説明

疾患の診断および治療のためのENDO180受容体の使用

本出願は、ヒトENDO180受容体の活性を調節することができる化合物を同定するための方法であって、前記化合物の非存在または存在中において、ENDO180受容体がインビボで特異的に相互作用する相互作用因子に対するENDO180受容体の結合を測定する工程と、ENDO180受容体の前記相互作用因子に対する結合が前記化合物によって影響を受けたか否かを決定する工程とを含む。本出願はまた、疾患、特に線維症の治療用の薬剤の調製における前記方法によって同定された化合物の使用である。本出願はまた、疾患の治療におけるENDO180修飾因子の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
本発明は、ポリヌクレオチド配列の同定および単離、様々な病理の中で変化を受けるポリヌクレオチドの発現に関する。また、本発明は、これらの単離されたポリヌクレオチドの使用であって、治療様式の診断、スクリーニングのためのプローブとしての使用、ならびに線維症、一般には特に慢性腎不全および腎臓線維症および糸球体硬化症の調節ためのターゲットとしての使用に関する。
【発明の背景】
【0002】
線維性疾患
全ての線維性疾患は、組織構造の異常な変化を導いて正常器官の機能を妨げる、細胞外マトリックスと呼ばれる線維性材料の過剰な生成によって特徴づけられる。世界中の何百万もの人が、しばしば生命を脅かすこれらの慢性疾患に罹患している。不幸なことに、線維症は広く流行し、衰弱させてしばしば生命を脅かすにも関わらず、現在のところ利用可能な有効な治療法が存在しない。
【0003】
ヒトの体は、瘢痕化によって外傷および傷害に応答する。過剰な瘢痕化によって特徴づけられる疾患の型である線維症は、正常な創傷治癒の応答が妨げられるときに起こる。線維症の間、創傷治癒の応答がコラーゲンの過剰な生産と蓄積を引き起こし続ける。
【0004】
線維性疾患には急性および慢性のものがあるが、過剰なコラーゲンの蓄積および正常組織が瘢痕組織と置き換わったときにもたらされる機能の喪失という共通の特徴を共有する。
【0005】
線維症は多様な原因から生じ、様々な器官で確認されている。肝硬変、肺性線維症、類肉腫症、蟹足腫、高血圧症、および腎臓線維症は、組織機能の連続的喪失を引き起こす進行性の線維症を含む慢性疾患である。
【0006】
急性の線維症(通常は突発的で激しい発症を伴い、かつ短期間である)は、偶発的な傷害(特に、脊椎および中枢神経系に対する傷害)を含む様々な形態の外傷、感染、手術(心臓発作後の心臓瘢痕)、火傷、環境的汚染、アルコールおよび他の種類の毒素、急性呼吸疾患症候群、放射線および化学療法処理に対して共通の反応として起こる。外傷によって障害を受けた全ての組織は、特に障害が繰り返される場合、瘢痕化して線維症を発症する傾向がある。重度の器官の線維症は、器官機能の進行性の喪失が病的状態、入院、透析、障害および時には死をもたらすために、しばしば極端に深刻である。線維性疾患または線維症が明らかである疾患には、肺性線維症、間質性肺疾患、ヒト線維性肺疾患、肝臓線維症、心臓線維症、黄斑性変性症、網膜および硝子体症、心筋線維症、グレーヴス眼症、麦角中毒、心血管性疾患、アテローム性動脈硬化症/再狭窄、蟹足腫および肥大性瘢痕症、癌、アルツハイマー疾患、瘢痕、強皮症、グリア芽細胞腫、リフラウメニ症候群、散発性グリア芽細胞腫、骨髄性白血病、急性骨髄性白血病、脊髄形成異常症候群、骨髄増殖性症候群、婦人性癌、カポジ肉腫、ハンセン病、および膠原性大腸炎を含む炎症性腸疾患が含まれる。
【0007】
異なる種類の線維症についてのさらなる情報のために、以下の文献を参照されたい:Molina V, Blank M, Shoenfeld Y. (2002), "Fibrotic diseases", Harefuah, 141 (11): 973-8,1009 ; Yu L, Noble NA, Border WA (2002), "Therapeutic strategies to halt renal fibrosis",Curr Opin Pharmacol. 2 (2): 177-81 ; Keane WF, Lyle PA. (2003), "Recent advances in management of type 2 diabetes and nephropathy: lessons from the RENAAL study", Ant Kidney Dis. 41 (3 Suppl 2): S22-5; Bohle A, Kressel G, Muller CA, Muller GA. (1989), "The pathogenesis of chronic renal failure", Patrol Res Pract. 185 (4): 421-40; Kikkawa R, Togawa M, Isono M, Isshiki K, Haneda M. (1997), "Mechanism of the progression of diabetic nephropathy to renal failure", Kidney Int Suppl. 62:539-40 ; Bataller R, Brenner DA. (2001), "Hepatic stellate cells as a target for the treatment of liver fibrosis", Semin Liver Dis. 21 (3):437-51 ; Gross TJ,Hunninghake GW,(2001) "Idiopathic pulmonary fibrosis",N Engl J Med. 345 (7): 517-25;Frohlich ED.(2001)"Fibrosis and ischemia: the real risks in hypertensive heart disease",Ana J Hypertens ; 14 (6 Pt 2): 194S-199S.
【0008】
糖尿病性腎症
糖尿病性腎症の特徴は、糸球体硬化症および腎臓線維症であり、現代世界における最終段階の腎臓疾患の唯一最大の流行原因であり、糖尿病患者は透析についての最大の人口を構成する。このような治療は費用が嵩み、最善には程遠い。移植は良好な結果を提示するが、ドナーの著しい不足に苦しんでいる。糖尿病性腎症に対する(および他の種類の腎臓病理に対する)より良い目標の治療法は、これらの病理の根底にある分子メカニズムの大部分が知られていないために開発されていない。疾患において調節されて糖尿病性腎症の結果の重症度に影響を及ぼす主要な機能的標的遺伝子の同定は、高度な診断と治療価値を有する。
【0009】
腎臓における多くの病理プロセスが、最終的には類似のまたは同一の形態学的変化、すなわち糸球体硬化症および線維症になることが当該技術において知られている。ヒト腎疾患は、全身性狼瘡、癌、物理的閉塞、毒素、代謝性疾患、および免疫学的疾患に付随した糸球体腎炎、腎炎を含む様々な起源からもたらされ、これらの全ては腎臓線維症に至る。この現象の意味は、異なる種類の傷害が、線維症の2つの特徴(線維芽細胞の増殖と、これらによる結合性組織の様々なタンパク質成分の過剰産生)をもたらす同一の唯一の遺伝的プログラムに集約されるということである。さらに、糸球体中の基底膜の肥厚化は間質性線維症を併発して糸球体硬化症に至る。腎臓線維症および糸球体硬化症に含まれるタンパク質をコードする遺伝子は、大きく2つのグループに分けることができる。
【0010】
1.その発現が線維芽細胞の増殖の引き金を引き、その発現によって結合性組織の様々なタンパク質成分の過剰産生をもたらす遺伝子。これらは異なる病理条件に特異的であってもよい。
【0011】
2.その発現が「繊維性または硬化性プログラム」の実行を導く遺伝子。これらは線維症および糸球体硬化症を導く全ての腎臓病理で共通であってもよい。
【0012】
第2のグループに属する遺伝子の同定は、線維芽細胞およびメサンギウム細胞の増殖および過分泌を伴う分子メカニズムの理解に貢献するであろうし、腎不全を防ぐことを目標とした薬剤の開発のための標的遺伝子を構成する。このような薬剤の適用は、線維症および糸球体硬化症の進行を抑制、遅延、防止、阻害または減衰させるものと期待される。
【0013】
線維症および糸球体硬化症を含む腎臓疾患の進行を評価する有用な方法は、腎臓疾患で確立されたモデル動物における遺伝子発現を特徴づけることである。このようなモデルの例は、(i)fa/faラット−進行性の糖尿病性腎症を伴うインシュリン抵抗性糖尿病(II型糖尿病)を発症するレプチン受容体を遺伝的に欠損している動物、および(ii)GKラット−遺伝的に操作されたNIDDM表現型ラット、を含むがこれらに限定されない。主として腎臓線維症が明らかであるが糖尿病の背景のない他の動物モデルは、間質性線維症が閉塞後数日以内に急速に起こる片側の尿管閉塞(UUO)である。5/6の腎摘出は、線維症が明らかである慢性腎不全(CRI)についての他の有用な動物モデルである。
【0014】
研究のさらなる側面は、CRIおよび線維症に現れる細胞微小環境の様々なパラメーターを模倣した条件下においてヒト線維芽細胞をインビトロで培養することを含む、インビトロでのモデル系に基づいてもよい。これらは、高濃度のグルコースでの治療(高血糖をモデリング)、低濃度のグルコース、低酸素(線維症および糸球体硬化症に続いて腎臓で発症する虚血状態をモデリング)、およびTGF-β(線維症で認識された病原因子の1つ)での処理を含む。このようなインビトロでのモデル系は、幾つかの重要な側面において動物モデルを補完することができる:第1に、該系は線維芽細胞特異的である;これに応じて、多くの種類の細胞を含む複合組織においてしばしば見出される干渉が存在しない。第2に、細胞は動物モデルとは違ってヒト起源である。さらに、該傷害は特異的であり、様々な濃度および持続期間を有し、急性および慢性反応の両方の調査を可能にする。
【0015】
ENDO180/uPARAP
uPARAP(ウロキナーゼプラスミノーゲン活性化因子受容体に関連したタンパク質)として知られるENDO180は、その結合リガンドをエンドソーム中で分解に導く内在化受容体である。ウロキナーゼ型のプラスミン活性化因子(uPA)およびウロキナーゼ型のプラスミン活性化因子受容体(uPAR)を含む三重複合体の一部であり、プラスミノーゲンからのプラスミンの生成において含まれている。また、プラスミンは、ECMの代謝回転および潜在性TGF-βの活性形態へのタンパク質分解転換の両方の役割を担うことが知られている。
【0016】
プラスミンの生成中に含まれる場合、三重複合体は、MMPプロ酵素の活性化状態に含まれ、幾つかのコラーゲンと結合するフィブリンに対して機能し、かつ細胞外マトリックスの一般的な代謝回転中に含まれていることが知られている。この複合体はまた、細胞付着およびシグナル伝達に関係する(Bherendt el al, JBC275: 1993-2002,2000)。
【0017】
従って、ENDO180が、Ca2+依存レクチン活性を示す多機能性受容体であり、細胞外マトリックスの分解および再構築に関与することを示唆する(Chambers et al, 2001,47th Annual Meeting, Orthopaedic Research Society, February 25-28, 2001, San Francisco, California)。
【0018】
ENDO180は、クラスリンで覆われたくぼみの中で細胞表面上に局在化しており(Isacke et al. , 1990 Mol. Cell. Biol. 10: 2606-2618; Sheikh et al., 2000, J Cell. Sci. 113: 1021-1032)、かつエンドソーム内部に局在化している。ENDO180は、線維芽細胞、内皮細胞およびマクロファージで主に発現する。In situハイブリッド形成法は、高度に血管新生化された器官においてENDO180の発現を示した。また、マウス胚における骨形成領域(Wu et al.,1996, J. Biol. Chen2. 271: 21323-21330)、ならびに発育中の軟骨内および膜内骨形成の部位での骨芽細胞および骨細胞においてもその発現が見出された(Engelholm et al., 2001b, Trends Cardiovasc. Med. 11: 7-13)。
【0019】
最近、ENDO180が様々な種類のコラーゲン(コラーゲンIVおよびコラーゲンV)と相互作用し、マトリックスの分解に決定的に関与すると考えられることが示された(Niels B. Biol Chem. 2004 Feb; 385 (2): 103-36); Kjoller L et al, Exp Cell Res. 2004 Feb 1; 293(1) :106-16)。
【0020】
構造的情報
ヌクレオチド配列:ヒト-5641 bp NM_006039; ORF-4439bp(117-4441bp);
マウス-5818 bp(Acc: MMU56734); ORF-1479aa, 167kda.
タンパク質配列: NP_006030_endo 180.fcgi 1479 aa (Behrendt 2000, acc: NP_006030).
ドメイン (ヒトタンパク質NP_006030 (スマートによる))-1型膜タンパク質であって:
1-31aa SP (シグナルペプチド)
41-161aa システイン富N末端ドメイン
180-228 aa FNII(II型フィブロネクチン)ドメイン
8 CDR (炭水化物認識ドメイン):
235-360 aa 1CRD
382-505 aa 2CRD
521-645 aa 3CRD
669-809 aa 4CRD
825-951 aa 5CRD
972-1108 aa 6CRD
1161-1244 aa 7CRD
1261-1394 aa 8CRD
1413-1435 aa 1 TM(膜貫通ドメイン)
1437-1479 aa-細胞質ドメイン
を含む。
【0021】
種間の類似性:マウスとヒトの間で核酸レベルにおいて87%の相同性(Sheikh et al., 2000, J Cell. Sci. 113: 1021-1032)。
【0022】
モチーフ:マウスとヒトのENDO180で同一の推定上のエンドサイトーシスモチーフ。以下の位置はヒトORFで示す:
1. Tyr 1452 (FxNxxY)
2. Leu 1468/Val l469 (E---LV)- 列挙されたアミノ酸はヒトENDO180についてである。
【0023】
ENDO180は、マクロファージマンノース受容体ファミリー:マンノース受容体、ホスホリパーゼA2(phosphlipase A2)およびDEC-205/MR6との相同性を共有する(Isacke et al., 1990 Mol. Cell. Biol. 10: 2606-2618; Sheikh et al., 2000, J. Cell. Sci. 113: 1021-1032; Behrendt et al., 2000, J. Biol. Chem. 275: 1993-2002)。このファミリーの分類は、システイン富ドメイン、II型フィブロネクチンドメイン(FNII)、および8または10 C型レクチン様ドメイン(CTLD)によって追従されたN末端シグナル配列を含む大きな細胞外ドメインを含む4つの受容体の全体的な構造的保存に基づいている。ファミリーとしては、これらの受容体は2つの顕著な特徴を有する:第1に、これらは大きなC型レクチンスーパーファミリーに属しているが、これらは単一のポリペプチドバックボーン内に複数のCTLDを独自に含む(Taylor M. E., 1997 Glycobiology 7: v-vii; McKay et al, 1998, Eur. J.Immunol. 28: 4071-4083; Howard M. J. and Isacke C. M., 2002 JBC Papers in Press. Published on June 14, 2002 as Manuscript M203631200)。第2に、これらは細胞の原形質膜と細胞間区画との間で再循環する能力を共有する(Isacke et al, 1990, Mol. Cell.Biol. 10 : 2606-2618;Zvaritch et al., 1996,J. Biol. Chem. 271: 250-257)。
【0024】
ENDO180はまた、ENDO180に対して作られた抗体を内部移行させることが示された(Isacke, 1990, Mol. Cell. Biol. 10: 2606-2618)。これは、内部移行受容体として機能する全てのマンノースファミリータンパク質に共通の特徴であり、クラスリン媒介エンドサイトーシスを介して原形質膜から恒常的に内部移行し、再循環して細胞表面に戻される(Howard M. J. and Isacke C. M., 2002 JBC Papers in Press. Published on June 14, 2002 as Manuscript M203631200)。
【0025】
Engelholm et al, 2003, The Jornal of Cell Biology 160: 1009-1015は、最近、ENDO180が線維芽細胞によるコラーゲンの取り込みのために必須であることを報告した。
【0026】
Zhang et al., 2003, J. Am. Soc. Nephrol. 14 (5): 1254-1271は、腎uPARが腎傷害に応答する線維形成を減衰させることを報告した。
【0027】
以下の特許文献はまたENDO180受容体に関する:U.S.Patent 6,117,977; WO 97/40154 および WO 00/58473。
【発明の概要】
【0028】
本発明の主な目的は、多くの疾患、例えば組織線維症、一般には、特に、慢性腎不全(CRI)、慢性腎欠損(CRF)、腎線維症、および糸球体硬化症、ならびに骨粗鬆症および骨関節症を治療する薬剤の開発のために使用することができる新規な遺伝子ターゲットの同定および単離である。本発明のさらなる目的は、診断および予後用途の開発のために使用することができる新規な遺伝子ターゲットの同定および単離である。本発明のさらなる目的は、慢性腎不全および他の腎臓病、例えば糖尿病性腎症を治療する薬剤の開発のための新規な遺伝子ターゲットを同定および単離し、かつ診断および予後用途のためのツールとしてこのターゲットを使用することである。また、本発明のさらなる目的は、糖尿病性腎症、すなわち、糸球体硬化症および腎臓線維症の特徴を治療する薬剤の開発のための新規な遺伝子ターゲットを同定および単離することである。
本発明は、インビボおよびインビトロでの腎症、特に糖尿病性腎症および腎線維症における遺伝子発現の大規模なマイクロアレイに基づいた分析を介した、新規な治療および診断手段の開発のための新規なターゲットを提供する。1つの実施形態において、本発明は、線維性の腎症学的疾患とこれに関連した病理との間に直接の因果関係をもつ遺伝子治療、診断薬および治療薬のための上方または下方の制御因子(応答因子)の遺伝子を同定する。より好ましくは、本発明は、上述したモデル中の修飾因子の遺伝子としてENDO180遺伝子を同定する。
さらに、本発明は、ENDO180に結合するかまたはENDO180発現もしくはENDO180 活性に影響を及ぼす、中和抗体、ペプチド、擬似ペプチド、小分子および他の薬剤を含むがこれに限定されない修飾因子、すなわち候補物質、化合物または薬剤を同定するためのスクリーニングアッセイとして本明細書中に言及されたプロセスを提供する。
ENDO180レセプターを介して情報伝達に影響を及ぼす上述のスクリーニング分析によって発見された化合物または薬剤は、腎線維症において使用され、コラーゲンの取り込み、フィブロネクチンおよび/またはMMPの取り込み、線維芽細胞付着および原繊維コラーゲンマトリックス上での遊走、メサンギウム細胞の増殖を調節することができる。さらに、糸球体硬化症の進行を減速または阻害するために、線維芽細胞の増殖を減少させるために、細胞外マトリックスの蓄積を阻害するために、および腎臓における線維性領域の形成を減少または制限するために使用することができる。
【発明の詳細な説明】
【0029】
本発明によれば、純化、単離、およびクローン化された核酸配列、特にENDO180受容体をコードする核酸配列であって、慢性腎不全、具体的には腎症、より具体的には糖尿病性腎症ならびに線維性および糸球体硬化性の腎臓と関連があり、本明細書中で特定された配列をもつかまたはこの配列に対して相補的もしくは対立的な配列の変異をもつ核酸配列が開示される。さらにまた、純化、単離、およびクローン化された核酸であって、腎症と関連があり、本明細書中でSEQ ID NO : 2をコードするSEQ ID NO : 1の配列をもつ核酸が開示される。
用語「ENDO180遺伝子」は、本明細書中で使用されるとき、好ましくは90%の相同性、より好ましくは95%の相同性、さらにより好ましくは98%の相同性を有するENDO180遺伝子の任意の相同体として、あるいは非常に厳密なハイブリダイゼーションの条件下においてENDO180遺伝子と結合する核酸配列として定義される。これらは当該技術において周知である(例えば、 Ausubel et al., Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley and Sons, Baltimore, Maryland (1988), updated in 1995 and 1998を参照)。
【0030】
用語「ENDO180」または「ENDO180ポリペプチド」または「ENDO180受容体」は、本明細書中で使用されるとき、ENDO180レセプターと同一または実質的に同一の生物学的機能を有するという条件下において、SEQ ID NO : 2の全長または断片またはドメインに対して好ましくは90%の相同性、より好ましくは95%の相同性、およびさらにより好ましくは98%の相同性を有するENDO180ポリペプチドの任意の相同体として、スプライシングを受けた異なる核酸配列によってコード化された変異体またはポリペプチドとして、他のポリペプチドとのキメラとして定義される。ENDO180ポリペプチド、またはENDO180ポリペプチド相同体は、可溶性タンパク質、膜結合型(精製された膜試料中、もしくは細胞表面上)、ビーズ結合型、またはENDO180タンパク質またはその断片およびそこから誘導されたポリペプチドの任意の他の形態を含む(但しこれらに限定されない)異なる形態において存在していてもよい。
【0031】
前記配列が部分的配列である場合、線維症において修飾された遺伝子の標識およびプローブとして使用してもよい。一般に、指定されたこれらの部分的配列である「発現配列タグ」(EST)は、インビボで実際に発現した遺伝子のための標識である。通常、ESTはnuclear encoded mRNAの一部に対応するDNA配列を含む。ESTはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)ができる長さを有し、かつ遺伝子に対してハイブリダイズする唯一の指定を含むハイブリダイゼーションプローブとして使用される(一般に少なくとも95%の塩基対形成を必要とする十分に厳しい条件下)。混成の調査として使用される。ESTの詳細な説明および概説ならびにそれらの機能的有用性については、参照によってその全体が本明細書中に組み込まれるWO 93/00353に記載されている。さらに、WO 93/00353には、EST配列を使用してどのように転写された遺伝子を同定することができるかについて記載されている。
【0032】
「相互作用因子」とは、本明細書中で使用されるとき、 ENDO180またはENDO180遺伝子ファミリー構成員が、本質的に結合、相互作用、または活性化するのに関与する分子;例えば、ENDO180受容体を発現する細胞の表面上の分子、第2の細胞表面上の分子、細胞膜の内部表面と関連した分子、または細胞質内分子である。相互作用因子は、エンドソーム区画内への放出のために、ENDO180受容体によって細胞外の環境から内部移行したリガンドであってもよい。さらに、相互作用因子は、ENDO180単独または他の成分との複合体の一部としてのENDO180によって活性化されたリガンドであってもよい。相互作用因子は、ENDO180からの細胞外シグナルを細胞膜を通して細胞内へ伝達するのを容易にするシグナル伝達経路の成分であってもよい。相互作用因子は、例えば、ENDO180からのシグナルを下流で仲介する第2の細胞間タンパク質とすることができる。特異的な相互作用因子は、コラーゲンおよびフィブロネクチンであってもよい。
【0033】
用語「化合物」または「修飾因子」は、本明細書中で使用されるとき、任意の小さな化学分子、抗体、中和抗体、アンチセンスDNAまたはRNA分子、siRNA、タンパク質、擬似ペプチドおよびドミナントネガティブを含むポリペプチドおよびペプチド、ならびに発現ベクターを含むものとして定義される。
1つの実施形態において、本発明は、ENDO180と結合、その活性を調節、またはその発現のレベルを調節する候補物質、化合物または 修飾因子をスクリーニングするための検定法を提供する。本発明の化合物は、生物学的ライブラリ(タンパク質、ペプチド、その他)、空間的にアドレス指定可能な並列な固相または溶液相ライブラリ、合成ライブラリ法、および天然物ライブラリを含む、当業者に知られたコンビナトリアルおよび非コンビナトリアルライブラリ法への数多くのアプローチのいずれを使用しても得ることができる。
【0034】
ENDO180発現(転写または翻訳)またはポリペプチド活性の修飾因子は、一般には、2000ダルトン未満、より好ましくは1000ダルトン未満、さらにより好ましくは500ダルトン未満の分子量を有するとりわけ小さな化学分子であってもよい。他の修飾因子は、抗体、好ましくは単鎖抗体を含む中和抗体またはその断片、アンチセンスオリゴヌクレオチド、アンチセンスDNAまたはRNA分子、siRNA、タンパク質、擬似ペプチドおよびドミナントネガティブを含むポリペプチドおよびペプチド、ならびに発現ベクターであってもよい。これらの修飾因子は、以下のように作用し得る:小分子は、発現および/または活性に影響を与え得る; 抗体は、活性に影響を与え得る; 各種のアンチセンスは、ENDO180発現に影響を与え得る; ドミナントネガティブなポリペプチドおよび擬似ペプチドは、活性に影響を与え得る; 発現ベクターは、アンチセンスまたはドミナントネガティブなポリペプチドの送達のためにとりわけ使用され得る。
【0035】
タンパク質と直接結合することができ、かつタンパク質の機能を変えるのに使用することができる小分子を利用するアプローチが、最近開発された(for review see B. R. Stockwell, (2000) Nature Reviews/Genetics, 1,116-125)。上述したように、低分子量の有機化合物は標的細胞の原形質膜を比較的容易に透過することができるので、これらの合成のための方法が開発されてきた。そして、これらの合成は、多くのタンパク質に対するリガンドを含むライブラリを得た。最近の開発は、生物学的系を乱すための強力なツールとして機能するであろう非常に増加した種類の、 創作的に選択された、新規な小さな有機分子をもたらした。このような小分子は、タンパク質ファミリーの特定の一員を活性化または不活性化するのに使用し得る。
【0036】
分子ライブラリの合成のための方法の例を、当該技術、例えば、DeWitt et al. (1993) Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 90: 6909; Erb et al. (1994) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91: 11422;Zuckermann et al. (1994). J. Med. Chem. 37: 2678; Cho et al. (1993) Science 261: 1303; Carrell et al. (1994) Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 33: 2059; Carrell et al. (1994) Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 33: 2061; and in Gallop et al. (1994) J. Med. Chem. 37: 1233 において見出すことができる。
【0037】
本発明の他の側面において、ENDO180タンパク質を、ツーハイブリッドアッセイまたはスリーハイブリッドアッセイにおける「おとりタンパク質」として使用し(例えば、U.S. Pat. No. 5,283, 317; Zervos et al. (1993) Cell 72: 223-232; Madura et al. (1993) J. Biol. Chem. 268: 12046-12054; Bartel et al. (1993) Biotechniques 14: 920-924; Iwabuchi et al. (1993) Oncogene 8: 1693-1696; およびBrent WO 94/10300)、ENDO180と結合または相互作用する他のタンパク質(「ENDO180結合タンパク質」)を同定し、かつENDO180の活性を調節することができる。このようなENDO180結合タンパク質はまた、例えば、ENDO180シグナル経路の上流または下流の成分としてENDO180によるシグナルの増殖に関与している可能性が高い。
【0038】
本発明はさらに、以下の工程を含むヒトENDO180受容体の活性を調節することができる化合物を同定するためのプロセスを提供する:
(i) 化合物の非存在または存在中において、ENDO180受容体と、ENDO180受容体がインビボで特異的に相互作用する相互作用因子との結合を測定する工程と、
(ii) ENDO180受容体と前記相互作用因子との結合が前記化合物によって影響を受けたか否かを決定する工程。
【0039】
本発明によれば、ENDO180受容体は、SEQ ID NO:2に示された連続したアミノ酸の配列を含む。
【0040】
本発明における慢性腎欠損または慢性腎不全は、例えば、腎臓線維症、糸球体硬化症、または糖尿病性腎症を含んでいてもよく、上述したプロセスにおける相互作用因子は、例えば、細胞のコラーゲン、フィブロネクチン増殖、組織の肥大、細胞外成分のエンドサイトーシスであってもよい。
【0041】
本発明はさらに、以下の工程を含むヒトENDO180受容体の活性を調節することができる化合物を同定するためのプロセスを提供する:
(i) ENDO180受容体と、ENDO180受容体がインビボで特異的に相互作用する相互作用因子との結合を測定する工程と、
(ii) ENDO180受容体または相互作用因子を前記化合物と接触させる工程と、
(iii) ENDO180受容体と前記相互作用因子との結合が前記化合物によって影響を受けたか否かを決定する工程。
【0042】
本発明の1つの実施形態において、ENDO180受容体の活性を調節できる化合物を同定する前記プロセスにおける工程(i)の測定値は、ENDO180受容体によって仲介された多機能活性の1つである(例えば、内部移行活性、Ca2+依存的レクチン活性、コラーゲン結合、プラスミノーゲン活性)。さらなる実施形態において、工程(i)の測定は、ENDO180受容体を発現している細胞において行われる。
【0043】
本発明のさらに他の実施形態において、前記プロセスの工程(i)において測定されたパラメーターは、化合物の非存在または存在中における線維芽細胞の付着であり、かつ工程(ii)または工程(iii)のいずれかにおいて、使用されたプロセスに応じて、線維芽細胞の付着が前記化合物によって影響を受けたか否かについて決定する。
【0044】
化合物と接触した細胞は、腎臓線維芽細胞であってもよく、工程(i)で測定された活性は、前記腎臓線維芽細胞の細胞外マトリックスにおけるコラーゲンの堆積であってもよい。化合物と接触した細胞はまた、腎臓尿細管細胞であってもよく、工程(i)で測定された活性は、前記腎臓尿細管細胞の増殖である。
【0045】
化合物と接触している細胞は、ENDO180受容体を自然に発現する細胞、あるいはENDO180遺伝子によって予め一過性的にまたは安定的にトランスフェクトされた細胞であってもよい。さらなる実施形態において、上述のプロセスにおいて使用された細胞は、対照としてENDO180遺伝子の変異の入った不活性形態を有する。
【0046】
本発明は、ヒトENDO180受容体を介して腎症、CRIまたはCRFおよび好ましくは糖尿病性腎症を調節できる、および/または骨粗鬆症または骨関節症を調節できる化合物を同定するためのプロセスをさらに提供する。この化合物は、uPA、uPAR、PLA2R、DEC-205/MR6-gp200およびマンノース受容体からなるウロキナーゼ関連タンパク質または受容体およびマンノース受容体群の1以上のセットの活性を調節するよりも、少なくとも2倍、より好ましくは少なくとも10倍、およびさらにより好ましくは少なくとも100倍効率的にENDO180受容体の活性を調節する。
【0047】
さらに、本発明は、腎臓特異的プロモーター下で本発明によって同定された、ENDO180受容体またはそのドメインをコード化する少なくとも1つの発現可能な遺伝子を運ぶ遺伝子導入動物を提供する。
【0048】
本発明は、治療を必要とする患者の腎症、CRIまたはCRFの治療に使用する薬剤を発見するためのプロセスを提供する。 治療的有効量のこれらの薬剤は、核酸配列によってコードされた、または本明細書中で同定されたアミノ酸配列、あるいは本発明のプローブによって示されたENDO180受容体の活性に影響し、好ましくはこれを増強するであろう。
【0049】
治療を必要とする患者の、線維症、腎症、CRIまたはCRFの治療のための、およびより特異的には糖尿病性腎症、腎線維症および糸球体硬化症の治療のための、あるいは骨粗鬆症または骨関節症の治療のための薬剤の調製において、本明細書中に記載されたプロセスによって同定された化合物を使用することは、本発明の範囲内にある。
【0050】
これらの薬剤は優先して腎線維症の治療に向けられるが、肝臓、肺および心臓のような他の線維性の疾患の治療にも有用であり得ることには留意すべきである。これらの薬剤はまた、再狭窄を治療または防止するために、すなわち、平滑筋細胞の増殖を防止または減少させるために使用され得る。これらの薬剤はまた、内皮細胞の増殖の防止または減少が望まれる癌および他の状態の治療のための抗脈管形成薬剤として使用され得る。これらの薬剤はまた、骨粗鬆症の治療ならびに骨関節症および他の骨疾患の治療のために使用され得る。
【0051】
本発明による任意のスクリーニング検定法は、検定で陽性反応を示す化合物を同定する工程を含むことができ(上述したように)、かつ薬剤として前記化合物を生成するさらなる工程を含むことができる。また、改善された化合物を薬剤に組み込む前に化合物を改善してその所望の活性を増加させる工程を含むことができる。このような化合物を含む薬剤は、本発明の一部であるとみなされる。本発明はさらに、治療を必要とする患者の疾患の治療のための薬剤の調製において、ENDO180遺伝子またはポリペプチドを調節する化合物の使用を提供する。疾患は、線維症、腎症、CRIまたはCRFおよびより具体的には糖尿病性腎症、腎線維症および糸球体硬化症であってもよく、疾患はまた、骨粗鬆症または骨関節症であってもよい。
【0052】
本発明はさらに、以下の工程を含む薬学的組成物を調製するプロセスを提供する:
(i) 上記の任意のプロセスを使用してヒトENDO 180受容体の活性を調節する化合物を同定する工程と;
(ii) 前記化合物を薬剤的に許容可能なキャリアと混合する工程であって、キャリアと混合した化合物が薬学的有効量で存在する工程。
【0053】
さらに、本発明は、治療学的有効量の少なくとも1つのアンチセンス(AS)オリゴヌクレオチドまたは少なくとも1つのsiRNA(ENDO180配列またはENDO180タンパク質に対して作られた核酸配列またはドミナントネガティブなペプチド、あるいはENDO180ポリペプチドに対して作られた抗体に対する)を患者に投与することによって治療を必要とする患者の病理または疾患を制御する方法を提供する。好ましくは、前記病理は、線維症関連の病理、例えば、腎症、CRIまたはCRF、より具体的には糖尿病性腎症、腎線維症および糸球体硬化症であり、また、骨粗鬆症または骨関節症であってもよい。
【0054】
本明細書中で使用される「ネガティブドミナントなペプチド」とは、タンパク質の一部(即ちペプチド)をコードする部分的なcDNA配列をいう(HerskowitzI. (1987) Nature (Review) 329 (6136): 219-222)。このペプチドは、ペプチドから誘導されたタンパク質の機能とは異なる機能をもつことができる。それは、野生型標的タンパク質と相互作用してその活性を阻害することができ、あるいは野生型標的タンパク質に応じて、他のタンパク質と相互作用してその活性を阻害することができる。具体的には、ネガティブドミナントとは、細胞の表現型を調節するための細胞において通常見出される天然タンパク質の活性を阻害するペプチドの能力、すなわち細胞を殺傷に対してより耐性または感受性にする能力をいう。治療学的介入については、薬学的組成物の活性成分としてペプチド自体が送達されるか、あるいはAS送達と同じ方法を使用してcDNAを細胞に送達することができる。
【0055】
修飾因子は、本明細書中で以下に詳述するように、薬学的に許容可能なキャリア内に添加されて送達される。 修飾因子は、アンタゴニスト薬剤または制御活性成分であってもよい。用語「アンタゴニストまたは拮抗性の」は、本明細書中で使用されたとき、最も広い意味において理解される。拮抗作用は、遺伝子活性または遺伝子産物の阻害、不活性化、遮断または減少をもたらす任意のメカニズムまたは処理を含み得る。遺伝子または遺伝子産物の阻害が、遺伝子または遺伝子産物が制御している対応する機能の増加を提供し得ることに留意すべきである。拮抗性の工程は、以下に議論するように、遺伝子産物のための細胞受容体を遮断することを含み、かつASまたはsiRNA処理を含み得る。
【0056】
本発明の化合物(修飾因子)または薬学的組成物は、個々の患者の臨床状態、治療対象の疾患、投与の部位および方法、投与のスケジュール、患者の年齢、性別、体重および医師にとって周知の他の因子を考慮して、良好な医療行為に従って投与および投薬される。
【0057】
薬学的に、ここでの目的のための「有効な量」は、当業者に知られた上記考慮事項によって決定される。その量は、向上した生存率またはより迅速な回復、または症状および当業者によって適切な基準として選ばれた他の指標の改善または除去を含む(但しこれらに限定されない)改善を達成するために効率的でなければならない。本発明の化合物は、任意の従来の投与のルートによって投与され得る。化合物は、化合物または薬学的に許容可能な塩として投与され得、単独または活性成分として薬学的に許容可能なキャリア、溶媒、希釈剤、賦形剤およびビヒクルとの組み合わせで投与され得ることに留意すべきである。化合物は、経口的、皮下的、または 静脈内、動脈内、筋肉内、腹腔内、および鼻腔内投与、ならびに鞘内および輸液技術を含む非経口的に投与され得る。化合物のインプラントもまた有用である。液状形態は、皮下内、経皮内、静脈内、筋肉内、鞘内、および投与の他の親ルートを含む注入のために調製され得る。液体組成物は、有機共溶媒、水性または油性懸濁液、食用油を含むエマルジョン、類似の薬学的ビヒクル含有または非含有の水溶液を含む 。さらに、特定の状況下において、本発明の新規な処理用の組成物は、鼻腔内および同様の投与のために、エアゾールとして形成され得る。治療対象の患者は、温血動物、特にヒトを含む哺乳類である。薬学的に許容可能なキャリア、溶媒、希釈剤、賦形剤、アジュバントおよびビヒクル、ならびにインプラントキャリアは、一般に不活性、無毒性の固体または液体充填剤、希釈剤または本発明の活性成分と反応しない封入物質であり、これらにはリポソームおよび微粒子が含まれる。本発明に有用な送達系の例には、米国特許番号5,225,182; 5,169,383; 5,167,616; 4,959,217; 4,925,678; 4,487,603; 4,486,194; 4,447,233; 4,447,224; 4,439,196;および4,475,196が含まれる。多くの他のインプラント、送達系、およびモジュールは、当業者に周知である。
【0058】
一般には、ヒトのための化合物の活性投与量は、1日当り1回または1日当り2回もしくは3回もしくはそれ以上の回数の処方計画で、1〜2週間またはそれ以上の期間にわたって、好ましくは24〜48時間にわたって、あるいは1〜2週間またはそれ以上の期間中に連続的輸液によって、1日当り1ng/kgから20〜100mg/kg体重、好ましくは1日当り約0.01mgから約2〜10mg/kg体重の範囲内である。
【0059】
多くの総説が、AS技術およびその莫大な治療学的可能性の主な側面をカバーしている(Anazodo et al. (1995) Gene 166 (2): 227-232)。この急速に開発されている技術の化学的側面(Crooke ST (1995) Hematol Pathol. (Review) 9 (2): 59-72; Uhlmann et al. (2000) Methods Enzymol. 313: 268-284.)、細胞学的側面(Wagner RW (1994) Nature (Review) 372 (6504): 333-335)、および治療学的側面(Hanania et al. (1995) Am J Med. (Review) 99 (5): 537-552; Scanlon et al. (1995) FASEB J. (Review) 9 (13): 1288-1296; Gewirtz AM (1993) Leuk Lymphoma. 1993; 11 Supply : 131-137)についての総説がある。
【0060】
RNA干渉(siRNAまたはRNAi)技術はまた、本発明の方法において使用され得る。「サイレンスRNA」(siRNA)とは、その内在性または細胞性相補鎖の遺伝子/mRNAの発現を減少または沈黙させる(防止する)RNA分子を意味する。前記用語は、「RNA干渉」(RNAi)および「二本鎖RNA」(dsRNA)を包含するものと理解される。これらの用語と提唱されたメカニズムの最近の情報については、Bernstein E., Denli AM. ,Halmon GJ: The rest issilence. RNA. 2001 Nov; 7(11) : 1509-21; Nishikura K.: Ashortprimer on RNAi : RNA-directed RNA polymerase acts as a key catalyst. Cell. 2001 Nov 16; 107 (4): 415-8; and PCT publication WO 01/36646 (Glover et al)を参照されたい。
【0061】
哺乳類細胞へのsiRNAの増強および改善された送達を具体的に目標とした送達系が開発された。例えば、Shen et al (FEBS letters 539: 111-114 (2003) ), Xia et al., Nature Biotechnology 20: 1006-1010 (2002), Reich et al., Molecular Vision 9: 210-216 (2003), Sorensen et al. (J. Mol. Biol. 327: 761-766 (2003), Lewis et al., Nature Genetics 32: 107-108 (2002) およびSimeoni et al., Nuclaic Acids Research 31,11 : 2717-2724 (2003)を参照されたい。最近、siRNAは、霊長類における阻害のためにうまく使用された;さらなる詳細については、Tolentino et al., Retina 24(1) February 2004 pp 132-138を参照されたい。
【0062】
ヌクレオチドの修飾体または類似体は、ヌクレオチドの治療学的性質を向上させるために導入され得る。向上した性質には、増強されたヌクレアーゼ耐性および/または増強された細胞膜を浸透する能力が含まれる。
【0063】
これに応じて、本発明はまた、ポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドの機能に実質的に影響を与えない本発明のポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドの全ての類似体または修飾体を含む。ヌクレオチドは、天然に存在するまたは合成的に修飾された塩基から選択され得る。天然に存在する塩基は、アデニン、グアニン、シトシン、チミンおよびウラシルを含む。オリゴヌクレオチドの修飾された塩基は、キサンチン、ヒポキサンチン、2-アミノアデニン、6-メチル-、2-プロピル-、および他のアルキル-アデニン、5-ハロウラシル、5-ハロシトシン、6-アザチミン、擬似ウラシル、4-チウラシル、8-ハロアデニン、8-アミノアデニン、8-チオールアデニン、8-チオールアルキルアデニン、8-ヒドロキシアデニンおよび他の8-置換アデニン、8-ハログアニン、8-アミノグアニン、8-チオールグアニン、8-チオアルキルグアニン、8-ヒドロキシルグアニンおよび他の置換グアニン、他のアザおよびジアザアデニン、他のアザおよびジアザグアニン、5-トリフルオロメチルウラシル、および5-トリフルオロシトシンを含む。
【0064】
さらに、その構造が基本的変化を受け、かつ治療的または実験的試薬としてより適しているヌクレオチドの類似体が調製され得る。ヌクレオチド類似体の例は、DNA(またはRNA)中のリン酸デオキシリボース(またはリボース)バックボーンが、ペプチド中に見出されるバックボーンと同様のポリアミドバックボーンに置換されたペプチド核酸(PNA)である。PNA類似体は、 酵素による分解に対して耐性であり、かつインビボおよびインビトロでの寿命が延びることが示された。さらに、PNAは、DNA分子よりも相補的DNA配列に強く結合することが示された。この観察は、PNA鎖とDNA鎖との間の電荷反発の欠如に起因する。オリゴヌクレオチドに対して調製され得る他の修飾形態は、ポリマーバックボーン、環式バックボーン、または非環式バックボーンを含む。
【0065】
薬学的組成物の活性成分は、本発明の実行のために必要とされる、ヌクレアーゼ耐性であるオリゴヌクレオチド、または適切な配列および/またはリボザイムに対して狙われた同じ効果を示すその断片を含み得る。AS配列の組み合わせを含む、本発明中に開示された活性成分の組み合わせを使用し得る。
【0066】
本発明のASオリゴヌクレオチド、リボザイム、siRNAおよびcDNAは、リボヌクレオチドまたはデオキシリボヌクレオチドについての技術において周知な任意の方法によって合成され得る。例えば、商業的なポリヌクレオチド合成装置(例えば、Applied Biosystems 380B DNA synthesizer) を使用し得る。断片を使用するとき、本発明において使用するために、2以上の配列を合成して互いに連結させることができる。
【0067】
本発明のヌクレオチド配列は、直接的またはウィルスもしくは非ウィルスベクターを介して送達され得る。直接的に送達されるとき、一般には、前記配列はヌクレアーゼ耐性を与えられる。代わりに、本明細書中で以下に議論されるように、発現カセットまたは前記配列が細胞中において発現されるような構造物中に前記配列を組み込むことができる。 一般には、前記構造物は、前記配列を標的細胞中で発現させることができる適切な制御配列またはプロモーターを含む。
【0068】
本発明の1つの実施形態において、ENDO180の翻訳領域に連結されたプロモーターは、腎臓中で特異的に発現することが知られている、KSPプロモーターである。
【0069】
本発明のポリペプチドは組換え的に生産され得(一般にはMarshak et al.,1996 "Strategies for Protein Purification and Characterization. A laboratory course manual. " Plainview, N. Y.: Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1996を参照)、 その類似体は翻訳後処理によって生産され得る。グリコシル化の差異は、ポリペプチドの類似体を提供し得る。
【0070】
用語「ポリペプチド」とは、本明細書中で使用されるとき、ポリペプチドに加えて 、ペプチドおよび完全なタンパク質をいう 。「生物学的機能」とは、本明細書中で使用されるとき、分子の生物学的性質をいい、この文脈においては、天然に存在するポリペプチドまたは核酸分子によって直接的または間接的に行われるインビボエフェクターまたは抗原機能または活性を意味する。生物学的機能には、受容体結合、任意の酵素活性または酵素調節活性、任意の担体結合活性、任意のホルモン活性、分子の内部移行もしくは1つの区画から他の区画への移行のための任意の活性、細胞外マトリックスもしくは細胞表面分子に対する細胞の付着を促進もしくは阻害する任意の活性、または任意の構造的役割、ならびに機能性タンパク質をコードする核酸配列を有すること、およびそれが発現可能であることが含まれるがこれらに限定されない。抗原機能とは、主として 天然に存在するタンパク質に対して生じる抗体と交差反応することことができるエピトープまたは抗原部位の保有を意味する。生物学的に活性な類似体は、さらに抗原機能を保有し得る(但し保有しなくてもよい)天然ポリペプチドのエフェクター機能を共有する。
【0071】
この応用はまた、患者の疾患、例えば線維症、腎症、CRF、CRIおよび、好ましくは糖尿病性腎症または腎線維症、または骨粗鬆症または骨関節症を診断する方法に向けられる。当該方法は、ENDO180受容体ポリペプチドのレベルを患者からのサンプル中で決定することを含み、疾患のない患者のレベルと比較してより高いポリペプチドのレベルが疾患を表わす。好ましい実施形態において、ENDO180受容体は、SEQ ID NO : 2に示された連続的なアミノ酸の配列を含む。
【0072】
診断では、サンプルは体液または組織、好ましくは腎組織から取り出され得る;体液は、血液、リンパ体液、腹水、漿液、胸膜滲出液、痰、脳脊髄液、涙液、滑液、唾液、便、精子、および尿からなる液体の群から選択され、好ましくは血液または尿から選択される。
【0073】
ENDO180ポリペプチドのレベルの測定は、免疫組織化学、ウェスタンブロット法、ELISA、抗体マイクロアレイハイブリッド形成法および標的分子イメージングからなる群から選択された方法によって決定され得る。前記方法は、当該技術において周知であり、特に、例えば免疫組織化学については:M. A. Hayat (2002) Microscopy, Immunohistochemistry and Antigen Retrieval Methods: For Light and Electron Microscopy,Kluwer Academic Publishers; Brown C(1998) : "Antigen retrieval methods for immunohistochemistry", Toxicol Pathol ; 26 (6): 830-1); ウェスタンブロット法については: Laemmeli UK (1970):"Cleavage of structural proteins during the assembley of the head of abacteriophage T4", Nature ; 227: 680-685; and Egger & Bienz (1994) "Protein (western) blotting", MolBiotecAmol ; 1 (3):289-305) ; ELISAについては: Onorato et al.(1998)"Immunohistochemical and ELISA assays for biomarkers of oxidative stress in aging and disease", AnnNYAcad Sci 20; 854: 277- 90); 抗体マイクロアレイハイブリッド形成法については: Huang (2001) "Detection of multiple proteins in an antibody-based protein microarray system, Immunol Methods 1 ; 255 (1-2): 1-13); および標的分子イメージングについては: Thomas (2001). Targeted Molecular Imaging in Oncology, Kim et al (Eds). , Springer Verlag.
ENDO180ポリヌクレオチドのレベルの測定は、RT-PCR分析、in-situハイブリッド形成法、ポリヌクレオチドマイクロアレイおよびノーザンブロット法から選択された方法によって決定され得る。前期方法は、当該技術において周知であり、特に、例えばin-situハイブリッド形成法については Andreeff & Pinkel (Editors) (1999), "Introduction to Fluorescence In Situ Hybridization: Principles and Clinical Applications", John Wiley & Sons Inc.; およびノーザンブロット法については Trayhurn (1996) "Northern blotting", Proc Nutr Soc ; 55(1B) : 583-9 andShifman & Stein (1995) "A reliable and sensitive method for non-radioactive Northern blot analysis of nerve growth factor mRNA from brain tissues", Journal of Neuroscience Methods ; 59: 205-208.
本発明はまた、以下の工程を含む多数の化合物をスクリーニングすることによってヒトENDO180受容体の活性を調節することができる化合物を同定するためのプロセスに向けられる:
(i) 多数の化合物の非存在または存在中において、ENDO180受容体と、ENDO180受容体がインビボで特異的に相互作用する相互作用因子との結合を測定する工程と、
(ii) ENDO180受容体と前記相互作用因子との結合が、多数の化合物の存在によって影響を受けたか否かを決定する工程と、
(iii) 多数の化合物中に存在する1以上の化合物が、ヒトENDO180受容体の結合を調節することを別々に決定する工程。
【0074】
上記議論は、CRF、CRIおよび腎症関連遺伝子を同定する本発明の配列の使用のための事実上の基礎を提供し、かつ診断プローブを提供する。使用された方法および本発明の有用性については、以下の制限のない例によって実証する。
【方法】
【0075】
分子生物学における一般的方法
当業者に知られかつ特異的に記述されていない標準的な分子生物学的技術は、一般的にはSambrook et al., Molecular Cloning : A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, New York (1989), および Ausubel et al., Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley and Sons, Baltimore, Maryland (1989) および Perbal, A Practical Guide to Molecular Cloning, John Wiley & Sons, New York(1988), および Watson et al., Recombinant DNA, Scientific American Books, New York および Birren et al (eds) Genome Analysis : A Laboratory Manual Series, Vols. 1-4 Cold Spring Harbor Laboratory Press, New York (1998)、ならびに米国特許4,666,828; 4,683,202; 4,801,531; 5,192,659および5,272,057に示した方法論に従う。これらの文献は参照によって本明細書中に組み込まれる。ポリメラーゼ連鎖反応法(PCR)は、一般的にはPCRプロトコル:A Guide To Methods And Applications, Academic Press, San Diego, CA (1990)に従って行われた。フローサイトメトリーと組み合わせたIn situ(細胞内)PCRは、特異的DNAおよびmRNA配列を含む細胞の検出のために使用し得る(Testoni et al., 1996, Blood 87 :3822.)。
【0076】
免疫学における一般的方法
当業者に知られかつ特異的に記述されていない免疫学についての標準的な方法は、一般的にはStites et al (eds), Basic and Clinical Immunology (8th Edition), Appleton & Lange, Norwalk, CT (1994) and Mishell and Shiigi (eds), Selected Methods in Cellular Immunology, W. H. Freeman and Co. , New York (1980)に従う。
【0077】
免疫測定法
一般的に適切なELISAとは、試料を検定するのに使用される免疫測定法の一種である。ELISA検定法は当業者にとって周知である。ポリクローナルおよびモノクローナル抗体の両方を当該検定において使用し得る。適切な他の免疫測定法、例えば、当業者にとって周知である放射線免疫測定法(RIA)を使用し得る。利用可能な免疫測定法は、特許文献および科学文献において広く記載されている。例えば、米国特許3,791,932; 3,839,153; 3,850,752; 3,850,578; 3,853,987; 3,867,517; 3,879,262; 3,901,654; 3,935,074; 3,984,533; 3,996,345; 4,034,074; 4,098,876; 4,879,219; 5,011,771 および 5,281,521 ならびにSambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Springs Harbor, New York, 1989.を参照されたい。
【0078】
抗体生産
本発明において使用される用語「抗体」とは、抗原決定基と結合できる完全なポリクローナルおよびモノクローナル抗体、ならびにその断片、例えばFab、F(ab')2、およびFvを意味する。これらの抗体断片は、その抗原または受容体と選択的に結合する能力を維持し、かつ特に以下のように例証される。
【0079】
(1)Fab 抗体分子の一価の抗原結合断片を含むFabの断片は、軽鎖および重鎖の一部を得るための酵素パパインでの抗体全体の消化によって生み出され得る。
【0080】
(2)(Fab')2 後続の還元のない酵素ペプシンで抗体全体を処理することによって得られうる抗体の断片;F(ab'2)は、2つのジスルフィド結合によって結合した2つのFab断片の二量体である。
【0081】
(3)Fv 2つの鎖として発現した、軽鎖の可変領域と重鎖の可変領域とを含む遺伝的に加工された断片として定義される。
【0082】
(4)単鎖抗体(SCA) 適切なポリペプチドリンカーによって遺伝的に融合した単鎖分子として連結された、軽鎖の可変領域と重鎖の可変領域とを含む遺伝的に加工された分子として定義される。
【0083】
抗体の機能的活性を有する前記断片は、当業者に知られた方法によって調製され得る(Bird et al. (1988) Science 242: 423-426)。
【0084】
好都合なことに、抗体は、免疫原またはその部分に対して調製され得、例えば、前記配列に基づいた合成ペプチド、またはクローニング技術によって調製された組換え体または天然遺伝子産物および/またはその部分が、単離されて免疫原として使用され得る。一般的にはHarlow and Lane(1988), Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, NY, and Borrebaeck (1992), Antibody Engineering-A Practical Guide, W. H. Freeman and Co., NY.に記載されているように、免疫原が、標準的な抗体生成技術によって抗体を生成するために使用され得る。
【0085】
ポリクローナル抗体を生成するために、ウサギやヤギのような宿主が、免疫原または免疫原の断片(一般にはアジュバントを含み、かつ必要であればキャリアと結合させて)で免疫され、免疫原に対する抗体が血清から集められる。さらに、ポリクローナル抗体は、それが単一特異的になるように吸収させることができる、すなわち、交差反応抗体が血清中に残らないように血清を関連した免疫原に対して吸収させ、単一特異的なポリクローナル抗体を与えることができる。
【0086】
モノクローナル抗体を生成するために、前記技術は、免疫原を含む適切なドナー(一般的にはマウス)の過免疫を含み、かつ脾臓の抗体産生細胞の単離を含む。これらの細胞は、不死細胞、例えばミエローマ細胞と融合し、不死の融合ハイブリッド細胞を提供し、必要な抗体を分泌する。その後、細胞を大量に培養し、モノクローナル抗体が細胞培養液から収集される。
【0087】
組換え抗体を生成するために、一般的にはHuston et al. (1991) "Protein engineering of single-chain Fv analogs and fusion proteins"in Methods in Enzymology (JJ Langone, ed., Academic Press, New York, NY) 203: 46-88; Johnson and Bird (1991) "Construction of single- chain Fvb derivatives of monoclonal antibodies and their production inEschericlaia coli in Methods in Enzymology (JJ Langone, ed.; Academic Press, New York, NY) 203: 88-99;Mernaugh and Mernaugh (1995) "An overview of phage-displayed recombinant antibodies"in Molecular Methods In Plant Pathology (RP Singh and US Singh, eds.; CRC Press Inc., Boca Raton, FL: 359-365)を参照されたい。さらに、動物の抗体生成Bリンパ球またはハイブリドーマからのmRNAは、相補的DNA(cDNA)を得るために逆転写され得る。抗体cDNAは完全または部分的長さであり得、ファージまたはプラスミド内で増幅およびクローン化される。cDNAは、リンカーによって分離または結合された重鎖および軽鎖cDNAの部分的長さであり得る。抗体または抗体の断片は、組換え抗体を得るための適切な発現系を使用して発現される。抗体cDNAはまた、適切な発現ライブラリをスクリーニングすることによって得られうる。
【0088】
抗体は固体支持基板に結合され得、あるいは検出可能な基と接合され得、あるいは当該技術において周知であるものと結合および接合され得る(For a general discussion of conjugation of fluorescent or enzymatic moieties see Johnstone & Thorpe(1982.), Immunochemistry in Practice, Blackwell Scientific Publications, Oxford)。固体支持基板に対する抗体の結合はまた、当該技術において周知である(for a general discussion, see Harlow & Lane (1988) Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Publications, New York; and Borrebaeck (1992), Antibody Engineering-A Practical Guide, W. H. Freeman and Co.)。本発明で考慮される検出可能な基は、蛍光性、金属性、酵素性および放射性標識、例えばビオチン、金、フェリチン、アルカリホスファターゼ、β‐ガラクトシダーゼ、ペルオキシダーゼ、ウレアーゼ、フルオレセイン、ローダミン、トリチウム、14Cおよびヨウ素化を含むことができるがこれらに限定されない。
【0089】
組換え型タンパク質の精製
標準的な精製について、Marshak et al. (1996), "Strategies for Protein Purification and Characterization. A laboratory course manual." CSHL Press.を参照されたい。
【0090】
トランスジェニックおよびノックアウト方法
本発明は、トランスジェニック遺伝子および多型遺伝子動物および細胞(細胞株)モデル、ならびにノックアウトモデルを提供する。これらのモデルは、当該技術において標準的な方法と以下の文献に示された方法を使用して構築される:米国特許番号5,487,992; 5,464,764; 5,387,742; 5,360,735; 5,347,075; 5,298,422; 5,288,846; 5,221,778; 5,175,385; 5,175,384; 5,175,383; 4,736,866; ならびにBurke and Olson (1991) "Preparation of Clone Libraries in Yeast Artificial-Chromosome Vectors"in Methods in Enzymology, 194, "Guide to Yeast Genetics and Molecular Biology", eds. C. Guthrie and G. Fink, Academic Press, Inc., Chap. 17: 251-270; Capecchi (1989) "Altering the genome by homologous recombination", Science, 244: 1288-1292; Davies et al. (1992) "Targeted alterations in yeast artificial chromosomes for inter-species gene transfer", Nucleic Acids Research, 20(11) :2693-2698; Dickinson et al. (1993) "High frequency gene targeting using insertional vectors", Human Molecular Genetics, 2 (8): 1299-1302; Duff and Lincoln (1995) "Insertion of a pathogenic mutation into a yeast artificial chromosome containing the human APP gene and expres
sion in ES cells", Research Advances in Alzheimer's Disease and Related Disorders Khalid Iqbal (Editor), James A. Mortimer (Editor), Bengt Winblad (Editor), Henry M. Wisniewski (Editor); Huxley et al. (1991) "The human HPRT gene on a yeast artificial chromosome is functional when transferred to mouse cells by cell fusion", Genomics, 9: 742-750; Jakobovits et al. (1993) "Germ-line transmission and expression of a human-derived yeast artificial chromosome", Nature, 362: 255-261; Lamb et al. (1993) "Introduction and expression of the 400 kilobase precursoramyloid protein gene in transgenic mice", Nature Genetics, 5: 22-29; Pearson and Choi (1993) Expression of the human b-amyloid precursor protein gene from a yeast artificial chromosome in transgenic mice. Proc. Natl. Acad. Sci. (USA), 90: 10578-10582; Rothstein,(1991)"Targeting, disruption, replacement, and allele rescue: integrative DNA transformation in yeast"in Methods in Enzymology, 194, "Guide to Yeast Genetics and Molecular Biology", eds. C. Guthrie and G. Fink, Academic Press,Inc., NY, Chap. 19: 281-301; Schedl et al. (1993) "A yeast artificial chromosome covering the tyrosinase gene confers copy number-dependent expression in transgenic mice", Nature, 362: 258-261; Strauss et al. (1993) "Germ line transmission of a yeast artificial chromosome spanning the murine a1(I) collagen locus", Science, 259: 1904-1907. さらに、PCT特許出願WO 94/23049, WO 93/14200, WO 94/06908, WO94/28123がまた情報を提供する。
【例】
【0091】
例1
マイクロアレイハイブリッド形成法の研究によるENDO180過剰発現の同定
本発明に従って、糖尿病性腎症と腎線維症とで差異的に制御される遺伝子を発見するために、マイクロアレイハイブリッド形成手法を使用した。
【0092】
遺伝子発現のマイクロアレイに基づいた分析は、線維症の特徴である細胞外コラーゲンの蓄積と増殖の変化をもたらす選択された刺激にさらされたヒト線維芽細胞の分析に基づいた。本発明によれば、特異的な「線維症」DNAチップを最初に調製し、19の異なる種類のプローブでマイクロアレイハイブリッド形成実験を行った。結果の分析を専用のアルゴリズムによって行い、選択された遺伝子セットの分析が、生命情報科学および科学文献を使用しながら発明者によって行われた。
【0093】
特異的な「線維症」DNAチップの調製
専用のヒト「線維症」DNAチップを、譲受人のSDGI方法によって、成長を抑止されたヒト線維芽細胞から調製した(PCT Application Publication No. WO 01/75180)。成長抑止は、以下の表1に示された処理によって課せられた。
【表1】

【0094】
他に指示がなければ、全てのヒト線維芽細胞(HFs)を処理前に15回継代した。全ての処理されたHFsからのRNAを、譲受人専用のSDGI方法によるライブラリの調製のために調製、貯留および使用した。このチップはまた、アポトーシス、細胞毒性、および複製細胞老化の一部を担うことが知られている遺伝子をコードするヒトESTを含む。
【0095】
線維芽細胞の培養
正常なヒト胎児の肺線維芽細胞(WI-38, Coriell Cell Repositories)を培養し、不活性化された10%のウシ胎児血清(FBS)、2mMのL-グルタミン、100U/mlペニシリン、100pg/mlのストレプトマイシンで補充されたDMEM中で二次培養した。線維芽細胞を、組織フラスコ中でコンフルエントになるまで増殖させ、5%CO2の大気中37℃でトリプシン処理(Ca2+およびMg2+を含まないハンクス溶液中の0.5%トリプシン-EDTA)した後に二次培養した。2mlのトリプシンを各々のフラスコに加え、5分間インキュベートした;次に、培養液を遠心分離し(5分、1000rpm)、新鮮培地をペレットに加えた。分割条件は1:4〜1:6とした。
【0096】
線維性疾患の特徴は線維芽細胞の増殖および/または細胞外マトリックス成分(主にコラーゲン)の増強された合成であるので、異なる処理措置は使用して、インビトロ培養された処理線維芽細胞による増殖およびコラーゲン合成の両方の割合を調べた。
【0097】
線維芽細胞の増殖検定
サブコンフルエントな線維芽細胞の増殖率を、ニュートラルレッド(BioRad)での染色によって評価した。線維芽細胞を、96ウェルプレート(6×103/ウェル)において、200μlの補充DMEM/10%FBS中に播種した。終夜培養後、補充DMEM/2%FBSでウェルを2回洗浄した。その後、TGF-β(2〜20 ng/ml)または100mM濃度のデフェロキサミンメシレート(化学的低酸素の条件を導くDFO)を、16時間、24時間、72時間、または5日間にわたって200μlの補充DMEM/2%FBS中に添加した。
【0098】
グルコース処理の場合、終夜培養後、細胞含有ウェルを、グルコースフリーの補充DMEM/2%FBSで2回洗浄した。グルコースの実施濃度(5.5mM、15mM、27.5mM、または55mM)は、グルコース/2%FBSを含まない補充DMEM中にストック溶液(110mM)を溶解させることによって調製した。グルコースの調製溶液を、24時間または72時間にわたって線維芽細胞培養物に加えた。
【0099】
培養終了後、細胞を100μlの1%ニュートラルレッドで2時間にわたって染色した。冷却PBSで洗浄した後、線維芽細胞の単層を、200μlのエタノール‐ソレンセンバッファー溶液(1:1)で10分間にわたって固定した。光学密度を、自動分光光度計(λ=540 nm)で測定した。
【0100】
コラーゲンの生産検定
コンフルエントな線維芽細胞単層によるコラーゲンの生産を、膠原性タンパク質への[3H]-プロリンの組み込みによって評価した。線維芽細胞を、24ウェル組織培養プレート(2×104/ウェル)中に播種し、1mlの補充DMEM/10%FBS中でコンフルエントになるまで培養した。
【0101】
コンフルエントな線維芽細胞培養物を、24時間または48時間にわたって調製溶液とインキュベートした。その後、[3H]-プロリン(10μCi/ウェル)を添加し、培養物をさらに24時間にわたってインキュベートした。インキュベーション終わりに培養液を移動し、コラゲナーゼの存在または非存在下で18時間にわたってインキュベートし、続いて50%および10% TCAで沈殿させた。コラーゲンの生産量を、コラゲナーゼ無しでインキュベートされたサンプル中の全[3H]プロリン含有タンパク質と、コラゲナーゼ消化後に残された前記タンパク質との差として決定した。各ウェル中の細胞の数を測定するために、線維芽細胞を、実験の最終日にトリプシン処理によって剥離し、血球計でカウントした。
【0102】
マイクロアレイハイブリッド形成法のためのプローブを、これらの処理を施した線維芽細胞から得た。本発明によれば、糖尿病性腎症発症に関連する処理が使用された。 例えば、グルコース欠乏または低酸素(線維性腎臓で発現する乏血性状態をモデリング)、高グルコース(糖尿病性高血糖をモデリング)、およびTGF-β誘導(成長因子およびサイトカイン不均衡によって特徴づけられる 線維性状態をモデリング)。
より具体的には、ヒト線維芽細胞を以下のように処理した:
1. 24〜72時間にわたる、4つの異なる濃度(5.5、15、27.5、または55mM)のグルコース。
【0103】
2. 24〜72時間にわたる、2〜20ng/mlの TGF-β。
【0104】
3. 24、48および72時間にわたる、5%FCS、50μg/mlのβ-アミノプロプリオニトリルおよび50μg/mlアスコルビン酸を含む0.5mlのDMEM(修飾DMEM)中に溶解された、100mMの濃度のDFOデフェロキサミン。
【0105】
これらの培養された線維芽細胞の増殖率の分析は、グルコースフリー培地および55mMグルコースにおける24時間にわたる線維芽細胞の培養が、対照培養物と比較して、それぞれ20%および30%それらの増殖率を低下させたことを示した。異なる濃度(5.5mMから27.5mMまで)のグルコースの追加は、対照と比較して実質的には線維芽細胞の増殖に影響を与えなかった。線維芽細胞の増殖の顕著な減少は、DFOの添加後に観察された(16時間インキュベーション後の20%減少から処理5日後の80%減少まで)。2および20ng/mlの濃度で添加したTGF-βは、24時間処理後に〜60%までの線維芽細胞増殖率の増加を導いた。
【0106】
コラーゲン合成率に関しては、全ての処理(55mMグルコースを除く)は、線維芽細胞によるコラーゲンの生産を増加させた。最も著しい効果は、2〜20ng/ml濃度のTGF-βの添加後に観察され、110〜180%までコラーゲンの生産を増強した。
次の工程において、これらの治療された線維芽細胞からのRNAを抽出し、マイクロアレイハイブリッド形成用のプローブの調製のために使用した。ハイブリッド形成のスキームを以下に示す:
【表2】

【0107】
プローブ1は、全てのハイブリッド形成実験において同一とし、未処理のヒト線維芽細胞から抽出されたRNAで生成した(継代15回)。このプローブは、異なるハイブリッド形成実験から得られた結果の比較を可能にする生物学的対照および共通の正規化プローブの両方としての役目を果たした。
【0108】
本発明によれば、全部で19のハイブリッド形成実験を行った。2つのハイブリッド形成実験(FG1およびFG19)では、共通の正規化プローブ(全てのハイブリッド形成実験におけるプローブ1)をそれ自体に対してハイブリッドした(すなわち、プローブ1はプローブ2と同一であった)。一般的には、これらのハイブリッド形成実験は、ラベル品質を決定し、かつチップ上にプリントされた大部分のcDNAクローンを検出するための共通の規格化プローブの能力を評価するために行われた。
【0109】
遺伝子発現結果の生命情報科学的な分析
マイクロアレイハイブリッド形成結果の譲受人の専用の統計学的分析は、遺伝子発現の変化が異なる生理的および病理学的状態と相関関係を有し、かつ多くの場合それらの基礎をなすという仮定に基づいている。従って、与えられた実験の設定において、特定の処理措置/条件は、特定の遺伝子発現の側面と関係している。さらに、発明者は、病理学的条件/生理学的処理の中に 幾つかの階層が存在する、すなわち幾つかは他のものよりも類似していることを仮定した。このような分析の最終的な目的は、その側面の一部を表わす各々の条件の大きな枠内で、遺伝子発現パターンの比較によって複合的な生物学的現象の基礎をなしている特異的および一般的機構の両方を明らかにすることである。より具体的には、本発明に従って得られたハイブリッド形成結果のセットにおいて、発明者は、遺伝子の群を観察して、糖尿病性腎症(低酸素、高グルコース、TGF-β)に関連した異なるタイプの条件でその遺伝子発現が共通であるかまたは独特であるか、およびその適用された処理に対する応答が急性であるかまたは慢性であるかを予測した。
【0110】
ハイブリッド形成分析の結果
本発明によれば、インビトロで異なる処理を施されたヒト線維芽細胞において、46の遺伝子のセットを同定し、その活性が様々な種類の適用された処理によって著しく上方制御された。
【0111】
同定された遺伝子産物は、9つの異なった官能基に分類された:
1. 細胞外マトリックスタンパク質および細胞外マトリックスタンパク質に対する受容体;
2. 分泌性成長因子相互作用タンパク質および潜在的成長因子受容体;
3. シグナル伝達適合タンパク質;
4. 細胞骨格タンパク質(大部分はアクチン細胞骨格機能に関する);
5. Ca2+結合タンパク質;
6. ER-常在性タンパク質;
7. 核内移行媒体;
8. RNAおよびタンパク質合成およびプロセッシングに関係したタンパク質;
9. 新規な遺伝子;
同定された46の上方制御された遺伝子を、以下のように分類した:
(a) 11は、線維症への関与が認められた既知の機能をもつ既知の遺伝子であった(III型およびI型(α1およびα2)コラーゲン、フィブロネクチン、デコリン、β-ig-h3、インテグリン、TEST3、CD44、平滑筋アクチンおよびArp2/3(Arc34);
(b) 28は、線維症との関与が以前には知られていなかった既知の機能をもつ既知の遺伝子であった。本発明の対象であるENDO180はこの分類に属する;
(c) 2は、線維症との関与が知られていない、未知の機能をもつタンパク質をコードする遺伝子であった。および;
(d) 5は、新規な遺伝子であった。
【0112】
マイクロアレイハイブリッド形成技術を使用して、ENDO180の発現が、少なくとも3フォールドまでのヒト線維芽細胞のTGF-β処理によって誘導されたことが解かった。
【0113】
例2
トランスジェニックマウスのための腎臓特異的プロモーターの構築
尿細管特異的(上皮細胞特異的)であることが知られているKSP-カドヘリン遺伝子プロモーター(3593bp)を、lacZを含むpMCSZベクター中にクローン化した。
【0114】
腎臓特異的カドヘリンプロモーターによって制御されたlacZレポーター遺伝子の遺伝子組み換え発現を、一過性のトランスジェニックマウス胚で評価した。1から9のE18.5胚および2から8のE15.5胚は、腎臓中で特定の発現パターンを示した(E15.5腎臓中の発現は非常に弱かった)。発現は後腎中央の髄質領域に向かって位置した(ホールマウントな染色)。
【0115】
E18.5胚のホールマウントに染色された腎臓の部分の分析は、その位置および特徴的枝分れによれば集合尿細管にみえる、管状上皮細胞中の導入遺伝子の発現を明らかにした。発現はまた、尿管(urether)全体を通して明らかであった。集合尿細管は枝分れ尿管芽から発達し、発症の段階で、大多数の集合尿細管系は後腎の髄質領域に含まれる。発現は、被膜下腎形成領域では観察されなかった。
【0116】
これらの結果は、Igarashi et al. 1999 (Am. J. Physiol. 277 (4 pt 2)によって記載されたものと関連がある。ドリコース ビフロルス アグルチニン(集合尿細管および尿管芽を特異的に標識するレクチン)でlacZ発現細胞を共同標識することによって、彼らはlacZ発現細胞を上皮尿細管細胞として同定した。彼らはまた、導入遺伝子の発現が妊娠期間中に増加し(我々の発見に類似する)、成体の腎臓において高いままである(これまでに確認されいない)ことを報告した。
【0117】
結論として、我々は、KSP-Cadherinプロモーターが、腎臓上皮細胞発現のための特異的プロモーターであることを見出した。
【0118】
例3
マウス腎臓中のENDO180活性のインビボ確認のための、ENDO180のフィブロネクチン(FN)ドメインを発現するトランスジェニックマウスの構築
マウスマンノース受容体の部分105〜787からの682塩基対のDNA断片であるENDO180(gi. 6678933)を、マウスDNAから切り出した;この断片はフィブロネクチン(FN)ドメインである。β-アクチンのコザック配列を5’末端に加え、3’末端にフラグタグ配列を加えた。
【0119】
前記遺伝子をKSPプロモーターを含むプラスミドにクローン化し、5.3Kb Asc1断片を切り出して精製し、マウス卵に注入した(図4を参照)。
【0120】
生まれた42匹の子供から、9匹がENDO180遺伝子を保有することがわかった。これらの系統由来のRNAを、RNAおよびタンパク質分析の両方によって腎臓中の発現について分析した。
【0121】
導入遺伝子の発現は、増殖のために選択された系統数4において検証した。派生的マウスを、UUO実験の後またはエージングによってに線維症発症の評価のために使用した。
【0122】
例4
形態学、免疫染色およびin situハイブリッド形成法による腎線維症のためのインビボモデルの評価
形態学
一般的な形態を評価するために、パラフィン腎臓切片をヘマトキシリンエオシン(HE)によって染色した。その断片におけるコラーゲンを明らかにするためにシリウスレッド(SR)染色液を使用した。
【0123】
免疫染色
間質性筋線維芽細胞の蓄積は、腎臓線維症プロセスの発症における重要な初期工程としてみなされる。筋線維芽細胞を明らかにするために、α-平滑筋アクチン(クローン1A4)に対して特異的なモノクローナル抗体を、腎臓パラフィン切片のペルオキシダーゼ-抗ペルオキシダーゼ(PAP)免疫染色のために使用した。モノクローナル抗体PC-10を、増殖細胞核抗原(PCNA)の免疫染色のために使用した。十分なPCNA免疫染色を達成するために、脱パラフィン化された切片に、PAP染色を行う前に抗原修復処置を施した。
【0124】
In situ ハイブリッド形成
35S−ラベル付きリボプローブを合成し、標準的プロトコルに従って腎臓パラフィン切片にハイブリダイズさせた。ハイブリッド形成後の洗浄工程の後、切片を空気乾燥し、スライドをX線フィルムに終夜曝露することによってマクロ−オートラジオグラフィーを行った。マイクロ-オートラジオグラフィーのために、スライドを核トラックエマルションに浸漬し、4℃の暗所に保管した。露出スライドを2〜3週後に開発し、切片をHEでわずかに対比染色し、顕微鏡試験のためにカバーをかけた。
【0125】
in situハイブリッド形成のためのプローブ
リボプローブ合成のために鋳型として使用したcDNAは、ラットオステオポンチンcDNA、マウストランスフォーミング成長因子β1 cDNA、マウスプロコラーゲンα1(I)cDNA、およびマウストロンボスポンジン1 cDNAであった。
【0126】
モデルの例
ZDFラット
9月齢のZDFラット(Zucker糖尿病脂肪ラット)のサンプルは、拡張腎杯で水腎症を示した。顕微鏡によって、これらのサンプルを、糸球体硬化症および尿細管間質性線維症の写真で示した。これらの形態学的変化に従って、in situハイブリッド形成によって測定された標識遺伝子(オステオポンチン(OPN)、トランスフォーミング成長因子β1(TGF-β1)およびプロコラーゲンα1(I)(Col1))の発現は、通常の腎臓と比較したときに著しく変化した。強力なOPNの発現は、皮質および髄質の両方の全ての管状構造物で検出可能であった。TGF-β1の発現は、間質細胞全体の広範囲にわたった。幾つかの上皮細胞はまた、TGF-β1の発現を示した。Col1の発現は、髄質内の大部分の間質細胞内においてin situハイブリッド形成によって検出可能であったが、皮質内の発現は「限局的」であった。
【0127】
加齢fa/fa(肥満Zucker)ラット
12月齢fa/faラットのサンプルは、皮質および髄質の全体を通じて重度の糸球体硬化症および漫性尿細管間質性線維症を示した。標識遺伝子の発現パターンは、形態学的変化に対応した。OPNは、皮質および骨髄中の管状構造物によって発現された。多発性間質細胞はTGF-β1を発現した。有意には、多発性病巣および単一間質細胞は、皮質および骨髄の両方において強力なCol1の発現を示し、Col1発現細胞の数は、ZDFサンプルよりもfa/faサンプルにおいてより高いように見えた。
【0128】
興味深いことに、Col1発現は、シリウスレッド染色によって明らかにされたコラーゲンの著しい蓄積にもかかわらず、ZDF またはfa/faラットの糸球体において検出されなかった。これは、糸球体細胞におけるCol1 mRNAの定常状態のレベルの低下を示唆する。
【0129】
加齢SD(正常)ラット
加齢SDラットのサンプルは、糸球体および間質腔内においてコラーゲンの蓄積の増加および標識遺伝子の発現の増加を示した。有意には、線維性変化の強度はサンプルの中で変化し、研究対象の4つのサンプルのうちの1つが、若年動物と比較して非常に少ない変化を示し;別のサンプルの線維性変化は「極」領域に限定され、2つのサンプルはコラーゲンの均一な蓄積を示し、切片全体にわたって標識遺伝子の発現が上昇した。
【0130】
Goto Kakizaki(GK)/Wistar (正常) 48週齢ラット
GKおよびWistarの両方の48週齢ラットのサンプルは、糸球体および間質腔内でのコラーゲンの蓄積を示した。この蓄積は、GKサンプルにおいてより明白であった。2つのサンプルを、mRNAの単離のために使用した:C9およびGK9。両方を、IGFBP4のための特異的なプローブに対してハイブリダイズさせた。in situハイブリッド形成の結果は、GKサンプルがこの遺伝子の上昇した発現を実証することを示した。
永続的なUUO
線維症のための既知のモデルは、使用された片側性尿管閉塞(UUO)であった。尿管の1つは閉鎖され(下記参照)、動物は閉塞後1、5、10、15、20および25日して犠牲になった。
【0131】
永続的なUUOは、髄質および皮質内の間質細胞によるコラーゲン合成の迅速な活性化(UUOの5日目)をもたらした。UUOの20〜25日目までに、著しい量の間質性コラーゲンが間質腔内に堆積し、コラーゲンの糸球体の蓄積が外側のカプセルに限定された。従って、永続的なUUOサンプルは、顕著な糸球体硬化的変化を伴わない尿細管間質性腎臓線維症の急性モデルを提供した。
【0132】
上記モデルは、記載された任意のスクリーニング系を介して同定されたENDO180の修飾因子の治療効果を試験するためのモデル系として使用することができる。
【0133】
例5
永続的な片側性尿管閉塞(UUO)のためのプロトコル
試験系
系統:オスのSprague-Dawley ラット(9週齢)
グループサイズ:手術対象のラットについてはn=5;偽手術対象のラットについてはn=3
グループの数:偽手術および手術の両方について6(すなわち、1日、5日、10日、15日、20日および25日後の手術または偽手術)
【0134】
手順
ケタミン/キシラジンでラットを麻酔し、腹腔を開いた。露出させた後、右腎臓の尿管を縫糸で結紮し、UUO処理を施した。偽手術対象のラットでは、尿管を露出させたが結紮しなかった。
【0135】
試験の終了
試験は、UUO処置後または偽手術後、24時間、5日間、10日間、15日間、20日間および25日間で終了した。この時点において、右腎を収集するために、ラットをCO2仮死状態下で失血によって殺傷した。莢膜を取り除いた後、腎臓を横方向に切断した。半分を10%バッファーホルマリン中で固定し、残りの半分を直ちにエッペンドルフ管に移し、RNA分析のために液体窒素の中で凍結させた。
【0136】
例6
様々な正常ラット組織のENDO180の内在性の発現(in situハイブリッド形成法による)
ラットENDO180遺伝子に相同的な断片を、正常なラット組織マルチブロックでのハイブリッド形成のためのプローブとして使用した。T3(センス)プローブは、非ハイブリッド形成シグナルを与えた。T7(アンチセンス)プローブは、リンパ球系細胞、組織マクロファージ、間質性(線維芽細胞)細胞および結合組織の幾つかの内皮細胞ならびに輸精上皮細胞と関連したハイブリッド形成シグナルを与えた。有意には、各々のタイプのポジィティブな細胞は大量ではない。
【0137】
単一のポジティブなリンパ球は、あらゆる特異的な局在性を伴わずに、脾臓、胸腺およびリンパ節の部分全体を通して点在している。ポジィティブなマクロファージは、腸(十二指腸、回腸および大腸)の固有層(lamina propria)内で観察することができる。
【0138】
ポジティブ線維芽細胞、血管周囲および幾つかの内皮細胞は、唾液腺の間質組織内および気管の外膜内で観察することができる。発現の特有のパターンは、精巣内で見出された。発現は、尿細管の側面の一部(全てではない)で明らかになり、輸精上皮および線維芽細胞の基底層に限定された。
【0139】
このように、ENDO180発現のin situハイブリッド形成研究の結果は、正常なラット組織における幾分低いレベルの発現を示唆する。
【0140】
例7
ラット腎臓サンプル中のENDO180の内在性の発現(in situハイブリッド形成による)
使用された材料
腎臓線維症候補遺伝子のラットホモログに相補的なリボプローブを、ラット腎臓サンプルの切片にハイブリダイズさせた。以下のサンプルがこの研究において含まれた:
【0141】
1.偽手術された対照サンプルを含む永続的なUUOマルチブロック−手術後25日目に固定、および5つのUUOサンプル−閉塞後1、5、10、20および25日目に固定。
2.9月齢のZDF腎臓の1サンプルを含む加齢糖尿病マルチブロック、および12月齢のZucker fa/fa腎臓の1サンプル。これらのサンプルは共に重度の線維症である。ZDFサンプルはまた重度の炎症を示す。
3.Zucker fa/fa腎臓の3月齢の2サンプルおよび6月齢の2サンプルを含む若年Zucker fa/faマルチブロック。
4.慢性腎欠損サンプル−2年7月齢のラット腎臓。
5.正常な腎臓サンプル
結果
ラット腎臓切片とこの遺伝子(ラットENDO180)とのハイブリッド形成は、髄質中に主に位置する単一の間質性細胞と、非線維性サンプル中でこの遺伝子の発現を示す単一の糸球体細胞とを明らかにした。線維性サンプルは、多発性間質性細胞はハイブリッド形成シグナルを示すが、糸球体のシグナルは非線維性サンプルと比較して変化しなかったことを実証した。これらの結果は、正常なラットの腎臓におけるこの遺伝子の恒常的な発現が低いことを示唆し、間質性線維症へのこの遺伝子産物の相当な関与を示唆する。従って、ラット腎臓の結果は、ヒトサンプルで得られた結果に非常によく従い(次のセクションを参照)、線維症におけるENDO180の役割を強く支持する。
【0142】
例8
ヒト腎臓サンプルにおけるENDO180の内在性の発現(in situハイブリッド形成による)
in situハイブリッド形成分析に使用されたヒト線維症腎臓サンプルは以下の通りである:
【0143】
正常な腎臓サンプル
1.死後材料−28歳の男性。事故死後2時間以内に検死を行った。
【0144】
2.死後材料−26歳の男性。事故死後2時間以内に検死を行った。
【0145】
3.外科的材料−34歳の男性。事故後に外傷を負った腎臓を取り除いた。
【0146】
線維症腎臓サンプル
1.サンプル11957−65歳の女性。糖尿病−ここ15年間(11mmol/l以下のグルコース)、腎盂腎炎。敗血症を避けるために手術によって腎臓を取り除いた。
【0147】
2.サンプル44561−39歳の女性。糖尿病(11.2mmol/l以下のグルコース)、腎盂腎炎。敗血症を避けるために手術によって腎臓を取り除いた。
【0148】
3.サンプルC86−63歳の女性。糖尿病(13mmol/l以下のグルコース)。下肢の切断後、病院で血栓塞栓症が原因で死亡した。死亡後2時間以内に検死を行った。
【0149】
4.サンプル15144−79歳の女性。糖尿病(14.8mmol/l以下のグルコース)、腎盂腎炎。敗血症を避けるために手術によって腎臓を取り除いた。
【0150】
5.サンプル39159−66歳の男性。糖尿病(17.6mmol/l以下のグルコース)、腎臓結石疾患が原因で手術によって腎臓を取り除いた。
【0151】
6.サンプル4533−32歳の男性。7.2mmol/l以下のグルコース。腎臓結石疾患が原因で手術によって腎臓を取り除いた。
【0152】
7.サンプルC6−62歳の男性。糖尿病(利用可能なグルコースのデータなし)。患者は、リンパ腫が原因で死亡した。死亡後2時間以内に検死を行った。
【0153】
結果
ヒトの正常な腎臓では、その発現は糸球体(弱から無まで変化するシグナル)および腎盂の間質性細胞に限定される。病理学的サンプルでは、間質性浸潤(マクロファージ)、および内皮細胞(まれ)、ならびに萎縮性尿細管、およびvSMC(まれ)内で発現する。
【0154】
例9
インビトロでの機能的検証
pIRESにサブクローン化された全ORFを含むENDO180cDNA(pIRESpuro空ベクターをネガティブコントロールとして供給)を、Rat1およびNRK52E細胞にトランスフェクトした。2つの独立したRat1対照ポリクローナル細胞の数と2つの独立したRat1 ENDO180発現細胞の数を数えた。外来性のENDO180の発現をノーザンブロット分析によって検証した。次に、ENDO180過剰発現Rat1細胞のプールを、以下の手順に従って、コラーゲン堆積およびTGF-βの存在中における成長速度について評価した:
【0155】
細胞のカウントについて 細胞を、96ウェルプレート(2×103/ウェル)において10%FBSを含む200μlのDMEM中に播種した。終夜培養後、培地を2%FBSを含むDMEMで置き換えた。48時間、72時間、96時間、または7日後、細胞をニュートラルレッドで染色し、光学密度を540nmで測定した。
【0156】
コラーゲン合成について 細胞を24ウェルプレート(1×104/ウェル)に播種し、10%FBSを含む1mlのDMEM中でコンフルエントになるまで(96時間にわたって)増殖させ、続いて72時間のTGF-β刺激(0.1%BSAの存在中0.2ng; 0.5ng; 1ng; 2ng/ml TGF-β)にさらした。コラーゲンの合成を、シリウスレッドに基づいた比色定量の微量検定法で評価した。光学密度を540nmで測定した。
【0157】
結果を図3AおよびBに示した。ENDO180の発現は、細胞増殖率を著しく減少させ、かつコラーゲン生成をわずかに減少させることが明らかになった。
【図面の簡単な説明】
【0158】
【図1A】この図は、ヒトENDO180遺伝子(ACCESSION NM_006039)の核酸配列-SEQ ID NO:1を示す。
【図1B】この図は、ヒトENDO180遺伝子(ACCESSION NM_006039)の核酸配列-SEQ ID NO:1を示す。
【図1C】この図は、ヒトENDO180遺伝子(ACCESSION NM_006039)の核酸配列-SEQ ID NO:1を示す。
【図2】この図は、ヒトENDO180遺伝子(ACCESSION NP_006030)のアミノ酸配列-SEQ ID NO:2を示す。
【図3】この図は、rat1線維芽細胞のECMにおける成長速度およびコラーゲン蓄積についてのENDO180過剰発現のインビトロ分析を示す。
【図4】この図は、ENDO180のFNIIドメインを発現するトランスジェニックマウスの創造のために使用された構造物を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトENDO180受容体の活性を調節することができる化合物を同定する方法であって、
(i) 化合物の非存在または存在中において、ENDO180受容体と、ENDO180受容体がインビボで特異的に相互作用する相互作用因子との結合を測定する工程と、
(ii) ENDO180受容体と前記相互作用因子との結合が前記化合物によって影響を受けたか否かを決定する工程と
を含む方法。
【請求項2】
前記相互作用因子が、コラーゲンである請求項1の方法。
【請求項3】
前記相互作用因子が、フィブロネクチンである請求項1の方法。
【請求項4】
前記工程(i)の測定を、ENDO180受容体を発現する細胞中で行う請求項1の方法。
【請求項5】
前記細胞が、ENDO180遺伝子によって予めトランスフェクトされる請求項4の方法。
【請求項6】
前記トランスフェクトされた細胞が、一過性的または安定的にトランスフェクトされる請求項5の方法。
【請求項7】
前記細胞が腎臓線維芽細胞であり、かつ前記工程(i)における測定が前記腎臓線維芽細胞の細胞外マトリックス中におけるコラーゲンの堆積である請求項4の方法。
【請求項8】
前記細胞が腎臓線維芽細胞であり、かつ前記工程(i)の測定が線維芽細胞の付着である請求項4の方法。
【請求項9】
前記細胞が腎臓尿細管細胞であり、かつ前記工程(i)における測定が前記腎臓尿細管細胞の増殖である請求項4の方法。
【請求項10】
前記ENDO180受容体が、SEQ ID NO:2に示された連続したアミノ酸の配列を含む請求項1の方法。
【請求項11】
前記化合物が、ホスホリパーゼA2の活性を調節するよりも、少なくとも2倍効率的にENDO180受容体の活性を調節する請求項1の方法。
【請求項12】
前記化合物が、uPAR、uPA、PLA2R、DEC-205/MR6-gp200およびマンノース受容体からなるウロキナーゼ関連タンパク質および受容体およびマンノース受容体の1以上のセットの活性を調節するよりも、少なくとも2倍効率的にENDO180受容体の活性を調節する請求項1の方法。
【請求項13】
前記調節が、少なくとも100倍効率的である請求項11の方法。
【請求項14】
前記化合物が、慢性腎不全を抑制することができる請求項1の方法。
【請求項15】
前記化合物が、慢性腎欠損を抑制することができる請求項1の方法。
【請求項16】
前記化合物が、糖尿病性腎症を抑制することができる請求項1の方法。
【請求項17】
前記糖尿病性腎症の症状が、糸球体硬化症または腎臓線維症である請求項1の方法。
【請求項18】
腎症治療用の薬剤の調製における、請求項1の方法に従って同定された化合物の使用。
【請求項19】
前記腎症が、糖尿病性腎症である請求項18に記載の化合物の使用。
【請求項20】
腎線維症の治療のための請求項18に記載の化合物の使用。
【請求項21】
糸球体硬化症の治療のための請求項18に記載の化合物の使用。
【請求項22】
前記ENDO180受容体または相互作用因子を固定化する請求項1の方法。
【請求項23】
薬学的組成物を調製する方法であって、
(i)請求項1のプロセスを使用してヒトENDO180受容体の活性を調節する化合物を同定する工程と、
(ii)前記化合物を薬学的に許容可能なキャリアと混合する工程と
を含む方法。
【請求項24】
前記キャリアと混合した化合物が、薬学的に有効な量において存在する請求項23の方法。
【請求項25】
患者からのサンプルにおいて、ENDO180受容体ポリペプチドのレベルを決定することを含む患者の腎症を診断する方法であって、腎症に罹患していない患者のレベルと比較してより高いレベルのポリペプチドが腎症を示す方法。
【請求項26】
前記腎症が、糖尿病性腎症である請求項25の方法。
【請求項27】
前記腎症が、腎臓線維症である請求項25の方法。
【請求項28】
前記腎症が、慢性腎不全である請求項25の方法。
【請求項29】
前記腎症が、慢性腎欠損である請求項25の方法。
【請求項30】
前記サンプルが、体液から採取される請求項25の方法。
【請求項31】
前記体液が、血液または尿である請求項30の方法。
【請求項32】
ヒトENDO180受容体の活性を調節することができる化合物を同定する方法であって、
(i)ENDO180受容体と、ENDO180受容体がインビボで特異的に相互作用する相互作用因子との結合を測定する工程と、
(ii)ENDO180受容体または相互作用因子を前記化合物と接触させる工程と、
(iii)ENDO180受容体と前記相互作用因子との結合が前記化合物によって影響を受けたか否かを決定する工程と
を含む方法。
【請求項33】
前記相互作用因子が、コラーゲンである請求項32の方法。
【請求項34】
前記相互作用因子が、フィブロネクチンである請求項32の方法。
【請求項35】
前記工程(i)の測定をENDO180受容体を発現する細胞において行い、前記細胞を前記化合物と接触させる請求項32の方法。
【請求項36】
前記工程(i)の測定が、前記化合物の非存在下における線維芽細胞の付着であり、前記工程(iii)の決定が、線維芽細胞の付着が前記化合物によって影響を受けたか否かである請求項35の方法。
【請求項37】
前記化合物と接触させた細胞が腎臓線維芽細胞であり、前記工程(i)の測定が前記腎臓線維芽細胞の細胞外マトリックスにおけるコラーゲンの堆積である請求項35の方法。
【請求項38】
前記接触工程(ii)における細胞が、ENDO180遺伝子によって予めトランスフェクトされる請求項35の方法。
【請求項39】
前記トランスフェクトされた細胞が、一過性的または安定的にトランスフェクトされる請求項38の方法。
【請求項40】
前記細胞が、ENDO180遺伝子の変異の入った不活性形態をもつ請求項35の方法。
【請求項41】
前記ENDO180受容体が、SEQ ID NO:2に示された連続したアミノ酸の配列を含む請求項32の方法。
【請求項42】
前記化合物が、ホスホリパーゼA2の活性を調節するよりも、少なくとも2倍効率的にENDO180受容体の活性を調節する請求項32の方法。
【請求項43】
前記化合物が、uPAR、uPA、PLA2R、DEC-205/MR6-gp200およびマンノース受容体からなるウロキナーゼ関連タンパク質および受容体およびマンノース受容体の1以上のセットの活性を調節するよりも、少なくとも2倍効率的にENDO180受容体の活性を調節する請求項32の方法。
【請求項44】
腎症治療用の薬剤の調製における、請求項32の方法に従って同定された化合物の使用。
【請求項45】
前記腎症が、糖尿病性腎症である請求項44に記載の化合物の使用。
【請求項46】
前記腎症が、慢性腎不全である請求項44に記載の化合物の使用。
【請求項47】
前記腎症が、慢性腎欠損である請求項44に記載の化合物の使用。
【請求項48】
腎線維症の治療のための請求項44に記載の化合物の使用。
【請求項49】
糸球体硬化症の治療のための請求項44に記載の化合物の使用。
【請求項50】
前記ENDO180受容体または相互作用因子を固定化する請求項32の方法。
【請求項51】
薬学的組成物を調製する方法であって、
(i)請求項32の方法を使用してヒトENDO180受容体の活性を調節する化合物を同定する工程と、
(ii)前記化合物を薬学的に許容可能なキャリアと混合する工程と
を含む方法。
【請求項52】
前記キャリアと混合した化合物が、薬学的に有効な量において存在する請求項51の方法。
【請求項53】
多数の化合物をスクリーニングすることによってヒトENDO180受容体の活性を調節することができる化合物を同定する方法であって、
(i)多数の化合物の非存在または存在中において、ENDO180受容体と、ENDO180受容体がインビボで特異的に相互作用する相互作用因子との結合を測定する工程と、
(ii)ENDO180受容体と前記相互作用因子との結合が、多数の化合物の存在によって影響を受けたか否かを決定する工程と、
(iii)多数の化合物中に存在する1以上の化合物が、ヒトENDO180受容体の結合を調節することを別々に決定する工程と
を含む方法。
【請求項54】
前記化合物が、糖尿病を抑制することができる請求項53の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−519394(P2007−519394A)
【公表日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−531000(P2006−531000)
【出願日】平成16年5月18日(2004.5.18)
【国際出願番号】PCT/IL2004/000423
【国際公開番号】WO2004/100759
【国際公開日】平成16年11月25日(2004.11.25)
【出願人】(502337583)クアーク・バイオテック・インコーポレイテッド (12)
【Fターム(参考)】