説明

【課題】 畳床にクッション材を縫着した畳において、縫着糸の食込みによる表面の陥没を防いで踏当感の良いものにする。
【解決手段】 縫着した畳床を有する畳において、畳床の表面にクッション材を接着し、畳表で畳床及びクッション材を被覆する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、縫着した畳床を有する畳に関するものである。
【背景技術】
【0002】
畳は畳床を芯としているが、この畳床として木質材からなるインシュレーションボードのようなボードを使用してものが多い。畳の厚さは一般的には30mm以上であるが、ボードで20mmを超えるものは製作が難しいため、ボードを何枚か重ねたり、ボードとポリスチレンフォームのような成形体を重ねて積層している。この積層は接着剤によることもあるが、接着によると反りや変形が生じることから、積層したものを縫着しているのが実情である。
【0003】
これらボードを畳床とする畳は硬いのが難点であり、踏当感が悪い。このため、下記特許文献1及び2に見られるように、クッション材をボードの上に重ねてクッション材ごと縫着し、これを畳表で被覆しているものがある。しかし、縫着した畳床では、糸がクッション材を走る部分や中に食い込む部分では、クッション材が陥没しており、これに薄い畳表を被せても、陥没は均されず、踏当感は大して改善されない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−345689号公報
【特許文献2】特開2002−322793号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、縫着した畳床によるこの踏当感の悪さを解消したものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題の下、本発明は、請求項1に記載した、縫着した畳床を有する畳において、畳床の表面にクッション材を接着し、畳表で畳床及びクッション材を被覆したことを特徴とする畳を提供するとともに、これにおいて、請求項2に記載した、クッション材がポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタンの発泡樹脂である構成、請求項3に記載した、クッション材の厚みが畳床の厚さの1/5〜1/10である構成を提供する。
【発明の効果】
【0007】
請求項1の発明によれば、クッション材は畳床に接着されて縫着されていないのであるから、畳床の縫着による陥没は均されて踏当感がよくなる。また、請求項3の手段によれば、クッション性が適正なものになる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明に係る畳床の一部断面図である。
【図2】本発明に係る畳の一部断面図である。
【図3】本発明に係る畳の一部縦断面図である。
【図4】本発明に係る畳の一部横断図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は畳床の一部断面図、図2は縫着した畳床の一部断面図であるが、畳床1はボードやフォームからなる芯材2を糸3で縫ったものである。上記したように、現在のところ、厚みが20mm以上のボードは見当たらないから、必要厚さを確保するために、ボードを複数枚重ねたり、ボードとフォームを重ねて縫着している。なお、この他に藁や植物、化学繊維といったものを芯材2にすることもあるが、その場合でも、散逸しないように縫着は必要になる。
【0010】
本例では、芯材2をボード2aとフォーム2bの二層で構成しているが、この場合は、硬いボード2aが上側に来ることになる。畳床1を糸3で縫着した場合、ある程度締める必要があるから、糸3が通る部分や糸3が芯材2の中に組み込む部分は陥没するのは上述したとおりである。
【0011】
そこで、本発明は、芯材2の表面にクッション材4を被覆する。このクッション材4は、クッション性を考慮してポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン等の発泡樹脂が適するが、この他に織布、不織布、厚紙又は段ボール等であってもよい。クッション材4の厚みは畳床1/5〜1/10程度が適する。具体的には、畳床1の厚みが30mmとすれば、3〜6mm程度ということになる。あまり厚いとフワフワ感が強すぎるし、薄いと陥没状態が解消されず、クッション性も乏しいからである。
【0012】
クッション材4は畳床1と同じ大きさにしてあり、接着剤で接着する。この場合の接着剤は、無機系接着剤、天然系及び合成系の有機系接着剤のいずれでもよく、接着力や価格に応じて選択すればよい。また、接着剤の形態も、エマルジョンタイプや固形タイプ(ホットメルト糊)のいずれであってもよい。さらに、両面テープのようなものであってもよい。畳床1とクッション材4を合せたものは畳表6で巻くことから、接着力が少々弱くても、クッション材4が剥離することはない。
【0013】
以上の芯材2及びクッション材4は畳表6で巻く。畳表6には、イ草等の天然畳表、和紙表、樹脂表があるが、いずれであってもよい。図3は畳の一部縦断面図、図4は一部横断面図であるが、長辺側の畳表6はクッション材4と同じ幅にしてあり、短辺側(かまち)は裏側まで延ばして巻き込み、糸7によって裏面と側面にかけて縫い付けている。なお、長辺側では畳縁8を装着するが、長辺の縁に畳縁8を被せて端を余して糸9で縫い付け、端側を畳床2まで折り返して同じく糸9で縫い付けている。
【符号の説明】
【0014】
1 畳床
2 芯材
3 糸
4 クッション材
5 防滑シート
6 畳表
7 糸
8 畳縁
9 糸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
縫着した畳床を有する畳において、畳床の表面にクッション材を接着し、畳表で畳床及びクッション材を被覆したことを特徴とする畳。
【請求項2】
クッション材がポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタンの発泡樹脂である請求項1の畳。
【請求項3】
クッション材の厚みが畳床の厚さの1/5〜1/10である請求項1又は2の畳。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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