説明

画像読取装置

【課題】 原稿読取範囲における光量分布の均一化を図ると共に光量の増加も有効に図れる画像読取装置を提供する。
【解決手段】 原稿が載置される原稿載置台と、該原稿載置台に載置された原稿に光を照射する光源20と、原稿からの反射光を受光して原稿の画像を読み取るCCD26とを有する。光源20が、管状ランプからなるメインランプ20aと、補助LEDランプ20bとからなる。補助LEDランプ20bは、メインランプ20aの長手方向に沿って対応して配置された複数の発光ダイオードからなり、各補助LEDランプ20bの相互間隔が、メインランプ20aの長手方向中央部から両端部方向に向けて、漸次密になるように配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源から光を原稿に照射し、この反射光を結像させて原稿の画像を読み取る画像読取装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、スキャナ、複写機、ファクシミリ等の画像読取装置において、自動原稿搬送装置(ADF装置)により搬送される原稿やプラテンガラス上の原稿載置面に載置された原稿を読み取る場合に、光源から原稿に対して光を照射し、原稿からの反射光をミラー、レンズを介してCCD等のラインセンサ上に結像させることにより、原稿の読み取りを行っていた。
【0003】
そして、このような光源としては、一般に、蛍光ランプやハロゲンランプ等の管状ランプが使用されていた。
【0004】
この種の管状ランプの配光特性は、その長手方向中央部で明るく、両端部方向に向けて暗くなる傾向にある。また、原稿の読み取り光路上に配置されるレンズの性能によっても、中央部分が明るくなり端部分が暗くなる傾向にある。
【0005】
従って、原稿読取範囲における端部側で光量不足等が原因となって、原稿の画像の同一濃度(輝度)の部分を読み取った場合に、主走査位置で異なるレベルの信号として出力される。このため、従来の画像読取装置では、シェーディング補正を行っていた。
【0006】
しかしながら、シェーディング補正では、原稿読取範囲における端部側での光量を増幅させるとノイズも同時に増幅させてしまい、端部のS/N比が落ちるため、中央部に比べて端部の画質が悪くなる欠点がある。
【0007】
そこで、本願出願人は、このような原稿読取範囲における端部側での光量を増加させ、光量分布の均一化を図るため、光源からの光を反射させて原稿に導く反射手段を設け、この反射手段における光源の長手方向両端部近傍からの光の反射率が、光源の長手方向中央部近傍からの光の反射率と比較して大きくなるように構成された画像読取装置を提案している(例えば、特許文献1参照。)。
【0008】
【特許文献1】特開2005−210344号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
また、近年のカラースキャナ等の画像読取装置にあっては、読み取り速度が高速化する傾向にあり、このような高速読み取りに際しては、より多くの光量が要求される。
【0010】
そこで、本発明は上記点に鑑み、原稿読取範囲における光量分布の均一化を図ると共に光量の増加も有効に図れる画像読取装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するための技術的手段は、原稿が載置される原稿載置台と、該原稿載置台に載置された原稿に光を照射する光源と、前記原稿からの反射光を受光して原稿の画像を読み取る走査体とを有する画像読取装置において、前記光源が、管状ランプによるメインランプと、少なくとも前記メインランプの長手方向両端部に対応して配置された発光ダイオードによる補助LEDランプとからなる点にある。
【0012】
また、前記補助LEDランプは、前記メインランプの長手方向に沿って対応して配置された複数の発光ダイオードからなり、各発光ダイオードの相互間隔が、メインランプの長手方向中央部から両端部方向に向けて、漸次密になるように配置されている構造としてもよい。
【0013】
さらに、前記補助LEDランプは、前記メインランプの長手方向に沿って対応して等間隔で配置された複数の発光ダイオードからなり、各発光ダイオードの輝度が、メインランプの長手方向中央部から両端部方向に向けて、漸次明るくなるように調整されている構造としてもよい。
【0014】
また、前記補助LEDランプは、前記メインランプの分光分布特性における赤領域波長、緑領域波長および青領域波長のうちの少ない領域波長を補完する発光ダイオードが用いられる構造としてもよい。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明の画像読取装置によれば、光源が、管状ランプによるメインランプと、少なくともメインランプの長手方向両端部に対応して配置された発光ダイオードによる補助LEDランプとからなる構造とされており、管状ランプの配光特性やレンズの性能等により、中央部に比較して光量不足となる端部側の光量を、補助LEDランプによって補う構造としているため、原稿読取範囲における光量分布の均一化を有効に図ることができ、また、メインランプだけでなく、補助LEDランプをも備えた構造であり、光量の増加も有効に図れる利点がある。
【0016】
また、補助LEDランプは、メインランプの長手方向に沿って対応して配置された複数の発光ダイオードからなり、各発光ダイオードの相互間隔が、メインランプの長手方向中央部から両端部方向に向けて、漸次密になるように配置されている構造とすれば、各発光ダイオードによる光量分布は、メインランプの長手方向両端部で明るく、中央部方向に向けて暗くなる傾向となるため、メインランプとの協働作用により、原稿読取範囲における光量分布の均一化を有効に図ることができる。
【0017】
さらに、補助LEDランプは、メインランプの長手方向に沿って対応して等間隔で配置された複数の発光ダイオードからなり、各発光ダイオードの輝度が、メインランプの長手方向中央部から両端部方向に向けて、漸次明るくなるように調整されている構造とすれば、各発光ダイオードによる光量分布は、メインランプの長手方向両端部で明るく、中央部方向に向けて暗くなる傾向となるため、メインランプとの協働作用により、原稿読取範囲における光量分布の均一化を有効に図ることができる。
【0018】
また、補助LEDランプは、メインランプの分光分布特性における赤領域波長、緑領域波長および青領域波長のうちの少ない領域波長を補完する発光ダイオードが用いられる構造とすれば、メインランプと補助LEDランプとの協働作用により、原稿読取範囲における光量分布の均一化を有効に図ることができるだけでなく、メインランプの分光分布特性における波長強度ムラを有効に軽減でき、読取画質のさらなる向上が図れる利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の第1の実施形態を図面に基づいて説明すると、図1に示されるように、画像形成装置1は、スキャナ、プリンタ、複写機、ファクシミリ、またはこれらの機能を複合させた複合機等からなり、本実施形態における画像形成装置1においては、記録部2の上方に読取部3が配置され、記録部2には記録装置4および給紙カセット5がそれぞれ上下に内装されており、給紙カセット5内に堆積された用紙を記録装置4へ給紙して記録した後に、記録紙排出トレイ6へ排出するように構成されていた。
【0020】
前記読取部3においては、上面を透明状の原稿載置台7とした読取ケース8内にカラースキャナ機能を有する画像読取装置9を収納しており、原稿載置台7上に載置された原稿を画像読取装置9により走査して、原稿の読み取りを行うように構成されている。また、読取ケース8の上方には、その一辺に備えられたヒンジ部を中心として開閉可能に構成される原稿押さえカバー10が配置され、原稿押さえカバー10により原稿載置台7上に載置された原稿を上方から押さえる構造とされている。
【0021】
原稿押さえカバー10の一端部には原稿を自動的に給紙する自動原稿搬送装置(ADF装置)11が設けられ、原稿供給トレイ12に載置された原稿を一枚ずつピックアップして、原稿載置台7の一側部側へ搬送し、画像読取装置9により原稿の画像を読み取った後に、原稿押さえカバー10の上面に形成される原稿排出トレイ13へ排出するように構成されていた。
【0022】
自動原稿搬送装置11は、原稿供給トレイ12に載置された原稿を一枚ずつ分離供給する分離ローラ14と、分離された原稿を原稿載置台7の一側方に備えられた透明な透光板15上を通過させて原稿排出トレイ13に搬送案内する複数の搬送ローラ16を備える。
【0023】
ここに、読取部3は、画像読取装置9を走査させて静止原稿を読み取るフラットベッドタイプのスキャナとして用いると共に、画像読取装置9を位置固定して原稿を搬送しながら読み取りを行うシートフィードタイプのスキャナとして用いることができるように構成されている。
【0024】
また、画像読取装置9は、透光板15上を通過する原稿または原稿載置台7上に載置された原稿に光を照射する光源20と、原稿からの反射光の光路を変更する第1ないし第3ミラー21,22,23と、光源20および第1ないし第3ミラー21,22,23を移動させるための移動機構24を備えている。
【0025】
さらに、第3ミラー23からの光を収束させる集光レンズ25と、集光レンズ25を通して入射した光に基づき原稿上の画像を読み取る走査体としてのCCD26を備えている。
【0026】
移動機構24は、第1キャリッジ28および第2キャリッジ29を左右方向に進退させる構造とされている。即ち、前後に離隔して配置された左右それぞれ一対の大径プーリ30,31と、前後に離隔して配置された左右それぞれ一対の小径プーリ32,33と、左右の各大径プーリ30,31間に掛装された前後一対の第1ベルト34と、左右の各小径プーリ46、47間に掛装された前後一対の第2ベルト35とを備えている。そして、前後の各第1ベルト34にまたがって第1キャリッジ28が連結され、前後の各第2ベルト35にまたがって第2キャリッジ29が連結された構造とされている。
【0027】
また、大径プーリ30,31の直径は小径プーリ32,33の直径の2倍となるように形成されている。そして、左側の大径プーリ30と小径プーリ32とは、前後方向に伸びる同一軸線を中心に一体回転可能に連結されている。また、第1キャリッジ28上には光源20および第1ミラー21が支持され、第2キャリッジ29上には第2ミラー22および第3ミラー23が支持されている。
【0028】
さらに、本実施形態においては、図2にも示されるように、第1キャリッジ28上に支持される光源20が、管状ランプによるメインランプ20aと、基板37に実装された複数の発光ダイオードによる補助LEDランプ20bとからなる構造とされている。
【0029】
そして、メインランプ20aが従来同様に、その長手方向を画像形成装置1の前後方向として配置され、原稿からの反射光の光路を挟んで対向する位置に、補助LEDランプ20bが配置された構造とされている。
【0030】
即ち、第1キャリッジ28に備えられた適宜傾斜状のLED支持台28a上に、メインランプ20aの長手方向に沿って細長状の基板37が装着され、この基板37にメインランプ20aの長手方向に沿って複数の補助LEDランプ20bが対応して実装されている。この際、互いに隣接する各補助LEDランプ20bの相互間隔が、メインランプ20aの長手方向中央部から両端部方向に向けて、漸次密になるように各補助LEDランプ20bが配置された構造とされている。
【0031】
また、本実施形態においては、メインランプ20aとして例えば、希ガス蛍光ランプが使用されている。そしてこの希ガス蛍光ランプの分光分布特性は、図3に示されるように、色の三原色(RGB)である赤領域波長(610〜780nm)や青領域波長(430〜460nm)が、緑領域波長(500〜570nm)に比較して強度が低い傾向にある。そのため、各補助LEDランプ20bは、メインランプ20aの少ない色の領域波長を補完する種類の発光ダイオード、例えば白色発光ダイオード等が採用されている。
【0032】
本実施形態の画像形成装置1は以上のように構成されており、読取部3による原稿の画像の読み取りに際して、メインランプ20aの配光特性や集光レンズ25の性能等により、画像読取範囲における中央部に比較して端部側で光量が不足するおそれがあっても、メインランプ20aと対向して配置された各補助LEDランプ20bの相互間隔が、メインランプ20aの長手方向中央部から両端部方向に向けて、漸次密になるように配置されているため、各補助LEDランプ20bによる光量分布は、メインランプ20aの長手方向両端部で明るく、中央部方向に向けて暗くなる傾向となっており、メインランプ20aとの協働作用により、原稿読取範囲における光量分布の均一化を有効に図ることができる。
【0033】
ここに、原稿読取範囲における光量ムラを低減することができ、読み取ったデータの中央部と端部で明るさが異なることに起因する画像の読み取り不良が有効に防止でき、読取画質の向上が図れる。
【0034】
また、従来の光源に相当するメインランプ20aだけでなく、別途、補助LEDランプ20bをも備えた構造であり、光量の増加も有効に図れ、カラースキャナの高速読み取りにも好適であり、読み取り速度の高速化に対応できる利点がある。
【0035】
さらに、補助LEDランプ20bとして、メインランプ20aの色の三原色における少ない色の領域波長を補完する種類の発光ダイオードを採用しているため、メインランプ20aと補助LEDランプ20bとの協働作用により、原稿読取範囲における光量分布の均一化を有効に図ることができるだけでなく、メインランプ20aの分光分布特性における波長強度ムラを有効に軽減でき、読取画質のさらなる向上が図れる利点がある。
【0036】
また、補助光源として、発光ダイオードからなる補助LEDランプ20bを採用しているため、安価に提供できると共に、配列や輝度の調整により容易に光量の調整が可能であり、光量分布の均一化が容易に図れる利点がある。
【0037】
さらに、補助LEDランプ20bは発光ダイオードの種類の選択等により波長の調整も容易であるため、メインランプ20aの種類に応じた前記のような少ない色の領域波長を補完する機能の調整も容易に行えるという利点がある。
【0038】
一方、メインランプ20aとして、補助LEDランプ20bと同様に、発光ダイオードを採用することができるが、発光ダイオードが実装された基板が発熱による温度上昇でひずみ等によるソリが生じたり、温度上昇により発光ダイオードの特性が落ちる等によって、光量ムラ等が生じるおそれがあり、本実施形態のように補助光源として用いることが好ましい。これに対し、管状ランプの光源による端部側の光量不足を補う目的から、管状ランプを2本配置することも考えられるが、この場合には、消費電力やノイズの面で非常に不利である。
【0039】
また、メインランプ20aの管状ランプとして、冷陰極蛍光ランプを採用することができるが、冷陰極蛍光ランプも温度により配光特性が変化するため、温度による配光特性の変化の少ない希ガス蛍光ランプが性能安定性の面からスキャナ用光源として利用し易い利点がある。
【0040】
図4は第2の実施形態を示しており、前記第1の実施形態と同様部分は同一符号を付し、その説明を省略する。
【0041】
即ち、本実施形態においては、各補助LEDランプ20bが、メインランプ20aの長手方向に沿って対応して等間隔で配置されると共に、各補助LEDランプ20bの輝度が、メインランプ20aの長手方向中央部から両端部方向に向けて、漸次明るくなるように調整された構造とされている。そして、その他の構造は前記第1の実施形態と同様の構造とされている。
【0042】
従って、本実施形態における各補助LEDランプ20bによる光量分布は、メインランプ20aの長手方向両端部で明るく、中央部方向に向けて暗くなる傾向となるため、第1の実施形態と同様の利点を奏する。
【0043】
図5は第3の実施形態を示しており、前記第1の実施形態と同様部分は同一符号を付し、その説明を省略する。
【0044】
即ち、本実施形態においては、各補助LEDランプ20bが、メインランプ20aの長手方向両端部に対応して配置され、メインランプ20aの長手方向中央部分には補助LEDランプ20bが配置されていない構造とされている。そして、その他の構造は前記第1の実施形態と同様の構造とされている。
【0045】
従って、本実施形態における各補助LEDランプ20bは、メインランプ20aの長手方向両端部での光量不足を有効に補う構造とされており、光源20全体としての光量分布の均一化が有効に図れ、第1の実施形態と同様の利点を奏する。
【0046】
なお、各補助LEDランプ20bの配置数や種類、配列の仕方、輝度の調整等は、必要に応じて適宜決定すればよく、何ら上記各実施形態の構造に限定されない。
【0047】
また、メインランプ20aとして、希ガス蛍光ランプを採用した構造を示しているが、ハロゲンランプやその他の蛍光ランプ等の管状ランプであればよく、何ら実施形態のものに限定されない。
【0048】
さらに、画像読取装置9として、ツーキャリッジ方式の構造を示しているが、特許文献1に開示のようなワンキャリッジ方式であっても同様に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の第1の実施形態にかかる画像形成装置の断面正面図である。
【図2】画像読取装置の要部斜視図である。
【図3】希ガス蛍光ランプの分光分布特性図である。
【図4】第2の実施形態にかかる画像読取装置の要部斜視図である。
【図5】第3の実施形態にかかる画像読取装置の要部斜視図である。
【符号の説明】
【0050】
1 画像形成装置
7 原稿載置台
9 画像読取装置
20 光源
20a メインランプ
20b 補助LEDランプ
21 第1ミラー
22 第2ミラー
23 第3ミラー
25 集光レンズ
26 CCD
37 基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿が載置される原稿載置台と、該原稿載置台に載置された原稿に光を照射する光源と、前記原稿からの反射光を受光して原稿の画像を読み取る走査体とを有する画像読取装置において、
前記光源が、管状ランプによるメインランプと、少なくとも前記メインランプの長手方向両端部に対応して配置された発光ダイオードによる補助LEDランプとからなることを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像読取装置において、
前記補助LEDランプは、前記メインランプの長手方向に沿って対応して配置された複数の発光ダイオードからなり、各発光ダイオードの相互間隔が、メインランプの長手方向中央部から両端部方向に向けて、漸次密になるように配置されていることを特徴とする画像読取装置。
【請求項3】
請求項1に記載の画像読取装置において、
前記補助LEDランプは、前記メインランプの長手方向に沿って対応して等間隔で配置された複数の発光ダイオードからなり、各発光ダイオードの輝度が、メインランプの長手方向中央部から両端部方向に向けて、漸次明るくなるように調整されていることを特徴とする画像読取装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の画像読取装置において、
前記補助LEDランプは、前記メインランプの分光分布特性における赤領域波長、緑領域波長および青領域波長のうちの少ない領域波長を補完する発光ダイオードが用いられることを特徴とする画像読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−141453(P2008−141453A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−325234(P2006−325234)
【出願日】平成18年12月1日(2006.12.1)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】