説明

画像送信装置、画角制御方法、画像受信装置、画像表示システム、画像表示方法

【課題】テレビ会議システムにおいて、できるだけ簡単な操作と、単純なシステム構成と制御処理によって、表示される撮像画像を所望のサイズに変更できるようにする。
【解決手段】撮像部による撮像に基づいて得られる画像信号を送信する画像送信装置において、画像受信装置側の表示装置が有する表示画面部の物理的なサイズを示す物理画面サイズ情報と、表示画面部にて表示させる画像における被写体についての実サイズに対する倍率を指示する情報である表示倍率指示情報とを、画像受信装置から送信してもらうことで取得する。画像送信装置は、測距により得た被写体間距離と、上記物理画面サイズ情報とに基づいて、上記表示倍率指示情報が示す表示倍率が実際の表示画像上において得られるように撮像部の画角制御を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばテレビ会議システムにおける端末装置などとして利用され、撮像により得た画像信号を送信することが可能とされる画像送信装置と、この画像送信装置から送信される画像信号を受信して表示出力のための処理を実行可能な上記画像受信装置と、これら画像送信装置、画像受信装置が、画像送信装置側の撮像部の画角を可変制御する際の画角制御方法に関する。また、上記画像送信装置及び画像受信装置とから成る画像表示システムと、これに対応する画像表示方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
テレビ会議システムにおいては、互いに離れた会議場などの場所ごとにテレビ会議システム対応の端末装置を設け、さらにこの端末装置に撮像装置及びディスプレイ装置を接続する。そして、1つの近端としての或る会議場においては、例えばその会議場に居る会議参加者などを撮像装置により撮像して得た撮像画像を端末装置経由で、遠端となる他の会議場の端末装置に対して送信する。遠端側の端末装置は、近端側から送信されてきた撮像画像を受信し、これを自身に接続されているディスプレイに表示させる。
また、端末装置には、マイクロフォンとスピーカも接続され、近端側のマイクロフォンにより収音して得られる近端話者の音声信号を、端末装置経由で遠端側に送信する。遠端側の端末装置では、受信した音声信号をスピーカから出力する。
これにより、テレビ会議システムによっては、通信相手の会議場の様子をディスプレイ装置に表示させながら会話を行うようにして、会議を進行させていくことができる。
【0003】
ところで、テレビ会議システムにあっては、撮像画像を表示させるのにあたって、例えば表示画像において被写体を実物と同じサイズで表示させたい場合がある。例えば、テレビ会議システムにより、或る製品、部品などを撮像して表示してもらいながら説明するのにあたり、その被写体となる製品、部品のサイズが話の要点となっているような場合を挙げることができる。
【0004】
また、近年においては、例えばフラットパネルディスプレイの普及に伴い、相当に大型の表示画面部を有するディスプレイ装置も普及してきており、テレビ会議システムにおいても、このような大型表示画面部のディスプレイ装置が利用されることが多くなってきている。このようなことを背景とすると、テレビ会議システムにおいては、相手側から送信されてきた撮像画像を、例えば実物大のサイズにより表示できることになる。このようにして、実物大サイズで撮像画像を表示すれば、例えば臨場感が増して、例えば会議参加者の気持ちも盛り上げられる。
【0005】
このようにして、テレビ会議システムにおいては、撮像により得られた画像信号を送信して相手側の端末装置にて画像として表示出力させる場合において、そのときに撮像している被写体についての画像について、実物に対して或る倍率となる、しかるべきサイズとしたい場合がある。
【0006】
【特許文献1】特開平6−269008号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
撮像により撮像して得られる画像内の被写体のサイズを変更するのには、例えば撮像装置がズーム(画角)可変機能を有していれば、この画角を変更すればよい。
しかし、一般的に、テレビ会議システムにおいて、撮像装置の画角制御は、通信相手側の端末装置と接続されるディスプレイ装置の表示画面部の物理的サイズとは無関係であって、独立して調整される。
このために、これまでのテレビ会議システムにおいて、表示中の撮像画像における被写体のサイズを調整するのにあたっては、例えば画像送信側の会議参加者から聞くなどして被写体の実物サイズを予め知ったうえで、画像送信側の撮像装置の画角を、画像受信側の会議参加者が遠隔操作するようなことを行わなければならない。
また、表示中の撮像画像内の被写体の実寸サイズは、画像送信側における撮像装置から被写体までの距離であるとか、画像受信側で使用するディスプレイ装置の表示画面部の物理的寸法などの条件に応じて変わり得るものなので、このような条件が変わる都度、画像受信側では画角の調整を行う必要があり、面倒なものとなっている。
さらには、テレビ会議システムでは、例えば画像圧縮符号化を施した画像信号を送受信することがしばしばあるが、この場合には、表示される画像の遅延が生じやすい。このようにして遅延して表示される撮像画像を見ながらの遠隔操作による画角調整は非常にやりにくい。このことからも、現状のテレビ会議システムにおける、表示中の相手側撮像画像における被写体のサイズ調整のための画角遠隔操作は、非常に面倒なものであることが分かる。
【0008】
そこで、本願発明としては、上記のような表示中の相手側撮像画像における被写体のサイズ調整のための画角制御を自動的に行えるようにすることとしたうえで、例えばテレビ会議システムなどにおいて適用しやすい、より有用なものを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記した課題を考慮して、画像送信装置として次のように構成する。
つまり、受信した画像信号を画像として表示装置にて表示出力させるための画像処理を実行可能な画像受信装置に対して、撮像部による撮像に基づいて得られる画像信号を送信する送信手段と、画像受信装置から送信されてくる、表示装置の表示画面部の物理的なサイズを示す情報である物理画面サイズ情報を受信して保持する物理画面サイズ情報保持手段と、表示画面部にて表示させる画像における被写体についての実サイズに対する倍率を指示する情報である表示倍率指示情報を外部から取得して保持する表示倍率指示情報取得手段と、撮像部が撮像する被写体までの距離を示す被写体間距離情報を得る被写体間距離情報取得手段と、物理画面サイズ情報と被写体間距離情報とに基づいて、表示倍率指示情報が指示する倍率に応じた実サイズにより表示画面部にて被写体が表示されるための画角である必要画角を求めて取得する必要画角取得手段と、必要画角が得られるように、画角が可変の撮像部により撮像される画角を変更する制御を実行する画角変更制御手段とを備えることとした。
【0010】
また、画像受信装置として次のように構成することとした。
つまり、画像送信装置から送信される撮像部による撮像に基づいて得られる画像信号を受信する画像信号受信手段と、受信した画像信号を画像として表示装置にて表示出力させるための画像処理を実行する画像処理手段と、この画像処理手段により表示出力される画像被写体について、表示倍率指示情報が指示する倍率に応じたサイズとなるように、画像送信手段が撮像部の画角を制御するために利用する制御情報の1つであって、表示装置の表示画面部の物理的なサイズを示す情報である物理画面サイズ情報を取得する物理画面サイズ情報取得手段と、物理画面サイズ情報を画像送信装置に対して送信する物理画面サイズ情報送信手段と、画像処理手段により表示出力される画像被写体について、表示倍率指示情報が指示する倍率に応じたサイズとなるように、画像送信手段が上記撮像部の画角を制御するために利用する制御情報の1つであって、表示画面部にて表示させる画像における画像被写体についての実サイズに対する倍率を指示するための入力操作に応じて得られる表示倍率指示情報を画像送信装置に対して送信する表示倍率指示情報送信手段とを備えることとした。
【0011】
また、画像表示システムとして次のように構成することとした。
つまり、この画像表示システムは、画像送信装置と、画像受信装置とから成る。そのうえで、画像送信装置において、撮像部による撮像に基づいて得られる画像信号を送信する画像信号送信手段と、画像受信装置において、画像送信装置から送信されてきた画像信号を受信する画像信号受信手段と、画像受信装置において、受信した画像信号を画像として表示装置にて表示出力させるための画像処理を実行する画像処理手段と、画像受信装置において、表示装置の表示画面部の物理的なサイズを示す情報である、物理画面サイズ情報を取得する物理画面サイズ情報取得手段と、画像受信装置において、上記物理画面サイズ情報を上記画像送信装置に対して送信する物理画面サイズ情報送信手段と、画像送信装置において、送信されてきた物理画面サイズ情報を受信して保持する物理画面サイズ情報保持手段と、画像送信装置において、表示画面部にて表示させる画像における被写体についての実サイズに対する倍率を指示する情報である表示倍率指示情報を外部から取得して保持する表示倍率指示情報取得手段と、画像送信装置において、撮像部が撮像する被写体までの距離を示す被写体間距離情報を取得する被写体間距離情報取得手段と、画像送信装置において、物理画面サイズ情報と被写体間距離情報とに基づいて、表示倍率指示情報が指示する倍率に応じた実サイズにより表示画面部にて被写体が表示されるための画角である必要画角を求めて取得する必要画角取得手段と、画像送信装置において、必要画角が得られるように、画角が可変の撮像部により撮像される画角を変更する制御を実行する画角変更制御手段とを備えることとした。
【0012】
上記各構成によっては、撮像部による撮像に基づいて得られる画像信号を送信する画像送信装置において、画角制御のための制御情報として、画像受信装置側の表示装置が有する表示画面部の物理的なサイズを示す物理画面サイズ情報と、撮像部から被写体までの距離を示す被写体間距離情報と、表示画面部にて表示させる画像における被写体についての実サイズに対する倍率を指示する情報である表示倍率指示情報とを取得するようにされる。
そして、画像送信装置は、被写体間距離情報と、上記物理画面サイズ情報とに基づいて、上記表示倍率指示情報が示す表示倍率が実際の表示画像上において得られるようにして、撮像部の画角制御が行われるようにされる。
【発明の効果】
【0013】
このように、本願発明によれば、画像送信装置側において、画像受信装置側の表示装置が有する表示画面部の物理的なサイズの情報(物理画面サイズ情報)と、被写体間距離の情報を取得すると共に、表示倍率の指示さえ得られれば、この指示された表示倍率となる画角を常に自動で設定できることになる。これにより、例えばテレビ会議システムなどにより適合した、有用な被写体画像のサイズ調整機能を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本願発明を実施するための最良の形態(以下、実施の形態という)としては、テレビジョン会議システム(テレビ会議システム)における画像送受信系に本願発明を適用する。
テレビ会議システムは、場所の異なる会議場ごとに通信端末であるテレビ会議端末装置を設置し、このテレビ会議端末装置から、撮像装置により撮影した画像と、マイクロフォンにより収音した音声を他のテレビ会議端末装置に送信させると共に、他のテレビ会議端末装置から送信されてきた画像と音声を受信して、それぞれ、ディスプレイ装置、スピーカから出力させるように構成される。つまり、テレビ会議システムでは、画像を相互に送受信する画像送受信系と、音声を相互に送受信する音声送受信系とを備える。そして、本実施の形態としては、上記画像送受信系として撮像画像を送受信するために設けられるテレビ会議端末装置を中核とするシステムが該当する。
【0015】
図1は、テレビ会議システムにおける画像送受信系を主体とするシステム構成例を示している。
この場合には、互いに離れた2つの場所A、場所Bが会議場とされており、これらの場所A,Bのそれぞれにおいて、テレビ会議端末装置1−1、1−2が設置される。これらのテレビ会議端末装置1−1、1−2は、所定の通信方式に対応する通信回線により接続されて、相互通信が可能なようにされている。
また、場所Aにおいては、テレビ会議端末装置1−1とともに、撮像装置2−1、雲台3−1、ディスプレイ装置4−1が備えられる。
撮像装置2−1は、画角調整のためのズーム機構を備え、雲台3−1に取り付けられている。雲台3−1は、パン機構とチルト機構を備えることで、取り付けられた撮像装置の撮像方向(撮像視野)を、所定角度範囲で上下方向及び左右方向に変更することが可能とされている。
また、リモートコントローラ5−1は、テレビ会議端末装置1−1の動作をユーザが遠隔操作するために設けられる。
【0016】
同様にして、場所Bにおいては、テレビ会議端末装置1−2とともに、撮像装置2−2、雲台3−2、ディスプレイ装置4−2、及びリモートコントローラ5−2が備えられる。
【0017】
なお、以降の説明において、テレビ会議端末装置、撮像装置、雲台、ディスプレイ装置、リモートコントローラ、などについて、特に離れた場所にある同一のものを区別する必要のない場合には、テレビ会議端末装置1、撮像装置2、雲台3、ディスプレイ装置4、リモートコントローラ5などのようにして表記する。
また、音声送受信系については、ここでは図示は省略している。
【0018】
この図に示される画像送受信系の基本的動作は、例えば次のようになる。
先ず、場所Aにおいて、撮像装置2−1により撮像して得られた動画像としての画像信号(撮像画像信号)は、テレビ会議端末装置1−1に入力される。テレビ会議端末装置1−1は、入力された画像信号を、通信回線を経由してテレビ会議端末装置1−2に対して送信する。テレビ会議端末装置1−2は、上記のようにして送信されてきた撮像画像信号を受信し、ディスプレイ装置4−2から出力させる。
また、同様にして、場所B内の撮像装置2−2により撮像して得られた画像信号は、テレビ会議端末装置1−2によりテレビ会議端末装置1−1に送信される。テレビ会議端末装置1−1では、受信した画像信号を、ディスプレイ装置4−1から出力させる。
このようにして、テレビ会議システムの画像送受信系では、映像の双方向通信を行うものであり、これにより、例えば或る1つの場所にいる会議参加者は、他の場所の会議場の様子を視覚的に把握することができる。
なお、内部の信号切り換えにより、テレビ会議端末装置1−1は、撮像装置2−1から入力される撮像画像信号の画像を、ディスプレイ装置4−1により表示出力させることも可能である。
【0019】
図2は、1つの場所において備えられるテレビ会議システム(テレビ会議端末装置とその周辺装置)を、テレビ会議端末装置1の内部構成例とともに示している。なお、図1との対応では、テレビ会議端末装置1−1、1−2は、この図2に示す構成を共通に有するものとして考えてよい。また、この図においても、音声送受信系に対応する部位についての図示は省略している。
【0020】
この場合の撮像装置2においては、撮像のための光学系と、撮像光を利用して非圧縮の動画像としての画像信号を生成する信号処理部とを備えるものとされる。撮像装置2から出力される画像信号(撮像画像信号)は、テレビ会議端末装置1における画像信号処理/表示制御部11に対して入力される。
また、撮像装置2の光学系に対応しては、ズームレンズの位置を移動させて画角を変更するための機構を有して成る、ズーム機構部2aを備える。
また、撮像装置2は、測距部2bを備える。この測距部2bは、例えば撮像装置2から被写体までの距離(被写体間距離)を測定するもので、この測距部2bにより測定された被写体間距離の情報は、自動的に被写体に対して合焦するようにしてフォーカスレンズを駆動する、いわゆるオートフォーカス制御に用いることができる。なお、この測距部2bにおいて採用する測距方式、測距の手法などについては、これまでに知られている技術が採用されればよい。
また、雲台3は、取り付けられた撮像装置2の撮像視野を左右に変更するための機構であるパン機構部3aと、上記撮像視野を上下に変更するための機構であるチルト機構部3bとを有して成る。
【0021】
画像信号処理/表示制御部11は、入力される画像信号について必要に応じて所定の信号処理を実行するとともに、ディスプレイ装置4に対して画像を表示させるための表示制御を実行する。
【0022】
例えば、画像信号処理/表示制御部11は、撮像装置2から入力される撮像画像信号について必要に応じて所要の信号処理を施したうえで、エンコーダ12に転送する。
【0023】
エンコーダ12は、入力される画像信号について所定方式による画像圧縮符号化処理を実行して、通信部14に対して転送する。通信部14は、制御部18の制御に応じて、エンコーダ12から転送されてくる圧縮画像信号について、所定の通信方式に従って、通信回線経由で、他のテレビ会議端末装置に対して送信する。
【0024】
また、他のテレビ会議端末装置から送信されてきた圧縮画像信号は、通信部14にて受信されて、デコーダ13に転送される。
デコーダ13は、入力されてくる圧縮画像信号について、画像圧縮符号化に対する復調(デコード)処理を実行して所定形式の画像信号を得る。このようにして得た画像信号を画像信号処理/表示制御部11に転送する。
【0025】
画像信号処理/表示制御部11は、例えば上記のようにしてデコーダ13から転送される画像信号の画像がディスプレイ装置4にて表示されるようにするための表示制御を実行することができる。これにより、他の会議場において撮影された画像が、ディスプレイ装置4にて表示されることになる。
また、画像信号処理/表示制御部11は、上記撮像画像信号について、ディスプレイ装置4にて所定の態様により表示されるようにして表示制御を実行することも可能とされている。
さらに、画像信号処理/表示制御部11は、制御部18の制御に応じて、各種の操作画像をディスプレイ装置4により表示させるための画像生成処理、表示制御処理を実行可能とされている。
なお、画像信号処理/表示制御部11は、その一部、あるいは全ての機能をDSP(Digital Signal Processor)により構成することができる。
【0026】
また、このテレビ会議端末装置1は、撮像装置2の撮像視野を可変制御する機能を有するものとされている。ここでの撮像視野の可変は、パン制御、チルト制御、ズーム制御の組み合わせによるものとする。パン制御、チルト制御は、撮像方向をそれぞれ左右方向と上下方向とで可変する制御で、ズーム制御は、撮像装置の画角を変更する制御である。これに対応して、テレビ会議端末装置1は、PTZ(PTZ:Pan(Panning),Tilt(Tilting),Zoom(Zooming))駆動制御部15を備える。
【0027】
PTZ駆動制御部15は、図示するようにして、パン/チルト駆動制御部16とズーム駆動制御部17とを備える。
パン/チルト駆動制御部16は、制御部18からのパン方向における移動量の指示情報に応じて、雲台3が備えるとされるパン機構部3aにおけるパンモータを駆動するための駆動信号を生成して出力する。同様に、制御部18からのチルト方向における移動量の指示情報に応じて、雲台3が備えるとされるチルト機構部3bにおけるチルトモータを駆動するための駆動信号を生成して出力する。これにより、撮像装置2の撮像視野として、左右方向(パン方向)と上下方向(チルト方向)の撮像方向を変更する変更することが可能とされる。
また、ズーム駆動制御部17は、制御部19からの画角変更量の指示情報に応じて、撮像装置2の光学系において備えられるズーム機構部2aにおけるズームモータを駆動するための駆動信号を生成して出力する。これにより、撮像視野として、画角を変更することが可能になる。
【0028】
制御部18は、例えばCPU、ROM、RAMなどを有して成るマイクロコンピュータなどにより構成されるもので、テレビ会議端末装置1についての全体制御を実行する。
【0029】
記憶部19は、例えば不揮発性の記憶デバイスから成るもので、制御部18が必要な各種のプログラム、データなどを記憶する。
【0030】
リモートコントローラ5は、テレビ会議端末装置1の動作についての各種の操作をユーザが行うための所要の操作子を備え、これらの操作子に対する操作に応じて、赤外線、あるいは電波などにより操作情報信号を送信する。この操作情報信号は、受信部20にて受信復調されて制御部18に入力される。制御部18は、入力される操作情報信号に応答して所要の制御、処理を実行する。
【0031】
上記構成によるテレビ会議システムにおいては、これまでの説明から理解されるように、テレビ会議端末装置1−1側の撮像装置2−1により撮像して得られた画像信号を、テレビ会議端末装置1−2側にて受信してディスプレイ装置4−2にて画像(撮像画像)として表示させることができる。そのうえで、本実施の形態においては、このように表示される撮像画像における被写体について、実物のサイズを1倍率(基準)としたうえで、指定した倍率に応じたサイズとなるようにして、自動的に、撮像装置2−1についてのズーム制御(実寸基準倍率対応ズーム制御)が行われるように構成される。以降、この点について説明を行っていく。
【0032】
なお、以降においては、上記もしているように、図1との対応として、テレビ会議端末装置1−1側が、撮像装置2−1により撮像して得られた画像信号(撮像画像信号)を送信する側であり、テレビ会議端末装置1−2が、受信した撮像画像信号の画像(撮像画像)を表示させる側であるものとして説明を行う。また、以降の説明にあっては、テレビ会議端末装置1−1(画像送信装置)側のシステム構成を「撮像側」といい、テレビ会議端末装置1−2(画像受信装置)側のシステム構成を「表示側」ともいうことにする。
また、確認のために述べておくと、実際においては、上記とは逆に、テレビ会議端末装置1−2側が「撮像側」となり、テレビ会議端末装置1−1側が「表示側」となって動作することも可能である。
【0033】
先ず、図3を参照して、本実施の形態における実寸基準倍率対応ズーム制御を実現するための原理、技術概念について説明する。
ここで、図3(a)には、撮像側において撮像装置2−1により撮像される実物としての被写体である実被写体41が示されている。ここで、実被写体41の垂直方向における実寸長(実被写体サイズ)をY2とし、撮像装置2−1から実被写体42までの被写体間距離をLとし、撮像装置2−1において設定されている画角をφとし、画角φにより被写体間距離Lの位置にある実被写体41を撮像しているときに得られる垂直方向の撮像範囲の実寸(垂直撮像範囲)をH2とする。
また、図3(b)には、撮像側にて図3(a)に示される実被写体41を撮像装置2−1により撮像して得られる画像信号を、表示側のディスプレイ装置4−2の表示画面部30において受信して表示させたときの撮像画像の状態例を示している。
ここで、ディスプレイ装置4−2における表示画面部30(この場合には有効画像表示領域となる)としての物理的な画面の実寸として、垂直方向における実寸(垂直画面サイズ)をH1とし、表示画面部30において表示されている被写体の部分(画像被写体42)についての垂直方向における実寸(垂直画像被写体サイズ)をY1とする。
さらに、ここでは、実被写体サイズY2に対する画像被写体サイズY1の倍率(Y1/Y2)を、表示倍率αとして定義する。
具体的には、画像被写体42を、実被写体41と同じ実寸、即ち実物大サイズにより表示させるとすれば、表示倍率α=1(=1/1)となる。また、垂直方向の実寸について、画像被写体42を実被写体41の1/2の長さとなるサイズで表示させるとすれば、表示倍率α=1/2となる。さらに、垂直方向の実寸について、画像被写体42を実被写体41の2倍の長さとなるサイズで表示させるとすれば、表示倍率α=2となる。
【0034】
ここで、画像被写体42について、表示倍率αにより表示させようとする場合を考える。すると、画像被写体サイズY1と実被写体サイズY2との関係は、
Y1=α×Y2・・・(式1)
により表される。
また、上記式1が成立する場合における、垂直画面サイズH1と垂直撮像範囲H2との関係は、
H2=H1/α・・・(式2)
により表される。
【0035】
また、画角φ、被写体間距離L、及び垂直撮像範囲H2の関係については、
(H2/2)/L=tan(φ/2)・・・(式3)
のようにして表すことができる。この(式3)により、画角φについては、
φ=2×arctan((H2/2)/L)・・・(式4)
により求められることが導かれる。
さらに、上記(式4)におけるH2について(式2)の右辺を代入することにより、上記(式4)は、
φ=2×arctan{(H1/(2×α))/L}・・・(式5)
のようにして表すことができ、さらに(式5)は、
φ=2×arctan{(H1/(2×α×L)}・・・(式6)
のようにして変形することができる。
【0036】
これまでの説明及び(式6)によると、画像被写体42について、表示倍率αに応じた垂直画像被写体サイズY1(=α×Y2)となるようにて表示するための画角φは、パラメータとして、この表示倍率αと、被写体間距離L及び垂直画面サイズH1が分かっていれば求められるということが分かる。
そして、このことは、撮像側のテレビ会議端末装置1−1にて、表示倍率α、被写体間距離L及び垂直画面サイズH1についての情報が得られさえすれば、表示倍率αに対応する画角φを求めて、この画角φとなるようにして撮像装置2−1のズーム機構部2aを制御することが可能であり、これにより、実寸基準倍率対応ズーム制御が実現される、ということを意味する。
【0037】
上記したことに基づき、本実施の形態のテレビ会議端末装置1−1、1−2としては、以降説明するようにして、実寸基準倍率対応ズーム制御を実現するための構成を与えることとした。
【0038】
先ず、図4のフローチャートは、撮像側テレビ会議端末装置1−1が垂直画面サイズH1の情報を取得するために、撮像側テレビ会議端末装置1−1と表示側テレビ会議端末装置1−2とが行う処理手順例を示している。
【0039】
ここでは、先ず、表示側テレビ会議端末装置1−2において、ステップS101により、垂直画面サイズH1の情報が、入力されたか否かについての判別を行っている。
垂直画面サイズH1は、ディスプレイ装置4−2の表示画面部30についてのものとされるが、テレビ会議端末装置1に対して接続されるディスプレイ装置4−2が固定ではなく、不定の環境であることを前提にすると、表示側テレビ会議端末装置4−2にとって垂直画面サイズH1は既知ではないことになる。そこで、先ずは表示側テレビ会議端末装置1−2に対して、現在接続されているディスプレイ装置4−2の表示画面部30についての垂直画面サイズH1を入力してやる必要があることになる。ステップS101では、この垂直画面サイズH1の入力を待機している。
【0040】
この場合において、表示側テレビ会議端末装置1−2に対する垂直画面サイズH1の入力の態様としては、次のようなものを考えることができる。
1つには、例えば表示側のユーザが、リモートコントローラ5−2に対する所定操作を行うことにより、即ちユーザ操作により、テレビ会議端末装置1−2に対して垂直画面サイズH1を入力するものである。この場合、ユーザは、取扱説明書などの記載を見たり、あるいは、実際に表示画面部30の垂直方向の寸法を測るなどして、垂直画面サイズH1に対応する寸法を把握した上で、その把握した寸法に対応した数値を入力する操作を行うことになる。
またもう1つには、例えば表示側テレビ会議端末装置1−2とディスプレイ装置4−2とをデータインターフェイスにより接続している環境の下で、このデータインターフェイス経由で、ディスプレイ装置4−2から垂直画面サイズH1を示す情報を送信し、表示側テレビ会議端末装置1−2がこの情報を受信取得して垂直画面サイズH1としての情報を得たことを以て、垂直画面サイズH1の入力が行われたとして扱うものである。
なお、このようなデータインターフェイスとしては、例えば1つには、HDMI(High Definition Multimedia Interface)におけるDDC(Display Data Channel)といわれる制御信号経路を用いることが考えられる。
【0041】
ステップS101にて垂直画面サイズH1が入力されたとして肯定の判別結果が得られたのであれば、ステップS102に進んで、入力した垂直画面サイズH1の情報を、例えば制御部18内のRAMなどの記憶領域に保持しておくようにされる。なお、例えば記憶部19などの不揮発性の記憶領域に記憶させることとしてもよいが、テレビ会議端末装置1に接続されるディスプレイ装置が不定となる環境を考慮した場合には、例えばテレビ会議端末装置1が起動した都度、垂直画面サイズH1の入力を受けることとした仕様のほうが妥当であると考えられ、この場合には不揮発性の記憶領域に記憶させておくことの必要性は特にないことから、ここではRAMに保持させることとしているものである。
【0042】
次のステップS103においては、上記ステップS102にて保持した垂直画面サイズH1の情報を、撮像側テレビ会議端末装置1−1に対して送信することが可能な状態であるか否かについて判別することとしている。例えば、表示側テレビ会議端末装置1−2が起動していても、撮像側テレビ会議端末装置1−1が起動していない、あるいは起動していても相互の通信が確立された状態でなければ垂直画面サイズH1の送信が可能にはならない。そして、ステップS103において、相互の通信が確立されているとして垂直画面サイズH1の送信が可能であると判別されると、ステップS104により、撮像側テレビ会議端末装置1−1に対して、例えば所定のコマンドを利用して垂直画面サイズH1のデータを送信する。
【0043】
撮像側テレビ会議端末装置1−1では、ステップS201により、上記ステップS104により送信されてくる垂直画面サイズH1のデータ(物理画面サイズ情報)が受信されるのを待機しており、受信されたことを判別するとステップS202に進む。
ステップS202においては、受信した垂直画面サイズH1のデータを、例えば制御部18内のRAMなどの記憶領域に保持させておくようにする。
【0044】
なお、実際的なこととして、撮像側テレビ会議端末装置1−1側で新規に垂直画面サイズH1を保持した後において、撮像側テレビ会議端末装置1−1が起動している状態の下で垂直画面サイズH1が変更される可能性を考えることができる。例えば、表示側において、テレビ会議端末装置1−2に接続するディスプレイ装置4−2としての機器を変更したような場合である。このような場合には、例えば変更されたディスプレイ装置4−2の表示画面部30の垂直画面サイズH1が、新たに表示側テレビ会議端末装置1−2に対して、ユーザ操作若しくはデータインターフェイス経由で入力されたことに応じて、表示側テレビ会議端末装置1−2は、ステップS101にて肯定の判別結果が得られたものとして、ステップS102〜S104の手順を実行する(この場合のステップS102は、垂直画面サイズH1を新規に入力されたものにより書き換えて保持し直すことになる)。このような場合には、撮像側テレビ会議端末装置1−1は、ステップS201にて、垂直画面サイズH1を改めて受信したうえで、ステップS202によっては、これまで保持していた垂直画面サイズH1を、今回受信した垂直画面サイズH1により書き換えるようにして保持し直す。
【0045】
図5のフローチャートは、撮像側テレビ会議端末装置1−1が表示倍率αの情報を取得するために、撮像側テレビ会議端末装置1−1と表示側テレビ会議端末装置1−2とが実行する処理手順例を示している。
ここでは先ず、表示側テレビ会議端末装置1−2において、ステップS301により表示倍率αの入力が行われるのを待機している。例えば表示側のユーザは、ディスプレイ装置4−2にて表示される撮像画像における画像被写体42の表示画面部30上でのサイズを、例えば画像被写体42に対応する実被写体41の実寸に対する倍率値(即ち表示倍率αとしての値)を入力することが指定できるようにされている。この表示倍率αの入力操作は、例えばリモートコントローラ5−2を利用して行うことができる。
そして、上記したユーザによる表示倍率αの入力操作に応じて、制御部18が表示倍率αを入力して取得したとされると、ステップS301にて肯定の判別結果が得られることとなって、ステップS302に進むようにされる。
【0046】
ステップS302においては、上記ステップS301に対応して入力取得した表示倍率αを、例えば制御部18内のRAMなどに保持しておくようにされる。
【0047】
次のステップS303においては、上記ステップS302にて保持した表示倍率αの情報を、撮像側テレビ会議端末装置1−1に対して送信することが可能な状態であるか否かについて判別しており、例えば相互の通信が確立されているとして表示倍率αの送信が可能であると判別されると、ステップ304により、撮像側テレビ会議端末装置1−1に対して、表示倍率αのデータ(表示倍率指示情報)を送信する。
【0048】
なお、上記ステップS302の記載では、この表示倍率αについて、RAMなどの揮発性の記憶領域に保持させることとしている。しかし、表示倍率αを、例えば記憶部19などの不揮発性の記憶領域に記憶させておくことも考えられ、表示倍率αを不揮発性の記憶領域に記憶させることによっては次のような利点も得られる。つまり、画像被写体42の表示倍率については、或る程度、固定的になる場合もあると考えられるからである。そこで、表示倍率αについては不揮発性の記憶領域に記憶させておくこととすれば、次回の会議に応じてテレビ会議端末装置1−2を起動させたときには、さしあたり記憶されている表示倍率αを読み出してステップS304により送信することができ、例えば起動ごとにユーザが表示倍率αを入力する手間は省かれる。
【0049】
撮像側テレビ会議端末装置1−1では、ステップS401により、上記ステップS304により送信されてくる表示倍率αのデータが受信されるのを待機しており、受信されたことを判別するとステップS402に進み、受信した表示倍率αのデータを、例えば制御部18内のRAMなどの記憶領域に保持させる。
また、ここでは、表示側テレビ会議端末装置1−2側のユーザは、いつでも、表示倍率αを変更(入力)する操作を行うことができるものとしている。このようにして、表示倍率αを変更する操作が行われる都度、表示側テレビ会議端末装置1−2では、ステップS301〜S304までの手順を実行する。これに応じて、撮像側テレビ会議端末装置1−1においては、ステップS401により新たに送信されてきた表示倍率αのデータを受信して、ステップS402により、これまで保持していた表示倍率αのデータを、新たに受信した表示倍率αのデータにより書き換えて保持し直す。
なお、表示倍率αは、このようにして通信を利用して表示側テレビ会議端末装置1−2から送信してもらって撮像側テレビ会議端末装置1−1にて取得できるようにすることが自動化を図るうえでは有効になる。しかし、例えば、撮像側のユーザ(会議参加者)が表示側のユーザから表示倍率を伝えてもらったうえで、撮像側のユーザが撮像側テレビ会議端末装置1−1に対して表示倍率の指定入力操作を行うことで、撮像側テレビ会議端末装置1−1が表示倍率αの情報を取得できるようにしてもよい。
【0050】
図6のフローチャートは、撮像側テレビ会議端末装置1−1が実行する、実寸基準倍率対応ズーム制御のための処理手順例を示している。
先ず、ステップS501においては、垂直画面サイズH1及び表示倍率αの各データを、例えば制御部18内のRAM(若しくは記憶部19)に保持している状態であるか否かを待機している。先の図4及び図5により示したように、撮像側テレビ会議端末装置1−1は、表示側テレビ会議端末装置1−2から送信されてくる垂直画面サイズH1のデータ、及び表示倍率αのデータを受信取得して、これより以前に保持されていなければ新規に保持し、既に保持していたのであれば書き換えを行うようにして保持し直すようにしている。ステップS501においては、このようにして撮像側テレビ会議端末装置1−1にて保持しているべき垂直画面サイズH1のデータと表示倍率αのデータについて、そのいずれもが保持されている状態にあるか否かを判別する。
【0051】
ステップS501にて否定の判別結果が得られた場合には、垂直画面サイズH1のデータと表示倍率αのデータの少なくともいずれか一方が保持されている状態にない、ということになる。これは、本実施の形態の実寸基準倍率対応ズーム制御に必要なパラメータ(制御情報)が揃っていないということを意味し、実寸基準倍率対応ズーム制御を実行することはできない。そこで、この場合には、ステップS501により肯定の判別結果が得られるのを待機する状態を継続することになる。
【0052】
これに対してステップS501にて肯定の判別結果が得られた場合には、実寸基準倍率対応ズーム制御を実行可能とされることに応じて、ステップS502以降の手順に進む。
ステップS502においては、現在においてRAM(若しくは記憶部19)にて保持しているとされる垂直画面サイズH1及び表示倍率αのデータを読み出して取得する。
ステップS503では、自身に接続されている撮像装置2−1の測距部2bにより現在測定されている被写体間距離の値を取り込み、これを被写体間距離Lのデータとして取得する。
このようにステップS502、S503により、画像被写体42についての表示倍率αが把握されるとともに、この表示倍率αに応じたサイズ(垂直画像被写体サイズY1)で画像被写体42が表示されるようにするために必要なパラメータである、垂直画面サイズH1及び被写体間距離Lのデータが取得されたことになる。
【0053】
そこで、ステップS504においては、画像被写体42を表示倍率αに応じた垂直画像被写体サイズY1により表示するための画角φを求める(算出する)。このためには、例えば(式6)におけるH1、α、Lの項に対して、それぞれ、上記ステップS502、S503により取得された垂直画面サイズH1、表示倍率α、及び被写体間距離Lの値を代入して演算を行えばよい。
そして、次のステップS505により、上記ステップS504により算出された画角φが得られるようにしてズーム駆動制御部17に対する指示を行う。この指示に応じてズーム駆動制御部17が、撮像装置2−1のズーム機構部2aを駆動することで、現実に画角φが得られることになる。
この画角φにより撮像して得られる画像の画像信号は、撮像側テレビ会議端末装置1−1から表示側テレビ会議端末装置1−2に対して送信され、表示側テレビ会議端末装置1−2では、この画像信号をディスプレイ装置4−2の表示画面部30に対して表示出力することになる。この結果、先の図3による説明から理解されるように、ディスプレイ装置4−2の表示画面部30において表示される画像被写体42の実寸サイズは、表示倍率αに対応したものとなっている。例えば仮に、実被写体41の実被写体サイズY2が1メートルであり、表示倍率α=1であれば、画像被写体42も画像被写体サイズY1が1メートルとなる大きさで表示される。つまり、実物大の表示が行われる。また、表示倍率が1.2倍であれば、画像被写体42の画像被写体サイズY1は1.2メートルとなるようにして表示されることになる。
【0054】
なお、図6においては図示していないが、本実施の形態としては、ステップS505によるズーム駆動制御とともに、表示画面部30における画像被写体42の位置が適切なものとなるようにして、パン・チルト駆動制御を実行できるように構成することが考えられる。これにより、例えば画角を変更したことに応じて表示画面上における画像被写体42の位置(構図)が不適正になったとしても、適切な位置に自動的に戻すことができる。このような構成は、例えば表示側テレビ会議端末装置1−2の画像信号処理/表示制御部11において、先ず撮像画像信号についての被写体検知処理を行って、この検知した被写体の画像領域部分の表示画像上での最適位置との誤差を求める。さらに、この誤差に応じたパン方向、チルト方向ごとの移動量(制御量)を求める。そして、この移動量を示す駆動指示信号を、撮像側テレビ会議端末装置1−1に対して送信する。撮像側テレビ会議端末装置1−1の制御部18及びPTZ駆動制御部15は、受信した駆動指示信号が示す移動量だけパン方向、チルト方向への移動が行われるようにして、雲台3−1のパン機構部a、チルト機構部3bの駆動制御を実行する。これにより、画像被写体42は、適切な構図で表示されることになる。
【0055】
これまで述べてきたようにして、本実施の形態では、撮像側テレビ会議端末装置1−1において、垂直画面サイズH1、表示倍率α、及び被写体間距離Lの情報を収集して画角φを求めてズーム駆動制御を行うことで、実寸基準倍率対応ズーム制御を実現している。
このような実寸基準倍率対応ズーム制御では、先ず、画像被写体42のサイズ調整としてのズーム(画角)制御は、ユーザの手動によるものではなく、自動で実行されるものとなる。
そして、実寸基準倍率対応ズーム制御に必要な制御情報である、垂直画面サイズH1、表示倍率α、及び被写体間距離Lの情報のうち、垂直画面サイズH1及び表示倍率αは、表示側テレビ会議端末装置1−2側から送信させることで撮像側テレビ会議端末装置1−1が取得できるようにされているが、これは、テレビ会議システムにおける端末間通信を利用することで簡単に実現できる。また、被写体間距離Lの情報は、撮像側テレビ会議端末装置1−1側にて接続される撮像部2−1が、例えばオートフォーカスなどのために備える測距部2bとしての測距機能を利用して得ることができる。テレビ会議システムでは、端末相違ごとに対応して撮像装置を備えることが一般的であるから、本実施の形態としては、この撮像装置が有する測距機能を流用すればよいわけであり、被写体間距離Lの情報取得のために、別途、測距のための装置を追加する必要もない。
また、これまでの説明からも理解できるように、例えば表示側テレビ会議端末装置1−2側にてユーザ操作により表示倍率αについての変更設定が行われれば、変更された表示倍率αが撮像側テレビ会議端末装置1−1に対して送信されることで、撮像側テレビ会議端末装置1−1は、変更された表示倍率αに対応してズーム制御を適正に実行できる。テレビ会議においては、表示倍率を途中で変更したくなる状況も少なからずあると考えられるが、本実施の形態であれば、例えば表示側テレビ会議端末装置1−2のユーザが表示倍率αを変更する操作を行いさえすれば、その新たに指示された表示倍率αに応じた画像被写体42が表示されるようにして自動でズーム制御が実行される。
さらに、何らかの事情で、表示側テレビ会議端末装置1−2に接続するディスプレイ装置を変更したことで、その垂直画面サイズH1が代わったとしても、表示側テレビ会議端末装置1−2にて新たな垂直画面サイズH1を入力しさえすれば、この垂直画面サイズH1のデータが撮像側テレビ会議端末装置1−1に送信されることになり、結果として新たな垂直画面サイズH1に応じた実寸基準倍率対応ズーム制御が適正に実行される。
また、会議中においては実被写体41が動いて被写体間距離Lが変化し得るが、本実施の形態では、撮像側テレビ会議端末装置1−1が、図6のステップS503として示したようにして、定常的に、撮像装置2−1の測距部2bの測定結果を取り込んで被写体間距離Lを取得したうえで、ステップS504、S505による画角φの算出及びズーム駆動制御を実行するものとしている。つまり、時間経過に伴って被写体間距離Lが変化しても、これに追随して実寸基準倍率対応ズーム制御を適正に実行することができる。
これらのことから、本実施の形態の実寸基準倍率対応ズーム制御は、例えばテレビ会議システムに採用して非常に有用である、といえる。
【0056】
また、例えば、特許文献1には、「実物空間Aにあるオブジェクトを空間撮像用カメラ1Aで撮像し、その画像を通信インターフェース、画像入力部を介して表示サイズ比較部へ送ると共に遠隔空間Bの表示部で表示する。表示サイズ比較部は、その画像と空間撮像用カメラ1Bで撮像した表示部の表示画像とをオーバーレイ合成し、両画像の差分を検出する。スケール補正信号送信部は、その差分から制御量を算出し通信インターフェースを介して空間撮像用カメラ1Aの光学的ズームアップ、ダウンを行う」ようにされた構成が示されている。この構成では、実物空間Aにてオブジェクトの実物を撮像するだけではなく、実物空間Bにおいても、同じオブジェクトが表示される表示部の表示画像を撮像する必要性がある。つまり、実寸表示のために撮像側と表示側との双方で、実物と表示画像の違いはあるものの、同じオブジェクトを対象にして撮像を行う必要があり、システム構成が複雑に成らざるを得ない。また、画像をオーバーレイ合成したり、画像の差分から制御量を求めるなど、処理、演算も軽くはない。
これに対して、表示倍率αに応じた画像被写体サイズY1となるように画像被写体42を表示させるために、表示側でも撮像側と同じ対象を撮影するためのカメラを別途備える必要はない。つまり、本実施の形態では、例えば図1に示した通常のテレビ会議システムの構成で足りる。
また、本実施の形態では、先の(式6)に対応した比較的簡単な演算で画角φを求めたうえで、ズーム駆動制御を実行すればよいので、処理、演算も軽いものとなっており、例えばテレビ会議端末装置1−1における制御部18の処理負担も軽くて済む。
【0057】
ところで、本実施の形態では、画像被写体42の表示倍率αは、実被写体41の実寸サイズを基準としているものであり、従って、表示側テレビ会議端末装置1−2のユーザが表示倍率αを入力して設定する際には、実被写体41についての実物サイズを意識していることになる。
そこで、本実施の形態としては、画像被写体42を表示させているときに、その実物サイズとの対応がより把握しやすくなるようにして、例えば図7に示すような表示の態様をとることも可能なように構成することとする。
【0058】
先ず、図7(a)では、表示側のディスプレイ装置4−2の表示画面部30において、表示倍率α=1により被写体画像42が表示されている状態例が示されている。そのうえで、ここでは、垂直、水平の各方向に沿うようにして、表示画面部30においてグリッドライン31を重畳表示させている。この場合のグリッドライン31aにおけるグリッド幅31aは、或る決まった現実の長さが表示中の画像上では、どのような長さとなっているのか、という対応を示すものとなる。例として、グリッドライン31aのグリッド幅が対応する現実の長さが10cmであるとすると、図7(a)の場合は、表示倍率α=1なので、表示画面上において表示されるグリッド幅31aの実際の長さWも、同じ10cmとなる。
【0059】
また、例えば図7(a)の表示画面部30の左下において、破線で括って示しているように、本実施の形態では、表示倍率指示画像32も表示させることが可能とされている。図7(a)の場合には設定されている表示倍率α=1であることに応じて、ここでは、「×1」のようにして、1倍であることを示す文字を表示させている。
なお、グリッドライン31a及び表示倍率指示画像32は、図示した以外の位置にて表示されるようにしてもよい。
また、グリッドライン31aと、表示倍率指示画像32は、例えば表示側のユーザが行うリモートコントローラ5−2に対する所定操作に応じて、それぞれ、独立して表示・消去させることが可能であることとする。
【0060】
また、比較として、図7(b)には、表示倍率α=2が設定された場合の画像被写体42が表示されている状態を示している。
ここでは、表示倍率α=2とされていることに応じて、図7(a)と同じとされる実被写体41を撮像して得られたとされる画像被写体42は、図7(a)に対して2倍の画像被写体サイズにより表示されているものである。
また、表示倍率α=2とされていることに応じて、グリッドライン31aのグリッド幅31aは、その実際の長さが2×Wで表されるものとなる。つまり、表示されているグリッド幅31aの実際としては、図7(a)の場合の2倍となる。これは、例えばグリッドライン31aのグリッド幅が対応する現実の長さが10cmであると、現在において表示画面部30にて表示されているグリッド幅31aの実際の長さは20cmとなる。つまり、表示画面部30において表示されている画像被写体42の20cm分が、現実には、実被写体41における10cm分となることを示している。
【0061】
また、図7(b)における表示倍率指示画像32については、「×2」との文字表示により、表示倍率α=2が設定されていることを示すようにされる。
【0062】
図8のフローチャートは、表示側テレビ会議端末装置1−2が実行する、グリッドライン31の表示に関する処理手順例を示している。
先ず、表示側テレビ会議端末装置1−2では、ステップS601により、グリッドライン31の表示を開始させるための操作が行われるのを待機しており、この操作に応じた操作信号が受信部20から制御部18に渡されたことに応じて、例えばステップS602以降の手順を実行する。
【0063】
ステップS602では、現在において有効な垂直画面サイズH1と、表示倍率αの両者のデータを保持(記憶)しているか否かについての判別を行う。ここで否定の判別結果が得られた場合には、現在において、実寸基準倍率対応ズーム制御は行われていないことになるので、グリッドラインを表示することの意味はない。そこで、この場合には、ステップS609により、例えば垂直画面サイズH1及び表示倍率αが未だ入力されていないのでグリッドライン31を表示させることができない旨をユーザに伝えるための警告表示(或いは音声による警告に代えてもよい、また、音声による警告と併用してもよい)を実行させる。また、これとともに、ステップS608により、今回のグリッドライン31の表示開始を指示する操作をキャンセルして無効化する。
【0064】
これに対してステップS602において肯定の判別結果が得られた場合には、ステップS603により、現在保持している垂直画面サイズH1及び表示倍率αを読み出し、ステップS604に進む。
【0065】
ステップS604においては、読み出した垂直画面サイズH1と表示倍率αを利用して、例えば画像信号処理/表示制御部11にてグリッドライン31を描画させ、表示画面部30に表示出力させている撮像画像上に重畳表示させるための処理を実行する。
まず例えば、「グリッド幅31aは10cmを示す」というように、グリッド幅31aが対応すべき寸法が決まっていさえすれば、垂直画面サイズH1に基づいて、表示用のフレーム画像におけるグリッド幅31aが対応する垂直方向及び水平方向における連続画素数を求めることができる。そこで、グリッドラインの描画に際しては、上記のようにして求めた連続画素数に対応して決まるフレーム画像における位置に対して、グリッド幅31aに対応する区切り線を描画すればよい。
【0066】
上記ステップS604によりグリッドライン31を表示させた後は、ステップS605により、現在表示させているグリッドライン31についての消去操作が行われるのを待機している。そのうえで、ここでは、ステップS605において否定の判別結果が得られた場合には、ステップS607の手順により、これまでにおいて保持している垂直画面サイズH1又は表示倍率αについての書き換えが行われたか否かを判別することとしている。
【0067】
垂直画面サイズH1又は表示倍率αについての書き換えが行われたとしてステップS607にて否定の判別結果が得られた場合には、ステップS603の手順に戻る。これにより、書き換えにより更新された垂直画面サイズH1又は表示倍率αに応じたグリッド幅31aを有する新たなグリッドライン31が表示されることになる。ステップS607にて否定の判別結果が得られたのであれば、ステップS605に戻る。
【0068】
そして、ステップS605においてグリッドライン31を消去する操作が行われたとして肯定の判別結果が得られたのであれば、ステップS606により、これまで表示させていたグリッドライン31を消去するための処理を実行してステップS101に戻る。
【0069】
また、表示倍率指示画像32の表示に関する処理手順としては、上記図8に準ずることになる。
ただし、表示倍率指示画像32の表示に関しては、垂直画面サイズH1を利用しない描画処理が可能であるから、ステップS603、S604においては、そのときに保持されている垂直画面サイズH1、表示倍率αのうち、表示倍率αのみを読み出し、この読み出した表示倍率αが反映されるようにして表示倍率指示画像32についての描画処理を行って表示させるようにしてよい。
また、ステップS607としても、表示倍率αの書き換えが行われたか否かのみを判別すればよく、垂直画面サイズH1の書き換えについての判別を行わない処理とすることができる。
【0070】
また、グリッドラインの表示に関する変形例として、図9(a)(b)に示すようにして、指標画像33を表示可能に構成することも考えられる。
なお、ここでは指標画像33を表示画面部30の右下に表示させているが、その表示位置については特に限定されない。また、この図では、指標画像33とともに、図7においても示した表示倍率指示画像32も同時に表示させた態様を示している。この指標画像33に関しても、その表示・消去の操作は、表示倍率指示画像32とは独立して行えるものとする。
【0071】
この場合の指標画像33は、表示画面部30上において、その画面サイズ(例えばこの場合であれば、垂直画面サイズH1)に対して一定比率となる固定長のバーを表示させると共に、そのバーの長さが対応する現実の被写体の長さ(対応サイズ)を文字数字により表示させたものとなる。
【0072】
図9(a)は、表示倍率α=1の場合の表示態様例を示しているものとされるが、ここでは、指標画像33において示される対応サイズは「50cm」であるとしている。この場合、例えば表示画面部30において表示されている指標画像33のバーの長さを測れば、現実に50cmとなっているものである。
【0073】
図9(b)には比較として、図9(a)と同じ実被写体41を撮像したうえで、表示倍率α=1/2を設定した場合の表示態様例を示す。
この場合には、表示倍率α=1/2が設定されていることに応じて、画像被写体42の垂直画像被写体サイズY1は、図9(a)に対して1/2となっている。
また、これとともに、指標画像33において表示される対応サイズは、1mとされ、図9(a)の2倍となっている。ちなみに、指標画像33において表示されるバーの長さ自体は、図9(a)、(b)とで同じである。
【0074】
この図9に示される指標画像33の表示に関する処理手順としても、図8に準ずることになる。ステップS604としては、例えば垂直画面サイズH1に応じて、フレーム画像内にて配置する指標画像33のバーの長さを決定するとともに、表示されるバーの実際の長さを求めて、さらにこの求めた長さと表示倍率αとに基づいて対応サイズを求める。そして、このようにして求めた対応サイズが反映されるように文字数字の描画を実行する。
【0075】
ここで、図7及び図9に示したグリッドライン31、指標画像33は、表示画面部30において画像として表示される画像被写体42についての、実物(実被写体41)のサイズとの対応を視覚的に把握するための目盛りとなる画像であるが、このようなグリッドライン31、指標画像33の表示態様の詳細については適宜考えることができる。また、グリッドライン31、指標画像33以外で、このような画像被写体42と実物(実被写体41)サイズとの対応をとることのできる目盛り画像の態様もいくつか考えることができる。例えば、所定の現実の長さに対応する半径を有する円周の画像を、撮像画像に重畳表示させることも考えられる。
【0076】
また、これまでの説明においては、ディスプレイ装置の表示画面部全体に撮像画像を表示させる例を挙げてきたが、例えば実際においては、例えば表示画面部全体の画像表示領域を所定のパターンで分割して得られる分割画像表示領域に撮像画像を表示させることも行われる。このような場合においても、表示側テレビ会議端末装置1−2にて、撮像画像を縮小する処理を行わなければ、その分割画像表示領域内にて、表示倍率αに応じた適正な画像被写体42のサイズが得られた状態での表示が行われるものである。
【0077】
また、実際においては、3以上のテレビ会議端末装置1が相互に通信を行って、撮像により得られる画像信号の送受信を行うと共に、各テレビ会議端末装置1により受信画像の表示出力を実行するようにしてテレビ会議システムが構築される場合がしばしばある。本実施の形態としては、これまで説明を簡単なものとするために、2つのテレビ会議端末装置1によりテレビ会議システムを構築した場合を前提としているが、本実施の形態に基づいた構成は、上記のような3以上のテレビ会議端末装置によりテレビ会議システムを構築する場合においても何ら問題なく適用できる。
また、例えば図1、図2に示したテレビ会議システムの構成であるとか、テレビ会議端末装置1の内部構成などについても適宜変更されてよい。
【0078】
また、例えば図4〜図6、図8の各フローチャートに示す処理は、撮像側テレビ会議端末装置1−1、若しくは表示側テレビ会議端末装置1−2の制御部18を形成するものとされるCPUが、ROM或いは不揮発性メモリなどに記憶されるプログラムを実行することで実現されるものとしてみることができる。
また、このプログラムは、上記のようにして、例えばROMなどに対して製造時などに書き込んで記憶させるほか、リムーバブルの記憶媒体に記憶させておいたうえで、この記憶媒体からインストール(アップデートも含む)させるようにして、例えば記憶部19などの不揮発性の記憶領域に記憶させることが考えられる。また、データインターフェイス経由により、他のホストとなる機器からの制御によってプログラムのインストールを行えるようにすることも考えられる。さらに、ネットワーク上のサーバなどにおける記憶装置に記憶させておいたうえで、例えばネットワーク経由などでサーバからダウンロードして取得できるように構成することも考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明の実施の形態に対応するテレビ会議システムの構成例を示す図である。
【図2】実施の形態のテレビ会議端末装置の内部構成例を、これと接続される撮像装置、ディスプレイ装置等と共に示す図である。
【図3】実施の形態における実寸基準倍率対応ズーム制御を実現するための原理、技術概念を説明するための図である。
【図4】実施の形態において、撮像側テレビ会議端末装置が垂直画面サイズの情報を取得するために、撮像側テレビ会議端末装置と表示側テレビ会議端末装置とが行う処理手順例を示すフローチャートである。
【図5】実施の形態において、撮像側テレビ会議端末装置が表示倍率の情報を取得するために、撮像側テレビ会議端末装置と表示側テレビ会議端末装置とが実行する処理手順例を示すフローチャートである。
【図6】撮像側テレビ会議端末装置が実行する、実寸基準倍率対応ズーム制御のための処理手順例を示すフローチャートである。
【図7】グリッドライン及び表示倍率指示画像の表示態様例を示す図である。
【図8】グリッドライン表示に関する処理手順例を示すフローチャートである。
【図9】指標画像及び表示倍率指示画像の表示態様例を示す図である。
【符号の説明】
【0080】
1(1−1、1−2) テレビ会議端末装置、2(2−1、2−2) 撮像装置、2a ズーム機構部、2b 測距部、3a パン機構部、3b チルト機構部、4(4−1、4−2) ディスプレイ装置、5(5−1、5−2) リモートコントローラ、11 画像信号処理/表示制御部、12 エンコーダ、13 デコーダ、14 通信部、15 PTZ駆動制御部、16 パン/チルト駆動制御部、17 ズーム駆動制御部、18 制御部、19 記憶部、20 受信部、30 表示画面部、31 グリッドライン、31a グリッド幅、32 表示倍率指示画像、33 指標画像、41 実被写体、42 画像被写体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信した画像信号を画像として表示装置にて表示出力させるための画像処理を実行可能な画像受信装置に対して、撮像部による撮像に基づいて得られる画像信号を送信する送信手段と、
上記画像受信装置から送信されてくる、上記表示装置の表示画面部の物理的なサイズを示す情報である物理画面サイズ情報を受信して保持する物理画面サイズ情報保持手段と、
上記表示画面部にて表示させる画像における被写体についての実サイズに対する倍率を指示する情報である表示倍率指示情報を外部から取得して保持する表示倍率指示情報取得手段と、
上記撮像部が撮像する被写体までの距離を示す被写体間距離情報を得る被写体間距離情報取得手段と、
上記物理画面サイズ情報と上記被写体間距離情報とに基づいて、上記表示倍率指示情報が指示する倍率に応じた実サイズにより上記表示画面部にて被写体が表示されるための上記画角である必要画角を求めて取得する必要画角取得手段と、
上記必要画角が得られるように、画角が可変の上記撮像部により撮像される上記画角を変更する制御を実行する画角変更制御手段と、
を備えることを特徴とする画像送信装置。
【請求項2】
受信した画像信号を画像として表示装置にて表示出力させるための画像処理を実行可能な画像受信装置に対して、撮像部による撮像に基づいて得られる画像信号を送信する送信手順と、
上記画像受信装置から送信されてくる、上記表示装置の表示画面部の物理的なサイズを示す情報である物理画面サイズ情報を受信して保持する物理画面サイズ情報保持手順と、
上記表示画面部にて表示させる画像における被写体についての実サイズに対する倍率を指示する情報である表示倍率指示情報を外部から取得して保持する表示倍率指示情報取得手順と、
上記撮像部が撮像する被写体までの距離を示す被写体間距離情報を得る被写体間距離情報取得手順と、
上記物理画面サイズ情報と上記被写体間距離情報とに基づいて、上記表示倍率指示情報が指示する倍率に応じた実サイズにより上記表示画面部にて被写体が表示されるための上記画角である必要画角を求めて取得する必要画角取得手順と、
上記必要画角が得られるように、画角が可変の上記撮像部により撮像される上記画角を変更する制御を実行する画角変更制御手順と、
を実行することを特徴とする画角制御方法。
【請求項3】
画像送信装置から送信される撮像部による撮像に基づいて得られる画像信号を受信する画像信号受信手段と、
受信した画像信号を画像として表示装置にて表示出力させるための画像処理を実行する画像処理手段と、
上記画像処理手段により表示出力される画像被写体について、表示倍率指示情報が指示する倍率に応じたサイズとなるように、上記画像送信手段が上記撮像部の画角を制御するために利用する制御情報の1つであって、上記表示装置の表示画面部の物理的なサイズを示す情報である、物理画面サイズ情報を取得する物理画面サイズ情報取得手段と、
上記物理画面サイズ情報を上記画像送信装置に対して送信する物理画面サイズ情報送信手段と、
上記画像処理手段により表示出力される画像被写体について、表示倍率指示情報が指示する倍率に応じたサイズとなるように、上記画像送信手段が上記撮像部の画角を制御するために利用する制御情報の1つであって、上記表示画面部にて表示させる画像における画像被写体についての実サイズに対する倍率を指示するための入力操作に応じて得られる上記表示倍率指示情報を、上記画像送信装置に対して送信する表示倍率指示情報送信手段と、
を備えることを特徴とする画像受信装置。
【請求項4】
上記画像処理手段は、
上記物理画面サイズ情報及び上記表示倍率指示情報に基づいて、受信した画像信号の画像上に対して、画像被写体についての実物のサイズとの対応を視覚的に把握することに利用できる、目盛りとしての機能を有する画像である目盛り画像を重畳表示させる、
ことを特徴とする請求項3に記載の画像受信装置。
【請求項5】
上記画像処理手段は、
上記表示倍率指示情報に基づいて、受信した画像信号の画像上に対して、現在の表示倍率を示す表示倍率指示画像を重畳表示させる、
ことを特徴とする請求項3に記載の画像受信装置。
【請求項6】
画像送信装置から送信される撮像部による撮像に基づいて得られる画像信号を受信する画像信号受信手順と、
受信した画像信号を画像として表示装置にて表示出力させるための画像処理を実行する画像処理手順と、
上記画像処理手順により表示出力される画像被写体について、表示倍率指示情報が指示する倍率に応じたサイズとなるように、上記画像送信手順が上記撮像部の画角を制御するために利用する制御情報の1つであって、上記表示装置の表示画面部の物理的なサイズを示す情報である、物理画面サイズ情報を取得する物理画面サイズ情報取得手順と、
上記物理画面サイズ情報を上記画像送信装置に対して送信する物理画面サイズ情報送信手順と、
上記画像処理手順により表示出力される画像被写体について、表示倍率指示情報が指示する倍率に応じたサイズとなるように、上記画像送信手順が上記撮像部の画角を制御するために利用する制御情報の1つであって、上記表示画面部にて表示させる画像における画像被写体についての実サイズに対する倍率を指示するための入力操作に応じて得られる上記表示倍率指示情報を、上記画像送信装置に対して送信する表示倍率指示情報送信手順と、
を実行することを特徴とする画角制御方法。
【請求項7】
画像送信装置と、画像受信装置とから成り、
上記画像送信装置において、撮像部による撮像に基づいて得られる画像信号を送信する画像信号送信手段と、
上記画像受信装置において、上記画像送信装置から送信されてきた画像信号を受信する画像信号受信手段と、
上記画像受信装置において、受信した画像信号を画像として表示装置にて表示出力させるための画像処理を実行する画像処理手段と、
上記画像受信装置において、上記表示装置の表示画面部の物理的なサイズを示す情報である、物理画面サイズ情報を取得する物理画面サイズ情報取得手段と、
上記画像受信装置において、上記物理画面サイズ情報を上記画像送信装置に対して送信する物理画面サイズ情報送信手段と、
上記画像送信装置において、送信されてきた上記物理画面サイズ情報を受信して保持する物理画面サイズ情報保持手段と、
上記画像送信装置において、上記表示画面部にて表示させる画像における被写体についての実サイズに対する倍率を指示する情報である表示倍率指示情報を外部から取得して保持する表示倍率指示情報取得手段と、
上記画像送信装置において、上記撮像部が撮像する被写体までの距離を示す被写体間距離情報を取得する被写体間距離情報取得手段と、
上記画像送信装置において、上記物理画面サイズ情報と上記被写体間距離情報とに基づいて、上記表示倍率指示情報が指示する倍率に応じた実サイズにより上記表示画面部にて被写体が表示されるための上記画角である必要画角を求めて取得する必要画角取得手段と、
上記画像送信装置において、上記必要画角が得られるように、画角が可変の上記撮像部により撮像される上記画角を変更する制御を実行する画角変更制御手段と、
を備えることを特徴とする画像表示システム。
【請求項8】
画像送信装置と、画像受信装置とから成る画像表示システムにおける画像表示方法であり、
上記画像送信装置において、撮像部による撮像に基づいて得られる画像信号を送信する画像信号送信手順と、
上記画像受信装置において、上記画像送信装置から送信されてきた画像信号を受信する画像信号受信手順と、
上記画像受信装置において、受信した画像信号を画像として表示装置にて表示出力させるための画像処理を実行する画像処理手順と、
上記画像受信装置において、上記表示装置の表示画面部の物理的なサイズを示す情報である、物理画面サイズ情報を取得する物理画面サイズ情報取得手順と、
上記画像受信装置において、上記物理画面サイズ情報を上記画像送信装置に対して送信する物理画面サイズ情報送信手順と、
上記画像送信装置において、送信されてきた上記物理画面サイズ情報を受信して保持する物理画面サイズ情報保持手順と、
上記画像送信装置において、上記表示画面部にて表示させる画像における被写体についての実サイズに対する倍率を指示する情報である表示倍率指示情報を外部から取得して保持する表示倍率指示情報取得手順と、
上記画像送信装置において、上記撮像部が撮像する被写体までの距離を示す被写体間距離情報を取得する被写体間距離情報取得手順と、
上記画像送信装置において、上記物理画面サイズ情報と上記被写体間距離情報とに基づいて、上記表示倍率指示情報が指示する倍率に応じた実サイズにより上記表示画面部にて被写体が表示されるための上記画角である必要画角を求めて取得する必要画角取得手順と、
上記画像送信装置において、上記画角可変手順により上記必要画角が得られるように、画角が可変の上記撮像部により撮像される上記画角を変更する制御を実行する画角変更制御手順と、
を実行することを特徴とする画像表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−200697(P2009−200697A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−38701(P2008−38701)
【出願日】平成20年2月20日(2008.2.20)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】