説明

画像読取装置及び画像形成装置

【課題】原稿搬送読取モードにおける厚手原稿の搬送不良による読取画像不良を抑制できるようにする。
【解決手段】原稿読取部20は、原稿載置台22、原稿載置トレイ26、第1原稿排出トレイ30、直線状搬送路361、第1ガイド部材40、及び第1読取部32を備える。直線状搬送路361は、原稿載置トレイ26から下り傾斜しながら第1原稿排出トレイ30へ至る。第1ガイド部材40は、直線状搬送路361の途中に配置され、上面が直線状搬送路361に沿って原稿載置台22に対して原稿搬送方向91における下流側へ下り傾斜する。第1ガイド部材40は、上面の一部が原稿載置台22の上面を含む面と交わるように配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、原稿を搬送しながら原稿の画像を読み取る原稿搬送読取モードを備える画像読取装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、第1原稿台に載置された原稿の画像を読み取る原稿固定読取モード、及び原稿載置トレイに載置された原稿を1枚ずつ搬送しながら第2原稿台上において原稿の画像を読み取る原稿搬送読取モードを備えた画像読取装置も知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
原稿固定読取モード及び原稿搬送読取モードをともに備えた画像読取装置では、第1原稿台と第2原稿台とは、上記両読取モードにおいて画像の読取部を共用するために、同じ高さに配置される。
【0004】
このような従来の画像読取装置の中には、第1原稿台の上方に原稿排出トレイが配置され、原稿排出トレイの上方に原稿載置トレイが配置されて、原稿載置トレイから原稿排出トレイへ至る原稿搬送路が湾曲したものがある。これによって、従来の画像読取装置では、画像読取装置の小型化が図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−63003公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来の画像読取装置では、原稿搬送読取モードにおいてカード等の厚手原稿が搬送された場合、原稿搬送路が湾曲しているので、原稿の先端部が原稿搬送路に擦れ、原稿の紙詰まりや搬送速度のブレといった搬送不良が生じる虞がある。原稿の搬送不良が生じると、読取画像が得られないことや質が低下するといった読取画像不良が発生する。
【0007】
また、原稿載置トレイと原稿排出トレイとが互いに上下ではなく横方向に配置された場合でも、従来の画像読取装置のように第2原稿台が第1原稿台に対して同一面内に配置されると、第2原稿台を含む原稿搬送路には第1原稿台を避けて配置するために湾曲部が生じる。このため、原稿が厚手原稿である場合、原稿の搬送不良による読取画像不良が発生する虞がある。
【0008】
この発明の目的は、原稿搬送読取モードにおける厚手原稿の搬送不良による読取画像不良を抑制できる画像読取装置及び画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明の画像読取装置は、固定された原稿の画像を読み取る原稿固定読取モード、及び原稿を搬送しながら原稿の画像を読み取る原稿搬送読取モードで読取動作を実行する。画像読取装置は、第1原稿台、原稿載置トレイ、第1原稿排出トレイ、直線状搬送路、及び第2原稿台を備える。第1原稿台には、原稿固定読取モード時に上面に原稿が載置される。原稿載置トレイには、原稿搬送読取モード時に画像読取前の原稿が載置される。第1原稿排出トレイは、原稿搬送読取モード時に画像読取後の原稿が排出される。直線状搬送路は、原稿載置トレイから下り傾斜しながら第1原稿排出トレイへ至る。第2原稿台は、直線状搬送路の途中に配置され、上面が直線状搬送路に沿って第1原稿台に対して原稿搬送方向における下流側へ下り傾斜する。第2原稿台は、上面の一部が第1原稿台の上面を含む面と交わるように配置される。
【0010】
この構成では、原稿搬送読取モードにおいて、原稿は、直線状搬送路を搬送され、第2原稿台上を通過する際に第1面の画像を読み取られる。第2原稿台は、第1原稿台の側方に配置されるが、直線状搬送路に沿って第1原稿台に対して原稿搬送方向における下流側へ下り傾斜する。このため、直線状搬送路は、第1原稿台を避けるための湾曲の度合いが抑制され、直線状に配置される。よって、原稿がカード原稿等の厚手原稿である場合でも、原稿の搬送不良が抑制される。
【0011】
上述の構成において、原稿搬送読取モードにおける画像読取位置は、第1原稿台の上面を含む面と第2原稿台の上面とが交わる位置であるように構成することができる。原稿固定読取モード時と原稿搬送読取モード時とで、原稿の画像面から、第1原稿台及び第2原稿台の下方において原稿の画像を読み取る第1読取部までの画像読取の光路長が同じであるので、両読取モードにおいてピンボケの発生が防止される。
【0012】
また、原稿載置トレイの上方に配置された第2原稿排出トレイと、第2原稿台と第1原稿排出トレイとの間において直線状搬送路から分岐して第2原稿排出トレイへ至る湾曲搬送路と、をさらに備えるように構成することができる。原稿載置トレイが第2原稿排出トレイの下方に配置されるので、原稿載置トレイが第2原稿排出トレイの上方に配置された場合と比較して、直線状搬送路の傾斜の度合いが小さくなる。このため、第2原稿台の高さを第1原稿台と同じにした場合に、直線状搬送路を直線状に形成する目的で第1読取部を収容する枠体をへこませる度合いを、減少又は無くすことができる。また、第2原稿台の傾斜の度合いも小さくなるので、第1原稿台及び第2原稿台の下方において原稿の画像を読み取る第1読取部の位置制御の精度が高くない場合でも、原稿の画像面から第1読取部までの画像読取の光路長の変化の度合いが小さく、ピンボケの度合いが抑制される。
【0013】
また、カード原稿等の厚手原稿については直線状搬送路を経由させることで、搬送不良が抑制される。さらに、カード原稿のサイズは小さいので第1原稿排出トレイのサイズはコンパクト化でき、第1原稿排出トレイが画像読取装置の側面に配置された場合でも画像読取装置の大型化が抑制される。一方、厚さが閾値未満である普通紙原稿については湾曲搬送路を経由させることで、原稿を原稿載置トレイの上方へ排出することができ、第2原稿排出トレイが大サイズであっても画像読取装置の大型化が抑制される。
【0014】
原稿搬送読取モード時に第2原稿台の下方で静止した状態で、第2原稿台に対して傾斜した光軸の原稿の第1面における反射光を受ける第1読取部を備えるように構成することができる。第2原稿台が第1原稿台に対して傾斜するが、第1読取部が、原稿搬送読取モード時に第2原稿台に対して傾斜した光軸の光を読み取ることで、原稿固定読取モード時に第1原稿台に対して平行に移動しながら第1原稿台に対して垂直な光軸の原稿の第1面における反射光を受けることが可能となり、原稿固定読取モード時と原稿搬送読取モード時とで第1読取部を共通使用することが可能となる。
【0015】
直線状搬送路を挟んで第2原稿台に対して平行に対向配置された読取板と、読取板を挟んで第1読取部の反対側に配置され、原稿搬送読取モード時に原稿の第2面の画像を読み取る第2読取部と、をさらに備え、第2読取部は、読取板に対して垂直な光軸の第2面における反射光を受けるように構成することができる。第1読取部に加えて第2読取部を備えることで、原稿の第1面と第2面との両面を同時に読み取ることが可能になる。また、第2読取部は、原稿の第2面における反射光であって読取板に対して垂直な光軸の反射光を読み取るので、読取板に対して傾斜した光軸の反射光を読み取る場合と比較して、第2読取部における1画素当たりの画像読取サイズが大きくならない。例えば、読取解像度が600dpiである場合、読取画像における1画素の理論値は42.3×42.3μmであるが、上述のように構成することで、ほぼ上記理論値通りのサイズの読取が可能となり、読取画像における1画素の、原稿搬送方向の読取長さが大きくならず、画像読取の解像度の低下が防止される。
【0016】
この発明の画像形成装置は、上述のいずれかの構成の画像読取装置を備える。原稿がカード原稿等の厚手原稿である場合でも、原稿の搬送不良による読取画像不良が抑制され、高品質な画像データに基づいて画像を形成することができる。
【発明の効果】
【0017】
この発明によれば、原稿搬送読取モードにおける厚手原稿の搬送不良による読取画像不良を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】この発明の実施形態に係る画像形成装置の概略の構成を示す図である。
【図2】原稿読取部の概略構成を示す図である。
【図3】原稿読取部の一部の拡大図である。
【図4】第1ガイド部材、第2ガイド部材、及び原稿載置台22の互いの配置関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、この発明を実施するための形態について、図面に基づいて説明する。
【0020】
図1に示すように、画像形成装置100は、原稿読取部(画像読取装置)20及び画像形成部10を備えている。画像形成装置100は、外部から伝達された画像データ又は画像読取部20が生成した画像データに基づいて、シート(記録媒体)に対して多色又は単色の画像を形成する。
【0021】
原稿読取部20は、原稿載置台(第1原稿台)22に載置された原稿の画像を読み取る原稿固定読取モード、及び原稿載置トレイ26から原稿を1枚ずつ搬送しながら原稿の画像を読み取る原稿搬送読取モードで読取動作を実行する。
【0022】
原稿読取部20は、原稿搬送読取モードにおいて、搬送される原稿の両面の画像を同時に読み取ることが可能に構成されている。原稿読取部20は、透明ガラスからなる原稿載置台22を備えている。原稿載置台22には、手置きの原稿が載置される。原稿載置台22の上側には、自動原稿処理装置24が取り付けられている。自動原稿処理装置24は、原稿載置トレイ26上の原稿を、原稿搬送路36を介して、厚さが所定の閾値未満である普通紙原稿を排出するための第2原稿排出トレイ28、又は厚さが所定の閾値以上である厚手原稿(カード、封筒等)を排出するための第1原稿排出トレイ30へ、順次的に搬送するように構成されている。
【0023】
原稿搬送路36の両側には、搬送される原稿の第1面の画像又は原稿載置台22上の原稿の画像を読み取るように構成された第1読取部32、及び搬送される原稿の第2面の画像を読み取るように構成された第2読取部34が設けられる。ここでは、第1読取部32及び第2読取部34はCCDを含む縮小光学系からなる構成を採用しているが、CISを採用したものであっても良い。なお、原稿読取部20の構成の詳細については後述する。
【0024】
原稿読取部20の下方には画像形成部10が配置される。画像形成部10は、光走査装置210、現像器102、感光体ドラム103、クリーナユニット104、帯電器105、中間転写ベルトユニット106、定着ユニット107、給紙カセット181、排紙部191を備えている。
【0025】
画像形成装置100において扱われる画像データは、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色を用いたカラー画像に応じたものである。従って、現像器102、感光体ドラム103、帯電器105、クリーナユニット104は、各色に応じた4種類のトナー像を形成するようにそれぞれ4個ずつ設けられ、それぞれブラック、シアン、マゼンタ、イエローに設定され、これらによって4つの画像形成ステーションが構成されている。
【0026】
帯電器105は、感光体ドラム103の表面を所定の電位に均一に帯電させるための帯電手段であり、図1に示すようなチャージャ型の他、接触型のローラ型やブラシ型の帯電器が用いられることもある。
【0027】
光走査装置210は、入力された画像データに基づいて感光体ドラム103の表面に静電潜像を形成するように構成される。
【0028】
現像器102は、それぞれの感光体ドラム103上に形成された静電潜像を4色(YMCK)のトナーによって顕像化する。クリーナユニット104は、現像・画像転写後における感光体ドラム103上の表面に残留したトナーを、除去・回収する。
【0029】
感光体ドラム103の上方に配置されている中間転写ベルトユニット106は、中間転写ベルト161、中間転写ベルト駆動ローラ162、中間転写ベルト従動ローラ163、中間転写ローラ164、および中間転写ベルトクリーニングユニット165を備えている。中間転写ローラ164は、YMCK用の各色に対応して4本設けられている。
【0030】
中間転写ベルト駆動ローラ162、中間転写ベルト従動ローラ163、および中間転写ローラ164は、中間転写ベルト161を張架して回転させる。各中間転写ローラ164は、感光体ドラム103のトナー像を中間転写ベルト161上に転写するための転写バイアスを、感光体ドラム103のトナー像に与える。
【0031】
中間転写ベルト161は、各感光体ドラム103に接触するように設けられている。中間転写ベルト161は、感光体ドラム103に形成された各色のトナー像を中間転写ベルト161に順次的に重ねて転写することによって、中間転写ベルト161上にカラーのトナー像(多色トナー像)を形成する機能を有している。中間転写ベルト161は、例えば厚さ100μm〜150μm程度のフィルムを用いて無端状に形成されている。
【0032】
感光体ドラム103から中間転写ベルト161へのトナー像の転写は、中間転写ベルト161の裏側に接触している中間転写ローラ164によって行われる。中間転写ローラ164には、トナー像を転写するために高電圧の転写バイアス(トナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧)が印加される。本実施形態では転写電極としてローラ形状を採用しているが、これ以外にブラシなども用いることが可能である。
【0033】
上述の様に各感光体ドラム103上で各色相に応じて静電潜像から顕像化されたトナー像は中間転写ベルト161で積層される。積層されたトナー像は中間転写ベルト161の回転によって、後述のシートと中間転写ベルト161との接触位置に配置される転写ローラ110によってシート上に転写される。
【0034】
このとき、中間転写ベルト161と転写ローラ110とは所定ニップで圧接されると共に、転写ローラ110にはトナーをシートに転写させるための電圧(トナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧)が印加される。さらに、上記ニップを定常的に得るために、転写ローラ110もしくは中間転写ベルト駆動ローラ162の何れか一方に硬質材料(金属等)が用いられ、他方に弾性ローラ等の軟質材料(弾性ゴムローラ、または発泡性樹脂ローラ等)が用いられる。
【0035】
また、上記のように、感光体ドラム103に接触することにより中間転写ベルト161に付着したトナー、もしくは転写ローラ110によってシート上に転写されず中間転写ベルト161上に残留したトナーは、次工程におけるトナーの混色を防止するために、中間転写ベルトクリーニングユニット165によって除去・回収される。
【0036】
給紙カセット181には、画像形成に使用されるシートが蓄積される。給紙カセット181は、光走査装置210の下側に配置されている。手差し給紙カセット182にも画像形成に使用されるシートを載置することができる。画像形成部10の上方に設けられている排紙部191には、画像形成済みのシートがフェイスダウンで排出される。
【0037】
画像形成部10には、給紙カセット181および手差し給紙カセット182のシートを転写ローラ110や定着ユニット107を経由させて排紙部191へ送るための、略垂直に配置された用紙搬送路200が設けられている。給紙カセット181又は手差し給紙カセット182から排紙部191までの用紙搬送路200の近傍には、ピックアップローラ111A,111B、複数の搬送ローラ112A〜112D,レジストローラ113、転写ローラ110、定着ユニット107が配置されている。
【0038】
搬送ローラ112A〜112Dは、シートの搬送を促進・補助するための小型のローラであり、用紙搬送路200に沿って複数設けられている。ピックアップローラ111Aは、給紙カセット181の端部近傍に備えられ、給紙カセット181からシートを1枚ずつピックアップして用紙搬送路200に供給する。同様にピックアップローラ111Bは、手差し給紙カセット182の端部近傍に備えられ、手差し給紙カセット182からシートを1枚ずつピックアップして用紙搬送路200に供給する。
【0039】
レジストローラ113は、用紙搬送路200を搬送されているシートを一旦保持する。レジストローラ113は、感光体ドラム103上のトナー像の先端とシートの先端を合わせるタイミングでシートを転写ローラ110に搬送する機能を有している。
【0040】
定着ユニット107は、ヒートローラ171及び加圧ローラ172を備えており、ヒートローラ171及び加圧ローラ172は、シートを挟んで回転する。ヒートローラ171は、図示しない温度検出器からの信号に基づいて制御部によって所定の定着温度となるように設定されており、加圧ローラ172とともにトナーをシートに熱圧着することにより、シートに転写された多色トナー像を溶融・混合・圧接し、シートに対して熱定着させる機能を有している。定着ユニット107は、ヒートローラ171を外部から加熱するための外部加熱ベルト173をさらに備えている。
【0041】
次に、シート搬送経路について説明する。上述のように、画像形成装置100には、予めシートを収納する給紙カセット181、および手差し給紙カセット182が設けられている。
【0042】
各給紙カセット181,182から搬送されるシートは用紙搬送路200の搬送ローラ112Aによってレジストローラ113まで搬送され、シートの先端と中間転写ベルト161上のトナー像の先端を整合するタイミングで転写ローラ110に搬送され、シート上にトナー像が転写される。その後、シートは定着ユニット107を通過することによってシート上の未定着トナーが熱で溶融・固着され、その後に搬送ローラ112Bを経て排紙部191上に排出される。
【0043】
上記のシート搬送経路は、シートに対する片面印刷要求のときのものであるが、これに対して両面印刷要求の時は、上記のように片面印刷が終了し定着ユニット107を通過したシートの後端が最終の搬送ローラ112Bで把持されたときに、搬送ローラ112Bが逆回転することによってシートを搬送ローラ112C,112Dに導く。そしてその後レジストローラ113を経てシート裏面に印刷が行われた後にシートが排紙部191に排出される。
【0044】
続いて、図2〜図4を用いて、原稿読取部20の構成を説明する。原稿載置台22の上方に原稿載置トレイ26が配置され、原稿載置トレイ26の上方に第2原稿排出トレイ28が配置されている。
【0045】
原稿載置台22は、水平方向に配置されている。原稿載置台22の側方に、第1ガイド部材(第2原稿台)40及び第2ガイド部材(読取板)42が配置されている。第1ガイド部材40及び第2ガイド部材42は、ガラス等の透明な板状部材によって構成されている。
【0046】
原稿搬送路36は、直線状搬送路361、及び湾曲搬送路362を含んでいる。直線状搬送路361は、原稿載置トレイ26から下り傾斜しながら第1原稿排出トレイ30へ至る。
【0047】
第1ガイド部材40及び第2ガイド部材42は、直線状搬送路361の途中に配置され、直線状搬送路361に沿って、原稿載置台22に対して原稿搬送方向91における下流側へ下り傾斜するように配置されている。第1ガイド部材40及び第2ガイド部材42は、直線状搬送路361を挟んで互いに平行に対向配置されている。第1ガイド部材40は第1読取部32側に配置され、第2ガイド部材42は、第2読取部34側に配置されている。この実施形態では、第1ガイド部材40及び第2ガイド部材42は、直線状搬送路361に対して平行であって、原稿載置台22に対して原稿搬送方向91における下流側へ8度下り傾斜している。第1ガイド部材40は、上面の一部が原稿載置台22の上面を含む面と交わるように配置されている。
【0048】
第1ガイド部材40及び第2ガイド部材42は、原稿搬送方向91において、上流側端部であって互いに対向する側の面に、上流側ほど互いに離間する方向に傾斜する傾斜面を有している。これによって、第1ガイド部材40と第2ガイド部材42との間に、厚手原稿が導き入れやすくされている。
【0049】
直線状搬送路361には、原稿搬送方向91において上流側から、搬送ローラ50,52,54,56,58が配置されている。搬送ローラ50〜54は、第1ガイド部材40より上流側に配置され、搬送ローラ56,58は、第1ガイド部材40より下流側に配置されている。
【0050】
湾曲搬送路362は、横U字状を呈し、第1ガイド部材40と第1原稿排出トレイ30との間において直線状搬送路361から分岐して、第2原稿排出トレイ28へ至る。
【0051】
直線状搬送路361と湾曲搬送路362との分岐部に、進路切換部材38が配置されている。進路切換部材38は遥動可能に支持されており、搬送される原稿を第2原稿排出トレイ28又は第1原稿排出トレイ30のいずれかに案内するように構成されている。この実施形態では、進路切換部材38は、カード等の厚手原稿(例えば、厚さ0.6mm以上)を第1原稿排出トレイ30へ向けて案内し、厚手原稿以外の普通紙原稿(例えば、厚さ0.6mm未満)を第2原稿排出トレイ28へ向けて案内するように構成されている。
【0052】
原稿の厚さは、図示しない入力部によって入力される。図示しない制御部は、入力部から入力された原稿の厚さについての情報に基づいて、進路切換部材38が原稿を第2原稿排出トレイ28又は第1原稿排出トレイ30のいずれかへ案内するように制御する。
【0053】
第1読取部32は、原稿固定読取モードと原稿搬送読取モードとで共用される。原稿固定読取モードにおいては、原稿は、原稿載置台22の上面に配置される。第1読取部32は、原稿固定読取モードにおける画像読取時には、原稿載置台22に対して平行に移動しながら、原稿載置台22に対して垂直な光軸44の原稿の第1面における反射光を受ける。
【0054】
また、第1読取部32は、原稿搬送読取モードにおける画像読取時には、第1ガイド部材40の下方で静止した状態で、第1ガイド部材40に対して傾斜した光軸46の原稿の第1面における反射光を受ける。
【0055】
第2読取部34は、第2ガイド部材42を挟んで第1読取部32の反対側に配置され、原稿搬送読取モードにおいて原稿の第2面の画像を読み取る。第2読取部34は、第2ガイド部材42に対して垂直な光軸48の第2面における反射光を受ける。
【0056】
原稿搬送読取モードにおける画像読取位置は、原稿載置台22の上面を含む面と第1ガイド部材40の上面とが交わる位置である。原稿固定読取モードと原稿搬送読取モードとで原稿の画像面から第1読取部32までの光路長が同じになるので、両読取モードにおいてピンボケの発生が防止される。
【0057】
原稿搬送読取モード時に、原稿は、表面が上向きとなり、裏面が下向きとなるように、原稿載置トレイ26に載置されることが好ましい。この場合、原稿の表面は第2読取部34によって読み取られ、裏面は第1読取部32によって読み取られる。
【0058】
上述のような原稿読取部20では、原稿搬送読取モードにおいて、厚手原稿は、直線状搬送路361を搬送され、第1ガイド部材40上を通過する際に第1面の画像を読み取られる。第1ガイド部材40は、原稿載置台22の側方に配置されるが、直線状搬送路361に沿って原稿載置台22に対して原稿搬送方向91における下流側へ下り傾斜するので、直線状搬送路361は、原稿載置台22を避けるための湾曲の度合いが抑制され、直線状に配置される。よって、原稿がカード等の厚手原稿である場合でも、原稿の搬送不良が抑制される。
【0059】
また、原稿載置トレイ26が第2原稿排出トレイ28の下方に配置されるので、原稿載置トレイ26が第2原稿排出トレイ28の上方に配置された場合と比較して、直線状搬送路361の傾斜の度合いが小さくなる。このため、第1ガイド部材40の高さが原稿載置台22と同じであるにもかかわらず、直線状搬送路361を直線状に形成する目的で第1読取部32を収容する枠体をへこませる度合いを、減少又は無くすことができる。よって、第1読取部32を収容する枠体をへこませるといった設計上の困難性が抑制される。また、第1ガイド部材40の傾斜の度合いも小さくなるので、第1読取部32の位置制御の精度が高くない場合でも、原稿の第1面から第1読取部32までの光路長の変化の度合いが小さく、ピンボケの度合いが抑制される。
【0060】
さらに、カード等の厚手原稿は直線状搬送路361を経由させることで、搬送不良が抑制される。また、カードのサイズは小さいので第1原稿排出トレイ30のサイズはコンパクト化でき、第1原稿排出トレイ30が原稿読取部20の側面に配置された場合でも原稿読取部20の大型化が抑制される。一方、厚さが所定の閾値未満である普通紙原稿については湾曲搬送路362を経由させることで、原稿を原稿載置トレイ26の上方へ排出することができ、第2原稿排出トレイ28が大サイズであっても原稿読取部20の大型化が抑制される。
【0061】
第1読取部32に加えて第2読取部34を備えることで、原稿の第1面と第2面との両面を同時に読み取ることが可能である。また、第2読取部34は、原稿の第2面における反射光であって第2ガイド部材42に対して垂直な光軸の反射光を読み取るので、第2ガイド部材42に対して傾斜した光軸の反射光を読み取る場合と比較して、第2読取部34のCCDにおける1画素当たりの画像読取サイズが大きくならない。例えば、読取解像度が600dpiである場合、読取画像における1画素の理論値は42.3×42.3μmであるが、上述のように構成することで、ほぼ上記理論値通りのサイズの読取が可能となり、読取画像における1画素の、原稿搬送方向の読取長さが大きくならず、画像読取の解像度の低下が防止される。
【0062】
なお、直線状搬送路361は、原稿載置トレイ26から第1原稿排出トレイ30へ至る全ての領域において真っ直ぐであることが好ましいが、厚手原稿の紙詰まりや搬送速度のブレといった搬送不良が生じない程度の若干(例えば、5度以下)の屈曲又は湾曲がある場合が除外されるものではない。例えば、搬送ローラ50から搬送ローラ54までの直線状搬送路361と、搬送ローラ54から搬送ローラ56までの直線状搬送路361とが、第1ガイド部材40の上流側の搬送ローラ54の部分で若干(例えば、5度)屈曲又は湾曲している場合でも、第1ガイド部材40が原稿載置台22に対して直線状搬送路361に沿う方向に傾斜することで、原稿搬送読取モードにおける厚手原稿の搬送不良による読取画像不良が抑制される。
【0063】
上述の実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0064】
10 画像形成部
20 原稿読取部(画像読取装置)
22 原稿載置台(第1原稿台)
26 原稿載置トレイ
28 第2原稿排出トレイ
30 第1原稿排出トレイ
32 第1読取部
34 第2読取部
36 原稿搬送路
361 直線状搬送路
362 湾曲搬送路
38 進路切換部材
40 第1ガイド部材(第2原稿台)
42 第2ガイド部材(読取板)
100 画像形成装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定された原稿の画像を読み取る原稿固定読取モード、及び原稿を搬送しながら原稿の画像を読み取る原稿搬送読取モードで読取動作を実行する画像読取装置であって、
前記原稿固定読取モード時に上面に原稿が載置される第1原稿台と、
前記原稿搬送読取モード時に画像読取前の原稿が載置される原稿載置トレイと、
前記原稿搬送読取モード時に画像読取後の原稿が排出される第1原稿排出トレイと、
前記原稿載置トレイから下り傾斜しながら前記第1原稿排出トレイへ至る直線状搬送路と、
前記直線状搬送路の途中に配置され、上面が前記直線状搬送路に沿って前記第1原稿台に対して原稿搬送方向における下流側へ下り傾斜した第2原稿台と、を備え、
前記第2原稿台は、前記上面の一部が前記第1原稿台の上面を含む面と交わるように配置される画像読取装置。
【請求項2】
前記原稿搬送読取モードにおける画像読取位置は、前記第1原稿台の上面を含む面と前記第2原稿台の上面とが交わる位置である請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記原稿載置トレイの上方に配置された第2原稿排出トレイと、
前記第2原稿台と前記第1原稿排出トレイとの間において前記直線状搬送路から分岐して前記第2原稿排出トレイへ至る湾曲搬送路と、をさらに備える請求項1又は2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記原稿搬送読取モード時に前記第2原稿台の下方で静止した状態で、前記第2原稿台に対して傾斜した光軸の原稿の第1面における反射光を受ける第1読取部を備える請求項1から3のいずれかに記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記直線状搬送路を挟んで前記第2原稿台に対して平行に対向配置された読取板と、
前記読取板を挟んで前記第1読取部の反対側に配置され、前記原稿搬送読取モード時に原稿の第2面の画像を読み取る第2読取部と、をさらに備え、
前記第2読取部は、前記読取板に対して垂直な光軸の前記第2面における反射光を受ける請求項4に記載の画像読取装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の画像読取装置を備える画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−34288(P2012−34288A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−173846(P2010−173846)
【出願日】平成22年8月2日(2010.8.2)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】