説明

画像転送方法,装置および画像形成装置

【課題】 コントローラおよび汎用バスを介してプロッタに画像データを転送する場合の、コントローラ側の、転送終了の待ち状態を解消し、画像処理の生産性を上げる。
【解決手段】 転送の起動信号VENを発生し転送元8の特定アドレス領域から転送先13に汎用バス9を介して画像を転送する装置において、汎用バス上のクロックをカウントする第1カウント手段;起動信号VENが発生した後に、汎用バス上に特定アドレス領域に対するアクセスが無いとき第1カウント手段をカウント可としアクセスがあると第1カウント手段を初期化するカウント制御手段;および、第1カウント手段が第1設定値をカウントすると終了信号を発生する終了判定手段;を備える。更に、起動信号VENが発生すると転送量をカウントする第2カウント手段を備え、第2カウント手段が第2設定値をカウントした後第1カウント手段を動作可とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多くのコンピュータで採用されている汎用バス、例えばPCIバス、を用いる画像転送および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
【特許文献1】特開2003−229985号公報,
【特許文献2】特開2002−278917号公報。
【0003】
例えば、両面同時印刷,複数原稿の1頁印刷等、複数の印刷ジョブが発生する融合機において従来、コピーアプリ,プリンターアプリ,FAXアプリ等、各アプリ(アプリケーションプログラム;用途処理プログラム)が、画像スキャナ,プリンタ,画像データ処理回路等のエンジンに対して直接に、画像読出し,書込み要求を行っていた。このため、各アプリは、各アプリ内での両面印刷などの複数の印刷ジョブを考慮し、各アプリ内での生産性が高くなるように、要求の入れ替えなどを行うが、それぞれのアプリが並行して実行されることがあり、かえって生産性を落とすことになってしまっていた。
【0004】
特許文献1は、これを解決するために、複数の印刷ジョブが発生する融合機において、高い生産性を得ることができる画像処理装置および印刷制御方法を提供するものである。しかし、コントローラとエンジンとが、多くのコンピュータで拡張バスの標準として採用されている、汎用バスであるPCIバスを介してデータ転送を行う上で、コントローラが予定しているデータ量が転送されない場合、エンジン側からの通知がくるまで、コントローラが待ちの状態になってしまうため、生産性が落ちることが考えられるが、これを解決するものではない。
【0005】
特許文献2に記載の画像データ転送システムによれば、画像データ格納ブロックと、画像処理ブロックとがPCIバスで接続され、画像処理ブロックが、画像データ格納ブロックから1ラインのデータを入力した後に、画像データ格納ブロックに対してラインデータ転送終了を示すPCIアクセスをその都度行うようにしているので、このラインデータ転送終了を示すPCIアクセスで画像データ格納ブロック側は、画像処理ブロックの進行状況を把握することができる。これにより、画像処理ブロックが何らかの理由で異常状態を画像データ格納ブロックに伝えることができない場合でも、画像データ格納ブロックが、画像処理ブロックからの異常通知、または、転送終了通知を待つことなく、速やかに、次の処理に移ることができる。
【0006】
しかしながら、この技術は、ラインデータ転送終了を示すPCIアクセスを、ラインデータ転送終了ごとに毎回実行するということを前提としている。このため、その様な約束ごとが存在しないブロックには、仕様を変更しないと適用できない。また、ラインデータ転送終了を示すPCIアクセスにより、PCIバスを使用するため、PCIバスに余裕がない場合、PCIバスの帯域を満足できないという問題が発生する可能性がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
コントローラとエンジン部分とがPCIバスを介して構成されるデジタル複写機において、エンジン側のプロッタからのデータ転送要求に応じて、PCIバスを介して、コントローラがPCIバスのターゲットとなって、例えば画像メモリの画像データをプロッタに転送して、画像をプロッタ出力するときに、コントローラが想定している転送ライン数とエンジン側が実際にリードアクセスを実行するライン数が一致しない場合がある。例えば、サイズ混載や不定サイズなどで、コントローラに対し、事前に正確なライン情報が渡せない場合があり、この場合、コントローラ側には、実際よりも大きいサイズのライン数を設定するので、エンジン側は、転送を終了しているのに、コントローラ側は、設定されているライン数分の転送が行われないため、まだ、転送途中であると考え、コントローラに待ちの状態が発生し、コントローラは最終的に、エンジン側から終了通知を受け、終了を認識する。この場合、待ちの状態が発生してしまうため、生産性を落とすことになり、生産性向上のための方法が望まれていた。
【0008】
本発明は、該待ち状態を解消することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)転送元(8)の特定のアドレス領域から転送先(13)に汎用バス(9)を介して画像データを転送する画像転送方法において、
前記転送元(8)から転送先(13)への画像データの転送を開始した後、前記汎用バスに前記特定のアドレス領域に対するアクセス(VideoOut)が無い期間は前記汎用バス上の画像データ転送のクロックをカウントし前記アクセスがあると該カウントを初期化し、第1設定値のカウントをしたときは、終了信号を発生する、ことを特徴とする画像転送方法。
【0010】
なお、理解を容易にするために括弧内には、図面に示し後述する実施例の対応又は相当要素の記号もしくは対応事項を、例示として参考までに付記した。以下も同様である。
【発明の効果】
【0011】
転送先(13)からの転送完了の報知を待つことなく、前記終了信号に基づいて転送完了を迅速に認識することができる。このため、画像処理の高い生産性を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
(2)第1設定値は、レジスタに設定される値である、上記(1)に記載の画像転送方法。ソフトウエアによりレジスタに任意の値を設定できるので、画像転送速度が低速仕様から高速仕様まで、仕様に合わせて、誤検出することなく転送速度が最短となる値を設定できる。
【0013】
(3)前記転送元(8)から転送先(13)への画像データの転送を開始した後第2設定値の画像転送が行われてから、前記汎用バスに前記特定のアドレス領域に対するアクセス(VideoOut)が無い期間は前記汎用バス上の画像データ転送のクロックをカウントし前記アクセスがあると該カウントを初期化し、第1設定値のカウントをしたときは、終了信号を発生する、上記(1)又は(2)に記載の画像転送方法。
【0014】
これによれば、最初に複数ライン分を一度に読み出し、その後、1ライン分のメモリが空くごとに新規の転送を行おうとする転送先(13)の構成に対しても、画像処理の高い生産性を維持できるようにすることができる。
【0015】
(4)第2設定値は、レジスタに設定される値である、上記(3)に記載の画像転送方法。これによれば、最初の2ラインのみ連続してリードアクセスに来る、最初の4ラインのみ連続してリードアクセスに来る等、転送先(13)の様々な特性に柔軟に対応することが可能になる。
【0016】
(5)前記特定のアドレス領域は複数であり、各特定のアドレス領域の前記転送元(8)から転送先(13)への画像データの転送を開始した後、各特定のアドレス領域に対してそれぞれ、前記汎用バスに各特定のアドレス領域に対するアクセス(VideoOut)が無い期間は前記汎用バス上の画像データ転送のクロックをカウントし前記アクセスがあると該カウントを初期化し、第1設定値のカウントをしたときは、終了信号を発生する、上記(1)乃至(4)のいずれか1つに記載の画像転送方法。これによれば、それぞれ領域ごとに、異なる色情報又はモノクロ画像を転送するカラー画像転送,両面画像転送への適合性が高くなる。
【0017】
(6)前記終了信号を発生した後は、前記特定のアドレス領域とは別個のアドレス領域の前記転送元(8)から転送先(13)への画像データの転送開始を、前記カウントの開始条件とする、上記(1)乃至(5)のいずれか1つに記載の画像転送方法。これによれば、同一の特定のアドレス領域の画像転送に対し、不正に複数回の終了信号(割り込み要因)を発生することなく、画像転送の制御をソフトウエア処理で適切に行うことができる。
【0018】
(7)前記終了信号に応答する割り込み処理により、前記特定のアドレス領域の画像転送を終了する、上記(1)乃至(6)のいずれか1つに記載の画像転送方法。これによれば、画像転送の起動信号を継続してイネーブル(H)にしておく必要がないことを認識できるので、ディスエーブル(L)にして、次回の画像転送に迅速に備えることができる。
【0019】
(8)前記汎用バス(9)は、PCIバスである、上記(1)乃至(7)のいずれか1つに記載の画像転送方法。
【0020】
(9)画像転送の起動信号(VEN)を発生し転送元(8)の特定のアドレス領域から転送先(13)に汎用バス(9)を介して画像データを転送する画像転送装置において、
前記汎用バス(9)上のクロックをカウントする第1カウント手段;
前記画像転送の起動信号(VEN)が発生した後に、前記汎用バス(9)上に前記特定のアドレス領域に対するアクセスが無いときには第1カウント手段をカウント可とし該アクセスがあると第1カウント手段のカウントを初期化するカウント制御手段(303);および、
第1カウント手段が第1設定値をカウントすると終了信号を発生する終了判定手段(303の比較器);を備えることを特徴とする画像転送装置。
【0021】
(10)前記カウント制御手段(303)は、第1設定値が書き込まれるレジスタを含む、上記(9)に記載の画像転送装置。
【0022】
(11)前記カウント制御手段(303)は、前記画像転送の起動信号が発生すると前記特定のアドレス領域の画像転送量をカウントする第2カウント手段を含み、第2カウント手段が第2設定値をカウントした後前記汎用バス(9)上に前記特定のアドレス領域に対するアクセスが無いときに第1カウント手段をカウント可とする;上記(9)又は(10)に記載の画像転送装置。
【0023】
(12)前記カウント制御手段(303)は、第2設定値が書き込まれるレジスタを含む、上記(11)に記載の画像転送装置。
【0024】
(13)前記、第1カウント手段,カウント制御手段(303)および終了判定手段(303の比較器)の組体が複数である、上記(9)乃至(12)のいずれか1つに記載の画像転送装置。
【0025】
(14)前記終了信号に応答する割り込み処理により、前記特定のアドレス領域の画像転送を終了する終了制御手段(2)を備える、上記(9)乃至(13)のいずれか1つに記載の画像転送装置。
【0026】
(15)前記汎用バスは、PCIバスである、上記(9)乃至(14)のいずれか1つに記載の画像転送装置。
【0027】
(16)前記転送先(13)は画像データが表す画像を用紙上に形成するプロッタである、上記(9)乃至(15)のいずれか1つに記載の画像転送装置を備える画像形成装置。
【実施例1】
【0028】
図1に、本発明の1実施例のデジタル複写機を示す。1はコントローラである。2はCPUであり、3のROMに記憶されているプログラムに従って、RAM4を使用しながら処理を実行していく。この制御を行うのが、ASIC(Application Specific IC)6であり、HDD7および画像処理用のRAM(半導体メモリモジュール)8や、ネットワーク5のインタフェースおよびPCIバス9の制御も行う。コントローラ1は、PCIバス9を介して、エンジン11と接続されている。本実施例では、エンジン11には、原稿画像を読み取って画像データを出力するスキャナ12、および、画像データが表す画像を用紙上に形成するプロッタ(プリンタ)13がある。
【0029】
コントローラ1には、操作ボード14が接続されており、ユーザは操作ボード14上のキーを操作して複写およびファクシミリ通信の設定と実行(スタート)を入力できる。コントローラ1にはネットワーク(LAN)が接続されており、該ネットワークに接続されたパソコンPCからコントローラ1に印刷を指示することができる。複写指示が与えられたとき複写枚数が一枚のモノクロのときには、スキャナ12が原稿を読み取って得た画像データがプロッタ13に転送される。しかし、複数枚の複写又は印刷もしくはカラー複写又は印刷のときには、画像データはRAM8に書き込んだ後、RAM8から読み出してプロッタ13に転送される。
【0030】
PCIバス9は、エンジン11との接続を行うとともに、オプション10とのインタフェースを行うこともできる。なお、オプション10は、機能拡張を行うもので、例えばIEEE1394のオプションコントローラを接続することで、IEEE1394を介して他の機器と接続するためのハード環境を提供することなどが可能となる。
【0031】
図2に、ASIC6の内部の一部の構成を示す。なお、コントローラ1およびASIC内の、パソコンPCからの印刷文書データをイメージデータに変換しRAM8に書込むテキストデータ処理系の構成要素,操作ボード14とのインターフェース,ファクシミリ通信の構成要素等の図示は省略した。
【0032】
ASIC6は、CPUインタフェースCPU I/F 201,メモリコントローラMEMC 202,ハードディスクコントローラHDDC 203,PCIコントローラPCIC 204,ネットワークコントローラNETC 205,スキャナデータやプロッタデータを制御するためのビデオコントローラVIDEOC 206,DMAコントローラであるDMAC1 207,DMAC2 208およびDMAC3 209を持ち、また、メモリアクセスの調停のためのアービタARB 210を持つ。なお、画像転送の起動信号は、ビデオコントローラVIDEOC 206で生成され、PCIコントローラPCIC 204にも供給される。
【0033】
211は内部レジスタコントローラIREQであり、CPU2からのコマンドに応じてASIC内蔵の制御レジスタのライト,リードなどを制御する。212は割り込みコントローラINTCであり、ASIC内部の各割り込み要因を受け、割り込み要因保持,マスク処理などを行い、CPU2に割り込みを通知する処理などを行う。
【0034】
図3は、PCIコントローラPCIC 204の内部の構成を示すものである。図3において、301はバスインターフェースBUS IFであり、PCIバス9とのデータのやり取りの直接の制御を行う。302は制御レジスタCONT REGであり、PCIコントローラ204の全体の制御を行う。制御レジスタCONT REG 302は、内部バス306を経由して、前記内部レジスタコントローラIREQ 211経由でCPU2からリード/ライトアクセス制御され、ASIC6内の各種レジスタの設定,ステータスリードなどを行なう。303は、デコーダ1,カウント制御レジスタ1,カウンタ1,比較器1およびコントロールレジスタ1を含む第1タイミング手段であり、304は同様に、デコーダ2,カウント制御レジスタ2,カウンタ2,比較器2およびコントロールレジスタ2を含む第2タイミング手段である。
【0035】
第1タイミング手段303の各要素の機能は次のとおりであり、第2タイミング手段304の各要素の機能も同様である:
デコーダ1:PCIバス9を介し、ASIC6にターゲットアクセスされ実行されたアドレスをモニターし、それが対象領域(画像転送を行う特定のアドレス領域)であるかどうかを判断する;
カウント制御レジスタ1:何ライン目から割り込み対象(転送終了を判定する対象)とするかの第2設定値、また、PCIバス9上で、対象領域に対するアクセス(VideoOut)間断している期間(PCIバス上クロック数)を対象領域の転送終了と見るか否かの閾値とする第1設定値を、ソフトウエアで設定するための各レジスタ。
【0036】
カウンタ1:転送のラインを示すラインカウンタとクロック数をカウントするクロックカウンタの2個のカウンタを持つ。
【0037】
ラインカウンタは、画像転送の起動信号にてカウントを開始し、設定される主走査データ量(1ラインで転送されるデータ量)と、実際に転送されたデータ量から何ライン目のデータ転送を実施しているか、転送ライン数をカウントする。カウント制御レジスタ1には、ラインカウンタに対する第2設定値を書込むレジスタがあり、このレジスタの第2設定値が画像転送の起動信号(Hレベル)が発生したときにラインカウンタにプリセットされ、ラインカウンタは、画像データの転送ライン数をプリセット値からダウンカウントして、プリセット値分の転送ライン数をカウントするとカウントオーバ信号を発生し、クロックカウンタをカウント可とする。したがって第2設定値は、クロックカウンタのカウント開始タイミングを定めるものである。画像転送の起動信号(Hレベル)が発生してから、ラインカウンタが第2設定値分の転送ライン数をカウントし終わるまで(図4の期間t1)は、クロックカウンタは動作しない。
【0038】
クロックカウンタは、ラインカウンタが設定ライン数をカウントしてカウントオーバ信号を発生した後、PCIバス9に画像転送を行う特定のアドレス領域に対するアクセス(VideoOut)が無いと、すなわちPCIバス9上に画像転送が無いと、PCIバス9のクロック(転送同期パルス)のカウントを開始し、PCIバス9に画像転送を行う特定のアドレス領域に対するアクセス(VideoOut)が発生する毎に、すなわちPCIバス9上に画像転送がある毎に、カウント値を初期化(クリア)し、PCIバス9上に画像転送が無くなるとまたカウントを開始し、これを画像転送の起動信号がアサ−トされている間すなわち画像転送指定レベル(H)を維持する間、繰り返す。
【0039】
比較器1:カウント制御レジスタ1のレジスタのクロック数設定値である第1設定値と、クロックカウンタのカウント値と比較し、カウント値がクロック数設定値(第1設定値)に達するとカウントオーバ信号(終了信号)を発生する。この信号が割り込み要因の発生を意味する。
【0040】
コントロールレジスタ1:比較器1から割り込み要因(第1設定値分のクロックをカウント完了したカウントオーバ信号:終了信号)が発生した場合、次の画像転送の起動信号が有効となるまで、カウンタ1や比較器1の状態を初期化しておくなど、第1タイミング手段303全体の制御を行う。
【0041】
ラインカウンタにプリセットされる第2設定値は、クロックカウンタおよび比較器1による割り込み要因が発生した(転送終了)か否かを判定する終了判定動作を開始可能にするタイミングを定めるものである。画像転送の起動信号が発生すると直ちに該判定動作を開始可能にすることもできるが、そうすると長期間判定動作を繰り返すことになる。転送対象とする特定の領域には実質的に最小サイズを定めることができ、最小サイズ分の画像転送をしている期間は、実質的に上記判定動作をする必要はない。むしろ、上記判定動作をしている間のノイズ等何らかの不具合によるクロックカウンタおよび又は比較器1の誤動作による誤判定(割り込み要因の誤発生)の可能性を低減するために、最小サイズ分の画像転送をしている期間は上記判定動作は実行しないのが好ましい。この観点から本実施例では、ラインカウンタおよび第2設定値を用いて、CONT REG 302内のレジスタを介してラインカウンタに第2設定値をプリセットして、上記最小サイズ分相当の第2設定値分の画像転送を終えてから、上記判定動作を開始するようにした。CONT REG 302内のレジスタにはソフトウエアによって第2設定値を書き込むので、第2設定値は調整可能であり、変更することができる。
【0042】
第1設定値は、PCIバス9上で画像転送が終了しているかを判定するための閾値である。特定の領域の画像転送の場合、ハードウエアおよびソフトウエアの設定により、PCIバス9上で画像転送中の画像データブロックの転送間隔には上限値があり、該上限値を超える期間画像転送が現れないと、特定の領域の画像転送は終了したと見なすことができる。この終了判定の閾値が上記第1設定値であり、CONT REG 302内のレジスタにソフトウエアによって書き込まれるものである。第1設定値も調整可能であり、変更することができる。
【0043】
307は、ビデオコントローラVIDEOC 206からPCIバスコントローラPCIC 204への主走査データ量,画像転送の起動信号の送信ラインである。308は、PCIバス9からASIC6にターゲットアクセスされるアドレス/ライトデータバスである。309は、PCIバス9からASIC6にターゲットアクセスされる場合に、リードデータを渡すためのデータバスである。RAM8の画像データをプロッタ13に転送する場合には、RAM8からASIC6を介してプロッタ13に画像データを転送する場合、RAM8から読み出した画像データがデータバス309を介してBUS IF 301に流れ、そしてBUS IF 301からPCIバス9を介してプロッタ13に転送される。このRAM8からの画像データの読み出しからプロッタ13への転送は、一頁画像上の1部分を切り出すように、小領域区分で順次に行われる。この小領域区分を「特定のアクセス領域」と表現した。
【0044】
310は、第1タイミング手段303が割り込み要因(終了信号)を発生した時に、それを割り込みコントローラINTC 212に通達するための、1クロック幅のパルスである割り込み要求信号1を出力するラインである。同様に、311は、第2タイミング手段304が割り込み要因を発生した時に、それを割り込みコントローラINTC 212に通達するための、1クロック幅のパルスである割り込み要求信号2を出力するラインである。
【0045】
図4に、RAM8の1頁画像の先頭の16ライン分相当の画像データを、RAM8からプロッタ13へ転送したと想定した場合の、第1タイミング手段303のカウント動作と割り込み要因発生(終了信号発生)との関係を示す。VENは、ビデオコントローラVIDEOC 206が発生する、「画像転送の起動信号」であり、この信号が画像転送の最初のクロックでイネーブルとなり、PCIバス9上で画像転送が行われる。ここでは、16ライン(第2設定値)分は割り込み要因とならないように、ラインカウンタのプリセット値に設定しているので、カウンタ1内のラインカウンタのカウントデータが0〜15を示している、カウント値16になるまでの期間t1は、カウンタ1内のクロックカウンタは動作しない。期間t1が過ぎたところで、ASIC6のPCIコントローラPCIC 204(のバスインターフェースBUS IF 301)までの、16ラインの画像転送が完了し、ラインカウンタのカウント値は16(=第2設定値)となり、ここから、PCIバス9上の画像転送(VideoOut)が無い期間の、PCIバス9上のクロックのカウントを、クロックカウンタが開始する。期間t2の最後のところでPCIバス9上の画像転送(VideoOut)を検出するので、クロックカウンタをクリアし該画像転送がなくなるとクロック毎のカウントを再開する(期間t3)。しかしまたPCIバス9上の画像転送(VideoOut)を検出するので、クロックカウンタはクリアされ該画像転送がなくなるとクロック毎のカウントを再開する(期間t4)。
【0046】
その後期間t4の最後で、クロックカウンタが6になったので、予め設定されている値6(第1設定値)と一致し、比較器1がカウントオーバ信号(終了信号)を発生し、割り込み信号を1クロック分High(H)にアサ−トする。すなわち割り込み信号を発生する。この割り込み信号(1クロックアサートされた信号)は、割り込みコントローラINTC 212で保持される。割り込みコントローラINTC 212は、この割り込み信号に対し、マスク(割り込み禁止)されていなければ、CPU2に割り込みを発生させる。すなわちCPU2に割り込み信号を与える。
【0047】
CPU2は割り込み信号を受けると、CPU2(の指示に基づいてビデオコントローラVIDEOC 206)が予定(設定)した画像転送の起動信号(VEN=Hレベル)の継続時間(VIDEOC 206が画像転送の起動信号を無意Lレベルに切り換えるタイミング)よりも短い時間(早いタイミング)で画像転送が終了したこと、すなわち、画像転送が設定した予定サイズより短いサイズで転送したことを認識し、そのため、その時点ではCPU2(ビデオコントローラVIDEOC 206)による、設定したタイミングでの自動的な、画像転送の起動信号のクリア(消去)がなされないので、ソフトウエアでクリアする必要があることを認識し、CPU2がビデオコントローラVIDEOC 206に指示して画像転送の起動信号VEN(H)をクリアする。そして、本割り込み信号に対する、割り込みコントローラINTC 212のペンディングビット、すなわち割り込み要を表わす信号、をクリアする。この処理により、エンジン11のプロッタ13から転送完了通知を受けることなく、迅速に画像転送の起動信号をクリアすることができる。
【0048】
また、画像転送の起動信号VENが、無意レベルLから有意レベルHに立ち上がることを条件にASIC6のPCIコントローラPCIC 204(のバスインターフェースBUS IF 301)への画像データの転送量が第2設定値(16ライン分)に達してから、PCIバス上で画像転送が無い期間のクロックをカウントするクロックカウントを可能にし、クロックカウント値が第1設定値6に達すると、画像転送の起動信号を消去するための割り込み信号を発生し、その後は再度画像転送の起動信号が発生するまで上記カウントを開始しないので、すなわち、割り込みを発生させて通知するための要因検出後、新規に割り込みを発生させて通知するための要因を検出するのは、新規に画像転送の起動信号を受けることが条件であるように構成しているので、同一の要因(1回の画像転送の起動信号)に対し、不正に複数回の割り込み要因を発生することがない。
【0049】
また、最初に複数ライン分の画像データをRAM8から一度に読み出し、その後、転送データを格納する転送先側のバッファメモリで1ライン分のメモリが空くごとに新規の転送を行おうとする転送先(13)の構成に対しても、適用できる。この場合は、最初に複数ライン分の画像データを転送するときには第2設定値を該複数ライン分の値とし、1ライン分ごとの転送を行うときには第2設定値を1ライン分の値、又は、0とする。
【0050】
また、上記実施例では第1タイミング手段303と第2タイミング手段304を用いて個別に各アドレス領域の画像転送のタイミングを制御することができる。すなわち、2つの特定のアドレス領域のそれぞれにつき、転送元例えばRAM8から転送先例えばプロッタ13への画像データの転送を開始した後、各特定のアドレス領域に対してそれぞれ、汎用バス9に各特定のアドレス領域に対する転送アクセス(VideoOut)が無い期間は汎用バス9上の画像データ転送のクロックをカウントし転送アクセスがあると該カウントを初期化し、第1設定値のカウントをしたときは、該カウントが宛てられた特定のアドレス領域に対する画像転送の終了信号を発生する。
【0051】
また例えば、Y,M,C,Bk各色作像ユニットをタンデム配列した、各色用画像転送タイミングに時間差の存在する、タンデムカラープロッタには、各色用に1つ、合計4組のタイミング手段(303相当のもの)を備えるなど、複数の特定のアドレス領域に対してそれぞれカウントできるように構成することにより、画像転送タイミングに時間差の存在するタンデムカラープロッタのエンジンにも対応できる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の画像転送方法を実施する画像転送装置を装備したデジタル複写機の構成の大略を示すブロック図である。
【図2】図1に示すASIC6の、主に画像データ転送に関わる構成要素を示すブロック図である。
【図3】図2に示すPCIバスコントローラPCIC 204の一部の機能要素の概要を示すブロック図である。
【図4】図3に示す第1タイミング手段303の入出力信号および内部信号の発生タイミングを示すタイムチャートである。
【符号の説明】
【0053】
9:PCIバス
201:CPUインタフェース CPU I/F
202:メモリコントローラ MEMC
203:ハードディスクコントローラ HDDC
204:PCIコントローラ PCIC
205:ネットワークコントローラ NETC
206:ビデオコントローラ VIDEOC
207:DMAコントローラ DMAC1
208:DMAコントローラ DMAC2
209:DMAコントローラ DMAC3
210:アービタ ARB
211:内部レジスタコントローラ IREQ
212:割り込みコントローラ INTC
301:バスインターフェース BUS IF
302:制御レジスタ CONT REG
303:第1タイミング手段
304:第2タイミング手段
306:CPU2がリード/ライトアクセス制御するための内部バス
307:画像転送の起動信号の送信ライン
308:アドレス/ライトデータバス
309:データバス
310:割り込み要求信号出力ライン
311:割り込み要求信号出力ライン
VEN:画像転送の起動信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
転送元の特定のアドレス領域から転送先に汎用バスを介して画像データを転送する画像転送方法において、
前記転送元から転送先への画像データの転送を開始した後、前記汎用バスに前記特定のアドレス領域に対するアクセスが無い期間は前記汎用バス上の画像データ転送のクロックをカウントし前記アクセスがあると該カウントを初期化し、第1設定値のカウントをしたときは、終了信号を発生する、ことを特徴とする画像転送方法。
【請求項2】
第1設定値は、レジスタに設定される値である、請求項1に記載の画像転送方法。
【請求項3】
前記転送元から転送先への画像データの転送を開始した後第2設定値の画像転送が行われてから、前記汎用バスに前記特定のアドレス領域に対するアクセスが無い期間は前記汎用バス上の画像データ転送のクロックをカウントし前記アクセスがあると該カウントを初期化し、第1設定値のカウントをしたときは、終了信号を発生する、請求項1又は2に記載の画像転送方法。
【請求項4】
第2設定値は、レジスタに設定される値である、請求項3に記載の画像転送方法。
【請求項5】
前記特定のアドレス領域は複数であり、各特定のアドレス領域の前記転送元から転送先への画像データの転送を開始した後、各特定のアドレス領域に対してそれぞれ、前記汎用バスに各特定のアドレス領域に対するアクセスが無い期間は前記汎用バス上の画像データ転送のクロックをカウントし前記アクセスがあると該カウントを初期化し、第1設定値のカウントをしたときは、終了信号を発生する、請求項1乃至4のいずれか1つに記載の画像転送方法。
【請求項6】
前記終了信号を発生した後は、前記特定のアドレス領域とは別個のアドレス領域の前記転送元から転送先への画像データの転送開始を、前記カウントの開始条件とする、請求項1乃至5のいずれか1つに記載の画像転送方法。
【請求項7】
前記終了信号に応答する割り込み処理により、前記特定のアドレス領域の画像転送を終了する、請求項1乃至6のいずれか1つに記載の画像転送方法。
【請求項8】
前記汎用バスは、PCIバスである、請求項1乃至7のいずれか1つに記載の画像転送方法。
【請求項9】
画像転送の起動信号を発生し転送元の特定のアドレス領域から転送先に汎用バス(9)を介して画像データを転送する画像転送装置において、
前記汎用バス上のクロックをカウントする第1カウント手段;
前記画像転送の起動信号が発生した後に、前記汎用バス上に前記特定のアドレス領域に対するアクセスが無いときには第1カウント手段をカウント可とし該アクセスがあると第1カウント手段のカウントを初期化するカウント制御手段;および、
第1カウント手段が第1設定値をカウントすると終了信号を発生する終了判定手段;を備えることを特徴とする画像転送装置。
【請求項10】
前記カウント制御手段は、第1設定値が書き込まれるレジスタを含む、請求項9に記載の画像転送装置。
【請求項11】
前記カウント制御手段は、前記画像転送の起動信号が発生すると前記特定のアドレス領域の画像転送量をカウントする第2カウント手段を含み、第2カウント手段が第2設定値をカウントした後前記汎用バス上に前記特定のアドレス領域に対するアクセスが無いときに第1カウント手段をカウント可とする;請求項9又は10に記載の画像転送装置。
【請求項12】
前記カウント制御手段は、第2設定値が書き込まれるレジスタを含む、請求項11に記載の画像転送装置。
【請求項13】
前記、第1カウント手段,カウント制御手段および終了判定手段の組体が複数である、請求項9乃至12のいずれか1つに記載の画像転送装置。
【請求項14】
前記終了信号に応答する割り込み処理により、前記特定のアドレス領域の画像転送を終了する終了制御手段(2)を備える、請求項9乃至13のいずれか1つに記載の画像転送装置。
【請求項15】
前記汎用バスは、PCIバスである、請求項9乃至14のいずれか1つに記載の画像転送装置。
【請求項16】
前記転送先は画像データが表す画像を用紙上に形成するプロッタである、請求項9乃至15のいずれか1つに記載の画像転送装置を備える画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2007−288461(P2007−288461A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−112886(P2006−112886)
【出願日】平成18年4月17日(2006.4.17)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】