説明

異物検出装置

【課題】粉体への異物混入を効果的に検出する。
【解決手段】保持機構12は、粉体を収容したボトル14を垂直方向に立てた状態で、側方から保持する。この保持機構12を水平方向に回動させ、前記ボトル14を寝かせた状態とし、この寝かされたボトル14を支持台34で下方から支持する。振動装置32により、支持台34を介しボトルを振動させ、ボトル内の粉体を一方向に移動させる。そして、支持台34上に寝かされたボトル14内で移動する粉体の前方部分を撮影し、撮影したボトルの画像に基づいて、前記振動によって、粉体より大きく移動した異物を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボトル内に収容した粉体へ混入した異物を検出する異物検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、液状の薬剤について、その中に混入される異物を検出する装置が各種提案されている。例えば、液状の薬剤を収容するボトルを回転させて、撮影し、中に混入するガラス破片などの異物を撮影画像の中から検出する(特許文献1参照)。
【0003】
薬剤には、粉状のものもあり、このような粉状の薬剤についても、異物を検出する必要がある。粉状の薬剤に異物が混入した場合、異物は比重が異なるため、振動を与えることによって、薬剤と分離できる。そこで、薬剤を収容したボトルを振動させて表面に浮いてくる異物を目視で検出することが行われていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−14049号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
粉体表面に現れる異物は、画像処理によって検出することが難しく、このような異物を効果的に検出できる装置が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、粉体を収容したボトルを垂直方向に立てた状態で、側方から保持する保持機構と、この保持機構を水平方向に回動させ、前記ボトルを寝かせた状態とする回動機構と、寝かされたボトルを下方から支持する支持台と、この支持台を介しボトルを振動させ、ボトル内の粉体を一方向に移動させる振動装置と、支持台上に寝かされたボトル内で移動する粉体の前方部分を撮影する撮影装置と、を有し、前記撮影装置によって撮影したボトルの画像に基づいて、前記振動によって、粉体より大きく移動した異物を検出することを特徴とする。
【0007】
また、前記保持機構、前記回動装置、前記支持台、前記振動装置は、ロータリテーブル上に配置されていることが好適である。
【0008】
また、前記保持機構は、排気機構によって得られた減圧状態を利用して、前記ボトルを吸い付けて保持することが好適である。
【0009】
また、前記保持機構は、前記ボトルを支持台支持させた場合に、減圧によるボトルの吸い付けを停止するとともに、保持機構の自重によってボトルを支持台に向けて押圧し、この状態でボトルが前記振動装置によって振動されることが好適である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ボトルを寝かせて、振動させることで、粉体中の異物を分離することができ、撮影画像から異物検出を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施形態に係る異物検出装置の全体構成を示す図である。
【図2】実施形態に係る異物検出装置の平面の概略構成を示す図である。
【図3】保持機構の垂直状態を示す図である。
【図4】保持機構の水平状態を示す図である。
【図5】支持台の平面構成を示す図である。
【図6】ローラによるボトル保持状態を示す図である。
【図7】ボトルの撮影状態示す図である。
【図8】ボトルの撮影状態示す図である。
【図9】ボトルの他の構成例を示す図である。
【図10】ボトルの回転のための構成を示す図である。
【図11】制御動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図面に基づいて説明する。
【0013】
「全体構成」
図1は、実施形態に係る異物検出装置10の全体構成を示す図である。粉体(この例では粉状の薬剤)が収容されたボトル14は、これを保持する移送機構によって垂直方向に保持されて送られてきて、異物検出装置10に導入される。異物検出装置10は、保持機構12を有しており、この保持機構12はボトル14を真空(減圧)を利用にして吸い付けて保持する。すなわち、保持機構12は、別の減圧源(例えば、真空ポンプ)からの配管が接続されており、この減圧空間がパッド16に接続されている。そこで、このパッド16が吸い付け機構として機能し、ボトル14を吸い付ける。なお、パッド16は、例えばシリコンゴムなどの弾性体で形成される。
【0014】
この保持機構12は、ロータリテーブル20に接続されており、このロータリテーブル20とともに回転する。なお、ロータリテーブル20は、軸22によって回転可能に支持されており、プーリ24の回転によって回転される。なお、この例では、軸22を固定軸として、ロータリテーブル20を軸22から回転可能に吊り下げて支持した。しかし、ロータリテーブル20を回転させることができれば、如何なる支持方法を採用してもよい。
【0015】
ロータリテーブル20には、ドーナツ状の支持テーブル30が設けられており、ここに振動装置32が固定されている。そして、振動装置32の上側には、振動装置32によって振動される支持台34が設けられている。振動装置32には、比較的小さな部品を振動させながら整列して輸送する市販の直進型パーツフィーダが好適である。
【0016】
上記保持機構12は、ボトル14を保持したまま旋回可能に構成されており、ロータリテーブル20の半径方向において、ボトル14を垂直に保持している状態から90°外方に向けて旋回することでボトル14を支持台34上に水平に配置する。
【0017】
そして、水平に配置した状態で、振動装置32によって振動を与えることによって、ボトル14内の粉体の薬剤が半径方向外側に徐々に移動する。このとき、粉体より大きなガラスの破片などの異物が入っていた場合、このような大径の異物は粉体より移動速度が速く、粉体から分離される。
【0018】
図2には、装置の平面を示す模式図が示されている。回転する供給用テーブル40に保持されていたボトル14は、ロータリテーブル20の保持機構12に回転しながら受け渡される。保持機構12は、パッド16によりボトル14を吸い付けて受け取る。
【0019】
保持機構12は、その後90°外側に回動し、ボトル14を支持台34上に載置し、吸引を停止する。これによってボトル14は保持機構12の重量によって支持台34に押さえつけられるが、ボトル14は振動装置32の振動によって十分振動する。すなわち、保持機構12によって、吸引保持している状態では、ボトル14の振動は保持機構12によって制限されるが、吸引を停止していることで、十分振動することになる。
【0020】
そして、このような振動による異物分離処理終了後のボトル14について、図2において一点鎖線の丸で示した撮影位置50で、撮像することで、粉体から分離された異物を画像認識することができる。この例では、3カ所において撮影しているが、1カ所でも4カ所以上でもよい。
【0021】
この撮影の後、保持機構12は、ボトル14の吸引を再開し、旋回してボトル14を垂直状態に保持する。そして、排出用テーブル42にボトル14を渡し、次のボトル14の検査に備える。なお、排出用テーブル42に受け渡されたボトル14は、撮像結果から異物が検出されたボトル14と検出されなかったボトル14に自動的に振り分けられる。
【0022】
「保持機構の構成」
図3、4には、保持機構12の構成が示してある。図3は、ボトル14を垂直に立てた状態を示しており、図4は、ボトル14を水平に寝かした状態を示してある。保持機構12は、棒状の保持機構本体62を有し、この保持機構本体62にパッド16がパッド基部16aを介し取り付けられている。このパッド基部16aは、中空枠状であり、パッド16は、ゴムなどの弾性体でできたパッド基部16aから延長された前面開口の枠状のものである。また、このパッド16、パッド基部16aの内部は、保持機構本体62の内部の穴を介し、ホース60に接続されている。そして、このホース60が真空ポンプなどの減圧源に接続されることで、パッド16の前面開口から空気が吸引され、これによってボトル14をパッド16に吸い付けることができる。
【0023】
保持機構本体62は、軸64によって、支持テーブル30からの突出部分に回動自在に取り付けられており、軸64の取り付け部から図における下側は保持機構本体62の長手方向に対し45°程度左側に曲がって伸びており、その保持機構本体62の下端部には、円板状のカムリング66が設けられている。カムリング66は回転可能でもよいが、固定されていてもよい。そして、カムリング66の左側には、アクチュエータ70によって進退される付勢部72が当接可能に配置されている。アクチュエータ70は、エアの出し入れによって付勢部72を進退させるエアアクチュエータであり、付勢部72が図における左方向に押し出されることで、カムリング66が左方に移動して、保持機構本体62が起立位置にまで旋回する。ストッパ68を設け、保持機構12の内側方向への旋回を規制することが好適である。本実施形態では、カムリング66を付勢部72で押す構成が開口機構として機能するが、保持機構12を回動できれば、如何なる構成を採用してもよい。
【0024】
一方、付勢部72が退出位置にまで退出することで、保持機構12は、水平位置まで旋回する。ここで、付勢部72は、カムリング66と接触しない右側位置まで退避するため、保持機構12はその重量でボトル14を支持台34に押さえることができる。
【0025】
「支持台の構成」
寝かされたボトル14を支持する支持台34の構成を図5,6に示す。このように、ボトル14を支持する部分には、2つのローラ80,80が配置されており、この2つのローラ80,80により1つのボトル14を支持する。これらローラ80,80は回転可能に支持されており、従ってローラ80,80上でボトル14は容易に回転される。なお、支持台34において、二対のローラが備えられており、2つのボトル14を、1つの振動装置32によって振動させることができる。
【0026】
「撮像装置の構成」
図7,8に撮像装置の配置構成について示してある。ボトル14には、粉体が収容されており、これを振動させることによって、異物が前方(半径方向外側)に移動して分離される。そこで、この元々粉体のない部分であって、異物が移動してくるボトルの上部側について、撮像するように、撮像装置90を配置する。この例では、水平に寝かされたボトル14の下方のローラ80,80の間隙から照明装置92で上方を照らし、ボトル14の上方に位置するカメラ90によって、ボトル14の画像を得る。
【0027】
カメラで得た画像は画像処理装置に送られ、ここで画像認識処理によって、異物を認識する。
【0028】
なお、ローラ80は、中央部分が細くなり、撮影のための光を通しやすくすることも好適である。
【0029】
「ボトルの載置方向制御」
図9,10には、他の実施形態のボトル14および支持台34上への載置の構成が湿されている。
【0030】
このように、ボトル14は、中間に配置された仕切り90によって上室14aと、下室14bに仕切られている。そして、下室14bの底部92はボトル14の内壁に沿ってスライド可能であり、底部92の下方には、ボトル14の下方開口を介し押し上げ可能なプランジャー94が配置されている。従って、プランジャー94を押し上げることによって、底部92が押し上げられ、これによって下室14bの体積が小さくなる。下室14bの上部側壁と上室14aの下部側壁との間にはバイパス管96が設けられ、下室14bと上室14aが連通されている。
【0031】
そして、下室14bには液体、上室14aには粉体が収容されており、プランジャー94を押し上げることによって下室内の液体が上室14a内に移動され、上室14a内で両者の混合物を得ることができ、混合液を薬剤として使用することが可能である。なお、プランジャー94を押し上げるのは実際に薬剤を使用するときであり、検査段階では、プランジャー94は図示の位置にあり、本実施形態の装置は、収容されている粉体についての検査を行う。
【0032】
このようなボトル14の場合、ボトル14の側壁にバイパス管96の突起が存在する。従って、図10に示すように、ボトル14がローラ80,80上に寝かされた状態では、バイパス管96がボトル14の周壁から外方に突出する。
【0033】
ローラ80,80は、回転可能に軸支されており、このローラ80,80には、上方よりベルト82が接触されている。従って、ベルト82を移動させることで、ローラ80,80を一方向に回転できる。さらに、ボトル14のバイパス管96が存在する位置の上方には、回転板98が設けられている。この回転板98は、保持機構12の先端に回転可能に保持されて、保持機構12の重量が回転板98によってボトル14に印加されている。このような状態で、ベルト82によって、ローラ80,80を介し、ボトル14を回転させると、バイパス管96が回転板98と当たったところで、ボトル14はそれ以上回転できず、ローラ80,80とボトル14の間で滑りが生じる。すなわち、ボトル14の回転力がバイパス管96により回転板98を押し上げる程強くなく設定しておくことにより、一定方向へのボトル14に回転によって、ボトル14を、必ずバイパス管96が上方を向く位置に位置決めすることができる。
【0034】
なお、ベルト82は、ボトル14より外方において、ローラ80,80と接触することが好適であり、例えば図5に示されるように、1つの支持台34に対し、1つのベルト82を設け、4本のローラ80を回転して、2本のボトル14を回転させるとよい。また、回転板98は、図3,4に示すように、保持機構12の保持機構本体62の先端に軸を介し回転可能に設ければよい。
【0035】
さらに、パッド16は、パッド基部16aを介し、保持機構本体62に固定されるが、このパッド基部16aをスライダ16bを介し、保持機構本体62に対し、保持機構本体62の長手方向に直交する方向にスライド可能に取り付けることも好適である。すなわち、図3,4に示すように、ホース60はスライダ16bに取り付けられ、このスライダ16bにパッド基部16aを介しパッド16が取り付けられる。このような構成により、図4のように、保持機構本体62およびボトル14を寝かせた状態で、スライダ16bを上方に移動することによって、パッド16がボトル14から離れる。なお、このスライダ16bの移動には各種手段を利用することが可能であるが、圧縮空気によって移動させる機構を設けることが好適である。この構成により、このスライダ16bを引き上げ、回転板98をボトル14に当接した状態でボトルを回転できる。
【0036】
「全体動作の説明」
1本の保持機構12についての動作を図11に基づき説明する。まず、供給用テーブル40の位置に至る前に真空引きをオンする(S1)。供給用テーブル40に接触する位置で、供給用テーブル40に保持されているボトル14を受け取る(S2)。このボトル14は、前工程から送られてきたものである。なお、この時、保持機構12は垂直に立った状態であり、ボトル14は、垂直方向でパッド16に吸い付け保持される。
【0037】
次に、保持機構12が外方に向けて旋回し、ボトル14を支持台34上に押しつける(S3)。この状態で、真空引きを停止する(S4)。次に、保持機構12のスライダ16bを引き上げ、回転板98をボトル14に当接した状態にし、この状態でベルト82によりボトル14を回転させ、バイパス管96を上を向くようにする(S5)。
【0038】
このボトル14の回転制御を終了した場合には、ローラ80の回転を停止させるとともにスライダ16bを元の位置まで下げ、パッド16を介し保持機構12の重量をボトル14に作用させる(S6)。なお、スライダ16bの引き下げで、回転板98は、ボトル14から離れるが、触っていてもよい。
【0039】
この状態で、振動装置32の振動を開始し(S7)、これによって、ボトル14内の粉体、異物を移動させる。この振動の期間中も、パッド16内の真空引きは停止したままにする。この状態で、ロータリテーブル20の移動によって、ボトル14が振動しながら、複数位置においてボトルの先端部分が撮影がされる(S8)。1カ所4枚程度撮影し、ノイズを除去して画像処理によって異物の有無を判定するとよい。
【0040】
この撮影が終了した場合、振動装置32の振動を停止するとともに(S9)、パッド16の真空引きを再開し(S10)、ボトル14をパッド16に吸い付ける。そして、保持機構12がボトル14を吸い付けた状態で垂直方向に旋回復帰し(S11)、排出用テーブル42の位置で真空引きを停止してボトル14を排出用テーブル42に受け渡す(S12)。
【0041】
このような制御は、マイコンなどを有する制御装置が、各種のアクチュエータを制御して行う。
【0042】
なお、撮影は、例えば4カ所で行い、その結果により異物の有無をそれぞれ判定する。そして、2カ所以上で異物ありの判定の場合には、異物混入と判定して、そのボトル14を捨てる。一方、1カ所のみ異物検出の場合には、目視による再判定に回す。
【符号の説明】
【0043】
10 異物検出装置、12 保持機構、14 ボトル、14a 上室、14b 下室、16 パッド、16a パッド基部、16b スライダ、20 ロータリテーブル、22 軸、24 プーリ、30 支持テーブル、32 振動装置、34 支持台、40 供給用テーブル、42 排出用テーブル、50 撮影位置、60 ホース、62 保持機構本体、64 軸、66 カムリング、68 ストッパ、70 アクチュエータ、72 付勢部、80 ローラ、82 ベルト、90 撮像装置、92 照明装置、92 底部、94 プランジャー、96 バイパス管、98 回転板。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉体を収容したボトルを垂直方向に立てた状態で、側方から保持する保持機構と、
この保持機構を水平方向に回動させ、前記ボトルを寝かせた状態とする回動機構と、
寝かされたボトルを下方から支持する支持台と、
この支持台を介しボトルを振動させ、ボトル内の粉体を一方向に移動させる振動装置と、
支持台上に寝かされたボトル内で移動する粉体の前方部分を撮影する撮影装置と、
を有し、
前記撮影装置によって撮影したボトルの画像に基づいて、前記振動によって、粉体より大きく移動した異物を検出することを特徴とする異物検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の異物検出装置において、
前記保持機構、前記回動装置、前記支持台、前記振動装置は、ロータリテーブル上に配置されていることを特徴とする異物検出装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の異物検出装置において、
前記保持機構は、排気機構によって得られた減圧状態を利用して、前記ボトルを吸い付けて保持することを特徴とする異物検出装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1つに記載の異物検出装置において、
前記保持機構は、前記ボトルを支持台支持させた場合に、減圧によるボトルの吸い付けを停止するとともに、保持機構の自重によってボトルを支持台に向けて押圧し、この状態でボトルが前記振動装置によって振動されることを特徴とする異物検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−220453(P2012−220453A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−89525(P2011−89525)
【出願日】平成23年4月13日(2011.4.13)
【出願人】(505192567)エーザイマシナリー株式会社 (18)
【Fターム(参考)】