説明

痩身装置

【課題】マッサージを行いながらリラックスさせ、人体の代謝活動を向上させて痩身効果を生起させることのできる痩身装置を提供する。
【解決手段】本発明に係る痩身装置では、水を満たした貯留槽の上部開口に防水性の可撓膜を張設し、貯留槽の内部から可撓膜に向けて水を噴出することにより、可撓膜上に横臥した人体を、可撓膜を介して押圧するウォーターベッドマッサージ部と、低周波電流を生成し、前記人体に通電する低周波治療部と、横臥した人体の上方部から体表面へ向けて遠赤外線及び/又は可視光線を照射する照射部と、を備えることとした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、痩身装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、肩こりや腰痛を緩和させるために種々のマッサージ機が提供されており、中でも、ウォーターベッド型のマッサージ機が知られている。
【0003】
このウォーターベッド型のマッサージ機は、水を満たした貯留槽の上部開口に防水性の可撓膜を張設し、貯留槽の内部から可撓膜に向けて水を噴出することにより、可撓膜上に横臥した人体を、可撓膜を介して押圧するように構成している。
【0004】
従って、同ウォーターベッド型のマッサージ機によれば、被施療者が横臥した状態で施療を受けることができるため、被施療者に負担をかけることなく効果的にマッサージを行うことができる(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2007−313126号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来のウォーターベッド型のマッサージ装置では、肩こりや腰痛等を緩和させることはできるものの、痩身効果が得られるとは言い難いものであった。
【0006】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであって、マッサージを行いながらリラックスさせ、人体の代謝活動を向上させて痩身効果を生起させることのできる痩身装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記従来の課題を解決するために、本発明に係る痩身装置では、水を満たした貯留槽の上部開口に防水性の可撓膜を張設し、貯留槽の内部から可撓膜に向けて水を噴出することにより、可撓膜上に横臥した人体を、可撓膜を介して押圧するウォーターベッドマッサージ部と、低周波電流を生成し、前記人体に通電する低周波治療部と、横臥した人体の上方部から体表面へ向けて遠赤外線及び/又は可視光線を照射する照射部と、を備えることとした。
【0008】
また、本発明に係る痩身装置では、以下の点にも特徴を有する。
【0009】
(1)前記ウォーターベッドマッサージ部には、横臥した人体の頭部近傍に、出入自在に構成した略半球状のフードを配設していること。
【0010】
(2)前記ウォーターベッドマッサージ部の水勢を調節する水勢調整器と、前記低周波治療部にて生成する電流を調節する電流調整器と、前記照射部より照射する遠赤外線量及び/または可視光線量を調節する線量調整器と、を有する操作パネル部を配設したこと。
【0011】
(3)前記操作パネル部は、前記フードの近傍であって、被施療者の視界外領域に配設していること。
【0012】
(4)前記低周波治療部は、低周波電流を出力する端子を備えた低周波電流生成器と、一端を前記低周波電流生成器に前記端子を介して着脱自在に接続し、他端を人体に貼付して前記低周波電流を人体に導通させる少なくとも2種以上の治療導子と、を備えると共に、前記各治療導子は、個々の治療導子を識別するための識別手段を有し、前記低周波電流生成器は、前記識別手段を認識して、いずれの治療導子が端子に接続されたかを検出する接続検知手段を有すること。
【0013】
(5)前記低周波電流生成器は、前記接続検知手段にて検知した治療導子の種別を前記操作パネル部に表示する種別表示手段を有すること。
【0014】
(6)前記治療導子は、人体に貼付するパッド部を有し、同パッド部は、人体の腹囲に貼付する帯状体の表面に、長手方向へ向けて複数の電極部を並設して構成していること。
【0015】
(7)前記パッド部には、8つの電極部を並設し、同パッド部の中央から左右外方へ向けて第1〜第4の4つの電極対を入れ子状に形成すると共に、前記低周波電流生成器は、第1電極対、第3電極対、第2電極対、第4電極対の順で低周波電流を通電すること。
【0016】
(8)前記照射部は、前記貯留槽の縁部に立設した壁体と、同壁体の上端に枢支した天板とを備え、同天板は、前記可撓膜と略平行状態となる閉状態と、前記可撓膜から離隔する開状態との間で開閉自在に構成すると共に、前記天板の前記可撓膜と対向する面には、遠赤外線源及び/または可視光線源を配設していること。
【0017】
(9)前記貯留槽は、横臥した人体の長手方向に長辺を有する平面視略長方形状に形成すると共に、前記壁体は、前記貯留槽の左右いずれか一方の長辺縁部に立設し、左右いずれか他方の縁部上方には側部開放空間を設けていること。
【0018】
(10)前記天板には、前記貯留槽の左右の縁部のうち、前記側部開放空間側の縁部に先端部を当接可能とした支持部材を配設していること。
【発明の効果】
【0019】
請求項1に記載の本発明によれば、水を満たした貯留槽の上部開口に防水性の可撓膜を張設し、貯留槽の内部から可撓膜に向けて水を噴出することにより、可撓膜上に横臥した人体を、可撓膜を介して押圧するウォーターベッドマッサージ部と、低周波電流を生成し、前記人体に通電する低周波治療部と、横臥した人体の上方部から体表面へ向けて遠赤外線及び/又は可視光線を照射する照射部と、を備えることとしたため、マッサージを行いながらリラックスさせ、人体の代謝活動を向上させて痩身効果を生起させることができる。
【0020】
また、請求項2に記載の本発明によれば、前記ウォーターベッドマッサージ部には、横臥した人体の頭部近傍に、出入自在に構成した略半球状のフードを配設しているため、被施療者が周囲を気にすることなく安心してリラックスすることができる。
【0021】
また、請求項3に記載の本発明では、前記ウォーターベッドマッサージ部の水勢を調節する水勢調整器と、前記低周波治療部にて生成する電流を調節する電流調整器と、前記照射部より照射する遠赤外線量及び/または可視光線量を調節する線量調整器と、を有する操作パネル部を配設したため、ウォーターベッドマッサージ部と、低周波治療部と、照射部とのそれぞれを容易に適宜調整することができる。
【0022】
また、請求項4に記載の本発明では、前記操作パネル部は、前記フードの近傍であって、被施療者の視界外領域に配設していることとしたため、施療者が操作パネルを操作している際にも、リラックスしている顔を覗き込まれるという不安感を被施療者に与えることなく、施療を行うことができる。
【0023】
また、請求項5に記載の本発明では、前記低周波治療部は、低周波電流を出力する端子を備えた低周波電流生成器と、一端を前記低周波電流生成器に前記端子を介して着脱自在に接続し、他端を人体に貼付して前記低周波電流を人体に導通させる少なくとも2種以上の治療導子と、を備えると共に、前記各治療導子は、個々の治療導子を識別するための識別手段を有し、前記低周波電流生成器は、前記識別手段を認識して、いずれの治療導子が端子に接続されたかを検出する接続検知手段を有することとしたため、低周波電流生成器は、接続された治療導子を検出することができる。
【0024】
また、請求項6に記載の本発明では、前記低周波電流生成器は、前記接続検知手段にて検知した治療導子の種別を前記操作パネル部に表示する種別表示手段を有することとしたため、施療者は、いずれの電流調整器を調整すれば、いずれの治療導子からの低周波電流の出力が変化するかを容易に確認することができる。
【0025】
また、請求項7に記載の本発明では、前記治療導子は、人体に貼付するパッド部を有し、同パッド部は、人体の腹囲に貼付する帯状体の表面に、長手方向へ向けて複数の電極部を並設して構成していることとしたため、腹囲を満遍なく刺激して腹囲の代謝活動を向上し、さらに痩身効果を生起させることができる。
【0026】
また、請求項8に記載の本発明では、前記パッド部には、8つの電極部を並設し、同パッド部の中央から左右外方へ向けて第1〜第4の4つの電極対を入れ子状に形成すると共に、前記低周波電流生成器は、第1電極対、第3電極対、第2電極対、第4電極対の順で低周波電流を通電することとしたため、腹囲をさらに効率よく刺激して痩身効果を高めることができる。
【0027】
また、請求項9に記載の本発明では、前記照射部は、前記貯留槽の縁部に立設した壁体と、同壁体の上端に枢支した天板とを備え、同天板は、前記可撓膜と略平行状態となる閉状態と、前記可撓膜から離隔する開状態との間で開閉自在に構成すると共に、前記天板の前記可撓膜と対向する面には、遠赤外線源及び/または可視光線源を配設していることとしたため、人体の上方から遠赤外線及び/または可視光線を満遍なく照射することができて、さらに痩身効果を高めることができる。
【0028】
また、請求項10に記載の本発明では、前記貯留槽は、横臥した人体の長手方向に長辺を有する平面視略長方形状に形成すると共に、前記壁体は、前記貯留槽の左右いずれか一方の長辺縁部に立設し、左右いずれか他方の縁部上方には側部開放空間を設けていることとしたため、ウォーターベッドマッサージ部に横臥している被施療者に過剰な圧迫感を与えることなく、さらにリラックスさせた状態で施療を行うことができる。
【0029】
また、請求項11に記載の本発明では、前記天板には、前記貯留槽の左右の縁部のうち、前記側部開放空間側の縁部に先端部を当接可能とした支持部材を配設していることとしたため、被施療者に過剰な圧迫感を与えることなく、しかも、天板の強度をさらに確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
本発明は、水を満たした貯留槽の上部開口に防水性の可撓膜を張設し、貯留槽の内部から可撓膜に向けて水を噴出することにより、可撓膜上に横臥した人体を、可撓膜を介して押圧するウォーターベッドマッサージ部と、低周波電流を生成し、前記人体に通電する低周波治療部と、横臥した人体の上方部から体表面へ向けて遠赤外線及び/又は可視光線を照射する照射部と、を備えた痩身装置を提供するものである。
【0031】
このような痩身装置によれば、従来のウォーターベッド型のマッサージ機では十分に得られなかった痩身効果を、効果的に生起させることができる。
【0032】
特に近年、ダイエットブームにより細身の肢体がもてはやされており、痩身は健康志向の一環として受け入れられてきつつある。
【0033】
元来マッサージ装置は、人体を押圧して血行を改善し、代謝活動を向上させてこりの改善等を行う機能を有しているが、従来のウォーターベッド型のマッサージ機では痩身効果を生起できるものではなかった。
【0034】
本発明者は、この点について鋭意研究を行い、体脂肪の代謝活動は、被施療者の心理面が大きく関与していることを見出した。
【0035】
すなわち、十分な痩身効果を生起するためには、被施療者が心身ともに十分にくつろいだ状態となることが重要であり、リラックスすることで筋を弛緩させ、代謝を高めて効率の良い痩身を行うことができるのである。
【0036】
そこで、本発明者らは、ウォーターベッド型のマッサージ機をベースとして、低周波治療部と、照射部とを設けることにより、従来のウォーターベッド型のマッサージ機からは想到し得なかった痩身効果を生起可能とする痩身装置を発明するに至った。
【0037】
ここで、ウォーターベッドマッサージ部に使用する可撓膜の素材は、人体が横臥しても破れたり、水がしみ出すことがない素材であれば特に限定されるものではなく、例えば、合成ゴム、天然ゴム、塩化ビニル等を使用することができる。
【0038】
中でも、可撓膜の素材は、身体の形状にぴったり適合するように、薄くて、かつ、弾力を有し、人体の重みを支えるだけの十分な強度を有する可撓性ゴムを好適に用いることができる。
【0039】
また、硬さの異なる複数種のゴムを積層して多層構造のゴムシートを形成して可撓膜として使用するようにしても良い。このような方法によれば、さらに人体にフィットする可撓膜とすることができる。
【0040】
また、ウォーターベッドマッサージ部による水圧マッサージによれば、疲労回復、不眠やイライラの解消、ストレスの解消、リラクゼーション効果、血行促進、新陳代謝向上、胃腸の働きの改善、副交感神経の活動の向上、ホルモンバランスの改善、冷え性の改善、老廃物の除去、細胞の活性化、むくみの改善、便秘の改善等を生起することができると考えられる。
【0041】
また、ウォーターベッドマッサージ部にて行うマッサージは、いわゆるリンパマッサージとしても良い。
【0042】
リンパマッサージは、体内のリンパ管に流れるリンパ液の流れを円滑にすべく、リンパ管やリンパ節近傍の筋肉や皮膚を刺激するマッサージである。
【0043】
このリンパマッサージによれば、リンパの流れを改善して、体内の代謝活動を飛躍的に向上させることができる。
【0044】
すなわち、ウォーターベッドマッサージ部にて、後述する噴流台車に配設したノズルを、可撓膜上に横臥した被施療者のリンパ管やリンパ節に沿って移動させることにより、被施療者の脂肪代謝を向上させて、さらなる痩身効果を生起させることができるのである。
【0045】
低周波治療部は、人体の筋肉を刺激して、疲労やこりをほぐすと共に、筋肉周囲の脂肪の代謝を促進するためのものである。
【0046】
ここで通電する低周波電流は、例えば1〜50mA程度の電流とすることができ、また、その波形は、間欠的な波形を有するパルス波や、陽極と陰極とが連続的に切り替わる、いわゆるトップラー波としても良い。
【0047】
後に詳述するが、使用する低周波電流をトップラー波とした場合には、人体に通電する単位時間あたりの電流量を大きくすることができるため、人体の深部に至るまで刺激して効果的に脂肪の代謝を促進するとともに、人体を内部から暖めて、被施療者がリラックスしやすい環境をより整えることができる。
【0048】
また、低周波治療部により低周波電流を人体に通電することで、例えば、マッサージ効果、リラクゼーション効果、脂肪燃焼効果、筋疲労の緩和、筋肉強化、新陳代謝や基礎代謝の向上、太りにくい体への体質改善、リンパ液の流れの促進、カロリー消費、メタボリック症候群の改善等を生起することができると考えられる。
【0049】
照射部は、ウォーターベッドマッサージ部に横臥した被施療者(人体)の上方部から体表面に向けて遠赤外線や可視光線を照射する部位である。
【0050】
遠赤外線は、およそ4〜1000μm程度の波長を有する電磁波であり、人体を内部から暖めて、被施療者がリラックスしやすい状態とすると共に、脂肪代謝の促進を図るようにしている。
【0051】
特に、この遠赤外線は、前述のトップラー波と併用することにより、飛躍的に脂肪代謝を促進させることができる。しかも、トップラー波が皮膚を穏やかに刺激しつつ、遠赤外線の効果で発汗を促すことにより、皮膚の汚れや老廃物を排出させて肌質の改善を行うこともできる。
【0052】
一般に、体型の改善を望む被施療者は、肌質にも気を使うことが多い。それゆえ、痩身と同時に肌質の改善が可能ということは、被施療者の利便性に大きく貢献するものであると言える。
【0053】
また、可視光線は、被施療者が色彩として認識可能な波長領域の可視光線であれば特に限定されるものではない。特に、被施療者に対して単一の色として認識させることのできる可視光線は、被施療者の心と体の両方に深く働きかける効果を有しているといわれており、安らぎを与えたり、心身のバランスを整えるのに役立つため、一般にカラーセラピーとしても知られている。
【0054】
なお、被施療者の視角により、被施療者の心身のバランスを整えるためには、同じ色であっても、物体に配色された色よりも、可視光線の色であるほうが効果がある。
【0055】
可視光線の種類としては、例えば、赤色光線(610〜780nm)、青色光線(435〜480nm)、緑色光線(500〜560nm)等とすることができる。
【0056】
赤色光線は、被施療者の視野内に照射すると、被施療者を和ませたり、ぬくもりを感じさせたり、時間がゆっくり流れる感覚を付与したり、高揚感を与えることができ、疲労感を緩和したり、代謝活性を向上させることができる。
【0057】
青色光線は、被施療者の視野内に照射すると、被施療者を落ち着かせることができ、被施療者がくつろげる環境を整えて、代謝活性を向上させることができる。
【0058】
緑色光線は、被施療者の視野内に照射すると、被施療者に爽快感を与えることができ、被施療者がくつろげる環境を整えて、代謝活性を向上させることができる。
【0059】
また、赤色、青色、緑色以外の色でも、例えば、オレンジ色や紫色や黄色等を好適に用いることができる。オレンジ色の可視光線によれば、被施療者に対してリフレッシュ効果を生起させることができ、また、紫色の可視光線によれば、催眠効果や精神の安定等を生起させることができ、また、黄色の可視光線によれば、時間がゆっくり流れる感覚を付与して被施療者をくつろがせることができる。
【0060】
この遠赤外線や可視光線は、被施療者に対してそれぞれ別個に照射するようにしても良く、また、同時に使用するようにしても良い。
【0061】
たとえば、ウォーターベッドマッサージ部のマッサージを行いながら、可視光線を照射して、被施療者がリラックスしやすい環境を整え、次いで、低周波治療を行いながら、遠赤外線を照射して脂肪の燃焼を促進するようにしても良い。
【0062】
また、マッサージと、低周波治療と、遠赤外線照射と、可視光線照射とを同時に行うことも勿論可能であり、効果的な痩身を行うことができる。
【0063】
すなわち、マッサージと、低周波治療と、遠赤外線照射と、可視光線照射とを同時に行うことにより、遠赤外線とウォーターベッドマッサージとで血行を促進させて低周波電流が体内の深部に至るまで到達するようになり、相乗的に脂肪燃焼効果が向上する。しかも、この際、被施療者の皮膚表面は遠赤外線等の温熱効果によって皮膚抵抗が下がるため、さらに低周波電流が深部に至りやすくなる。これにより、より深部の筋肉も刺激されることとなり、さらなる痩身効果が促進される。
【0064】
また、この際、ウォーターベッドマッサージ部独特の浮遊感が、被施療者の筋肉の緊張を和らげて、更に痩身効果を促進することとなる。
【0065】
また、本発明に係る痩身装置の特徴的な点の一つとして、ウォーターベッドマッサージ部には、横臥した人体の頭部近傍に、出入自在に構成した略半球状のフードを配設するようにしても良い。
【0066】
このフードを配設することにより、被施療者の頭部近傍の視野を遮って、被施療者が落ち着いて施療できる環境とすることができる。すなわち、被施療者に対し、心理的な安堵感を与えてリラックスを促し、脂質代謝が行われやすい環境とすることができる。
【0067】
また、このフードの内方には、例えば、高濃度の酸素や、芳香物質を供給するようにしても良い。
【0068】
例えば、痩身装置の内部または近傍に酸素含量を65%程度に高めた圧縮気体を生成する濃縮酸素発生器を配設すると共に、同濃縮酸素発生器で生成した圧縮気体をフード内に供給することで、被施療者に高濃度の酸素を吸入させることができ、リラックスを促すと共に、脂肪燃焼の促進を行うことができる。
【0069】
また、濃縮酸素発生器に芳香発生部を設けたり、濃縮酸素発生器とは別体に芳香発生器を圧縮気体の供給口やフード内に配設し、圧縮気体に、一般に好まれる花や果実、樹木等の芳香や被施療者が好む芳香を付与することで、被施療者がよりくつろげる環境とすることができる。
【0070】
しかも、圧縮気体に芳香を付与することにより、被施療者は好んで圧縮気体を吸入することとなり、体内には更なる酸素が供給されることとなるため、脂肪の代謝をより促進することができる。
【0071】
併せて、不特定多数の被施療者が痩身装置を使用する場合、多くの人が使用することで、体臭や汗などにより不快な匂いが付着した場合であっても、芳香で不快臭をマスキングして、次に使用する被施療者に不快感を与えることを防ぐと共に、高濃度の酸素で不快臭の原因物質の酸化を促して、不快臭が低減するのを促進させることができる。
【0072】
また、本発明に係る痩身装置では、前記ウォーターベッドマッサージ部の水勢を調節する水勢調整器と、前記低周波治療部にて生成する電流を調節する電流調整器と、前記照射部より照射する遠赤外線量及び/または可視光線量を調節する線量調整器と、を有する操作パネル部を配設するようにしても良い。
【0073】
すなわち、水勢調整器と、電流調整器と、線量調整器とを操作パネル部にまとめて配設することにより、施療者がウォーターベッドマッサージ部や低周波治療部や照射部を操作する際に、各部の施療バランスを容易に確認することができる。
【0074】
また、この操作パネル部は、フードの近傍であって、被施療者の視界外領域に配設すると良い。
【0075】
施療を受ける被施療者は、多くの場合、Tシャツとショートパンツだけを身につけた状態や、水着やレオタード等を身につけた状態など、比較的肌の露出の多い状態となっており、特に被施療者が女性の場合、横臥した無防備な姿の状態では、他人が視野内に入るのを嫌う傾向がある。
【0076】
このような被施療者の場合、操作パネル部を操作する施療者が見えたり、目があったりすると、自ずと緊張感や羞恥心が生じ、痩身効果を阻害する原因となるおそれがある。
【0077】
そこで、操作パネル部を、被施療者の視界外領域に配設することにより、被施療者に視認されることなく、被施療者は水勢調整器や電流調整器や線量調整器を調整することができ、被施療者のリラックス状態が阻害されるのを防止することができる。
【0078】
また、本発明に係る痩身装置では、低周波治療部は、低周波電流を出力する端子を備えた低周波電流生成器と、一端を前記低周波電流生成器に前記端子を介して着脱自在に接続し、他端を人体に貼付して前記低周波電流を人体に導通させる少なくとも2種以上の治療導子と、を備えると共に、前記各治療導子は、個々の治療導子を識別するための識別手段を有し、前記低周波電流生成器は、前記識別手段を認識して、いずれの治療導子が端子に接続されたかを検出する接続検知手段を有するようにしても良い。
【0079】
例えば、痩身装置の所定の場所に、前述の端子を複数設け、施療者が任意で選択した端子に、任意で選択した治療導子を接続しても、低周波電流生成器は、いずれの端子にいずれの治療導子が接続されているかを認識することができる。
【0080】
ここで、各治療導子に設けられる識別手段と、低周波電流生成器に設けられる接続検知手段とは、例えば、次のようなものとすることができる。
【0081】
仮に、A,B,Cの3種の治療導子がある場合において、低周波電流生成器に接続するプラグをピンプラグとし、同ピンプラグの外形はいずれも同一とするも、プラグ内から突出するピン数を各治療導子の種別毎に異ならせて識別手段とし、一方、低周波電流生成器側では、通電可能なピンプラグを導通により検出することで、いずれの治療導子が端子に接続されたかを検出する接続検知手段とすることができる。
【0082】
この方法によれば、一種類の端子の形状で、多種の治療導子を接続することができ、しかも、いずれの治療導子が接続されているかを検知することができる。
【0083】
また、別の方法として、各治療導子側に、種別毎に異なった信号を生成する種別信号発生回路を設けて識別手段となす一方、低周波電流生成器側に受信した種別信号を検知して接続された治療導子の種別を判別する判別回路を設けて接続検知手段としても良い。
【0084】
また、さらに別の方法として、各治療導子の種別毎に異なった電気抵抗を有することとして識別手段となす一方、低周波電流生成器側でその抵抗負荷を検知して接続された治療導子の種別を判別する判別回路を設けて接続検知手段とすることもできる。
【0085】
また、低周波電流生成器は、接続検知手段にて検知した治療導子の種別を前記操作パネル部に表示する種別表示手段を有することとしても良い。
【0086】
このような構成とすることにより、施療者は、端子に接続されている治療導子がいずれの治療導子であるかを容易に判別することができる。また、予め貼付位置が定められた治療導子を用いる場合には、例えば、どの電流調整器を調整すれば、被施療者のどの部位に貼付した治療導子の出力を変更することができるのかを容易に確認することができる。
【0087】
この予め貼付位置が定められた治療導子は、例えば、人体に貼付するパッド部を有し、同パッド部は、人体の腹囲に貼付する帯状体の表面に、長手方向へ向けて複数の電極部を並設して構成したものであっても良い。
【0088】
このような治療導子は、被施療者が仰向けの状態の場合には、被施療者の腹部に載置して、右脇腹や腹部や左脇腹を刺激するものであり、また、被施療者がうつぶせの状態の場合には、被施療者の腰部に載置して、右脇腹や背中(腰)や左脇腹を刺激するものとなる。
【0089】
このような治療導子によれば、長手方向へ向けて複数の電極部を並設しているため、腰回りや腹回りを満遍なく刺激して、体脂肪の代謝を効果的に促進させることができる。
【0090】
また、パッド部には、8つの電極部を並設し、同パッド部の中央から左右外方へ向けて第1〜第4の4つの電極対を入れ子状に形成すると共に、前記低周波電流生成器は、第1電極対、第3電極対、第2電極対、第4電極対の順で低周波電流を通電するようにしても良い。
【0091】
これは、後に図面を用いて説明するが、このような順で腹部(腰部)を刺激することにより、身体の左右中心から両脇腹へ向けて反復的にマッサージすることができ、腹部(腰部)の脂肪の代謝をさらに促進させることができる。
【0092】
照射部は、前記貯留槽の縁部に立設した壁体と、同壁体の上端に枢支した天板とを備え、同天板は、前記可撓膜と略平行状態となる閉状態と、前記可撓膜から離隔する開状態との間で開閉自在に構成すると共に、前記天板の前記可撓膜と対向する面には、遠赤外線源及び/または可視光線源を配設して構成しても良い。
【0093】
このような構成とすることにより、被施療者の上部から遠赤外線や可視光線を効率的に被施療者に対して照射することができる。但し、ここで、遠赤外線源及び/または可視光線源は、被施療者の目に各光線が直接入射しない位置に配設するのが望ましい。光線を放射中の線源を被施療者が直視すると、被施療者が不快感を覚えるおそれがあり、リラックス状態を阻害することとなるため好ましくない。
【0094】
また、天板は、前記可撓膜と略平行状態となる閉状態と、前記可撓膜から離隔する開状態との間で開閉自在に構成しているため、被施療者が可撓膜上に乗り降りしやすく、利便性を向上させることができる。
【0095】
また、貯留槽は、横臥した人体の長手方向に長辺を有する平面視略長方形状に形成すると共に、前記壁体は、前記貯留槽の左右いずれか一方の長辺縁部に立設し、左右いずれか他方の縁部上方には側部開放空間を設けると良い。
【0096】
被施療者が施療中の際には、頭部がフードで覆われているが、体の周囲、すなわち、被施療者の身体の上方及び左右両側が天板や壁体によって囲まれると、被施療者は強い閉塞感を覚えることとなり、リラックス状態を阻害するおそれがある。
【0097】
そこで、本発明に係る痩身装置では、左右いずれか他方の縁部上方には側部開放空間を設けることとしたため、施療者に強い閉塞感を与えることなく、リラックスして施療を受けさせることができる。
【0098】
また、天板には、前記貯留槽の左右の縁部のうち、前記側部開放空間側の縁部に先端部を当接可能とした支持部材を配設することで、天板の重量を支えることができ、照射部の強度をさらに向上させることができる。
【0099】
上述してきたように、本発明に係る痩身装置では、ウォーターベッドマッサージ部と低周波治療部と照射部とを備えることとしたため、被施療者をリラックスした環境下で効果的に脂肪代謝を向上させて、十分な痩身効果を生起させることができる。
【0100】
しかも、血流の改善を促して、疲れやこりをほぐすことが可能であるのは勿論のこと、可視光線によるいわゆるカラーセラピー効果を生起して人体の代謝活動の向上やくつろぎの感覚を付与したり、リラックス環境下でのマッサージによりストレスを緩和したり、遠赤外線と低周波電流との相乗的な効果により発汗を促して肌質の改善を行うことができる。
【0101】
以下、本実施形態に係る痩身装置について、図面を用いながら詳説する。
【0102】
図1は、本実施形態に係る痩身装置Aの平面図であり、図2は、本実施形態に係る痩身装置Aの側面図であり、図3はウォーターベッドマッサージ部の構成を示す模式図である。なお、図2では、説明の便宜上、横臥している被施療者P及び治療導子31は省略している。
【0103】
図1及び図2にも示すように、本実施形態に係る痩身装置Aは、横臥した被施療者P(人体)の長手方向に長辺を有する平面視略長方形状の貯留槽10を有するウォーターベッドマッサージ部11と、前記貯留槽10の縁部12から略L字状に屈曲した状態でウォーターベッドマッサージ部11にオーバーハングさせた照射部20と、後述する低周波電流生成器30及び図1に示した治療導子31を有する低周波治療部32とを備えている。
【0104】
ウォーターベッドマッサージ部11は、いわゆるウォーターベッド上で、水流によるマッサージを施術する部位であり、上部開口13を有する矩形箱型の貯留槽10内部に水又は湯を充填するとともに、上部開口13に可撓膜14を水密状に張設してウォーターベッドを構成している。
【0105】
しかも、貯留槽10の底面15(図3参照)には、後に詳述するが、噴流台車16を、可撓膜14上に横臥した被施療者Pの身長方向及び肩幅方向に向けて往復移動可能に配設し、噴流台車から可撓膜に向けて噴出する水(湯)により、被施療者Pを可撓膜14を介して押圧可能としている。
【0106】
このような機能を実現すべく、本実施形態に係る痩身装置Aのウォーターベッドマッサージ部11には、噴流台車16を駆動するための、台車駆動部57と、噴流台車16から噴出させる水流の循環を行う噴流循環部58と、貯留槽10内の水(湯)を適温に保つための水温冷却部59及びヒータ56とを備えている。
【0107】
このウォーターベッドマッサージ部11について、まず、噴流循環部58について具体的に説明すると、貯留槽10は、図1〜図3に示すように、底面15に吸水口17を形成するとともに、貯留槽10の側壁に噴出口18を形成している。
【0108】
そして、吸水口17と噴出口18との間には、循環ポンプ19を介設している。また、噴出口18に、噴流台車16に配設したノズル40を連通連結している。図中、41は噴流台車16の往復移動に追従できるべく可撓性を有する連結ホースであり、ノズル40に接続している。
【0109】
そして、循環ポンプ19を駆動することにより、貯留槽10内の湯等を吸水口17から吸い込み、噴流台車16に配設したノズル40から噴出するようにしている。
【0110】
次に、台車駆動部57について具体的に説明すると、貯留槽10は、図3に示すように、底面15の長手方向両端に駆動プーリ42と従動プーリ43とをそれぞれ配設し、両プーリ42,43間に噴流台車移動用ベルト44を巻回している。
【0111】
そして、同噴流台車移動用ベルト44の下方にレール45を噴流台車移動用ベルト44に沿わせて配設するとともに、噴流台車移動用ベルト44の側方に、ノズル40を肩幅方向に移動するためのスプライン軸(図示せず)を噴流台車移動用ベルト44に沿わせて配設して、被施療者Pの身長方向及び肩幅方向に向けて往復移動可能としている。
【0112】
噴流台車16のノズル40を被施療者Pの身長方向に移動させるための構成について、さらに説明すると、噴流台車16は、図3に示すように、上部にノズル40を配設し、下部に転動輪46,46を配設している。
【0113】
一方、噴流台車移動用ベルト44は、貯留槽10の下部に配設したベルト駆動用モータ47に駆動プーリ42を介して連動連結している。すなわち、ベルト駆動用モータ47のモータ軸48にプーリ軸49を連動連結するとともに、同プーリ軸49の先端に駆動プーリ42を取付け、同駆動プーリ42に噴流台車移動用ベルト44を装着している。
【0114】
プーリ軸49は、貯留槽10の底面15に形成した貫通孔(図示せず)から内方へ向けて水密状態を保ちながら回動自在に支持されている。そして、ベルト駆動用モータ47を駆動することにより噴流台車移動用ベルト44が回動して、同ベルト44に連結した噴流台車16をレール45に沿って貯留槽10の長手方向、すなわち、可撓膜14上に横臥した被施療者Pの身長方向に往復移動するようにしている。
【0115】
尚、プーリ軸47の下端部には、ロータリーエンコーダ50を配設し、プーリ軸49の回転量を測定することにより噴流台車16の位置を知ることができるようにしている。
【0116】
次に、貯留槽10内の湯等を適温に保つための水温冷却部59の構成及びヒータ56について説明する。
【0117】
本実施形態に係る痩身装置Aでは、貯留槽10の側壁に吸引口51と吐出口52とを形成するとともに、吸引口51と吐出口52との間に吸引ポンプ53とラジエター54とを介設している。
【0118】
ラジエター54には、冷却ファン55を取付けている。また、貯留槽10内にはヒータ56を配設している。
【0119】
そして、吸引ポンプ53により吸引口51から貯留槽10内の湯等を吸引し、ラジエター54及び冷却ファン55により湯等を強制的に冷却し、再び吐出口52から貯留槽10内に吐出することにより、貯留槽10内の湯等を冷却可能としている。一方、ヒータ56により貯留槽10内の湯等を加熱可能としている。
【0120】
そのため、貯留槽10内に水温センサーを配設し、同水温センサーにより貯留槽10内の湯等の温度を測定し、湯等を加熱又は冷却することにより常に貯留槽10内の水温を適温に維持でき、マッサージ効果を高めることができる。
【0121】
また、貯留槽10内の水温により可撓膜14も適温に維持できるため、可撓膜14上に横臥した被施療者Pも、可撓膜14が熱すぎたり冷たすぎることがなく、不快感を受けることがない。
【0122】
また、噴流台車16から噴出する噴流によって貯留槽10内で湯等が摩擦することにより、貯留槽10内の水温が上昇しても、貯留槽10内の湯等を冷却することができ、ウォーターベッドマッサージ部11を長時間連続使用することができる。
【0123】
尚、本実施形態では、ラジエター54及び冷却ファン55を用いて貯留槽10内の湯等を冷却可能としているが、貯留槽10の内部にパイプを配管し、同パイプに冷却水を流すことによっても湯等を冷却できる。
【0124】
上述してきたように、本実施形態に係る痩身装置Aのウォーターベッドマッサージ部11は、図1〜図3に示すように、台車駆動部57と、噴流循環部58と、水温冷却部59とヒータ56とを備えている。
【0125】
そして、これらは図2及び図3に示す基板収納箱60に収容された回路基板61に接続されており、後に詳述するが、同回路基板61上の噴流循環部制御回路62や台車駆動部制御回路63や水温冷却部制御回路64やヒータ制御回路65を介して、それぞれ痩身装置制御回路66に接続されている。
【0126】
また、痩身装置制御回路66には、ノズル40から噴出させる水流の水圧や、噴流台車16の移動の調節や、貯留槽10内の水温の調節を可能とした操作パネル部67が接続されており、施療者がそれぞれ調節できるようにしている。
【0127】
そのため、痩身装置Aは、被施療者Pに対し、ウォーターベッドマッサージ部11にて適宜各種のマッサージを行うことができる。
【0128】
また、ウォーターベッドマッサージ部11には、図1及び図5(b)に示すように、被施療者P自らが噴流台車16から噴射される水の水圧(すなわち、マッサージの強さ)を調整できるように、リモートコントローラ71を配設しており、このリモートコントローラ71も痩身装置制御回路66に接続している。
【0129】
このように、ウォーターベッドマッサージ部11は、可撓膜14上に横臥した被施療者Pの身長方向及び肩幅方向にノズル40を往復移動させることができるため、被施療者Pの様々な位置を、所望の強度で刺激することができ、高いマッサージ効果が得られる。
【0130】
すなわち、ウォーターベッドマッサージ部11による水圧マッサージによれば、高いマッサージ効果を得ることができるため、疲労回復やストレスを解消しながらも、リラクゼーション効果を生起して、低周波治療部32や照射部20と共に、痩身効果を向上させる一端を担うことができる。
【0131】
また、ウォーターベッドマッサージ部11に特徴的な構成の一つとして、可撓膜14上に横臥した被施療者Pの頭部近傍に、出入自在に構成した略半球状のフード68を配設している。
【0132】
すなわち、図4(a)に示すように、フード68は、被施療者Pの頭部近傍位置にある貯留槽10の縁部12に配設した中空で略1/4半球状のフード本体69と、同フード本体69に回動自在に枢支され、出し入れ自在とした中空で略1/4半球状の可動覆い部70とを備えている。
【0133】
そして、被施療者Pが施療の最中は、可動覆い部70を引き出してフード68を中空略半球状として被施療者Pの視界を遮り、被施療者Pが施療に集中しつつリラックスできるようにしている。
【0134】
また、被施療者Pが可撓膜14上に乗り降りする際には、図4(b)に示すように、被施療者Pの頭部がフード68に衝突しないよう、収納可能としている。
【0135】
そして、このフード68の近傍には、被施療者の視界外領域となる位置に、操作パネル部67を配設している。特に、本実施形態では、フード本体69の外側であって、ウォーターベッドマッサージ部11の上端部72の左右方向略中央位置に配設している。
【0136】
このように操作パネル部67を配設することにより、施療者が操作パネル部67を注視した場合であっても、被施療者Pが施療者の視線を気にすることなく、リラックスして施療に集中することができ、体内の脂肪代謝活性を向上させることができる。
【0137】
また、この操作パネル部67には、図5(a)に示すように、ウォーターベッドマッサージ部11の水勢を調節する水勢調整器74と、低周波治療部32にて生成する電流を調節する電流調整器75と、照射部20より照射する遠赤外線量及び/または可視光線量を調節する線量調整器76とを集中的に配設しており、施療者が施療中に、ウォーターベッドマッサージ部11や低周波治療部32や照射部20の調節を行うために、各場所に移動してそれぞれ調整するという繁雑な作業を軽減することができる。
【0138】
次に、本実施形態に係る痩身装置Aを構成する照射部20について説明する。
【0139】
照射部20は、図1、図2、及び図6に示すように、貯留槽10の縁部12に立設した壁体80と、同壁体80の上端に枢支した天板81とを備えている。
【0140】
壁体は、貯留槽10の左右いずれか一方の長辺縁部12(本実施形態では、図1中において、上方の長辺の縁部12)に立設しており、壁体80の上端に設けた枢支部82を介して天板81を回動自在に枢支している。
【0141】
また、天板81は、図6(a)に示すように、可撓膜14と略平行状態となる閉状態(図6(a)において実線で示す)と、前記可撓膜14から離隔する開状態(図6(a)において二点鎖線で示す)との間で開閉自在に構成しており、被施療者Pが可撓膜14上に乗り降りする際の利便を図るようにしている。
【0142】
また、壁体80を立設していない方の縁部12の上方には側部開放空間Vを形成しており、天板81を閉状態とした際に被施療者Pが過剰な圧迫感を感じることのないようにしている。
【0143】
さらに、天板81には、貯留槽10の左右の縁部12のうち、側部開放空間V側の縁部12に先端部を当接可能とした支持部材85を配設している。これにより、天板の強度をさらに確保するようにしている。
【0144】
そして、天板81の可撓膜14と対向する面には、図6(b)に示すように、遠赤外線源としての遠赤外線照射パネル83と、可視光線源としてのLEDパネル84を配設している。
【0145】
遠赤外線照射パネル83は、通電することにより遠赤外線を放射するものであり、同遠赤外線照射パネル83に所望の電流量を通電して遠赤外線を放射させ、被施療者Pを暖める役割を果たすものである。
【0146】
また、遠赤外線は物体を透過する能力が近赤外線等に比して強く、人体の深部から暖めて血流を促進させ、被施療者Pにリラックス感を与えるとともに、効率の良い脂肪の代謝を行って痩身効果を生起させることができる。
【0147】
LEDパネル84は、基板上に赤、緑、青の多数のLED(発光ダイオード)を配設して形成したパネルであり、それぞれのLEDに通電することにより、被施療者Pに向けて赤、緑、青、またはこれらの光を同時発色した色(例えば、オレンジ色や紫色)を有する可視光線を照射できるようにしている。
【0148】
これらの可視光線は、被施療者Pに対して心理的に働きかけることにより、リラックス感を与えたり、高揚感を与えたりすることができ、痩身効果を増長させる役割を担っている。
【0149】
次に、本実施形態に係る痩身装置Aを構成する低周波治療部32について説明する。
【0150】
低周波治療部32は、低周波電流生成器30と治療導子31とを備えている。また、低周波電流生成器30は、低周波電流発生器制御回路77と、同低周波電流発生器制御回路77により制御されながら生成された低周波電流を送出するための複数(本実施形態では2個)の端子79とで構成している。
【0151】
低周波電流発生器制御回路77は、ウォーターベッドマッサージ部11の上端部72近傍に配設された基板収納箱60内にある回路基板61上に形成されている。
【0152】
また、端子79は、ウォーターベッドマッサージ部11の下端部73の縁部12上に配設された端子台78上に複数個(本実施形態では2個)配設されており、治療導子31を着脱可能に接続できるようにしている。
【0153】
また、各端子79は、低周波電流発生器制御回路77に接続されており、同低周波電流発生器制御回路77にて生成した低周波電流を送出可能に形成している。特に本実施形態に係る痩身装置Aでは、この各端子79はメス側ピンプラグとしており、後述する8ピン型のオス側ピンプラグが挿入可能なものとしている。
【0154】
治療導子31は、図7に示すように、複数種(本実施形態では、説明の便宜上2種)備えられている。なお、図7に示す治療導子31のうち、図7(a)に示す治療導子31は、被施療者Pの腹部や腰部に通電するためのもの(以下において、「腹部治療導子」ともいう)であり、図7(b)に示す治療導子31は、被施療者Pの両脚に通電するためのもの(以下において、「脚部治療導子」ともいう)である。
【0155】
この治療導子31は、前述の端子79に挿入可能な形状を有するコネクタ86を備えた通電ケーブル87と、同通電ケーブル87から得られる低周波電流を被施療者P(人体)に貼付して流すためのパッド部88とを備えている。
【0156】
腹部治療導子のコネクタ86は、図8(a)の右上に示すように、それぞれ別個に通電可能な1番ピン〜8番ピンまでの8つのピンを備えている。
【0157】
また、パッド部88には、8つの電極部90を配設しており、各電極部90は、それぞれ、前述の1番ピン〜8番ピンに通電可能に接続している。そして、この電極部90を被施療者Pに接触させることにより、低周波電流発生器制御回路77にて生成した低周波電流を被施療者Pに通電できるようにしている。
【0158】
より具体的に説明すると、図9(a)において(1)で示した電極部90は、1番ピンに接続され、(2)で示した電極部90は、2番ピンに接続され、(3)で示した電極部90は、3番ピンに接続され、(4)で示した電極部90は、4番ピンに接続され、(5)で示した電極部90は、5番ピンに接続され、(6)で示した電極部90は、6番ピンに接続され、(7)で示した電極部90は、7番ピンに接続され、(8)で示した電極部90は、8番ピンに接続されており、それぞれに低周波電流を通電可能としている。
【0159】
また、(1)及び(2)で示した電極部90は、それぞれ対をなして通電する第1電極対を形成し、(5)及び(6)で示した電極部90は、それぞれ対をなして通電する第2電極対を形成し、(4)及び(3)で示した電極部90は、それぞれ対をなして通電する第3電極対を形成し、(8)及び(7)で示した電極部90は、それぞれ対をなして通電する第4電極対を形成している。
【0160】
換言すると、前記パッド部には、8つの電極部を並設し、同パッド部の中央から左右外方へ向けて第1〜第4の4つの電極対を入れ子状に形成している。
【0161】
そして、低周波電流発生器制御回路77では、1番ピン及び2番ピンに通電することにより、第1電極対の(1)及び(2)で示した電極部90が交互に陽極または陰極となって、被施療者Pに通電することができる。
【0162】
この第1電極対と同様に、第2電極対は5番ピン及び6番ピンに通電することにより、また、第3電極対は3番ピン及び4番ピンに通電することにより、また、第4電極対は8番ピン及び7番ピンに通電することにより、それぞれ各電極部90近傍の筋肉を刺激できるようにしている。
【0163】
特に、本実施形態に係る痩身装置Aでは、低周波電流発生器制御回路77は、第1電極対、第3電極対、第2電極対、第4電極対の順で低周波電流を通電することとしている。
【0164】
すなわち、第1電極対に所定時間通電した後に、第1電極対への通電を停止し、続いて、第3電極対に通電を開始し、所定時間通電した後に通電を停止して第2電極対への通電を開始し、さらに所定時間通電した後に第2電極対への通電を停止して第4電極への通電を所定時間行うようにしている。そして、この通電パターンを複数回繰り返すことでマッサージを行うようにしている。
【0165】
これは、被施療者Pの腹部と脇腹とを満遍なく切替ながら刺激すると共に、腹部を内側から外側へ向けてマッサージしている感覚を被施療者Pに与えるためであり、あたかも、体内の脂肪が体外へ放出されているような感情を引き起こすことができ、被施療者Pがさらに施療に集中できるようにしている。
【0166】
次に、図7(b)を用いて、脚部治療導子について説明する。脚部治療導子は、前述の端子79に挿入可能な形状を有するコネクタ86を備えた通電ケーブル87と、同通電ケーブル87から得られる低周波電流を被施療者P(人体)に貼付して流すためのパッド部88とを備えている。また、脚部治療導子は、左右それぞれの足に貼付すべく、2つのパッド部88を有しており、パッド部88同士を通電可能な連結ケーブル89で接続している。
【0167】
また、各パッド部88には、それぞれ4つの電極部90を配設している。ここで脚部治療導子に特徴的には、図7(b)中において、(1),(1)で示した電極部90はパッド部88内部で接続して同じ機能を果たすものとしており、その他の電極部90もまた、(2),(2)、(5),(5)、(6),(6)、同士をパッド部88内部で接続している。
【0168】
また、(1)及び(2)で示した電極部90は、それぞれ対をなして通電する第1電極対を形成し、(5)及び(6)で示した電極部90は、それぞれ対をなして通電する第2電極対を形成している。
【0169】
一方、脚部治療導子のコネクタ86は、図7(b)の右上に示すように、8ピンの端子79に連結可能な形状を有する、1番ピン、2番ピン、5番ピン、6番ピンの4つのピンを有する4ピン型のコネクタとしている。
【0170】
そして、低周波電流発生器制御回路77では、1番ピン及び2番ピンに通電することにより、第1電極対の(1)及び(2)で示した電極部90が交互に陽極または陰極となって、被施療者Pに通電することができる。同様に、5番ピン及び6番ピンに通電することにより、第2電極対の(5)及び(6)で示した電極部90が交互に陽極または陰極となって、被施療者Pに通電することができるようにしている。
【0171】
本実施形態に係る痩身装置Aでは、このような2種の治療導子31を備えており、以下のような通電を行うこととなる。
【0172】
すなわち、前述した2つの端子79に、それぞれ腹部治療導子のコネクタ86(8ピン)と、脚部治療導子のコネクタ86(4ピン)とを接続した状態において、低周波電流発生器制御回路77は、まず、2つの端子79の1番ピン及び2番ピンに通電を行う。これにより、腹部治療導子の第1電極対の間で低周波電流が通電され、また、脚部治療導子でも第1電極対の間で低周波電流が通電されることとなる。
【0173】
次いで、低周波電流発生器制御回路77は、2つの端子79の3番ピン及び4番ピンに通電を行う。
【0174】
すると、腹部治療導子のコネクタ86の3番ピン及び4番ピンを介して第3電極対の間で低周波電流が通電されることとなる。
【0175】
一方、脚部治療導子のコネクタ86には、3番ピン及び4番ピンが備えられていないため、通電は起こらず、被施療者Pは刺激されないこととなる。
【0176】
次に、低周波電流発生器制御回路77は、2つの端子79の5番ピン及び6番ピンに通電を行う。これにより、腹部治療導子の第2電極対の間で低周波電流が通電され、また、脚部治療導子でも第2電極対の間で低周波電流が通電されることとなる。
【0177】
そして、低周波電流発生器制御回路77は、2つの端子79の7番ピン及び8番ピンに通電を行う。
【0178】
すると、腹部治療導子のコネクタ86の7番ピン及び8番ピンを介して第4電極対の間で低周波電流が通電されることとなる。
【0179】
一方、脚部治療導子のコネクタ86には、7番ピン及び8番ピンが備えられていないため、通電は起こらず、被施療者Pは刺激されないこととなる。
【0180】
このような通電パターンを有することにより、被施療者Pの脚部や腹部の深部に至るまで効率的に脂肪代謝を促進させるようにしているのである。
【0181】
また、本実施形態に係る痩身装置Aの低周波治療部32の特徴として、複数種あるいずれの治療導子31が、いずれの端子79に接続されたかを検出することができるようにしている。そして、検出した治療導子の種別を前述した操作パネル部67に表示するようにしている。
【0182】
具体的に説明すると、前記各治療導子は、個々の治療導子を識別するための識別手段として、それぞれに異なったピン数のプラグを有する一方、低周波電流発生器制御回路77は、通電可能なピンプラグを個々に導通により検出して、いずれの治療導子31が端子79に接続されたかを検知する接続検知手段として機能するようにしている。
【0183】
しかも、低周波電流発生器制御回路77は、接続検知手段にて検知した治療導子31の種別を、操作パネル部67の電流調整器75近傍に配設した種別表示部91(図5参照)に表示して種別表示手段としても機能するようにしている。
【0184】
すなわち、この種別表示部91には、例えば、端子79に腹部治療導子を接続した場合に点灯される腹部施療ランプ33や、端子79に脚部治療導子を接続した場合に点灯する脚部施療ランプ34が配設されており、それぞれの治療導子に応じて、各ランプ33,34を点灯するようにしている。
【0185】
このような構成とすることにより、施療者は、端子に接続されている治療導子がいずれの治療導子であるかを容易に判別することができる。また、予め貼付位置が定められた治療導子を用いる場合には、例えば、どの電流調整器を調整すれば、被施療者のどの部位に貼付した治療導子の出力を変更することができるのかを容易に確認することができる。
【0186】
次に、本実施形態に係る痩身装置Aの電気的な構成について、図8を用いて説明する。図8は、本実施形態に係る痩身装置Aの電気的な構成を示すブロック図である。
【0187】
本実施形態に係る痩身装置Aの回路基板61上には、痩身装置制御回路66が配設されており、痩身装置Aを構成するウォーターベッドマッサージ部11や低周波治療部32や照射部20等の制御を行うようにしている。
【0188】
痩身装置制御回路66には、噴流循環部制御回路62と、台車駆動部制御回路63と、水温冷却部制御回路64と、ヒータ制御回路65と、低周波電流発生器制御回路77と、遠赤外線照射器制御回路93と、可視光線照射器制御回路94とが接続されており、それぞれ各機器類の制御を行うようにしている。
【0189】
また、痩身装置制御回路66には、各種装置の調整を行う操作パネル部67と、被施療者Pが手元操作するリモートコントローラ71とが接続されており、これらから送出される信号を、痩身装置制御回路66の記憶領域として機能するRAM95に記憶可能に構成している。
【0190】
すなわち、RAM95には、循環ポンプ19から噴出する水の水圧を決定する噴流強度データ、ベルト駆動用モータ47の駆動を決定する台車駆動データ、貯留槽10内の水温を決定する水温データ、低周波治療部32より被施療者Pに対して通電する低周波電流の強度データやマッサージシーケンスデータ、遠赤外線照射パネル83から放射される遠赤外線の強度データ、LEDパネル84から放射される可視光線の強度データや色データを一時的に記憶するようにしている。
【0191】
なお、上述の各データは、施療者や被施療者Pが操作パネル部67やリモートコントローラ71を操作することにより入力することができる。
【0192】
また、これらの各制御回路62,63,64,65,77,93,94及びRAM95は、痩身装置制御回路66と同様基板収納箱60に収納された回路基板61上に配設されている。
【0193】
噴流循環部制御回路62は、図3及び図8に示すように、ウォーターベッドマッサージ部11の噴流循環部58に配設した循環ポンプ19を制御するものであり、痩身装置制御回路66が有するRAM95に記憶された噴流強度データを参照して、所定の水圧で水を噴出するよう循環ポンプ19の回転数を調整するものである。
【0194】
台車駆動部制御回路63は、図3及び図8に示すように、ウォーターベッドマッサージ部11の台車駆動部57に配設したベルト駆動用モータ47を制御するものであり、痩身装置制御回路66が有するRAM95に記憶された台車駆動データを参照して、所定の動きで噴流台車16を移動させるものである。
【0195】
また、台車駆動部制御回路63には、ロータリーエンコーダ50が配設されており、プーリ軸49の回転量を測定することにより噴流台車16の位置信号を台車駆動部制御回路63に送出するように構成している。
【0196】
それゆえ、台車駆動部制御回路63は、ロータリーエンコーダ50から送出される位置信号と、施療者や被施療者によって入力される台車駆動データとを照合しながら、噴流台車16を所定の位置に正確に移動させることができる。
【0197】
水温冷却部制御回路64は、図3及び図8に示すように、ウォーターベッドマッサージ部11の水温冷却部59に配設した吸引ポンプ53を制御するものであり、痩身装置制御回路66が有するRAM95に記憶された水温データを参照して、貯留槽10内の水温を所定の温度に冷却調整するものである。
【0198】
ヒータ制御回路65は、図3及び図8に示すように、ウォーターベッドマッサージ部11のヒータ56を制御するものであり、痩身装置制御回路66が有するRAM95に記憶された水温データを参照して、貯留槽10内の水温を所定の温度に加温調整するものである。
【0199】
低周波電流発生器制御回路77は、低周波治療部32に備えられた治療導子31を介して被施療者P(人体)に通電する低周波電流の強度や波形パターンを制御するものであり、痩身装置制御回路66が有するRAM95に記憶された低周波電流の強度データやマッサージシーケンスデータ等を参照して、被施療者Pや施療者が所望する施療を行うためのものである。
【0200】
遠赤外線照射器制御回路93は、照射部20に備えられた遠赤外線照射パネル83から照射する遠赤外線量を制御するものであり、痩身装置制御回路66が有するRAM95に記憶された遠赤外線の強度データを参照して、遠赤外線照射パネル83へ送給する電流を調節するものである。
【0201】
可視光線照射器制御回路94は、照射部20に備えられたLEDパネル84から照射する可視光線の量や、色を制御するものであり、痩身装置制御回路66が有するRAM95に記憶された可視光線の強度データや色データを参照して、LEDパネル84へ送給する電流を調節したり、発光させるLEDを選択するものである。
【0202】
このように、本実施形態に係る痩身装置Aは、これまで述べてきた構成を有することにより、マッサージを行いながらリラックスさせ、人体の代謝活動を向上させて痩身効果を生起させることのできる痩身装置とすることができる。
【0203】
次に、本実施形態に係る痩身装置Aを用いて施療し、痩身効果について検討を行った結果を示す。
【0204】
まず、女性被験者に対する痩身効果について検討すべく行った試験について述べる。本試験では、被験者A〜被験者Dの4名を参加させ、1日1回仰向け20分、うつぶせ20分の計40分の施療を3日間に亘って行った。
【0205】
また、施療は、図7(a)に示した腹部治療導子を用いて、腹部及び腰部に対して通電すると共に、ウォーターベッドマッサージ部11によるマッサージと、照射部20による遠赤外線照射及び可視光線照射を併用して行った。
【0206】
測定項目は、体重、BMI、基礎代謝、体脂肪率、ウエストサイズとし、施術後の各値から施術前の各値を差し引くことにより変化量を求めることとした。
【0207】
このようにして求めた結果を表1に示す。
【0208】
【表1】

【0209】
表1に示すように、被験者Aは、体重、体脂肪率共に3日間に亘り連続して低下傾向が見られた。また、BMIに関しては、1日目及び2日目は低下傾向を示し、3日目は維持する結果となった。基礎代謝に関しては、2日目に若干下がったものの、1日目及び3日目は上昇傾向を示し、脂肪の代謝が向上していることが示された。また、ウエストサイズを参照すると、3日間に亘り合計2.8cm減少しており、顕著な痩身効果が見られた。
【0210】
被験者Bは、体重、体脂肪率共に3日間に亘り連続して低下傾向が見られた。また、BMIに関しては、2日目は低下傾向を示し、1日目と3日目は維持する結果となった。基礎代謝に関しては、顕著な上昇傾向が見られ、3日間に亘りいずれも脂肪の代謝が向上していることが示された。また、ウエストサイズを参照すると、3日間に亘り合計2.1cm減少しており、顕著な痩身効果が見られた。
【0211】
被験者Cは、体重、体脂肪率共に3日間に亘り連続して低下または維持の傾向が見られた。また、BMIに関しては、2日目は維持であったものの、1日目と3日目は低下傾向が見られた。基礎代謝に関しては、3日目は維持であったものの、1日目及び2日目には上昇傾向が見られ、脂肪の代謝が向上していることが示された。また、ウエストサイズを参照すると、3日間に亘り合計7.3cm減少しており、特に顕著な痩身効果が見られた。
【0212】
被験者Dは、体重、BMI、体脂肪率共に3日間に亘り連続して低下傾向が見られた。また、基礎代謝に関しても3日間に亘って上昇傾向が見られ、脂肪の代謝が顕著に向上していることが示された。また、ウエストサイズについても、3日間に亘り合計1.4cm減少しており、顕著な痩身効果が見られる結果となった。
【0213】
このように、本実施形態に係る痩身装置Aによれば、被施療者に対して顕著な痩身効果を生起させることができることが示されたといえる。
【0214】
次に、男性被験者に対する痩身効果について検討すべく行った試験について述べる。本試験では、被験者A〜被験者Eの5名を参加させ、1日1回仰向け20分、うつぶせ20分の計40分の施療を、被験者A、被験者B、被験者Dに対しては2回、被験者C及び被験者Eに対しては1回行った。
【0215】
また、低周波治療部32による施療は、図7(a)に示した腹部治療導子を用いて、腹部及び腰部に対して通電することとした。また、本試験では、各被験者ごとに、ウォーターベッドマッサージ部11によるマッサージ、低周波治療部32による低周波治療、照射部20による遠赤外線、可視光線の有無を違えて、それぞれの効果についての検証も行った。
【0216】
各被験者の施療は以下に示す通りである。
被験者A:ウォーターベッドマッサージ、低周波治療、遠赤外線照射、可視光線照射を併用
被験者B:ウォーターベッドマッサージのみ
被験者C:低周波治療のみ
被験者D:低周波治療、遠赤外線照射を併用
被験者E:ウォーターベッドマッサージ、低周波治療、遠赤外線照射を併用
測定項目は、体重、BMI、基礎代謝、体脂肪率、ウエストサイズとし、施術後の各値から施術前の各値を差し引くことにより変化量を求めることとした。
【0217】
このようにして求めた結果を表2に示す。
【0218】
【表2】

【0219】
表2に示すように、被験者Aは、体重、BMI、体脂肪率共に2回に亘り連続して低下傾向が見られた。基礎代謝に関しても、2回に亘って上昇傾向を示し、脂肪の代謝が向上していることが示された。また、ウエストサイズを参照すると、2回に亘り合計2.6cm減少しており、顕著な痩身効果が見られた。
【0220】
被験者Bは、体重、体脂肪率共に2回に亘り連続して低下傾向が見られたが、BMIについては、1回目やや減少傾向を見せるも、2回目は維持する結果となった。基礎代謝に関しては、2回に亘って上昇傾向を示し、脂肪の代謝が向上していることが示された。但し、ウエストサイズを参照すると、1回目は痩身効果が見られず、2回目に痩身効果が見られる結果となっており、ウォーターベッドマッサージ、低周波治療、遠赤外線照射、可視光線照射を併用した場合に比して、ウォーターベッドマッサージのみでは、痩身効果は見られるもののやや劣ることが示された。
【0221】
被験者Cは、体重及び体脂肪率ともに低下傾向が見られたが、BMIについては維持する結果となった。また、基礎代謝については上昇傾向が見られ代謝活動の向上が認められた。しかしながら、ウエストサイズの測定において増加傾向を見せており、低周波治療のみでは、痩身効果が得られるとは言い難い結果となった。
【0222】
被験者Dは、体重及びBMIにおいて、僅かながら減少または維持の結果が得られたが、体脂肪率については1回目に0.2増加し、2回目には0.3減少するという結果が得られた。また、基礎代謝に関しても減少または維持の結果となった。またウエストサイズの測定では、2回に亘って減少傾向がみられた。このことから、赤外線照射と低周波治療との組み合わせは、痩身効果は見られるものの、脂質代謝の度合いを勘案すると、ウォーターベッドマッサージ、低周波治療、遠赤外線照射、可視光線照射を併用した場合に比して、やや劣るものと考えられる。
【0223】
被験者Eは、体重、BMI、体脂肪率において、減少または維持の結果が得られた。また基礎代謝に関しても上昇傾向が見られ、ウエストサイズの測定では、0.4cm減少するという結果となった。これらの結果から、ウォーターベッドマッサージ、低周波治療、遠赤外線照射を併用することで、効果的に脂質代謝を向上させて、痩身効果を生起できることが示された。
【0224】
以上に示した本試験の結果を踏まえると、ウォーターベッドマッサージ、低周波治療、遠赤外線照射、可視光線照射を併用した場合、最も脂質代謝及び痩身効果が良好であり、次いで、ウォーターベッドマッサージ、低周波治療、遠赤外線照射を併用、次いで、低周波治療、遠赤外線照射を併用の順で脂質代謝及び痩身効果があり、ウォーターベッドマッサージのみや、低周波治療のみの場合に比して痩身効果が生起可能であることが示唆された。
【0225】
すなわち、ウォーターベッドマッサージのみや、低周波治療のみに比すると、ウォーターベッドマッサージ、低周波治療、遠赤外線照射、可視光線照射を併用することでそれぞれが相乗的に脂質代謝を向上させて、顕著な痩身効果を生じさせるものと考えられた。
【0226】
上述してきたように、本実施形態に係る痩身装置Aによれば、水を満たした貯留槽の上部開口に防水性の可撓膜を張設し、貯留槽の内部から可撓膜に向けて水を噴出することにより、可撓膜上に横臥した人体を、可撓膜を介して押圧するウォーターベッドマッサージ部と、低周波電流を生成し、前記人体に通電する低周波治療部と、横臥した人体の上方部から体表面へ向けて遠赤外線及び/又は可視光線を照射する照射部と、を備えることとしたため、マッサージを行いながらリラックスさせ、人体の代謝活動を向上させて痩身効果を生起させることができる。
【0227】
最後に、上述した各実施の形態の説明は本発明の一例であり、本発明は上述の実施の形態に限定されることはない。このため、上述した各実施の形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることはもちろんである。
【0228】
本実施形態に係る痩身装置Aでは、同痩身装置Aを操作する操作手段として、操作パネル部67とリモートコントローラ71とを配設しており、被施療者Pがリモートコントローラ71を手元操作することにより、可撓膜14上で横臥した状態であってもウォーターベッドマッサージ部11の水勢調整を可能としているが、例えば、リモートコントローラ71は、湾曲したフード68の内壁面に配設して、被施療者Pがフード68内から操作可能となるように構成しても良い。
【0229】
このような構成とすることにより、あたかも飛行機等のコックピットで操作しているような感覚を被施療者Pに与えることができ、被施療者Pを楽しませることができる。
【0230】
また、仰向けとなった被施療者Pの目線上や目線近傍に操作手段が備えられることとなり、被施療者Pの操作性や操作手段に対する視認性を飛躍的に向上させることができる。
【0231】
また、フード68内に配設する操作手段は、制御パネルに配設した各調整器74,75,76や種別表示部91や各機器類のON/OFFを操作するスイッチ類など全ての機能を配設するようにしても良い。
【0232】
このような構成とすることにより、被施療者P自らによっても、痩身装置Aの全ての機能を操作可能とすることができる。
【0233】
また、この際、痩身装置Aの上端部72近傍でフード68の外側面に配設した操作パネル部67は配設せず、被施療者P自身が施療者となるようにしても良い。これにより、痩身装置Aをよりシンプルな構成として、製造コストを低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0234】
【図1】本実施形態に係る痩身装置Aの平面図である。
【図2】本実施形態に係る痩身装置Aの側面図である。
【図3】ウォーターベッドマッサージ部の構成を示す模式図である。
【図4】フードの構成を示す説明図である。
【図5】本実施形態に係る痩身装置Aに配設した操作パネル部及びリモートコントローラの外観を示した説明図である。
【図6】本実施形態に係る痩身装置Aに配設した照射部を示す説明図である。
【図7】本実施形態に係る痩身装置Aに配設した治療導子の説明図である。
【図8】本実施形態に係る痩身装置Aの電気的な構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0235】
10 貯留槽
11 ウォーターベッドマッサージ部
12 縁部
13 上部開口
14 可撓膜
20 照射部
30 低周波電流生成器
31 治療導子
32 低周波治療部
61 回路基板
66 痩身装置制御回路
67 操作パネル部
68 フード
74 水勢調整器
75 電流調整器
76 線量調整器
77 低周波電流発生器制御回路
79 端子
80 壁体
81 天板
82 枢支部
83 遠赤外線照射パネル
84 LEDパネル
85 支持部材
88 パッド部
90 電極部
91 種別表示部
P 被施療者
V 側部開放空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を満たした貯留槽の上部開口に防水性の可撓膜を張設し、貯留槽の内部から可撓膜に向けて水を噴出することにより、可撓膜上に横臥した人体を、可撓膜を介して押圧するウォーターベッドマッサージ部と、
低周波電流を生成し、前記人体に通電する低周波治療部と、
横臥した人体の上方部から体表面へ向けて遠赤外線及び/又は可視光線を照射する照射部と、を備えた痩身装置。
【請求項2】
前記ウォーターベッドマッサージ部には、横臥した人体の頭部近傍に、出入自在に構成した略半球状のフードを配設していることを特徴とする請求項1に記載の痩身装置。
【請求項3】
前記ウォーターベッドマッサージ部の水勢を調節する水勢調整器と、前記低周波治療部にて生成する電流を調節する電流調整器と、前記照射部より照射する遠赤外線量及び/または可視光線量を調節する線量調整器と、を有する操作パネル部を配設したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の痩身装置。
【請求項4】
前記操作パネル部は、前記フードの近傍であって、被施療者の視界外領域に配設していることを特徴とする請求項3に記載の痩身装置。
【請求項5】
前記低周波治療部は、低周波電流を出力する端子を備えた低周波電流生成器と、
一端を前記低周波電流生成器に前記端子を介して着脱自在に接続し、他端を人体に貼付して前記低周波電流を人体に導通させる少なくとも2種以上の治療導子と、を備えると共に、
前記各治療導子は、個々の治療導子を識別するための識別手段を有し、
前記低周波電流生成器は、前記識別手段を認識して、いずれの治療導子が端子に接続されたかを検出する接続検知手段を有することを特徴とする請求項1〜4いずれか1項に記載の痩身装置。
【請求項6】
前記低周波電流生成器は、前記接続検知手段にて検知した治療導子の種別を前記操作パネル部に表示する種別表示手段を有することを特徴とする請求項5に記載の痩身装置。
【請求項7】
前記治療導子は、人体に貼付するパッド部を有し、同パッド部は、人体の腹囲に貼付する帯状体の表面に、長手方向へ向けて複数の電極部を並設して構成していることを特徴とする請求項5または請求項6に記載の痩身装置。
【請求項8】
前記パッド部には、8つの電極部を並設し、同パッド部の中央から左右外方へ向けて第1〜第4の4つの電極対を入れ子状に形成すると共に、
前記低周波電流生成器は、第1電極対、第3電極対、第2電極対、第4電極対の順で低周波電流を通電することを特徴とする請求項7に記載の痩身装置。
【請求項9】
前記照射部は、前記貯留槽の縁部に立設した壁体と、同壁体の上端に枢支した天板とを備え、同天板は、前記可撓膜と略平行状態となる閉状態と、前記可撓膜から離隔する開状態との間で開閉自在に構成すると共に、
前記天板の前記可撓膜と対向する面には、遠赤外線源及び/または可視光線源を配設していることを特徴とする請求項1〜8いずれか1項に記載の痩身装置。
【請求項10】
前記貯留槽は、横臥した人体の長手方向に長辺を有する平面視略長方形状に形成すると共に、
前記壁体は、前記貯留槽の左右いずれか一方の長辺縁部に立設し、左右いずれか他方の縁部上方には側部開放空間を設けていることを特徴とする請求項1〜9いずれか1項に記載の痩身装置。
【請求項11】
前記天板には、前記貯留槽の左右の縁部のうち、前記側部開放空間側の縁部に先端部を当接可能とした支持部材を配設していることを特徴とする請求項10に記載の痩身装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−195566(P2009−195566A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−41951(P2008−41951)
【出願日】平成20年2月22日(2008.2.22)
【出願人】(597123364)
【Fターム(参考)】