説明

画像読取装置

【課題】 原稿圧板の上に設けた操作パネルの誤操作を防止する。
【解決手段】 原稿読取面に対して開閉可能な原稿圧板と、それぞれバックライトを備えた複数のタッチスイッチを有する操作パネルを有する。読取部で読み取りを行う際には、読み取りの中断を指示するタッチスイッチのバックライトを点灯し、その他のタッチスイッチの一部または全部のバックライトを消灯する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スキャナ、プリンタ、ファクシミリ、複写機、複合機などの画像読取部を有する画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には画像読取部を備えた複合機が開示されている。この装置は、原稿読取面に置かれた原稿を読み取る読取部と、原稿読取面に対して開閉可能な原稿圧板とを備え、原稿圧板の上面に操作部(複数の入力キー)と表示器(LCDパネル)が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−88759号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示の装置には、次のような改良すべき点がある。
(1)使用者が原稿圧板を開閉させる際には、原稿圧板の手前側に手を掛けて開閉する。その際、原稿圧板の上面に設けられている操作部に指先を触れやすく、意図せずに指先でキーが押して誤操作を引き起こす場合がある。
(2)操作部は複数のキーからなるので、操作に慣れない使用者は、どのキーを押せばいいのか瞬時には判らずに混乱する場合がある。
【0005】
本発明は上記課題の認識に基づいてなされたものである。本発明の目的は上記課題の少なくとも1つの解決である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の画像読取装置の一つの形態は、原稿読取面に置かれた原稿を読み取る読取部と、前記原稿読取面に対して開閉可能な原稿圧板と、それぞれバックライトを備えた複数のタッチスイッチを有する操作パネルと、前記読取部で読み取りを行う際に、読み取りの中断を指示するタッチスイッチのバックライトを点灯し、その他のタッチスイッチの一部または全部のバックライトを消灯するように制御する制御部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、複数のタッチスイッチは独立に点灯と消灯が可能なバックライトを備え、動作モードに応じて複数のタッチスイッチのバックライトの点灯と消灯の状態を変化させる。入力が有効なキーに対応したバックライトだけを発光させるようにすれば、操作に不慣れな使用者にも混乱を与えることはない。加えて、使用者が原稿圧板で原稿を押さえ付ける際に使用しないキーに対応したタッチスイッチのバックライトが消灯していればスイッチの存在感がなくなるので、操作パネルに手を掛けるのにも心理的な抵抗が少ない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施形態の装置の構成を示す斜視図
【図2】電源OFF/ONでの操作パネルの表示状態を示す図
【図3】パネル部の構造図
【図4】静電容量式スイッチの断面図
【図5】複数のモードそれぞれにおけるキーの表示状態を示す図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を説明する。本明細書においては、スキャナ、プリンタ、ファクシミリ、複写機、複合機など、原稿を読み取るための画像読取部を有する装置を総称して「画像読取装置」というものとする。
【0010】
図1は本発明の実施形態の画像読取装置の構成を示す斜視図である。図1(a)は画像読取部の原稿圧板を閉じた状態、図1(b)は原稿圧板を開けた状態を示す。装置の筐体には原稿読取面に置かれた原稿を読み取る読取部(フラットベッドスキャナ)、シートにプリントを行なう記録部、および装置全体を制御する制御部5が内蔵されている。読取部、記録部それぞれについては上述の特許文献1などで周知なので、ここでは詳細な説明を省略する。制御部5はCPU、メモリ、各種I/Oインターフェースを備えたコントローラボードを有する。装置の上部には原稿読取面2に対して原稿圧板6が開閉可能に設けられている。設置された装置は、図中の矢印Aの方向(正面側)から使用者によって操作される。
【0011】
図1(a)において、原稿圧板6の上面にはパネル部1が配置されている。パネル部1には、表示ユニット4と各種の操作キー(入力スイッチ)が密集して設けられたパネルカバー11が設けられている。さらに電源ボタン111もパネルカバー11に設けられている。電源ボタン111を除く操作キーは静電容量式のタッチスイッチとなっている。静電容量式のタッチスイッチは、人の指をタッチ面に接触すると変化する静電容量を検知して入力となす方式のタッチスイッチである。その詳細構造と動作については後述する。
【0012】
表示ユニット4には透明部材かなる表示窓4aが設けられている。表示ユニット4は、収納時は図1(a)のようにパネルカバー11の表面と一体の面を構成するように寝かせた状態である。表示ユニット4は、使用者の操作によって表示窓4aが装置手前(矢印A)に向けて立ち開くように回動可能である。つまり、表示ユニット4を寝かせた状態では表示窓4aの表示は上方から見ることができ、表示ユニット4を立てた状態では表示窓4aの表示は正面から見ることができる。電源ボタン111は、タクトスイッチなどの機械式接点のキー構造であり、電源OFFの状態で使用者が押圧すると装置ONに、逆に電源ONの状態で使用者が押圧すると装置OFFになる。
【0013】
図1(b)において、原稿圧板6は2箇所のヒンジ8でフレーム9の奥側(正面の反対側)に回動可能に取り付けられている。原稿読取面2は透明のガラス板からなり、この上に原稿面を下向きにして原稿が置かれる。ガラス板はカバーによりフレーム9に取り付けられている。原稿読取面2の上の原稿を押さえつけて浮きを抑えるため、原稿圧板6の内側面には圧着シート7が取り付けられている。ヒンジ8と原稿圧板6との係合は上下方向に遊びを持っており、厚みのあるブック原稿にも対応することができる。
【0014】
制御部5は、読取部と記録部の動作制御とともに、表示ユニット4の表示制御、タッチスイッチのスイッチ入力および表示制御など、装置全体の各種制御を司る。後述するように、制御部5は複数の動作モードの制御を行ない、動作モードに応じてタッチスイッチのバックライト(背後からの照明)の点灯と消灯の状態を変化させる。
【0015】
図2は、画像読取装置の上面図であり、原稿圧板6の上面、パネルカバー11に設けられた操作パネルの表示状態を示す。図2(a)は電源OFFの状態であり、操作部の各種の操作キーは電源ボタン111、ジョグホイール101dを除いて使用者には見えなくなっている。図2(b)は電源ONですべての操作キーが点灯表示した状態である。点灯したキーは入力が有効状態となる。
【0016】
この例では、操作キーは、ホームキー101b、1つ前の状態に戻すための戻るキー101c、モノクロコピーキー101h、カラーコピーキー101i、ストップキー101jなどである。モノクロコピーキー101hはモノクロコピー又はモノクロ画像スキャンの動作開始を指示するキーであり、カラーコピーキー101iはカラーコピー又はカラー画像スキャンの動作開始を指示するキーである。ストップキー101jはコピー動作またはスキャン動作の停止を支持するためのキーである。操作キーはさらに、表示ユニット4に表示される画面上の表示項目を選択するための3つのキーからなるファンクションキー101aを有する。
【0017】
操作キーはさらに、表示ユニット4に表示される画面上のカーソルを上下左右に移動させるための4つの矢印キー101f、およびカーソル等を移動させるためのリング形状キーであるジョグホイール101dを有する。操作キーはさらに、選択を決定するためのOKキー101e、コピー枚数などの数値を設定するための“+”“−”キー101gを有する。これらの各操作キーは、各々が独立して点灯と消灯が可能なバックライトを備えた静電容量式のタッチスイッチとなっている。バックライトが点灯するとそのキー固有の図形(マーク)が表示されて使用者が視認することが可能となり、バックライトが消灯するとキーのマークは使用者には視認できなくなる。
【0018】
図3はパネル部1の構成図であり、図3(a)は積層構造を示す分解斜視図、図3(b)は上面図である。パネル部1は図3(a)に示すように、表面(上面)から順に、パネルカバー11、弾性体シート12、導光体群13、弾性体シート14、パネル基板15を備えた5層の積層構造を有する。全体は弾性体シート12と弾性体シート14で密着して一体構造物となっている。すなわち、パネルカバー11と導光体群13の間には透光性のシート状の弾性体シート12(第1弾性体シート)が介在して両者の間を密着させる。同様に、パネル基板15と導光体群の間にはシート状の弾性体シート14(第2弾性体シート)が介在して両者の間を密着させる。弾性体シート14は透光性である必要はない。弾性体シート12、14はいずれも非導電性の絶縁体材料からなる。
【0019】
パネルカバー11は透光性(透明または半透明)で継ぎ目のない1枚の板状部材であり、プラスチック材料(例えば、アクリル、ABS、PC、MBS、SBCなど)またはガラス材料からなる。導光体群13も透明のプラスチック材料またはガラス材料からなる。弾性体シート12および弾性体シート14はそれぞれ、複数の電極に対して共通の分割されていない1枚のシートである。細かく分割されていない1枚のシートなので操作パネルの組み立てが容易になる。
【0020】
組み立ての際には、パネルカバー11と導光体群13とはシート状の弾性体シート12によって隙間なく完全に密着することが求められる。なぜなら、完全に密着せずに誘電率が低い空気層が介在してしまうと、静電容量変化の検知が不安定となって静電容量式スイッチとしての機能が劣化するためである。さらに、メンテナンスにおけるパネルカバー11の交換作業を考慮すると、いったん密着させた後にも、糊を残さずに剥がしやすいことが求められる。密着性の高さと剥がしやすさの2つの特性を両立させるために、弾性体シート12は接着剤を使わずに粘着性が得られる自己粘着性の弾性体シートを用いる。このような弾性体シートとしては、例えばゲルシートが好適である。導光体群13とパネル基板15(複数の電極の表面)とを密着させる弾性体シート14にも同様の特性が求められるので、弾性体シート14にも自己粘着性をもつ弾性体シート、例えばゲルシートを用いる。なお、弾性体シート12、弾性体シート14の両方を両方ではなく一方のみをゲルシートとしてもよい。また、ゲルシートの替わりに、同様の自己粘着性と弾性を有する材質のシートを用いてもよい。また、剥がすときに破れ難い両面テープ、例えばポリエチレンテレフタラート(PTE)を基材とする両面テープを用いてもよい。
【0021】
図3(b)はパネル基板15の上での導光体群13の各導光体の配列を示す。同図に示すように、導光体群13は、静電容量式スイッチのタッチ位置に対応した位置に複数の導光体103a〜103jが配列されている。
【0022】
図4は静電容量式スイッチの断面図を示す。図4(a)は図2(b)の‘+’‘−’キー101gにおける断面図(A−A方向断面)である。パネルカバー11の裏面側の面には黒インクの印刷によって遮光層101kが形成されている。遮光層101kには部分的に黒インク印刷されていない透過図形部101mが形成されている。透過図形部101mは上面から見ると意味のある図形となっており、この例では、図2(b)のように、‘+’‘−’の文字とそれぞれの周りを矩形の線で囲んだ図形となっている。パネルカバー11は透光なので、透過図形部101mをバックライトで背後(下)から照明すれば図形を使用者に視認させることができる。バックライトを消灯すると図形は黒くなるので図形は視認されない。発明者らの実験によると、パネルカバー11は、半透過性のグレースモークの材質とすると、バックライト消灯時に透過図形部101mが非常に視認し難く事実上不可視となり、図形表示ON/OFFのコントラストを高めることができる。パネルカバー11は一枚の板体からなるので、バックライトが消灯されたら、電源ボタン111、ジョグホイール101d、OKキー101eを除いてスイッチは存在感がなくなり、使用者に混乱を与えることなく且つ美観上も好ましい。
【0023】
パネル基板15には、2箇所に半導体光源からなる光源106gが実装されている。半導体光源としてはLEDやOLEDが用いられる。光源106gの光の射出方向はパネル面に対して水平な方向で且つ導光体103gに対して導光体103gの側面から光が入射される方向である。光源106gが点灯すると、導光体103gに矢印Cの方向を中心とする拡散光束が入射する。入射した拡散光束は導光体103gの中で反射を繰り返して伝播する。導光体103gの底面には白ペイントで拡散面120が形成されている。拡散面120に当たった光は拡散して一部は上方向(矢印Dの方向)に拡散する。この光は遮光層101kでは遮られるが、透過図形部101mでは外部に射出される。これにより、‘+’‘−’が図形として使用者に視認される。このように、光源と導光体とでバックライトが構成されている。
【0024】
パネル基板15には、タッチ位置の直下、すなわち2箇所の光源106gの間で拡散面120に対応した位置に、‘+’キー、‘−’キーの個別検知のため2つの電極105gが実装されている。さらに、パネル基板15には各電極に電気接続された信号処理回路(プロセッサを含む)が実装されている。信号処理回路は、電極で検出した静電容量変化をデジタルデータに変換し信号処理によってスイッチON/OFFを判定する。パネルカバー11にタッチした使用者の指先と電極105gとの間は一種のコンデンサとなって、指先をタッチすると静電容量が変化する。信号処理回路は、電極105gによって静電容量の変化を検知することでタッチを検知する。タッチスイッチの入力を有効にした場合には、電極による検知される静電容量が所定の閾値を越えたら入力がされたと判断する。一方、タッチスイッチの入力を無効にした場合には、電極による静電容量の検出を無視するまたは上記所定の閾値を高くする。
【0025】
図4(b)は、図2(b)の矢印キー101f、ジョグホイール101d、OKキー101eにおける断面図(B−B方向断面)である。パネルカバー11の表面には、OKキー101eに対応した位置は凹形状の窪みが形成されている。同様に、リング形状のジョグホイール101dも凹形状の窪み(溝)がリング状に形成されている。その他のキーに対応する位置には窪みは形成されていない。使用頻度の高いキーについて窪みを設けることで、使用者に触覚感および視覚感を与えて確実な操作に行わせることができる。とくにジョグホール101dについては、リング形状の窪みが指の動きを物理的にガイドするので、使用者は正確な位置に沿って滑らかに指を滑らせることでき、良好な操作性が得られる。
【0026】
OKキー101eの下には導光体103eが配置され、4つの矢印キー101fの下には4つの導光体103fが配置されている。ジョグホイール101dの下には環状の導光体103dが配置されている。それぞれの導光体の下にはパネル基板15上に電極105e、105f、電極105dが設けられている。パネル基板15には電極の近傍に貫通孔105tが形成されており、弾性体シート14で広い面積を密着させる際には貫通孔105tから空気が逃げて、弾性体シート14と電極表面との間に空気層ができにくい。このように、弾性体シート14に密着性の高いゲルシートを採用するとともに、パネル基板15に貫通孔を設けたことの相乗効果で操作パネル組み立ての際に空気層が入り込みにくくなっている。
【0027】
ここで、OKキー101eおよびジョグホイール101dは、凹形状の窪み分だけ、パネルカバー11の表面(タッチ面)から対応する電極までの距離が矢印キー101fに比べて短くなっている。距離が短いほうが使用者がタッチした際の静電容量変化が大きくなるので、検知感度が高くなる。もし、使用者が隣り合うキー同士のちょうど境界をタッチした場合には、検知感度の高いOKキー101eまたはジョグホイール101dの方が感応する確率が高い。スイッチとしての使用頻度を考えると、OKキー101eとジョグホイール101dは、矢印キー101fより使用頻度が多いので、使用頻度の高いキーの感応が優先される設計は合理的である。つまり、複数のタッチスイッチは互いに隣接し検知感度が異なる第1スイッチ(OKキー101e、ジョグホイール101d)と第2スイッチ(矢印キー101f)を含み、使用頻度がより高い第1スイッチのほうが第2スイッチよりも検知感度が高い。
【0028】
OKキー101eとジョグホイール101dは、パネルカバー11の表面の窪みによって電極までの距離が変化することが、静電容量の検知感度の差を生じさせている。つまり、各キーにおいて窪みは指をガイドするガイド機能と検知感度を調整する機能の2つを同時に満たすものであり、簡素な構成で高い操作性と信頼性を実現している。とくにジョグホール101dについては、リング状に指を動かすので指の位置がずれやすいが、リング形状の窪みが指の動きを物理的にガイドするので、指がリングから外れて隣り合う矢印キー101fに触れてしまう可能性をより低くしている。それでも指がずれたとしても、検知感度に差を設けてジョグホール101dの方が優先されるようになっている。つまり、物理的なガイドと検知感度差による優先順位という2つの手法の組み合わせにより、非常に高い操作性ならびに信頼性を実現するものである。
【0029】
図5を用いて、複数のモードそれぞれにおけるキーの表示状態を説明する説明する。図5(a)は、使用者が電源ボタン111を押して装置を起動させた直後の表示ユニット4とパネルカバー11の表示状態である。表示ユニット4は、このとき選択できる機能である「Scan」、「Copy」、「設定」と書かれた3つの機能アイコンが表示される。「Scan」はスキャンモード、「Copy」はコピーモードを意味する。パネルカバー11は、ホームキー101b、左右の矢印キー101f、OKキー101eの3種類のキーのみが表示される。この状態で、使用者が左右の矢印キー101fのいずれかにタッチすると、表示ユニット4のカーソル4dが左右に移動して選択機能を切り替わる。
【0030】
例えば、コピーモードを選びたいときは、カーソル4dをCopyアイコンの下に移動させ、OKキー101fをタッチする。すると、コピーモードに移行して、図5(b)のような表示に切り替わる。表示ユニット4にはコピーモードでの各種設定のメニューが表示され、パネルカバー11はコピーモードで使用するキーのみが表示される。使用者は、上下2つの矢印キー101fのいずれかにタッチして紙種4eを設定する。左右2つの矢印キー101fのいずれかにタッチしてコピー濃度4fを設定する。‘+’キー、‘−’キーのいずれかにタッチしてコピー枚数4gを設定する。プレビュー4h、各種コピー4i、詳細設定4jの各機能の選択は、それぞれの下部にある3つのファンクションキー101aのいずれかにタッチして行なう。ホームキー101bまたは戻るキー101cにタッチすると、コピーモードを抜けて、図5(a)の初期表示に戻る。
【0031】
図5(b)のように、コピーモードでは使用しないキーは、バックライトが消灯して不可視にされる。不可視にされたキーはもし使用者がタッチしても反応しないように入力が無効とされる。なお、スキャンモードを選択した場合も同様に、スキャンモードでは使用しないキーは、バックライトが消灯して不可視にされ、且つ不可視にされたキーは入力が無効とされる。コピーモードやスキャンモードでは原稿読取面2に原稿を置いてセットするので、使用者は原稿圧板6の端部を掴んで開閉する。その際にパネルカバー11に指が触れて誤動作を引き起こす可能性を小さくすることができる。
【0032】
設定が済んだら、使用者はモノクロコピーキー101h、またはカラーコピーキー101iのいずれかにタッチする。モノクロコピー(スキャンモードであればモノクロ画像スキャン)とカラーコピー(スキャンモードであればカラー画像スキャン)のいずれかの実行が開始される。原稿読取面2に置かれた原稿が読取部のスキャナで読み取られる。コピーモードであれば更に読み取りで取得された画像データに基づいて記録部でシートにプリントが行なわれる。このとき、表示ユニット4とパネルカバー11表示状態は、図5(c)のように切り替わる。読取実行中に操作が可能なのは、コピーまたはスキャンの中断を指示するためのStopキー101jと電源ボタン111のみである。表示ユニット4には「コピー中」(スキャンモードであれば「読取中」)と表示され、パネルカバー11はStopキー101jと電源ボタン111を除いて不可視となる。不可視となったキーはタッチしても反応しない。厚いブック原稿を原稿読取面2に載せた場合には、原稿面を原稿読取面2に密着させるため、使用者が原稿圧板6の操作パネルの上を両手で押さえ付ける場合がある。その際に、パネルカバー11のスイッチに手が触れたとしても、Stopキー101jと電源ボタン111以外であればスイッチは感応しないので、不用意な入力は防止される。加えて、使用者が原稿圧板で原稿を押さえ付ける際にはほとんどのバックライトが消灯するのでスイッチの存在感がなくなり、使用者が操作パネルを押さえ付ける心理的な抵抗が少なくなる利点もある。
【0033】
制御部5の制御により、図5(a)または図5(b)の状態で一定時間操作しない状態で放置しておくと自動的に省電力のスリープモードに移行する。スリープモードでは、表示ユニット4ならびにパネルカバー11の操作キーはすべてバックライトを消灯して、図2(a)のような状態となる。スリープモードではバックライトを消灯するが、すべての操作キーの入力は有効となっている、使用者が任意の操作キーの部分に触れると、これを検知してスリープモードから通常モードに復帰する。このように、通常モードよりも電力消費が小さいスリープモードを有し、通常モードでは入力が有効なタッチスイッチに対応したバックライトを点灯し且つ入力が無効なタッチスイッチに対応したバックライトを消灯する。スリープモードでは複数すべてのバックライトを消灯して且つタッチスイッチの入力は有効にする。
【0034】
以上説明したように本実施例の装置によれば、原稿圧板の上面に静電容量式のタッチスイッチを有する操作パネルが設けられている。タッチスイッチには静電容量と感圧式があるが、静電容量式は感圧式よりもスイッチ面を強固にすることができる。使用者が画像読取装置の原稿圧板に手を置いて原稿を押さえ付ける際にスイッチ面を押したとしても、より大きな押さえ力に耐えることができる。また、画像入力装置の原稿圧板の上面はもっとも物が触れ易い露出面であり、使用者が不用意に異物をぶつけたり飲料液などをこぼす可能性が大きい。静電容量式のスイッチ面は感圧式よりも、そのような局所的な衝撃や液体付着に対しても耐性が高い。
【0035】
また、本実施例の装置によれば、複数のタッチスイッチは独立に点灯と消灯が可能なバックライトを備え、動作モードに応じて複数のタッチスイッチのバックライトの点灯と消灯の状態を変化させる。入力が有効なキーに対応したバックライトだけを発光させるようにすれば、操作に不慣れな使用者にも混乱を与えることはない。加えて、使用者が原稿圧板で原稿を押さえ付ける際に使用しないキーに対応したタッチスイッチのバックライトが消灯していればスイッチの存在感がなくなるので、操作パネルに手を掛けるのにも心理的な抵抗が少ない。
【0036】
また、スリープモードではすべてのキーに対応したタッチスイッチのバックライトを消灯させ且つ入力は有効となるようにして、使用者はパネルの任意の場所を押すだけでスリープモードからの容易に復帰させることができる。
【0037】
また、第1スイッチの位置に対応して設けたパネルカバー表面の窪みによって指をガイドし且つ第2スイッチとの検知感度差を生み出し、簡素な構成で高い操作性と信頼性を実現している。とくにジョグホールにリング状の窪みを設けたことの効果は大きい。
【符号の説明】
【0038】
1 パネル部
2 原稿読取面
3 記録部
4 表示ユニット
5 制御部
6 原稿圧板
11 パネルカバー
12 弾性体シート(ゲルシート)
13 導光体群
14 弾性体シート(ゲルシート)
15 パネル基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿読取面に置かれた原稿を読み取る読取部と、
前記原稿読取面に対して開閉可能な原稿圧板と、
それぞれバックライトを備えた複数のタッチスイッチを有する操作パネルと、
前記読取部で読み取りを行う際に、読み取りの中断を指示するタッチスイッチのバックライトを点灯し、その他のタッチスイッチの一部または全部のバックライトを消灯するように制御する制御部、
を有することを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
原稿読取面に置かれた原稿を読み取る読取部と、
前記原稿読取面に対して開閉可能な原稿圧板と、
それぞれバックライトを備えた複数のタッチスイッチを有する操作パネルと、
前記読取部で読み取りを行う動作を伴うモードでは、読み取りに関わるタッチスイッチのバックライトを点灯し且つ読み取りに関わらないタッチスイッチのバックライトを消灯するように制御する制御部、
を有することを特徴とする画像読取装置。
【請求項3】
前記読み取りを行う動作を伴うモードは、前記原稿読取面に置かれた原稿を読み取るスキャンモード、前記原稿読取面に置かれた原稿を読み取ってコピープリントを行うコピーモードのいずれかであることを特徴とする、請求項2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記制御部は、バックライトを点灯したタッチスイッチの入力は有効にし、且つバックライトを消灯したタッチスイッチの入力は無効にするように制御することを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記操作パネルは、前記複数のタッチスイッチそれぞれの位置に透過図形部が形成されたパネルカバーを有し、前記タッチスイッチそれぞれに対応して、静電容量を検知する電極および前記バックライトが設けられていることを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載の画像読取装置。
【請求項6】
前記操作パネルは、表面から順に、前記パネルカバー、透光性の第1弾性体シート、前記複数のタッチスイッチに対応して設けられた導光体群、透光性の第2弾性体シート、および、前記電極と前記バックライトの光源が実装された基板とを備えた積層構造を有することを特徴とする、請求項5に記載の画像読取装置。
【請求項7】
前記操作パネルは、前記原稿圧板の上面に設けられていることを特徴とする、請求項1から6のいずれか1項に記載の画像読取装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−170146(P2012−170146A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−119868(P2012−119868)
【出願日】平成24年5月25日(2012.5.25)
【分割の表示】特願2010−82825(P2010−82825)の分割
【原出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】