説明

異物分離方法およびその装置

【課題】家庭用石油ホームタンクの洗浄を目的とした装置とその運転方法を提供する。
【解決手段】スラリー濃度を低減するためのノズルを装着した吸い込み管、耐圧ホース、液体サイクロン、比重の軽い溶液を満たした密閉型回収タンク、ポンプ、さらには循環用戻り管等を具備し、被洗浄スラリーを含む容器からスラリーを液体サイクロンに供給し、比重の重い物質を密閉型回収タンクに分離する。この時、前記タンク内では、タンク内に排出された物質量に相等する量が比重の軽い物質に置換され、さらに液体サイクロン頂部からポンプを介して被洗浄スラリーを含む容器に返送されることから、本発明により、固体および比重の重い液体を除去すると同時に比重の軽い物質の補給を同時に行うことが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体サイクロンを用いて比重の小さい液体から比重の大きい物質を分離する異物分離方法およびその装置に関し、たとえば固体−水−灯油が混在した容器の中から固体および水を分離すると同時に分離した固体および水の量に相当する灯油を容器内に返送し、容器内灯油の浄化と分離した物質に相等する量の新規灯油補給を同時に行う装置ならびに方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在一般家庭で使用されるエネルギー源としては、電気、ガス、灯油等が主に使用されている。なかでも灯油は室内暖房用のエネルギーのみならず家庭の温水供給用ボイラーのエネルギー源としての需要も比較的多く、寒冷地のみならず全国各地で季節を問わず灯油の需要が生じる。
【0003】
一般に、家庭用ボイラーの燃料として灯油を使用する場合、燃料の供給には屋外に設置するタイプの90〜490リットル(リットルは、以下dm3と表記する。)のホームタンクがよく使用され、このホームタンクの普及により、1ヶ月あたりの給油回数が減少し、灯油配達に係るコストの削減が可能となった。
【0004】
しかし、寒冷地においては冬季とそれ以外の季節における灯油消費量には大きな差があり、大型のタンクを設置した場合にはタンク内に貯留する時間が長くなる。このとき、タンク内の灯油の量が少ないとタンク内に種々の問題を発生させる可能性がある。
【0005】
灯油タンク内に灯油の量が少ない、すなわちタンク内の空間部分が大きい場合には、湿度が高く昼夜の温度差が大きい梅雨から夏季においては、その温度差によりタンク内部に結露が発生しやすく、場合によってはタンク内部に長い時間をかけて水塊に発達する。また、これらの水塊が原因となり腐食が進行し、さらには通気管を通して風により巻き上げられる砂塵等も進入することから、タンク底部には先の水塊の他、これら錆、砂塵等の固形分も堆積している。
【0006】
これら水塊や錆、砂塵等を放置すると、灯油の一部と混合して燃焼バーナーへ供給される可能性もあり、理想的な空燃比を達成することができずに異常燃焼を生じ、結果としてバーナーの不具合を生じる、あるいは堆積した固形分が配管を閉塞させる可能性もある。また、寒冷地においては、厳冬期には水分がタンク出口や配管内で凍結し、配管の閉塞、燃焼機器の損傷を引き起こす他、管の破裂、灯油の漏洩等の重大な事故に発展するおそれがある。そのため、定期的にタンク内を洗浄し、固形分、水分等を洗浄除去する作業は重要である。
【0007】
ホームタンクの洗浄は、専門の業者によって行われることが一般であるが、その洗浄方法は基本的にはフィルターエレメントを多段化したろ過操作により行われている。しかし、この手法ではタンク内の灯油はフィルターを介してろ過された後、500dm3程度のサブタンク内に全量ストックして水、異物を除去する作業を行うため、装置自体が大型となり、専用の車両を必要とする。また、フィルター等は基本的には消耗品であること、さらに装置は車載式であるため、車がタンクに近づけない場合には作業ができないなどの問題が生じる。
【0008】
ところで、固体、液体、気体等の異相間に存在する物質を分離する方法として比較的多く用いられている技術の一つに物質間の密度差すなわち比重の差を利用した沈降法ならびに遠心力を利用したサイクロン法が工業的に多く利用されている。したがって、これらの基本要素技術を基に、固体と水と油を含む流体を分離する装置の開発を行うと、小型軽量でかつ簡便な操作で分離が達成されると考えられる。
【0009】
固体を回収するためのサイクロンの技術については、気−固系においては数多く利用されているが、一方で液体と固体を対象にした技術すなわち液体サイクロンについてはその利用は気−固系における利用と比較すると非常に少ないものの、スラリーの固液分離方法(特許文献1―9)に関するものは比較的多い。
【0010】
しかしこれらの技術の大部分は、サイクロンへのスラリーの供給法としてスラリー用のポンプを必要とし、原理の上では固−液あるいは液―液間の分離が可能であるものの、装置導入のコストの大部分をスラリーポンプのコストが占める結果となり、技術の幅広い普及には到らないのが現状である。そのため、スラリー輸送用の特殊なポンプを使用せずに固体−液体間、あるいは固体−水−油間の分離が達成できる技術の開発をおこなうことが重要である。これらの課題を解決するために液体ポンプの吸引系又は吐出系に直接又は間接的に接続され、サイクロン筒内に導入した液体に旋回流を生じさせることで該液体に含まれるスラッジをサイクロン分離する液体サイクロン装置において、駆動部によって回転される加速羽根を有し、該加速羽根が液体ポンプによる流量に無関係に液体を加速できる技術が提案されている(特許文献9参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平8−332327号公報
【特許文献2】特開平6−142553号公報
【特許文献3】特開2005―161160号公報
【特許文献4】特開平5−287796号公報
【特許文献5】特開平2005―245657号公報
【特許文献6】特開2002−129245号公報
【特許文献7】特開平7−232198号公報
【特許文献8】特開2003―237653号公報
【特許文献9】特開2005−279609号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかし、従来のサイクロン筒内に導入した液体に旋回流を生じさせることで該液体に含まれるスラッジをサイクロン分離する液体サイクロン装置において、駆動部によって回転される加速羽根を有し、該加速羽根が液体ポンプによる流量に無関係に液体を加速できる技術においては、液体ポンプの吸引系又は吐出系のいずれにも接続するものであるが、加速羽根が液体サイクロン内に設置された構造を有することから、油と水が混在する系においては、羽根近傍で生じる剪断力により水あるいは油が微細化されてエマルジョンを形成し、密度差の小さな物質間の分離効率を低下させてしまう。したがってエマルジョンの形成を抑制して油と水を分離する技術を確立することは重要である。
【0013】
また、既存の気−固系サイクロンと同様にポンプを吸引側に設置して固−液系あるいは液−液系にて運転を行うと、サイクロン底部開放部から気相が吸い込まれることから、液体を含む連続相としてサイクロン内に被分離物を導入することは困難になる。そのため、被分離物を連続的に液体サイクロン内に導入する工夫を施す必要がある。
【0014】
さらに、吐出側にスラリーポンプを接続してサイクロンにより運転を行った場合、液体−固体間、あるいは液体−液体間の分離効率が100%に達しない場合には、サイクロン底部からは本来サイクロン頂部から排出されるべき物質も排出されることから、その損失を無視することはできない。よって、運転終了後、サイクロン底部から排出された量に相当する物質を新たに補充する必要があり、灯油タンクの洗浄においては分離装置の他に損失灯油を補充するための補給用のローリーの配車も必要となる。したがって、分離と補給が同時に達成できる装置の開発ができれば省力化、さらにはローリー配車にかかるコストの削減および地球温暖化ガスの排出削減等に大きく寄与することができる。
【0015】
また、液体−固体間における固体の分離効率の低下はスラリー中の固体濃度が高い場合にも生じることから、サイクロンへの送液は異相間の界面近傍において固体を多量の液相と共に吸引を行う、あるいは完全に混合されたほぼ均一な固体濃度の下で行う事が望ましい。しかし、タンクが深く光が届かない場合には目視による異相界面の位置の把握は難しいことから、運転法の習熟にはある程度の訓練を要する。また、局所的に粒子濃度が高い場所を撹拌して系内を均一な粒子濃度にした場合、系内局所における粒子濃度の低下は実現できるものの、一方で撹拌により水と油のエマルジョンの生成を促進することになり、その結果水と油の分離効率を著しく低下させる要因となる。したがって、固体濃度が局所的に高い場合においても適度な液相の吸い込み量を確保し、安定に運転ができる濃度範囲に粒子濃度が希釈されるような仕組みを実現できれば、より幅広く技術の普及がはかれる。
【0016】
本発明は、灯油ホームタンクを洗浄する装置を開発する際の上記問題点に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、高効率でかつ簡便な操作を実現するに適した装置およびその操作、運転方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明者らは、固体−水−油の三相からなる混合スラリー流体から固体および水を、すなわち比重の小さい液体から比重の大きい物質を分離する操作を行うに際し、小型の液体サイクロン、送液用のポンプならびに密閉型の回収タンクを組み合わせた装置を用いると、簡便な操作により高効率でかつ作業効率が飛躍的に向上することを見いだした。より詳しくは、本発明は、スラリー送液ポンプを用いずに液体サイクロンを運転し、固体、水、油混合流体から固体および水を取り除くと共に、除去物と等量の物質を流路内で置換して装置内に返送する装置、さらにはそれら装置の操作技術等の応用にかかるものである。
【0018】
すなわち本発明は液体サイクロンを用いて比重の小さい液体から比重の大きい物質を分離する方法において、前記液体サイクロンの底部排出部に密閉型回収タンクを接続しておき、該密閉型回収タンクにあらかじめ比重の小さい液体を満たしておくことによって前記液体サイクロンで分離された比重の大きい物質が底部排出部を通過する際に流路内の比重の小さい液体と置換される事を特徴とする異物分離方法である。
【0019】
本発明の第一の態様は、吸い込み管、耐圧ホース、回収タンク、液体サイクロンさらには送液ポンプからなり、かつ密閉型の回収タンクを液体サイクロン底部排出管に連結するとともに、液体サイクロンの頂部排出管よりポンプにより液を吸い上げる特徴を有した分離装置を提供して前記課題を解決するものである。
【0020】
またこの態様においては、液体サイクロン頂部排出管に送液ポンプの吸引側を接続し該送液ポンプを運転して液体サイクロンの導入管を介して被処理流体を吸引して、前記液体サイクロンに供給し比重の重い物質を底部排出管から密閉型回収タンクに回収するとともに、サイクロン管及び密閉型回収タンクを含む流路内で比重の重い物質の相当量と置換した比重の軽い物質を液体サイクロン頂部排出管から送液ポンプを介して被処理液体容器に循環することを特徴とする異物分離方法であるので、送液ポンプの運転だけで被処理液体を吸引できるとともに、送液ポンプには異物の分離された比重の軽い物質のみが吸引されるので異物による送液ポンプの損傷が少ないという効果がある。
【0021】
したがってこの態様において、液体サイクロンに接続する送液ポンプは液体サイクロン頂部排出管に接続し、サイクロン内の液体を含む連続相を吸引することが望ましい。また、吸い込み管先端部が固体濃度の高いタンク最深部付近にある場合には、吸い込み時の管内スラリー濃度が高くなるため、運転条件によってはサイクロン内で十分に固体が分離されずに送液ポンプへスラリーの一部が送液され、場合によってはポンプの停止、損傷等の事故を生じる可能性がある。そのため、吸い込み管先端には、管内のスラリー濃度を運転に適した範囲内に低下させるため、管先端位置から上方のタンク液面方向に向かう様々な鉛直位置から固体−水−油を同時に吸い込めるような形状を有するノズルを装着して運転することが望ましい。この場合、円管の先端から逆V字型に切れ込みを設けさらにV字頂部の鋭角部分を平坦に加工した程度の簡単なノズルであってもノズル部分への固体の挟まりを生じずに安定に運転が可能になる。
【0022】
さらにその態様において、サイクロン底部に接続した回収タンクは密閉型とし、分離操作を行う際には水あるいは油等の液体を満たした連続相の状態を保つことが望ましい。これにより、サイクロン底部からの気相の混入を防ぐことが可能になることから、送液用ポンプをサイクロン頂部排出口に接続しても安定に送液を行うことが可能になる。また、送液ポンプはサイクロンの出口下流に設置することから、排出される液中の固体濃度が極めて低くなるような操作条件の下で運転すると、スラリーポンプを用いずに固体を含む連続相をサイクロン管に導入することが可能になる。
【0023】
本発明の第二の態様は、比重の小さい液体を含む被処理容器底部から吸い込み管によって比重の小さい液体と比重の大きい物質との混合物を吸引し、該混合物を液体サイクロンに導入して、比重の大きい物質を分離するとともに、比重の小さい液体を液体サイクロン頂部排出部から送液ポンプにより吸引して戻り管に送り出すことにより被処理容器に回収することを特徴とする請求項1に記載された異物分離方法である。比重の小さい液体が灯油であり、比重の大きい物質が水及び/または固体であることを特徴とする請求項1または2に記載された分離方法である。
【0024】
前記第一の態様の分離装置を用い、固体−水−油からなる連続相から固体および水をサイクロン内で分離除去するとともに、回収タンク内に沈降した固体および水の量に相等する油の量を元のタンクに循環・返送する方法を提供し、前記課題を解決するものである。これにより水と油の混合物が液体サイクロン内に流入した場合、サイクロン内で水が分離された後に送液用のポンプに流入することから、送液に伴うエマルジョンの生成を軽減することが可能になる。
【0025】
本発明の第三の態様は、液体サイクロンの底部排出部に密閉型回収タンクを接続し、液体サイクロンの頂部排出部に送液ポンプの吸引側を接続してなる異物分離装置であり、前記送液ポンプの送液側に戻り管を接続するとともに、液体サイクロンの側部導入部に吸い込み管を接続し、該吸い込み管の先端に粘度調整孔を形成して固体の吸い込みを抑制できるようにした事を特徴とする請求項4に記載の異物分離装置である。
【0026】
前記第一の態様の装置に接続した密閉型タンク中に連続相を満たした上でサイクロンを運転し、サイクロン底部からタンクに排出された物質量と等量の物質量がタンク内で置換された後、サイクロン底部を上昇すると共にサイクロン頂部排出口から排出され、その後被洗浄容器へと返送されて、結果、洗浄操作中における比重の軽い物質の損失さらには処理操作終了後の補給に関する問題等を解決するものである。
【0027】
この態様において、送液用ポンプはその回転数の制御等により流量を制御できることが望ましい。
【発明の効果】
【0028】
本発明の液体サイクロンを用いた異物分離装置は、フィルターを用いたろ過を行う装置とは異なり簡単な機構により固体−水−油を分離することができる。
【0029】
特に、フィルターを用いたろ過操作では固体は簡単に除去できるものの、油と水の分離を行うためには沈降槽を有したフィルター槽を多段で接続しなければならず、操作および整備が複雑になるとともに設備が大型化してしまう。これに対し本発明の分離装置を用いた場合には固体−水−油の分離を行うためには沈降槽に相等する密閉型の回収タンク、液体サイクロンさらには送液ポンプのユニットを接続するのみで前記物質の分離が達成され、設備の大幅な小型化が計れるとともに製造、運転のコスト等の削減が期待できる。
【0030】
また、本発明の液体サイクロンを用いた分離装置では、送液用のポンプを液体サイクロン頂部出口に接続し固体−水−油からなる連続相をサイクロン内に吸引する特徴を有する。この方法によると、サイクロン頂部出口からの吸引により液体サイクロン内に導入された連続相はサイクロン内で生じる沈降、旋回流による遠心効果によりサイクロン底部から排出されるとともに、回収タンク内へ沈降する水あるいは固体に相等する油がサイクロン管へと連続的に供給されさらに塔頂部より排出される。そのため、操作条件によっては液体サイクロン出口に接続した送液ポンプには固体がほとんど存在せず液体のみが流れる。すなわち、本発明による方法では、送液にあたってはスラリー輸送用のポンプを用いることなく通常の送液用ポンプで代用することが可能になり、大幅な設備コストの削減が可能になる。
【0031】
さらに、本発明における回収タンク内に循環流体を満たしかつ密閉型とすることで液体を連続的に吸引することが可能になる他、それと同時に回収タンク内に沈降した物質量に相等する循環流体がサイクロン頂部へ供給される特徴を有する。したがって、サイクロン頂部出口に接続された送液用ポンプの中は常に液体を含む連続相が存在するため、固体の濃度が高いスラリーをサイクロン管内に流入させた場合においても安定に送液が可能になる。また、回収タンクに灯油を充填して灯油タンク内の洗浄を行う場合には、回収タンク内に沈降した物質量に相当する灯油がサイクロン及び密閉型タンクを含む流路内で置換された後にサイクロンさらにはポンプを経て被処理タンクへと返送されることから、灯油の損失分の補充を一度の操作で行うことが可能となり、大幅な作業効率の向上に寄与する。
【0032】
特に回収タンクの深さ、容積が分離対象物質の量に適したものを用いた場合、液体サイクロン内の遠心効果のみならず回収タンク内における沈降の効果も期待できることから、密度の差が小さい油−水間の分離にも有効に寄与する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】分離装置の構成図である。
【図2】分離装置に使用したサイクロンの概略を示した図である。
【図3】吸い込み管先端のノズルの形状を示した図である。
【図4】灯油−水系において水の分離を行った実験結果を示したグラフである。
【図5】灯油−イオン交換樹脂系においてイオン交換樹脂の分離を行った結果を示すグラフである。
【図6】灯油―ガラスビーズ系においてガラスビーズの分離を行った結果を示すグラフである。
【図7】イオン交換樹脂−水−灯油系においてイオン交換樹脂と水の分離を行った結果を示すグラフである。
【図8】灯油−川砂系及び水−川砂系において川砂の分離を行った結果を示すグラフである。
【図9】分離装置に使用したサイクロンと回収タンクとの関係を説明する概略の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明を、図面を参照にして詳細に説明する。なお、図面において、同一機能を有する構成要素は同一の符号を付けて説明する。
【0035】
本発明において比重の小さい液体および比重の大きい物質というのは、相対的な比重の差によって、液体サイクロンを用いて比重の小さい液体から比重の大きい物質を分離することができるものであればよい。比重の小さい液体が灯油の場合であれば、比重の大きい物質としては水、鉄錆、砂塵などの固体及び水と固体の入り混じったものが考えられる。また、比重の小さい液体が水の場合であれば、比重の大きい物質としては砂、泥、鉄錆などの固体状、スラリー状の物質が考えられる。
【0036】
本発明においては、以下、比重の小さい液体が灯油5で、比重の大きい物質が水6、鉄錆などの固体7及び水6と固体7の入り混じったものの場合を主体として説明する。
【0037】
本発明の分離装置は、被洗浄スラリーを含む容器4からスラリーを吸い上げるために使用するスラリー濃度低減用のノズル図3を装着した吸い込み管13、吸い込み管を液体サイクロン1に接続するための耐圧ホース、液体サイクロン1、送液用ポンプ3、密閉型回収タンク2、洗浄後の流体を、被洗浄スラリーを含む容器4に返送する耐圧ホース等で構成される。
【0038】
初めに分離装置に液体系の連続相を満たす操作を行うために送液用のポンプ3を作動し、あらかじめ灯油5を満たしておいた密閉型回収タンク2を含む密閉系内すべてに連続相である灯油5を流入する。使用するポンプ3は、洗浄の対象となる灯油5に対し安定かつ安全である材質であれば、送液原理、さらにはポンプ出力、揚程高さ等では特に制限されない。
【0039】
送液用のポンプ3を作動し密閉型回収タンク2内に連続相を供給すると、装置内に残存する気相はサイクロン1内を上昇し、サイクロンに接続した耐圧ホースを介して送液用ポンプ3さらには戻り管14から排出されるとともに、系内は供給した連続相で置換される。使用する耐圧ホースの材質、サイクロン1の材質、送液用ポンプ3の接液部の材質については、扱う物質に対して安定かつ安全であるものであれば特に制限されない。また非自給式のポンプを使用する場合には、ポンプの空転を防ぐため運転前にあらかじめ系内を必要量の灯油等の連続相で置換しておくことが望ましい。
【0040】
系内に存在する気相を液体の連続相である灯油5で置換した装置は、液体サイクロン頂部に接続した送液ポンプ3を運転することで被洗浄液が存在する容器4内から吸い込み管13を通してサイクロン内へ固体7の混じったスラリーあるいは灯油5−水6混合物として連続的に供給することが可能となる。
【0041】
系内を連続相である灯油5で置換した後も装置の送液ポンプ3を運転し被洗浄スラリーをサイクロン1内へ導入すると、サイクロン内の沈降の効果、および旋回流による遠心効果により固体である錆、金属、砂塵類および比重の大きい液体である細かな錆を含む水は密閉型回収タンク2へ排出され、それと同時に灯油で充填済みの回収タンク2からタンク内に沈降した物質量に相等する灯油がサイクロン頂部へ向かって排出される。
【0042】
回収タンク2の形状は運転中のみ密閉型であれば上記原理に基づいた分離操作が達成できるため、蓋等の取り外しが可能な構造物を接続したタンクであっても問題はない。また、操作終了後、回収した固体、液相を回収しやすくするために、図1に示すように底部にドレンバルブ12、フィルターケージ等を装着し、さらに上部にボールバルブなどの空気導入バルブ15を取り付けてタンク内を大気圧に戻せるようにしたものであれば後のメンテナンスが行いやすい。
【0043】
固体−水−油を分離する液体サイクロン1は、工業的に使用される標準型のサイクロンで十分であり、圧力損失等による運転効率ならびに分離対象物質を考慮すると比較的小型のサイクロンでも十分にその分離特性は発揮される。また、サイクロン1の材質については、対象とする固体、液体に対する耐摩耗性、耐食性、耐圧などの装置の安定性が十分保証されるものであれば特に制限は受けない。
【0044】
運転時の高効率な分離を達成するためには、送液ポンプ3はその流量を可変できる仕組みを備えたものが望ましい。流量の制御については、送液ポンプ本体に制御機能を具備したものの他に、インバーター他の付属品を取り付けて流量制御を行うものでも十分である。
【0045】
初期の分離操作においてサイクロン内に供給される流体は、被洗浄スラリー中からの固体流入量を少なくし、水もしくは水と油の連続相の割合が多いことが望ましい。また前記割合の下、さらに低流速下でサイクロン内に供給すると、水と油の分離効率は格段に向上する。これは、サイクロン内の沈降の効果により達成されるため、ポンプの流量は水−油間でエマルジョンが形成しない程度の流量での運転が望ましい。
【0046】
上記操作により水と油の分離が達成された後、サイクロン内に供給する流体の流量を増加させ、固体を含むスラリーとして液体サイクロン内に供給すると、洗浄に関する処理時間は大幅に短縮される。このときの固体濃度は、ポンプ3の定格上、液体サイクロン頂部から排出される固体濃度においても運転が可能である許容濃度範囲内に保つことが望ましい。
【0047】
装置および周辺附属品については、灯油あるいは軽油などの危険物第4類を含む流体を扱う場合には防爆構造を有するもの、さらには耐火性を有するものであることが望ましいが、本発明で示す発明の形態に限定されるものではない。以上の説明では比重の小さい液体が灯油5で、比重の大きい物質が水6、鉄錆などの固体7及び水6と固体7の入り混じった流体の場合を主体として説明したが、もちろん比重の小さい液体が水であって比重の大きい物質が砂などの場合であっても適用可能である。
【実施例】
【0048】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。なお、本発明はその要旨を越えない限り、以下に示す実施例の形態に限定されるものではない。
【0049】
(実施例1)
分離装置の構成ならびに同装置を用いた固体−水−油混合流体からの固体と水の分離の作用について説明する。
図1は本発明における上記分離装置の構成を示す図である。図示するように、分離装置の主な構成は耐圧ホースを接続した吸い込み管13、液体サイクロン本体1、密閉型回収タンク2、送液用ポンプ3、循環用戻り管14、等により構成される。
【0050】
上記構成の分離装置において、被洗浄容器内4に存在する固体7、水6、および油5を含むスラリー状流体から固体7および水6を除去する場合、はじめに送液用ポンプ3によりあらかじめ油を充填している密閉型回収タンク2中に油5を供給し、液体サイクロン1、送液用ポンプ3を経由して被洗浄容器4に到る経路すべてを油で置換する操作を行う。
【0051】
次いで分離装置と被洗浄容器間の置換が終了した後も送液ポンプ3を運転し、さらにスラリー濃度を低減するためのノズル131をつけた吸い込み管13を介してサイクロン内に水6および油5あるいは若干の固体7が含まれる状態で混合流体をエマルジョンが生成しない程度の低液速度の下で供給する。
【0052】
液体サイクロン内に供給された水6―油5混合流体は、サイクロン内で水6が密閉タンク内へ沈降するとともにその沈降量に相等する油が密閉タンクを含むサイクロン下部の流路から供給され、さらにサイクロン頂部出口から送液ポンプ3へと導入されたのち、循環用戻り管14を介して被洗浄容器4へと循環される。
【0053】
上記の操作中に水の分離がほぼ終了した場合には、その後送液ポンプ3の出力を増加させて、スラリーを含む流体をサイクロン1に導入すると処理時間の短縮が計れる。ここで固体7はサイクロン内の沈降効果と旋回流がもたらす遠心効果によりサイクロン底部出口から密閉型回収タンク2へ排出される。このとき、排出された固体量に相等する油が密閉型回収タンク2からサイクロン1へ供給され、送液ポンプ3、戻り管14を介して被洗浄容器4へと供給される。
【0054】
図2は、本分離装置で使用したサイクロンの形状ならびに寸法を示した図である。材質はSUS304で、全長22cmの標準タイプのサイクロンである。また、図3は吸い込み管13先端のノズル131の形状を示した図である。ノズルの材質は塩化ビニルを用いたが、被処理液の性状に耐えられるものであれば特にこだわるものではない。また、切り込みの長さ,角度,管径等についても被処理液が貯留されているタンクの形状に応じて適宜値を変えることでスラリー濃度の調整が可能になる。
【0055】
(実施例1−1)
灯油−水系における水の分離について実験した。一例として図1に示す分離装置、ならびに灯油と水の混合流体を用いて所定の時間運転を行い、処理終了後の被洗浄容器内における残存水量を測定した結果を図4に示す。なお、実験では灯油50dmに対し水0.5あるいは1dmを添加し、ポンプ流量16、31、45dm/minの下で分離操作を行った。図4より、いずれの流量においても時間[s]が200秒程度で元の水の量の10%程度以下まで残存量は低下していることがわかる。これより、本分離装置では、比較的密度差の小さな液体間の分離も比較的容易に行えることが明らかとなった。
また,上記と同様の条件において、ポンプをサイクロンの供給側に接続するとともに回収タンクに液を満たさずに開放型にして運転を行った結果、本実験条件範囲内のいずれの流量においてもエマルジョンを形成した大量の灯油がサイクロン底部から排出され、結果被洗浄容器内の灯油に損失が生じた。この事実より,灯油を満たした密閉型回収タンクを用いるとともにポンプをサイクロン頂部に接続し、吸引方式で分離を行うと同時に密閉型回収タンク内で置換を行い、さらに置換した液を被洗浄容器内へ返送する特徴を有する本発明は、分離効率ならびに分離と補給を同時に行える点では他の手法あるいはサイクロンを用いた既往の技術に比べその優位性が際だつことは明らかである。
【0056】
(実施例1−2)
灯油−イオン交換樹脂系におけるイオン交換樹脂の分離について実験を行った。
図5に、灯油との密度差が小さな固体を分離する系を想定し、灯油50dmにイオン交換樹脂(密度1.28 g/cm、平均粒子径550μm)を100mlあるいは200ml(図5の混合比ではそれぞれ0.1、0.2dmと表す。)を分散した系について16、31、45dm/minという種々の流量の下で実験を行い、被洗浄容器内に残存するイオン交換樹脂の量を調べた結果を示す。図5より、いずれの粒子濃度、流量においても処理時間[s]が100秒程度で残存率は13%以下となることが分かる。また、流量を増加させるとイオン交換樹脂の残存量は徐々に減少し、45dm/minでは100秒程度でほぼ完全に除去された。この結果より、比較的粒子径が小さくかつ密度が低い物質の分離に対しても本手法は有効であることが実証された。
【0057】
さらに、吸い込み管先端のノズル131をはずし、代わりに円管の開口面に対し水平に断面を切断した塩ビ管を装着して運転を行ったところ、被洗浄容器底部に沈降している固体を大量に吸引した場合には、微量の固体がサイクロン内で完全な分離が行われないままサイクロン頂部からポンプ3へ向けて返送される現象を観測した。しかし同条件において本発明におけるノズルを装着した場合には固体が返送されなかったことから、タンク底部に固体が堆積している場合でも安定かつ安全な運転を提供することができる本ノズルの優位性が実証された。
【0058】
(実施例1−3)
灯油−ガラスビーズ系におけるガラスビーズの分離について実験を行なった。
図6に固体粒子として比較的密度の高いガラスビーズ(平均粒子径1mm、密度2.59 g/cm)を灯油に分散させ、種々の液流量の下でガラスビーズの分離実験を行った結果を示す。図6より、灯油50dmに対しガラスビーズを100ml(図6の混合比では0.1dmと表す。)添加した場合には、16、31、45dm/minいずれの流量の下においても時間[s]200秒程度でガラスビーズは灯油からほぼ完全に除去されることがわかる。また、添加量を500ml(図6の混合比では0.5dmと表す。)の下で流量を16dm/min程度に設定して処理を行った場合には、処理時間[s]にほぼ比例してガラスビーズ残量が200秒で300mlまで減少していることが分かる。したがって、この流量で処理を行った場合においても、処理時間を長くすることでほぼ完全に除去されることは明らかである。
【0059】
また本分離装置におけるサイクロンへのスラリー供給方式の優位性を確認するために、図1に示す吸引バルブ10を含む送液用ポンプへのラインを液体サイクロンからはずして吸い込み管13に接続し、さらに戻り管14に接続していたポンプ吐出口3を11のバルブを含む液体サイクロン供給口に接続するとともにサイクロン頂部出口に戻り管14を接続した、スラリーを液体サイクロンに押しだし供給する方式で、実施例1−3と同じ条件の下で分離実験を行った。その結果、ガラスビーズが液供給ポンプに閉塞したため運転が不可能であった。この結果より、本実験条件下においてサイクロンの供給部にポンプを設置して分離を行う際にはスラリー輸送用のポンプを使用する必要があることがわかった。したがって、本発明の特徴であるサイクロン底部に密閉型回収タンクを具備し、またサイクロン頂部排出口にポンプを接続して吸引する装置ならびに運転方法の優位性が示された。
【0060】
(実施例1−4)
イオン交換樹脂−水−灯油系におけるイオン交換樹脂および水の分離について実験を行った。
図7に、灯油50dmに水500ml、イオン交換樹脂100mlを混合した場合、あるいは灯油50dmに水500ml、イオン交換樹脂200mlを混合した場合(図7の混合比においては500、100、200mlはそれぞれ0.5、0.1、0.2dmと表す。)におけるイオン交換樹脂または水の残量を測定した結果を示す。図7より、いずれの混合比、および流量においても時間[s]100秒の経過と共に残存量は減少することが分かる。また、残存量は流量が16、31、45dm/minと増加すると共に減少することが分かる。
【0061】
(実施例1−5)
比重の大きな物質として川砂を用い、また比重の軽い液体として灯油及び水を用いて実験を行い両者の結果を比較した。まず、灯油−砂系の実験を行った。先に図1〜3に示す本発明の分離装置を用いて、密閉型回収タンク2にはきれいな灯油を充填した。そして、被洗浄容器4には灯油50dm、川砂500ml(図8の混合比においては0.5dmと表す。)をいれて分離実験を行った。なお、以下の流量は25dm/minで行った。
実験開始時間[s]200秒後の被洗浄タンク中の砂の残量を計ったところ、190mlまで減少した。残量が0になるまで実験を継続してみると要した時間[s]は340秒であった。
次いで同じように水−川砂系の実験を行った結果を示す。先に 図1〜3に示す本発明の分離装置を用いて、密閉型回収タンク2にはきれいな水を充填した。被洗浄容器4には水50dm3中に川砂500ml(図8の混合比においては0.5dmと表す。)を入れて分離実験を行った。
実験開始時間[s]200秒後の被洗浄タンク中の砂の残量を2回計ったところ、210mlおよび180mlまで減少した。残量が0になるまで実験を継続してみると要した時間[s]は353秒と390秒となった。
これらの結果を図8に示す。この図8から水−川砂系に対しても、灯油−川砂系とほぼ同じ傾向で川砂残量が時間とともに減少し、本発明が有効に寄与することが実証された。川砂と水とは灯油−川砂系と同様、比重差が十分に大きいため、分離状態は良好であったと考えられる。また、灯油−イオン交換樹脂系、灯油−ガラスビーズ系あるいは灯油−川砂系と同様に、水−川砂系でもサイクロンへ導入されるスラリーの固体濃度をコントロールしながら、流量をさらに上げると処理時間はもっと短縮できると考えられる。
【0062】
次いで、密閉型回収タンク2の効果を確認するために、図1に示す吸い込み管13からサイクロン管1を通り戻り管14に至るラインは実施例1−5と同じ条件とし、密閉型回収タンク2のみを、図9のB、Cに示す開放型回収タンク2−1及び2−2に変更し、それぞれにきれいな水を充填した。
そして図9のBに示すようにサイクロン1の下部排出口を液面から離した場合(図8の回収タンク形状で開放型という。)、この状態で、送液用ポンプ3を運転したところ、ポンプはサイクロン1の下部排出口からエアのみが吸い込まれて被洗浄タンクから被洗浄流体を全く導入できなかったため図8の開放型のデータは得られなかった。
次に、図9のCに示すようにサイクロン下部排出部を水中に保持させて(図8の回収タンク形状で接液開放という。)運転を試みた。この場合、送液用ポンプ3はサイクロン下部の開放型回収タンク2−2からのみきれいな水を吸い上げ、その後徐々に回収タンク2−2内の水面が下降してやがて図9のBと同じ状態となり、結果、下部排出口からエアばかり吸い込み、被洗浄タンクから被洗浄流体を全く導入できなかった。したがって、図8の接触開放のデータは得られなかった。
本実験から、回収タンク形状が非常に重要であり、サイクロン下流側のポンプにより被洗浄流体(スラリー)を吸い込む場合、サイクロン入り口部分の吸込み管、サイクロン本体、下部密閉型タンクは陰圧となるため、サイクロンの下部排出口の下には図9のAに示すような必要な強度を持った密閉型回収タンク2が必要であることがわかった。
したがって、本発明の特徴であるサイクロン底部に密閉型回収タンクを具備し、またサイクロン頂部排出口にポンプを接続して吸引する装置ならびに運転方法の優位性が示された。
【0063】
(実施例2)一般家庭に設置された灯油ホームタンクの洗浄を行った結果
実際に使用されている家庭用ホームタンク中の固形物ならびに水の分離を行うために、図1〜3に示す分離装置を用いて一般家庭で通常使用されている450dmホームタンクから被洗浄流体を本発明の装置に導入し、実際にタンク内の洗浄を行った。その結果を表1に示す。
【0064】
【表1】

【0065】
表1より、実施例2−1の場合には処理時間15分で固体量0.2kg、水7kgが、また実施例2−2の場合には処理時間15分で錆を含む固体量0.1kg、水2kgが回収された。さらに、処理時間[min]を30分に増加しても回収した固体量および水の量は15分の場合とほぼ同程度であった。これら実施例1と2における回収量の違いは、タンクの設置条件(期間、場所)の違いによる異物量の違いによるものであり、どちらの場合も操作終了後のタンク内に異物はほとんど残存せず、高い回収率を示した。また洗浄後のホームタンクからは錆臭が消え、この結果から、本発明の目的であるホームタンクの洗浄に対し、本発明は有効に寄与することが実証された。
【0066】
以上、現時点において、最も実践的であり、かつ、好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は、本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲および明細書全体から読みとれる発明の要旨あるいは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う分離装置および操作方法もまた本発明の技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。
【符号の説明】
【0067】
1 サイクロン
2 密閉型回収タンク
3 送液用ポンプ
4 容器
5 灯油
6 水
7 固体
8 底部排出部バルブ
9 戻り管バルブ
10 吸引バルブ
11 吸い込み管バルブ
12 ドレンバルブ
13 吸い込み管
131 ノズル
14 戻り管
15 空気導入バルブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体サイクロンを用いて比重の小さい液体から比重の大きい物質を分離する方法において、前記液体サイクロンの底部排出部に密閉型回収タンクを接続しておき、該密閉型回収タンクにあらかじめ比重の小さい液体を満たしておくことによって前記液体サイクロンで分離された比重の大きい物質が底部排出部を通過する際に前記密閉型回収タンクを含む流路内で比重の小さい液体と置換される事を特徴とする異物分離方法
【請求項2】
比重の小さい液体を含む被処理容器の底部から吸い込み管によって比重の小さい液体と比重の大きい物質との混合物を吸引し、該混合物を液体サイクロンに導入して、比重の大きい物質を分離するとともに、比重の小さい液体を液体サイクロン頂部排出部から送液ポンプにより吸引して戻り管に送り出すことにより被処理容器に回収することを特徴とする請求項1に記載された異物分離方法
【請求項3】
比重の小さい液体が灯油であり、比重の大きい物質が水及び/または固体であることを特徴とする請求項1または2に記載された分離方法
【請求項4】
液体サイクロンの底部排出部に密閉型回収タンクを接続し、液体サイクロンの頂部排出部に送液ポンプの吸引側を接続してなる異物分離装置
【請求項5】
前記送液ポンプの送液側に戻り管を接続するとともに、液体サイクロンの側部導入部に吸い込み管を接続し、該吸い込み管の先端に粘度調整孔を形成して固体の吸い込みを抑制できるようにした事を特徴とする請求項4に記載の異物分離装置

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−29852(P2010−29852A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−153351(P2009−153351)
【出願日】平成21年6月29日(2009.6.29)
【出願人】(308020467)株式会社いとう (1)
【出願人】(504409543)国立大学法人秋田大学 (210)
【Fターム(参考)】