説明

異物検知装置

【課題】 本発明は、紙葉類厚み変動検知装置、より詳しくは、例えば、フォーム加工機等の紙葉類、特に連続用紙搬送時における異物検知を行う検査装置に関する。
【解決手段】 本発明は、用紙搬送ローラ20上に前記連続用紙10を介して可動ローラ30が設置された異物検知装置において、前記可動ローラ30の位置変動をてこの原理を利用したアーム40を介して信号を増強することにより、簡易的な位置検知装置により異物検知を可能とすることにより、上記の課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙葉類厚み変動検知装置、より詳しくは、例えば、フォーム加工機等の紙葉類の搬送工程における異物検知を行う検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
連続帳票を送り出すことを目的として、その両側に一定のピッチで送り孔として丸穴を打ち抜く穴あけ加工が連続帳票等のフォーム類に対して行われている。穴あけ加工は、オス側のピン及びメス側のダイスをホイールにセットし、フォーム用紙の移動速度にあわせてホイールを回転させて打ち抜き加工を行っている。
【0003】
正常に稼動している場合、穴あけ加工により発生する打ち抜きカス(異物)はメス側のダイスを通して排出されるが、ピン、ダイスの磨耗、駆動の衝撃による瞬間的な噛み合わせの不良等の不確定要素により、打ち抜きカスが正常に排出されず、フォーム用紙に付着したまま製品へ混入し、印刷抜け等の不良発生の原因となっている。
【0004】
このような打ち抜けカス対策として、エアーの吹き付け、紙面を掻取ることにより、発生した打ち抜けカスの除去を行っている。しかし、エアーの吹き付けでは除去不能な場合がある、他の部位への混入が発生する等の問題があり、紙面の掻取りでは用紙破れ、糊はがれ等の問題が解決されていないため、抜けカス残留を検知する方法が検討されている。
【0005】
抜けカス残留を検知する方法として、用紙の厚さの変化を検知する方法が一般的であり、用紙厚さの検知装置として、例えば特許文献1〜3が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−172745号公報
【特許文献2】特許第444738号公報
【特許文献3】特開2009−300279号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1〜3に記載の紙葉類の厚さ検知方法は、検知精度を上げるため、装置構成が複雑であり、また、高度な検知システムが必要となるという課題がある。そこで本発明は、簡易な方法で正確な異物検知を行うことができる異物検知装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の異物検知装置は、以下の各態様に記載の手段により上記の課題を解決するものである。
【0009】
本発明の第1の態様は、連続用紙に連続して加工を行うフォーム加工機によって、加工された連続用紙面に付着した異物を検知する異物検知装置であって、
固定されたアーム取り付け回転軸に回転自在に可動する剛体からなるアームを設け、前記アームの一方の端部に可動ローラを設け、前記アームの他方の端部近傍に位置検知装置を設け、用紙搬送ローラ上に前記連続用紙を介して前記可動ローラを当接し、かつ、前記位置検知装置と前記アーム取り付け回転軸との距離が、前記可動ローラと前記アーム取り付け回転軸との距離よりも長いことを特徴とする異物検知装置である。
【0010】
本発明の第2の態様は、前記第1の態様において、前記位置検知装置からの出力信号にもとづいて可動ローラの位置変動が発生したことを作業者に認識させる警報装置を備えたことを特徴とする異物検知装置である。異常発生の警報装置に関しては、異常検知時にブザー等の音、警報ランプ等の光等にて対応が可能である。
【0011】
本発明の第3の態様は、前記第1の態様において、前記位置検知装置からの出力信号にもとづいて異物発生位置を連続帳票上に記録することを特徴とする異物検知装置である。異常発生位置の記録に関しては、用紙異常発生部への印字、スタンプ、付箋貼付等にて対応が可能である。
【発明の効果】
【0012】
本発明の第1の態様によれば、簡易な方法で異物検知が可能という効果がある。
【0013】
本発明の第2の態様によれば、前記第1の態様の効果に加え、さらに異物発生時に直ちに対応が可能となるという効果がある。
【0014】
本発明の第3の態様によれば、前記第1の態様の効果に加え、さらに連続用紙上の異物発生位置を記録することにより、異常発生場所の特定を容易に行うことが可能となるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明による第1実施形態の異物検知装置を側面から見た概念図である。
【図2】本発明による第1実施形態の異物検知装置を上側から見た概念図である。
【図3】本発明による第1実施形態の異物検知装置における可動ローラへの加重の方法を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態に係る異物検知について、図面を参照して説明する。
【0017】
図1は本発明による異物検知装置の側面から見た概略図、図2は本発明による異物検知装置の上側から見た概略図である。図中10は穴あけ加工を行った後の連続帳票である。
【0018】
図1及び図2に示されるように、穴あけ加工後の連続帳票10が固定軸21により回転自在に固定された搬送ローラ20上を移動している。固定されたアーム取り付け回転軸41により回転自在に固定されたアーム40の一端に、前記アーム40に固定された回転軸31により回転自在に固定された可動ローラ30が、前記搬送ローラ上に連続帳票10を介して設置されている。さらに、前記アーム40の他端には筐体に固定されたマイクロスイッチからなる位置検知装置50が接触して設置されている。
【0019】
また、可動ローラ30の搬送ローラ20への押し付けは、一定の力であることが好ましい。例えば可動ローラ30の自重によって搬送ローラ20へ可動ローラ30を押し付けることができる。また、図3に示すとおり、アーム40へ取り付けたばね等による加重であっても良い。図3において、4つのばね(61〜64)により加重を加えている様子が図示されている。これらのばねは、図3に示す白抜き矢印の方向へ可動ローラ30を押し付ける力を加えるように、ばね61、64は縮むばねを、ばね62、63は伸びるばねを使用する。また、ばね61〜64は、いずれか1個の使用であっても良いし、任意の複数個を備えていても良い。
【0020】
前期特許文献1〜3に記載されている発明においては、枚様の用紙(紙幣等)の厚さ異常を検知するため、正確な厚さの検知が必要とされているが、本発明においては連続用紙における異物検知を目的としているため正確な厚さの検知は不要である。異物付着による、用紙厚さの誤差範囲、糊の厚さの誤差範囲から外れた異常値が検知できれば良いため、例えばマイクロスイッチ等の安価な部品の使用により、異物付着等の異常検知が可能となる。また、正確な厚さを検知するために、可動ローラの押し付け圧の調整も必要となってくるが、本発明においては、可動ローラの位置変動が検知できれば良いため、押し付け圧が一定であればよいという特徴がある。本発明はマイクロスイッチに限定するものではなく、光学センサ、磁気センサ等の位置変動の検知が可能なものであれば何を用いても良い。
【0021】
アーム取り付け回転軸41を中心とするてこの原理により、例えば、アーム取り付け回転軸41と可動ローラ取り付け回転軸31間の距離と、アーム取り付け回転軸41と位置検知装置設置位置51の距離の比を1:nにすることにより、信号強度をn倍に増幅することが可能である。1以下だと信号強度が減少し、5以上だとアームの重量の増加、設置面積の増加等の問題が発生するため、nの値は、1より大きく5より小さい値に設定することが好ましい。一般的な連続帳票は、75ミクロンから170ミクロン程度の厚みの用紙が単数もしくは糊付けにより複数枚重なって作製されている。例えば75ミクロン厚の1枚物の連続帳票の場合、この用紙の抜きカスも75ミクロンであり、例えば前記nの値が4であった場合、300ミクロンの位置変動が位置検知装置にて検知される。300ミクロンという値は、十分マイクロスイッチにて対応可能な範囲である。さらに複数枚重ねの連続帳票の場合、位置変動はさらに大きな値となり、マイクロスイッチにて対応可能な範囲である。
【0022】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態の実施例を示す。
【0023】
図2に示すとおり、連続帳票10が、穴あけ加工後に本発明の異物検知装置を通過している。位置検知装置50には、筐体に固定されたマイクロスイッチを使用している。前記マイクロスイッチは、通常時OFF、異常発生時ONとなるものを使用した。
【0024】
連続帳票10は、1枚物の帳票で、75ミクロンの厚さの用紙で、用紙厚のばらつきが最大±7.5ミクロンとなる用紙が使用された。アーム取り付け回転軸41と可動ローラ取り付け回転軸31間の距離と、アーム取り付け回転軸41と位置検知装置設置位置51の距離の比が1:4になるアーム40を使用した。可動ローラ30の搬送ローラ20への押し付けは、ばね61を使用した。
【0025】
安定稼動時は用紙厚のばらつきが最大±7.5ミクロンであり、通常時の位置検知装置50の変動は最大±30ミクロンであり、異物発生時の位置検知装置50の変動は用紙の厚さ75ミクロンの4倍である300ミクロンであるため、マイクロスイッチがONとなる位置変動を200ミクロンに設定した。前記設定値は、30〜300ミクロンの間にあれば良いが、誤作動を避けるため、最大誤差値と異常信号値の中間値から、異常信号値から100ミクロン引いた値に設定するのが好ましい。
【0026】
(第2実施形態)
前記第1の実施形態において、抜きカスによる異常発生時に、マイクロスイッチがONとなり、ブザーを発報する機構により、異物発生の迅速な認識が可能となった。
【0027】
(第3実施形態)
前記第1の実施形態において、抜きカスによる異常発生時に、マイクロスイッチがONとなり、異物検知位置に付箋紙を貼り付ける機構により、異物発生位置の迅速な特定が可能となった。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明は、連続帳票の印刷加工装置における異物検知装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0029】
10 連続帳票
20 搬送ローラ
21 搬送ローラ取り付け回転軸
30 可動ローラ
31 可動ローラ取り付け回転軸
40 アーム
41 アーム取り付け回転軸
50 位置検知装置
51 位置検知装置設置位置
61〜64 ばね



【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続用紙に連続して加工を行うフォーム加工機によって、加工された連続用紙面に付着した異物を検知する異物検知装置であって、
固定された回転軸に回転自在に可動する剛体からなるアームを設け、前記アームの一方の端部に可動ローラを設け、前記アームの他方の端部近傍に位置変動検知装置を設け、用紙搬送ローラ上に前記連続用紙を介して前記可動ローラを当接し、かつ、前記位置変動検知装置と前記回転軸との距離が、前記可動ローラと前記回転軸との距離よりも長いことを特徴とする異物検知装置。
【請求項2】
前記位置検変動知装置からの出力信号にもとづいて可動ローラの位置変動が発生したことを作業者に認識させる警報装置を備えたことを特徴とする請求項1記載の異物検知装置。
【請求項3】
前記位置検変動知装置からの出力信号にもとづいて異物発生位置を連続帳票上に記録することを特徴とする請求項1記載の異物検知装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−71962(P2012−71962A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−219414(P2010−219414)
【出願日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】