説明

画像読取装置

【課題】異なる波長の線状光を用いた読み取りが可能な画像読取装置を提供する。
【解決手段】第1の光源11と、第1の光源11からの光を線状光として読取対象Pに向けて出射する第1の導光体12と、第2の光源21と、第2の光源21からの光を線状光として読取対象Pに向けて出射し、第1の導光体12と平行に配列された第2の導光体22と、第1と第2の導光体12,22の間に配置されたレンズユニット30と、主走査方向xに直列配置された複数の受光手段40と、を備えており、読取対象Pからの光がレンズユニット30により集光され、その集光された光を上記複数の受光手段40が受光するように構成された画像読取装置Aであって、第1の光源11が発する光の波長と、第2の光源21が発する光の波長とが異なっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小切手や紙幣などの読み取りに使用される画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図4は、従来の画像読取装置の一例を断面図で示している(たとえば特許文献1参照)。同図に示された画像読取装置Xは、基板91、ケース92、導光体93、レンズユニット94、センサチップ95、および、ガラスカバー96を備えている。基板91は、たとえばセラミック製であり、表面にセンサチップ95を搭載している。導光体93は、図示しない光源からの光を主走査方向に延びる線状光として出射可能となっている。この画像読取装置Xは、赤外光または可視光を線状光として読取対象に向けて出射し、その反射光をレンズユニット94によってセンサチップ95に結像させる構成となっている。センサチップ95は、受けた光に応じた起電力を生じ、さらにこの起電力から画素ごとの輝度信号を出力可能に構成されている。上記読取対象によって反射された光をセンサチップ95によって受光することにより、上記読取対象の記載内容を画像データとして読み取ることができる。
【0003】
上記読取対象が紙幣などの場合、偽造紙幣と見分けをつけるために、紫外光の照射により蛍光を発する不可視インクによる印刷が施されていることがある。このため、紙幣の真贋を確かめるためには、通常の印刷内容の読み取りに加えて、紫外光を紙幣に照射して読み取りを行う必要があった。しかしながら、紫外光は、赤外光や可視光と屈折率が異なるため、赤外光または可視光を通すように形成された導光体93を用いて好ましい線状光とすることが困難であった。そのため、紫外光を線状光として出射可能な別の導光体を有する他の画像読取装置を用意する必要があった。
【0004】
【特許文献1】特開2004−266313号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、異なる波長の線状光を用いた読み取りが可能な画像読取装置を提供することをその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によって提供される画像読取装置は、第1の光源と、上記第1の光源からの光を主走査方向に延びる線状光として読取対象に向けて出射するように構成された第1の導光体と、第2の光源と、上記第2の光源からの光を上記主走査方向に延びる線状光として上記読取対象に向けて出射するように構成され、上記第1の導光体と平行に配列された第2の導光体と、上記第1と第2の導光体の間に配置され、上記主走査方向に沿って延びる細長状のレンズユニットと、上記主走査方向に直列配置された複数の受光手段と、を備えており、上記読取対象からの光が上記レンズユニットにより集光され、その集光された光を上記複数の受光手段が受光するように構成された画像読取装置であって、上記第1の光源が発する光の波長と、上記第2の光源が発する光の波長とが異なっていることを特徴とする。
【0007】
このような構成によれば、上記第1の光源が発する光の波長および上記第2の光源が発する光の波長に応じて、上記第1と第2の導光体の材質を別々にすることが可能である。このため、上記画像読取装置は、異なる波長の線状光を好ましく上記読取対象に照射可能となっている。従って、上記画像読取装置は、異なる波長の線状光を用いて上記読取対象の内容を読み取ることができる。
【0008】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記第1の光源が赤外光源であり、上記第2の光源が紫外光源である。このような構成によれば、上記読取対象に赤外光と紫外光の双方を照射することが可能となっている。
【0009】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記第1の光源が上記主走査方向の一方の端部に設けられており、上記第2の光源が上記主走査方向の他方の端部に設けられている。このような構成によれば、上記画像読取装置の小型化を図る上で好ましい。
【0010】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の好ましい実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
【0012】
図1〜図3は、本発明に係る画像読取装置の一例を示している。図1および図2に示す画像読取装置Aは、赤外光源11、紫外光源21、導光体12,22、レンズユニット30、センサチップ40、基板50、および、ケース60を備えている。また、図1は、画像読取装置Aの主走査方向xおよび副走査方向yを示している。図2は、画像読取装置Aの主走査方向xにおける両端部の拡大平面図である。図3は図1のIII-III線に沿う断面図である。図3では、副走査方向yと、主走査方向xおよび副走査方向yに対して直交する方向zとを示している。さらにまた、図3には紙状の読取対象Pを仮想線で示している。画像読取装置Aは、読取対象Pを副走査方向yに沿って移動させつつ、読取対象Pに線状光を照射し、読取対象Pからの光をセンサチップ40によって受光するように構成されている。
【0013】
読取対象Pは、たとえば、偽造防止のために、紫外線が照射されることにより蛍光を発する不可視インクによる印刷が施された紙幣である。
【0014】
ケース60は、たとえば樹脂製であり、赤外光源11、紫外光源21、導光体12,22、レンズユニット30、センサチップ40、および、基板50を内部に収容している。このケース60は、主走査方向xに長く延びる略直方体形状に形成されている。ケース60は、副走査方向yにおける一方寄りに凹部61を、他方寄りに凹部62を備えている。このケース60の上方には、図示しないガラスカバーが設けられる。このガラスカバー70の表面には、読取対象Pが副走査方向yに沿って移動可能なように搭載されている。また、ガラスカバー70は紫外線を通しやすい石英ガラスが好ましい。
【0015】
赤外光源11は、たとえば波長が950nm程度の赤外光を出射可能なLEDチップ11aを備えている。この赤外光源11は、LEDチップ11aから出る光が主走査方向xに沿って出射されるように、ケース60の主走査方向xにおける一方の端部に配置されている。
【0016】
導光体12は、たとえばアクリル樹脂製であり、主走査方向xに長く延びるように形成されている。この導光体12は、主走査方向xにおける一方の端部が、赤外光源11と対向するように凹部61に嵌め込まれている。導光体12は、赤外光源11からの光を内部で乱反射させつつ主走査方向xに沿って進行させ、出射面12aから線状光として読取対象Pに向けて出射するように構成されている。
【0017】
紫外光源21は、たとえば波長が370nm程度の赤外光を出射可能なLEDチップ21aを備えている。この紫外光源21は、LEDチップ21aから出る光が主走査方向xに沿って出射されるように、ケース60の主走査方向xにおける他方の端部に配置されている。
【0018】
導光体22は、シクロオレフィンポリマー樹脂(たとえば、日本ゼオン:ZEONEX330R)製であり、主走査方向xに長く延びるように形成されている。この導光体22は、主走査方向xにおける他方の端部が、紫外光源21と対向するように凹部62に嵌め込まれている。導光体22は、紫外光源21からの光を内部で乱反射させつつ主走査方向xに沿って進行させ、出射面22aから線状光として読取対象Pに向けて出射するように構成されている。
【0019】
紫外光源21は、たとえば波長が370nm程度の紫外光を出射可能なLEDチップを備えている。この赤外光源11は、ケース60の主走査方向xにおける他方の端部に配置されている。
【0020】
レンズユニット30は、読取対象Pから進行してくる線状光をセンサチップ40に収束させるレンズ部材31と、レンズ部材31を保持するレンズホルダ32とで構成されている。レンズ部材31は、たとえば主走査方向xに沿って配列された複数の円柱状のレンズからなる。レンズホルダ32は、たとえば樹脂製のハウジングであり、レンズ部材31を副走査方向yにおいて挟みこんで保持している。このレンズユニット30は、導光体12,22に挟まれるように、ケース60の副走査方向yにおける中央に配置されている。
【0021】
センサチップ40は、主走査方向xに沿って基板50上に配列された、本発明における受光手段である。センサチップ40は、受けた光に応じた起電力を生じ、さらにこの起電力から画素ごとの輝度信号を基板50上の配線パターンおよび図示しないコネクタを通じて外部へ出力可能に構成されている。このため読取対象Pによって反射された光をセンサチップ40によって受光することにより、読取対象Pの記載内容を画像データとして読み取ることができる。
【0022】
基板50は、たとえばセラミック製であり、主走査方向xに沿って長く延びる長板状に形成されている。基板50の表面には図示しない配線パターンが形成されており、副走査方向yにおける中央にセンサチップ40が搭載されている。
【0023】
次に、画像読取装置Aの作用について説明する。
【0024】
本実施形態によれば、読取対象Pに向けて導光体12から赤外光を線状光と出射可能であるだけでなく、導光体22から紫外光を線状光として出射可能となっている。読取対象Pに照射された赤外光は、読取対象Pで反射され、レンズ部材31によりセンサチップ40に受光される。これにより、画像読取装置Aは、読取対象Pに通常のインクで印刷された内容を読み取るとことができる。さらに、読取対象Pに印刷された不可視インクに紫外光を照射すると、不可視インクが蛍光を発し、その光がレンズ部材31を通してセンサチップ40に受光される。これにより、画像読取装置Aは、読取対象Pに不可視インクで印刷された内容も読み取ることができる。従って、画像読取装置Aは、それ単体で、通常のインクで読取対象Pに印刷された内容と、不可視インクによって印刷された内容とを読み取ることが可能となっている。
【0025】
さらに、本実施形態によれば、赤外光源11および紫外光源21は、ケース60の主走査方向xにおける両端に分けて設けられているため、小型化を図りやすくなっている。
【0026】
本発明にかかる画像読取装置は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明にかかる画像読取装置の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。たとえば、上記実施形態では、赤外光源11および紫外光源21は、主走査方向xに向けて光を出射するように構成されているが、赤外光源11および紫外光源21が、方向zに向けて光を出射するように基板50に搭載されていても構わない。この場合、導光体12,22は、基板50の表面と対向する光入射面と、上記光入射面から入射してきた光を主走査方向xに向けて反射させる反射面とを備えている。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明にかかる画像読取装置の一例を示す平面図である。
【図2】図1に示す画像読取装置の要部拡大平面図である。
【図3】図1のIII-III線に沿う断面図である。
【図4】従来の画像読取装置の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0028】
A 画像読取装置
P 読取対象
x 主走査方向
y 副走査方向
z 方向
11 赤外光源
11a LEDチップ
12 導光体
12a 出射面
21 紫外光源
21a LEDチップ
22 導光体
22a 出射面
30 レンズユニット
31 レンズ部材
32 レンズホルダ
40 センサチップ(受光手段)
50 基板
60 ケース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の光源と、
上記第1の光源からの光を主走査方向に延びる線状光として読取対象に向けて出射するように構成された第1の導光体と、
第2の光源と、
上記第2の光源からの光を上記主走査方向に延びる線状光として上記読取対象に向けて出射するように構成され、上記第1の導光体と平行に配列された第2の導光体と、
上記第1と第2の導光体の間に配置され、上記主走査方向に沿って延びる細長状のレンズユニットと、
上記主走査方向に直列配置された複数の受光手段と、
を備えており、
上記読取対象からの光が上記レンズユニットにより集光され、その集光された光を上記複数の受光手段が受光するように構成された画像読取装置であって、
上記第1の光源が発する光の波長と、上記第2の光源が発する光の波長とが異なっていることを特徴とする、画像読取装置。
【請求項2】
上記第1の光源が赤外光源である、請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
上記第2の光源が紫外光源である、請求項1または2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
上記第1の光源が上記主走査方向の一方の端部に設けられており、上記第2の光源が上記主走査方向の他方の端部に設けられている、請求項1ないし3のいずれかに記載の画像読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−50689(P2010−50689A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−212609(P2008−212609)
【出願日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【出願人】(000116024)ローム株式会社 (3,539)
【Fターム(参考)】