実施の形態]
次に、図7を参照して本発明の第3の実施の形態を説明する。
図7は、本発明の第3の実施の形態に係る画像読取装置の受光部間の送受信部の構成の一例を示す構成図である。
【0074】
本実施の形態に係る画像読取装置は、複数の受光部の間の画像情報の転送方向を反転させることができるように構成されている点で、上記第1及び第2の実施の形態と異なっている。本実施の形態に係る第1〜第3の受光部は、これら受光部同士の間もしくは画像処理部413との間で画像情報の送信又は受信を行う送受信部の構成が異なる他は、第1の実施の形態と同様に構成されている。
【0075】
図7では、例として第1の受光部301Aと第2の受光部302Aとの間で画像情報の転送を行う送受信部を示しているが、この他の送受信部も同様に構成されている。第1の受光部301Aと第2の受光部302Aは、第1の受光部301Aに設けられた第1の送受信部34Aと、第2の受光部302Aに設けられた第2の送受信部35Aとによって画像情報の転送を行う。
【0076】
第1の受光部301Aの第1の送受信部34Aは、シリアライザ341と、差動送信器342と、差動受信器344と、デシリアライザ345と、タイミング制御回路346とを有している。
【0077】
また、第1の受光部301Aに設けられた入力端子34dには、画像処理部413から出力される転送方向を示す方向指示信号(DIR)が入力される。この方向指示信号は、タイミング制御回路346及び差動受信器344に入力されると共に、インバータ347を経由して反転した信号が差動送信器342に入力される。
【0078】
シリアライザ341は、ラインメモリ33における最後段の第nのレジスタ32nからの画像情報を示すパラレルデータをシリアルデータに変換し、このシリアルデータを差動送信器342に出力する。
【0079】
差動送信器342は、方向指示信号がオフ状態(インバータ347で反転した信号がオン状態)であるときに、シリアライザ341から入力されたシリアルデータを第1の送信端子342a及び第2の送信端子342bから伝送線路3dを介して送信する。ラインメモリ33,シリアライザ341,差動送信器342,及びタイミング制御回路346は、出力手段の一例である。
【0080】
差動受信器344は、方向指示信号がオン状態であるときに、後述する第2の受光部302Aの差動送信器355からの差動信号を第1の受信端子344a及び第2の送信端子344bから入力し、デシリアライザ345に出力する。
【0081】
デシリアライザ345は、差動受信器344から入力されたシリアルデータをパラレルデータに変換してラインメモリ33に出力し、最後段の第nのレジスタ32nにその内容を記憶させる。差動受信器344及びデシリアライザ345は、受付手段の一例である。
【0082】
タイミング制御回路346は、方向指示信号がオフ状態であるときにシリアライザ341に動作を行わせる指示信号を出力し、方向指示信号がオン状態であるときにデシリアライザ345に動作を行わせる指示信号を出力する。また、タイミング制御回路346は、ラインメモリ33に対し、方向指示信号がオフ状態であるときには第1のレジスタ331から第nのレジスタ33nに向かってシフト動作を行わせ、方向指示信号がオン状態であるときには第nのレジスタ33nから第1のレジスタ331に向かって逆方向にシフト動作を行わせる指示信号を出力する。
【0083】
また、タイミング制御回路346は、方向指示信号がオフ状態でかつ第2の受光部302Aに転送すべき画像情報がある場合には送信リクエスト信号を出力端子34bから出力する。第2の受光部302Aは、この送信リクエスト信号を入力端子35bから入力する。
【0084】
一方、第2の受光部302Aの第2の送受信部35Aは、差動受信器351と、デシリアライザ352と、シリアライザ354と、差動送信器355と、タイミング制御回路356とを有している。
【0085】
また、第2の受光部302Aに設けられた入力端子35dには、画像処理部413からの方向指示信号が入力される。この方向指示信号は、タイミング制御回路356及び差動送信器355に入力されると共に、インバータ357を経由して反転した信号が差動受信器351に入力される。
【0086】
差動受信器351は、方向指示信号がオフ状態であるときに、第1の受光部301Aの差動送信器342からの差動信号を第1の受信端子351a及び第2の送信端子351bから入力し、デシリアライザ352に出力する。
【0087】
デシリアライザ352は、差動受信器351から入力されたシリアルデータをパラレルデータに変換してラインメモリ33に出力し、最前段の第1のレジスタ321にその内容を記憶させる。差動受信器351及びデシリアライザ352は、受付手段の一例である。
【0088】
シリアライザ354は、ラインメモリ33における最前段の第1のレジスタ321からの画像情報を示すパラレルデータをシリアルデータに変換し、このシリアルデータを差動送信器355に出力する。
【0089】
差動送信器355は、方向指示信号がオン状態であるときに、シリアライザ354から入力されたシリアルデータを第1の送信端子355a及び第2の送信端子355bから伝送線路3eを介して送信する。
【0090】
タイミング制御回路356は、方向指示信号がオフ状態であるときにデシリアライザ352に動作を行わせる指示信号を出力し、方向指示信号がオン状態であるときにシリアライザ354に動作を行わせる指示信号を出力する。また、タイミング制御回路356は、ラインメモリ33に対し、方向指示信号がオフ状態であるときには第1のレジスタ331から第nのレジスタ33nに向かってシフト動作を行わせ、方向指示信号がオン状態であるときには第nのレジスタ33nから第1のレジスタ331に向かって逆方向にシフト動作を行わせる指示信号を出力する。ラインメモリ33,シリアライザ354,差動送信器355,及びタイミング制御回路356は、出力手段の一例である。
【0091】
また、タイミング制御回路356は、方向指示信号がオン状態でかつ第1の受光部301Aに転送すべき画像情報がある場合に、送信リクエスト信号を出力端子35cから出力する。第1の受光部301Aは、この送信リクエスト信号を入力端子34cから入力する。
【0092】
上記のように構成された第1の送受信部34A及び第2の送受信部35Aは、方向指示信号がオフ状態であるときには第1の送受信部34Aから第2の送受信部35Aへ画像情報を転送する。また、方向指示信号がオン状態であるときには第2の送受信部35Aから第1の送受信部34Aへ画像情報を転送する。これにより、方向指示信号をオン又はオフさせることで画像情報の転送方向が反転する。転送方向を反転させた場合、画像情報は下流側から上流側に転送され、画像処理部413は、第1の受光部301Aから全ての画像情報を受信する。従って、例えば原稿9の表面を読み取った後に原稿9の表裏を反転させ、原稿9の裏面を読み取る場合に、画像処理部413において画像情報の配列を主走査方向に逆転させる処理が不要となる。
【0093】
[第4の実施の形態]
次に、図8を参照して本発明の第4の実施の形態を説明する。
図8は、本発明の第4の実施の形態に係る画像読取装置の受光部間の送受信部の構成の一例を示す構成図である。
【0094】
本実施の形態に係る画像読取装置は、受光部間における画像情報の転送を、シリアル通信ではなく、パラレルデータの入出力(I/O通信)により行うように構成されている点で、上記第1の実施の形態と異なっている。本実施の形態に係る第1〜第3の受光部は、これら受光部同士の間もしくは画像処理部413との間で画像情報の送信又は受信を行う送受信部の構成が異なる他は、第1の実施の形態と同様に構成されている。
【0095】
図8では、例として本実施の形態に係る第1の受光部301Bと第2の受光部302Bとの間で画像情報の転送を行う出力部34Bと入力部35Bを示しているが、この他の送受信部も同様に構成されている。
【0096】
第1の受光部301Bの出力部34Bは、バスドライバ348と、タイミング制御回路349とを有している。第2の受光部302Bの入力部35Bは、バスレシーバ358と、タイミング制御回路359とを有している。
【0097】
バスドライバ348は、ラインメモリ33における最後段の第nのレジスタ33nからの画像情報を示すパラレルデータを入力し、プリント基板上に形成された伝送線路(データバス)3fを介してバスレシーバ358に出力する。バスレシーバ358が出力する信号線の数は、例えばラインメモリ33の各レジスタに記憶された画像情報のビット数と同数である。バスレシーバ358は、入力された信号をラインメモリ33に出力し、最前段の第1のレジスタ331にその内容を記憶させる。
【0098】
第1の受光部301Bのタイミング制御回路349は、ADコンバータアレイ32からラインメモリ33に画像情報が記憶されたタイミングで、バスドライバ348を動作させるための指示信号を出力すると共に、送信リクエスト信号を出力端子34bから出力する。ラインメモリ33,バスドライバ348,及びタイミング制御回路349は、出力手段の一例である。
【0099】
第2の受光部302Bのタイミング制御回路359は、この送信リクエスト信号を入力端子35bから入力し、バスレシーバ358を動作させるための指示信号を出力する。バスレシーバ358及びタイミング制御回路359は、受付手段の一例である。
【0100】
第1の受光部301Bのラインメモリ33、及び第2の受光部302Bのラインメモリ33は、第1のレジスタ331から第nのレジスタ33nに向かってシフト動作を行い、それぞれのレジスタに記憶された画像情報を順次第1の受光部301Bから第2の受光部302Bに転送する。
【0101】
本実施の形態では、受光部間の画像情報の転送をパラレルデータの入出力により行うので、シリアル通信により転送する場合に比較して、画像情報の転送が高速になる。
【0102】
[第5の実施の形態]
次に、図9A及び図9Bを参照して本発明の第5の実施の形態を説明する。
【0103】
(受光部の構成)
図9Aは、本発明の第5の実施の形態に係る画像読取装置の受光部300Cの概略の構成の一例を示す。
【0104】
本実施の形態に係る受光部300Cは、第1の実施の形態と同様に構成されたフォトダイオードアレイ31,ADコンバータアレイ32,及びラインメモリ33を有するが、他の受光部300Cから転送された画像情報をラインメモリ33に記憶しない点などで第1の実施の形態とは異なっている。
【0105】
本実施の形態に係る受光部300Cは、フォトダイオードアレイ31,ADコンバータアレイ32,ラインメモリ33,送信部34C,受信部35C,セレクタ36,及びタイミング制御回路371を有している。
【0106】
受信部35Cは、他の受光部から画像情報をシリアルデータとして受信し、シリアルデータのままセレクタ36に出力する。受信部35Cは受付手段の一例である。
【0107】
セレクタ36は、ラインメモリ33の出力(パラレルデータ)をシリアルデータに変換するシリアライザ機能を備え、このラインメモリ33の出力を変換したシリアルデータ、又は受信部35Cの出力の何れか一方を送信部34Cに出力するように構成されている。
【0108】
送信部34Cは、セレクタ36から出力されたシリアルデータを送信端子34aから送信する。
【0109】
タイミング制御回路371は、受光部300Cの各部の動作を制御する。このタイミング制御回路371は、出力端子37a,入力端子37b,出力端子37c,及び入力端子37dに接続されている。セレクタ36,送信部34C,及びタイミング制御回路371は、出力手段の一例である。
【0110】
(受光装置の構成)
図9Bは、本実施の形態に係る第1の受光部301C,第2の受光部302C,及び第3の受光部303Cを主走査方向に沿って配列した受光装置3Cの構成例を示す。第1の受光部301C,第2の受光部302C,及び第3の受光部303Cは、図9Aに示す受光部300Cと同じ構成及び機能を有している。
【0111】
この図に示すように、第1の受光部301Cの出力端子37cは第2の受光部302Cの入力端子37bに、第2の受光部302Cの出力端子37aは第1の受光部301Cの入力端子37dに、第3の受光部303Cの出力端子37aは画像処理部413に、それぞれ接続されている。また、第2の受光部302Cの出力端子37cは第3の受光部303Cの入力端子37bに、第3の受光部303Cの出力端子37aは第2の受光部302Cの入力端子37dに、それぞれ接続されている。
【0112】
第1の受光部301Cの入力端子37bはグランド(0V)に接続されている。画像処理部413からのリード信号は、第1の受光部301C,第2の受光部302C,及び第3の受光部303Cの入力端子30a、並びに第3の受光部303Cの入力端子37dに接続されている。
【0113】
(画像読取装置の動作)
次に、図9及び図10を参照して画像読取装置100の動作例を説明する。
図10は、本実施の形態に係る画像読取装置の動作順序の一例を示すタイミングチャートである。
【0114】
画像読取装置100は、第1〜第3の受光部301C,302C,303Cが画像処理部413からのリード信号を受けると、リードサイクルの動作を開始する。リードサイクルでは、ADコンバータアレイ32のAD変換素子321,322,・・・,32n−1,32nが、フォトダイオードアレイ31の各フォトダイオード311,312,・・・,31n−1,31nから、それぞれのフォトダイオードが受光した反射光8bの強度に応じた信号を読み出す。
【0115】
AD変換サイクルでは、ADコンバータアレイ32のAD変換素子321,322,・・・,32n−1,32nが、リードサイクルでサンプルホールドした信号電荷を量子化してデジタル信号に変換し、このデジタル信号をラインメモリ33の対応するレジスタ331,332,・・・,33n−1,33nに記憶させる。
【0116】
第1の転送サイクルでは、第3の受光素子303Cが画像処理部413に画像情報を送信する。第3の受光素子303Cのタイミング制御回路371は、入力端子37dに入力された画像処理部413からのリード信号を記憶しており、送信部34は、AD変換サイクルの後に直ちに、ラインメモリ33に記憶された画像情報を画像処理部413に送信する。この際、第3の受光素子303Cのタイミング制御回路371は、出力端子37aから画像処理部413にアクノリッジ信号を出力する。このアクノリッジ信号は、後述する第3の転送サイクルが完了するまでオン状態が保持される。
【0117】
また、第3の受光素子303Cは、そのラインメモリ33に記憶された画像情報の転送が終了すると、タイミング制御回路371が出力端子37aから受信リクエスト信号を出力する。
【0118】
第2の受光素子302Cのタイミング制御回路371は、受信リクエスト信号を入力端子37dから入力し、この受信リクエスト信号に応答して転送すべき画像データがあることを示すアクノリッジ信号を出力端子37cから出力する。また、第2の受光素子302Cのタイミング制御回路371は、受信リクエスト信号に応答して、第2の受光素子302Cのラインメモリ33に記憶された画像情報をセレクタ36を介して送信部34Cに出力させ、第3の受光部303Cに送信させる。
【0119】
一方、第3の受光素子303Cのタイミング制御回路371は、アクノリッジ信号に応じて、受信部35Cの出力信号が送信部34Cに出力されるようにセレクタ36の動作状態を切り換える。これにより、第2の転送サイクルにおいて、第2の受光素子302Cのラインメモリ33に記憶されていた画像情報が第3の受光素子303Cを介して画像処理部413に転送される。
【0120】
第2の受光素子302Cは、そのラインメモリ33に記憶された画像情報の転送が終了すると、タイミング制御回路371が出力端子37aから受信リクエスト信号を出力する。
【0121】
第1の受光素子301Cのタイミング制御回路371は、受信リクエスト信号を入力端子37dから入力し、この受信リクエスト信号に応答してアクノリッジ信号を出力端子37cから出力する。また、第1の受光素子301Cのタイミング制御回路371は、受信リクエスト信号に応答して、セレクタ36を介して送信部34Cに第1の受光素子301Cのラインメモリ33に記憶された画像情報を出力させ、第2の受光部302Cに送信させる。
【0122】
第2の受光素子302Cのタイミング制御回路371は、第1の受光素子301Cからのアクノリッジ信号に応じて、その受信部35Cの出力信号が送信部34Cに出力されるようにセレクタ36の動作状態を切り換える。また、第2の受光素子302Cのタイミング制御回路371は、第1の受光素子301Cからのアクノリッジ信号に応じて、第3の受光素子303Cへのアクノリッジ信号を、第1の受光素子301Cの画像情報の転送が完了するまでオンの状態に保持する。
【0123】
第1の受光部301Cの入力端子37bはグランド(0V)に接続されているので、第1の受光部301Cのアクノリッジ信号は、第1の受光部301Cからの画像情報の転送の終了によりオフ状態となる。
【0124】
これにより、第3の転送サイクルにおいて、第1の受光素子301Cのラインメモリ33に記憶されていた画像情報が、第2の受光素子302C及び第3の受光素子303Cを介して画像処理部413に転送される。
【0125】
[第6の実施の形態]
次に、図11A及び図11Bを参照して本発明の第6の実施の形態を説明する。
【0126】
(受光部の構成)
図11Aは、本発明の第6の実施の形態に係る画像読取装置の受光部300Dの概略の構成の一例を示す。
【0127】
本実施の形態に係る受光部300Dは、第5の実施の形態と同様に構成されたフォトダイオードアレイ31,送信部34C,及び受信部35Cを有するが、ADコンバータアレイ32及びラインメモリ33を有しない点などで第5の実施の形態に係る受光部300Cと異なっている。
【0128】
本実施の形態に係る受光部300Dは、フォトダイオードアレイ31,サンプルホールド回路311,送信部34C,受信部35C,第1のセレクタ381,第2のセレクタ382,ADコンバータ39,及びタイミング制御回路372を有している。
【0129】
サンプルホールド回路311は、n個のサンプルホールド素子3111,3112,・・・,311n−1,311nを備えている。これらのサンプルホールド素子3111,3112,・・・,311n−1,311nは、それぞれがフォトダイオード311,312,・・・,31n−1,31nに対応しており、フォトダイオード311,312,・・・,31n−1,31nの出力信号をサンプリングして保持する。
【0130】
第1のセレクタ381は、タイミング制御回路372から出力されるセレクト信号に応じて、サンプルホールド回路311のサンプルホールド素子3111,3112,・・・,311n−1,311nの何れか1つの出力信号をADコンバータ39に出力するように構成されている。
【0131】
ADコンバータ39は、第1のセレクタ381から出力されたアナログ信号をデジタル信号に変換して第2のセレクタ382に出力する。このADコンバータ39は、変換素子の一例である。
【0132】
第2のセレクタ382は、ADコンバータ39の出力(パラレルデータ)をシリアルデータに変換するシリアライザ機能を備え、このADコンバータ39の出力を変換したシリアルデータ、又は受信部35Cの出力の何れか一方を送信部34Cに出力するように構成されている。第1のセレクタ381,第2のセレクタ382,送信部34C,及びタイミング制御回路372は、出力手段の一例である。
【0133】
受信部35Cは、他の受光素子30から画像情報をシリアルデータとして受信し、シリアルデータのまま第2のセレクタ382に出力する。また、送信部34Cは、第2のセレクタ382から出力されたシリアルデータを送信端子34aから送信する。
【0134】
(受光装置の構成)
図11Bは、本実施の形態に係る第1の受光部301D,第2の受光部302D,及び第3の受光部303Dを主走査方向に沿って配列した受光装置3Dの構成例を示す。第1の受光部301D,第2の受光部302D,及び第3の受光部303Dは、図11Aに示す受光部300Dと同じ構成及び機能を有している。
【0135】
この図に示すように、第1の受光部301Dの出力端子37cは第2の受光部302Dの入力端子37bに、第2の受光部302Dの出力端子37aは第1の受光部301Dの入力端子37dに、第3の受光部303Dの出力端子37aは画像処理部413に、それぞれ接続されている。また、第2の受光部302Dの出力端子37cは第3の受光部303Dの入力端子37bに、第3の受光部303Dの出力端子37aは第2の受光部302Dの入力端子37dに、それぞれ接続されている。
【0136】
第1の受光部301Dの入力端子37bはグランド(0V)に接続されている。画像処理部413からのリード信号は、第1の受光部301D,第2の受光部302D,及び第3の受光部303Dの入力端子30a、並びに第3の受光部303Dの入力端子37dに接続されている。
【0137】
本実施の形態に係る第1の受光部301D,第2の受光部302D,及び第3の受光部303Dからの送信データ、及び受信リクエスト信号,アクノリッジ信号の動作は、図10を参照して説明した第5の実施の形態における動作と共通するが、受光部内部での動作は第5の実施の形態と異なっている。
【0138】
すなわち、第5の実施の形態では、ADコンバータ32でデジタル信号に変換された画像情報をラインメモリ33に記憶して順次転送したが、本実施の形態ではサンプルホールド回路311のサンプルホールド素子3111,3112,・・・,311n−1,311nに保持されたアナログ信号を順次ADコンバータ39でデジタル信号に変換し、この変換によって生成された画像情報を第2のセレクタ382を介して送信部34Cに出力する。
【0139】
第1の受光部301Dで生成された画像情報は、第2の受光部302D及び第3の受光部303Dを介して画像処理部413に転送され、第2の受光部302Dで生成された画像情報は第3の受光部303Dを介して画像処理部413に転送される。
【0140】
上記のように、本実施の形態に係る受光部300Dは、ラインメモリ33を有していないので、ラインメモリ33のシフト動作等に必要となる電力を削減することができる。
【0141】
[他の実施の形態]
なお、本発明は、上記各実施の形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々な変形が可能である。
【0142】
例えば、上記各実施の形態では3つの受光部を直列に接続した場合について説明したが、受光部の数に制限はなく、2個又は4個以上(例えば18個)の受光部を配置及び接続することが可能である。
【0143】
また、上記第5及び第6の実施の形態では、受光部が、そのフォトダイオードアレイ31の信号に基づく画像情報を転送した後、他の受光部から受け付けた画像情報の転送を行うようにしたが、他の受光部から受け付けた画像情報を先に送信し、その後にフォトダイオードアレイ31の信号に基づく画像情報を転送するようにしてもよい。
【0144】
また、受光装置を構成する複数の受光部のうち、最も上流側に配置された受光部は受信部を有しなくともよい。
【符号の説明】
【0145】
2…蓋部、3,3C,3D…受光装置、3a,3b,3c,3d,3e,3f…伝送線路、8a…照射光、8b…反射光、9…原稿、9a…表面、10…画像読取部、11…原稿台、12…光源、13…導光体、14…結像レンズ、20…原稿搬送機構、21…給紙トレイ、22…原稿分離ロール、23…原稿搬送ロール、24…読取ロール、25…排出ロール、26…排紙台、30…受光素子、30a…入力端子、31…フォトダイオードアレイ、311,312,31n−1,31n…フォトダイオード、32…ADコンバータアレイ、321,322,32n−1,32n…AD変換素子、32…コンバータアレイ、33…ラインメモリ、331,332,33n−1,33n…レジスタ、34…送信部、34A…第1の送受信部、34B…出力部、34C…送信部、34a…送信端子、34b,35c,37a,37c…出力端子、34c,34d,35b,35d,37b,37d…入力端子、35…受信部、35A…第2の送受信部、35B…入力部、35C…受信部、35a…受信端子、36…セレクタ、39…ADコンバータ、40…コントローラ、41…読取制御部、42…操作パネル、100…画像読取装置、111…白基準部材、300,300C,300D…受光部、301,301A,301B,301C,301D…第1の受光部、302,302A,302B,302C,302D…第2の受光部、303,303C,301D…第3の受光部、311…サンプルホールド回路、3111,3112,311n−1,311n…サンプルホールド素子、314…画像処理部、341…シリアライザ、342…差動送信器、342…シリアライザ、342a…第1の送信端子、342b…第2の送信端子、343…タイミング制御回路、344…差動受信器、344a…第1の受信端子、344b…第2の送信端子、345…デシリアライザ、346…タイミング制御回路、347…インバータ、348…バスドライバ、349…タイミング制御回路、351…差動受信器、351a…第1の受信端子、351b…第2の受信端子、352…デシリアライザ、353…タイミング制御回路、354…シリアライザ、355…差動送信器、355a…第1の送信端子、355b…第2の送信端子、356…タイミング制御回路、357…インバータ、358…バスレシーバ、359,371,372…タイミング制御回路、381…第1のセレクタ、382…第2のセレクタ、411…駆動制御部、412…点灯制御部、413…画像処理部、414…送信部
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置及び受光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光源の光によって原稿を照射し、その反射光を複数の受光素子で受光して、これら複数の受光素子から得た画像データを上位の制御部に出力する画像読取装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の一次元イメージセンサでは、複数のホトダイオードを複数のブロックに分割し、1つのブロックに属する複数のホトダイオードに共通のパルス信号を供給することにより、これら同一ブロックの複数のホトダイオードから画像信号を取り出すように構成されている。それぞれのホトダイオードは、同一ブロック内では独立しており、かつ異なるブロックに属する他の対応するホトダイオードと共通する出力線に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−211881号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、受光した光の強度を示す情報を出力する受光部が他の受光部を介することなくその情報を出力するように構成した場合に比較して、複数の受光部に接続される配線の長さを短くすることが可能な画像読取装置及び受光装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[1]原稿を照射する光源と、前記光源の光が前記原稿で反射した反射光を受光して前記反射光の強度に応じた画像情報を生成する複数の受光部と、前記複数の受光部が生成した画像情報に基づいて画像処理を行う画像処理部とを備え、前記複数の受光部は、主走査方向に沿って配置されるとともに、上流側の受光部の画像情報をその下流側の他の受光部を介して前記画像処理部に転送するように直列に接続されている画像読取装置。
【0007】
[2]前記受光部は、前記反射光を光電変換して蓄積した電荷に応じた信号を出力する複数の受光素子と、前記複数の受光素子の出力信号を量子化された信号に変換して前記画像情報を生成する変換素子と、前記上流側の他の受光部から転送される画像情報を受け付ける受付手段と、前記変換素子が生成した画像情報及び前記受付手段が受け付けた画像情報を、出力順序を制御して前記下流側の他の受光部又は前記画像処理部に出力する出力手段と、を備える前記[1]に記載の画像読取装置。
【0008】
[3]前記受光部は、前記他の受光部との間における前記画像情報の転送方向を反転可能に構成されている前記[1]又は[2]に記載の画像読取装置。
【0009】
[4]第1の受光部と第2の受光部とを備え、前記第1の受光部は、受光した光の強度に応じた信号を出力する第1の受光素子と、前記第1の受光素子の出力信号を量子化された信号に変換して前記受光した光の強度を示す第1の受光情報を生成する第1の変換素子と、前記第1の受光情報を前記第2の受光部に出力する第1の出力手段とを有し、前記第2の受光部は、受光した光の強度に応じた信号を出力する第2の受光素子と、前記第2の受光素子の出力信号を量子化された信号に変換して前記受光した光の強度を示す第2の受光情報を生成する第2の変換素子と、前記第1の受光部から前記第1の受光情報を受け付ける受付手段と、前記第2の受光情報及び前記受付手段が受け付けた前記第1の受光情報とを出力する第2の出力手段とを有する、受光装置。
【発明の効果】
【0010】
請求項1,4に記載の発明によれば、受光した光の強度を示す情報を出力する受光部が他の受光部を介することなくその情報を出力するように構成した場合に比較して、複数の受光部に接続される配線の長さを短くすることが可能となる。
【0011】
請求項2に記載の発明によれば、主走査方向に沿った受光部の配置に応じた順番で画像情報を画像処理部に転送することができる。
【0012】
請求項3に記載の発明によれば、複数の受光部の間で画像情報を上流側から下流側、及び下流側から上流側に向かって転送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る画像読取装置の構成例を示す図である。
【図2】画像読取装置の全体構成の一例を示す図である。
【図3】受光部及び受光装置の具体例を示し、(a)は受光部の概略の構成の一例を示す図、(b)は複数の受光部を備えた受光装置の概略の構成の一例を示す図である。
【図4】送信部及び受信部の概略の構成例を示す図である。
【図5】画像読取装置の動作順序の一例を示すタイミングチャートである。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係る画像読取装置の動作順序の一例を示すタイミングチャートである。
【図7】本発明の第3の実施の形態に係る受光部間の送受信部の構成の一例を示す図である。
【図8】本発明の第4の実施の形態に係る受光部間の送受信部の構成の一例を示す図である。
【図9A】本発明の第5の実施の形態に係る受光部の概略の構成の一例を示す図である。
【図9B】本発明の第5の実施の形態に係る受光装置の概略の構成の一例を示す図である。
【図10】本発明の第5の実施の形態に係る画像読取装置の動作順序の一例を示すタイミングチャートである。
【図11A】本発明の第6の実施の形態に係る受光部の概略の構成の一例を示す図である。
【図11B】本発明の第6の実施の形態に係る受光装置の概略の構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[第1の実施の形態]
(画像読取装置の構成)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る画像読取装置の構成例を示す概略図である。この画像読取装置100は、例えば複写機等の画像形成装置に組み込まれ、本体部1と、本体部1に対して開閉可能な蓋部2とを有し、原稿9の表面9aの画像を読み取るように構成されている。
【0015】
本体部1は、ガラス等の透明体からなる原稿台11と、LED等の発光体からなる光源12と、光源12の光を主走査方向に導く一対の導光体13と、結像レンズ14と、受光部3とを有している。光源12,導光体13,結像レンズ14,及び受光部3は、画像読取部10を構成する。原稿台11の蓋部2側の面には、シェーディング補正のための白基準部材111が配置されている。
【0016】
結像レンズ14は、例えば主走査方向に並列する複数のセルフォックレンズ(登録商標)によって形成されたロッドレンズアレイからなり、原稿9と受光部3との間に配置されている。この結像レンズ14は、光源12から導光体13を介して原稿9を照射する照射光8aが原稿9の表面9aで反射した反射光8bを入射し、受光部3の受光素子に結像するように構成されている。受光部3の構成については後述する。
【0017】
蓋部2は、給紙トレイ21、原稿分離ロール22、原稿搬送ロール23、読取ロール24、排出ロール25、及び排紙台26を有し、本体部1の上方に配置されている。
【0018】
原稿分離ロール22、原稿搬送ロール23、読取ロール24、及び排出ロール25は、原稿搬送機構20を構成し、原稿9を給紙トレイ21から、読取ロール24と原稿台11との間の原稿読取位置を経由して、排紙台26まで搬送する。
【0019】
図2は、画像読取装置100の全体構成の一例を示す構成図である。画像読取装置100は、画像読取部10と、原稿搬送機構20と、画像読取装置100の全体の制御を行うコントローラ40と、原稿9の画像の読み取りを制御する読取制御部41と、ユーザの操作によって動作指示や各種設定等の入力が可能な操作パネル42とを有する。
【0020】
読取制御部41は、原稿搬送機構20を構成する各ロールを駆動する駆動制御部411と、光源12の点灯を制御する点灯制御部412と、受光部3から受け付けた画像情報(受光情報)に基づく画像処理を行う画像処理部413と、画像処理部413で画像処理を行った後の画像情報をコントローラ40に送信する送信部414とを有する。受光部3は、複数の受光素子を有する受光部(後述)を複数個備えて構成されている。
【0021】
画像処理部413は、受光素子の感度ばらつきを補正するシェーディング補正や、複数の受光部の間の位置に対応する画素の情報を周辺の画素の画像情報に基づいて生成する補間処理等の画像処理を行い、この画像処理後の画像情報を送信部414を介してコントローラ40に送る。
【0022】
コントローラ40は、受け取った画像情報を例えば複写機の画像形成部に出力して用紙に画像を印刷させ、あるいは通信回線で接続されたコンピュータや記憶媒体等に画像情報を出力する。
【0023】
(受光部の構成)
図3(a)は、受光部3を構成する受光部300の概略の構成の一例を示す。受光装置3は、この受光部300を複数備えて構成されている。
【0024】
受光部300は、フォトダイオードアレイ31と、ADコンバータアレイ32と、ラインメモリ33と、送信部34と、受信部35とを有する。この受光部300は、例えばセラミックやモールド樹脂等の封止材料によって封止され、1つの電子部品(受光部品)としてプリント基板等に実装される。
【0025】
フォトダイオードアレイ31は、n個(複数)のフォトダイオード311,312,・・・,31n−1,31nを備えている。これらのフォトダイオード311,312,・・・,31n−1,31nは、それぞれが受光素子の一例であり、原稿9の表面9aで反射した反射光8b(図1参照)を受けて光電変換し、発生した電荷を蓄積する。
【0026】
ADコンバータアレイ32は、同じくn個のAD変換素子321,322,・・・,32n−1,32nを備えている。これらのAD変換素子321,322,・・・,32n−1,32nは、それぞれが変換素子の一例であり、フォトダイオード311,312,・・・,31n−1,31nのそれぞれに対応している。これらのAD変換素子321,322,・・・,32n−1,32nは、フォトダイオード311,312,・・・,31n−1,31nに蓄積された電荷(信号電荷)をアナログ信号として読み出し、そのアナログ信号を量子化して例えば8ビットの画像情報としてのデジタル信号に変換する。
【0027】
ラインメモリ33は、同じくn個のレジスタ331,332,・・・,33n−1,33nを備えている。これらのレジスタ331,332,・・・,33n−1,33nは、それぞれがAD変換素子321,322,・・・,32n−1,32nに対応すると共に、第1のレジスタ331から第2のレジスタ332へ、また第2のレジスタ332からその後段のレジスタへと、レジスタの記憶内容を1つずつ予め定められた周期でシフトさせることが可能なシフトレジスタとして構成されている。
【0028】
送信部34は、ラインメモリ33を構成するn個のレジスタのうち、最後段の第nのレジスタ32nに記憶された画像情報を入力し、この画像情報を送信端子34aから送信する。また、送信部34は、第nのレジスタ32nから受け付けた未送信又は送信中の画像情報がある場合には、送信すべきデータがあることを示す送信リクエスト信号を出力端子34bから出力するように構成されている。送信部34及びラインメモリ33は、出力手段の一例である。
【0029】
受信部35は、外部から入力端子35bに入力される受信リクエスト信号に応じて受信端子35aからデータを受信し、受信したデータをラインメモリ33の最前段の第1のレジスタ321に記憶させるように構成されている。受信部35は、他の受光部300から転送される画像情報を受け付ける受付手段の一例である。
【0030】
なお、図示は省略しているが、受光部300内には、各部の動作タイミングを規定するために、例えばコントローラ40(図2参照)から入力されるクロック信号を受光部300の各部に伝達するためのクロック信号線が設けられている。すなわち、フォトダイオードアレイ31,ADコンバータアレイ32,ラインメモリ33,送信部34,及び受信部35の動作は、このクロック信号により同期して行われる。また、必要に応じてPLL回路(Phase-locked loop circuit:位相同期回路)を設けてもよい。
【0031】
また、受光部300には、入力端子30aから画像処理部413より出力されるリード信号が入力される。受光部300は、このリード信号に応じてADコンバータアレイ32の各AD変換素子321,322,・・・,32n−1,32nがフォトダイオードアレイ31の各フォトダイオード311,312,・・・,31n−1,31nからの電荷を示すアナログ信号をサンプルホールドし、これをデジタル信号に変換するように構成されている。ADコンバータアレイ32は、これらのデジタル信号をラインメモリ33の各レジスタ331,332,・・・,33n−1,33nに記憶させる。
【0032】
(受光部の接続構成)
図3(b)は、受光装置3の概略の構成例を示す。本実施の形態では、例として第1〜第3の受光部301〜303を配列した場合について説明する。また、以下の説明では、受光装置3のうち、第1の受光部301の側を上流側、第3の受光部303の側を下流側とする。
【0033】
第1〜第3の受光部301〜303の各受光素子は、図3(a)に示す受光部300と同じ構成及び機能を有するが、それぞれの受光部300を区別するために、最も上流側に配置された受光部300を「第1の受光部(符号301)」、第1の受光部301の下流側に接続された受光部300を「第2の受光部(符号302)」、第2の受光部302の下流側に接続された受光部300を「第3の受光部(符号303)」と称して説明する。
【0034】
第1の受光部301,第2の受光部302,及び第3の受光部303は、主走査方向に沿って、第1及び第2の伝送線路3a,3bを介して直列に接続されている。第1の受光部301の送信端子34aは、第2の受光部302の受信端子35aに第1の伝送線路3aを介して接続され、第2の受光部302の送信端子34aは、第3の受光部303の受信端子35aに第2の伝送線路3bを介して接続されている。第3の受光部303の送信端子34aは、第3の伝送線路3cを介して画像処理部314に接続されている。
【0035】
また、第1の受光部301の出力端子34bは、第2の受光部302の入力端子35bに接続され、第2の受光部302の出力端子34bは、第3の受光部303の入力端子35bに接続されている。第3の受光部303の出力端子34bは、画像処理部413に接続されている。第1の受光部301の入力端子35bは、グランド(0V)に接続されている。
【0036】
また、第1の受光部301,第2の受光部302,及び第3の受光部303のそれぞれの入力端子30aは、画像処理部413から出力される共通のリード信号(RD)の信号線に接続されている。
【0037】
(送信部及び受信部の構成)
図4は、送信部34と受信部35、及びその周辺部の概略の構成例を示す構成図である。この図では、例として第1の受光部301の送信部34と、第2の受光部302の受信部35とを示しているが、第2の受光部302と第3の受光部303との間の送信部34及び受信部35も同様に構成されている。
【0038】
送信部34は、シリアライザ341と、差動送信器342と、タイミング制御回路343とを有している。
【0039】
シリアライザ341は、ラインメモリ33における最後段の第nのレジスタ33nからの画像情報を示すパラレルデータをシリアルデータに変換し、このシリアルデータを差動送信器341に出力する。
【0040】
差動送信器342は、シリアライザ341から入力されたシリアルデータを第1の送信端子342a及び第2の送信端子342bから差動出力して送信する。この第1の送信端子342a及び第2の送信端子342bは、送信端子34a(図3(b)参照)を構成する。
【0041】
タイミング制御回路343は、入力端子30aにリード信号が入力された後、ラインメモリ33に画像情報が記憶されたタイミングで、シリアライザ341にパラレルデータからシリアルデータへの変換を実行すべき指令信号(イネーブル信号)を出力すると共に、出力端子34bから送信リクエスト信号を出力する。シリアライザ341は、この指令信号を受けて変換処理を開始する。
【0042】
受信部35は、差動受信器351と、デシリアライザ352と、タイミング制御回路353とを有している。
【0043】
差動受信器351は、第1の受光部301の差動送信器342の差動出力を第1の受信端子351a及び第2の受信端子351bから入力し、デシリアライザ352に出力する。この第1の受信端子351a及び第2の受信端子351bは、受信端子35a(図3(b)参照)を構成する。
【0044】
デシリアライザ352は、差動受信器351から入力されたシリアルデータをパラレルデータに変換し、このパラレルデータの情報をラインメモリ33における最前段の第1のレジスタ331に記憶させる。
【0045】
タイミング制御回路353は、第1の受光部301の出力端子34bから出力された送信リクエスト信号を入力端子35bから入力し、デシリアライザ352にシリアルデータからパラレルデータへの変換を実行すべき指令信号を出力する。
【0046】
また、タイミング制御回路353は、送信リクエスト信号がオフして最後に受信したデータが第1のレジスタ331に記憶された後、ラインメモリ33におけるレジスタ331,332,・・・,33n−1,33nの記憶内容のシフト動作をn回に亘って継続させるべく、ラインメモリ33にシフト動作指令信号を出力する。ラインメモリ33は、このシフト動作指令信号がオンしている間、予め定められた周期でシフト動作を実行する。
【0047】
(画像読取装置の動作)
次に、図1〜図5を参照して画像読取装置100の動作例を説明する。
図5は、画像読取装置100の動作順序の一例を示すタイミングチャートである。
【0048】
ユーザが原稿9を給紙トレイ21にセットし、操作パネル42を操作して画像の読み取りを指示すると、コントローラ40は、駆動制御部411に原稿9の搬送を開始すべき制御信号を送ると共に、点灯制御部412に光源12を点灯すべき制御信号を送る。これを受けて、駆動制御部411は原稿搬送機構20を制御して原稿9の搬送を開始する。また、点灯制御部412は光源12に電流を供給して光源12を点灯させる。
【0049】
原稿9の読み取り領域が原稿読取位置に到達すると、第1の受光部301,第2の受光部302,第3の受光部303,及び画像処理部413は、図5に示す一連の動作サイクルを副走査方向の読み取り位置ごとに繰り返し実行する。この一連の動作サイクルは、リードサイクル,AD変換サイクル,第1の転送サイクル,第2の転送サイクル,第3の転送サイクル,及びアイドルサイクルである。
【0050】
リードサイクルは、ADコンバータアレイ32のAD変換素子321,322,・・・,32n−1,32nが、フォトダイオードアレイ31の各フォトダイオード311,312,・・・,31n−1,31nから、それぞれのフォトダイオードが受光した反射光8bの強度に応じた信号を読み出す期間である。
【0051】
より詳細には、このリードサイクルは、画像処理部413からのリード信号の出力によって開始され、フォトダイオード311,312,・・・,31n−1,31nは、リード信号を受けて読み出しゲートを開き、光電変換により蓄積された信号電荷に対応したアナログ信号を出力する。AD変換素子321,322,・・・,32n−1,32nは、対応するフォトダイオードから出力されたアナログ信号をサンプルホールドし、次の露光のためにフォトダイオードの電荷をリセットする。これによりリードサイクルが終了する。
【0052】
AD変換サイクルは、ADコンバータアレイ32のAD変換素子321,322,・・・,32n−1,32nが、リードサイクルでサンプルホールドした信号電荷を量子化してデジタル信号に変換し、このデジタル信号をラインメモリ33の対応するレジスタ331,332,・・・,33n−1,33nに記憶させる期間である。
【0053】
より詳細には、AD変換素子321,322,・・・,32n−1,32nは、サンプルホールドしたアナログ信号の電圧と、カウント値のカウントアップと共に徐々に電圧値が上昇する比較対象電圧とを比較し、比較対象電圧の方が大きくなった時点のカウント値のデータを変換後のデジタル信号としてラインメモリ33の対応するレジスタ331,332,・・・,33n−1,33nに記憶させる。このラインメモリ33に記憶されたデジタルデータは、原稿9の対応する読み取り位置における反射光8bの強度を示す画像情報(受光情報)である。
【0054】
第1から第3の転送サイクルは、AD変換サイクルで第1の受光部301,第2の受光部302,及び第3の受光部303のラインメモリ33に記憶された画像情報を、画像処理部413に順次転送する期間である。
【0055】
図5に示す例では、AD変換サイクルにおいて、第1の受光部301のラインメモリ33に記憶された画像情報をデータA、第2の受光部302のラインメモリ33に記憶された画像情報をデータB、第3の受光部303のラインメモリ33に記憶された画像情報をデータCとして表している。
【0056】
第1の転送サイクルでは、第1の受光部301で生成された画像情報が第2の受光部302に、第2の受光部302で生成された画像情報が第3の受光部303に、第3の受光部303で生成された画像情報が画像処理部413に、それぞれ転送される。
【0057】
この転送の処理について、その手順を第1の転送サイクルにおける第1の受光部301から第2の受光部302への画像情報の転送を例にとって図3及び図4を参照して詳述すると、次のとおりである。
【0058】
第1の受光部301のラインメモリ33にADコンバータアレイ32からの画像情報が記憶された後、タイミング制御回路343は、シリアライザ341に指令信号を出力する。シリアライザ341は、ラインメモリ33の最後段のレジスタ33nに記憶された画像情報をパラレルデータとして読み出し、これをシリアルデータに変換して差動送信器342に出力する。ラインメモリ33は、最後段のレジスタ33nの画像情報が読み出された後、レジスタ331,332,・・・,33n−1,33nの記憶内容を1つずつ後段側にシフトさせる。この際、最後段のレジスタ33nに記憶されていた画像情報は消去される。また、タイミング制御回路343は、出力端子34bから第2の受光部302に送信リクエスト信号を出力する。
【0059】
第2の受光部302のタイミング制御回路353は、送信リクエスト信号に応じてデシリアライザ352にシリアルデータからパラレルデータへの変換を行わせる指令信号を出力する。また、差動受信器351は、一対の信号線からなる伝送線路3aを介して差動送信器342の出力信号を受信し、その受信信号に応じたシリアルデータをデシリアライザ352に出力する。デシリアライザ352は差動送信器342からのシリアルデータをパラレルデータに変換し、ラインメモリ33に出力する。このパラレルデータは、第1の受光部301から転送された画像情報として、最前段のレジスタ331に記憶される。
【0060】
上記の転送処理を繰り返して行うことで、第2の受光部302のラインメモリ33に順次第1の受光部301の画像情報が記憶されていく。そして、第1の受光部301及び第2の受光部302が上記の転送動作をn回繰り返すと、第1の受光部301のラインメモリ33に記憶されていた全ての画像情報が第2の受光部302のラインメモリ33に転送される。
【0061】
また、第1の転送サイクルでは、第2の受光部302の画像情報の第3の受光部303への転送、及び第3の受光部303の画像情報の画像処理部413への転送も、上記の第1の受光部301の画像情報の第2の受光部302への転送処理と同様の処理手順によって並行して実行する。この第1の転送サイクルでは、第1の受光部301,第2の受光部302,及び第3の受光部303の全てが送信すべき画像情報を記憶しているので、第1の受光部301,第2の受光部302,及び第3の受光部303がそれぞれ送信リクエスト信号を出力する。すなわち、第1の受光部301,第2の受光部302,及び第3の受光部303は、第1の転送サイクルの間、送信リクエスト信号をオン状態にする。
【0062】
第2の転送サイクルでは、第2の受光部302に記憶された画像情報が第3の受光部303に、第3の受光部303に記憶された画像情報が画像処理部413に、それぞれ転送される。この第2の転送サイクルにおいて、第2の受光部302から転送される画像情報は、AD変換サイクルにおいて第1の受光部301で生成された画像情報であり、第3の受光部303から転送される画像情報は、AD変換サイクルにおいて第2の受光部302で生成された画像情報である。
【0063】
また、第2の転送サイクルでは、第1の受光部301からの画像情報は既に転送を完了しているので、第1の受光部301の送信リクエスト信号はオフ状態である。第2の受光部302及び第3の受光部303は、転送すべき画像情報を記憶しているので、第2の受光部302及び第3の受光部303の送信リクエスト信号はオン状態である。
【0064】
第3の転送サイクルでは、第3の受光部303に記憶された画像情報が画像処理部413に転送される。この第3の転送サイクルにおいて、第3の受光部303から転送される画像情報は、AD変換サイクルにおいて第1の受光部301で生成された画像情報である。この第3の転送サイクルでは、第3の受光部303の送信リクエスト信号のみがオン状態である。
【0065】
このように、第1から第3の転送サイクルによって、AD変換サイクルにおいて第1の受光部301,第2の受光部302,及び第3の受光部303で生成された画像情報の画像処理部413への転送が完了する。
【0066】
第3の転送サイクルの後、第1の受光部301,第2の受光部302,及び第3の受光部303は、何れの処理も行わないアイドルサイクルに移行する。そして、画像処理部413から次のリード信号が出力されると、リードサイクル以降の処理を再度実行する。これにより、第1の受光部301,第2の受光部302,及び第3の受光部303は、前回よりも副走査方向に移動した別の読み取り位置で原稿9の画像を読み取る。
【0067】
画像処理部413は、第1から第3の転送サイクルにおいて転送された画像情報に対してシェーディング補正や補間処理等の画像処理を行い、画像処理後の画像情報をコントローラ40に送る。コントローラ40は、受け取った画像情報を例えば複写機の画像形成部に出力して用紙に画像を印刷させ、あるいは原稿9の全体の画像情報を集約して通信回線で接続されたコンピュータや記憶媒体等に出力する。
【0068】
[第2の実施の形態]
次に、図6を参照して本発明の第2の実施の形態を説明する。
図6は、本発明の第2の実施の形態に係る画像読取装置の動作順序の一例を示すタイミングチャートである。
【0069】
本実施の形態に係る画像読取装置は、第1の実施の形態に係る画像読取装置100と同様に構成されているが、第1の受光部301,第2の受光部302,及び第3の受光部303で生成された画像情報の転送サイクルの処理と、リードサイクル及びAD変換サイクルの処理とが並行して実行される点で異なっている。
【0070】
図6に示す例では、第3の転送サイクルの途中でリード信号がオンし、これによって第1の受光部301,第2の受光部302,及び第3の受光部303のフォトダイオードアレイ31及びADコンバータアレイ32がリードサイクル及びAD変換サイクルの処理を開始する。これらの処理は、第3の転送サイクルの転送処理と並行して実行される。
【0071】
なお、図6では、第3の転送サイクルとリードサイクル及びAD変換サイクルとを並行して実行する場合の例を示しているが、リードサイクル及びAD変換サイクルの処理により長時間を要する場合には、第2の転送サイクル及び第3の転送サイクルとリードサイクル及びAD変換サイクルとを並行して実行するようにしてもよい。さらには、第1の転送サイクルから第3の転送サイクルとリードサイクル及びAD変換サイクルとを並行して実行するようにしてもよい。あるいは、リードサイクルの処理のみを第1から第3の画像情報の転送サイクルの少なくとも何れかの処理と並行して実行するようにしてもよい。
【0072】
このように、リードサイクル及びAD変換サイクルの少なくとも何れかの処理を画像情報の転送サイクルの処理と並行して実行することで、第1の実施の形態に比較して、より高頻度に原稿9の画像の読み取りが実行される。
【0073】
[第3の実施の形態]
次に、図7を参照して本発明の第3の実施の形態を説明する。
図7は、本発明の第3の実施の形態に係る画像読取装置の受光部間の送受信部の構成の一例を示す構成図である。
【0074】
本実施の形態に係る画像読取装置は、複数の受光部の間の画像情報の転送方向を反転させることができるように構成されている点で、上記第1及び第2の実施の形態と異なっている。本実施の形態に係る第1〜第3の受光部は、これら受光部同士の間もしくは画像処理部413との間で画像情報の送信又は受信を行う送受信部の構成が異なる他は、第1の実施の形態と同様に構成されている。
【0075】
図7では、例として第1の受光部301Aと第2の受光部302Aとの間で画像情報の転送を行う送受信部を示しているが、この他の送受信部も同様に構成されている。第1の受光部301Aと第2の受光部302Aは、第1の受光部301Aに設けられた第1の送受信部34Aと、第2の受光部302Aに設けられた第2の送受信部35Aとによって画像情報の転送を行う。
【0076】
第1の受光部301Aの第1の送受信部34Aは、シリアライザ341と、差動送信器342と、差動受信器344と、デシリアライザ345と、タイミング制御回路346とを有している。
【0077】
また、第1の受光部301Aに設けられた入力端子34dには、画像処理部413から出力される転送方向を示す方向指示信号(DIR)が入力される。この方向指示信号は、タイミング制御回路346及び差動受信器344に入力されると共に、インバータ347を経由して反転した信号が差動送信器342に入力される。
【0078】
シリアライザ341は、ラインメモリ33における最後段の第nのレジスタ32nからの画像情報を示すパラレルデータをシリアルデータに変換し、このシリアルデータを差動送信器342に出力する。
【0079】
差動送信器342は、方向指示信号がオフ状態(インバータ347で反転した信号がオン状態)であるときに、シリアライザ341から入力されたシリアルデータを第1の送信端子342a及び第2の送信端子342bから伝送線路3dを介して送信する。ラインメモリ33,シリアライザ341,差動送信器342,及びタイミング制御回路346は、出力手段の一例である。
【0080】
差動受信器344は、方向指示信号がオン状態であるときに、後述する第2の受光部302Aの差動送信器355からの差動信号を第1の受信端子344a及び第2の送信端子344bから入力し、デシリアライザ345に出力する。
【0081】
デシリアライザ345は、差動受信器344から入力されたシリアルデータをパラレルデータに変換してラインメモリ33に出力し、最後段の第nのレジスタ32nにその内容を記憶させる。差動受信器344及びデシリアライザ345は、受付手段の一例である。
【0082】
タイミング制御回路346は、方向指示信号がオフ状態であるときにシリアライザ341に動作を行わせる指示信号を出力し、方向指示信号がオン状態であるときにデシリアライザ345に動作を行わせる指示信号を出力する。また、タイミング制御回路346は、ラインメモリ33に対し、方向指示信号がオフ状態であるときには第1のレジスタ331から第nのレジスタ33nに向かってシフト動作を行わせ、方向指示信号がオン状態であるときには第nのレジスタ33nから第1のレジスタ331に向かって逆方向にシフト動作を行わせる指示信号を出力する。
【0083】
また、タイミング制御回路346は、方向指示信号がオフ状態でかつ第2の受光部302Aに転送すべき画像情報がある場合には送信リクエスト信号を出力端子34bから出力する。第2の受光部302Aは、この送信リクエスト信号を入力端子35bから入力する。
【0084】
一方、第2の受光部302Aの第2の送受信部35Aは、差動受信器351と、デシリアライザ352と、シリアライザ354と、差動送信器355と、タイミング制御回路356とを有している。
【0085】
また、第2の受光部302Aに設けられた入力端子35dには、画像処理部413からの方向指示信号が入力される。この方向指示信号は、タイミング制御回路356及び差動送信器355に入力されると共に、インバータ357を経由して反転した信号が差動受信器351に入力される。
【0086】
差動受信器351は、方向指示信号がオフ状態であるときに、第1の受光部301Aの差動送信器342からの差動信号を第1の受信端子351a及び第2の送信端子351bから入力し、デシリアライザ352に出力する。
【0087】
デシリアライザ352は、差動受信器351から入力されたシリアルデータをパラレルデータに変換してラインメモリ33に出力し、最前段の第1のレジスタ321にその内容を記憶させる。差動受信器351及びデシリアライザ352は、受付手段の一例である。
【0088】
シリアライザ354は、ラインメモリ33における最前段の第1のレジスタ321からの画像情報を示すパラレルデータをシリアルデータに変換し、このシリアルデータを差動送信器355に出力する。
【0089】
差動送信器355は、方向指示信号がオン状態であるときに、シリアライザ354から入力されたシリアルデータを第1の送信端子355a及び第2の送信端子355bから伝送線路3eを介して送信する。
【0090】
タイミング制御回路356は、方向指示信号がオフ状態であるときにデシリアライザ352に動作を行わせる指示信号を出力し、方向指示信号がオン状態であるときにシリアライザ354に動作を行わせる指示信号を出力する。また、タイミング制御回路356は、ラインメモリ33に対し、方向指示信号がオフ状態であるときには第1のレジスタ331から第nのレジスタ33nに向かってシフト動作を行わせ、方向指示信号がオン状態であるときには第nのレジスタ33nから第1のレジスタ331に向かって逆方向にシフト動作を行わせる指示信号を出力する。ラインメモリ33,シリアライザ354,差動送信器355,及びタイミング制御回路356は、出力手段の一例である。
【0091】
また、タイミング制御回路356は、方向指示信号がオン状態でかつ第1の受光部301Aに転送すべき画像情報がある場合に、送信リクエスト信号を出力端子35cから出力する。第1の受光部301Aは、この送信リクエスト信号を入力端子34cから入力する。
【0092】
上記のように構成された第1の送受信部34A及び第2の送受信部35Aは、方向指示信号がオフ状態であるときには第1の送受信部34Aから第2の送受信部35Aへ画像情報を転送する。また、方向指示信号がオン状態であるときには第2の送受信部35Aから第1の送受信部34Aへ画像情報を転送する。これにより、方向指示信号をオン又はオフさせることで画像情報の転送方向が反転する。転送方向を反転させた場合、画像情報は下流側から上流側に転送され、画像処理部413は、第1の受光部301Aから全ての画像情報を受信する。従って、例えば原稿9の表面を読み取った後に原稿9の表裏を反転させ、原稿9の裏面を読み取る場合に、画像処理部413において画像情報の配列を主走査方向に逆転させる処理が不要となる。
【0093】
[第4の実施の形態]
次に、図8を参照して本発明の第4の実施の形態を説明する。
図8は、本発明の第4の実施の形態に係る画像読取装置の受光部間の送受信部の構成の一例を示す構成図である。
【0094】
本実施の形態に係る画像読取装置は、受光部間における画像情報の転送を、シリアル通信ではなく、パラレルデータの入出力(I/O通信)により行うように構成されている点で、上記第1の実施の形態と異なっている。本実施の形態に係る第1〜第3の受光部は、これら受光部同士の間もしくは画像処理部413との間で画像情報の送信又は受信を行う送受信部の構成が異なる他は、第1の実施の形態と同様に構成されている。
【0095】
図8では、例として本実施の形態に係る第1の受光部301Bと第2の受光部302Bとの間で画像情報の転送を行う出力部34Bと入力部35Bを示しているが、この他の送受信部も同様に構成されている。
【0096】
第1の受光部301Bの出力部34Bは、バスドライバ348と、タイミング制御回路349とを有している。第2の受光部302Bの入力部35Bは、バスレシーバ358と、タイミング制御回路359とを有している。
【0097】
バスドライバ348は、ラインメモリ33における最後段の第nのレジスタ33nからの画像情報を示すパラレルデータを入力し、プリント基板上に形成された伝送線路(データバス)3fを介してバスレシーバ358に出力する。バスレシーバ358が出力する信号線の数は、例えばラインメモリ33の各レジスタに記憶された画像情報のビット数と同数である。バスレシーバ358は、入力された信号をラインメモリ33に出力し、最前段の第1のレジスタ331にその内容を記憶させる。
【0098】
第1の受光部301Bのタイミング制御回路349は、ADコンバータアレイ32からラインメモリ33に画像情報が記憶されたタイミングで、バスドライバ348を動作させるための指示信号を出力すると共に、送信リクエスト信号を出力端子34bから出力する。ラインメモリ33,バスドライバ348,及びタイミング制御回路349は、出力手段の一例である。
【0099】
第2の受光部302Bのタイミング制御回路359は、この送信リクエスト信号を入力端子35bから入力し、バスレシーバ358を動作させるための指示信号を出力する。バスレシーバ358及びタイミング制御回路359は、受付手段の一例である。
【0100】
第1の受光部301Bのラインメモリ33、及び第2の受光部302Bのラインメモリ33は、第1のレジスタ331から第nのレジスタ33nに向かってシフト動作を行い、それぞれのレジスタに記憶された画像情報を順次第1の受光部301Bから第2の受光部302Bに転送する。
【0101】
本実施の形態では、受光部間の画像情報の転送をパラレルデータの入出力により行うので、シリアル通信により転送する場合に比較して、画像情報の転送が高速になる。
【0102】
[第5の実施の形態]
次に、図9A及び図9Bを参照して本発明の第5の実施の形態を説明する。
【0103】
(受光部の構成)
図9Aは、本発明の第5の実施の形態に係る画像読取装置の受光部300Cの概略の構成の一例を示す。
【0104】
本実施の形態に係る受光部300Cは、第1の実施の形態と同様に構成されたフォトダイオードアレイ31,ADコンバータアレイ32,及びラインメモリ33を有するが、他の受光部300Cから転送された画像情報をラインメモリ33に記憶しない点などで第1の実施の形態とは異なっている。
【0105】
本実施の形態に係る受光部300Cは、フォトダイオードアレイ31,ADコンバータアレイ32,ラインメモリ33,送信部34C,受信部35C,セレクタ36,及びタイミング制御回路371を有している。
【0106】
受信部35Cは、他の受光部から画像情報をシリアルデータとして受信し、シリアルデータのままセレクタ36に出力する。受信部35Cは受付手段の一例である。
【0107】
セレクタ36は、ラインメモリ33の出力(パラレルデータ)をシリアルデータに変換するシリアライザ機能を備え、このラインメモリ33の出力を変換したシリアルデータ、又は受信部35Cの出力の何れか一方を送信部34Cに出力するように構成されている。
【0108】
送信部34Cは、セレクタ36から出力されたシリアルデータを送信端子34aから送信する。
【0109】
タイミング制御回路371は、受光部300Cの各部の動作を制御する。このタイミング制御回路371は、出力端子37a,入力端子37b,出力端子37c,及び入力端子37dに接続されている。セレクタ36,送信部34C,及びタイミング制御回路371は、出力手段の一例である。
【0110】
(受光装置の構成)
図9Bは、本実施の形態に係る第1の受光部301C,第2の受光部302C,及び第3の受光部303Cを主走査方向に沿って配列した受光装置3Cの構成例を示す。第1の受光部301C,第2の受光部302C,及び第3の受光部303Cは、図9Aに示す受光部300Cと同じ構成及び機能を有している。
【0111】
この図に示すように、第1の受光部301Cの出力端子37cは第2の受光部302Cの入力端子37bに、第2の受光部302Cの出力端子37aは第1の受光部301Cの入力端子37dに、第3の受光部303Cの出力端子37aは画像処理部413に、それぞれ接続されている。また、第2の受光部302Cの出力端子37cは第3の受光部303Cの入力端子37bに、第3の受光部303Cの出力端子37aは第2の受光部302Cの入力端子37dに、それぞれ接続されている。
【0112】
第1の受光部301Cの入力端子37bはグランド(0V)に接続されている。画像処理部413からのリード信号は、第1の受光部301C,第2の受光部302C,及び第3の受光部303Cの入力端子30a、並びに第3の受光部303Cの入力端子37dに接続されている。
【0113】
(画像読取装置の動作)
次に、図9及び図10を参照して画像読取装置100の動作例を説明する。
図10は、本実施の形態に係る画像読取装置の動作順序の一例を示すタイミングチャートである。
【0114】
画像読取装置100は、第1〜第3の受光部301C,302C,303Cが画像処理部413からのリード信号を受けると、リードサイクルの動作を開始する。リードサイクルでは、ADコンバータアレイ32のAD変換素子321,322,・・・,32n−1,32nが、フォトダイオードアレイ31の各フォトダイオード311,312,・・・,31n−1,31nから、それぞれのフォトダイオードが受光した反射光8bの強度に応じた信号を読み出す。
【0115】
AD変換サイクルでは、ADコンバータアレイ32のAD変換素子321,322,・・・,32n−1,32nが、リードサイクルでサンプルホールドした信号電荷を量子化してデジタル信号に変換し、このデジタル信号をラインメモリ33の対応するレジスタ331,332,・・・,33n−1,33nに記憶させる。
【0116】
第1の転送サイクルでは、第3の受光素子303Cが画像処理部413に画像情報を送信する。第3の受光素子303Cのタイミング制御回路371は、入力端子37dに入力された画像処理部413からのリード信号を記憶しており、送信部34は、AD変換サイクルの後に直ちに、ラインメモリ33に記憶された画像情報を画像処理部413に送信する。この際、第3の受光素子303Cのタイミング制御回路371は、出力端子37aから画像処理部413にアクノリッジ信号を出力する。このアクノリッジ信号は、後述する第3の転送サイクルが完了するまでオン状態が保持される。
【0117】
また、第3の受光素子303Cは、そのラインメモリ33に記憶された画像情報の転送が終了すると、タイミング制御回路371が出力端子37aから受信リクエスト信号を出力する。
【0118】
第2の受光素子302Cのタイミング制御回路371は、受信リクエスト信号を入力端子37dから入力し、この受信リクエスト信号に応答して転送すべき画像データがあることを示すアクノリッジ信号を出力端子37cから出力する。また、第2の受光素子302Cのタイミング制御回路371は、受信リクエスト信号に応答して、第2の受光素子302Cのラインメモリ33に記憶された画像情報をセレクタ36を介して送信部34Cに出力させ、第3の受光部303Cに送信させる。
【0119】
一方、第3の受光素子303Cのタイミング制御回路371は、アクノリッジ信号に応じて、受信部35Cの出力信号が送信部34Cに出力されるようにセレクタ36の動作状態を切り換える。これにより、第2の転送サイクルにおいて、第2の受光素子302Cのラインメモリ33に記憶されていた画像情報が第3の受光素子303Cを介して画像処理部413に転送される。
【0120】
第2の受光素子302Cは、そのラインメモリ33に記憶された画像情報の転送が終了すると、タイミング制御回路371が出力端子37aから受信リクエスト信号を出力する。
【0121】
第1の受光素子301Cのタイミング制御回路371は、受信リクエスト信号を入力端子37dから入力し、この受信リクエスト信号に応答してアクノリッジ信号を出力端子37cから出力する。また、第1の受光素子301Cのタイミング制御回路371は、受信リクエスト信号に応答して、セレクタ36を介して送信部34Cに第1の受光素子301Cのラインメモリ33に記憶された画像情報を出力させ、第2の受光部302Cに送信させる。
【0122】
第2の受光素子302Cのタイミング制御回路371は、第1の受光素子301Cからのアクノリッジ信号に応じて、その受信部35Cの出力信号が送信部34Cに出力されるようにセレクタ36の動作状態を切り換える。また、第2の受光素子302Cのタイミング制御回路371は、第1の受光素子301Cからのアクノリッジ信号に応じて、第3の受光素子303Cへのアクノリッジ信号を、第1の受光素子301Cの画像情報の転送が完了するまでオンの状態に保持する。
【0123】
第1の受光部301Cの入力端子37bはグランド(0V)に接続されているので、第1の受光部301Cのアクノリッジ信号は、第1の受光部301Cからの画像情報の転送の終了によりオフ状態となる。
【0124】
これにより、第3の転送サイクルにおいて、第1の受光素子301Cのラインメモリ33に記憶されていた画像情報が、第2の受光素子302C及び第3の受光素子303Cを介して画像処理部413に転送される。
【0125】
[第6の実施の形態]
次に、図11A及び図11Bを参照して本発明の第6の実施の形態を説明する。
【0126】
(受光部の構成)
図11Aは、本発明の第6の実施の形態に係る画像読取装置の受光部300Dの概略の構成の一例を示す。
【0127】
本実施の形態に係る受光部300Dは、第5の実施の形態と同様に構成されたフォトダイオードアレイ31,送信部34C,及び受信部35Cを有するが、ADコンバータアレイ32及びラインメモリ33を有しない点などで第5の実施の形態に係る受光部300Cと異なっている。
【0128】
本実施の形態に係る受光部300Dは、フォトダイオードアレイ31,サンプルホールド回路311,送信部34C,受信部35C,第1のセレクタ381,第2のセレクタ382,ADコンバータ39,及びタイミング制御回路372を有している。
【0129】
サンプルホールド回路311は、n個のサンプルホールド素子3111,3112,・・・,311n−1,311nを備えている。これらのサンプルホールド素子3111,3112,・・・,311n−1,311nは、それぞれがフォトダイオード311,312,・・・,31n−1,31nに対応しており、フォトダイオード311,312,・・・,31n−1,31nの出力信号をサンプリングして保持する。
【0130】
第1のセレクタ381は、タイミング制御回路372から出力されるセレクト信号に応じて、サンプルホールド回路311のサンプルホールド素子3111,3112,・・・,311n−1,311nの何れか1つの出力信号をADコンバータ39に出力するように構成されている。
【0131】
ADコンバータ39は、第1のセレクタ381から出力されたアナログ信号をデジタル信号に変換して第2のセレクタ382に出力する。このADコンバータ39は、変換素子の一例である。
【0132】
第2のセレクタ382は、ADコンバータ39の出力(パラレルデータ)をシリアルデータに変換するシリアライザ機能を備え、このADコンバータ39の出力を変換したシリアルデータ、又は受信部35Cの出力の何れか一方を送信部34Cに出力するように構成されている。第1のセレクタ381,第2のセレクタ382,送信部34C,及びタイミング制御回路372は、出力手段の一例である。
【0133】
受信部35Cは、他の受光素子30から画像情報をシリアルデータとして受信し、シリアルデータのまま第2のセレクタ382に出力する。また、送信部34Cは、第2のセレクタ382から出力されたシリアルデータを送信端子34aから送信する。
【0134】
(受光装置の構成)
図11Bは、本実施の形態に係る第1の受光部301D,第2の受光部302D,及び第3の受光部303Dを主走査方向に沿って配列した受光装置3Dの構成例を示す。第1の受光部301D,第2の受光部302D,及び第3の受光部303Dは、図11Aに示す受光部300Dと同じ構成及び機能を有している。
【0135】
この図に示すように、第1の受光部301Dの出力端子37cは第2の受光部302Dの入力端子37bに、第2の受光部302Dの出力端子37aは第1の受光部301Dの入力端子37dに、第3の受光部303Dの出力端子37aは画像処理部413に、それぞれ接続されている。また、第2の受光部302Dの出力端子37cは第3の受光部303Dの入力端子37bに、第3の受光部303Dの出力端子37aは第2の受光部302Dの入力端子37dに、それぞれ接続されている。
【0136】
第1の受光部301Dの入力端子37bはグランド(0V)に接続されている。画像処理部413からのリード信号は、第1の受光部301D,第2の受光部302D,及び第3の受光部303Dの入力端子30a、並びに第3の受光部303Dの入力端子37dに接続されている。
【0137】
本実施の形態に係る第1の受光部301D,第2の受光部302D,及び第3の受光部303Dからの送信データ、及び受信リクエスト信号,アクノリッジ信号の動作は、図10を参照して説明した第5の実施の形態における動作と共通するが、受光部内部での動作は第5の実施の形態と異なっている。
【0138】
すなわち、第5の実施の形態では、ADコンバータ32でデジタル信号に変換された画像情報をラインメモリ33に記憶して順次転送したが、本実施の形態ではサンプルホールド回路311のサンプルホールド素子3111,3112,・・・,311n−1,311nに保持されたアナログ信号を順次ADコンバータ39でデジタル信号に変換し、この変換によって生成された画像情報を第2のセレクタ382を介して送信部34Cに出力する。
【0139】
第1の受光部301Dで生成された画像情報は、第2の受光部302D及び第3の受光部303Dを介して画像処理部413に転送され、第2の受光部302Dで生成された画像情報は第3の受光部303Dを介して画像処理部413に転送される。
【0140】
上記のように、本実施の形態に係る受光部300Dは、ラインメモリ33を有していないので、ラインメモリ33のシフト動作等に必要となる電力を削減することができる。
【0141】
[他の実施の形態]
なお、本発明は、上記各実施の形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々な変形が可能である。
【0142】
例えば、上記各実施の形態では3つの受光部を直列に接続した場合について説明したが、受光部の数に制限はなく、2個又は4個以上(例えば18個)の受光部を配置及び接続することが可能である。
【0143】
また、上記第5及び第6の実施の形態では、受光部が、そのフォトダイオードアレイ31の信号に基づく画像情報を転送した後、他の受光部から受け付けた画像情報の転送を行うようにしたが、他の受光部から受け付けた画像情報を先に送信し、その後にフォトダイオードアレイ31の信号に基づく画像情報を転送するようにしてもよい。
【0144】
また、受光装置を構成する複数の受光部のうち、最も上流側に配置された受光部は受信部を有しなくともよい。
【符号の説明】
【0145】
2…蓋部、3,3C,3D…受光装置、3a,3b,3c,3d,3e,3f…伝送線路、8a…照射光、8b…反射光、9…原稿、9a…表面、10…画像読取部、11…原稿台、12…光源、13…導光体、14…結像レンズ、20…原稿搬送機構、21…給紙トレイ、22…原稿分離ロール、23…原稿搬送ロール、24…読取ロール、25…排出ロール、26…排紙台、30…受光素子、30a…入力端子、31…フォトダイオードアレイ、311,312,31n−1,31n…フォトダイオード、32…ADコンバータアレイ、321,322,32n−1,32n…AD変換素子、32…コンバータアレイ、33…ラインメモリ、331,332,33n−1,33n…レジスタ、34…送信部、34A…第1の送受信部、34B…出力部、34C…送信部、34a…送信端子、34b,35c,37a,37c…出力端子、34c,34d,35b,35d,37b,37d…入力端子、35…受信部、35A…第2の送受信部、35B…入力部、35C…受信部、35a…受信端子、36…セレクタ、39…ADコンバータ、40…コントローラ、41…読取制御部、42…操作パネル、100…画像読取装置、111…白基準部材、300,300C,300D…受光部、301,301A,301B,301C,301D…第1の受光部、302,302A,302B,302C,302D…第2の受光部、303,303C,301D…第3の受光部、311…サンプルホールド回路、3111,3112,311n−1,311n…サンプルホールド素子、314…画像処理部、341…シリアライザ、342…差動送信器、342…シリアライザ、342a…第1の送信端子、342b…第2の送信端子、343…タイミング制御回路、344…差動受信器、344a…第1の受信端子、344b…第2の送信端子、345…デシリアライザ、346…タイミング制御回路、347…インバータ、348…バスドライバ、349…タイミング制御回路、351…差動受信器、351a…第1の受信端子、351b…第2の受信端子、352…デシリアライザ、353…タイミング制御回路、354…シリアライザ、355…差動送信器、355a…第1の送信端子、355b…第2の送信端子、356…タイミング制御回路、357…インバータ、358…バスレシーバ、359,371,372…タイミング制御回路、381…第1のセレクタ、382…第2のセレクタ、411…駆動制御部、412…点灯制御部、413…画像処理部、414…送信部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿を照射する光源と、
前記光源の光が前記原稿で反射した反射光を受光して前記反射光の強度に応じた画像情報を生成する複数の受光部と、
前記複数の受光部が生成した画像情報に基づいて画像処理を行う画像処理部とを備え、
前記複数の受光部は、主走査方向に沿って配置されるとともに、上流側の受光部の画像情報をその下流側の他の受光部を介して前記画像処理部に転送するように直列に接続されている画像読取装置。
【請求項2】
前記受光部は、
前記反射光の強度に応じた信号を出力する複数の受光素子と、
前記複数の受光素子の出力信号を量子化された信号に変換して前記画像情報を生成する変換素子と、
他の受光部から転送される画像情報を受け付け可能な受付手段と、
前記変換素子が生成した画像情報及び前記受付手段が受け付けた画像情報を、出力順序を制御して前記下流側の他の受光部又は前記画像処理部に出力することが可能な出力手段と、を備える請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記受光部は、前記他の受光部との間における前記画像情報の転送方向を反転可能に構成されている請求項1又は2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
第1の受光部と第2の受光部とを備え、
前記第1の受光部は、
受光した光の強度に応じた信号を出力する第1の受光素子と、
前記第1の受光素子の出力信号を量子化された信号に変換し、前記受光した光の強度を示す第1の受光情報を生成する第1の変換素子と、
前記第1の受光情報を前記第2の受光部に出力する第1の出力手段とを有し、
前記第2の受光部は、
受光した光の強度に応じた信号を出力する第2の受光素子と、
前記第2の受光素子の出力信号を量子化された信号に変換し、前記受光した光の強度を示す第2の受光情報を生成する第2の変換素子と、
前記第1の受光部から前記第1の受光情報を受け付ける受付手段と、
前記第2の受光情報及び前記受付手段が受け付けた前記第1の受光情報とを出力する第2の出力手段とを有する、受光装置。
【請求項1】
原稿を照射する光源と、
前記光源の光が前記原稿で反射した反射光を受光して前記反射光の強度に応じた画像情報を生成する複数の受光部と、
前記複数の受光部が生成した画像情報に基づいて画像処理を行う画像処理部とを備え、
前記複数の受光部は、主走査方向に沿って配置されるとともに、上流側の受光部の画像情報をその下流側の他の受光部を介して前記画像処理部に転送するように直列に接続されている画像読取装置。
【請求項2】
前記受光部は、
前記反射光の強度に応じた信号を出力する複数の受光素子と、
前記複数の受光素子の出力信号を量子化された信号に変換して前記画像情報を生成する変換素子と、
他の受光部から転送される画像情報を受け付け可能な受付手段と、
前記変換素子が生成した画像情報及び前記受付手段が受け付けた画像情報を、出力順序を制御して前記下流側の他の受光部又は前記画像処理部に出力することが可能な出力手段と、を備える請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記受光部は、前記他の受光部との間における前記画像情報の転送方向を反転可能に構成されている請求項1又は2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
第1の受光部と第2の受光部とを備え、
前記第1の受光部は、
受光した光の強度に応じた信号を出力する第1の受光素子と、
前記第1の受光素子の出力信号を量子化された信号に変換し、前記受光した光の強度を示す第1の受光情報を生成する第1の変換素子と、
前記第1の受光情報を前記第2の受光部に出力する第1の出力手段とを有し、
前記第2の受光部は、
受光した光の強度に応じた信号を出力する第2の受光素子と、
前記第2の受光素子の出力信号を量子化された信号に変換し、前記受光した光の強度を示す第2の受光情報を生成する第2の変換素子と、
前記第1の受光部から前記第1の受光情報を受け付ける受付手段と、
前記第2の受光情報及び前記受付手段が受け付けた前記第1の受光情報とを出力する第2の出力手段とを有する、受光装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【公開番号】特開2012−70170(P2012−70170A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−212473(P2010−212473)
【出願日】平成22年9月22日(2010.9.22)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月22日(2010.9.22)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
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