画像読取装置
【課題】光学部品の精密な配置を確保し、好適な画像データを取得可能な画像読取装置を提供すること。
【解決手段】画像読取装置Aは、光源6と、主走査方向に沿って配列された複数の受光素子5と、光学部品2,3と、を収容し、上記主走査方向に沿って延びる開口部を有する長矩形状のケース1と、開口部1aに嵌め込まれたガラスカバー7と、を備えており、ケース1は、開口部1aに隣接し、上記主走査方向と直交する方向に沿って所定の間隔を隔てて向かい合う一対の内壁14a,14bを有しており、光学部品2,3は、ガラスカバー7の内面と対向する第1の側面と、内壁14a,14bと対向する第2の側面と、を備え、一対の内壁14a,14bに沿うように配置されており、上記第1と第2の側面との間に、上記第2の側面に近づくにつれてガラスカバー7の内面から遠ざかる傾斜面22c,3cが形成されている。
【解決手段】画像読取装置Aは、光源6と、主走査方向に沿って配列された複数の受光素子5と、光学部品2,3と、を収容し、上記主走査方向に沿って延びる開口部を有する長矩形状のケース1と、開口部1aに嵌め込まれたガラスカバー7と、を備えており、ケース1は、開口部1aに隣接し、上記主走査方向と直交する方向に沿って所定の間隔を隔てて向かい合う一対の内壁14a,14bを有しており、光学部品2,3は、ガラスカバー7の内面と対向する第1の側面と、内壁14a,14bと対向する第2の側面と、を備え、一対の内壁14a,14bに沿うように配置されており、上記第1と第2の側面との間に、上記第2の側面に近づくにつれてガラスカバー7の内面から遠ざかる傾斜面22c,3cが形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図11は、従来の画像読取装置の一例を示しており、図12には図11のXII-XII線に沿う断面図で示している(特許文献1参照)。図11および図12に示す画像読取装置Xは、ケース91に導光部材92、レンズユニット93、基板94、センサチップ95、およびLEDモジュール96が収容され、ケース91の上部に設けられた開口部91aにガラスカバー97が嵌めこまれた構成とされている。この画像読取装置Xは、主走査方向に長く延びる矩形状に形成されている。ケース91の開口部91aには、ガラスカバー97の内面の外縁を受け止める受止面911およびガラスカバー97の側縁に対向する側壁面912が設けられている。ガラスカバー97と受止面911との間を密封するために、ガラスカバー97の内面と受止面911とは低粘度の樹脂98によって接着封止されている。
【0003】
ケース91は、金型を用いて樹脂成形され、受止面911の複数の適所が複数のイジェクタピンに押圧されて金型から取り出される。このため、受止面911にはガラスカバー97から遠ざかる方向に凹む複数のイジェクタピン跡911aが形成される。このイジェクタピン跡911aは、受止面911の副走査方向における寸法の全長に渡って形成されている。導光部材92は、導光体92a、リフレクタ92bおよび出射面92cを備えている。
【0004】
LEDモジュール96からの光は、導光体92a内を上記主走査方向に沿って進行し、出射面92cから上記主走査方向に沿う線状光として出射される。リフレクタ92bは、たとえば白色樹脂などの比較的反射率が高い材質からなり、導光体92aから光が漏れることを防止するためのものである。上記線状光は、読取対象に反射された後に、レンズユニット93によってセンサチップ95に収束される。センサチップ95は、上記主走査方向に沿って基板94に配置されている。これにより、読取対象の内容を画像データとして読み取ることができる。
【0005】
しかしながら、画像読取装置Xでは、開口部91aからはみ出した樹脂98が、導光部材92およびレンズユニット93に不当に付着することがあり、導光部材92およびレンズユニット93が正常に作動しなくなることがあった。たとえば、樹脂98によって、導光部材92に不当な圧力がかかり、位置がずれてしまうと、出射面92cから出射される線状光が読取対象を適正に照射できなくなることがあった。また、樹脂98によって、レンズユニット93に不当な圧力がかかり、レンズユニット93の位置がずれてしまうと、読取対象からの反射光がセンサチップ95に適正に収束されなくなることがあった。このように、従来の画像読取装置Xは、光学部品の精密な配置を確保することができず、好適な画像データを取得することができないことがあった。
【0006】
さらにまた、画像読取装置Xでは、イジェクタピン跡911aとガラスカバー97との間に上記樹脂が行き渡らないことがあり、受止面911とガラスカバー97との間に隙間が生じてしまうことがあった。このため、ケース91の内部に紙粉などの異物が入り込み、読み取りが正しく行えなくなることがあった。
【0007】
【特許文献1】特開2007−300536号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、光学部品の精密な配置を確保し、より正確な読み取りを行うことができ、好適な画像データを取得可能な画像読取装置を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の側面によって提供される画像読取装置は、光源と、主走査方向に沿って配列された複数の受光素子と、上記光源からの光を上記主走査方向に沿う線状光として読取対象に向けて出射する機能、および、上記線状光の反射光を上記受光素子へ導く機能との少なくともいずれかの機能を有する光学部品と、を収容し、上記主走査方向に沿って延びる開口部を有する長矩形状のケースと、上記開口部に嵌め込まれ、その一部が樹脂によって上記開口部の少なくとも一部と接着されたガラスカバーと、を備えた画像読取装置であって、上記ケースは、上記開口部に隣接し、副走査方向に沿って所定の間隔を隔てて向かい合う一対の内壁を有しており、上記光学部品は、上記ガラスカバーの内面と対向する第1の側面と、上記内壁の一方と対向する第2の側面と、を備え、上記一対の内壁の一方に沿うように配置されており、上記第1と第2の側面との間に、上記第2の側面に近づくほど上記ガラスカバーの内面から遠ざかる傾斜面が形成されていることを特徴とする。
【0010】
このような構成によれば、上記光学部品は、上記受止面に接近する部分が上記ガラスカバーから遠ざかる形状となっているため、上記受止面から上記樹脂がはみ出した場合に、上記樹脂が付着しにくくなっている。このため、上記光学部品の精密な配置を確保しやすくなっている。したがって、このような画像読取装置は、より好適な画像データを取得することができる。
【0011】
より好ましくは、上記ガラスカバーの内面が、上記開口部と接着される接合領域と、上記接合領域を除く非接合領域とに区画されており、上記非接合領域が上記接合領域よりも上記樹脂をより撥ねるように形成されている。このような構成によれば、上記接合領域から上記非接合領域に上記樹脂がはみ出しにくくなる。このため、上記開口部から上記樹脂が溢れ出しにくくなっており、上記光学部品に上記樹脂がより付着しにくくなっている。したがって、このような画像読取装置は、上記光学部品の精密な配置を確保しやすく、より好適な画像データを取得することができる。
【0012】
より好ましくは、上記ガラスカバーの内面と対向し、上記ガラスカバーの内面の少なくとも一部に接着される受止面が上記開口部の上記主走査方向における略全長に渡って設けられており、上記受止面には、上記ガラスカバーから遠ざかる方向に凹む複数のイジェクタピン跡が形成されており、上記複数のイジェクタピン跡の副走査方向における寸法が、上記受止面の上記副走査方向における寸法よりも小さくなっている。このような構成によれば、上記イジェクタピン跡が小さく形成されているため、上記受止面が上記主走査方向の略全長に渡って上記ガラスカバーの内面との距離が一定となる領域を有する。このため、上記受止面と上記ガラスカバーとを上記主走査方向の略全長に渡って樹脂によってより確実に密封することができる。したがって、このような画像読取装置は、上記ケース内に異物が入り込みにくく、好適な読み取りを行うことができる。
【0013】
さらにより好ましくは、上記イジェクタピン跡は上記ガラスカバーの内面と対向する底面と、上記底面の中央から離れるにつれて上記ガラスカバーの内面に近づく傾斜面とを備えている。このため、上記イジェクタピン跡と上記ガラスカバーとの間にも樹脂が行き渡り易くなっており、より確実に上記ガラスカバーと上記受止面との間を密封することができる。したがって、このような画像読取装置は、上記ケース内に異物が入り込みにくく、好適な読み取りを行うことができる。
【0014】
本発明の第2の側面によって提供される画像読取装置は、光源と、主走査方向に沿って配列された複数の受光素子と、上記光源からの光を上記主走査方向に沿う線状光として読取対象に向けて出射する導光部材と、上記線状光の反射光を上記受光素子へ導くレンズ部材と、を収容し、上記主走査方向に沿って延びる開口部を有する長矩形状のケースと、上記開口部に嵌め込まれたガラスカバーと、を備えており、上記開口部には上記ガラスカバーの内面と対向し、上記ガラスカバーの内面の少なくとも一部に接着される受止面が設けられており、上記受止面には、上記ガラスカバーから遠ざかる方向に凹む複数のイジェクタピン跡が形成されている画像読取装置であって、上記受止面は、上記開口部の上記主走査方向における略全長に渡って設けられており、上記複数のイジェクタピン跡の副走査方向における寸法が、上記受止面の上記副走査方向における寸法よりも小さくなっていることを特徴とする。
【0015】
このような構成によれば、上記イジェクタピン跡が小さく形成されているため、上記受止面が上記主走査方向の略全長に渡って上記ガラスカバーの内面との距離が一定となる領域を有する。このため、上記受止面と上記ガラスカバーとを上記主走査方向の略全長に渡って樹脂によってより確実に密封することができる。したがって、このような画像読取装置は、上記ケース内に異物が入り込みにくく、好適な読み取りを行うことができる。
【0016】
より好ましくは、上記イジェクタピン跡は上記ガラスカバーの内面と対向する底面と、上記底面の中央から離れるにつれて上記ガラスカバーの内面に近づく傾斜面とを備えている。このような構成によれば、上記傾斜面によって、上記イジェクタピン跡に樹脂が流れ込みやすくなっている。このため、上記イジェクタピン跡と上記ガラスカバーとの間にも樹脂が行き渡り易くなっており、より確実に上記ガラスカバーと上記受止面との間を密封することができる。したがって、このような画像読取装置は、上記ケース内に異物が入り込みにくく、好適な読み取りを行うことができる。
【0017】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記開口部は、上記ガラスカバーの側縁と対向する側壁面を有しており、上記側壁面に、外部と通じる樹脂注入孔が形成されている。このような構成によれば、上記ガラスカバーを上記開口部にはめ込んだ後に上記樹脂注入孔に上記樹脂を注入し、毛細管現象によって浸透させることにより、上記ガラスカバーを上記開口部に接着することができる。このため、上記樹脂が過多となりにくく、上記開口部から上記樹脂が溢れ出しにくくなっている。したがって、このような画像読取装置は、上記光学部品の精密な配置を確保しやすく、より好適な画像データを取得することができる。
【0018】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の好ましい実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
【0020】
図1〜図3は、本発明に係る画像読取装置の第1実施形態を示している。本実施形態の画像読取装置A1は、ケース1、導光部材2、レンズユニット3、基板4、センサチップ5、LEDモジュール6、および、ガラスカバー7を備えている。
【0021】
ケース1は、導光部材2、レンズユニット3、基板4、センサチップ5、LEDモジュール6を内蔵しており、主走査方向に沿って延びる略直方体形状とされており、その上部にガラスカバー7が嵌め込まれる開口部1aを有している。この開口部1aは、図1に示すように、主走査方向に沿って延びる長辺と副走査方向に沿って延びる短辺とを有する長方形状に形成されている。開口部1aは、図3に示すように、一対の受止面11、一対の側壁面12、および2本の溝13を有している。また、ケース1はその下部にも開口を有している。
【0022】
一対の受止面11は、開口部1aの両長辺に沿ってそれぞれ設けられており、ガラスカバー7の内面と対向し、主走査方向を長手方向とする長方形状に形成されている。一対の受止面11は、ガラスカバー7の主走査方向に沿う両外縁に樹脂8を介して接着している。一対の側壁面12は、一対の受止面11に対して起立しており、ガラスカバー7の両側縁に対向するように形成されている。一対の側壁面12は、副走査方向においてガラスカバー7を挟みこんで保持している。一対の側壁面12には、ケース1の外部と通じる樹脂注入孔12aが形成されている。樹脂注入孔12aは、図2に示すように、一対の側壁面12の一方側に8個並ぶように設けられている。樹脂注入孔12aは、一対の側壁面12の他方側にも8個並ぶように設けられている。2本の溝13は、開口部1aの両長辺に沿うようにそれぞれ設けられている。溝13は受止面11と側壁面12との間に、受止面11に対して内方に凹むように形成されている。
【0023】
さらに、図3に示すように、ケース1は、主走査方向に沿って延び、副走査方向において所定の間隔を隔てて互いに向かい合う一対の内面14a,14bを有している。内面14aは、開口部1a寄りの端縁において、一対の受止面11の一方と直交している。内面14bは開口部1a寄りの端縁において、一対の受止面11の他方と直交している。なお、このケース1は、たとえば黒色の樹脂によって形成されている。
【0024】
導光部材2は、本発明に係る光学部品の一例であり、導光体21とリフレクタ22とによって構成されている。導光体21は、たとえばメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)などの透明な樹脂からなり、LEDモジュール6からの光を主走査方向に延びる線状光として出射面21aから出射するためのものである。この導光体21は、主走査方向に沿って延びており、その一方の端部にLEDモジュール6と向かい合う入射面を有している。リフレクタ22は、導光体21内を進行する光が不当に漏れることを防ぐためのものであり、たとえば白色の樹脂によって形成されている。図3に示すように、リフレクタ22は、導光体21を抱え込むように収容している。このリフレクタ22は、ガラスカバー7の内面と対向する第1の側面22aと、内面14aと対向する第2の側面22bと、第1の側面22aと第2の側面22bとの間に設けられた傾斜面22cとを有している。傾斜面22cは、第2の側面22bに近づくほどガラスカバー7の内面から遠ざかるように、第1の側面22aに対して45°傾くように形成されている。この傾斜面22cは、その長辺がリフレクタ22の主走査方向に沿う略全長に渡って延び、短辺がたとえば3mm以上である長方形状となっている。なお、傾斜面22cは、傾斜面22cに対応する傾斜面を有する金型を用いてリフレクタ22を樹脂成形することによって容易に形成することができる。
【0025】
レンズユニット3は、本発明に係る光学部品の一例であり、たとえば主走査方向に配列された複数の円柱状のレンズが樹脂製のハウジングに保持された構成とされている。このレンズユニット3は、上記複数のレンズにより読取対象Pによって反射された線状光をセンサチップ5に収束させることができる。図3に示すように、レンズユニット3のハウジングは、ガラスカバー7の内面と対向する第1の側面3aと、内面14bと対向する第2の側面3bと、第1の側面3aと第2の側面3bとの間に設けられた傾斜面3cとを有している。傾斜面3cは、第2の側面3bに近づくほどガラスカバー7の内面から遠ざかるように、第1の側面3aに対して45°傾くように形成されている。この傾斜面3cは、その長辺がレンズユニット3のハウジングの主走査方向に沿う略全長に渡って延び、短辺がたとえば3mm以上である長方形状となっている。なお、傾斜面3cは、傾斜面3cに対応する傾斜面を有する金型を用いてレンズユニット3のハウジングを樹脂成形することによって容易に形成することができる。
【0026】
基板4は、たとえばセラミックまたはガラスエポキシ樹脂からなり、センサチップ5が実装されており、LEDモジュール6と電気的に接続されている。この基板4は、主走査方向に沿って延びる長矩形状に形成されており、ケース1の下側の開口に嵌め込まれている。
【0027】
センサチップ5は、本発明における受光素子の一例であり、基板4に主走査方向に延びるように配置されている。このセンサチップ5は、受けた光に応じた起電力を生じ、さらにこの起電力から画素ごとの輝度信号を出力可能に構成されている。画像読取装置A1は、読取対象Pによって反射された光をセンサチップ5によって受光することにより、読取対象Pの記載内容を画像データとして読み取ることができる。
【0028】
LEDモジュール6は、本発明における光源であり、たとえば赤色光、青色光、緑色光を出射するLEDチップを内蔵している。このLEDモジュール6は、内蔵するLEDチップの出射面が導光体21の主走査方向における一端と対向するようにケース1の主走査方向に沿う一方の端に設置されている。
【0029】
なお、入射面が基板4と平行となるような導光体を用い、上記LEDチップの出射面がこの導光体の入射面と対向するようにLEDモジュールを基板4に搭載しても構わない。
【0030】
ガラスカバー7は、主走査方向を長手方向とする略直方体形状であり、図3に示すように、受止面11に樹脂8を介して接着される接合領域7aと、それ以外の非接合領域7bとを有している。接合領域7aは、ガラスカバー7の主走査方向に沿う両側縁に設けられている。非接合領域7bには撥水性の界面活性剤が塗布されている。
【0031】
受止面11と接合領域7aとを接着させる樹脂8は、粘度がたとえば250〜2000mPa/sの樹脂が用いられる。この樹脂8は、ガラスカバー7を開口部1aに嵌め込んだ状態で樹脂注入孔12aから溝13に注入される。溝13から溢れた樹脂8は毛細管現象によって受止面11と接合領域7aとの間に浸透して両者を接着させる。このため、樹脂8は過多となりにくく、余分な樹脂8が受止面11と接合領域7aとの間から溢れることがない。
【0032】
次に、画像読取装置A1の作用について説明する。
【0033】
上記のような画像読取装置A1では、リフレタク22に傾斜面22cが形成されているため、リフレクタ22に樹脂8が付着しにくくなっている。このため、リフレクタ22およびこれに保持される導光体21の精密な配置が確保されやすくなっている。したがって、導光部材2からの線状光が読取対象Pを正確に照射することができ、画像読取装置A1は好適な画像データを取得しやすくなっている。
【0034】
さらに、本実施形態では、レンズユニット3のハウジングに傾斜面3cが形成されているため、レンズユニット3に樹脂8が付着しにくくなっている。このため、レンズユニット3の精密な配置が確保されやすくなっている。したがって、レンズユニット3が読取対象Pからの反射光を正確にセンサチップ5に収束させることができ、画像読取装置A1は好適な画像データを取得しやすくなっている。
【0035】
さらに、本実施形態では、非接合領域7bに撥水性の界面活性剤が塗布されるため、受止面11と接合領域7aとの間から非接合領域7bに樹脂8が浸透しにくくなっている。このため、導光部材2およびレンズユニット3に樹脂8がより一層付着しにくくなっている。したがって、画像読取装置A1は、より好適な画像データを取得しやすくなっている。
【0036】
図4〜図7は、本発明に係る画像読取装置の第2実施形態を示している。本実施形態の画像読取装置A2は、ケース1、導光部材2、レンズユニット3、基板4、センサチップ5、LEDモジュール6、および、ガラスカバー7を備えている。
【0037】
ケース1は、導光部材2、レンズユニット3、基板4、センサチップ5、LEDモジュール6を内蔵しており、主走査方向に沿って延びる略直方体形状とされており、その上部にガラスカバー7が嵌め込まれる開口部1aを有している。この開口部1aは、図4に示すように、主走査方向に沿って延びる長辺と副走査方向に沿って延びる短辺とを有する長方形状に形成されている。開口部1aは、図6に示すように、一対の受止面11、一対の側壁面12、および2本の溝13を有している。また、ケース1はその下部にも開口を有している。このケース1は、金型に樹脂を注入し、固化させた後に、複数のイジェクタピンによって金型から押し出すことによって形成される。
【0038】
一対の受止面11は、開口部1aの両長辺に沿ってそれぞれ設けられており、ガラスカバー7の内面と対向し、主走査方向を長手方向とする長方形状に形成されている。一対の受止面11は、ガラスカバー7の主走査方向に沿う両外縁に樹脂8を介して接着している。一対の受止面11のそれぞれには主走査方向に沿って4個配列されたイジェクタピン跡111が形成されている。受止面11のイジェクタピン跡111を除く領域は、開口部1aの長辺の略全長に渡って、一定の間隔を保ってガラスカバー7の内面と対向するように形成されている。この領域に対してイジェクタピン跡111は、ガラスカバー7の内面から遠ざかる方向に凹んでいる。
【0039】
イジェクタピン跡111は、図6および図7に示すように、底面112と傾斜面113とによって構成されている。底面112は、主走査方向に沿って延びる長方形状であり、ガラスカバー7の内面と対向するように配置されている。底面112は、その内寄りの長辺が、受止面11の内寄りの長辺と沿うように配置されている。また、底面112の外寄りの長辺および両短辺は傾斜面113と連結されている。傾斜面113は、底面112の中央から離れるにつれてガラスカバー7の内面に近づくように底面112に対して45°の傾斜を有している。底面112の外寄りの長辺に一方の端縁が連結された傾斜面113の他方の端縁は、受止面11の外寄りの長辺から所定長さ内方に位置している。
【0040】
イジェクタピン跡111は、ケース1を製造する際に、金型からケース1を押し出すためにイジェクタピンが受止面11を押圧することによって形成される。このとき、副走査方向における寸法が受止面11の副走査方向における寸法よりも小さいイジェクタピンを用いることにより、副走査方向における寸法が受止面11よりも小さいイジェクタピン跡111を形成することができる。上記のように傾斜面113を有するイジェクタピン跡111は、傾斜面113に対応する傾斜面を有するイジェクタピンを用いることによって形成することができる。
【0041】
一対の側壁面12は、一対の受止面11に対して起立しており、ガラスカバー7の両側縁に対向するように形成されている。一対の側壁面12は、副走査方向においてガラスカバー7を挟みこんで保持している。一対の側壁面12には、ケース1の外部と通じる樹脂注入孔12aが形成されている。樹脂注入孔12aは、図5に示すように、一対の側壁面12の一方側に8個並ぶように設けられている。樹脂注入孔12aは、一対の側壁面12の他方側にも8個並ぶように設けられている。2本の溝13は、開口部1aの両長辺に沿うようにそれぞれ設けられている。溝13は受止面11の外寄りの長辺と側壁面12との間に、受止面11に対してガラスカバー7の内面から遠ざかる方向に凹むように形成されている。なお、このケース1は、たとえば黒色の樹脂によって形成されている。
【0042】
導光部材2は、導光体21とリフレクタ22とによって構成されている。導光体21は、たとえばメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)などの透明な樹脂からなり、LEDモジュール6からの光を主走査方向に延びる線状光として出射面21aから出射するためのものである。この導光体21は、主走査方向に沿って延びており、その一方の端部に基板4と対向する入射面およびこの入射面に対して傾斜する傾斜部とを有している。この傾斜部は、上記入射面から入射した光を反射することにより、主走査方向に沿って進行させるための面である。リフレクタ22は、導光体21内を進行する光が不当に漏れることを防ぐためのものであり、たとえば白色の樹脂によって形成されている。図6に示すように、リフレクタ22は、導光体21を抱え込むように収容している。
【0043】
レンズユニット3は、たとえば主走査方向に配列された複数の円柱状のレンズが樹脂製のハウジングに保持された構成とされている。このレンズユニット3は、上記複数のレンズにより読取対象Pによって反射された線状光をセンサチップ5に収束させることができる。
【0044】
基板4は、たとえばセラミックまたはガラスエポキシ樹脂からなり、センサチップ5およびLEDモジュール6が実装されている。この基板4は、主走査方向に沿って延びる長矩形状に形成されており、ケース1の下側の開口に嵌め込まれている。
【0045】
センサチップ5は、本発明における受光素子の一例であり、基板4に主走査方向に延びるように配置されている。このセンサチップ5は、受けた光に応じた起電力を生じ、さらにこの起電力から画素ごとの輝度信号を出力可能に構成されている。画像読取装置A2は、読取対象Pによって反射された光をセンサチップ5によって受光することにより、読取対象Pの記載内容を画像データとして読み取ることができる。
【0046】
LEDモジュール6は、本発明における光源であり、たとえば赤色光、青色光、緑色光を出射するLEDチップを内蔵している。このLEDモジュール6は、内蔵するLEDチップの出射面が導光体21の入射面と対向するように基板4の主走査方向に沿う一方の端に設置されている。
【0047】
ガラスカバー7は、主走査方向を長手方向とする略直方体形状であり、開口部1aに嵌め込まれている。ガラスカバー7の主走査方向に沿う両側縁の内面は、受止面11に樹脂8を介して接着されている。樹脂8は、粘度がたとえば250〜2000mPa/sの樹脂が用いられる。この樹脂8は、ガラスカバー7を開口部1aに嵌め込んだ状態で樹脂注入孔12aから溝13に注入される。溝13から溢れた樹脂8は毛細管現象によって受止面11とガラスカバー7の内面との間に浸透して両者を接着させる。
【0048】
次に、画像読取装置A2の作用について説明する。
【0049】
上記のような画像読取装置A2では、イジェクタピン跡111の外寄りの端縁が受止面11の外寄りの端縁より内寄りの位置にある。このため、受止面11は、その外寄りの端縁部が、主走査方向における略全長に渡って凹むことなく一定の間隔を保ってガラスカバー7の内面と対向している。したがって、毛細管現象によって浸透する樹脂8がガラスカバー7の内面と受止面11との間に行き渡りやすく、ガラスカバー7と受止面11との間を好ましく密封することができる。このような画像読取装置A2は、ガラスカバー7と受止面11との間から異物が入りにくいために、故障がおきにくく、好適な読み取りを行うことができる。
【0050】
さらに、本実施形態では、イジェクタピン跡111に傾斜面113が形成されているため、樹脂8が傾斜面113から底面112へと流れ込みやすくなっている。このため、イジェクタピン跡111とガラスカバー7の内面との間が樹脂8で満たされやすくなっており、より確実にガラスカバー7と受止面11との間を密封することができる。したがって、画像読取装置A2は、より一層、ガラスカバー7と受止面11との間から異物が入りにくくなり、故障がおきにくく、好適な読み取りを行うことができる。
【0051】
図8〜図10は、本発明に係る画像読取装置の第3実施形態を示している。本実施形態の画像読取装置A3は、ケース1、導光部材2、レンズユニット3、基板4、センサチップ5、LEDモジュール6、および、ガラスカバー7を備えている。
【0052】
ケース1は、導光部材2、レンズユニット3、基板4、センサチップ5、LEDモジュール6を内蔵しており、主走査方向に沿って延びる略直方体形状とされており、その上部にガラスカバー7が嵌め込まれる開口部1aを有している。この開口部1aは、主走査方向に沿って延びる長辺と副走査方向に沿って延びる短辺とを有する長方形状に形成されている。開口部1aは、一対の受止面11、一対の側壁面12、および2本の溝13を有している。また、ケース1はその下部にも開口を有している。このケース1は、金型に樹脂を注入し、固化させた後に、複数のイジェクタピンによって金型から押し出すことによって形成される。
【0053】
一対の受止面11は、開口部1aの両長辺に沿ってそれぞれ設けられており、ガラスカバー7の内面と対向し、主走査方向を長手方向とする長方形状に形成されている。一対の受止面11は、ガラスカバー7の主走査方向に沿う両外縁に樹脂8を介して接着している。一対の受止面11のそれぞれには主走査方向に沿って4個配列されたイジェクタピン跡111が形成されている。受止面11のイジェクタピン跡111を除く領域は、開口部1aの長辺の略全長に渡って、一定の間隔を保ってガラスカバー7の内面と対向するように形成されている。この領域に対してイジェクタピン跡111は、ガラスカバー7の内面から遠ざかる方向に凹んでいる。
【0054】
イジェクタピン跡111は、底面112と傾斜面113とによって構成されている。底面112は、主走査方向に沿って延びる長方形状であり、ガラスカバー7の内面と対向するように配置されている。底面112は、その内寄りの長辺が、受止面11の内寄りの長辺と沿うように配置されている。また、底面112の外寄りの長辺および両短辺は傾斜面113と連結されている。傾斜面113は、底面112の中央から離れるにつれてガラスカバー7の内面に近づくように底面112に対して45°の傾斜を有している。底面112の外寄りの長辺に一方の端縁が連結された傾斜面113の他方の端縁は、受止面11の外寄りの長辺から所定長さ内方に位置している。
【0055】
イジェクタピン跡111は、ケース1を製造する際に、金型からケース1を押し出すためにイジェクタピンが受止面11を押圧することによって形成される。このとき、副走査方向における寸法が受止面11の副走査方向における寸法よりも小さいイジェクタピンを用いることにより、副走査方向における寸法が受止面11よりも小さいイジェクタピン跡111を形成することができる。上記のように傾斜面113を有するイジェクタピン跡111は、傾斜面113に対応する傾斜面を有するイジェクタピンを用いることによって形成することができる。
【0056】
一対の側壁面12は、一対の受止面11に対して起立しており、ガラスカバー7の両側縁に対向するように形成されている。一対の側壁面12は、副走査方向においてガラスカバー7を挟みこんで保持している。一対の側壁面12には、ケース1の外部と通じる樹脂注入孔12aが形成されている。樹脂注入孔12aは、図9に示すように、一対の側壁面12の一方側に8個並ぶように設けられている。樹脂注入孔12aは、一対の側壁面12の他方側にも8個並ぶように設けられている。2本の溝13は、開口部1aの両長辺に沿うようにそれぞれ設けられている。溝13は受止面11の外寄りの長辺と側壁面12との間に、受止面11に対してガラスカバー7の内面から遠ざかる方向に凹むように形成されている。
【0057】
またさらに、ケース1は、主走査方向に沿って延び、副走査方向において所定の間隔を隔てて互いに向かい合う一対の内面14a,14bを有している。内面14aは、開口部1a寄りの端縁において、一対の受止面11の一方と直交している。内面14bは開口部1a寄りの端縁において、一対の受止面11の他方と直交している。なお、このケース1は、たとえば黒色の樹脂によって形成されている。
【0058】
導光部材2は、本発明に係る光学部品の一例であり、導光体21とリフレクタ22とによって構成されている。導光体21は、たとえばメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)などの透明な樹脂からなり、LEDモジュール6からの光を主走査方向に延びる線状光として出射面21aから出射するためのものである。この導光体21は、主走査方向に沿って延びており、その一方の端部にLEDモジュール6と向かい合う入射面を有している。リフレクタ22は、導光体21内を進行する光が不当に漏れることを防ぐためのものであり、たとえば白色の樹脂によって形成されている。図10に示すように、リフレクタ22は、導光体21を抱え込むように収容している。このリフレクタ22は、ガラスカバー7の内面と対向する第1の側面22aと、内面14aと対向する第2の側面22bと、第1の側面22aと第2の側面22bとの間に設けられた傾斜面22cとを有している。傾斜面22cは、第2の側面22bに近づくほどガラスカバー7の内面から遠ざかるように、第1の側面22aに対して45°傾くように形成されている。この傾斜面22cは、その長辺がリフレクタ22の主走査方向に沿う略全長に渡って延び、短辺がたとえば3mm以上である長方形状となっている。なお、傾斜面22cは、傾斜面22cに対応する傾斜面を有する金型を用いてリフレクタ22を樹脂成形することによって容易に形成することができる。
【0059】
レンズユニット3は、本発明に係る光学部品の一例であり、たとえば主走査方向に配列された複数の円柱状のレンズが樹脂製のハウジングに保持された構成とされている。このレンズユニット3は、上記複数のレンズにより読取対象Pによって反射された線状光をセンサチップ5に収束させることができる。図10に示すように、レンズユニット3のハウジングは、ガラスカバー7の内面と対向する第1の側面3aと、内面14bと対向する第2の側面3bと、第1の側面3aと第2の側面3bとの間に設けられた傾斜面3cとを有している。傾斜面3cは、第2の側面3bに近づくほどガラスカバー7の内面から遠ざかるように、第1の側面3aに対して45°傾くように形成されている。この傾斜面3cは、その長辺がレンズユニット3のハウジングの主走査方向に沿う略全長に渡って延び、短辺がたとえば3mm以上である長方形状となっている。なお、傾斜面3cは、傾斜面3cに対応する傾斜面を有する金型を用いてレンズユニット3のハウジングを樹脂成形することによって容易に形成することができる。
【0060】
基板4は、たとえばセラミックまたはガラスエポキシ樹脂からなり、センサチップ5が実装されており、LEDモジュール6と電気的に接続されている。この基板4は、主走査方向に沿って延びる長矩形状に形成されており、ケース1の下側の開口に嵌め込まれている。
【0061】
センサチップ5は、本発明における受光素子の一例であり、基板4に主走査方向に延びるように配置されている。このセンサチップ5は、受けた光に応じた起電力を生じ、さらにこの起電力から画素ごとの輝度信号を出力可能に構成されている。画像読取装置A3は、読取対象Pによって反射された光をセンサチップ5によって受光することにより、読取対象Pの記載内容を画像データとして読み取ることができる。
【0062】
LEDモジュール6は、本発明における光源であり、たとえば赤色光、青色光、緑色光を出射するLEDチップを内蔵している。このLEDモジュール6は、内蔵するLEDチップの出射面が導光体21の入射面と対向するように基板4の主走査方向に沿う一方の端に設置されている。
【0063】
ガラスカバー7は、主走査方向を長手方向とする略直方体形状であり、図10に示すように、受止面11に樹脂8を介して接着される接合領域7aと、それ以外の非接合領域7bとを有している。接合領域7aは、ガラスカバー7の主走査方向に沿う両側縁に設けられている。非接合領域7bには撥水性の界面活性剤が塗布されている。
【0064】
受止面11と接合領域7aとを接着させる樹脂8は、粘度がたとえば250〜2000mPa/sの樹脂が用いられる。この樹脂8は、ガラスカバー7を開口部1aに嵌め込んだ状態で樹脂注入孔12aから溝13に注入される。溝13から溢れた樹脂8は毛細管現象によって受止面11と接合領域7aとの間に浸透して両者を接着させる。このため、樹脂8は過多となりにくく、余分な樹脂8が受止面11と接合領域7aとの間から溢れることがない。
【0065】
このような画像読取装置A3は、画像読取装置A1と同様に、リフレタク22に傾斜面22cが形成されているため、リフレクタ22に樹脂8が付着しにくくなっている。このため、リフレクタ22およびこれに保持される導光体21の精密な配置が確保されやすくなっている。したがって、導光部材2からの線状光が読取対象Pを正確に照射することができ、画像読取装置A3は好適な画像データを取得しやすくなっている。
【0066】
さらに、本実施形態では、レンズユニット3のハウジングに傾斜面3cが形成されているため、レンズユニット3に樹脂8が付着しにくくなっている。このため、レンズユニット3の精密な配置が確保されやすくなっている。したがって、レンズユニット3が読取対象Pからの反射光を正確にセンサチップ5に収束させることができ、画像読取装置A3は好適な画像データを取得しやすくなっている。
【0067】
さらに、本実施形態では、非接合領域7bに撥水性の界面活性剤が塗布されるため、受止面11と接合領域7aとの間から非接合領域7bに樹脂8が浸透しにくくなっている。このため、導光部材2およびレンズユニット3に樹脂8がより一層付着しにくくなっている。したがって、画像読取装置A3は、より好適な画像データを取得しやすくなっている。
【0068】
さらに、このような画像読取装置A3は、画像読取装置A2と同様に、イジェクタピン跡111の外寄りの端縁が受止面11の外寄りの端縁より内寄りの位置にある。このため、受止面11は、その外寄りの端縁部が、主走査方向における略全長に渡って凹むことなく一定の間隔を保ってガラスカバー7の内面と対向している。したがって、毛細管現象によって浸透する樹脂8がガラスカバー7の内面と受止面11との間に行き渡りやすく、ガラスカバー7と受止面11との間を好ましく密封することができる。このような画像読取装置A3は、ガラスカバー7と受止面11との間から異物が入りにくいために、故障がおきにくく、好適な読み取りを行うことができる。
【0069】
さらに、本実施形態では、イジェクタピン跡111に傾斜面113が形成されているため、樹脂8が傾斜面113から底面112へと流れ込みやすくなっている。このため、イジェクタピン跡111とガラスカバー7の内面との間が樹脂8で満たされやすくなっており、より確実にガラスカバー7と受止面11との間を密封することができる。したがって、画像読取装置A3は、より一層、ガラスカバー7と受止面11との間から異物が入りにくくなり、故障がおきにくく、好適な読み取りを行うことができる。
【0070】
本発明に係る画像読取装置は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係る画像読取装置における各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【0071】
たとえば上記の第1または第3実施形態において、傾斜面22cおよび傾斜面3cの第1の側面22a,3aに対する傾斜角は45°に限定されず、第2の側面22b,3bに近づくにつれてガラスカバー7から遠ざかるような傾斜角であればよい。また、傾斜面22cまたは傾斜面3cが複数の面によって構成されていても構わない。
【0072】
さらに、傾斜面22cおよび傾斜面3cを形成する際には、傾斜面のない金型を用いて樹脂成形を行い、その後にカットすることによって傾斜面22cおよび傾斜面3cを形成してもよい。
【0073】
また、上記の第2または第3実施形態において、たとえば、イジェクタピン跡111が傾斜面113を有さない場合も実施可能である。この場合でも、イジェクタピン跡111の外寄りの端縁が受止面11の外寄りの端縁よりも内側であれば、ガラスカバー7と受止面11との間を密封しやすくなっている。
【0074】
また、イジェクタピン跡111の数は、ケース1を金型から取り出す際に用いられるイジェクタピンの数によって変化するものであり、その数によって本発明が限定されることはない。
【0075】
また、さらに、上記実施形態では、イジェクタピン跡111は、内寄りの端縁が受止面11の内寄りの端縁と一致するように配置されているが、イジェクタピン跡111の副走査方向における両端縁が受止面11の内部にあっても構わない。なお、上記実施形態では、底面112は主走査方向に延びる長方形状であるが、副走査方向に延びる長方形状や円形状といったその他の形状であっても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明に係る画像読取装置の第1実施形態を示す平面図である。
【図2】図1に示す画像読取装置の正面図である。
【図3】図2のIII-III線に沿う断面図である。
【図4】本発明に係る画像読取装置の第2実施形態を示す平面図である。
【図5】図4に示す画像読取装置の正面図である。
【図6】図4のVI-VI線に沿う断面図である。
【図7】図4に示す画像読取装置の要部拡大図である。
【図8】本発明に係る画像読取装置の第3実施形態を示す平面図である。
【図9】図8に示す画像読取装置の正面図である。
【図10】図8のX-X線に沿う断面図である。
【図11】従来の画像読取装置の一例を示す平面図である。
【図12】図11のXII-XII線に沿う断面図である。
【符号の説明】
【0077】
A1,A2,A3 画像読取装置
P 読取対象
1 ケース
1a 開口部
2 導光部材
3 レンズユニット
3a 第1の側面
3b 第2の側面
3c 傾斜面
4 基板
5 センサチップ(受光素子)
6 LEDモジュール(光源)
7 ガラスカバー
8 樹脂
11 受止面
12 側壁面
12a 樹脂注入孔
13 溝
14a,14b 内面
21 導光体
21a 出射面
22 リフレクタ
22a 第1の側面
22b 第2の側面
22c 傾斜面
111 イジェクタピン跡
112 底面
113 傾斜面
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図11は、従来の画像読取装置の一例を示しており、図12には図11のXII-XII線に沿う断面図で示している(特許文献1参照)。図11および図12に示す画像読取装置Xは、ケース91に導光部材92、レンズユニット93、基板94、センサチップ95、およびLEDモジュール96が収容され、ケース91の上部に設けられた開口部91aにガラスカバー97が嵌めこまれた構成とされている。この画像読取装置Xは、主走査方向に長く延びる矩形状に形成されている。ケース91の開口部91aには、ガラスカバー97の内面の外縁を受け止める受止面911およびガラスカバー97の側縁に対向する側壁面912が設けられている。ガラスカバー97と受止面911との間を密封するために、ガラスカバー97の内面と受止面911とは低粘度の樹脂98によって接着封止されている。
【0003】
ケース91は、金型を用いて樹脂成形され、受止面911の複数の適所が複数のイジェクタピンに押圧されて金型から取り出される。このため、受止面911にはガラスカバー97から遠ざかる方向に凹む複数のイジェクタピン跡911aが形成される。このイジェクタピン跡911aは、受止面911の副走査方向における寸法の全長に渡って形成されている。導光部材92は、導光体92a、リフレクタ92bおよび出射面92cを備えている。
【0004】
LEDモジュール96からの光は、導光体92a内を上記主走査方向に沿って進行し、出射面92cから上記主走査方向に沿う線状光として出射される。リフレクタ92bは、たとえば白色樹脂などの比較的反射率が高い材質からなり、導光体92aから光が漏れることを防止するためのものである。上記線状光は、読取対象に反射された後に、レンズユニット93によってセンサチップ95に収束される。センサチップ95は、上記主走査方向に沿って基板94に配置されている。これにより、読取対象の内容を画像データとして読み取ることができる。
【0005】
しかしながら、画像読取装置Xでは、開口部91aからはみ出した樹脂98が、導光部材92およびレンズユニット93に不当に付着することがあり、導光部材92およびレンズユニット93が正常に作動しなくなることがあった。たとえば、樹脂98によって、導光部材92に不当な圧力がかかり、位置がずれてしまうと、出射面92cから出射される線状光が読取対象を適正に照射できなくなることがあった。また、樹脂98によって、レンズユニット93に不当な圧力がかかり、レンズユニット93の位置がずれてしまうと、読取対象からの反射光がセンサチップ95に適正に収束されなくなることがあった。このように、従来の画像読取装置Xは、光学部品の精密な配置を確保することができず、好適な画像データを取得することができないことがあった。
【0006】
さらにまた、画像読取装置Xでは、イジェクタピン跡911aとガラスカバー97との間に上記樹脂が行き渡らないことがあり、受止面911とガラスカバー97との間に隙間が生じてしまうことがあった。このため、ケース91の内部に紙粉などの異物が入り込み、読み取りが正しく行えなくなることがあった。
【0007】
【特許文献1】特開2007−300536号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、光学部品の精密な配置を確保し、より正確な読み取りを行うことができ、好適な画像データを取得可能な画像読取装置を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の側面によって提供される画像読取装置は、光源と、主走査方向に沿って配列された複数の受光素子と、上記光源からの光を上記主走査方向に沿う線状光として読取対象に向けて出射する機能、および、上記線状光の反射光を上記受光素子へ導く機能との少なくともいずれかの機能を有する光学部品と、を収容し、上記主走査方向に沿って延びる開口部を有する長矩形状のケースと、上記開口部に嵌め込まれ、その一部が樹脂によって上記開口部の少なくとも一部と接着されたガラスカバーと、を備えた画像読取装置であって、上記ケースは、上記開口部に隣接し、副走査方向に沿って所定の間隔を隔てて向かい合う一対の内壁を有しており、上記光学部品は、上記ガラスカバーの内面と対向する第1の側面と、上記内壁の一方と対向する第2の側面と、を備え、上記一対の内壁の一方に沿うように配置されており、上記第1と第2の側面との間に、上記第2の側面に近づくほど上記ガラスカバーの内面から遠ざかる傾斜面が形成されていることを特徴とする。
【0010】
このような構成によれば、上記光学部品は、上記受止面に接近する部分が上記ガラスカバーから遠ざかる形状となっているため、上記受止面から上記樹脂がはみ出した場合に、上記樹脂が付着しにくくなっている。このため、上記光学部品の精密な配置を確保しやすくなっている。したがって、このような画像読取装置は、より好適な画像データを取得することができる。
【0011】
より好ましくは、上記ガラスカバーの内面が、上記開口部と接着される接合領域と、上記接合領域を除く非接合領域とに区画されており、上記非接合領域が上記接合領域よりも上記樹脂をより撥ねるように形成されている。このような構成によれば、上記接合領域から上記非接合領域に上記樹脂がはみ出しにくくなる。このため、上記開口部から上記樹脂が溢れ出しにくくなっており、上記光学部品に上記樹脂がより付着しにくくなっている。したがって、このような画像読取装置は、上記光学部品の精密な配置を確保しやすく、より好適な画像データを取得することができる。
【0012】
より好ましくは、上記ガラスカバーの内面と対向し、上記ガラスカバーの内面の少なくとも一部に接着される受止面が上記開口部の上記主走査方向における略全長に渡って設けられており、上記受止面には、上記ガラスカバーから遠ざかる方向に凹む複数のイジェクタピン跡が形成されており、上記複数のイジェクタピン跡の副走査方向における寸法が、上記受止面の上記副走査方向における寸法よりも小さくなっている。このような構成によれば、上記イジェクタピン跡が小さく形成されているため、上記受止面が上記主走査方向の略全長に渡って上記ガラスカバーの内面との距離が一定となる領域を有する。このため、上記受止面と上記ガラスカバーとを上記主走査方向の略全長に渡って樹脂によってより確実に密封することができる。したがって、このような画像読取装置は、上記ケース内に異物が入り込みにくく、好適な読み取りを行うことができる。
【0013】
さらにより好ましくは、上記イジェクタピン跡は上記ガラスカバーの内面と対向する底面と、上記底面の中央から離れるにつれて上記ガラスカバーの内面に近づく傾斜面とを備えている。このため、上記イジェクタピン跡と上記ガラスカバーとの間にも樹脂が行き渡り易くなっており、より確実に上記ガラスカバーと上記受止面との間を密封することができる。したがって、このような画像読取装置は、上記ケース内に異物が入り込みにくく、好適な読み取りを行うことができる。
【0014】
本発明の第2の側面によって提供される画像読取装置は、光源と、主走査方向に沿って配列された複数の受光素子と、上記光源からの光を上記主走査方向に沿う線状光として読取対象に向けて出射する導光部材と、上記線状光の反射光を上記受光素子へ導くレンズ部材と、を収容し、上記主走査方向に沿って延びる開口部を有する長矩形状のケースと、上記開口部に嵌め込まれたガラスカバーと、を備えており、上記開口部には上記ガラスカバーの内面と対向し、上記ガラスカバーの内面の少なくとも一部に接着される受止面が設けられており、上記受止面には、上記ガラスカバーから遠ざかる方向に凹む複数のイジェクタピン跡が形成されている画像読取装置であって、上記受止面は、上記開口部の上記主走査方向における略全長に渡って設けられており、上記複数のイジェクタピン跡の副走査方向における寸法が、上記受止面の上記副走査方向における寸法よりも小さくなっていることを特徴とする。
【0015】
このような構成によれば、上記イジェクタピン跡が小さく形成されているため、上記受止面が上記主走査方向の略全長に渡って上記ガラスカバーの内面との距離が一定となる領域を有する。このため、上記受止面と上記ガラスカバーとを上記主走査方向の略全長に渡って樹脂によってより確実に密封することができる。したがって、このような画像読取装置は、上記ケース内に異物が入り込みにくく、好適な読み取りを行うことができる。
【0016】
より好ましくは、上記イジェクタピン跡は上記ガラスカバーの内面と対向する底面と、上記底面の中央から離れるにつれて上記ガラスカバーの内面に近づく傾斜面とを備えている。このような構成によれば、上記傾斜面によって、上記イジェクタピン跡に樹脂が流れ込みやすくなっている。このため、上記イジェクタピン跡と上記ガラスカバーとの間にも樹脂が行き渡り易くなっており、より確実に上記ガラスカバーと上記受止面との間を密封することができる。したがって、このような画像読取装置は、上記ケース内に異物が入り込みにくく、好適な読み取りを行うことができる。
【0017】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記開口部は、上記ガラスカバーの側縁と対向する側壁面を有しており、上記側壁面に、外部と通じる樹脂注入孔が形成されている。このような構成によれば、上記ガラスカバーを上記開口部にはめ込んだ後に上記樹脂注入孔に上記樹脂を注入し、毛細管現象によって浸透させることにより、上記ガラスカバーを上記開口部に接着することができる。このため、上記樹脂が過多となりにくく、上記開口部から上記樹脂が溢れ出しにくくなっている。したがって、このような画像読取装置は、上記光学部品の精密な配置を確保しやすく、より好適な画像データを取得することができる。
【0018】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の好ましい実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
【0020】
図1〜図3は、本発明に係る画像読取装置の第1実施形態を示している。本実施形態の画像読取装置A1は、ケース1、導光部材2、レンズユニット3、基板4、センサチップ5、LEDモジュール6、および、ガラスカバー7を備えている。
【0021】
ケース1は、導光部材2、レンズユニット3、基板4、センサチップ5、LEDモジュール6を内蔵しており、主走査方向に沿って延びる略直方体形状とされており、その上部にガラスカバー7が嵌め込まれる開口部1aを有している。この開口部1aは、図1に示すように、主走査方向に沿って延びる長辺と副走査方向に沿って延びる短辺とを有する長方形状に形成されている。開口部1aは、図3に示すように、一対の受止面11、一対の側壁面12、および2本の溝13を有している。また、ケース1はその下部にも開口を有している。
【0022】
一対の受止面11は、開口部1aの両長辺に沿ってそれぞれ設けられており、ガラスカバー7の内面と対向し、主走査方向を長手方向とする長方形状に形成されている。一対の受止面11は、ガラスカバー7の主走査方向に沿う両外縁に樹脂8を介して接着している。一対の側壁面12は、一対の受止面11に対して起立しており、ガラスカバー7の両側縁に対向するように形成されている。一対の側壁面12は、副走査方向においてガラスカバー7を挟みこんで保持している。一対の側壁面12には、ケース1の外部と通じる樹脂注入孔12aが形成されている。樹脂注入孔12aは、図2に示すように、一対の側壁面12の一方側に8個並ぶように設けられている。樹脂注入孔12aは、一対の側壁面12の他方側にも8個並ぶように設けられている。2本の溝13は、開口部1aの両長辺に沿うようにそれぞれ設けられている。溝13は受止面11と側壁面12との間に、受止面11に対して内方に凹むように形成されている。
【0023】
さらに、図3に示すように、ケース1は、主走査方向に沿って延び、副走査方向において所定の間隔を隔てて互いに向かい合う一対の内面14a,14bを有している。内面14aは、開口部1a寄りの端縁において、一対の受止面11の一方と直交している。内面14bは開口部1a寄りの端縁において、一対の受止面11の他方と直交している。なお、このケース1は、たとえば黒色の樹脂によって形成されている。
【0024】
導光部材2は、本発明に係る光学部品の一例であり、導光体21とリフレクタ22とによって構成されている。導光体21は、たとえばメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)などの透明な樹脂からなり、LEDモジュール6からの光を主走査方向に延びる線状光として出射面21aから出射するためのものである。この導光体21は、主走査方向に沿って延びており、その一方の端部にLEDモジュール6と向かい合う入射面を有している。リフレクタ22は、導光体21内を進行する光が不当に漏れることを防ぐためのものであり、たとえば白色の樹脂によって形成されている。図3に示すように、リフレクタ22は、導光体21を抱え込むように収容している。このリフレクタ22は、ガラスカバー7の内面と対向する第1の側面22aと、内面14aと対向する第2の側面22bと、第1の側面22aと第2の側面22bとの間に設けられた傾斜面22cとを有している。傾斜面22cは、第2の側面22bに近づくほどガラスカバー7の内面から遠ざかるように、第1の側面22aに対して45°傾くように形成されている。この傾斜面22cは、その長辺がリフレクタ22の主走査方向に沿う略全長に渡って延び、短辺がたとえば3mm以上である長方形状となっている。なお、傾斜面22cは、傾斜面22cに対応する傾斜面を有する金型を用いてリフレクタ22を樹脂成形することによって容易に形成することができる。
【0025】
レンズユニット3は、本発明に係る光学部品の一例であり、たとえば主走査方向に配列された複数の円柱状のレンズが樹脂製のハウジングに保持された構成とされている。このレンズユニット3は、上記複数のレンズにより読取対象Pによって反射された線状光をセンサチップ5に収束させることができる。図3に示すように、レンズユニット3のハウジングは、ガラスカバー7の内面と対向する第1の側面3aと、内面14bと対向する第2の側面3bと、第1の側面3aと第2の側面3bとの間に設けられた傾斜面3cとを有している。傾斜面3cは、第2の側面3bに近づくほどガラスカバー7の内面から遠ざかるように、第1の側面3aに対して45°傾くように形成されている。この傾斜面3cは、その長辺がレンズユニット3のハウジングの主走査方向に沿う略全長に渡って延び、短辺がたとえば3mm以上である長方形状となっている。なお、傾斜面3cは、傾斜面3cに対応する傾斜面を有する金型を用いてレンズユニット3のハウジングを樹脂成形することによって容易に形成することができる。
【0026】
基板4は、たとえばセラミックまたはガラスエポキシ樹脂からなり、センサチップ5が実装されており、LEDモジュール6と電気的に接続されている。この基板4は、主走査方向に沿って延びる長矩形状に形成されており、ケース1の下側の開口に嵌め込まれている。
【0027】
センサチップ5は、本発明における受光素子の一例であり、基板4に主走査方向に延びるように配置されている。このセンサチップ5は、受けた光に応じた起電力を生じ、さらにこの起電力から画素ごとの輝度信号を出力可能に構成されている。画像読取装置A1は、読取対象Pによって反射された光をセンサチップ5によって受光することにより、読取対象Pの記載内容を画像データとして読み取ることができる。
【0028】
LEDモジュール6は、本発明における光源であり、たとえば赤色光、青色光、緑色光を出射するLEDチップを内蔵している。このLEDモジュール6は、内蔵するLEDチップの出射面が導光体21の主走査方向における一端と対向するようにケース1の主走査方向に沿う一方の端に設置されている。
【0029】
なお、入射面が基板4と平行となるような導光体を用い、上記LEDチップの出射面がこの導光体の入射面と対向するようにLEDモジュールを基板4に搭載しても構わない。
【0030】
ガラスカバー7は、主走査方向を長手方向とする略直方体形状であり、図3に示すように、受止面11に樹脂8を介して接着される接合領域7aと、それ以外の非接合領域7bとを有している。接合領域7aは、ガラスカバー7の主走査方向に沿う両側縁に設けられている。非接合領域7bには撥水性の界面活性剤が塗布されている。
【0031】
受止面11と接合領域7aとを接着させる樹脂8は、粘度がたとえば250〜2000mPa/sの樹脂が用いられる。この樹脂8は、ガラスカバー7を開口部1aに嵌め込んだ状態で樹脂注入孔12aから溝13に注入される。溝13から溢れた樹脂8は毛細管現象によって受止面11と接合領域7aとの間に浸透して両者を接着させる。このため、樹脂8は過多となりにくく、余分な樹脂8が受止面11と接合領域7aとの間から溢れることがない。
【0032】
次に、画像読取装置A1の作用について説明する。
【0033】
上記のような画像読取装置A1では、リフレタク22に傾斜面22cが形成されているため、リフレクタ22に樹脂8が付着しにくくなっている。このため、リフレクタ22およびこれに保持される導光体21の精密な配置が確保されやすくなっている。したがって、導光部材2からの線状光が読取対象Pを正確に照射することができ、画像読取装置A1は好適な画像データを取得しやすくなっている。
【0034】
さらに、本実施形態では、レンズユニット3のハウジングに傾斜面3cが形成されているため、レンズユニット3に樹脂8が付着しにくくなっている。このため、レンズユニット3の精密な配置が確保されやすくなっている。したがって、レンズユニット3が読取対象Pからの反射光を正確にセンサチップ5に収束させることができ、画像読取装置A1は好適な画像データを取得しやすくなっている。
【0035】
さらに、本実施形態では、非接合領域7bに撥水性の界面活性剤が塗布されるため、受止面11と接合領域7aとの間から非接合領域7bに樹脂8が浸透しにくくなっている。このため、導光部材2およびレンズユニット3に樹脂8がより一層付着しにくくなっている。したがって、画像読取装置A1は、より好適な画像データを取得しやすくなっている。
【0036】
図4〜図7は、本発明に係る画像読取装置の第2実施形態を示している。本実施形態の画像読取装置A2は、ケース1、導光部材2、レンズユニット3、基板4、センサチップ5、LEDモジュール6、および、ガラスカバー7を備えている。
【0037】
ケース1は、導光部材2、レンズユニット3、基板4、センサチップ5、LEDモジュール6を内蔵しており、主走査方向に沿って延びる略直方体形状とされており、その上部にガラスカバー7が嵌め込まれる開口部1aを有している。この開口部1aは、図4に示すように、主走査方向に沿って延びる長辺と副走査方向に沿って延びる短辺とを有する長方形状に形成されている。開口部1aは、図6に示すように、一対の受止面11、一対の側壁面12、および2本の溝13を有している。また、ケース1はその下部にも開口を有している。このケース1は、金型に樹脂を注入し、固化させた後に、複数のイジェクタピンによって金型から押し出すことによって形成される。
【0038】
一対の受止面11は、開口部1aの両長辺に沿ってそれぞれ設けられており、ガラスカバー7の内面と対向し、主走査方向を長手方向とする長方形状に形成されている。一対の受止面11は、ガラスカバー7の主走査方向に沿う両外縁に樹脂8を介して接着している。一対の受止面11のそれぞれには主走査方向に沿って4個配列されたイジェクタピン跡111が形成されている。受止面11のイジェクタピン跡111を除く領域は、開口部1aの長辺の略全長に渡って、一定の間隔を保ってガラスカバー7の内面と対向するように形成されている。この領域に対してイジェクタピン跡111は、ガラスカバー7の内面から遠ざかる方向に凹んでいる。
【0039】
イジェクタピン跡111は、図6および図7に示すように、底面112と傾斜面113とによって構成されている。底面112は、主走査方向に沿って延びる長方形状であり、ガラスカバー7の内面と対向するように配置されている。底面112は、その内寄りの長辺が、受止面11の内寄りの長辺と沿うように配置されている。また、底面112の外寄りの長辺および両短辺は傾斜面113と連結されている。傾斜面113は、底面112の中央から離れるにつれてガラスカバー7の内面に近づくように底面112に対して45°の傾斜を有している。底面112の外寄りの長辺に一方の端縁が連結された傾斜面113の他方の端縁は、受止面11の外寄りの長辺から所定長さ内方に位置している。
【0040】
イジェクタピン跡111は、ケース1を製造する際に、金型からケース1を押し出すためにイジェクタピンが受止面11を押圧することによって形成される。このとき、副走査方向における寸法が受止面11の副走査方向における寸法よりも小さいイジェクタピンを用いることにより、副走査方向における寸法が受止面11よりも小さいイジェクタピン跡111を形成することができる。上記のように傾斜面113を有するイジェクタピン跡111は、傾斜面113に対応する傾斜面を有するイジェクタピンを用いることによって形成することができる。
【0041】
一対の側壁面12は、一対の受止面11に対して起立しており、ガラスカバー7の両側縁に対向するように形成されている。一対の側壁面12は、副走査方向においてガラスカバー7を挟みこんで保持している。一対の側壁面12には、ケース1の外部と通じる樹脂注入孔12aが形成されている。樹脂注入孔12aは、図5に示すように、一対の側壁面12の一方側に8個並ぶように設けられている。樹脂注入孔12aは、一対の側壁面12の他方側にも8個並ぶように設けられている。2本の溝13は、開口部1aの両長辺に沿うようにそれぞれ設けられている。溝13は受止面11の外寄りの長辺と側壁面12との間に、受止面11に対してガラスカバー7の内面から遠ざかる方向に凹むように形成されている。なお、このケース1は、たとえば黒色の樹脂によって形成されている。
【0042】
導光部材2は、導光体21とリフレクタ22とによって構成されている。導光体21は、たとえばメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)などの透明な樹脂からなり、LEDモジュール6からの光を主走査方向に延びる線状光として出射面21aから出射するためのものである。この導光体21は、主走査方向に沿って延びており、その一方の端部に基板4と対向する入射面およびこの入射面に対して傾斜する傾斜部とを有している。この傾斜部は、上記入射面から入射した光を反射することにより、主走査方向に沿って進行させるための面である。リフレクタ22は、導光体21内を進行する光が不当に漏れることを防ぐためのものであり、たとえば白色の樹脂によって形成されている。図6に示すように、リフレクタ22は、導光体21を抱え込むように収容している。
【0043】
レンズユニット3は、たとえば主走査方向に配列された複数の円柱状のレンズが樹脂製のハウジングに保持された構成とされている。このレンズユニット3は、上記複数のレンズにより読取対象Pによって反射された線状光をセンサチップ5に収束させることができる。
【0044】
基板4は、たとえばセラミックまたはガラスエポキシ樹脂からなり、センサチップ5およびLEDモジュール6が実装されている。この基板4は、主走査方向に沿って延びる長矩形状に形成されており、ケース1の下側の開口に嵌め込まれている。
【0045】
センサチップ5は、本発明における受光素子の一例であり、基板4に主走査方向に延びるように配置されている。このセンサチップ5は、受けた光に応じた起電力を生じ、さらにこの起電力から画素ごとの輝度信号を出力可能に構成されている。画像読取装置A2は、読取対象Pによって反射された光をセンサチップ5によって受光することにより、読取対象Pの記載内容を画像データとして読み取ることができる。
【0046】
LEDモジュール6は、本発明における光源であり、たとえば赤色光、青色光、緑色光を出射するLEDチップを内蔵している。このLEDモジュール6は、内蔵するLEDチップの出射面が導光体21の入射面と対向するように基板4の主走査方向に沿う一方の端に設置されている。
【0047】
ガラスカバー7は、主走査方向を長手方向とする略直方体形状であり、開口部1aに嵌め込まれている。ガラスカバー7の主走査方向に沿う両側縁の内面は、受止面11に樹脂8を介して接着されている。樹脂8は、粘度がたとえば250〜2000mPa/sの樹脂が用いられる。この樹脂8は、ガラスカバー7を開口部1aに嵌め込んだ状態で樹脂注入孔12aから溝13に注入される。溝13から溢れた樹脂8は毛細管現象によって受止面11とガラスカバー7の内面との間に浸透して両者を接着させる。
【0048】
次に、画像読取装置A2の作用について説明する。
【0049】
上記のような画像読取装置A2では、イジェクタピン跡111の外寄りの端縁が受止面11の外寄りの端縁より内寄りの位置にある。このため、受止面11は、その外寄りの端縁部が、主走査方向における略全長に渡って凹むことなく一定の間隔を保ってガラスカバー7の内面と対向している。したがって、毛細管現象によって浸透する樹脂8がガラスカバー7の内面と受止面11との間に行き渡りやすく、ガラスカバー7と受止面11との間を好ましく密封することができる。このような画像読取装置A2は、ガラスカバー7と受止面11との間から異物が入りにくいために、故障がおきにくく、好適な読み取りを行うことができる。
【0050】
さらに、本実施形態では、イジェクタピン跡111に傾斜面113が形成されているため、樹脂8が傾斜面113から底面112へと流れ込みやすくなっている。このため、イジェクタピン跡111とガラスカバー7の内面との間が樹脂8で満たされやすくなっており、より確実にガラスカバー7と受止面11との間を密封することができる。したがって、画像読取装置A2は、より一層、ガラスカバー7と受止面11との間から異物が入りにくくなり、故障がおきにくく、好適な読み取りを行うことができる。
【0051】
図8〜図10は、本発明に係る画像読取装置の第3実施形態を示している。本実施形態の画像読取装置A3は、ケース1、導光部材2、レンズユニット3、基板4、センサチップ5、LEDモジュール6、および、ガラスカバー7を備えている。
【0052】
ケース1は、導光部材2、レンズユニット3、基板4、センサチップ5、LEDモジュール6を内蔵しており、主走査方向に沿って延びる略直方体形状とされており、その上部にガラスカバー7が嵌め込まれる開口部1aを有している。この開口部1aは、主走査方向に沿って延びる長辺と副走査方向に沿って延びる短辺とを有する長方形状に形成されている。開口部1aは、一対の受止面11、一対の側壁面12、および2本の溝13を有している。また、ケース1はその下部にも開口を有している。このケース1は、金型に樹脂を注入し、固化させた後に、複数のイジェクタピンによって金型から押し出すことによって形成される。
【0053】
一対の受止面11は、開口部1aの両長辺に沿ってそれぞれ設けられており、ガラスカバー7の内面と対向し、主走査方向を長手方向とする長方形状に形成されている。一対の受止面11は、ガラスカバー7の主走査方向に沿う両外縁に樹脂8を介して接着している。一対の受止面11のそれぞれには主走査方向に沿って4個配列されたイジェクタピン跡111が形成されている。受止面11のイジェクタピン跡111を除く領域は、開口部1aの長辺の略全長に渡って、一定の間隔を保ってガラスカバー7の内面と対向するように形成されている。この領域に対してイジェクタピン跡111は、ガラスカバー7の内面から遠ざかる方向に凹んでいる。
【0054】
イジェクタピン跡111は、底面112と傾斜面113とによって構成されている。底面112は、主走査方向に沿って延びる長方形状であり、ガラスカバー7の内面と対向するように配置されている。底面112は、その内寄りの長辺が、受止面11の内寄りの長辺と沿うように配置されている。また、底面112の外寄りの長辺および両短辺は傾斜面113と連結されている。傾斜面113は、底面112の中央から離れるにつれてガラスカバー7の内面に近づくように底面112に対して45°の傾斜を有している。底面112の外寄りの長辺に一方の端縁が連結された傾斜面113の他方の端縁は、受止面11の外寄りの長辺から所定長さ内方に位置している。
【0055】
イジェクタピン跡111は、ケース1を製造する際に、金型からケース1を押し出すためにイジェクタピンが受止面11を押圧することによって形成される。このとき、副走査方向における寸法が受止面11の副走査方向における寸法よりも小さいイジェクタピンを用いることにより、副走査方向における寸法が受止面11よりも小さいイジェクタピン跡111を形成することができる。上記のように傾斜面113を有するイジェクタピン跡111は、傾斜面113に対応する傾斜面を有するイジェクタピンを用いることによって形成することができる。
【0056】
一対の側壁面12は、一対の受止面11に対して起立しており、ガラスカバー7の両側縁に対向するように形成されている。一対の側壁面12は、副走査方向においてガラスカバー7を挟みこんで保持している。一対の側壁面12には、ケース1の外部と通じる樹脂注入孔12aが形成されている。樹脂注入孔12aは、図9に示すように、一対の側壁面12の一方側に8個並ぶように設けられている。樹脂注入孔12aは、一対の側壁面12の他方側にも8個並ぶように設けられている。2本の溝13は、開口部1aの両長辺に沿うようにそれぞれ設けられている。溝13は受止面11の外寄りの長辺と側壁面12との間に、受止面11に対してガラスカバー7の内面から遠ざかる方向に凹むように形成されている。
【0057】
またさらに、ケース1は、主走査方向に沿って延び、副走査方向において所定の間隔を隔てて互いに向かい合う一対の内面14a,14bを有している。内面14aは、開口部1a寄りの端縁において、一対の受止面11の一方と直交している。内面14bは開口部1a寄りの端縁において、一対の受止面11の他方と直交している。なお、このケース1は、たとえば黒色の樹脂によって形成されている。
【0058】
導光部材2は、本発明に係る光学部品の一例であり、導光体21とリフレクタ22とによって構成されている。導光体21は、たとえばメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)などの透明な樹脂からなり、LEDモジュール6からの光を主走査方向に延びる線状光として出射面21aから出射するためのものである。この導光体21は、主走査方向に沿って延びており、その一方の端部にLEDモジュール6と向かい合う入射面を有している。リフレクタ22は、導光体21内を進行する光が不当に漏れることを防ぐためのものであり、たとえば白色の樹脂によって形成されている。図10に示すように、リフレクタ22は、導光体21を抱え込むように収容している。このリフレクタ22は、ガラスカバー7の内面と対向する第1の側面22aと、内面14aと対向する第2の側面22bと、第1の側面22aと第2の側面22bとの間に設けられた傾斜面22cとを有している。傾斜面22cは、第2の側面22bに近づくほどガラスカバー7の内面から遠ざかるように、第1の側面22aに対して45°傾くように形成されている。この傾斜面22cは、その長辺がリフレクタ22の主走査方向に沿う略全長に渡って延び、短辺がたとえば3mm以上である長方形状となっている。なお、傾斜面22cは、傾斜面22cに対応する傾斜面を有する金型を用いてリフレクタ22を樹脂成形することによって容易に形成することができる。
【0059】
レンズユニット3は、本発明に係る光学部品の一例であり、たとえば主走査方向に配列された複数の円柱状のレンズが樹脂製のハウジングに保持された構成とされている。このレンズユニット3は、上記複数のレンズにより読取対象Pによって反射された線状光をセンサチップ5に収束させることができる。図10に示すように、レンズユニット3のハウジングは、ガラスカバー7の内面と対向する第1の側面3aと、内面14bと対向する第2の側面3bと、第1の側面3aと第2の側面3bとの間に設けられた傾斜面3cとを有している。傾斜面3cは、第2の側面3bに近づくほどガラスカバー7の内面から遠ざかるように、第1の側面3aに対して45°傾くように形成されている。この傾斜面3cは、その長辺がレンズユニット3のハウジングの主走査方向に沿う略全長に渡って延び、短辺がたとえば3mm以上である長方形状となっている。なお、傾斜面3cは、傾斜面3cに対応する傾斜面を有する金型を用いてレンズユニット3のハウジングを樹脂成形することによって容易に形成することができる。
【0060】
基板4は、たとえばセラミックまたはガラスエポキシ樹脂からなり、センサチップ5が実装されており、LEDモジュール6と電気的に接続されている。この基板4は、主走査方向に沿って延びる長矩形状に形成されており、ケース1の下側の開口に嵌め込まれている。
【0061】
センサチップ5は、本発明における受光素子の一例であり、基板4に主走査方向に延びるように配置されている。このセンサチップ5は、受けた光に応じた起電力を生じ、さらにこの起電力から画素ごとの輝度信号を出力可能に構成されている。画像読取装置A3は、読取対象Pによって反射された光をセンサチップ5によって受光することにより、読取対象Pの記載内容を画像データとして読み取ることができる。
【0062】
LEDモジュール6は、本発明における光源であり、たとえば赤色光、青色光、緑色光を出射するLEDチップを内蔵している。このLEDモジュール6は、内蔵するLEDチップの出射面が導光体21の入射面と対向するように基板4の主走査方向に沿う一方の端に設置されている。
【0063】
ガラスカバー7は、主走査方向を長手方向とする略直方体形状であり、図10に示すように、受止面11に樹脂8を介して接着される接合領域7aと、それ以外の非接合領域7bとを有している。接合領域7aは、ガラスカバー7の主走査方向に沿う両側縁に設けられている。非接合領域7bには撥水性の界面活性剤が塗布されている。
【0064】
受止面11と接合領域7aとを接着させる樹脂8は、粘度がたとえば250〜2000mPa/sの樹脂が用いられる。この樹脂8は、ガラスカバー7を開口部1aに嵌め込んだ状態で樹脂注入孔12aから溝13に注入される。溝13から溢れた樹脂8は毛細管現象によって受止面11と接合領域7aとの間に浸透して両者を接着させる。このため、樹脂8は過多となりにくく、余分な樹脂8が受止面11と接合領域7aとの間から溢れることがない。
【0065】
このような画像読取装置A3は、画像読取装置A1と同様に、リフレタク22に傾斜面22cが形成されているため、リフレクタ22に樹脂8が付着しにくくなっている。このため、リフレクタ22およびこれに保持される導光体21の精密な配置が確保されやすくなっている。したがって、導光部材2からの線状光が読取対象Pを正確に照射することができ、画像読取装置A3は好適な画像データを取得しやすくなっている。
【0066】
さらに、本実施形態では、レンズユニット3のハウジングに傾斜面3cが形成されているため、レンズユニット3に樹脂8が付着しにくくなっている。このため、レンズユニット3の精密な配置が確保されやすくなっている。したがって、レンズユニット3が読取対象Pからの反射光を正確にセンサチップ5に収束させることができ、画像読取装置A3は好適な画像データを取得しやすくなっている。
【0067】
さらに、本実施形態では、非接合領域7bに撥水性の界面活性剤が塗布されるため、受止面11と接合領域7aとの間から非接合領域7bに樹脂8が浸透しにくくなっている。このため、導光部材2およびレンズユニット3に樹脂8がより一層付着しにくくなっている。したがって、画像読取装置A3は、より好適な画像データを取得しやすくなっている。
【0068】
さらに、このような画像読取装置A3は、画像読取装置A2と同様に、イジェクタピン跡111の外寄りの端縁が受止面11の外寄りの端縁より内寄りの位置にある。このため、受止面11は、その外寄りの端縁部が、主走査方向における略全長に渡って凹むことなく一定の間隔を保ってガラスカバー7の内面と対向している。したがって、毛細管現象によって浸透する樹脂8がガラスカバー7の内面と受止面11との間に行き渡りやすく、ガラスカバー7と受止面11との間を好ましく密封することができる。このような画像読取装置A3は、ガラスカバー7と受止面11との間から異物が入りにくいために、故障がおきにくく、好適な読み取りを行うことができる。
【0069】
さらに、本実施形態では、イジェクタピン跡111に傾斜面113が形成されているため、樹脂8が傾斜面113から底面112へと流れ込みやすくなっている。このため、イジェクタピン跡111とガラスカバー7の内面との間が樹脂8で満たされやすくなっており、より確実にガラスカバー7と受止面11との間を密封することができる。したがって、画像読取装置A3は、より一層、ガラスカバー7と受止面11との間から異物が入りにくくなり、故障がおきにくく、好適な読み取りを行うことができる。
【0070】
本発明に係る画像読取装置は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係る画像読取装置における各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【0071】
たとえば上記の第1または第3実施形態において、傾斜面22cおよび傾斜面3cの第1の側面22a,3aに対する傾斜角は45°に限定されず、第2の側面22b,3bに近づくにつれてガラスカバー7から遠ざかるような傾斜角であればよい。また、傾斜面22cまたは傾斜面3cが複数の面によって構成されていても構わない。
【0072】
さらに、傾斜面22cおよび傾斜面3cを形成する際には、傾斜面のない金型を用いて樹脂成形を行い、その後にカットすることによって傾斜面22cおよび傾斜面3cを形成してもよい。
【0073】
また、上記の第2または第3実施形態において、たとえば、イジェクタピン跡111が傾斜面113を有さない場合も実施可能である。この場合でも、イジェクタピン跡111の外寄りの端縁が受止面11の外寄りの端縁よりも内側であれば、ガラスカバー7と受止面11との間を密封しやすくなっている。
【0074】
また、イジェクタピン跡111の数は、ケース1を金型から取り出す際に用いられるイジェクタピンの数によって変化するものであり、その数によって本発明が限定されることはない。
【0075】
また、さらに、上記実施形態では、イジェクタピン跡111は、内寄りの端縁が受止面11の内寄りの端縁と一致するように配置されているが、イジェクタピン跡111の副走査方向における両端縁が受止面11の内部にあっても構わない。なお、上記実施形態では、底面112は主走査方向に延びる長方形状であるが、副走査方向に延びる長方形状や円形状といったその他の形状であっても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明に係る画像読取装置の第1実施形態を示す平面図である。
【図2】図1に示す画像読取装置の正面図である。
【図3】図2のIII-III線に沿う断面図である。
【図4】本発明に係る画像読取装置の第2実施形態を示す平面図である。
【図5】図4に示す画像読取装置の正面図である。
【図6】図4のVI-VI線に沿う断面図である。
【図7】図4に示す画像読取装置の要部拡大図である。
【図8】本発明に係る画像読取装置の第3実施形態を示す平面図である。
【図9】図8に示す画像読取装置の正面図である。
【図10】図8のX-X線に沿う断面図である。
【図11】従来の画像読取装置の一例を示す平面図である。
【図12】図11のXII-XII線に沿う断面図である。
【符号の説明】
【0077】
A1,A2,A3 画像読取装置
P 読取対象
1 ケース
1a 開口部
2 導光部材
3 レンズユニット
3a 第1の側面
3b 第2の側面
3c 傾斜面
4 基板
5 センサチップ(受光素子)
6 LEDモジュール(光源)
7 ガラスカバー
8 樹脂
11 受止面
12 側壁面
12a 樹脂注入孔
13 溝
14a,14b 内面
21 導光体
21a 出射面
22 リフレクタ
22a 第1の側面
22b 第2の側面
22c 傾斜面
111 イジェクタピン跡
112 底面
113 傾斜面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、主走査方向に沿って配列された複数の受光素子と、上記光源からの光を上記主走査方向に沿う線状光として読取対象に向けて出射する機能、および、上記線状光の反射光を上記受光素子へ導く機能との少なくともいずれかの機能を有する光学部品と、を収容し、上記主走査方向に沿って延びる開口部を有する長矩形状のケースと、
上記開口部に嵌め込まれ、その一部が樹脂によって上記開口部の少なくとも一部と接着されたガラスカバーと、
を備えた画像読取装置であって、
上記ケースは、上記開口部に隣接し、副走査方向に沿って所定の間隔を隔てて向かい合う一対の内壁を有しており、
上記光学部品は、上記ガラスカバーの内面と対向する第1の側面と、上記内壁の一方と対向する第2の側面と、を備え、上記一対の内壁の一方に沿うように配置されており、
上記第1と第2の側面との間に、上記第2の側面に近づくほど上記ガラスカバーの内面から遠ざかる傾斜面が形成されていることを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
上記ガラスカバーの内面が、上記開口部と接着される接合領域と、上記接合領域を除く非接合領域とに区画されており、上記非接合領域が上記接合領域よりも上記樹脂をより撥ねるように形成されている、請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
上記ガラスカバーの内面と対向し、上記ガラスカバーの内面の少なくとも一部に接着される受止面が上記開口部の上記主走査方向における略全長に渡って設けられており、
上記受止面には、上記ガラスカバーから遠ざかる方向に凹む複数のイジェクタピン跡が形成されており、
上記複数のイジェクタピン跡の副走査方向における寸法が、上記受止面の上記副走査方向における寸法よりも小さくなっている、請求項1または2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
上記イジェクタピン跡は上記ガラスカバーの内面と対向する底面と、上記底面の中央から離れるにつれて上記ガラスカバーの内面に近づく傾斜面とを備えている、請求項3に記載の画像読取装置。
【請求項5】
光源と、主走査方向に沿って配列された複数の受光素子と、上記光源からの光を上記主走査方向に沿う線状光として読取対象に向けて出射する導光部材と、上記線状光の反射光を上記受光素子へ導くレンズ部材と、を収容し、上記主走査方向に沿って延びる開口部を有する長矩形状のケースと、
上記開口部に嵌め込まれたガラスカバーと、
を備えており、
上記開口部には上記ガラスカバーの内面と対向し、上記ガラスカバーの内面の少なくとも一部に接着される受止面が設けられており、
上記受止面には、上記ガラスカバーから遠ざかる方向に凹む複数のイジェクタピン跡が形成されている画像読取装置であって、
上記受止面は、上記開口部の上記主走査方向における略全長に渡って設けられており、
上記複数のイジェクタピン跡の副走査方向における寸法が、上記受止面の上記副走査方向における寸法よりも小さくなっていることを特徴とする、画像読取装置。
【請求項6】
上記イジェクタピン跡は上記ガラスカバーの内面と対向する底面と、上記底面の中央から離れるにつれて上記ガラスカバーの内面に近づく傾斜面とを備えている、請求項5に記載の画像読取装置。
【請求項7】
上記開口部には、上記ガラスカバーの側縁に対向する側壁面が設けられており、上記側壁面には、外部と通じる樹脂注入孔が形成されている、請求項1ないし6のいずれかに記載の画像読取装置。
【請求項1】
光源と、主走査方向に沿って配列された複数の受光素子と、上記光源からの光を上記主走査方向に沿う線状光として読取対象に向けて出射する機能、および、上記線状光の反射光を上記受光素子へ導く機能との少なくともいずれかの機能を有する光学部品と、を収容し、上記主走査方向に沿って延びる開口部を有する長矩形状のケースと、
上記開口部に嵌め込まれ、その一部が樹脂によって上記開口部の少なくとも一部と接着されたガラスカバーと、
を備えた画像読取装置であって、
上記ケースは、上記開口部に隣接し、副走査方向に沿って所定の間隔を隔てて向かい合う一対の内壁を有しており、
上記光学部品は、上記ガラスカバーの内面と対向する第1の側面と、上記内壁の一方と対向する第2の側面と、を備え、上記一対の内壁の一方に沿うように配置されており、
上記第1と第2の側面との間に、上記第2の側面に近づくほど上記ガラスカバーの内面から遠ざかる傾斜面が形成されていることを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
上記ガラスカバーの内面が、上記開口部と接着される接合領域と、上記接合領域を除く非接合領域とに区画されており、上記非接合領域が上記接合領域よりも上記樹脂をより撥ねるように形成されている、請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
上記ガラスカバーの内面と対向し、上記ガラスカバーの内面の少なくとも一部に接着される受止面が上記開口部の上記主走査方向における略全長に渡って設けられており、
上記受止面には、上記ガラスカバーから遠ざかる方向に凹む複数のイジェクタピン跡が形成されており、
上記複数のイジェクタピン跡の副走査方向における寸法が、上記受止面の上記副走査方向における寸法よりも小さくなっている、請求項1または2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
上記イジェクタピン跡は上記ガラスカバーの内面と対向する底面と、上記底面の中央から離れるにつれて上記ガラスカバーの内面に近づく傾斜面とを備えている、請求項3に記載の画像読取装置。
【請求項5】
光源と、主走査方向に沿って配列された複数の受光素子と、上記光源からの光を上記主走査方向に沿う線状光として読取対象に向けて出射する導光部材と、上記線状光の反射光を上記受光素子へ導くレンズ部材と、を収容し、上記主走査方向に沿って延びる開口部を有する長矩形状のケースと、
上記開口部に嵌め込まれたガラスカバーと、
を備えており、
上記開口部には上記ガラスカバーの内面と対向し、上記ガラスカバーの内面の少なくとも一部に接着される受止面が設けられており、
上記受止面には、上記ガラスカバーから遠ざかる方向に凹む複数のイジェクタピン跡が形成されている画像読取装置であって、
上記受止面は、上記開口部の上記主走査方向における略全長に渡って設けられており、
上記複数のイジェクタピン跡の副走査方向における寸法が、上記受止面の上記副走査方向における寸法よりも小さくなっていることを特徴とする、画像読取装置。
【請求項6】
上記イジェクタピン跡は上記ガラスカバーの内面と対向する底面と、上記底面の中央から離れるにつれて上記ガラスカバーの内面に近づく傾斜面とを備えている、請求項5に記載の画像読取装置。
【請求項7】
上記開口部には、上記ガラスカバーの側縁に対向する側壁面が設けられており、上記側壁面には、外部と通じる樹脂注入孔が形成されている、請求項1ないし6のいずれかに記載の画像読取装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−165110(P2009−165110A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−302516(P2008−302516)
【出願日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【出願人】(000116024)ローム株式会社 (3,539)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【出願人】(000116024)ローム株式会社 (3,539)
【Fターム(参考)】
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