略直線状の導管を介して物体内へ導入されて所定の曲線状構造を形成する装置及びこの装置の使用方法
【課題】略直線状の導管を介して物体内へ導入されて所定の曲線状構造を形成する装置を提供する。
【解決手段】複数の区画12からなる細長い部品10を備え、細長い部品は複数の区画の隣接するもの同士の間でヒンジ14による相互接続か、或いは可撓性による相互接続を形成し、細長い部品が断面形状を有し、装置は、さらに、細長い部品の断面形状と緊密に噛合う形状を備えた導管を備え、複数の区画及びヒンジによる相互接続か、或いは可撓性による相互接続は、細長い部品が導管内で制限されるとき、相互接続部が、一つの区画から次の区画へ圧縮力を伝えて、これにより細長い部品が押し出されて導管を介して前進することを可能とし、細長い部品が導管内で制限されないとき、相互接続により、次の区画に対して一つの区画が屈曲することが可能とされ、これにより細長い部品が屈曲した状態とされ、屈曲した状態が、細長い部品の所定の曲線状構造に対応する。
【解決手段】複数の区画12からなる細長い部品10を備え、細長い部品は複数の区画の隣接するもの同士の間でヒンジ14による相互接続か、或いは可撓性による相互接続を形成し、細長い部品が断面形状を有し、装置は、さらに、細長い部品の断面形状と緊密に噛合う形状を備えた導管を備え、複数の区画及びヒンジによる相互接続か、或いは可撓性による相互接続は、細長い部品が導管内で制限されるとき、相互接続部が、一つの区画から次の区画へ圧縮力を伝えて、これにより細長い部品が押し出されて導管を介して前進することを可能とし、細長い部品が導管内で制限されないとき、相互接続により、次の区画に対して一つの区画が屈曲することが可能とされ、これにより細長い部品が屈曲した状態とされ、屈曲した状態が、細長い部品の所定の曲線状構造に対応する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、略直線状の導管を介して物体内へ導入されて所定の曲線状構造を形成する装置及びこの装置の使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な種類の物体内へ直線状の部品を挿入する技術が知られている。一般的な機械工学の分野では、このような技術として、各種のドリル、釘、ねじ、及びロッドを、壁、家具などの物品、その他の無生物体、木などの植物体、動物体又は人体といった構造へ挿入する技術が知られている。特定の場合、直線状の部品は、この部品が物体から脱落することを防止する固定構造又は機構を備える。
【0003】
一定の曲率を有する部品を物体内に挿入する技術もまた、特定の分野において知られている。この種の例として、皮革の縫製に用いられる湾曲した針や、医療用途のための弓状ドリルが挙げられる。この弓状ドリルは、例えば、特許文献1及び特許文献2に記載されている。これらの構造は物体内の非常に浅い深さに対してしか使用できず、また一般的に物体内において180度以下の弧を描いて、物体内に通路を形成する。
【0004】
第3の用途として、主に医療用内視鏡の分野において、可動型部品を物体内に導入する技術が知られている。可動型の可撓性部品を直線状の導管を通して導入し、物体内で屈曲させ、所望の位置まで案内することにより、物体内の任意の所望の深さまでこの部品を到達させることができる。しかしながら、これらの部品は、物体内で特定の曲線状構造をなし、通常約180度以上の角度で曲がることはない。多くの場合可動型部品は、過度の屈曲による構造的な損傷を防止するために、その機械的な屈曲限界に至らないように保たれる。
【0005】
上記の技術はいずれも、直線状の導管を通して物体内に曲線状の構造を導入し、この物体内においてこの曲線状の構造に所定の曲線状構造の配備位置を取らせ、特にこの所定の曲線状構造を180度以上回転させ、その曲率を変化させる及び/又は三次元(非平面状)の形状を取らせることはできない。
したがっ、略直線状の導管を介して物体内へ導入されて所定の曲線状構造を形成する
装置及びこの装置の使用方法に対する必要性が生じている。
【0006】
【特許文献1】米国特許第4,312,337号公報
【特許文献2】米国特許第4,941,466号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、略直線状の導管を介して物体内へ導入されて所定の曲線状構造を形成する装置及びこの装置の使用方法である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によると、略直線状の導管を介して物体内に導入されて該物体内で所定の曲線状構造を形成するための装置であって、該装置が、主に複数の区画からなる細長い部品を備え、該細長い部品が連続して相互に接続されて、隣接する区画間に有効なヒンジ部を形成し、前記区画と前記有効なヒンジ部が、(a)前記細長い部品が略直線状の状態に制限されるとき、前記有効なヒンジ部が、各区画から次の区画へ圧縮力を伝えて、これにより前記細長い部品が押し出されて前記略直線状の導管を通って前進することを可能とし、(b)前記細長い部品が略直線状の状態に制限されないとき、前記ヒンジ部により、前記区画それぞれの少なくとも一つの当接表面が、隣接する区画それぞれの少なくとも一つの対応する当接表面と当接するまで、隣接する区画に対して各区画が屈曲することが可能とされ、これにより前記細長い部品が完全に屈曲した状態とされ、該完全に屈曲した状態が、前記細長い部品の所定の曲線状構造に対応することを特徴とする装置が提供される。
【0009】
本発明の別の実施形態によると、前記所定の曲線状の構造が、少なくとも180度の中心角をもって弓状に湾曲可能である。
本発明の別の実施形態によると、前記所定の曲線状の構造が、第1の曲率半径を有する第1の領域と、該第1の曲率半径より大きい第2の曲率半径を有する第2の領域を備える。
本発明の別の実施形態によると、前記所定の曲線状構造が、円錐形の弦巻状である。
本発明の別の実施形態によると、前記所定の曲線状構造が、弦巻状構造を含む。
本発明の別の実施形態によると、前記区画の側面が、相補的なロック構造を有し、前記弦巻状構造の連続する巻回部分が横方向に移動することが防止される。
本発明の別の実施形態によると、前記所定の曲線状構造が、(a)平面状の渦巻状部を形成する第1の部分と、(b)弦巻状部を形成する第2の部分を備える。
本発明の別の実施形態によると、前記有効なヒンジ部のそれぞれが、隣接する区画の間を接続する可撓性材料の平らな接続部分により形成される。
【0010】
本発明の別の実施形態によると、前記平らな接続部分が、隣接する前記区画と一体的に形成される。
本発明の別の実施形態によると、全ての前記区画と全ての前記平らな接続部分が一体的に形成される。
本発明の別の実施形態によると、前記平らな接続部分のそれぞれが、前記区画を屈曲させるように弾性的に付勢されており、これにより前記細長い部品が前記完全に屈曲した状態となる傾向を有する。
【0011】
本発明の別の実施形態によると、前記各区画のそれぞれが、非中空の材料ブロックから形成される。
本発明の別の実施形態によると、前記区画のそれぞれが、中空の材料ブロックから形成される。
本発明の別の実施形態によると、前記細長い部品が面取りされた先端部を更に備え、前記細長い部品が媒体中を前進するとき、前記細長い部品が前記完全に屈曲した状態まで屈曲しやすくなるような角度を前記面取りされた先端部が有する。
本発明の別の実施形態によると、前記区画のそれぞれの前記当接表面と、それぞれの隣接する一つの前記区画が有する対応する当接表面が、連結構造を有し、これにより、前記完全に屈曲した状態において、前記連結構造が前記細長い部品のねじれ変形に抗することを補助する。
本発明の別の実施形態によると、前記物体に対して前記細長い部品を固定する少なくとも1つの固定部を更に備え、前記細長い部品がインプラントの少なくとも一部をなす。
本発明の別の実施形態によると、前記細長い部分の先端部に取付けられるドリル用部品を更に備える。
本発明の別の実施形態によると、前記細長い部品の長さが、前記細長い部品の横方向の寸法のそれぞれと比べて少なくとも10倍以上大きい。
【0012】
本発明によると、物体内で装置の所定の曲線状構造を用いるための方法であって、(a)略直線状の導管を介して物体内に導入されて該物体内で所定の曲線状構造を形成するための装置を用意する段階であって、該装置が、主に複数の区画からなる細長い部品を備え、該細長い部品が連続して相互に接続されて、隣接する区画間に有効なヒンジ部を形成し、前記区画と前記有効なヒンジ部が、(i)前記細長い部品が略直線状の状態に制限されるとき、前記有効なヒンジ部が、各区画から次の区画へ圧縮力を伝えて、これにより前記細長い部品が押し出されて前記略直線状の導管を通って前進することを可能とし、(ii)前記細長い部品が略直線状の状態に制限されないとき、前記ヒンジ部により、前記区画それぞれの少なくとも一つの当接表面が、隣接する区画それぞれの少なくとも一つの対応する当接表面と当接するまで、隣接する区画に対して各区画が屈曲することが可能とされ、これにより前記細長い部品が完全に屈曲した状態とされ、該完全に屈曲した状態が、前記細長い部品の所定の曲線状構造に対応する段階と、(b)略直線状の導管に沿って、前記細長い部品を前記物体内へ導入し、前記細長い部品を前記略直線状の状態に制限する段階と、(c)前記物体内において、前記細長い部品に前記所定の曲線状構造を形成させる段階を備えることを特徴とする方法が提供される。
【0013】
本発明の別の実施形態によると、前記所定の曲線状構造が、前記細長い部品が弓状の経路を進み、前記細長い部品の先端部が前記物体から再び出ることを可能とする構造である。
本発明の別の実施形態によると、前記細長い部品が、中実の先端部を備えるように形成され、前記細長い部品が前記物体を通って進むとき前記物体を構成する材料を移動及び圧縮させる。
本発明の別の実施形態によると、前記細長い部品が中空の先端部を備えるように形成され、該中空の先端部が前記物体から材料のサンプルを切断する。
本発明の別の実施形態によると、少なくとも1つの領域において前記物体の一部に対して前記細長い部品を固定する段階を更に備える。
本発明の別の実施形態によると、前記所定の曲線状構造が略弦巻状の部分を含む。
【0014】
本発明の別の実施形態によると、前記物体が人体であり、前記細長い部品が、前記人体の前記脊柱内へ導入される。
本発明の別の実施形態によると、前記人体の少なくとも2つの椎骨を通して、前記細長い部品が導入される。
本発明の別の実施形態によると、前記細長い部品が、第1の椎骨を通して導入され、前記細長い部品の先端部が第2の椎骨から出る。
本発明の別の実施形態によると、前記細長い部品が、4つの皮質骨領域と噛合う。
本発明の別の実施形態によると、前記細長い部品が、第1の椎骨の椎弓根を通して導入され、隣接する複数の椎骨を通過する略弦巻状の補強構造を形成する。
本発明の別の実施形態によると、2つの隣接する椎骨の少なくとも一部の間の間隔を増大させるように前記細長い部品が導入される。
【0015】
本発明の別の実施形態によると、前記所定の曲線状の形状が複数の巻回部分を有し、前記巻回部分それぞれが、その中心軸が前記脊柱の延出方向に対して略直角となるように配置される。
本発明の別の実施形態によると、前記所定の曲線状の形状が徐々に拡径した複数の巻回部分を有し、これにより前記細長い部品の導入の間に、前記2つの隣接する椎骨の少なく
とも一部の間の間隔が、段階的に変化する。
本発明の別の実施形態によると、前記所定の曲線状の形状が、複数の積み重ねられた巻回部分を有し、該巻回部分のそれぞれが略軸方向の平面内に存在し、これにより前記細長い部品の導入の間に、前記2つの隣接する椎骨の少なくとも一部の間の間隔が段階的に変化する。
本発明の別の実施形態によると、前記細長い部品が横方向の連結構造を有するように形成され、これにより前記複数の積み重ねられた巻回部分の連続する巻回部分が相互に噛合わされて、略円柱状の積層体が維持される。
本発明の別の実施形態によると、前記細長い部品が、略平面状の渦巻状構造を形成する先端部を備える。
本発明の別の実施形態によると、前記細長い部品が前記隣接する椎骨間に同側的に導入され、前記細長い部品が、前記隣接する椎骨間の脊柱側弯症によるずれを少なくとも部分的に補正する。
【0016】
本発明の別の実施形態によると、前記細長い部品が単一の椎骨内に導入され、前記所定の曲線状構造が前記椎骨の有効高さを増大させる。
本発明の別の実施形態によると、前記所定の曲線状構造が少なくとも部分的に閉じた囲いを形成する複数の巻回部分を備え、前記方法が更に前記少なくとも部分的に閉じた囲い内に所定量の生体適合性構造充填材を導入する段階を更に備える。
本発明の別の実施形態によると、前記所定の曲線状構造が少なくとも部分的に閉じた囲いを形成する複数の巻回部分を備え、前記方法が更に前記少なくとも部分的に閉じた囲い内に所定量の治療剤を導入する段階を更に備える。
本発明の別の実施形態によると、前記細長い部品を導入する段階の後に、前記細長い部品を前記椎骨のうちの一つの椎弓根に対して直接的或いは間接的に固定することにより、前記細長い部品の位置決めを行う段階を更に備える。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の内容にしたがって構築並びに動作されるとともに略直線状の導管を介して物体内に導入されて所定の曲線状構造を形成する装置の第1の実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1の装置が直線状の導管に沿って挿入される様子を示す側面図である。この導管は図面の明瞭さのために切断された状態で示されている。
【図3】直線状の導管を超えて延出して所定の曲線状構造を形成した装置を示す図2と同様の図である。
【図4】本発明の内容にしたがって構築並びに動作されるとともに略直線状の導管を介して物体内に導入されて所定の曲線状構造を形成する装置の第2の実施形態を示す斜視図である。この装置は中空の中央チャネルを備える。
【図5】図4の装置が直線状の導管に沿って挿入される様子を示す側面図である。この導管は図面の明瞭さのために切断された状態で示されている。
【図6】直線状の導管を超えて延出して所定の曲線状構造を形成した装置を示す図5と同様の図である。
【図7】本発明の内容にしたがって構築並びに動作されるとともに略直線状の導管を介して物体内に導入されて所定の曲線状構造を形成する装置の第3の実施形態を示す斜視図である。この装置は断面円状の形状を備える。
【図8】本発明の内容にしたがって構築並びに動作されるとともに略直線状の導管を介して物体内に導入されて所定の曲線状構造を形成する装置の第4の実施形態を示す斜視図である。この装置は断面半円状の形状を備える。
【図9A】本発明の内容にしたがって構築並びに動作されるとともに略直線状の導管を介して物体内に導入されて所定の曲線状構造を形成する装置の第5の実施形態を示す斜視図である。この装置は、隣接する区画の間に斜めの有効なヒンジ部を備える。
【図9B】図9Aの装置を示す斜視図である。
【図10】本発明の装置をその所定の曲線状構造を形成した状態で示す図9Aと同様の図である。
【図11】本発明の内容にしたがって構築並びに動作されるとともに略直線状の導管を介して物体内に導入されて所定の曲線状構造を形成する装置の第6の実施形態を示す斜視図である。この装置は断面半円状の形状を備える。この装置は、第1の曲率半径を有する所定の曲線状構造を形成する第1の領域と、第2の曲率半径を有する所定の曲線状構造を形成する第2の領域を備える。
【図12A】直線状の導管に沿って挿入される3つの段階における図11の装置を示す側面図である。この導管は図面の明瞭さのために切断されている。
【図12B】直線状の導管に沿って挿入される3つの段階における図11の装置を示す側面図である。この導管は図面の明瞭さのために切断されている。
【図12C】直線状の導管に沿って挿入される3つの段階における図11の装置を示す側面図である。この導管は図面の明瞭さのために切断されている。
【図13】本発明の内容にしたがって構築並びに動作されるとともに略直線状の導管を介して物体内に導入されて所定の曲線状構造を形成する装置の第7の実施形態を示す斜視図である。この装置は、円錐形の弦巻形状に対応する所定の形状を有する。
【図14】本発明の内容にしたがって構築並びに動作されるとともに略直線状の導管を介して物体内に導入されて所定の曲線状構造を形成する装置の第8の実施形態を示す斜視図である。この装置は、平面状の渦巻状部と閉じた円筒状の弦巻状部の両方を含む所定の曲線形状を有する。
【図15A】本発明に係る装置の一部を示す部分概略斜視図であり、本発明の装置の隣接する区画間の連結部の一つの形態を示している。本発明の装置は直線状の状態で示されている。
【図15B】本発明に係る装置の一部を示す部分概略側面図であり、本発明の装置の隣接する区画間の連結部の一つの形態を示している。本発明の装置は曲線状の状態で示されている。
【図16A】本発明に係る装置の一部を示す部分概略斜視図であり、本発明の装置の隣接する区画間の連結部の別の形態を示している。本発明の装置は中実の構造を有する。
【図16B】本発明に係る装置の一部を示す部分概略斜視図であり、本発明の装置の隣接する区画間の連結部の別の形態を示している。本発明の装置は中空の構造を有する。
【図17A】本発明に係る装置の等角切取り図であり、閉じた弦巻形状に対応する所定の曲線形状を有する隣接する巻回部分の間の連結部の形態を示す。
【図17B】本発明に係る装置の等角切取り図であり、閉じた弦巻形状に対応する所定の曲線形状を有する隣接する巻回部分の間の連結部の形態を示す。
【図18A】所定の曲線形状をなした本発明に係る装置の概略部分側面図であり、任 意の曲線形状に用いられるヒンジによる連結部を示す。
【図18B】直線状の形状をなした本発明に係る装置の概略部分側面図であり、任意の曲線形状に用いられるヒンジによる連結部を示す。
【図19A】本発明の内容にしたがった装置の更に別の実施形態において用いられる 各区画の概略斜視図である。
【図19B】本発明の内容にしたがった装置の更に別の実施形態において用いられる各区画の長手方向断面図である。
【図19C】本発明の内容にしたがった装置の更に別の実施形態において用いられる 各区画の端面図である。
【図19D】図19A乃至図19Cの複数の区画から形成される装置の概略長手方向断面図である。本発明の装置は直線状の状態で示されている。
【図19E】図19A乃至図19Cの複数の区画から形成される装置の概略長手方向断面図である。本発明の装置は曲線状の状態で示されている。
【図20A】本発明の内容にしたがって構築され動作可能とされるドリル用アセンブリの構成要素を示す概略側面図である。
【図20B】組み立てた状態で図20Aのドリル用アセンブリの構成要素を示す概略側面図である。
【図20C】図20Bのドリル用アセンブリを示す概略断面図である。
【図21A】図20Aのドリル用アセンブリの動作を示す直角方向の概略側面図である。
【図21B】図20Aのドリル用アセンブリの動作を示す直角方向の概略側面図である。
【図22A】4つの皮質骨接合を用いた後側の頚部骨固定のための本発明の一つの実施形態を示す概略図である。
【図22B】4つの皮質骨接合を用いた後側の頚部骨固定のための本発明の一つの実施形態を示す概略図である。
【図22C】4つの皮質骨接合を用いた後側の頚部骨固定のための本発明の一つの実施形態を示す概略図である。
【図23A】4つの皮質骨接合を用いた前側の頚部骨固定のための本発明の一つの実施形態を示す概略図である。
【図23B】4つの皮質骨接合を用いた前側の頚部骨固定のための本発明の一つの実施形態を示す概略図である。
【図23C】4つの皮質骨接合を用いた前側の頚部骨固定のための本発明の一つの実施形態を示す概略図である。
【図24】椎間板の補強のための本発明の一つの実施形態を示す概略図である。
【図25A】椎間板の補強のための本発明の一つの実施形態を示す概略側面図である。
【図25B】椎間板の補強のための本発明の一つの実施形態を示す概略前面図である。
【図25C】椎間板の補強のための本発明の一つの実施形態を示す概略軸方向図である。
【図26A】調節可能に高さの回復が可能な椎間板代替物としての本発明の一つの実施形態を示す概略側面図である。
【図26B】図26Aの線B−Bに沿った軸方向断面図である。
【図26C】図26Aの線C−Cに沿った軸方向断面図である。
【図27A】本発明に係る低侵襲性処置として脊椎側彎症の段階的矯正を行う間の2つの隣接する椎骨を示す概略背面図である。
【図27B】本発明に係る低侵襲性処置として脊椎側彎症の段階的矯正を行う間の2つの隣接する椎骨を示す概略背面図である。
【図27C】本発明に係る低侵襲性処置として脊椎側彎症の段階的矯正を行う間の2つの隣接する椎骨を示す概略背面図である。
【図28A】本発明に係る多区画の椎体補強の変更形態を示す概略矢状断面図である。
【図28B】本発明に係る多区画の椎体補強の変更形態を示す概略矢状断面図である。
【図28C】本発明に係る多区画の椎体補強の変更形態を示す概略矢状断面図である。
【図29A】健康な椎骨を有する脊柱を示す概略矢状断面図である。
【図29B】破壊された椎骨を示す図29Aと同様の図である。
【図29C】図29Bの脊柱を示す図であり、本発明の内容にしたがった脊椎の高さの回復を概略的に示している。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しつつ本発明を説明するが、以下の説明は例示的にのみなされるものである。
本発明は、略直線状の導管を介して物体内へ導入されて所定の曲線状構造を形成する装置及びこの装置の使用方法である。
図面と以下の説明を参照することにより、本発明に係る装置及び方法の原理及び動作を、よりよく理解できる。
例示のために、本発明に係る様々な装置を示す。これらの装置は共通の発明概念に基づくが、特に、物体内へ挿入されたときにこれら装置がなす特定の所定の曲線状構造などの特定の形態において異なる。これら装置は、装置自体の構造によりその構造的特徴を定められ、その特性によりその機械的特徴を定められるが、その使用は特定の技術又は特定の用途に限定されない。これら装置は図1乃至図19Eを参照して以下に説明される。続いて、図20A乃至図29Cを参照して、特に人体の医療的処置の分野においてこれらの装置を用いる少数の例示的用途を示す。
【0019】
ここで図面を参照する。図1乃至図3は、本発明の内容にしたがって構築並びに動作される装置の第1の基本的な図である。この装置は、略直線状の導管(20)を通して物体内に挿入され、この物体内で所定の曲線状構造をなす。
【0020】
概して、本発明の各実施形態に係る装置は、主に複数の区画(12)からなる細長い部品(10)を備える。複数の区画(12)は連なって相互に接続し、隣接する区画(12)との間に有効なヒンジ部(14)を形成する。区画(12)と有効なヒンジ部(14)は次のように構成される。(a)細長い部品(10)が略直線状の状態に制限される場合、有効なヒンジ部(14)は、各区画(12)から次の区画へ圧縮力を伝える。この結果押し進められた細長い部品(10)が、略直線状の導管(20)を通って前進する。(b)細長い部品(10)が略直線状の状態に制限されない場合、有効なヒンジ部(14)は、各区画の少なくとも1つの当接表面(16)が、各隣接する区画の対応する当接表面(18)と当接するまで、区画(12)のそれぞれが、隣接する区画(12)に対して屈曲することを可能とする。当接表面(16)が当接表面(18)と当接した状態において、細長い部品(10)は最大限屈曲した状態となる。この最大限屈曲した状態は、細長い部品の所定の曲線状構造と対応する。
【0021】
このように形成される本発明の装置は、任意の所望の深さまで物体内に挿入可能となる。これは、この装置が、初め略直線状の経路を進んだ後、物体内で展開して、所定の曲線状構造を形成するからである。この曲線状構造において、隣接する区画が有効なヒンジ部を介して相互に接続されるとともに、少なくとも1つの追加的な表面を介して隣接することにより、相当な機械的安定性が得られる。したがって、最終形状をなした上記の細長い部品の断面の寸法に対応する寸法を有する挿入開口部を介して、各種の曲線状又は回旋状の構造を、一時的又は永久的に導入することが可能となる。
【0022】
したがって、本発明の装置は幅広い用途に使用可能である。本発明の装置の用途としては例えば、これには限定されないが、物体内において曲線状のチャネルを形成する、物体からの材料サンプルを切り出す、物体内において曲線状の固定用構造を提供する、物体の2つの部分を結合する、物体の2つの部分を一線上に整列させる、物体内において補強用構造を提供する、物体の1つの領域に充填する、及び物体の複数の部分の間の間隔を拡大するなどの用途が挙げられる。
【0023】
いくつかの方法で、本発明の装置を、略直線状の形態から所定の曲線状の形態に変形させることができる。第1の組の実施形態によると、細長い部品(10)を弾性的に付勢して所定の曲線状の状態に屈曲させる。このことは、有効なヒンジ部(14)を予め付勢すること、或いは補助的なばね又はその他の弾性部品(図示せず)を付加することにより可能となる。別の組の実施形態において、細長い部品(10)の構造として、部品(10)の物体内への挿入時の機械的抵抗により装置がその曲線状の状態まで屈曲するような構造が選択される。上記の方法のいずれかに従うと、装置の屈曲は漸進的であり、装置が供給導管(20)を超えて伸長される間、継続的に起こる。更に別の方法によると、1つ若しくはそれ以上の引き紐といった選択的に操作可能な機構(図示せず)を用いることにより、所定の曲線形態への屈曲を使用者が選択的に引き起こすことが可能となる。
【0024】
既に述べたように、本発明は幅広い使用分野において使用可能である。例えば、これには限定されないが、建築、採掘、工業的用途、木工、及び医学の分野で本発明を使用可能である。したがって、その内部で装置が用いられる「物体(body)」とは、任意の物体であってもよく、例えばこれには限定されないが、人体、動物体、木、その他の生物学的材料、壁、家具、鉱物、及びその他の無生物を含む。本発明の装置の寸法、材料、及びその他の設計パラメータは、意図する用途に本発明の装置が適するものとなるように選択されなければならない。このような寸法、材料、及びその他の設計パラメータは、本発明の装置が使用される分野の当業者には明らかである。
【0025】
本発明の装置の具体的な実施形態の構造的特徴を説明する。図1に示すごとく、細長い部品(10)は、好ましくは断面矩形状の単一の細長いロッドからなる。このロッドには、一連の横方向のスロットが設けられ、これによりこの細長い部品は、区画(12)に分割されている。スロットの下に残った材料からなる比較的細い接続ブリッジにより、相互接続部が曲がりやすくなり、有効なヒンジ部(14)が形成される。図示のスロットは、区画(12)の傾斜した端面に対応するV字形状のスロットである。その他の形状のスロット、例えば、U字形状のスロット、矩形状のスロット、及びより複雑な形状のスロットを用いることもできる。
【0026】
以上で示した構造によると、本発明の装置の構造的特徴が、非常に単純で且つ容易に製造可能な方法で、すなわち、矩形状のロッドに適切な形状のスロットを適切な位置に形成することにより提供される。有効なヒンジ部(14)は、隣接する区画の間を相互に接続する可撓性材料からなる平面状の接続部として一体的に形成される。本明細書中において「平面状」との語は、断面形状に言及したもので、具体的には、ヒンジ部の有効軸に沿った断面の形状をいう。一体的なヒンジ部の厚さはその幅と比べてかなり小さいから、屈曲方向を定めることができる。一体的ヒンジ部の区画(12)の間に延設する部分は、相当の長さを有しても(以下で説明する特定の例を参照)、或いは最小限の長さを有しても(本実施形態を参照)よい。有効なヒンジ部(14)は好ましくは、意図した回動動作以外の隣接する区画(12)の相対的移動に対する抵抗を生み出すように形成される。これにより、細長い部品(10)の不測のねじれ変形を防止することができる。
【0027】
本発明の装置が、初期状態で直線状のロッドにスロットを切ることにより構築される場合、細長い部品の特性を変化させるような処理を更に行わない限り、負荷を受けない状態の細長い部品は直線状の形状をなす。ここで説明する特に好適な実施形態によると、細長い部品(10)の端部は、面取りされた先端部(22)を有する。面取りされた先端部(22)の角度は、細長い部品が媒体中を進む間、細長い部品が完全に屈曲した状態となるように定められる。特に、面取りされた先端部(22)は、スロットが切り込まれた面に先端エッジを備え、スロット面と反対の面に面取りされた表面を有することが好ましい。
この形状は、圧縮可能又は交換可能な媒体中を進むとき、屈曲して曲線経路を進みやすい。これにより、図3に示すように、細長い部品(10)が、供給用導管(20)を超えて前進する間に完全に屈曲した曲線形状まで徐々に屈曲することとなる。
【0028】
本発明の装置の寸法は、意図する用途と、必要とされる(形成される予定の)所定の曲線状構造に従って選択される。極端な場合として、地下トンネル又は海底トンネルの掘削においては、1メートル若しくはそれ以上の幅と高さを有する部品を使用できる。逆の極端な場合として、特定の繊細な医療上の用途においては、5ミリメートル以下の幅及び高さを有する細長い部品を使用できる。各種の家庭での用途や医療上の用途では、横方向の寸法が1乃至30mmが適切である。
【0029】
相対的な寸法に関して、細長い部品(10)は、その幅と高さの両方と比べて、その長さが相当に長いという意味において、「細長い」と表現されている。最も好ましくは、細長い部品(10)の長さは、細長い部品の横方向の寸法(高さと幅)のそれぞれと比べて少なくとも10倍以上大きい。好ましくは、本発明の装置は所定の曲線状構造をなすように形成される。この曲線状構造は、少なくとも180度以上の中心角をもって湾曲した部分を含み、多くの場合、1もしくはそれ以上の一回りした部分を通過する(下記のいくつかの例を参照)。
【0030】
また、本発明の装置に用いる材料として、意図する用途と、必要とされる機械的及びその他の特性にしたがって選択される任意の適切な材料を用いることができる。多くの用途では、各種の金属及び金属合金(合わせて金属材料という)が好適に使用される。いくつかの用途では、各種の樹脂及びその他のポリマー材料が好適に使用される。他の可能性として、これには限定されないが、合成材料とセラミック材料が挙げられる。医療上の用途においては、生体適合材料が用いられる。生体適合材料は通常、金属材料またはポリマー(例えば、PEEK)のいずれかからなる。
【0031】
「2次元(two−dimensional)」及び「平面状(planar)」との語は、図1乃至図8と、図11乃至図12Cに示すような特定の実施形態における所定の曲線状の構造のことを示すために用いられる。一方で、「3次元(three−dimensional)」及び「非平面状(non−planar)」との語は、図9A乃至図10、図13、及び図14に示すような特定の実施形態における所定の曲線状の構造のことを示すために用いられる。これらの語を用いて、生じた屈曲部の性質が分類される。すなわち、円又は平らな渦巻形状は「平面状」の形状であり、弦巻形状又は円錐形状は「非平面状」の形状である。当然のことながら、「平面状」の形状を有する形態であってもこの部品は幅を有するから、三次元空間を占める。
【0032】
図1乃至図3に示す例において、細長い部品(10)は中実のロッドから切り出されるから、区画(12)のそれぞれは、非中空の材料ブロックとして形成される。有効なヒンジ部(14)と、これと一体的に形成された区画(12)を一つの構造とすることは有益であると考えられるが、その他の形態の有効なヒンジ部(14)もまた本発明の範囲内に含まれるものとする。例として、第1の変更形態は、可撓性の細長い断片を装置の骨格構造として用いる。任意の適切な取付け技術により、この細長い断片に、区画(12)(互いに分離した複数のブロック)が取付けられる。この種の例は、以下で図19A乃至図19Eを参照しつつ説明される。第2の変更形態では、回動可能な相互連結ヒンジ部を用いて最初互いに分離している区画(12)を接続する。このヒンジ部は、ヒンジピンを有する種類であっても、有さない種類であってもよい。
【0033】
略直線状の導管(20)は任意の適切な導管であってよいが、好ましくは略直線状の形状をとったときに細長い部品(10)の外部形状と緊密に噛合うものを用いる。導管(20)は細長い部品(10)と同じ材料から形成されても、或いは意図する用途に適した任意の他の材料から形成されてもよい。更に、物体への挿入の第1期間中に細長い部品を略直線状の形状に制限するための構造の好適な例としては、導管(20)が挙げられるが、その他の形態も本発明の一般的な範囲内に含まれるものとする。したがって、例えば、中空の実施形態においては(図4乃至図6を参照して以下に説明するように)、細長い部品(10)の少なくとも一部を通って細長い部品(10)の中心に配置されたレールを用いると、このレールが細長い部品(10)の一部を直線状の形状に制限して、同様の効果が得られる。
【0034】
図4乃至図6は、本発明の装置の第2実施形態を示す。この形態は、図1乃至図3に示す形態と基本的に同様であるが、以下で詳細に説明する2つの点において異なる。
第1に、この実施形態において、スロットが矩形状のスロットとして形成されるので、隣接する区画の上端に沿ってのみ当接表面(16)及び(18)が生じる。この形態は、製造が容易であることに加えて、当接表面の間に曲線状構造の形成を妨げるような異物が存在することによる影響が小さいという利点を有する。一方で、この曲線状の構造は、隣接する区画の間に三角形状の横方向の開口部を生じる。このことは特定の用途においては望ましくないことがある。
【0035】
第2に、この形態は、中空のロッドから形成されるので、細長い部品(10)の各区画(12)は中空の材料ブロックとなる。結果として細長い部品(10)の中心部を通って形成されるチャネルは、幅広い機能に対して使用可能である。これら機能としては、これには限定されないが、物体から材料のサンプルを切り出す、物体から任意の体積の材料を掘り出す、細長い部品(10)を通して可撓性のツールを挿入して物体内のターゲット領域に到達させる、物体内のターゲット領域に任意の量の流体又はその他の材料を供給する、細長い部品(10)の末端に位置するドリル用又はその他のツールに対してドライブ・シャフトを提供する、物体内のターゲット領域へ又はターゲット領域から、照明及び/又は画像を中継する、セメントを充填して細長い部品(10)を変形後の形状で固定する、細長い部品(10)を他の材料で充填して、細長い部品(10)又は物体の周辺領域を所望の状態にするなどの機能が挙げられる。
【0036】
その他の全ての構成について、図4乃至図6の実施形態の構造及び機能は、上述の図1乃至図3の構造及び機能から類推することにより完全に理解できる。
【0037】
図7及び図8に示すように、細長い部品(10)は様々な異なる断面形状を有することができる。例として、図7に示す実施形態においては、細長い部品(10)は略円形の断面を有する。この場合、好ましくは有効なヒンジ部(14)は、隣接する区画(12)の間を架橋する円の弦材と対応する部分を残すことにより、一体的なヒンジ部として形成される。図8は、細長い部品(10)が略半円形である実施形態を示す。区画(12)を接続する有効なヒンジ部(14)は、細長い部品の平坦な面として形成されることが好ましい。
【0038】
図9A、図9B、及び図10は、本発明の装置の一つの実施形態を示す。この実施形態は基本的に図1乃至図3に示す実施形態と同様であるが、所定の曲線状構造が弦巻状である。この結果を得るために、隣接する区画(12)の間のスロットと、有効なヒンジ部(14)の軸は、細長い部品(10)の長さ方向に対して傾斜している。このことは、図9Aの平面図に最もよく示されている。図9Aにおいて角度αは、細長い部品(10)のさ方向に直角な線に対する有効なヒンジ部の軸の傾斜を表す。有効なヒンジ部(14)が
このような傾斜角度を有する結果として、所定の曲線状構造は、横方向の曲率成分を有することになり、図10に示すような弦巻形状をなす。傾斜角αを変化させることにより、弦巻のピッチを変化させることができる。これにより、この弦巻形状を、図示例のように開状態(すなわち弦巻形状の隣接する巻回部分の間に空間が存在する状態)と閉状態(すなわち隣接する巻回部分が互いに接している状態)のいずれにも設計することができる。
【0039】
図11と、図12乃至図12Cに示すごとく、本発明の装置の所定の曲線状構造は、細長い部品(10)の長さに沿って一定の曲率を有する一体的な構造である必要はない。例として、図11に示す細長い部品(10)は、第1の曲率半径R1を有する第1領域(24)と、第1の曲率半径R1より大きい第2の曲率半径R2を有する第2領域(26)を備えた所定の曲線状構造(図12C)を生み出す。この結果を得るために、領域(24)において、隣接する区画(12)の間に、より角度の大きい屈曲が生じ、及び/又は、区画の間隔がより近くなるように、領域(24)及び(26)の間で、区画(12)の大きさと間隔を異ならせてもよい。
【0040】
図12A乃至図12Cは、図11に示す装置が導管(20)から前進しながら屈曲していく様子を順に示している。細長い部品(10)の先端が、初めて導管(20)を超えて前進するとき、この先端は高さ寸法h1を有する。この高さ寸法h1は、本発明の装置が略直線状の構造をなした状態での寸法と略対応している。(説明の簡略化のために、図における上下の寸法を「高さ」という(しかしながら本発明の装置が任意の向きで使用可能であることは明らかである)。前進の間、領域(24)は、その所定の曲線状構造をなし始める。これにより、直径(すなわち高さ)h2を有する略円状の部分が形成される。h2は小さい曲率半径R1の2倍である。その後、細長い部品(10)が更に前進すると、領域(26)は導管(20)を超えて徐々に延出し、半径R2の円弧をなす。これにより、全体の高さは高さh3(R2の2倍)となる。全体的な結果として、徐々に開いた形状(本明細書中では渦巻状と称する)が得られる。例えば、細長い部品(10)に、更に小さい間隔で設けられた区画を備える第3の領域を形成して、曲率半径を更に拡大させていくことにより、この形状を連続させていくことができる。
【0041】
本発明の装置の有効な高さが徐々に増加すること、特に図12Bの高さh2から図12Cの高さh3への変化は、本発明の装置を、物体の一部を持ち上げるため、又は物体の2つの部分の間に間隔を開けるための機構として好適に使用可能なものとする。このような用途の例は以下で説明される。
【0042】
本明細書中において、「渦巻形状」との語は、口語的な意味で、内側/外側に渦を巻いた任意の形状のことをいい、幾何学的な渦巻形状に限定されない。幾何学的な渦巻形状は本明細書中においては「完全な渦巻形状」と称される。製造の容易さから、ここで説明されるような曲率半径を段階的に増加させることにより形成される渦巻形状が好適に用いられる。しかしながら、区画の大きさ及び/又は区画間の間隔を連続的に異ならせることにより得られる完全な渦巻形状に正確に近似した形状や、様々な屈曲を有する所望の輪郭を用いることも可能である。
【0043】
図13及び図14に示すごとく、図9A乃至図10を参照して上記で説明した横方向への連続の原理と、図11乃至図12Cを参照して上記で説明した曲率の変化の原理を組み合わせると、事実上無限の種類の三次元弦巻状構造を得ることができる。これらの構造において、曲率半径と軸方向への連続は、所望の具体的な用途にしたがって任意に選択される。図13及び図14は、これら原理を組み合わせた形態のうち特に重要な2つの例を示す。
【0044】
図13は、細長い部品(10)の所定の曲線状構造を概略的に示している。細長い部品(10)は円錐形の弦巻形状に形成されている。すなわち、細長い部品(10)は、軸方向に連続した一連の巻回部分からなり、これら巻回部分の曲率半径は連続的に増加している。上述の如く、曲率半径は、連続的に変化しても(すなわち隣接する区画の組ごとの間で異なる)或いは段階的に変化してもよい。段階的な変化としては、数個の区画ごとの変化、或いは一巻回部分内の90度又は180度ごとの変化が挙げられる。
【0045】
図14は、細長い部品(10)の先端部が、平面状の渦巻状部(30)(図12Cと同様)を形成し、細長い部品(10)の第2の部分が弦巻状部(32)を形成した更に好適な例を示す。この場合、弦巻状部(32)が閉じた弦巻形状であり、すなわち各巻回部分が隣接する巻回部分と接するように配置されている(「積み重ねられた巻回部分」と称する)。このように巻回部分同士が接触していることにより、この形状は構造的に頑丈となり、相当な力が必要とされる場合にも、本発明の装置を用いて物体の一部を持ち上げたり、物体の2つの部分の間に間隔を設けたりすることが可能となる。同時に、先端部に平面状の渦巻状部(30)が存在することにより、持ち上げられる物体と確実に平面で接することができる。この結果、持ち上げられる物体が、細長い部品の先端部により強く摩擦されることが防止される。この実施形態の装置の使用については後述する。
【0046】
図15A乃至図17Bに示すごとく、区画(12)の形状を様々に変更して、様々な形態の連結部を形成することができる。これにより、本発明の所定の曲線状構造の機械的安定性が向上される。図15A及び図15Bは、変更形態の一例を示し、この形態において、当接表面(16)と、対応する当接表面(18)は連結部を形成している。図15Bに示す完全に屈曲した状態において、この連結部は、細長い部品のねじれ変形に抗する役割を担う。ここで示す例において、当接表面(16)はスロット(34)を備えるように形成され、相補的な当接表面(18)は突出部(36)を備えるように形成される。突出部(36)はスロット(34)と噛合うように形成される。
【0047】
図16A及び図16Bは、鋭角の突出部とスロットを用いることなく同様の効果を得るための実施形態を示す。この実施形態の装置は、凹面をなした当接表面(16)と凸面をなした当接表面(18)を備える。図16Bは、図16Aと同様の構造を中空とした実施形態を示す。
【0048】
図17A及び図17Bは、図14の弦巻状部(32)などの閉じた弦巻形状に特に適した別の実施形態を示す。この実施形態によると、積み重ねられた巻回部分に更に安定性を持たせることができる。この実施形態によると、区画(12)の側面は、相補的な連結部を備え、弦巻状部の連続する巻回部分が横方向に移動することが防止される。図17Aの例において、これら相補的な連結部は、例えば突出部(38)及びスロット(40)として形成される。図17Bの例は、単一の段部又は肩部(42)を備える。この第2の変更形態は、閉じた円錐形渦巻状部を固定するためにも用いられる。この場合隣接する巻回部分の半径方向の寸法の間の差は、単一の段部の幅と等しい。
【0049】
図18A及び図18Bは、本発明の装置の変更形態を示す。この実施形態において、細長い部品が、2次元又は3次元の任意の形状を有する所定の曲線状構造を備えることが容易となる。また、この実施形態の装置は、曲線状の形状をなすように付勢されている。特に、この方法によると、細長い部品(一般的に一定形状の断面を備える)はまず、既知の技術を用いて所望の所定の曲線状構造として形成される。この技術としては、金属材料に用いるワイヤー又はバー形成技術と、ポリマー材料の成形又は押出し成形技術が挙げられる。3次元形状としては、断面が円状の形状が好ましい。細長い部品は、複数のスリット(44)を形成するように切込みを施される。スリット(44)は、局所的な湾曲の内側から外側に向けて設けられる。断面が円状である場合、対応するクリアランス・チャネル(46)が部品の反対側から設けられる。最も好ましくは、円形の穴部(48)がスリット(44)のそれぞれの基端部に設けられる。これにより、応力を材料中に分散させることができる。この構造では、細長い部品(10)の複数の区画(12)はスリット(44)間に形成され、有効なヒンジ部(14)は穴部(48)とクリアランス・チャネル(46)の間に形成される。これにより、細長い部品が図18Bに示す略直線状の状態まで開くことが可能となる。ここでは、視覚的表現の簡潔さの点から、波状部(curvature reversal)を含む2次元形状を例示する。曲率と、スリット(44)とクリアランス・チャネル(46)により定められる対応するヒンジ部の軸の方向は、任意に選択される角度で回転可能である。これにより、略任意の3次元曲線形状が形成可能となる。この結果得られる構造は、必要に応じて略直線状の形状となるまで開くことができるが、この構造は所定の曲線状構造に戻るように自然に予め付勢されている。
【0050】
図19A乃至図19Eを参照する。上述の如く、本発明の装置は、区画(12)と有効なヒンジ部(14)の構造を様々に変えて実施可能である。本発明を限定するものではないが、特定の用途に好適な更に別の例として、図19A乃至図19Cは、別個に形成された区画(12)の一つの実施形態を示し、図19D及び図19Eは、一連のこのような区画(12)をシート状スプリング材(60)に沿って隣接させて並べることにより形成された細長い部品(10)を示す。シート状スプリング材(60)は、区画(12)内に形成されたチャネル(62)を貫通し、区画を直線状に整列させている。シート状スプリング材(60)は好ましくは弾性的に図19Eの曲線状の形状に回復するように曲線状の形状に予め付勢される。またシート状スプリング材(60)を図19Dの形状まで直線状にすることも可能である。ここで示す例において、各区画(10)は略円筒形の中央開口部(64)を更に備える。開口部(64)は、細長い部品内に直線状に整列しており、上記の意味での「中空」部を形成している。この円状の中央チャネルは、以下で図20A乃至図21Bを参照して説明される可撓性のドリル・シャフトといった用途に特に好適である。
【0051】
本発明の装置の使用について説明する。本発明は、所定の曲線形状を有し、導入を容易にするための細長い構造(例えば導管)内を通される間に直線状となる構造を用いることが有益であるような全ての場面で使用可能である。本発明を好適に使用可能な用途の種類の例としては、例えば、これらには限定されないが、チャネルを形成するためのトンネル形成及び穿孔、材料の取り出し、物体への固定、2つの物体同士を固定、及び補強構造の提供が挙げられる。また本発明は、充填材、拡張器、及び医療用インプラントとしても使用可能である。
【0052】
本発明の装置が導入される物体の物理的特性によっては、本発明の装置は自らチャネルを形成することもできる。この場合、材料の圧縮、材料の移動、或いは図4乃至図6に示す中空の実施形態の場合、中空の装置内に入った筒状の材料の切り出しといった1もしくはそれ以上の工程が用いられる。若しくは、所定の機構(図示せず)を用いて、本発明の装置を材料内へ機械的に進ませてもよい。その他の場合、本発明の装置は能動的ドリル能力を有することが必要又は好適である。本発明をドリルとともに用いる場合の好適な形態を図20A乃至図21Bに概略的に示す。
【0053】
図20A乃至図20Cは、本発明の内容に従って形成された曲線状ドリル用アタッチメントを示す。このアタッチメントは、従来の或いは僅かに変更を加えたドリルとともに用いられる。このアタッチメントは、回転ドリル部(50)を備える。回転ドリル部(50)は回転可能なドライブ・シャフトからなり、少なくとも部分(52)において可撓性を有するとともに、末端部にドリル用バー(drilling burr)(54)を備える。シャフトの可撓性部分(52)は、図示のように螺旋ばねであっても、或いは、回転力をドリル用バーへ効果的に伝達可能であれば、その他の可撓性の駆動用部品であってもよい。ドリル部(50)は中空の形態の細長い部品(10)内に配される。細長い部品(10)は、可撓性部分(52)周囲に、回転しない状態で固定される。細長い部品(10)周囲には、ばね(58)によりドリル用バー(54)の方向へ付勢された外側導管(56)が配される。図20Cに示すごとく、ここで示す好適な実施形態の細長い部品(10)と外側導管(56)は、矩形状の断面を有する。
【0054】
図21A及び図21Bはドリル用アタッチメントの動作を示す。ドリルが物体内を進む間、外側導管(56)は元の位置に残される。これは、ドリル部の後を追って穴を進むには外側導管(56)が大きすぎるからか、或いは直線的ドリルの深さを定めるためのフランジ(図示せず)が存在するからである。外側導管(56)の前進が停止した後ドリル部(50)が前進すると、細長い部品(10)の導管を超えた部分が、その所定の曲線状構造(この例においては円弧)を形成する。これにより可撓性部分(52)が屈曲し、ドリル用バー(54)は図21Bに示す弓状の経路を進む。これらの原理に従ったドリル用アタッチメントと対応するドリル方法は、幅広い様々な用途に使用可能である。
【0055】
例えば、家庭内の用途では、弓状にドリルされたチャネルを用いて壁又はその他の対象を固定することができる。同様に歯科的な用途では、この形状の穿孔は、骨内にインプラントを固定するために重要である。本発明の範囲を限定するものではないが、その他の例は以下で説明される。
【0056】
補足として、このドリル技術は、より複雑な3次元構造を掘削するためにも使用できる。例えば、弦巻状で中空の細長い部品が用いられた場合、中実の材料を通って弦巻状の孔を掘削することができる。このような穴は、様々な用途で有用である。この用途としては、シリンダの円筒状壁部内に冷却剤を送り込むための弦巻状冷却用チャネルの形成などが挙げられるが、これには限定されない。
【0057】
図22A乃至図22Cと、図23A乃至図23Cは、本発明の弓状掘削技術の更に別の医療的用途を示す。この例において、本発明を用いて骨の固定が行われる。特に、これらの図に示される例は、頚部の椎骨内での固定に関する。頚部の椎骨内での固定は、海綿状の骨の体積が不足していることから、非常に困難であると考えられている。従来の方法と異なり、本発明のこの好適な実施形態は、皮質骨(表面)を貫く4つの非共線的接合領域を用いることにより、効果的な固定を行うことが可能である。本明細書中において、この固定方法は、「4箇所皮質骨接合(quadru−cordical bone engagement)」と称される。この4つの接合領域は、図22A及び図23Aにおいて番号を付された直線により示されている。図22A乃至図22Cは背面から頚部骨を固定する場合を示し、一方で図23A乃至図23Cは前面から頚部骨を固定する場合を示す。いずれの場合も、固定用部材として、ドリル作業中に挿入された細長い部品(10)を用いることができる。或いは、ドリル用アセンブリの全体が引き出されて、別個の固定用部材がチャネル内に挿入されてもよい。
【0058】
図24は、椎間板の補強について、関連する技術と対応する手法を示している。特に、図24においては、本発明に係る細長い部品(10)は、垂直方向に隣接する椎骨内に配された椎弓根ねじ(66)間の半円状の弧内を垂直方向に通っている。特により緩やかに湾曲した状態へ開く能力といった細長い部品(10)の特性により、椎骨間において、屈曲又は変形を生じる相対的運動が相当程度可能となる。同時に、細長い部品はその所定の曲線形状より大きく屈曲しにくいから、相当な垂直方向の負荷に耐える能力を有する。この結果、椎骨間の間隔が維持され、椎間板(図示せず)からの圧力が開放される。若しくは、追加的な弾性材料(68)を細長い部品(10)内に組込むことにより、追加的な衝撃緩和効果を得ることもできる。
【0059】
図25A乃至図25Cは、椎間板の代替物としての本発明の弦巻状の細長い部品の使用を示す。この場合、細長い部品(10)は好ましくは単一の椎弓根ねじ(66)を介して挿入され、この挿入後に椎弓根ねじ(66)に固定される。この弦巻状のインプラントの外観上の特徴は略円筒状であり、その軸を横に向けて配置されている。これにより、屈曲動作を制限することなく隣接する椎骨間における支持となる。
【0060】
図26A乃至図26Cは、本発明の更に好適な実施形態を示す。この実施形態では、椎間板の代替として、高さを調節可能な図14の構造が用いられる。この場合、本発明の装置は、椎弓根間を介して、椎骨間の体積部分内へ直接導入される。この体積部分は予め切除術により取り除かれていることが好ましい。細長い部品が導入される間、細長い部品の先端部はまず平らな渦巻形状をなし、上方(又は下方)の椎骨の間に、摩擦を生じない接触表面を形成する。その後、細長い部品が更に前進させられると、閉じた弦巻形状が積み重なり始め、所望の高さが得られるまで、徐々に上方の椎骨を下方の椎骨から持ち上げていく。細長い部品はその後、単一の椎弓根(66)に固定され、固定された状態の椎間板代替物としての役割を担う。
【0061】
図27A乃至図27Cは、本発明に係る脊柱側弯症の段階的矯正のための低侵襲性処置を概略的に示している。ここで示す実施形態において、渦巻状の形態の細長い部品が、脊柱の椎骨の離間が必要な面上に位置する椎弓根供給ねじを介して導入される。渦巻状の形状の連続する巻回部分が徐々に拡径していることにより、上方の椎骨が徐々に下方の椎骨から持ち上げられる。この過程はいくつかの椎骨に対して並行して行われる。この処置が部分麻酔のみを用いて行われる場合、患者は椎骨の矯正の間、立った姿勢を維持することを求められ、最適な矯正が完了するまでこの調節は繰り返し行われる。この実施形態でも、必要な矯正が完了すれば、細長い部品は椎弓根ねじに固定されて切断され、インプラントとして滞留する。
【0062】
図28A乃至図28Cは、複数の区画を備えた椎体に対する補強としての本発明の細長い弦巻状の実施形態の使用を示す。特に、密な弦巻形状を有する細長い部品(10)を用いることにより、補強用部品を単一の椎弓根ねじを介して導入することが可能となる。導入の後の補強用部品は、複数の隣接する椎骨の椎体と椎間板を通って垂直に延設する。この補強用部品は、図28Aに示すように上方に延設してもよいし、図28Bに示すように下方に延設してもよい。各部品の導入には一つの椎弓根しか必要とされないから、図28Cに示すように、一つの部品を第1の上方に延設する椎弓根を介して導入し、第2の部品を下方に延設するもう一方の椎弓根を介して導入することも更に可能である。
【0063】
図29A乃至図29Cを参照しつつ、椎骨の高さ回復に用いる本発明の一つの実施形態を説明する。図26A乃至図26Cを参照して説明した椎間板の高さ回復におけるように、本発明のこの実施形態においてもまた、図14を参照して上記で説明した形状の細長い部品が好適に用いられる。その使用方法は、図26A乃至図26Cに示される方法と同様である。
【0064】
図29A及び図29Bは、健康な椎骨を有する脊柱と、破壊された椎骨を有する脊柱を対照的に示す。図29Cは、本発明に係る細長い部品(10)を導入した後の図29Bに示す脊柱を示している。図29B及び図29Cにおいて破壊された椎骨に隣接する椎骨上に重ねられた黒線は、椎骨の高さが回復されたことを明瞭に示している。任意により、配備された部品の内部空間は、適切な生体適合性材料により充填され、更なる構造的又は治療的特性を付加される。構造用充填材料の例としては、これには限定されないが、骨セメント、可撓性生体適合性充填材、骨の成長を促す骨誘導剤(osteo−indutive agents)が挙げられる。またこれらは、骨移植片及び骨髄を含む。この内部空間に導入可能な治療用材料の例としては、これには限定されないが、抗生物質、抗悪性腫瘍薬、及び抗分裂剤が挙げられる。
【0065】
本発明の使用例のうち非常に限られた例が説明されたが、医療分野及びその他の分野において、その他の多くの処置及び治療に本発明が使用可能であることが明らかである。例えば、細長い部品の様々な中空の実施形態は、任意により、例えば組織診における組織試料の採取や、例えば切開術における組織の除去のために使用できる。
【0066】
上記の説明は、例示のためにのみ示されたものであり、以下の請求の範囲に定められる本発明の範囲内で多くのその他の形態が可能である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、略直線状の導管を介して物体内へ導入されて所定の曲線状構造を形成する装置及びこの装置の使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な種類の物体内へ直線状の部品を挿入する技術が知られている。一般的な機械工学の分野では、このような技術として、各種のドリル、釘、ねじ、及びロッドを、壁、家具などの物品、その他の無生物体、木などの植物体、動物体又は人体といった構造へ挿入する技術が知られている。特定の場合、直線状の部品は、この部品が物体から脱落することを防止する固定構造又は機構を備える。
【0003】
一定の曲率を有する部品を物体内に挿入する技術もまた、特定の分野において知られている。この種の例として、皮革の縫製に用いられる湾曲した針や、医療用途のための弓状ドリルが挙げられる。この弓状ドリルは、例えば、特許文献1及び特許文献2に記載されている。これらの構造は物体内の非常に浅い深さに対してしか使用できず、また一般的に物体内において180度以下の弧を描いて、物体内に通路を形成する。
【0004】
第3の用途として、主に医療用内視鏡の分野において、可動型部品を物体内に導入する技術が知られている。可動型の可撓性部品を直線状の導管を通して導入し、物体内で屈曲させ、所望の位置まで案内することにより、物体内の任意の所望の深さまでこの部品を到達させることができる。しかしながら、これらの部品は、物体内で特定の曲線状構造をなし、通常約180度以上の角度で曲がることはない。多くの場合可動型部品は、過度の屈曲による構造的な損傷を防止するために、その機械的な屈曲限界に至らないように保たれる。
【0005】
上記の技術はいずれも、直線状の導管を通して物体内に曲線状の構造を導入し、この物体内においてこの曲線状の構造に所定の曲線状構造の配備位置を取らせ、特にこの所定の曲線状構造を180度以上回転させ、その曲率を変化させる及び/又は三次元(非平面状)の形状を取らせることはできない。
したがっ、略直線状の導管を介して物体内へ導入されて所定の曲線状構造を形成する
装置及びこの装置の使用方法に対する必要性が生じている。
【0006】
【特許文献1】米国特許第4,312,337号公報
【特許文献2】米国特許第4,941,466号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、略直線状の導管を介して物体内へ導入されて所定の曲線状構造を形成する装置及びこの装置の使用方法である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によると、略直線状の導管を介して物体内に導入されて該物体内で所定の曲線状構造を形成するための装置であって、該装置が、主に複数の区画からなる細長い部品を備え、該細長い部品が連続して相互に接続されて、隣接する区画間に有効なヒンジ部を形成し、前記区画と前記有効なヒンジ部が、(a)前記細長い部品が略直線状の状態に制限されるとき、前記有効なヒンジ部が、各区画から次の区画へ圧縮力を伝えて、これにより前記細長い部品が押し出されて前記略直線状の導管を通って前進することを可能とし、(b)前記細長い部品が略直線状の状態に制限されないとき、前記ヒンジ部により、前記区画それぞれの少なくとも一つの当接表面が、隣接する区画それぞれの少なくとも一つの対応する当接表面と当接するまで、隣接する区画に対して各区画が屈曲することが可能とされ、これにより前記細長い部品が完全に屈曲した状態とされ、該完全に屈曲した状態が、前記細長い部品の所定の曲線状構造に対応することを特徴とする装置が提供される。
【0009】
本発明の別の実施形態によると、前記所定の曲線状の構造が、少なくとも180度の中心角をもって弓状に湾曲可能である。
本発明の別の実施形態によると、前記所定の曲線状の構造が、第1の曲率半径を有する第1の領域と、該第1の曲率半径より大きい第2の曲率半径を有する第2の領域を備える。
本発明の別の実施形態によると、前記所定の曲線状構造が、円錐形の弦巻状である。
本発明の別の実施形態によると、前記所定の曲線状構造が、弦巻状構造を含む。
本発明の別の実施形態によると、前記区画の側面が、相補的なロック構造を有し、前記弦巻状構造の連続する巻回部分が横方向に移動することが防止される。
本発明の別の実施形態によると、前記所定の曲線状構造が、(a)平面状の渦巻状部を形成する第1の部分と、(b)弦巻状部を形成する第2の部分を備える。
本発明の別の実施形態によると、前記有効なヒンジ部のそれぞれが、隣接する区画の間を接続する可撓性材料の平らな接続部分により形成される。
【0010】
本発明の別の実施形態によると、前記平らな接続部分が、隣接する前記区画と一体的に形成される。
本発明の別の実施形態によると、全ての前記区画と全ての前記平らな接続部分が一体的に形成される。
本発明の別の実施形態によると、前記平らな接続部分のそれぞれが、前記区画を屈曲させるように弾性的に付勢されており、これにより前記細長い部品が前記完全に屈曲した状態となる傾向を有する。
【0011】
本発明の別の実施形態によると、前記各区画のそれぞれが、非中空の材料ブロックから形成される。
本発明の別の実施形態によると、前記区画のそれぞれが、中空の材料ブロックから形成される。
本発明の別の実施形態によると、前記細長い部品が面取りされた先端部を更に備え、前記細長い部品が媒体中を前進するとき、前記細長い部品が前記完全に屈曲した状態まで屈曲しやすくなるような角度を前記面取りされた先端部が有する。
本発明の別の実施形態によると、前記区画のそれぞれの前記当接表面と、それぞれの隣接する一つの前記区画が有する対応する当接表面が、連結構造を有し、これにより、前記完全に屈曲した状態において、前記連結構造が前記細長い部品のねじれ変形に抗することを補助する。
本発明の別の実施形態によると、前記物体に対して前記細長い部品を固定する少なくとも1つの固定部を更に備え、前記細長い部品がインプラントの少なくとも一部をなす。
本発明の別の実施形態によると、前記細長い部分の先端部に取付けられるドリル用部品を更に備える。
本発明の別の実施形態によると、前記細長い部品の長さが、前記細長い部品の横方向の寸法のそれぞれと比べて少なくとも10倍以上大きい。
【0012】
本発明によると、物体内で装置の所定の曲線状構造を用いるための方法であって、(a)略直線状の導管を介して物体内に導入されて該物体内で所定の曲線状構造を形成するための装置を用意する段階であって、該装置が、主に複数の区画からなる細長い部品を備え、該細長い部品が連続して相互に接続されて、隣接する区画間に有効なヒンジ部を形成し、前記区画と前記有効なヒンジ部が、(i)前記細長い部品が略直線状の状態に制限されるとき、前記有効なヒンジ部が、各区画から次の区画へ圧縮力を伝えて、これにより前記細長い部品が押し出されて前記略直線状の導管を通って前進することを可能とし、(ii)前記細長い部品が略直線状の状態に制限されないとき、前記ヒンジ部により、前記区画それぞれの少なくとも一つの当接表面が、隣接する区画それぞれの少なくとも一つの対応する当接表面と当接するまで、隣接する区画に対して各区画が屈曲することが可能とされ、これにより前記細長い部品が完全に屈曲した状態とされ、該完全に屈曲した状態が、前記細長い部品の所定の曲線状構造に対応する段階と、(b)略直線状の導管に沿って、前記細長い部品を前記物体内へ導入し、前記細長い部品を前記略直線状の状態に制限する段階と、(c)前記物体内において、前記細長い部品に前記所定の曲線状構造を形成させる段階を備えることを特徴とする方法が提供される。
【0013】
本発明の別の実施形態によると、前記所定の曲線状構造が、前記細長い部品が弓状の経路を進み、前記細長い部品の先端部が前記物体から再び出ることを可能とする構造である。
本発明の別の実施形態によると、前記細長い部品が、中実の先端部を備えるように形成され、前記細長い部品が前記物体を通って進むとき前記物体を構成する材料を移動及び圧縮させる。
本発明の別の実施形態によると、前記細長い部品が中空の先端部を備えるように形成され、該中空の先端部が前記物体から材料のサンプルを切断する。
本発明の別の実施形態によると、少なくとも1つの領域において前記物体の一部に対して前記細長い部品を固定する段階を更に備える。
本発明の別の実施形態によると、前記所定の曲線状構造が略弦巻状の部分を含む。
【0014】
本発明の別の実施形態によると、前記物体が人体であり、前記細長い部品が、前記人体の前記脊柱内へ導入される。
本発明の別の実施形態によると、前記人体の少なくとも2つの椎骨を通して、前記細長い部品が導入される。
本発明の別の実施形態によると、前記細長い部品が、第1の椎骨を通して導入され、前記細長い部品の先端部が第2の椎骨から出る。
本発明の別の実施形態によると、前記細長い部品が、4つの皮質骨領域と噛合う。
本発明の別の実施形態によると、前記細長い部品が、第1の椎骨の椎弓根を通して導入され、隣接する複数の椎骨を通過する略弦巻状の補強構造を形成する。
本発明の別の実施形態によると、2つの隣接する椎骨の少なくとも一部の間の間隔を増大させるように前記細長い部品が導入される。
【0015】
本発明の別の実施形態によると、前記所定の曲線状の形状が複数の巻回部分を有し、前記巻回部分それぞれが、その中心軸が前記脊柱の延出方向に対して略直角となるように配置される。
本発明の別の実施形態によると、前記所定の曲線状の形状が徐々に拡径した複数の巻回部分を有し、これにより前記細長い部品の導入の間に、前記2つの隣接する椎骨の少なく
とも一部の間の間隔が、段階的に変化する。
本発明の別の実施形態によると、前記所定の曲線状の形状が、複数の積み重ねられた巻回部分を有し、該巻回部分のそれぞれが略軸方向の平面内に存在し、これにより前記細長い部品の導入の間に、前記2つの隣接する椎骨の少なくとも一部の間の間隔が段階的に変化する。
本発明の別の実施形態によると、前記細長い部品が横方向の連結構造を有するように形成され、これにより前記複数の積み重ねられた巻回部分の連続する巻回部分が相互に噛合わされて、略円柱状の積層体が維持される。
本発明の別の実施形態によると、前記細長い部品が、略平面状の渦巻状構造を形成する先端部を備える。
本発明の別の実施形態によると、前記細長い部品が前記隣接する椎骨間に同側的に導入され、前記細長い部品が、前記隣接する椎骨間の脊柱側弯症によるずれを少なくとも部分的に補正する。
【0016】
本発明の別の実施形態によると、前記細長い部品が単一の椎骨内に導入され、前記所定の曲線状構造が前記椎骨の有効高さを増大させる。
本発明の別の実施形態によると、前記所定の曲線状構造が少なくとも部分的に閉じた囲いを形成する複数の巻回部分を備え、前記方法が更に前記少なくとも部分的に閉じた囲い内に所定量の生体適合性構造充填材を導入する段階を更に備える。
本発明の別の実施形態によると、前記所定の曲線状構造が少なくとも部分的に閉じた囲いを形成する複数の巻回部分を備え、前記方法が更に前記少なくとも部分的に閉じた囲い内に所定量の治療剤を導入する段階を更に備える。
本発明の別の実施形態によると、前記細長い部品を導入する段階の後に、前記細長い部品を前記椎骨のうちの一つの椎弓根に対して直接的或いは間接的に固定することにより、前記細長い部品の位置決めを行う段階を更に備える。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の内容にしたがって構築並びに動作されるとともに略直線状の導管を介して物体内に導入されて所定の曲線状構造を形成する装置の第1の実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1の装置が直線状の導管に沿って挿入される様子を示す側面図である。この導管は図面の明瞭さのために切断された状態で示されている。
【図3】直線状の導管を超えて延出して所定の曲線状構造を形成した装置を示す図2と同様の図である。
【図4】本発明の内容にしたがって構築並びに動作されるとともに略直線状の導管を介して物体内に導入されて所定の曲線状構造を形成する装置の第2の実施形態を示す斜視図である。この装置は中空の中央チャネルを備える。
【図5】図4の装置が直線状の導管に沿って挿入される様子を示す側面図である。この導管は図面の明瞭さのために切断された状態で示されている。
【図6】直線状の導管を超えて延出して所定の曲線状構造を形成した装置を示す図5と同様の図である。
【図7】本発明の内容にしたがって構築並びに動作されるとともに略直線状の導管を介して物体内に導入されて所定の曲線状構造を形成する装置の第3の実施形態を示す斜視図である。この装置は断面円状の形状を備える。
【図8】本発明の内容にしたがって構築並びに動作されるとともに略直線状の導管を介して物体内に導入されて所定の曲線状構造を形成する装置の第4の実施形態を示す斜視図である。この装置は断面半円状の形状を備える。
【図9A】本発明の内容にしたがって構築並びに動作されるとともに略直線状の導管を介して物体内に導入されて所定の曲線状構造を形成する装置の第5の実施形態を示す斜視図である。この装置は、隣接する区画の間に斜めの有効なヒンジ部を備える。
【図9B】図9Aの装置を示す斜視図である。
【図10】本発明の装置をその所定の曲線状構造を形成した状態で示す図9Aと同様の図である。
【図11】本発明の内容にしたがって構築並びに動作されるとともに略直線状の導管を介して物体内に導入されて所定の曲線状構造を形成する装置の第6の実施形態を示す斜視図である。この装置は断面半円状の形状を備える。この装置は、第1の曲率半径を有する所定の曲線状構造を形成する第1の領域と、第2の曲率半径を有する所定の曲線状構造を形成する第2の領域を備える。
【図12A】直線状の導管に沿って挿入される3つの段階における図11の装置を示す側面図である。この導管は図面の明瞭さのために切断されている。
【図12B】直線状の導管に沿って挿入される3つの段階における図11の装置を示す側面図である。この導管は図面の明瞭さのために切断されている。
【図12C】直線状の導管に沿って挿入される3つの段階における図11の装置を示す側面図である。この導管は図面の明瞭さのために切断されている。
【図13】本発明の内容にしたがって構築並びに動作されるとともに略直線状の導管を介して物体内に導入されて所定の曲線状構造を形成する装置の第7の実施形態を示す斜視図である。この装置は、円錐形の弦巻形状に対応する所定の形状を有する。
【図14】本発明の内容にしたがって構築並びに動作されるとともに略直線状の導管を介して物体内に導入されて所定の曲線状構造を形成する装置の第8の実施形態を示す斜視図である。この装置は、平面状の渦巻状部と閉じた円筒状の弦巻状部の両方を含む所定の曲線形状を有する。
【図15A】本発明に係る装置の一部を示す部分概略斜視図であり、本発明の装置の隣接する区画間の連結部の一つの形態を示している。本発明の装置は直線状の状態で示されている。
【図15B】本発明に係る装置の一部を示す部分概略側面図であり、本発明の装置の隣接する区画間の連結部の一つの形態を示している。本発明の装置は曲線状の状態で示されている。
【図16A】本発明に係る装置の一部を示す部分概略斜視図であり、本発明の装置の隣接する区画間の連結部の別の形態を示している。本発明の装置は中実の構造を有する。
【図16B】本発明に係る装置の一部を示す部分概略斜視図であり、本発明の装置の隣接する区画間の連結部の別の形態を示している。本発明の装置は中空の構造を有する。
【図17A】本発明に係る装置の等角切取り図であり、閉じた弦巻形状に対応する所定の曲線形状を有する隣接する巻回部分の間の連結部の形態を示す。
【図17B】本発明に係る装置の等角切取り図であり、閉じた弦巻形状に対応する所定の曲線形状を有する隣接する巻回部分の間の連結部の形態を示す。
【図18A】所定の曲線形状をなした本発明に係る装置の概略部分側面図であり、任 意の曲線形状に用いられるヒンジによる連結部を示す。
【図18B】直線状の形状をなした本発明に係る装置の概略部分側面図であり、任意の曲線形状に用いられるヒンジによる連結部を示す。
【図19A】本発明の内容にしたがった装置の更に別の実施形態において用いられる 各区画の概略斜視図である。
【図19B】本発明の内容にしたがった装置の更に別の実施形態において用いられる各区画の長手方向断面図である。
【図19C】本発明の内容にしたがった装置の更に別の実施形態において用いられる 各区画の端面図である。
【図19D】図19A乃至図19Cの複数の区画から形成される装置の概略長手方向断面図である。本発明の装置は直線状の状態で示されている。
【図19E】図19A乃至図19Cの複数の区画から形成される装置の概略長手方向断面図である。本発明の装置は曲線状の状態で示されている。
【図20A】本発明の内容にしたがって構築され動作可能とされるドリル用アセンブリの構成要素を示す概略側面図である。
【図20B】組み立てた状態で図20Aのドリル用アセンブリの構成要素を示す概略側面図である。
【図20C】図20Bのドリル用アセンブリを示す概略断面図である。
【図21A】図20Aのドリル用アセンブリの動作を示す直角方向の概略側面図である。
【図21B】図20Aのドリル用アセンブリの動作を示す直角方向の概略側面図である。
【図22A】4つの皮質骨接合を用いた後側の頚部骨固定のための本発明の一つの実施形態を示す概略図である。
【図22B】4つの皮質骨接合を用いた後側の頚部骨固定のための本発明の一つの実施形態を示す概略図である。
【図22C】4つの皮質骨接合を用いた後側の頚部骨固定のための本発明の一つの実施形態を示す概略図である。
【図23A】4つの皮質骨接合を用いた前側の頚部骨固定のための本発明の一つの実施形態を示す概略図である。
【図23B】4つの皮質骨接合を用いた前側の頚部骨固定のための本発明の一つの実施形態を示す概略図である。
【図23C】4つの皮質骨接合を用いた前側の頚部骨固定のための本発明の一つの実施形態を示す概略図である。
【図24】椎間板の補強のための本発明の一つの実施形態を示す概略図である。
【図25A】椎間板の補強のための本発明の一つの実施形態を示す概略側面図である。
【図25B】椎間板の補強のための本発明の一つの実施形態を示す概略前面図である。
【図25C】椎間板の補強のための本発明の一つの実施形態を示す概略軸方向図である。
【図26A】調節可能に高さの回復が可能な椎間板代替物としての本発明の一つの実施形態を示す概略側面図である。
【図26B】図26Aの線B−Bに沿った軸方向断面図である。
【図26C】図26Aの線C−Cに沿った軸方向断面図である。
【図27A】本発明に係る低侵襲性処置として脊椎側彎症の段階的矯正を行う間の2つの隣接する椎骨を示す概略背面図である。
【図27B】本発明に係る低侵襲性処置として脊椎側彎症の段階的矯正を行う間の2つの隣接する椎骨を示す概略背面図である。
【図27C】本発明に係る低侵襲性処置として脊椎側彎症の段階的矯正を行う間の2つの隣接する椎骨を示す概略背面図である。
【図28A】本発明に係る多区画の椎体補強の変更形態を示す概略矢状断面図である。
【図28B】本発明に係る多区画の椎体補強の変更形態を示す概略矢状断面図である。
【図28C】本発明に係る多区画の椎体補強の変更形態を示す概略矢状断面図である。
【図29A】健康な椎骨を有する脊柱を示す概略矢状断面図である。
【図29B】破壊された椎骨を示す図29Aと同様の図である。
【図29C】図29Bの脊柱を示す図であり、本発明の内容にしたがった脊椎の高さの回復を概略的に示している。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しつつ本発明を説明するが、以下の説明は例示的にのみなされるものである。
本発明は、略直線状の導管を介して物体内へ導入されて所定の曲線状構造を形成する装置及びこの装置の使用方法である。
図面と以下の説明を参照することにより、本発明に係る装置及び方法の原理及び動作を、よりよく理解できる。
例示のために、本発明に係る様々な装置を示す。これらの装置は共通の発明概念に基づくが、特に、物体内へ挿入されたときにこれら装置がなす特定の所定の曲線状構造などの特定の形態において異なる。これら装置は、装置自体の構造によりその構造的特徴を定められ、その特性によりその機械的特徴を定められるが、その使用は特定の技術又は特定の用途に限定されない。これら装置は図1乃至図19Eを参照して以下に説明される。続いて、図20A乃至図29Cを参照して、特に人体の医療的処置の分野においてこれらの装置を用いる少数の例示的用途を示す。
【0019】
ここで図面を参照する。図1乃至図3は、本発明の内容にしたがって構築並びに動作される装置の第1の基本的な図である。この装置は、略直線状の導管(20)を通して物体内に挿入され、この物体内で所定の曲線状構造をなす。
【0020】
概して、本発明の各実施形態に係る装置は、主に複数の区画(12)からなる細長い部品(10)を備える。複数の区画(12)は連なって相互に接続し、隣接する区画(12)との間に有効なヒンジ部(14)を形成する。区画(12)と有効なヒンジ部(14)は次のように構成される。(a)細長い部品(10)が略直線状の状態に制限される場合、有効なヒンジ部(14)は、各区画(12)から次の区画へ圧縮力を伝える。この結果押し進められた細長い部品(10)が、略直線状の導管(20)を通って前進する。(b)細長い部品(10)が略直線状の状態に制限されない場合、有効なヒンジ部(14)は、各区画の少なくとも1つの当接表面(16)が、各隣接する区画の対応する当接表面(18)と当接するまで、区画(12)のそれぞれが、隣接する区画(12)に対して屈曲することを可能とする。当接表面(16)が当接表面(18)と当接した状態において、細長い部品(10)は最大限屈曲した状態となる。この最大限屈曲した状態は、細長い部品の所定の曲線状構造と対応する。
【0021】
このように形成される本発明の装置は、任意の所望の深さまで物体内に挿入可能となる。これは、この装置が、初め略直線状の経路を進んだ後、物体内で展開して、所定の曲線状構造を形成するからである。この曲線状構造において、隣接する区画が有効なヒンジ部を介して相互に接続されるとともに、少なくとも1つの追加的な表面を介して隣接することにより、相当な機械的安定性が得られる。したがって、最終形状をなした上記の細長い部品の断面の寸法に対応する寸法を有する挿入開口部を介して、各種の曲線状又は回旋状の構造を、一時的又は永久的に導入することが可能となる。
【0022】
したがって、本発明の装置は幅広い用途に使用可能である。本発明の装置の用途としては例えば、これには限定されないが、物体内において曲線状のチャネルを形成する、物体からの材料サンプルを切り出す、物体内において曲線状の固定用構造を提供する、物体の2つの部分を結合する、物体の2つの部分を一線上に整列させる、物体内において補強用構造を提供する、物体の1つの領域に充填する、及び物体の複数の部分の間の間隔を拡大するなどの用途が挙げられる。
【0023】
いくつかの方法で、本発明の装置を、略直線状の形態から所定の曲線状の形態に変形させることができる。第1の組の実施形態によると、細長い部品(10)を弾性的に付勢して所定の曲線状の状態に屈曲させる。このことは、有効なヒンジ部(14)を予め付勢すること、或いは補助的なばね又はその他の弾性部品(図示せず)を付加することにより可能となる。別の組の実施形態において、細長い部品(10)の構造として、部品(10)の物体内への挿入時の機械的抵抗により装置がその曲線状の状態まで屈曲するような構造が選択される。上記の方法のいずれかに従うと、装置の屈曲は漸進的であり、装置が供給導管(20)を超えて伸長される間、継続的に起こる。更に別の方法によると、1つ若しくはそれ以上の引き紐といった選択的に操作可能な機構(図示せず)を用いることにより、所定の曲線形態への屈曲を使用者が選択的に引き起こすことが可能となる。
【0024】
既に述べたように、本発明は幅広い使用分野において使用可能である。例えば、これには限定されないが、建築、採掘、工業的用途、木工、及び医学の分野で本発明を使用可能である。したがって、その内部で装置が用いられる「物体(body)」とは、任意の物体であってもよく、例えばこれには限定されないが、人体、動物体、木、その他の生物学的材料、壁、家具、鉱物、及びその他の無生物を含む。本発明の装置の寸法、材料、及びその他の設計パラメータは、意図する用途に本発明の装置が適するものとなるように選択されなければならない。このような寸法、材料、及びその他の設計パラメータは、本発明の装置が使用される分野の当業者には明らかである。
【0025】
本発明の装置の具体的な実施形態の構造的特徴を説明する。図1に示すごとく、細長い部品(10)は、好ましくは断面矩形状の単一の細長いロッドからなる。このロッドには、一連の横方向のスロットが設けられ、これによりこの細長い部品は、区画(12)に分割されている。スロットの下に残った材料からなる比較的細い接続ブリッジにより、相互接続部が曲がりやすくなり、有効なヒンジ部(14)が形成される。図示のスロットは、区画(12)の傾斜した端面に対応するV字形状のスロットである。その他の形状のスロット、例えば、U字形状のスロット、矩形状のスロット、及びより複雑な形状のスロットを用いることもできる。
【0026】
以上で示した構造によると、本発明の装置の構造的特徴が、非常に単純で且つ容易に製造可能な方法で、すなわち、矩形状のロッドに適切な形状のスロットを適切な位置に形成することにより提供される。有効なヒンジ部(14)は、隣接する区画の間を相互に接続する可撓性材料からなる平面状の接続部として一体的に形成される。本明細書中において「平面状」との語は、断面形状に言及したもので、具体的には、ヒンジ部の有効軸に沿った断面の形状をいう。一体的なヒンジ部の厚さはその幅と比べてかなり小さいから、屈曲方向を定めることができる。一体的ヒンジ部の区画(12)の間に延設する部分は、相当の長さを有しても(以下で説明する特定の例を参照)、或いは最小限の長さを有しても(本実施形態を参照)よい。有効なヒンジ部(14)は好ましくは、意図した回動動作以外の隣接する区画(12)の相対的移動に対する抵抗を生み出すように形成される。これにより、細長い部品(10)の不測のねじれ変形を防止することができる。
【0027】
本発明の装置が、初期状態で直線状のロッドにスロットを切ることにより構築される場合、細長い部品の特性を変化させるような処理を更に行わない限り、負荷を受けない状態の細長い部品は直線状の形状をなす。ここで説明する特に好適な実施形態によると、細長い部品(10)の端部は、面取りされた先端部(22)を有する。面取りされた先端部(22)の角度は、細長い部品が媒体中を進む間、細長い部品が完全に屈曲した状態となるように定められる。特に、面取りされた先端部(22)は、スロットが切り込まれた面に先端エッジを備え、スロット面と反対の面に面取りされた表面を有することが好ましい。
この形状は、圧縮可能又は交換可能な媒体中を進むとき、屈曲して曲線経路を進みやすい。これにより、図3に示すように、細長い部品(10)が、供給用導管(20)を超えて前進する間に完全に屈曲した曲線形状まで徐々に屈曲することとなる。
【0028】
本発明の装置の寸法は、意図する用途と、必要とされる(形成される予定の)所定の曲線状構造に従って選択される。極端な場合として、地下トンネル又は海底トンネルの掘削においては、1メートル若しくはそれ以上の幅と高さを有する部品を使用できる。逆の極端な場合として、特定の繊細な医療上の用途においては、5ミリメートル以下の幅及び高さを有する細長い部品を使用できる。各種の家庭での用途や医療上の用途では、横方向の寸法が1乃至30mmが適切である。
【0029】
相対的な寸法に関して、細長い部品(10)は、その幅と高さの両方と比べて、その長さが相当に長いという意味において、「細長い」と表現されている。最も好ましくは、細長い部品(10)の長さは、細長い部品の横方向の寸法(高さと幅)のそれぞれと比べて少なくとも10倍以上大きい。好ましくは、本発明の装置は所定の曲線状構造をなすように形成される。この曲線状構造は、少なくとも180度以上の中心角をもって湾曲した部分を含み、多くの場合、1もしくはそれ以上の一回りした部分を通過する(下記のいくつかの例を参照)。
【0030】
また、本発明の装置に用いる材料として、意図する用途と、必要とされる機械的及びその他の特性にしたがって選択される任意の適切な材料を用いることができる。多くの用途では、各種の金属及び金属合金(合わせて金属材料という)が好適に使用される。いくつかの用途では、各種の樹脂及びその他のポリマー材料が好適に使用される。他の可能性として、これには限定されないが、合成材料とセラミック材料が挙げられる。医療上の用途においては、生体適合材料が用いられる。生体適合材料は通常、金属材料またはポリマー(例えば、PEEK)のいずれかからなる。
【0031】
「2次元(two−dimensional)」及び「平面状(planar)」との語は、図1乃至図8と、図11乃至図12Cに示すような特定の実施形態における所定の曲線状の構造のことを示すために用いられる。一方で、「3次元(three−dimensional)」及び「非平面状(non−planar)」との語は、図9A乃至図10、図13、及び図14に示すような特定の実施形態における所定の曲線状の構造のことを示すために用いられる。これらの語を用いて、生じた屈曲部の性質が分類される。すなわち、円又は平らな渦巻形状は「平面状」の形状であり、弦巻形状又は円錐形状は「非平面状」の形状である。当然のことながら、「平面状」の形状を有する形態であってもこの部品は幅を有するから、三次元空間を占める。
【0032】
図1乃至図3に示す例において、細長い部品(10)は中実のロッドから切り出されるから、区画(12)のそれぞれは、非中空の材料ブロックとして形成される。有効なヒンジ部(14)と、これと一体的に形成された区画(12)を一つの構造とすることは有益であると考えられるが、その他の形態の有効なヒンジ部(14)もまた本発明の範囲内に含まれるものとする。例として、第1の変更形態は、可撓性の細長い断片を装置の骨格構造として用いる。任意の適切な取付け技術により、この細長い断片に、区画(12)(互いに分離した複数のブロック)が取付けられる。この種の例は、以下で図19A乃至図19Eを参照しつつ説明される。第2の変更形態では、回動可能な相互連結ヒンジ部を用いて最初互いに分離している区画(12)を接続する。このヒンジ部は、ヒンジピンを有する種類であっても、有さない種類であってもよい。
【0033】
略直線状の導管(20)は任意の適切な導管であってよいが、好ましくは略直線状の形状をとったときに細長い部品(10)の外部形状と緊密に噛合うものを用いる。導管(20)は細長い部品(10)と同じ材料から形成されても、或いは意図する用途に適した任意の他の材料から形成されてもよい。更に、物体への挿入の第1期間中に細長い部品を略直線状の形状に制限するための構造の好適な例としては、導管(20)が挙げられるが、その他の形態も本発明の一般的な範囲内に含まれるものとする。したがって、例えば、中空の実施形態においては(図4乃至図6を参照して以下に説明するように)、細長い部品(10)の少なくとも一部を通って細長い部品(10)の中心に配置されたレールを用いると、このレールが細長い部品(10)の一部を直線状の形状に制限して、同様の効果が得られる。
【0034】
図4乃至図6は、本発明の装置の第2実施形態を示す。この形態は、図1乃至図3に示す形態と基本的に同様であるが、以下で詳細に説明する2つの点において異なる。
第1に、この実施形態において、スロットが矩形状のスロットとして形成されるので、隣接する区画の上端に沿ってのみ当接表面(16)及び(18)が生じる。この形態は、製造が容易であることに加えて、当接表面の間に曲線状構造の形成を妨げるような異物が存在することによる影響が小さいという利点を有する。一方で、この曲線状の構造は、隣接する区画の間に三角形状の横方向の開口部を生じる。このことは特定の用途においては望ましくないことがある。
【0035】
第2に、この形態は、中空のロッドから形成されるので、細長い部品(10)の各区画(12)は中空の材料ブロックとなる。結果として細長い部品(10)の中心部を通って形成されるチャネルは、幅広い機能に対して使用可能である。これら機能としては、これには限定されないが、物体から材料のサンプルを切り出す、物体から任意の体積の材料を掘り出す、細長い部品(10)を通して可撓性のツールを挿入して物体内のターゲット領域に到達させる、物体内のターゲット領域に任意の量の流体又はその他の材料を供給する、細長い部品(10)の末端に位置するドリル用又はその他のツールに対してドライブ・シャフトを提供する、物体内のターゲット領域へ又はターゲット領域から、照明及び/又は画像を中継する、セメントを充填して細長い部品(10)を変形後の形状で固定する、細長い部品(10)を他の材料で充填して、細長い部品(10)又は物体の周辺領域を所望の状態にするなどの機能が挙げられる。
【0036】
その他の全ての構成について、図4乃至図6の実施形態の構造及び機能は、上述の図1乃至図3の構造及び機能から類推することにより完全に理解できる。
【0037】
図7及び図8に示すように、細長い部品(10)は様々な異なる断面形状を有することができる。例として、図7に示す実施形態においては、細長い部品(10)は略円形の断面を有する。この場合、好ましくは有効なヒンジ部(14)は、隣接する区画(12)の間を架橋する円の弦材と対応する部分を残すことにより、一体的なヒンジ部として形成される。図8は、細長い部品(10)が略半円形である実施形態を示す。区画(12)を接続する有効なヒンジ部(14)は、細長い部品の平坦な面として形成されることが好ましい。
【0038】
図9A、図9B、及び図10は、本発明の装置の一つの実施形態を示す。この実施形態は基本的に図1乃至図3に示す実施形態と同様であるが、所定の曲線状構造が弦巻状である。この結果を得るために、隣接する区画(12)の間のスロットと、有効なヒンジ部(14)の軸は、細長い部品(10)の長さ方向に対して傾斜している。このことは、図9Aの平面図に最もよく示されている。図9Aにおいて角度αは、細長い部品(10)のさ方向に直角な線に対する有効なヒンジ部の軸の傾斜を表す。有効なヒンジ部(14)が
このような傾斜角度を有する結果として、所定の曲線状構造は、横方向の曲率成分を有することになり、図10に示すような弦巻形状をなす。傾斜角αを変化させることにより、弦巻のピッチを変化させることができる。これにより、この弦巻形状を、図示例のように開状態(すなわち弦巻形状の隣接する巻回部分の間に空間が存在する状態)と閉状態(すなわち隣接する巻回部分が互いに接している状態)のいずれにも設計することができる。
【0039】
図11と、図12乃至図12Cに示すごとく、本発明の装置の所定の曲線状構造は、細長い部品(10)の長さに沿って一定の曲率を有する一体的な構造である必要はない。例として、図11に示す細長い部品(10)は、第1の曲率半径R1を有する第1領域(24)と、第1の曲率半径R1より大きい第2の曲率半径R2を有する第2領域(26)を備えた所定の曲線状構造(図12C)を生み出す。この結果を得るために、領域(24)において、隣接する区画(12)の間に、より角度の大きい屈曲が生じ、及び/又は、区画の間隔がより近くなるように、領域(24)及び(26)の間で、区画(12)の大きさと間隔を異ならせてもよい。
【0040】
図12A乃至図12Cは、図11に示す装置が導管(20)から前進しながら屈曲していく様子を順に示している。細長い部品(10)の先端が、初めて導管(20)を超えて前進するとき、この先端は高さ寸法h1を有する。この高さ寸法h1は、本発明の装置が略直線状の構造をなした状態での寸法と略対応している。(説明の簡略化のために、図における上下の寸法を「高さ」という(しかしながら本発明の装置が任意の向きで使用可能であることは明らかである)。前進の間、領域(24)は、その所定の曲線状構造をなし始める。これにより、直径(すなわち高さ)h2を有する略円状の部分が形成される。h2は小さい曲率半径R1の2倍である。その後、細長い部品(10)が更に前進すると、領域(26)は導管(20)を超えて徐々に延出し、半径R2の円弧をなす。これにより、全体の高さは高さh3(R2の2倍)となる。全体的な結果として、徐々に開いた形状(本明細書中では渦巻状と称する)が得られる。例えば、細長い部品(10)に、更に小さい間隔で設けられた区画を備える第3の領域を形成して、曲率半径を更に拡大させていくことにより、この形状を連続させていくことができる。
【0041】
本発明の装置の有効な高さが徐々に増加すること、特に図12Bの高さh2から図12Cの高さh3への変化は、本発明の装置を、物体の一部を持ち上げるため、又は物体の2つの部分の間に間隔を開けるための機構として好適に使用可能なものとする。このような用途の例は以下で説明される。
【0042】
本明細書中において、「渦巻形状」との語は、口語的な意味で、内側/外側に渦を巻いた任意の形状のことをいい、幾何学的な渦巻形状に限定されない。幾何学的な渦巻形状は本明細書中においては「完全な渦巻形状」と称される。製造の容易さから、ここで説明されるような曲率半径を段階的に増加させることにより形成される渦巻形状が好適に用いられる。しかしながら、区画の大きさ及び/又は区画間の間隔を連続的に異ならせることにより得られる完全な渦巻形状に正確に近似した形状や、様々な屈曲を有する所望の輪郭を用いることも可能である。
【0043】
図13及び図14に示すごとく、図9A乃至図10を参照して上記で説明した横方向への連続の原理と、図11乃至図12Cを参照して上記で説明した曲率の変化の原理を組み合わせると、事実上無限の種類の三次元弦巻状構造を得ることができる。これらの構造において、曲率半径と軸方向への連続は、所望の具体的な用途にしたがって任意に選択される。図13及び図14は、これら原理を組み合わせた形態のうち特に重要な2つの例を示す。
【0044】
図13は、細長い部品(10)の所定の曲線状構造を概略的に示している。細長い部品(10)は円錐形の弦巻形状に形成されている。すなわち、細長い部品(10)は、軸方向に連続した一連の巻回部分からなり、これら巻回部分の曲率半径は連続的に増加している。上述の如く、曲率半径は、連続的に変化しても(すなわち隣接する区画の組ごとの間で異なる)或いは段階的に変化してもよい。段階的な変化としては、数個の区画ごとの変化、或いは一巻回部分内の90度又は180度ごとの変化が挙げられる。
【0045】
図14は、細長い部品(10)の先端部が、平面状の渦巻状部(30)(図12Cと同様)を形成し、細長い部品(10)の第2の部分が弦巻状部(32)を形成した更に好適な例を示す。この場合、弦巻状部(32)が閉じた弦巻形状であり、すなわち各巻回部分が隣接する巻回部分と接するように配置されている(「積み重ねられた巻回部分」と称する)。このように巻回部分同士が接触していることにより、この形状は構造的に頑丈となり、相当な力が必要とされる場合にも、本発明の装置を用いて物体の一部を持ち上げたり、物体の2つの部分の間に間隔を設けたりすることが可能となる。同時に、先端部に平面状の渦巻状部(30)が存在することにより、持ち上げられる物体と確実に平面で接することができる。この結果、持ち上げられる物体が、細長い部品の先端部により強く摩擦されることが防止される。この実施形態の装置の使用については後述する。
【0046】
図15A乃至図17Bに示すごとく、区画(12)の形状を様々に変更して、様々な形態の連結部を形成することができる。これにより、本発明の所定の曲線状構造の機械的安定性が向上される。図15A及び図15Bは、変更形態の一例を示し、この形態において、当接表面(16)と、対応する当接表面(18)は連結部を形成している。図15Bに示す完全に屈曲した状態において、この連結部は、細長い部品のねじれ変形に抗する役割を担う。ここで示す例において、当接表面(16)はスロット(34)を備えるように形成され、相補的な当接表面(18)は突出部(36)を備えるように形成される。突出部(36)はスロット(34)と噛合うように形成される。
【0047】
図16A及び図16Bは、鋭角の突出部とスロットを用いることなく同様の効果を得るための実施形態を示す。この実施形態の装置は、凹面をなした当接表面(16)と凸面をなした当接表面(18)を備える。図16Bは、図16Aと同様の構造を中空とした実施形態を示す。
【0048】
図17A及び図17Bは、図14の弦巻状部(32)などの閉じた弦巻形状に特に適した別の実施形態を示す。この実施形態によると、積み重ねられた巻回部分に更に安定性を持たせることができる。この実施形態によると、区画(12)の側面は、相補的な連結部を備え、弦巻状部の連続する巻回部分が横方向に移動することが防止される。図17Aの例において、これら相補的な連結部は、例えば突出部(38)及びスロット(40)として形成される。図17Bの例は、単一の段部又は肩部(42)を備える。この第2の変更形態は、閉じた円錐形渦巻状部を固定するためにも用いられる。この場合隣接する巻回部分の半径方向の寸法の間の差は、単一の段部の幅と等しい。
【0049】
図18A及び図18Bは、本発明の装置の変更形態を示す。この実施形態において、細長い部品が、2次元又は3次元の任意の形状を有する所定の曲線状構造を備えることが容易となる。また、この実施形態の装置は、曲線状の形状をなすように付勢されている。特に、この方法によると、細長い部品(一般的に一定形状の断面を備える)はまず、既知の技術を用いて所望の所定の曲線状構造として形成される。この技術としては、金属材料に用いるワイヤー又はバー形成技術と、ポリマー材料の成形又は押出し成形技術が挙げられる。3次元形状としては、断面が円状の形状が好ましい。細長い部品は、複数のスリット(44)を形成するように切込みを施される。スリット(44)は、局所的な湾曲の内側から外側に向けて設けられる。断面が円状である場合、対応するクリアランス・チャネル(46)が部品の反対側から設けられる。最も好ましくは、円形の穴部(48)がスリット(44)のそれぞれの基端部に設けられる。これにより、応力を材料中に分散させることができる。この構造では、細長い部品(10)の複数の区画(12)はスリット(44)間に形成され、有効なヒンジ部(14)は穴部(48)とクリアランス・チャネル(46)の間に形成される。これにより、細長い部品が図18Bに示す略直線状の状態まで開くことが可能となる。ここでは、視覚的表現の簡潔さの点から、波状部(curvature reversal)を含む2次元形状を例示する。曲率と、スリット(44)とクリアランス・チャネル(46)により定められる対応するヒンジ部の軸の方向は、任意に選択される角度で回転可能である。これにより、略任意の3次元曲線形状が形成可能となる。この結果得られる構造は、必要に応じて略直線状の形状となるまで開くことができるが、この構造は所定の曲線状構造に戻るように自然に予め付勢されている。
【0050】
図19A乃至図19Eを参照する。上述の如く、本発明の装置は、区画(12)と有効なヒンジ部(14)の構造を様々に変えて実施可能である。本発明を限定するものではないが、特定の用途に好適な更に別の例として、図19A乃至図19Cは、別個に形成された区画(12)の一つの実施形態を示し、図19D及び図19Eは、一連のこのような区画(12)をシート状スプリング材(60)に沿って隣接させて並べることにより形成された細長い部品(10)を示す。シート状スプリング材(60)は、区画(12)内に形成されたチャネル(62)を貫通し、区画を直線状に整列させている。シート状スプリング材(60)は好ましくは弾性的に図19Eの曲線状の形状に回復するように曲線状の形状に予め付勢される。またシート状スプリング材(60)を図19Dの形状まで直線状にすることも可能である。ここで示す例において、各区画(10)は略円筒形の中央開口部(64)を更に備える。開口部(64)は、細長い部品内に直線状に整列しており、上記の意味での「中空」部を形成している。この円状の中央チャネルは、以下で図20A乃至図21Bを参照して説明される可撓性のドリル・シャフトといった用途に特に好適である。
【0051】
本発明の装置の使用について説明する。本発明は、所定の曲線形状を有し、導入を容易にするための細長い構造(例えば導管)内を通される間に直線状となる構造を用いることが有益であるような全ての場面で使用可能である。本発明を好適に使用可能な用途の種類の例としては、例えば、これらには限定されないが、チャネルを形成するためのトンネル形成及び穿孔、材料の取り出し、物体への固定、2つの物体同士を固定、及び補強構造の提供が挙げられる。また本発明は、充填材、拡張器、及び医療用インプラントとしても使用可能である。
【0052】
本発明の装置が導入される物体の物理的特性によっては、本発明の装置は自らチャネルを形成することもできる。この場合、材料の圧縮、材料の移動、或いは図4乃至図6に示す中空の実施形態の場合、中空の装置内に入った筒状の材料の切り出しといった1もしくはそれ以上の工程が用いられる。若しくは、所定の機構(図示せず)を用いて、本発明の装置を材料内へ機械的に進ませてもよい。その他の場合、本発明の装置は能動的ドリル能力を有することが必要又は好適である。本発明をドリルとともに用いる場合の好適な形態を図20A乃至図21Bに概略的に示す。
【0053】
図20A乃至図20Cは、本発明の内容に従って形成された曲線状ドリル用アタッチメントを示す。このアタッチメントは、従来の或いは僅かに変更を加えたドリルとともに用いられる。このアタッチメントは、回転ドリル部(50)を備える。回転ドリル部(50)は回転可能なドライブ・シャフトからなり、少なくとも部分(52)において可撓性を有するとともに、末端部にドリル用バー(drilling burr)(54)を備える。シャフトの可撓性部分(52)は、図示のように螺旋ばねであっても、或いは、回転力をドリル用バーへ効果的に伝達可能であれば、その他の可撓性の駆動用部品であってもよい。ドリル部(50)は中空の形態の細長い部品(10)内に配される。細長い部品(10)は、可撓性部分(52)周囲に、回転しない状態で固定される。細長い部品(10)周囲には、ばね(58)によりドリル用バー(54)の方向へ付勢された外側導管(56)が配される。図20Cに示すごとく、ここで示す好適な実施形態の細長い部品(10)と外側導管(56)は、矩形状の断面を有する。
【0054】
図21A及び図21Bはドリル用アタッチメントの動作を示す。ドリルが物体内を進む間、外側導管(56)は元の位置に残される。これは、ドリル部の後を追って穴を進むには外側導管(56)が大きすぎるからか、或いは直線的ドリルの深さを定めるためのフランジ(図示せず)が存在するからである。外側導管(56)の前進が停止した後ドリル部(50)が前進すると、細長い部品(10)の導管を超えた部分が、その所定の曲線状構造(この例においては円弧)を形成する。これにより可撓性部分(52)が屈曲し、ドリル用バー(54)は図21Bに示す弓状の経路を進む。これらの原理に従ったドリル用アタッチメントと対応するドリル方法は、幅広い様々な用途に使用可能である。
【0055】
例えば、家庭内の用途では、弓状にドリルされたチャネルを用いて壁又はその他の対象を固定することができる。同様に歯科的な用途では、この形状の穿孔は、骨内にインプラントを固定するために重要である。本発明の範囲を限定するものではないが、その他の例は以下で説明される。
【0056】
補足として、このドリル技術は、より複雑な3次元構造を掘削するためにも使用できる。例えば、弦巻状で中空の細長い部品が用いられた場合、中実の材料を通って弦巻状の孔を掘削することができる。このような穴は、様々な用途で有用である。この用途としては、シリンダの円筒状壁部内に冷却剤を送り込むための弦巻状冷却用チャネルの形成などが挙げられるが、これには限定されない。
【0057】
図22A乃至図22Cと、図23A乃至図23Cは、本発明の弓状掘削技術の更に別の医療的用途を示す。この例において、本発明を用いて骨の固定が行われる。特に、これらの図に示される例は、頚部の椎骨内での固定に関する。頚部の椎骨内での固定は、海綿状の骨の体積が不足していることから、非常に困難であると考えられている。従来の方法と異なり、本発明のこの好適な実施形態は、皮質骨(表面)を貫く4つの非共線的接合領域を用いることにより、効果的な固定を行うことが可能である。本明細書中において、この固定方法は、「4箇所皮質骨接合(quadru−cordical bone engagement)」と称される。この4つの接合領域は、図22A及び図23Aにおいて番号を付された直線により示されている。図22A乃至図22Cは背面から頚部骨を固定する場合を示し、一方で図23A乃至図23Cは前面から頚部骨を固定する場合を示す。いずれの場合も、固定用部材として、ドリル作業中に挿入された細長い部品(10)を用いることができる。或いは、ドリル用アセンブリの全体が引き出されて、別個の固定用部材がチャネル内に挿入されてもよい。
【0058】
図24は、椎間板の補強について、関連する技術と対応する手法を示している。特に、図24においては、本発明に係る細長い部品(10)は、垂直方向に隣接する椎骨内に配された椎弓根ねじ(66)間の半円状の弧内を垂直方向に通っている。特により緩やかに湾曲した状態へ開く能力といった細長い部品(10)の特性により、椎骨間において、屈曲又は変形を生じる相対的運動が相当程度可能となる。同時に、細長い部品はその所定の曲線形状より大きく屈曲しにくいから、相当な垂直方向の負荷に耐える能力を有する。この結果、椎骨間の間隔が維持され、椎間板(図示せず)からの圧力が開放される。若しくは、追加的な弾性材料(68)を細長い部品(10)内に組込むことにより、追加的な衝撃緩和効果を得ることもできる。
【0059】
図25A乃至図25Cは、椎間板の代替物としての本発明の弦巻状の細長い部品の使用を示す。この場合、細長い部品(10)は好ましくは単一の椎弓根ねじ(66)を介して挿入され、この挿入後に椎弓根ねじ(66)に固定される。この弦巻状のインプラントの外観上の特徴は略円筒状であり、その軸を横に向けて配置されている。これにより、屈曲動作を制限することなく隣接する椎骨間における支持となる。
【0060】
図26A乃至図26Cは、本発明の更に好適な実施形態を示す。この実施形態では、椎間板の代替として、高さを調節可能な図14の構造が用いられる。この場合、本発明の装置は、椎弓根間を介して、椎骨間の体積部分内へ直接導入される。この体積部分は予め切除術により取り除かれていることが好ましい。細長い部品が導入される間、細長い部品の先端部はまず平らな渦巻形状をなし、上方(又は下方)の椎骨の間に、摩擦を生じない接触表面を形成する。その後、細長い部品が更に前進させられると、閉じた弦巻形状が積み重なり始め、所望の高さが得られるまで、徐々に上方の椎骨を下方の椎骨から持ち上げていく。細長い部品はその後、単一の椎弓根(66)に固定され、固定された状態の椎間板代替物としての役割を担う。
【0061】
図27A乃至図27Cは、本発明に係る脊柱側弯症の段階的矯正のための低侵襲性処置を概略的に示している。ここで示す実施形態において、渦巻状の形態の細長い部品が、脊柱の椎骨の離間が必要な面上に位置する椎弓根供給ねじを介して導入される。渦巻状の形状の連続する巻回部分が徐々に拡径していることにより、上方の椎骨が徐々に下方の椎骨から持ち上げられる。この過程はいくつかの椎骨に対して並行して行われる。この処置が部分麻酔のみを用いて行われる場合、患者は椎骨の矯正の間、立った姿勢を維持することを求められ、最適な矯正が完了するまでこの調節は繰り返し行われる。この実施形態でも、必要な矯正が完了すれば、細長い部品は椎弓根ねじに固定されて切断され、インプラントとして滞留する。
【0062】
図28A乃至図28Cは、複数の区画を備えた椎体に対する補強としての本発明の細長い弦巻状の実施形態の使用を示す。特に、密な弦巻形状を有する細長い部品(10)を用いることにより、補強用部品を単一の椎弓根ねじを介して導入することが可能となる。導入の後の補強用部品は、複数の隣接する椎骨の椎体と椎間板を通って垂直に延設する。この補強用部品は、図28Aに示すように上方に延設してもよいし、図28Bに示すように下方に延設してもよい。各部品の導入には一つの椎弓根しか必要とされないから、図28Cに示すように、一つの部品を第1の上方に延設する椎弓根を介して導入し、第2の部品を下方に延設するもう一方の椎弓根を介して導入することも更に可能である。
【0063】
図29A乃至図29Cを参照しつつ、椎骨の高さ回復に用いる本発明の一つの実施形態を説明する。図26A乃至図26Cを参照して説明した椎間板の高さ回復におけるように、本発明のこの実施形態においてもまた、図14を参照して上記で説明した形状の細長い部品が好適に用いられる。その使用方法は、図26A乃至図26Cに示される方法と同様である。
【0064】
図29A及び図29Bは、健康な椎骨を有する脊柱と、破壊された椎骨を有する脊柱を対照的に示す。図29Cは、本発明に係る細長い部品(10)を導入した後の図29Bに示す脊柱を示している。図29B及び図29Cにおいて破壊された椎骨に隣接する椎骨上に重ねられた黒線は、椎骨の高さが回復されたことを明瞭に示している。任意により、配備された部品の内部空間は、適切な生体適合性材料により充填され、更なる構造的又は治療的特性を付加される。構造用充填材料の例としては、これには限定されないが、骨セメント、可撓性生体適合性充填材、骨の成長を促す骨誘導剤(osteo−indutive agents)が挙げられる。またこれらは、骨移植片及び骨髄を含む。この内部空間に導入可能な治療用材料の例としては、これには限定されないが、抗生物質、抗悪性腫瘍薬、及び抗分裂剤が挙げられる。
【0065】
本発明の使用例のうち非常に限られた例が説明されたが、医療分野及びその他の分野において、その他の多くの処置及び治療に本発明が使用可能であることが明らかである。例えば、細長い部品の様々な中空の実施形態は、任意により、例えば組織診における組織試料の採取や、例えば切開術における組織の除去のために使用できる。
【0066】
上記の説明は、例示のためにのみ示されたものであり、以下の請求の範囲に定められる本発明の範囲内で多くのその他の形態が可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体内に導入されて該物体内で所定の曲線状構造を形成するための装置であって、該装置が、
複数の区画からなる細長い部品を備え、
前記細長い部品は、前記複数の区画の隣接するもの同士の間でヒンジによる相互接続か、或いは可撓性による相互接続を形成し、前記細長い部品が断面形状を有し、
前記装置は、さらに、
前記細長い部品の前記断面形状と緊密に噛合う形状を備えた導管を備え、
前記複数の区画及び前記ヒンジによる相互接続か、或いは可撓性による相互接続は、
(a)前記細長い部品が前記導管内で制限されるとき、前記相互接続部が、一つの区画から次の区画へ圧縮力を伝えて、これにより前記細長い部品が押し出されて前記導管を介して前進することを可能とし、
(b)前記細長い部品が前記導管内で制限されないとき、前記相互接続により、前記次の区画に対して一つの区画が屈曲することが可能とされ、これにより前記細長い部品が屈曲した状態とされ、該屈曲した状態が、前記細長い部品の所定の曲線状構造に対応する、
ことを特徴とする装置。
【請求項2】
前記所定の曲線状の構造が、少なくとも180度の中心角をもって弓状に湾曲可能であることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記所定の曲線状の構造が、第1の曲率半径を有する第1の領域と、該第1の曲率半径より大きい第2の曲率半径を有する第2の領域を備えることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項4】
前記所定の曲線状構造が、円錐形の弦巻状であることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項5】
前記所定の曲線状構造が、弦巻状構造を含むことを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項6】
前記区画の側面が、相補的なロック構造を有し、前記弦巻状構造の連続する巻回部分が横方向に移動することが防止されることを特徴とする請求項5記載の装置。
【請求項7】
前記所定の曲線状構造が、
(a)平面状の渦巻状部を形成する第1の部分と、
(b)弦巻状部を形成する第2の部分を備えることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項8】
前記相互接続のそれぞれが、隣接する区画の間を接続する可撓性材料の平らな接続部分により形成されることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項9】
前記平らな接続部分が、隣接する前記区画と一体的に形成されることを特徴とする請求項8記載の装置。
【請求項10】
全ての前記区画と全ての前記平らな接続部分が一体的に形成されることを特徴とする請求項8記載の装置。
【請求項11】
前記平らな接続部分のそれぞれが、前記細長い部品が完全に屈曲した状態となる傾向を有するように、弾性的に付勢されて前記区画を屈曲させる、ことによって与えられることを特徴とする請求項8記載の装置。
【請求項12】
前記各区画のそれぞれが、非中空の材料ブロックから形成されることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項13】
前記区画のそれぞれが、中空の材料ブロックから形成されることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項14】
前記細長い部品がさらに、前記細長い部品が媒体中を前進するとき、前記細長い部品が前記完全に屈曲した状態まで変形するような角度に面取りされた先端部を含むことを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項15】
前記細長い部品を変形させるために前記細長い部品の長さ方向に沿って配備された引張部品をさらに含むことを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項16】
前記区画の第一の当接表面と、前記区画の隣接する一つの対応する当接表面が、連結構造を有し、これにより、前記完全に屈曲した状態において、前記連結構造が前記細長い部品のねじれ変形に抗することを補助することを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項17】
前記細長い部品の前記断面形状は、略矩形の断面を有していることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項18】
前記物体に対して前記細長い部品を固定する少なくとも1つの固定部を更に備え、前記細長い部品がインプラントの少なくとも一部をなすことを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項19】
前記細長い部分の先端部に取付けられるドリル用部品を更に備えることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項20】
前記細長い部品の長さが、前記細長い部品の横方向の寸法のそれぞれと比べて少なくとも10倍以上大きいことを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項1】
物体内に導入されて該物体内で所定の曲線状構造を形成するための装置であって、該装置が、
複数の区画からなる細長い部品を備え、
前記細長い部品は、前記複数の区画の隣接するもの同士の間でヒンジによる相互接続か、或いは可撓性による相互接続を形成し、前記細長い部品が断面形状を有し、
前記装置は、さらに、
前記細長い部品の前記断面形状と緊密に噛合う形状を備えた導管を備え、
前記複数の区画及び前記ヒンジによる相互接続か、或いは可撓性による相互接続は、
(a)前記細長い部品が前記導管内で制限されるとき、前記相互接続部が、一つの区画から次の区画へ圧縮力を伝えて、これにより前記細長い部品が押し出されて前記導管を介して前進することを可能とし、
(b)前記細長い部品が前記導管内で制限されないとき、前記相互接続により、前記次の区画に対して一つの区画が屈曲することが可能とされ、これにより前記細長い部品が屈曲した状態とされ、該屈曲した状態が、前記細長い部品の所定の曲線状構造に対応する、
ことを特徴とする装置。
【請求項2】
前記所定の曲線状の構造が、少なくとも180度の中心角をもって弓状に湾曲可能であることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記所定の曲線状の構造が、第1の曲率半径を有する第1の領域と、該第1の曲率半径より大きい第2の曲率半径を有する第2の領域を備えることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項4】
前記所定の曲線状構造が、円錐形の弦巻状であることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項5】
前記所定の曲線状構造が、弦巻状構造を含むことを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項6】
前記区画の側面が、相補的なロック構造を有し、前記弦巻状構造の連続する巻回部分が横方向に移動することが防止されることを特徴とする請求項5記載の装置。
【請求項7】
前記所定の曲線状構造が、
(a)平面状の渦巻状部を形成する第1の部分と、
(b)弦巻状部を形成する第2の部分を備えることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項8】
前記相互接続のそれぞれが、隣接する区画の間を接続する可撓性材料の平らな接続部分により形成されることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項9】
前記平らな接続部分が、隣接する前記区画と一体的に形成されることを特徴とする請求項8記載の装置。
【請求項10】
全ての前記区画と全ての前記平らな接続部分が一体的に形成されることを特徴とする請求項8記載の装置。
【請求項11】
前記平らな接続部分のそれぞれが、前記細長い部品が完全に屈曲した状態となる傾向を有するように、弾性的に付勢されて前記区画を屈曲させる、ことによって与えられることを特徴とする請求項8記載の装置。
【請求項12】
前記各区画のそれぞれが、非中空の材料ブロックから形成されることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項13】
前記区画のそれぞれが、中空の材料ブロックから形成されることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項14】
前記細長い部品がさらに、前記細長い部品が媒体中を前進するとき、前記細長い部品が前記完全に屈曲した状態まで変形するような角度に面取りされた先端部を含むことを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項15】
前記細長い部品を変形させるために前記細長い部品の長さ方向に沿って配備された引張部品をさらに含むことを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項16】
前記区画の第一の当接表面と、前記区画の隣接する一つの対応する当接表面が、連結構造を有し、これにより、前記完全に屈曲した状態において、前記連結構造が前記細長い部品のねじれ変形に抗することを補助することを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項17】
前記細長い部品の前記断面形状は、略矩形の断面を有していることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項18】
前記物体に対して前記細長い部品を固定する少なくとも1つの固定部を更に備え、前記細長い部品がインプラントの少なくとも一部をなすことを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項19】
前記細長い部分の先端部に取付けられるドリル用部品を更に備えることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項20】
前記細長い部品の長さが、前記細長い部品の横方向の寸法のそれぞれと比べて少なくとも10倍以上大きいことを特徴とする請求項1記載の装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図12C】
【図13】
【図14】
【図15A】
【図15B】
【図16A】
【図16B】
【図17A】
【図17B】
【図18A】
【図18B】
【図19A】
【図19B】
【図19C】
【図19D】
【図19E】
【図20A】
【図20B】
【図20C】
【図21A】
【図21B】
【図22A】
【図22B】
【図22C】
【図23A】
【図23B】
【図23C】
【図24】
【図25A】
【図25B】
【図25C】
【図26A】
【図26B】
【図26C】
【図27A】
【図27B】
【図27C】
【図28A】
【図28B】
【図28C】
【図29A】
【図29B】
【図29C】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図12C】
【図13】
【図14】
【図15A】
【図15B】
【図16A】
【図16B】
【図17A】
【図17B】
【図18A】
【図18B】
【図19A】
【図19B】
【図19C】
【図19D】
【図19E】
【図20A】
【図20B】
【図20C】
【図21A】
【図21B】
【図22A】
【図22B】
【図22C】
【図23A】
【図23B】
【図23C】
【図24】
【図25A】
【図25B】
【図25C】
【図26A】
【図26B】
【図26C】
【図27A】
【図27B】
【図27C】
【図28A】
【図28B】
【図28C】
【図29A】
【図29B】
【図29C】
【公開番号】特開2012−115693(P2012−115693A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−25498(P2012−25498)
【出願日】平成24年2月8日(2012.2.8)
【分割の表示】特願2007−548961(P2007−548961)の分割
【原出願日】平成17年12月28日(2005.12.28)
【出願人】(509062893)ノンリネア テクノロジーズ エルティディ. (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年2月8日(2012.2.8)
【分割の表示】特願2007−548961(P2007−548961)の分割
【原出願日】平成17年12月28日(2005.12.28)
【出願人】(509062893)ノンリネア テクノロジーズ エルティディ. (1)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]