癌の治療および過剰増殖性疾患の治療のための、免疫遺伝子療法と化学療法の組み合わせ
哺乳動物の癌または過剰増殖性疾患の治療のための、核酸、遺伝子送達ポリマー、および少なくとも一つの補助的な化学療法薬を含む医薬組成物、および腫瘍内、腹腔内、または全身的注射により哺乳動物の癌または過剰増殖性疾患を治療するための、それらの使用方法を開示する。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
発明の属する分野
本発明は、核酸、遺伝子送達ポリマー、および少なくとも一つの補助的な化学療法薬を含む、哺乳動物の癌または過剰増殖性疾患を治療するための医薬組成物に関する。本発明は、哺乳動物の癌または過剰増殖性疾患を治療する方法にも関し、この方法は、癌細胞またはいずれかその他の過剰増殖性細胞を、腫瘍内注射、腹腔内注射または全身性注射により前記組成物と接触させることを含む。
【0002】
発明の背景
癌は、世界の多くの場所において死因のもっとも一般的なものであり、そして250万件以上の癌の症例毎年世界中で診断されている。癌の分子生物学の我々の理解における最近の進歩により、癌が病気の細胞の異常増殖を引き起こす遺伝的疾患であることが示された。したがって、癌治療専門家は、現在、治療用タンパク質そのものではなく、遺伝情報を保持する高分子が関与する治療戦略に注目しており、それにより、外来性で送達される遺伝子を腫瘍環境中で発現させることができる。遺伝子治療は、従来のアプローチではできない多数の方法で、治療による利益を癌患者に対してもたらすと考えられる。伝統的な低分子薬は、しばしば、細胞標的と非特異的相互作用することにより機能し、望ましくない副作用を生じ、そして疾患の根元を治療しない。過去数年間にわたって導入されてきたタンパク質薬は、それらが迅速に分解されそして高用量が必要とされ、それによりしばしば望ましくない副作用を引き起こすため、それ自体に限界を有している。遺伝子治療は、生体自体の細胞機構を使用して、単回注射後は、持続的に治療レベルのタンパク質を、特異的な組織および細胞において生成し、それにより、よりよい患者の適応性とともに、安全かつ効果的な治療方法を提供する。
【0003】
一般的に適用される癌遺伝子治療戦略には、1)局所注射、2)局所領域の注射、または3)全身性注射により達成される、免疫療法、細胞除去、および抗-血管形成が含まれる。癌免疫療法は、癌細胞に対する免疫系を刺激することにより癌をたたくための強力なアプローチである。免疫性サイトカインは、免疫細胞を活性化し、成熟させ、そして分化させることにより、宿主免疫応答の発生において重要な役割を果たしている。いくつかのサイトカインは、ヒトにおいてそして癌の動物モデルにおいて、様々な癌に対して試験されてきた(Hum Gene Ther., 1998, vol. 9, 2223;Gene Ther. 1999, vol. 6, 833;Cancer Gene Ther. 2000, vol. 7, 1156;J. Control ReI. 2003, vol. 87, 177;そしてCancer Res., 2002, vol. 62, 4023を参照)。インターロイキン-12(IL-12)は、ヒトの癌の治療においてただいた可能性が示される免疫促進性サイトカインである(The Oncologist, 1996, vol. 1, 88を参照)。IL-12は、2本の共有結合した鎖、p35とp40とからなる70-kDのヘテロ二量体である。IL-12の生物学的作用には、CD4+ T細胞、CD8+ T細胞、およびナチュラルキラー(NK)細胞を休止させおよび活性化させることにより、IFN-γ産生を誘導することが含まれる。IL-12はまた、活性化T細胞および活性化NK細胞の増殖を亢進させ、NK/リンホカイン-活性化キラー細胞の溶解活性を増大させ、そして特異的細胞傷害性Tリンパ球(CTL)反応を促進する。
【0004】
動物モデルにおいて、組換えIL-12は、深在性のT-細胞により媒介される抗腫瘍作用を誘導し、確立された腫瘍の退縮を引き起こし、その後全身性の免疫記憶が生じたことが示された(The Oncologist, 1996, vol. 1, 88を参照)。しかしながら、組換えIL-12の全身性投与は、結果として、いくつかの研究試験においてそして初期ヒト試験において、用量限度の毒性を引き起こした(Lab Invest., 1994, vol. 71, 862;Science, 1995, vol. 270, 908;J. Interferon Cytokine Res., 1995, vol. 14, 335を参照)。用量限度の毒性は、最近のヒトの臨床試験において、組換えIL-12の腹腔内投与により観察された(Clin. Cancer Res., 2002, vol. 8, 3686)。治療レベルのIL-12を腫瘍部位に局所的に提供することができる遺伝子送達アプローチは、全身性毒性を引き起こすことなく、抗癌反応を生成するという利点を有する。
【0005】
ウィルス遺伝子送達システムおよび非ウィルス性遺伝子送達システムの両方とも、癌の動物モデルにおけるIL-12遺伝子送達のために使用された。ウィルス性のアプローチは、主として、癌の発生が高まり、そして宿主免疫によりウィルス性抗原に対する強力な免疫応答が生じるための、毒性の懸念のため、重大な実務上の制限がある。非ウィルス性遺伝子送達システムの開発には、それらの毒性がより少ないことから、かなりな注目が寄せられている。ポリビニルピロリドン(PVP)を使用して、腎臓癌(Renca)および結腸細胞癌(CT26)を治療するためのIL-12の送達用の非ウィルス性遺伝子送達システムが、示された(Gene Ther., 1999, vol. 6, 833を参照)。腫瘍をこの遺伝子治療に供した場合、それらは、たとえば、主要組織適合複合体(MHC)クラスI分子の発現の増加を伴う、NK細胞、CD4およびCD8 T細胞の浸潤の増加など、IL-12タンパク質療法の特徴すべてを示した。IL-12遺伝子送達は、十分に耐用性のものであり、そしてRenca腫瘍を有する動物およびCT26腫瘍を有する動物の両方ともに対して非常に有効であった。腫瘍を拒絶するマウスは、それに引き続く免疫化からも保護されたことから、持続的な全身性免疫の存在が示唆される。官能化されそして低毒性の水溶性リポポリマー(WSLP)を、IL-12遺伝子をCT26結腸癌腫腫瘍へと送達することについて試験した(Mahato et al, Mol. Ther., 2001, vol. 4, 130を参照)。IL-12プラスミド(pIL-12)およびWSLP(pIL-12/WSLP)処置により、むき出しのDNAの場合と比較して、より高い腫瘍内遺伝子発現が得られた。
【0006】
さらに、サイトカインIL-12生成の二次的効果、すなわちIFN-γレベルおよび一酸化窒素(NO)レベルもまた、むき出しのDNAと比較した場合、WSLP処置腫瘍においてより高かった。pIL-12/WSLP複合体の単回注射により、腫瘍増殖および動物の生存率に対して最高に準ずる効果を生みだしたが、一方、繰り返し送達により、よりよい効率が得られたことから、このシステムによる送達が不十分であることが示される(J. Control Release 2003, vol. 87, 177)。同様に、別のポリマー性キャリアPAGA中でのIL-12プラスミドの腫瘍内注射により、CT26腫瘍の部分的な阻害しか得られなかった(Gene Ther., 2002, vol. 9, 1075を参照)。これらの結果から、より効率的な送達システムの要求が保障される。初期の前臨床試験においてそれらが不十分であるにもかかわらず、ポリマー性遺伝子キャリアの優れた分子柔軟性により、より効率的な遺伝子送達システムの開発のために不可避である、複合体の修飾および新規の官能化が可能になる。
【0007】
癌に対して単回治療ストラテジーを利用することは、この疾患が多因子の性質を有するため、一般的には有効ではないと、幅広く認識されている。1より多い薬物を組み合わせて抗癌反応を最大化することは、ますます利用されている(Gene Ther., 2000, vol. 11, 1852を参照)。IL-12遺伝子治療とIFN-α遺伝子治療との間に相乗的関係が存在することが示された。これら2種の遺伝子によりRenca腫瘍を同時治療すると、100%の腫瘍拒絶が生じ、それはIL-12(58%)単独またはIFN-α(25%)単独のいずれかの治療により得られたものよりも高かった。同様に、CT26腫瘍は、組み合わせ遺伝子治療により50%の拒絶率を示し、これはIL-12の単回治療およびIFN-αの単回治療から得られる、それぞれ17%の拒絶率および0%の拒絶率よりも高かった。組み合わせ療法により処置された腫瘍は、単回遺伝子治療により処置された腫瘍と比較した場合、NK細胞およびCD8 T細胞の腫瘍浸潤の増加を示した。化学療法とともに幹細胞中にメチルグアニン-DNA-メチルトランスフェラーゼ(MGMT)を遺伝子輸送することにより、正常な細胞を化学療法から保護し、そして化学療法の全身性毒性を減じた(Nature Reviews Cancer 2004, vol. 4, 296)。
【0008】
さらに、組み合わせ遺伝子治療は、腫瘍中の抗原提示細胞(APC)上のCD40分子数を、単回治療で達成された数よりも高いレベルに上昇させた。APC上でのCD40の亢進制御の上昇は、抗原提示のためのより高い活性化状態と関連している(Nature, 1998, vol. 393, 480;Nature, 1998, vol. 393, 474;およびNature, 1998, vol. 393, 478を参照)。同様の増加は、ケモカインIP-10およびTCA-3についてのmRNAレベルでみられた。したがって、組み合わせ遺伝子治療は、抗-腫瘍免疫を相乗的に亢進し、そしてこの作用は、腫瘍再感作の研究において持続的であることが見いだされた。同様の組み合わせ遺伝子治療研究は、その他の研究グループによって報告された(Laryngoscope 2001, vol. 111, 815を参照)。株化腫瘍を、pIFN-α/PVP、pEL-2/脂質、またはpIL-12/PVP単独、またはそれらの組み合わせにより処置した。その他の2種類の療法と比較した場合のpIFN-α/PVP組み合わせは、単回処置の場合と比較して、抗腫瘍作用を顕著に増大させた。同一の腫瘍モデルを利用する別の研究において、pIL-12/PVPおよびpIL-2/脂質遺伝子を用いた組み合わせ治療は、単回処置の場合と比較して、顕著に高い抗-腫瘍効果を有することが示された(Arch. Otolaryngol Head Neck Surg, 2001, vol. 127, 1319を参照)。
【0009】
別の研究において、抗-オンコジーンおよび2型ソマトスタチン受容体(sst2)との直鎖ポリエチレンイミン(PEI)のポリプレックスの腫瘍内注射により、膵臓腫瘍および肝臓への転移の増殖の顕著な阻害をもたらした(Curr Opin Biotechnol, 2002, vol.13, 128)。腫瘍中のsst2のPEI-媒介性送達は、アポトーシスの増加およびcaspase-3の活性化およびポリ(ADP-リボース)経路の活性化を引き起こした。固型腫瘍中へのDNA/PEIポリプレックスの持続的な送達は、ボーラス送達により得られた送達と比較して、より高い発現をもたらした(Gene Ther., 1999, vol. 10, 1659)。デンドリマーを、それぞれFas-LおよびHSV-Iチミジンキナーゼの腫瘍内遺伝子輸送による膵臓癌および肝細胞癌の阻害のために使用した(Gene Ther., 2003, vol. 10, 434;およびGene Ther., 2000, vol. 7, 53を参照)。細胞傷害性薬剤およびサイトカインを使用する化学-免疫療法は、新生物性疾患の処置を改善するための新たなアプローチを提供する。IL-12タンパク質とシクロホスファミド、パクリタキセル、シスプラチン、またはドキソルビシンとの組み合わせの治療的効率は、マウスL1210白血病モデルにおいて研究された(Int. J. Cancer, 1998, vol. 77, 720を参照)。L1210白血病を、IL-12または上述した化学療法剤のいずれか1つを単独で与えることにより処置すると、結果として中程度の抗白血病性効果が得られた。IL-12とシクロホスファミドまたはパクリタキセルとの組み合わせは、これらの薬剤を単独で与えた場合と比較して、抗白血病性効果の増強を何ももたらさなかった。しかしながら、IL-12とドキソルビシンとの組み合わせは、抗白血病性効果を増強したが、一方シスプラチンとの組み合わせは、中程度の亢進効果を有した。
【0010】
しかしながら、マウスメラノーマMmB 16モデルにおいて、IL-12 + パクリタキセルの組み合わせは、個々の治療よりもより効果的であった(Cancer Lett, 1999, vol. 147, 67)。MB-49膀胱癌およびB16メラノーマにおけるアドリアマイシン、シクロホスファミド、または5-FUと組み合わせたIL-12タンパク質の抗腫瘍性効果が調べられた(Clin. Cancer Res., 1997, vol. 3, 1661を参照)。化学療法と組み合わせる際、IL-12投与により、追加的な毒性を引き起こすことなく、抗腫瘍活性が増大した。IL-12またはシクロホスファミドのいずれかによる処置に対して難治性であるマウスサルコーマMCA207において、組換えIL-12とシクロホスファミドとの組み合わせは、個別の処置と比較して、よりよい抗腫瘍反応をもたらした(J. Immunol, 1998, vol. 160, 1369)。マウス乳腺腫瘍において、静脈内パクリタキセル化学療法と腫瘍内IL-12遺伝子治療(IL-12/WSLP)とを含む組み合わせ治療は、個々の処置と比較して、より効率的であった(Molecular Therapy, 2004, vol. 9, 829を参照)。この組み合わせ治療の利点は、パクリタキセルについて使用される送達ビヒクルに依存した。パクリタキセルとIL-12遺伝子治療との相乗的相互作用は、パクリタキセルがポリマー性製剤中に製剤化された場合に観察された。対照的に、癌治療用のパクリタキセル製剤に幅広く使用されるCremophor EL(Taxol(登録商標))との組み合わせは、相乗的ではなかったことから、観察された利点は、製剤特異的なものであったことが示唆される。
【0011】
遺伝子治療が関与する組み合わせアプローチからの所望の結果を達成するため、適切な遺伝子送達システムの選択が重要である。上述した組み合わせ実験において使用される遺伝子送達システム(Molecular Therapy, 2004, vol. 9, 829)は、水溶性リポポリマー、PEI-コレステロール(WSLP)である。本発明においては、我々は、遺伝子送達システムおよび膜相互作用性リガンド(たとえば、コレステロール)の薬物導体、安全性、および強力性を向上させる用に設計された親水性のポリマーを含有し、それが単独の場合または化学療法剤と組み合わせた場合に、抗癌遺伝子のトランスフェクション活性を促進するように多数の幾何学的構造で配向される、という点において、WSLPとは構造的に別個な、新規クラスのポリマーキャリア(PEG-PEI-コレステロール)を記述する。腫瘍組織中でWSLPと比較した場合のPPCのトランスフェクション活性の有利点は、図1および図2に示す。
【0012】
2種類の化学療法剤または化学療法薬のいずれかおよびサイトカインの組み合わせは、臨床的に調べられた。これらの組み合わせは、より幅広い腫瘍の退縮をもたらしたが、長期間の生存の利点は十分なものとはいえず、そして細胞傷害性が問題となった。このことは、化学療法および組換えタンパク質治療と関連してもともとある全身性毒性のためである。新規のそしてより効果的な組み合わせアプローチを設計して、将来の癌治療を改良しなければならない。本発明において、我々は、ポリマー性キャリアにより送達される核酸ベースの治療剤と少なくとも一つの化学療法剤とを含む癌の治療のための新規の組み合わせアプローチを記述する。
【0013】
発明の概要
本発明は、癌を治療するための、核酸、遺伝子送達ポリマー、および少なくとも一つの医薬用物質を含む医薬組成物を提供する。さらに、本発明はまた、腫瘍細胞の増殖および転移を阻害するための方法、および核酸、遺伝子送達ポリマー、および少なくとも一つの医薬品を含む医薬組成物のin vivo投与により哺乳動物の生存を改善するための方法を提供する。核酸は、プラスミドDNA、siRNA、センスRNA、アンチセンスRNA、およびリボザイムからなる群から選択される構成成分である。プラスミドDNAは、インターロイキン-2、インターロイキン-4、インターロイキン-7、インターロイキン-12、インターロイキン-15、インターフェロン-α、インターフェロン-β、インターフェロン-γ、コロニー刺激因子、顆粒球-マクロファージ刺激因子、血管新生阻害剤、腫瘍抑制遺伝子、チミジンキナーゼ、eNOS、iNOS、p53、p16、TNF-α、Fas-リガンド、変異オンコジーン、腫瘍抗原、ウィルス性抗原または細菌性抗原からなる群から選択される抗癌または抗-増殖性タンパク質をコードするDNA配列を含有する遺伝子発現システムである。プラスミドDNAは、腫瘍細胞またはその他の過剰増殖性細胞の増殖または維持に関与する(1または複数の)タンパク質を阻害するように設計されたshRNA分子をコードしてもよい。プラスミドDNAは、治療用タンパク質と1または複数のshRNAとを同時にコードしてもよい。さらに、前記組成物の核酸は、プラスミドDNAとセンスRNA、アンチセンスRNAまたはリボザイムを含む合成RNAとの混合物であってもよい。
【0014】
遺伝子送達ポリマーは、カチオン性ポリマーまたは非-縮合性ポリマーである。カチオン性ポリマーは、ポリリジン、ポリエチレンイミン、ポリエチレンイミン(PEI)の官能化誘導体、ポリプロピレンイミン、アミノグリコシド-ポリアミン、ジデオキシ-ジアミノ-b-シクロデキストリン、スペルミンおよびスペルミジンからなる群から選択される。本発明のために適したカチオン性遺伝子送達ポリマーの一例は、PEIバックボーン、脂質、および親水性のポリマースペーサーを含むPEI誘導体である。ここで、脂質は、ポリエチレンイミンバックボーンに対して直接結合するか、またはポリエチレングリコールスペーサーに共有結合し、これが次に、生体適合性結合を介してPEIに対して結合する。本発明のカチオン性遺伝子送達ポリマーは、抗体または抗体フラグメント、細胞受容体、増殖因子受容体、サイトカイン受容体、葉酸、トランスフェリン、上皮増殖因子(EGF)、インスリン、アシアロオロソムコイド、マンノース-6-ホスフェート(単球)、マンノース(マクロファージ、いくつかのB細胞)、ルイスxおよびシアリルルイスx(内皮細胞)、N-アセチルラクトサミン(T細胞)、ガラクトース(結腸癌細胞)、そしてトロンボモジュリン(マウス肺内皮細胞)、ポリミキシンBおよびヘマグルチニンHA2などの融合誘導因子(fusogenic agents)、lysosomotropic agents、T-抗原などの核局在シグナル(NLS)などを含む標的化成分をさらに含んでもよい。別の遺伝子送達ポリマーは、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)(PLGA)およびPLGAとPEGとのトリブロックコポリマーを含む群から選択される非-縮合性ポリマーである。遺伝子送達ポリマーは、非-縮合性ポリマーであってもよい。そのような非-縮合性ポリマーの例には、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポロキサマー、ポリグルタメート、ゼラチン、ポリホスホエステル、シルク-エラスチン-様ハイドロ、アガロースハイドロゲル、脂質微少管、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)およびポリエチレングリコール-結合ポリ(ラクチド-co-グリコリド)が含まれる。
【0015】
上述の組成物の一態様において、医薬用物質は、タキサン類、プラチナ類、アドリアマイシン類、シクロホスファミド、トポテカン、カルムスチン(BCNU)またはそれらの組み合わせからなる群から選択される化学療法薬である。パクリタキセル、カルボプラチン、トポテカン、ゲムシタビンおよびこれらのいずれかの組み合わせが特に好ましい。
【0016】
上述した組成物の別の態様において、医薬用物質は、CD20抗体、HER2/neu抗体、抗-VEGF抗体、上皮増殖因子受容体抗体、およびそれらの放射性同位体複合体からなる群から選択される抗癌抗体である。
【0017】
本発明は、核酸、核酸送達ポリマー、および少なくとも一つの補助的な化学療法薬を含む医薬組成物の腫瘍内投与、腹腔内投与、食道内投与、頭蓋内投与、または全身性投与により、哺乳動物の癌を治療する保父応もまた提供する。哺乳動物の癌は、卵巣、乳腺、脳、頭頸部、肝臓、肺、前立腺、腎臓、結腸、膵臓、甲状腺、膀胱、腹腔、胸腔、および皮膚の原発性腫瘍または転移性腫瘍からなる群から選択される。核酸および遺伝子送達ポリマーは、医薬品の投与の前または後に、腫瘍内投与、腹腔内投与、気管内投与または経口投与または全身性投与により投与する。たとえば、いくつかの事例において、医薬用物質(たとえば、化学療法剤)の前に、腫瘍の医薬用物質に対する感受性を潜在的に高め、そして抗-癌反応をブーストするためのものとして、核酸(たとえば、pIL-12 DNA/ポリマー)を投与することが好ましい。別の事例において、遺伝子送達(たとえば、pIL-12/PPC)の前に、医薬用物質(たとえば、化学療法剤)を投与して、医薬用物質が、腫瘍の破壊および後に治療用遺伝子(たとえば、pIL-12/ポリマー)により標的となる癌に対して非常に特異的で頑健な治療反応(たとえば、免疫反応)を誘引するために使用される腫瘍抗原の放出を引き起こすことができることが、好ましい。
【0018】
前記医薬組成物(核酸+遺伝子送達ポリマーおよび1またはそれ以上の化学療法剤)による腫瘍の治療により、結果として腫瘍の収縮と寿命の延長が引き起こされる。本発明の方法にしたがった遺伝子治療(核酸と遺伝子送達ポリマー)と化学療法(化学療法剤)との組み合わせにより、付加的効果および/または相乗的効果がもたらされる。本発明の方法の効果は、腫瘍サイズの収縮または腫瘍密度の低下、リンパ球計測数の増加または好中球計測数の増加、または生存の改善、または上記のすべてとして定義されるが、これらには限定されない。さらに、本発明の方法にしたがった遺伝子治療(核酸および遺伝子送達ポリマー)と化学療法(化学療法剤)との組み合わせにより、化学療法剤の毒性が低下し、腫瘍の化学療法に対する耐性が逆転する。本明細書における毒性は、異常な血液学または血清化学または臓器毒性を含む(しかしこれらに限定されない)、臨床的な知見に対する治療に関連する何らかの有害作用として定義される。さらに、本発明にしたがった遺伝子治療(核酸および遺伝子送達ポリマー)と最適以下の用量の化学療法(化学療法剤)との組み合わせにより、最適用量の化学療法剤により達成される抗ガン作用と同等レベルにまでまたはそれよりも高いレベルにまで抗癌作用を亢進するが、毒性は少ない。
【0019】
組み合わせ治療において、核酸は、プラスミドDNA、siRNA、センスRNA、アンチセンスRNA、およびリボザイムからなる群から選択される構成成分である。核酸は、インターロイキン-2、インターロイキン-4、インターロイキン-7、インターロイキン-12、インターロイキン-15、インターフェロン-α、インターフェロン-β、インターフェロン-γ、コロニー刺激因子、顆粒球-マクロファージ刺激因子、血管新生阻害剤、腫瘍抑制遺伝子、チミジンキナーゼ、eNOS、iNOS、p53、p16、TNF-α、Fas-リガンド、変異オンコジーン、腫瘍抗原、ウィルス性抗原または細菌性抗原からなる群から選択される抗癌または抗-増殖タンパク質をコードするDNA配列を含有する。プラスミドに基づく遺伝子発現システムであってもよい。プラスミドDNAは、腫瘍細胞またはその他の過剰増殖性細胞の増殖または維持に関与する(1または複数の)タンパク質を阻害するように設計されたshRNA分子をコードしてもよい。プラスミドDNAは、治療用タンパク質と1またはそれ以上のshRNA分子とを同時にコードしてもよい。さらに、前記組成物の核酸は、プラスミドDNAと合成RNAとの混合物であってもよい。遺伝子送達ポリマーは、カチオン性ポリマーまたは非-縮合性ポリマーである。カチオン性ポリマーは、ポリリジン、ポリエチレンイミン、ポリエチレンイミンの官能化誘導体、ポリプロピレンイミン、アミノグリコシド-ポリアミン、ジデオキシ-ジアミノ-b-シクロデキストリン、スペルミンおよびスペルミジンを含む群から選択される。本発明のために適したカチオン性遺伝子送達ポリマーの一例は、ポリエチレンイミン(PEI)バックボーン、脂質、およびポリエチレングリコールスペーサーを含むポリエチレンイミン誘導体である。ここで、脂質は、ポリエチレンイミンバックボーンに直接結合するか、またはポリエチレングリコールスペーサーに対して共有結合し、それが次に、生体適合性結合を介して、PEIに対して結合する。本発明のカチオン性遺伝子送達ポリマーは、抗体または抗体フラグメント、細胞受容体、増殖因子受容体、サイトカイン受容体、葉酸、トランスフェリン、上皮増殖因子(EGF)、インスリン、アシアロオロソムコイド、マンノース-6-ホスフェート(単球)、マンノース(マクロファージ、いくつかのB細胞)、ルイスxおよびシアリルルイスx(内皮細胞)、N-アセチルラクトサミン(T細胞)、ガラクトース(結腸癌細胞)、およびトロンボモジュリン(マウス肺内皮細胞)、ポリミキシンBおよびヘマグルチニンHA2などの融合誘導因子(fusogenic agents)、lysosomotrophic agents、T-抗原などの核局在シグナル(NLS)を含む標的化成分をさらに含んでもよい。
【0020】
遺伝子送達ポリマーは、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)(PLGA)およびPLGAとPEGとのトリブロックコポリマーを含む群から選択される非-縮合性ポリマーである。化学療法薬は、タキサン類、プラチナ類、アドリアマイシン類、シクロホスファミド、トポテカン、カルムスチン(BCNU)またはこれらの組み合わせからなる群から選択される構成成分である。パクリタキセル、カルボプラチン、トポテカン、ゲムシタビンおよびそれらのいずれかの組み合わせが特に好ましい。
【0021】
上述した方法の別の態様において、医薬用物質は、CD20抗体、HER2/neu抗体、抗-VEGF抗体、上皮増殖因子受容体抗体およびそれらの放射性同位体複合体からなる群から選択される抗癌抗体である。
【0022】
本発明はまた、化学療法薬を含まず、プラスミドに基づく遺伝子発現システムおよび遺伝子送達ポリマーを含む医薬組成物の腫瘍内投与、腹腔内投与、気管内投与、頭蓋内投与、または全身性投与により、哺乳動物の癌または過剰増殖性疾患を治療する方法を提供する。哺乳動物の癌は、卵巣、乳腺、脳、頭頸部、甲状腺、肝臓、肺、膵臓、小腸、脾臓、前立腺、腎臓、膀胱、結腸、およびメラノーマの原発性腫瘍および転移腫瘍からなる群から選択される。好ましくは、核酸は、インターロイキン-2、インターロイキン-4、インターロイキン-7、インターロイキン-12、インターロイキン-15、インターフェロン-α、インターフェロン-β、インターフェロン-γ、コロニー刺激因子、顆粒球-マクロファージ刺激因子、血管新生阻害剤、腫瘍抑制遺伝子、チミジンキナーゼ、eNOS、iNOS、p53、p16、TNF-α、Fas-リガンド、変異オンコジーン、腫瘍抗原、ウィルス性抗原または細菌性抗原からなる群から選択される抗癌または抗増殖性タンパク質をコードするDNA配列を含有する、プラスミドに基づく遺伝子発現システムである。プラスミドDNAは、腫瘍細胞またはその他の過剰増殖性細胞の増殖または維持に関連する(1または複数の)タンパク質を阻害するように設計されたshRNA分子をコードしてもよい。プラスミドDNAは、治療用タンパク質と1またはそれ以上のshRNA分子とを同時にコードしてもよい。さらに、前記組成物の核酸は、プラスミドDNAと合成RNAとの混合物であってもよい。
【0023】
前記組成物の遺伝子送達ポリマーは、カチオン性ポリマーまたは非-縮合性ポリマーである。カチオン性ポリマーは、ポリエチレンイミン、ポリエチレンイミンの官能化誘導体、ポリプロピレンイミン、アミノグリコシド-ポリアミン、ジデオキシ-ジアミノ-b-シクロデキストリン、スペルミンおよびスペルミジンからなる群から選択される。提示のために適しているカチオン性ポリマーの一例は、ポリエチレンイミン(PEI)、脂質、および親水性のポリマースペーサーを含むポリエチレンイミン誘導体である。ここで、脂質は、ポリエチレンイミンバックボーンに対して直接結合するかまたは親水性のポリマースペーサーに共有結合し、それが次に、生体適合性結合を介して、PEIに対して結合する。本発明のカチオン性ポリマーは、抗体または抗体フラグメント、細胞受容体、増殖因子受容体、サイトカイン受容体、葉酸、トランスフェリン、上皮増殖因子(EGF)、インスリン、アシアロオロソムコイド、マンノース-6-ホスフェート(単球)、マンノース(マクロファージ、いくつかのB細胞)、ルイスxおよびシアリルルイスx(内皮細胞)、N-アセチルラクトサミン(T細胞)、ガラクトース(結腸癌細胞)、およびトロンボモジュリン(マウス肺内皮細胞)、ポリミキシンBおよびヘマグルチニンHA2などの融合誘導因子(fusogenic agents)、lysosomotrophic agents、T-抗原などの核局在シグナル(NLS)などを含む標的化成分をさらに含んでもよい。別の遺伝子送達ポリマーは、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)(PLGA)およびPLGAとPEGとのトリブロックコポリマーを含む群から選択される非-縮合性ポリマーである。医薬組成物(核酸+遺伝子送達ポリマーおよび1またはそれ以上の化学療法剤)による腫瘍の治療により、結果として腫瘍の収縮と寿命の延長が引き起こされる。
【0024】
発明の詳細な説明
生理活性物質を送達するための本発明の組成物および方法を開示しそして記載する前に、特定の構成、プロセス工程、および材料が幾分変化する可能性があることから、本発明が、本明細書中に開示された特定の構成、プロセス工程、そして材料に限定されないことは、理解されるべきである。本発明の範囲は添付の請求の範囲およびその均等範囲によってのみ限定されるものであるため、本明細書中で使用される用語用法は、特定の態様のみを記載する目的で使用されるものであり、そして限定を意図するものではないこともまた、理解されるべきである。
【0025】
本明細書および添付の請求の範囲において使用される場合、単数形(“a”“an”および“the”)には、文脈において明確にそうでないと解釈しているのでなければ、複数の言及が含まれることは注意されなければならない。従って、例えば、“ジスルフィド結合”を含有するポリマーの言及には、2またはそれ以上のその様なジスルフィド結合が含まれ、“リガンド”の言及には、1またはそれ以上のその様なリガンドの言及が含まれ、そして“薬物”の言及には、2またはそれ以上のその様な薬物の言及が含まれる。
【0026】
本発明を記載しそして請求項に記載する際、以下に記載する定義に従って、以下の用語用法を使用する。
“トランスフェクト”または“トランスフェクション”は、細胞の外部環境から細胞内部環境へ、特に細胞質および/または細胞核に関して核酸を輸送することを意味する。何らかの具体的な理論により縛られないが、1またはそれ以上のカチオン性ポリマー/核酸複合体中にカプセル化するかまたはその様な複合体に対して結合させたのち、またはそれと同調させたのち、細胞に対して送達することができる。特定のトランスフェクションの事例は、核酸を細胞核に送達する。核酸には、DNAおよびRNA、ならびに合成の同様のものが含まれる。その様な核酸には、ミスセンス、アンチセンス、ナンセンス、ならびにタンパク質生成性ヌクレオチド、タンパク質やペプチドや核酸の生成を調節するオン・オフや速度制御型のヌクレオチドが含まれる。特に、限定されないが、それらは、ゲノムDNA、cDNA、mRNA、tRNA、rRNA、ハイブリッド配列、または合成または半合成配列、および天然由来のものまたは人工由来のものであってもよい。さらに、核酸は、オリゴヌクレオチドから染色体までの範囲で、サイズが可変であってもよい。これらの核酸は、ヒト由来、動物由来、植物由来、細菌由来、ウィルス由来、または合成由来であってもよい。それらは、当業者に既知のいずれかの技術により得ることができる。
【0027】
本明細書中で使用する場合、用語“医薬用物質”または“薬物”、あるいは何らか他の類似の用語は、当該技術分野において以前から知られている方法により、および/または本発明中で教示される方法により、投与するために適したいずれかの化学的物質または化合物または生物学的物質または化合物のことを意味し、所望の生物学的作用または医薬的作用を誘導し、そして(1)生物に対する予防的作用を有し、そして望まれない生物学的作用を予防すること、例えば感染を予防すること、(2)疾患により生じる症状を緩和すること、例えば、疾患の結果として生じる疼痛または炎症を緩和すること、および/または(3)生物から疾患を緩和し、低減しまたは完全に除去することのいずれか、を含んでもよいが、これらには限定されない。この作用は局所的な麻酔作用を提供するものなどの局所的なものであってもよく、またはそれは全身性のものであってもよい。
【0028】
本発明は、新規な薬物や、生理活性物質それ自体の新規なクラスについてのものではない。むしろ、本発明は、当該分野の技術水準において存在しまたは活性物質としてその後証明され得、そして本発明により送達するために適している、遺伝子またはその他の生理活性物質の送達のための、生体適合性カチオン性コポリマー組成物、およびその様な組成物を使用する方法に関するものである。その様な物質には、通常生体内に送達される幅広いクラスの化合物が含まれる。一般的には、これには:DNA、RNA、およびオリゴヌクレオチド等の核酸、抗生物質および抗ウィルス薬などの抗-感染薬、鎮痛剤および組合せ鎮痛剤;食欲抑制薬;抗寄生虫薬; 抗関節炎薬;抗ぜんそく薬;抗けいれん薬;抗うつ薬;抗糖尿病薬;抗下痢薬;抗ヒスタミン薬;抗炎症薬;抗片頭痛調製物;抗嘔吐薬;抗新生物薬;抗パーキンソン薬;鎮痒薬;抗精神病薬;解熱剤;抗けいれん薬;抗コリン作動薬;交感神経興奮薬;キサンチン誘導体;カリウムチャンネルブロッカー、カルシウムチャンネルブロッカー、β-ブロッカー、α-ブロッカー、および抗不整脈薬を含む心臓血管調製物;抗高血圧薬;利尿薬および抗利尿薬;全身性、冠状血管性、末梢性、および中枢性のものを含む、血管拡張薬;中枢神経系興奮薬;血管収縮薬;充血除去剤を含む感冒薬;エストラジオール、またはコルチコステロイドを含むその他のステロイド等のホルモン;睡眠薬;免疫抑制薬;筋弛緩薬;副交感神経遮断薬;精神刺激薬;鎮静剤;およびトランキライザー;が含まれるが、これらには限定されない。本発明の方法により、例えば、イオン化、非イオン化、遊離塩基、酸付加塩、等のあらゆる形状の薬物を、高分子量の薬物または低分子量の薬物と同様に送達することができる。送達される生理活性物質の上位概念または下位概念についての唯一の限定は、日常的な実験により容易に決定することができる機能性の限定である。
【0029】
本明細書中で使用される場合、用語“生体適合性の”または“生分解”は、可溶化加水分解、により、または酵素および生物のその他の生成物であってもよい生物学的に形成された構成要素の作用により、物質をあまり複雑ではない中間体または最終生成物へと変換することとして定義される。
【0030】
本明細書中で使用される場合、“有効量”は、所望の局所的または全身性作用ならびになんらかの医療的処置に伴う適度なリスク/便益比の性能を得るために十分な、核酸または生理活性物質の量を意味する。
【0031】
本明細書中で使用される場合、“ペプチド”は、いずれかの長さのペプチドを意味し、そしてタンパク質を含む。用語“ポリペプチド”および“オリゴペプチド”は、特定のサイズが特に指定されていない限り、何らかの具体的な目的とするサイズ制限なしに使用される。使用することができる典型的なペプチドは、オキシトシン、バソプレッシン、副腎皮質刺激ホルモン、上皮細胞増殖因子、プロラクチン、ルリベリン(luliberin)または黄体形成ホルモン放出ホルモン、成長ホルモン、成長ホルモン放出ホルモン、インスリン、ソマトスタチン、グルカゴン、インターフェロン類、ガストリン、テトラガストリン、ペンタガストリン、ウロガストリン、セクレチン、カルシトニン、エンケファリン、エンドルフィン、アンギオテンシン、レニン、ブラジキニン、バシトラシン、ポリミキシン、コリスチン、チロシジン、グラミシジン(gramicidines)、および合成類似体、修飾物質および薬理学的に活性なそのフラグメント、モノクローナル抗体、および可溶性ワクチン、からなる群から選択されるものである。使用することができるペプチドまたはタンパク質薬物についての唯一の限定は、機能性の一つである。
【0032】
本明細書中で使用される場合、炭水化物の“誘導体”には、例えば、糖の酸型、例えば、グルクロン酸;糖のアミン、例えば、ガラクトサミン;糖のホスフェート、例えば、マンノース-6-リン酸;などが含まれる。
【0033】
本明細書中で使用される場合、“投与”および類似の用語は、組成物が全身を循環することができ、そこで組成物が標的細胞に結合し、そしてエンドサイトーシスにより取り込まれることができるように、組成物を治療される個体に送達することを意味する。このように、組成物を、好ましくは、全身的に、典型的には皮下経路、筋肉内経路、経皮経路、静脈内経路、または腹腔内経路により、個体に対して投与する。そのような用途のための注射は、溶液またはサスペンジョンとしていずれかの従来の形状で、または注射の前に液体中の溶液またはサスペンジョンとしてまたはエマルジョンとして調製するために適している固体形状で、調製することができる。投与用に使用することができる適した賦形剤には、例えば、水、塩類溶液、デキストロース、グリセロール、エタノールなどが含まれ;そして所望の場合、湿潤剤または乳化剤、バッファーなどの少量の補助物質が含まれる。
【0034】
本明細書中で使用する場合、“効果”および同様の用語は、腫瘍の消失または腫瘍の、または腫瘍のサイズの収縮、または腫瘍密度の減少、またはリンパ球数の増加、または好中球数の増加、または生存の改善、またはこれらのすべてを意味する。本明細書中で使用する場合、“毒性”は、異常な血液学、または血清化学的結果、または臓器毒性を含む(しかしこれらには限定されない)臨床的知見に対する、いずれかの治療に関連する有害作用として定義される。
【0035】
新たな癌治療ストラテジーは、治療用タンパク質それ自体ではなく、外来性に送達された遺伝子を、腫瘍環境中で発現することができる、遺伝情報を保持する高分子を送達することに焦点を当てる。非-ウィルス性遺伝子送達システムを使用する方法は、ウィルス性送達システムと比較してより安全であると考えられるが、現在のポリマーシステムの実務的な応用は、効率が低いため、満足のいくものではない。水溶性リポポリマー(WSLP)を形成するコレステロールの共有結合により、低分子量PEIの遺伝子トランスフェクション効率が亢進されるストラテジーは、最近開示された(Mol. Ther.、2001、4、130を参照)。固形腫瘍へのWSLPを用いたIL-12遺伝子輸送は、非修飾PEIにより行われるIL-12遺伝子輸送よりも顕著に良好であり、そしてより顕著な腫瘍阻害をもたらした。
【0036】
本発明は、新規なポリマーシステム、PEG-PEI-コレステロール(PPC)、を提供する。これは、PEG部分を含有し、そして腫瘍中への顕著に高いトランスフェクション効率をもたらす点で、WSLP(PEI-コレステロール)とは異なる(図1)。PEGの付加は、生物学環境中での核酸/ポリマー複合体の安定性を亢進させ、先行技術(WSLP)におけるこの欠点を回避するために設計された。さらに、PEG鎖の付加により、PPC鎖上へのリガンドの取り込みが可能になり、送達の組織選択制が向上される。たとえば、先行技術(WSLP)におけるPEIバックボーンに対して直接的に結合されているコレステロール部分は、PEIバックボーンからさらに伸長されて、細胞受容体相互作用のためのより柔軟性の形状を作製することができる。PEIバックボーンのユニットあたりのPEG分子の数を調節することは、トランスフェクション活性の最適な亢進をもたらすために重要である。図2に示されるように、腫瘍遺伝子輸送の程度は、異なるPPC構成成分、PEG、PEI、およびコレステロールの比率に依存する。組成物の好ましい範囲は、固定化コレステロール含量で、PEG:PEIのモル比が2〜4であった。PEIとコレステロールとの間の最適比率は、1:0.5〜1:1であった。PPCが腫瘍中への遺伝子輸送を促進する能力は、治療用遺伝子を用いて調べられた。マウスIL-12遺伝子を含有する発現プラスミド(pmIL-12)を、窒素(N)対ホスフェート(P)比(N:P比)が11:1でPPCと複合化し、そして固形4T1腫瘍を有するマウス中に腫瘍内で、または腹膜散在性卵巣腫瘍を有するマウス中に腹腔内で、投与した。
【0037】
両方の腫瘍モデルにおいて、IL-12遺伝子輸送は、IL-12レベルの上昇により明らかにされた(図3)。腹膜腫瘍保持マウスにおいて、治療後IL-12レベルは、24時間以内に上昇し、そして7日目までにベースラインレベルに減少した。IL-12作用の動力学は、IL-12作用の下流メディエータであるIFN-γの増加と緊密に関連していた(図4)。IFN-γレベルの増加は、予想されたよりも若干遅れ、そして7日後にベースラインより上に上昇したままであった。
【0038】
これらのデータは、IL-12発現プラスミドおよびPPCを含む組成物が、異なる腫瘍型において、そして異なる投与経路により、IL-12遺伝子輸送を明らかにすることができることを示す。pmIL-12/PPCにより媒介されるIL-12遺伝子輸送は、腫瘍増殖の顕著な阻害を引き起こすため、治療的に顕著である。腹膜散在性卵巣腫瘍を有するマウスにおいて、10〜250μgのDNA用量でpmIL-12/PPC複合体の腹腔内投与(N:P比11:1)により、用量依存的に、腫瘍負荷を顕著に低下させ(図5)そして生存を向上した(図6)。pmIL-12/PPC(N:P比11:1)の治療効果は、結腸直腸癌においても観察された。腹膜散在性結腸直腸癌を有するマウスにおける25μgのpmIL-12/PPC複合体の腹腔内投与は、非処置動物と比較して、その生存が顕著に延長された(図7)。pmIL-12/PPCによるIL-12遺伝子輸送の抗癌効果は、腫瘍内投与後、固形腫瘍中でも観察された。図8は、pmIL-12/PPCの腫瘍内注射のGL261脳腫瘍の増殖に対する作用を示す。pIL-12/PPC複合体(N:P比11:1)の局所送達によるマウスGL261グリオーマの頭蓋内移植物の治療は、生存を顕著に亢進した。皮下に移植した頭頸部扁平細胞癌を有するマウスにおいて、1週間に1回、4週間のpmIL-12/PPC複合体の腫瘍内投与により、腫瘍増殖速度の顕著な阻害がもたらされた(図9)。pmIL-12/PPC複合体の抗癌作用は、卵巣腫瘍および乳腺腫瘍でも見いだされた。
【0039】
本発明の組成物(核酸および遺伝子送達ポリマー)は、in vivoで投与した場合に、有害な副作用を引き起こさない。たとえば、化合物関連死または毒性の臨床的兆候は何も、腹腔内でまたは皮下での、pmIL-12/PPC投与とは、関係しなかった。pmIL-12/PPCは、オスマウスでもメスマウスでも、動物あたり10、50および250μgに、良好な耐用性であった。IP投与群およびSC投与群の両方における動物の組織病理学的検査から、pmIL-12/PPCによる全身性毒性の証拠は何も示されず、中程度の炎症は、注入部位内にまたは注入部位に隣接して位置する臓器において見られたが、それは1ヶ月の回復期間の間に正常に戻った。これらの結果は、癌の治療のための核酸/ポリマー組成物は、異なる投与様式により投与された場合に幅広い癌に対して有効であり、そして繰り返しin vivo送達により重度の毒性は引き起こされないことが示される。癌に対する単回治療ストラテジーは、この疾患の多因子特性のため、一般的に有効ではないことが広く認識されている。抗癌反応を最大化するための1種以上の薬剤の組み合わせの利点は、徐々に認識されつつある。心強い前臨床データにもかかわらず、これまでに調べられてきた化学物質-化学物質の組み合わせまたは化学物質-サイトカインの組み合わせの臨床的成功は、化学療法薬や組換えサイトカインタンパク質のもともとの毒性のため、満足のいくものではなかった。このことは、タンパク質毒性を縮小し、そして効率を向上させるためのより安全な化学物質-免疫療法のアプローチの必要性を正当化する。本発明において、我々は、化学療法薬を、腫瘍部位に対して局所的に投与され治療の安全性および有効性を向上させる抗癌遺伝子の遺伝子送達と、組み合わせた。抗癌遺伝子の安全で効率的な局所送達を、標準的な化学療法剤と組み合わせることにより、抗癌反応を亢進させ、そして毒性を引き起こすことなく、患者の生存を亢進させる。この組み合わせ治療は、化学療法投与量を減少させ、そして化学療法に対する腫瘍の感受性を上昇させる。本発明において、カチオン性遺伝子送達ポリマーと複合化された抗癌遺伝子、および少なくとも一つの補助的な化学療法薬を含む医薬組成物は、遺伝子治療または化学療法の単独で投与された治療よりも、効果的であることが示される。さらに、組み合わせ治療は、異なる投与経路により投与される場合、幅広い腫瘍に対して有効であり、そして個々の治療に対して毒性を引き起こさない。
【0040】
組み合わせ治療に対する抗癌反応は、腹腔内に移植された卵巣腫瘍に対して示される。パクリタキセル(タキソール(登録商標))(8 mg/Kg)の静脈内投与、またはmIL-12プラスミド(25〜100μg)/PPC複合体(N:P比11:1)の腹腔内投与により、腫瘍減少および腫瘍保持マウスにおける生存の改善がもたらされた。pmIL-12/PPC治療は、パクリタキセル治療よりも、効率性が高かった。IL-12遺伝子およびパクリタキセル治療の組み合わせ個々の治療と比較して、より高い治療反応をもたらした(図10)。IL-12遺伝子治療を別の化学療法剤、ゲムシタビン(Gemzar(登録商標))と組み合わせた場合、組み合わせ治療の卵巣癌に対する同様の作用が、観察された(図11)。ゲムシタビンの抗癌活性は、pmIL-12/PPC治療と一緒に使用された場合に、顕著に亢進された。2種の化学療法剤の混合物を用いたIL-12遺伝子治療の組み合わせを調べた。図12に示されるように、IL-12遺伝子治療をカルボプラチン(Paraplatin(登録商標))/パクリタキセルカクテルと組み合わせることにより、結果として、IL-12治療単独または化学療法単独のいずれかと比較して、生存を亢進した。
【0041】
IL-12遺伝子治療の準最適用量のカルボプラチン/パクリタキセルへの添加により、毒性を引き起こすことなく、高化学療法剤用量で達成された治療効果と同様に、治療効果を亢進した(図12)。
【0042】
組み合わせ治療による抗癌反応における向上もまた、固形腫瘍において観察された。たとえば、頭頸部の皮下扁平上皮癌において、化学療法剤シクロホスファミドの静脈内投与(150 mg/kg)は、腫瘍増殖が顕著に減少したが、しかし完全には阻害しなかった(図13)。pmIL-12/PPC単独の腫瘍内注射により、腫瘍増殖の約30%の阻害が引き起こされた。個々の治療とは対照的に、シクロホスファミド+pmIL-12/PPCの組み合わせ治療により、腫瘍増殖の完全な阻害が引き起こされた。完全な拒絶率は、シクロホスファミドを用いてわずか10%であったのが、シクロホスファミド+pmIL-12/PPC複合体を用いて55%にまで劇的に上昇した。GL261脳腫瘍中への準最適用量(1.5μg)のpmIL-12/PPC複合体の単回腫瘍内注射は、動物の生存率を顕著に亢進しなかった。しかしながら、この準最適用量のpmIL-12/PPCを化学療法剤BCNU(Gliadel(登録商標)wafer)と組み合わせることにより、生存率に顕著な亢進がもたらされた(図14)。
【0043】
高用量の化学療法を用いた癌治療は、重度な毒性と関連している。IL-12/PPCを低用量の化学療法に添加することにより、治療-関連毒性が増大するかどうかを調べるため、腹膜散在性卵巣腫瘍-保持マウスを、IL-12/PPCおよび低用量の化学療法の3回の治療サイクルで治療し(単回治療サイクルと比較して)、そして毒性の兆候をモニタリングした。直接的な比較を、3サイクルの高用量の化学療法治療で治療した動物との間でおこなった。図15に示されるように、50%の高用量の化学療法群は、治療関連毒性のために(すなわち、40グラムに到達する前に)死んだが、IL-12/PPC+低用量の化学療法群は、治療毒性によっては死ななかった。これらの結果から、癌に対する従来からの化学療法(高用量)の毒性は、化学療法用量を低下させることにより、そして安全で効果的なIL-12遺伝子治療を負荷することにより、顕著に減少させることができることが示される。これらのデータは、IL-12プラスミドと新規な遺伝子送達ポリマーを含む前記組成物の抗癌効果を示し、そしてその単一の化学療法剤または化学療法剤混合物によるその増大を示す。組み合わせアプローチは、準最適用量の化学療法処方の効果が、毒性を増加させることなく亢進される方法を提供する。
【0044】
以下の実施例は、当業者に、本発明をどのようにして実施するかをより明確に理解させるものである。本発明は、その好ましい具体的な態様と組み合わせて記載されたが、それらは本発明を説明することを意図したものであって、本発明の範囲を限定することを意図しないことは、理解されるべきである。本発明のその他の側面が本発明が包含するものであることは、当業者には自明である。
【実施例】
【0045】
実施例1 pIL-12/PPC複合体の局所投与による、腹膜散在性腫瘍または皮下腫瘍中へのIL-12遺伝子輸送
pIL-12/PPC複合体の局所的送達が、皮下および腹膜散在性腫瘍保持マウスにおけるIL-12レベルを生成する能力を、調べた。皮下腫瘍研究のためには、メスBALB/cマウス(7週、14-18グラム)マウスに、左側腹部および右側腹部において、それぞれ1×106個の4T1細胞を皮下的に(sc)注射した。腫瘍が60 mm3のおよその腫瘍サイズに到達した後、6μgのDNAを含有するpmIL-12/PPC複合体をマウスに注射した。マウスを、24時間後に犠死させ、そしてそれらの腫瘍を、ELISAによるmIL12解析用に回収した。注射後24時間後の腫瘍中のmIL-12レベルは、図3A中に示される。
【0046】
腹膜腫瘍の研究のためには、メスC57/BL6マウスに、500μlの容量中、5×106ID8細胞を、腹腔内(ip)に注射した。腫瘍負荷(マウス重量)が、約20グラムに到達したとき(細胞の注射後約21日後)、治療を開始した。マウスに、500μlの容量中、11:1の窒素(N)対ホスフェート(P)比(N:P比)で、pmIL-12/PPCの単回容量を腹腔内に注射した。マウスをpmIL-12/PPCで処置した後1、2、3および7日後に、腫瘍保持動物から腹水を回収した。mIL-12のレベルおよびIFN-γのレベルは、ELISAにより決定され、そして全腹水に対して正規化された。その結果は、十分なレベルのmIL-12が、腹水中に見られ、ピークレベルが治療後1日後に得られ、そのレベルは治療の7日後までに、ベースライン近くまで落ちてくることを、示す(図3B)。
IFN-γのレベルは、上昇することが同様に見いだされるが、しかしながらピークレベルは、IL-12レベルに対して一時的に遅延し(第3日目のピーク)、そして治療後7日後までに落ち込むが、しかし依然としてベースラインレベルよりも有意に上にあった(図4)。
【0047】
実施例2 pIL-12/PPC複合体の腹腔内投与による、腹膜散在性卵巣腫瘍の治療
マウスに、500μlの容量で、5×106 ID8細胞を腹腔内に注射した。腫瘍負荷(マウス重量)がおよそ20グラムに到達したとき(細胞の注射後約21日後)、治療を開始した。マウスに、500μlの容量中、11:1のN:P比でPPCと複合化された10〜250μgのpIL-12を、1週間に3回、腹腔内に注射した。マウスは、この研究の期間中、定期的に秤量した。体重増加は、主として腹水蓄積により引き起こされ、このことは、疾患の長期化および腫瘍負荷の間接的な評価をもたらす。pmIL-12/PPC治療は、用量依存的な腫瘍負荷の阻害(図5)および動物生存の長期化(図6)をもたらした。
【0048】
実施例3 pIL-12/PPC複合体の腹腔内投与による、腹膜散在性結腸直腸腫瘍の治療
マウスに、500μlの容量中で、0.1×106 CT26細胞を腹腔内に注射した。腫瘍移植後1日後に、治療を開始した。マウスに、500μlの容量中、11:1のN:P比で、PPCと複合化された50μgのpmIL-12、またはLPPC6と複合化された25μgのpIL-12の注射を、1週間に5回、腹腔内に投与した。LPPC6は、15 kDの直鎖ポリエチレンイミンであり、それに対して、1分子のmPEGと6分子のコレステロールが独立して結合している。7に示されるように、pmIL-12/PPCおよびpmIL-12/LPPC6治療により、この非常に転移性の腫瘍モデルにおいて、非処置対照を越える、生存における有意な改善がもたらされた。
【0049】
実施例4 pIL-12/PPC複合体の腫瘍内投与による、脳の癌の治療
pmIL-12/PPC複合体の局所送達の作用を、マウスグリオーマモデルにおいて調べた。腫瘍を、1×105GL261グリオーマ細胞をpmIL-12/PPC複合体の同時注射と一緒に頭蓋内注射することにより、マウスの大脳皮質内に、移植した。動物を、神経毒性の何らかの徴候をモニタリングし、そして可能であれば剖検して、死が頭蓋内腫瘍によるものであったことを確認した。生存は、Kaplan-Meier生存解析を使用してプロットした。2.5〜30μgのプラスミドの容量範囲で投与したpmIL-12/PPC複合体の単回頭蓋内注射は、顕著な有害作用が何ら見いだされなかったことから、十分に耐用性のものであった。15μgのプラスミドの容量でのpmIL-12/PPC複合体の単回注射により、動物の生存における顕著な亢進がもたらされた(図8)。
【0050】
実施例5 pIL-12/PPC複合体の腫瘍内投与による、頭頸部癌の治療
pIL-12/PPC複合体の局所投与の、皮下的に移植した扁平上皮細胞(SCCVII)癌の増殖に対する作用を調べた。100μl中4×105扁平上皮癌細胞を、メスCH3マウス(6〜9週、17〜22グラム)の右側腹部の皮下(sc)に移植した。mIL-12プラスミドを、11:1のN:P比でPPCと複合化させ、そして50μlの注射容量中25μgのDNA投与量で、腫瘍移植後約11日後に開始して、1週間に1回、腫瘍中に局所的に投与した。
【0051】
12マウスの治療群を使用して、そして腫瘍増殖をノギス測定を使用して1週間に2回モニタリングした。図9に示されるように、pmIL-12/PPC複合体の腫瘍内投与により、部分的ではあるが顕著な腫瘍増殖の阻害がもたらされた。
【0052】
実施例6 腹膜散在性卵巣腫瘍の治療のための、pIL-12/PPC+パクリタキセルの組み合わせ治療
腹腔内IL-12遺伝子治療を、パクリタキセル化学療法と組み合わせて、マウスにおける散在性卵巣腫瘍に対する治療反応を亢進させた。マウスに、500μlの容量中、5×106ID8細胞を腹腔内に注射した。腫瘍負荷(マウス重量)がおよそ20グラムに到達したとき(細胞の注射後約21日後)、治療を開始した。マウスに、500μlの容量中、11:1のN:P比でPPCと複合化された25μgのpmIL-12を、腹腔内に注射した。1回の研究あたり、全部で2回の注射(Day 1、8)からなる遺伝子治療を、7日後に繰り返した。パクリタキセル(Taxol(登録商標))を、250μLの注入容量中8 mg/kgの容量の投与量で、静脈内注射することにより、1回だけ(Day 0)投与した。組み合わせ治療のため、遺伝子治療と化学療法治療の両方とも、上述したように与えた。動物を定期的に秤量して、腫瘍負荷に対する遺伝子治療の作用を評価した。pmIL-12/PPC複合体単独の腹腔内注射により、腹膜腫瘍負荷の顕著な減少がもたらされた。pmIL-12/PPC複合体による腫瘍負荷の阻害は、パクリタキセルの腫瘍負荷の阻害よりも若干高かった。パクリタキセルに対してIL-12遺伝子治療を追加することにより、腫瘍負荷および生存に対するパクリタキセルの作用において改善が生じた(図10)。
【0053】
実施例7 腹膜散在性卵巣癌の治療のための、pIL-12/PPC+ゲムシタビン組み合わせ治療
IL-12遺伝子治療をゲムシタビン(Gemzar(登録商標))と組み合わせることの効率が、比較された。ゲムシタビンは、代謝拮抗物質として知られる化学療法薬物の一般群に属する。膵臓癌、乳腺癌(パクリタキセルと一緒に)、そして肺癌(シスプラチンによる)、を治療することために使用されるが、卵巣癌に対して使用するために、現在は、臨床的に評価されている。本研究のため、マウス(C57BL/6)に、500μlの容量中、2.5×106ID8細胞で、腹腔内注射して、散在性腫瘍形成を誘導した。腫瘍移植後14日後に、ゲムシタビンを、250μlの容量中、150 mg/kgの用量で、腹腔内に投与した。治療を、全部で4回の治療のために、毎週繰り返した。腫瘍移植後17日後に開始し、マウスの選択された群に、500μlの容量中、11:1のN:P比でPPCと複合化された25μgのIL-12プラスミドを、腹腔内で処置した。プラスミド投与を、全部で4回の治療のために、毎週繰り返した。IL-12遺伝子治療およびゲムシタビン化学療法の組み合わせ治療は、いずれかの単一治療単独での場合と比較して、生存を顕著に改善した(図11)。
【0054】
実施例8
腹膜散在性卵巣癌の治療のための、pIL-12/PPC+カルボプラチン/パクリタキセルの組み合わせ治療
卵巣癌のための最前線の化学療法は、プラチナ剤(カルボプラチン、シスプラチン)およびパクリタキセルであり続けている。そのため、我々は、IL-12遺伝子治療を、カルボプラチン/パクリタキセル化学療法処方と組み合わせて使用することを評価することに興味を抱いた。マウス(C57BL/6)に、500μlの容量中、2.5×106ID8細胞を腹腔内に注射した。化学療法治療を、腫瘍移植の15日後に開始した。カルボプラチン(Paraplatin(登録商標))投与を、250 ml中40 mg/kgをipで(高用量)または250μl中15 mg/kg(低用量)のいずれかであり、そしてパクリタキセル(Taxol(登録商標))投与を、250μl中8 mg/kgをipで(高用量)または250 ml中3 mg/kgを腹腔内で(低用量)のいずれかで投与した。カルボプラチンは、全部で4回の治療のために1週間に1回投与し、そしてパクリタキセルは、全部で2回の治療のためにq2wで投与した。カルボプラチンおよびパクリタキセルを同日に投与した場合、パクリタキセルを最初に投与し、そして次にカルボプラチンを2時間後に投与した。腫瘍移植後18日後に開始して、選択された群におけるマウスに、500μlの容量中、11:1のN:P比でPPCと複合化された25μgのIL-12プラスミドを、腹腔内に処置した。プラスミド投与を、全部で4回の治療のため、毎週繰り返した。治療処方の終了後、動物を生存についてモニタリングした。この結果から、IL-12遺伝子治療と低用量カルボプラチン/パクリタキセル化学療法の両方により、同様の生存結果がもたらされたことが示される(図12)。低用量化学療法をIL-12遺伝子治療と組み合わせた場合とは対照的に、効率は、高用量化学療法治療処方の効率とほぼ同一のレベルまで改善された。毒性を最小限にするためにより低量の化学療法用量を使用する一方で、治療効率を維持するため、IL-12 遺伝子治療を低用量の化学療法と組み合わせて使用することができることは、好都合である。このことは、非常に高まった治療反応のための機会を提示するため、潜在的に、患者を、長期間のあいだ化学療法治療処方をそのままにしておくことができる。
【0055】
実施例9 頭頸部癌の治療のための、pIL-12/PPC+シクロホスファミドの組み合わせ治療
腫瘍内IL-12遺伝子治療を、シクロホスファミド(Cytoxan(登録商標)化学療法と組み合わせて、頭頸部癌における治療反応を亢進させた。100μl中、4×105扁平上皮癌細胞(SCCVII)を、メスCH3マウス(6〜9週、17〜22グラム)の右側腹部に、皮下に移植した。シクロホスファミド治療の5日前(腫瘍移植のおよそ11日後)、mIL-12プラスミドは、11:1のN:P比でPPCと複合化され、そして50μlの注入容量中25μgのDNA用量で、毎週1回4週間、腫瘍中に局所的に投与した。シクロホスファミド治療を、125μlの注入容量中200 mg/kgの用量を単独で、またはpIL-12遺伝子治療と組み合わせて、静脈内投与した。研究あたり全部で2回の注入からなるシクロホスファミド治療を、14日後に繰り返した。組み合わせ治療のため、遺伝子治療と化学療法治療の両方を、上述したように投与した。12匹のマウスの治療群を使用し、そして腫瘍増殖を、ノギス測定(calliper measurement)を使用して1週間に2回モニタリングした。
【0056】
図13に示されるように、pmIL-12/PPC複合体の腫瘍内投与またはシクロホスファミドを単独で静脈内注射により、腫瘍増殖の部分的阻害がもたらされる一方、それらの組み合わせにより、完全な阻害がもたらされた。組み合わせ治療により治療された動物の高い割合が、化学療法単独で治療された動物(10%)とは対照的に、腫瘍を完全に拒絶した(55%)。
【0057】
実施例10 腫瘍内pIL-12/PPCおよびBCNU組み合わせ治療による、脳の癌の治療
pmIL-12/PPC複合体の単独またはBCNU(Gliadel(登録商標))と組み合わせた場合の局所送達の作用を、マウスグリオーマモデルにおいて調べた。Gliadel(登録商標)waferは、カルムスチンまたはBCNU、ニトロソウレアファミリーの化学療法薬のポリマー性製剤である。腫瘍を、1×105GL261グリオーマ細胞を、pmIL-12/PPC複合体の同時注射と一緒に、頭蓋内注射により、マウスの大脳皮質内に移植した。腫瘍移植の5日後、10%BCNUを含有するGliadel(登録商標)を、頭頂骨の内部テーブル下に移植した。動物を、神経毒性の何らかのサインについてモニタリングし、可能であれば剖検し、頭蓋内腫瘍による死を確認した。生存は、Kaplan-Meier生存解析を使用してプロットした。2.5〜30μgのプラスミドの範囲で投与されたpmIL-12/PPC複合体の単回頭蓋内注射は、顕著な有害作用が見いだされなかったため、十分に耐用性であった。1.5μgプラスミド用量で投与されたpmIL-12/PPC複合体の単回注射は、生存率を高めなかった。しかしながら、この準最適な用量でのpmIL-12/PPCとBCNUとの組み合わせにより、顕著に生存が上昇した(図14)。組み合わせ治療からの生存の向上は、このモデルにおいてBCNU単独で歴史的に得られたものよりも高かった(データは示さず)。
【0058】
実施例11 IL-12/PPC+低用量カルボプラチン/パクリタキセル組み合わせ治療の毒性と、高用量カルボプラチン/パクリタキセル組み合わせ治療の毒性の比較
IL-12/PPCを低用量カルボプラチン治療(15 mg/kg)およびパクリタキセル治療(3 mg/kg)と組み合わせることにより、高用量カルボプラチン化学療法(40 mg/kg)およびパクリタキセル化学療法(8 mg/kg)と同様の抗癌効率がもたらされることが、出願人により、以前に示された(実施例8、図12)。この実施例においては、IL-12/PPC+低用量組み合わせ化学療法が、高用量化学療法よりも低毒性であるかどうかを調べる。腹膜散在性卵巣腫瘍を保持するマウスに、以前の例では1回のサイクルのみが使用されたことと比較して、IL-12/PPC+低用量化学療法または高用量化学療法の3回の治療サイクルを投与した。40グラム体重カットオフ(疾患の進行により動物を犠死させるための基準)に到達する前に生じるが、剖検において顕著な腫瘍負荷を示さない動物の死亡率を、治療に関連するものと考えた。マウス(C57BL/6)に、500μlの容量中2.5×106ID8細胞を、腹腔内に注射した。化学療法治療を、腫瘍移植の15日後に開始した。カルボプラチン(Paraplatin(登録商標))の投与を、250 ml中40 mg/kgをipで(高用量)または250μl中15 mg/kgで(低用量)のいずれかで行い、そしてパクリタキセル(Taxol(登録商標))投与を、250μl中8 mg/kgをipで(高用量)または250 ml中3 mg/kgを腹腔内で(低用量)のいずれかで行った。カルボプラチンを全部で4回の治療のため1週間に1回投与し、そしてパクリタキセルを全部で2回の治療のためにq2wで投与した。治療日には、パクリタキセルを最初に投与し、その後2時間後にカルボプラチンを投与した。腫瘍移植後18日後に開始して、選択された群におけるマウスに、500μlの容量中、11:1のN:P比でPPCと複合化された100μgのIL-12プラスミドを、腹腔内に処置した。プラスミド投与を、全部で4回の治療のため、毎週繰り返した。完全な治療サイクルを3回繰り返し(全部で12週間)、そして動物を生存についてモニタリングした。IL-12/PPC+低用量化学療法群、低用量化学療法群、またはIL-12/PPCのみの治療群においては治療に関連する死が0%であったのに対して、図15において示されるように、30%の高用量化学療法群は、治療に関連する毒性により(すなわち、40グラムに到達する前に)死んだ。これらの結果から、高用量化学療法処方と比較して、IL-12/PPCを低用量化学療法と組み合わせることにより、治療に関連する死が相対的に少なくなり、しかし同様の抗癌効果をもたらすことが示される(図12)。
【0059】
上述した態様は、単に本発明の原理の応用の説明であると理解されるべきである。多数の修飾および代替的態様を、本発明の概念および範囲から離れることなく導き出すことができ、そして添付する請求の範囲は、その様な修飾および配置をカバーすることを意図する。このように、本発明は、現在のところ本発明の最も現実的なそして(1または複数の)好ましい態様とみなされるものと関連して、図面中に示され、そして具体的かつ詳細に完全に上述されているが、一方、本発明の原理および概念から離れることなく多数の修飾を行うことができることは、当業者にとっては自明である。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】図1は、遺伝子送達ポリマーPEG-PEI-コレステロール(PPC)と水溶性リポポリマー、PEI-Chol(WSLP)との間の遺伝子輸送の効率性における差異を示す。試験ポリマーは、ルシフェラーゼプラスミドと複合化され、そして4T1乳腺腫瘍中に腫瘍内投与される。ルシフェラーゼ発現を、その後24時間後の腫瘍組織中で定量した。
【図2】図2は、PEG-PEI-Chol中のPEG:PEI比の増加の、プラスミド/PPC複合体の腫瘍内投与による、固型4T1腫瘍中への遺伝子輸送の効率に対するの効果を示す。様々なPEG:PEI比で合成されたPPCポリマーは、ルシフェラーゼプラスミドと複合化され、そして4T1乳腺腫瘍中に腫瘍内に投与された。ルシフェラーゼ発現は、その後24時間後の腫瘍組織中で定量された。
【図3】図3は、pmIL-12/PPC複合体の腫瘍内投与による固型乳腺腫瘍中へのIL-12遺伝子輸送(A)およびpmIL-12/PPC複合体の腹腔内注射による腹膜散在性卵巣腫瘍(ID8腫瘍)中へのIL-12遺伝子輸送(B)を示す。PPCは、マウスIL-12遺伝子発現プラスミド(pmIL-12)と複合化され、そして4T1乳腺腫瘍中に腫瘍内で投与されそしてID8腹膜腫瘍保持マウス中に腹腔内で投与された。IL-12レベルを、4T1腫瘍中で24時間後、そしてID8腫瘍保持動物中の腹水中で1、2、3および7日後に、定量した。
【図4】図4は、pmIL-12/PPCの腹腔内投与後のIFN-γ産生の時間経過を示す。PPCをマウスIL-12遺伝子発現プラスミド(pmIL-12)と複合化し、そしてID8腹膜腫瘍保持マウス中に腹腔内で投与した。IFN-γレベルを1、2、3および7日後に腹水中で定量した。
【図5】図5は、pmIL-12/PPC複合体の腹腔内投与による、腹膜散在性卵巣腫瘍の用量依存性阻害を示す。様々DNA用量で調製されたpmIL-12/PPC複合体を、腹膜散在性ID8腫瘍保持マウス中に腹腔内で投与した。動物を、治療の腫瘍の負荷に対する作用を評価するため定期的に体重測定し、そして生存データを記録した。
【図6】図6は、pmIL-12/PPC複合体の腹腔内投与による、腹膜散在性卵巣腫瘍保持マウスの生存における改善を示す。
【図7】図7は、pmIL-12/PPC複合体の腹腔内投与による、腹膜散在性結腸直腸腫瘍保持マウスの生存における改善を示す。pmIL-12/PPC複合体は、腫瘍保持マウス中に腹腔内で投与した。試験動物および対照動物を、生存についてモニタリングした。
【図8】図8は、pmIL-12/PPC複合体の腫瘍内投与による、GL-261グリオーマ保持マウスの生存の改善を示す。pmIL-12/PPC複合体は、腫瘍移植の際に、頭蓋内腔中に投与した。試験動物および対照動物を、生存についてモニタリングした。
【図9】図9は、pmIL-12/PPC複合体の腫瘍内投与による、皮下扁平上皮癌の阻害を示す。pmIL-12/PPC複合体は、皮下SCCVII腫瘍中に、腫瘍移植後6〜7日後に腫瘍内で投与し、そして治療をあわせて4週間の間毎週一回繰り返した。治療効率を評価するため、腫瘍サイズを定期的に測定した。
【図10】図10は、腹腔内pmIL-12/PPCと静脈内パクリタキセルとを含む組み合わせ治療による、腹膜散在性卵巣腫瘍の阻害を示す。pmIL-12/PPC複合体は、腫瘍細胞の移植後21日後に、腹腔内注射により投与された。pmIL-12/PPC治療は、7日後に繰り返した。パクリタキセルは、最初の遺伝子注射の前日に、静脈内に一度だけ投与した。試験動物および対照動物を、生存についてモニタリングした。
【図11】図11は、腹腔内pmIL-12/PPCとゲムシタビン化学療法とを含む組み合わせ治療による、腹膜散在性ID8卵巣腫瘍の阻害を示す。腫瘍保持マウスを、腫瘍移植の14日後に、腹腔内ゲムシタビンにより治療し、そして治療を、あわせて4回の治療のために一週間に1回繰り返した。最初のpmIL-12/PPC治療は、腫瘍移植の17日後に、腹腔内注射により行い、そしてあわせて4回の治療のために一週間に1回繰り返した。試験動物および対照動物を、生存についてモニタリングした。
【図12】図12は、腹腔内pmIL-12/PPCとカルボプラチン/パクリタキセル化学療法とを含む組み合わせ治療による、腹膜散在性卵巣腫瘍の阻害を示す。化学療法治療を腫瘍移植の15日後に開始し、カルボプラチンを一週間に1回4週間与え、そしてタキソール(Taxol)をあわせて2回の治療のために2週間に1回投与した。最初のpmIL-12/PPC治療を、腫瘍移植の18日後に腹腔内注射により投与し、そしてあわせて4回の治療のために1週間に1回繰り返した。試験動物および対照動物を、生存についてモニタリングした。
【図13】図13は、pmIL-12/PPC複合体とシクロホスファミド 化学療法との腫瘍内投与による、SCCVII腫瘍の阻害を示す。pmIL-12/PPC複合体は、皮下SCCVII腫瘍中に、腫瘍移植の6〜7日後に腫瘍内で投与し、そして治療をあわせて4週間のあいだ1週間に1回繰り返した。サイトキサン(Cytoxan)を、遺伝子注射の前日に静脈内で1回投与し、そして14日後に繰り返した。治療効率を評価するため、腫瘍サイズを定期的に測定した。
【図14】図14は、pmIL-12/PPC複合体とBCNU化学療法との腫瘍内投与による、GL261グリオーマの阻害を示す。pmIL-12/PPC複合体を、腫瘍移植の時に頭蓋内腔中に投与した。BCNUを、Gliadelオブラートとして、腫瘍移植の5日後に、投与した。試験動物および対照動物を、生存についてモニタリングした。
【図15】図15は、IL-12/PPC遺伝子治療を低用量のカルボプラチン/パクリタキセル 化学療法に対して添加することは、毒性を増大させないことを示す。対照的に、高用量のカルボプラチン/パクリタキセル化学療法による治療では、30%の割合で治療関連死が引き起こされた。化学療法治療は、腫瘍移植の15日後に開始され、カルボプラチンを4週間のあいだ1週間に1回投与し、そしてタキソール(Taxol)をあわせて2回の治療のために2週間に1回投与した。最初のpmIL-12/PPC治療は、腫瘍移植の18日後に腹腔内注射で投与し、そしてあわせて4回の治療のために1週間に1回繰り返した。全体の治療サイクルを、3回繰り返した。試験動物および対照動物を、生存についてモニタリングした。
【発明の詳細な説明】
【0001】
発明の属する分野
本発明は、核酸、遺伝子送達ポリマー、および少なくとも一つの補助的な化学療法薬を含む、哺乳動物の癌または過剰増殖性疾患を治療するための医薬組成物に関する。本発明は、哺乳動物の癌または過剰増殖性疾患を治療する方法にも関し、この方法は、癌細胞またはいずれかその他の過剰増殖性細胞を、腫瘍内注射、腹腔内注射または全身性注射により前記組成物と接触させることを含む。
【0002】
発明の背景
癌は、世界の多くの場所において死因のもっとも一般的なものであり、そして250万件以上の癌の症例毎年世界中で診断されている。癌の分子生物学の我々の理解における最近の進歩により、癌が病気の細胞の異常増殖を引き起こす遺伝的疾患であることが示された。したがって、癌治療専門家は、現在、治療用タンパク質そのものではなく、遺伝情報を保持する高分子が関与する治療戦略に注目しており、それにより、外来性で送達される遺伝子を腫瘍環境中で発現させることができる。遺伝子治療は、従来のアプローチではできない多数の方法で、治療による利益を癌患者に対してもたらすと考えられる。伝統的な低分子薬は、しばしば、細胞標的と非特異的相互作用することにより機能し、望ましくない副作用を生じ、そして疾患の根元を治療しない。過去数年間にわたって導入されてきたタンパク質薬は、それらが迅速に分解されそして高用量が必要とされ、それによりしばしば望ましくない副作用を引き起こすため、それ自体に限界を有している。遺伝子治療は、生体自体の細胞機構を使用して、単回注射後は、持続的に治療レベルのタンパク質を、特異的な組織および細胞において生成し、それにより、よりよい患者の適応性とともに、安全かつ効果的な治療方法を提供する。
【0003】
一般的に適用される癌遺伝子治療戦略には、1)局所注射、2)局所領域の注射、または3)全身性注射により達成される、免疫療法、細胞除去、および抗-血管形成が含まれる。癌免疫療法は、癌細胞に対する免疫系を刺激することにより癌をたたくための強力なアプローチである。免疫性サイトカインは、免疫細胞を活性化し、成熟させ、そして分化させることにより、宿主免疫応答の発生において重要な役割を果たしている。いくつかのサイトカインは、ヒトにおいてそして癌の動物モデルにおいて、様々な癌に対して試験されてきた(Hum Gene Ther., 1998, vol. 9, 2223;Gene Ther. 1999, vol. 6, 833;Cancer Gene Ther. 2000, vol. 7, 1156;J. Control ReI. 2003, vol. 87, 177;そしてCancer Res., 2002, vol. 62, 4023を参照)。インターロイキン-12(IL-12)は、ヒトの癌の治療においてただいた可能性が示される免疫促進性サイトカインである(The Oncologist, 1996, vol. 1, 88を参照)。IL-12は、2本の共有結合した鎖、p35とp40とからなる70-kDのヘテロ二量体である。IL-12の生物学的作用には、CD4+ T細胞、CD8+ T細胞、およびナチュラルキラー(NK)細胞を休止させおよび活性化させることにより、IFN-γ産生を誘導することが含まれる。IL-12はまた、活性化T細胞および活性化NK細胞の増殖を亢進させ、NK/リンホカイン-活性化キラー細胞の溶解活性を増大させ、そして特異的細胞傷害性Tリンパ球(CTL)反応を促進する。
【0004】
動物モデルにおいて、組換えIL-12は、深在性のT-細胞により媒介される抗腫瘍作用を誘導し、確立された腫瘍の退縮を引き起こし、その後全身性の免疫記憶が生じたことが示された(The Oncologist, 1996, vol. 1, 88を参照)。しかしながら、組換えIL-12の全身性投与は、結果として、いくつかの研究試験においてそして初期ヒト試験において、用量限度の毒性を引き起こした(Lab Invest., 1994, vol. 71, 862;Science, 1995, vol. 270, 908;J. Interferon Cytokine Res., 1995, vol. 14, 335を参照)。用量限度の毒性は、最近のヒトの臨床試験において、組換えIL-12の腹腔内投与により観察された(Clin. Cancer Res., 2002, vol. 8, 3686)。治療レベルのIL-12を腫瘍部位に局所的に提供することができる遺伝子送達アプローチは、全身性毒性を引き起こすことなく、抗癌反応を生成するという利点を有する。
【0005】
ウィルス遺伝子送達システムおよび非ウィルス性遺伝子送達システムの両方とも、癌の動物モデルにおけるIL-12遺伝子送達のために使用された。ウィルス性のアプローチは、主として、癌の発生が高まり、そして宿主免疫によりウィルス性抗原に対する強力な免疫応答が生じるための、毒性の懸念のため、重大な実務上の制限がある。非ウィルス性遺伝子送達システムの開発には、それらの毒性がより少ないことから、かなりな注目が寄せられている。ポリビニルピロリドン(PVP)を使用して、腎臓癌(Renca)および結腸細胞癌(CT26)を治療するためのIL-12の送達用の非ウィルス性遺伝子送達システムが、示された(Gene Ther., 1999, vol. 6, 833を参照)。腫瘍をこの遺伝子治療に供した場合、それらは、たとえば、主要組織適合複合体(MHC)クラスI分子の発現の増加を伴う、NK細胞、CD4およびCD8 T細胞の浸潤の増加など、IL-12タンパク質療法の特徴すべてを示した。IL-12遺伝子送達は、十分に耐用性のものであり、そしてRenca腫瘍を有する動物およびCT26腫瘍を有する動物の両方ともに対して非常に有効であった。腫瘍を拒絶するマウスは、それに引き続く免疫化からも保護されたことから、持続的な全身性免疫の存在が示唆される。官能化されそして低毒性の水溶性リポポリマー(WSLP)を、IL-12遺伝子をCT26結腸癌腫腫瘍へと送達することについて試験した(Mahato et al, Mol. Ther., 2001, vol. 4, 130を参照)。IL-12プラスミド(pIL-12)およびWSLP(pIL-12/WSLP)処置により、むき出しのDNAの場合と比較して、より高い腫瘍内遺伝子発現が得られた。
【0006】
さらに、サイトカインIL-12生成の二次的効果、すなわちIFN-γレベルおよび一酸化窒素(NO)レベルもまた、むき出しのDNAと比較した場合、WSLP処置腫瘍においてより高かった。pIL-12/WSLP複合体の単回注射により、腫瘍増殖および動物の生存率に対して最高に準ずる効果を生みだしたが、一方、繰り返し送達により、よりよい効率が得られたことから、このシステムによる送達が不十分であることが示される(J. Control Release 2003, vol. 87, 177)。同様に、別のポリマー性キャリアPAGA中でのIL-12プラスミドの腫瘍内注射により、CT26腫瘍の部分的な阻害しか得られなかった(Gene Ther., 2002, vol. 9, 1075を参照)。これらの結果から、より効率的な送達システムの要求が保障される。初期の前臨床試験においてそれらが不十分であるにもかかわらず、ポリマー性遺伝子キャリアの優れた分子柔軟性により、より効率的な遺伝子送達システムの開発のために不可避である、複合体の修飾および新規の官能化が可能になる。
【0007】
癌に対して単回治療ストラテジーを利用することは、この疾患が多因子の性質を有するため、一般的には有効ではないと、幅広く認識されている。1より多い薬物を組み合わせて抗癌反応を最大化することは、ますます利用されている(Gene Ther., 2000, vol. 11, 1852を参照)。IL-12遺伝子治療とIFN-α遺伝子治療との間に相乗的関係が存在することが示された。これら2種の遺伝子によりRenca腫瘍を同時治療すると、100%の腫瘍拒絶が生じ、それはIL-12(58%)単独またはIFN-α(25%)単独のいずれかの治療により得られたものよりも高かった。同様に、CT26腫瘍は、組み合わせ遺伝子治療により50%の拒絶率を示し、これはIL-12の単回治療およびIFN-αの単回治療から得られる、それぞれ17%の拒絶率および0%の拒絶率よりも高かった。組み合わせ療法により処置された腫瘍は、単回遺伝子治療により処置された腫瘍と比較した場合、NK細胞およびCD8 T細胞の腫瘍浸潤の増加を示した。化学療法とともに幹細胞中にメチルグアニン-DNA-メチルトランスフェラーゼ(MGMT)を遺伝子輸送することにより、正常な細胞を化学療法から保護し、そして化学療法の全身性毒性を減じた(Nature Reviews Cancer 2004, vol. 4, 296)。
【0008】
さらに、組み合わせ遺伝子治療は、腫瘍中の抗原提示細胞(APC)上のCD40分子数を、単回治療で達成された数よりも高いレベルに上昇させた。APC上でのCD40の亢進制御の上昇は、抗原提示のためのより高い活性化状態と関連している(Nature, 1998, vol. 393, 480;Nature, 1998, vol. 393, 474;およびNature, 1998, vol. 393, 478を参照)。同様の増加は、ケモカインIP-10およびTCA-3についてのmRNAレベルでみられた。したがって、組み合わせ遺伝子治療は、抗-腫瘍免疫を相乗的に亢進し、そしてこの作用は、腫瘍再感作の研究において持続的であることが見いだされた。同様の組み合わせ遺伝子治療研究は、その他の研究グループによって報告された(Laryngoscope 2001, vol. 111, 815を参照)。株化腫瘍を、pIFN-α/PVP、pEL-2/脂質、またはpIL-12/PVP単独、またはそれらの組み合わせにより処置した。その他の2種類の療法と比較した場合のpIFN-α/PVP組み合わせは、単回処置の場合と比較して、抗腫瘍作用を顕著に増大させた。同一の腫瘍モデルを利用する別の研究において、pIL-12/PVPおよびpIL-2/脂質遺伝子を用いた組み合わせ治療は、単回処置の場合と比較して、顕著に高い抗-腫瘍効果を有することが示された(Arch. Otolaryngol Head Neck Surg, 2001, vol. 127, 1319を参照)。
【0009】
別の研究において、抗-オンコジーンおよび2型ソマトスタチン受容体(sst2)との直鎖ポリエチレンイミン(PEI)のポリプレックスの腫瘍内注射により、膵臓腫瘍および肝臓への転移の増殖の顕著な阻害をもたらした(Curr Opin Biotechnol, 2002, vol.13, 128)。腫瘍中のsst2のPEI-媒介性送達は、アポトーシスの増加およびcaspase-3の活性化およびポリ(ADP-リボース)経路の活性化を引き起こした。固型腫瘍中へのDNA/PEIポリプレックスの持続的な送達は、ボーラス送達により得られた送達と比較して、より高い発現をもたらした(Gene Ther., 1999, vol. 10, 1659)。デンドリマーを、それぞれFas-LおよびHSV-Iチミジンキナーゼの腫瘍内遺伝子輸送による膵臓癌および肝細胞癌の阻害のために使用した(Gene Ther., 2003, vol. 10, 434;およびGene Ther., 2000, vol. 7, 53を参照)。細胞傷害性薬剤およびサイトカインを使用する化学-免疫療法は、新生物性疾患の処置を改善するための新たなアプローチを提供する。IL-12タンパク質とシクロホスファミド、パクリタキセル、シスプラチン、またはドキソルビシンとの組み合わせの治療的効率は、マウスL1210白血病モデルにおいて研究された(Int. J. Cancer, 1998, vol. 77, 720を参照)。L1210白血病を、IL-12または上述した化学療法剤のいずれか1つを単独で与えることにより処置すると、結果として中程度の抗白血病性効果が得られた。IL-12とシクロホスファミドまたはパクリタキセルとの組み合わせは、これらの薬剤を単独で与えた場合と比較して、抗白血病性効果の増強を何ももたらさなかった。しかしながら、IL-12とドキソルビシンとの組み合わせは、抗白血病性効果を増強したが、一方シスプラチンとの組み合わせは、中程度の亢進効果を有した。
【0010】
しかしながら、マウスメラノーマMmB 16モデルにおいて、IL-12 + パクリタキセルの組み合わせは、個々の治療よりもより効果的であった(Cancer Lett, 1999, vol. 147, 67)。MB-49膀胱癌およびB16メラノーマにおけるアドリアマイシン、シクロホスファミド、または5-FUと組み合わせたIL-12タンパク質の抗腫瘍性効果が調べられた(Clin. Cancer Res., 1997, vol. 3, 1661を参照)。化学療法と組み合わせる際、IL-12投与により、追加的な毒性を引き起こすことなく、抗腫瘍活性が増大した。IL-12またはシクロホスファミドのいずれかによる処置に対して難治性であるマウスサルコーマMCA207において、組換えIL-12とシクロホスファミドとの組み合わせは、個別の処置と比較して、よりよい抗腫瘍反応をもたらした(J. Immunol, 1998, vol. 160, 1369)。マウス乳腺腫瘍において、静脈内パクリタキセル化学療法と腫瘍内IL-12遺伝子治療(IL-12/WSLP)とを含む組み合わせ治療は、個々の処置と比較して、より効率的であった(Molecular Therapy, 2004, vol. 9, 829を参照)。この組み合わせ治療の利点は、パクリタキセルについて使用される送達ビヒクルに依存した。パクリタキセルとIL-12遺伝子治療との相乗的相互作用は、パクリタキセルがポリマー性製剤中に製剤化された場合に観察された。対照的に、癌治療用のパクリタキセル製剤に幅広く使用されるCremophor EL(Taxol(登録商標))との組み合わせは、相乗的ではなかったことから、観察された利点は、製剤特異的なものであったことが示唆される。
【0011】
遺伝子治療が関与する組み合わせアプローチからの所望の結果を達成するため、適切な遺伝子送達システムの選択が重要である。上述した組み合わせ実験において使用される遺伝子送達システム(Molecular Therapy, 2004, vol. 9, 829)は、水溶性リポポリマー、PEI-コレステロール(WSLP)である。本発明においては、我々は、遺伝子送達システムおよび膜相互作用性リガンド(たとえば、コレステロール)の薬物導体、安全性、および強力性を向上させる用に設計された親水性のポリマーを含有し、それが単独の場合または化学療法剤と組み合わせた場合に、抗癌遺伝子のトランスフェクション活性を促進するように多数の幾何学的構造で配向される、という点において、WSLPとは構造的に別個な、新規クラスのポリマーキャリア(PEG-PEI-コレステロール)を記述する。腫瘍組織中でWSLPと比較した場合のPPCのトランスフェクション活性の有利点は、図1および図2に示す。
【0012】
2種類の化学療法剤または化学療法薬のいずれかおよびサイトカインの組み合わせは、臨床的に調べられた。これらの組み合わせは、より幅広い腫瘍の退縮をもたらしたが、長期間の生存の利点は十分なものとはいえず、そして細胞傷害性が問題となった。このことは、化学療法および組換えタンパク質治療と関連してもともとある全身性毒性のためである。新規のそしてより効果的な組み合わせアプローチを設計して、将来の癌治療を改良しなければならない。本発明において、我々は、ポリマー性キャリアにより送達される核酸ベースの治療剤と少なくとも一つの化学療法剤とを含む癌の治療のための新規の組み合わせアプローチを記述する。
【0013】
発明の概要
本発明は、癌を治療するための、核酸、遺伝子送達ポリマー、および少なくとも一つの医薬用物質を含む医薬組成物を提供する。さらに、本発明はまた、腫瘍細胞の増殖および転移を阻害するための方法、および核酸、遺伝子送達ポリマー、および少なくとも一つの医薬品を含む医薬組成物のin vivo投与により哺乳動物の生存を改善するための方法を提供する。核酸は、プラスミドDNA、siRNA、センスRNA、アンチセンスRNA、およびリボザイムからなる群から選択される構成成分である。プラスミドDNAは、インターロイキン-2、インターロイキン-4、インターロイキン-7、インターロイキン-12、インターロイキン-15、インターフェロン-α、インターフェロン-β、インターフェロン-γ、コロニー刺激因子、顆粒球-マクロファージ刺激因子、血管新生阻害剤、腫瘍抑制遺伝子、チミジンキナーゼ、eNOS、iNOS、p53、p16、TNF-α、Fas-リガンド、変異オンコジーン、腫瘍抗原、ウィルス性抗原または細菌性抗原からなる群から選択される抗癌または抗-増殖性タンパク質をコードするDNA配列を含有する遺伝子発現システムである。プラスミドDNAは、腫瘍細胞またはその他の過剰増殖性細胞の増殖または維持に関与する(1または複数の)タンパク質を阻害するように設計されたshRNA分子をコードしてもよい。プラスミドDNAは、治療用タンパク質と1または複数のshRNAとを同時にコードしてもよい。さらに、前記組成物の核酸は、プラスミドDNAとセンスRNA、アンチセンスRNAまたはリボザイムを含む合成RNAとの混合物であってもよい。
【0014】
遺伝子送達ポリマーは、カチオン性ポリマーまたは非-縮合性ポリマーである。カチオン性ポリマーは、ポリリジン、ポリエチレンイミン、ポリエチレンイミン(PEI)の官能化誘導体、ポリプロピレンイミン、アミノグリコシド-ポリアミン、ジデオキシ-ジアミノ-b-シクロデキストリン、スペルミンおよびスペルミジンからなる群から選択される。本発明のために適したカチオン性遺伝子送達ポリマーの一例は、PEIバックボーン、脂質、および親水性のポリマースペーサーを含むPEI誘導体である。ここで、脂質は、ポリエチレンイミンバックボーンに対して直接結合するか、またはポリエチレングリコールスペーサーに共有結合し、これが次に、生体適合性結合を介してPEIに対して結合する。本発明のカチオン性遺伝子送達ポリマーは、抗体または抗体フラグメント、細胞受容体、増殖因子受容体、サイトカイン受容体、葉酸、トランスフェリン、上皮増殖因子(EGF)、インスリン、アシアロオロソムコイド、マンノース-6-ホスフェート(単球)、マンノース(マクロファージ、いくつかのB細胞)、ルイスxおよびシアリルルイスx(内皮細胞)、N-アセチルラクトサミン(T細胞)、ガラクトース(結腸癌細胞)、そしてトロンボモジュリン(マウス肺内皮細胞)、ポリミキシンBおよびヘマグルチニンHA2などの融合誘導因子(fusogenic agents)、lysosomotropic agents、T-抗原などの核局在シグナル(NLS)などを含む標的化成分をさらに含んでもよい。別の遺伝子送達ポリマーは、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)(PLGA)およびPLGAとPEGとのトリブロックコポリマーを含む群から選択される非-縮合性ポリマーである。遺伝子送達ポリマーは、非-縮合性ポリマーであってもよい。そのような非-縮合性ポリマーの例には、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポロキサマー、ポリグルタメート、ゼラチン、ポリホスホエステル、シルク-エラスチン-様ハイドロ、アガロースハイドロゲル、脂質微少管、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)およびポリエチレングリコール-結合ポリ(ラクチド-co-グリコリド)が含まれる。
【0015】
上述の組成物の一態様において、医薬用物質は、タキサン類、プラチナ類、アドリアマイシン類、シクロホスファミド、トポテカン、カルムスチン(BCNU)またはそれらの組み合わせからなる群から選択される化学療法薬である。パクリタキセル、カルボプラチン、トポテカン、ゲムシタビンおよびこれらのいずれかの組み合わせが特に好ましい。
【0016】
上述した組成物の別の態様において、医薬用物質は、CD20抗体、HER2/neu抗体、抗-VEGF抗体、上皮増殖因子受容体抗体、およびそれらの放射性同位体複合体からなる群から選択される抗癌抗体である。
【0017】
本発明は、核酸、核酸送達ポリマー、および少なくとも一つの補助的な化学療法薬を含む医薬組成物の腫瘍内投与、腹腔内投与、食道内投与、頭蓋内投与、または全身性投与により、哺乳動物の癌を治療する保父応もまた提供する。哺乳動物の癌は、卵巣、乳腺、脳、頭頸部、肝臓、肺、前立腺、腎臓、結腸、膵臓、甲状腺、膀胱、腹腔、胸腔、および皮膚の原発性腫瘍または転移性腫瘍からなる群から選択される。核酸および遺伝子送達ポリマーは、医薬品の投与の前または後に、腫瘍内投与、腹腔内投与、気管内投与または経口投与または全身性投与により投与する。たとえば、いくつかの事例において、医薬用物質(たとえば、化学療法剤)の前に、腫瘍の医薬用物質に対する感受性を潜在的に高め、そして抗-癌反応をブーストするためのものとして、核酸(たとえば、pIL-12 DNA/ポリマー)を投与することが好ましい。別の事例において、遺伝子送達(たとえば、pIL-12/PPC)の前に、医薬用物質(たとえば、化学療法剤)を投与して、医薬用物質が、腫瘍の破壊および後に治療用遺伝子(たとえば、pIL-12/ポリマー)により標的となる癌に対して非常に特異的で頑健な治療反応(たとえば、免疫反応)を誘引するために使用される腫瘍抗原の放出を引き起こすことができることが、好ましい。
【0018】
前記医薬組成物(核酸+遺伝子送達ポリマーおよび1またはそれ以上の化学療法剤)による腫瘍の治療により、結果として腫瘍の収縮と寿命の延長が引き起こされる。本発明の方法にしたがった遺伝子治療(核酸と遺伝子送達ポリマー)と化学療法(化学療法剤)との組み合わせにより、付加的効果および/または相乗的効果がもたらされる。本発明の方法の効果は、腫瘍サイズの収縮または腫瘍密度の低下、リンパ球計測数の増加または好中球計測数の増加、または生存の改善、または上記のすべてとして定義されるが、これらには限定されない。さらに、本発明の方法にしたがった遺伝子治療(核酸および遺伝子送達ポリマー)と化学療法(化学療法剤)との組み合わせにより、化学療法剤の毒性が低下し、腫瘍の化学療法に対する耐性が逆転する。本明細書における毒性は、異常な血液学または血清化学または臓器毒性を含む(しかしこれらに限定されない)、臨床的な知見に対する治療に関連する何らかの有害作用として定義される。さらに、本発明にしたがった遺伝子治療(核酸および遺伝子送達ポリマー)と最適以下の用量の化学療法(化学療法剤)との組み合わせにより、最適用量の化学療法剤により達成される抗ガン作用と同等レベルにまでまたはそれよりも高いレベルにまで抗癌作用を亢進するが、毒性は少ない。
【0019】
組み合わせ治療において、核酸は、プラスミドDNA、siRNA、センスRNA、アンチセンスRNA、およびリボザイムからなる群から選択される構成成分である。核酸は、インターロイキン-2、インターロイキン-4、インターロイキン-7、インターロイキン-12、インターロイキン-15、インターフェロン-α、インターフェロン-β、インターフェロン-γ、コロニー刺激因子、顆粒球-マクロファージ刺激因子、血管新生阻害剤、腫瘍抑制遺伝子、チミジンキナーゼ、eNOS、iNOS、p53、p16、TNF-α、Fas-リガンド、変異オンコジーン、腫瘍抗原、ウィルス性抗原または細菌性抗原からなる群から選択される抗癌または抗-増殖タンパク質をコードするDNA配列を含有する。プラスミドに基づく遺伝子発現システムであってもよい。プラスミドDNAは、腫瘍細胞またはその他の過剰増殖性細胞の増殖または維持に関与する(1または複数の)タンパク質を阻害するように設計されたshRNA分子をコードしてもよい。プラスミドDNAは、治療用タンパク質と1またはそれ以上のshRNA分子とを同時にコードしてもよい。さらに、前記組成物の核酸は、プラスミドDNAと合成RNAとの混合物であってもよい。遺伝子送達ポリマーは、カチオン性ポリマーまたは非-縮合性ポリマーである。カチオン性ポリマーは、ポリリジン、ポリエチレンイミン、ポリエチレンイミンの官能化誘導体、ポリプロピレンイミン、アミノグリコシド-ポリアミン、ジデオキシ-ジアミノ-b-シクロデキストリン、スペルミンおよびスペルミジンを含む群から選択される。本発明のために適したカチオン性遺伝子送達ポリマーの一例は、ポリエチレンイミン(PEI)バックボーン、脂質、およびポリエチレングリコールスペーサーを含むポリエチレンイミン誘導体である。ここで、脂質は、ポリエチレンイミンバックボーンに直接結合するか、またはポリエチレングリコールスペーサーに対して共有結合し、それが次に、生体適合性結合を介して、PEIに対して結合する。本発明のカチオン性遺伝子送達ポリマーは、抗体または抗体フラグメント、細胞受容体、増殖因子受容体、サイトカイン受容体、葉酸、トランスフェリン、上皮増殖因子(EGF)、インスリン、アシアロオロソムコイド、マンノース-6-ホスフェート(単球)、マンノース(マクロファージ、いくつかのB細胞)、ルイスxおよびシアリルルイスx(内皮細胞)、N-アセチルラクトサミン(T細胞)、ガラクトース(結腸癌細胞)、およびトロンボモジュリン(マウス肺内皮細胞)、ポリミキシンBおよびヘマグルチニンHA2などの融合誘導因子(fusogenic agents)、lysosomotrophic agents、T-抗原などの核局在シグナル(NLS)を含む標的化成分をさらに含んでもよい。
【0020】
遺伝子送達ポリマーは、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)(PLGA)およびPLGAとPEGとのトリブロックコポリマーを含む群から選択される非-縮合性ポリマーである。化学療法薬は、タキサン類、プラチナ類、アドリアマイシン類、シクロホスファミド、トポテカン、カルムスチン(BCNU)またはこれらの組み合わせからなる群から選択される構成成分である。パクリタキセル、カルボプラチン、トポテカン、ゲムシタビンおよびそれらのいずれかの組み合わせが特に好ましい。
【0021】
上述した方法の別の態様において、医薬用物質は、CD20抗体、HER2/neu抗体、抗-VEGF抗体、上皮増殖因子受容体抗体およびそれらの放射性同位体複合体からなる群から選択される抗癌抗体である。
【0022】
本発明はまた、化学療法薬を含まず、プラスミドに基づく遺伝子発現システムおよび遺伝子送達ポリマーを含む医薬組成物の腫瘍内投与、腹腔内投与、気管内投与、頭蓋内投与、または全身性投与により、哺乳動物の癌または過剰増殖性疾患を治療する方法を提供する。哺乳動物の癌は、卵巣、乳腺、脳、頭頸部、甲状腺、肝臓、肺、膵臓、小腸、脾臓、前立腺、腎臓、膀胱、結腸、およびメラノーマの原発性腫瘍および転移腫瘍からなる群から選択される。好ましくは、核酸は、インターロイキン-2、インターロイキン-4、インターロイキン-7、インターロイキン-12、インターロイキン-15、インターフェロン-α、インターフェロン-β、インターフェロン-γ、コロニー刺激因子、顆粒球-マクロファージ刺激因子、血管新生阻害剤、腫瘍抑制遺伝子、チミジンキナーゼ、eNOS、iNOS、p53、p16、TNF-α、Fas-リガンド、変異オンコジーン、腫瘍抗原、ウィルス性抗原または細菌性抗原からなる群から選択される抗癌または抗増殖性タンパク質をコードするDNA配列を含有する、プラスミドに基づく遺伝子発現システムである。プラスミドDNAは、腫瘍細胞またはその他の過剰増殖性細胞の増殖または維持に関連する(1または複数の)タンパク質を阻害するように設計されたshRNA分子をコードしてもよい。プラスミドDNAは、治療用タンパク質と1またはそれ以上のshRNA分子とを同時にコードしてもよい。さらに、前記組成物の核酸は、プラスミドDNAと合成RNAとの混合物であってもよい。
【0023】
前記組成物の遺伝子送達ポリマーは、カチオン性ポリマーまたは非-縮合性ポリマーである。カチオン性ポリマーは、ポリエチレンイミン、ポリエチレンイミンの官能化誘導体、ポリプロピレンイミン、アミノグリコシド-ポリアミン、ジデオキシ-ジアミノ-b-シクロデキストリン、スペルミンおよびスペルミジンからなる群から選択される。提示のために適しているカチオン性ポリマーの一例は、ポリエチレンイミン(PEI)、脂質、および親水性のポリマースペーサーを含むポリエチレンイミン誘導体である。ここで、脂質は、ポリエチレンイミンバックボーンに対して直接結合するかまたは親水性のポリマースペーサーに共有結合し、それが次に、生体適合性結合を介して、PEIに対して結合する。本発明のカチオン性ポリマーは、抗体または抗体フラグメント、細胞受容体、増殖因子受容体、サイトカイン受容体、葉酸、トランスフェリン、上皮増殖因子(EGF)、インスリン、アシアロオロソムコイド、マンノース-6-ホスフェート(単球)、マンノース(マクロファージ、いくつかのB細胞)、ルイスxおよびシアリルルイスx(内皮細胞)、N-アセチルラクトサミン(T細胞)、ガラクトース(結腸癌細胞)、およびトロンボモジュリン(マウス肺内皮細胞)、ポリミキシンBおよびヘマグルチニンHA2などの融合誘導因子(fusogenic agents)、lysosomotrophic agents、T-抗原などの核局在シグナル(NLS)などを含む標的化成分をさらに含んでもよい。別の遺伝子送達ポリマーは、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)(PLGA)およびPLGAとPEGとのトリブロックコポリマーを含む群から選択される非-縮合性ポリマーである。医薬組成物(核酸+遺伝子送達ポリマーおよび1またはそれ以上の化学療法剤)による腫瘍の治療により、結果として腫瘍の収縮と寿命の延長が引き起こされる。
【0024】
発明の詳細な説明
生理活性物質を送達するための本発明の組成物および方法を開示しそして記載する前に、特定の構成、プロセス工程、および材料が幾分変化する可能性があることから、本発明が、本明細書中に開示された特定の構成、プロセス工程、そして材料に限定されないことは、理解されるべきである。本発明の範囲は添付の請求の範囲およびその均等範囲によってのみ限定されるものであるため、本明細書中で使用される用語用法は、特定の態様のみを記載する目的で使用されるものであり、そして限定を意図するものではないこともまた、理解されるべきである。
【0025】
本明細書および添付の請求の範囲において使用される場合、単数形(“a”“an”および“the”)には、文脈において明確にそうでないと解釈しているのでなければ、複数の言及が含まれることは注意されなければならない。従って、例えば、“ジスルフィド結合”を含有するポリマーの言及には、2またはそれ以上のその様なジスルフィド結合が含まれ、“リガンド”の言及には、1またはそれ以上のその様なリガンドの言及が含まれ、そして“薬物”の言及には、2またはそれ以上のその様な薬物の言及が含まれる。
【0026】
本発明を記載しそして請求項に記載する際、以下に記載する定義に従って、以下の用語用法を使用する。
“トランスフェクト”または“トランスフェクション”は、細胞の外部環境から細胞内部環境へ、特に細胞質および/または細胞核に関して核酸を輸送することを意味する。何らかの具体的な理論により縛られないが、1またはそれ以上のカチオン性ポリマー/核酸複合体中にカプセル化するかまたはその様な複合体に対して結合させたのち、またはそれと同調させたのち、細胞に対して送達することができる。特定のトランスフェクションの事例は、核酸を細胞核に送達する。核酸には、DNAおよびRNA、ならびに合成の同様のものが含まれる。その様な核酸には、ミスセンス、アンチセンス、ナンセンス、ならびにタンパク質生成性ヌクレオチド、タンパク質やペプチドや核酸の生成を調節するオン・オフや速度制御型のヌクレオチドが含まれる。特に、限定されないが、それらは、ゲノムDNA、cDNA、mRNA、tRNA、rRNA、ハイブリッド配列、または合成または半合成配列、および天然由来のものまたは人工由来のものであってもよい。さらに、核酸は、オリゴヌクレオチドから染色体までの範囲で、サイズが可変であってもよい。これらの核酸は、ヒト由来、動物由来、植物由来、細菌由来、ウィルス由来、または合成由来であってもよい。それらは、当業者に既知のいずれかの技術により得ることができる。
【0027】
本明細書中で使用する場合、用語“医薬用物質”または“薬物”、あるいは何らか他の類似の用語は、当該技術分野において以前から知られている方法により、および/または本発明中で教示される方法により、投与するために適したいずれかの化学的物質または化合物または生物学的物質または化合物のことを意味し、所望の生物学的作用または医薬的作用を誘導し、そして(1)生物に対する予防的作用を有し、そして望まれない生物学的作用を予防すること、例えば感染を予防すること、(2)疾患により生じる症状を緩和すること、例えば、疾患の結果として生じる疼痛または炎症を緩和すること、および/または(3)生物から疾患を緩和し、低減しまたは完全に除去することのいずれか、を含んでもよいが、これらには限定されない。この作用は局所的な麻酔作用を提供するものなどの局所的なものであってもよく、またはそれは全身性のものであってもよい。
【0028】
本発明は、新規な薬物や、生理活性物質それ自体の新規なクラスについてのものではない。むしろ、本発明は、当該分野の技術水準において存在しまたは活性物質としてその後証明され得、そして本発明により送達するために適している、遺伝子またはその他の生理活性物質の送達のための、生体適合性カチオン性コポリマー組成物、およびその様な組成物を使用する方法に関するものである。その様な物質には、通常生体内に送達される幅広いクラスの化合物が含まれる。一般的には、これには:DNA、RNA、およびオリゴヌクレオチド等の核酸、抗生物質および抗ウィルス薬などの抗-感染薬、鎮痛剤および組合せ鎮痛剤;食欲抑制薬;抗寄生虫薬; 抗関節炎薬;抗ぜんそく薬;抗けいれん薬;抗うつ薬;抗糖尿病薬;抗下痢薬;抗ヒスタミン薬;抗炎症薬;抗片頭痛調製物;抗嘔吐薬;抗新生物薬;抗パーキンソン薬;鎮痒薬;抗精神病薬;解熱剤;抗けいれん薬;抗コリン作動薬;交感神経興奮薬;キサンチン誘導体;カリウムチャンネルブロッカー、カルシウムチャンネルブロッカー、β-ブロッカー、α-ブロッカー、および抗不整脈薬を含む心臓血管調製物;抗高血圧薬;利尿薬および抗利尿薬;全身性、冠状血管性、末梢性、および中枢性のものを含む、血管拡張薬;中枢神経系興奮薬;血管収縮薬;充血除去剤を含む感冒薬;エストラジオール、またはコルチコステロイドを含むその他のステロイド等のホルモン;睡眠薬;免疫抑制薬;筋弛緩薬;副交感神経遮断薬;精神刺激薬;鎮静剤;およびトランキライザー;が含まれるが、これらには限定されない。本発明の方法により、例えば、イオン化、非イオン化、遊離塩基、酸付加塩、等のあらゆる形状の薬物を、高分子量の薬物または低分子量の薬物と同様に送達することができる。送達される生理活性物質の上位概念または下位概念についての唯一の限定は、日常的な実験により容易に決定することができる機能性の限定である。
【0029】
本明細書中で使用される場合、用語“生体適合性の”または“生分解”は、可溶化加水分解、により、または酵素および生物のその他の生成物であってもよい生物学的に形成された構成要素の作用により、物質をあまり複雑ではない中間体または最終生成物へと変換することとして定義される。
【0030】
本明細書中で使用される場合、“有効量”は、所望の局所的または全身性作用ならびになんらかの医療的処置に伴う適度なリスク/便益比の性能を得るために十分な、核酸または生理活性物質の量を意味する。
【0031】
本明細書中で使用される場合、“ペプチド”は、いずれかの長さのペプチドを意味し、そしてタンパク質を含む。用語“ポリペプチド”および“オリゴペプチド”は、特定のサイズが特に指定されていない限り、何らかの具体的な目的とするサイズ制限なしに使用される。使用することができる典型的なペプチドは、オキシトシン、バソプレッシン、副腎皮質刺激ホルモン、上皮細胞増殖因子、プロラクチン、ルリベリン(luliberin)または黄体形成ホルモン放出ホルモン、成長ホルモン、成長ホルモン放出ホルモン、インスリン、ソマトスタチン、グルカゴン、インターフェロン類、ガストリン、テトラガストリン、ペンタガストリン、ウロガストリン、セクレチン、カルシトニン、エンケファリン、エンドルフィン、アンギオテンシン、レニン、ブラジキニン、バシトラシン、ポリミキシン、コリスチン、チロシジン、グラミシジン(gramicidines)、および合成類似体、修飾物質および薬理学的に活性なそのフラグメント、モノクローナル抗体、および可溶性ワクチン、からなる群から選択されるものである。使用することができるペプチドまたはタンパク質薬物についての唯一の限定は、機能性の一つである。
【0032】
本明細書中で使用される場合、炭水化物の“誘導体”には、例えば、糖の酸型、例えば、グルクロン酸;糖のアミン、例えば、ガラクトサミン;糖のホスフェート、例えば、マンノース-6-リン酸;などが含まれる。
【0033】
本明細書中で使用される場合、“投与”および類似の用語は、組成物が全身を循環することができ、そこで組成物が標的細胞に結合し、そしてエンドサイトーシスにより取り込まれることができるように、組成物を治療される個体に送達することを意味する。このように、組成物を、好ましくは、全身的に、典型的には皮下経路、筋肉内経路、経皮経路、静脈内経路、または腹腔内経路により、個体に対して投与する。そのような用途のための注射は、溶液またはサスペンジョンとしていずれかの従来の形状で、または注射の前に液体中の溶液またはサスペンジョンとしてまたはエマルジョンとして調製するために適している固体形状で、調製することができる。投与用に使用することができる適した賦形剤には、例えば、水、塩類溶液、デキストロース、グリセロール、エタノールなどが含まれ;そして所望の場合、湿潤剤または乳化剤、バッファーなどの少量の補助物質が含まれる。
【0034】
本明細書中で使用する場合、“効果”および同様の用語は、腫瘍の消失または腫瘍の、または腫瘍のサイズの収縮、または腫瘍密度の減少、またはリンパ球数の増加、または好中球数の増加、または生存の改善、またはこれらのすべてを意味する。本明細書中で使用する場合、“毒性”は、異常な血液学、または血清化学的結果、または臓器毒性を含む(しかしこれらには限定されない)臨床的知見に対する、いずれかの治療に関連する有害作用として定義される。
【0035】
新たな癌治療ストラテジーは、治療用タンパク質それ自体ではなく、外来性に送達された遺伝子を、腫瘍環境中で発現することができる、遺伝情報を保持する高分子を送達することに焦点を当てる。非-ウィルス性遺伝子送達システムを使用する方法は、ウィルス性送達システムと比較してより安全であると考えられるが、現在のポリマーシステムの実務的な応用は、効率が低いため、満足のいくものではない。水溶性リポポリマー(WSLP)を形成するコレステロールの共有結合により、低分子量PEIの遺伝子トランスフェクション効率が亢進されるストラテジーは、最近開示された(Mol. Ther.、2001、4、130を参照)。固形腫瘍へのWSLPを用いたIL-12遺伝子輸送は、非修飾PEIにより行われるIL-12遺伝子輸送よりも顕著に良好であり、そしてより顕著な腫瘍阻害をもたらした。
【0036】
本発明は、新規なポリマーシステム、PEG-PEI-コレステロール(PPC)、を提供する。これは、PEG部分を含有し、そして腫瘍中への顕著に高いトランスフェクション効率をもたらす点で、WSLP(PEI-コレステロール)とは異なる(図1)。PEGの付加は、生物学環境中での核酸/ポリマー複合体の安定性を亢進させ、先行技術(WSLP)におけるこの欠点を回避するために設計された。さらに、PEG鎖の付加により、PPC鎖上へのリガンドの取り込みが可能になり、送達の組織選択制が向上される。たとえば、先行技術(WSLP)におけるPEIバックボーンに対して直接的に結合されているコレステロール部分は、PEIバックボーンからさらに伸長されて、細胞受容体相互作用のためのより柔軟性の形状を作製することができる。PEIバックボーンのユニットあたりのPEG分子の数を調節することは、トランスフェクション活性の最適な亢進をもたらすために重要である。図2に示されるように、腫瘍遺伝子輸送の程度は、異なるPPC構成成分、PEG、PEI、およびコレステロールの比率に依存する。組成物の好ましい範囲は、固定化コレステロール含量で、PEG:PEIのモル比が2〜4であった。PEIとコレステロールとの間の最適比率は、1:0.5〜1:1であった。PPCが腫瘍中への遺伝子輸送を促進する能力は、治療用遺伝子を用いて調べられた。マウスIL-12遺伝子を含有する発現プラスミド(pmIL-12)を、窒素(N)対ホスフェート(P)比(N:P比)が11:1でPPCと複合化し、そして固形4T1腫瘍を有するマウス中に腫瘍内で、または腹膜散在性卵巣腫瘍を有するマウス中に腹腔内で、投与した。
【0037】
両方の腫瘍モデルにおいて、IL-12遺伝子輸送は、IL-12レベルの上昇により明らかにされた(図3)。腹膜腫瘍保持マウスにおいて、治療後IL-12レベルは、24時間以内に上昇し、そして7日目までにベースラインレベルに減少した。IL-12作用の動力学は、IL-12作用の下流メディエータであるIFN-γの増加と緊密に関連していた(図4)。IFN-γレベルの増加は、予想されたよりも若干遅れ、そして7日後にベースラインより上に上昇したままであった。
【0038】
これらのデータは、IL-12発現プラスミドおよびPPCを含む組成物が、異なる腫瘍型において、そして異なる投与経路により、IL-12遺伝子輸送を明らかにすることができることを示す。pmIL-12/PPCにより媒介されるIL-12遺伝子輸送は、腫瘍増殖の顕著な阻害を引き起こすため、治療的に顕著である。腹膜散在性卵巣腫瘍を有するマウスにおいて、10〜250μgのDNA用量でpmIL-12/PPC複合体の腹腔内投与(N:P比11:1)により、用量依存的に、腫瘍負荷を顕著に低下させ(図5)そして生存を向上した(図6)。pmIL-12/PPC(N:P比11:1)の治療効果は、結腸直腸癌においても観察された。腹膜散在性結腸直腸癌を有するマウスにおける25μgのpmIL-12/PPC複合体の腹腔内投与は、非処置動物と比較して、その生存が顕著に延長された(図7)。pmIL-12/PPCによるIL-12遺伝子輸送の抗癌効果は、腫瘍内投与後、固形腫瘍中でも観察された。図8は、pmIL-12/PPCの腫瘍内注射のGL261脳腫瘍の増殖に対する作用を示す。pIL-12/PPC複合体(N:P比11:1)の局所送達によるマウスGL261グリオーマの頭蓋内移植物の治療は、生存を顕著に亢進した。皮下に移植した頭頸部扁平細胞癌を有するマウスにおいて、1週間に1回、4週間のpmIL-12/PPC複合体の腫瘍内投与により、腫瘍増殖速度の顕著な阻害がもたらされた(図9)。pmIL-12/PPC複合体の抗癌作用は、卵巣腫瘍および乳腺腫瘍でも見いだされた。
【0039】
本発明の組成物(核酸および遺伝子送達ポリマー)は、in vivoで投与した場合に、有害な副作用を引き起こさない。たとえば、化合物関連死または毒性の臨床的兆候は何も、腹腔内でまたは皮下での、pmIL-12/PPC投与とは、関係しなかった。pmIL-12/PPCは、オスマウスでもメスマウスでも、動物あたり10、50および250μgに、良好な耐用性であった。IP投与群およびSC投与群の両方における動物の組織病理学的検査から、pmIL-12/PPCによる全身性毒性の証拠は何も示されず、中程度の炎症は、注入部位内にまたは注入部位に隣接して位置する臓器において見られたが、それは1ヶ月の回復期間の間に正常に戻った。これらの結果は、癌の治療のための核酸/ポリマー組成物は、異なる投与様式により投与された場合に幅広い癌に対して有効であり、そして繰り返しin vivo送達により重度の毒性は引き起こされないことが示される。癌に対する単回治療ストラテジーは、この疾患の多因子特性のため、一般的に有効ではないことが広く認識されている。抗癌反応を最大化するための1種以上の薬剤の組み合わせの利点は、徐々に認識されつつある。心強い前臨床データにもかかわらず、これまでに調べられてきた化学物質-化学物質の組み合わせまたは化学物質-サイトカインの組み合わせの臨床的成功は、化学療法薬や組換えサイトカインタンパク質のもともとの毒性のため、満足のいくものではなかった。このことは、タンパク質毒性を縮小し、そして効率を向上させるためのより安全な化学物質-免疫療法のアプローチの必要性を正当化する。本発明において、我々は、化学療法薬を、腫瘍部位に対して局所的に投与され治療の安全性および有効性を向上させる抗癌遺伝子の遺伝子送達と、組み合わせた。抗癌遺伝子の安全で効率的な局所送達を、標準的な化学療法剤と組み合わせることにより、抗癌反応を亢進させ、そして毒性を引き起こすことなく、患者の生存を亢進させる。この組み合わせ治療は、化学療法投与量を減少させ、そして化学療法に対する腫瘍の感受性を上昇させる。本発明において、カチオン性遺伝子送達ポリマーと複合化された抗癌遺伝子、および少なくとも一つの補助的な化学療法薬を含む医薬組成物は、遺伝子治療または化学療法の単独で投与された治療よりも、効果的であることが示される。さらに、組み合わせ治療は、異なる投与経路により投与される場合、幅広い腫瘍に対して有効であり、そして個々の治療に対して毒性を引き起こさない。
【0040】
組み合わせ治療に対する抗癌反応は、腹腔内に移植された卵巣腫瘍に対して示される。パクリタキセル(タキソール(登録商標))(8 mg/Kg)の静脈内投与、またはmIL-12プラスミド(25〜100μg)/PPC複合体(N:P比11:1)の腹腔内投与により、腫瘍減少および腫瘍保持マウスにおける生存の改善がもたらされた。pmIL-12/PPC治療は、パクリタキセル治療よりも、効率性が高かった。IL-12遺伝子およびパクリタキセル治療の組み合わせ個々の治療と比較して、より高い治療反応をもたらした(図10)。IL-12遺伝子治療を別の化学療法剤、ゲムシタビン(Gemzar(登録商標))と組み合わせた場合、組み合わせ治療の卵巣癌に対する同様の作用が、観察された(図11)。ゲムシタビンの抗癌活性は、pmIL-12/PPC治療と一緒に使用された場合に、顕著に亢進された。2種の化学療法剤の混合物を用いたIL-12遺伝子治療の組み合わせを調べた。図12に示されるように、IL-12遺伝子治療をカルボプラチン(Paraplatin(登録商標))/パクリタキセルカクテルと組み合わせることにより、結果として、IL-12治療単独または化学療法単独のいずれかと比較して、生存を亢進した。
【0041】
IL-12遺伝子治療の準最適用量のカルボプラチン/パクリタキセルへの添加により、毒性を引き起こすことなく、高化学療法剤用量で達成された治療効果と同様に、治療効果を亢進した(図12)。
【0042】
組み合わせ治療による抗癌反応における向上もまた、固形腫瘍において観察された。たとえば、頭頸部の皮下扁平上皮癌において、化学療法剤シクロホスファミドの静脈内投与(150 mg/kg)は、腫瘍増殖が顕著に減少したが、しかし完全には阻害しなかった(図13)。pmIL-12/PPC単独の腫瘍内注射により、腫瘍増殖の約30%の阻害が引き起こされた。個々の治療とは対照的に、シクロホスファミド+pmIL-12/PPCの組み合わせ治療により、腫瘍増殖の完全な阻害が引き起こされた。完全な拒絶率は、シクロホスファミドを用いてわずか10%であったのが、シクロホスファミド+pmIL-12/PPC複合体を用いて55%にまで劇的に上昇した。GL261脳腫瘍中への準最適用量(1.5μg)のpmIL-12/PPC複合体の単回腫瘍内注射は、動物の生存率を顕著に亢進しなかった。しかしながら、この準最適用量のpmIL-12/PPCを化学療法剤BCNU(Gliadel(登録商標)wafer)と組み合わせることにより、生存率に顕著な亢進がもたらされた(図14)。
【0043】
高用量の化学療法を用いた癌治療は、重度な毒性と関連している。IL-12/PPCを低用量の化学療法に添加することにより、治療-関連毒性が増大するかどうかを調べるため、腹膜散在性卵巣腫瘍-保持マウスを、IL-12/PPCおよび低用量の化学療法の3回の治療サイクルで治療し(単回治療サイクルと比較して)、そして毒性の兆候をモニタリングした。直接的な比較を、3サイクルの高用量の化学療法治療で治療した動物との間でおこなった。図15に示されるように、50%の高用量の化学療法群は、治療関連毒性のために(すなわち、40グラムに到達する前に)死んだが、IL-12/PPC+低用量の化学療法群は、治療毒性によっては死ななかった。これらの結果から、癌に対する従来からの化学療法(高用量)の毒性は、化学療法用量を低下させることにより、そして安全で効果的なIL-12遺伝子治療を負荷することにより、顕著に減少させることができることが示される。これらのデータは、IL-12プラスミドと新規な遺伝子送達ポリマーを含む前記組成物の抗癌効果を示し、そしてその単一の化学療法剤または化学療法剤混合物によるその増大を示す。組み合わせアプローチは、準最適用量の化学療法処方の効果が、毒性を増加させることなく亢進される方法を提供する。
【0044】
以下の実施例は、当業者に、本発明をどのようにして実施するかをより明確に理解させるものである。本発明は、その好ましい具体的な態様と組み合わせて記載されたが、それらは本発明を説明することを意図したものであって、本発明の範囲を限定することを意図しないことは、理解されるべきである。本発明のその他の側面が本発明が包含するものであることは、当業者には自明である。
【実施例】
【0045】
実施例1 pIL-12/PPC複合体の局所投与による、腹膜散在性腫瘍または皮下腫瘍中へのIL-12遺伝子輸送
pIL-12/PPC複合体の局所的送達が、皮下および腹膜散在性腫瘍保持マウスにおけるIL-12レベルを生成する能力を、調べた。皮下腫瘍研究のためには、メスBALB/cマウス(7週、14-18グラム)マウスに、左側腹部および右側腹部において、それぞれ1×106個の4T1細胞を皮下的に(sc)注射した。腫瘍が60 mm3のおよその腫瘍サイズに到達した後、6μgのDNAを含有するpmIL-12/PPC複合体をマウスに注射した。マウスを、24時間後に犠死させ、そしてそれらの腫瘍を、ELISAによるmIL12解析用に回収した。注射後24時間後の腫瘍中のmIL-12レベルは、図3A中に示される。
【0046】
腹膜腫瘍の研究のためには、メスC57/BL6マウスに、500μlの容量中、5×106ID8細胞を、腹腔内(ip)に注射した。腫瘍負荷(マウス重量)が、約20グラムに到達したとき(細胞の注射後約21日後)、治療を開始した。マウスに、500μlの容量中、11:1の窒素(N)対ホスフェート(P)比(N:P比)で、pmIL-12/PPCの単回容量を腹腔内に注射した。マウスをpmIL-12/PPCで処置した後1、2、3および7日後に、腫瘍保持動物から腹水を回収した。mIL-12のレベルおよびIFN-γのレベルは、ELISAにより決定され、そして全腹水に対して正規化された。その結果は、十分なレベルのmIL-12が、腹水中に見られ、ピークレベルが治療後1日後に得られ、そのレベルは治療の7日後までに、ベースライン近くまで落ちてくることを、示す(図3B)。
IFN-γのレベルは、上昇することが同様に見いだされるが、しかしながらピークレベルは、IL-12レベルに対して一時的に遅延し(第3日目のピーク)、そして治療後7日後までに落ち込むが、しかし依然としてベースラインレベルよりも有意に上にあった(図4)。
【0047】
実施例2 pIL-12/PPC複合体の腹腔内投与による、腹膜散在性卵巣腫瘍の治療
マウスに、500μlの容量で、5×106 ID8細胞を腹腔内に注射した。腫瘍負荷(マウス重量)がおよそ20グラムに到達したとき(細胞の注射後約21日後)、治療を開始した。マウスに、500μlの容量中、11:1のN:P比でPPCと複合化された10〜250μgのpIL-12を、1週間に3回、腹腔内に注射した。マウスは、この研究の期間中、定期的に秤量した。体重増加は、主として腹水蓄積により引き起こされ、このことは、疾患の長期化および腫瘍負荷の間接的な評価をもたらす。pmIL-12/PPC治療は、用量依存的な腫瘍負荷の阻害(図5)および動物生存の長期化(図6)をもたらした。
【0048】
実施例3 pIL-12/PPC複合体の腹腔内投与による、腹膜散在性結腸直腸腫瘍の治療
マウスに、500μlの容量中で、0.1×106 CT26細胞を腹腔内に注射した。腫瘍移植後1日後に、治療を開始した。マウスに、500μlの容量中、11:1のN:P比で、PPCと複合化された50μgのpmIL-12、またはLPPC6と複合化された25μgのpIL-12の注射を、1週間に5回、腹腔内に投与した。LPPC6は、15 kDの直鎖ポリエチレンイミンであり、それに対して、1分子のmPEGと6分子のコレステロールが独立して結合している。7に示されるように、pmIL-12/PPCおよびpmIL-12/LPPC6治療により、この非常に転移性の腫瘍モデルにおいて、非処置対照を越える、生存における有意な改善がもたらされた。
【0049】
実施例4 pIL-12/PPC複合体の腫瘍内投与による、脳の癌の治療
pmIL-12/PPC複合体の局所送達の作用を、マウスグリオーマモデルにおいて調べた。腫瘍を、1×105GL261グリオーマ細胞をpmIL-12/PPC複合体の同時注射と一緒に頭蓋内注射することにより、マウスの大脳皮質内に、移植した。動物を、神経毒性の何らかの徴候をモニタリングし、そして可能であれば剖検して、死が頭蓋内腫瘍によるものであったことを確認した。生存は、Kaplan-Meier生存解析を使用してプロットした。2.5〜30μgのプラスミドの容量範囲で投与したpmIL-12/PPC複合体の単回頭蓋内注射は、顕著な有害作用が何ら見いだされなかったことから、十分に耐用性のものであった。15μgのプラスミドの容量でのpmIL-12/PPC複合体の単回注射により、動物の生存における顕著な亢進がもたらされた(図8)。
【0050】
実施例5 pIL-12/PPC複合体の腫瘍内投与による、頭頸部癌の治療
pIL-12/PPC複合体の局所投与の、皮下的に移植した扁平上皮細胞(SCCVII)癌の増殖に対する作用を調べた。100μl中4×105扁平上皮癌細胞を、メスCH3マウス(6〜9週、17〜22グラム)の右側腹部の皮下(sc)に移植した。mIL-12プラスミドを、11:1のN:P比でPPCと複合化させ、そして50μlの注射容量中25μgのDNA投与量で、腫瘍移植後約11日後に開始して、1週間に1回、腫瘍中に局所的に投与した。
【0051】
12マウスの治療群を使用して、そして腫瘍増殖をノギス測定を使用して1週間に2回モニタリングした。図9に示されるように、pmIL-12/PPC複合体の腫瘍内投与により、部分的ではあるが顕著な腫瘍増殖の阻害がもたらされた。
【0052】
実施例6 腹膜散在性卵巣腫瘍の治療のための、pIL-12/PPC+パクリタキセルの組み合わせ治療
腹腔内IL-12遺伝子治療を、パクリタキセル化学療法と組み合わせて、マウスにおける散在性卵巣腫瘍に対する治療反応を亢進させた。マウスに、500μlの容量中、5×106ID8細胞を腹腔内に注射した。腫瘍負荷(マウス重量)がおよそ20グラムに到達したとき(細胞の注射後約21日後)、治療を開始した。マウスに、500μlの容量中、11:1のN:P比でPPCと複合化された25μgのpmIL-12を、腹腔内に注射した。1回の研究あたり、全部で2回の注射(Day 1、8)からなる遺伝子治療を、7日後に繰り返した。パクリタキセル(Taxol(登録商標))を、250μLの注入容量中8 mg/kgの容量の投与量で、静脈内注射することにより、1回だけ(Day 0)投与した。組み合わせ治療のため、遺伝子治療と化学療法治療の両方とも、上述したように与えた。動物を定期的に秤量して、腫瘍負荷に対する遺伝子治療の作用を評価した。pmIL-12/PPC複合体単独の腹腔内注射により、腹膜腫瘍負荷の顕著な減少がもたらされた。pmIL-12/PPC複合体による腫瘍負荷の阻害は、パクリタキセルの腫瘍負荷の阻害よりも若干高かった。パクリタキセルに対してIL-12遺伝子治療を追加することにより、腫瘍負荷および生存に対するパクリタキセルの作用において改善が生じた(図10)。
【0053】
実施例7 腹膜散在性卵巣癌の治療のための、pIL-12/PPC+ゲムシタビン組み合わせ治療
IL-12遺伝子治療をゲムシタビン(Gemzar(登録商標))と組み合わせることの効率が、比較された。ゲムシタビンは、代謝拮抗物質として知られる化学療法薬物の一般群に属する。膵臓癌、乳腺癌(パクリタキセルと一緒に)、そして肺癌(シスプラチンによる)、を治療することために使用されるが、卵巣癌に対して使用するために、現在は、臨床的に評価されている。本研究のため、マウス(C57BL/6)に、500μlの容量中、2.5×106ID8細胞で、腹腔内注射して、散在性腫瘍形成を誘導した。腫瘍移植後14日後に、ゲムシタビンを、250μlの容量中、150 mg/kgの用量で、腹腔内に投与した。治療を、全部で4回の治療のために、毎週繰り返した。腫瘍移植後17日後に開始し、マウスの選択された群に、500μlの容量中、11:1のN:P比でPPCと複合化された25μgのIL-12プラスミドを、腹腔内で処置した。プラスミド投与を、全部で4回の治療のために、毎週繰り返した。IL-12遺伝子治療およびゲムシタビン化学療法の組み合わせ治療は、いずれかの単一治療単独での場合と比較して、生存を顕著に改善した(図11)。
【0054】
実施例8
腹膜散在性卵巣癌の治療のための、pIL-12/PPC+カルボプラチン/パクリタキセルの組み合わせ治療
卵巣癌のための最前線の化学療法は、プラチナ剤(カルボプラチン、シスプラチン)およびパクリタキセルであり続けている。そのため、我々は、IL-12遺伝子治療を、カルボプラチン/パクリタキセル化学療法処方と組み合わせて使用することを評価することに興味を抱いた。マウス(C57BL/6)に、500μlの容量中、2.5×106ID8細胞を腹腔内に注射した。化学療法治療を、腫瘍移植の15日後に開始した。カルボプラチン(Paraplatin(登録商標))投与を、250 ml中40 mg/kgをipで(高用量)または250μl中15 mg/kg(低用量)のいずれかであり、そしてパクリタキセル(Taxol(登録商標))投与を、250μl中8 mg/kgをipで(高用量)または250 ml中3 mg/kgを腹腔内で(低用量)のいずれかで投与した。カルボプラチンは、全部で4回の治療のために1週間に1回投与し、そしてパクリタキセルは、全部で2回の治療のためにq2wで投与した。カルボプラチンおよびパクリタキセルを同日に投与した場合、パクリタキセルを最初に投与し、そして次にカルボプラチンを2時間後に投与した。腫瘍移植後18日後に開始して、選択された群におけるマウスに、500μlの容量中、11:1のN:P比でPPCと複合化された25μgのIL-12プラスミドを、腹腔内に処置した。プラスミド投与を、全部で4回の治療のため、毎週繰り返した。治療処方の終了後、動物を生存についてモニタリングした。この結果から、IL-12遺伝子治療と低用量カルボプラチン/パクリタキセル化学療法の両方により、同様の生存結果がもたらされたことが示される(図12)。低用量化学療法をIL-12遺伝子治療と組み合わせた場合とは対照的に、効率は、高用量化学療法治療処方の効率とほぼ同一のレベルまで改善された。毒性を最小限にするためにより低量の化学療法用量を使用する一方で、治療効率を維持するため、IL-12 遺伝子治療を低用量の化学療法と組み合わせて使用することができることは、好都合である。このことは、非常に高まった治療反応のための機会を提示するため、潜在的に、患者を、長期間のあいだ化学療法治療処方をそのままにしておくことができる。
【0055】
実施例9 頭頸部癌の治療のための、pIL-12/PPC+シクロホスファミドの組み合わせ治療
腫瘍内IL-12遺伝子治療を、シクロホスファミド(Cytoxan(登録商標)化学療法と組み合わせて、頭頸部癌における治療反応を亢進させた。100μl中、4×105扁平上皮癌細胞(SCCVII)を、メスCH3マウス(6〜9週、17〜22グラム)の右側腹部に、皮下に移植した。シクロホスファミド治療の5日前(腫瘍移植のおよそ11日後)、mIL-12プラスミドは、11:1のN:P比でPPCと複合化され、そして50μlの注入容量中25μgのDNA用量で、毎週1回4週間、腫瘍中に局所的に投与した。シクロホスファミド治療を、125μlの注入容量中200 mg/kgの用量を単独で、またはpIL-12遺伝子治療と組み合わせて、静脈内投与した。研究あたり全部で2回の注入からなるシクロホスファミド治療を、14日後に繰り返した。組み合わせ治療のため、遺伝子治療と化学療法治療の両方を、上述したように投与した。12匹のマウスの治療群を使用し、そして腫瘍増殖を、ノギス測定(calliper measurement)を使用して1週間に2回モニタリングした。
【0056】
図13に示されるように、pmIL-12/PPC複合体の腫瘍内投与またはシクロホスファミドを単独で静脈内注射により、腫瘍増殖の部分的阻害がもたらされる一方、それらの組み合わせにより、完全な阻害がもたらされた。組み合わせ治療により治療された動物の高い割合が、化学療法単独で治療された動物(10%)とは対照的に、腫瘍を完全に拒絶した(55%)。
【0057】
実施例10 腫瘍内pIL-12/PPCおよびBCNU組み合わせ治療による、脳の癌の治療
pmIL-12/PPC複合体の単独またはBCNU(Gliadel(登録商標))と組み合わせた場合の局所送達の作用を、マウスグリオーマモデルにおいて調べた。Gliadel(登録商標)waferは、カルムスチンまたはBCNU、ニトロソウレアファミリーの化学療法薬のポリマー性製剤である。腫瘍を、1×105GL261グリオーマ細胞を、pmIL-12/PPC複合体の同時注射と一緒に、頭蓋内注射により、マウスの大脳皮質内に移植した。腫瘍移植の5日後、10%BCNUを含有するGliadel(登録商標)を、頭頂骨の内部テーブル下に移植した。動物を、神経毒性の何らかのサインについてモニタリングし、可能であれば剖検し、頭蓋内腫瘍による死を確認した。生存は、Kaplan-Meier生存解析を使用してプロットした。2.5〜30μgのプラスミドの範囲で投与されたpmIL-12/PPC複合体の単回頭蓋内注射は、顕著な有害作用が見いだされなかったため、十分に耐用性であった。1.5μgプラスミド用量で投与されたpmIL-12/PPC複合体の単回注射は、生存率を高めなかった。しかしながら、この準最適な用量でのpmIL-12/PPCとBCNUとの組み合わせにより、顕著に生存が上昇した(図14)。組み合わせ治療からの生存の向上は、このモデルにおいてBCNU単独で歴史的に得られたものよりも高かった(データは示さず)。
【0058】
実施例11 IL-12/PPC+低用量カルボプラチン/パクリタキセル組み合わせ治療の毒性と、高用量カルボプラチン/パクリタキセル組み合わせ治療の毒性の比較
IL-12/PPCを低用量カルボプラチン治療(15 mg/kg)およびパクリタキセル治療(3 mg/kg)と組み合わせることにより、高用量カルボプラチン化学療法(40 mg/kg)およびパクリタキセル化学療法(8 mg/kg)と同様の抗癌効率がもたらされることが、出願人により、以前に示された(実施例8、図12)。この実施例においては、IL-12/PPC+低用量組み合わせ化学療法が、高用量化学療法よりも低毒性であるかどうかを調べる。腹膜散在性卵巣腫瘍を保持するマウスに、以前の例では1回のサイクルのみが使用されたことと比較して、IL-12/PPC+低用量化学療法または高用量化学療法の3回の治療サイクルを投与した。40グラム体重カットオフ(疾患の進行により動物を犠死させるための基準)に到達する前に生じるが、剖検において顕著な腫瘍負荷を示さない動物の死亡率を、治療に関連するものと考えた。マウス(C57BL/6)に、500μlの容量中2.5×106ID8細胞を、腹腔内に注射した。化学療法治療を、腫瘍移植の15日後に開始した。カルボプラチン(Paraplatin(登録商標))の投与を、250 ml中40 mg/kgをipで(高用量)または250μl中15 mg/kgで(低用量)のいずれかで行い、そしてパクリタキセル(Taxol(登録商標))投与を、250μl中8 mg/kgをipで(高用量)または250 ml中3 mg/kgを腹腔内で(低用量)のいずれかで行った。カルボプラチンを全部で4回の治療のため1週間に1回投与し、そしてパクリタキセルを全部で2回の治療のためにq2wで投与した。治療日には、パクリタキセルを最初に投与し、その後2時間後にカルボプラチンを投与した。腫瘍移植後18日後に開始して、選択された群におけるマウスに、500μlの容量中、11:1のN:P比でPPCと複合化された100μgのIL-12プラスミドを、腹腔内に処置した。プラスミド投与を、全部で4回の治療のため、毎週繰り返した。完全な治療サイクルを3回繰り返し(全部で12週間)、そして動物を生存についてモニタリングした。IL-12/PPC+低用量化学療法群、低用量化学療法群、またはIL-12/PPCのみの治療群においては治療に関連する死が0%であったのに対して、図15において示されるように、30%の高用量化学療法群は、治療に関連する毒性により(すなわち、40グラムに到達する前に)死んだ。これらの結果から、高用量化学療法処方と比較して、IL-12/PPCを低用量化学療法と組み合わせることにより、治療に関連する死が相対的に少なくなり、しかし同様の抗癌効果をもたらすことが示される(図12)。
【0059】
上述した態様は、単に本発明の原理の応用の説明であると理解されるべきである。多数の修飾および代替的態様を、本発明の概念および範囲から離れることなく導き出すことができ、そして添付する請求の範囲は、その様な修飾および配置をカバーすることを意図する。このように、本発明は、現在のところ本発明の最も現実的なそして(1または複数の)好ましい態様とみなされるものと関連して、図面中に示され、そして具体的かつ詳細に完全に上述されているが、一方、本発明の原理および概念から離れることなく多数の修飾を行うことができることは、当業者にとっては自明である。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】図1は、遺伝子送達ポリマーPEG-PEI-コレステロール(PPC)と水溶性リポポリマー、PEI-Chol(WSLP)との間の遺伝子輸送の効率性における差異を示す。試験ポリマーは、ルシフェラーゼプラスミドと複合化され、そして4T1乳腺腫瘍中に腫瘍内投与される。ルシフェラーゼ発現を、その後24時間後の腫瘍組織中で定量した。
【図2】図2は、PEG-PEI-Chol中のPEG:PEI比の増加の、プラスミド/PPC複合体の腫瘍内投与による、固型4T1腫瘍中への遺伝子輸送の効率に対するの効果を示す。様々なPEG:PEI比で合成されたPPCポリマーは、ルシフェラーゼプラスミドと複合化され、そして4T1乳腺腫瘍中に腫瘍内に投与された。ルシフェラーゼ発現は、その後24時間後の腫瘍組織中で定量された。
【図3】図3は、pmIL-12/PPC複合体の腫瘍内投与による固型乳腺腫瘍中へのIL-12遺伝子輸送(A)およびpmIL-12/PPC複合体の腹腔内注射による腹膜散在性卵巣腫瘍(ID8腫瘍)中へのIL-12遺伝子輸送(B)を示す。PPCは、マウスIL-12遺伝子発現プラスミド(pmIL-12)と複合化され、そして4T1乳腺腫瘍中に腫瘍内で投与されそしてID8腹膜腫瘍保持マウス中に腹腔内で投与された。IL-12レベルを、4T1腫瘍中で24時間後、そしてID8腫瘍保持動物中の腹水中で1、2、3および7日後に、定量した。
【図4】図4は、pmIL-12/PPCの腹腔内投与後のIFN-γ産生の時間経過を示す。PPCをマウスIL-12遺伝子発現プラスミド(pmIL-12)と複合化し、そしてID8腹膜腫瘍保持マウス中に腹腔内で投与した。IFN-γレベルを1、2、3および7日後に腹水中で定量した。
【図5】図5は、pmIL-12/PPC複合体の腹腔内投与による、腹膜散在性卵巣腫瘍の用量依存性阻害を示す。様々DNA用量で調製されたpmIL-12/PPC複合体を、腹膜散在性ID8腫瘍保持マウス中に腹腔内で投与した。動物を、治療の腫瘍の負荷に対する作用を評価するため定期的に体重測定し、そして生存データを記録した。
【図6】図6は、pmIL-12/PPC複合体の腹腔内投与による、腹膜散在性卵巣腫瘍保持マウスの生存における改善を示す。
【図7】図7は、pmIL-12/PPC複合体の腹腔内投与による、腹膜散在性結腸直腸腫瘍保持マウスの生存における改善を示す。pmIL-12/PPC複合体は、腫瘍保持マウス中に腹腔内で投与した。試験動物および対照動物を、生存についてモニタリングした。
【図8】図8は、pmIL-12/PPC複合体の腫瘍内投与による、GL-261グリオーマ保持マウスの生存の改善を示す。pmIL-12/PPC複合体は、腫瘍移植の際に、頭蓋内腔中に投与した。試験動物および対照動物を、生存についてモニタリングした。
【図9】図9は、pmIL-12/PPC複合体の腫瘍内投与による、皮下扁平上皮癌の阻害を示す。pmIL-12/PPC複合体は、皮下SCCVII腫瘍中に、腫瘍移植後6〜7日後に腫瘍内で投与し、そして治療をあわせて4週間の間毎週一回繰り返した。治療効率を評価するため、腫瘍サイズを定期的に測定した。
【図10】図10は、腹腔内pmIL-12/PPCと静脈内パクリタキセルとを含む組み合わせ治療による、腹膜散在性卵巣腫瘍の阻害を示す。pmIL-12/PPC複合体は、腫瘍細胞の移植後21日後に、腹腔内注射により投与された。pmIL-12/PPC治療は、7日後に繰り返した。パクリタキセルは、最初の遺伝子注射の前日に、静脈内に一度だけ投与した。試験動物および対照動物を、生存についてモニタリングした。
【図11】図11は、腹腔内pmIL-12/PPCとゲムシタビン化学療法とを含む組み合わせ治療による、腹膜散在性ID8卵巣腫瘍の阻害を示す。腫瘍保持マウスを、腫瘍移植の14日後に、腹腔内ゲムシタビンにより治療し、そして治療を、あわせて4回の治療のために一週間に1回繰り返した。最初のpmIL-12/PPC治療は、腫瘍移植の17日後に、腹腔内注射により行い、そしてあわせて4回の治療のために一週間に1回繰り返した。試験動物および対照動物を、生存についてモニタリングした。
【図12】図12は、腹腔内pmIL-12/PPCとカルボプラチン/パクリタキセル化学療法とを含む組み合わせ治療による、腹膜散在性卵巣腫瘍の阻害を示す。化学療法治療を腫瘍移植の15日後に開始し、カルボプラチンを一週間に1回4週間与え、そしてタキソール(Taxol)をあわせて2回の治療のために2週間に1回投与した。最初のpmIL-12/PPC治療を、腫瘍移植の18日後に腹腔内注射により投与し、そしてあわせて4回の治療のために1週間に1回繰り返した。試験動物および対照動物を、生存についてモニタリングした。
【図13】図13は、pmIL-12/PPC複合体とシクロホスファミド 化学療法との腫瘍内投与による、SCCVII腫瘍の阻害を示す。pmIL-12/PPC複合体は、皮下SCCVII腫瘍中に、腫瘍移植の6〜7日後に腫瘍内で投与し、そして治療をあわせて4週間のあいだ1週間に1回繰り返した。サイトキサン(Cytoxan)を、遺伝子注射の前日に静脈内で1回投与し、そして14日後に繰り返した。治療効率を評価するため、腫瘍サイズを定期的に測定した。
【図14】図14は、pmIL-12/PPC複合体とBCNU化学療法との腫瘍内投与による、GL261グリオーマの阻害を示す。pmIL-12/PPC複合体を、腫瘍移植の時に頭蓋内腔中に投与した。BCNUを、Gliadelオブラートとして、腫瘍移植の5日後に、投与した。試験動物および対照動物を、生存についてモニタリングした。
【図15】図15は、IL-12/PPC遺伝子治療を低用量のカルボプラチン/パクリタキセル 化学療法に対して添加することは、毒性を増大させないことを示す。対照的に、高用量のカルボプラチン/パクリタキセル化学療法による治療では、30%の割合で治療関連死が引き起こされた。化学療法治療は、腫瘍移植の15日後に開始され、カルボプラチンを4週間のあいだ1週間に1回投与し、そしてタキソール(Taxol)をあわせて2回の治療のために2週間に1回投与した。最初のpmIL-12/PPC治療は、腫瘍移植の18日後に腹腔内注射で投与し、そしてあわせて4回の治療のために1週間に1回繰り返した。全体の治療サイクルを、3回繰り返した。試験動物および対照動物を、生存についてモニタリングした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
癌の治療または過剰増殖性疾患の治療のための、核酸、遺伝子送達ポリマーおよび少なくとも一つの医薬用物質を含む医薬組成物。
【請求項2】
核酸が、プラスミドDNA、siRNA、センスRNA、アンチセンスRNAおよびリボザイムからなる群から選択される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
遺伝子送達ポリマーが、脂質とポリエチレングリコールに共有結合したポリエチレンイミン(PEI)バックボーン、および癌の治療または過剰増殖性疾患の治療のための少なくとも一つの医薬用物質、を含むリポポリマーである、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項4】
医薬用物質が、癌の治療または過剰増殖性疾患の治療のための、化学療法薬、血管新生阻害剤、抗癌ペプチド、モノクローナル抗体およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項5】
医薬用物質は、化学療法薬または抗癌剤である、アドリアマイシン、ブレオマイシン、シスプラチン、カルボプラチン、ドキソルビシン、5-フルオロウラシル、パクリタキセル、トポテカン、カルムスチン、ゲムシタビン、または同一クラスのいずれかの関連する化学療法剤、およびこれらの組合せからなる群から選択される、請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項6】
医薬用物質は、インターロイキン-2、インターロイキン-4、インターロイキン-7、インターロイキン-12、IL-15、インターフェロン-α、インターフェロン-β、インターフェロン-γ、コロニー刺激因子、顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子、血管新生阻害剤、TNF-α、eNOS、iNOS、IP10、p16、細菌性抗原、ウィルス性抗原、腫瘍抗原および、これらいずれかの組合せ、からなる群から選択されるポリペプチドである、請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項7】
医薬用物質が、抗体である、請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項8】
医薬用物質が、CD20抗体、HER2/neu抗体、抗-VEGF抗体、上皮成長因子受容体抗体、およびその放射性同位体縫合物からなる群から選択される抗癌抗体である、請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項9】
医薬用物質が、インターロイキン-2、インターロイキン-4、インターロイキン-7、インターロイキン-12、IL-15、インターフェロン-α、インターフェロン-β、インターフェロン-γ、コロニー刺激因子、顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子、血管新生阻害剤、IP10、p16、eNOS、iNOS、TNF-α、細菌性抗原、ウィルス性抗原、腫瘍抗原、およびこれらのいずれかの組み合わせからなる群から選択されるポリペプチドである、請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項10】
遺伝子送達ポリマーが、いずれかの化学的に修飾されたポリエチレンイミン、ポリプロピレンイミン、アミノグリコシド-ポリアミン、ジデオキシ-ジアミノ-b-シクロデキストリン、スペルミン、スペルミジン、ポリ(2-ジメチルアミノ)エチルメタクリレート、ポリ(リジン)、カチオン化ゼラチン、デンドリマー、キトサン、およびそれらのいずれかの組み合わせ、からなる群から選択される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項11】
遺伝子送達ポリマーが、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポロキサマー、ポリグルタメート、ゼラチン、ポリホスホエステル、シルク-エラスチン-様ハイドロゲル、アガロースハイドロゲル、脂質微少管、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)、ポリエチレングリコール-結合ポリ(ラクチド-co-グリコリド)、およびこれらのいずれかの組み合わせからなる群から選択される非-凝集性ポリマーである、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項12】
核酸、請求項1-11のいずれか1項に記載の遺伝子送達ポリマー、および癌の治療または過剰増殖性疾患のための少なくとも一つの医薬用物質、を含む医薬組成物をin vivo投与することにより、腫瘍細胞の増殖および転移を阻害し、そして哺乳動物において生存率を高めるための方法。
【請求項13】
核酸が、インターロイキン-2、インターロイキン-4、インターロイキン-7、インターロイキン-12、インターロイキン-15、インターフェロン-α、インターフェロン-β、インターフェロン-γ、コロニー刺激因子、顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子、抗-血管形成剤、チミジンキナーゼ、p53、IP10、p16、TNF-α、Fas-リガンド、腫瘍抗原、ウィルス性抗原、細菌性抗原、またはそれらのいずれかの組み合わせからなる群から選択されるタンパク質をコードするDNAプラスミドである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
核酸が、インターロイキン-12をコードするDNAプラスミドである、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
核酸が、インターロイキン-2、インターロイキン-4、インターロイキン-7、インターロイキン-12、インターロイキン-15、インターフェロン-α、インターフェロン-β、インターフェロン-γ、コロニー刺激因子、顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子、血管新生阻害剤、チミジンキナーゼ、p53、IP10、p16、TNF-α、Fas-リガンド、腫瘍抗原、ウィルス性抗原、および細菌性抗原からなる群からいずれかの組み合わせにおいて選択される1つより多いタンパク質をコードする単一のDNAプラスミドである、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
核酸が、腫瘍増殖および転移に必要とされるタンパク質の発現を阻害する様に設計された短いヘアピンRNAをコードするDNAプラスミドである、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
核酸が、腫瘍増殖および転移に必要とされるタンパク質の発現を阻害する様に設計された、siRNA、センスRNA、アンチセンスRNA、リボザイム、およびそれらのいずれかの組み合わせからなる群から選択されるRNAである、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
核酸が、インターロイキン-2、インターロイキン-4、インターロイキン-7、インターロイキン-12、インターロイキン-15、インターフェロン-α、インターフェロン-β、インターフェロン-γ、コロニー刺激因子、顆粒球-マクロファージ刺激因子、抗-血管形成剤、チミジンキナーゼ、p53、IP10、p16、TNF-α、eNOS、iNOS、Fas-リガンド、腫瘍抗原、ウィルス性抗原、細菌性抗原、およびそれらのいずれかの組み合わせからなる群から選択される短いヘアピンRNAおよびタンパク質をコードする単一のDNAプラスミドである、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
核酸が、siRNA、センスRNA、アンチセンスRNA、またはリボザイムからなる群から選択されるRNAであり、そしてインターロイキン-2、インターロイキン-4、インターロイキン-7、インターロイキン-12、インターロイキン-15、インターフェロン-α、インターフェロン-β、インターフェロン-γ、コロニー刺激因子、顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子、抗-血管形成剤、チミジンキナーゼ、p53、IP10、p16、TNF-α、eNOS、iNOS、Fas-リガンド、腫瘍抗原、ウィルス性抗原、細菌性抗原、またはそれらのいずれかの組み合わせからなる群から選択されるタンパク質をコードするプラスミドDNAである、請求項12に記載の方法。
【請求項20】
ポリエチレンイミンが、100-500,000ダルトンの分子量を有する直鎖または分岐鎖構造を有する、請求項12に記載の方法。
【請求項21】
脂質およびポリエチレングリコールの両方が、共有結合によりPEIバックボーンに直接的に結合している、請求項12に記載の方法。
【請求項22】
脂質が、ポリエチレングリコールスペーサーを介してPEIバックボーンに対して結合している、請求項12に記載の方法。
【請求項23】
ポリエチレングリコールが、50〜20,000ダルトンの分子量を有する、請求項12に記載の方法。
【請求項24】
脂質が、コレステロール、コレステロール誘導体、C12〜C18脂肪酸または脂肪酸誘導体である、請求項12に記載の方法。
【請求項25】
ポリエチレングリコールのPEIに対するモル比が、0.1:1〜500:1の範囲内である、請求項12に記載の方法。
【請求項26】
脂質のPEIに対するモル比が、0.1:1〜500:1の範囲内である、請求項12に記載の方法。
【請求項27】
ポリエチレンイミンが、さらに標的化成分を含み、ここで標的化成分がポリエチレンイミンバックボーンに直鉄的に結合するかまたはポリエチレングリコールリンカーを介して結合する、請求項12に記載の方法。
【請求項28】
標的化成分が、トランスフェリン、アシアロ糖タンパク質、抗体、抗体フラグメント、低密度リポタンパク質、インターロイキン類、GM-CSF、G-CSF、M-CSF、幹細胞因子、エリスロポエチン、上皮細胞増殖因子(EGF)、インスリン、アシアロオロソムコイド、マンノース-6-リン酸、マンノース、ルイスxおよびシアリルルイスx、N-アセチルラクトサミン、葉酸、ガラクトース、ラクトース、およびトロンボモジュリン、ポリミキシンBやヘマグルチニンHA2などの融合誘導因子(fusogenic agents)、lysosomotrophic agents、核局在シグナル(NLS)、およびそれらのいずれかの組み合わせからなる群から選択される、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
リポポリマーと標的化成分とのモル比が、1:0.1〜1:100の範囲内である、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
核酸が、DNA中のリン酸モルに対するリポポリマー中の窒素モルで0.1:100〜100:1のモル比で、リポポリマーと複合体を形成する、請求項12に記載の方法。
【請求項31】
核酸が、DNA中のリン酸モルに対するリポポリマー中の窒素モルで0.1:100〜100:1のモル比で、リポポリマーと複合体を形成する、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
医薬用物質が、静脈内投与、経口投与または腹腔内投与により投与される、請求項12に記載の方法。
【請求項33】
核酸および遺伝子送達ポリマーが、医薬品の投与前に与えられる、請求項12に記載の方法。
【請求項34】
核酸およびポリマーが、医薬品の投与後に与えられる、請求項12に記載の方法。
【請求項35】
組み合わせ治療が、個別の治療よりも効果的である、請求項12に記載の方法。
【請求項36】
組み合わせ治療が、個別の治療と同等の毒性かまたはそれよりも低い毒性を有する、請求項12に記載の方法。
【請求項37】
最適用量の核酸および最適以下の用量の医薬用物質での組み合わせ治療が、最適用量の医薬品よりも高い効果またはそれと同等の効果をもたらす、請求項12に記載の方法。
【請求項38】
最適用量の核酸および最適以下の用量の医薬用物質を含む組み合わせ治療が、最適用量の医薬品よりも毒性が低い、請求項12に記載の方法。
【請求項1】
癌の治療または過剰増殖性疾患の治療のための、核酸、遺伝子送達ポリマーおよび少なくとも一つの医薬用物質を含む医薬組成物。
【請求項2】
核酸が、プラスミドDNA、siRNA、センスRNA、アンチセンスRNAおよびリボザイムからなる群から選択される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
遺伝子送達ポリマーが、脂質とポリエチレングリコールに共有結合したポリエチレンイミン(PEI)バックボーン、および癌の治療または過剰増殖性疾患の治療のための少なくとも一つの医薬用物質、を含むリポポリマーである、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項4】
医薬用物質が、癌の治療または過剰増殖性疾患の治療のための、化学療法薬、血管新生阻害剤、抗癌ペプチド、モノクローナル抗体およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項5】
医薬用物質は、化学療法薬または抗癌剤である、アドリアマイシン、ブレオマイシン、シスプラチン、カルボプラチン、ドキソルビシン、5-フルオロウラシル、パクリタキセル、トポテカン、カルムスチン、ゲムシタビン、または同一クラスのいずれかの関連する化学療法剤、およびこれらの組合せからなる群から選択される、請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項6】
医薬用物質は、インターロイキン-2、インターロイキン-4、インターロイキン-7、インターロイキン-12、IL-15、インターフェロン-α、インターフェロン-β、インターフェロン-γ、コロニー刺激因子、顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子、血管新生阻害剤、TNF-α、eNOS、iNOS、IP10、p16、細菌性抗原、ウィルス性抗原、腫瘍抗原および、これらいずれかの組合せ、からなる群から選択されるポリペプチドである、請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項7】
医薬用物質が、抗体である、請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項8】
医薬用物質が、CD20抗体、HER2/neu抗体、抗-VEGF抗体、上皮成長因子受容体抗体、およびその放射性同位体縫合物からなる群から選択される抗癌抗体である、請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項9】
医薬用物質が、インターロイキン-2、インターロイキン-4、インターロイキン-7、インターロイキン-12、IL-15、インターフェロン-α、インターフェロン-β、インターフェロン-γ、コロニー刺激因子、顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子、血管新生阻害剤、IP10、p16、eNOS、iNOS、TNF-α、細菌性抗原、ウィルス性抗原、腫瘍抗原、およびこれらのいずれかの組み合わせからなる群から選択されるポリペプチドである、請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項10】
遺伝子送達ポリマーが、いずれかの化学的に修飾されたポリエチレンイミン、ポリプロピレンイミン、アミノグリコシド-ポリアミン、ジデオキシ-ジアミノ-b-シクロデキストリン、スペルミン、スペルミジン、ポリ(2-ジメチルアミノ)エチルメタクリレート、ポリ(リジン)、カチオン化ゼラチン、デンドリマー、キトサン、およびそれらのいずれかの組み合わせ、からなる群から選択される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項11】
遺伝子送達ポリマーが、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポロキサマー、ポリグルタメート、ゼラチン、ポリホスホエステル、シルク-エラスチン-様ハイドロゲル、アガロースハイドロゲル、脂質微少管、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)、ポリエチレングリコール-結合ポリ(ラクチド-co-グリコリド)、およびこれらのいずれかの組み合わせからなる群から選択される非-凝集性ポリマーである、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項12】
核酸、請求項1-11のいずれか1項に記載の遺伝子送達ポリマー、および癌の治療または過剰増殖性疾患のための少なくとも一つの医薬用物質、を含む医薬組成物をin vivo投与することにより、腫瘍細胞の増殖および転移を阻害し、そして哺乳動物において生存率を高めるための方法。
【請求項13】
核酸が、インターロイキン-2、インターロイキン-4、インターロイキン-7、インターロイキン-12、インターロイキン-15、インターフェロン-α、インターフェロン-β、インターフェロン-γ、コロニー刺激因子、顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子、抗-血管形成剤、チミジンキナーゼ、p53、IP10、p16、TNF-α、Fas-リガンド、腫瘍抗原、ウィルス性抗原、細菌性抗原、またはそれらのいずれかの組み合わせからなる群から選択されるタンパク質をコードするDNAプラスミドである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
核酸が、インターロイキン-12をコードするDNAプラスミドである、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
核酸が、インターロイキン-2、インターロイキン-4、インターロイキン-7、インターロイキン-12、インターロイキン-15、インターフェロン-α、インターフェロン-β、インターフェロン-γ、コロニー刺激因子、顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子、血管新生阻害剤、チミジンキナーゼ、p53、IP10、p16、TNF-α、Fas-リガンド、腫瘍抗原、ウィルス性抗原、および細菌性抗原からなる群からいずれかの組み合わせにおいて選択される1つより多いタンパク質をコードする単一のDNAプラスミドである、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
核酸が、腫瘍増殖および転移に必要とされるタンパク質の発現を阻害する様に設計された短いヘアピンRNAをコードするDNAプラスミドである、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
核酸が、腫瘍増殖および転移に必要とされるタンパク質の発現を阻害する様に設計された、siRNA、センスRNA、アンチセンスRNA、リボザイム、およびそれらのいずれかの組み合わせからなる群から選択されるRNAである、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
核酸が、インターロイキン-2、インターロイキン-4、インターロイキン-7、インターロイキン-12、インターロイキン-15、インターフェロン-α、インターフェロン-β、インターフェロン-γ、コロニー刺激因子、顆粒球-マクロファージ刺激因子、抗-血管形成剤、チミジンキナーゼ、p53、IP10、p16、TNF-α、eNOS、iNOS、Fas-リガンド、腫瘍抗原、ウィルス性抗原、細菌性抗原、およびそれらのいずれかの組み合わせからなる群から選択される短いヘアピンRNAおよびタンパク質をコードする単一のDNAプラスミドである、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
核酸が、siRNA、センスRNA、アンチセンスRNA、またはリボザイムからなる群から選択されるRNAであり、そしてインターロイキン-2、インターロイキン-4、インターロイキン-7、インターロイキン-12、インターロイキン-15、インターフェロン-α、インターフェロン-β、インターフェロン-γ、コロニー刺激因子、顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子、抗-血管形成剤、チミジンキナーゼ、p53、IP10、p16、TNF-α、eNOS、iNOS、Fas-リガンド、腫瘍抗原、ウィルス性抗原、細菌性抗原、またはそれらのいずれかの組み合わせからなる群から選択されるタンパク質をコードするプラスミドDNAである、請求項12に記載の方法。
【請求項20】
ポリエチレンイミンが、100-500,000ダルトンの分子量を有する直鎖または分岐鎖構造を有する、請求項12に記載の方法。
【請求項21】
脂質およびポリエチレングリコールの両方が、共有結合によりPEIバックボーンに直接的に結合している、請求項12に記載の方法。
【請求項22】
脂質が、ポリエチレングリコールスペーサーを介してPEIバックボーンに対して結合している、請求項12に記載の方法。
【請求項23】
ポリエチレングリコールが、50〜20,000ダルトンの分子量を有する、請求項12に記載の方法。
【請求項24】
脂質が、コレステロール、コレステロール誘導体、C12〜C18脂肪酸または脂肪酸誘導体である、請求項12に記載の方法。
【請求項25】
ポリエチレングリコールのPEIに対するモル比が、0.1:1〜500:1の範囲内である、請求項12に記載の方法。
【請求項26】
脂質のPEIに対するモル比が、0.1:1〜500:1の範囲内である、請求項12に記載の方法。
【請求項27】
ポリエチレンイミンが、さらに標的化成分を含み、ここで標的化成分がポリエチレンイミンバックボーンに直鉄的に結合するかまたはポリエチレングリコールリンカーを介して結合する、請求項12に記載の方法。
【請求項28】
標的化成分が、トランスフェリン、アシアロ糖タンパク質、抗体、抗体フラグメント、低密度リポタンパク質、インターロイキン類、GM-CSF、G-CSF、M-CSF、幹細胞因子、エリスロポエチン、上皮細胞増殖因子(EGF)、インスリン、アシアロオロソムコイド、マンノース-6-リン酸、マンノース、ルイスxおよびシアリルルイスx、N-アセチルラクトサミン、葉酸、ガラクトース、ラクトース、およびトロンボモジュリン、ポリミキシンBやヘマグルチニンHA2などの融合誘導因子(fusogenic agents)、lysosomotrophic agents、核局在シグナル(NLS)、およびそれらのいずれかの組み合わせからなる群から選択される、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
リポポリマーと標的化成分とのモル比が、1:0.1〜1:100の範囲内である、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
核酸が、DNA中のリン酸モルに対するリポポリマー中の窒素モルで0.1:100〜100:1のモル比で、リポポリマーと複合体を形成する、請求項12に記載の方法。
【請求項31】
核酸が、DNA中のリン酸モルに対するリポポリマー中の窒素モルで0.1:100〜100:1のモル比で、リポポリマーと複合体を形成する、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
医薬用物質が、静脈内投与、経口投与または腹腔内投与により投与される、請求項12に記載の方法。
【請求項33】
核酸および遺伝子送達ポリマーが、医薬品の投与前に与えられる、請求項12に記載の方法。
【請求項34】
核酸およびポリマーが、医薬品の投与後に与えられる、請求項12に記載の方法。
【請求項35】
組み合わせ治療が、個別の治療よりも効果的である、請求項12に記載の方法。
【請求項36】
組み合わせ治療が、個別の治療と同等の毒性かまたはそれよりも低い毒性を有する、請求項12に記載の方法。
【請求項37】
最適用量の核酸および最適以下の用量の医薬用物質での組み合わせ治療が、最適用量の医薬品よりも高い効果またはそれと同等の効果をもたらす、請求項12に記載の方法。
【請求項38】
最適用量の核酸および最適以下の用量の医薬用物質を含む組み合わせ治療が、最適用量の医薬品よりも毒性が低い、請求項12に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公表番号】特表2008−523061(P2008−523061A)
【公表日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−545497(P2007−545497)
【出願日】平成17年11月17日(2005.11.17)
【国際出願番号】PCT/US2005/041935
【国際公開番号】WO2006/062723
【国際公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【出願人】(500534669)エクスプレッション・ジェネティックス・インコーポレーテッド (4)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年11月17日(2005.11.17)
【国際出願番号】PCT/US2005/041935
【国際公開番号】WO2006/062723
【国際公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【出願人】(500534669)エクスプレッション・ジェネティックス・インコーポレーテッド (4)
【Fターム(参考)】
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