説明

画像送信装置

【課題】送信エラー等の不具合を起こすことなく、画像ファイルの送信を行なうことができるとともに、ユーザの使い勝手に優れる画像送信装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置104において、画像判定部120は、送信対象の画像ファイルから区切り位置(例えば、見出しの直前の位置)を検出し、画像処理部116は、検出された区切り位置で画像ファイルを分割し、メール生成部122は、分割された画像ファイルを送信するようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像送信装置に関し、特には、送信対象の画像ファイルを分割して送信する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、原稿をスキャナ装置等によって読取ることで得られる画像ファイル、又は、PC(Personal Computer)等の外部装置から受信する画像ファイルを電子メールに添付し、ネットワークを介して所望の相手先に送信する技術が知られている。このとき問題となるのが、画像ファイルのサイズである。メールサーバでは、添付ファイルの大きさに制限を設けていることが一般的である。画像ファイルを無条件で電子メールに添付すると、この制限のために電子メール自体が不達となるおそれがある。
【0003】
例えば、後掲の特許文献1には、複数ページで構成される画像ファイルを電子メールに添付して送信する際に、当該画像ファイルをページ毎に分割して相手先に送信する通信装置が開示されている。
【0004】
後掲の特許文献2には、画像ファイルを電子メール形式に変換して送信するに際し、画像ファイルのデータ量が、メールサーバによって設定される制限データ量を超えている場合に、当該画像ファイルを制限データ量よりも小さいデータ量となるように分割し、メール形式に変換して送信する画像通信装置が開示されている。
【0005】
上記したように画像ファイルを分割して送信することによって、メールサーバの容量制限、及び、ネットワークトラフィックの混雑回避等のネットワークシステム上の制限によって生じる送信エラー等の不具合を回避することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−23501号公報
【特許文献2】特開2004−194080号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1及び2に開示される技術では、ページ毎のライン、又は、制限データ量を超える直前のラインで画像ファイルを分割しているため、画像ファイルは内容的に区切られた位置で分割されていない。その結果、例えば、画像ファイルが文書データである場合には、同一の章に含まれる文章が別々の画像ファイルに含まれてしまうことがあるため、電子メールを受信したユーザが画像ファイルの内容を確認する際に、参照したい箇所を探しにくくなるおそれがある。また、ユーザがPC上で画像ファイルの再分割及び合成等をやり直す必要が生じるおそれがあり、ユーザにとって使い勝手が悪いという問題がある。
【0008】
本発明の目的は、送信エラー等の不具合を起こすことなく、画像ファイルの送信を行なうことができるとともに、ユーザの使い勝手に優れる画像送信装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のある局面に係る画像通信装置は、送信対象の画像ファイルから、区切り位置を検出する検出手段と、検出された区切り位置で画像ファイルを分割する分割手段と、分割された画像ファイルを送信する送信手段と、を含む。このように、画像ファイルが区切り位置で分割されて送信されるので、送信エラー等の不具合を起こすことなく、画像ファイルの送信を行なうことができる。また、ユーザは、画像ファイルの内容を確認しやすい。さらに、ユーザがPC上で画像ファイルの再分割及び合成等をやり直すといった手間を省くことができる。したがって、ユーザの使い勝手が向上する。
【0010】
好ましくは、検出手段は、見出しの直前の位置を区切り位置として検出する見出し検出手段を含む。これによって、画像ファイルが文書データである場合には、画像ファイルは内容的に区切られた位置で分割されるので、ユーザは、画像ファイルの内容を確認しやすい。また、ユーザがPC上で画像ファイルの再分割及び合成等をやり直すといった手間を省くことができる。したがって、より一層ユーザの使い勝手が向上する。
【0011】
より好ましくは、見出し検出手段は、フォントサイズが他の文字のサイズよりも大きく、かつ、太字である文字によって構成される文字列を、見出しとして検出する手段を含む。これによって、区切り位置をより一層容易かつ正確に検出することができる。
【0012】
さらに好ましくは、見出し検出手段は、行頭の文字が数字である文字列を、見出しとして検出する手段を含む。これによって、区切り位置をより一層容易かつ正確に検出することができる。
【0013】
さらに好ましくは、見出し検出手段は、改行幅が他の改行幅よりも大きくなっている部分の直前の文字列を、見出しとして検出する手段を含む。これによって、区切り位置をより一層容易かつ正確に検出することができる。
【0014】
さらに好ましくは、検出手段は、他の画像と区別して認識されるインクによって描かれたマークに基づくデータの位置を、区切り位置として検出するマーク検出手段を含む。これによって、ユーザは、専用のインクが使用されるペン等によって原稿画像の所望の位置にマークを手書き等することによって、画像ファイルを所望の区切り位置で分割することができる。したがって、より一層ユーザの使い勝手が向上する。
【0015】
さらに好ましくは、画像送信装置はさらに、所定の記号を、検出された区切り位置に挿入する挿入手段を含み、分割手段は、所定の記号に基づいて、画像ファイルを分割する手段を含む。これによって、画像ファイルの分割を、より一層容易かつ正確に行なうことができる。
【0016】
さらに好ましくは、分割手段はさらに、区切り位置が途中に設けられるページを含む画像ファイルを、第1の画像ファイルと、第2の画像ファイルとに分割するページ分割手段を含み、ページ分割手段は、上記ページが第1の画像ファイルの最終ページとなり、上記ページをコピーしたページが第2の画像ファイルの最初のページとなるように、画像ファイルを分割する。このように分割することによって、第1の画像ファイルの最終ページ及び第2の画像ファイルの最初のページは、内容が重複する部分を含む。その結果、ユーザは、第1の画像ファイル及び第2の画像ファイルにおける内容の前後関係を容易に把握することができる。
【0017】
さらに好ましくは、ページ分割手段は、上記最終ページにおいて、区切り位置以降の部分に空白データを挿入し、上記最初のページにおいて、区切り位置以前の部分に空白データを挿入する挿入手段を含む。このように分割することによって、第1の画像ファイルの最終ページ及び第2の画像ファイルの最初のページは、内容が重複する部分を含まない。その結果、ユーザは、画像ファイルの整理及び保存等をする際に、重複部分を削除するという手間をより一層確実に省くことができる。
【0018】
さらに好ましくは、画像送信装置はさらに、分割された画像ファイルに、予め定められるデータ量を超えているものがあるか否かを判定する判定手段と、判定手段によって、予め定められるデータ量を超えているものがあると判定された場合に、エラーの発生を通知する通知手段と、を含む。これによって、ユーザは、分割された画像ファイルが、メールサーバの容量制限等の制限を満たしていないものであることを容易に知ることができる。したがって、送信エラー等の不具合を容易に回避することができる。
【0019】
さらに好ましくは、画像送信装置はさらに、原稿の画像を読取り、読取った画像情報を画像ファイルに変換する画像読取手段と、変換された画像ファイルに対して光学文字認識を行なう文字認識手段と、を含む。これによって、スキャナ装置等によって読取った画像ファイルにおいても、区切り位置を容易に検出することが可能になる。したがって、ユーザの使い勝手がさらに向上する。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、画像ファイルが区切り位置で分割されて送信されるので、送信エラー等の不具合を起こすことなく、画像ファイルの送信を行なうことができる。また、ユーザは、画像ファイルの内容を確認しやすい。さらに、ユーザがPC上で画像ファイルの再分割及び合成等をやり直すといった手間を省くことができる。したがって、ユーザの使い勝手が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るネットワークシステムの構成を示す図である。
【図2】図1に示す画像形成装置のハードウェア構成を示す図である。
【図3】画像ファイルの分割方法を説明するための図である。
【図4】第1の画像ファイル分割処理を実現するためのコンピュータプログラムの制御構造を示すフローチャートである。
【図5】電子メール送信処理における各種設定を行なうための送信設定画面の一例を示す図である。
【図6】画像ファイルの一例を示す図である。
【図7】分割された画像ファイルの一例を示す図である。
【図8】第2の画像ファイル分割処理を実現するためのコンピュータプログラムの制御構造を示すフローチャートである。
【図9】画像ファイルの一例を示す図である。
【図10】分割された画像ファイルの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下の説明及び図面においては、同一の部品には同一の参照符号及び名称を付してある。それらの機能も同様である。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
【0023】
[第1の実施の形態]
図1を参照して、本発明の第1の実施の形態に係るネットワークシステム1は、クライアントPC101,102及び103と、画像形成装置104,105及び106と、メールサーバ107と、を含む。これらの装置は、LAN(Local Area Network)回線等からなるネットワーク108を介して互いに接続され、各種データを相互に送受できる。なお、クライアントPC及び画像形成装置の台数は、それぞれ、図1に示す3台に限定されない。
【0024】
クライアントPC101,102及び103は、画像形成装置104,105及び106、並びにメールサーバ107を利用するために一般のユーザによって操作される端末装置である。クライアントPC101,102及び103には、図形描画ツール及びワードプロセッサ等のアプリケーションプログラム、並びに、画像データの印刷ジョブ等を実現するためのプリンタドライバがインストールされている。クライアントPC101,102及び103は、上記アプリケーションプログラムを使用するユーザの指示に応じて、文字及び図形等を含む画像を出力するためのアプリケーションデータを作成し、作成したアプリケーションデータをプリンタドライバによってPDL(Page Description Language)データに変換して、画像ファイルとして画像形成装置104,105及び106に対して送信する。
【0025】
クライアントPC101,102及び103はさらに、メールサーバ107に対し、自己宛ての電子メールの有無を確認し、自己宛ての電子メールがある場合には、メールサーバ107から当該自己宛ての電子メールを受信することができる。
【0026】
画像形成装置104,105及び106は、スキャナ機能、コピー機能、プリンタ機能、及び電子メール送信機能等を備えるMFP(Multifunction Printer)である。画像形成装置104,105及び106の詳細な構成については、後述する。
【0027】
メールサーバ107は、ネットワーク108内における電子メールの送受信を行なうためのサーバ装置である。メールサーバ107は、クライアントPC101,102及び103のユーザ宛てに送信される電子メールを記憶し、ユーザの受信要求に応答して、記憶している電子メールを、要求元のクライアントPC101,102又は103に対して送信する。
【0028】
本実施の形態において、メールサーバ107は、電子メールのデータ量を予め定められる容量(以下、「第1の制限容量」と記す。)に制限する。すなわち、メールサーバ107は、電子メールのデータ量が第1の制限容量を超える場合には、その電子メールを受信しない。
【0029】
ネットワークシステム1において、クライアントPC101,102又は103によって、画像形成装置104,105又は106に対し、電子メールを送信することを要求する指示(以下「電子メール送信指示」と記す。)とともに、送信対象の画像ファイルが送信されると、画像形成装置104,105又は106は、受信した画像ファイルを、電子メール形式に変換し、電子メールに添付してクライアントPC101,102又は103を宛先としてメールサーバ107に対して送信する。メールサーバ107は、受信した電子メールを、クライアントPC101,102及び103毎に記憶する。クライアントPC101,102又は103は、自己宛ての電子メールの有無をメールサーバ107に確認し、自己宛てのメールがある場合には、メールサーバ107から当該自己宛てのメールを受信する。
【0030】
[画像形成装置104,105及び106]
画像形成装置104,105及び106は、同一の構成を有する。以下、これらを代表して、画像形成装置104の構成及びその動作について説明する。
【0031】
〈ハードウェア構成〉
図2を参照して、画像形成装置104は、制御部110、操作パネル112、画像読取部114、画像処理部116、画像形成部118、画像判定部120、メール生成部122、及び、通信部124を含む。
【0032】
制御部110は、実質的にコンピュータであって、CPU(Central Processing Unit)130、ROM(Read Only Memory)132、RAM(Random Access Memory)134、HDD(Hard Disk Drive)136、及びフラッシュメモリ138を含む。CPU130には、バスライン139が接続されており、このバスライン139には、ROM132、RAM134、HDD136、及びフラッシュメモリ138が電気的に接続される。CPU130は、クライアントPC101,102及び103等の外部装置、又は、操作パネル112からの指示に応じて各種コンピュータプログラムを実行することによって、画像形成装置104の各部の動作及び外部装置との通信等の所望の処理を実行する。上記の各種コンピュータプログラムは、予めROM132又はHDD136に記憶されており、所望の処理の実行時において、当該ROM132又はHDD136から読出されてRAM134に転送される。CPU130は、CPU130内の図示しないプログラムカウンタと呼ばれるレジスタに格納された値によって指定される、RAM134内のアドレスからプログラムの命令を読出し、解釈する。CPU130はまた、読出された命令によって指定されるアドレスから演算に必要なデータを読出し、そのデータに対し命令に対応する演算を実行する。実行の結果も、RAM134、HDD136及びCPU130内のレジスタ等の、命令によって指定されるアドレスに格納される。
【0033】
HDD136及びフラッシュメモリ138は、画像データ等の各種データを記憶する。HDD136は、画像形成装置104の一般的な動作を実現するためのコンピュータプログラムとともに、後述する第1の画像ファイル分割処理を実現するためのコンピュータプログラムを記憶する。
【0034】
バスライン139にはさらに、操作パネル112、画像読取部114、画像処理部116、画像形成部118、画像判定部120、メール生成部122、及び、通信部124が、電気的に接続される。
【0035】
操作パネル112は、液晶ディスプレイからなる表示部140と、各種ハードウェアキー及びタッチパネルからなる操作部142と、を含む。操作パネル112は、液晶ディスプレイとタッチパネルとを重ねて構成される、ユーザに対して対話的な操作インターフェイスを提供する。この対話的な操作インターフェイスは、タッチパネルからユーザの指示を受付けて、その指示の内容を液晶ディスプレイに表示するとともに、その指示に応じた制御信号を制御部110又は画像処理部116のMPU(Micro Processing Unit)に対して出力する。操作部142は、各種ハードウェアキーとして、電源オン指示及び電源オフ指示を入力するための電源ボタン、並びに、印刷処理及び電子メール送信処理等の各種処理を開始させるためのスタートキー等を含む。
【0036】
本実施の形態において、画像形成装置104の管理者は、操作パネル112に対する入力操作によって、電子メール送信処理における各種設定を行なうことができる。例えば、管理者は、送信対象の電子メールのデータ量を、予め定められる容量(以下「第2の制限容量」と記す。)に制限するように設定することができる。管理者はさらに、画像ファイルの分割方法を、後述する第1の分割方法及び第2の分割方法のいずれかに設定することができる。管理者はさらに、送信エラーの通知方法を、エラーメッセージを表示する方法及びエラーメッセージを電子メールにて通知する方法のいずれかに設定することができる。
【0037】
画像読取部114は、光源を含む原稿走査ユニット、反射ミラー、光学レンズ及びCCD(Charge−Coupled Device)ラインセンサ(以上いずれも図示せず。)を含むスキャナ装置である。原稿走査ユニットは、ユーザによって手動で、又は、自動原稿搬送装置(図示せず。)によって、原稿載置台(図示せず。)上に載置された原稿の画像表面に対し光源から光を照射することによって反射光像を得る。反射ミラー及び光学レンズは、得られる反射光像をCCDラインセンサ上に結像させる。CCDラインセンサは、結像された反射光像を順次光電変換して画像ファイルとして画像処理部116に対して出力する。
【0038】
画像処理部116は、MPU(図示せず。)を含む。画像処理部116は、画像読取部114から受信する画像ファイルに対して、例えば、ラスタライズ処理等の所定の画像処理を施して所定の階調の印刷データを作成し、画像形成部118に対して出力する。
【0039】
画像処理部116はさらに、制御部110の指示に従って、クライアントPC101,102又は103から受信した画像ファイルを、所定の区切り位置で分割する。本実施の形態において、画像処理部116は、以下に示す第1の分割方法及び第2の分割方法のいずれかによって、画像ファイルを分割するものとする。
【0040】
図3を参照して、例えば、「2.1 設定」という章見出しがページ途中に設けられるページ(以下「分割対象ページ」と記す。)を含む画像ファイル150を、章見出しの直前を区切り位置として区切り、第1の画像ファイルと、第2の画像ファイルとに分割するものとする。
【0041】
第1の分割方法では、分割対象ページが第1の画像ファイルの最終ページ152となり、分割対象ページをコピーしたページが第2の画像ファイルの最初のページ154となるように、画像ファイル150が分割される。第1の分割方法によって画像ファイルが分割された場合、ページ152及び154は、内容が重複する部分を含む。その結果、ユーザは、第1の画像ファイル及び第2の画像ファイルにおける内容の前後関係を容易に把握することができる。
【0042】
第2の分割方法では、まず、分割対象ページが第1の画像ファイルの最終ページ156となり、分割対象ページをコピーしたページが第2の画像ファイルの最初のページ158となるように、画像ファイル150が分割される。さらに、ページ156において、区切り位置(すなわち、章見出しの直前)以降の部分(すなわち、第2章の始まりの部分)が空白データを挿入することによって削除され、ページ158において、区切り位置以前の部分(すなわち、第1章の終りの部分)が空白データを挿入することによって削除される。第2の分割方法によって分割された場合、ページ156と、ページ158とは、内容が重複する部分を含まない。その結果、ユーザは、画像ファイルの整理及び保存等をする際に、重複部分を削除するという手間を省くことができる。
【0043】
画像形成部118は、画像メモリ及び印刷部(以上いずれも図示せず。)を含む。画像メモリは、RAMを含み、印刷データをページ単位で一時的に記憶する。画像メモリは、制御部110等の指示に従って、印刷部に送信するための、画像処理部116から入力される印刷データ、又は、クライアントPC101,102及び103等から送信される印刷データをページ単位で一時的に記憶し、記憶した印刷データを印刷部による画像形成に同期して、印刷部に対して出力する。印刷部は、感光体ドラム、帯電器、LSU(Laser Scanning Unit)、現像装置、転写装置、クリーニング装置及び定着装置(以上いずれも図示せず。)、並びに、画像形成装置104に着脱自在に装着されるトナーカートリッジを含む。印刷部はさらに、画像形成装置104に着脱自在に装着される、手差し給紙トレイ、第1給紙トレイ及び第2給紙トレイ(以上いずれも図示せず。)を含む。これらの給紙トレイは、この順で上下に並ぶように設置され、記録用紙を保持し、用紙搬送部(図示せず。)に記録用紙を送給する。手差し給紙トレイは、ユーザが手動により所望の記録用紙を設置するためのトレイであり、第1給紙トレイ及び第2給紙トレイは、異なる大きさの記録用紙を保持するためのトレイである。印刷部は、制御部110等の指示に応じて、上記給紙トレイのいずれかから用紙搬送部を介して搬送される記録用紙上に、画像メモリから送信される印刷データに基づく画像を印刷する。
【0044】
画像判定部120は、実際には制御部110によって実現される。画像判定部120は、クライアントPC101,102又は103から受信する画像ファイルに区切りがあるか否かを、ページ毎に判定する。本実施の形態において、画像判定部120は、対象ページに章見出しがある場合に、区切りがあると判定する。画像判定部120によって区切りがあると判定された場合、CPU130は、章見出しの直前の位置を区切り位置と判断する。
【0045】
メール生成部122は、制御部110の指示に従って、送信対象の画像ファイルに対して圧縮符号化処理を行なうことで所定の電子メール形式に変換し、変換したデータを電子メールに添付することで、電子メールを生成する。画像ファイルの圧縮符号化処理の形式としては、特に限定されないが、TIFF(Tagged Image File Format)形式等を使用できる。
【0046】
通信部124は、ネットワーク108とのインターフェイスをとる。画像形成装置104は、この通信部124を介して、ネットワーク108上のクライアントPC101,102及び103、並びに、メールサーバ107と、所定の通信プロトコルに従ったデータ通信を行なうことができる。例えば、通信部124は、メール生成部122によって作成された電子メールを、例えばTCP(Transmission Control Protocol)コネクション等によって、メールサーバ107に対して送信することができる。
【0047】
画像形成装置104は、上記した各部を動作させることによって、操作パネル112に対するユーザの入力操作に基づく指示又はクライアントPC101,102及び103等からの指示に応じて、原稿画像を読取り記録用紙に印刷するコピーモード、クライアントPC101,102及び103等から送信される印刷データを受信して記録用紙に記録するプリンタモード、原稿画像を読取りクライアントPC101,102及び103等に送信するスキャナモード、並びに、読取った画像データ(画像ファイル)又は受信した画像データ(画像ファイル)を電子メール形式に変換して電子メールに添付してメールサーバ107に送信する電子メール送信モード等の各種のモードのいずれかを実行する。
【0048】
〈ソフトウェア構成〉
第1の画像ファイル分割処理を実現するためのコンピュータプログラムは、通信部124が、クライアントPC101,102又は103から、電子メール送信指示等とともに送信対象の画像ファイルを受信することによって、起動される。
【0049】
図4を参照して、第1の画像ファイル分割処理を実現するためのコンピュータプログラムは、画像ファイルを読込むステップS101と、画像ファイルに次のページがあるか否かを判定するステップS102と、を含む。ステップS102の処理が、ステップS101の直後に実行される場合には、画像ファイルの第1ページ目が次のページであると判断される。
【0050】
このプログラムはさらに、ステップS102にて、次のページがあると判定された場合(YESの場合)に実行され、画像判定部120が、次のページに区切りがあるか否かを判定するステップS103を含む。ステップS103にて、区切りがないと判定された場合(NOの場合)には、制御はステップS102に戻る。
【0051】
このプログラムはさらに、ステップS103にて、区切りがあると判定された場合(YESの場合)に実行され、区切り位置をマークするステップS104を含む。ステップS104の処理後、制御はステップS102に戻る。
【0052】
このプログラムはさらに、ステップS102にて、次のページがないと判定された場合(NOの場合)に実行され、画像処理部116が、マークされた区切り位置で画像ファイルを分割するステップS105と、メール生成部122が、分割された画像ファイル毎に電子メールを生成するステップS106と、を含む。
【0053】
このプログラムはさらに、生成された電子メールの中に、第2の制限容量を超えているものがあるか否かを判定するステップS107と、ステップS107にて、第2の制限容量を超えているものがないと判定された場合(NOの場合)に実行され、生成された電子メールを、クライアントPC101,102又は103を宛先として、メールサーバ107に送信するステップS108と、を含む。
【0054】
このプログラムはさらに、ステップS107にて、第2の制限容量を超えているものがあると判定された場合(YESの場合)に実行され、送信対象の電子メールが容量制限を超えていることを示すエラーメッセージを通知するステップS109を含む。
【0055】
〈動作〉
図1〜図7を参照して、本実施の形態に係る画像形成装置104は、以下のように動作する。以下の動作を除く、画像形成装置104の一般的な動作は、従来の画像形成装置の動作と同じである。なお、以下の動作において、クライアントPC101及び102、並びに画像形成装置104は、電源が投入された状態であるものとする。
【0056】
画像形成装置104の管理者は、電子メール送信処理における各種設定を行なうために、操作パネル112に対する入力操作によって指示を出し、表示部140に、送信設定画面160(図5参照)を表示させる。図5を参照して、管理者は、操作パネル112に対する入力操作によって、送信設定画面160に表示されるチェックボックス162及び164にチェックを入れる。これによって、章ごとに画像ファイルを分割して送信する処理が選択されるとともに、画像ファイルの分割方法として、前章の残りの部分を空白にする処理、すなわち、上記した第2の分割方法が選択される。なお、管理者によって、チェックボックス162にチェックが入れられ、チェックボックス164のチェックが外される場合には、画像ファイルの分割方法として上記した第1の分割方法が選択される。また、チェックボックス162のチェックが外される場合には、画像ファイルを分割せずに送信する処理が選択される。
【0057】
管理者はさらに、操作パネル112に対する入力操作によって、チェックボックス166にチェックを入れ、テキストフィールド168に対して「2MB」という文字列を入力し、チェックボックス170のチェックを外す。これによって、送信対象の電子メールのデータ量の容量制限を行なう処理が選択され、第2の制限容量の上限値が2MBになるように設定され、送信エラーの通知方法として、エラーメッセージを表示する方法が選択される。なお、管理者は、第2の制限容量の上限値として、第1の制限容量を超えない値を設定するものとする。管理者によって、チェックボックス170にチェックが入れられる場合には、送信エラーの通知方法として、エラーメッセージを電子メールにて通知する方法が選択される。また、チェックボックス166のチェックが外される場合には、送信対象の電子メールのデータ量の容量制限を行なわない処理が選択される。
【0058】
上記した各種設定を行なった後、管理者は、操作パネル112に対する入力操作によってOKボタン172を押下する。OKボタン172が押下されると、送信設定画面160の表示は終了し、選択された処理及び方法、並びに、入力された数値が確定して設定に反映される。
【0059】
クライアントPC101のユーザは、アプリケーションソフトを実行して、所望のアプリケーションデータを作成する。ユーザは、作成したアプリケーションデータを指定し、送信相手先であるクライアントPC102のメールアドレスを入力した後、電子メール送信指示を出す。電子メール送信指示がなされると、クライアントPC101のプリンタドライバは、指定されたアプリケーションデータに基づくPDLデータを画像ファイルとして作成する。作成された画像ファイルは電子メール送信指示等とともに、ネットワーク108を介して、画像形成装置104に送信される。
【0060】
図6を参照して、本実施の形態において、作成された画像ファイル200は、3つの章見出しを含む、5ページ分の文書データ202〜210からなるものとする。画像ファイル200において、第1ページ目の文書データ202には、「1.定義」という章見出しが含まれる。第2ページ目の文書データ204には、「2.検討内容」という章見出しが含まれる。第4ページ目の文書データ208には、「3.結論」という章見出しが含まれる。これらの章見出しを構成する文字(以下「見出し文字」と記す。)は、フォントサイズが他の文字のサイズよりも大きく、かつ、太字である。
【0061】
通信部124が、電子メール送信指示等とともに画像ファイル200を受信すると、画像形成装置104のCPU130は、受信した画像ファイル200を読込み(ステップS101)、画像ファイル200に次のページがあるか否かを判定する(ステップS102)。この場合、CPU130は、画像ファイル200の第1ページ目を次のページとして判断し、画像ファイル200に次のページがあると判定する(ステップS102にてYES)。
【0062】
画像判定部120は、第1ページ目の文書データ202に章見出しが含まれるか否かに基づいて、次のページに区切りがあるか否かを判定する(ステップS103)。すなわち、画像判定部120は、対象となる文書データから、フォントサイズが他の文字のサイズよりも大きく、かつ、太字である文字を見出し文字として検出し、さらに検出した見出し文字によって構成される文字列を検出した場合、すなわち、章見出しを検出した場合には、次のページに区切りがあると判定する。この場合、文書データ202には、「1.定義」という文字列からなる章見出しが存在するので、画像判定部120は、区切りがあると判定する(ステップS103にてYES)。
【0063】
画像判定部120によって上記判定がなされると、CPU130は、区切り位置を、以下のようにしてマークする(ステップS104)。すなわち、CPU130は、章見出しである「1.定義」の直前の位置を区切り位置と判断し、区切り位置を示す記号(以下、「区切り記号」と記す。)を、区切り位置に挿入する。区切り記号としては、特に限定されないが、例えば、エスケープコード、及び改ページコード等がある。
【0064】
CPU130はさらに、画像ファイル200に次のページがあると判定し(ステップS102にてYES)、画像判定部120は、次のページに区切りがあるか否かを判定する(ステップS103)。次のページである第2ページ目の文書データ204には、「2.検討内容」という文字列からなる章見出しが存在するので、画像判定部120は、区切りがあると判定する(ステップS103にてYES)。CPU130は、章見出しである「2.検討内容」の直前の位置を区切り位置と判断し、区切り記号を区切り位置に挿入することで、区切り位置をマークする(ステップS104)。
【0065】
CPU130はさらに、画像ファイル200に次のページがあると判定し(ステップS102にてYES)、画像判定部120は、次のページに区切りがあるか否かを判定する(ステップS103)。次のページである第3ページ目の文書データ206には、章見出しは含まれないので、画像判定部120は、区切りがないと判定する(ステップS103にてNO)。
【0066】
CPU130はさらに、画像ファイル200に次のページがあると判定し(ステップS102にてYES)、画像判定部120は、次のページに区切りがあるか否かを判定する(ステップS103)。次のページである第4ページ目の文書データ208には、「3.結論」という文字列からなる章見出しが存在するので、画像判定部120は、区切りがあると判定する(ステップS103にてYES)。CPU130は、章見出しである「3.結論」の直前の位置を区切り位置と判断し、区切り記号を区切り位置に挿入することで、区切り位置をマークする(ステップS104)。
【0067】
CPU130はさらに、画像ファイル200に次のページがあると判定し(ステップS102にてYES)、画像判定部120は、次のページに区切りがあるか否かを判定する(ステップS103)。次のページである第5ページ目の文書データ210には、章見出しは含まれないので、画像判定部120は、区切りがないと判定する(ステップS103にてNO)。
【0068】
CPU130によって、画像ファイル200に次のページがないと判定されると(ステップS102にてNO)、画像処理部116は、上記第2の分割方法に従って、マークされた区切り位置で画像ファイル200を分割する(ステップS105)。図7を参照して、画像ファイル200は章毎に区切られたラインで分割され、これによって3つの画像ファイル220〜224が作成される。画像ファイル220は、第1章の内容を含む文書データ202を含む。画像ファイル222は、第2章の内容を含む文書データ204〜208を含む。画像ファイル224は、第3章の内容を含む文書データ208及び210を含む。画像ファイル222の最終ページである文書データ208において、区切り位置以降の内容(すなわち、第3章の始まりの部分)は、削除されている。画像ファイル224の最初のページである文書データ208(正確にはコピーデータ)において、区切り位置以前の内容(すなわち、第2章の終りの部分)は、削除されている。
【0069】
メール生成部122は、分割された画像ファイル220〜224毎に電子メールを生成する(ステップS106)。すなわち、メール生成部122は、分割されたファイル220〜224をそれぞれ所定の電子メール形式に変換し、変換されたデータがそれぞれ添付された電子メールを生成する。
【0070】
CPU130は、生成された3つの電子メールの中に、第2の制限容量(ここでは、2MB)を超えているものがあるか否かを判定する(ステップS107)。
【0071】
3つの電子メールの中に、第2の制限容量を超えているものがない場合(ステップS107にてNO)には、CPU130は、3つの電子メールを、クライアントPC102を宛先としてメールサーバ107に送信する(ステップS108)。メールサーバ107は、受信したメールをクライアントPC102に関連付けて記憶する。クライアントPC102は、メールサーバ107に対し、自己宛ての電子メールがあることを確認し、メールサーバ107から当該自己宛ての電子メールを受信する。
【0072】
3つの電子メールの中に、第2の制限容量を超えているものがある場合(ステップS107にてYES)には、表示部140には、送信対象の電子メールが容量制限を超えていることを示すエラーメッセージが表示される(ステップS109)。
【0073】
なお、送信エラーの通知方法として、エラーメッセージを電子メールにて通知する方法が設定されている場合には、上記したエラーメッセージを含む電子メールが、電子メール送信指示の送信元であるクライアントPC101を宛先としてメールサーバ107に送信される。メールサーバ107は、受信したメールをクライアントPC101に関連付けて記憶する。クライアントPC101は、メールサーバ107に対し、自己宛ての電子メールがあることを確認し、メールサーバ107から当該自己宛ての電子メールを受信する。
【0074】
[第2の実施の形態]
本発明の第2の実施の形態は、上記した第1の画像ファイル分割処理に代えて、第2の画像ファイル分割処理が実行される点、分割処理の対象となる画像ファイルが異なる点、及び、次のページに区切りがあるか否かの判定方法が異なる点を除き、上記第1の実施の形態と同じ構成である。以下、異なる点について説明する。
【0075】
本実施の形態において、第2の画像ファイル分割処理の対象となる画像ファイルは、クライアントPC101,102及び103等によって作成されるアプリケーションデータに基づくものではなく、画像形成装置104の画像読取部114によって読取られた原稿画像に基づくものである。
【0076】
〈ソフトウェア構成〉
図8を参照して、第2の画像ファイル分割処理を実現するためのコンピュータプログラムにおいて、ステップS202〜ステップS210の処理は、図4に示すステップS101〜ステップS109の処理と同じである。以下、図4に示す処理と異なる処理について説明する。
【0077】
第2の画像ファイル分割処理を実現するためのコンピュータプログラムは、操作パネル112に対するユーザの入力操作によって、スキャンデータの電子メール送信を要求する指示(以下、「スキャンデータ送信指示」と記す。)がなされることによって、起動される。図8を参照して、このプログラムは、ステップS202の処理の前に実行され、画像読取部114に対し、原稿の画像を読取らせ、読取った画像情報を画像ファイルに変換させるステップS201を含む。
【0078】
〈動作〉
図1〜図3及び図8〜図10を参照して、本実施の形態に係る画像形成装置104は、以下のように動作する。以下の動作を除く、画像形成装置104の一般的な動作は、従来の画像形成装置の動作と同じである。なお、以下の動作において、クライアントPC102、並びに画像形成装置104は、電源が投入された状態であるものとする。
【0079】
画像形成装置104の管理者は、電子メール送信処理における各種設定を行なうために、操作パネル112に対する入力操作によって指示を出し、表示部140に、送信設定画面(図示せず。)を表示させる。管理者は、操作パネル112に対する入力操作によって、専用ペンによって手書きしたマークの位置で画像ファイルを分割して送信する処理を選択するとともに、画像ファイルの分割方法として、上記した第2の分割方法を選択する。上記した専用ペンとは、画像判定部120によって、他の画像と区別して認識されるインクが使用されるペンである。
【0080】
管理者はさらに、操作パネル112に対する入力操作によって、送信対象の電子メールのデータ量の容量制限を行なう処理を選択し、第2の制限容量の上限値として、第1の制限容量を超えない値である「2MB」という文字列を入力し、送信エラーの通知方法として、エラーメッセージを表示する方法を選択する。
【0081】
上記した各種設定を行なった後、管理者は、操作パネル112に対する入力操作によって送信設定画面に表示されるOKボタン(図示せず)を押下する。OKボタンが押下されると、送信設定画面の表示は終了し、選択された処理及び方法、並びに、入力された数値が確定して設定に反映される。
【0082】
ユーザは、所望の原稿の画像に対し、専用ペンを用いて、区切り位置を示すマーク(以下「手書きマーク」と記す。)を手書きする。本実施の形態では、原稿は4枚あり、ユーザは、第2枚目の原稿に、手書きマークを記すものとする。
【0083】
ユーザは、画像形成装置104の自動原稿搬送装置(図示せず。)に上記した4枚の原稿を載置し、操作パネル112に対する入力操作によって、送信相手先であるクライアントPC102のメールアドレスを入力した後、スキャンデータ送信指示を出す。
【0084】
スキャンデータ送信指示がなされると、画像形成装置104の画像読取部114は、自動原稿搬送装置に載置された4枚の原稿を順に読取り、読取った画像情報を画像ファイルに変換する(ステップS201)。
【0085】
図9を参照して、本実施の形態において、作成された画像ファイル300は、4ページ分の文書データ302〜308からなるものとする。画像ファイル300において、第2ページ目の文書データ304には、手書きマークに対応するデータ(以下「手書きマークデータ」と記す。)310が含まれる。
【0086】
画像形成装置104のCPU130は、作成された画像ファイル300を読込み(ステップS202)、画像ファイル300に次のページがあるか否かを判定する(ステップS203)。この場合、CPU130は、画像ファイル300の第1ページ目を次のページとして判断し、画像ファイル300に次のページがあると判定する(ステップS203にてYES)。
【0087】
画像判定部120は、第1ページ目の文書データ302に手書きマークデータが含まれるか否かに基づいて、次のページに区切りがあるか否かを判定する(ステップS204)。この場合、文書データ302には手書きマークデータが存在しないので、画像判定部120は、区切りがないと判定する(ステップS204にてNO)。
【0088】
CPU130はさらに、画像ファイル300に次のページがあると判定し(ステップS203にてYES)、画像判定部120は、次のページに区切りがあるか否かを判定する(ステップS204)。次のページである第2ページ目の文書データ304には、手書きマークデータ310が存在するので、画像判定部120は、区切りがあると判定する(ステップS204にてYES)。
【0089】
画像判定部120によって上記判定がなされると、CPU130は、区切り位置を、以下のようにしてマークする(ステップS205)。すなわち、CPU130は、手書きマークデータ310の位置を区切り位置と判断し、区切り位置に区切り記号を挿入する。本実施の形態において、区切り記号としては、特に限定されないが、例えば、上記した第1の実施の形態にて使用されたものと同じものを使用できる。このとき、手書きマークデータ310は、文書データ304から削除される。
【0090】
CPU130はさらに、画像ファイル300に次のページがあると判定し(ステップS203にてYES)、画像判定部120は、次のページに区切りがあるか否かを判定する(ステップS204)。次のページである第3ページ目の文書データ306には手書きマークデータが存在しないので、画像判定部120は、区切りがないと判定する(ステップS204にてNO)。
【0091】
CPU130はさらに、画像ファイル300に次のページがあると判定し(ステップS203にてYES)、画像判定部120は、次のページに区切りがあるか否かを判定する(ステップS204)。次のページである第4ページ目の文書データ308には手書きマークデータが存在しないので、画像判定部120は、区切りがないと判定する(ステップS204にてNO)。
【0092】
CPU130によって、画像ファイル300に次のページがないと判定されると(ステップS203にてNO)、画像処理部116は、上記第2の分割方法に従って、マークされた区切り位置で画像ファイル300を分割する(ステップS206)。図10を参照して、画像ファイル300は、手書きマークデータが付された位置のラインで分割され、これによって、2つの画像ファイル320,322が作成される。画像ファイル320の最終ページである文書データ304において、区切り位置以降の内容は削除されている。画像ファイル322の最初のページである文書データ304(正確にはコピーデータ)において、区切り位置以前の内容は削除されている。また、文書データ304及びそのコピーには、手書きマークデータは含まれていない。このように、手書きマークは、画像読取部114によって読取られるが、送信時のデータには反映されない。
【0093】
メール生成部122は、分割された画像ファイル320,322毎に電子メールを生成する(ステップS207)。すなわち、メール生成部122は、分割されたファイル320,322をそれぞれ所定の電子メール形式に変換し、変換されたデータがそれぞれ添付された電子メールを生成する。
【0094】
CPU130は、生成された2つの電子メールの中に、第2の制限容量(ここでは、2MB)を超えているものがあるか否かを判定する(ステップS208)。
【0095】
2つの電子メールの中に、第2の制限容量を超えているものがない場合(ステップS208にてNO)には、CPU130は、2つの電子メールを、クライアントPC102を宛先としてメールサーバ107に送信する(ステップS209)。メールサーバ107は、受信したメールをクライアントPC102に関連付けて記憶する。クライアントPC102は、メールサーバ107に対し、自己宛ての電子メールがあることを確認し、メールサーバ107から当該自己宛ての電子メールを受信する。
【0096】
2つの電子メールの中に、第2の制限容量を超えているものがある場合(ステップS208にてYES)には、表示部140には、送信対象の電子メールが容量制限を超えていることを示すエラーメッセージが表示される(ステップS210)。
【0097】
〈作用・効果〉
上記第1及び第2の実施の形態によれば、画像形成装置104において、画像判定部120は、送信対象の画像ファイルから区切り位置を検出し、画像処理部116は、検出された区切り位置で画像ファイルを分割し、メール生成部122は、分割された画像ファイルを送信する。このように、画像ファイルが区切り位置で分割されて送信されるので、送信エラー等の不具合を起こすことなく、画像ファイルの送信を行なうことができる。また、ユーザは、画像ファイルの内容を確認しやすい。さらに、ユーザがPC上で画像ファイルの再分割及び合成等をやり直すといった手間を省くことができる。したがって、ユーザの使い勝手が向上する。
【0098】
また上記第1の実施の形態によれば、画像判定部120は、見出しの直前の位置を区切り位置として検出する。これによって、画像ファイルが文書データである場合には、画像ファイルは内容的に区切られた位置で分割されるので、ユーザは、画像ファイルの内容を確認しやすい。また、ユーザがPC上で画像ファイルの再分割及び合成等をやり直すといった手間を省くことができる。したがって、より一層ユーザの使い勝手が向上する。
【0099】
また上記第1の実施の形態によれば、画像判定部120は、フォントサイズが他の文字のサイズよりも大きく、かつ、太字である文字によって構成される文字列を、見出しとして検出する。これによって、区切り位置をより一層容易かつ正確に検出することができる。
【0100】
なお、見出しの検出方法は、上記した方法に限定されない。例えば、章見出しでは行頭の見出し文字が数字であることが多いため、画像判定部120は、対象の文書データから、行頭の文字が数字である文字列を、章見出しとして検出してもよい。また、章見出し直後の改行幅(行間)は他の改行幅よりも大きくなっていることが多いため、画像判定部120は、対象の文書データから、改行幅が他の改行幅よりも大きくなっている部分の直前の文字列を、章見出しとして検出してもよい。
【0101】
また上記第2の実施の形態によれば、画像判定部120は、他の画像と区別して認識されるインクによって描かれた手書きマークに基づく手書きマークデータの位置を、区切り位置として検出する。これによって、ユーザは、専用のインクが使用される専用ペン等によって原稿画像の所望の位置にマークを手書き等することによって、画像ファイルを所望の区切り位置で分割することができる。したがって、より一層ユーザの使い勝手が向上する。
【0102】
また上記第1及び第2の実施の形態によれば、画像形成装置104において、CPU130は、所定の記号(すなわち、区切り記号)を検出された区切り位置に挿入し、画像処理部116は、所定の記号に基づいて、画像ファイルを分割する。これによって、画像ファイルの分割を、より一層容易かつ正確に行なうことができる。
【0103】
また上記第1及び第2の実施の形態によれば、画像処理部116は、区切り位置が途中に設けられるページを含む画像ファイルを、第1の画像ファイルと、第2の画像ファイルとに分割する。画像処理部116は、上記ページが第1の画像ファイルの最終ページとなり、上記ページをコピーしたページが第2の画像ファイルの最初のページとなるように、画像ファイルを分割する上記した第1の分割方法を用いることができる。このように分割することによって、第1の画像ファイルの最終ページ及び第2の画像ファイルの最初のページは、内容が重複する部分を含む。その結果、ユーザは、第1の画像ファイル及び第2の画像ファイルにおける内容の前後関係を容易に把握することができる。
【0104】
また上記第1及び第2の実施の形態によれば、画像処理部116は、第1の画像ファイルの最終ページにおいて、区切り位置以降の部分に空白データを挿入し、最初のページにおいて、区切り位置以前の部分に空白データを挿入する上記した第2の分割方法を用いることができる。このように分割することによって、第1の画像ファイルの最終ページ及び第2の画像ファイルの最初のページは、内容が重複する部分を含まない。その結果、ユーザは、画像ファイルの整理及び保存等をする際に、重複部分を削除するという手間をより一層確実に省くことができる。
【0105】
また上記第1及び第2の実施の形態によれば、画像形成装置104において、CPU130は、分割された画像ファイルに、予め定められるデータ量を超えているものがあるか否かを判定する。CPU130によって、予め定められるデータ量を超えているものがあると判定された場合には、表示部140がエラーメッセージを表示する、又は、通信部124がエラーメッセージを含む電子メールを送信することによって、エラーの発生が通知される。これによって、ユーザは、分割された画像ファイルが、メールサーバの容量制限等の制限を満たしていないものであることを容易に知ることができる。したがって、送信エラー等の不具合を容易に回避することができる。
【0106】
〈変形例〉
上記第1の実施の形態では、区切りの検出及び区切り位置のマーク(区切り記号の挿入)(図4のステップS101〜ステップS104の処理)は、画像形成装置104の制御部110によって行なわれたが、本発明はそのような実施の形態に限定されない。例えば、クライアントPC101,102及び103のプリンタドライバによって自動的に行なわれてもよい。
【0107】
また上記第1の実施の形態では、電子メール送信指示がなされたときに、第1の画像ファイル分割処理が実行されたが、本発明はそのような実施の形態に限定されない。例えば、プリント処理と同時に電子メール送信を行なうことを要求する指示がなされたときに、第1の画像ファイル分割処理が実行されてもよい。
【0108】
上記第2の実施の形態では、手書きマークの位置を区切り位置と判断したが、本発明はそのような実施の形態に限定されない。例えば、画像読取部114によって変換された画像ファイルに対してOCR(Optical Character Recognition)による光学文字認識を行ない、認識した文字に基づくデータに対して上記した第1の実施の形態及びその変形例と同様にして章見出しの検出を行ない、検出した章見出しを区切り位置と判断してもよい。これによって、スキャナ装置等によって読取った画像ファイルにおいても、区切り位置を容易に検出することが可能になる。したがって、ユーザの使い勝手がさらに向上する。
【0109】
また上記第2の実施の形態では、手書きマークデータが送信時のデータに反映されないようにするために、画像ファイルから手書きマークデータが削除されたが、本発明はそのような実施の形態に限定されない。例えば、専用ペンに使用されるインクを、蛍光色等の視覚的に認識しづらい色のインクにすることによって、第2の画像ファイル分割処理後のデータに基づく印刷画像又は表示画像において、手書きマークデータに基づく画像が視覚的に認識しづらい状態で印刷又は表示されるようにしてもよい。
【0110】
また上記第2の実施の形態では、スキャンデータ送信指示がなされたときに、第2の画像ファイル分割処理が実行されたが、本発明はそのような実施の形態に限定されない。例えば、印刷処理と同時にスキャンデータの電子メール送信を行なうことを要求する指示がなされたときに、第2の画像ファイル分割処理が実行されてもよい。
【0111】
上記第1及び第2の実施の形態では、画像形成装置104の管理者が、電子メール送信処理における各種設定を行なったが、本発明はそのような実施の形態に限定されない。例えば、ユーザIDにてユーザ認証を行なったユーザが電子メール送信処理における各種設定を行ない、設定内容がユーザID毎に登録されてもよい。
【0112】
また上記第1及び第2の実施の形態によれば、電子メールの中に、第2の制限容量を超えているものがある場合には、電子メール送信処理が実行されなかったが、本発明はそのような実施の形態に限定されない。例えば、制限容量を超えた電子メールのみが送信されず、制限容量を超えていない他の電子メールは送信されるようにしてもよい。
【0113】
また上記第1及び第2の実施の形態によれば、画像送信手段として画像形成装置104を例示したが、本発明はそのような実施の形態に限定されず、例えば、スキャナ装置であってもよい。
【0114】
今回開示された実施の形態は単に例示であって、この発明が上記した実施の形態のみに制限されるわけではない。この発明の範囲は、発明の詳細な説明の記載を参酌した上で、特許請求の範囲の各請求項によって示され、そこに記載された文言と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含む。
【符号の説明】
【0115】
1 ネットワークシステム
101,102,103 クライアントPC
104,105,106 画像形成装置
107 メールサーバ
114 画像読取部
116 画像処理部
120 画像判定部
122 メール生成部
124 通信部
130 CPU
140 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信対象の画像ファイルから、区切り位置を検出する検出手段と、
前記検出された区切り位置で前記画像ファイルを分割する分割手段と、
前記分割された画像ファイルを送信する送信手段と、を含む画像送信装置。
【請求項2】
前記検出手段は、見出しの直前の位置を区切り位置として検出する見出し検出手段を含む、請求項1に記載の画像送信装置。
【請求項3】
前記見出し検出手段は、フォントサイズが他の文字のサイズよりも大きく、かつ、太字である文字によって構成される文字列を、前記見出しとして検出する手段を含む、請求項2に記載の画像送信装置。
【請求項4】
前記見出し検出手段は、行頭の文字が数字である文字列を、前記見出しとして検出する手段を含む、請求項2に記載の画像送信装置。
【請求項5】
前記見出し検出手段は、改行幅が他の改行幅よりも大きくなっている部分の直前の文字列を、前記見出しとして検出する手段を含む、請求項2に記載の画像送信装置。
【請求項6】
前記検出手段は、他の画像と区別して認識されるインクによって描かれたマークに基づくデータの位置を、前記区切り位置として検出するマーク検出手段を含む、請求項1に記載の画像送信装置。
【請求項7】
前記画像送信装置はさらに、所定の記号を、前記検出された区切り位置に挿入する挿入手段を含み、
前記分割手段は、前記所定の記号に基づいて、前記画像ファイルを分割する手段を含む、請求項1から請求項6のいずれか1つに記載の画像送信装置。
【請求項8】
前記分割手段はさらに、前記区切り位置が途中に設けられるページを含む前記画像ファイルを、第1の画像ファイルと、第2の画像ファイルとに分割するページ分割手段を含み、
前記ページ分割手段は、前記ページが前記第1の画像ファイルの最終ページとなり、前記ページをコピーしたページが前記第2の画像ファイルの最初のページとなるように、前記画像ファイルを分割する、請求項1から請求項7のいずれか1つに記載の画像送信装置。
【請求項9】
前記ページ分割手段は、前記最終ページにおいて、前記区切り位置以降の部分に空白データを挿入し、前記最初のページにおいて、前記区切り位置以前の部分に空白データを挿入する挿入手段を含む、請求項8に記載の画像送信装置。
【請求項10】
前記画像送信装置はさらに、
前記分割された画像ファイルに、予め定められるデータ量を超えているものがあるか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段によって、予め定められるデータ量を超えているものがあると判定された場合に、エラーの発生を通知する通知手段と、を含む、請求項1から請求項9のいずれか1つに記載の画像送信装置。
【請求項11】
前記画像送信装置はさらに、
原稿の画像を読取り、読取った画像情報を画像ファイルに変換する画像読取手段と、
前記変換された画像ファイルに対して光学文字認識を行なう文字認識手段と、を含む、請求項1から請求項10のいずれか1つに記載の画像送信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−182614(P2012−182614A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−43628(P2011−43628)
【出願日】平成23年3月1日(2011.3.1)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】