説明

病状の重症度を反映した定量的測定を生成するシステム及び方法

本発明は,病状の重症度を反映した定量的測定を生成する方法及びシステムに関する。受信装置は,さまざまな程度の前記病状を有する患者の集団から収集される生体信号データを受信する。プロセッサは,前記集団内の各患者に対する参照特徴量を決定するために前記生体信号データを使用し,該決定は,所定の参照特徴の組に従って行われる。前記プロセッサは,次に,前記患者の集団内の各患者に,ベクトル要素として前記患者に関連した参照特徴量を有する前記参照特徴ベクトルを割り当てる。前記プロセッサはまた,前記データの分散を表す前記特徴の組み合わせを決定する上での入力として前記患者の前記参照特徴量を使用し,前記組み合わせの大きさは,前記病状の重症度を示す。本発明は,さらに,定量的測定を実行することでプローブ化合物の成功指標を決定するために前記定量的測定を使用する方法及びシステムに関し,受信装置は,前記プローブ化合物を被験者に投与した後に前記被験者から収集される生体信号データを受信し,プロセッサは,前記患者の集団に対する決定と同様に類似特徴ベクトルを決定する。最後に,前記プロセッサは,前記被験者に対して決定される前記特徴ベクトルと前記データの分散を表す前記特徴の組み合わせとの間のスカラー積を決定する。該スカラー積は,前記プローブ化合物がどれくらい成功であるかを示す成功指標となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,病状の重症度を反映した定量的測定を生成するシステムに関する。本発明は,さらに,該定量的測定を実行することにより,少なくとも1つのプローブ化合物に対する成功指標を測定する成功監視システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アルツハイマー(AD)型認知症は,高齢者に最も多く見られる認知症の病態である。アルツハイマー病の診断は,主として標準臨床基準(Small et al JAMA 1997)に基づいている。診断の基礎は,患者及び血縁者の詳細な症状の経歴,並びに,定量的な神経放射線学的方法(CT,MRI,SPECT,PET)及び主観的な神経心理学の助けである。軽度又は中程度の障害患者におけるADの臨床診断の精度はかなり高い。
【0003】
国際公開第2006/094797号パンフレットは,神経生理学的効果を有する少なくとも1つのプローブ化合物を提供する,神経学的疾患の識別信号を生成する方法及びシステムを開示している。該参照文献は,2つのパートに分けられうる。1つのパートでは,参照分布を定義し,もう1つのパートでは,該参照分布を用いて,識別信号を生成,すなわち,対象が特定の疾患に罹患しているかどうかを突き止めている。
【0004】
パート1において,特定の疾患に罹っている特定群(例えば,アルツハイマー群。これは,健常者群とすることもできる)内の参照候補からデータを収集し,これを用いて参照ツールを定義している。これは,以下のステップを適用することにより行う。領域要素として特徴のさまざまな組み合わせを含む特徴属性領域Vを定義する。一例として,特徴の数が3,すなわち,f1,f2,及びf3である場合,特徴属性領域Vは,例えば,V={(f1,f2);(f1,f3);(f2,f3)}と定義することができ,f1,f2,及びf3は,絶対δパワー,絶対θパワー,絶対αパワー,であり得る。特定群(例えば,群A)内の各対象に対して,事後確率ベクトルP={p(f1,f2);p(f1,f3);p(f2,f3)}を領域要素ごとに計算する。事後確率ベクトルのベクトル要素は,特定の参照対象が,特徴属性領域Vに対して,特定群,例えば,群A,に属するか否かの可能性を示す。次に,フィルター処理を行い,所定の閾値よりも大きい又は小さいベクトル又はベクトル要素を除外する。閾値は,例えば,「0.7」と選択しうる。こうして,群A内の特定の対象に対し,事後確率ベクトルがP={0.9;0.8;0.95}であれば,これは,該特定の対象が参照分布に使用するのに有望な候補であることを示し,一方,P={0.9;0.1;0.5}を有する参照対象は,潜在的候補であるとはみなされない(あるいは,少なくともPの最後の2つの要素について)。該フィルター処理を特定の参照群(例えば,アルツハイマー病に罹患している対象群)内のすべての候補に対して行う。例えば群A内のすべての対象に対し該フィルター処理を行った後,領域要素(f1,f2);(f1,f3);(f2,f3)に関して類似の特徴を有する対象を選び出す。従って,該参照ツールは,参照分布であり,X軸は,領域要素V(例えば,(f1,f2);(f1,f3);(f2,f3))であり,Y軸は,対象が,それぞれ,(f1,f2);(f1,f3);(f2,f3)に属する確率である。従って,「領域」は,これら3つのX値の分布から形成される。
【0005】
パート2において,類似の生体信号データは,試験対象/試験対象に関する患者に対する測定である。同様の計算を行う,すなわち,事後確率ベクトルP={p(f1,f2);p(f1,f3);p(f2,f3)}を計算する。最後に,Pの値を参照対象の分布と比較する,すなわち,Pの値が上述の分布内にあるかどうかをチェックする。例えばすべてのPの要素が該分布内に存在する場合,該試験対象は,群Aに属する,すなわち,アルツハイマー病に罹患している可能性が高い。仮に,Pの要素の一部しか該分布内に存在しない場合,それは,該対象をさらに調査すべきであることを示しうる。
【0006】
国際公開第2006/094797号パンフレットの結果は,他の従来技術の方法よりも早く,神経学的病状に苦しんでいる対象を診断することができる,ということである。従って,神経学的病状を治療する又は神経学的病状を予防する可能性は,より厳格になる。
【0007】
しかしながら,国際公開第2006/094797号パンフレットは,特定の治療法が成功であるか否かを何ら示していない。
【0008】
治療法を開発し,該治療法の成功を監視できるようにするために,疾患の重症度の測定が必要となる。例えば,医薬品開発企業が複数の医薬品候補を有し,該候補の中から選択する必要がある場合,該候補の有効性の比較が必要となる。
【0009】
疾患の重症度は,対象の認知機能障害の重症度によって決定される。この目的のために広く認められた定量的測定は存在しない。ADの重症度を予測する1つの方法は,ミニメンタルステート検査(MMSE)によるものである。該検査は,短期記憶,簡単な指示に従う能力,簡単な問題を解決する能力,時間と場所の認識,などの能力に対応する。該検査の結果,0〜30の範囲の数値スコアが得られる。該疾患の重症度の評価の主な問題点は,それが,対症的であり,主観的であることである。該評価は,疾患の病態生理に直接結びついていない。これは,該評価が対象の社会的及び環境的背景に依存することを意味している。例えば,長期の学校教育を受けたアルツハイマー患者は,初等教育しか受けていない患者よりも高いMMSEスコアを取る傾向がある。MMSEの結果はまた,対象のその日の体調にも依存する。さらにもう一つの該検査の問題点は,治療法を監視又は開発する場合のように該検査を繰り返すと,対象が検査の手順と答えを覚えてしまう可能性があるということである。これらの欠陥の結果,医薬品開発及び他の治療法の開発は,必要十分な統計的有意性を得るために,極めて大規模な臨床試験を必要とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は,病状の病態生理に対応した定量的測定を提供するシステム及び方法を提供することにより,上述の欠点を克服することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
一側面によれば,本発明は,病状の重症度を反映した定量的測定を生成するシステムに関し,該システムは,
・M人の患者の集団から収集される生体信号データを受信する受信装置であって,該集団は,該患者がさまざまな程度の病状を有するように選択される,受信装置と,
・プロセッサであって,
−該生体信号データを入力として使用し,該集団内の各患者に対する参照特徴量を決定するように構成され,該決定は,予め定義した参照特徴のセット[f,・・・,f]に基づいて行われ,結果として参照特徴ベクトルの結果F1・・・M=[value(f),value(f),・・・,value(f)]が得られ,該患者の該参照特徴ベクトルは,その後にM×N行列Aに編成され,及び
−該行列Aを該特徴の無相関線形結合x・f+x・f・・・x・fに変換するように構成され,インデックスx・・・,xは,データの分散を表し,インデックスx・・・,xの大きさは,該病状の重症度を示す,
プロセッサと,
を含む。
【0012】
結果として,定性的測定ではなく,病状の重症度を反映した定量的測定が提供される。従って,病状の重症度を反映するために該測定を使用することの信頼性は,極めて高くなる。一例として,4つの異なる特徴(例えば,生体信号データがEEGデータであり,特徴1が絶対θパワー,特徴2が全エントロピー,特徴3が相対γパワー,特徴4がピーク周波数,であるとする)及び,例えば,40人の患者の集団に対して,前記行列Aは,4列40行(又はその逆)からなる。該特徴の線形結合は,0.7絶対γパワー;0.15全エントロピー;0.10絶対θパワー;0.05ピーク周波数となりうる。該結合は,予め設定した特徴の分散の配列を示す。これは,特定の疾患(例えば,アルツハイマー病)の病理に最も影響される特徴は,絶対γパワーであり,2番目に影響される特徴は,全エントロピー,等々であることを示す。
【0013】
一実施形態において,前記病状は,神経学的疾患である。
【0014】
一実施形態において,前記神経学的疾患は,アルツハイマー型(AD群)である。
【0015】
一実施形態において,前記神経学的疾患は,以下から選択される:
・アルツハイマー病
・多発性硬化症
・鬱病を含む精神障害
・双極性障害及び統合失調症
・パーキンソン病
・てんかん,片頭痛
・血管性認知症(VaD)
・前頭側頭様型認知症
・レヴィー小体認知症
・クロイツ・フェルトヤコブ病
・vCJD(変異型クロイツ・フェルトヤコブ病)(「狂牛」病)
・AD/HD(注意欠陥/多動性障害)
【0016】
一実施形態において,受信装置は,脳波(EEG)測定装置と接続されるように構成され,受信データは,脳波(EEG)データである。
【0017】
一実施形態において,受信装置は,以下:
・磁気共鳴映像(MRI)装置
・機能的磁気共鳴映像(FMRI)装置
・脳磁気(MEG)測定装置
・ポジトロン放出断層撮影(PET)装置
・CATスキャン(コンピュータ体軸断層撮影)装置
・単光子放出コンピュータ断層撮影(SPECT)装置
・1つ以上の前記測定装置の組み合わせ
から選択される少なくとも1つの測定装置と接続されるように構成され,前記生体信号データは,1つ以上の該装置からの測定データである。
【0018】
一実施形態において,前記所定の参照特徴のセットは,以下から選択される:
・絶対δパワー
・絶対θパワー
・絶対αパワー
・絶対βパワー
・絶対γパワー
・相対δパワー
・相対θパワー
・相対αパワー
・相対βパワー
・相対γパワー
・全パワー
・ピーク周波数
・中央周波数
・スペクトル周波数
・DFAスケーリング指数(α帯域振動)
・DFAスケーリング指数(β帯域振動)及び
・全エントロピー
【0019】
一実施形態において,前記データの分散を表す前記特徴の組み合わせの決定は,主成分分析(PCA)を使用する手段を含む。
【0020】
別の側面によれば,本発明は,病状の重症度を反映した定量的測定を生成する方法に関し,該方法は,
・さまざまな程度の該病状を有する患者の集団から収集される生体信号データを受信するステップと,
・該生体信号データを入力として使用し,該集団内の各患者に対する参照特徴量を決定するステップであって,該決定は,予め定義した参照特徴のセット[f,・・・,f]に基づいて行われ,結果として参照特徴ベクトルの結果F1・・・M=[value(f),value(f),・・・,value(f)]が得られ,該患者の該参照特徴ベクトルは,その後にM×N行列Aに編成される,ステップと,
・該行列Aを該特徴の無相関線形結合x・f+x・f・・・x・fに変換するステップであって,インデックスx・・・,xは,データの分散を表し,インデックスx・・・,xの大きさは,該病状の重症度を示す,ステップと,
を含む。
【0021】
一実施形態において,前記方法は,さらに,データの分散を表す特徴の組み合わせに関する相関関係測定を,該データの分散を表す該特徴の組み合わせと既存の測定とを比較することにより行うステップを含む。一実施形態において,該既存の測定は,ミニメンタルステート検査(MMSE)測定である。
【0022】
従って,既存の測定に関する定量的測定の性能を最適化することができる。
【0023】
一実施形態において,相関関係測定を行うステップは,以下:
・データの分散を表す特徴の組み合わせの除外又はデータの分散を表す特徴の組み合わせの変更を繰り返し行うステップと,その後に
・データの分散を表す特徴の組み合わせの結果と既存の測定との相関関係を決定するステップと,
を含み,該相関関係に寄与しない又は該相関関係を弱める除外部分は,該データの分散を表す該特徴の組み合わせから除外される。
【0024】
一実施形態において,データの分散を表す特徴の組み合わせを決定するステップは,主成分分析(PCA)を用いて行われ,該データの分散を表す該特徴の組み合わせは,その結果得られるPCAベクトルである。
【0025】
さらに別の側面によれば,本発明は,製品がコンピュータで実行される際,病状の重症度を反映した定量的測定を生成する方法を実行するように処理装置に指示するコンピュータプログラム製品に関する。
【0026】
さらに別の側面によれば,本発明は,システムにより決定される定量的測定を実行することにより,少なくとも1つのプローブ化合物に対する成功指標を決定する成功監視システム(300)に関し,該成功監視システムは,
・該少なくとも1つのプローブ化合物を試験対象に投与した後に該試験対象対象から収集される生体信号データを受信する受信装置と,
・プロセッサであって,
−前記M人の患者の集団に対する決定と同様に,該試験対象に対して類似特徴ベクトルF1・・・M=[test_subj(f),test_subj(f),・・・,test_subj(f)]を決定するように構成され,及び
−該試験対象に対して決定される該特徴ベクトルF1・・・M=[test_subj(f),test_subj(f),・・・,test_subj(f)]と該データの分散を表す該特徴の組み合わせx・f+x・f・・・x・fのスカラー積を決定するように構成され,該スカラー積は,成功指標となる,
プロセッサと,
を含む。
【0027】
さらに別の側面によれば,本発明は,少なくとも1つのプローブに対する成功指標を決定する上で病状の重症度を反映した定量的測定を使用する方法に関し,該方法は,
・該少なくとも1つのプローブ化合物を試験対象に投与した後に該試験対象から収集される生体信号データを受信するステップと,
・前記M人の患者の集団に対する決定と同様に,該試験対象に対して類似特徴ベクトルF1・・・M=[test_subj(f),test_subj(f),・・・,test_subj(f)]を決定するステップと,
・該試験対象に対して決定される該特徴ベクトルF1・・・M=[test_subj(f),test_subj(f),・・・,test_subj(f)]と該データの分散を表す該特徴の組み合わせx・f+x・f・・・x・fのスカラー積を決定するステップであって,該スカラー積は,成功指標となる,ステップと,
を含む。
【0028】
治療法を開発し,該治療法の成功を監視できるようにするために,疾患の重症度の測定が必要となる。前記システム及び方法は,特定の疾患の重症度の良好な測定を適宜提供する。医薬品開発企業が複数の医薬品候補を有し,該候補の中から選択する必要がある状況にある場合,該候補の有効性の比較が必要となる。
【0029】
さらに別の側面によれば,本発明は,製品がコンピュータで実行される際,少なくとも1つのプローブに対する成功指標を決定する上で病状の重症度を反映し記定量的測定を使用する方法を実行するように処理装置に指示するコンピュータプログラム製品に関する。
【0030】
本発明の各側面は,それぞれ,他の任意の側面と併用されうる。本発明のこれら及び他の側面は,後述の実施形態から明らかとなり,それらを参照して解明されるであろう。
【0031】
本発明の実施形態について,例示のみを目的として,図面を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】図1は,本発明による,病状の重症度を反映した定量的測定を生成するシステムを示す。
【図2】図2は,本発明による,病状の重症度を反映した定量的測定を生成する方法のフローチャートを示す。
【図3】図3は,本発明による,図1及び図2の下に述べる定量的測定を実行することにより少なくとも1つのプローブ化合物に対する成功指標を決定する成功監視システムを示す。
【図4】図4は,本発明による,少なくとも1つのプローブ化合物に対する成功指標を決定する上で図1及び図2の下に述べる前記定量的測定を使用した方法のフローチャートを示す。
【図5】図5は,MMSEスコアに対してプロットした患者の固有ベクトル(pc1)を示すプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1は,本発明による,病状の重症度を反映した定量的測定を生成するシステム100を示す。該システムは,さまざまな程度の該病状を有する患者の集団101から収集される生体信号データを受信する受信装置(R)102を含む。さまざまな程度の該病状を有することの重要性は,一定レベルの程度レベルの分布を得ることにある。
【0034】
一実施形態において,前記生体信号データは,脳波(EEG)データである。該データは,1つ以上の以下の測定装置からの生体信号データをも含みうる:磁気共鳴映像(MRI)装置,機能的磁気共鳴映像(FMRI)装置,脳磁気(MEG)測定装置,ポジトロン放出断層撮影(PET)装置,CATスキャン(コンピュータ体軸断層撮影)装置,及び単光子放出コンピュータ断層撮影(SPECT)装置。
【0035】
一実施形態において,前記病状は,神経学的疾患であり,例として,アルツハイマー型(AD集団),多発性硬化症,鬱病を含む精神障害,双極性障害及び統合失調症,パーキンソン病,てんかん,片頭痛,血管性認知症(VaD),前頭側頭様型認知症,レヴィー小体認知症,クロイツ・フェルトヤコブ病,vCJD(変異型クロイツ・フェルトヤコブ病)(「狂牛」病),及びAD/HD(注意欠陥/多動性障害)が挙げられる。
【0036】
前記システムは,さらに,前記生体信号データを使用して前記集団内の各患者に対する参照特徴量を決定するように構成されるプロセッサ(P)103を含む。
【0037】
一実施形態において,所定の参照特徴の組は,絶対δパワー,絶対θパワー,絶対αパワー,絶対βパワー,絶対γパワー,相対δパワー,相対θパワー,相対αパワー,相対βパワー,相対γパワー,全パワー,ピーク周波数,中央周波数,スペクトル周波数,DFAスケーリング指数(α帯域振動),DFAスケーリング指数(β帯域振動),及び全エントロピー,から選択される。従って,前記所定の参照特徴の組は,例えば,[絶対θパワー;絶対γパワー;相対γパワー;ピーク周波数]となる。各患者に対する決定参照特徴量は,その結果,[値1(絶対θパワー);値2(絶対γパワー);値3(相対γパワー);値4(ピーク周波数)]となる。
【0038】
前記プロセッサ(P)103は,さらに,前記患者の集団101内の各患者に対して,ベクトル要素として該患者と関連した参照特徴量,すなわち,(上記例を参照すると)ベクトル=[絶対θパワーを表す値1;全エントロピーを表す値2;相対γパワーを表す値3;ピーク周波数を表す値4]を有する参照特徴量を割り当てるように構成される。その結果が行列Aであり,各行は各患者に割り当てられたベクトルを示す。患者数が40の場合,行列の行数は40となる。

【0039】
その後,プロセッサ(P)103は,患者の参照特徴ベクトルを入力として使用し,データの分散104を表す特徴の組み合わせを決定する。該組み合わせの大きさは,該病状の重症度を示す指標となる。一例として,該プロセッサは,固有ベクトル及び行列Aの共分散行列の値を決定するために主成分分析(PCA)を行いうる。その結果は,前記データの分散に関する固有値を有する該特徴の無相関線形結合のセットとなる。従って,その結果は,データセットの新たな座標系を選択する線形変換となり,データセットの任意の予測による最大分散が第1軸(よって,第1主成分と呼ばれる)上に,2番目に大きい分散が第2軸上に,等々位置するようになる。
【0040】
上記例を参照すると,前記行列Aは,4つの異なる特徴(行列の列数)を有し,結果として得られる特徴の組み合わせは,C=[0.7絶対γパワー;0.15全エントロピー;0.10絶対θパワー;0.05ピーク周波数]となる。該組み合わせ,すなわち,定量的測定ベクトルC 104は,前記予め設定した特徴(上記例参照)の分散の配列を示す。これは,特定の疾患(例えば,アルツハイマー病)の病変に最も影響される特徴は,絶対γパワーであり,2番目に影響される特徴は,全エントロピー,等々であることを示す。
【0041】
一実施形態において,受信装置(R)102は,少なくとも1つの測定装置106と接続される。これらは,例えば,脳波計(EEG),磁気共鳴映像(MRI)装置,機能的磁気共鳴映像(FMRI)装置,脳磁気(MEG)測定装置,ポジトロン放出断層撮影(PET)装置,CATスキャン(コンピュータ体軸断層撮影)装置,単光子放出コンピュータ断層撮影(SPECT)装置,1つ以上の前記測定装置の組み合わせ,等々である。受信装置(R)102はまた,通信チャネルを通じて外部メモリ105に接続されるように構成されうる。
【0042】
図2は,本発明による,病状の重症度を反映した定量的測定を生成する方法のフローチャートを示す。
【0043】
一実施形態において,前記方法は,さまざまな程度の前記病状を有する患者の集団から収集される生体信号データを受信するステップ(S1)201と,該生体信号データを使用して前記集団内の各患者に対する参照特徴量を決定するステップ(S2)202と,を含み,該決定は,所定の参照特徴のセットに従って行われる。該方法は,さらに,該患者の集団内の各患者にベクトル要素として該患者と関連した参照特徴量を有する参照特徴ベクトルを割り当てるステップ(S3)203と,該患者の該参照特徴ベクトルを該データの分散を表す該特徴の組み合わせを決定する上での入力として使用するステップ(S4)204と,を含み,該組み合わせの大きさは,病状の重症度を示す指標となる。
【0044】
図3は,本発明による,図1及び図2の下に述べる定量的測定を実行することにより少なくとも1つのプローブ化合物に対する成功指標303を決定する成功監視システム300を示す。該成功監視システムは,該少なくとも1つのプローブ化合物を試験対象301に投与した後に該試験対象301から収集される生体信号データを受信する受信装置(R)302と,該患者の集団に対する決定と同様に類似特徴ベクトルを決定するプロセッサ(P)303と,を含む。前記プロセッサ(P)303は,さらに,該試験対象に対して決定される該特徴ベクトルとデータの表す該特徴の組み合わせとの間のスカラー積を決定するために実行され,該スカラー積は,成功指標を示す。
【0045】
上述の例を参照すると,ベクトル=[絶対θパワーを表す値1;全エントロピーを表す値2;相対γパワーを表す値3;ピーク周波数を表す値4]であり,これは,単なる四次元ベクトルである。前記ベクトルに,一定値,ここでは+/−303,を出力する前記C=[0.7絶対γパワー;0.15全エントロピー;0.10絶対θパワー;0.05ピーク周波数]を乗じる。まさにこの値303が,前記プローブ化合物,例えば任意の新薬,が特定の疾患の治療に奏功するかどうかを示す非常に良好な兆候を提供する。
【0046】
図4は,本発明による,少なくとも1つのプローブ化合物に対する成功指標を決定する上で図1及び図2の下に述べる前記定量的測定を使用した方法のフローチャートを示す。
【0047】
一実施形態において,前記方法は,前記少なくとも1つのプローブ化合物を試験対象に投与した後に該試験対象から収集される生体信号データを受信するステップ(S1)401と,該患者の集団に対する決定と同様に類似特徴ベクトルを決定するステップ(S2)402と,該試験対象に対して決定される該特徴ベクトルと該データの分散を表す該特徴の組み合わせとの間のスカラー積を決定するステップ(S3)403と,を含み,該スカラー積は,成功指標を示す。
【0048】
定量的測定の確立
定量的生理学的測定が特定の疾患の重症度を反映することを確立するためには,たとえ,究極の判断基準が存在せず,その測定が主観的あるいは間接的なものであっても,該測定が重症度に対応した既存の測定と相関することを実証する必要がある。定量的測定を探す一つの方法は,さまざまな程度の該疾患に罹患しやすい患者の集団から収集される生理学的測定から得られる特徴のデータベースを構築することである。従って,データベース中の試験対象は,均一の集団を表さず,該生理学的データ又はその一部が関連する病変に対応する場合,前記疾患の重症度に関連したある程度のデータの分散を見込める。該データが患者の状態を十分に反映している場合,データベース中のデータの分散の大半は,さまざまな程度の該疾患によるものであると見込める。もしそうだとすれば,主成分分析(PCA)などの因子分析,固有ベクトル,及び特徴の相関行列の値は,データの分散を表す特徴の非相関線形結合を明らかにするであろう。その場合,最大固有値を有する主成分は,データの最大分散を表し,該疾患の重症度と相関することになる。この場合,既存の測定とデータベースから見出される主成分との間の相関関係を推定することにより,該疾患の重症度を検証しうる。該相関関係は必ずしも高い必要がないことに留意すべきである。既存の測定が,アルツハイマー病患者の状態を表すMMSE(ミニメンタルステート検査)スコアの場合のように,主観的で疾患に関連のない外部状況からの影響を受けやすい場合,定量的測定を確認するために,単に有意な有限相関関係を確立するだけでよい。その後,新たな定量的測定の品質を決定するために,独自試験又は臨床試験を実施する必要がある。上述した方策を用いて,既存の測定と新たな定量的測定との間の相関関係に寄与しない,あるいは減少させさえする,データ部分を繰り返し除外することによって,新たな測定の性能を最適化することができる。該手順に体系的に従うことによって,例えば,遺伝的アルゴリズム法を用いたり,単にすべての組み合わせを試験したりして,既存の測定に関連した新たな測定の性能を最適化することができる。
【0049】
実施例(アルツハイマー病)
脳波記録(EEG)は,脳の電気的活動を記録する。該活動は,脳の状態に関する情報を含む。EEGは,生理的であり,このため,アルツハイマー病などの特定の疾患の病変がEEGに影響を及ぼすと,それは,該疾患の重症度に対応した定量的測定としての候補となる。
【0050】
特徴のデータベースを構築するために臨床試験を行った。さまざまな程度の病状を有する60人のアルツハイマー病患者群を募り,各患者のEEGを記録した。各対象から3分間の記録を収集した。その間患者は目を閉じたままで安静であった。コンピュータ測定装置を用いて脳波信号を記録した。該記録は,従来の国際10−20電極配置法を用いて行った。収集したデータは,後の分析のために,記憶装置にローフォーマットで(in raw format)記憶する。記録中,該信号は,同時にコンピュータ画面上に表示される。これにより,オペレータは,電極が緩んできていないかを監視したり,特定のイベントを示すマークを入力したりすることができる。該イベントは,記録プロトコルの特定部分の開始や該記録に含まれるアーチファクトにつながりうる事象を示しうる。該事象には,対象が瞬きしたり,嚥下したり,動いたり,又は,一般にプロトコルに背く,といった行為が含まれる。特徴の抽出中,該イベントからの影響を除外した。特徴は,アーチファクトフリーの40秒間の記録を用いて抽出した。抽出した特徴は,科学文献(Adler G. et al. 2003, Babiloni C. et al. 2004, Bennys K. et al. 2001, Brunovsky M. et al. 2003, Cichocki et al. 2004, Cho S.Y. 2003, Claus J.J. et al. 1999, Hara J. et al. 1999, Holschneider D.P. et al. 2000, Hongzhi Q.I. et al. 2004, Huang C. et al. 2000, Hyung−Rae K. et al. 1999, Jelles B. et al. 1999, Jeong J. et al. 1998, 2001, 2004, Jonkman E. J. 1997, Kikuchi M. et al. 2002, Koenig T. et al. 2004, Locatelli T. et al. 1998, Londos E. et al. 2003, Montplaisir J. et al. 1998, Moretti et al. 2004, Musha T. et al. 2002, Pijnenburg Y.A.L. et al. 2004, Pucci E. et al. 1998,1999, Rodriquez G. et al. 1999, Signorino M. et al. 1995, Stam C. J. et al. 2003, 2004, Stevens A. et al. 1998, 2001, Strik W.K. et al. 1997, Vesna J. et al. 2000, Wada Y. et al. 1998, Benvenuto J. et al. 2002, Jimenez−Escrig A. et al. 2001, Sumi N. et al. 2000)で報告されている結果に由来するものであり,参照により本明細書に全文が組み込まれる。本実施例において使用した特徴に以下のように番号を付した。各チャネルから16の参照特徴を選択・抽出した。
1.絶対δパワー
2.絶対θパワー
3.絶対αパワー
4.絶対βパワー
5.絶対γパワー
6.相対δパワー
7.相対θパワー
8.相対αパワー
9.相対βパワー
10.相対γパワー
11.全パワー
12.ピーク周波数
13.中央周波数
14.スペクトル周波数
15.DFAスケーリング指数(α帯域振動)
16.DFAスケーリング指数(β帯域振動)
【0051】
データベースに収集したデータを行列Xに編成した。各列は,特定の患者の記録から抽出したすべての特徴を含んでいた。従って,該行列の次元は,対象数×抽出特徴数であった。次に,Xに対して主成分分析を行った。その後,各被験者の最大固有値(pc1)を有する主成分を同じ被験者のMMSEスコアに対してプロットした。図5から,pc1とMMSEとの間には傾向があるのがわかる。pc1とMMSEとの間の相関関係を立証するために,ピアソンの線形相関係数ρとケンドールのτを求めた。その結果,ρ=0.51[0.33,0.65]及びτ=0.38[0.24,0.51]であった。該2つの標準偏差は,ブートストラップリサンプリング法を用いて推定した。pc1とMMSEとの間の相関関係が有意であり,従って,pc1が該疾患の重症度に関連する定量的測定であることが立証された。我々は,従って,アルツハイマー病の進行を追跡可能な,EEG記録及び患者データのデータベースに基づいた,定量的測定を発見した。
【0052】
開示した実施形態のある特定の詳細は,本発明の明確かつ十分な理解を提供するために,限定というよりはむしろ説明のために記載した。しかしながら,当業者は,本開示の精神及び要旨から著しく逸脱することなく,本明細書に記載の詳細に完全に合致しない他の実施形態において本発明を実施可能であることを理解すべきである。さらに,この文脈において,また,簡略化と明確化を目的として,不必要な詳細および潜在的混乱を回避するために,周知の装置,回路,及び方法論を省略した。
【0053】
参照符号が特許請求の範囲に含まれているが,前記参照符号の含入は,明確化のために過ぎず,特許請求の範囲を限定するものと解釈すべきではない。
【0054】
参照文献のリスト
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
病状の重症度を反映した定量的測定を生成するためのシステムであって,
・M人の患者の集団から収集される生体信号データを受信する受信装置であって,該集団は,該患者がさまざまな程度の病状を有するように選択される,受信装置(102)と,
・プロセッサであって,
−該生体信号データを入力とし,前記集団内の各患者に対する参照特徴量を決定するように構成され,該決定は,予め定義した参照特徴のセット[f,・・・,f]に基づいて行われ,結果として参照特徴ベクトルF1・・・M=[value(f),value(f),・・・,value(f)]が得られ,該患者の該参照特徴ベクトルは,その後にM×N行列Aに編成され,及び
−該行列Aを該特徴の無相関線形結合x・f+x・f・・・x・fに変換するように構成され,インデックスx・・・,xは,データの分散を表し,インデックスx・・・,xの大きさは,該病状の重症度を示す
プロセッサ(103)と,
を含むシステム(100)。
【請求項2】
前記病状は,神経学的疾患である,
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記神経学的疾患は,アルツハイマー型(AD群)である,
請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記神経学的疾患は,以下:
・アルツハイマー病
・多発性硬化症
・鬱病を含む精神障害
・双極性障害及び統合失調症
・パーキンソン病
・てんかん,片頭痛
・血管性認知症(VaD)
・前頭側頭様型認知症
・レヴィー小体認知症
・クロイツ・フェルトヤコブ病
・vCJD(変異型クロイツ・フェルトヤコブ病)(「狂牛」病),及び
・AD/HD(注意欠陥/多動性障害)
から選択される,
請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記受信装置は,脳波(EEG)測定装置(106)と接続されるように構成され,
前記受信データは,脳波(EEG)データである,
請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記受信装置は,以下:
・磁気共鳴映像(MRI)装置
・機能的磁気共鳴映像(FMRI)装置
・脳磁気(MEG)測定装置
・ポジトロン放出断層撮影(PET)装置
・CATスキャン(コンピュータ体軸断層撮影)装置
・単光子放出コンピュータ断層撮影(SPECT)装置
・1つ以上の前記測定装置の組み合わせ
から選択される少なくとも1つの測定装置(106)と接続されるように構成され,
前記生体信号データは,1つ以上の前記装置からの測定データである,
請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記所定の参照特徴のセットは,以下:
・絶対δパワー
・絶対θパワー
・絶対αパワー
・絶対βパワー
・絶対γパワー
・相対δパワー
・相対θパワー
・相対αパワー
・相対βパワー
・相対γパワー
・全パワー
・ピーク周波数
・中央周波数
・スペクトル周波数
・DFAスケーリング指数(α帯域振動)
・DFAスケーリング指数(β帯域振動)及び
・全エントロピー
から選択される,
請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記データの分散を表す前記特徴の組み合わせの決定は,主成分分析(PCA)を用いる手段を含む,
請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
病状の重症度を反映した定量的測定を生成するための方法であって,
・さまざまな程度の該病状を有する患者の集団から収集される生体信号データを受信するステップ(201)と,
・該生体信号データを入力として使用し,該集団内の各患者に対する参照特徴量を決定するステップであって,該決定は,予め定義した参照特徴のセット[f,・・・,f]に基づいて行われ,結果として参照特徴ベクトルの結果F1・・・M=[value(f),value(f),・・・,value(f)]が得られ,該患者の該参照特徴ベクトルは,その後にM×N行列Aに編成される,ステップ(202)と,
−該行列Aを該特徴の無相関線形結合x・f+x・f・・・x・fに変換するステップであって,インデックスx・・・,xは,該データの分散を表し,インデックスx・・・,xの大きさは,該病状の重症度を示す,ステップと,
を含む方法。
【請求項10】
前記データの分散を表す前記特徴の組み合わせを既存の測定と比較することにより,該データの分散を表す該特徴の組み合わせに対して相関関係測定を行うステップをさらに含む,
請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記既存の測定は,ミニメンタルステート検査(MMSE)測定である,
請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記相関関係測定を行うためのステップは,
・前記データの分散を表す前記特徴の組み合わせからの一部の除外又は該データの分散を表す該特徴の組み合わせの変更を繰り返し行うステップと,その後に
・該データの分散を表す該属性の組み合わせの結果と前記既存の測定との相関関係を決定するステップと,
を含み,
該相関関係に寄与しない又は該相関関係を弱める除外部分は,該データの分散を表す該特徴の組み合わせから除外される,
請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
前記データの分散を表す前記属性の組み合わせを決定するステップは,主成分分析(PCA)を用いて行われ,
該データの分散を表す該属性の組み合わせは,その結果得られるPCAベクトルである,
請求項9〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
コンピュータプログラム製品であって,該製品をコンピュータ上で実行時に,請求項9〜13のいずれか一項に記載の方法ステップを実行するように処理装置に指示するコンピュータプログラム製品。
【請求項15】
請求項1〜8のいずれか一項に記載のシステムにより決定される定量的測定を実行することにより,少なくとも1つのプローブ化合物に対する成功指標を決定する成功監視システムであって,
・該少なくとも1つのプローブ化合物を試験対象に投与した後に,該試験対象から収集される生体信号データを受信する受信装置(302)と,
・プロセッサであって,
−前記M人の患者の集団に対する決定と同様に,該試験対象に対して類似特徴ベクトルF1・・・M=[test_subj(f),test_subj(f),・・・,test_subj(f)]を決定するように構成され,及び
−該試験対象に対して決定される該特徴ベクトルF1・・・M=[test_subj(f),test_subj(f),・・・,test_subj(f)]と該データの分散を表す前記特徴の組み合わせx・f+x・f・・・x・fのスカラー積を決定するように構成され,該スカラー積は,成功指標となる,
プロセッサ(303)と,
を含むシステム(300)。
【請求項16】
少なくとも1つのプローブに対する成功指標を決定する上で請求項9に記載の病状の重症度を反映した定量的測定を使用する方法であって,
・該少なくとも1つのプローブ化合物を試験対象に投与した後に,該試験対象から収集される生体信号データを受信するステップ(401)と,
・前記M人の患者の集団に対する決定と同様に,該試験対象に対して類似特徴ベクトルF1・・・M=[test_subj(f),test_subj(f),・・・,test_subj(f)]を決定するステップ(402)と,
・該試験対象に対して決定される該特徴ベクトルF1・・・M=[test_subj(f),test_subj(f),・・・,test_subj(f)]と該データの分散を表す該特徴の組み合わせx・f+x・f・・・x・fのスカラー積を決定するステップであって,該スカラー積は,成功指標となる,ステップ(403)と,
を含む方法。
【請求項17】
コンピュータプログラム製品であって,該製品をコンピュータ上で実行時に,請求項16に記載の方法ステップを実行するように処理装置に指示するコンピュータプログラム製品。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2010−528744(P2010−528744A)
【公表日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−510830(P2010−510830)
【出願日】平成20年6月9日(2008.6.9)
【国際出願番号】PCT/EP2008/057160
【国際公開番号】WO2008/148894
【国際公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【出願人】(507295244)
【Fターム(参考)】