説明

番組素材の本編部分自動切り出し方法

【課題】本編部分の切り出しのときに、オペレータの負担を軽減することができる番組素材の本編部分自動切り出し方法を提供する。
【解決手段】オンエアー時に使用される本編部分と、黒味部分とが交互に且つ両部分間に所望により設けられる捨てカット部分からなる番組素材101をビデオサーバ104に収録すると共に、番組素材101のうちの黒味部分を自動検出して、自動的に本編部分を切り出すことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放送局で用いられる放送番組送出システムにおける番組素材の収録、本編部分の自動分割に関する。
【背景技術】
【0002】
放送局での放送に用いる番組素材をビデオサーバに収録し、放送する番組等を送出する放送番組送出システムにおいては、例えば、図4に示すフォーマットで記録された番組素材テープ401が使用される。この番組素材テープ401は、番組制作者が製作したVTRテープである。
【0003】
一巻の番組素材テープ401には、例えば、捨てカット部分31、本編部分1(11)、捨てカット部分32、黒味映像部分21、捨てカット部分33、本編部分2(12)、捨てカット部分34、黒味映像部分22、捨てカット部分35、本編部分3(13)、捨てカット部分36からなる番組素材101が、順次記録されている。
【0004】
また一巻の番組素材テープ401には、番組素材101の他に、番組素材101における各部分の時刻を示すタイムコードが一緒に記録されている。
【0005】
図4では、一巻の番組素材テープ401の本編部分が、本編部分1(11)、本編部分2(12)、本編部分3(13)の三つの部分からなる場合を示したが、一例であり、その数は限定されない。
【0006】
オンエアー(送出)する前に、図4に示す番組素材テープ401を映像記録再生装置(VTR)で再生して、番組素材テープ401に記録されている番組素材101を、ビデオサーバに収録する。
【0007】
オンエアー(送出)するときは、ビデオサーバに収録されている番組素材の中から実際に放送される本編部分を切り出してオンエアー(送出)する。
【0008】
オンエアー(送出)する前段階として、番組素材のうちの本編部分を切り出すために、まず、各本編部分の開始点時刻、終了点時刻や本編部分の長さ等を示す本編部分切り出しデータを検出し、データサーバに登録しておく。
【0009】
このことで、オンエアー(送出)するときには、制御コンピュータが、データサーバに登録されている本編部分切り出しデータに基づき、ビデオサーバに収録されている番組素材のうちの中から実際に放送される本編部分を切り出す。
【0010】
従来、本編部分切り出しデータの検出は、ビデオサーバに収録された番組素材の映像を表示部に表示し、オペレータが、番組素材の映像を初めから最後まで全て目で見て確認しながら、行っていた。
【0011】
なお、本編部分はロールデータといわれるが、ロールデータをビデオサーバから切り出すことについては、例えば特許文献1に記載されている。
【0012】
【特許文献1】特開2004−48249号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本編部分の切り出しを行うために、オペレータが、表示部に表示された番組素材の映像を最初から最後まで全て目で見て確認しながら行うので、オペレータがずっと凝視している必要があった。
【0014】
そのため、本編部分の切り出しに多くの時間、及び、労力を有していた。
【0015】
本発明の目的は、本編部分の切り出しのときに、オペレータの負担を軽減することができる番組素材の本編部分自動切り出し方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
第1の本発明は、オンエアー時に使用される本編部分と、黒味部分とが交互に且つ両部分間に所望により設けられる捨てカット部分からなる番組素材をビデオサーバに収録すると共に、前記番組素材のうちの前記黒味部分を自動検出して、自動的に本編部分を切り出すことを特徴とする。
【0017】
第2の本発明は、第1の本発明において、自動的に切り出した本編部分の区分と本編部分の開始位置を示すタイムコードとを保存するとともに、画面に表示し、前記本編部分が選択されたとき、保存したタイムコードを用いて、前記ビデオサーバで前記本編部分開始位置のフレーム画像をサーチして、前記画面に表示することを特徴とする。
【0018】
第3の本発明は、第2の本発明において、サーチした前記本編部分開始位置のフレーム画像を前記画面に表示した後、前記本編部分開始位置を示すタイムコードの値を変えて、前記画面上における前記本編部分開始位置のフレーム画像の位置を微調整し、オンエアー(送出)したい本編部分の本編部分開始位置を決定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、本編部分の切り出しのときに、オペレータの負担を軽減することができる番組素材の本編部分自動切り出し方法を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図1は、本発明による番組素材の本編部分自動切り出し方法を備えた放送システムの実施の形態のブロック構成図である。図2は、本編自動切り出しを実行するとき及び実行したときの登録/プレビュー卓(パソコン)におけるファイリング/プレビューの画面である。
【0021】
図1において、101は図4に示す番組素材、102は映像記録再生装置(VTR)、103は分配器、104はビデオサーバ、105はスイッチャー、106は映像モニタ、107はキャプチャーボード、108は登録/プレビュー卓(パソコン)、109はデータサーバ、110は制御用コンピュータ、111はオンエアー用分配器、112はオンエアー用映像モニタである。
【0022】
映像記録再生装置(VTR)102は分配器103に接続され、分配器103はビデオサーバ104とスイッチャー105に接続され、ビデオサーバ104はオンエアー用分配器112とスイッチャー105に接続されている。
【0023】
登録/プレビュー卓(パソコン)108は、キャプチャーボード107を介して、データサーバ109と制御用コンピュータ110とにLANにて接続され、データサーバ109は上位システム(データ管理システム)とLANにて接続されている。
【0024】
オンエアー(送出)する前に、図4に示す番組テープ401を図1に示す映像再生装置102で再生して、番組テープ401に記録されている番組素材101(図4)を、ビデオサーバ104に収録する。
【0025】
オンエアー(送出)の指示があったとき、制御コンピュータ110は、データサーバ109から本編部分切り出しデータを取得し、取得した本編部分切り出しデータに基づきビデオサーバ104を制御する。
【0026】
このことにより、ビデオサーバ104に収録されている番組素材のうちの本編部分のみが自動的に切り出され、オンエアー用分配器111を経由して外部にオンエアー(送出)され、またその際オンエアー用映像モニタ112でモニタされる。
【0027】
本実施の形態では、本編部分切り出しデータを、登録/プレビュー卓(パソコン)108を用いて作成する。
【0028】
登録/プレビュー卓(パソコン)108を起動すると、登録/プレビュー卓(パソコン)108は、データサーバ109で管理しているリストデータを読み込み、図示していないリストの画面を表示する。
【0029】
オペレータがリストの中のファイリング/プレビューを選択すると、登録/プレビュー卓(パソコン)108は、データサーバ109で管理しているファイリング/プレビューデータを読み込み、図2に示すファイリング/プレビューの画面を表示する。
【0030】
図2は、登録/プレビュー卓(パソコン)におけるファイリング/プレビューの画面である。
【0031】
図2において、201はキャプチャー画面部、202はタイムコード表示部、203はビデオサーバ操作ボタン、204はマークイン/アウト表示部、205は番組テープデータ表示部、206は本編部分自動切り出しデータ表示部、207は本編部分開始位置のフレーム画像表示部である。
【0032】
図2において、ビデオサーバ操作ボタン203のうちの再生ボタンを選択すると、図1の登録/プレビュー卓(パソコン)108は、再生指示データを制御コンピュータ110に伝達し、制御コンピュータ110は、伝達された再生指示データに基づきビデオサーバ104を制御する。
【0033】
このことにより、ビデオサーバ104に収録されている番組素材101、すなわち、図4に示す、捨てカット部分31、本編部分1(11)、捨てカット部分32、黒味映像部分21、捨てカット部分33、本編部分2(12)、捨てカット部分34、黒味映像部分22、捨てカット部分35、本編部分3(13)、捨てカット部分36が、順次再生される。
【0034】
再生された番組素材101は、ビデオサーバ104のプレビューラインから、スイッチャー105、映像モニタ106、キャプチャーボード107を経由して登録/プレビュー卓(パソコン)108に伝達される。
【0035】
そのことにより、図2に示す登録卓/プレビューの画面で、キャブチャー画面部201に、番組素材101の再生フレーム画像が順次表示され、且つタイムコード表示部203に、番組素材101の再生位置を示すタイムコードが順次表示される。またマークイン/アウト表示部204に、本編部分の開始点(IN点)を示すタイムコード、終了点(OUT点)を示すタイムコード、本編部分の長さ(デュレーション)を示す時間が順次表示される。
【0036】
登録/プレビュー卓(パソコン)108に伝達された番組素材101は、登録/プレビュー卓(パソコン)108に備えたコンピュータ(CPU)で解析される。
【0037】
図3は、登録/プレビュー卓(パソコン)108に備えたコンピュータ(CPU)が、番組素材を解析し、自動的に本編部分を切り出すフローの一例を示す図である。
【0038】
まず、ステップS301において、キャプチャーボード107から番組素材101を読み込み、キャプチャー画面部201にフレーム画像を表示する。
【0039】
次にステップS302において、フレーム画像の各画素が黒レベルであるかを判定する。
【0040】
次にステップS303において、一フレーム(画面)を構成する画素のうち黒レベルのとなる画素の数が所定数以上であるかを判定し、所定数以上の場合に黒味部分と判断する。
【0041】
次にステップS304において、黒味部分が所定フレーム数連続したかを判定し、所定フレーム数連続した場合に黒味映像部分と判断する。
【0042】
次にステップS305において、番組素材テープ全てを再生したかを判定する。
【0043】
次にステップS306において、黒味映像部分を除いた番組素材の部分を、本編部分として切り出す。
【0044】
このようにして本編部分を切り出すと、登録/プレビュー卓(パソコン)108は、本編部分を切り出したときの各本編部分データを保存するとともに、図2における本編部分自動切り出しデータ表示部206に、本編部分を切り出したときの各本編部分データを表示する。
【0045】
すなわち、図4に示す番組素材101のうちの本編部分1(11)、本編部分2(12)、本編部分3(13)を表示する。
【0046】
表示の内容は、自動的に切り出した本編部分の区分(枠名)、本編部分開始点(VTR IN/LAP)、本編部分の長さ(デュレーション)、素材ID等である。
【0047】
また、一巻の番組素材テープ401が再生し終わると、番組テープデータ表示部205に、一巻の番組素材テープデータを表示する。
【0048】
表示の内容は、収録開始のタイムコード、本編部分開始点(VTR IN/LAP)、テープ長等である。
【0049】
また、本編部分開始位置のフレーム画像表示部207に、各本編部材開始位置のフレーム画像を表示する。
【0050】
オペレータは、この時点までは、表示部に表示された番組素材の映像を目で確認する必要がない。
【0051】
切り出した本編部分はその前後の捨てカット部分を含んでいるため、切り出した本編部分からオンエアー(送出)したい本編部分のみを切り出すためには、まず、オンエアー(送出)したい本編部分の開始点をサーチする。
【0052】
そのため、本編部分自動切り出しデータ表示部206に表示された各本編部分のうち例えば本編部分1を選択する。すると、図1の登録/プレビュー卓(パソコン)108は、切り出された本編部分1の開始点(VTR IN/LAP)を示すタイムコードを制御コンピュータ110に伝達し、制御コンピュータ110は、ビデオサーバ104をサーチし、伝達されたタイムコードのフレーム画像を再生する。
【0053】
再生されたフレーム画像は、ビデオサーバ104のプレビューラインから、スイッチャー105、映像モニタ106、キャプチャーボード107を経由して登録/プレビュー卓(パソコン)108に伝達され、図2に示す登録卓/プレビューの画面のキャブチャー画面部201に表示される。また本編部分1の開始点を示すタイムコードがタイムコードコード表示部202に表示される。
【0054】
次に、タイムコード表示部202に表示されたタイムコードの値を「1」変えると、図1の登録/プレビュー卓(パソコン)108は、変えたタイムコードを制御コンピュータ110に伝達し、制御コンピュータ110は、ビデオサーバ104をサーチし、変えたタイムコードのフレーム画像を再生する。
【0055】
このように、タイムコード表示部202に表示されたタイムコードの値を「1」変えるたびに、変えたタイムコードのフレーム画像がキャブチャー画面部201に表示され、タイムコードがタイムコードコード表示部202に表示される。
【0056】
したがって、オペレータは、タイムコードの値を変えながらキャブチャー画面部201に表示された番組素材のフレーム画像を、目でみて確認することで、簡単に本編部分1の開始点を決定することができる。
【0057】
本編部分1の開始点の決定は、マークイン/アウト表示部204のMARKボタンを選択することで行うことができ、続いて更新ボタンを選択すると、保存していた切り出しデータのうちの本編部分1の開始点を示すタイムコードが更新される。
【0058】
次に、ビデオサーバ操作ボタン203の再生ボタンを選択して、本編部分1の終了点を目でみて確認し、マークイン/アウト表示部204のMARKボタンを選択し、更新ボタンを選択すると、保存していた切り出しデータのうちの本編部分1の終了点を示すタイムコードが更新される。
【0059】
以上により、切り出した本編部分1からオンエアー(送出)したい本編部分1のみを切り出すことができる。
【0060】
同様にして、切り出した本編部分2からオンエアー(送出)したい本編部分2のみを、切り出した本編部分3からオンエアー(送出)したい本編部分3のみを切り出すことができる。
【0061】
そして、切り出した本編部分の切り出した部分のタイムコード(本編部分切り出しデータ)をデータサーバ109に登録する
このことで、オンエアー(送出)の指示があったとき、制御コンピュータ110は、データサーバから伝達された本編部分切り出しデータに基づきビデオサーバ104を制御することで、ビデオサーバ104に収録されている番組素材のうちのオンエアー(送出)したい本編部分1、本編部分2、本編部分3のみが自動的に切り出され、オンエアー用分配器112を経由して外部にオンエアー(送出)される。
【0062】
本実施の形態では、番組素材から黒味映像部分を除いた本編部分を、番組素材の映像を目で確認することなく、自動的に切り出すことができるので、オペレータの負担を軽減することができる。
【0063】
また切り出した本編部分からオンエアー(送出)したい本編部分のみを切り出すのに、画面に表示された本編部分を選択することで、本編部分開始点までサーチするので、オペレータの負担をさらに軽減することができる。
【0064】
また画面に表示された本編部分のフレーム画像をみて、オンエアー(送出)したい本編部分を決定することができるので、オペレータの負担をさらに軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明による番組素材の本編部分自動切り出し方法を備えた放送システムの実施の形態のブロック構成図である。
【図2】本編自動切り出しを実行するとき及び実行したときの登録/プレビュー卓(パソコン)におけるファイリング/プレビューの画面である。
【図3】登録/プレビュー卓(パソコン)に備えたコンピュータ(CPU)が、番組素材を解析し、自動的に本編部分を切り出すフローの一例を示す図である。
【図4】番組素材テープを示す図である。
【符号の説明】
【0066】
101:番組素材、102:映像記録再生装置(VTR)、103:分配器、104:ビデオサーバ105:スイッチャー、106:映像モニタ、107:キャプチャーボード、108:登録/プレビュー卓(パソコン)、109:データサーバ、110:制御用コンピュータ、111:オンエアー用分配器、112:オンエアー用映像モニタ、201:キャプチャー画面部、202:タイムコード表示部、203:ビデオサーバ操作ボタン、204:マークイン/アウト表示部、205:番組テープデータ表示部、206:本編部分自動切り出しデータ表示部、207:本編部分開始点のフレーム画像表示部、401:番組素材テープ、11,12,13:本編部分、21,22:黒味映像部分、31,32,33,34,35,36:捨てカット部分。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オンエアー時に使用される本編部分と、黒味部分とが交互に且つ両部分間に所望により設けられる捨てカット部分からなる番組素材をビデオサーバに収録すると共に、前記番組素材のうちの前記黒味部分を自動検出して、自動的に本編部分を切り出すことを特徴とする番組素材の本編部分自動切り出し方法。
【請求項2】
請求項1記載の番組素材の本編部分自動切り出し方法において、自動的に切り出した本編部分を示す区分と本編部分開始位置を示すタイムコードとを保存するとともに、画面に表示し、前記本編部分が選択されたとき、保存したタイムコードを用いて、前記ビデオサーバで前記本編部分開始位置のフレーム画像をサーチして、前記画面に表示することを特徴とする番組素材の本編部分自動切り出し方法。
【請求項3】
請求項2記載の番組素材の本編部分自動切り出し方法において、サーチした前記本編部分開始位置のフレーム画像を前記画面に表示した後、前記本編部分開始位置を示すタイムコードの値を変えて、前記画面上における前記本編部分開始位置のフレーム画像の位置を微調整し、オンエアー(送出)したい本編部分の本編部分開始位置を決定することを特徴とする番組素材の本編部分自動切り出し方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−259183(P2007−259183A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−82173(P2006−82173)
【出願日】平成18年3月24日(2006.3.24)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】