発光シグナルの増強
インビトロおよびインビボ細胞におけるルシフェラーゼ生物発光を測定するための方法および組成物が記述される。本組成物は、緩衝液の組成を変更することによって、少なくとも1つの、シグナルの安定性またはシグナルの程度の増強を提供する。1つ以上の以下のパラメータを変更した。EDTAの存在下または非存在下、NaClの濃度、コエレンテラジンの濃度、イオン性および非イオン性界面活性剤の評価、界面活性剤の量、どのようにして界面活性剤が加えられたか、およびシグナルが記録された期間。デュアルレポーターシステムもまた開示されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ルシフェラーゼは、光を放射する反応を触媒する酵素である。ルシフェラーゼは、甲虫(ホタル)(たとえば第5,641,641号を参照のこと)または海洋生物のようなこれらの供給源生物にしたがって命名される。生物発光海洋動物の例には、シーパンジーとしても知られているRenillaが含まれ、このRenillaは花虫類動物としても知られている腔腸動物のクラスに属する。Reillaに加えて、他の代表的なクラス花虫類動物の生物発光属には、Cavarnularia、Ptilosarcus、Stylatula、AcanthoptilumおよびParazoanthusが含まれる。これらの生物のすべてが生物発光性であり、適切な生物学的条件下で基質(ルシフェリン)上の酵素(ルシフェラーゼ)の活性の結果として光を放射する。先の研究によって、すべての上述花虫類動物が、同様のルシフェラーゼおよびルシフェリンを含むことが示された。たとえば、Cormier et al.,J.Cell.Physiol.81:291−298(1973)を参照のこと。これらの花虫類動物のそれぞれからのルシフェラーゼおよびルシフェリンは、互いに交差反応して、Renilla抽出物中で観察される特徴的な青色発光を産出する。これらのルシフェラーゼのそれぞれが、同様の生化学的特性を有し、生物発光のための生化学的要件が、ルシフェラーゼが由来する花虫類動物に関わらず、同一であることが報告された(米国特許第5,292,658号)。
【0002】
異なるルシフェラーゼは、基質特異性および光放射の強度および生物発光シグナルの安定性に関して異なった特性を有し、一般的に照度計によって測定される。ルシフェラーゼは、転写レポーター遺伝子として、および生きている対象におけるレポーター遺伝子発現を画像化することにおいて、また分子生物学における多くの他の適用において、有用である。
【0003】
基質としてコエレンテラジンルシフェリンを用いるルシフェラーゼは、ハイスループットスクリーニングのような特定の分子生物学的反応のために有用であり得る程度の生物発光の閃光を産出する。とりわけこのルシフェラーゼを使用することにより、生物発光シグナルの時間がより長くなるので有利である。
【発明の開示】
【0004】
本発明の実施形態において、コエレンテラジン基質、生理食塩水中での濃度より低い濃度の塩化ナトリウム、および界面活性剤を含むルシフェラーゼアッセイ緩衝液が提供され、このアッセイ緩衝液は、約30秒から約1分より長い時間、コエレンテラジン依存ルシフェラーゼによる生物発光を検出するのに適しており、たとえば、Gaussiaルシフェラーゼによる生物発光が、このルシフェラーゼへのアッセイ緩衝液の添加時から少なくとも約30秒の時間にわたって照度計にて検出され得る。また、Renillaルシフェラーゼによる生物発光は、アッセイ緩衝液の添加時から少なくとも1分間の時間にわたって、Gaussiaルシフェラーゼによる生物発光に加算されて検出可能である。アッセイ緩衝液は、この使用のための取扱説明書とともに、キットに組み込み得る。
【0005】
以上のアッセイ緩衝液の例において、塩化ナトリウムは、約0.01から0.15Mの範囲の濃度であり、好ましくはカルシウムまたはマグネシウムイオンを含まず、約3%以下の濃度のEDTAを場合により含む。アッセイ緩衝液は、約0.001%から0.5%の範囲の濃度の非イオン性界面活性剤をさらに含んでもよい。緩衝液中で使用し得る界面活性剤の例には、Igepal CA−650(NP40)、Triton X−100、Tween80およびデオキシコレート(DOC)が含まれる。
【0006】
本発明のさらなる実施形態において、ルシフェラーゼアッセイ緩衝液は、約5μM以下の濃度のコエレンテラジンを含む。
【0007】
本発明のさらなる実施形態において、塩濃度が約0.01から0.15Mの範囲であり、コエレンテラジンが5μM未満の濃度であり、さらに、約0.001%から0.5%の範囲の濃度の非イオン性界面活性剤を含むルシフェラーゼアッセイ緩衝液が提供される。アッセイ緩衝液は、この使用のための取扱説明書とともに、キットに組み込み得る。
【0008】
本発明のさらなる実施形態において、コエレンテラジン濃度が約1μMから5μMであり、非イオン性界面活性剤が少なくとも約0.05%の濃度であり、さらにEDTAを含むルシフェラーゼアッセイ緩衝液が提供され、そこで、アッセイ緩衝液は、少なくとも2分間の時間にわたって、Gaussiaルシフェラーゼによる生物発光放射を安定化することが可能である。本緩衝液を用いる方法には、この緩衝液を選択すること、およびこれをルシフェラーゼに加えることが含まれる。
【0009】
本発明のさらなる実施形態において、非イオン性界面活性剤が約0.05%未満の濃度であるルシフェラーゼアッセイ緩衝液が提供され、このアッセイ緩衝液は、EDTAの非存在下で、少なくとも30秒間の時間、Gaussiaルシフェラーゼによる生物発光の程度を増強することが可能である。本緩衝液を用いる方法には、この緩衝液を選択すること、およびこれをルシフェラーゼに加えることが含まれる。本方法の例において、4μMのコエレンテラジン濃度が選択される。
【0010】
本発明のさらなる実施形態において、単一調製物中で第一および第二ルシフェラーゼを測定するための方法が提供され、そこで、本方法には、以下の段階、(a)ベンジルコエレンテラジンを含む第一アッセイ緩衝液、およびコエレンテラジンを含む第二緩衝液を調製する段階、(b)前記ベンジルコエレンテラジンを細胞調製物に加えて第一ルシフェラーゼによる生物発光の量を測定する段階、(c)前記コエレンテラジンを加えて第一および第二ルシフェラーゼによる生物発光の量を測定する段階、および(d)段階(b)と段階(c)とにおける生物発光の差を計算して、第二ルシフェラーゼによる生物発光の量を決定する段階、が含まれる。第一ルシフェラーゼの例はRenillaルシフェラーゼであり、第二ルシフェラーゼの例は、Gaussiaルシフェラーゼである。
【0011】
本発明のさらなる実施形態において、Gaussiaルシフェラーゼをコードする遺伝子で形質転換された細胞を直接検出するための方法が提供され、そこで上で記述したアッセイ緩衝液を、培養培地中の細胞に加え、生物発光を裸眼または顕微鏡で検出する。さらに、細胞は、標的タンパク質をコードする遺伝子と融合したGaussiaルシフェラーゼを発現するプラスミドと、標的タンパク質を指向するsiRNAをコードしている遺伝子とで同時形質移入(または共トランスフェクション)され得る。これは、遺伝子サイレンシングのために種々のsiRNAをスクリーニングするために有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
インビトロおよびインビボ(細胞内)でのコエレンテラジン依存ルシフェラーゼ生物発光を測定するための方法および組成物が記述されている。組成物は、緩衝液の組成を変更することによって、少なくとも1つの、シグナルの安定性の増強またはシグナルの程度の増強をもたらす。1つ以上の以下のパラメータを変化させた。EDTA(またはCDTA)、カルシウムおよびマグネシウムイオンの存在または非存在、NaClの濃度、コエレンテラジンの濃度、イオン性および非イオン性界面活性剤の効果、界面活性剤の量、どのようにして界面活性剤が加えられたか、およびシグナルが記録された期間。デュアルレポーターシステムもまた開示されている。
【0013】
コエレンテラジン依存ルシフェラーゼ(たとえば、WO99/49019)には、Gaussia、Renilla、PleuromammaおよびMetridiaルシフェラーゼおよびこの変異体が含まれる。コエレンテラジンを利用するルシフェラーゼを有する属には、Chiroteuthis、Eucleoteuthis、Onychoteuthis、Watasenia、cuttlefish、SepiolinaおよびOplophorious、Acanthophyra、SergestesおよびGnathoplausiaのようなエビ、Agryopelecus、Yarella、Diaphus、GonadostomiasおよびNeoscopelusのような深海魚が含まれる。これらのルシフェラーゼは、このベースライン生物発光の点で異なる。たとえば、Gaussiaルシフェラーゼは、哺乳動物細胞内で発現した場合に、Renillaルシフェラーゼよりも千倍以上明るい。しかしながら、以下で示すように、例示された3つのコエレンテラジン依存ルシフェラーゼ(組換え体細菌Gaussiaルシフェラーゼ、哺乳動物細胞によって分泌されたGaussiaルシフェラーゼ、および細胞溶解物からのRenillaルシフェラーゼ)について、初期生物発光シグナルの程度を増強する、次いで時間とともに安定化するための条件は、特定の活性の差違にも関わらず同様である。このことは、一般的に、これらのパラメータがコエレンテラジン依存ルシフェラーゼに適用可能であることを示唆している。
【0014】
PBS、高モル濃度塩(たとえば0.5M NaCl)および高モル濃度コエレンテラジン(たとえば20μM)を含むアッセイ緩衝液中のルシフェラーゼ活性は、2分未満の間に光産出の90%が失われ不安定である。非コエレンテラジン依存ルシフェラーゼ、たとえばジチオスレイトール(DTT)および補酵素Aの明反応の安定化剤が、ホタルルシフェラーゼとともに使用される。
【0015】
本発明の実施形態において、EDTAを緩衝液から除き、使用したコエレンテラジンの量を5μMまで増加させた場合に、短期および長期両方でのコエレンテラジン依存ルシフェラーゼアッセイにおいて、10倍も大きな生物発光を産出可能であるルシフェラーゼアッセイ緩衝液が提供される。この効果は、表3で例示している。試験した異なるルシフェラーゼによる生物発光シグナルの程度および安定性についての種々のアッセイ条件の効果を表7に要約している。アッセイ緩衝液の特定の実施形態において、少なくとも45分までにわたる発光の維持が提供される。この効果の例は、Renillaルシフェラーゼに関して表4で、Gaussiaルシフェラーゼに関して表5で示している。
【0016】
実施例には、GaussiaおよびRenillaルシフェラーゼの解析が含まれるが、他のルシフェラーゼは容易に試験可能であり、好ましい条件が本明細書で記述されたパラメータおよびアッセイを用いて決定される。
【0017】
コエレンテラジン依存ルシフェラーゼを測定するために確立された実施の慣用は、少なくとも1つのEDTA、カルシウム/マグネシウムイオン、高濃度の界面活性剤(1%以上)、高濃度の塩(0.5M以上)および比較的高いレベルのコエレンテラジン(10μM以上)を含むアッセイ緩衝液を利用することである(Tannous et al.Mol.Therap.11(3):435−43(2005))。
【0018】
本発明の特定の実施形態は、EDTAを必要とせず、また、カルシウムおよびマグネシウム塩が、コエレンテラジン依存ルシフェラーゼによる生物発光のシグナル強度を延長すること、または程度を増加させることに対して有害であることを立証する。しかしながら、任意のまたはすべての以下の成分が、シグナルの程度および安定性の少なくとも1つを増加させるために有益であることが発見された。すなわち、低濃度のNaCl(0.5M未満)、界面活性剤(1%v/v未満)、および低濃度のコエレンテラジン(10μM以下)は、短期間にわたる生物発光の程度の改善を示している。界面活性剤に加えてEDTAを加えることが、1分より長い時間にわたる発光シグナルの安定性を改善するための助けとなり、必要である(図12から15)。さらに、図15は、特に、界面活性剤をルシフェラーゼに直接加えた試料(◆)に関して、図13における4μMコエレンテラジンと比較して、1.3μMコエレンテラジンを使用した場合に、改善された安定性プロファイルが得られることを示している。
【0019】
(Prolume/NanoLight Technologies,Pinetop,Arizonaのような)供給業者によって推奨されるコエレンテラジンの濃度は、本実施形態に対して必要な濃度よりはるかに高かった。ベンジルコエレンテラジンが、Renillaルシフェラーゼに対する効果的な基質であるとわかったが、Gaussiaルシフェラーゼに対する基質としては適切ではなかった(たとえば図8、9および表6を参照のこと)。実施例2は、これらの異なる基質特異性がどのようにしてデュアルレポーターシステムにおいて使用可能であるかを記述している。
【0020】
細菌ルシフェラーゼに対する種々の条件の効果を、表2、6および7、および図4bおよび8に例示し、哺乳動物細胞からの分泌ルシフェラーゼに関しては、表1、3、5、6および7および図1、2、3、4A、8、10から15、16および17にて、Renillaルシフェラーゼに関しては、表3、4、6および7、および図6、7および9にて例示している。
【0021】
Gaussiaルシフェラーゼ活性に対する、アッセイ緩衝液中のNaCl濃度の増加の効果を、NP40界面活性剤およびEDTAの非存在下、およびNP40およびEDTAの存在下で、表1に示している。表1は、EDTAの非存在下でのNaClの増加が生物発光を減少させたが、EDTAおよびNP40の存在がこの効果を逆転させたことを示している。これは、Periphyllaによる高塩濃度に対する要求に関して報告しているShimomurai et al.Biol.Bull.201:339−347(2001)の観察とは反対である。
【0022】
低濃度(0.5%以下)でのNP40界面活性剤の、アッセイ試薬への添加が、結果として、文献中で報告されたアッセイ組成物、および市販されているものと比較して、GaussiaルシフェラーゼおよびRenillaルシフェラーゼに対する発光活性の有意な増加、ならびに発光シグナルの安定性の有意な改善をもたらした。
【0023】
GaussiaルシフェラーゼおよびRenillaルシフェラーゼに関して、界面活性剤の範囲を試験した(図2、3、6および7)。0.001%から0.5%の界面活性剤が、発光を増強することがわかった。たとえば、0.02%の界面活性剤が、コエレンテラジンの添加後最初の4分以内に生物発光の程度の増強において効果的であることがわかった。安定化効果の改善が、たとえば0.2%まで界面活性剤の濃度を増加させた場合に、長時間にわたって観察された。
【0024】
低濃度の界面活性剤、たとえばNP40が、バックグラウンド活性においてほとんど変化を示さずに、発光シグナルを安定化および増強させたことが示された(図2、3、6および7)。
【0025】
コエレンテラジン/PBSを含むアッセイ緩衝液を加える前に、Gaussiaルシフェラーゼ調製物に直接界面活性剤を加えることによって、アッセイ緩衝液に界面活性剤を加える場合と比較してシグナルの安定性が増加した。ルシフェラーゼとともに使用する前にアッセイ緩衝液に界面活性剤を加えることによって、初期シグナルの程度が増加した(図12から15)。
【0026】
本発明の実施形態において、コエレンテラジンを、酸化脱水エタノール中で安定化し、1から5μMの範囲の濃度でアッセイ緩衝液に加えた。この濃度範囲は、Gaussiaルシフェラーゼ活性の改善のために効果的であった(図4Aおよび4Bを参照のこと)。この量のコエレンテラジンは実質的に、Tannous et al.Mol.Therap.11(3):435−43(2005)によって先に報告された20μMという最小値よりも少ない。
【0027】
本発明の実施形態において、コエレンテラジン依存ルシフェラーゼを測定するためにキットが提供される。このキットには、アッセイ緩衝液および取扱説明書が含まれる。キットはたとえば、細胞集団、細胞溶解物およびタンパク質溶液に対して使用し得る。
【0028】
コエレンテラジン依存ルシフェラーゼによる生物発光シグナルの程度および/または安定性を変えるための条件の操作によって、結果として種々の応用例のために好適である産物がもたらされる。応用例には、トランスフェクトしたルシフェラーゼまたはルシフェラーゼタグ化抗体を用いる生物発光腫瘍のインビボ可視化のための腫瘍イメージング、遺伝子発現のリアルタイム解析、薬物ディスカバリーのため、または遺伝子サイレンシングRNAに関するスクリーニングのためのハイスループットスクリーニング、細胞内伝達経路解析および免疫診断/酵素結合免疫測定法(ELISA)が含まれる。
【0029】
本明細書で記述されたような、および少なくとも2分間にわたり、生物発光の延長を与える例において記述されたようなアッセイ試薬の使用が、このような応用例に対して望ましい。タンパク質−タンパク質相互作用を、スピリットルシフェラーゼを用いてモニタし得る。レポーターとしてコエレンテラジン依存ルシフェラーゼを含む生存アッセイを、細菌、真菌またはウイルスを殺すこと、および環境ストレスに対する応答をモニタすることにおいて、異なる薬物の効果を測定するために使用可能である。
【0030】
ルシフェラーゼを使用して、標的DNA配列とのオリゴヌクレオチド相互作用を同定および定量し得る。対象のオリゴヌクレオチドをルシフェラーゼでタグ化し、次いで、チップまたはマイクロタイターディッシュ上の固定化標的DNAに対して暴露する。対象のオリゴ配列と相互作用可能なDNA配列を含むウェルは、ルシフェラーゼを用いて可視化可能である。本発明の実施形態において、Gaussiaルシフェラーゼを、任意の上述の応用例のために使用可能である。生物発光反応のためのアッセイ試薬または緩衝液の選択は、これが2から4分間まで維持される生物発光の初期バーストを最大化するために好ましいかどうか、またはルシフェラーゼ基質の添加後10から15分の時点で簡単に検出可能である安定化シグナルをもつために望ましいかどうかに依存する。したがって、1% EDTAの添加、0.2% 界面活性剤のようなより高い濃度の界面活性剤、またはたとえば4から6μMまでのより高い濃度のコエレンテラジンのような本明細書で記述した任意の条件の変更を、初期シグナルの安定性を増加させる、または大きさを増加させるために使用し得る。
【0031】
本アッセイのさらなる使用は、リアルタイムでのsiRNAを用いる遺伝子サイレンシングを決定するためのインビボ実験に関する。生物発光を繰り返し測定可能であり、細胞溶解を必要としないので、分泌されたGaussiaルシフェラーゼは、細胞内Renillaおよびホタルルシフェラーゼに対して有利な点を有する。
【0032】
以上および以下で引用したすべての参考文献、ならびに米国特許仮出願第60/659,152号が、参考によって本明細書に組み込まれる。
【実施例1】
【0033】
アッセイ試薬組成の最適化
Gaussiaルシフェラーゼは、カイアシ、Gaussia princepsよりクローン化された(Ballou et al,11th Symposium on Bioluminescence and Chemiluminescence,Asilomar,California(2000),Verhaegent et al.Analytical Chemistry 74:4378−85(2002),Tannous,et al.Mol Ther,11(3):435−43(005),Siouxsie Wiles,et al.Appl.Envir.Microbiol.71:3427−3432(2005),Svetlana J.Biol.Chem.279:3212−32170(2004))。Gaussiaルシフェラーゼ(GLuc,185aa,19.9kDa)は、公知の最も小さなルシフェラーゼであり、天然に分泌される。このルシフェラーゼは、600nmまで広がる広い放射スペクトルを有し、480nmのピークにて光を放射する(Tannous et al.Mol.Ther.11(3):435−43(2005))。
【0034】
Renillaルシフェラーゼは、Prolume/NanoLight Technologies,Pinetop,Arizonaより市販されている。組換え体細菌Gaussiaルシフェラーゼは、Prolume/NanoLight Technologies,Pinetop,Arizonaより得た。
【0035】
Gaussiaルシフェラーゼは、図16で示したベクターを用いた細胞のトランスフェクション後に、哺乳動物細胞より分泌された。
【0036】
実施例中で使用した試薬には、PBS(Amresco,Solon,Ohio),Ca/Mg/Kを有するPBS(Invitrogen,Carlsbad,California),NP40として明細書中で使用したIgepal CA−630(Sigma Aldrich,St.Louis,MO),標準Renillaアッセイ試薬(Promega,Madison、Wisconsin)、コエレンテラジンおよびベンジルコエレンテラジン(Prolume/NanoLight Technologies,Pinetop,Arizona),哺乳動物中のGaussiaルシフェラーゼのための発現ベクター(New England Biolabs,Inc.,Ipswich,MA),哺乳動物および細菌発現Gaussiaルシフェラーゼを希釈するために使用したDulbecco’s最小必須培地(DMEM)(Invitrogen,Carlsbad,California)が含まれる。生物発光の測定は、照度計(Turner TD2020照度計、Turner BioSystems,Sunnyvale,California)にて実施した。
標準Gaussiaアッセイ試薬の処方
以下のストック溶液を、種々のアッセイ緩衝液の調製にて使用した。10×PBSのストック溶液を、AMRESCO,Solon,Ohioより購入した。2% EDTAのストック溶液を、最終容量100mlまで水中に2gのEDTAを溶解することによって調製した。
【0037】
2%界面活性剤を含むストック溶液、すなわちNP40、Triton X−100、Tween80またはDOCの2% v/vストック溶液は、2mlの界面活性剤溶液を98mlの水に加えることによって調製した。2% SDSのストック溶液は、2gmsのSDSを水中に溶解し、最終客積100mlにすることによって調製した。0.2%界面活性剤を含むストック溶液は、水による2%ストック溶液の1:10希釈によって調製した。
【0038】
PBS、EDTAおよび界面活性剤を含むアッセイ緩衝液は、適切な量のストック溶液を水中に希釈し、PBS、EDTAまたは界面活性剤の所望の最終濃度を得ることにより調製した。
【0039】
コエレンテラジンまたはベンジルコエレンテラジンを、以下のように酸化脱水エタノール中に希釈した。3mgのコエレンテラジンを、1ml無水エタノールおよび25μl 2N HCLと混合した。エタノールを、4:1(すなわち酸性エタノール中1mlのコエレンテラジンに対して4mlのエタノール)の比で加え、コエレンテラジンまたはベンジルコエレンテラジンの100×濃縮ストック溶液を調製した。このコエレンテラジン溶液の一定量を、1から10μMの範囲の最終濃度を得るまでアッセイ緩衝液に加えた。50μlのアッセイ緩衝液を、20μlのルシフェラーゼを含む試料と混合し、生物発光を照度計を用いて測定した。
コエレンテラジン依存ルシフェラーゼによるシグナルの程度および/または維持の改善のための条件の同定
1.Gaussiaルシフェラーゼによるシグナルの程度に対する、カルシウム/マグネシウム、およびまたはEDTAの効果の決定
NanoLight Technologies,Pinetop,Arizonaから得た粉末化細菌Gaussiaルシフェラーゼの一定量を、DMEM中に溶解し、照度計より読み取りが得られるまで、対照アッセイ緩衝液中で希釈した。図1で示した結果は、0.5×PBS、0.5×PBS/Ca/Mg、0.5×PBS/1% EDTAおよび0.5×PBS/Ca/Mg/1% EDTAからなる3種のアッセイ緩衝液を利用しており、各緩衝液はさらに、1.3μMコエレンテラジンを含む。最良の結果が、コエレンテラジンに加えてPBSのみで得られ、カルシウム、マグネシウムまたはEDTAのいずれか、またはそれらの両方の存在下での場合よりもシグナルが約5倍大きかった。
【0040】
2.Gaussiaルシフェラーゼ活性およびRenillaルシフェラーゼ活性に対する、アッセイ試薬中の、0.02% v/vの濃度を有する異なる界面活性剤の効果の決定
本実施例において、20μlの哺乳動物Gaussiaルシフェラーゼ試料(細胞上清)を、2%および0.2%濃度で、8μlの指示された界面活性剤(アッセイ溶液中の界面活性剤の最終濃度が0.2%および0.02%であった)、および50μlのGaussiaルシフェラーゼアッセイ試薬(0.5×PBS、EDTAなし、1.3μMコエレンテラジン)と混合し、Turner TD2020 Luminometer,Turner BioSystems,Sunnyvale,Californiaで読んだ。試料を15分後に再び読み、異なる界面活性剤の存在下での、発光シグナルの安定性を評価した。異なる試薬を使用した結果を、図2、3および表6(Gaussiaルシフェラーゼに関して)およびRenillaルシフェラーゼに関して図6で示している。GaussiaおよびRenillaルシフェラーゼ両方に対して、最適な安定性が、NP40およびTriton X−100を用いて観察された。
【0041】
3.哺乳動物分泌Gaussiaルシフェラーゼ活性および組換え体細菌Gaussiaルシフェラーゼに対する、アッセイ試薬中の異なる濃度のコエレンテラジンの効果の決定(図4Aおよび4B)
精製した哺乳動物分泌Gaussiaルシフェラーゼを、0.5×PBS+1% EDTA、0.2% NP40、および1.3μM、4μM、6μM、12μM、および25μMの(図4A)の、または1.3μM、3.8μM、4μM、6μM、12μM、および25μMのコエレンテラジンのアッセイ試薬中で試験した。
【0042】
2つの異なる濃度のコエレンテラジン(1.3μMおよび4μM)の効果を、1% EDTAの存在下、または非存在下、および0.2%または0.02% NP40の使用をまたGaussiaおよびRenillaルシフェラーゼに関して試験した、アッセイ試薬中でさらに調査した(表3)。表4は、0、7、20および80分の時間間隔でのEDTAの非存在下で、異なる濃度のNP40およびコエレンテラジンの効果を示している。
【0043】
4.ベンジルコエレンテラジンでのコエレンテラジンの置換
Gaussianルシフェラーゼは、基質としてのベンジルコエレンテラジンの使用に対してほとんど応答しない(表3を参照のこと)。しかしながら、Renillaルシフェラーゼは、ベンジルコエレンテラジンにて有意に増強したシグナルを産出し、このシグナルは、基質としてコエレンテラジンを使用したものと比べて、比較的安定している(図9および表6)。
【0044】
5.アッセイ試薬中の種々の濃度のNaClの効果
0.5×PBSおよび1.3μMコエレンテラジンからなるアッセイ試薬中でのNaClの濃度の変化の効果は、約0.5M NaClをより高い濃度では、生物発光を低下させた。この効果は、0.025% NP40および1% EDTAがまた存在する場合には有意ではなかった(表1)。
【0045】
6.生物発光シグナルの程度および安定性に関するアッセイ試薬へのEDTAの添加の効果を、表2および図12から15にて示している。1% EDTAは、シグナルの初期の程度を低下させる効果を有するが、長期にわたると生物発光のより安定したプロファイルをもたらした。
【0046】
0から120秒および0から約1000秒にわたる、EDTAの存在下、または非存在下でのコエレンテラジンの量(4μMまたは1.3μM)で、ルシフェラーゼに直接加えたか、またはアッセイ試薬に加えたNP40の量の変化(0.02%または0.2%)の効果を、哺乳動物分泌Gaussiaルシフェラーゼに関して、図10から15および表7にて要約している。表7はまた、Renillaルシフェラーゼおよび細菌Gaussiaルシフェラーゼに関して、以上にしたがった条件の変更の効果を要約している。
【0047】
【表1】
【0048】
【表2】
【0049】
【表3】
【0050】
【表4】
【0051】
【表5】
【0052】
【表6】
【0053】
【表7】
【実施例2】
【0054】
デュアルレポーターシステム
1.RenillaおよびGaussiaルシフェラーゼを使用したデュアルレポーターシステムが本明細書で記述されている。
【0055】
本システムは、RenillaおよびGaussiaルシフェラーゼの活性に対する表6および図8および9で示した基質ベンジルコエレンテラジンの異なる効果によっている。この効果は、Gaussiaルシフェラーゼが哺乳動物細胞から分泌される一方で、Renillaルシフェラーゼは分泌されないので、さらに利用可能である(図15を参照のこと)。図17は、96.2%のGaussiaルシフェラーゼが上清培地中に分泌され、約3.8%のみが細胞に結合することを示している。したがって、多重遺伝子発現システムは、レポーターとしてGaussiaルシフェラーゼおよびRenillaルシフェラーゼ両方を用いて同時に測定可能である。したがって、これらのルシフェラーゼをコードするDNAは、共トランスフェクションによって、哺乳動物細胞の集団に導入可能である。細胞内Renillaルシフェラーゼの量は、基質としてベンジルコエレンテラジンを用いて決定可能であり、一方で、分泌Gaussiaルシフェラーゼ活性の量は、基質としてコエレンテラジンを用いて決定可能である。コエレンテラジンが、GaussiaおよびRenillaルシフェラーゼ両方に対する基質であるので、Gaussiaルシフェラーゼの定量を、ベンジルコエレンテラジンを用いて得られた値からコエレンテラジンを用いた生物発光を差し引くことによって決定可能である。
【0056】
アッセイ試薬(0.4×PBS、0.025% NP40、1.3μM コエレンテラジン)を使用して、8日間にわたる、トランスフェクトヒト胎児腎臓(HEK−293)細胞の細胞上清中のGaussiaルシフェラーゼ活性を評価した(図12を参照のこと)。時間経過実験の最後に、細胞の集団をまた、分泌されないRenillaルシフェラーゼを発現するプラスミドDNAでトランスフェクトした場合には、細胞を溶解し、0.5×PBS、0.2% NP−40、4uMベンジルコエレンテラジンを用いてアッセイ可能である。
【0057】
ホタルルシフェラーゼ/Renillaルシフェラーゼレポーターシステムに対する本明細書で記述したデュアルレポーターシステムの利点は、時間経過または薬物応答実験を、毎時点での細胞融解の必要なしに、(上清中のGaussiaルシフェラーゼ活性をアッセイすることによって)同一の群のトランスフェクト細胞の上で実施可能であることである。実験の最後に、細胞を溶解し、細胞溶解物をRenillaルシフェラーゼ活性に関してアッセイ可能である。
【0058】
2.ホタルおよびGaussiaルシフェラーゼに基づくデュアルルシフェラーゼアッセイ
95%のGaussiaルシフェラーゼが上清培養中に分泌され、約5%のみが細胞結合であった(図15)。対象の遺伝子の活性を、レポーターとして、Gaussiaルシフェラーゼを用いて研究可能である。トランスフェクション効率の正規化を、ホタルルシフェラーゼを発現する発現ベクターを用いた共トランスフェクションによって実施する。デュアルアッセイ試薬を、(基質としてホタルルシフェリンを用いる)細胞結合ホタルルシフェラーゼ活性と(基質としてコエレンテラジンを用いる)分泌Gaussiaルシフェラーゼ活性の、同時解析のために処方する(表7を参照のこと)。
【0059】
現在使用されるホタルルシフェラーゼ/Renillaルシフェラーゼレポーターシステムに対する今回提案されるデュアルルシフェラーゼアッセイシステムの利点は、時間経過または薬物応答実験を、毎時点での細胞融解の必要なしに、(上清中のGaussiaルシフェラーゼ活性をアッセイすることによって)同一の群のトランスフェクト細胞の上で実施可能であることである。実験の最後に、細胞を溶解し、細胞溶解物をホタルルシフェラーゼ活性に関してアッセイ可能である。
【0060】
3.たとえば、GaussiaルシフェラーゼとVargulaルシフェラーゼを用いる生細胞調製物中のデュアルレポートシステム(WO99/49019)
2つの異なるプロモーターからの遺伝子発現の同時解析のための生細胞デュアルアッセイが、2つの異なるプラスミドベクターで細胞をトランスフェクトすることによって開発されてきており、異なるプロモーターの制御下で1つのベクターはGaussiaルシフェラーゼを発現しており、第二のベクターは、Vargulaルシフェラーゼを発現している。Gaussiaルシフェラーゼを発現する構造物のプロモーター活性を、以上で記述したアッセイ緩衝液組成物を用いて研究し、細胞を溶解せずに異なる時間間隔にて細胞上清中のGaussiaルシフェラーゼ活性を測定可能である。
【0061】
(Vargulaルシフェラーゼを発現している)第二プロモーターのプロモーター活性を、コエレンテラジンの代わりに、Gaussiaルシフェラーゼのアッセイに関して記述された組成と同一であるが、シプリジナルシフェリン(Vargulaルシフェラーゼのための基質)を含むアッセイ緩衝液で、細胞上清をアッセイすることによって研究可能である。
【実施例3】
【0062】
ルシフェラーゼを発現する細胞の直接検出
HEK−293細胞を、標準の組織培養技術を用いて図18にしたがってGaussiaルシフェラーゼベクターでトランスフェクトした。細胞単層を形成した後、10または50μlの、0.5×PBS、0.025% NP40、0.02% NP40および1.3μMまたは4μMコエレンテラジンを含むアッセイ溶液を、96ウェルディッシュ中の、100μl DMEMおよび10%ウシ胎児血清および細胞に加えた。トランスフェクト細胞を実施例1と一致した緩衝液条件にしたがって増殖させ、裸眼で同定可能である。本アッセイは、任意のコエレンテラジン依存ルシフェラーゼトランスフェクト組織培養細胞に対して機能することが予想される。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】哺乳動物から分泌されたGaussiaルシフェラーゼの活性に対する異なる緩衝液組成の効果を示しており、リン酸緩衝食塩水(PBS)のみの場合が、カルシウム、マグネシウムまたは/およびEDTAをPBSに加えた場合よりも、有意に大きなシグナルを産出する。
【図2】哺乳動物細胞から分泌されたGaussiaルシフェラーゼの活性に対する、0.5×PBSおよび1.3μMコエレンテラジンを含むアッセイ緩衝液中の、0.02% v/v NP40、0.02% v/v Triton X−100、0.2% v/v DOC、0.2% v/v Tween80および0.02% w/v 硫酸ドデシルナトリウム(SDS)の効果を示している。各組における最初の4本の棒は、時間ゼロにおけるルシフェラーゼ活性を示しており、次の3本の棒は、15分後の同一チューブ内でのルシフェラーゼ活性を示している。
【図3】哺乳動物分泌Gaussiaルシフェラーゼ活性に対する、0.5×PBSおよび1.3μMコエレンテラジンを含むアッセイ緩衝液中の、0.2% v/vのNP40、Triton X−100、DOC、およびTween80の効果を示している。各組における最初の3本の棒は、時間ゼロにおけるGaussiaルシフェラーゼ活性を示しており、次の3本の棒は、15分後の同一チューブ内でのこのルシフェラーゼ活性を示している。
【図4A】ゼロ時点での、哺乳動物分泌Gaussiaルシフェラーゼ活性に対する、0.5×PBS、1% EDTAおよび0.025% NP40を含むアッセイ緩衝液中の、種々の濃度(1.3μM、4μM、6μM、12μMおよび25μM)のコエレンテラジンの効果を示している。この結果によって、4μMより高い濃度のコエレンテラジンにて、ルシフェラーゼ活性の有意な増加はないことが示されている。
【図4B】組換え体細菌ルシフェラーゼの安定性に対する種々の濃度(1.3μM、3.8μM、4μM、6μM、12μMおよび25μM)のコエレンテラジンの効果を示している。三つ組の試料に対する結果が、試験した各濃度のコエレンテラジンについて提供される。この結果によって、4μMより高い濃度のコエレンテラジンにおいてはルシフェラーゼ活性の有意な増加はないことが示されている。
【図5】哺乳動物分泌Gaussiaルシフェラーゼに対して、0から100秒の間にわたる、標準のPromega Renillaアッセイ試薬(Promega、Madison,Wisconsin)との、Gaussia安定化アッセイ試薬(0.4×PBS、1% EDTA、0.025% NP40)の比較を示している。
【図6】Renillaルシフェラーゼ活性に対する、0.02% v/v界面活性剤(SDSはw/vである)の安定化効果を示している。2つの時点での三つ組の試料に対する結果が、試験した各界面活性剤について提供される。時点は、T=0分およびT=7分である。試験した界面活性剤は、水を対照として、NP40、TritonX、DOC、Tween80およびSDSであった。すべての試料において、第二時点でのシグナルの有意な欠損が存在した。
【図7】Renillaルシフェラーゼ活性に対する0.2% v/v界面活性剤(SDSはw/vである)の安定化効果を示している。2つの時点での三つ組の試料に対する結果が、試験した各界面活性剤について提供される。時点は、T=0分およびT=18分である。試験した界面活性剤は、水を対照として、NP40、TritonX、DOC、Tween80およびSDSであり、NP40、Triton X−100およびTween80が、0.2%の濃度で安定化効果を示している。
【図8】精製組換え体細菌ルシフェラーゼ(右)または分泌哺乳動物ルシフェラーゼ(左)による生物発光の程度を測定するために、0.5×PBSおよび1% EDTA(w/v)ならびに0.025% NP40を含む緩衝液試薬中の、1.3μMコエレンテラジンと比較した、基質として1.3μM ベンジルコエレンテラジンを用いた結果を示している。結果は、ベンジルコエレンテラジンが、Gaussiaルシフェラーゼに対して貧弱な基質であることを示している。
【図9】Renillaルシフェラーゼによる生物発光の量および安定性を測定するために、0.5×PBS、0.025% NP40(v/v)および1% EDTA(w/v)も含む緩衝液試薬中の、1.3μMコエレンテラジンと比較した、基質として1.3μM ベンジルコエレンテラジンを用いた結果を示している。結果は、ベンジルコエレンテラジンが、Renillaルシフェラーゼに対して良好な基質であり、結果として、コエレンテラジンに対して観察されたものよりも有意に大きなシグナルとなったことを示している。
【図10】1.3μMコエレンテラジンを用いる分泌された哺乳動物Gaussiaルシフェラーゼ活性の活性に対するNP40の割合を変えることの効果を示している。180秒までは、界面活性剤の割合を減少させるほど発光シグナルの程度が増加した。しかしながら、生物発光シグナルの安定性プロファイルは、0.1% NP40の場合、220秒までは、界面活性剤の濃度が増加するほど改善される。
【図11】0.5×PBS、+/− 1% EDTA w/v、0.02%または0.2% v/v NP40および4μMコエレンテラジンからなるアッセイ緩衝液中の哺乳動物細胞からの分泌ルシフェラーゼを用いることの120秒間にわたるGaussiaルシフェラーゼによる生物発光に対する効果を示している。時間=ゼロでの最も大きなシグナルの程度の増強が、0.5×PBS、EDTAなし、0.02% NP40および4μMコエレンテラジンを用いて観察された。最も安定なシグナルが、0.2% NP40、0.5×PBS、EDTAなしおよび4μMコエレンテラジンの好ましい緩衝液中で観察された。
【図12】0.5×PBS、+/−1%EDTAおよび0.2% NP40からなるアッセイ緩衝液中の哺乳動物細胞からの分泌ルシフェラーゼを用いることの120秒間にわたるGaussiaルシフェラーゼによる生物発光に対する効果を示している。2つの試料(■、△)においては、界面活性剤は、4μMコエレンテラジンを加える前に、ルシフェラーゼに加えられ、1つの試料(◆)においては、界面活性剤は、4μMコエレンテラジンに直接加えられた。時間=ゼロでの、最も大きなシグナルの程度の増強が、0.5×PBS、EDTAなし、0.2% NP40および4μMコエレンテラジンを用いて観察された。最も安定なプロファイルは、4μMコエレンテラジン、0.5×PBSおよび1% EDTAの前に、0.2% NP40を加えることで達成された。
【図13】約1000秒にわたる生物発光に対する効果を示している。Gaussiaルシフェラーゼが哺乳動物細胞から分泌された。4μMコエレンテラジンおよび0.5×PBSを全体にわたって使用した。試料の違いは、1%EDTAおよび0.2% NP40のそれぞれを含むか、含まないかである。最も安定なプロファイルは、コエレンテラジン/PBS緩衝液の前に、0.5×PBS、1% EDTAおよび0.2% NP40をルシフェラーゼに加えた場合に発生した。
【図14】0.5×PBS、+/−1% EDTAおよび0.2% NP40からなるアッセイ緩衝液中の、哺乳動物細胞からの分泌ルシフェラーゼを用いることの、120秒間にわたる、Gaussiaルシフェラーゼによる生物発生に対する効果を示している。界面活性剤は、2つの試料(■、△)にて、1.3μMコエレンテラジンを加える前に、ルシフェラーゼに加えた。または、界面活性剤を、1.3μMコエレンテラジンに直接加えた(◆)。時間=ゼロにて、最も大きなシグナルの程度の増強が、0.5×PBS、EDTAなし、0.2% NP40および1.3μMコエレンテラジンを用いて観察された。最も安定なプロファイルは、1.3μMコエレンテラジン、0.5×PBSおよび1% EDTAの前に加えた0.2% NP40で達成された。
【図15】1000秒にわたる生物発光における効果を示している。Gaussiaルシフェラーゼが、哺乳動物細胞より分泌された。1.3μMコエレンテラジンおよび0.5×PBSを全体にわたって用いた。試料の違いは、1%EDTAおよび0.2% NP40のそれぞれを含むか、または含まないかである。コエレンテラジン/PBS緩衝液の前にルシフェラーゼに加えた0.5×PBS、1%EDTA、1.3μMコエレンテラジンおよび0.2% NP40を用いる発光の半減期は、18分間より長く、これにより、ハイスループットスクリーニングのために特に有用となる。
【図16】8日間にわたるトランスフェクト哺乳動物細胞(HEK−293細胞)の培養培地中の分泌されたルシフェラーゼの増加を示している。HEK−293細胞を、Gaussiaルシフェラーゼまたは分泌遺伝子を発現している発現ベクターでトランスフェクトした。示した時間間隔、T=24、48、72および92時間にて、20μlの細胞上清分液を、それぞれ50μlのアッセイ緩衝液組成物(0.4×PBS、1% EDTA、0.025% NP40、1.3μMコエレンテラジン)と混合することによってルシフェラーゼ活性を測定した。データは、四組の測定の平均を表している。
【図17】Gaussiaルシフェラーゼを用いる哺乳動物培養液の上清におけるルシフェラーゼ活性を比較しているヒストグラムを示す。データは、三組の測定の平均によって示されており、トランスフェクション後16時間での、細胞溶解物または上清中の総ルシフェラーゼ活性を示している。これにより総活性のわずか3.8%が細胞由来であることがわかる。
【図18】Gaussiaルシフェラーゼで哺乳動物細胞を形質移入(トランスフェクト)するために使用されるベクターを示している。
【技術分野】
【0001】
ルシフェラーゼは、光を放射する反応を触媒する酵素である。ルシフェラーゼは、甲虫(ホタル)(たとえば第5,641,641号を参照のこと)または海洋生物のようなこれらの供給源生物にしたがって命名される。生物発光海洋動物の例には、シーパンジーとしても知られているRenillaが含まれ、このRenillaは花虫類動物としても知られている腔腸動物のクラスに属する。Reillaに加えて、他の代表的なクラス花虫類動物の生物発光属には、Cavarnularia、Ptilosarcus、Stylatula、AcanthoptilumおよびParazoanthusが含まれる。これらの生物のすべてが生物発光性であり、適切な生物学的条件下で基質(ルシフェリン)上の酵素(ルシフェラーゼ)の活性の結果として光を放射する。先の研究によって、すべての上述花虫類動物が、同様のルシフェラーゼおよびルシフェリンを含むことが示された。たとえば、Cormier et al.,J.Cell.Physiol.81:291−298(1973)を参照のこと。これらの花虫類動物のそれぞれからのルシフェラーゼおよびルシフェリンは、互いに交差反応して、Renilla抽出物中で観察される特徴的な青色発光を産出する。これらのルシフェラーゼのそれぞれが、同様の生化学的特性を有し、生物発光のための生化学的要件が、ルシフェラーゼが由来する花虫類動物に関わらず、同一であることが報告された(米国特許第5,292,658号)。
【0002】
異なるルシフェラーゼは、基質特異性および光放射の強度および生物発光シグナルの安定性に関して異なった特性を有し、一般的に照度計によって測定される。ルシフェラーゼは、転写レポーター遺伝子として、および生きている対象におけるレポーター遺伝子発現を画像化することにおいて、また分子生物学における多くの他の適用において、有用である。
【0003】
基質としてコエレンテラジンルシフェリンを用いるルシフェラーゼは、ハイスループットスクリーニングのような特定の分子生物学的反応のために有用であり得る程度の生物発光の閃光を産出する。とりわけこのルシフェラーゼを使用することにより、生物発光シグナルの時間がより長くなるので有利である。
【発明の開示】
【0004】
本発明の実施形態において、コエレンテラジン基質、生理食塩水中での濃度より低い濃度の塩化ナトリウム、および界面活性剤を含むルシフェラーゼアッセイ緩衝液が提供され、このアッセイ緩衝液は、約30秒から約1分より長い時間、コエレンテラジン依存ルシフェラーゼによる生物発光を検出するのに適しており、たとえば、Gaussiaルシフェラーゼによる生物発光が、このルシフェラーゼへのアッセイ緩衝液の添加時から少なくとも約30秒の時間にわたって照度計にて検出され得る。また、Renillaルシフェラーゼによる生物発光は、アッセイ緩衝液の添加時から少なくとも1分間の時間にわたって、Gaussiaルシフェラーゼによる生物発光に加算されて検出可能である。アッセイ緩衝液は、この使用のための取扱説明書とともに、キットに組み込み得る。
【0005】
以上のアッセイ緩衝液の例において、塩化ナトリウムは、約0.01から0.15Mの範囲の濃度であり、好ましくはカルシウムまたはマグネシウムイオンを含まず、約3%以下の濃度のEDTAを場合により含む。アッセイ緩衝液は、約0.001%から0.5%の範囲の濃度の非イオン性界面活性剤をさらに含んでもよい。緩衝液中で使用し得る界面活性剤の例には、Igepal CA−650(NP40)、Triton X−100、Tween80およびデオキシコレート(DOC)が含まれる。
【0006】
本発明のさらなる実施形態において、ルシフェラーゼアッセイ緩衝液は、約5μM以下の濃度のコエレンテラジンを含む。
【0007】
本発明のさらなる実施形態において、塩濃度が約0.01から0.15Mの範囲であり、コエレンテラジンが5μM未満の濃度であり、さらに、約0.001%から0.5%の範囲の濃度の非イオン性界面活性剤を含むルシフェラーゼアッセイ緩衝液が提供される。アッセイ緩衝液は、この使用のための取扱説明書とともに、キットに組み込み得る。
【0008】
本発明のさらなる実施形態において、コエレンテラジン濃度が約1μMから5μMであり、非イオン性界面活性剤が少なくとも約0.05%の濃度であり、さらにEDTAを含むルシフェラーゼアッセイ緩衝液が提供され、そこで、アッセイ緩衝液は、少なくとも2分間の時間にわたって、Gaussiaルシフェラーゼによる生物発光放射を安定化することが可能である。本緩衝液を用いる方法には、この緩衝液を選択すること、およびこれをルシフェラーゼに加えることが含まれる。
【0009】
本発明のさらなる実施形態において、非イオン性界面活性剤が約0.05%未満の濃度であるルシフェラーゼアッセイ緩衝液が提供され、このアッセイ緩衝液は、EDTAの非存在下で、少なくとも30秒間の時間、Gaussiaルシフェラーゼによる生物発光の程度を増強することが可能である。本緩衝液を用いる方法には、この緩衝液を選択すること、およびこれをルシフェラーゼに加えることが含まれる。本方法の例において、4μMのコエレンテラジン濃度が選択される。
【0010】
本発明のさらなる実施形態において、単一調製物中で第一および第二ルシフェラーゼを測定するための方法が提供され、そこで、本方法には、以下の段階、(a)ベンジルコエレンテラジンを含む第一アッセイ緩衝液、およびコエレンテラジンを含む第二緩衝液を調製する段階、(b)前記ベンジルコエレンテラジンを細胞調製物に加えて第一ルシフェラーゼによる生物発光の量を測定する段階、(c)前記コエレンテラジンを加えて第一および第二ルシフェラーゼによる生物発光の量を測定する段階、および(d)段階(b)と段階(c)とにおける生物発光の差を計算して、第二ルシフェラーゼによる生物発光の量を決定する段階、が含まれる。第一ルシフェラーゼの例はRenillaルシフェラーゼであり、第二ルシフェラーゼの例は、Gaussiaルシフェラーゼである。
【0011】
本発明のさらなる実施形態において、Gaussiaルシフェラーゼをコードする遺伝子で形質転換された細胞を直接検出するための方法が提供され、そこで上で記述したアッセイ緩衝液を、培養培地中の細胞に加え、生物発光を裸眼または顕微鏡で検出する。さらに、細胞は、標的タンパク質をコードする遺伝子と融合したGaussiaルシフェラーゼを発現するプラスミドと、標的タンパク質を指向するsiRNAをコードしている遺伝子とで同時形質移入(または共トランスフェクション)され得る。これは、遺伝子サイレンシングのために種々のsiRNAをスクリーニングするために有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
インビトロおよびインビボ(細胞内)でのコエレンテラジン依存ルシフェラーゼ生物発光を測定するための方法および組成物が記述されている。組成物は、緩衝液の組成を変更することによって、少なくとも1つの、シグナルの安定性の増強またはシグナルの程度の増強をもたらす。1つ以上の以下のパラメータを変化させた。EDTA(またはCDTA)、カルシウムおよびマグネシウムイオンの存在または非存在、NaClの濃度、コエレンテラジンの濃度、イオン性および非イオン性界面活性剤の効果、界面活性剤の量、どのようにして界面活性剤が加えられたか、およびシグナルが記録された期間。デュアルレポーターシステムもまた開示されている。
【0013】
コエレンテラジン依存ルシフェラーゼ(たとえば、WO99/49019)には、Gaussia、Renilla、PleuromammaおよびMetridiaルシフェラーゼおよびこの変異体が含まれる。コエレンテラジンを利用するルシフェラーゼを有する属には、Chiroteuthis、Eucleoteuthis、Onychoteuthis、Watasenia、cuttlefish、SepiolinaおよびOplophorious、Acanthophyra、SergestesおよびGnathoplausiaのようなエビ、Agryopelecus、Yarella、Diaphus、GonadostomiasおよびNeoscopelusのような深海魚が含まれる。これらのルシフェラーゼは、このベースライン生物発光の点で異なる。たとえば、Gaussiaルシフェラーゼは、哺乳動物細胞内で発現した場合に、Renillaルシフェラーゼよりも千倍以上明るい。しかしながら、以下で示すように、例示された3つのコエレンテラジン依存ルシフェラーゼ(組換え体細菌Gaussiaルシフェラーゼ、哺乳動物細胞によって分泌されたGaussiaルシフェラーゼ、および細胞溶解物からのRenillaルシフェラーゼ)について、初期生物発光シグナルの程度を増強する、次いで時間とともに安定化するための条件は、特定の活性の差違にも関わらず同様である。このことは、一般的に、これらのパラメータがコエレンテラジン依存ルシフェラーゼに適用可能であることを示唆している。
【0014】
PBS、高モル濃度塩(たとえば0.5M NaCl)および高モル濃度コエレンテラジン(たとえば20μM)を含むアッセイ緩衝液中のルシフェラーゼ活性は、2分未満の間に光産出の90%が失われ不安定である。非コエレンテラジン依存ルシフェラーゼ、たとえばジチオスレイトール(DTT)および補酵素Aの明反応の安定化剤が、ホタルルシフェラーゼとともに使用される。
【0015】
本発明の実施形態において、EDTAを緩衝液から除き、使用したコエレンテラジンの量を5μMまで増加させた場合に、短期および長期両方でのコエレンテラジン依存ルシフェラーゼアッセイにおいて、10倍も大きな生物発光を産出可能であるルシフェラーゼアッセイ緩衝液が提供される。この効果は、表3で例示している。試験した異なるルシフェラーゼによる生物発光シグナルの程度および安定性についての種々のアッセイ条件の効果を表7に要約している。アッセイ緩衝液の特定の実施形態において、少なくとも45分までにわたる発光の維持が提供される。この効果の例は、Renillaルシフェラーゼに関して表4で、Gaussiaルシフェラーゼに関して表5で示している。
【0016】
実施例には、GaussiaおよびRenillaルシフェラーゼの解析が含まれるが、他のルシフェラーゼは容易に試験可能であり、好ましい条件が本明細書で記述されたパラメータおよびアッセイを用いて決定される。
【0017】
コエレンテラジン依存ルシフェラーゼを測定するために確立された実施の慣用は、少なくとも1つのEDTA、カルシウム/マグネシウムイオン、高濃度の界面活性剤(1%以上)、高濃度の塩(0.5M以上)および比較的高いレベルのコエレンテラジン(10μM以上)を含むアッセイ緩衝液を利用することである(Tannous et al.Mol.Therap.11(3):435−43(2005))。
【0018】
本発明の特定の実施形態は、EDTAを必要とせず、また、カルシウムおよびマグネシウム塩が、コエレンテラジン依存ルシフェラーゼによる生物発光のシグナル強度を延長すること、または程度を増加させることに対して有害であることを立証する。しかしながら、任意のまたはすべての以下の成分が、シグナルの程度および安定性の少なくとも1つを増加させるために有益であることが発見された。すなわち、低濃度のNaCl(0.5M未満)、界面活性剤(1%v/v未満)、および低濃度のコエレンテラジン(10μM以下)は、短期間にわたる生物発光の程度の改善を示している。界面活性剤に加えてEDTAを加えることが、1分より長い時間にわたる発光シグナルの安定性を改善するための助けとなり、必要である(図12から15)。さらに、図15は、特に、界面活性剤をルシフェラーゼに直接加えた試料(◆)に関して、図13における4μMコエレンテラジンと比較して、1.3μMコエレンテラジンを使用した場合に、改善された安定性プロファイルが得られることを示している。
【0019】
(Prolume/NanoLight Technologies,Pinetop,Arizonaのような)供給業者によって推奨されるコエレンテラジンの濃度は、本実施形態に対して必要な濃度よりはるかに高かった。ベンジルコエレンテラジンが、Renillaルシフェラーゼに対する効果的な基質であるとわかったが、Gaussiaルシフェラーゼに対する基質としては適切ではなかった(たとえば図8、9および表6を参照のこと)。実施例2は、これらの異なる基質特異性がどのようにしてデュアルレポーターシステムにおいて使用可能であるかを記述している。
【0020】
細菌ルシフェラーゼに対する種々の条件の効果を、表2、6および7、および図4bおよび8に例示し、哺乳動物細胞からの分泌ルシフェラーゼに関しては、表1、3、5、6および7および図1、2、3、4A、8、10から15、16および17にて、Renillaルシフェラーゼに関しては、表3、4、6および7、および図6、7および9にて例示している。
【0021】
Gaussiaルシフェラーゼ活性に対する、アッセイ緩衝液中のNaCl濃度の増加の効果を、NP40界面活性剤およびEDTAの非存在下、およびNP40およびEDTAの存在下で、表1に示している。表1は、EDTAの非存在下でのNaClの増加が生物発光を減少させたが、EDTAおよびNP40の存在がこの効果を逆転させたことを示している。これは、Periphyllaによる高塩濃度に対する要求に関して報告しているShimomurai et al.Biol.Bull.201:339−347(2001)の観察とは反対である。
【0022】
低濃度(0.5%以下)でのNP40界面活性剤の、アッセイ試薬への添加が、結果として、文献中で報告されたアッセイ組成物、および市販されているものと比較して、GaussiaルシフェラーゼおよびRenillaルシフェラーゼに対する発光活性の有意な増加、ならびに発光シグナルの安定性の有意な改善をもたらした。
【0023】
GaussiaルシフェラーゼおよびRenillaルシフェラーゼに関して、界面活性剤の範囲を試験した(図2、3、6および7)。0.001%から0.5%の界面活性剤が、発光を増強することがわかった。たとえば、0.02%の界面活性剤が、コエレンテラジンの添加後最初の4分以内に生物発光の程度の増強において効果的であることがわかった。安定化効果の改善が、たとえば0.2%まで界面活性剤の濃度を増加させた場合に、長時間にわたって観察された。
【0024】
低濃度の界面活性剤、たとえばNP40が、バックグラウンド活性においてほとんど変化を示さずに、発光シグナルを安定化および増強させたことが示された(図2、3、6および7)。
【0025】
コエレンテラジン/PBSを含むアッセイ緩衝液を加える前に、Gaussiaルシフェラーゼ調製物に直接界面活性剤を加えることによって、アッセイ緩衝液に界面活性剤を加える場合と比較してシグナルの安定性が増加した。ルシフェラーゼとともに使用する前にアッセイ緩衝液に界面活性剤を加えることによって、初期シグナルの程度が増加した(図12から15)。
【0026】
本発明の実施形態において、コエレンテラジンを、酸化脱水エタノール中で安定化し、1から5μMの範囲の濃度でアッセイ緩衝液に加えた。この濃度範囲は、Gaussiaルシフェラーゼ活性の改善のために効果的であった(図4Aおよび4Bを参照のこと)。この量のコエレンテラジンは実質的に、Tannous et al.Mol.Therap.11(3):435−43(2005)によって先に報告された20μMという最小値よりも少ない。
【0027】
本発明の実施形態において、コエレンテラジン依存ルシフェラーゼを測定するためにキットが提供される。このキットには、アッセイ緩衝液および取扱説明書が含まれる。キットはたとえば、細胞集団、細胞溶解物およびタンパク質溶液に対して使用し得る。
【0028】
コエレンテラジン依存ルシフェラーゼによる生物発光シグナルの程度および/または安定性を変えるための条件の操作によって、結果として種々の応用例のために好適である産物がもたらされる。応用例には、トランスフェクトしたルシフェラーゼまたはルシフェラーゼタグ化抗体を用いる生物発光腫瘍のインビボ可視化のための腫瘍イメージング、遺伝子発現のリアルタイム解析、薬物ディスカバリーのため、または遺伝子サイレンシングRNAに関するスクリーニングのためのハイスループットスクリーニング、細胞内伝達経路解析および免疫診断/酵素結合免疫測定法(ELISA)が含まれる。
【0029】
本明細書で記述されたような、および少なくとも2分間にわたり、生物発光の延長を与える例において記述されたようなアッセイ試薬の使用が、このような応用例に対して望ましい。タンパク質−タンパク質相互作用を、スピリットルシフェラーゼを用いてモニタし得る。レポーターとしてコエレンテラジン依存ルシフェラーゼを含む生存アッセイを、細菌、真菌またはウイルスを殺すこと、および環境ストレスに対する応答をモニタすることにおいて、異なる薬物の効果を測定するために使用可能である。
【0030】
ルシフェラーゼを使用して、標的DNA配列とのオリゴヌクレオチド相互作用を同定および定量し得る。対象のオリゴヌクレオチドをルシフェラーゼでタグ化し、次いで、チップまたはマイクロタイターディッシュ上の固定化標的DNAに対して暴露する。対象のオリゴ配列と相互作用可能なDNA配列を含むウェルは、ルシフェラーゼを用いて可視化可能である。本発明の実施形態において、Gaussiaルシフェラーゼを、任意の上述の応用例のために使用可能である。生物発光反応のためのアッセイ試薬または緩衝液の選択は、これが2から4分間まで維持される生物発光の初期バーストを最大化するために好ましいかどうか、またはルシフェラーゼ基質の添加後10から15分の時点で簡単に検出可能である安定化シグナルをもつために望ましいかどうかに依存する。したがって、1% EDTAの添加、0.2% 界面活性剤のようなより高い濃度の界面活性剤、またはたとえば4から6μMまでのより高い濃度のコエレンテラジンのような本明細書で記述した任意の条件の変更を、初期シグナルの安定性を増加させる、または大きさを増加させるために使用し得る。
【0031】
本アッセイのさらなる使用は、リアルタイムでのsiRNAを用いる遺伝子サイレンシングを決定するためのインビボ実験に関する。生物発光を繰り返し測定可能であり、細胞溶解を必要としないので、分泌されたGaussiaルシフェラーゼは、細胞内Renillaおよびホタルルシフェラーゼに対して有利な点を有する。
【0032】
以上および以下で引用したすべての参考文献、ならびに米国特許仮出願第60/659,152号が、参考によって本明細書に組み込まれる。
【実施例1】
【0033】
アッセイ試薬組成の最適化
Gaussiaルシフェラーゼは、カイアシ、Gaussia princepsよりクローン化された(Ballou et al,11th Symposium on Bioluminescence and Chemiluminescence,Asilomar,California(2000),Verhaegent et al.Analytical Chemistry 74:4378−85(2002),Tannous,et al.Mol Ther,11(3):435−43(005),Siouxsie Wiles,et al.Appl.Envir.Microbiol.71:3427−3432(2005),Svetlana J.Biol.Chem.279:3212−32170(2004))。Gaussiaルシフェラーゼ(GLuc,185aa,19.9kDa)は、公知の最も小さなルシフェラーゼであり、天然に分泌される。このルシフェラーゼは、600nmまで広がる広い放射スペクトルを有し、480nmのピークにて光を放射する(Tannous et al.Mol.Ther.11(3):435−43(2005))。
【0034】
Renillaルシフェラーゼは、Prolume/NanoLight Technologies,Pinetop,Arizonaより市販されている。組換え体細菌Gaussiaルシフェラーゼは、Prolume/NanoLight Technologies,Pinetop,Arizonaより得た。
【0035】
Gaussiaルシフェラーゼは、図16で示したベクターを用いた細胞のトランスフェクション後に、哺乳動物細胞より分泌された。
【0036】
実施例中で使用した試薬には、PBS(Amresco,Solon,Ohio),Ca/Mg/Kを有するPBS(Invitrogen,Carlsbad,California),NP40として明細書中で使用したIgepal CA−630(Sigma Aldrich,St.Louis,MO),標準Renillaアッセイ試薬(Promega,Madison、Wisconsin)、コエレンテラジンおよびベンジルコエレンテラジン(Prolume/NanoLight Technologies,Pinetop,Arizona),哺乳動物中のGaussiaルシフェラーゼのための発現ベクター(New England Biolabs,Inc.,Ipswich,MA),哺乳動物および細菌発現Gaussiaルシフェラーゼを希釈するために使用したDulbecco’s最小必須培地(DMEM)(Invitrogen,Carlsbad,California)が含まれる。生物発光の測定は、照度計(Turner TD2020照度計、Turner BioSystems,Sunnyvale,California)にて実施した。
標準Gaussiaアッセイ試薬の処方
以下のストック溶液を、種々のアッセイ緩衝液の調製にて使用した。10×PBSのストック溶液を、AMRESCO,Solon,Ohioより購入した。2% EDTAのストック溶液を、最終容量100mlまで水中に2gのEDTAを溶解することによって調製した。
【0037】
2%界面活性剤を含むストック溶液、すなわちNP40、Triton X−100、Tween80またはDOCの2% v/vストック溶液は、2mlの界面活性剤溶液を98mlの水に加えることによって調製した。2% SDSのストック溶液は、2gmsのSDSを水中に溶解し、最終客積100mlにすることによって調製した。0.2%界面活性剤を含むストック溶液は、水による2%ストック溶液の1:10希釈によって調製した。
【0038】
PBS、EDTAおよび界面活性剤を含むアッセイ緩衝液は、適切な量のストック溶液を水中に希釈し、PBS、EDTAまたは界面活性剤の所望の最終濃度を得ることにより調製した。
【0039】
コエレンテラジンまたはベンジルコエレンテラジンを、以下のように酸化脱水エタノール中に希釈した。3mgのコエレンテラジンを、1ml無水エタノールおよび25μl 2N HCLと混合した。エタノールを、4:1(すなわち酸性エタノール中1mlのコエレンテラジンに対して4mlのエタノール)の比で加え、コエレンテラジンまたはベンジルコエレンテラジンの100×濃縮ストック溶液を調製した。このコエレンテラジン溶液の一定量を、1から10μMの範囲の最終濃度を得るまでアッセイ緩衝液に加えた。50μlのアッセイ緩衝液を、20μlのルシフェラーゼを含む試料と混合し、生物発光を照度計を用いて測定した。
コエレンテラジン依存ルシフェラーゼによるシグナルの程度および/または維持の改善のための条件の同定
1.Gaussiaルシフェラーゼによるシグナルの程度に対する、カルシウム/マグネシウム、およびまたはEDTAの効果の決定
NanoLight Technologies,Pinetop,Arizonaから得た粉末化細菌Gaussiaルシフェラーゼの一定量を、DMEM中に溶解し、照度計より読み取りが得られるまで、対照アッセイ緩衝液中で希釈した。図1で示した結果は、0.5×PBS、0.5×PBS/Ca/Mg、0.5×PBS/1% EDTAおよび0.5×PBS/Ca/Mg/1% EDTAからなる3種のアッセイ緩衝液を利用しており、各緩衝液はさらに、1.3μMコエレンテラジンを含む。最良の結果が、コエレンテラジンに加えてPBSのみで得られ、カルシウム、マグネシウムまたはEDTAのいずれか、またはそれらの両方の存在下での場合よりもシグナルが約5倍大きかった。
【0040】
2.Gaussiaルシフェラーゼ活性およびRenillaルシフェラーゼ活性に対する、アッセイ試薬中の、0.02% v/vの濃度を有する異なる界面活性剤の効果の決定
本実施例において、20μlの哺乳動物Gaussiaルシフェラーゼ試料(細胞上清)を、2%および0.2%濃度で、8μlの指示された界面活性剤(アッセイ溶液中の界面活性剤の最終濃度が0.2%および0.02%であった)、および50μlのGaussiaルシフェラーゼアッセイ試薬(0.5×PBS、EDTAなし、1.3μMコエレンテラジン)と混合し、Turner TD2020 Luminometer,Turner BioSystems,Sunnyvale,Californiaで読んだ。試料を15分後に再び読み、異なる界面活性剤の存在下での、発光シグナルの安定性を評価した。異なる試薬を使用した結果を、図2、3および表6(Gaussiaルシフェラーゼに関して)およびRenillaルシフェラーゼに関して図6で示している。GaussiaおよびRenillaルシフェラーゼ両方に対して、最適な安定性が、NP40およびTriton X−100を用いて観察された。
【0041】
3.哺乳動物分泌Gaussiaルシフェラーゼ活性および組換え体細菌Gaussiaルシフェラーゼに対する、アッセイ試薬中の異なる濃度のコエレンテラジンの効果の決定(図4Aおよび4B)
精製した哺乳動物分泌Gaussiaルシフェラーゼを、0.5×PBS+1% EDTA、0.2% NP40、および1.3μM、4μM、6μM、12μM、および25μMの(図4A)の、または1.3μM、3.8μM、4μM、6μM、12μM、および25μMのコエレンテラジンのアッセイ試薬中で試験した。
【0042】
2つの異なる濃度のコエレンテラジン(1.3μMおよび4μM)の効果を、1% EDTAの存在下、または非存在下、および0.2%または0.02% NP40の使用をまたGaussiaおよびRenillaルシフェラーゼに関して試験した、アッセイ試薬中でさらに調査した(表3)。表4は、0、7、20および80分の時間間隔でのEDTAの非存在下で、異なる濃度のNP40およびコエレンテラジンの効果を示している。
【0043】
4.ベンジルコエレンテラジンでのコエレンテラジンの置換
Gaussianルシフェラーゼは、基質としてのベンジルコエレンテラジンの使用に対してほとんど応答しない(表3を参照のこと)。しかしながら、Renillaルシフェラーゼは、ベンジルコエレンテラジンにて有意に増強したシグナルを産出し、このシグナルは、基質としてコエレンテラジンを使用したものと比べて、比較的安定している(図9および表6)。
【0044】
5.アッセイ試薬中の種々の濃度のNaClの効果
0.5×PBSおよび1.3μMコエレンテラジンからなるアッセイ試薬中でのNaClの濃度の変化の効果は、約0.5M NaClをより高い濃度では、生物発光を低下させた。この効果は、0.025% NP40および1% EDTAがまた存在する場合には有意ではなかった(表1)。
【0045】
6.生物発光シグナルの程度および安定性に関するアッセイ試薬へのEDTAの添加の効果を、表2および図12から15にて示している。1% EDTAは、シグナルの初期の程度を低下させる効果を有するが、長期にわたると生物発光のより安定したプロファイルをもたらした。
【0046】
0から120秒および0から約1000秒にわたる、EDTAの存在下、または非存在下でのコエレンテラジンの量(4μMまたは1.3μM)で、ルシフェラーゼに直接加えたか、またはアッセイ試薬に加えたNP40の量の変化(0.02%または0.2%)の効果を、哺乳動物分泌Gaussiaルシフェラーゼに関して、図10から15および表7にて要約している。表7はまた、Renillaルシフェラーゼおよび細菌Gaussiaルシフェラーゼに関して、以上にしたがった条件の変更の効果を要約している。
【0047】
【表1】
【0048】
【表2】
【0049】
【表3】
【0050】
【表4】
【0051】
【表5】
【0052】
【表6】
【0053】
【表7】
【実施例2】
【0054】
デュアルレポーターシステム
1.RenillaおよびGaussiaルシフェラーゼを使用したデュアルレポーターシステムが本明細書で記述されている。
【0055】
本システムは、RenillaおよびGaussiaルシフェラーゼの活性に対する表6および図8および9で示した基質ベンジルコエレンテラジンの異なる効果によっている。この効果は、Gaussiaルシフェラーゼが哺乳動物細胞から分泌される一方で、Renillaルシフェラーゼは分泌されないので、さらに利用可能である(図15を参照のこと)。図17は、96.2%のGaussiaルシフェラーゼが上清培地中に分泌され、約3.8%のみが細胞に結合することを示している。したがって、多重遺伝子発現システムは、レポーターとしてGaussiaルシフェラーゼおよびRenillaルシフェラーゼ両方を用いて同時に測定可能である。したがって、これらのルシフェラーゼをコードするDNAは、共トランスフェクションによって、哺乳動物細胞の集団に導入可能である。細胞内Renillaルシフェラーゼの量は、基質としてベンジルコエレンテラジンを用いて決定可能であり、一方で、分泌Gaussiaルシフェラーゼ活性の量は、基質としてコエレンテラジンを用いて決定可能である。コエレンテラジンが、GaussiaおよびRenillaルシフェラーゼ両方に対する基質であるので、Gaussiaルシフェラーゼの定量を、ベンジルコエレンテラジンを用いて得られた値からコエレンテラジンを用いた生物発光を差し引くことによって決定可能である。
【0056】
アッセイ試薬(0.4×PBS、0.025% NP40、1.3μM コエレンテラジン)を使用して、8日間にわたる、トランスフェクトヒト胎児腎臓(HEK−293)細胞の細胞上清中のGaussiaルシフェラーゼ活性を評価した(図12を参照のこと)。時間経過実験の最後に、細胞の集団をまた、分泌されないRenillaルシフェラーゼを発現するプラスミドDNAでトランスフェクトした場合には、細胞を溶解し、0.5×PBS、0.2% NP−40、4uMベンジルコエレンテラジンを用いてアッセイ可能である。
【0057】
ホタルルシフェラーゼ/Renillaルシフェラーゼレポーターシステムに対する本明細書で記述したデュアルレポーターシステムの利点は、時間経過または薬物応答実験を、毎時点での細胞融解の必要なしに、(上清中のGaussiaルシフェラーゼ活性をアッセイすることによって)同一の群のトランスフェクト細胞の上で実施可能であることである。実験の最後に、細胞を溶解し、細胞溶解物をRenillaルシフェラーゼ活性に関してアッセイ可能である。
【0058】
2.ホタルおよびGaussiaルシフェラーゼに基づくデュアルルシフェラーゼアッセイ
95%のGaussiaルシフェラーゼが上清培養中に分泌され、約5%のみが細胞結合であった(図15)。対象の遺伝子の活性を、レポーターとして、Gaussiaルシフェラーゼを用いて研究可能である。トランスフェクション効率の正規化を、ホタルルシフェラーゼを発現する発現ベクターを用いた共トランスフェクションによって実施する。デュアルアッセイ試薬を、(基質としてホタルルシフェリンを用いる)細胞結合ホタルルシフェラーゼ活性と(基質としてコエレンテラジンを用いる)分泌Gaussiaルシフェラーゼ活性の、同時解析のために処方する(表7を参照のこと)。
【0059】
現在使用されるホタルルシフェラーゼ/Renillaルシフェラーゼレポーターシステムに対する今回提案されるデュアルルシフェラーゼアッセイシステムの利点は、時間経過または薬物応答実験を、毎時点での細胞融解の必要なしに、(上清中のGaussiaルシフェラーゼ活性をアッセイすることによって)同一の群のトランスフェクト細胞の上で実施可能であることである。実験の最後に、細胞を溶解し、細胞溶解物をホタルルシフェラーゼ活性に関してアッセイ可能である。
【0060】
3.たとえば、GaussiaルシフェラーゼとVargulaルシフェラーゼを用いる生細胞調製物中のデュアルレポートシステム(WO99/49019)
2つの異なるプロモーターからの遺伝子発現の同時解析のための生細胞デュアルアッセイが、2つの異なるプラスミドベクターで細胞をトランスフェクトすることによって開発されてきており、異なるプロモーターの制御下で1つのベクターはGaussiaルシフェラーゼを発現しており、第二のベクターは、Vargulaルシフェラーゼを発現している。Gaussiaルシフェラーゼを発現する構造物のプロモーター活性を、以上で記述したアッセイ緩衝液組成物を用いて研究し、細胞を溶解せずに異なる時間間隔にて細胞上清中のGaussiaルシフェラーゼ活性を測定可能である。
【0061】
(Vargulaルシフェラーゼを発現している)第二プロモーターのプロモーター活性を、コエレンテラジンの代わりに、Gaussiaルシフェラーゼのアッセイに関して記述された組成と同一であるが、シプリジナルシフェリン(Vargulaルシフェラーゼのための基質)を含むアッセイ緩衝液で、細胞上清をアッセイすることによって研究可能である。
【実施例3】
【0062】
ルシフェラーゼを発現する細胞の直接検出
HEK−293細胞を、標準の組織培養技術を用いて図18にしたがってGaussiaルシフェラーゼベクターでトランスフェクトした。細胞単層を形成した後、10または50μlの、0.5×PBS、0.025% NP40、0.02% NP40および1.3μMまたは4μMコエレンテラジンを含むアッセイ溶液を、96ウェルディッシュ中の、100μl DMEMおよび10%ウシ胎児血清および細胞に加えた。トランスフェクト細胞を実施例1と一致した緩衝液条件にしたがって増殖させ、裸眼で同定可能である。本アッセイは、任意のコエレンテラジン依存ルシフェラーゼトランスフェクト組織培養細胞に対して機能することが予想される。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】哺乳動物から分泌されたGaussiaルシフェラーゼの活性に対する異なる緩衝液組成の効果を示しており、リン酸緩衝食塩水(PBS)のみの場合が、カルシウム、マグネシウムまたは/およびEDTAをPBSに加えた場合よりも、有意に大きなシグナルを産出する。
【図2】哺乳動物細胞から分泌されたGaussiaルシフェラーゼの活性に対する、0.5×PBSおよび1.3μMコエレンテラジンを含むアッセイ緩衝液中の、0.02% v/v NP40、0.02% v/v Triton X−100、0.2% v/v DOC、0.2% v/v Tween80および0.02% w/v 硫酸ドデシルナトリウム(SDS)の効果を示している。各組における最初の4本の棒は、時間ゼロにおけるルシフェラーゼ活性を示しており、次の3本の棒は、15分後の同一チューブ内でのルシフェラーゼ活性を示している。
【図3】哺乳動物分泌Gaussiaルシフェラーゼ活性に対する、0.5×PBSおよび1.3μMコエレンテラジンを含むアッセイ緩衝液中の、0.2% v/vのNP40、Triton X−100、DOC、およびTween80の効果を示している。各組における最初の3本の棒は、時間ゼロにおけるGaussiaルシフェラーゼ活性を示しており、次の3本の棒は、15分後の同一チューブ内でのこのルシフェラーゼ活性を示している。
【図4A】ゼロ時点での、哺乳動物分泌Gaussiaルシフェラーゼ活性に対する、0.5×PBS、1% EDTAおよび0.025% NP40を含むアッセイ緩衝液中の、種々の濃度(1.3μM、4μM、6μM、12μMおよび25μM)のコエレンテラジンの効果を示している。この結果によって、4μMより高い濃度のコエレンテラジンにて、ルシフェラーゼ活性の有意な増加はないことが示されている。
【図4B】組換え体細菌ルシフェラーゼの安定性に対する種々の濃度(1.3μM、3.8μM、4μM、6μM、12μMおよび25μM)のコエレンテラジンの効果を示している。三つ組の試料に対する結果が、試験した各濃度のコエレンテラジンについて提供される。この結果によって、4μMより高い濃度のコエレンテラジンにおいてはルシフェラーゼ活性の有意な増加はないことが示されている。
【図5】哺乳動物分泌Gaussiaルシフェラーゼに対して、0から100秒の間にわたる、標準のPromega Renillaアッセイ試薬(Promega、Madison,Wisconsin)との、Gaussia安定化アッセイ試薬(0.4×PBS、1% EDTA、0.025% NP40)の比較を示している。
【図6】Renillaルシフェラーゼ活性に対する、0.02% v/v界面活性剤(SDSはw/vである)の安定化効果を示している。2つの時点での三つ組の試料に対する結果が、試験した各界面活性剤について提供される。時点は、T=0分およびT=7分である。試験した界面活性剤は、水を対照として、NP40、TritonX、DOC、Tween80およびSDSであった。すべての試料において、第二時点でのシグナルの有意な欠損が存在した。
【図7】Renillaルシフェラーゼ活性に対する0.2% v/v界面活性剤(SDSはw/vである)の安定化効果を示している。2つの時点での三つ組の試料に対する結果が、試験した各界面活性剤について提供される。時点は、T=0分およびT=18分である。試験した界面活性剤は、水を対照として、NP40、TritonX、DOC、Tween80およびSDSであり、NP40、Triton X−100およびTween80が、0.2%の濃度で安定化効果を示している。
【図8】精製組換え体細菌ルシフェラーゼ(右)または分泌哺乳動物ルシフェラーゼ(左)による生物発光の程度を測定するために、0.5×PBSおよび1% EDTA(w/v)ならびに0.025% NP40を含む緩衝液試薬中の、1.3μMコエレンテラジンと比較した、基質として1.3μM ベンジルコエレンテラジンを用いた結果を示している。結果は、ベンジルコエレンテラジンが、Gaussiaルシフェラーゼに対して貧弱な基質であることを示している。
【図9】Renillaルシフェラーゼによる生物発光の量および安定性を測定するために、0.5×PBS、0.025% NP40(v/v)および1% EDTA(w/v)も含む緩衝液試薬中の、1.3μMコエレンテラジンと比較した、基質として1.3μM ベンジルコエレンテラジンを用いた結果を示している。結果は、ベンジルコエレンテラジンが、Renillaルシフェラーゼに対して良好な基質であり、結果として、コエレンテラジンに対して観察されたものよりも有意に大きなシグナルとなったことを示している。
【図10】1.3μMコエレンテラジンを用いる分泌された哺乳動物Gaussiaルシフェラーゼ活性の活性に対するNP40の割合を変えることの効果を示している。180秒までは、界面活性剤の割合を減少させるほど発光シグナルの程度が増加した。しかしながら、生物発光シグナルの安定性プロファイルは、0.1% NP40の場合、220秒までは、界面活性剤の濃度が増加するほど改善される。
【図11】0.5×PBS、+/− 1% EDTA w/v、0.02%または0.2% v/v NP40および4μMコエレンテラジンからなるアッセイ緩衝液中の哺乳動物細胞からの分泌ルシフェラーゼを用いることの120秒間にわたるGaussiaルシフェラーゼによる生物発光に対する効果を示している。時間=ゼロでの最も大きなシグナルの程度の増強が、0.5×PBS、EDTAなし、0.02% NP40および4μMコエレンテラジンを用いて観察された。最も安定なシグナルが、0.2% NP40、0.5×PBS、EDTAなしおよび4μMコエレンテラジンの好ましい緩衝液中で観察された。
【図12】0.5×PBS、+/−1%EDTAおよび0.2% NP40からなるアッセイ緩衝液中の哺乳動物細胞からの分泌ルシフェラーゼを用いることの120秒間にわたるGaussiaルシフェラーゼによる生物発光に対する効果を示している。2つの試料(■、△)においては、界面活性剤は、4μMコエレンテラジンを加える前に、ルシフェラーゼに加えられ、1つの試料(◆)においては、界面活性剤は、4μMコエレンテラジンに直接加えられた。時間=ゼロでの、最も大きなシグナルの程度の増強が、0.5×PBS、EDTAなし、0.2% NP40および4μMコエレンテラジンを用いて観察された。最も安定なプロファイルは、4μMコエレンテラジン、0.5×PBSおよび1% EDTAの前に、0.2% NP40を加えることで達成された。
【図13】約1000秒にわたる生物発光に対する効果を示している。Gaussiaルシフェラーゼが哺乳動物細胞から分泌された。4μMコエレンテラジンおよび0.5×PBSを全体にわたって使用した。試料の違いは、1%EDTAおよび0.2% NP40のそれぞれを含むか、含まないかである。最も安定なプロファイルは、コエレンテラジン/PBS緩衝液の前に、0.5×PBS、1% EDTAおよび0.2% NP40をルシフェラーゼに加えた場合に発生した。
【図14】0.5×PBS、+/−1% EDTAおよび0.2% NP40からなるアッセイ緩衝液中の、哺乳動物細胞からの分泌ルシフェラーゼを用いることの、120秒間にわたる、Gaussiaルシフェラーゼによる生物発生に対する効果を示している。界面活性剤は、2つの試料(■、△)にて、1.3μMコエレンテラジンを加える前に、ルシフェラーゼに加えた。または、界面活性剤を、1.3μMコエレンテラジンに直接加えた(◆)。時間=ゼロにて、最も大きなシグナルの程度の増強が、0.5×PBS、EDTAなし、0.2% NP40および1.3μMコエレンテラジンを用いて観察された。最も安定なプロファイルは、1.3μMコエレンテラジン、0.5×PBSおよび1% EDTAの前に加えた0.2% NP40で達成された。
【図15】1000秒にわたる生物発光における効果を示している。Gaussiaルシフェラーゼが、哺乳動物細胞より分泌された。1.3μMコエレンテラジンおよび0.5×PBSを全体にわたって用いた。試料の違いは、1%EDTAおよび0.2% NP40のそれぞれを含むか、または含まないかである。コエレンテラジン/PBS緩衝液の前にルシフェラーゼに加えた0.5×PBS、1%EDTA、1.3μMコエレンテラジンおよび0.2% NP40を用いる発光の半減期は、18分間より長く、これにより、ハイスループットスクリーニングのために特に有用となる。
【図16】8日間にわたるトランスフェクト哺乳動物細胞(HEK−293細胞)の培養培地中の分泌されたルシフェラーゼの増加を示している。HEK−293細胞を、Gaussiaルシフェラーゼまたは分泌遺伝子を発現している発現ベクターでトランスフェクトした。示した時間間隔、T=24、48、72および92時間にて、20μlの細胞上清分液を、それぞれ50μlのアッセイ緩衝液組成物(0.4×PBS、1% EDTA、0.025% NP40、1.3μMコエレンテラジン)と混合することによってルシフェラーゼ活性を測定した。データは、四組の測定の平均を表している。
【図17】Gaussiaルシフェラーゼを用いる哺乳動物培養液の上清におけるルシフェラーゼ活性を比較しているヒストグラムを示す。データは、三組の測定の平均によって示されており、トランスフェクション後16時間での、細胞溶解物または上清中の総ルシフェラーゼ活性を示している。これにより総活性のわずか3.8%が細胞由来であることがわかる。
【図18】Gaussiaルシフェラーゼで哺乳動物細胞を形質移入(トランスフェクト)するために使用されるベクターを示している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コエレンテラジン、生理食塩水中での濃度より低い濃度の塩化ナトリウム、および界面活性剤を含むルシフェラーゼアッセイ緩衝液であって、照度計によって、ガウシアルシフェラーゼ(Gaussiaルシフェラーゼ)に関して少なくとも30秒より長く、およびレニラルシフェラーゼ(Renillaルシフェラーゼ)に関して1分より長い間、コエレンテラジン依存ルシフェラーゼによる生物発光を測定するために好適である試薬としてのルシフェラーゼアッセイ緩衝液。
【請求項2】
プルリマンマルシフェラーゼ(Plurimammaルシフェラーゼ)およびメトリディアルシフェラーゼ(Metridiaルシフェラーゼ)による生物発光を少なくとも30秒間測定するために好適である、請求項1に記載のルシフェラーゼアッセイ緩衝液。
【請求項3】
塩化ナトリウムが0.01から0.15Mの範囲の濃度である、請求項1に記載のルシフェラーゼアッセイ緩衝液。
【請求項4】
実質的にカルシウムまたはマグネシウムイオンを含まない、請求項3に記載のルシフェラーゼアッセイ緩衝液。
【請求項5】
場合により3%以下の濃度のEDTAを含む、請求項1に記載のルシフェラーゼアッセイ緩衝液。
【請求項6】
0.01%から0.5%の範囲の濃度の非イオン性界面活性剤をさらに含む、請求項1に記載のルシフェラーゼアッセイ緩衝液。
【請求項7】
界面活性剤が、Igepal CA−630(NP40)、Triton X−100、Tween80およびデオキシコレート(DOC)からなる群より選択される、請求項6に記載のルシフェラーゼアッセイ緩衝液。
【請求項8】
コエレンテラジンが、5μM以下の濃度で緩衝液中に存在する、請求項1に記載のルシフェラーゼアッセイ緩衝液。
【請求項9】
ルシフェラーゼが、ガウシア(Gaussia)、レニラ(Renilla)、プレウロマンマ(Pleuromamma)およびメトリディア(Metridia)ルシフェラーゼからなる群から選択される、請求項1に記載のルシフェラーゼアッセイ緩衝液。
【請求項10】
ルシフェラーゼがガウシアルシフェラーゼ(Gaussiaルシフェラーゼ)である、請求項1に記載のルシフェラーゼアッセイ緩衝液。
【請求項11】
塩濃度が約0.10から0.15Mの範囲であり、コエレンテラジンが約5μM未満の濃度であり、約0.01%から0.5%の範囲の濃度の非イオン性界面活性剤をさらに含む、請求項1または4に記載のルシフェラーゼアッセイ緩衝液。
【請求項12】
コエレンテラジン濃度が1μMから5μMであり、非イオン性界面活性剤が少なくとも0.05%の濃度であり、EDTAをさらに含み、2分より長い間、ガウシアルシフェラーゼ(Gaussiaルシフェラーゼ)による生物発光放射を安定化することが可能である、請求項1に記載のルシフェラーゼアッセイ緩衝液。
【請求項13】
非イオン性界面活性剤が0.1%未満の濃度であり、EDTAの非存在下で、少なくとも30秒間ガウシアルシフェラーゼ(Gaussiaルシフェラーゼ)による生物発光の量を増強することが可能である、請求項1に記載のルシフェラーゼアッセイ緩衝液。
【請求項14】
請求項1または11に記載のルシフェラーゼアッセイ緩衝液、および取扱説明書を含むキット。
【請求項15】
請求項1に記載のアッセイ緩衝液を選択すること、およびアッセイ緩衝液をルシフェラーゼに加えること、を含む、コエレンテラジン依存ルシフェラーゼによる生物発光を測定するための方法。
【請求項16】
界面活性剤の濃度が0.001%から0.5%であり、アッセイ緩衝液が3%以下の濃度のEDTAを場合により含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記コエレンテラジンが約5μM未満の濃度である、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
請求項13に記載のアッセイ緩衝液を選択すること、および前記アッセイ緩衝液をルシフェラーゼに加えることを含む、コエレンテラジン依存ルシフェラーゼ反応による生物発生を増強する方法。
【請求項19】
請求項12のアッセイ緩衝液をコエレンテラジン依存ルシフェラーゼの調製物に加えることを含む、コエレンテラジン依存ルシフェラーゼ反応による生物発光シグナルを安定化する方法。
【請求項20】
コエレンテラジンの濃度が約5μM未満である、請求項18または19に記載の方法。
【請求項21】
(a)ベンジルコエレンテラジンを含む第一アッセイ緩衝液、およびコエレンテラジンを含む第二緩衝液を調製すること、
(b)前記ベンジルコエレンテラジンを細胞調製物に加えて、第一ルシフェラーゼによる生物発光の量を測定すること、
(c)前記コエレンテラジンを加えて、第一および第二ルシフェラーゼによる生物発光の量を測定すること、および
(d)段階(b)と段階(c)とにおける生物発光の差を計算して、ガウシアルシフェラーゼ(Gaussiaルシフェラーゼ)生物発光の量を決定すること、
を含む、単一の調製物中で第一および第二ルシフェラーゼを検出する方法。
【請求項22】
第一ルシフェラーゼが、レニラルシフェラーゼ(Renillaルシフェラーゼ)であり、第二ルシフェラーゼがガウシアルシフェラーゼ(Gaussiaルシフェラーゼ)である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
請求項1に記載のアッセイ緩衝液を培養培地中の細胞に加えること、およびマイクロプレート照度計または顕微鏡によって生物発光を検出することを含む、ガウシアルシフェラーゼ(Gaussiaルシフェラーゼ)をコードする遺伝子で形質転換された細胞を直接検出する方法。
【請求項24】
ガウシアルシフェラーゼ遺伝子(Gaussiaルシフェラーゼ遺伝子)が、標的タンパク質を発現する遺伝子と融合され、前記融合遺伝子が、遺伝子サイレンシングのためにsiRNAを発現する遺伝子とともに同時形質転換される、請求項23に記載の方法。
【請求項1】
コエレンテラジン、生理食塩水中での濃度より低い濃度の塩化ナトリウム、および界面活性剤を含むルシフェラーゼアッセイ緩衝液であって、照度計によって、ガウシアルシフェラーゼ(Gaussiaルシフェラーゼ)に関して少なくとも30秒より長く、およびレニラルシフェラーゼ(Renillaルシフェラーゼ)に関して1分より長い間、コエレンテラジン依存ルシフェラーゼによる生物発光を測定するために好適である試薬としてのルシフェラーゼアッセイ緩衝液。
【請求項2】
プルリマンマルシフェラーゼ(Plurimammaルシフェラーゼ)およびメトリディアルシフェラーゼ(Metridiaルシフェラーゼ)による生物発光を少なくとも30秒間測定するために好適である、請求項1に記載のルシフェラーゼアッセイ緩衝液。
【請求項3】
塩化ナトリウムが0.01から0.15Mの範囲の濃度である、請求項1に記載のルシフェラーゼアッセイ緩衝液。
【請求項4】
実質的にカルシウムまたはマグネシウムイオンを含まない、請求項3に記載のルシフェラーゼアッセイ緩衝液。
【請求項5】
場合により3%以下の濃度のEDTAを含む、請求項1に記載のルシフェラーゼアッセイ緩衝液。
【請求項6】
0.01%から0.5%の範囲の濃度の非イオン性界面活性剤をさらに含む、請求項1に記載のルシフェラーゼアッセイ緩衝液。
【請求項7】
界面活性剤が、Igepal CA−630(NP40)、Triton X−100、Tween80およびデオキシコレート(DOC)からなる群より選択される、請求項6に記載のルシフェラーゼアッセイ緩衝液。
【請求項8】
コエレンテラジンが、5μM以下の濃度で緩衝液中に存在する、請求項1に記載のルシフェラーゼアッセイ緩衝液。
【請求項9】
ルシフェラーゼが、ガウシア(Gaussia)、レニラ(Renilla)、プレウロマンマ(Pleuromamma)およびメトリディア(Metridia)ルシフェラーゼからなる群から選択される、請求項1に記載のルシフェラーゼアッセイ緩衝液。
【請求項10】
ルシフェラーゼがガウシアルシフェラーゼ(Gaussiaルシフェラーゼ)である、請求項1に記載のルシフェラーゼアッセイ緩衝液。
【請求項11】
塩濃度が約0.10から0.15Mの範囲であり、コエレンテラジンが約5μM未満の濃度であり、約0.01%から0.5%の範囲の濃度の非イオン性界面活性剤をさらに含む、請求項1または4に記載のルシフェラーゼアッセイ緩衝液。
【請求項12】
コエレンテラジン濃度が1μMから5μMであり、非イオン性界面活性剤が少なくとも0.05%の濃度であり、EDTAをさらに含み、2分より長い間、ガウシアルシフェラーゼ(Gaussiaルシフェラーゼ)による生物発光放射を安定化することが可能である、請求項1に記載のルシフェラーゼアッセイ緩衝液。
【請求項13】
非イオン性界面活性剤が0.1%未満の濃度であり、EDTAの非存在下で、少なくとも30秒間ガウシアルシフェラーゼ(Gaussiaルシフェラーゼ)による生物発光の量を増強することが可能である、請求項1に記載のルシフェラーゼアッセイ緩衝液。
【請求項14】
請求項1または11に記載のルシフェラーゼアッセイ緩衝液、および取扱説明書を含むキット。
【請求項15】
請求項1に記載のアッセイ緩衝液を選択すること、およびアッセイ緩衝液をルシフェラーゼに加えること、を含む、コエレンテラジン依存ルシフェラーゼによる生物発光を測定するための方法。
【請求項16】
界面活性剤の濃度が0.001%から0.5%であり、アッセイ緩衝液が3%以下の濃度のEDTAを場合により含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記コエレンテラジンが約5μM未満の濃度である、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
請求項13に記載のアッセイ緩衝液を選択すること、および前記アッセイ緩衝液をルシフェラーゼに加えることを含む、コエレンテラジン依存ルシフェラーゼ反応による生物発生を増強する方法。
【請求項19】
請求項12のアッセイ緩衝液をコエレンテラジン依存ルシフェラーゼの調製物に加えることを含む、コエレンテラジン依存ルシフェラーゼ反応による生物発光シグナルを安定化する方法。
【請求項20】
コエレンテラジンの濃度が約5μM未満である、請求項18または19に記載の方法。
【請求項21】
(a)ベンジルコエレンテラジンを含む第一アッセイ緩衝液、およびコエレンテラジンを含む第二緩衝液を調製すること、
(b)前記ベンジルコエレンテラジンを細胞調製物に加えて、第一ルシフェラーゼによる生物発光の量を測定すること、
(c)前記コエレンテラジンを加えて、第一および第二ルシフェラーゼによる生物発光の量を測定すること、および
(d)段階(b)と段階(c)とにおける生物発光の差を計算して、ガウシアルシフェラーゼ(Gaussiaルシフェラーゼ)生物発光の量を決定すること、
を含む、単一の調製物中で第一および第二ルシフェラーゼを検出する方法。
【請求項22】
第一ルシフェラーゼが、レニラルシフェラーゼ(Renillaルシフェラーゼ)であり、第二ルシフェラーゼがガウシアルシフェラーゼ(Gaussiaルシフェラーゼ)である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
請求項1に記載のアッセイ緩衝液を培養培地中の細胞に加えること、およびマイクロプレート照度計または顕微鏡によって生物発光を検出することを含む、ガウシアルシフェラーゼ(Gaussiaルシフェラーゼ)をコードする遺伝子で形質転換された細胞を直接検出する方法。
【請求項24】
ガウシアルシフェラーゼ遺伝子(Gaussiaルシフェラーゼ遺伝子)が、標的タンパク質を発現する遺伝子と融合され、前記融合遺伝子が、遺伝子サイレンシングのためにsiRNAを発現する遺伝子とともに同時形質転換される、請求項23に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公表番号】特表2008−532517(P2008−532517A)
【公表日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−500850(P2008−500850)
【出願日】平成18年3月7日(2006.3.7)
【国際出願番号】PCT/US2006/008141
【国際公開番号】WO2006/096735
【国際公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【出願人】(507300618)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年3月7日(2006.3.7)
【国際出願番号】PCT/US2006/008141
【国際公開番号】WO2006/096735
【国際公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【出願人】(507300618)
【Fターム(参考)】
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