説明

画像読取装置

【課題】使用者が画像読取装置の前で待機している場合は、ロック機構を解除する操作を行うことなく原稿を取り出せるようにする。
【解決手段】原稿の画像を読取る画像読取装置において、読取りが終了し、排紙された原稿を取り出し可能にする開閉部を有する原稿排出部と、前記原稿排出部の開閉部を閉塞した状態に施錠する原稿排出施錠部と、近接する使用者の存否を検知する人検知部と、前記人検知部により使用者が離れたことを検知したとき、前記原稿排出施錠部の施錠を行う施錠制御部とを設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スキャナやファクシミリ等の原稿の画像を読取る画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の画像読取装置は、画像を読取る原稿の盗難や盗み見を防止するため、原稿を給紙する原稿セット部および読取られた原稿が排出される原稿排出部にロック機構を備えた開閉部を設け、パスワード等の使用者を識別するための情報を入力することによりその開閉部のロック機構を解除して原稿を取り出せるようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2006−333020号公報(段落「0058」〜段落「0063」、図2、図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述した従来の技術においては、原稿の読取りを開始する操作を行ったときから読取られた原稿を取り出す操作を行うまでの間、開閉部をロック機構でロックするようにしているため、使用者が画像読取装置の前で待機している場合であってもロック機構によるロック機能が働き、読取られた原稿を取り出すときにそのロック機能を解除する操作を行わなければならないという問題がある。
【0004】
本発明は、このような問題を解決することを課題とし、使用者が画像読取装置の前で待機している場合は、ロック機構を解除する操作を行うことなく原稿を取り出せるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そのため、本発明は、原稿の画像を読取る画像読取装置において、読取りが終了し、排紙された原稿を取り出し可能にする開閉部を有する原稿排出部と、前記原稿排出部の開閉部を閉塞した状態に施錠する原稿排出施錠部と、近接する使用者の存否を検知する人検知部と、前記人検知部により使用者が離れたことを検知したとき、前記原稿排出施錠部の施錠を行う施錠制御部とを設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
このようにした本発明は、使用者が画像読取装置の前で待機している場合は、ロック機構を解除する操作を行うことなく原稿を取り出すことができるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、図面を参照して本発明による画像読取装置の実施例を説明する。
【実施例1】
【0008】
図1は第1の実施例における画像読取装置の外観斜視図である。
図1において、1は原稿の画像を読取る画像読取装置であり、本実施例では、画像読取装置をスキャナとして説明する。
スキャナ1は、原稿の給紙や画像の読取りを行う画像読取部101、使用者の操作を受付ける操作部102、画像を読取る原稿をセットするための原稿セット部103、読取った原稿が排出される原稿排出部104、および装置に近接する使用者の存否を検知する人検知部105で構成されている。
【0009】
スキャナ1の構成を図2の第1の実施例における画像読取装置の構成を示す説明図に基づいて説明する。
図2において、スキャナ1の原稿投入部としての原稿セット部103は、原稿100を載置するための原稿トレイ130、その原稿トレイ130の上方に設けられた支点132を回転支点として回動自在な開閉部131により構成されている。
【0010】
この開閉部131を回動させて開放させることにより原稿トレイ130に原稿100を載置および載置した原稿を取り出すことができるようになり、また開閉部131を回動させて閉塞させることにより原稿トレイ130に載置された原稿100への触手を禁止することができるようになっている。
また、支点132の近傍には、開閉部131の回動を規制するための規制部材およびその規制部材を動作させるソレノイド等の駆動手段で構成された原稿投入施錠部としての原稿セット部用ロック部133が設けられ、開閉部131が閉塞した状態に施錠することができるようになっている。
【0011】
画像読取部101は、自動原稿給紙部201および原稿台読取部202で構成されており、その原稿台読取部202の上部に自動原稿給紙部201が開閉自在に配置されている。
自動原稿給紙部201は、原稿検出センサ203、ステッピングモータ204、給紙ローラ205、搬送ローラ206、排紙ローラ207、読取位置センサ208、および原稿押圧板209で構成され、原稿セット部103にセットされた原稿100を給紙する。
【0012】
原稿検出センサ203は、原稿セット部103の原稿トレイ130に原稿100が載置されたことを検知するセンサである。
ステッピングモータ204の駆動は、図示しないギア等の駆動伝達手段で給紙ローラ205、搬送ローラ206、および排紙ローラ207へ伝達されるように構成されている。
給紙ローラ205は、ステッピングモータ204の駆動に伴って回転し、原稿セット部103の原稿トレイ130に載置された原稿束から原稿を1枚ずつ分離し、分離した原稿を搬送ローラ206へ搬送する搬送手段である。
【0013】
搬送ローラ206は、ステッピングモータ204の駆動に伴って回転し、給紙ローラ205から搬送された原稿を原稿押圧板209の下方を通過させ、さらに排紙ローラ207へ搬送する。
読取位置センサ208は、搬送ローラ206により搬送された原稿の先端が原稿読取位置に近接したことを検知するセンサである。
【0014】
排紙ローラ207は、ステッピングモータ204の駆動に伴って回転し、搬送ローラ206から搬送され、原稿押圧板209の下方を通過して画像が読取られた原稿を自動原稿給紙部201の外の原稿排出部104へ排出する。
原稿排出部104は、排紙ローラ207で搬送され、排出された原稿を集積する原稿押圧板213、排出ローラ207の上方に設けられた支点142を回転支点として回動自在な開閉部141により構成されている。
【0015】
この開閉部141を回動させて開放させることにより排出された原稿を取り出すことができるようになり、また開閉部141を回動させて閉塞させることにより排出された原稿への触手を禁止することができるようになっている。
また、支点142の近傍には、開閉部141の回動を規制するための規制部材およびその規制部材を動作させるソレノイド等の駆動手段で構成された原稿排出施錠部としての原稿排出部用ロック部143が設けられ、開閉部141が閉塞した状態に施錠することができるようになっている。
【0016】
原稿台読取部202は、読取ユニット210、原稿台ガラス(220、221)、白色シート222、原稿押圧板223、ステッピングモータ230、プーリ231、駆動ベルト232、ホームセンサ233、および白色基準板234等で構成され、原稿の画像を読取るものである。
読取ユニット210は、自動原稿給紙部201で搬送され、光を透過する原稿台ガラス220上を通過する原稿に光を照射する光源211、その原稿により反射された光の光路を変更させる反射ミラー(212、213)、光路が変更された光を集光するレンズ214、レンズ214で集光された光を光電変換し、画像に応じたCCD(Charge Coupled Device)センサ215で構成され、自動原稿給紙部201で給紙された原稿の画像を読取る。
【0017】
ステッピングモータ230およびプーリ231に張架された無端状の駆動ベルト232は、そのステッピングモータ230の回転が伝達されるようになっている。
この駆動ベルト232は、読取ユニット210に固定されており、ステッピングモータ230を回転させることにより、その読取ユニット210を原稿台ガラス220および原稿台ガラス221に沿って移動させることができるようになっている。したがって、読取ユニット210は、ステッピングモータ230の回転に伴って動作する駆動ベルト232により原稿台ガラス221に沿って移動し、光を透過する原稿台ガラス221上に載置された原稿を走査し、その画像を読取ることができるようにもなっている。
【0018】
ホームセンサ233は、駆動ベルト232により移動する読取ユニット210が所定の位置に移動したことを検知するセンサである。このホームセンサ233で検知された位置を基準としてステッピングモータ230により読取ユニット210を所定の位置へ移動させる制御が行えるようになっている。
白色補正板234は、CCDセンサ215の素子が出力する電圧のばらつきを平滑化するためのシェーディング補正処理時に基準となるセンサ出力データを取得する際に読取られるものであり、原稿台ガラス(210、211)の読取り範囲外に配置されている。
【0019】
次に、スキャナ1の制御系の構成を図3の第1の実施例における画像読取装置の構成を示すブロック図に基づいて説明する。
図3において、主制御部301は、CPU(Central Processing Unit)等の制御手段であり、不揮発性記憶装置であるROM(Read Only Memory)303に格納されている制御プログラムに基づいてスキャナ1全体を制御する。
【0020】
画像読取部101は、主制御部301により制御され、原稿から画像を読取り、画像データを生成する。
操作部102は、スキャナ1の使用者による動作指示を操作ボタン等の入力手段で受付け、またスキャナ1の状態等を液晶ディスプレイ等の表示手段に表示する。
また、操作部102には、使用者の生体情報を読取るための指紋読取部305が配置されており、使用者の指紋を生体情報として読取ることができるようになっている。
【0021】
指紋読取部305により読取られた使用者の指紋は、メモリ等の記憶手段で構成された指紋記憶部310に記憶させることができるようになっており、この指紋記憶部310には、予めスキャナ1を使用することができる使用者の指紋を記憶させ、またスキャナ1を使用する使用者の指紋を記憶させる。
指紋照合部306は、指紋読取部305で読取られた使用者の指紋を指紋記憶部310に予め記憶された指紋と照合する。
【0022】
人検知部105は、スキャナ1の前面に使用者が存在するか否かを検知する。この人検知部105には、従来から用いられているセンサを適宜使用することができ、このようなセンサの例として、例えば発光素子および受光素子で構成され、発光素子から光を照射し、その反射光を受光素子で受光して使用者の有無を検知するものが挙げられる。また、別の態様では、スキャナ1から電波を放射し、使用者が所持しているアンテナを内蔵するカードが近くに存在するか否かを検知するようにしてもよい。
【0023】
施錠制御部としてのロック制御部307は、スキャナ1が使用されておらず所定の時間を経過した後や原稿読取り中に、使用者がスキャナ1から離れたことが人検知部105により検知された場合、原稿セット部103に備えられた原稿セット部用ロック部133および原稿排出部104に備えられた原稿排出部用ロック部143のロックを行う。
また、ロック制御部307は、スキャナ1が所定の時間使用がなく、人検知部105により使用者が検知されなかった場合も原稿セット部用ロック部133および原稿排出部用ロック部143のロックを行う。
【0024】
原稿セット部用ロック部133および原稿排出部用ロック部143がロックされた場合、そのロックの解除には、ロック解除を行う人の指紋を指紋読取部305で読取り、読取った指紋と指紋記憶部310に予め記憶されている指紋との照合が必要なる。
その指紋の照合は、指紋照合部306で行われ、その照合の結果、一致した場合、ロック制御部307が原稿セット部用ロック部133および原稿排出部用ロック部143のロックを解除する。
【0025】
RAM(Random Access Memory)304は、読取った原稿の画像データの一時蓄積や制御データの一時格納に使用される記憶部である。I/F(interFace)制御部302はデータ通信バス312と接続され、外部装置311に画像データを送信する。この外部装置311は、例えばプリンタやパーソナルコンピュータであり、データ通信バス312は、例えばUSB(universal Serial Bus)やLAN(Local Area Network)である。
【0026】
次に、操作部102を図4の第1の実施例における画像読取装置の操作部の説明図に基づいて説明する。
表示部401は、使用者への指示や情報、スキャナ1の状態等を出力するための液晶ディスプレイやLED(Light Emitting Diode)ディスプレイ等の表示装置である。
【0027】
メニューボタン402は、原稿読取メニューを表示させるためのボタンであり、決定ボタン403は、スキャナ1の動作メニューを決定するためのボタンであり、キャンセルボタン404は、決定を取り止める場合に使用するボタンである。
また、開始ボタン405は、原稿を読取る動作を開始させるためのボタンであり、操作ボタン406は、英数字の入力やメニュー項目を移動させるためのボタンである。
【0028】
さらに、指紋読取部305は、使用者の指紋を読取るものである。
上述した構成の作用を図5の第1の実施例における画像読取装置の動作を示すフローチャートの図中Sで表すステップに従い、図3および図4を参照しながら説明する。なお、本実施例では、読取り原稿を原稿セット部103の原稿トレイ130上に載置する場合を説明するものである。
【0029】
S101:主制御部301は、前回のスキャナ1の使用終了から所定の時間が経過しているかを判定する。所定の時間が経過していると判定すると処理をS103へ移行し(YES)、経過していないと判定すると処理をS102へ移行する(NO)。
S102:主制御部301は、人検知部105が使用者を検知しているか否かを判定する。使用者の存在を検知していると判定すると原稿セット部103の原稿セット部用ロック部133はロックされていない状態であるため、指紋による認証を行う必要がないので処理をS108へ移行し(YES)、使用者の存在を検知していないと判定すると処理をS101へ移行し(NO)、所定時間の経過の監視を継続する。
【0030】
S103:所定の時間が経過していると判定されるとロック制御部307は、原稿セット部103に備えられた原稿セット部用ロック部133をロックする。
S104:原稿セット部用ロック部133がロックされた後、使用者がスキャナ1を使用する場合、原稿セット部用ロック部133のロックを解除するため、指紋読取部305は使用者の指紋を読取る。
【0031】
S105:指紋照合部306は、指紋読取部305で読取った使用者の指紋と指紋記憶部310に予め記憶されている指紋とを照合する。
S106:主制御部301は、指紋照合部306が行った照合の結果、指紋読取部305で読取った使用者の指紋が指紋記憶部310に装置使用可能者として予め記憶されている指紋に一致すると判定すると処理をS107へ移行し(YES)、一致しないと判定すると指紋の照合の結果が一致しない旨を操作部102の表示部401に表示し、原稿セット部用ロック部133のロックを解除することなく処理をS104へ戻す(NO)。したがって、指紋の照合の結果が一致しない場合、その使用者はスキャナ1を使用することができない。
【0032】
S107:一致すると判定されるとロック制御部307は、原稿セット部用ロック部133のロックを解除し、スキャナ1を使用することができるようになる。このとき、主制御部301は、指紋読取部305で読取った指紋を使用者情報として指紋記憶部310へ記憶させる。
S108:使用者は原稿セット部103の開閉部131を開放して原稿トレイ130上に原稿を載置してセットする。
【0033】
S109:原稿を原稿セット部103にセットした後、使用者は操作部102の開始ボタン405を押下して原稿の読取りを開始させる。開始ボタン405の押下を検知すると主制御部301は、原稿セット部103にセットされた原稿を1枚ずつ分離して搬送し、原稿読取部101で原稿の画像を読取る動作を開始する。
S110:原稿を読取る動作を開始すると人検知部105は、原稿の読取動作中にスキャナ1の前面に使用者が存在するか否かを監視し、使用者が存在しないことを検知すると処理をS113へ移行し(NO)、使用者が存在することを検知しているときは処理をS111へ移行する(YES)。
【0034】
S111:使用者が存在することを検知すると主制御部301は、原稿の読取り動作を行う。なお、原稿読取部101で読取られた原稿は原稿排出部104へ排出される。
S112:主制御部301は、原稿セット部103にセットされたすべての原稿の読取りが終了したか否かを判定する。すべての原稿の読取りが終了していないと判定されると処理をS110へ移行して(NO)原稿の読取り動作を継続し、すべての原稿の読取りが終了したと判定されると処理をS120へ移行する(YES)。
【0035】
S120:使用者がスキャナ1から離れることなく、すべての原稿の読取りが終了した場合、原稿セット部用ロック部133および原稿排出部用ロック部143はロックされないので使用者は原稿の読取り動作が終了した後、原稿排出部104の開閉部141を開放して読取り済みの原稿を回収して終了する。
S113:一方、S110において、使用者がスキャナ1から離れ、人検知部105が使用者の存在を検知できなくなるとロック制御部307は、原稿セット部103に備えられた原稿セット部用ロック部133および原稿排出部104に備えられた原稿排出部用ロック部143をロックし、原稿の持ち去りや情報の漏洩を防止する。
【0036】
S114:原稿セット部用ロック部133および原稿排出部用ロック部143をロックすると主制御部301は、原稿の読取り動作を行う。なお、原稿読取部101で読取られた原稿は原稿排出部104へ排出される。
S115:主制御部301は、原稿セット部103にセットされたすべての原稿の読取りが終了したか否かを判定する。すべての原稿の読取りが終了していないと判定されると処理をS114へ移行して(NO)原稿の読取り動作を継続し、すべての原稿の読取りが終了したと判定されると処理をS116へ移行する(YES)。
【0037】
このように人検知部105により、使用者が原稿の読取り動作中にスキャナ1から離れたことを検知した場合、原稿セット部用ロック部133および原稿排出部用ロック部143がロックされるため、読取り済みの原稿を回収するとき原稿排出部用ロック部143のロックを解除しなければならない。この原稿排出部用ロック部143のロックを解除する動作を以下に説明する。
【0038】
S116:読取った原稿を回収しようとする使用者は、原稿排出部用ロック部143のロックを解除するため、指紋読取部305で指紋を読取らせる。
S117:指紋照合部306は、指紋読取部305で読取った使用者の指紋と指紋記憶部310に記憶されている使用者情報の指紋とを照合する。
S118:主制御部301は、指紋照合部306が行った照合の結果、指紋読取部305で読取った使用者の指紋が指紋記憶部310に使用者情報として記憶されている指紋に一致すると判定すると処理をS119へ移行し(YES)、一致しないと判定すると指紋の照合の結果が一致しない旨を操作部102の表示部401に表示し、原稿排出部用ロック部143のロックを解除することなく処理をS116へ戻す(NO)。したがって、指紋の照合の結果が一致しない場合、その使用者は読取った原稿を回収することができない。
【0039】
S119:一致すると判定されるとロック制御部307は、セット部用ロック部133および原稿排出部用ロック部143のロックを解除する。原稿排出部用ロック部143のロックを解除することにより、使用者は読取り済みの原稿を原稿排出部104から回収することができるようになる。
S120:原稿セット部用ロック部133および原稿排出部用ロック部143のロックが解除されると使用者は原稿排出部104の開閉部141を開放して読取り済みの原稿を回収して終了する。
【0040】
このように使用者が画像読取装置の前面で原稿を監視している場合は原稿排出部の開閉部をロックしないようにしたことにより、使用者はその開閉部のロックを解除することなく読取り済みの原稿を回収することができるようになり、使用者の利便性が向上する。
なお、本実施例では、使用者の生体情報として指紋を使用するものとして説明したが、生体情報は指紋に限られるものでなく、例えば瞳の中の虹彩、掌形、掌や指の血管の形、声紋、顔形、筆跡としてもよい。
【0041】
以上説明したように、第1の実施例では、使用者が画像読取装置の前面で原稿を監視している場合は原稿排出部の開閉部をロックしないようにしたことにより、使用者はその開閉部のロックを解除することなく読取り済みの原稿を回収することができるようになるという効果が得られる。
【実施例2】
【0042】
第2の実施例の構成は、指紋記憶部に記憶される情報の構成が異なることが第1の実施例の構成と異なる。その指紋記憶部の構成を図6の第2の実施例における指紋記憶部の構成の説明図に基づいて説明する。なお、上述した第1の実施例における図1から図3と同様の部分は、同一の符号を付してその説明を省略する。
図3におけるスキャナ1の指紋記憶部310には、図6に示す装置使用可能者指紋320およびその使用者のメールアドレス321が予め記憶される。
【0043】
図6において、装置使用可能者指紋320は、スキャナ1の使用が許可された使用者の指紋である。
また、アドレス情報としてのメールアドレス321は、使用者に読取った原稿の回収が必要である旨を通知するための通知先情報である。
スキャナ1を使用する使用者を人検知部105が検知し、その使用者の指紋を指紋読取部305で読取り、読取った指紋がスキャナ1の使用が許可された使用者の指紋との照合の結果一致した場合に、主制御部301は読取った指紋を使用者情報(装置使用者指紋322)として指紋記憶部310に記憶すると同時に装置使用可能者指紋320に関連付けて記憶されたメールアドレス321も使用者情報(メールアドレス323)として指紋記憶部310に記憶しておく。
【0044】
主制御部301は、すべての原稿の読取り動作が終了した後、原稿排出部用ロック部143が所定の時間を超えてもロック状態であることをロック制御部307より通知を受けると指紋記憶部310に使用者情報として使用者の指紋と一緒に記憶されたメールアドレス323を読出し、送信部としてのI/F制御部302を制御してそのメールアドレス323を通知先としてメッセージを送信し、使用者に読取済みの原稿の回収を促す。
【0045】
上述した構成の作用を図7の第2の実施例における画像読取装置の動作を示すフローチャートの図中Sで表すステップに従い、図3および図4を参照しながら説明する。なお、本実施例でも第1の実施例と同様に、読取り原稿を原稿セット部103の原稿トレイ130上に載置する場合を説明する。
S101〜S106:図5におけるS101〜S106と同様の処理なのでその説明を省略する。
【0046】
S107:一致すると判定されるとロック制御部307は、原稿セット部用ロック部133のロックを解除し、スキャナ1を使用することができるようにする。このとき、主制御部301は、指紋読取部305で読取った指紋を使用者情報(図6に示す装置使用者指紋322)として指紋記憶部310へ記憶させると同時に指紋記憶部310の装置使用可能者指紋320に関連付けて記憶されたメールアドレス321も使用者情報(図6に示すメールアドレス323)として指紋記憶部310に記憶させる。
【0047】
S108〜S114:図5におけるS108〜S114と同様の処理なのでその説明を省略する。
S115:主制御部301は、原稿セット部103にセットされたすべての原稿の読取りが終了したか否かを判定する。すべての原稿の読取りが終了していないと判定されると処理をS114へ移行して(NO)原稿の読取り動作を継続し、すべての原稿の読取りが終了したと判定されると処理をS201へ移行する(YES)。
【0048】
S201:すべての原稿の読取りを終了すると人検知部105は、スキャナ1の前面に使用者が存在するか否かを監視し、使用者が存在しないことを検知すると処理をS202へ移行し(NO)、使用者が存在することを検知しているときは処理をS116へ移行する(YES)。
なお、使用者が存在することを検知しているときのS116〜S120の処理は、図5におけるS116〜S120の処理と同様なのでその説明を省略する。
【0049】
S202:主制御部301は、ロック制御部307からの通知により、すべての原稿の読取り終了から所定の時間が経過しているかを判定する。所定の時間が経過していると判定すると処理をS203へ移行し(YES)、経過していないと判定すると処理をS201へ移行する(NO)。
S203:所定の時間が経過していると判定すると主制御部301は指紋記憶部310に使用者情報として記憶されている使用者のメールアドレス323をアドレス情報として呼び出す。
【0050】
S204:主制御部301は、呼び出したアドレス情報に基づいて使用者に「原稿の読取が終了しました。原稿の回収を行ってください。」等のメッセージをI/F制御部302から送信し、処理をS201へ戻して再び使用者の検知を行う。
所定の時間が経過する前に使用者が検知されなかった場合は再び原稿の回収を促すメッセージを送信するように使用者が検知できるまでS201からS204の処理を繰り返す。
【0051】
このように使用者が原稿を読取っている動作中に画像読取装置の前から離れた場合、所定時間経過後に読取り済みの原稿を回収することを促すメッセージを使用者へ送信するようにしたことにより、読取り済みの原稿を回収することを忘れている使用者に原稿の回収が必要なことを知らせることができるようになり、使用者の利便性が向上する。
以上説明したように、第2の実施例では、第1の実施例の効果に加え、使用者が原稿を読取っている動作中に画像読取装置の前から離れた場合、所定時間経過後に読取り済みの原稿を回収することを促すメッセージを使用者へ送信するようにしたことにより、読取り済みの原稿を回収することを忘れている使用者に原稿の回収が必要なことを知らせることができるという効果が得られる。
【0052】
なお、第1の実施例および第2の実施例において、本発明を適用する画像読取装置をスキャナとして説明したが、スキャナに限られることなく複合機(MFP)やファクシミリとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】第1の実施例における画像読取装置の外観斜視図
【図2】第1の実施例における画像読取装置の構成を示す説明図
【図3】第1の実施例における画像読取装置の構成を示すブロック図
【図4】第1の実施例における画像読取装置の操作部の説明図
【図5】第1の実施例における画像読取装置の動作を示すフローチャート
【図6】第2の実施例における指紋記憶部の構成の説明図
【図7】第2の実施例における画像読取装置の動作を示すフローチャート
【符号の説明】
【0054】
1 画像読取装置
101 画像読取部
102 操作部
103 原稿セット部
104 原稿排出部
105 人検知部
130 原稿トレイ
131 開閉部
132、142 支点
133 原稿セット部用ロック部
141 開閉部
143 原稿排出部用ロック部
201 自動原稿給紙部
202 原稿台読取部
203 原稿検出センサ
204、230 ステッピングモータ
205 給紙ローラ
206 搬送ローラ
207 排紙ローラ
208 読取位置センサ
210 読取ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿の画像を読取る画像読取装置において、
読取りが終了し、排紙された原稿を取り出し可能にする開閉部を有する原稿排出部と、
前記原稿排出部の開閉部を閉塞した状態に施錠する原稿排出施錠部と、
近接する使用者の存否を検知する人検知部と、
前記人検知部により使用者が離れたことを検知したとき、前記原稿排出施錠部の施錠を行う施錠制御部とを設けたことを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
請求項1の画像読取装置において、
読取らせる原稿の投入および取り出しを可能にする開閉部を有する原稿投入部と、
前記原稿投入部の開閉部を閉塞した状態に施錠する原稿投入施錠部とを設け、
前記人検知部により使用者が離れたことを検知したとき、前記施錠制御部は、前記原稿排出施錠部および前記原稿投入施錠部の施錠を行うことを特徴とする画像読取装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2の画像読取装置において、
使用者の生体情報を読み取る生体情報読取部と、
前記施錠制御部が施錠を行う前に読取った使用者の生体情報を記憶しておく生体情報記憶部と、
前記生体情報読取部で読取った生体情報と前記生体情報記憶部に記憶された生体情報を照合する生体情報照合部と、
前記生体情報照合部の照合結果に基づいて前記原稿排出施錠部および/または前記原稿投入施錠部を開錠する施錠制御部とを設けたことを特徴とする画像読取装置。
【請求項4】
請求項3の画像読取装置において、
前記施錠制御部は、前記照合結果が一致の場合に前記原稿排出施錠部および/または前記原稿投入施錠部を開錠することを特徴とする画像読取装置。
【請求項5】
請求項3または請求項4の画像読取装置において、
使用者の生体情報に関連付けて通知先情報を予め記憶する前記生体情報記憶部と、
前記施錠制御部が施錠を行う前に読取った使用者の生体情報に基づいて前記生体情報記憶部を検索して抽出した通知先情報の通知先へ原稿の回収要求を送信する送信部とを設けたことを特徴とする画像読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−109817(P2010−109817A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−281161(P2008−281161)
【出願日】平成20年10月31日(2008.10.31)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】