画像読取装置及び画像処理装置
【課題】読取画像データに基づいて生成された画像を加工するための作業を簡素化することができるようにする。
【解決手段】原稿の画像を読み取り、読取画像データを生成する画像読取部51と、前記読取画像データを複数の領域に分割して領域情報を生成する領域情報生成部52と、前記読取画像データ及び前記領域情報に基づいて前記読取画像データに対応する透過情報を生成する透過情報生成部53と、前記読取画像データ及び透過情報に基づいて画像ファイルを生成する画像ファイル生成部54とを有する。読取画像データに対応する透過情報が生成され、読取画像データ及び透過情報に基づいて画像ファイルが生成されるので、例えば、透過性を有する画像ファイルを容易に生成することができる。
【解決手段】原稿の画像を読み取り、読取画像データを生成する画像読取部51と、前記読取画像データを複数の領域に分割して領域情報を生成する領域情報生成部52と、前記読取画像データ及び前記領域情報に基づいて前記読取画像データに対応する透過情報を生成する透過情報生成部53と、前記読取画像データ及び透過情報に基づいて画像ファイルを生成する画像ファイル生成部54とを有する。読取画像データに対応する透過情報が生成され、読取画像データ及び透過情報に基づいて画像ファイルが生成されるので、例えば、透過性を有する画像ファイルを容易に生成することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置及び画像処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、プリンタ、スキャナ、複写機、ファクシミリ、複合機(Multi Function Printer)等の画像処理装置、例えば、複合機は、プリンタとして機能するプリンタ部及びスキャナとして機能する画像読取装置としてのスキャナ部を備える。
【0003】
前記複合機においては、スキャナ部で読み取った原稿の画像(以下「読取画像」という。)のデータ、すなわち、読取画像データがプリンタ部に送られ、該プリンタ部において、前記読取画像データに基づいて用紙に画像を形成することができるようになっている。また、前記複合機においては、外部装置、例えば、パソコンを介することなく前記読取画像データに基づいて画像ファイルを生成し、USBメモリ等の外部記憶装置に記録することもできる(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
ところで、前記複合機においては、生成された画像ファイルの画像を、画像加工用のアプリケーションを使用して、複合機に配設されたアプリケーション上で他の文書、画像等と合成したり、必要な部分をトリミングしたりして加工することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−352275号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記従来の複合機においては、アプリケーション上で画像を加工する際に、加工する画像の領域を指定する必要があり、そのための作業が煩雑である。
【0007】
本発明は、前記従来の複合機の問題点を解決して、読取画像データに基づいて生成された画像を加工するための作業を簡素化することができる画像読取装置及び画像処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そのために、本発明の画像読取装置においては、原稿の画像を読み取り、読取画像データを生成する画像読取部と、前記読取画像データを複数の領域に分割して領域情報を生成する領域情報生成部と、前記読取画像データ及び前記領域情報に基づいて前記読取画像データに対応する透過情報を生成する透過情報生成部と、前記読取画像データ及び前記透過情報に基づいて画像ファイルを生成する画像ファイル生成部とを有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、画像読取装置においては、原稿の画像を読み取り、読取画像データを生成する画像読取部と、前記読取画像データを複数の領域に分割して領域情報を生成する領域情報生成部と、前記読取画像データ及び前記領域情報に基づいて前記読取画像データに対応する透過情報を生成する透過情報生成部と、前記読取画像データ及び前記透過情報に基づいて画像ファイルを生成する画像ファイル生成部とを有する。
【0010】
この場合、読取画像データ及び領域情報に基づいて読取画像データに対応する透過情報が生成され、読取画像データ及び透過情報に基づいて画像ファイルが生成されるので、例えば、透過性を有する画像ファイルを容易に生成することができる。したがって、読取画像データに基づいて生成された画像を加工するための作業を簡素化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1の実施の形態における複合機の制御ブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態における複合機の概念図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態における複合機の動作を示すフローチャートである。
【図4】本発明の第1の実施例における透過情報生成処理のサブルーチンを示す図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態における原稿の読取画像を画素単位で説明するための図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態における読取グレー画像データの例を示す図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態における領域情報の例を示す第1の図である。
【図8】本発明の第1の実施の形態における領域情報の例を示す第2の図である。
【図9】本発明の第1の実施の形態における透過情報の例を示す図である。
【図10】本発明の第1の実施の形態における画像ファイルの例を示す図である。
【図11】本発明の第1の実施の形態におけるα付きグレー画像データを生成する方法を説明するための第1の図である。
【図12】本発明の第1の実施の形態におけるα付きグレー画像データを生成する方法を説明するための第2の図である。
【図13】本発明の第1の実施の形態におけるα付きグレー画像データを生成する方法を説明するための第3の図である。
【図14】本発明の第1の実施の形態における読取グレー画像データの画像を画素単位で説明するための図である。
【図15】本発明の第1の実施の形態におけるα付きグレー画像データの画像を画素単位で説明するための図である。
【図16】本発明の第1の実施の形態における読取グレー画像データの画像を他の画像に重ねたときの図である。
【図17】本発明の第1の実施の形態におけるα付きグレー画像データの画像を他の画像に重ねたときの図である。
【図18】本発明の第2の実施の形態における複合機の制御ブロック図である。
【図19】本発明の第2の実施の形態における複合機の動作を示すフローチャートである。
【図20】本発明の第2の実施の形態における透過情報生成処理のサブルーチンを示す図である。
【図21】本発明の第2の実施の形態における印刷用画像を画素単位で説明するための図である。
【図22】本発明の第2の実施の形態における印刷用画像データの例を示す図である。
【図23】本発明の第2の実施の形態における原稿の読取画像を画素単位で説明するための図である。
【図24】本発明の第2の実施の形態における読取グレー画像データの例を示す図である。
【図25】本発明の第2の実施の形態における透過情報の例を示す図である。
【図26】本発明の第2の実施の形態における合成画像を画素単位で説明するための図である。
【図27】本発明の第2の実施の形態における合成画像データの例を示す図である。
【図28】本発明の第2の実施の形態における合成画像データを輝度ベースで表した図である。
【図29】本発明の第2の実施の形態における合成画像データを濃度ベースで表した図である。
【図30】本発明の第2の実施の形態における2値データの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。この場合、画像処理装置としての複合機について説明する。
【0013】
図2は本発明の第1の実施の形態における複合機の概念図である。
【0014】
図に示されるように、複合機10は、スキャナとして機能し、図示されない原稿の画像を読み取る画像読取装置としてのスキャナ部20、及び該スキャナ部20の下方に配設され、プリンタとして機能し、画像形成用の媒体としての図示されない用紙に画像を形成する画像形成装置としてのプリンタ部30を備える。該プリンタ部30は、スキャナ部20から送られた第1の画像データとしての読取画像データ、又は図示されない外部装置、例えば、パソコンから送られた第2の画像データとしての印刷データを受け、読取画像データ又は印刷データに基づいて、前記用紙に画像を形成する。
【0015】
そして、前記スキャナ部20は、第1の読取用の原稿としての冊子状の原稿、すなわち、冊子原稿、又は第2の読取用の原稿としてのシート状の原稿、すなわち、シート原稿を載置するためのフラットベッド21、該フラットベッド21に載置された冊子原稿又はシート原稿を上方から押すためのスキャナカバー22、前記シート原稿を自動的に搬送する自動原稿搬送部(ADF)23、前記フラットベッド21の下方に配設され、内部に読取センサが配設された走査部24、該走査部24の前面に配設された操作・表示部としての操作パネル25等を備える。該操作パネル25は、操作者が複合機10に対して各種の指示又は設定を行うための図示されない操作部、及び操作者に対して各種の通知又は表示を行うための図示されない表示部を備え、前記操作部は操作要素としてのボタン、キー等を備え、前記表示部は、表示画面を形成するための液晶ディスプレイ、LEDディスプレイ等を備える。なお、前記表示部をタッチパネルによって形成し、操作部として機能させることができる。
【0016】
また、前記プリンタ部30は、下部に配設された媒体収容部としての用紙カセット31、前記プリンタ部30の本体、すなわち、プリンタ部本体32等を備え、該プリンタ部本体32内に、前記用紙カセット31から給紙された用紙に画像を形成する図示されない画像形成部が配設される。なお、前記プリンタ部本体32にインタフェース33が配設される。
【0017】
次に、前記複合機10の制御装置について説明する。
【0018】
図1は本発明の第1の実施の形態における複合機の制御ブロック図である。
【0019】
図に示されるように、複合機10は、複合機10の全体の制御を行う制御部50、及び読取画像データ等を記録するための記憶部60を備える。
【0020】
前記制御部50は、原稿の画像を読み取り、読取画像データを生成する画像読取処理手段としての画像読取部51、該画像読取部51によって生成された読取画像データを複数の領域に分割して領域情報を生成する領域情報生成処理手段としての領域情報生成部52、前記読取画像データ及び領域情報に基づいて、前記読取画像データに対応させて、所定の領域を透過させるための透過情報を生成する透過情報生成処理手段としての透過情報生成部53、前記読取画像データ及び透過情報に基づいて画像ファイルを生成する画像ファイル生成処理手段としての画像ファイル生成部54、並びにプリンタ部30のインタフェース33を介して電子メールを出力(送信)する、画像ファイル出力処理手段としての、かつ、画像ファイル出力部としてのメール送信部55を備える。
【0021】
そして、前記記憶部60は、読取画像データを記録するための領域である読取画像データ部61、領域情報を記録するための領域である領域情報部62、透過情報を記録するための領域である透過情報部63、及び画像ファイルを記録するための領域である画像ファイル部64を備える。
【0022】
次に、前記構成の複合機10の動作について説明する。
【0023】
図3は本発明の第1の実施の形態における複合機の動作を示すフローチャート、図4は本発明の第1の実施例における透過情報生成処理のサブルーチンを示す図、図5は本発明の第1の実施の形態における原稿の読取画像を画素単位で説明するための図、図6は本発明の第1の実施の形態における読取グレー画像データの例を示す図、図7は本発明の第1の実施の形態における領域情報の例を示す第1の図、図8は本発明の第1の実施の形態における領域情報の例を示す第2の図、図9は本発明の第1の実施の形態における透過情報の例を示す図、図10は本発明の第1の実施の形態における画像ファイルの例を示す図、図11は本発明の第1の実施の形態におけるα付きグレー画像データを生成する方法を説明するための第1の図、図12は本発明の第1の実施の形態におけるα付きグレー画像データを生成する方法を説明するための第2の図、図13は本発明の第1の実施の形態におけるα付きグレー画像データを生成する方法を説明するための第3の図、図14は本発明の第1の実施の形態における読取グレー画像データの画像を画素単位で説明するための図、図15は本発明の第1の実施の形態におけるα付きグレー画像データの画像を画素単位で説明するための図、図16は本発明の第1の実施の形態における読取グレー画像データの画像を他の画像に重ねたときの図、図17は本発明の第1の実施の形態におけるα付きグレー画像データの画像を他の画像に重ねたときの図である。
【0024】
まず、画像読取部51は、画像読取処理を行い、操作者による操作部の操作に基づいて、スキャナ部20のフラットベッド21(図2)に載置された冊子原稿若しくはシート原稿、又は自動原稿搬送部23から繰り出されたシート原稿の画像を読み取り、読取画像データを生成し、記憶部60の読取画像データ部61に記録する。
【0025】
なお、前記読取画像データには、読取カラー画像データ及び読取グレー画像データがあり、読取画像データが読取カラー画像データである場合は、1画素が、RGB色の各色ごとに、例えば、1〔Byte〕(8〔bit〕)の画素データによって、256階調のカラー画像で表され、読取画像データが読取グレー画像データである場合は、1画素が、例えば、1〔Byte〕の画素データによって、256階調のグレー画像で表される。本実施の形態においては、読取グレー画像データに基づいて画像ファイルが生成される。
【0026】
例えば、前記スキャナ部20において、読取センサが、図5に示されるようなシート原稿Aの画像gを読み取ると、各画素pが256階調のグレー画像で表される。
【0027】
このとき、画像読取部51によって生成される読取グレー画像データは、図6に示されるようなマトリックスで配列された各画素pごとの画素データから成り、該各画素データは、輝度ベースの階調値である0x00〜0xFFで表される。
【0028】
前記各画素データは、階調値が0xFF(=255)である場合、白の階調になり、階調値が0x00(=0)である場合、黒の階調になり、階調値が0xFE(淡)〜0x01(濃)である場合、グレー(中間)の階調になる。
【0029】
なお、前記読取グレー画像データは、読取センサが画像gを光学的に読み取ることによって生成されるので、図5に示されるように、画素単位で読取画像を見たときに、人間が目視して“白”と判断する画素p1であっても、図6に示されるように、対応する画素データd1の階調値は0xFF以外の0xFCであることがあり、人間が目視して“黒”と判断する画素p2であっても、対応する画素データd2の階調値は0x00以外の0x09であることがある。
【0030】
次に、領域情報生成部52は、領域情報生成処理を行い、読取画像データ部61から読取画像データ、すなわち、読取グレー画像データを読み出し、該読取グレー画像データを、各画素データの階調値に基づいて、背景部及び前景部の各領域に分割し、更に前記前景部の一部を境界部として分割する。そのために、前記領域情報生成部52は、図7に示されるように、画素データの階調値が0xE1以上の“白”及び“白に近いグレー”の画素データを背景部AR1とし、0xE1より小さい画素データを前景部AR2とし、図8に示されるように、前景部AR2の各画素データのうちの、左右又は上下で背景部AR1の画素データと隣接する画素データを境界部AR3とし、各領域の画素データを領域情報として領域情報部62に記録する。なお、前記各画素データの階調値は、前記各領域を設定するための指標、すなわち、領域設定指標を構成する。
【0031】
次に、透過情報生成部53は、透過情報生成処理を行い、領域情報部62から領域情報を読み出し、前記読取画像データ及び領域情報に基づいて読取画像データに対応する透過情報を生成し、透過情報部63に記録する。
【0032】
そのために、前記透過情報生成部53は、背景部AR1、前景部AR2及び境界部AR3に、各領域に応じた透過度を設定する。この場合、背景部AR1の画素データの不透過度値が0x00に、前景部AR2の画素データの不透過度値が0xFFに、境界部AR3の画素データの不透過度値が0xCCにされ、図9に示されるような透過情報が生成される。したがって、背景部AR1の各画素は全透過(不透過度が0〔%〕)に、前景部AR2の各画素は不透過(不透過度が100〔%〕)に、境界部AR3の各画素は半透過(不透過度が80〔%〕)になる。なお、前記透過度は100〔%〕から不透過度を減算することによって得られる。
【0033】
このようにして、不透過度によって表される透過情報が生成されると、画像ファイル生成部54は、画像ファイル生成処理を行い、読取画像データ部61から読取グレー画像データを、透過情報部63から透過情報を読み出し、読取グレー画像データ及び透過情報に基づいてPNGファイルフォーマットで図10に示されるような画像ファイルを生成し、画像ファイル部64に記録する。
【0034】
図10において、Fi1は画像ファイルのファイル形式がPNGファイルであることを示す固定情報であるPNGファイルシグネチャであり、“0x50,0x4E,0x47”によって“PNG”が表される。また、Fi2はイメージヘッダ情報のチャンクであるIHDRチャンクであり、“0x49,0x48,0x44,0x52”によって“IHDR”が表される。そして、IHDRチャンクFi2において、“Bit depth=8”は階調数が256であることを表し、“Color type=4”は色の種類がα付きグレーであることを表す。なお、“Color type=0”は色の種類がグレーであることを、“Color type=2”は色の種類がtrueカラーであることを、“Color type=3”は色の種類がインデックスカラーであることを、“Color type=6”は色の種類がα付きtrueカラーであることを表す。
【0035】
また、Fi3は読取画像データのチャンクであるIDATチャンクであり、“0x49,0x44,0x41,0x54”によって“IDAT”が表される。そして、“チャンクデータ”の箇所にデフレート圧縮されたチャンクデータが記録される。さらに、Fi4はイメージの終端を示すチャンクであるIENDチャンクであり、“0x49,0x45,0x4E,0x44”によって“IEND”が表される。
【0036】
なお、制御部50に図示されないファイル形式指定処理手段としてのファイル形式指定部が配設され、該ファイル形式指定部は、操作者による操作部の操作に基づいて、画像ファイルのファイル形式を指定する。
【0037】
ところで、前記PNGファイルフォーマットで、透過性を有する画像ファイルを生成する場合、IHDRチャンクFi2の“Color type”が、グレー画像であれば“4”に、カラー画像であれば“6”に設定され、“Color type”に応じたチャンクデータがデフレート圧縮され、“チャンクデータ”の箇所に記録される。例えば、“Color type”が“4”に設定された場合は、図13に示されるようなα付きグレー画像データが記録される。
【0038】
該α付きグレー画像データは、1画素ずつ、図11に示される読取グレー画像データの階調値と、図12に示される透過情報の不透過度とを対にして並べて形成される。そして、図11に示される読取グレー画像データの画素データd11と、図12に示される透過情報の不透過度m1とが対にして並べられ、図13に示されるような、画素データd11、d12間に不透過度m1が挟まれた状態でチャンクデータk1〜k3が生成される。このようにして、α付きグレー画像データに基づいて透過性を有する画像ファイルを生成することができる。
【0039】
この場合、読取グレー画像データにおいては、1画素が1〔Byte〕の画素データによって表され、α付きグレー画像データにおいては、1画素が2〔Byte〕のチャンクデータによって表される。なお、“Color type”が“2”に設定された場合、カラー画像データにおいては、1画素が3〔Byte〕の画素データによって表され、α付きカラー画像データにおいては、1画素が4〔Byte〕のチャンクデータによって表される。
【0040】
そして、図12に示される読取グレー画像データの画像を画素単位で見ると、図14に示されるようになり、図13に示されるα付きグレー画像データの画像を画素単位で見ると、図15に示されるようになり、見た目上、大きな差異はないが、α付きグレー画像データの画像の場合、全透過となった背景部AR1の画素が目視では“白”となり、境界部AR3の画素の濃度がやや低くなる。
【0041】
そして、読取グレー画像データの画像ファイルから成る画像を他の画像に重ねて、更に画像ファイルを生成すると、図16に示されるように、読取グレー画像データの画素データがそのまま上塗りされるのに対して、α付きグレー画像データの画像を他の画像に重ねて画像ファイルを生成すると、図17に示されるように、チャンクデータが上塗りされるので、背景部AR1において下の画像を透視することができ、境界部AR3において下の画像をわずかに透視することができる。
【0042】
このようにして、画像ファイルが生成されると、メール送信部55は、画像ファイル出力処理としてのメール送信処理を行い、画像ファイル部64から生成された画像ファイルを読み出し、電子メールに添付して、プリンタ30のインタフェース32を介して電子メールを出力する。
【0043】
このように、本実施の形態においては、スキャナ部20において、シート原稿又は冊子原稿の画像が読み取られると、読取画像データ及び領域情報に基づいて読取画像データに対応する透過情報が生成され、読取画像データ及び透過情報に基づいて画像ファイルが生成されるので、透過性を有する画像ファイルを容易に生成することができる。したがって、読取画像データに基づいて生成された画像を加工するための作業を簡素化することができる。
【0044】
次に、図3のフローチャートについて説明する。
ステップS1 画像読取部51は原稿の画像を読み取る。
ステップS2 領域情報生成部52は領域情報生成処理を行う。
ステップS3 透過情報生成部53は透過情報生成処理を行う。
ステップS4 画像ファイル生成部54は画像ファイルを生成する。
ステップS5 メール送信部55は、画像ファイルを電子メールに添付して出力し、処理を終了する。
【0045】
次に、図4のフローチャートについて説明する。
ステップS3−1 透過情報生成部53は領域情報を読み出す。
ステップS3−2 透過情報生成部53は透過情報を生成し、リターンする。
【0046】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与し、同じ構造を有することによる発明の効果については同実施の形態の効果を援用する。
【0047】
図18は本発明の第2の実施の形態における複合機の制御ブロック図である。
【0048】
この場合、制御部50は、重畳用画像データとしての印刷用画像データと読取画像データとを透過情報に従って合成し、合成画像データを生成する画像合成処理手段としての画像合成部56、合成画像データに基づいて印刷データを生成する印刷データ生成処理手段としての印刷データ生成部57、及び合成画像データに基づいて印刷を行う画像印刷処理手段としての画像印刷部58を備え、記憶部60は、重畳用画像データ部としての印刷用画像データ部67、合成画像データ部65及び印刷データ部66を備える。
【0049】
次に、前記構成の複合機10の動作について説明する。
【0050】
図19は本発明の第2の実施の形態における複合機の動作を示すフローチャート、図20は本発明の第2の実施の形態における透過情報生成処理のサブルーチンを示す図、図21は本発明の第2の実施の形態における印刷用画像を画素単位で説明するための図、図22は本発明の第2の実施の形態における印刷用画像データの例を示す図、図23は本発明の第2の実施の形態における原稿の読取画像を画素単位で説明するための図、図24は本発明の第2の実施の形態における読取グレー画像データの例を示す図、図25は本発明の第2の実施の形態における透過情報の例を示す図、図26は本発明の第2の実施の形態における合成画像を画素単位で説明するための図、図27は本発明の第2の実施の形態における合成画像データの例を示す図、図28は本発明の第2の実施の形態における合成画像データを輝度ベースで表した図、図29は本発明の第2の実施の形態における合成画像データを濃度ベースで表した図、図30は本発明の第2の実施の形態における2値データの例を示す図である。
【0051】
まず、画像読取処理手段としての画像読取部51は、操作者による操作部の操作に基づいて、画像読取装置としてのスキャナ部20(図2)のフラットベッド21に載置された第1の読取用の原稿としての冊子原稿若しくは第2の読取用の原稿としてのシート原稿、又は自動原稿搬送部23から繰り出され、フォーム、ロゴ等の透過処理の対象となる画像を含むシート原稿の画像を読み取り、読取画像データを生成し、記憶部60の読取画像データ部61に記録する。
【0052】
そして、例えば、前記スキャナ部20において、読取センサが、図23に示されるようなシート原稿A1の画像gを読み取ると、各画素pが256階調のグレー画像で表される。
【0053】
続いて、画像読取部51は、操作者による操作部の操作に基づいて、スキャナ部20のフラットベッド21に載置された印刷用の冊子原稿若しくはシート原稿、又は自動原稿搬送部23から繰り出された印刷用のシート原稿の画像を読み取り、印刷用画像データを記憶部60の印刷用画像データ部67に記録する。
【0054】
例えば、前記スキャナ部20において、読取センサが、図21に示されるような印刷用のシート原稿Bの画像grを読み取ると、各画素prが256階調のグレー画像で表される。
【0055】
なお、前記読取画像データと同様に、前記印刷用画像データには、印刷用カラー画像データ及び印刷用グレー画像データがあり、本実施の形態においては、印刷用グレー画像データによって印刷用画像が生成される。
【0056】
画像読取部51によって生成される印刷用グレー画像データは、第1の実施の形態と同様に、図22に示されるような、マトリックスで配列された各画素prごとの画素データから成り、各画素データは、輝度ベースの階調値である0x00〜0xFFで表される。
【0057】
また、前記印刷用グレー画像データの各画素データは、第1の実施の形態と同様に、階調値が0xFF(=255)である場合、白の階調になり、階調値が0x00(=0)である場合、黒の階調になり、階調値が0xFE(淡)〜0x01(濃)である場合、グレー(中間)の階調になる。
【0058】
次に、領域情報生成処理手段としての領域情報生成部52は、読取画像データ部61から読取画像データ、すなわち、読取グレー画像データを読み出し、該読取グレー画像データを、各画素データの階調値に基づいて、図8及び24に示されるように、背景部AR1、前景部AR2及び境界部AR3の各領域に分割し、各領域の画素データを領域情報として領域情報部62に記録する。この場合、前記各画素データの階調値によって領域設定指標が構成される。
【0059】
続いて、透過情報生成処理手段としての透過情報生成部53は、領域情報部62から領域情報を読み出し、領域情報に基づいて透過情報を生成し、透過情報部63に記録する。この場合、背景部AR1の画素データの不透過度値が0x00に、前景部AR2の画素データの不透過度値が0xFFに、境界部AR3の画素データの不透過度値が0xCCにされ、図9及び25に示されるような透過情報が生成される。したがって、背景部AR1の各画素は全透過(不透過度が0〔%〕)に、前景部AR2の各画素は不透過(不透過度が100〔%〕)に、境界部AR3の各画素は半透過(不透過度が80〔%〕)になる。
【0060】
次に、前記画像合成部56は、画像合成処理を行い、図22に示される印刷用画像データ、すなわち、印刷用グレー画像データと、図24に示される読取グレー画像データとを、図25に示される透過情報に従って合成し、合成画像データを生成し、合成画像データ部65に記録する。
【0061】
なお、読取グレー画像データの各画素データの階調値をR1とし、透過情報の不透過度をεとし、印刷用グレー画像データの各画素データの階調値をR2とすると、合成画像データの各画素データの階調値R3は次の式で算出することができる。
【0062】
R3={R1×ε+R2×(100〔%〕−ε)}/100〔%〕
本実施の形態において、読取グレー画像データの画素データd21に対応する不透過度をm11とし、画素データd21に対応する印刷用グレー画像データの画素データをe1とし、画素データd21に対応する合成画像データの画素データをf1としたとき、画素データd21の階調値R1が0x0Fであり、不透過度m11の値εが0xCCであり、画素データe1の階調値R2が0xFFであり、画素データf1の階調値R3が0x3Fであるので、
0x3F={(0x0F×0xCC+0xFF×(255−0xCC)}/255
になる。
【0063】
図25に示される透過情報の例において、背景部AR1の各画素は全透過(不透過度が0〔%〕)に、前景部AR2の各画素は不透過(不透過度が100〔%〕)に、境界部AR3の各画素は半透過(不透過度が80〔%〕)にされるので、合成画像データの背景部AR1の画素は印刷用グレー画像データのままになり、合成画像データの前景部AR2の画素は読取グレー画像データのままになり、合成画像データの境界部AR3の各画素は、読取グレー画像データの階調値R1の80〔%〕と印刷用グレー画像データの階調値R2の20〔%〕とを加算した階調値R3になる。
【0064】
次に、前記印刷データ生成部57は、印刷データ生成処理を行い、合成画像データ部65から合成画像データを読み出し、合成画像データに基づいて印刷データを生成する。
【0065】
この場合、合成画像データは、前記読取グレー画像データ及び印刷用グレー画像データと同様に、輝度ベースの階調値R3を有するので、前記印刷データ生成部57は、まず、図28に示される合成画像データの各画素データの階調値R3を、図29に示される濃度ベース階調値R4に変換する。濃度ベースにおいて、前記各画素データは、階調値R4が0xFF(=255)である場合、黒の階調になり、階調値R4が0x00(=0)である場合、白の階調になり、階調値R4が0xFE(濃)〜0x01(淡)である場合、グレー(中間)の階調になる。
【0066】
続いて、印刷データ生成部57は、各画素データの階調値R4を2値化し、図30に示される、同じ解像度のモノクロ2値(0:白、1:黒)のドットに変換して、印刷データを生成し、印刷データ部66に記録する。読取時の画像の1画素が印刷時の1ドットにされるので、階調値Rが0x7F未満である場合、印刷データは0に、階調値Rが0x80以上の場合、印刷データは1に変換される。なお、読取時の1画素が印刷時の複数のドットにされる場合等には、ディザリング等の変換処理によって、階調値R4が2値化される。
【0067】
本実施の形態において、合成画像データの画素データf11に対応する濃度ベースの画素データをs1とし、画素データf11に対応する印刷データの画素データをα1としたとき、画素データf11の階調値が0x3Fであるので、画素データs1は0xC0になり、印刷データの画素データα1は1になる。
【0068】
次に、前記画像印刷部58は、画像印刷処理を行い、印刷データ部66から印刷データを読み出し、印刷データに基づいて画像形成装置としてのプリンタ部30によって印刷を行う。
【0069】
このように、本実施の形態においては、印刷用の冊子原稿又はシート原稿のフォーム、ロゴ等の画像を読み取り、読取画像データと印刷用画像データとを合成することによって、冊子原稿又はシート原稿の画像にフォーム、ロゴ等の画像を重ねて、容易に印刷を行うことができる。
【0070】
次に、図19のフローチャートについて説明する。
ステップS11 画像読取部51は原稿の画像を読み取る。
ステップS12 画像読取部51は印刷用原稿の画像を読み取る。
ステップS13 領域情報生成部52は領域情報生成処理を行う。
ステップS14 透過情報生成部53は透過情報生成処理を行う。
ステップS15 画像合成部56は印刷用画像データと読取画像データとを合成する。
ステップS16 印刷データ生成部57は印刷データを生成する。
ステップS17 画像印刷部58は印刷データに基づいて印刷を行い、処理を終了する。
【0071】
次に、図20のフローチャートについて説明する。
ステップS14−1 透過情報生成部53は領域情報を読み出す。
ステップS14−2 透過情報生成部53は透過情報を生成し、リターンする。
【0072】
前記各実施の形態においては、読取画像データとして読取グレー画像データを使用し、読取グレー画像データを、各画素データの階調値に基づいて、背景部AR1、前景部AR2及び境界部AR3の各領域に分割するようになっているが、読取画像データとして読取カラー画像データを使用する場合には、領域設定指標として色差等を使用し、該色差等に基づいて読取カラー画像データを各領域に分割することができる。
【0073】
また、背景部AR1の濃度、色等の範囲は、例えば、操作者が、操作・表示部としての操作パネル25(図2)の表示部に表示されるメニューから階調差、色差等を設定することによって設定することができる。したがって、任意の濃度、色等で背景部AR1の範囲を設定することができる。
【0074】
さらに、前記透過情報を生成するかどうかを、メニュー等によって設定することができる。そのために、操作者が操作部を操作して、メニュー等によって透過情報を生成するかどうかを設定すると、透過情報生成部53は設定内容に応じて透過情報を選択的に生成する。その場合、画像ファイル、印刷による画像品質等を調整することができる。
【0075】
そして、ロゴ等の画像のように原稿の一部だけを透過情報としたい場合は、透過情報とする範囲を指定し、範囲外は切捨て又は全透過にすることによって、読取画像データについて必要な部分だけを処理することができる。
【0076】
なお、本発明は前記各実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【符号の説明】
【0077】
20 スキャナ部
51 画像読取部
52 領域情報生成部
53 透過情報生成部
54 画像ファイル生成部
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置及び画像処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、プリンタ、スキャナ、複写機、ファクシミリ、複合機(Multi Function Printer)等の画像処理装置、例えば、複合機は、プリンタとして機能するプリンタ部及びスキャナとして機能する画像読取装置としてのスキャナ部を備える。
【0003】
前記複合機においては、スキャナ部で読み取った原稿の画像(以下「読取画像」という。)のデータ、すなわち、読取画像データがプリンタ部に送られ、該プリンタ部において、前記読取画像データに基づいて用紙に画像を形成することができるようになっている。また、前記複合機においては、外部装置、例えば、パソコンを介することなく前記読取画像データに基づいて画像ファイルを生成し、USBメモリ等の外部記憶装置に記録することもできる(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
ところで、前記複合機においては、生成された画像ファイルの画像を、画像加工用のアプリケーションを使用して、複合機に配設されたアプリケーション上で他の文書、画像等と合成したり、必要な部分をトリミングしたりして加工することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−352275号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記従来の複合機においては、アプリケーション上で画像を加工する際に、加工する画像の領域を指定する必要があり、そのための作業が煩雑である。
【0007】
本発明は、前記従来の複合機の問題点を解決して、読取画像データに基づいて生成された画像を加工するための作業を簡素化することができる画像読取装置及び画像処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そのために、本発明の画像読取装置においては、原稿の画像を読み取り、読取画像データを生成する画像読取部と、前記読取画像データを複数の領域に分割して領域情報を生成する領域情報生成部と、前記読取画像データ及び前記領域情報に基づいて前記読取画像データに対応する透過情報を生成する透過情報生成部と、前記読取画像データ及び前記透過情報に基づいて画像ファイルを生成する画像ファイル生成部とを有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、画像読取装置においては、原稿の画像を読み取り、読取画像データを生成する画像読取部と、前記読取画像データを複数の領域に分割して領域情報を生成する領域情報生成部と、前記読取画像データ及び前記領域情報に基づいて前記読取画像データに対応する透過情報を生成する透過情報生成部と、前記読取画像データ及び前記透過情報に基づいて画像ファイルを生成する画像ファイル生成部とを有する。
【0010】
この場合、読取画像データ及び領域情報に基づいて読取画像データに対応する透過情報が生成され、読取画像データ及び透過情報に基づいて画像ファイルが生成されるので、例えば、透過性を有する画像ファイルを容易に生成することができる。したがって、読取画像データに基づいて生成された画像を加工するための作業を簡素化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1の実施の形態における複合機の制御ブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態における複合機の概念図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態における複合機の動作を示すフローチャートである。
【図4】本発明の第1の実施例における透過情報生成処理のサブルーチンを示す図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態における原稿の読取画像を画素単位で説明するための図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態における読取グレー画像データの例を示す図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態における領域情報の例を示す第1の図である。
【図8】本発明の第1の実施の形態における領域情報の例を示す第2の図である。
【図9】本発明の第1の実施の形態における透過情報の例を示す図である。
【図10】本発明の第1の実施の形態における画像ファイルの例を示す図である。
【図11】本発明の第1の実施の形態におけるα付きグレー画像データを生成する方法を説明するための第1の図である。
【図12】本発明の第1の実施の形態におけるα付きグレー画像データを生成する方法を説明するための第2の図である。
【図13】本発明の第1の実施の形態におけるα付きグレー画像データを生成する方法を説明するための第3の図である。
【図14】本発明の第1の実施の形態における読取グレー画像データの画像を画素単位で説明するための図である。
【図15】本発明の第1の実施の形態におけるα付きグレー画像データの画像を画素単位で説明するための図である。
【図16】本発明の第1の実施の形態における読取グレー画像データの画像を他の画像に重ねたときの図である。
【図17】本発明の第1の実施の形態におけるα付きグレー画像データの画像を他の画像に重ねたときの図である。
【図18】本発明の第2の実施の形態における複合機の制御ブロック図である。
【図19】本発明の第2の実施の形態における複合機の動作を示すフローチャートである。
【図20】本発明の第2の実施の形態における透過情報生成処理のサブルーチンを示す図である。
【図21】本発明の第2の実施の形態における印刷用画像を画素単位で説明するための図である。
【図22】本発明の第2の実施の形態における印刷用画像データの例を示す図である。
【図23】本発明の第2の実施の形態における原稿の読取画像を画素単位で説明するための図である。
【図24】本発明の第2の実施の形態における読取グレー画像データの例を示す図である。
【図25】本発明の第2の実施の形態における透過情報の例を示す図である。
【図26】本発明の第2の実施の形態における合成画像を画素単位で説明するための図である。
【図27】本発明の第2の実施の形態における合成画像データの例を示す図である。
【図28】本発明の第2の実施の形態における合成画像データを輝度ベースで表した図である。
【図29】本発明の第2の実施の形態における合成画像データを濃度ベースで表した図である。
【図30】本発明の第2の実施の形態における2値データの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。この場合、画像処理装置としての複合機について説明する。
【0013】
図2は本発明の第1の実施の形態における複合機の概念図である。
【0014】
図に示されるように、複合機10は、スキャナとして機能し、図示されない原稿の画像を読み取る画像読取装置としてのスキャナ部20、及び該スキャナ部20の下方に配設され、プリンタとして機能し、画像形成用の媒体としての図示されない用紙に画像を形成する画像形成装置としてのプリンタ部30を備える。該プリンタ部30は、スキャナ部20から送られた第1の画像データとしての読取画像データ、又は図示されない外部装置、例えば、パソコンから送られた第2の画像データとしての印刷データを受け、読取画像データ又は印刷データに基づいて、前記用紙に画像を形成する。
【0015】
そして、前記スキャナ部20は、第1の読取用の原稿としての冊子状の原稿、すなわち、冊子原稿、又は第2の読取用の原稿としてのシート状の原稿、すなわち、シート原稿を載置するためのフラットベッド21、該フラットベッド21に載置された冊子原稿又はシート原稿を上方から押すためのスキャナカバー22、前記シート原稿を自動的に搬送する自動原稿搬送部(ADF)23、前記フラットベッド21の下方に配設され、内部に読取センサが配設された走査部24、該走査部24の前面に配設された操作・表示部としての操作パネル25等を備える。該操作パネル25は、操作者が複合機10に対して各種の指示又は設定を行うための図示されない操作部、及び操作者に対して各種の通知又は表示を行うための図示されない表示部を備え、前記操作部は操作要素としてのボタン、キー等を備え、前記表示部は、表示画面を形成するための液晶ディスプレイ、LEDディスプレイ等を備える。なお、前記表示部をタッチパネルによって形成し、操作部として機能させることができる。
【0016】
また、前記プリンタ部30は、下部に配設された媒体収容部としての用紙カセット31、前記プリンタ部30の本体、すなわち、プリンタ部本体32等を備え、該プリンタ部本体32内に、前記用紙カセット31から給紙された用紙に画像を形成する図示されない画像形成部が配設される。なお、前記プリンタ部本体32にインタフェース33が配設される。
【0017】
次に、前記複合機10の制御装置について説明する。
【0018】
図1は本発明の第1の実施の形態における複合機の制御ブロック図である。
【0019】
図に示されるように、複合機10は、複合機10の全体の制御を行う制御部50、及び読取画像データ等を記録するための記憶部60を備える。
【0020】
前記制御部50は、原稿の画像を読み取り、読取画像データを生成する画像読取処理手段としての画像読取部51、該画像読取部51によって生成された読取画像データを複数の領域に分割して領域情報を生成する領域情報生成処理手段としての領域情報生成部52、前記読取画像データ及び領域情報に基づいて、前記読取画像データに対応させて、所定の領域を透過させるための透過情報を生成する透過情報生成処理手段としての透過情報生成部53、前記読取画像データ及び透過情報に基づいて画像ファイルを生成する画像ファイル生成処理手段としての画像ファイル生成部54、並びにプリンタ部30のインタフェース33を介して電子メールを出力(送信)する、画像ファイル出力処理手段としての、かつ、画像ファイル出力部としてのメール送信部55を備える。
【0021】
そして、前記記憶部60は、読取画像データを記録するための領域である読取画像データ部61、領域情報を記録するための領域である領域情報部62、透過情報を記録するための領域である透過情報部63、及び画像ファイルを記録するための領域である画像ファイル部64を備える。
【0022】
次に、前記構成の複合機10の動作について説明する。
【0023】
図3は本発明の第1の実施の形態における複合機の動作を示すフローチャート、図4は本発明の第1の実施例における透過情報生成処理のサブルーチンを示す図、図5は本発明の第1の実施の形態における原稿の読取画像を画素単位で説明するための図、図6は本発明の第1の実施の形態における読取グレー画像データの例を示す図、図7は本発明の第1の実施の形態における領域情報の例を示す第1の図、図8は本発明の第1の実施の形態における領域情報の例を示す第2の図、図9は本発明の第1の実施の形態における透過情報の例を示す図、図10は本発明の第1の実施の形態における画像ファイルの例を示す図、図11は本発明の第1の実施の形態におけるα付きグレー画像データを生成する方法を説明するための第1の図、図12は本発明の第1の実施の形態におけるα付きグレー画像データを生成する方法を説明するための第2の図、図13は本発明の第1の実施の形態におけるα付きグレー画像データを生成する方法を説明するための第3の図、図14は本発明の第1の実施の形態における読取グレー画像データの画像を画素単位で説明するための図、図15は本発明の第1の実施の形態におけるα付きグレー画像データの画像を画素単位で説明するための図、図16は本発明の第1の実施の形態における読取グレー画像データの画像を他の画像に重ねたときの図、図17は本発明の第1の実施の形態におけるα付きグレー画像データの画像を他の画像に重ねたときの図である。
【0024】
まず、画像読取部51は、画像読取処理を行い、操作者による操作部の操作に基づいて、スキャナ部20のフラットベッド21(図2)に載置された冊子原稿若しくはシート原稿、又は自動原稿搬送部23から繰り出されたシート原稿の画像を読み取り、読取画像データを生成し、記憶部60の読取画像データ部61に記録する。
【0025】
なお、前記読取画像データには、読取カラー画像データ及び読取グレー画像データがあり、読取画像データが読取カラー画像データである場合は、1画素が、RGB色の各色ごとに、例えば、1〔Byte〕(8〔bit〕)の画素データによって、256階調のカラー画像で表され、読取画像データが読取グレー画像データである場合は、1画素が、例えば、1〔Byte〕の画素データによって、256階調のグレー画像で表される。本実施の形態においては、読取グレー画像データに基づいて画像ファイルが生成される。
【0026】
例えば、前記スキャナ部20において、読取センサが、図5に示されるようなシート原稿Aの画像gを読み取ると、各画素pが256階調のグレー画像で表される。
【0027】
このとき、画像読取部51によって生成される読取グレー画像データは、図6に示されるようなマトリックスで配列された各画素pごとの画素データから成り、該各画素データは、輝度ベースの階調値である0x00〜0xFFで表される。
【0028】
前記各画素データは、階調値が0xFF(=255)である場合、白の階調になり、階調値が0x00(=0)である場合、黒の階調になり、階調値が0xFE(淡)〜0x01(濃)である場合、グレー(中間)の階調になる。
【0029】
なお、前記読取グレー画像データは、読取センサが画像gを光学的に読み取ることによって生成されるので、図5に示されるように、画素単位で読取画像を見たときに、人間が目視して“白”と判断する画素p1であっても、図6に示されるように、対応する画素データd1の階調値は0xFF以外の0xFCであることがあり、人間が目視して“黒”と判断する画素p2であっても、対応する画素データd2の階調値は0x00以外の0x09であることがある。
【0030】
次に、領域情報生成部52は、領域情報生成処理を行い、読取画像データ部61から読取画像データ、すなわち、読取グレー画像データを読み出し、該読取グレー画像データを、各画素データの階調値に基づいて、背景部及び前景部の各領域に分割し、更に前記前景部の一部を境界部として分割する。そのために、前記領域情報生成部52は、図7に示されるように、画素データの階調値が0xE1以上の“白”及び“白に近いグレー”の画素データを背景部AR1とし、0xE1より小さい画素データを前景部AR2とし、図8に示されるように、前景部AR2の各画素データのうちの、左右又は上下で背景部AR1の画素データと隣接する画素データを境界部AR3とし、各領域の画素データを領域情報として領域情報部62に記録する。なお、前記各画素データの階調値は、前記各領域を設定するための指標、すなわち、領域設定指標を構成する。
【0031】
次に、透過情報生成部53は、透過情報生成処理を行い、領域情報部62から領域情報を読み出し、前記読取画像データ及び領域情報に基づいて読取画像データに対応する透過情報を生成し、透過情報部63に記録する。
【0032】
そのために、前記透過情報生成部53は、背景部AR1、前景部AR2及び境界部AR3に、各領域に応じた透過度を設定する。この場合、背景部AR1の画素データの不透過度値が0x00に、前景部AR2の画素データの不透過度値が0xFFに、境界部AR3の画素データの不透過度値が0xCCにされ、図9に示されるような透過情報が生成される。したがって、背景部AR1の各画素は全透過(不透過度が0〔%〕)に、前景部AR2の各画素は不透過(不透過度が100〔%〕)に、境界部AR3の各画素は半透過(不透過度が80〔%〕)になる。なお、前記透過度は100〔%〕から不透過度を減算することによって得られる。
【0033】
このようにして、不透過度によって表される透過情報が生成されると、画像ファイル生成部54は、画像ファイル生成処理を行い、読取画像データ部61から読取グレー画像データを、透過情報部63から透過情報を読み出し、読取グレー画像データ及び透過情報に基づいてPNGファイルフォーマットで図10に示されるような画像ファイルを生成し、画像ファイル部64に記録する。
【0034】
図10において、Fi1は画像ファイルのファイル形式がPNGファイルであることを示す固定情報であるPNGファイルシグネチャであり、“0x50,0x4E,0x47”によって“PNG”が表される。また、Fi2はイメージヘッダ情報のチャンクであるIHDRチャンクであり、“0x49,0x48,0x44,0x52”によって“IHDR”が表される。そして、IHDRチャンクFi2において、“Bit depth=8”は階調数が256であることを表し、“Color type=4”は色の種類がα付きグレーであることを表す。なお、“Color type=0”は色の種類がグレーであることを、“Color type=2”は色の種類がtrueカラーであることを、“Color type=3”は色の種類がインデックスカラーであることを、“Color type=6”は色の種類がα付きtrueカラーであることを表す。
【0035】
また、Fi3は読取画像データのチャンクであるIDATチャンクであり、“0x49,0x44,0x41,0x54”によって“IDAT”が表される。そして、“チャンクデータ”の箇所にデフレート圧縮されたチャンクデータが記録される。さらに、Fi4はイメージの終端を示すチャンクであるIENDチャンクであり、“0x49,0x45,0x4E,0x44”によって“IEND”が表される。
【0036】
なお、制御部50に図示されないファイル形式指定処理手段としてのファイル形式指定部が配設され、該ファイル形式指定部は、操作者による操作部の操作に基づいて、画像ファイルのファイル形式を指定する。
【0037】
ところで、前記PNGファイルフォーマットで、透過性を有する画像ファイルを生成する場合、IHDRチャンクFi2の“Color type”が、グレー画像であれば“4”に、カラー画像であれば“6”に設定され、“Color type”に応じたチャンクデータがデフレート圧縮され、“チャンクデータ”の箇所に記録される。例えば、“Color type”が“4”に設定された場合は、図13に示されるようなα付きグレー画像データが記録される。
【0038】
該α付きグレー画像データは、1画素ずつ、図11に示される読取グレー画像データの階調値と、図12に示される透過情報の不透過度とを対にして並べて形成される。そして、図11に示される読取グレー画像データの画素データd11と、図12に示される透過情報の不透過度m1とが対にして並べられ、図13に示されるような、画素データd11、d12間に不透過度m1が挟まれた状態でチャンクデータk1〜k3が生成される。このようにして、α付きグレー画像データに基づいて透過性を有する画像ファイルを生成することができる。
【0039】
この場合、読取グレー画像データにおいては、1画素が1〔Byte〕の画素データによって表され、α付きグレー画像データにおいては、1画素が2〔Byte〕のチャンクデータによって表される。なお、“Color type”が“2”に設定された場合、カラー画像データにおいては、1画素が3〔Byte〕の画素データによって表され、α付きカラー画像データにおいては、1画素が4〔Byte〕のチャンクデータによって表される。
【0040】
そして、図12に示される読取グレー画像データの画像を画素単位で見ると、図14に示されるようになり、図13に示されるα付きグレー画像データの画像を画素単位で見ると、図15に示されるようになり、見た目上、大きな差異はないが、α付きグレー画像データの画像の場合、全透過となった背景部AR1の画素が目視では“白”となり、境界部AR3の画素の濃度がやや低くなる。
【0041】
そして、読取グレー画像データの画像ファイルから成る画像を他の画像に重ねて、更に画像ファイルを生成すると、図16に示されるように、読取グレー画像データの画素データがそのまま上塗りされるのに対して、α付きグレー画像データの画像を他の画像に重ねて画像ファイルを生成すると、図17に示されるように、チャンクデータが上塗りされるので、背景部AR1において下の画像を透視することができ、境界部AR3において下の画像をわずかに透視することができる。
【0042】
このようにして、画像ファイルが生成されると、メール送信部55は、画像ファイル出力処理としてのメール送信処理を行い、画像ファイル部64から生成された画像ファイルを読み出し、電子メールに添付して、プリンタ30のインタフェース32を介して電子メールを出力する。
【0043】
このように、本実施の形態においては、スキャナ部20において、シート原稿又は冊子原稿の画像が読み取られると、読取画像データ及び領域情報に基づいて読取画像データに対応する透過情報が生成され、読取画像データ及び透過情報に基づいて画像ファイルが生成されるので、透過性を有する画像ファイルを容易に生成することができる。したがって、読取画像データに基づいて生成された画像を加工するための作業を簡素化することができる。
【0044】
次に、図3のフローチャートについて説明する。
ステップS1 画像読取部51は原稿の画像を読み取る。
ステップS2 領域情報生成部52は領域情報生成処理を行う。
ステップS3 透過情報生成部53は透過情報生成処理を行う。
ステップS4 画像ファイル生成部54は画像ファイルを生成する。
ステップS5 メール送信部55は、画像ファイルを電子メールに添付して出力し、処理を終了する。
【0045】
次に、図4のフローチャートについて説明する。
ステップS3−1 透過情報生成部53は領域情報を読み出す。
ステップS3−2 透過情報生成部53は透過情報を生成し、リターンする。
【0046】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与し、同じ構造を有することによる発明の効果については同実施の形態の効果を援用する。
【0047】
図18は本発明の第2の実施の形態における複合機の制御ブロック図である。
【0048】
この場合、制御部50は、重畳用画像データとしての印刷用画像データと読取画像データとを透過情報に従って合成し、合成画像データを生成する画像合成処理手段としての画像合成部56、合成画像データに基づいて印刷データを生成する印刷データ生成処理手段としての印刷データ生成部57、及び合成画像データに基づいて印刷を行う画像印刷処理手段としての画像印刷部58を備え、記憶部60は、重畳用画像データ部としての印刷用画像データ部67、合成画像データ部65及び印刷データ部66を備える。
【0049】
次に、前記構成の複合機10の動作について説明する。
【0050】
図19は本発明の第2の実施の形態における複合機の動作を示すフローチャート、図20は本発明の第2の実施の形態における透過情報生成処理のサブルーチンを示す図、図21は本発明の第2の実施の形態における印刷用画像を画素単位で説明するための図、図22は本発明の第2の実施の形態における印刷用画像データの例を示す図、図23は本発明の第2の実施の形態における原稿の読取画像を画素単位で説明するための図、図24は本発明の第2の実施の形態における読取グレー画像データの例を示す図、図25は本発明の第2の実施の形態における透過情報の例を示す図、図26は本発明の第2の実施の形態における合成画像を画素単位で説明するための図、図27は本発明の第2の実施の形態における合成画像データの例を示す図、図28は本発明の第2の実施の形態における合成画像データを輝度ベースで表した図、図29は本発明の第2の実施の形態における合成画像データを濃度ベースで表した図、図30は本発明の第2の実施の形態における2値データの例を示す図である。
【0051】
まず、画像読取処理手段としての画像読取部51は、操作者による操作部の操作に基づいて、画像読取装置としてのスキャナ部20(図2)のフラットベッド21に載置された第1の読取用の原稿としての冊子原稿若しくは第2の読取用の原稿としてのシート原稿、又は自動原稿搬送部23から繰り出され、フォーム、ロゴ等の透過処理の対象となる画像を含むシート原稿の画像を読み取り、読取画像データを生成し、記憶部60の読取画像データ部61に記録する。
【0052】
そして、例えば、前記スキャナ部20において、読取センサが、図23に示されるようなシート原稿A1の画像gを読み取ると、各画素pが256階調のグレー画像で表される。
【0053】
続いて、画像読取部51は、操作者による操作部の操作に基づいて、スキャナ部20のフラットベッド21に載置された印刷用の冊子原稿若しくはシート原稿、又は自動原稿搬送部23から繰り出された印刷用のシート原稿の画像を読み取り、印刷用画像データを記憶部60の印刷用画像データ部67に記録する。
【0054】
例えば、前記スキャナ部20において、読取センサが、図21に示されるような印刷用のシート原稿Bの画像grを読み取ると、各画素prが256階調のグレー画像で表される。
【0055】
なお、前記読取画像データと同様に、前記印刷用画像データには、印刷用カラー画像データ及び印刷用グレー画像データがあり、本実施の形態においては、印刷用グレー画像データによって印刷用画像が生成される。
【0056】
画像読取部51によって生成される印刷用グレー画像データは、第1の実施の形態と同様に、図22に示されるような、マトリックスで配列された各画素prごとの画素データから成り、各画素データは、輝度ベースの階調値である0x00〜0xFFで表される。
【0057】
また、前記印刷用グレー画像データの各画素データは、第1の実施の形態と同様に、階調値が0xFF(=255)である場合、白の階調になり、階調値が0x00(=0)である場合、黒の階調になり、階調値が0xFE(淡)〜0x01(濃)である場合、グレー(中間)の階調になる。
【0058】
次に、領域情報生成処理手段としての領域情報生成部52は、読取画像データ部61から読取画像データ、すなわち、読取グレー画像データを読み出し、該読取グレー画像データを、各画素データの階調値に基づいて、図8及び24に示されるように、背景部AR1、前景部AR2及び境界部AR3の各領域に分割し、各領域の画素データを領域情報として領域情報部62に記録する。この場合、前記各画素データの階調値によって領域設定指標が構成される。
【0059】
続いて、透過情報生成処理手段としての透過情報生成部53は、領域情報部62から領域情報を読み出し、領域情報に基づいて透過情報を生成し、透過情報部63に記録する。この場合、背景部AR1の画素データの不透過度値が0x00に、前景部AR2の画素データの不透過度値が0xFFに、境界部AR3の画素データの不透過度値が0xCCにされ、図9及び25に示されるような透過情報が生成される。したがって、背景部AR1の各画素は全透過(不透過度が0〔%〕)に、前景部AR2の各画素は不透過(不透過度が100〔%〕)に、境界部AR3の各画素は半透過(不透過度が80〔%〕)になる。
【0060】
次に、前記画像合成部56は、画像合成処理を行い、図22に示される印刷用画像データ、すなわち、印刷用グレー画像データと、図24に示される読取グレー画像データとを、図25に示される透過情報に従って合成し、合成画像データを生成し、合成画像データ部65に記録する。
【0061】
なお、読取グレー画像データの各画素データの階調値をR1とし、透過情報の不透過度をεとし、印刷用グレー画像データの各画素データの階調値をR2とすると、合成画像データの各画素データの階調値R3は次の式で算出することができる。
【0062】
R3={R1×ε+R2×(100〔%〕−ε)}/100〔%〕
本実施の形態において、読取グレー画像データの画素データd21に対応する不透過度をm11とし、画素データd21に対応する印刷用グレー画像データの画素データをe1とし、画素データd21に対応する合成画像データの画素データをf1としたとき、画素データd21の階調値R1が0x0Fであり、不透過度m11の値εが0xCCであり、画素データe1の階調値R2が0xFFであり、画素データf1の階調値R3が0x3Fであるので、
0x3F={(0x0F×0xCC+0xFF×(255−0xCC)}/255
になる。
【0063】
図25に示される透過情報の例において、背景部AR1の各画素は全透過(不透過度が0〔%〕)に、前景部AR2の各画素は不透過(不透過度が100〔%〕)に、境界部AR3の各画素は半透過(不透過度が80〔%〕)にされるので、合成画像データの背景部AR1の画素は印刷用グレー画像データのままになり、合成画像データの前景部AR2の画素は読取グレー画像データのままになり、合成画像データの境界部AR3の各画素は、読取グレー画像データの階調値R1の80〔%〕と印刷用グレー画像データの階調値R2の20〔%〕とを加算した階調値R3になる。
【0064】
次に、前記印刷データ生成部57は、印刷データ生成処理を行い、合成画像データ部65から合成画像データを読み出し、合成画像データに基づいて印刷データを生成する。
【0065】
この場合、合成画像データは、前記読取グレー画像データ及び印刷用グレー画像データと同様に、輝度ベースの階調値R3を有するので、前記印刷データ生成部57は、まず、図28に示される合成画像データの各画素データの階調値R3を、図29に示される濃度ベース階調値R4に変換する。濃度ベースにおいて、前記各画素データは、階調値R4が0xFF(=255)である場合、黒の階調になり、階調値R4が0x00(=0)である場合、白の階調になり、階調値R4が0xFE(濃)〜0x01(淡)である場合、グレー(中間)の階調になる。
【0066】
続いて、印刷データ生成部57は、各画素データの階調値R4を2値化し、図30に示される、同じ解像度のモノクロ2値(0:白、1:黒)のドットに変換して、印刷データを生成し、印刷データ部66に記録する。読取時の画像の1画素が印刷時の1ドットにされるので、階調値Rが0x7F未満である場合、印刷データは0に、階調値Rが0x80以上の場合、印刷データは1に変換される。なお、読取時の1画素が印刷時の複数のドットにされる場合等には、ディザリング等の変換処理によって、階調値R4が2値化される。
【0067】
本実施の形態において、合成画像データの画素データf11に対応する濃度ベースの画素データをs1とし、画素データf11に対応する印刷データの画素データをα1としたとき、画素データf11の階調値が0x3Fであるので、画素データs1は0xC0になり、印刷データの画素データα1は1になる。
【0068】
次に、前記画像印刷部58は、画像印刷処理を行い、印刷データ部66から印刷データを読み出し、印刷データに基づいて画像形成装置としてのプリンタ部30によって印刷を行う。
【0069】
このように、本実施の形態においては、印刷用の冊子原稿又はシート原稿のフォーム、ロゴ等の画像を読み取り、読取画像データと印刷用画像データとを合成することによって、冊子原稿又はシート原稿の画像にフォーム、ロゴ等の画像を重ねて、容易に印刷を行うことができる。
【0070】
次に、図19のフローチャートについて説明する。
ステップS11 画像読取部51は原稿の画像を読み取る。
ステップS12 画像読取部51は印刷用原稿の画像を読み取る。
ステップS13 領域情報生成部52は領域情報生成処理を行う。
ステップS14 透過情報生成部53は透過情報生成処理を行う。
ステップS15 画像合成部56は印刷用画像データと読取画像データとを合成する。
ステップS16 印刷データ生成部57は印刷データを生成する。
ステップS17 画像印刷部58は印刷データに基づいて印刷を行い、処理を終了する。
【0071】
次に、図20のフローチャートについて説明する。
ステップS14−1 透過情報生成部53は領域情報を読み出す。
ステップS14−2 透過情報生成部53は透過情報を生成し、リターンする。
【0072】
前記各実施の形態においては、読取画像データとして読取グレー画像データを使用し、読取グレー画像データを、各画素データの階調値に基づいて、背景部AR1、前景部AR2及び境界部AR3の各領域に分割するようになっているが、読取画像データとして読取カラー画像データを使用する場合には、領域設定指標として色差等を使用し、該色差等に基づいて読取カラー画像データを各領域に分割することができる。
【0073】
また、背景部AR1の濃度、色等の範囲は、例えば、操作者が、操作・表示部としての操作パネル25(図2)の表示部に表示されるメニューから階調差、色差等を設定することによって設定することができる。したがって、任意の濃度、色等で背景部AR1の範囲を設定することができる。
【0074】
さらに、前記透過情報を生成するかどうかを、メニュー等によって設定することができる。そのために、操作者が操作部を操作して、メニュー等によって透過情報を生成するかどうかを設定すると、透過情報生成部53は設定内容に応じて透過情報を選択的に生成する。その場合、画像ファイル、印刷による画像品質等を調整することができる。
【0075】
そして、ロゴ等の画像のように原稿の一部だけを透過情報としたい場合は、透過情報とする範囲を指定し、範囲外は切捨て又は全透過にすることによって、読取画像データについて必要な部分だけを処理することができる。
【0076】
なお、本発明は前記各実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【符号の説明】
【0077】
20 スキャナ部
51 画像読取部
52 領域情報生成部
53 透過情報生成部
54 画像ファイル生成部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)原稿の画像を読み取り、読取画像データを生成する画像読取部と、
(b)前記読取画像データを複数の領域に分割して領域情報を生成する領域情報生成部と、
(c)前記読取画像データ及び前記領域情報に基づいて前記読取画像データに対応する透過情報を生成する透過情報生成部と、
(d)前記読取画像データ及び前記透過情報に基づいて画像ファイルを生成する画像ファイル生成部とを有することを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記領域情報生成部は、読取画像データの各画素データの領域設定指標に基づいて前記読取画像データを複数の領域に分割する請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記複数の領域は、背景部及び前景部である請求項1又は2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記前景部の各画素データのうちの、背景部の画素データと隣接する画素データが境界部とされる請求項3に記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記透過情報生成部は各領域に透過度を設定する請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像読取装置。
【請求項6】
前記透過情報生成部は、操作者による操作部の操作に基づいて透過情報を選択的に生成する請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項7】
(a)画像ファイルのファイル形式を指定するファイル形式指定部を有するとともに、
(b)前記画像ファイル生成部は、前記ファイル形式指定部によって指定されたファイル形式で画像ファイルを生成する請求項1〜6のいずれか1項に記載の画像読取装置。
【請求項8】
(a)前記画像ファイル生成部によって生成された画像ファイルを出力する画像ファイル出力部を有するとともに、
(b)該画像ファイル出力部は、前記画像ファイルを添付した電子メールを出力する請求項1〜7のいずれか1項に記載の画像読取装置。
【請求項9】
(a)前記画像読取部によって読み取られた前記読取画像データを記録するための読取画像データ部と、
(b)前記読取画像データに対応する透過情報を記録するための透過情報部と、
(c)前記画像読取部によって読み取られた重畳用画像データを記録するための重畳用画像データ部と、
(d)前記重畳用画像データと読取画像データとを透過情報に従って合成し、合成画像データを生成する画像合成部とを有する請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項10】
前記合成画像データに基づいて印刷を行う画像印刷部を有する請求項9に記載の画像読取装置。
【請求項11】
画像読取装置を備えた画像処理装置において、
前記画像読取装置は、原稿の画像を読み取り、読取画像データを生成する画像読取部、前記読取画像データを複数の領域に分割して領域情報を生成する領域情報生成部、前記読取画像データ及び前記領域情報に基づいて前記読取画像データに対応する透過情報を生成する透過情報生成部、並びに前記読取画像データ及び前記透過情報に基づいて画像ファイルを生成する画像ファイル生成部を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項1】
(a)原稿の画像を読み取り、読取画像データを生成する画像読取部と、
(b)前記読取画像データを複数の領域に分割して領域情報を生成する領域情報生成部と、
(c)前記読取画像データ及び前記領域情報に基づいて前記読取画像データに対応する透過情報を生成する透過情報生成部と、
(d)前記読取画像データ及び前記透過情報に基づいて画像ファイルを生成する画像ファイル生成部とを有することを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記領域情報生成部は、読取画像データの各画素データの領域設定指標に基づいて前記読取画像データを複数の領域に分割する請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記複数の領域は、背景部及び前景部である請求項1又は2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記前景部の各画素データのうちの、背景部の画素データと隣接する画素データが境界部とされる請求項3に記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記透過情報生成部は各領域に透過度を設定する請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像読取装置。
【請求項6】
前記透過情報生成部は、操作者による操作部の操作に基づいて透過情報を選択的に生成する請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項7】
(a)画像ファイルのファイル形式を指定するファイル形式指定部を有するとともに、
(b)前記画像ファイル生成部は、前記ファイル形式指定部によって指定されたファイル形式で画像ファイルを生成する請求項1〜6のいずれか1項に記載の画像読取装置。
【請求項8】
(a)前記画像ファイル生成部によって生成された画像ファイルを出力する画像ファイル出力部を有するとともに、
(b)該画像ファイル出力部は、前記画像ファイルを添付した電子メールを出力する請求項1〜7のいずれか1項に記載の画像読取装置。
【請求項9】
(a)前記画像読取部によって読み取られた前記読取画像データを記録するための読取画像データ部と、
(b)前記読取画像データに対応する透過情報を記録するための透過情報部と、
(c)前記画像読取部によって読み取られた重畳用画像データを記録するための重畳用画像データ部と、
(d)前記重畳用画像データと読取画像データとを透過情報に従って合成し、合成画像データを生成する画像合成部とを有する請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項10】
前記合成画像データに基づいて印刷を行う画像印刷部を有する請求項9に記載の画像読取装置。
【請求項11】
画像読取装置を備えた画像処理装置において、
前記画像読取装置は、原稿の画像を読み取り、読取画像データを生成する画像読取部、前記読取画像データを複数の領域に分割して領域情報を生成する領域情報生成部、前記読取画像データ及び前記領域情報に基づいて前記読取画像データに対応する透過情報を生成する透過情報生成部、並びに前記読取画像データ及び前記透過情報に基づいて画像ファイルを生成する画像ファイル生成部を有することを特徴とする画像処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【公開番号】特開2012−239053(P2012−239053A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−107050(P2011−107050)
【出願日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】
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