説明

留守番電話システム及び留守番電話方法

【課題】 個人が複数の通信機器を利用する場合であっても、ユーザーの意志に基づいて任意の端末において留守電メッセージを録音することができ、特に、IP電話アプリケーションソフトにかかってきた電話であっても、任意の端末において留守電メッセージを録音する。
【解決手段】
端末識別子テーブルデータT1,T2に、メッセージ録音機能を備えた複数の通信端末1a〜1dのそれぞれに付与された電話番号等の端末識別子を一纏めとして保持するとともに、各端末識別子に関する優先順位及び呼び出し時間を設定し、通信網上に配置された交換接続部34において、端末識別子のいずれかに対する発呼に応じ、端末識別子テーブルデータT1,T2内の端末識別子を検索し、優先順位及び呼び出し時間に従って検索された端末識別子に対し順次、着信処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音声通話による通信において、ユーザーが応答できない場合に、発信者からメッセージを取得する留守番電話システム及び留守番電話方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、携帯電話やモバイル端末など通信機器の多様化が進み個人が複数の通信機器を利用するに至っている。特に、近年にあっては、ブロードバンドが急速に普及しており、音声データも大容量の高速回線で送受信することができるようになっている。そこで、そのIP網を利用して音声通話を可能にするIP電話アプリケーションソフトやIP電話端末が注目を集めている(例えば、特許文献1)。
【0003】
かかるIP電話アプリケーションソフトは、パーソナルコンピュータ等のインターネットに接続可能な情報処理端末上でアプリケーションソフトを実行するだけで、対応アプリケーションソフト同士であれば通話料が無料で、通話相手が他の電話方式(固定電話、IP電話、携帯電話等)であっても低額で、IP網を通じたIP電話サービスを使用できるようになっている。
【0004】
また、従来より、電話機には、ユーザーが不在である場合や電話に出られないときのために、メッセージを録音する留守電機能が備えられているのが一般的である。
【特許文献1】特開2004-221706号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上述したように、個人が複数の通信端末を利用している現状においては、いずれの通信端末に上記留守電メッセージが録音されたのか分からなくなる場合がある。
【0006】
また、IP電話アプリケーションソフトでは、無料又は低額で通話ができることから、ユーザーとしては、積極的にこのアプリケーションソフトでの通話を希望するが、このアプリケーションソフトを情報処理端末上で当該アプリケーションを実行していないと発信及び着信を行えないことから、このアプリケーションソフトに発信した場合に当該アプリケーションが起動されていないときには、留守電メッセージを残すことができないという問題があった。
【0007】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたもので、個人が複数の通信機器を利用する場合であっても、ユーザーの意志に基づいて任意の端末において留守電メッセージを録音することができ、特に、IP電話アプリケーションソフトにかかってきた電話であっても、任意の端末において留守電メッセージを録音することができる留守番電話システム及び留守番電話方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、メッセージ録音機能を備えた複数の通信端末のそれぞれに付与された電話番号等の端末識別子を一纏めとして保持する端末識別子テーブルデータと、端末識別子テーブルデータ内において、各端末識別子に関する優先順位及び呼び出し時間を設定する留守電設定部と、端末識別子テーブルデータ内に保持された端末識別子のいずれかに対する発呼に応じて、端末識別子テーブルデータ内の端末識別子を検索し、優先順位及び呼び出し時間に従って検索された端末識別子に対し順次、着信処理を行う交換接続部とを有する。
【0009】
そして、本発明では、端末識別子テーブルデータに、メッセージ録音機能を備えた複数の通信端末のそれぞれに付与された電話番号等の端末識別子を一纏めとして保持するとともに、端末識別子テーブルデータ内において、各端末識別子に関する優先順位及び呼び出し時間を設定し、通信網上に配置された交換接続部において、端末識別子テーブルデータ内に保持された端末識別子のいずれかに対する発呼に応じ、端末識別子テーブルデータ内の端末識別子を検索し、優先順位及び呼び出し時間に従って検索された端末識別子に対し順次、着信処理を行う。
【0010】
このような本発明によれば、複数の通信端末を利用するユーザーに発信を行う場合に、ユーザーは、留守電機能を実行させたい通信端末の優先順位を、最下位に設定したり、呼び出し時間を長めに設定しておくことにより、任意の端末に備えられた留守電機能により、留守電メッセージを録音することができる。
【0011】
上記発明において、複数の通信端末には、ユーザー操作に基づいて情報処理端末上で起動及び終了される通話機能を提供する通話アプリケーションソフトが含まれ、通話ソフトウェアは、通話アプリケーションソフトの起動及び終了等の実行状態を、交換接続部に通知するアプリケーション状態通知部を有し、留守電設定部は、アプリケーション状態通知部からの通知に応じて、優先順位及び呼び出し時間を変更することが好ましい。
【0012】
この場合には、コンピュータ等で実行される通話アプリケーションを、留守電機能を実行させる通信端末に含めることができ、また、逆に通話アプリケーションを終了した後においても、この通話アプリケーションに対する留守電メッセージを、他の通信端末で録音することができる。
【0013】
上記発明において、留守電設定部は、複数の通信端末のいずれかにおける着信又は発信を検出し、この検出結果に応じて優先順位及び呼び出し時間を変更することが好ましい。ユーザーが頻繁に利用する端末や、ユーザーが最近利用した端末、或いは普段あまり使用しない端末において優先的に留守電機能を実行することができる。
【0014】
上記発明において、交換接続部が着信処理を行っている通信端末の種別に応じて、発信側の通信端末に対する発信音を変更する発信音変更部をさらに有することが好ましい。この場合には、発信側において、現在呼び出し処理が行われている通信端末の種別を把握することができ、留守電機能が実行される通信端末の種別を予想することができる。なお、例えば、発信側のユーザー端末に、特定種別の通信端末の呼び出しを拒否(通信切断、或いはスキップ)する機能を設けてもよい。
【0015】
上記発明において、交換接続部は、通信が確立した通信端末の種別を、発信側の通信端末に通知することが好ましい。この場合には、発信側において、最終的に応答された端末の種別を把握することができ、録音する留守電の内容を状況に応じて変更することが可能となるとともに、通話料等の予想を容易なものとすることができる。
【0016】
上記発明において、複数の通信端末のいずれにおいても応答がない場合に、交換接続部側において、メッセージを蓄積する留守電処理部を有することが好ましい。この場合には、全ての端末が留守電対応できない場合であっても、確実にメッセージを録音することが可能となる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、個人が複数の通信機器を利用する場合であっても、ユーザーの意志に基づいて任意の端末において留守電メッセージを録音することができ、特に、IP電話アプリケーションソフトにかかってきた電話であっても、任意の端末において留守電メッセージを録音することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の最良の実施形態について図を参照して説明する。
【0019】
(留守番電話システム)
図1は、本実施形態にかかる留守番電話システムの概要を示す構成図である。なお、説明中で用いられる「モジュール」とは、装置や機器等のハードウェア、或いはその機能を持ったソフトウェア、又はこれらの組み合わせなどによって構成され、所定の動作を達成するための機能単位を示す。
【0020】
本実施形態において通信網は、主としてIP網4とPSTN(Public Switched Telephone Networks:公衆交換電話網)5とから構成され、これらIP網4とPSTNとはゲートウェイ4b及び5bにて相互に接続されている。なお、本実施形態では、一人のユーザーXが、PC1a、固定IP電話機1b、携帯電話機1c、固定電話1dを用い、他のユーザー(例えば、ユーザーY)が利用する電話機6との間で通話を行う場合を例に説明する。なお、これらの通信端末1a〜1dは、着信があった際に応答しないとき、自動的にメッセージを録音する、いわゆる留守番電話機能を備えている。
【0021】
ゲートウェイ4b,5a及び5bは、各ネットワーク上で、媒体やプロトコルが異なるデータを相互に変換して通信を可能にする機器であり、通信媒体や伝送方式の相異を吸収して異機種間の接続を可能としている。
【0022】
IP網4は、通信プロトコルTCP/IPを用いて種々の通信回線(電話回線やISDN回線、ADSL回線などの公衆回線、専用回線、無線通信網)を相互に接続して構築される分散型の通信ネットワークであり、このIP網には、10BASE-Tや100BASE-TX等によるイントラネット(企業内ネットワーク)や家庭内ネットワークなどのLANなども含まれる。
【0023】
PSTN5は、一般の加入電話回線の通信ネットワークであり、電話機から線交換方式で相手の電話機に接続し、例えば固定電話1dなどにより音声通話が可能となっている。また、このPSTN5には、ゲートウェイ5aを介して無線通信局5dが接続されており、携帯端末との通信も可能となっている。
【0024】
また、上記通信網上には電話局4a,4c及び5cが設置されており、各種固定電話等が接続されている。特に、電話局4a及び4cは、スプリッターや交換機、DSRAM等の設備を有し、IP網4とPSTN5との分岐局の役割を果たしており、データ通信に係るIPパケットデータをIP網4側に接続し、音声通話に係る音声信号をPSTN5側に接続する。
【0025】
電話局4aには、終端装置2を介してユーザーXが使用するPC1aと固定IP電話機1bが接続されている。終端装置2は、PC1aをIP網4に接続するための装置であり、電話回線に接続する際にディジタルデータと音声信号との相互変換を行うモデム等の変復調装置や、ADSL回線に接続する際にADSL信号とLAN回線との相互変換を行うADSLモデム等の信号変換機、ISDN回線に接続するために必要となるDSUやターミナルアダプタ等の装置が含まれる。また、終端装置2は、音声信号をIPパケットデータに変換し、IP網経由でのインターネット電話を行うための、いわゆるVoIP機能を備えており、電話機1bからの音声信号をIPパケットに変換して、IP網4上の固定IP電話6や、PSTN5上の固定電話との間で通話を行うことができる。
【0026】
PC1aは、CPUを備えた演算処理装置であり、パーソナルコンピュータ等の汎用コンピュータや、機能を特化させた専用装置により実現することができ、モバイルコンピュータやPDA(Personal Digital Assistance)、携帯電話機が含まれる。
【0027】
また、IP網4上には、コールエージェントサーバ3が設置されている。このコールエージェントサーバ3は、IP網4上で電話サービスを提供する際に、中継交換機の機能をIP網4に代用させる呼制御装置である。このコールエージェントサーバ3は、交換接続に際し、ユーザー管理データベース3aを備えており、このユーザー管理データベース3aに格納されているテーブルデータT1及びT2を参照し、発信元及び発信先の電話番号から双方のIPアドレスを検索し、IPパケットの送受による通信を確立させる。
【0028】
詳述するとテーブルデータT1及びT2は、階層をなすリレーショナルデータベースであり、ユーザー毎に、各ユーザーが使用する通信端末の端末識別子(電話番号やユーザーネーム)と接続情報(IPアドレスやMACアドレス)とを関連づけて一纏めとして保持している。また、テーブルデータT1には、PC1a上で実行されるIP電話アプリケーションの実行状態(IPTAステイタスフラグ:ON又はOFF)とともに、留守電機能を実行させたい端末又はサーバの識別子(例えば端末ID)が保持されている。テーブルデータT2では、呼び出しを行う端末の順序を示す優先順位(発呼する順番:1,2,3…、発呼しない:0)が設定されている。
【0029】
また、コールエージェントサーバ3は、留守電データ蓄積部3bを備えており、ユーザーの設定に応じて、サーバ3において留守電メッセージを録音し再生することができるようになっている。この蓄積部3bに蓄積されるメッセージは、例えば音声ファイルなどにより、ユーザー毎に蓄積され、サーバ3からの要求に応じて、ファイルを選択して再生が可能となっている。
【0030】
上記PC1a及びコールエージェントサーバ3の内部構成について説明する。図2は、PC1a及びコールエージェントサーバ3のIP電話機能に関する内部構成を示すブロック図である。
【0031】
具体的にPC1aは、IP電話機能に関し、IP電話アプリケーション実行部11と、アプリケーション状態通知部12と、優先順位設定部13と、通信部14と、留守電機能部18とを備えている。また、PC1aには、キーボードやマウス等の操作部15と、マイク及びヘッドホン等の通話デバイス16と、モニター等の表示部17とが接続されている。
【0032】
IP電話アプリケーション実行部11は、メモリやハードディスク等の記憶装置(図示せず)に格納されたプログラム(IP電話アプリケーション)を、CPU等の演算処理装置によって実行することにより、VoIP機能によるインターネット電話を実現するモジュールである。このVoIP機能としては、通話デバイス16のマイクから入力される音声信号をIPパケットデータに変換し、通話相手の端末に送信し、通話相手の端末から受信されたIPパケットデータを音声信号に変換し、通話デバイス16のスピーカーから出力する。
【0033】
このIP電話アプリケーションの実行形態としては、表示部17に表示された操作用ダイアログにおいて、通話相手を特定(ダイヤルやユーザーリストからの選択)して発信し、通話デバイス16により通話を行う。なお、このIP電話アプリケーション実行部11による機能としては、VoIP機能の他、ファイル転送機能や、チャット機能等、データを送受信することにより実現される種々の機能が含まれる。
【0034】
アプリケーション状態通知部12は、OS上に常駐されるドライバプログラムとして実現され、PC1a上で起動・終了されるアプリケーションソフトを監視し、IP電話アプリケーションソフトが起動・終了されるのを検出し、検出結果を通信部14を介してコールエージェントサーバ3に送信する。
【0035】
優先順位設定部13は、コールエージェントサーバ3の優先順位変更部33と通信を行い、コールエージェントサーバ3の端末識別子テーブルデータT1,T2に登録されている端末識別子の優先順位や呼び出し時間を設定するモジュールである。この設定方法としては、例えばブラウザソフトを実行し、優先順位設定部13が提供するWebページにアクセスし、このWebページでのユーザー操作によって、留守番電話機能を実行させる優先順位の設定を行う。なお、この設定操作には、使用する通信機器の電話番号等を新規に登録する手続や、既に登録されている電話番号等を削除・変更する手続も含まれる。また、通信端末が携帯電話や固定電話である場合には、ボタンの組み合わせ(”#”を押した後、に携帯電話が”1”や、固定電話が”2”など)を押すようにしてもよい。
【0036】
留守電機能部18は、IP電話アプリケーションと連動して動作し、音声をファイルデータとして蓄積するモジュールであり、IP電話アプリケーションからの要求に応じて、音声をファイル変換して記録したり、ファイルデータを読み出して再生したりする。
【0037】
一方、コールエージェントサーバ3は、交換接続のための機能として、通信部31と、アプリケーション状態取得部32と、優先順位変更部33と、交換接続部34と、発信音変更部34aと、留守電処理部35を備えている。
【0038】
アプリケーション状態取得部32は、アプリケーション状態通知部12から通知されるIP電話アプリケーションの実行状態(起動・終了)をIP網4及び通信部31を通じて受信し、優先順位変更部33に報知する。
【0039】
優先順位変更部33は、端末識別子テーブルデータT2内における優先順位や呼び出し時間を設定する留守電設定部としての役割を果たすモジュールである。この優先順位等の設定方式としては、アプリケーション状態取得部32で受信されたIP電話アプリケーションの実行状態(起動・終了)に応じて、優先順位を変更する。この優先順位の変更としては、留守番電話機能を実行させる端末を最先にするパターン、又は留守番電話機能を実行させる端末を最後にするパターンなどが考えられる。
【0040】
例えば、IP電話アプリケーションが実行されているときは、IP電話アプリケーションを含めてユーザーXが設定した優先順位とし(IPTAステイタスをONにし、優先順位のフラグを1〜n(ユーザー任意)とし)、IP電話アプリケーションが終了されたときには、IP電話アプリケーションへの呼び出しを行わないように、リストから削除する(IPTAステイタスをOFFにし、優先順位のフラグを0とする)。
【0041】
また、優先順位変更部33は、交換接続部34で行われている交換接続結果を監視し、ユーザーXが使用する複数の通信端末1a〜1dのいずれかにおける着信又は発信を検出し、この検出結果に応じて優先順位を変更するモジュールである。
【0042】
この優先順位の変更としては、ユーザーが最近使用した端末或いは頻繁に使う端末の留守電機能を優先的に実行させるパターン、逆にあまり使わない使用しない端末の留守電機能を優先的に実行させるパターンが考えられる。例えば、直近に着信又は発信のあった端末の優先順位を上位(又は下位)に設定して、各端末に備えられた留守電機能が実行可能とする。
【0043】
交換接続部34は、発信元の端末識別子(電話番号やユーザーネーム等)から発信者の接続情報(IPアドレス等)を取得するとともに、発信先の端末識別子(電話番号やユーザーネーム等)から発信先の接続情報(IPアドレス等)を検索し、発信元及び発信先の端末の双方に、これらの接続情報を通知し、これらの端末間におけるIPパケットの送受を可能として、通信接続を確立させるモジュールである。
【0044】
また、この交換接続部34は、交換接続に際し、ユーザー管理データベース3a内において、ユーザー毎に一纏めとされた端末識別子のいずれかに対する発呼に応じて、テーブルデータT1,T2内の端末識別子を検索し、このテーブルデータT1,T2で設定されている優先順位及び呼び出し時間に従って端末識別子に対し順次、着信処理を行う機能を備えている。この呼び出しの形態としては、図6(a)に示すように、呼び出し開始時間を数秒ずつずらしたり、一部重複させたり、必要に応じて同時としたりすることができる。
【0045】
特に、この交換接続部34は、留守番電話に関する機能として、留守電機能を実行させる端末に対する呼び出し時間を長めに設定し、他の通信端末への呼び出し時間を短めに設定する機能を備えている。すなわち、同図(b)に示すように、呼び出し時間を長めに設定することにより、任意の端末の留守番電話機能が作動を開始するのに十分な時間を確保するとともに、他の通信端末の留守電機能が作動しないようにして、ユーザーの希望する端末において留守番電話機能を実行させる。また、交換接続部34は、いずれの端末が応答しない(留守電機能を実行しない)場合には、サーバ3内の留守電処理部3に接続する機能を備えている。
【0046】
さらに、交換接続部34は、上記交換接続処理により通信が確立した通信端末の種別を、発信側の通信端末に通知する機能を備えている。すなわち、発信に対して順次、呼び出し先を変更して接続交換を行うことから、最終的にいずれの種別の通信端末に接続されたのかを発信元に報知する。通信端末の種別に応じて通話料が変動することから、この報知により発信側は通話料を予想することが可能となる。
【0047】
発信音変更部34aは、交換接続部34が呼び出し(着信処理)を行っている通信端末の種別を、発信側の通信端末に通知するモジュールであり、本実施形態では、呼び出しを行っている通信端末の種別に応じて、発信側の通信端末に対する発信音を変更することにより通知する。すなわち、発信に対して順次、呼び出し先を変更して接続交換を行うことから、現在いずれの種別の通信端末を呼び出しているのかを、ガイダンスメッセージや発信音等により通知する。この通知の方法としては、携帯電話のディスプレイや、PCのウィンドウ等に文字や記号で表示させたりなど、発信元の通信端末のユーザーインターフェースに応じて、種々のものを採用することができる。
【0048】
留守電処理部35は、交換接続部34に接続されており、発呼があった際に、交換接続部34においていずれの接続先からも応答がなかった場合に、発信元と通話を確立させて、メッセージを受け取り、留守電データ蓄積部3bに蓄積させるモジュールである。
【0049】
(留守番電話方法)
以上の構成を有する留守番電話システムを動作させることによって、本発明の留守番電話方法を実施することができる。図3〜5は、本実施形態に係る留守番電話システムの動作を示すフローチャート図である。なお、ここでは、コールエージェントサーバ3のユーザー管理データベース3aには、各ユーザーのユーザー登録及び利用する複数の通信端末(IP電話アプリケーションを含む)の電話番号等の登録が完了しているものとする。
【0050】
先ず、図3に示すように、ユーザーXがIP電話アプリケーションをPC1a上で起動する(S101)と、アプリケーション状態通知部12により、コールエージェントサーバ3に対して状態通知が行われる(S102)。
【0051】
この通知がアプリケーション状態取得部32により取得され、起動登録(テーブルデータのIPTAステイタスフラグを”ON”にする)が行われる(S103)とともに、接続情報の更新(PC1aのIPアドレスやMACアドレスの登録)とテーブルデータT1,T2について優先順位及び呼び出し時間の変更が行われる(S104)。
【0052】
その後、図4に示すように、ユーザーXが、PC1aでIP電話アプリケーションを終了した場合(S201)、アプリケーション状態通知部12により、コールエージェントサーバ3に対して状態通知が行われる(S202)。
【0053】
この通知がアプリケーション状態取得部32により取得され、終了登録(テーブルデータのIPTAステイタスフラグを”OFF”にする)が行われる(S203)とともに、接続情報の更新(PC1aのIPアドレスやMACアドレスの削除)とテーブルデータT1の優先順位の変更(優先順位を”0”とする)が行われるとともに、留守電情報が更新される(S204)。これにより、次回他のユーザーがユーザーXに電話を掛けても、IP電話アプリケーションが呼び出されることはなく、他の通信端末にて留守電機能が実行されることとなる。
【0054】
そして、他のユーザーYの通信端末(例えば、固定電話6)からユーザーXに発信する場合、図5に示すように、ユーザーYは、ユーザーXが利用する端末1a〜1dのいずれかの電話番号(例えば、携帯電話1cの電話番号”090…”をダイヤルする(S301)。
【0055】
これに応じて交換接続部34は、ユーザー管理データベース3aを検索し(S302)、ユーザーXのテーブルデータT2において当該携帯電話1cとともに一纏めにされている電話番号のうち、最も優先順位の高い通信端末に対して呼び出しを開始する(S303)。ここでは、ユーザーXのIP電話アプリケーションが起動されており、これの優先順位が最上位となっていることから図1に示すT2に従って、順次呼び出しが行われる。この呼び出しの間、発信音変更部34aによって、ユーザーYの端末には、その時点で呼び出している通信端末の種別に応じたガイダンスメッセージや発信音が出力される。
【0056】
ここで、通信端末1aにおいて所定時間(留守電を実行させるのに不十分な時間長)応答がなかったものとする(S304)。この場合、ユーザーXがIP電話アプリケーションによる留守電対応を設定していた場合(ステップS305における「IP電話ソフト」)、そのままIP電話アプリケーションに対する呼び出しを継続し(S306)、IP電話アプリケーションソフトの留守電機能が開始された後(S307)、留守電の蓄積を行う(S310)。
【0057】
一方、ユーザーXが他の通信端末(例えば、携帯電話1c)による留守電対応を設定していた場合(ステップS305における「他の通信端末」)、呼び出し先を変更し、他の通信端末において留守電機能が開始された後(S309)、留守電の蓄積を行う(S310)。
【0058】
他方、ユーザーXがサーバ3による留守電対応を設定していた場合(ステップS305における「サーバ」)、接続先を変更し、サーバ3の留守電処理部3において留守電機能が開始された後(S308)、留守電の蓄積を行う(S310)。
【0059】
(作用・効果)
このような本実施形態によれば、複数の通信端末1a〜1dを利用するユーザーXに発信を行う場合に、ユーザーXは、留守電機能を実行させたい通信端末の優先順位を、最下位に設定したり、呼び出し時間を長めに設定しておくことにより、任意の端末に備えられた留守電機能により、留守電メッセージを録音することができる。
【0060】
上記実施形態では、ユーザーXが使用する複数の通信端末に、IP電話アプリケーションが含まれ、このIP電話アプリケーションソフトの起動及び終了等の実行状態をサーバ3に通知し、この通知に応じて、優先順位及び呼び出し時間を変更するため、IP電話アプリケーションを留守電機能を実行させる通信端末に含めることができ、また、逆にIP電話アプリケーションを終了した後においても、このIP電話アプリケーションに対する留守電メッセージを、他の通信端末で録音することができる。
【0061】
上記実施形態において、優先順位変更部33は、複数の通信端末1a〜1dのいずれかにおける着信又は発信を検出し、この検出結果に応じて優先順位及び呼び出し時間を変更するため、ユーザーが頻繁に利用する端末や、ユーザーが最近利用した端末、或いは普段あまり使用しない端末において優先的に留守電機能を実行することができる。
【0062】
上記実施形態において、交換接続部34が着信処理を行っている通信端末の種別に応じて、発信側(ユーザーY)の通信端末に対する発信音を変更するため、発信側において、現在呼び出し処理が行われている通信端末の種別を把握することができ、留守電機能が実行される通信端末の種別を予想することができる。なお、例えば、発信側のユーザー端末に、特定種別の通信端末の呼び出しを拒否(通信切断、或いはスキップ)する機能を設けてもよい。
【0063】
上記実施形態において、交換接続部34は、通信が確立した通信端末の種別を、発信側の通信端末に通知するため、発信側において、最終的に応答された端末の種別を把握することができ、録音する留守電の内容を状況に応じて変更することが可能となるとともに、通話料等の予想を容易なものとすることができる。
【0064】
上記実施形態において、複数の通信端末のいずれにおいても応答がない場合に、サーバ3側において、メッセージを蓄積するため、全ての端末が留守電対応できない場合であっても、確実にメッセージを録音することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】実施形態に係る留守番電話システムの概要を示す構成図である。
【図2】実施形態に係るPC1a及びコールエージェントサーバ3のIP電話機能に関する内部構成を示すブロック図である。
【図3】実施形態に係る留守番電話システムにおけるIP電話アプリケーション起動時の動作を示すフローチャート図である。
【図4】実施形態に係る留守番電話システムにおけるIP電話アプリケーションの終了時の動作を示すフローチャート図である。
【図5】実施形態に係る留守番電話システムの動作を示すフローチャート図である。
【図6】実施形態に係る留守番電話システムによる呼び出し手順を示すシーケンス図である。
【符号の説明】
【0066】
T1,T2…端末識別子テーブルデータ
X,Y…ユーザー
1a…PC(ユーザーX使用)
1b…固定IP電話機(ユーザーX使用)
1c…携帯電話機(ユーザーX使用)
1d…固定電話(ユーザーX使用)
2…終端装置
3…コールエージェントサーバ
3a…ユーザー管理データベース
3b…留守電データ蓄積部
4…IP網
4a,4c,5c,5d…電話局
4b,5a,5b…ゲートウェイ
5…PSTN
6…固定電話(ユーザーY使用)
11…IP電話アプリケーション実行部
12…アプリケーション状態通知部
13…優先順位設定部
14…通信部
15…操作部
16…通話デバイス
17…表示部
18…留守電機能部
31…通信部
32…アプリケーション状態取得部
33…優先順位変更部
34…交換接続部
34a…発信音変更部
35…留守電処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メッセージ録音機能を備えた複数の通信端末のそれぞれに付与された電話番号等の端末識別子を一纏めとして保持する端末識別子テーブルデータと、
前記端末識別子テーブルデータ内において、各端末識別子に関する優先順位及び呼び出し時間を設定する留守電端末設定部と、
前記端末識別子テーブルデータ内に保持された端末識別子のいずれかに対する発呼に応じて、該端末識別子テーブルデータ内の端末識別子を検索し、前記優先順位及び呼び出し時間に従って検索された端末識別子に対し順次、着信処理を行う交換接続部と
を有することを特徴とする留守番電話システム。
【請求項2】
前記複数の通信端末には、ユーザー操作に基づいて情報処理端末上で起動及び終了される通話機能を提供する通話アプリケーションソフトが含まれ、
前記通話ソフトウェアは、該通話アプリケーションソフトの起動及び終了等の実行状態を、前記交換接続部に通知するアプリケーション状態通知部を有し、
前記留守電設定部は、前記アプリケーション状態通知部からの通知に応じて、前記優先順位及び呼び出し時間を変更する
ことを特徴とする請求項1に記載の留守番電話システム。
【請求項3】
前記留守電設定部は、前記複数の通信端末のいずれかにおける着信又は発信を検出し、この検出結果に応じて前記優先順位及び呼び出し時間を変更することを特徴とする請求項1に記載の留守番電話システム。
【請求項4】
前記交換接続部が着信処理を行っている通信端末の種別を、発信側の通信端末に通知する発信先通知部をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の留守番電話システム。
【請求項5】
前記交換接続部は、通信が確立した通信端末の種別を、発信側の通信端末に通知することを特徴とする請求項1に記載の留守番電話システム。
【請求項6】
前記複数の通信端末のいずれにおいても応答がない場合に、前記交換接続部側において、メッセージを蓄積する留守電処理部を有することを特徴とする請求項1に記載の留守番電話システム。
【請求項7】
端末識別子テーブルデータに、メッセージ録音機能を備えた複数の通信端末のそれぞれに付与された電話番号等の端末識別子を一纏めとして保持するとともに、該端末識別子テーブルデータ内において、各端末識別子に関する優先順位及び呼び出し時間を設定するステップ(1)と、
通信網上に配置された交換接続部において、前記端末識別子テーブルデータ内に保持された端末識別子のいずれかに対する発呼に応じ、該端末識別子テーブルデータ内の端末識別子を検索し、前記優先順位及び呼び出し時間に従って検索された端末識別子に対し順次、着信処理を行うステップ(2)と
を有することを特徴とする留守番電話方法。
【請求項8】
前記複数の通信端末には、ユーザー操作に基づいて情報処理端末上で起動及び終了される通話機能を提供する通話アプリケーションソフトが含まれ、
前記ステップ(1)において前記通話ソフトウェアは、該通話アプリケーションソフトの起動及び終了等の実行状態を、前記交換接続部側に通知し、
前記交換接続部側において、前記通知に応じて、前記優先順位及び呼び出し時間を変更する
ことを特徴とする請求項7に記載の留守番電話方法。
【請求項9】
前記ステップ(1)において、前記複数の通信端末のいずれかにおける着信又は発信を検出し、この検出結果に応じて前記優先順位及び呼び出し時間を設定することを特徴とする請求項7に記載の留守番電話方法。
【請求項10】
前記交換接続部が呼び出し処理を行っている通信端末の種別を、発信側の通信端末に通知するステップをさらに有することを特徴とする請求項7に記載の留守番電話方法。
【請求項11】
前記交換接続部において通信が確立した通信端末の種別を、発信側の通信端末に通知するステップをさらに有することを特徴とする請求項7に記載の留守番電話方法。
【請求項12】
前記複数の通信端末のいずれにおいても応答がない場合に、前記交換接続部側において、メッセージを蓄積するステップをさらに有することを特徴とする請求項7に記載の留守番電話方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−222584(P2006−222584A)
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−32381(P2005−32381)
【出願日】平成17年2月8日(2005.2.8)
【出願人】(306009259)ソフトバンクBB株式会社 (25)
【Fターム(参考)】