説明

界面活性剤組成物及び洗浄剤組成物

従来の汎用アニオン性界面活性剤と同等以上の高洗浄力を有し、かつ、低泡性に優れた界面活性剤組成物、及び高い洗浄力を有しつつ、低泡性に優れることから、特に、低泡性が要求される自動食器洗浄機用洗浄剤及び洗濯機用洗剤として好適な前記界面活性剤組成物を含む洗浄剤組成物の提供。アルキル炭素鎖長が20〜30であるアルキルベンゼンスルホン酸塩を少なくとも含むことを特徴とする界面活性剤組成物である。該アルキル炭素鎖長が20〜30であるアルキルベンゼンスルホン酸塩の含有量が、界面活性剤の全量に対し20質量%以上である態様が好ましい。また、該界面活性剤組成物を含むことを特徴とする洗浄剤組成物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄力が高く、低泡性に優れた界面活性剤組成物、及びそれを用いた洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、洗浄剤等に使用される低泡性の界面活性剤としては、一般的に非イオン界面活性剤が使用されており、ドラム式洗濯機用洗浄剤(特許文献1参照)、自動食器洗浄機用洗浄剤(特許文献2〜6参照)などが提案されている。これらの中でも、自動食器洗浄用洗浄剤としては、自動食器洗浄装置の運転時に泡立ちを抑えることが必要であるため、EO(オキシエチレン)/PO(オキシプロピレン)系非イオン界面活性剤が用いられている。しかし、この場合、EO(オキシエチレン)/PO(オキシプロピレン)系非イオン界面活性剤は、低泡性である反面、洗浄力が低いため、食器等を再汚染してしまうという問題がある。
【0003】
一方、通常、洗濯用洗浄剤に使用されているような洗浄力の高い、アルキル炭素鎖長が10〜16のアルキルベンゼンスルホン酸塩組成物を配合した自動食洗機用洗浄剤が提案されている(特許文献7及び8参照)。しかし、これらの洗浄剤は、発泡性が強すぎるという問題がある。
【0004】
したがって、使用時の低泡性を維持しながら、かつ、高洗浄性を発揮し得、自動食器洗浄用洗浄剤や洗濯機用洗浄剤として好適な洗浄剤は提供されておらず、その速やかな開発が望まれているのが現状である。
【0005】
【特許文献1】特開昭56−167797号公報
【特許文献2】特開平07−179900号公報
【特許文献3】特開平09−263790号公報
【特許文献4】特開平11−21592号公報
【特許文献5】特開2000−96097号公報
【特許文献6】特開2001−316700号公報
【特許文献7】特開平02−88700号公報
【特許文献8】特開平04−226200号公報
【発明の開示】
【0006】
本発明は、従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、従来の汎用アニオン性界面活性剤と同等以上の高洗浄力を有し、かつ、低泡性に優れた界面活性剤組成物、及び該界面活性剤組成物を含み、高い洗浄力を有しつつ、低泡性に優れ、特に、低泡性が要求される自動食器洗浄機用の洗浄剤、及び洗濯機用の洗浄剤として好適な洗浄剤組成物を提供することを目的とする。
【0007】
前記課題を解決するため、本発明者らが鋭意検討を行った結果、従来の洗濯用洗浄剤に使われていたアニオン性界面活性剤よりも炭素鎖長の長い、即ちアルキル炭素鎖長が20〜30のアニオン性界面活性剤としてアルキルベンゼンスルホン酸塩を含有する界面活性剤組成物が、従来の汎用アニオン性界面活性剤と同等以上の高洗浄力を有し、かつ、低泡性に優れていることを知見した。また、本発明の前記界面活性剤組成物を含む洗浄剤組成物が、高い洗浄力を有し、特に、低泡性が要求される自動食器洗浄機用洗浄剤や洗濯機用洗浄剤として好適であることを知見した。
【0008】
本発明は、本発明者らによる前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> アルキル炭素鎖長が20〜30であるアルキルベンゼンスルホン酸塩を少なくとも含むことを特徴とする界面活性剤組成物である。
<2> アルキル炭素鎖長が20〜30であるアルキルベンゼンスルホン酸塩の含有量が、界面活性剤の全量に対し20質量%以上である前記<1>に記載の界面活性剤組成物である。
<3> アルキルベンゼンスルホン酸塩が、アルキルベンゼンスルホン酸のアルカリ金属塩である前記<2>に記載の界面活性剤組成物である。
<4> アニオン性界面活性剤、ノニオン界面活性剤、及び両性界面活性剤から選択される少なくとも1種を含む前記<1>から<3>のいずれかに記載の界面活性剤組成物である。
<5> 前記<1>から<4>のいずれかに記載の界面活性剤組成物を含むことを特徴とする洗浄剤組成物である。
<6> 自動食器洗浄機における洗浄剤として用いられる前記<5>に記載の洗浄剤組成物である。
<7> 前記<1>から<4>に記載の界面活性剤組成物の含有量が、洗浄剤組成物全量に対し0.1〜15質量%である前記<6>に記載の洗浄剤組成物である。
<8> 洗濯機における洗浄剤として用いられる前記<5>に記載の洗浄剤組成物である。
<9> 前記<1>から<4>のいずれかに記載の界面活性剤組成物の含有量が、洗浄剤組成物全量に対し5〜40質量%である前記<8>に記載の洗浄剤組成物である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
(界面活性剤組成物)
本発明の界面活性剤組成物は、アルキル炭素鎖長が20〜30であるアルキルベンゼンスルホン酸塩を少なくとも含み、必要に応じて、他の界面活性剤、その他の成分を含む。
【0010】
前記アルキル炭素鎖長が20〜30のアルキルベンゼンスルホン酸塩としては、アルキル炭素鎖が直鎖状であっても分岐していてもよいが、生分解性の観点から、アルキル炭素鎖が直鎖状のものが好ましい。
【0011】
前記アルキル炭素鎖長が20〜30のアルキルベンゼンスルホン酸塩における塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩が好ましい。
【0012】
前記アルキル炭素鎖長が20〜30のアルキルベンゼンスルホン酸塩の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、単一アルキル基炭素鎖長からなるアルキルベンゼンスルホン酸塩を調製した後、これらを所定の混合物となるように混合することにより製造してもよく、また、アルキルベンゼンを調製する工程で、アルキル鎖を形成する原料(例えば、オレフィン)を所定の炭素鎖長分布となるように混合した後、これを用いてベンゼンをアルキル化して製造してもよい。
具体的には、(1)エチレン重合によって得られる直鎖状α−オレフィン、(2)エチレン重合によって得られる直鎖状α−オレフィンを酸触媒等の存在化で異性化して得られる内部オレフィン、(3)ビニリデン型オレフィン、又は(4)塩素化パラフィンとベンゼンとをAlCl又はHF触媒等の存在下で、いわゆるフリーデル・クラフツ反応させて製造したアルキルベンゼンを、無水硫酸、発煙硫酸、又はクロルスルホン酸でスルホン化し、副生したスルホン酸無水物を微量の水を添加して加水分解し、アルカリ液で中和することによりアルキルベンゼンスルホン酸塩を製造することができる。ここで、アルキルベンゼンスルホン酸を水酸化ナトリウム水溶液や水酸化カリウム水溶液で中和する際、塩析やゲル化の作用により、中和反応が著しく遅くなる場合には、エタノール等の低級アルコールを適量加えることにより、前記中和反応を促進することができる。
【0013】
前記アルキルベンゼンとしては、通常のフリーデル・クラフツ反応によって得られる、多数の位置異性体を含む第2級型アルキルベンゼンであってもよく、フリーデル・クラフツ反応によるアシル化の後、カルボニル基をメチレンへ還元して得られる、アルキル鎖末端にフェニル基が結合したアルキルベンゼンであってもよい。
【0014】
前記アルキルベンゼンスルホン酸塩におけるアルキル鎖とスルホン酸基との位置関係としては、前記スルホン化の方法により、スルホン酸基がパラ位及びオルト位に入ることがあるが、いずれも本発明の界面活性剤組成物として使用可能である。
【0015】
前記アルキル炭素鎖長が20〜30のアルキルベンゼンスルホン酸塩の含有量は、低泡性及び高洗浄性をより充分に発現し得る観点から、界面活性剤の全量に対し、好ましくは20質量%以上、好ましくは30質量%以上、より好ましくは40質量%以上、更に好ましくは50質量%以上、特に好ましくは60質量%以上である。
【0016】
−他の界面活性剤−
前記他の界面活性剤としては、例えば、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤などが挙げられる。
【0017】
前記アニオン性界面活性剤としては、例えば、アルキル炭素鎖長が6〜19のアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルケニル及びヒドロキシアルキル炭素鎖長が6〜30のα−オレフィンスルホン酸塩、若しくは内部オレフィンスルホン酸塩、又は、アルキル炭素鎖長が6〜30のアルコール硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩、若しくはポリオキシプロピレンアルキル硫酸エステル塩などが挙げられる。これらの中でも、熱安定性、pH安定性の観点から、アルキル炭素鎖長が6〜19のアルキルベンゼンスルホン酸塩、又は、アルケニル及びヒドロキシアルキル炭素鎖長が6〜30のα−オレフィンスルホン酸塩、若しくは内部オレフィンスルホン酸塩が好ましく、アルキル炭素鎖長が6〜19のアルキルベンゼンスルホン酸塩が特に好ましい。
前記アニオン性界面活性剤は、生分解性の観点から、アルキル炭素鎖が直鎖状であることが好ましい。また、塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩が好ましい。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上併用して使用してもよい。
【0018】
前記アルキル炭素鎖長が6〜19のアルキルベンゼンスルホン酸塩としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、アルキル炭素鎖長が10〜14の混合物からなるアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル炭素鎖長が11〜13の混合物からなるアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル炭素鎖長が12であるアルキルベンゼンスルホン酸塩、などが挙げられる。
【0019】
前記ノニオン界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができるが、例えば、メチルエステルエトキシレート、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステル、高級脂肪酸アルカノールアミド、アルキルグリコシド、アルキルアミンオキサイド、等が挙げられる。これらの中でも、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルのようなエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドが付加したものが好ましい。
【0020】
前記両性界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カルボキシベタイン、スルホベタイン、等が挙げられる。
【0021】
−その他の成分−
前記その他の成分としては、芒硝分、前記スルホン化の際にスルホン化されなかった少量のアルキルベンゼン、副生したスルホン、加水分解されなかったスルホン酸無水物などが含まれていてもよい。
【0022】
本発明の界面活性剤組成物は、低泡性に優れ、かつ、洗浄力が高く、特に強力な油汚れを除去する能力に優れているため、自動食器洗浄機用洗浄剤、洗濯機用洗浄剤、及び工業用洗浄剤などに使用でき、特に、本発明の洗浄剤組成物に好適に使用できる。
【0023】
(洗浄剤組成物)
本発明の洗浄剤組成物は、本発明の前記界面活性剤組成物を含み、アルカリ金属塩、更に必要に応じてその他の成分を含む。
【0024】
前記界面活性剤組成物としては、前述した通りである。
ここで、前記洗浄剤組成物が自動食器洗浄機における洗浄剤として用いられる場合には、前記洗浄剤組成物における前記界面活性剤組成物の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができるが、0.1〜15質量%が好ましく、1〜12質量%がより好ましい。前記含有量が、0.1質量%未満であると、洗浄性能が充分ではないことがあり、15質量%を超えると、洗浄性能の向上に変化がなく経済的なメリットがみられないことがある。
【0025】
前記洗浄剤組成物が、洗濯機における洗浄剤として用いられる場合には、前記洗浄剤組成物における前記界面活性剤組成物の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができるが、5〜40質量%が好ましく、10〜30質量%がより好ましい。前記含有量が、5質量%未満であると、衣類などに付着した油汚れ等の洗浄性能が充分ではないことがあり、40質量%を超えると、洗浄性能の向上に変化がなく経済的なメリットがみられないことがある。
本発明の洗浄剤組成物は、攪拌式(水槽式)洗濯機、及びドラム式洗濯機のいずれにも好適に用いられる。
【0026】
本発明の洗浄剤組成物においては、純水中に該洗浄剤組成物を1質量%溶解乃至分散させた際のpHが6以上となるようにpHを調整することが好ましい。前記pHが6未満であると、前記界面活性剤組成物の洗浄効果が充分に発揮されないことがある。
このように、洗浄剤組成物におけるpHを調整する目的で、アルカリ金属塩を添加するのが好ましい。前記アルカリ金属塩としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、及び水酸化カリウムなどが挙げられる。
【0027】
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができ、例えば、酸素系漂白剤、漂白活性化剤、ビルダー、香料、香料安定化剤、汚れ物質に対する分解酵素、流動性向上剤、キレート剤、及び色素などが挙げられる。
【0028】
前記酸素系漂白剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができ、例えば、過炭酸ナトリウム、過硼酸ナトリウム1水塩、過硼酸ナトリウム4水塩、及び硫酸ナトリウム・過酸化水素付加物、等が挙げられる。
【0029】
前記漂白活性化剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができ、例えば、テトラアセチルエチレンジアミン、シアン化合物(Sokalan(R)(BM G、BASF社製)等)、グルコースペンタアセテート、及びアセトキシベンゼンスルホン酸塩、等が挙げられる。
【0030】
前記ビルダーとしては、無機ビルダー及び有機ビルダーが挙げられる。
前記無機ビルダーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができ、例えば、洗浄剤組成物のpHの調整に使用可能な炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、セスキ炭酸ナトリウム、珪酸ナトリウム、結晶性層状珪酸ナトリウム、非結晶性層状珪酸ナトリウムなどのアルカリ性塩;硫酸ナトリウム等の中性塩;オルソリン酸塩、ピロリン酸塩、トリポリリン酸塩、メタリン酸塩、ヘキサメタリン酸塩、フィチン酸塩等のリン酸塩;下記一般式(1)で表される結晶性アルミノ珪酸塩、下記一般式(2)で表される無定形アルミノ珪酸塩、下記一般式(3)で表される無定形アルミノ珪酸塩、等が挙げられる。
【0031】
(MO)・Al・y(SiO)・w(HO)
一般式(1)
【0032】
前記一般式(1)中、Mは、アルカリ金属原子を表し、例えば、ナトリウム、カリウム、等が挙げられる。
、y、及びwで表される各成分のモル数は、xとしては0.7〜1.5の数が好ましい。yとしては0.8〜6の数が好ましい。wとしては任意の正の数が好ましい。
【0033】
(MO)・Al・y(SiO)・w(HO)
一般式(2)
【0034】
前記一般式(2)中、Mは、アルカリ金属原子を表し、例えば、ナトリウム、カリウム、等が挙げられる。
また、x、y、及びwで表される各成分のモル数は、xとしては0.7〜1.2の数が好ましい。yとしては1.6〜2.8の数が好ましい。wとしては0又は任意の正の数が好ましい。
【0035】
(MO)・Al・y(SiO)・Z(P)・w(HO)
一般式(3)
【0036】
前記一般式(3)中、Mは、アルカリ金属原子を表し、例えば、ナトリウム、カリウム等が挙げられる。
また、x、y、z、及びwで表される各成分のモル数は、xとしては0.2〜1.1の数が好ましい。yとしては0.2〜4.0の数が好ましい。zとしては0.001〜0.8が好ましい。wとしては0又は任意の正の数が好ましい。
【0037】
前記有機ビルダーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ニトリロトリ酢酸塩、エチレンジアミンテトラ酢酸塩、β−アラニンジ酢酸塩、アスパラギン酸ジ酢酸塩、メチルグリシンジ酢酸塩、イミノジコハク酸塩等のアミノカルボン酸塩;セリンジ酢酸塩、ヒドロキシイミノジコハク酸塩、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸塩、ジヒドロキシエチルグリシン塩等のヒドロキシアミノカルボン酸塩;ヒドロキシ酢酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、グルコン酸塩等のヒドロキシカルボン酸塩;ピロメリット酸塩、ベンゾポリカルボン酸塩、シクロペンタンテトラカルボン酸塩等のシクロカルボン酸塩;カルボキシメチルタルトロネート、カルボキシメチルオキシサクシネート、オキシジサクシネート、酒石酸モノ又はジサクシネート等のエーテルカルボン酸塩;ポリアクリル酸、アクリル酸−アリルアルコール共重合体、アクリル酸−マレイン酸共重合体、ヒドロキシアクリル酸重合体、多糖類−アクリル酸共重合体等のアクリル酸重合体及び共重合体;マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、テトラメチレン1,2−ジカルボン酸、コハク酸、アスパラギン酸等の重合体又は共重合体;デンプン、セルロース、アミロース、ペクチン等の多糖類酸化物やカルボキシメチルセルロース等の多糖類;ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等の非解離高分子化合物、などが挙げられる。
【0038】
前記香料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、脂肪族炭化水素、テルペン炭化水素、芳香族炭化水素等の炭化水素類;脂肪族アルコール、テルペンアルコール、芳香族アルコール等のアルコール類;脂肪族エーテル、芳香族エーテル等のエーテル類;脂肪族オキサイド、テルペン類のオキサイド等のオキサイド類;脂肪族アルデヒド、テルペン系アルデヒド、脂肪族環状アルデヒド、チオアルデヒド、芳香族アルデヒド等のアルデヒド類;脂肪族ケトン、テルペンケトン、脂肪族環状ケトン、非ベンゼン系芳香族ケトン、芳香族ケトン等のケトン類;アセタール類;ケタール類;フェノール類;フェノールエーテル類;脂肪酸、テルペン系カルボン酸、脂肪族環状カルボン酸、芳香族カルボン酸等の酸類;酸アマイド類;脂肪族ラクトン、大環状ラクトン、テルペン系ラクトン、脂肪族環状ラクトン、芳香族ラクトン等のラクトン類;脂肪族エステル、フラン系カルボン酸エステル、脂肪族環状カルボン酸エステル、シクロヘキシルカルボン酸エステル、テルペン系カルボン酸エステル、芳香族カルボン酸エステル等のエステル類;ニトロムスク類;ニトリル、アミン、ピリジン、キノリン、ピロール、インドール等の含窒素化合物等々の合成香料、動物、植物からの天然香料、前記天然香料及び合成香料の少なくともいずれかを含む調合香料等が挙げられる。
【0039】
前記香料安定化剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、ビタミンE又はその誘導体、カテキン化合物、フラボノイド化合物、ポリフェノール化合物、等が挙げられる。
【0040】
前記分解酵素としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、プロテアーゼ、リパーゼ、アミラーゼ、セルラーゼ、等が挙げられる。
前記流動性向上剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、粉体流動性向上剤が好ましく、例えば、芒硝、無水珪酸、ゼオライト、酸化チタン等が挙げられる。
【0041】
前記キレート剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、エチレンジアミン四酢酸塩、アルミン酸塩、クエン酸塩、コハク酸塩、アクリル酸・マレイン酸共重合体塩、等が挙げられる。
前記色素については、通常洗浄剤に用いられる化合物を適宜選択して用いることができる。
【0042】
前記洗浄剤組成物の態様としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、顆粒状、液状等のいずれの態様でもよい。特に、顆粒状の洗浄剤組成物については、大きすぎても小さすぎても粉体の流動性が悪くなり、大きすぎる場合には洗浄剤自体の溶解性が問題となり得る点から、平均粒径(ふるい上重量平均粒径)で200〜500μmが好ましく、また、平均粒径(ふるい上重量平均粒径)が250〜500μmであり、且つ粒径が710μm以上及び150μm以下の粒子の割合が、洗浄剤組成物全量の15質量%未満であることがより好ましい。
【0043】
本発明の洗浄剤組成物は、本発明の前記界面活性剤組成物を含み、高い洗浄力を有しつつ、低泡性に優れることから、特に、低泡性が要求される自動食器洗浄機用の洗浄剤及び洗濯機用洗浄剤のほか、洗車洗浄装置用洗浄剤、工業用洗浄剤、電子部品洗浄剤等、低泡性を必要とする全ての洗浄剤として好適に用いることができる。
【0044】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこの実施例に何ら限定されるものではない。
【0045】
(製造例1)
−アルキル炭素鎖長が10であるアルキルベンゼンの調製−
マグネット式撹拌器、温度計、環流冷却器、300mL滴下ロートを付した1L−四つ口フラスコに、ベンゼン390.5g(5mol)と無水AlCl13.3g(0.1mol)とを入れ、攪拌を開始した。これを氷水浴に浸け冷却し、ベンゼンの温度が約5℃になったところで1−デセンの滴下を開始した。オレフィンの滴下速度の調節と氷水浴への氷の追加により10℃以下を保つように操作した。約1時間要して、所定量の1−デセン(140g;1mol)の滴下を終了した。
氷水浴を外し、20〜25℃を最高温度として室温で熟成を約20時間行った。この間、還流冷却器には冷却水を流した。この反応混合物を、氷水を入れた1Lビーカーに注ぎ入れて撹拌し、触媒を分解した。pHがほぼ中性になるまで重炭酸ソーダの粉末を添加した後、ろ過して1L分液ロートに移した。下層を棄て、残った油層に重炭酸ソーダ0.5質量%水溶液を入れ攪拌・洗浄・静置した。下層が酸性を示さなくなるまでこの操作を繰り返した。
次に残った油層にイオン交換水を添加し、水洗を行った。下層の水層が中性になるまでこの水洗を繰り返した。その後、油層のみを分液ロート内に残し、常法通り無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過を行って、ろ液を1Lナスフラスコに移した。
85〜90℃、5mmHg(abs.)でトッピングし、ベンゼンを留去した。得られた褐色透明液体は176.1gであった(収率80.7%)。重クロロホルムを溶媒として1H−NMRをとった結果、アルキル鎖内部の炭素にフェニル基の付いた第二級型(sec−type)のアルキルベンゼンであること、また、ジアルキルベンゼン、ベンゼン、及び未反応オレフィンは含まれていないことが確認できた。なお、得られたアルキルベンゼンのアルキル炭素鎖長は10であった。以下、このようにして得られたアルキル炭素鎖長が10であるアルキルベンゼンを「C10−LAB」と略すことがある。
【0046】
−アルキル炭素鎖長が10であるアルキルベンゼンスルホン酸塩の調製−
スターラを入れた三角フラスコに、前記C10−LABを50g秤採り、氷水浴に浸け冷却下攪拌した。この状態で20質量%発煙硫酸を滴下しはじめ、約1時間要して所定量(42.6g;見掛け2倍mol対C10−LAB)を滴下した。その後、氷水浴を外し、室温(約20℃)まで温度を上げ熟成した。熟成1時間の後、副生している可能性のあるスルホン酸無水物を加水分解する目的で、イオン交換水1g(生成スルホン酸量(計算値)に対し、1.5質量%)を添加し30分以上攪拌を続けた。
水酸化ナトリウム5質量%水溶液500gを入れた1Lビーカを攪拌しながら、これに上記スルホン化反応混合物を注ぎ入れ中和した。最終的に5質量%NaOH水溶液、希硫酸でpH7.7に調整した。これにエタノール500mLを加えてろ過し、ろ液を1L分液ロート2個に分け入れた。含まれている可能性がある油分を除去する目的で、ヘキサン抽出を2回行った。下層の水分を、エタノール共沸脱水により大部分留去した。残ったスラリーにエタノールを、エタノール/スラリー中の水≒9/1(容量比)になるように添加し、析出した無機塩(硫酸ナトリウム)と思われる沈殿をろ過により除去した。ろ液を真空下乾燥し、アルキル鎖の炭素数が10個のアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩52.3g(収率71.3%)を得た。重水を溶媒として1H−NMRをとった結果、アルキル鎖とスルホン酸基の関係はパラ位のもののみであった。以下、このようにして得られたアルキル炭素鎖長が10であるアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩を「C10−LASNa」と略すことがある。
【0047】
(製造例2)
−アルキル炭素鎖長が8であるアルキルベンゼン、及びアルキルベンゼンスルホン酸塩の調製−
製造例1において、1−デセンを1−オクテンに代えた以外は、製造例1と同様にして、アルキル炭素鎖長が8のアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩を調製した。以下、このようにして得られたアルキル炭素鎖長が8であるアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩を「C−LASNa」と略すことがある。
【0048】
(製造例3)
−アルキル炭素鎖長が10〜14であるアルキルベンゼンスルホン酸塩の調製−
製造例1において、「C10−LAB」の代わりに表1の組成からなるアルキル鎖を有するアルキルベンゼンを使った以外は、製造例1と同様にして、アルキル鎖の炭素長が表1の組成からなるアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩を調製した。なお、アルキルベンゼンスルホン酸を5質量%NaOH水溶液で中和する際に、スルホン酸が塩析し、反応の進行が遅かったので、エタノールを適当量(約500mL)添加して中和した。このエタノール量を考慮し、製造例1のエタノール添加時期及び量は適宜変更した。以下、このようにして得られたアルキル炭素鎖長が10〜14であるアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩を「C10〜14−LASNa」と略すことがある。
【0049】
【表1】

【0050】
(製造例4)
−アルキル炭素鎖長が15〜18であるアルキルベンゼンスルホン酸塩の調製−
製造例1において、1−デセンの代わりに表2の組成からなる直鎖内部オレフィンを用いた以外は、製造例1と同様にして、アルキル炭素鎖長が表2の組成からなるアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩を調製した。なお、アルキルベンゼンスルホン酸を5質量%NaOH水溶液で中和する際に、スルホン酸が塩析し、反応の進行が遅かったので、エタノールを適当量(約500mL)添加して中和した。このエタノール量を考慮し、製造例1のエタノール添加時期及び量は適宜変更した。以下、このようにして得られたアルキル炭素鎖長が15〜18であるアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩を「C15〜18−LASNa」と略すことがある。
【0051】
【表2】

【0052】
(製造例5)
−アルキル炭素鎖長が20〜24であるアルキルベンゼンの調製−
製造例1のアルキル炭素鎖長が10のアルキルベンゼンの調製において、1−デセンの代わりに表3の組成からなる直鎖α−オレフィンを用いた以外は、製造例1と同様にして、表3の組成からなるアルキルベンゼンを調製した。以下、このようにして得られたアルキル炭素鎖長が20〜24であるアルキルベンゼンを「C20〜24−LAB」と略すことがある。
【0053】
【表3】

【0054】
−アルキル炭素鎖長が20〜24であるアルキルベンゼンスルホン酸塩の調製−
スターラを入れた三角フラスコに、前記C20〜24−LAB50gを秤採り、約30℃の加温条件下で攪拌を行った。次いで、攪拌を行いながら前記C20〜24−LABに20質量%発煙硫酸を滴下し、約1時間をかけて所定量24.8g(見掛け2倍mol対C20〜24−LAB)を滴下した。次いで、50℃まで温度を上げ熟成した。該熟成を1時間かけて行った後、副生している可能性のあるスルホン酸無水物を加水分解する目的で、イオン交換水0.9g(生成スルホン酸量(計算値)に対し、1.5質量%)を添加し、30分間以上攪拌して、スルホン化反応混合物を得た。
【0055】
次に、1Lビーカーに入れた水酸化ナトリウム5質量%水溶液300gを攪拌しながら、得られたスルホン化反応混合物を注いで、中和を行った。最終的には、水酸化ナトリウム5質量%水溶液と希硫酸とにより、pHを7.7に調整した。なお、中和する際に、スルホン酸が塩析し、反応の進行が遅かったので、エタノールを適当量(約300mL)添加して中和した。
次いで、該中和溶液にエタノール900mL及び水600mLを加え、30℃に加温して析出した無機塩(硫酸ナトリウム)と思われる沈殿をろ過により除去した。得られたろ液をエタノール共沸脱水及び真空下で乾燥し、アルキル炭素鎖長が表3の組成からなるアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩38.8gを得た(収率61.0%)。その後、重クロロホルムを溶媒として1H−NMRスペクトルを測定した結果、未反応のC20〜24のアルキルベンゼンは検出されず、また、ベンゼン環に結合するアルキル鎖とスルホン酸基との関係はパラ位の関係にあるもののみであった。以下、このようにして得られたアルキル炭素鎖長が20〜24であるアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩を「C20〜24−LASNa」と略すことがある。
【0056】
(製造例6)
−アルキル炭素鎖長が6であるアルキルベンゼンスルホン酸塩の調製−
製造例1において、1−デセンの代わりに1−ヘキセンに代えた以外は製造例1と同様にして、アルキル炭素鎖長が6であるアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩を調製した。以下、このようにして得られたアルキル炭素鎖長が6であるアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩を「C−LASNa」と略すことがある。
【0057】
(製造例7)
−アルキル炭素鎖長が26〜30であるアルキルベンゼンスルホン酸塩の調製−
製造例5において、表3の組成からなる直鎖α−オレフィンを、表4の組成からなる直鎖α−オレフィンに代え、加温温度を30℃から40℃に代え、熟成温度を50℃から60℃に代え、熟成時間を1時間から2時間に代えた以外は、製造例5と同様にして、表4の組成からなるアルキルベンゼンを得た。これを製造例5と同様にして、アルキル炭素鎖長が表4の組成からなるアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩36.0gを調製した。以下、このようにして得られたアルキル炭素鎖長が26〜30であるアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩を「C26〜30−LASNa」と略すことがある。
【0058】
【表4】

【0059】
(製造例8)
−アルキル炭素鎖長が12であるアルキルベンゼンスルホン酸塩の調製−
製造例1において、「1−デセン」の代わりに「1−ドデセン」を用いた以外は、製造例1と同様にして、アルキル鎖の炭素長が12であるアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩を調製した。以下、このようにして得られたアルキル炭素鎖長が12であるアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩を、「C12−LASNa」と略すことがある。
【0060】
次に、製造例1〜8で得られたアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩の組成の一覧を表5に示す。
【0061】
【表5】

【0062】
<自動食器洗浄機による評価>
(実施例1〜14)
表6に示す界面活性剤の入っていない自動食器洗浄用洗浄剤ベース組成物に、表7に示す界面活性剤を、配合量が表7に示す量を添加し、実施例1〜14の洗浄剤組成物を調製した。
【0063】
得られた洗浄剤を用いて、自動食器洗浄機(松下電器産業株式会社製、NP−40SX2)を用いて洗浄実験を行い、泡立ち及び再汚染性について下記基準に従って評価した。評価結果を表7に示す。なお、前記洗浄剤は、3質量%水溶液、水分散液、又は乳濁液とし、必要に応じ加温して使用した。また、自動食器洗浄機の条件は、標準コースで乾燥を20分間と設定した(但し、泡立ち評価の場合には、すすぎまでで終了)。洗浄剤ベース組成物の量は4.5g/水3L使用した(自動食器洗浄機の標準使用量)。
【0064】
−泡立ち評価(汚垢なし)−
前記自動食器洗浄機を用いてタッパーのみの洗浄を行い、以下の基準に従い、泡立ち評価を行った。
〔評価基準〕
○・・・運転中、回転アームに全く支障の無い泡立ち
△・・・運転中、回転アームにやや支障のある泡立ち
×・・・運転中、回転アームに支障のある泡立ち
【0065】
−泡立ち評価(汚垢あり)−
前記自動食器洗浄機を用いてタッパー及び混合油(牛脂/バター/ラード/サラダ油=3/3/3/1)4gを塗った直径25cmの陶器皿を同時に洗浄し、以下の基準に従い、泡立ち評価を行った。
〔評価基準〕
○・・・運転中、回転アームに全く支障の無い泡立ち
△・・・運転中、回転アームにやや支障のある泡立ち
×・・・運転中、回転アームに支障のある泡立ち
【0066】
−再汚染性(タッパー洗浄力)評価−
前記自動食器洗浄機を用いてタッパー及び混合油(牛脂/バター/ラード/サラダ油=3/3/3/1)4gを塗った直径25cmの陶器皿を同時に洗浄し、以下の基準に従い、タッパーへの再汚染性の評価を行った。
〔評価基準〕
○・・・タッパー内外面とも汚れ付着なし
△・・・タッパー内外面に一部汚れ付着あり
×・・・タッパー内外面に汚れ付着あり
【0067】
【表6】

【0068】
【表7】

*:界面活性剤中に含まれるアルキル炭素鎖数が20〜30のアルキルベンゼンスルホン酸塩の含有率(質量%)
【0069】
(比較例1)
洗浄剤組成物を一切使わないで、即ち水、温水のみで洗浄実験を行った。評価結果を表8に示す。
【0070】
(比較例2)
表6に記載の自動食器洗浄機用洗浄剤ベース組成物のみを、実施例1に記載の量加え、実施例1と同様にして洗浄実験を行った。評価結果を表8に示す。
【0071】
(比較例3〜4)
表6に記載の自動食器洗浄機用洗浄剤ベース組成物に、表8に示す各種界面活性剤を、表8に記載の量加え、実施例1と同様にして洗浄実験を行った。評価結果を表8に示す。
【0072】
【表8】

ノニオン界面活性剤A;C12アルコールのエチレンオキシド3モル、プロピレンオキシド5モル付加物
【0073】
(比較例5〜6)
表6に記載の自動食器洗浄機用洗浄剤ベース組成物に、表9に示す各種界面活性剤を、表9記載の量加え、実施例1と同様にして洗浄実験を行った。評価結果を表9に示す。
【0074】
【表9】

【0075】
(比較例7及び実施例15〜16)
表6に記載の自動食器洗浄機用洗浄剤ベース組成物に、表10に示す各種界面活性剤を、表10に記載の量加え、実施例1と同様にして洗浄実験を行った。評価結果を表10に示す。
【0076】
【表10】

*:界面活性剤中に含まれるアルキル炭素鎖数が20〜30のアルキルベンゼンスルホン酸塩の含有率(質量%)
【0077】
(実施例17〜19)
表6に記載の自動食器洗浄機用洗浄剤ベース組成物に、表11に示す各種界面活性剤を表11記載の量加え、洗浄実験を行った。評価結果を表11に示す。表11に記載のノニオン界面活性剤は、下記の構成を有する(添加量は配合組成として記載)。
【0078】
【表11】

ノニオン界面活性剤A:C12のアルコールのエチレンオキシド3モル、プロピレンオキシド5モル付加物
ノニオン界面活性剤B:C13のアルコールのエチレンオキシド7モル、プロピレンオキシド3モル付加物
ノニオン界面活性剤C:C12のアルコールのエチレンオキシド10モル、プロピレンオキシド2モル付加物
*:界面活性剤中に含まれるアルキル炭素鎖長が20〜30のアルキルベンゼンスルホン酸塩の含有率(質量%)
【実施例20】
【0079】
表6に記載の自動食器洗浄機用洗浄剤ベース組成物に、表12に示す界面活性剤を表12に記載の量加えて洗浄実験を行った。この洗浄試験のみ汚垢として、ご飯粒を付けた茶碗を乾燥したもの2個、牛乳を付着させたガラスコップ2個、及び茶渋の着いたマグカップ2個を自動食器洗浄機にセットすると共に、実施例19までと同じように混合油を付着させた陶器皿1個と汚れの付いていないタッパー容器3個をセットし洗浄実験を行った。なお、この実施例20に限り、自動食器洗浄機は実施例19までで使用していた「松下電器産業株式会社製のNP−40 SX−2型」の代わりに「松下電器産業株式会社製のNP−810」を使用した。評価結果を表12に示す(添加量は配合組成として記載)。
【0080】
【表12】

*:界面活性剤中に含まれるアルキル炭素鎖数が20〜30のアルキルベンゼンスルホン酸塩の含有率(質量%)
【0081】
表7〜12の結果から、本発明の界面活性剤組成物を含む実施例1〜20の自動食器洗浄器用洗浄剤は、自動食器洗浄機の運転に支障を与えることのない低泡性を維持しながら、従来の汎用アニオン性界面活性剤と同等もしくは同等以上の優れた洗浄力を有し、また、高い可溶化能を有することがわかった。
【0082】
<洗濯機による評価>
(実施例21及び比較例8)
表13に記載の洗濯機用洗浄剤ベース組成物を調製した。
【表13】

【0083】
表13に示す洗濯機用洗浄剤ベース組成物に、表14に示す界面活性剤を、表14に示す量添加し、実施例21及び比較例8の洗浄剤組成物を調製した。これらを用いて洗浄実験を行い、洗浄力及び低泡性について評価した。
【0084】
(洗浄力評価)
得られた前記洗浄剤組成物0.45gを、15℃、3°DH(ドイツ硬度)に調整した水900mLに添加して洗浄液を調製した。この洗浄液に試験布として湿式人工汚垢布(日本資材社製)10枚と、メリヤス布とを浴比が30倍になるように重量を調整したものを投入し、これを洗濯機(U.S.Testing社製、Tergotometer)を用いて回転数120rpmで10分間洗浄した後、1分間の流水すすぎを行い、脱水し、乾燥させた。
洗浄前後の試験布について、K/S値を算出し、これを用いて洗浄力を算出した。K/S値は、色差計(Σ−90、日本電色社製)を用いて測定した試験布の反射率Rを用い、下記式(1)により算出した。
(1−R)/2R
式(1)
洗浄力は、前記K/S値を用い、下記Kubelka Munkの式(式(2))により算出した。

こうして算出した洗浄力を、比較例8の結果を100とした指数として表14に示す。
【0085】
(低泡性)
前記洗浄試験中の、泡立ちの状態を目視で観察し、下記の基準により評価した。結果を表14に示す。
○:泡立ちの高さが5mm以下
△:泡立ちの高さが5〜10mm
×:泡立ちの高さが10mm以上
【0086】
【表14】

*:界面活性剤中に含まれるアルキル炭素鎖数が20〜30のアルキルベンゼンスルホン酸塩の含有率(質量%)
【0087】
表14の結果から、本発明の界面活性剤組成物を含む実施例21の洗濯機用洗浄剤は、低泡性を維持しながら、従来の汎用アニオン性界面活性剤と同等の優れた洗浄力を有することがわかった。
【0088】
本発明によれば、従来における諸問題を解決することができ、従来の汎用アニオン性界面活性剤と同等以上の高洗浄力を有し、かつ、低泡性に優れた界面活性剤組成物を提供できる。また、本発明の洗浄剤組成物は、本発明の界面剤組成物を含み、高い洗浄力を有しつつ、低泡性に優れることから、特に、低泡性が要求される自動食器洗浄機用洗浄剤や洗濯機用洗浄剤として好適に用いられるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルキル炭素鎖長が20〜30であるアルキルベンゼンスルホン酸塩を少なくとも含むことを特徴とする界面活性剤組成物。
【請求項2】
アルキル炭素鎖長が20〜30であるアルキルベンゼンスルホン酸塩の含有量が、界面活性剤の全量に対し20質量%以上である請求項1に記載の界面活性剤組成物。
【請求項3】
請求項1から2のいずれかに記載の界面活性剤組成物を含むことを特徴とする洗浄剤組成物。
【請求項4】
自動食器洗浄機における洗浄剤として用いられる請求項3に記載の洗浄剤組成物。
【請求項5】
洗濯機における洗浄剤として用いられる請求項3に記載の洗浄剤組成物。

【国際公開番号】WO2005/017081
【国際公開日】平成17年2月24日(2005.2.24)
【発行日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−513148(P2005−513148)
【国際出願番号】PCT/JP2004/010822
【国際出願日】平成16年7月29日(2004.7.29)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】