説明

異物検査装置

【課題】X線の漏洩が可及的に少なくなると共に測定ミスも少なくなる安全性・実用性に秀れた異物検査装置の提供。
【解決手段】被検査物1に上方からこの被検査物1の搬送方向と直交する方向における照射断面形状が末広がり状となるようにX線2を照射するX線照射部3と、このX線照射部3と対向状態に設けられ被検査物1を透過したX線2を検知するX線検知部4とが設けられた遮蔽箱体5の側面の一側に、搬送機構8により搬送される被検査物1を遮蔽箱体5内へ搬入する搬入用開口部6を設け、この遮蔽箱体5の側面の反対側に、被検査物1を遮蔽箱体5から搬出する搬出用開口部7を設けて成る異物検査装置であって、遮蔽箱体5の搬入用開口部6の全部をこれと対応する高さ位置の前記X線2の末広がり状照射断面の一部と略一致するか若しくはやや幅広な末広がり状の開口断面形状に設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異物検査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から例えば特許文献1に開示されるような、遮蔽箱体内にX線検査部を設けてこのX線検査部において被検査物にX線を照射すると共に被検査物を透過した透過X線を検知して異物の混入を検査する異物検査装置がある。
【0003】
ところで、このような異物検査装置には、X線が漏洩しないように開口部に暖簾を設けたり、X線が照射されていることを知らせて作業者が不用意に開口部に近づかないようにするため赤色に点灯する警報ランプを装置の外側面にその光軸が略水平方向となるように取り付けたりして、作業者の安全性を高めている。
【0004】
【特許文献1】特開2005−308413号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の異物検査装置の開口部の開口形状は矩形状とするのが一般的であり、X線照射部により被検査物に上方からこの被検査物の搬送方向と直交する方向における照射断面形状が末広がり状となるように照射されるX線の断面形状と一致していない。
【0006】
そのため、X線の照射領域をカバーできるように開口部を大きくした場合には、X線が照射されずに検査不能な領域(X線の照射領域から外れた領域)に被検査物の一部が侵入する可能性があるため、測定ミスが生じる場合があり、また、無駄に広い開口部となってそれだけX線が漏洩し易くなり、一方、開口部をX線の照射領域に収まるように小さくした場合には、X線の照射範囲を十分に活用できずそれだけ不便となる。
【0007】
また、上記警報ランプはある程度遠方から装置を望んだ場合には認識し易いが、装置の近くで清掃等の作業をする作業者からは認識し難く、改善が要望されている。
【0008】
本発明は、上述のような現状に鑑みなされたもので、X線の漏洩が可及的に少なくなると共に測定ミスも少なくなり、更にX線が照射されているか否かを装置の近くで作業する作業者でも極めて認識し易くすることも可能な極めて安全性・実用性に秀れた異物検査装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0010】
搬送機構8により搬送される被検査物1に上方からこの被検査物1の搬送方向と直交する方向における照射断面形状が末広がり状となるようにX線2を照射するX線照射部3と、このX線照射部3と対向状態に設けられ前記被検査物1を透過したX線2を検知するX線検知部4とが設けられた遮蔽箱体5の側面の一側に、前記搬送機構8により搬送される前記被検査物1を前記遮蔽箱体5内へ搬入する搬入用開口部6を設け、この遮蔽箱体5の側面の反対側に、前記被検査物1を前記遮蔽箱体5から搬出する搬出用開口部7を設けて成る異物検査装置であって、前記遮蔽箱体5の前記搬入用開口部6の全部をこれと対応する高さ位置の前記X線2の末広がり状照射断面の一部と略一致するか若しくはやや幅広な末広がり状の開口断面形状に設定するか、または、前記遮蔽箱体5の前記搬入用開口部6の上部をこれと対応する高さ位置の前記X線2の末広がり状照射断面の一部と略一致するか若しくはやや幅広な末広がり状の開口断面形状に設定すると共に、この搬入用開口部6の前記上部を除く残余部をこれと対応する高さ位置の前記X線2の末広がり状照射断面の幅以下で且つ前記搬送機構8の搬送面の幅以上の開口幅を有する開口断面形状に設定したことを特徴とする異物検査装置に係るものである。
【0011】
また、前記遮蔽箱体5の前記搬出用開口部7の全部をこれと対応する高さ位置の前記X線2の末広がり状照射断面の一部と略一致するか若しくはやや幅広な末広がり状の開口断面形状に設定するか、または、前記遮蔽箱体5の前記搬出用開口部7の上部をこれと対応する高さ位置の前記X線2の末広がり状照射断面の一部と略一致するか若しくはやや幅広な末広がり状の開口断面形状に設定すると共に、この搬出用開口部7の前記上部を除く残余部をこれと対応する高さ位置の前記X線2の末広がり状照射断面の幅以下で且つ前記搬送機構8の搬送面の幅以上の開口幅を有する開口断面形状に設定したことを特徴とする請求項1記載の異物検査装置に係るものである。
【0012】
また、前記遮蔽箱体5の前記搬入用開口部6若しくは前記搬出用開口部7からの前記X線2の漏洩を防止する暖簾状の遮蔽部材9を、その外表面の一部が前記搬入用開口部6若しくは前記搬出用開口部7から露出するように前記遮蔽箱体5に設け、前記X線照射部3から前記X線2が照射されている際に前記搬入用開口部6若しくは前記搬出用開口部7から露出する前記遮蔽部材9の外表面若しくは前記搬送機構8の上面に光を照射して、この遮蔽部材9の外表面若しくは前記搬送機構8の上面の所定範囲を照明しこの照明部位を地色と異なる色に変色させて目立たせることで前記搬入用開口部6若しくは前記搬出用開口部7からの前記X線2の漏洩可能性を警告する警告用照明部11を備えたことを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載の異物検査装置に係るものである。
【0013】
また、前記遮蔽部材9の外表面から前記搬送機構8の上面に及ぶ広範囲に前記光を照射し得るように前記搬入用開口部6若しくは前記搬出用開口部7が設けられる遮蔽部材5の側面の内側若しくは外側に前記警告用照明部11を設けたことを特徴とする請求項3記載の異物検査装置に係るものである。
【0014】
また、前記警告用照明部11は、複数の発光素子12を、この各発光素子12の前記搬送機構8の上面における互いの照射範囲が僅かに重なり合う間隔か若しくは互いの照射範囲間に僅かな隙間を有する間隔で幅方向に並設して構成したことを特徴とする請求項3,4のいずれか1項に記載の異物検査装置に係るものである。
【0015】
また、前記発光素子12は赤色発光ダイオードであることを特徴とする請求項5記載の異物検査装置に係るものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明は上述のように構成したから、X線の漏洩が可及的に少なくなると共に測定ミスも少なくなり、更にX線が照射されているか否かを装置の近くで作業する作業者でも極めて認識し易くすることも可能な極めて安全性・実用性に秀れた異物検査装置となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
好適と考える本発明の実施形態(発明をどのように実施するか)を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0018】
搬送機構8により被検査物1は搬入用開口部6から遮蔽箱体5内に搬入され、X線照射部3からX線2が照射されてこの被検査物1を透過した透過X線2がX線検知部4で検知されることで異物が混入しているか否かを検査された後、搬出用開口部7から搬出される。
【0019】
この際、本発明は、搬入用開口部6の上部若しくは全部を、これと対応する高さ位置のX線2の照射断面の一部と略一致する(若しくはこの照射断面の一部よりやや幅広な)末広がり状の開口断面形状に設定しているため、搬入用開口部6の開口形状をX線2の照射領域の略全体を有効に利用しつつ可及的に狭くすることが可能となる。
【0020】
従って、X線2の搬入用開口部6からの漏洩量をそれだけ少なくでき、また、X線2の照射領域から外れた領域には被検査物1が侵入しないため(X線2の照射領域から外れた領域に侵入する大きさ・形状の被検査物1は搬入用開口部6を通過できないため)、測定ミスも極めて生じにくいことになる。
【0021】
即ち、従来の矩形状の開口部はその開口下端がX線の末広がり状照射断面の搬送機構の搬送面上における幅と略同幅に設定されるため、上部側ほどX線2の照射領域から外れた領域を含む開口形状となっているが、本発明によれば、搬入用開口部6の上部側は確実にX線2の照射断面形状と略一致する開口断面形状となり、X線2の漏洩を可及的に防止しつつX線の照射領域を有効に利用可能となる。
【0022】
また、搬入用開口部6の前記上部を除く残余部をこれと対応する高さ位置の前記X線2の末広がり状照射断面の幅以下で且つ搬送機構8の搬送面の幅以上の開口幅を有する開口断面形状に設定した場合も、少なくとも搬送機構8の搬送面の幅以上の開口幅を有するためX線2の照射領域を有効に利用でき、しかも、X線2の末広がり状照射断面の幅以下の開口幅であるため、X線2の漏洩は可及的に防止できることになる。
【0023】
また、搬入用開口部6だけでなく、搬出用開口部7も同様に構成した場合には、X線2の漏洩をより一層少なくできることになる。
【0024】
また、例えば、前記遮蔽箱体5の前記搬入用開口部6若しくは前記搬出用開口部7からの前記X線2の漏洩を防止する暖簾状の遮蔽部材9を、その外表面の一部が前記搬入用開口部6若しくは前記搬出用開口部7から露出するように前記遮蔽箱体5に設け、前記X線照射部3から前記X線2が照射されている際に前記搬入用開口部6若しくは前記搬出用開口部7から露出する前記遮蔽部材9の外表面若しくは前記搬送機構8の上面に光を照射して、この遮蔽部材9の外表面若しくは前記搬送機構8の上面の所定範囲を照明しこの照明部位を地色と異なる色に変色させて目立たせることで前記搬入用開口部6若しくは前記搬出用開口部7からの前記X線2の漏洩可能性を警告する警告用照明部11を備えた場合には、X線2がX線照射部3から照射されている際に、警告用照明部11により搬入用開口部6若しくは搬出用開口部7から露出する遮蔽部材9の外表面若しくは搬送機構8の上面に光が照射されて遮蔽部材9の外表面若しくは前記搬送機構8の上面の所定範囲が照明され、この照明部位が地色と異なる色(例えば赤色等)に変色せしめられて目立つことになり、X線2の漏洩可能性が警告される。
【0025】
一般に、遮蔽部材9及び搬送機構8はゴム等の樹脂製部材で構成されるため、警告用照明部11から照射される光は広い角度に拡散されることになり、例えば金属製の遮蔽箱体5に照射したり、遮蔽箱体5の外側面にその光軸が略水平方向となるように取り付けたりする場合に比し、広い角度から変色を認識できるため、遮蔽部材9の外表面若しくは搬送機構8の上面の所定範囲が変色せしめられることと相俟って、作業者は遠目からでも近場からでも特に意識することなく自然と警告を知らせる変色が視界に入ることになり、容易にX線2が照射中であるか否かを認識可能となる。
【0026】
特に、搬入用開口部6及び搬出用開口部7近傍は清掃作業を頻繁に行う必要があることから、注目度が高くこの点からも警告効果は極めて高くなる。
【実施例】
【0027】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0028】
本実施例は、搬送機構8により搬送される被検査物1に上方からこの被検査物1の搬送方向と直交する方向における照射断面形状が末広がり状となるようにX線2を照射するX線照射部3と、このX線照射部3と対向状態に設けられ前記被検査物1を透過したX線2を検知するX線検知部4とが設けられた遮蔽箱体5の側面の一側に、前記搬送機構8により搬送される前記被検査物1を前記遮蔽箱体5内へ搬入する搬入用開口部6を設け、この遮蔽箱体5の側面の反対側に、前記被検査物1を前記遮蔽箱体5から搬出する搬出用開口部7を設け、前記遮蔽箱体5の前記搬入用開口部6若しくは前記搬出用開口部7からの前記X線2の漏洩を防止する暖簾状の遮蔽部材9を、その外表面の一部が前記搬入用開口部6若しくは前記搬出用開口部7から露出するように前記遮蔽箱体5の前記搬入用開口部6側及び前記搬出用開口部7側に夫々設けて成る異物検査装置であって、前記遮蔽箱体5の前記搬入用開口部6及び前記搬出用開口部7の全部をこれと対応する高さ位置の前記X線2の末広がり状照射断面の一部と略一致する末広がり状の開口断面形状に設定し、前記X線照射部3から前記X線2が照射されている際に前記搬入用開口部6若しくは前記搬出用開口部7から露出する前記遮蔽部材9の外表面及び前記搬送機構8の上面に光を照射して、この遮蔽部材9の外表面及び前記搬送機構8の上面の広い範囲を照明しこの照明部位を地色と異なる色に変色させて目立たせることで前記搬入用開口部6及び前記搬出用開口部7からの前記X線2の漏洩可能性を警告する警告用照明部11を備えたものである。
【0029】
各部を具体的に説明する。
【0030】
本実施例は、図1に図示したように、脚部10により支持される遮蔽箱体5に搬送機構8(直線搬送用のベルトコンベア)を設けて成るものである。具体的には、遮蔽箱体5は、本体部13とこの本体部13から左右に張り出す張り出し部14とで構成されており、この張り出し部14の側面に夫々搬入用開口部6及び搬出用開口部7が左右対向状態に設けられる。また、脚部10は一対の横向きコ字状の板体15を棒体16で連結した構成であり、遮蔽箱体5にして前記横向きコ字状の板体15の上面と遮蔽箱体5の下部開口部との間に搬送機構8が設けられる。尚、図中、符号17は本実施例と並設される他の装置のベルトコンベアである。
【0031】
張り出し部14は、搬入用開口部6(搬出用開口部7)が形成される側板部18と、この側板部18の前方側に連設される前板部19と、側板部18の後方側に連設される後板部(図示省略)と、側板部18の上方側に連設される上板部20とで構成されている。
【0032】
遮蔽箱体5の本体部13のタッチパネルモニタ22やON/OFFスイッチ23などが設けられる前面板部21は開閉可能に構成されている。尚、前面板部21には、前記前板部19の全部及び前記側板部18と前記上板部20の一部が含まれる。
【0033】
また、本実施例において搬入用開口部6及び搬出用開口部7とは、図2に図示したように、前記側板部18に形成される搬送機構8の搬送面(ベルト24の上面)と略平行な上辺部25及び左右の傾斜辺部26・27から成る下向き凹部と前記搬送機構8の搬送面の水平方向延長線とで囲繞された上方から下方に向かって末広がりとなる台形状の空間部のことをいう。
【0034】
図3に図示したように、遮蔽箱体5の内部にして前記搬送機構8の直上位置にはベルト24と対向状態にX線2を照射するX線照射部3が設けられ、このX線照射部3と対応する前記搬送機構8の略中央部位置にして(搬送側の)ベルト24の裏面にはラインセンサ(ベルトの幅と略同幅までX線2を検出可能)から成るX線検知部4が設けられている。図中、符号28はベルト24が懸環されるローラである。尚、X線照射部3とX線検知部4との間を通過した被検査物1のX線検知部4で検知された透過X線は遮蔽箱体5内に内蔵されたコンピュータで適宜解析されタッチパネルモニタ22上に結果が表示される。
【0035】
図4に図示したように、X線照射部3は、搬送機構8(被検査物1)の搬送方向と直交する方向における照射断面形状が末広がり状となるようにX線2を照射するように構成され、前記遮蔽箱体5の前記搬入用開口部6及び前記搬出用開口部7の全部はこれと対応する高さ位置(搬送機構8の搬送面からの同一水平高さ位置)の前記X線2の末広がり状照射断面の一部と略一致する末広がり状の開口断面形状に設定されている。
【0036】
具体的には、X線照射部3は、搬送機構8の搬送方向と直交する方向における断面視において、X線2がこのX線照射部3の照射口(スリット)から下方(搬送機構8の搬送面)に向かって徐々に幅広となる末広がり状となるように照射されるように構成されている。そして、前記搬入用開口部6及び前記搬出用開口部7の全部が、この搬入用開口部6及び搬出用開口部7と対応する高さ位置の前記末広がり状のX線2の照射断面形状の一部を切り取った台形状と略一致する形状となるように、前記側板部の下向き凹部の形状(上辺部25の長さ並びに左右の傾斜辺部26・27の長さ及び傾斜角度)が設定されている。
【0037】
また、本実施例においては、X線2の搬送機構8の搬送面上における照射幅が、搬送面幅と略同幅となるように構成されている。
【0038】
尚、本実施例においては、搬入用開口部6及び搬出用開口部7を上述のように構成しているが、搬送機構8の搬送面の幅がこの搬送面上におけるX線2の照射幅に比して狭い場合には、前記遮蔽箱体5の前記搬入用開口部6及び前記搬出用開口部7の上部をこれと対応する高さ位置の前記X線2の末広がり状照射断面の一部と略一致する末広がり状の開口断面形状に設定すると共に、この搬入用開口部6の前記上部を除く残余部をこれと対応する高さ位置の前記X線2の末広がり状照射断面の幅以下で且つ前記搬送機構8の搬送面の幅以上の開口幅を有する開口断面形状に設定しても良い。具体的には、前記搬入用開口部6の前記残余部の開口断面形状を前記搬送機構8の搬送面の幅と略同幅の矩形状としても良い。この場合も本実施例と同様にX線の漏洩を可及的に少なくできると共に測定ミスを大幅に減らすことが可能となる。
【0039】
また、図5に図示したように、遮蔽部材9は、遮蔽箱体5の内部にして搬入用開口部6側及び搬出用開口部7側に夫々搬送機構8の搬送方向に沿って所定間隔で3つずつ設けられている。遮蔽部材9としては、複数の短冊から成るものが採用されている。
【0040】
具体的には、遮蔽部材9のうち、最も搬入用開口部6側及び搬出用開口部7側に位置する遮蔽部材9の外表面のみが夫々搬入用開口部6若しくは搬出用開口部7から外部に露出するように構成されている。
【0041】
警告用照明部11は、前記遮蔽部材9の外表面から前記搬送機構8の上面に及ぶ広範囲に前記光を照射し得るように前記搬入用開口部6(若しくは前記搬出用開口部7)の外周位置に設けている。具体的には、前記遮蔽部材9の外表面から前記搬送機構8の上面に及ぶ広範囲に前記光を照射するように前記搬入用開口部6(若しくは前記搬出用開口部7)が設けられる遮蔽部材5の側面の内側若しくは外側に前記警告用照明部11を設けると良い。
【0042】
更に具体的には、前記遮蔽部材9の外表面及び前記搬送機構8の搬送面の双方に光を照射可能な前記側板部18の下向き凹部を形成する上辺部25若しくは左右の傾斜辺部26・27に設けるのが好ましい。この際、遮蔽部材9の外表面の上部側にもできるだけ光を照射できるように、上辺部25にその照射方向(光軸)が垂直下向きとなるように設けたり、傾斜辺部26・27(双方若しくはいずれか一方)の上端側寄り位置にその照射方向が横向き若しくは斜め下向きとなるように設けたりすると良い。また、警告用照明部11は、被検査物1と干渉しないように搬入用開口部6(若しくは搬出用開口部7)内に突出しないように設ける。尚、本実施例においては搬入用開口部6側に設けた警告用照明部11について説明しているが、搬出用開口部7側でも同様である(搬出用開口部7側の警告用照明部11の図示は省略している。)。
【0043】
本実施例においては、図5,6に図示したように、側板部18の前記下向き凹部を形成する上辺部25の内面側面29(遮蔽部材9と対向する面)にして、この側板部18と前記開口部から外表面が露出する遮蔽部材9との間に設けている。具体的には、前記上辺部25の内面側面29に、警告用照明部11を構成する複数の発光素子12(赤色発光ダイオード)をその照射方向が垂直下向きとなるように保持する保持体30を設けている。この保持体30は断面視L字状の取り付け部材31に取り付けられ、この取り付け部材31を止めネジ32で側板部18に固定することで設けられる。前記発光素子12は、各発光素子12の前記搬送機構8の上面における互いの照射範囲aが僅かに重なり合う間隔で幅方向に並設されるように前記保持体30に設けられている。尚、互いの照射範囲a間に僅かな隙間を有する間隔で幅方向に並設しても良い。従って、より遮蔽部材9に近くから光を照射可能となり、また、外部に発光素子12が露出しないため邪魔になりにくく、外観もすっきりしたものとなる。
【0044】
尚、本実施例においては、上辺部25の内面側面29に警告用照明部11を設けた構成としているが、外面側面に設けた構成としても良い。また、警告用照明部11を複数の赤色発光ダイオードで構成しているが、例えばこれ以外の発光素子などでも遮蔽部材9の外表面及び搬送機構8の搬送面を照射前の状態から変化させて目立つ状態にすることが可能であれば他の構成を採用しても良い。また、遮蔽部材9と被検査物1との接触等を考慮し、搬入用開口部6及び搬出用開口部7の全部をこれと対応する高さ位置の前記X線2の末広がり状照射断面の一部と相似するこの末広がり状照射断面よりやや幅広な末広がり状の開口断面形状に設定しても良い。具体的には、数mm〜2cm程度幅広に設定しても良い。
【0045】
本実施例は上述のように構成したから、搬送機構8により被検査物1は遮蔽部材9を押し上げながら搬入用開口部6を通じて遮蔽箱体5内に搬入され、X線照射部3からX線2が照射されてこの被検査物1を透過した透過X線2がX線検知部4で検知されることで異物が混入しているか否かを検査された後、遮蔽部材9を押し上げながら搬出用開口部7を通じて遮蔽箱体5から搬出される。
【0046】
この際、搬入用開口部6及び搬出用開口部7の全部をこれと対応する高さ位置のX線2の照射断面の一部と略一致する末広がり状の開口断面形状に設定しているため、搬入用開口部6及び搬出用開口部7の開口形状をX線2の照射領域の略全体を有効に利用しつつ可及的に狭くすることが可能となる。
【0047】
従って、X線2の搬入用開口部6及び搬出用開口部7からの漏洩量を可及的に少なくでき、また、X線2の照射領域から外れた領域には被検査物1が侵入しないため、測定ミスも極めて生じにくいことになる。
【0048】
また、X線2がX線照射部3から照射されている際には、警告用照明部11により搬入用開口部6及び搬出用開口部7から露出する遮蔽部材9の外表面及び搬送機構8の上面が赤色に照明され、作業者は遠目からでも近場からでも特に意識することなく自然と警告を知らせる赤色が視界に入ることになり、容易にX線2が照射中であるか否かを認識可能となる。特に、搬入用開口部6及び搬出用開口部7近傍は清掃作業を頻繁に行う必要があることから、注目度が高くこの点からも警告効果は極めて高くなる。
【0049】
また、搬入用開口部6及び搬出用開口部7の全部をこれと対応する高さ位置のX線2の照射断面の一部と略一致する末広がり状の開口断面形状としていることから、警告用照明部11により搬入用開口部6若しくは搬出用開口部7から露出する遮蔽部材9の外表面の大部分を容易に赤色に照明することが可能となり、一層上記警告効果が高まることになる。即ち、警告用照明部11として円錐状に光が照射される発光ダイオードを採用した場合、この発光ダイオードによる照射断面形状は、搬送機構8の搬送方向と直交する方向の断面視において、搬入用開口部6及び搬出用開口部7の開口断面形状と同様に下方に向かって末広がり状となるため、より少ない数で効率的に搬入用開口部6若しくは搬出用開口部7から露出する遮蔽部材9の外表面の広い範囲を照射可能となる。
【0050】
従って、本実施例は、X線の漏洩が可及的に少なくなると共に測定ミスも少なくなり、しかも、X線が照射されているか否かを装置の近くで作業する作業者でも極めて認識し易い極めて安全性・実用性に秀れた異物検査装置となる。
【0051】
本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本実施例の概略説明斜視図である。
【図2】本実施例の概略説明側面図である。
【図3】本実施例の要部の概略説明斜視図である。
【図4】本実施例の要部の概略説明側面図である。
【図5】本実施例の要部の概略説明正面図である。
【図6】本実施例の要部の拡大概略説明斜視図である。
【符号の説明】
【0053】
1 被検査物
2 X線
3 X線照射部
4 X線検知部
5 遮蔽箱体
6 搬入用開口部
7 搬出用開口部
8 搬送機構
9 遮蔽部材
11 警告用照明部
12 発光素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送機構により搬送される被検査物に上方からこの被検査物の搬送方向と直交する方向における照射断面形状が末広がり状となるようにX線を照射するX線照射部と、このX線照射部と対向状態に設けられ前記被検査物を透過したX線を検知するX線検知部とが設けられた遮蔽箱体の側面の一側に、前記搬送機構により搬送される前記被検査物を前記遮蔽箱体内へ搬入する搬入用開口部を設け、この遮蔽箱体の側面の反対側に、前記被検査物を前記遮蔽箱体から搬出する搬出用開口部を設けて成る異物検査装置であって、前記遮蔽箱体の前記搬入用開口部の全部をこれと対応する高さ位置の前記X線の末広がり状照射断面の一部と略一致するか若しくはやや幅広な末広がり状の開口断面形状に設定するか、または、前記遮蔽箱体の前記搬入用開口部の上部をこれと対応する高さ位置の前記X線の末広がり状照射断面の一部と略一致するか若しくはやや幅広な末広がり状の開口断面形状に設定すると共に、この搬入用開口部の前記上部を除く残余部をこれと対応する高さ位置の前記X線の末広がり状照射断面の幅以下で且つ前記搬送機構の搬送面の幅以上の開口幅を有する開口断面形状に設定したことを特徴とする異物検査装置。
【請求項2】
前記遮蔽箱体の前記搬出用開口部の全部をこれと対応する高さ位置の前記X線の末広がり状照射断面の一部と略一致するか若しくはやや幅広な末広がり状の開口断面形状に設定するか、または、前記遮蔽箱体の前記搬出用開口部の上部をこれと対応する高さ位置の前記X線の末広がり状照射断面の一部と略一致するか若しくはやや幅広な末広がり状の開口断面形状に設定すると共に、この搬出用開口部の前記上部を除く残余部をこれと対応する高さ位置の前記X線の末広がり状照射断面の幅以下で且つ前記搬送機構の搬送面の幅以上の開口幅を有する開口断面形状に設定したことを特徴とする請求項1記載の異物検査装置。
【請求項3】
前記遮蔽箱体の前記搬入用開口部若しくは前記搬出用開口部からの前記X線の漏洩を防止する暖簾状の遮蔽部材を、その外表面の一部が前記搬入用開口部若しくは前記搬出用開口部から露出するように前記遮蔽箱体に設け、前記X線照射部から前記X線が照射されている際に前記搬入用開口部若しくは前記搬出用開口部から露出する前記遮蔽部材の外表面若しくは前記搬送機構の上面に光を照射して、この遮蔽部材の外表面若しくは前記搬送機構の上面の所定範囲を照明しこの照明部位を地色と異なる色に変色させて目立たせることで前記搬入用開口部若しくは前記搬出用開口部からの前記X線の漏洩可能性を警告する警告用照明部を備えたことを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載の異物検査装置。
【請求項4】
前記遮蔽部材の外表面から前記搬送機構の上面に及ぶ広範囲に前記光を照射し得るように前記搬入用開口部若しくは前記搬出用開口部が設けられる遮蔽部材の側面の内側若しくは外側に前記警告用照明部を設けたことを特徴とする請求項3記載の異物検査装置。
【請求項5】
前記警告用照明部は、複数の発光素子を、この各発光素子の前記搬送機構の上面における互いの照射範囲が僅かに重なり合う間隔か若しくは互いの照射範囲間に僅かな隙間を有する間隔で幅方向に並設して構成したことを特徴とする請求項3,4のいずれか1項に記載の異物検査装置。
【請求項6】
前記発光素子は赤色発光ダイオードであることを特徴とする請求項5記載の異物検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−180681(P2009−180681A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−21794(P2008−21794)
【出願日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願人】(598105802)株式会社 システムスクエア (8)
【Fターム(参考)】