説明

番組送出サーバおよび番組再収録方法

【課題】 コンテンツの緊急差替を行っても事故を防ぐ番組送出サーバおよび番組再収録
方法を提供する。
【解決手段】 番組送出サーバBSの制御管理装置4は、番組の素材を再収録するコマン
ドを受信した場合、その素材に仮IDを付与し、VTR1b等から入力される素材のコン
テンツデータをビデオサーバ1に書込記録する制御を行う。そしてデータの書込記録が完
了すると、仮IDとビデオサーバ1に以前に蓄積していたデータに付与されている本来の
IDとを差し替え、仮IDに改名された蓄積していた古いデータを削除し、そしてもし、
書込完了する前に当該素材をオンエアするコマンドを受信した場合は、書込記録中のデー
タでは無く既に蓄積していたデータを読み出して送信機へ向けて送出する。
する制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放送局でオンエア用の番組コンテンツを収録する番組送出サーバおよび番組
再収録方法に関する。
【背景技術】
【0002】
放送局の番組送出は、APC(番組自動送出装置)によって管理されている。即ち、セ
ンター局のデータサーバ(以下、DSと省略する。)から配布される番組時刻表から作成
された番組コンテンツの送出に係わる機器の選択切替等イベント情報がSCP(Sche
dule Control Processor)に設定され、SCPはイベント情報の
各データを参照して所定の時刻に番組コンテンツが送出される。
【0003】
OA(オンエア)進行中は、番組時刻表とイベント情報に従い、番組送出サーバやその
他の素材送出装置等、所定の装置とコンテンツがSCPの制御によって選択、切替操作さ
れる。
【0004】
現在の放送局のOA制御は、上記の如くイベント情報により管理されて番組がSCPに
より制御送出されている為、収録映像のコンテンツを変更する場合には、イベントデータ
を監視制御卓、又は、素材管理システム等の制御入力手段から変更する。原則的には、例
えば、変更対象となる番組のコンテンツ名、及びコンテンツを送出する素材送出装置名称
等を変更する等の処理が必要で、上位のDSやSCPのイベント情報に係わるデータを変
更する。
【0005】
そこで、ニュース、報道番組等では、例えば、ビデオサーバに収録されていたコンテン
ツを取材先で記録した新たなものに緊急に差し換えて放送する必要な場合がある。従来、
この様な差し替えについては、ビデオサーバに収録しているコンテンツを削除し、同じコ
ンテンツ名称(ID)で再収録を行ったコンテンツをビデオサーバから送出する方法が取
られている。
【0006】
しかし、再収録の書き込み途中でOAしなければならなくなった場合、コンテンツが無
いか、未完のため、放送停止自己が発生するので、緊急にコンテンツの差し替えを行うの
は容易でなく、また差し替え処理中のオペレータの手順上の誤りも発生しやすかった。
【0007】
一方、コンテンツを速やかに差し換える方法として上位の機器設定データを変更するこ
となくSCP内での新たな切替先の機器を割り当てておき(例えば、特許文献1。)、予
備用の番組送出サーバに差替コンテンツを予め収録して切り換える方法もある。だが、こ
の場合でも緊急な差替え収録が間に合わない場合も同様に生じる。
【0008】
また、差し替えは、SCPによる管理ではなく素材管理システムから再収録の指示を行
う場合もあり、番組時刻表に対応せずに緊急で無いと考えて再収録を行っている途中でオ
ンエアコマンドが受信される場合もある。
【特許文献1】特開2007−13495号公報 (第12頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来、ビデオサーバに蓄積されているコンテンツを差替えて再収録して送出するには、
一旦収録しているコンテンツを削除してから再収録を行う為の余裕時間が必要な為、オン
エアが差し迫った緊急なコンテンツ差替えが困難な問題、また、再収録中にオンエアコマ
ンドを受信した場合、放送事故が発生する問題があった。
【0010】
本発明は、上記問題を解決するためになされたもので、コンテンツの緊急差替を行って
も事故を防ぐ番組送出サーバおよび番組再収録方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の番組送出サーバは、入力する番組素材のデータを
収録コマンドにより記憶媒体に収録し、自動番組送出設備から入力されるオンエアコマン
ドにより、前記記憶媒体に蓄積記憶している番組素材のデータを読み出して送信機に向け
て送出する番組送出サーバにおいて、記憶媒体と、コマンド入力手段と、前記コマンド入
力手段を介して入力された前記収録コマンドが、既に前記記憶媒体で蓄積している素材の
再収録コマンドの場合、前記入力される番組素材のデータに仮のIDを付与して前記記憶
媒体に書込記録し、書込記録が完了した場合、前記仮のIDと前記既に蓄積記憶していた
第1の素材のデータに付与された本来のIDとの間でIDを相互に差し替え、前記第1の
素材のデータを削除する再収録を行い、前記コマンド入力手段を介して入力された前記オ
ンエアコマンドにより前記本来のIDに差し替えられた前記再収録した素材のデータを前
記記憶媒体から読み出して前記送出し、前記書込記録完了前に前記オンエアコマンドを受
信した場合、前記既に蓄積していた本来のIDが付与されている前記第1の素材のデータ
を前記記憶媒体から読み出して前記送出する制御を行う制御管理手段とを備えることを特
徴とする。
【0012】
また本発明の番組送出サーバの番組再収録方法は、記憶媒体と、コマンド入力手段と、
制御管理手段とを備え、入力する番組素材のデータを収録コマンドにより記憶媒体に収録
し、自動番組送出設備から入力されるオンエアコマンドにより、前記記憶媒体に蓄積記憶
している番組素材のデータを読み出して送信機に向けて送出する番組送出サーバの番組再
収録方法において、 前記コマンド入力手段を介して前記収録コマンドが入力される前記
制御管理手段は、入力された収録コマンドが、既に前記記憶媒体で蓄積している素材の再
収録コマンドの場合、前記入力される番組素材のデータに仮のIDを付与して前記記憶媒
体に書込記録し、書込記録が完了した場合、前記仮のIDと前記既に蓄積記憶していた第
1の素材のデータに付与された本来のIDとの間でIDを相互に差し替える再収録を行い
、前記コマンド入力手段を介して前記オンエアコマンドが入力された場合、前記本来のI
Dに差し替えられた前記再収録した素材のデータを前記記憶媒体から読み出して前記送出
し、前記書込記録完了前に前記オンエアコマンドを受信した場合、前記既に蓄積していた
本来のIDが付与されている前記第1の素材のデータを前記記憶媒体から読み出して前記
送出する制御を行う制御管理手段とを備える事を特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、コンテンツの緊急差替を行っても事故を防ぐ番組送出サーバおよび番
組再収録方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。
【実施例】
【0015】
図1は、本発明の実施例に係わる番組送出サーバを用いた自動番組送出系統を示す構成
系統図である。
図1において、送信機へ向けて番組の素材(コンテンツ)を送出する自動番組送出系統
は、ビデオサーバ1および制御管理装置4とからなる番組送出サーバBS、SCP(Sc
hedule Control Processor)2、監視制御卓3、制御ネットワ
ーク5、スイッチャ6、DS(Data Server)7、ネットワーク8、例えば、
VTRの様な再生装置1a、スタジオカメラ等の素材送出装置1bを備えている。
【0016】
制御ネットワーク5は、ビデオサーバ1、SCP2、監視制御卓3、制御管理装置4、
制御ネットワーク5、スイッチャ6、DS7、再生装置1a、素材送出装置1bとの間を
接続し、素材を送出する装置の選択情報や、素材を指定するデータ、及びオンエア時刻等
のタイミング情報を伝送している。DS1からSCP2へは、この制御ネットワーク5を
介して、もしくは記憶媒体等によって、番組時刻表に係わるデータが供給される。
【0017】
DS7からの番組時刻表に従って自動的に番組を送出する処理を行うSCP2、監視制
御卓3、制御ネットワーク5、スイッチャ6等を総称してAPC(自動番組送出設備)9
と呼ばれる。
【0018】
SCP2は、番組送出スケジュールの統括管理を行うDS7から供給される番組時刻表
を元に番組素材の送出の制御に係わる上記各種の装置を選択して駆動するタイミングや、
コンテンツを設定するイベント情報を生成し、イベント制御コマンド、オンエアコマンド
等を制御ネットワーク5を介して各種装置へ送信している。
【0019】
監視制御卓3は、例えば、タッチパネルと呼ばれるオペレータが操作する制御卓で、制
御ネットワーク5を介して各装置との間で通信を行いSCP2に新たなイベントを設定す
るコマンドを入力し、また各装置からSCPが送信したコマンドに対する応答やモニタ情
報を受信して監視する装置でもある。また、SCP2に代わって手動でイベントコマンド
や、オンエアコマンドを送出するための入力手段としても機能する。
【0020】
制御管理装置4は、制御ネットワーク5およびビデオサーバ1と接続され、ビデオサー
バ1が蓄積記憶する素材や素材を送出管理するデータの設定や監視に用いられる制御管理
装置でPC等の情報端末でも良い。番組送出サーバBSは、SCP2から制御ネットワー
ク5を介して送信されたビデオサーバ1に対するイベントコマンドを受信してビデオサー
バ1における素材(コンテンツ)の蓄積記憶、および送出動作を制御管理する装置である

【0021】
スイッチャ6は、SCP2からの制御信号に基づき、イベントとしてネットワーク8と
、番組送出サーバBSに用いている様なビデオサーバ類(図示せず)、VTRの様な再生
装置1a、スタジオカメラのような素材送出装置1n等の各種番組信号を入出力する複数
の装置との間の接続を選択、切替を行う装置で、ネットワーク8は、前述の各装置が入出
力する番組素材信号を伝送するネットワークである。
【0022】
番組送出サーバBSは、制御管理装置4が制御ネットワーク5を介して受信するSCP
2からのオンエアコマンドに従いビデオサーバ1が蓄積記憶していた素材(コンテンツ)
をスイッチャ6とネットワーク8を介して送信機へ向けて送出し、同様にSCP2、又は
、監視制御卓3等から収録コマンドを受信して、スイッチャ6とネットワーク8を介して
入力される素材(コンテンツ)を蓄積記憶する。
【0023】
図2は、番組送出サーバBSの動作を説明する機能ブロック図である。
図2は、番組送出サーバBSの構成の1例で、ここでは、ビデオサーバ1と制御管理装
置4とが組み合わされて構成されている。素材(コンテンツ)を蓄積記憶するビデオサー
バ1は、それぞれが内部バス等で接続される記憶媒体10、CPU11、ビデオIF12
、通信I/F13、I/O(入出力)I/F14とを備える。
【0024】
また、ビデオサーバ1を制御する制御管理装置4は、メモリ40、CPU41、通信I/
F42、入出力部43、I/OI/F44、内部時計47とを備えている。
【0025】
通信I/F13、42は、制御ネットワーク5に接続され、SCP2や監視制御卓3と
の間でイベントデータ始め各種の制御情報が入出力される。I/O I/F14、44と
は、それぞれの装置内部動作を制御するCPU11とCPU41との間を接続する、例え
ば、記憶媒体40の書き込み読み出し等の制御を行う高速のデータの転送を行うバス、又
は、信号線のインタフェースである。CPU間の専用データバス、又はUSB、SCSI
Iの様な入出力インタフェースが用いられる。
【0026】
制御管理装置4の入出力部43は、情報端末のキーボード、ディスプレイ等の入出力手
段である。内部時計47は、SCP2からのイベントコマンドに対応して動作するタイミ
ングを制御する為にCPU41が参照するものである。また、メモリ40は、制御管理装
置40の動作、及びビデオサーバ1を制御するシーケンス制御プログラムが記憶される。
【0027】
また、必要な場合は、ビデオサーバ1は蓄積記憶する素材をコンテンツリスト46、ま
た、素材の送出等を管理するのに必要なコンテンツ管理テーブルが記憶されるワークメモ
リとして機能するメモリである。
【0028】
記憶媒体10は、制御管理装置4から動作命令に対応する高速で、書き込み読み出しが
可能な、半導体、磁気ディスク等の大容量の記憶媒体である。ビデオI/F12は、記憶
媒体10に蓄積記憶される素材のデータをネットワーク8との間で入出力する為のインタ
フェースを行い、また、必要で有れば記憶装置に書き込まれるデータとネットワーク8と
の間で入出力するデータ間の符号化変換を行う機能も備えている。
【0029】
基本的な動作として、SCP2、監視制御卓等から制御ネットワーク5を介して番組送
出サーバBSに対して送信されたイベントコマンドは、一旦、制御管理装置4の41によ
り入力される。そしてCPU41は、メモリ40に書き込まれたビデオサーバの動作を制
御するプログラムによって、ビデオサーバ1に対する動作命令をI/O I/F14、4
4とを介してCPU11に送信する。
【0030】
ビデオサーバ1の内部動作は、CPU11によって監視制御される。例えば、後述の収
録処理に係わる素材のID管理、書き込み、読み出しに対するシーケンス制御は、CPU
41が統括管理し、CPU11は、そのシーケンス制御に従って、記憶媒体の起動、停止
、蓄積データの書き込み、読み出し、およびネットワーク8との間の入出力制御を行う。
【0031】
なお、ここでは、利便上、上記構成により番組送出サーバの動作を説明しているが、ビ
デオサーバ1と制御管理装置4との構成形態は、これに限られることは無い。例えば、制
御管理装置1にビデオサーバ1の機能が収容されることにより一体化され、制御管理装置
1のメモリ40に相当する部分が記憶媒体10の大容量の記憶媒体に置き換えられると共
に、ビデオIF12が制御管理装置1に備えられているものであっても良い。
【0032】
図3は、制御管理装置4がビデオサーバ1を制御する処理手順を示すフローチャートで
ある。
以下、図1〜図3を参照して番組送出サーバBSの動作を説明する。
【0033】
制御網5を介して番組送出サーバBSに、監視制御卓3から送信された再収録コマンド
「STR:123ABC」を、CPU41が通信I/F42を介して受信する(図3のス
テップs1)。CPU41はそれを “STR”が素材ID“123ABC”の素材(コ
ンテンツ)の再収録を指示する収録コマンドと判読する(ステップs2がYes)。
【0034】
そして、スイッチャ6を介して入力される映像信号のコンテンツを仮ID「123AB
C−R」で書込記録するコマンド、例えば、「W:123ABC―R」をCPU11に送
出(ステップs−4)して書込記録に対するレスポンスを待つ。
【0035】
監視制御卓3からは、再収録コマンドに合わせてスイッチャ6とビデオサーバ1とVT
R1aとへ、例えば、収録される素材「123ABC」のデータをVTR1bから送出し
てビデオサーバ1へ入力するコマンドが制御ネットワーク5を介して、ビデオサーバ1、
スイッチャ6,VTR1bとへ送信される。そして、ビデオサーバ1へVTR1aからス
イッチャ6を介してIDが「123ABC」の素材のデータが入力される。
【0036】
なお、再収録コマンドを監視制御卓の代わりに制御管理装置4の入出力部43から入力
する場合も本発明が適用されることは言うまでもない。
【0037】
書き込み記録コマンドを受信したCPU11は、VTR1aから入力される素材データ
に、仮ID「123ABC−R」を名付けして記憶媒体40に書込記録する。そして、C
PU11は、書込記録が完了した時点で完了のレスポンスをCPU41へ送信する。
【0038】
一方、CPU41は、書込記録に対するレスポンスを待つ間も制御ネットワーク5から
のオンエアコマンドを監視している。CPU41は、オンエアコマンドの受信前に書込記
録完了のレスポンスCPU11からを受信した場合(ステップs5がNo)場合、仮ID
で書込記録した素材データのIDを本来の123ABCに差し替えるリネームコマンドを
CPU11へ送信する(ステップs6)。そして以前に収録していた素材データを記憶媒
体10から削除するか、又は仮IDと相互に差し替えるか、あるいは他のIDに改名して
蓄積する改訂コマンドをCPU11へ送信する(ステップs7)。
【0039】
言い換えれば、既に記憶媒体に蓄積されていた素材のデータに「123ABC−R」を
付与する代わりに第3のID、例えば、「123ABC−R2」の様に改名をするもので
あっても良い。
【0040】
図4は、記憶媒体40に書込蓄積された素材を示すコンテンツリスト45の1例である

図4(a)は、番組送出サーバBSが再収録コマンドを受信する前または、再収録完了
後でオンエアコマンド待ちにおける状態のコンテンツリスト45である。図4(b)は、
再収録中(ステップs4、5)の素材のコンテンツリスト45であり、ここでは、「12
3ABC」は既に蓄積記憶されていた素材を示し、「123ABC−R」は、再収録する
ための書込記憶中のデータのファイルを示している。
【0041】
書込記録が完了すると、CPU41は、既に蓄積されていた素材のデータに付与されて
いた本来のIDと書込記録が完了したデータに付与されている仮IDとを相互に差替(入
替)る(ステップs6)。
【0042】
そして、既に収録されていた素材のデータを削除する場合で有れば、「123ABC−
R」の仮IDが付与された素材データが記憶媒体から消去されると共にコンテンツリスト
から削除され図4(a)に示される状態になる。改名する場合には、図4(b)の状態が
保たれ、古い素材のデータも記憶媒体40に残される。
【0043】
削除する場合は、記憶媒体40の記憶容量の余裕を確保出来る効果がある。改名は、十
分な容量があり余裕を確保しなくて良い場合に適した方法である。旧素材と新素材とを蓄
積することにより、旧素材がバックアップ用になること、複数のコンテンツ候補を揃えて
オンエアコマンドを待機出来る等の効果がある。削除するか、改名するかをオペレータが
予め入出力部43から設定する。
【0044】
また別の方法として、CPU11は、記憶媒体40の蓄積データ量のモニタデータをC
PU41に送信しているが、CPU41は、モニタデータを監視して記憶媒体40の空き
容量が、例えば、全容量の60%以上無い場合には削除する様にする改訂コマンドの送出
条件を定めておくものであっても良い。
【0045】
その後通常番組放送予定になると「123ABC」を送信するオンエアコマンドがSC
P2から番組送出サーバBSへ送信される。CPU41は、受信したそのオンエアコマン
ドに従って、記憶媒体40から「123ABC」を読み出してスイッチャ6を経由してネ
ットワーク8へ出力する送出コマンドをCPU11へ送信する(ステップs8)。
【0046】
送出コマンドを受信したCPU11は、記憶媒体40から「123ABC」を読み出し
、ビデオI/Fを介してスイッチャ6へ出力する。そして、送信機側では、ネットワーク
8を介してこの「123ABC」の素材を入力して放送する処理を行う。
【0047】
オンエアコマンドは、通常SCP2から送出されるが、急いで再収録を行っている最中
、書込記録が完了しない内に送信タイミングが来てしまった場合、又は、監視制御卓3か
ら緊急に当該素材の送出(ここでは、素材IDが「123ABC」となる)を指示される
場合、即ち、オンエアコマンドを受信する場合(ステップs5がYes)がある。
【0048】
この場合、CPU41は受信したオンエアコマンドに従って、記憶媒体40から「12
3ABC」の素材データを読み出してスイッチャ6を経由してネットワーク8へ出力する
送出コマンドをCPU11へ送信する(ステップs8)。そして、再収録中であっても蓄
積されていた再収録前の素材が、記憶媒体40から読み出されてスイッチャ6及びネット
ワーク8とを経由して送信機へ向けて送出される。素材の内容が古いままである欠点は有
るが、コンテンツが無い、又は放送中に尻切れ状態になる等の事故の発生を防いだ番組送
出が可能になる。
【0049】
また、素材ID「123ABC」を再収録でなく初めて収録する場合は、収録コマンド
が、例えば、再収録を示すRが記されていない「ST:123ABC」になっている。C
PU41は、その「ST」を判読することによってその収録が1回目の収録であると判定
する。そして、そのままID「123ABC」で書込記録するコマンド、例えば、「W:
123ABC」をCPU11へ送信し、VTR1aから出力される素材がID「123A
BC」でビデオサーバ1の記憶媒体40に書込記録され(ステップs3)、コンテンツリ
スト46にも新たな素材のIDの名称123ABCが追加される。
【0050】
図5は、再収録の変形例における再収録処理の手順を示すフローチャート、図6は、変
形例において、制御管理部4のCPU41が参照するコンテンツ管理テーブル45の1例
である。
コンテンツ管理テーブル45は、予め入出力部43から入力されるか、又は、通信I/
F42を介してビデオサーバ1の記憶媒体に蓄積される素材のデータのIDが、放送予定
時刻と共に入力され、CPU41がそれらの放送予定の時刻とIDを対応させ、コンテン
ツ管理するテーブルを生成してメモリ40に書込記憶したものである。
【0051】
変形例では、収録コマンドが、再収録コマンドと通常の収録コマンドとの区別が無く、
さらに、オンエアコマンドに代わり予定されていた時刻に収録しているコンテンツを送信
機に向けて送出する場合にも対応しうるようにCPU41のシーケンスコントロールのプ
ログラムがメモリ40に設定されている。
【0052】
図5は、図2における場合と同じ処理を行う場合は、図2と同じステップ番号を付与し
、追加、又は変更された処理を行うステップについては、別のステップ番号を付与した。
【0053】
制御管理装置41のCPU41は、所定の定期的間隔で記憶媒体40が蓄積記憶してい
るデータファイルをCPU11経由で収集し、コンテンツリスト46としてメモリ40に
書込み記憶する。
【0054】
また、同様に、制御ネットワーク5を経由して入力される番組時刻表の情報を監視し、
番組送出サーバから送出する素材(コンテンツ)の送出タイミング(時刻)を抽出し、コ
ンテンツ管理テーブル45としてメモリ40に書込み記憶する(図5のステップs0)。
【0055】
今、収録コマンドとして、「ST:123ABC」を受信したとする(ステップs1)
。CPU41は、コンテンツリスト46と照合し(ステップs1―1)、コンテンツリス
トにIDが「123ABC」の素材の有無を調べる。そして、有った場合(ステップs2
−1がYes)は、再収録と判定し、以降、図2における再収録と同じ様に「123AB
C−R」の書込記録コマンドをCPU11へ送信する(ステップs4)。
【0056】
書込記録中に、CPU41は、コンテンツ管理テーブル45と内部時計47とを照合し
、番組送出タイミングとの差を比較し、所定の時間差になった場合、言い換えればオンエ
アタイミングになった場合(ステップs5−1がYes)は、既に記憶媒体40に蓄積し
ていたIDが「123ABC」の素材データを送出する(ステップs8)制御を行う。図
6では、例えば、時刻00:19:59を過ぎ、残り1秒を切った場合に「123ABC
」のIDの素材データを送出する場合に相当する。
【0057】
もし、所定の時間差になる前に書込記録が完了した場合ステップs5−1がNo)、図
2と同様にIDの差し替え、素材の削除、改名等を行う(ステップs6、s7)。
【0058】
言い換えれば、CPU41は、コンテンツ管理テーブル45を参照して、番組送出タイ
ミングとの差を比較し、所定の時間差になった場合オンエアコマンドを受信した場合と同
様の素材送出に係わる制御を行う。
【0059】
一方、CPU41は、コンテンツリストに収録コマンドに設定された番組素材のIDが
記されて無い場合(ステップs2−1がNo)、入力される番組素材にそのままID「1
23ABC」を付与して記憶媒体40に書込記録する(ステップs3)。
【0060】
なお、再収録の書込記録中に当該IDの素材のオンエアコマンドが、制御ネットワーク
5を介して番組送出サーバBSで受信された場合も、図2のステップs5と同様の動作が
行われることは言うまでもない。また、本発明は、その主旨を逸脱しない範囲で上記実施
例、及び変形例の構成や処理手順を変更、組み合わせたものでも適用される。
【0061】
以上述べた如く、本発明の実施例による番組送出サーバによれば、再収録する素材に仮
IDを付与し、書込記録完了時に本来のIDに差替ることにより、再収録中にオンエアコ
マンドを受信した場合でも既に収録されていた素材を送出するので、放送事故の発生を防
ぎ、オンエアタイミングに囚われることなく、容易に再収録することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の実施例に係わる番組送出サーバを用いた自動番組送出系統を示す構成系統図。
【図2】本発明の実施例に係わる番組送出サーバの動作を説明する機能ブロック図。
【図3】制御管理装置4がビデオサーバ1を制御する処理手順を示すフローチャート。
【図4】記憶媒体に書込蓄積された素材を示すコンテンツリストの1例。
【図5】再収録の変形例における再収録処理の手順を示すフローチャート。
【図6】コンテンツ管理テーブルの1例。
【符号の説明】
【0063】
1 ビデオサーバ
10 記憶媒体
11、41 CPU
12 ビデオI/F
13、42 通信I/F
14、44 I/O(入出力)I/F
1a 再生装置
1b 素材送出装置
2 SCP
3 監視制御卓
4 制御管理装置
40 メモリ
43 入出力部
45 コンテンツ管理テーブル
46 コンテンツリスト
47 内部時計
5 制御ネットワーク
6 スイッチャ
7 DS(データサーバ)
8 ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力する番組素材のデータを収録コマンドにより記憶媒体に収録し、自動番組送出設備
から入力されるオンエアコマンドにより、前記記憶媒体に蓄積記憶している番組素材のデ
ータを読み出して送信機に向けて送出する番組送出サーバにおいて、
記憶媒体と、
コマンド入力手段と、
前記コマンド入力手段を介して入力された前記収録コマンドが、既に前記記憶媒体で蓄
積している素材の再収録コマンドの場合、前記入力される番組素材のデータに仮のIDを
付与して前記記憶媒体に書込記録し、書込記録が完了した場合、前記仮のIDと前記既に
蓄積記憶していた第1の素材のデータに付与された本来のIDとの間でIDを相互に差し
替え、前記第1の素材のデータを削除する再収録を行い、
前記コマンド入力手段を介して入力された前記オンエアコマンドにより前記本来のIDに
差し替えられた前記再収録した素材のデータを前記記憶媒体から読み出して前記送出し、
前記書込記録完了前に前記オンエアコマンドを受信した場合、前記既に蓄積していた本来
のIDが付与されている前記第1の素材のデータを前記記憶媒体から読み出して前記送出
する制御を行う
制御管理手段とを
備える事を特徴とする番組送出サーバ。
【請求項2】
入力する番組素材のデータを収録コマンドにより記憶媒体に収録し、自動番組送出設備
から入力されるオンエアコマンドにより、前記記憶媒体に蓄積記憶している番組素材のデ
ータを読み出して送信機に向けて送出する番組送出サーバにおいて、
記憶媒体と、
コマンド入力手段と、
前記コマンド入力手段を介して入力された前記収録コマンドが、既に前記記憶媒体で蓄
積している素材の再収録コマンドの場合、前記入力される番組素材のデータに仮のIDを
付与して前記記憶媒体に書込記録し、書込記録が完了した場合、前記仮のIDと前記既に
蓄積していた第1の素材のデータに付与された本来のIDとの間でIDを相互に差し替え
る再収録を行い、
前記コマンド入力手段を介して入力された前記オンエアコマンドにより前記本来のIDに
差し替えられた前記再収録した素材のデータを前記記憶媒体から読み出して前記送出し、
前記書込記録完了前に前記オンエアコマンドを受信した場合、前記既に蓄積していた本来
のIDが付与されている前記第1の素材のデータを前記記憶媒体から読み出して前記送出
する制御を行う
制御管理手段とを
備える事を特徴とする番組送出サーバ。
【請求項3】
入力する番組素材のデータを収録コマンドにより記憶媒体に収録し、自動番組送出設備
から入力されるオンエアコマンドにより、前記記憶媒体に蓄積記憶している番組素材のデ
ータを読み出して送信機に向けて送出する番組送出サーバにおいて、
記憶媒体と、
コマンド入力手段と、
前記記憶媒体に蓄積記憶している番組素材のデータのIDをコンテンツリストにし、
前記コマンド入力手段を介して前記収録コマンドが入力された場合、その収録コマンドが
指定する番組素材のデータのIDを前記コンテンツリストと照合し、
既に前記コンテンツリストに掲載されていた場合は、再収録コマンドと判断し、前記入力
される番組素材のデータに仮のIDを付与して前記記憶媒体に書込記録し、書込記録が完
了した場合、前記仮のIDと前記既に蓄積していた第1の素材のデータに付与された本来
のIDとの間でIDを相互に差し替える再収録を行い、
前記コマンド入力手段を介して前記オンエアコマンドが入力された場合、前記本来のID
に差し替えられた前記再収録した素材のデータを前記記憶媒体から読み出して前記送出し

前記書込記録完了前に前記オンエアコマンドを受信した場合、前記既に蓄積していた本来
のIDが付与されている前記第1の素材のデータを前記記憶媒体から読み出して前記送出
する制御を行う
制御管理手段とを備える
事を特徴とする番組送出サーバ。
【請求項4】
前記制御管理手段は、
前記再収録をするに当たり前記第1の素材のデータファイルに第3のIDを付与して前記
記憶媒体に蓄積記憶する
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の番組送出サーバ。
【請求項5】
前記制御管理手段は、
前記記憶媒体から前記記憶媒体の空き容量をモニタし、所定の空き容量がある場合、
前記第1の素材のデータを前記記憶媒体に蓄積記憶する
ことを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項記載の番組送出サーバ。
【請求項6】
前記制御管理手段は、
予め、前記記憶媒体に蓄積された各番組素材を送出するタイミング情報をリストにしたコ
ンテンツ管理テーブルを備え、内部時計と前記コンテンツ管理テーブルとを参照して所定
のタイミングになった場合、前記オンエアコマンドを受信した場合と同様の素材データの
送出に係わる制御を行うことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の番組送出サ
ーバ。
【請求項7】
記憶媒体と、コマンド入力手段と、制御管理手段とを備え、入力する番組素材のデータ
を収録コマンドにより記憶媒体に収録し、自動番組送出設備から入力されるオンエアコマ
ンドにより、前記記憶媒体に蓄積記憶している番組素材のデータを読み出して送信機に向
けて送出する番組送出サーバの番組再収録方法において、
前記コマンド入力手段を介して前記収録コマンドが入力される前記制御管理手段は、
入力された収録コマンドが、既に前記記憶媒体で蓄積している素材の再収録コマンドの場
合、前記入力される番組素材のデータに仮のIDを付与して前記記憶媒体に書込記録し、
書込記録が完了した場合、前記仮のIDと前記既に蓄積記憶していた第1の素材のデータ
に付与された本来のIDとの間でIDを相互に差し替える再収録を行い、
前記コマンド入力手段を介して前記オンエアコマンドが入力された場合、前記本来のID
に差し替えられた前記再収録した素材のデータを前記記憶媒体から読み出して前記送出し

前記書込記録完了前に前記オンエアコマンドを受信した場合、前記既に蓄積していた本来
のIDが付与されている前記第1の素材のデータを前記記憶媒体から読み出して前記送出
する制御を行う
制御管理手段とを
備える事を特徴とする番組送出サーバの番組再収録方法。
【請求項8】
記憶媒体と、コマンド入力手段と、制御管理手段とを備え、入力する番組素材のデータ
を収録コマンドにより記憶媒体に収録し、自動番組送出設備から入力されるオンエアコマ
ンドにより、前記記憶媒体に蓄積記憶している番組素材のデータを読み出して送信機に向
けて送出する番組送出サーバの番組再収録方法において、
前記コマンド入力手段を介して前記収録コマンドが入力される前記制御管理手段は、
前記記憶媒体に蓄積記憶している番組素材のデータのIDをコンテンツリストにし、
前記コマンド入力手段を介して前記収録コマンドが入力された場合、その収録コマンドが
指定する番組素材のデータのIDと前記コンテンツリストとを照合し、
既に前記コンテンツリストに掲載されていた場合は、再収録コマンドと判断し、前記入力
される番組素材のデータに仮のIDを付与して前記記憶媒体に書込記録し、書込記録が完
了した場合、前記仮のIDと前記既に蓄積していた第1の素材のデータに付与された本来
のIDとの間でIDを相互に差し替える再収録を行い、
前記コマンド入力手段を介して前記オンエアコマンドが入力された場合、前記本来のID
に差し替えられた前記再収録した素材のデータを前記記憶媒体から読み出して前記送出し

前記書込記録完了前に前記オンエアコマンドを受信した場合、前記既に蓄積していた本来
のIDが付与されている前記第1の素材のデータを前記記憶媒体から読み出して前記送出
する制御を行う
事を特徴とする番組送出サーバの番組再収録方法。
【請求項9】
前記制御管理手段は、
前記再収録をするに当たり前記第1の素材のデータファイルに第3のIDを付与して前記
記憶媒体に蓄積記憶する
ことを特徴とする請求項7、又は8に記載の番組送出サーバの番組再収録方法。
【請求項10】
前記制御管理手段は、
前記記憶媒体から前記記憶媒体の空き容量をモニタし、所定の空き容量がある場合、
前記第1の素材のデータを前記記憶媒体に蓄積記憶する
ことを特徴とする請求項8記載の番組送出サーバの番組再収録方法。
【請求項11】
前記制御管理手段は、
予め、前記記憶媒体に蓄積された各番組素材を送出するタイミング情報をリストにしたコ
ンテンツ管理テーブルを備え、内部時計と前記コンテンツ管理テーブルとを参照して所定
のタイミングになった場合、前記オンエアコマンドを受信した場合と同様の素材データの
送出に係わる制御を行うことを特徴とする請求項7〜10のいずれか1項記載の番組送出
サーバの番組再収録方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−171361(P2009−171361A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−8512(P2008−8512)
【出願日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】