説明

留置用カテーテル

【課題】ハウジングの入口に止血弁を配置しているため、点滴回路等のオスコネクターを止血弁に挿入する際に、抵抗が大きく術者に違和感を与えてしまう。
【解決手段】カテーテル基1の先端側に連結されたカテーテルチューブ2と、前記カテーテル基1内の中腹部に配設された止血弁3と、該止血弁3の開閉操作をすべく前記カテーテル基内に摺動自在に配設されたプッシャー4とを備える。止血弁3は、前端面中央に弁孔スリット3aを形成し、後端開口側にプッシャー受部3bを形成せしめる。プッシャー受部3bは、プッシャー4の外周を摺動可能かつ抜け止め状態に保持する。また、止血弁3の外周には、エア抜溝3c、3cを形成する。このエア抜溝3c、3cは、止血弁3が空気抵抗が無くカテーテル基1内を円滑に摺動できるように空気抜きする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人工透析若しくは輸液、輸血などに使用される留置用カテーテルの改良に関し、更に詳しくは、内針を抜去した際、カテーテル基からの漏血を防ぐことができるのみならず、頗る簡単な手段でもって、オスコネクターを接続する際の抵抗感を極力小さくすることを可能にした操作性の良い留置用カテーテルに存する。
【背景技術】
【0002】
従来、斯かる留置用カテーテルとしては、例えば、特許文献1に開示されたものが従来例として周知である。この従来の留置用カテーテルは、細長い部材を血管組織へ導入し、止血を提供しながら血管組織を通る前記細長い部材の操作を容易にするための医療用挿入機器であって、貫通して伸びる内部管腔を有する第1のハウジングと、該ハウジングの前記内部管腔内に配置された止血弁と、前記ハウジング内に配置される内部通路を有するシャトル管と、前記シャトル管が前記弁を開状態に偏らせる時に、止血を維持する止血維持手段とを具備し、前記内部通路は前記ハウジングの前記内部管腔と流体を通すように連絡し、前記シャトル管は前記弁を開状態に偏らせるように適合されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−4894号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特開平11−4894号公報に開示されている留置用カテーテルにあっては、ハウジングの入口に止血弁を配置しているため、点滴回路等のオスコネクターを止血弁に挿入する際に、抵抗が大きく術者に違和感を与えてしまうといった問題を有する。
【0005】
本発明は、このような従来の問題点に鑑みてなされたもので、内針を抜去した際、カテーテル基からの漏血を防ぐことができるのみならず、頗る簡単な手段でもって、オスコネクターを接続する際の抵抗感を極力小さくすることを可能にした、操作性の良い留置用カテーテルの提供を目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の如き従来の問題点を解決し、所期の目的を達成するための本発明は、先端および後端を有し、前記後端側が前記後端の外部から挿入されるオスコネクターを受容して接続すべく構成された構造を有する中空のカテーテル基と、前記カテーテル基の前記先端に連結されたカテーテルチューブと、前記カテーテル基内に配設された可撓性を有する止血弁と、先端および後端を有し、内部通路に内針を挿通でき、かつ、前記オスコネクターと接続して前記止血弁に対して押し込まれるべく構成された構造を有し、前記止血弁の開閉操作をすべく前記カテーテル基内に摺動自在に配設された中空のプッシャーとを備え、前記止血弁は、前記プッシャーの外周を包持するプッシャー受部を有する留置用カテーテルに存する。
【0007】
また、前記カテーテル基は、内周面にメスルアテーパーを有するのが良く、前記止血弁にエア抜溝を備えるのが良い。
【0008】
更に、前記プッシャーは、前記カテーテル基の長手方向に相対的に移動可能な状態で前記止血弁に嵌装されているのが良い。
【0009】
更に、前記プッシャーを前記止血弁から遠ざかる方向へ付勢せしめる、スプリング、蛇腹、ゴムおよび板バネよりなる群から選択されたいずれかの弾性部材を備えるのが良く、また前記弾性部材は、前記止血弁に一体化してあるのが良く、前記プッシャーの後端部に位置する拡径部は、前記カテーテル基に内接しているのが良い。また前記プッシャーは、前記止血弁から抜け止めされるべく前記プッシャー受部と係合する環状突起を有するのが良い。さらに前記カテーテルチューブと前記止血弁と前記プッシャーとはこの順で前記カテーテル基内に先端側から後端側へ整列しているのが良い。
【発明の効果】
【0010】
このように構成される本発明の留置用カテーテルは、先端および後端を有し、前記後端側が前記後端の外部から挿入されるオスコネクターを受容して接続すべく構成された構造を有する中空のカテーテル基と、前記カテーテル基の前記先端に連結されたカテーテルチューブと、前記カテーテル基内に配設された可撓性を有する止血弁と、先端および後端を有し、内部通路に内針を挿通でき、かつ、前記オスコネクターと接続して前記止血弁に対して押し込まれるべく構成された構造を有し、前記止血弁の開閉操作をすべく前記カテーテル基内に摺動自在に配設された中空のプッシャーとを備え、前記止血弁は、前記プッシャーの外周を包持するプッシャー受部を有することによって、穿刺時(内針抜去前)は、図1に示すように、内針が、プッシャー、止血弁を貫通してカテーテルチューブの先端から針先を臨ませ(穿刺可能状態)、穿刺後(内針抜去時)は、図2に示すように、止血弁が再封止(閉弁)されて漏血を防止すると共に(止血状態)、図3に示すように、カテーテル基の後方からオスコネクターを接続することで、プッシャーが止血弁を貫通して前方位置で係止し、同プッシャーが同位置にとどまるため、オスコネクターを抜いても止血機能は発現することはなく、カテーテル基とカテーテルチューブとの導通状態が維持されることとなる(図4参照)。
【0011】
また、前記止血弁は、前記プッシャーの外周を包持するプッシャー受部を有することによって、止血弁とプッシャーとを一体的に組み付けし得ることとなる。
【0012】
また、前記カテーテル基の内周面にメスルアテーパーを有することにより、オスコネクターのオスルアテーパーとの接続がなし易くなると共に、同オスコネクターの押圧力に応じて両テーパー面(合わせ面)の密着性(気密性)が増すため、両部材(カテーテル基とオスコネクター)の安易な抜け落ちが阻止されると共に、導通状態での両部材間からの意に反した漏血や血液感染等の危惧をも防止し得ることとなる。
【0013】
更に、前記止血弁がエア抜溝を備えることによって、カテーテル基内を空気抵抗無く移動し得ることとなる。
【0014】
また、前記プッシャーが、前記カテーテル基の長手方向に相対的に移動可能な状態で前記止血弁に嵌装されていることにより、プッシャーと一体的に組み付けし得ることとなる。
【0015】
更に、前記プッシャーを前記止血弁から遠ざかる方向へ付勢せしめる、スプリング、蛇腹、ゴムおよび板バネよりなる群から選択されたいずれかの弾性部材を備えることによって、前述したように、穿刺後の内針抜去時に漏血を防止し、オスコネクター挿入時にカテーテル基とカテーテルチューブとが導通するが、止血弁とプッシャーとの間に弾性部材を介在しているため、オスコネクターを抜き去ると同時にプッシャーを強制的に初期の位置にまで押し戻し、止血弁が再封止することにより止血機能が発現し、カテーテル基とカテーテルチューブとの導通状態が遮断される。また前記プッシャーが前記プッシャー受部と係合する環状突起を有することにより、他に特段の抜け止め手段を備えることなく前記プッシャーが抜け止めされる。さらに前記カテーテルチューブと前記止血弁と前記プッシャーとはこの順で前記カテーテル基内に先端側から後端側へ整列していることにより、前記カテーテル基の後方から接続されたオスコネクターによって容易に前記プッシャーを押し込むことができ、以って前記止血弁の開閉操作が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る留置用カテーテルの第1実施例(穿刺時)を示す説明図である。
【図2】同留置用カテーテルの内針抜去時(止血状態)を示す説明図である。
【図3】同留置用カテーテルの回路オスコネクター接続時(導通状態)を示す説明図である。
【図4】同留置用カテーテルの回路オスコネクター抜去時を示す説明図である。
【図5】本発明に係る留置用カテーテルの第2実施例(穿刺時)を示す説明図である。
【図6】同留置用カテーテルの内針抜去時(止血状態)を示す説明図である。
【図7】同留置用カテーテルの回路オスコネクター接続時(導通状態)を示す説明図である。
【図8】同留置用カテーテルの回路オスコネクター抜去時(再止血状態)を示す説明図である。
【図9】本発明に係る留置用カテーテルの第3実施例(穿刺時)を示す説明図である。
【図10】同留置用カテーテルの内針抜去時(止血状態)を示す説明図である。
【図11】同留置用カテーテルの回路オスコネクター接続時(導通状態)を示す説明図である。
【図12】同留置用カテーテルの回路オスコネクター抜去時(再止血状態)を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明の第1実施例を図1乃至図4を参照しながら説明する。図中Aは、本発明に係る留置用カテーテルであり、この留置用カテーテルAは、図1に示すように、長手方向両端が開口された中空のカテーテル基1と、該カテーテル基1の先端側に連結されたカテーテルチューブ2と、前記カテーテル基1内の中腹部に配設された止血弁3と、該止血弁3の開閉操作をすべく前記カテーテル基内に摺動自在に配設されたプッシャー4とを備えている。
【0018】
カテーテル基1は、合成樹脂材等の適宜素材から筒状に成形されており、内周面に先端に向かうに連れて次第に狭くなるメスルアテーパー1aが形成されている。
【0019】
また、このカテーテル基1は、手技の際、同カテーテル基1内が透視できるように、透明若しくは半透明な素材で形成するのが良い。
【0020】
更に、カテーテルチューブ2は、ポリアミド樹脂等の適宜素材にて成形されており、基端側がカテーテル基1の内部と連通する先端管腔1b内に圧入されている。
【0021】
また、このカテーテルチューブ2の全部又は一部に、皮膚及び血管への刺入抵抗を小さくするための潤滑性コーティングを施しておくのが好ましい。
【0022】
更に、止血弁3は、合成樹脂材等の可撓性材料から断面逆コ字状に成形されており、前端面中央に弁孔スリット3aが形成されていると共に、後端開口側にプッシャー受部3bが形成されている。
【0023】
前記弁孔スリット3aは、プッシャー4が未接触の時に水密に閉弁し(止血状態)、同プッシャー4が貫通されることにより、前方に突出摺動すべく開弁しカテーテルチューブ2と導通される。
【0024】
また、前記プッシャー受部3bは、プッシャー4の外周を包持すべく外接されており、後述するプッシャー4の先端側に周設された環状突起4cと係合することにより、同プッシャー4を摺動可能かつ抜け止め状態に保持している。
【0025】
更に、止血弁3の外周には、エア抜溝3c、3cが形成されている。このエア抜溝3c、3cは、止血弁3の保持位置にあって、後述する縮径内腔部1cとメスルアテーパー1a内とを連通すべく形成されており、止血弁3が空気抵抗無く縮径内腔部1c内を円滑に摺動できるように空気抜きするものである。
【0026】
一方、プッシャー4は、内部通路を有する合成樹脂管等の適宜素材からなり、所定長さのプッシャー筒部4aと、該プッシャー筒部4aの後端側に内設されたテーパー状の拡径部4bと、前記プッシャー筒部4aの外周に突設された環状突起4cとを備えている。
【0027】
また、プッシャー筒部4aの先端側は、止血弁3の弁孔スリット3aに貫通し易いように先端側が細く面取りされており、前記止血弁3のプッシャー受部3bを介して摺動自在に支持されている。
【0028】
更に、拡径部4bは、同プッシャー4の内部通路に内針5を簡単に挿通できるようにテーパー状に拡径しており、また、メスルアーテーパー1aに内接することにより、プッシャー4のぐらつきを阻止し、カテーテルチューブ2と同心位置に整合案内する働きを有する。
【0029】
このように構成される本実施例の留置用カテーテルAは、まず、カテーテルチューブ2の先端から内針5の先端が突出した状態で、患者の身体に穿刺(刺針)されるものであり(図1参照)、同チューブ2を体内に刺し置いた状態で、内針5を抜去し(図2参照)、然る後、カテーテル基1の後端側から回路オスコネクター6を接続することでプッシャー4が押し込まれると共に、止血弁3の弁孔スリット3aを貫通した状態でカテーテルチューブ2に導通される(図3参照)。
【0030】
換言すれば、穿刺時(内針抜去前)は、止血弁3が、カテーテル基1内の縮径内腔部1cとの段差1dと環状突起1eに係止された状態(保持位置)で、内針5が、プッシャー4、弁孔スリット3aを貫通してカテーテルチューブ2の先端から針先5aを臨ませ(穿刺可能状態)、穿刺後(内針抜去時)は、止血弁3の弁孔スリット3aが弾性力で再封止(閉弁)され、漏血を防止する(止血状態)。
【0031】
次いで、カテーテル基1の後方から回路オスコネクター6を接続することで、プッシャー4が強制的に押し込まれながら止血弁3を貫通すると共に、止血弁3を前方のカテーテル基1内の突当位置1fで係止して同プッシャー4が同位置にとどまるため、回路オスコネクター6を抜いても止血機能は発現することはなく、カテーテル基1とカテーテルチューブ2との導通状態が維持されるのである(導通状態)。
【0032】
次に、本発明に係る留置用カテーテルの第2実施例を図5乃至図8を参照しながら説明する。尚、理解を容易にするため、前述した第1実施例と同一部分は同一符号で示し、構成の異なる処のみを新たな番号を付して以下に説明する。
【0033】
前記プッシャー4を止血弁3から遠ざかる方向へ付勢せしめるコイルスプリング(弾性部材)7を備えている。このコイルスプリング7は、止血弁3とプッシャー4との間に介在されている。
【0034】
このように構成される本実施例の留置用カテーテルBは、カテーテル基1の後方から回路オスコネクター6を接続することで、プッシャー4がコイルスプリング7の付勢力に抗して強制的に前方に押し込まれながら止血弁3を貫通すると共に、止血弁3を前方のカテーテル基1内の突当位置1fで係止して同プッシャー4を同位置にとどめ、カテーテル基1とカテーテルチューブ2とを導通状態に維持せしめる(図7参照)。
【0035】
次いで、回路オスコネクター6を抜き去ると同時に、プッシャー4がコイルスプリング7の撥條力で強制的に初期の位置にまで押し戻され、止血弁3が再封止することにより止血機能が発現し、カテーテル基1とカテーテルチューブ2との導通状態が確実に遮断されるのである(図8参照)。
【0036】
次に、本発明に係る留置用カテーテルの第3実施例を図9乃至図12を参照しながら説明する。尚、理解を容易にするため、前述した第1実施例と同一部分は同一符号で示し、構成の異なる処のみを新たな番号を付して以下に説明する。
【0037】
前記コイルスプリング7に代えて、蛇腹(弾性部材)8を備えている。この蛇腹8は、止血弁3と一体に形成された筒状の蛇腹からなり、プッシャー4を後方に付勢せしめるべく止血弁3とプッシャー4との間に介在されている。
【0038】
尚、本発明の留置用カテーテルA乃至Cは、本実施例に限定されることなく、本発明の目的の範囲内で自由に設計変更し得るものであり、本発明はそれらの全てを包摂するものである。例えば、本実施例では、弾性部材にコイルスプリング7,蛇腹8を使用しているが、これに限定されることなく、止血弁3そのものを弾性力のある例えば、ゴム等の伸縮性素材で形成したり、その他、板バネ等の伸縮手段を採用しても良い。
【0039】
(発明の効果)
本発明は上述のように構成され、先端および後端を有し、前記後端側が前記後端の外部から挿入されるオスコネクターを受容して接続すべく構成された構造を有する中空のカテーテル基と、前記カテーテル基の前記先端に連結されたカテーテルチューブと、前記カテーテル基内に配設された可撓性を有する止血弁と、先端および後端を有し、内部通路に内針を挿通でき、かつ、前記オスコネクターと接続して前記止血弁に対して押し込まれるべく構成された構造を有し、前記止血弁の開閉操作をすべく前記カテーテル基内に摺動自在に配設された中空のプッシャーとを備え、前記プッシャーの外周を包持するプッシャー受部を有することによって、穿刺時(内針抜去前)は、内針が、プッシャー、止血弁を貫通してカテーテルチューブの先端から針先を臨ませ(穿刺可能状態)、穿刺後(内針抜去時)は、止血弁が再封止(閉弁)されて漏血を防止すると共に(止血状態)、カテーテル基の後方からオスコネクターを接続することで、プッシャーが止血弁を貫通して前方位置で係止し、同プッシャーが同位置にとどまるため、オスコネクターを抜いても止血機能は発現することはなく、カテーテル基とカテーテルチューブとの導通状態が維持されるため、止血弁を備えながら従来の手技を変えることなく、また、操作性を殆ど損ねない留置用カテーテルを提供できるものである。
【0040】
また、前記止血弁は、前記プッシャーの外周を包持するプッシャー受部を有することによって、止血弁とプッシャーとを一体的に組み付けし得ることとなる。
【0041】
また、前記カテーテル基の内周面にメスルアテーパーを有することにより、オスコネクターのオスルアテーパーとの接続がなし易くなると共に、同オスコネクターの押圧力に応じて両テーパー面(合わせ面)の密着性(気密性)が増すため、両部材(カテーテル基とオスコネクター)の安易な抜け落ちが阻止できると共に、導通状態での両部材間からの意に反した漏血や血液感染等の危惧をも防止できるため、留置針としての安全性及び商品価値を更に高めることができるといった効果を奏する。
【0042】
更に、前記止血弁が、エア抜溝を備えることによって、カテーテル基内を空気抵抗無く移動できるといった効果を奏するものである。
【0043】
また、前記プッシャーが、前記カテーテル基の長手方向に相対的に移動可能な状態で前記止血弁に嵌装されていることにより、止血弁との必要以上の遊離が阻止できるため、無駄なく、正確に止血弁の開閉操作ができるといった効果を奏するものである。
【0044】
更に、前記止血弁は、少なくともプッシャーの先端側を摺動自在に支持するためのプッシャー受部を設けてなることによって、プッシャーと一体的に組み付けできるといった効果を奏するものである。
【0045】
また、前記プッシャーを前記止血弁から遠ざかる方向へ付勢せしめる、スプリング、蛇腹、ゴムおよび板バネよりなる群から選択されたいずれかの弾性部材を備えることによって、オスコネクターを抜き去ると同時にプッシャーが強制的に初期の位置にまで押し戻され、止血弁が再封止されるため、止血機能が発現し、カテーテル基とカテーテルチューブとの導通状態が確実に遮断できるといった効果を奏するものである。
【0046】
このように本発明は、内針を抜去した際、カテーテル基からの漏血を防ぐことができると共に、オスコネクターを接続する際の抵抗感を極力小さくすることを可能にした、操作性の良い留置用カテーテルを提供できるものであり、また、構成が単純であるため大量生産に適し、価格も低廉なものとして需要者に提供できるなど、本発明を実施することはその実益的価値が甚だ大である。
【符号の説明】
【0047】
1 カテーテル基
1a メスルアテーパー
1b 先端管腔
1c 縮径内腔部
1d 段差
1e 環状突起
1f 突当位置
2 カテーテルチューブ
3 止血弁
3a 弁孔スリット
3b プッシャー受部
3c エア抜溝
4 プッシャー
4a プッシャー筒部
4b 拡径部
4c 環状突起
5 内針
5a 針先
6 回路オスコネクター
6a オスルアテーパー
7 コイルスプリング
8 蛇腹

【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端および後端を有し、前記後端側が前記後端の外部から挿入されるオスコネクターを受容して接続すべく構成された構造を有する中空のカテーテル基と、
前記カテーテル基の前記先端に連結されたカテーテルチューブと、
前記カテーテル基内に配設された可撓性を有する止血弁と、
先端および後端を有し、内部通路に内針を挿通でき、かつ、前記オスコネクターと接続して前記止血弁に対して押し込まれるべく構成された構造を有し、前記止血弁の開閉操作をすべく前記カテーテル基内に摺動自在に配設された中空のプッシャーとを備え、
前記止血弁は、前記プッシャーの外周を包持するプッシャー受部を有する、
ことを特徴とする留置用カテーテル。
【請求項2】
請求項1に記載の留置用カテーテルにおいて、
前記カテーテル基は、内周面にメスルアテーパーを有する、
ことを特徴とする留置用カテーテル。
【請求項3】
請求項1乃至2の何れかに記載の留置用カテーテルにおいて、
前記止血弁は、エア抜溝を備えてなる、
ことを特徴とする留置用カテーテル。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れかに記載の留置用カテーテルにおいて、
前記プッシャーは、前記カテーテル基の長手方向に相対的に移動可能な状態で前記止血弁に嵌装されている、
ことを特徴とする留置用カテーテル。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れかに記載の留置用カテーテルにおいて、
前記プッシャーを前記止血弁から遠ざかる方向へ付勢せしめる、スプリング、蛇腹、ゴムおよび板バネよりなる群から選択されたいずれかの弾性部材を備えている、
ことを特徴とする留置用カテーテル。
【請求項6】
請求項5に記載の留置用カテーテルにおいて、
前記弾性部材は、前記止血弁に一体化してある、
ことを特徴とする留置用カテーテル。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れかに記載の留置用カテーテルにおいて、
前記プッシャーの後端部に位置する拡径部は、前記カテーテル基に内接している、
ことを特徴とする留置用カテーテル。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れかに記載の留置用カテーテルにおいて、
前記プッシャーは、前記止血弁から抜け止めされるべく前記プッシャー受部と係合する環状突起を有する、
ことを特徴とする留置用カテーテル。
【請求項9】
請求項1乃至8の何れかに記載の留置用カテーテルにおいて、
前記カテーテルチューブと前記止血弁と前記プッシャーとはこの順で前記カテーテル基内に先端側から後端側へ整列している、
ことを特徴とする留置用カテーテル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−115630(P2011−115630A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−56715(P2011−56715)
【出願日】平成23年3月15日(2011.3.15)
【分割の表示】特願2001−68570(P2001−68570)の分割
【原出願日】平成13年3月12日(2001.3.12)
【出願人】(596183321)メディキット株式会社 (8)
【Fターム(参考)】