異物除去装置
【課題】 穀粒物の大きさと近い大きさを持つ小石などの異物であっても分離・除去する能力を向上せしめた異物除去装置を提供する。
【解決手段】 受皿本体110は中心に開口を有する底板と外周壁113と内周壁114を備え、キャビティ115を形成している。キャビティ115内に水流にのった異物が嵌り得る間隙を備えた異物捕捉体120を配置する。加圧送水管130により上方へ噴水した水流を導水壁140により下方の異物捕捉体120に導く。導水壁140には羽根板141があり導水壁面に沿って下方に流れる水流に対して周回方向の回転力を与え、異物捕捉体120上の水流を周回方向に回転させ、開口112から下方へ流れ出すまでの滞留時間を長くし、穀粒物と異物との水に対する比重差による水流内での動きの違いと、穀粒物と異物との異物捕捉体120に対する摩擦力の違いや引っ掛かりの有無により異物のみが異物捕捉体120で捕捉されやすくなる。
【解決手段】 受皿本体110は中心に開口を有する底板と外周壁113と内周壁114を備え、キャビティ115を形成している。キャビティ115内に水流にのった異物が嵌り得る間隙を備えた異物捕捉体120を配置する。加圧送水管130により上方へ噴水した水流を導水壁140により下方の異物捕捉体120に導く。導水壁140には羽根板141があり導水壁面に沿って下方に流れる水流に対して周回方向の回転力を与え、異物捕捉体120上の水流を周回方向に回転させ、開口112から下方へ流れ出すまでの滞留時間を長くし、穀粒物と異物との水に対する比重差による水流内での動きの違いと、穀粒物と異物との異物捕捉体120に対する摩擦力の違いや引っ掛かりの有無により異物のみが異物捕捉体120で捕捉されやすくなる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小豆や米などの穀粒中に混入している小石その他の異物を除去するための異物除去装置に関する。特に、水を媒体として水流により穀粒物と異物とを分別し、異物を除去することができる異物除去装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術において小豆や米などの穀粒中に混入している微細な小石・砂・ゴミなどの異物を除去する異物除去装置が知られている。特に、水を媒体として水流により穀粒物と異物とを分別し、異物を除去する装置として、特許文献1(特開平10−15404号公報)が知られている。
【0003】
図19は特許文献1の構造例を示す図である。この特許文献1では「受皿本体1」と呼ばれる構造物を利用して穀粒物と異物とを分別している。受皿本体1はドーナツ状の底面を持ち、外周部に外壁3、内周の開口2に内壁4を夫々周設して形成されており、底面から少し上部に金網板5が設けられている。この受皿本体1に対して内周の開口2から上部に抜ける加圧送水管6を立設し、この加圧送水管6から上方へ噴水された水流が内側から外側に向かって吹き出し、上方から落下する過程で金網板5で受け止められつつ、内側へ集まってきた水流が内壁4の高さを越えて開口2から下方へ落ちて行くという水流を形成する。この水流に小豆や米などの穀粒物を包含させて流し、洗滌を兼ねて異物除去を行う。
【0004】
特許文献1で開示されている異物除去の原理は、金網板5を篩(ふるい)として用いた穀粒と異物の分別である。金網板5の網目の大きさを洗滌する穀粒物の大きさより小さいものを選ぶことで篩として用い、圧力水で穀粒と小石・砂・ゴミなどの異物とを受皿本体1上の金網板5で洗滌しながら、小石・砂・ゴミなどの異物は網目から下方に通して受皿本体1の底面に溜めおき、一方、穀粒物は網目を通らないので水流にのって内壁4を超えて開口2から受皿本体1の下方へ流れ出て行く。
【0005】
ここで、特許文献1の異物除去装置において、異物除去の効率を高める工夫として、パイプ片を用いた回転流について開示されている。加圧送水管6の先端に、略水平方向に延出するパイプ片7の先端の水噴出し口8を受皿本体1の円周方向に向って位置するように配設している。受皿本体1の円周方向に沿って加圧送水管6より流出する水流は受皿本体1の金網板5上において渦巻状に回転流となり、金網板5より細かい異物は、金網板5上を回転しながら徐々に網目より落下し、穀粒物は回転流にのって内壁4を超えることにより分別されると開示されている。なお、金網板5の網目より大きな異物は、内壁4を超えずに内壁の隅部分に溜まる場合は分離が可能であることも示唆されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−15404号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の異物除去装置を用いた異物除去作業には以下の問題があった。
第1の問題は、金網板を篩として用いる従来の異物除去装置では、穀粒物の大きさと近い大きさの小石などの異物の除去が難しいという問題があった。小石や砂などは穀粒物よりも重い傾向にあるため水流の勢いを調整することにより金網板5の上面を流れる際に穀粒物よりも下に沈み込むところ、砂のように小さな径のものは金網の網目を通り抜けて下に落ちることにより分別できるが、穀粒物と近い大きさを持つ小石などは網目を抜けることができず、穀粒物とはうまく分離できず、小石もそのまま水流にのって内壁4を越えて受皿本体1から穀粒物と共に出てしまうおそれがあった。
【0008】
第2の問題は、金網板を篩として用いる従来の異物除去装置では、穀粒物の比重と近い比重の小石などの異物の除去が難しいという問題があった。
小石などは穀粒物よりも比重が重い傾向にあるが、比重が穀粒物に近しいものもあり、勢いよく流れる水流の中で穀粒物の動きと小石の動きの間に違いが生じにくく、穀粒物と小石とがうまく分離できず、小石もそのまま水流にのって内壁4を越えて受皿本体1から穀粒物と共に出てしまうおそれがあった。
【0009】
上記問題点に鑑み、本発明は、穀粒物の大きさと近い大きさを持つ小石などの異物であっても分離・除去する能力を向上せしめた異物除去装置を提供することを目的とする。また、本発明は、穀粒物の比重と近い比重を持つ小石などの異物であっても分離・除去する能力を向上せしめた異物除去装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明の異物除去装置は、水流により穀粒物と前記穀粒物に混入している異物とを分別し、前記異物を除去する異物除去装置であって、
中心に開口を有する底板と、前記底板の外周縁に立設させた外周壁と、前記底板の開口縁に立設させた内周壁を備えた受皿本体と、
前記受皿本体の底板の上面に設けられ、前記水流にのった前記穀粒物および前記異物が嵌り得る間隙を備えた異物捕捉体と、
前記受皿本体の開口の内側を貫通して上方に立設した加圧送水管と、
前記加圧送水管から上方へ噴水した水流を下方にある前記異物捕捉体の方に導く導水壁と、
前記導水壁面に沿って下方に流れる水流に対して周回方向の回転力を与える羽根板とを備え、
前記羽根板により前記異物捕捉体上の水流を周回方向に回転させ漂流距離を長くし、前記開口から下方へ流れ出すまでの装置内での滞留時間を長くし、前記穀粒物と前記異物との水に対する比重差による前記水流内での動きの違いと、前記穀粒物と前記異物との前記異物捕捉体の凹凸に対する摩擦力の違いや引っ掛かりの有無により、前記異物のみが前記異物捕捉体で捕捉されやすいようにした異物除去装置である。
【0011】
ここで、一般には、穀粒物と近い大きさと近い比重を持つ異物の分別が難しいところ、穀粒物と異物では全く同じ比重ということはなく、比重の違いがあり小石は少し比重が大きい。この比重の違いが出やすいように強調して穀粒物と異物との動きを制御すれば分別がしやすくなる。また、穀粒物はその表面が滑らかな楕円球をしており、硬く滑らかな殻に包まれているため一般に表面の摩擦係数が小さい。一方、小石などの異物はその表面がごつごつとした不定形をしており、無数の突起や角が存在しており摩擦係数が大きい。この表面の摩擦係数の違いが出やすいように強調して穀粒物と異物との動きを制御すれば分別がしやすくなる。本発明の異物除去装置は、このわずかな比重の違い、表面摩擦係数の違いを強調することにより異物を除去するものとなっている。
【0012】
つまり、導水壁の羽根板により水流に周回方向の回転を与えつつ異物捕捉体上に導き、穀粒物と異物が周回運動しながら異物捕捉体上を流れるので滞留時間が長くなり、比重差による運動の違いが生じやすい。つまり、穀粒物は、小石などの異物より比重が小さく水流にのりやすく、小石などの異物は比重が大きく沈みやすくなる。さらに、異物捕捉体により穀粒物も異物も間隙に触れつつ流れて行くが、穀粒物は表面が滑らかで摩擦が小さく間隙に引っ掛かることなく流れてゆくが、異物は表面に突起や角がたくさんあり摩擦が大きく間隙に引っ掛かりやすい。このように、穀粒物は比重差により水流にのりやすく浮きやすいことと、表面の摩擦係数が小さいので間隙に引っ掛かりにくいことの2つの効果が相俟って間隙に触れても滑らかに抜け出るが、一方、異物は比重差により水流から沈みやすいので間隙に落ちやすいことと、表面の摩擦係数が大きいので間隙に引っ掛かりやすいことの2つの効果が相俟って一旦異物捕捉体の間隙に引っ掛ると水流によって流れ出にくくなり異物捕捉体に捕捉されたままとなり、両者を分別できるようになる。
【0013】
次に、上記構成において、前記異物除去装置を上下二段以上多段につなげ、上段の前記異物除去装置の開口から下方へ流れ出した水流が前記下段の導水壁の壁面に対して流れ込むように接続したことも好ましい。
上記構成により、1つの異物除去装置により穀粒物と異物の水に対する比重の違いと、異物捕捉体の間隙に対する摩擦係数の違いによる穀粒物と異物の分別作業を多段階で繰り返すことにより、残存する異物の数を減らし、異物除去性能を向上させることができる。
【0014】
本発明の異物除去システムは、穀粒物を一時貯留する水槽と、前記水槽の穀粒物と空気とを吸い込んで前記加圧送水管内を吹き上がる水流を受け入れる水バルブと、上記本発明の異物除去装置と、異物除去装置から流れ出てきた穀粒物を取り分ける容器とを備えたものである。つまり、本発明の異物除去システムは、穀粒物を水流により循環させつつ、上記した異物除去装置を組み込むことにより異物除去性能を向上させ、効率的に異物を除去するシステムである。
上記構成により、異物を除去する穀粒物を水槽に投入し、水バルブから流入する水流を空気混流の条件で異物除去装置まで吹き上げ、異物除去装置で異物除去を行ったのち、水と穀粒物を篩分けることができ、品質の高い穀粒物に混入する異物の除去が可能となる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の異物除去装置によれば、穀粒物と異物の水に対する比重の違いによる分別を精度良くでき、また異物捕捉体の間隙に対する摩擦係数の違いによっても両者を分別できる。
また、本発明によれば、異物を除去したい穀粒物を水槽に投入し、水バルブを介して流入する水流を空気混流の条件で異物除去装置まで吹き上げ、異物除去装置で異物除去を行ったのち、水と穀粒物を篩分けることができ、異物の混入が少ない穀粒物の獲得が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の異物除去装置100を含む異物除去システム200の基本構成を模式的に示す図
【図2】異物除去装置100を取り出してその外観の一例を示す図
【図3】受皿本体110の一構成例を示す図
【図4】異物捕捉体120の一構成例を示す図
【図5】図3に示した受皿本体110と図4に示した異物捕捉体120を組み合わせる様子を示す図
【図6】異物除去装置100の内部の導水壁140と羽根板141の構成例を模式的に示した図
【図7】受皿本体110と異物捕捉体120を組み合わせた状態において、導水壁140を取り付けた様子を示す図
【図8】加圧送水管130の構成例を示す図および受皿本体110、異物捕捉体120、導水壁140に対して加圧送水管130を組み合わせた様子を示す図
【図9】導水壁140の壁面を流れる水流が羽根板141により回転力が与えられ、回転渦流となる様子を示す図
【図10】異物捕捉体120により異物が捕捉され、穀粒物は捕捉されない様子を分かりやすく模式的に示す図
【図11】水流が勢いよく加圧送水管130の入り口131内に打ち込まれる際に貯留槽210内の周囲の穀粒物が巻き込まれつつ打ち込まれる様子を示す図
【図12】異物除去システム200全体の水流の流れを模式的に示した図
【図13】穀物取り出し部240により水流と穀粒物を分離し、穀粒物のみを回収する様子を模式的に示す図
【図14】実施例2の異物除去装置100aおよび異物除去システム200aの外観を模式的に示す図
【図15】実施例2の異物除去装置100aおよび異物除去システム200aの内部構造を模式的に示す図
【図16】実施例2の異物除去装置100aおよび異物除去システム200aを循環する水流の流れを模式的に示す図
【図17】実施例3の異物除去装置100bおよび異物除去システム200bの外観を模式的に示す図
【図18】実施例3の異物除去装置100bおよび異物除去システム200bの内部の水流の流れを模式的に示す図
【図19】特許文献1の構造例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の異物除去装置および異物除去システムの実施例を説明する。なお、本発明はこれらの構成例に限定されるものではない。
実施例1は、異物除去装置および異物除去システムの基本構成例を示している。実施例2は、異物除去装置が上下連続式で複数段設けられている構成例(一例として二段垂直連続式の構成例)を示している。また、実施例3は、異物除去装置が水平連続式で複数段設けられている構成例(一例として二段水平連続式の構成例)を示している。
【実施例1】
【0018】
まず、本発明の実施例1に係る異物除去装置100および異物除去システム200について説明する。実施例1は、異物除去装置100が1個、貯留槽210が1個のみ設けられている異物除去システム200の構成例である。
図1および図2は、本発明の実施例1に係る異物除去装置100の構成例を模式的に示す図である。図1は本発明の異物除去装置100を含む異物除去システム200の構成を模式的に示した図、図2は異物除去装置100を取り出してその外観を示した図である。
【0019】
実施例1の構成例は、異物除去装置100の受皿本体110、異物捕捉体120、加圧送水管130、導水壁140、蓋体150が1セットのみ設けられている例であるが、導水壁140、受皿本体110、異物捕捉体120が上下に連続して複数化されている例は実施例2で説明する。
【0020】
本発明の異物除去装置100は、水流により穀粒物と穀粒物に混入している異物とを分別して除去するものである。以下の説明では穀粒物は一例として小豆として説明するが、大豆、米など他の穀粒物についても適用は可能である。
異物除去装置100は、受皿本体110、異物捕捉体120、加圧送水管130、導水壁140、蓋体150を備えている。異物除去システム200は、貯留槽210、水バルブ220(簡易表示した)、混気ノズル230(簡易表示した)、穀物取り出し部240を備えた構成として簡単に表示している。
【0021】
まず、異物除去装置100の各構成部品の説明をする。
受皿本体110は、穀粒物を含んだ水流を一時的に短い時間滞留させる容器である。図3は受皿本体110の一構成例を示した図である。図3に示した構成例では、中心に開口112を有する底板111と、底板111の外周縁に立設させた外周壁113と、底板111の開口112の縁に立設させた内周壁114と、底板111と外周壁113と内周壁114とで囲まれたキャビティ115を備えた構造となっている。ここで、外周壁113に対して内周壁114の高さが低くなっており、後述するように導水壁140をつたわってキャビティ115内に流入しつづける水流によりキャビティ115の容積を超えてオーバーフローした水は内周壁114を超えて開口112より下方へ落ちて行く構造となっている。なお、この構成例では開口112の内側に後述する加圧送水管130を受け入れる輪116と輪116と内周壁114との間を橋渡しして構造強度を持たせる橋梁部117と輪116と内周壁114との隙間118を備えた構造となっている。
【0022】
異物捕捉体120は、受皿本体110のキャビティ115内の底板111の上面に設けられた構造物である。図4は異物捕捉体120の一構成例を示す図である。図4に示した構成例では中心に開口121を持つドーナツ状の輪郭を持つ網状体122と、網状体122の上に立設した同心円状の壁面と放射状の壁面からなる枠体123を備えた構造となっている。
ここで、網状体122の網目は穀粒物が通過しない程度の適度な大きさの網目とすることが好ましい。
枠体123を構成する壁面同士の間隙124は、水流にのった穀粒物および異物が嵌り得る大きさと幅を持ち、枠体123を構成する壁面の高さは、例えば、穀粒物1粒の厚みの半分程度から1粒の厚み程度とすることができる。
【0023】
図5は、図3に示した受皿本体110と図4に示した異物捕捉体120を組み合わせる様子を示す図である。この例では、受皿本体110のキャビティ115内の底板111の上面に異物捕捉体120を被せることにより簡単に設置できる構造例となっている。
【0024】
次に、加圧送水管130と導水壁140について述べる。図6は、異物除去装置100の内部の導水壁140と羽根板141の構成例を模式的に示した図である。図7は、受皿本体110と異物捕捉体120を組み合わせた状態において、導水壁140を取り付けた様子を示す図である。また、図8(a)は、加圧送水管130の構成例を示す図である。この構成例では加圧送水管130はシンプルな管となっている。また、図8(b)は、受皿本体110、異物捕捉体120、導水壁140に対して加圧送水管130を組み合わせた様子を示す図である。
【0025】
加圧送水管130は、後述する図11に示すように、混気ノズル230を介して流入する水流に対して貯水槽210内の穀粒物を巻きこみつつ吹き上げられる水流が通る管であり、貯留槽210の底部付近から受皿本体110の開口112を貫通して導水壁140の上部付近まで導通した管となっている。なお、加圧送水管130と受皿本体110の内側内周壁114との間に隙間118が設けられる。
【0026】
後述する図11に示すように、加圧送水管130の入口131は、貯留槽210の底部付近に設けられ、混気ノズル230の出射口181に対向するように設けられており、混気ノズル230の出射口181から水流が打ち込まれる。一方、加圧送水管130の出口132は後述するように導水壁140の上部の開口に接続されており、加圧送水管130の出口132から噴水のように溢れ出した水流が外周方向に向けて流れ、導水壁140の上部から導水壁140の壁面を沿うように落ちる。
【0027】
導水壁140は、加圧送水管130から上方へ噴水した水流を異物捕捉体120まで導く構造物であり、この構成例では傘状をしており、傘の中心に開口がありこの開口に加圧送水管130の出口が接続されている。加圧送水管130の出口から上方へ吹き上げられた穀粒物を包含する水流は、噴水のように溢れ出しつつ重力により外周下方向へ落ちてゆき、導水壁140の外周壁上部に導かれるようになっている。なお、導水壁140を覆うように蓋体150を被せておけば、導水壁140や羽根板150等にぶつかって弾ける水滴が蓋体150の内壁で受け止められ飛び散らなくて済む。
【0028】
この導水壁140には壁面を流れ落ちる水流に周回方向の回転力を与える羽根板141が設けられている。この例ではいわゆるプロペラ状に板面が設けられており、このプロペラにより水流には導水壁面の周回方向に回転力が与えられ、渦を巻くようにキャビティ115内の異物捕捉体120まで落ちて行く。
【0029】
図9は、導水壁140の壁面を流れる水流が羽根板141により回転力が与えられ、回転渦流となる様子を示す図である。図9(a)は導水壁面を流れる水流が羽根板141により回転力が与えられる様子を模式的に示す斜視図である。図9(b)は平面から示した平面図である。加圧送水管130の出口132から上方へ溢れ出した水はそのまま重力で下に落ち、導水壁140の壁面に沿って勢いよく流れ落ちるが、その過程で羽根板141により方向が曲げられ、羽根板141の導く方向に回りながら流れ、回転流となる。回転流となった水流は、キャビティ115内の異物捕捉体120上に到達しても回転モーメントを持っているので、キャビティ115内の異物捕捉体120上を周回方向に回転する渦流として暫く滞留することとなる。図9(c)および図9(d)は導水壁140を図示せずに受皿本体110のキャビティ115における水流を模式的に示した図である。図9(c)および図9(d)に示すようにキャビティ115からオーバーフローした水流が内周壁114を超えて隙間118から下方へ落ちて行くが、本発明では導水壁140を流れ落ちて行く間に羽根板141により回転力が与えられるので、図9(c)および図9(d)に示すようにキャビティ115内の異物捕捉体120上を周回方向に回転する渦流として暫く滞留することとなる。
【0030】
このように導水壁140の羽根板141の働きにより、穀粒物と異物を包含した水流のキャビティ115内での滞留時間が長くなり、かつ、異物捕捉体120上を転がって移動する距離が長くなることにより、穀粒物と異物との水に対する比重差による水流内での動きの違いが生じやすくなる。
【0031】
図10は、受皿本体110のキャビティ115に対して上方から穀粒物を包含した水が流れ込むことによりオーバーフローし、内周壁114を超えて隙間118から下方へ落ちて行く様子を、受皿本体110と異物捕捉体120の断面において模式的に示した図である。図10(a)は受皿本体110のキャビティ115内の水流の流れを模式的に示した図、図10(b)は穀粒物と異物が異物捕捉体120の上を転がったり滑ったりしながら移動する様子を模式的に示した図である。
【0032】
導水壁140の壁面は傾斜がついており、その外周縁は、キャビティ115における外周壁面113近くにあるので、図10(a)に示すようにキャビティ115に対して上方から流れ込んだ水流は、後述するように異物捕捉体120の網状体122や枠体123の外周側に受けられたのち、網状体122や枠体123の外周側から内周側に移動しつつ最後に内周壁114を超えて隙間118に落ちて行く。
【0033】
ここで、穀粒物と異物は水流に押されて網状体122や枠体123の表面を転がったり滑ったりしながら移動するところ、穀粒物の比重は水の比重より大きいが水の比重に近いので水流にのって流れやすいが、異物の比重は穀粒物の比重よりさらに大きく水の比重との差が大きいので水流にのりにくく、穀粒物と異物では水流による推進力に違いが生じる。また、穀粒物は外形が滑らかで固い曲面となっており網状体122および枠体123に対する摩擦力が小さく、突起などがないため当接して引っ掛かりによる抗力が生じることもないが、小石などの異物は外形がごつごつした突起や疎面となっており枠体123の構造に当接して引っ掛かって強い抗力を受け水流では動かなくなる場合が多い。このように、穀粒物と異物との表面状態や形状の違いにより異物捕捉体120に対する摩擦力の違いや引っ掛かりの有無が生じる。
【0034】
図10(b)は、異物捕捉体120により異物が捕捉され、穀粒物は捕捉されない様子を分かりやすく模式的に示した図である。図10(b)に示すように、穀粒物は外形が滑らかな曲面となっており、また比重が異物に比べて水の比重に近いので網状体122や枠体123の表面を滑らかに転がったり滑ったりしながら枠体123の間隙124を移動する。一方、異物は外形がごつごつした突起や疎面となっており、また比重が穀粒物に比べて水の比重との差が大きいので網状体122や枠体123との摩擦が大きくなり、さらには枠体123の構造に当接して強い抗力を受け、水流では動かなくなり、枠体123の間隙124から抜け出ることなく捕捉されてしまう。このように、穀粒物と異物との異物捕捉体の凹凸に対する摩擦力の違いや引っ掛かりの有無の違いにより、異物のみを異物捕捉体120で捕捉しやすいようになる。
【0035】
このように、本発明ではこのような穀粒物と異物との水に対する比重の違い、網状体122および枠体123に対する摩擦力の違いや引っ掛かりの有無の違いにより、穀粒物と異物を選別し、穀粒物は異物捕捉体120を通過させつつ異物のみを異物捕捉体120により除去するものである。
【0036】
上記異物除去装置100を組み込んだ異物除去システム200の全体構成も説明しておく。
貯留槽210は、水と穀粒物を貯留しておくタンクである。異物除去する穀粒物を水とともに投入しておく。貯留槽210の筐体の形は特に限定されないが、この構成例では下方に行くほど絞られた流線型をしている。このように下方に行くほど絞られた流線型をしている場合、内部に投入された穀物は水よりも比重が大きいため貯留槽210内で沈んで下方に移動し、底部の中心に向かって移動してゆくこととなる。後述するように底部の中心付近には混気ノズル230が設けられている。
【0037】
水バルブ220は加圧された水流に対する開閉弁であり、例えば、水道やポンプなど加圧された水源に導通しており、コックの開閉により水流の流入・遮蔽をコントロールするものである。構造や形状などは特に限定されない。
【0038】
混気ノズル230は、水流に対して空気が混ざるように構成されたノズルであり、混気ノズル230から発射される水流は混気状態で吹き出す。この構成例では混気ノズル230の出射口181が貯留槽210の底部にある加圧送水管130の入り口131に向けて設けられており、混気ノズル230から出射された水流が勢いよく加圧送水管130内に打ち込まれ、加圧送水管130を上昇してゆく。ここで、混気ノズル230の出射口181と加圧送水管130の入り口131との間に隙間があり、この隙間は貯留槽210の底部付近にあるため、水流が勢いよく加圧送水管130の入り口131内に打ち込まれる際に、図11に示すように貯留槽210内の周囲の穀粒物が巻き込まれつつ打ち込まれる。貯留槽210内の穀粒物は重力で底部付近に集まってくる上に、加圧送水管130の入り口131内に水流が勢いよく吸い込まれて加圧送水管130の入り口131付近の水圧が下がるため、穀粒物は次々と加圧送水管130の入り口131付近に集まり、かつ、加圧送水管130の入り口131内に水流に乗って打ち込まれてゆく。
【0039】
図12は、異物除去システム200全体の水流の流れを模式的に示した図である。
例えば、水道などの水源300から水バルブ220まではホースなどで接続されている。水バルブ220を開放して受け入れた水流は混気ノズル230を介して加圧送水管130の入り口131内に打ち込まれる。この際に貯留槽210内の周囲の穀粒物が巻き込まれつつ打ち込まれ、穀粒物は水流にのって加圧送水管130を上昇する。加圧送水管130の出口132から溢れ出た水流は導水壁130の壁面に沿って流れ落ちて行く。その際に羽根板150により周回方向の回転力が付けられ、受皿本体110のキャビティ115内で周回方向に回転する渦流が形成される。キャビティ115内には異物捕捉体120があり、水流に乗った穀粒物と異物はそれぞれ異物捕捉体120の網状体122や枠体123上を転がって移動し、穀粒物は捕捉されず異物のみが捕捉され、穀粒物はオーバーフローした水に乗って内周壁114を超えて隙間118から受皿本体110の下方へ落ちて行く。下方は貯留槽210につながっており、異物が除去された穀粒物が水とともに貯留槽210に還流してゆく。
【0040】
この一連の水流の流れにより、穀粒物は異物除去システム200内を還流することとなり、水バルブ220を開放したまま連続して穀粒物の異物除去を繰り返すことができる。異物除去装置100を一巡させて異物を除去した穀粒物において、異物が一度では取り除ききれない場合があるが、連続運転により何度か循環させるうちに残存する異物が無くなって行き、ほとんどの異物を除去できるようになる。
【0041】
穀物が十分に洗滌でき、異物の除去が終了した時点において、図13に示すように、水流を貯留槽210へ戻さずに、水流ごと穀物取り出し部240から篩241を介して流し出し、水流と穀粒物を分離し、篩241に残った穀粒物のみを回収する。
【0042】
以上、実施例1にかかる本発明の異物除去装置100によれば、穀粒物と異物の水に対する比重の違いと異物捕捉体の間隙に対する摩擦係数の違いにより、両者を精度よく分別できる。また、実施例1にかかる本発明の異物除去システム200によれば、異物を除去する穀粒物を貯留槽に投入し、水バルブを介して流入する水流を空気混流の条件で異物除去装置まで吹き上げ、異物除去装置で異物除去を行ったのち、水と穀粒物を篩分けることができ、異物の混入が少ない穀粒物の獲得が可能となる。
【実施例2】
【0043】
実施例2は、異物除去装置が上下連続式で複数段設けられている構成例(一例として二段垂直連続式の構成例)である。
図14は、実施例2にかかる異物除去装置100aの外観を模式的に示した図である。図15は、実施例2にかかる異物除去装置100aの内部構造を模式的に示した図である。
図14および図15に示すように、異物除去装置100aは、実施例1に示した受皿本体110、異物捕捉板120、加圧送水管130、導水壁140、蓋体150のセットが上下2段に組まれている。説明上、上段のものには添字としてa1、下段のものには添字としてa2を付している。なお、加圧送水管130a1と加圧送水管130a2は上下に連続するので1つの加圧送水管130が貫かれていると見ることもできる。
【0044】
受皿本体110a1、110a2、異物捕捉板120a1、120a2、加圧送水管130a1、130a2、導水壁140a1、140a2、蓋体150a1、150a2の各構成部分は、実施例1におけるものと同様であり、ここで重複する説明は省略する。
図16は、実施例2にかかる異物除去装置100aの内部を循環する水流の流れを模式的に示した図である。
【0045】
水バルブ220を開放して水道などの水源300から受け入れた水流は混気ノズル230を介して加圧送水管130a2の入り口131内に打ち込まれる。この際に貯留槽210内の周囲の穀粒物が巻き込まれつつ打ち込まれ、穀粒物は水流にのって加圧送水管130a2、加圧送水管130a1を上昇する。
【0046】
加圧送水管130a1の出口132から溢れ出た水流は、上段の導水壁130a1の壁面に沿って流れ落ちて行く。その際に羽根板150a1により周回方向の回転力が付けられ、受皿本体110a1のキャビティ115内で周回方向に回転する渦流が形成される。穀粒物と異物は水流にのって上段の異物捕捉体120a1の網状体122や枠体123上を転がって移動し、穀粒物は捕捉されず異物のみが捕捉され、穀粒物はオーバーフローした水に乗って内周壁114を超えて隙間118から上段の受皿本体110a1の下方へ落ちて行く。
【0047】
上段の受皿本体110a1をオーバーフローした水流は、下段の導水壁130a2の壁面に沿って流れ落ちて行く。その際に上段と同様、羽根板150a2により周回方向の回転力が付けられ、受皿本体110a2のキャビティ115内で周回方向に回転する渦流が形成される。穀粒物と上段で除去されなかった異物は水流にのって下段の異物捕捉体120a2の網状体122や枠体123上を転がって移動し、穀粒物は捕捉されず異物のみが捕捉され、穀粒物はオーバーフローした水に乗って内周壁114を超えて隙間118から下段の受皿本体110a2の下方へ落ちて行く。下段の受皿本体110a2の下方には貯留槽210があり、穀粒物が水とともに貯留槽210に還流してゆく。
【0048】
実施例2の異物除去装置が上下連続式で複数段設けられている構成例であれば、異物除去装置100aを一度循環する間に、上段と下段の2回にわたり異物除去が実行される。
また、実施例1と同様、水バルブ220を開放したまま連続して穀粒物の異物除去を繰り返すことができ、連続運転により異物除去システム200a内を何度か循環させるうちに残存する異物が無くなって行き、ほとんどの異物を除去できるようになる。
【0049】
以上、実施例2にかかる本発明の異物除去装置100aによれば、上下連続式で複数段設けた構成とすることにより、異物除去装置全体としての異物除去効率は向上し、一段構成に比べてより短時間で異物除去を行うことができる。
【実施例3】
【0050】
実施例3は、異物除去装置が水平連続式で複数段設けられている構成例(一例として二段水平連続式の構成例)である。この例では水平連続式の前段側の異物除去装置100b1は実施例2と同様、上下二段連続式のものとなっており、後段側の異物除去装置100b2は実施例1と同様、単体のものとなっている。
【0051】
図17は、実施例3にかかる異物除去装置100bの外観を模式的に示した図である。
図17に示すように、水平連続式の前段側の異物除去装置100b1は、実施例2と同様、上下二段連続式のものとなっており、受皿本体110、異物捕捉板120、加圧送水管130、導水壁140、蓋体150のセットが上下二段連続にて配されている。添字としてb1を用い、上段側はb11、下段側はb12を付している。水平連続式の後段側の異物除去装置100b2は、実施例1と同様、受皿本体110、異物捕捉板120、加圧送水管130、導水壁140、蓋体150のセットが単体で配されている。添字としてb2を付している。なお、前段側の貯留槽210b1と後段側の貯留槽210b2間をつなぐ接続水路は250として示されている。
【0052】
受皿本体110b11、110b12、110b2、異物捕捉板120b11、120b12、120b2、加圧送水管130b11、130b12、130b2、導水壁140b11、140b12、140b2、蓋体150b1、150b2の各構成部分は、実施例1または実施例2におけるものと同様であり、ここで重複する説明は省略する。
【0053】
図20は、実施例3にかかる異物除去装置100bおよび異物除去システム200bの内部の水流の流れを模式的に示した図である。
水バルブ220b1を開放して水道などの水源300から受け入れた水流は混気ノズル230b1を介して加圧送水管130b1の入り口131内に打ち込まれる。この際に貯留槽210b1内の周囲の穀粒物が巻き込まれつつ打ち込まれ、穀粒物は水流にのって加圧送水管130b1を上昇する。
【0054】
加圧送水管130b1の出口132から溢れ出た水流は、上段の導水壁140b11の壁面に沿って流れ落ちて行く。その際に羽根板150b11により周回方向の回転力が付けられ、受皿本体110b11のキャビティ115b11内で周回方向に回転する渦流が形成される。穀粒物と異物は水流にのって上段の異物捕捉体120b11の網状体122や枠体123上を転がって移動し、穀粒物は捕捉されず異物のみが捕捉され、穀粒物はオーバーフローした水に乗って内周壁114を超えて隙間118から上段の受皿本体110b11の下方へ落ちて行く。
【0055】
上段の受皿本体110b11の下方には下段の導水壁140b12があり、下段の導水壁140b12の壁面に沿って流れ落ちて行く。その際に羽根板150b12により周回方向の回転力が付けられ、受皿本体110b12のキャビティ115b12内で周回方向に回転する渦流が形成される。穀粒物と異物は水流にのって下段の異物捕捉体120b12の網状体122や枠体123上を転がって移動し、穀粒物は捕捉されず異物のみが捕捉され、穀粒物はオーバーフローした水に乗って内周壁114を超えて隙間118から下段の受皿本体110b12の下方へ落ちて行く。
【0056】
下段の受皿本体110b12の下方には接続水路250があり、右側の受皿本体110b12をオーバーフローした水流は右側の貯留槽210b1には還流せずに、接続水路250を通って左側の貯留槽210b2に投入される。
【0057】
左側の貯留槽210b2においても、右側と同様、水バルブ220b2を開放して水道などの水源300から受け入れた水流は混気ノズル230b2を介して加圧送水管130b2の入り口131内に打ち込まれる。この際に貯留槽210b2内の周囲の穀粒物が巻き込まれつつ打ち込まれ、穀粒物は水流にのって加圧送水管130b2を上昇する。
【0058】
加圧送水管130b2の出口132から溢れ出た水流は、導水壁130b2の壁面に沿って流れ落ちて行く。その際に羽根板150b2により周回方向の回転力が付けられ、受皿本体110b2のキャビティ115b2内で周回方向に回転する渦流が形成される。穀粒物と右側の異物除去装置100b1で除去されなかった異物は水流にのって異物捕捉体120b2の網状体122や枠体123上を転がって移動し、穀粒物は捕捉されず異物のみが捕捉され、穀粒物はオーバーフローした水に乗って内周壁114を超えて隙間118から受皿本体110b2の下方へ落ちて行く。
【0059】
この構成例では、受皿本体110b2の下方には穀物取り出し部240があり、水流を貯留槽210b2へ戻さずに、水流ごと穀物取り出し部240から篩241を介して流し出し、水流と穀粒物を分離し、篩241に残った穀粒物のみを回収するものとなっている。
実施例3の異物除去装置が水平連続式で複数段設けられている構成例であれば、右側の異物除去装置100b1と左側の異物除去装置100b2の2回にわたり異物除去が実行される。
【0060】
以上、実施例3にかかる本発明の異物除去装置100bおよび異物除去システム200bによれば、水平連続式で複数段設けた構成とすることにより、異物除去装置全体としての異物除去効率は向上し、一段構成に比べてより短時間で異物除去を行うことができる。
【0061】
以上、本発明の異物除去装置の構成例における好ましい実施例を図示して説明してきたが、本発明の技術的範囲を逸脱することなく種々の変更が可能であることは理解されるであろう。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明の異物除去装置は、小豆や米などの穀粒物に混在する異物を除去する機器について広く適用することができる。
【符号の説明】
【0063】
100 異物除去装置
110 受皿本体
120 異物捕捉体
130 加圧送水管
140 導水壁
150 蓋体
200 異物除去システム
210 貯留槽
220 水バルブ
230 混気ノズル
240 穀物取り出し部
250 接続水路
300 水源
【技術分野】
【0001】
本発明は、小豆や米などの穀粒中に混入している小石その他の異物を除去するための異物除去装置に関する。特に、水を媒体として水流により穀粒物と異物とを分別し、異物を除去することができる異物除去装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術において小豆や米などの穀粒中に混入している微細な小石・砂・ゴミなどの異物を除去する異物除去装置が知られている。特に、水を媒体として水流により穀粒物と異物とを分別し、異物を除去する装置として、特許文献1(特開平10−15404号公報)が知られている。
【0003】
図19は特許文献1の構造例を示す図である。この特許文献1では「受皿本体1」と呼ばれる構造物を利用して穀粒物と異物とを分別している。受皿本体1はドーナツ状の底面を持ち、外周部に外壁3、内周の開口2に内壁4を夫々周設して形成されており、底面から少し上部に金網板5が設けられている。この受皿本体1に対して内周の開口2から上部に抜ける加圧送水管6を立設し、この加圧送水管6から上方へ噴水された水流が内側から外側に向かって吹き出し、上方から落下する過程で金網板5で受け止められつつ、内側へ集まってきた水流が内壁4の高さを越えて開口2から下方へ落ちて行くという水流を形成する。この水流に小豆や米などの穀粒物を包含させて流し、洗滌を兼ねて異物除去を行う。
【0004】
特許文献1で開示されている異物除去の原理は、金網板5を篩(ふるい)として用いた穀粒と異物の分別である。金網板5の網目の大きさを洗滌する穀粒物の大きさより小さいものを選ぶことで篩として用い、圧力水で穀粒と小石・砂・ゴミなどの異物とを受皿本体1上の金網板5で洗滌しながら、小石・砂・ゴミなどの異物は網目から下方に通して受皿本体1の底面に溜めおき、一方、穀粒物は網目を通らないので水流にのって内壁4を超えて開口2から受皿本体1の下方へ流れ出て行く。
【0005】
ここで、特許文献1の異物除去装置において、異物除去の効率を高める工夫として、パイプ片を用いた回転流について開示されている。加圧送水管6の先端に、略水平方向に延出するパイプ片7の先端の水噴出し口8を受皿本体1の円周方向に向って位置するように配設している。受皿本体1の円周方向に沿って加圧送水管6より流出する水流は受皿本体1の金網板5上において渦巻状に回転流となり、金網板5より細かい異物は、金網板5上を回転しながら徐々に網目より落下し、穀粒物は回転流にのって内壁4を超えることにより分別されると開示されている。なお、金網板5の網目より大きな異物は、内壁4を超えずに内壁の隅部分に溜まる場合は分離が可能であることも示唆されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−15404号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の異物除去装置を用いた異物除去作業には以下の問題があった。
第1の問題は、金網板を篩として用いる従来の異物除去装置では、穀粒物の大きさと近い大きさの小石などの異物の除去が難しいという問題があった。小石や砂などは穀粒物よりも重い傾向にあるため水流の勢いを調整することにより金網板5の上面を流れる際に穀粒物よりも下に沈み込むところ、砂のように小さな径のものは金網の網目を通り抜けて下に落ちることにより分別できるが、穀粒物と近い大きさを持つ小石などは網目を抜けることができず、穀粒物とはうまく分離できず、小石もそのまま水流にのって内壁4を越えて受皿本体1から穀粒物と共に出てしまうおそれがあった。
【0008】
第2の問題は、金網板を篩として用いる従来の異物除去装置では、穀粒物の比重と近い比重の小石などの異物の除去が難しいという問題があった。
小石などは穀粒物よりも比重が重い傾向にあるが、比重が穀粒物に近しいものもあり、勢いよく流れる水流の中で穀粒物の動きと小石の動きの間に違いが生じにくく、穀粒物と小石とがうまく分離できず、小石もそのまま水流にのって内壁4を越えて受皿本体1から穀粒物と共に出てしまうおそれがあった。
【0009】
上記問題点に鑑み、本発明は、穀粒物の大きさと近い大きさを持つ小石などの異物であっても分離・除去する能力を向上せしめた異物除去装置を提供することを目的とする。また、本発明は、穀粒物の比重と近い比重を持つ小石などの異物であっても分離・除去する能力を向上せしめた異物除去装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明の異物除去装置は、水流により穀粒物と前記穀粒物に混入している異物とを分別し、前記異物を除去する異物除去装置であって、
中心に開口を有する底板と、前記底板の外周縁に立設させた外周壁と、前記底板の開口縁に立設させた内周壁を備えた受皿本体と、
前記受皿本体の底板の上面に設けられ、前記水流にのった前記穀粒物および前記異物が嵌り得る間隙を備えた異物捕捉体と、
前記受皿本体の開口の内側を貫通して上方に立設した加圧送水管と、
前記加圧送水管から上方へ噴水した水流を下方にある前記異物捕捉体の方に導く導水壁と、
前記導水壁面に沿って下方に流れる水流に対して周回方向の回転力を与える羽根板とを備え、
前記羽根板により前記異物捕捉体上の水流を周回方向に回転させ漂流距離を長くし、前記開口から下方へ流れ出すまでの装置内での滞留時間を長くし、前記穀粒物と前記異物との水に対する比重差による前記水流内での動きの違いと、前記穀粒物と前記異物との前記異物捕捉体の凹凸に対する摩擦力の違いや引っ掛かりの有無により、前記異物のみが前記異物捕捉体で捕捉されやすいようにした異物除去装置である。
【0011】
ここで、一般には、穀粒物と近い大きさと近い比重を持つ異物の分別が難しいところ、穀粒物と異物では全く同じ比重ということはなく、比重の違いがあり小石は少し比重が大きい。この比重の違いが出やすいように強調して穀粒物と異物との動きを制御すれば分別がしやすくなる。また、穀粒物はその表面が滑らかな楕円球をしており、硬く滑らかな殻に包まれているため一般に表面の摩擦係数が小さい。一方、小石などの異物はその表面がごつごつとした不定形をしており、無数の突起や角が存在しており摩擦係数が大きい。この表面の摩擦係数の違いが出やすいように強調して穀粒物と異物との動きを制御すれば分別がしやすくなる。本発明の異物除去装置は、このわずかな比重の違い、表面摩擦係数の違いを強調することにより異物を除去するものとなっている。
【0012】
つまり、導水壁の羽根板により水流に周回方向の回転を与えつつ異物捕捉体上に導き、穀粒物と異物が周回運動しながら異物捕捉体上を流れるので滞留時間が長くなり、比重差による運動の違いが生じやすい。つまり、穀粒物は、小石などの異物より比重が小さく水流にのりやすく、小石などの異物は比重が大きく沈みやすくなる。さらに、異物捕捉体により穀粒物も異物も間隙に触れつつ流れて行くが、穀粒物は表面が滑らかで摩擦が小さく間隙に引っ掛かることなく流れてゆくが、異物は表面に突起や角がたくさんあり摩擦が大きく間隙に引っ掛かりやすい。このように、穀粒物は比重差により水流にのりやすく浮きやすいことと、表面の摩擦係数が小さいので間隙に引っ掛かりにくいことの2つの効果が相俟って間隙に触れても滑らかに抜け出るが、一方、異物は比重差により水流から沈みやすいので間隙に落ちやすいことと、表面の摩擦係数が大きいので間隙に引っ掛かりやすいことの2つの効果が相俟って一旦異物捕捉体の間隙に引っ掛ると水流によって流れ出にくくなり異物捕捉体に捕捉されたままとなり、両者を分別できるようになる。
【0013】
次に、上記構成において、前記異物除去装置を上下二段以上多段につなげ、上段の前記異物除去装置の開口から下方へ流れ出した水流が前記下段の導水壁の壁面に対して流れ込むように接続したことも好ましい。
上記構成により、1つの異物除去装置により穀粒物と異物の水に対する比重の違いと、異物捕捉体の間隙に対する摩擦係数の違いによる穀粒物と異物の分別作業を多段階で繰り返すことにより、残存する異物の数を減らし、異物除去性能を向上させることができる。
【0014】
本発明の異物除去システムは、穀粒物を一時貯留する水槽と、前記水槽の穀粒物と空気とを吸い込んで前記加圧送水管内を吹き上がる水流を受け入れる水バルブと、上記本発明の異物除去装置と、異物除去装置から流れ出てきた穀粒物を取り分ける容器とを備えたものである。つまり、本発明の異物除去システムは、穀粒物を水流により循環させつつ、上記した異物除去装置を組み込むことにより異物除去性能を向上させ、効率的に異物を除去するシステムである。
上記構成により、異物を除去する穀粒物を水槽に投入し、水バルブから流入する水流を空気混流の条件で異物除去装置まで吹き上げ、異物除去装置で異物除去を行ったのち、水と穀粒物を篩分けることができ、品質の高い穀粒物に混入する異物の除去が可能となる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の異物除去装置によれば、穀粒物と異物の水に対する比重の違いによる分別を精度良くでき、また異物捕捉体の間隙に対する摩擦係数の違いによっても両者を分別できる。
また、本発明によれば、異物を除去したい穀粒物を水槽に投入し、水バルブを介して流入する水流を空気混流の条件で異物除去装置まで吹き上げ、異物除去装置で異物除去を行ったのち、水と穀粒物を篩分けることができ、異物の混入が少ない穀粒物の獲得が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の異物除去装置100を含む異物除去システム200の基本構成を模式的に示す図
【図2】異物除去装置100を取り出してその外観の一例を示す図
【図3】受皿本体110の一構成例を示す図
【図4】異物捕捉体120の一構成例を示す図
【図5】図3に示した受皿本体110と図4に示した異物捕捉体120を組み合わせる様子を示す図
【図6】異物除去装置100の内部の導水壁140と羽根板141の構成例を模式的に示した図
【図7】受皿本体110と異物捕捉体120を組み合わせた状態において、導水壁140を取り付けた様子を示す図
【図8】加圧送水管130の構成例を示す図および受皿本体110、異物捕捉体120、導水壁140に対して加圧送水管130を組み合わせた様子を示す図
【図9】導水壁140の壁面を流れる水流が羽根板141により回転力が与えられ、回転渦流となる様子を示す図
【図10】異物捕捉体120により異物が捕捉され、穀粒物は捕捉されない様子を分かりやすく模式的に示す図
【図11】水流が勢いよく加圧送水管130の入り口131内に打ち込まれる際に貯留槽210内の周囲の穀粒物が巻き込まれつつ打ち込まれる様子を示す図
【図12】異物除去システム200全体の水流の流れを模式的に示した図
【図13】穀物取り出し部240により水流と穀粒物を分離し、穀粒物のみを回収する様子を模式的に示す図
【図14】実施例2の異物除去装置100aおよび異物除去システム200aの外観を模式的に示す図
【図15】実施例2の異物除去装置100aおよび異物除去システム200aの内部構造を模式的に示す図
【図16】実施例2の異物除去装置100aおよび異物除去システム200aを循環する水流の流れを模式的に示す図
【図17】実施例3の異物除去装置100bおよび異物除去システム200bの外観を模式的に示す図
【図18】実施例3の異物除去装置100bおよび異物除去システム200bの内部の水流の流れを模式的に示す図
【図19】特許文献1の構造例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の異物除去装置および異物除去システムの実施例を説明する。なお、本発明はこれらの構成例に限定されるものではない。
実施例1は、異物除去装置および異物除去システムの基本構成例を示している。実施例2は、異物除去装置が上下連続式で複数段設けられている構成例(一例として二段垂直連続式の構成例)を示している。また、実施例3は、異物除去装置が水平連続式で複数段設けられている構成例(一例として二段水平連続式の構成例)を示している。
【実施例1】
【0018】
まず、本発明の実施例1に係る異物除去装置100および異物除去システム200について説明する。実施例1は、異物除去装置100が1個、貯留槽210が1個のみ設けられている異物除去システム200の構成例である。
図1および図2は、本発明の実施例1に係る異物除去装置100の構成例を模式的に示す図である。図1は本発明の異物除去装置100を含む異物除去システム200の構成を模式的に示した図、図2は異物除去装置100を取り出してその外観を示した図である。
【0019】
実施例1の構成例は、異物除去装置100の受皿本体110、異物捕捉体120、加圧送水管130、導水壁140、蓋体150が1セットのみ設けられている例であるが、導水壁140、受皿本体110、異物捕捉体120が上下に連続して複数化されている例は実施例2で説明する。
【0020】
本発明の異物除去装置100は、水流により穀粒物と穀粒物に混入している異物とを分別して除去するものである。以下の説明では穀粒物は一例として小豆として説明するが、大豆、米など他の穀粒物についても適用は可能である。
異物除去装置100は、受皿本体110、異物捕捉体120、加圧送水管130、導水壁140、蓋体150を備えている。異物除去システム200は、貯留槽210、水バルブ220(簡易表示した)、混気ノズル230(簡易表示した)、穀物取り出し部240を備えた構成として簡単に表示している。
【0021】
まず、異物除去装置100の各構成部品の説明をする。
受皿本体110は、穀粒物を含んだ水流を一時的に短い時間滞留させる容器である。図3は受皿本体110の一構成例を示した図である。図3に示した構成例では、中心に開口112を有する底板111と、底板111の外周縁に立設させた外周壁113と、底板111の開口112の縁に立設させた内周壁114と、底板111と外周壁113と内周壁114とで囲まれたキャビティ115を備えた構造となっている。ここで、外周壁113に対して内周壁114の高さが低くなっており、後述するように導水壁140をつたわってキャビティ115内に流入しつづける水流によりキャビティ115の容積を超えてオーバーフローした水は内周壁114を超えて開口112より下方へ落ちて行く構造となっている。なお、この構成例では開口112の内側に後述する加圧送水管130を受け入れる輪116と輪116と内周壁114との間を橋渡しして構造強度を持たせる橋梁部117と輪116と内周壁114との隙間118を備えた構造となっている。
【0022】
異物捕捉体120は、受皿本体110のキャビティ115内の底板111の上面に設けられた構造物である。図4は異物捕捉体120の一構成例を示す図である。図4に示した構成例では中心に開口121を持つドーナツ状の輪郭を持つ網状体122と、網状体122の上に立設した同心円状の壁面と放射状の壁面からなる枠体123を備えた構造となっている。
ここで、網状体122の網目は穀粒物が通過しない程度の適度な大きさの網目とすることが好ましい。
枠体123を構成する壁面同士の間隙124は、水流にのった穀粒物および異物が嵌り得る大きさと幅を持ち、枠体123を構成する壁面の高さは、例えば、穀粒物1粒の厚みの半分程度から1粒の厚み程度とすることができる。
【0023】
図5は、図3に示した受皿本体110と図4に示した異物捕捉体120を組み合わせる様子を示す図である。この例では、受皿本体110のキャビティ115内の底板111の上面に異物捕捉体120を被せることにより簡単に設置できる構造例となっている。
【0024】
次に、加圧送水管130と導水壁140について述べる。図6は、異物除去装置100の内部の導水壁140と羽根板141の構成例を模式的に示した図である。図7は、受皿本体110と異物捕捉体120を組み合わせた状態において、導水壁140を取り付けた様子を示す図である。また、図8(a)は、加圧送水管130の構成例を示す図である。この構成例では加圧送水管130はシンプルな管となっている。また、図8(b)は、受皿本体110、異物捕捉体120、導水壁140に対して加圧送水管130を組み合わせた様子を示す図である。
【0025】
加圧送水管130は、後述する図11に示すように、混気ノズル230を介して流入する水流に対して貯水槽210内の穀粒物を巻きこみつつ吹き上げられる水流が通る管であり、貯留槽210の底部付近から受皿本体110の開口112を貫通して導水壁140の上部付近まで導通した管となっている。なお、加圧送水管130と受皿本体110の内側内周壁114との間に隙間118が設けられる。
【0026】
後述する図11に示すように、加圧送水管130の入口131は、貯留槽210の底部付近に設けられ、混気ノズル230の出射口181に対向するように設けられており、混気ノズル230の出射口181から水流が打ち込まれる。一方、加圧送水管130の出口132は後述するように導水壁140の上部の開口に接続されており、加圧送水管130の出口132から噴水のように溢れ出した水流が外周方向に向けて流れ、導水壁140の上部から導水壁140の壁面を沿うように落ちる。
【0027】
導水壁140は、加圧送水管130から上方へ噴水した水流を異物捕捉体120まで導く構造物であり、この構成例では傘状をしており、傘の中心に開口がありこの開口に加圧送水管130の出口が接続されている。加圧送水管130の出口から上方へ吹き上げられた穀粒物を包含する水流は、噴水のように溢れ出しつつ重力により外周下方向へ落ちてゆき、導水壁140の外周壁上部に導かれるようになっている。なお、導水壁140を覆うように蓋体150を被せておけば、導水壁140や羽根板150等にぶつかって弾ける水滴が蓋体150の内壁で受け止められ飛び散らなくて済む。
【0028】
この導水壁140には壁面を流れ落ちる水流に周回方向の回転力を与える羽根板141が設けられている。この例ではいわゆるプロペラ状に板面が設けられており、このプロペラにより水流には導水壁面の周回方向に回転力が与えられ、渦を巻くようにキャビティ115内の異物捕捉体120まで落ちて行く。
【0029】
図9は、導水壁140の壁面を流れる水流が羽根板141により回転力が与えられ、回転渦流となる様子を示す図である。図9(a)は導水壁面を流れる水流が羽根板141により回転力が与えられる様子を模式的に示す斜視図である。図9(b)は平面から示した平面図である。加圧送水管130の出口132から上方へ溢れ出した水はそのまま重力で下に落ち、導水壁140の壁面に沿って勢いよく流れ落ちるが、その過程で羽根板141により方向が曲げられ、羽根板141の導く方向に回りながら流れ、回転流となる。回転流となった水流は、キャビティ115内の異物捕捉体120上に到達しても回転モーメントを持っているので、キャビティ115内の異物捕捉体120上を周回方向に回転する渦流として暫く滞留することとなる。図9(c)および図9(d)は導水壁140を図示せずに受皿本体110のキャビティ115における水流を模式的に示した図である。図9(c)および図9(d)に示すようにキャビティ115からオーバーフローした水流が内周壁114を超えて隙間118から下方へ落ちて行くが、本発明では導水壁140を流れ落ちて行く間に羽根板141により回転力が与えられるので、図9(c)および図9(d)に示すようにキャビティ115内の異物捕捉体120上を周回方向に回転する渦流として暫く滞留することとなる。
【0030】
このように導水壁140の羽根板141の働きにより、穀粒物と異物を包含した水流のキャビティ115内での滞留時間が長くなり、かつ、異物捕捉体120上を転がって移動する距離が長くなることにより、穀粒物と異物との水に対する比重差による水流内での動きの違いが生じやすくなる。
【0031】
図10は、受皿本体110のキャビティ115に対して上方から穀粒物を包含した水が流れ込むことによりオーバーフローし、内周壁114を超えて隙間118から下方へ落ちて行く様子を、受皿本体110と異物捕捉体120の断面において模式的に示した図である。図10(a)は受皿本体110のキャビティ115内の水流の流れを模式的に示した図、図10(b)は穀粒物と異物が異物捕捉体120の上を転がったり滑ったりしながら移動する様子を模式的に示した図である。
【0032】
導水壁140の壁面は傾斜がついており、その外周縁は、キャビティ115における外周壁面113近くにあるので、図10(a)に示すようにキャビティ115に対して上方から流れ込んだ水流は、後述するように異物捕捉体120の網状体122や枠体123の外周側に受けられたのち、網状体122や枠体123の外周側から内周側に移動しつつ最後に内周壁114を超えて隙間118に落ちて行く。
【0033】
ここで、穀粒物と異物は水流に押されて網状体122や枠体123の表面を転がったり滑ったりしながら移動するところ、穀粒物の比重は水の比重より大きいが水の比重に近いので水流にのって流れやすいが、異物の比重は穀粒物の比重よりさらに大きく水の比重との差が大きいので水流にのりにくく、穀粒物と異物では水流による推進力に違いが生じる。また、穀粒物は外形が滑らかで固い曲面となっており網状体122および枠体123に対する摩擦力が小さく、突起などがないため当接して引っ掛かりによる抗力が生じることもないが、小石などの異物は外形がごつごつした突起や疎面となっており枠体123の構造に当接して引っ掛かって強い抗力を受け水流では動かなくなる場合が多い。このように、穀粒物と異物との表面状態や形状の違いにより異物捕捉体120に対する摩擦力の違いや引っ掛かりの有無が生じる。
【0034】
図10(b)は、異物捕捉体120により異物が捕捉され、穀粒物は捕捉されない様子を分かりやすく模式的に示した図である。図10(b)に示すように、穀粒物は外形が滑らかな曲面となっており、また比重が異物に比べて水の比重に近いので網状体122や枠体123の表面を滑らかに転がったり滑ったりしながら枠体123の間隙124を移動する。一方、異物は外形がごつごつした突起や疎面となっており、また比重が穀粒物に比べて水の比重との差が大きいので網状体122や枠体123との摩擦が大きくなり、さらには枠体123の構造に当接して強い抗力を受け、水流では動かなくなり、枠体123の間隙124から抜け出ることなく捕捉されてしまう。このように、穀粒物と異物との異物捕捉体の凹凸に対する摩擦力の違いや引っ掛かりの有無の違いにより、異物のみを異物捕捉体120で捕捉しやすいようになる。
【0035】
このように、本発明ではこのような穀粒物と異物との水に対する比重の違い、網状体122および枠体123に対する摩擦力の違いや引っ掛かりの有無の違いにより、穀粒物と異物を選別し、穀粒物は異物捕捉体120を通過させつつ異物のみを異物捕捉体120により除去するものである。
【0036】
上記異物除去装置100を組み込んだ異物除去システム200の全体構成も説明しておく。
貯留槽210は、水と穀粒物を貯留しておくタンクである。異物除去する穀粒物を水とともに投入しておく。貯留槽210の筐体の形は特に限定されないが、この構成例では下方に行くほど絞られた流線型をしている。このように下方に行くほど絞られた流線型をしている場合、内部に投入された穀物は水よりも比重が大きいため貯留槽210内で沈んで下方に移動し、底部の中心に向かって移動してゆくこととなる。後述するように底部の中心付近には混気ノズル230が設けられている。
【0037】
水バルブ220は加圧された水流に対する開閉弁であり、例えば、水道やポンプなど加圧された水源に導通しており、コックの開閉により水流の流入・遮蔽をコントロールするものである。構造や形状などは特に限定されない。
【0038】
混気ノズル230は、水流に対して空気が混ざるように構成されたノズルであり、混気ノズル230から発射される水流は混気状態で吹き出す。この構成例では混気ノズル230の出射口181が貯留槽210の底部にある加圧送水管130の入り口131に向けて設けられており、混気ノズル230から出射された水流が勢いよく加圧送水管130内に打ち込まれ、加圧送水管130を上昇してゆく。ここで、混気ノズル230の出射口181と加圧送水管130の入り口131との間に隙間があり、この隙間は貯留槽210の底部付近にあるため、水流が勢いよく加圧送水管130の入り口131内に打ち込まれる際に、図11に示すように貯留槽210内の周囲の穀粒物が巻き込まれつつ打ち込まれる。貯留槽210内の穀粒物は重力で底部付近に集まってくる上に、加圧送水管130の入り口131内に水流が勢いよく吸い込まれて加圧送水管130の入り口131付近の水圧が下がるため、穀粒物は次々と加圧送水管130の入り口131付近に集まり、かつ、加圧送水管130の入り口131内に水流に乗って打ち込まれてゆく。
【0039】
図12は、異物除去システム200全体の水流の流れを模式的に示した図である。
例えば、水道などの水源300から水バルブ220まではホースなどで接続されている。水バルブ220を開放して受け入れた水流は混気ノズル230を介して加圧送水管130の入り口131内に打ち込まれる。この際に貯留槽210内の周囲の穀粒物が巻き込まれつつ打ち込まれ、穀粒物は水流にのって加圧送水管130を上昇する。加圧送水管130の出口132から溢れ出た水流は導水壁130の壁面に沿って流れ落ちて行く。その際に羽根板150により周回方向の回転力が付けられ、受皿本体110のキャビティ115内で周回方向に回転する渦流が形成される。キャビティ115内には異物捕捉体120があり、水流に乗った穀粒物と異物はそれぞれ異物捕捉体120の網状体122や枠体123上を転がって移動し、穀粒物は捕捉されず異物のみが捕捉され、穀粒物はオーバーフローした水に乗って内周壁114を超えて隙間118から受皿本体110の下方へ落ちて行く。下方は貯留槽210につながっており、異物が除去された穀粒物が水とともに貯留槽210に還流してゆく。
【0040】
この一連の水流の流れにより、穀粒物は異物除去システム200内を還流することとなり、水バルブ220を開放したまま連続して穀粒物の異物除去を繰り返すことができる。異物除去装置100を一巡させて異物を除去した穀粒物において、異物が一度では取り除ききれない場合があるが、連続運転により何度か循環させるうちに残存する異物が無くなって行き、ほとんどの異物を除去できるようになる。
【0041】
穀物が十分に洗滌でき、異物の除去が終了した時点において、図13に示すように、水流を貯留槽210へ戻さずに、水流ごと穀物取り出し部240から篩241を介して流し出し、水流と穀粒物を分離し、篩241に残った穀粒物のみを回収する。
【0042】
以上、実施例1にかかる本発明の異物除去装置100によれば、穀粒物と異物の水に対する比重の違いと異物捕捉体の間隙に対する摩擦係数の違いにより、両者を精度よく分別できる。また、実施例1にかかる本発明の異物除去システム200によれば、異物を除去する穀粒物を貯留槽に投入し、水バルブを介して流入する水流を空気混流の条件で異物除去装置まで吹き上げ、異物除去装置で異物除去を行ったのち、水と穀粒物を篩分けることができ、異物の混入が少ない穀粒物の獲得が可能となる。
【実施例2】
【0043】
実施例2は、異物除去装置が上下連続式で複数段設けられている構成例(一例として二段垂直連続式の構成例)である。
図14は、実施例2にかかる異物除去装置100aの外観を模式的に示した図である。図15は、実施例2にかかる異物除去装置100aの内部構造を模式的に示した図である。
図14および図15に示すように、異物除去装置100aは、実施例1に示した受皿本体110、異物捕捉板120、加圧送水管130、導水壁140、蓋体150のセットが上下2段に組まれている。説明上、上段のものには添字としてa1、下段のものには添字としてa2を付している。なお、加圧送水管130a1と加圧送水管130a2は上下に連続するので1つの加圧送水管130が貫かれていると見ることもできる。
【0044】
受皿本体110a1、110a2、異物捕捉板120a1、120a2、加圧送水管130a1、130a2、導水壁140a1、140a2、蓋体150a1、150a2の各構成部分は、実施例1におけるものと同様であり、ここで重複する説明は省略する。
図16は、実施例2にかかる異物除去装置100aの内部を循環する水流の流れを模式的に示した図である。
【0045】
水バルブ220を開放して水道などの水源300から受け入れた水流は混気ノズル230を介して加圧送水管130a2の入り口131内に打ち込まれる。この際に貯留槽210内の周囲の穀粒物が巻き込まれつつ打ち込まれ、穀粒物は水流にのって加圧送水管130a2、加圧送水管130a1を上昇する。
【0046】
加圧送水管130a1の出口132から溢れ出た水流は、上段の導水壁130a1の壁面に沿って流れ落ちて行く。その際に羽根板150a1により周回方向の回転力が付けられ、受皿本体110a1のキャビティ115内で周回方向に回転する渦流が形成される。穀粒物と異物は水流にのって上段の異物捕捉体120a1の網状体122や枠体123上を転がって移動し、穀粒物は捕捉されず異物のみが捕捉され、穀粒物はオーバーフローした水に乗って内周壁114を超えて隙間118から上段の受皿本体110a1の下方へ落ちて行く。
【0047】
上段の受皿本体110a1をオーバーフローした水流は、下段の導水壁130a2の壁面に沿って流れ落ちて行く。その際に上段と同様、羽根板150a2により周回方向の回転力が付けられ、受皿本体110a2のキャビティ115内で周回方向に回転する渦流が形成される。穀粒物と上段で除去されなかった異物は水流にのって下段の異物捕捉体120a2の網状体122や枠体123上を転がって移動し、穀粒物は捕捉されず異物のみが捕捉され、穀粒物はオーバーフローした水に乗って内周壁114を超えて隙間118から下段の受皿本体110a2の下方へ落ちて行く。下段の受皿本体110a2の下方には貯留槽210があり、穀粒物が水とともに貯留槽210に還流してゆく。
【0048】
実施例2の異物除去装置が上下連続式で複数段設けられている構成例であれば、異物除去装置100aを一度循環する間に、上段と下段の2回にわたり異物除去が実行される。
また、実施例1と同様、水バルブ220を開放したまま連続して穀粒物の異物除去を繰り返すことができ、連続運転により異物除去システム200a内を何度か循環させるうちに残存する異物が無くなって行き、ほとんどの異物を除去できるようになる。
【0049】
以上、実施例2にかかる本発明の異物除去装置100aによれば、上下連続式で複数段設けた構成とすることにより、異物除去装置全体としての異物除去効率は向上し、一段構成に比べてより短時間で異物除去を行うことができる。
【実施例3】
【0050】
実施例3は、異物除去装置が水平連続式で複数段設けられている構成例(一例として二段水平連続式の構成例)である。この例では水平連続式の前段側の異物除去装置100b1は実施例2と同様、上下二段連続式のものとなっており、後段側の異物除去装置100b2は実施例1と同様、単体のものとなっている。
【0051】
図17は、実施例3にかかる異物除去装置100bの外観を模式的に示した図である。
図17に示すように、水平連続式の前段側の異物除去装置100b1は、実施例2と同様、上下二段連続式のものとなっており、受皿本体110、異物捕捉板120、加圧送水管130、導水壁140、蓋体150のセットが上下二段連続にて配されている。添字としてb1を用い、上段側はb11、下段側はb12を付している。水平連続式の後段側の異物除去装置100b2は、実施例1と同様、受皿本体110、異物捕捉板120、加圧送水管130、導水壁140、蓋体150のセットが単体で配されている。添字としてb2を付している。なお、前段側の貯留槽210b1と後段側の貯留槽210b2間をつなぐ接続水路は250として示されている。
【0052】
受皿本体110b11、110b12、110b2、異物捕捉板120b11、120b12、120b2、加圧送水管130b11、130b12、130b2、導水壁140b11、140b12、140b2、蓋体150b1、150b2の各構成部分は、実施例1または実施例2におけるものと同様であり、ここで重複する説明は省略する。
【0053】
図20は、実施例3にかかる異物除去装置100bおよび異物除去システム200bの内部の水流の流れを模式的に示した図である。
水バルブ220b1を開放して水道などの水源300から受け入れた水流は混気ノズル230b1を介して加圧送水管130b1の入り口131内に打ち込まれる。この際に貯留槽210b1内の周囲の穀粒物が巻き込まれつつ打ち込まれ、穀粒物は水流にのって加圧送水管130b1を上昇する。
【0054】
加圧送水管130b1の出口132から溢れ出た水流は、上段の導水壁140b11の壁面に沿って流れ落ちて行く。その際に羽根板150b11により周回方向の回転力が付けられ、受皿本体110b11のキャビティ115b11内で周回方向に回転する渦流が形成される。穀粒物と異物は水流にのって上段の異物捕捉体120b11の網状体122や枠体123上を転がって移動し、穀粒物は捕捉されず異物のみが捕捉され、穀粒物はオーバーフローした水に乗って内周壁114を超えて隙間118から上段の受皿本体110b11の下方へ落ちて行く。
【0055】
上段の受皿本体110b11の下方には下段の導水壁140b12があり、下段の導水壁140b12の壁面に沿って流れ落ちて行く。その際に羽根板150b12により周回方向の回転力が付けられ、受皿本体110b12のキャビティ115b12内で周回方向に回転する渦流が形成される。穀粒物と異物は水流にのって下段の異物捕捉体120b12の網状体122や枠体123上を転がって移動し、穀粒物は捕捉されず異物のみが捕捉され、穀粒物はオーバーフローした水に乗って内周壁114を超えて隙間118から下段の受皿本体110b12の下方へ落ちて行く。
【0056】
下段の受皿本体110b12の下方には接続水路250があり、右側の受皿本体110b12をオーバーフローした水流は右側の貯留槽210b1には還流せずに、接続水路250を通って左側の貯留槽210b2に投入される。
【0057】
左側の貯留槽210b2においても、右側と同様、水バルブ220b2を開放して水道などの水源300から受け入れた水流は混気ノズル230b2を介して加圧送水管130b2の入り口131内に打ち込まれる。この際に貯留槽210b2内の周囲の穀粒物が巻き込まれつつ打ち込まれ、穀粒物は水流にのって加圧送水管130b2を上昇する。
【0058】
加圧送水管130b2の出口132から溢れ出た水流は、導水壁130b2の壁面に沿って流れ落ちて行く。その際に羽根板150b2により周回方向の回転力が付けられ、受皿本体110b2のキャビティ115b2内で周回方向に回転する渦流が形成される。穀粒物と右側の異物除去装置100b1で除去されなかった異物は水流にのって異物捕捉体120b2の網状体122や枠体123上を転がって移動し、穀粒物は捕捉されず異物のみが捕捉され、穀粒物はオーバーフローした水に乗って内周壁114を超えて隙間118から受皿本体110b2の下方へ落ちて行く。
【0059】
この構成例では、受皿本体110b2の下方には穀物取り出し部240があり、水流を貯留槽210b2へ戻さずに、水流ごと穀物取り出し部240から篩241を介して流し出し、水流と穀粒物を分離し、篩241に残った穀粒物のみを回収するものとなっている。
実施例3の異物除去装置が水平連続式で複数段設けられている構成例であれば、右側の異物除去装置100b1と左側の異物除去装置100b2の2回にわたり異物除去が実行される。
【0060】
以上、実施例3にかかる本発明の異物除去装置100bおよび異物除去システム200bによれば、水平連続式で複数段設けた構成とすることにより、異物除去装置全体としての異物除去効率は向上し、一段構成に比べてより短時間で異物除去を行うことができる。
【0061】
以上、本発明の異物除去装置の構成例における好ましい実施例を図示して説明してきたが、本発明の技術的範囲を逸脱することなく種々の変更が可能であることは理解されるであろう。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明の異物除去装置は、小豆や米などの穀粒物に混在する異物を除去する機器について広く適用することができる。
【符号の説明】
【0063】
100 異物除去装置
110 受皿本体
120 異物捕捉体
130 加圧送水管
140 導水壁
150 蓋体
200 異物除去システム
210 貯留槽
220 水バルブ
230 混気ノズル
240 穀物取り出し部
250 接続水路
300 水源
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水流により穀粒物と前記穀粒物に混入している異物とを分別し、前記異物を除去する異物除去装置であって、
中心に開口を有する底板と、前記底板の外周縁に立設させた外周壁と、前記底板の開口縁に立設させた内周壁を備えた受皿本体と、
前記受皿本体の底板の上面に設けられ、前記水流にのった前記穀粒物および前記異物が嵌り得る間隙を備えた異物捕捉体と、
前記受皿本体の開口の内側を貫通して上方に立設した加圧送水管と、
前記加圧送水管から上方へ噴水した水流を下方にある前記異物捕捉体の方に導く導水壁と、
前記導水壁面に沿って下方に流れる水流に対して周回方向の回転力を与える羽根板とを備え、
前記羽根板により前記異物捕捉体上の水流を周回方向に回転させ、前記開口から下方へ流れ出すまでの滞留時間を長くし、前記穀粒物と前記異物との水に対する比重差による前記水流内での動きの違いと、前記穀粒物と前記異物との前記異物捕捉体に対する摩擦力の違いや引っ掛かりの有無により、前記異物のみが前記異物捕捉体で捕捉されやすいようにした異物除去装置。
【請求項2】
前記異物除去装置を上下二段以上多段につなげ、上段の前記異物除去装置の開口から下方へ流れ出した水流が前記下段の前記異物除去装置の導水壁の壁面に対して流れ込むように接続したことを特徴とする請求項1に記載の異物除去装置。
【請求項3】
前記異物除去装置を並べて二段以上多段につなげ、一つの前記異物除去装置の開口から下方へ流れ出した水流が他方の前記異物除去装置の導水壁の壁面に対して流れ込むように接続したことを特徴とする請求項1に記載の異物除去装置。
【請求項4】
前記穀粒物を一時貯留する水槽と、前記水槽の穀粒物と空気とを吸い込んで前記加圧送水管内を吹き上がる水流を受け入れる水バルブと、請求項1から3のいずれか1項に記載の異物除去装置と、前記異物除去装置から流れ出てきた前記穀粒物を取り分ける篩とを備えた、異物除去システム。
【請求項1】
水流により穀粒物と前記穀粒物に混入している異物とを分別し、前記異物を除去する異物除去装置であって、
中心に開口を有する底板と、前記底板の外周縁に立設させた外周壁と、前記底板の開口縁に立設させた内周壁を備えた受皿本体と、
前記受皿本体の底板の上面に設けられ、前記水流にのった前記穀粒物および前記異物が嵌り得る間隙を備えた異物捕捉体と、
前記受皿本体の開口の内側を貫通して上方に立設した加圧送水管と、
前記加圧送水管から上方へ噴水した水流を下方にある前記異物捕捉体の方に導く導水壁と、
前記導水壁面に沿って下方に流れる水流に対して周回方向の回転力を与える羽根板とを備え、
前記羽根板により前記異物捕捉体上の水流を周回方向に回転させ、前記開口から下方へ流れ出すまでの滞留時間を長くし、前記穀粒物と前記異物との水に対する比重差による前記水流内での動きの違いと、前記穀粒物と前記異物との前記異物捕捉体に対する摩擦力の違いや引っ掛かりの有無により、前記異物のみが前記異物捕捉体で捕捉されやすいようにした異物除去装置。
【請求項2】
前記異物除去装置を上下二段以上多段につなげ、上段の前記異物除去装置の開口から下方へ流れ出した水流が前記下段の前記異物除去装置の導水壁の壁面に対して流れ込むように接続したことを特徴とする請求項1に記載の異物除去装置。
【請求項3】
前記異物除去装置を並べて二段以上多段につなげ、一つの前記異物除去装置の開口から下方へ流れ出した水流が他方の前記異物除去装置の導水壁の壁面に対して流れ込むように接続したことを特徴とする請求項1に記載の異物除去装置。
【請求項4】
前記穀粒物を一時貯留する水槽と、前記水槽の穀粒物と空気とを吸い込んで前記加圧送水管内を吹き上がる水流を受け入れる水バルブと、請求項1から3のいずれか1項に記載の異物除去装置と、前記異物除去装置から流れ出てきた前記穀粒物を取り分ける篩とを備えた、異物除去システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
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【図18】
【図19】
【公開番号】特開2010−194510(P2010−194510A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−45334(P2009−45334)
【出願日】平成21年2月27日(2009.2.27)
【出願人】(509058704)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年2月27日(2009.2.27)
【出願人】(509058704)
【Fターム(参考)】
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