説明

発光デバイスおよびその製造方法

【課題】PL強度が大きいSROを備え、発光効率のよい発光デバイスを提供する。
【解決手段】発光デバイス100は、屈折率が1.5〜2.1の範囲内にあるSRO膜1を備える。このような屈折率を有するSRO膜1はPL強度が大きく、発光デバイス1は、小型の表示装置等に好適に利用することができる。また、SRO膜1は、空隙率が、5%〜20%の範囲内にあることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には、集積回路(IC)の製造に関する。より具体的には、本発明は、フォトルミネセンス(PL)を最適化するための、屈折率が約1.72であるSRO(Silicon Rich Oxide)膜を有するエレクトロルミネセンス(EL)デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体材料が形成するものが直接遷移型゛ンドギャップであるか、または間接遷移型゛ンドギャップであるかに関わらず、半導体デバイスからの光の生成は可能である。高電界の逆バイアス(high field reverse biased)pn接合は、光子の放出を再結合する、大きなホットキャリア集団(hot carrier population)を生成する。シリコンデバイスでは、光生成効率が乏しいことが知られており、光子エネルギーは、多くの場合、約2eVである。電気エネルギーから光学光子エネルギーへの変換は、エレクトロルミネセンス(EL)と称される。室温で小さな電気信号を操作し得る、効率的なELデバイスが製造されている。しかしながら、これらのデバイスは、一般的にシリコンと互換性がない物質から作られている。これらの物質は、例えば、InGaN、AlGaAs、GaAsP、GaN、ならびにGaPなどのIII−V型物質である。これらの基板の1つに構築されたELデバイスは、使用される特定の物質に依っては、可視領域内の狭い帯域幅に効果的に発光させることができる。さらに、ZnSeなどのII−VI型物質も使用されている。ZnSおよびZnOなどの他のII−VI型物質は、acバイアス条件下でエレクトロルミネセンスを示すことが知られている。これらのデバイスは、特殊な(非従来型の)CMOS処理がなされる場合、発光デバイスに使用するため、シリコン上に堆積させることができる。他の種類の発光デバイスとしては、有機発光ダイオード(OLEDs)、ナノ結晶性シリコン(nc−Si)、およびポリマーLEDsがある。
【0003】
シリコンは、従来、そのエネルギーバンドギャップが間接遷移型のため、オプトエレクトロニクスへの適用には不適切であると考えられている。バルクシリコンは、非常に非効率的な発光体である。この問題を克服するために生み出された種々の方法の中で、Siナノ構造への量子閉じ込め、および結晶シリコンの希土類ドーピングが多くの注目を集めている。特に、SiOに埋め込まれたSiナノクラスター(nc、Siナノ粒子)は、可視的なSiベースの光源を生成するための有望な新材料として、近年、科学界の関心を集めている。あるいは、Erでドーピングした結晶Siは、4f内殻におけるErの放射遷移を活用するために幅広く研究されている。室温で動作し、効率が0.05%であるデバイスが得られている。このデバイスの発光効率は非常に低く、また処理温度は非常に高く、一般的に1100℃を超える。
【0004】
多孔質のシリコンから発せられる可視的ルミネセンスを生成する、これらの先駆者達な努力は、ナノサイズのSiを用いてSiベースの光源を開発する極めて多くの研究に弾みをつけている。ナノクラスターSi(nc−Si)を生成するために幅広く用いられている方法は、SiOx(x<2)からnc−Siを沈殿させ、化学気相成長(CVD)、高周波(RF)スパッタリング、またはSi埋め込みを用いて膜を生成する方法である。この膜は、多くの場合、SRSO(Silicon-Rich Silicon Oxide)またはSRO(Silicon-Rich Oxide)と称される。CVDまたはRFスパッタリング処理を、高温アニーリングと共に用いることによって、SRSOのフォトルミネセンス(PL)ピークは、一般的に、590〜750nmの範囲内の波長において得られる。しかし、これらのSRSO材料は量子効率が低く、また安定性に問題がある。このため、時間経過と共にPL強度が低下し、またELデバイスへの適用が制限される。
【0005】
Erを埋め込んで、Erでドーピングしたナノ結晶Si(Siナノ粒子)を生成する方法はまた、Siベースの光源に用いられる。しかしながら、最先端技術である埋め込み処理をもってしても、ドーパントを均一に分配することができない。このため発光効率が低下し、費用が高くなる。同時に、このようなドーパントの使用を支えるための十分な界面工学は存在しない。結晶サイズを制御するためにSi/SiO超格子構造を用いると、処理が遅くなり、また堆積処理温度が高くなる。このため、Si粒子の粒径と、Siナノ結晶/SiO界面の質との両方を同時に制御することができない。デバイス効率が非常に低く、このためデバイスの適用が制限される。デバイス効率を改善するために、ナノ結晶SiとSiOとの間に、広域な界面区域を設けなければならない。
【0006】
フォトニックデバイス(発光および光検出)が必要とされる装置においては、簡素かつ効率的で、シリコンと互換性があり、直流電圧で作動する発光デバイスが望ましい。効率的なシリコン基板ELデバイスは、従来の金属化処理に比べて、より早く、より信頼性の高い信号結合手段を可能にする。さらに、大型のシステム・オン・チップ型デバイス上のチップ内接続においては、光学的手段によって信号をルーティングすることが望ましい。チップ内通信においては、伝道管、または別個のシリコン片間の光結合が、チップ同士の電気的な接触なしに、パッケージングを可能にする。小型ディスプレイ装置において、可視光の小さな点源を生成する方法は、簡素かつ安価なディスプレイ装置の形成を可能にする。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように、従来の発光デバイスは、発光効率、処理温度、耐久性等の面で、問題があった。そのため、高強度のPLを放つ、SiベースのELデバイスが求められてきた。本発明は、上記従来の問題に鑑みたものであり、その目的は、発光強度の大きい発光体を備えることによって発光効率の良い発光デバイス、およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するために、シリコンナノ粒子(SNP)の粒径を制御するための処理を開発した。このシリコンナノ粒子(SNP)は、本明細書においては、ナノ粒子(si)SiまたはSiナノ粒子と称されている。これらの処理はまた、SiO/SNP界面の質を改善する。本発明では、シリコンの含有率が特定範囲内にあるSRO膜をアニーリングすることによって、シリコン拡散プロセスが向上し、またSNPの成長が促進される。シリコンの含有率の特定範囲は、屈折率の特定範囲と対応している。熱酸化処理をすることによって、SNPsが酸化され、またSiOとSNPとの良質な界面が形成される。この界面によって非発光再結合が減少し、またPL強度が大幅に上昇する。
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の発光デバイスは、Si酸化物と、該Si酸化物中に存在するSiナノ粒子とを有するSRO膜を備える発光デバイスであって、上記SRO膜の屈折率が、1.5〜2.1の範囲内にあることを特徴とする。
【0010】
SRO膜が上記範囲内の屈折率を有することによって、本発明の発光デバイスは、大きなPL強度を得ることができる。それゆえ、本発明の発行デバイスは、発光効率がよく、小型の表示装置にも好適に用いることができる。
【0011】
また、上記発光デバイスは、SRO膜の空隙率が、5%〜20%の範囲内にあることが好ましい。空隙率がこの範囲であると、欠陥が少なく、耐久性の高い発光デバイスが作成できる。
【0012】
また、本発明は、精確なサイズのSiナノ粒子を高密度に有し、かつ良質なSi/SiO界面を有するSRO薄膜を生成する工程を含む光デバイスの製造方法を提供するものである。
【0013】
本発明の製造方法は、Si酸化物と、該Si酸化物中に存在するSiナノ粒子とを有するSRO膜を備える発光デバイスの製造方法であって、屈折率が1.5〜2.1の範囲内にあるSRO膜を形成するSRO膜形成工程と、上記SRO膜に対して酸素を含む雰囲気中でのポストアニーリングを行うアニーリング工程とを含むことを特徴とする。
【0014】
上記構成によると、PL強度の高いSRO膜を備え、発光効率のよい発光デバイスを製造することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の発光デバイスは、SRO膜の屈折率が、1.5〜2.1の範囲内にあるという構成を備える。
【0016】
上記構成によると、上記発光デバイスは、PL強度が高いSRO膜を備えるので、発光効率が良いという効果を奏する。
【0017】
本発明の発光デバイスの製造方法は、屈折率が1.5〜2.1の範囲内にあるSRO膜を形成するSRO膜形成工程と、上記SRO膜に対して酸素を含む雰囲気中でのポストアニーリングを行うアニーリング工程とを含むことを特徴とする。
【0018】
上記構成によると、本発明の製造方法は、精確なサイズのSiナノ粒子を高密度に有し、かつ良質なSi/SiO界面を有するSRO薄膜を有する発光デバイスを製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
<A.SRO膜>
本発明の発光体は、シリコン酸化物と当該シリコン酸化物中に存在するシリコンナノ粒子とを含むSRO膜を備える。以下に、本発明の実施の一形態である発光体について、図2に基づいて説明する。
【0020】
図2は本実施形態の発光体の断面図である。図2に示すように、本実施の形態の発光体1は、シリコン酸化物104と、シリコン酸化物104中に存在するシリコンナノ粒子200とを備えるSRO膜1からなる。
【0021】
SRO膜1は、屈折率が1.5〜2.1の範囲内にあり、空隙率が5%〜20%の範囲内にある。なお、空隙率とは、物質の非固形量と全体量との比率であり、空隙率φ=(Vp/Vm)で表される。ここで、Vpは物質の非固形量(孔)であり、Vmは物質の固形および非固形部分を含んだ全体量である。空隙率は、一般的には百分率で示す。
【0022】
シリコンナノ粒子200は、その径が1〜2nmの微粒子である。シリコンナノ粒子200の周囲には、二酸化ケイ素(SiO)層202が形成されている。Siナノ粒子200周囲のSiO層202の厚さ204は、1〜5nmの範囲内であることが、高い発光強度を得ることができるため好ましい。
【0023】
なお、SiO層は、SRO膜1に含まれる全てのSiナノ粒子200の周囲に形成されている必要はないが、できるだけ多くのSiナノ粒子200の周囲に形成されていることが好ましい。また、ここでいうところの「Siナノ粒子200の周囲に形成されている」とは、Siナノ粒子200を完全に覆うように形成されていることが好ましいが、それに限らず、一つのSiナノ粒子200の少なくとも一部分覆われていればよい。
【0024】
<B.発光デバイス100>
本発明の実施の一形態である発光デバイスについて、図1を参照して説明する。
【0025】
図1は、本実施形態のELデバイス100の要部構成を示す断面図である。図1に示すのは最も簡素な形態であり、ELデバイス100は、基板102、基板102を覆うように設けられたSRO膜104、SRO膜104を覆うように設けられた上部電極(TE)106、基板102とSRO膜104との間に挟まれるように設けられた第一絶縁層110、SRO膜104と上部電極106に挟まれるように設けられた第二絶縁層112とを備える。
【0026】
基板102は、例えばSi、N型Si、P型Si、Siガラス、ガリウムヒ素(GaAs)、炭化ケイ素(SiC)、窒化ガリウム(GaN)、またはAl(サファイア)などの材料、または、例えばガラス、プラスチック、もしくは石英などの温度感受性材料で形成されていてもよい。基板102は、透明であることが好ましい。
【0027】
上部電極106は、例えばインジウムスズ酸化物(ITO)、ZnO、またはこれ以外の導電性酸化物などの透明材料、もしくは、金などの金属から生成された薄膜であってよい。また、上部電極106は、例えば多結晶Si、Au、Cr、Pt、Ir、Al、AlCu、Ag、YBCO、RuO、またはLa1−xSrCoOなどの不透明材料で形成されていてもよい。上部電極106が不透明である場合は、光は、上記SRO層104近傍の酸化物層114を通過して、水平方向(基板102の面方向)へ発せられる。
【0028】
酸化物層114は、従来の発光デバイスに用いられてきた酸化物材料を好適に利用して形成される。
【0029】
第一絶縁層110および第二絶縁層112は、例えばSiO、HfO、ZrO、Ai、La、Si、TiO、Ta、またはNbなどの物質からなってもよい。なお、第一絶縁層110は、第二絶縁層112と同じ物質からなってもよいし、異なる物質からなってもよい。
【0030】
<D.発光デバイス101>
次に、発光デバイスの他の形態について図3に基づいて説明する。
【0031】
図3は、本実施形態のELデバイス101の要部構成を示す断面図である。図3に示すように、ELデバイス101は、下部電極300が基板102と第一絶縁層110との間に挟まれるように設けられている以外、ELデバイス100(図1)と同一の構成である。なお、図1を参照して既に説明した部材については、同部材を付すと共に説明を省略する。
【0032】
下部電極300は、例えば多結晶Si、ITO、Au、Al、ZnO、Cr、Pt、Ir、AlCu、Ag、YBCO、RuO、またはLa1−xSrCoOなどの物質であってよい。下部電極300および基板102は、両者とも透明であってもよい。また、上部電極106は透明であってもよい。
【0033】
なお、図示しないが、ELデバイスは、さらに別の形態においては第一絶縁層110および第二絶縁層112を使用しない。
【0034】
<E.製造方法>
(E−1)SRO膜形成工程
SRO膜形成工程は、屈折率が1.5〜2.1の範囲内にあり、かつ空隙率が5%〜20%の範囲内にあるSRO膜を形成する工程であればよい。すなわち、これ以外の構成、つまり、SRO膜を形成する具体的な手技、装置、材料等の諸条件は特に限定されるものではなく、膜形成に従来用いられてきた方法を、適宜利用することができる。
【0035】
なお、本工程においてSRO膜を形成する方法としては、SiHを用いたPECVD(プラズマ気相成長法Plasma Enhanced Chemical Vapor deposition)またはDCスパッタリングが好ましい。また、PECVDの中でも低温PECVDが特に好ましい。
【0036】
(E−1−1)PECVD工程
まず、PECVDによってSRO膜を形成する場合について説明する。PECVDによってシリコン酸化膜を形成する工程を、PECVD工程と称する。
【0037】
PECVD工程において、PECVDを行う反応空間にSiHを導入する流速、電力、および温度は、特に限定されるものではない。
【0038】
但し、PECVD工程においては、SiHを用い、PECVD工程におけるSiH流速および温度が、SRO膜の屈折率が1.5〜2.1の範囲内となるように設定されることが好ましい。SiH流速および温度を調節することによって、SRO膜の屈折率を調節することが可能である。
【0039】
さらに、PECVD工程における温度は、SRO膜の空隙率が5〜20%の範囲内となるように設定されることが好ましい。SRO膜の空隙率が5〜20%の範囲内であると、SRO膜の強度および耐久性が優れたものとなる。
【0040】
SiHを用いたPECVDによってSRO膜を形成するPECVD工程において、より具体的な条件は、SiHの流速が5〜30sccmの範囲内であり、NOの流速が10〜50sccmの範囲内であり、プラズマ電力が50〜700Wの範囲内であり、圧力が20〜100mTorrの範囲内であり、温度が20〜300℃の範囲内であり、堆積時間が3〜120分の範囲内であり、Hの流速が20〜200sccmの範囲内であり、500〜30,000Åの範囲内の厚さのSRO膜を形成するというものである。
【0041】
(E−1−2)DCスパッタリング工程
次に、DCスパッタリングによってSRO膜を形成する場合について説明する。DCスパッタリングによってシリコン酸化膜を形成する工程を、DCスパッタリング工程と称する。
【0042】
DCスパッタリングにおける諸条件、例えばスパッタリング電力、酸素分圧、および温度は、特に限定されるものではない。
【0043】
但し、好ましい条件としては、ターゲットをSi、電力を100W〜300Wの範囲内、堆積温度を20℃〜300℃、堆積圧力を2mTorr〜10mTorrの範囲内とし、酸素2%〜30%の雰囲気下で、ArおよびNを含むグループから選択されるガスを用いるものが挙げられる。
【0044】
(E−2)アニーリング工程(第一アニーリング工程、ポストアニーリング工程)
アニーリング工程は、上記(E−1)欄の工程によって得られた薄膜に対して酸素を含む雰囲気中でのアニーリングを行う工程である。アニーリングの温度等の諸条件は、特に限定されるものではない。
【0045】
但し、900℃〜1300℃のアニーリング温度において、酸素雰囲気中で、酸素分圧1%〜10%で、O、NO、またはO+HOなどの強力な酸化剤を用いて、そしてHe、N、Ne、またはArなどの分子が小さいキャリアガスを用いてポストアニーリングすることが好ましい。また、このとき、10分〜60分の範囲内の時間でアニーリングを行うことが好ましい。温度および酸素分圧は、Si含有率およびSRO薄膜の多孔性に影響を及ぼす。
【0046】
(E−3)HF/BOE処理工程
本工程は、上記(E−2)欄のアニーリング工程後のSRO膜を、HF(フッ化水素酸)/BOE(HF buffered oxide etch)溶液に晒す工程である。言い換えると本工程はHF浸漬エッチングによって、無機酸化物をエッチングする工程である。
【0047】
好ましくは、本工程は、BOE:HFの比率が10:1〜50:1の範囲内にあるHF/BOE溶液にSRO膜を晒す工程である。
【0048】
(E−4)酸化工程
本工程は、SRO膜を酸化することによって、SRO膜に含まれるSiナノ粒子の周囲にSiO膜を形成する工程である。酸化の方法は特に限定されない。
【0049】
好ましくは、酸化工程は、酸素雰囲気中でアニーリングを行う工程を含む。すなわち、上記(E−3)欄のHF/BOE工程後のSRO膜を酸素雰囲気中でアニーリングすることによって再酸化する。
【0050】
また、酸化工程では、厚さが1〜5nmの範囲内にあるSiO層を形成することが好ましい。また、酸化工程は、SRO膜の屈折率を、酸化工程前の屈折率よりも低下させる工程と、上記SRO膜中のSiナノ粒子を酸化する工程と、上記SRO膜の密度を、酸化工程前の密度よりも高める工程とを含むことが好ましい。
【0051】
こ一般的に、酸素雰囲気中でSRO膜をポストアニーリングすることによって、SRO膜の屈折率、SRO膜中のSiナノ結晶の酸化、およびSRO膜の密度が低下する。
【0052】
(E−5)第二アニーリング工程
本発明において、発光デバイスの製造方法は、SRO膜形成工程とアニーリング工程との間に、SRO膜を無酸素雰囲気中において熱アニーリングする第二アニーリング工程をさらに含んでもよい。つまり、酸素雰囲気中でSRO膜をポストアニーリングする前に、無酸素雰囲気中でSRO膜を熱アニーリングする第二アニーリング工程を含んでいてもよい。一般的に、無酸素雰囲気中でSRO膜を熱アニーリングすることによって、このSRO膜の屈折率が増加し、SRO膜中にSiナノ結晶が形成され、またSRO膜の密度が増加する。
【0053】
精確なサイズのSiナノ粒子を高密度に有するSRO薄膜は、Siサイズの制御によって得られるが、PECVDおよびスパッタリング処理によって生成可能である。最良質のSiナノ結晶/SiO界面は、熱酸化から得られる。高温によってシリコンの拡散処理が向上し、またSiナノ結晶の成長が助長され、Siナノ結晶を有する高密度の膜が生成される。同時に、熱酸化によってナノSi粒子の粒径が均衡になり、一方でSiO/Siナノ結晶の界面の質が改善される。強力な酸化剤、小分子のキャリアガス、そして堆積SRO薄膜の孔が小さいことによって、膜一面のナノSi粒子が均一に酸化されるよう促進される。これらの処理を用いることによって高輝度SRO膜が得られる。
【0054】
以下、図面を参照して、本発明の製造方法の実施の形態について、説明する。
【0055】
図14は、高輝度SiEL蛍光体を形成する方法を示すフローチャートである。この方法は、明瞭にするために、番号を付した工程を並べた形で表示されているが、これらの工程は必ずしもこの番号順に行わなくてもよい。これら工程の一部は省略してもよく、平行して行ってもよく、また順番を厳密に守る必要はないと理解されるべきである。本方法の詳細の一部については、下記の表1〜表3の説明に照らして、より理解することができるであろう。本方法は、工程1400から始まる。
【0056】
工程1402では、屈折率が1.5〜2.1の範囲内にあり、かつ空隙率が5%〜20%の範囲内にあるSiナノ結晶(またはSNP)を有するSRO膜を堆積する。工程1404では、このSRO膜を、酸素雰囲気中においてポストアニーリングする。SRO膜のポストアニーリング後、工程1406では、上記SRO膜をHF/BOEエッチングする。工程1408では、上記SRO膜を再酸化する。工程1410では、上記再酸化を受けて、上記SRO膜中のSiナノ結晶周囲にSiO層を形成する。
【0057】
1つの形態によれば、SRO膜をHF/BOEエッチングする工程(工程1406)は、比率が10:1〜50:1の範囲内にあるBOEとHFとの溶液に、上記SRO膜を浸漬する工程を含んでいる。また、SRO膜を再酸化する工程(工程1408)は、酸素雰囲気中でアニーリングする工程を含んでいる。Siナノ結晶周囲にSiO層を形成する工程(工程1410)は、Siナノ結晶周囲に、厚さが1〜5ナノメートル(nm)の範囲内にあるSiO層を形成する工程を含んでいる。
【0058】
別の形態によれば、SRO膜を堆積する工程(工程1402)は、低温PECVD処理を用いる工程を含んでいる。次に、工程1402によって、SiH流速を上昇させることに伴ってSROの屈折率が上昇し、また、堆積温度を上昇させることに伴ってSROの屈折率が上昇し、空隙率は低下する。
【0059】
より具体的には、PECVDを用いてSRO膜を堆積する工程は、5〜30sccmの範囲内の流速でSiHを導入する工程と、10〜50sccmの範囲内の流速でNOを導入する工程と、50〜700ワット(W)の範囲内のプラズマ電力を用いる工程と、20〜100ミリトール(mTorr)の範囲内の堆積圧力を用いる工程と、20〜300℃の範囲内の堆積温度を用いる工程と、3〜120分の範囲内の堆積時間を用いる工程と、20〜200sccmの範囲内の流速でHを導入する工程と、500〜30,000Åの範囲内の厚さのSRO膜を形成する工程と、を含んでいる。NO流速を上昇させることに伴って、SROの屈折率は低下する。H流速を上昇させることに伴って、SRO屈折率および空隙率の両方が上昇する。プラズマ電力量を増加させることに伴って、SROの屈折率は低下する。
【0060】
1つの形態によれば、酸素雰囲気中でSRO膜をポストアニーリングする工程(工程1404)は、900℃〜1300℃の範囲内の温度において、酸素分圧が1%〜10%の範囲内にある雰囲気中で、例えばO、NO、またはO+HOなどの酸化剤を、例えばHe、N、Ne、またはArなどのキャリアガスと共に用いて、10分〜60分の範囲内の時間でアニーリングする工程を含んでいる。一般的に、工程1404によって、SRO膜の屈折率が低下し、SRO膜中のSiナノ結晶が酸化し、またSRO膜の密度が高くなる。
【0061】
別の形態によれば、工程1403では、酸素雰囲気中でSRO膜をポストアニーリングする(工程1404)前に、無酸素雰囲気中において上記SRO膜を熱アニーリングする。一般的に、無酸素雰囲気中におけるSRO膜の熱アニーリングによって、SRO膜の屈折率が上昇し、SRO膜中にSiナノ結晶が形成され、またSRO膜の密度が高くなる。例えば、工程1403は、Ar雰囲気中において、900℃〜1300℃の範囲内の温度で、10分〜60分の範囲内の時間アニーリングする工程を含んでいてもよい。
【0062】
さらに別の形態によれば、工程1402では、DCスパッタリング処理を用いてSRO膜を堆積する。このDCスパッタリング処理は、Siターゲットを用いて、100W〜300Wの範囲内の電力を用いて、20℃〜300℃の範囲の堆積温度を用いて、2mTorr〜10mTorrの範囲内の堆積圧力を用いて、酸素2%〜30%の雰囲気において、例えばArまたはNなどのガスを用いて、行う。上記SROの屈折率および空隙率は、堆積温度を上昇させることに伴って低下する。上記SROの屈折率および空隙率は、雰囲気中の酸素比率を上昇させることに伴って低下する。さらに、上記SROの屈折率は、DCスパッタリング電力量を増加させることに伴って上昇する。
【0063】
図15は、高輝度SiELデバイスを製造する方法を示すフローチャートである。この方法は、工程1500から始まる。工程1502では、例えばSi、N型Si、P型Si、Siガラス、ガリウムヒ素(GaAs)、炭化ケイ素(SiC)、窒化ガリウム(GaN)、Al2O3(サファイア)などの物質、または、例えばガラス、プラスチック、もしくは石英などの温度感受性物質から基板を形成する。工程1504では、屈折率が1.5〜2.1の範囲内であり、かつ空隙率が5%〜20%の範囲内にある基板を覆うSRO膜を堆積する。工程1506では、酸素雰囲気中において、上記SRO膜をポストアニーリングする。工程1508では、上記SRO膜をHE/BOEエッチングする。工程1510では、上記SRO膜を再酸化する。工程1512では、上記SRO膜を覆う電極を形成する。この電極は、例を挙げるとすれば、多結晶Si、ITO、Au、Al、ZnO、Cr、Pt、Ir、AlCu、Ag、YBCO、RuO、またはLa1−xSrCoOなどの物質であってよい。図1に関する上述の説明を参照されたい。
【0064】
1つの形態によれば、工程1503bでは、基板とSRO膜との間に挟まれている第一絶縁層を形成する。さらに、この方法は、SRO膜と上部電極との間に挟まれている第二絶縁層を形成する工程(工程1505)を含んでいてもよい。上記第一および第二絶縁層は、例えばSiO、HfO、ZrO、Ai、La、Si、TiO、Ta、またはNbなどの物質であってよい。
【0065】
別の形態によれば、工程1503aでは、基板と第一絶縁層との間に挟まれている下部電極を形成する。この下部電極は、透明であっても不透明であってよく、例えば多結晶Si、ITO、Au、Al、ZnO、Cr、Pt、Ir、AlCu、Ag、YBCO、RuO、またはLa1−xSrCoOなどの物質から生成することができる。図3に関する上述の説明を参照されたい。
【0066】
図16は、SiELデバイスのフォトルミネセンス(PL)を最適化する方法を示すフローチャートである。この方法は、工程1600から始まる。工程1602では、基板を形成する。工程1604では、下部電極を覆うSRO膜を堆積する。工程1606では、上記SRO膜を処理する。工程1608では、上記SRO膜の処理に伴って、屈折率が1.5〜2.1の範囲内にあるSRO膜を形成する。1つの形態によれば、上記SRO膜は、屈折率が約1.72である。工程1610では、上記SRO膜を覆う上部電極を形成する。
【0067】
1つの形態によれば、SRO膜を処理する工程(工程1606)は、酸素雰囲気中において上記SRO膜をポストアニーリングする工程と、上記SRO膜をHF BOEエッチングする工程と、酸素雰囲気中において上記SRO膜をアニーリングする工程と、を含んでいる。
【0068】
別の形態によれば、SRO膜を堆積する工程(工程1604)は、低温PECVD処理を用いてSRO膜を堆積する工程を含んでいる。工程1606では、PECVD処理のSiH流速、堆積温度、プラズマ電力、H流速、およびNO流速を変えることによって上記SRO膜を処理する。
【0069】
さらに別の形態によれば、工程1606では、酸素雰囲気中でSRO膜をポストアニーリングする前に、無酸素雰囲気中で上記SRO膜を熱アニーリングすることによって上記SRO膜を処理する。
【0070】
なおさらに別の形態によれば、SRO膜を堆積する工程(工程1604)は、このSRO膜をDCスパッタリングする工程を含んでいる。そして、上記SRO膜を処理する工程(工程1606)は、DCスパッタリング処理の堆積温度、酸素分圧、およびスパッタリング電力を変える工程を含んでいる。
【0071】
本発明は、以下のように言い換えることもできる。
【0072】
[1]高輝度シリコンエレクトロルミネセンス蛍光体を形成する方法であって、屈折率が1.5〜2.1の範囲内にあり、かつ空隙率が5%〜20%の範囲内にあるSRO膜を堆積する工程と、上記SRO膜を酸素雰囲気中においてポストアニーリングする工程とを含む方法。
【0073】
[2]SRO膜を堆積する上記工程が、Siナノ結晶を有するSRO膜を堆積する工程を含み、上記SRO膜をポストアニーリングした後、上記SRO膜をHF/BOEによって処理する工程と、上記SRO膜を再酸化する工程と、上記再酸化によって、上記SRO膜中の上記Siナノ結晶周囲に二酸化ケイ素(SiO)層を形成する工程とをさらに含む、上記[1]に記載の方法。
【0074】
[3]上記SRO膜をHF/BOEによって処理する工程が、BOE:HFの比率が10:1〜50:1の範囲内にあるHF/BOE溶液に上記SRO膜を浸漬する工程を含み、上記SRO膜を再酸化する上記工程が、酸素雰囲気中でアニーリングする工程を含み、上記Siナノ結晶周囲に上記SiO層を形成する上記工程が、上記Siナノ結晶周囲に、厚さが1〜5ナノメートル(nm)の範囲内にあるSiO層を形成する工程を含む、上記[2]に記載の方法。
【0075】
[4]上記SRO膜を堆積する上記工程が、PECVDによってSRO膜を堆積する工程を含み、SRO膜の屈折率が所望の値となるようにPECVDにおけるSiH流速が設定されると共に、SRO膜の屈折率および空隙率が所望の値になるように堆積温度が設定される上記[1]に記載の方法。
【0076】
[5]PECVDによってSRO膜を堆積する上記工程が、5〜30sccm(standard cm3/min)の範囲内の流速でSiHを導入し、10〜50sccmの範囲内の流速でNOを導入し、50〜700ワット(W)の範囲内のプラズマ電力を用い、20〜100ミリトール(mTorr)の範囲内の堆積圧力を用い、20〜300℃の範囲内の堆積温度を用い、3〜120分の範囲内の堆積時間を用い、20〜200sccmの範囲内の流速でHを導入し、500〜30,000Åの範囲内の厚さのSRO膜を形成し、上記NO流速を上記範囲内で選択することによってSRO膜の屈折率を所望の値とし、上記H流速を上記範囲内で選択することによってSRO膜の屈折率および空隙率を所望の値とし、上記プラズマ電力量を上記範囲内で選択することによってSRO膜の屈折率を所望の値とする、上記[4]に記載の方法。
【0077】
[6]酸素雰囲気中において上記SRO膜をポストアニーリングする上記工程が、900℃〜1300℃の範囲内の温度において、酸素分圧が1%〜10%の範囲内にある雰囲気中において、O、NO、O+HOを含むグループから選択される酸化剤を、He、N、Ne、およびArを含むグループから選択されるキャリアガスとともに用いて、10分〜60分の範囲内の時間でアニーリングする工程を含む、上記[1]に記載の方法。
【0078】
[7]酸素雰囲気中において上記SRO膜をポストアニーリングする上記工程が、SRO膜の屈折率を低下させる工程と、上記SRO膜中のSiナノ結晶を酸化する工程と、上記SRO膜の密度を高める工程とを含む、上記[1]に記載の方法。
【0079】
[8]上記SRO膜を酸素雰囲気中においてポストアニーリングする前に、上記SRO膜を無酸素雰囲気中において熱アニーリングする工程をさらに含む、上記[1]に記載の方法。
【0080】
[9]上記SRO膜を無酸素雰囲気中において熱アニーリングする上記工程が、上記SRO膜の上記屈折率を上昇させる工程と、上記SRO膜中にSiナノ結晶を形成する工程と、上記SRO膜の密度を高める工程とを含む、上記[8]に記載の方法。
【0081】
[10]上記SRO膜を無酸素雰囲気中において熱アニーリングする上記工程が、Ar雰囲気中において、900℃〜1300℃の範囲内の温度で、10分〜60分の範囲内の時間でアニーリングする工程を含む、上記[8]に記載の方法。
【0082】
[11]上記SRO膜を堆積する上記工程が、Siターゲットを用いて、100W〜300Wの範囲内の電力を用いて、20℃〜300℃の範囲の堆積温度を用いて、2mTorr〜10mTorrの範囲内の堆積圧力を用いて、酸素分圧2%〜30%の雰囲気において、ArおよびNを含むグループから選択されるガスを用いてDCスパッタリングを行なうDCスパッタリング工程を含み、DCスパッタリング工程が、堆積温度を上記範囲内で選択することによってSRO膜の屈折率および空隙率を所望の値とし、雰囲気中の酸素比率を上記範囲から選択することによって上記SRO膜の屈折率および空隙率を所望の値とする、上記[1]に記載の方法。
【0083】
[12]上記SRO膜をDCスパッタリングする上記工程が、上記DCスパッタリング電力を増加させることに伴って上記屈折率を上昇させる工程を含む、上記[11]に記載の方法。
【0084】
[13]高輝度シリコンエレクトロルミネセンスデバイスを形成する方法であって、基板を形成する工程と、屈折率が1.5〜2.1の範囲内にあり、かつ空隙率が5%〜20%の範囲内にあると共に、上記基板を覆うSRO膜を堆積する工程と、上記SRO膜を酸素雰囲気中においてポストアニーリングする工程と、上記SRO膜をHF/BOE処理する工程と、上記SRO膜を再酸化する工程と、上記SRO膜を覆う上部電極を形成する工程とを含む方法。
【0085】
[14]上記基板と上記SRO膜との間に挟まれている第一絶縁層を形成する工程と、上記SRO膜と上記上部電極との間に挟まれている第二絶縁層を形成する工程とをさらに含む、上記[13]に記載の方法。
【0086】
[15]上記基板を設ける上記工程が、Si、N型Si、P型Si、Siガラス、ガリウムヒ素(GaAs)、炭化ケイ素(SiC)、窒化ガリウム(GaN)、Al2O3(サファイア)を含むグループから選択される物質、および、ガラス、プラスチック、および石英を含むグループから選択される温度感受性物質から基板を形成する工程を含む、上記[14]に記載の方法。
【0087】
[16]上記基板と上記第一絶縁層との間に挟まれている下部電極を形成する工程をさらに含む、上記[14]に記載の方法。
【0088】
[17]上記下部電極を形成する上記工程が、多結晶Si、インジウムスズ酸化物(ITO)、金(Au)、アルミニウム(Al)、酸化亜鉛(ZnO)、クロミウム(Cr)、Pt、Ir、AlCu、Ag、YBCO、RuO、およびLa1−xSrCoOのグループから選択される物質から上記下部電極を形成する工程を含む、上記[16)に記載の方法。
【0089】
[18]上記上部電極を形成する上記工程が、多結晶Si、ITO、Au、Al、ZnO、Cr、Pt、Ir、AlCu、Ag、YBCO、RuO、およびLa1−xSrCoOを含むグループから選択される物質から上記上部電極を形成する工程を含む、上記[13]に記載の方法。
【0090】
[19]上記第一および第二絶縁層を形成する上記工程が、SiO、HfO2、ZrO2、Ai2O3、La2O3、Si3N4、TiO2、Ta2O5、またはNb2O5のグループから選択される物質から第一および第二絶縁層を形成する工程を含む、上記[14]に記載の方法。
【0091】
[20]シリコンエレクトロルミネセンスデバイスのフォトルミネセンス(PL)を最適化する方法であって、下部基板を形成する工程と、上記下部基板を覆うSRO膜を堆積する工程と、上記SRO膜を処理する工程と、上記SRO膜を処理することによって、屈折率が1.5〜2.1の範囲内にあるSRO膜を形成する工程と、上記SRO膜を覆う上部電極を形成する工程と、を含む方法。
【0092】
[21]SRO膜を処理する上記工程が、上記SRO膜を酸素雰囲気中においてポストアニーリングする工程と、上記SRO膜をHF/BOE処理する工程と、上記SRO膜を酸素雰囲気中においてアニーリングする工程とを含む、上記[20]に記載の方法。
【0093】
[22]SRO膜を堆積する上記工程が、PECVDによって上記SRO膜を堆積するPECVD工程を含み、上記PECVD工程において、SiH流速、堆積温度、プラズマ電力、H流速、NO流速が、SRO膜の屈折率および空隙率が所望の値となるように設定されている、[21]に記載の方法。
【0094】
[23]SRO膜を処理する上記工程が、上記SRO膜を酸素雰囲気中においてポストアニーリングする前に、上記SRO膜を無酸素雰囲気中において熱アニーリングする工程を含む、[21]に記載の方法。
【0095】
[24]SRO膜を堆積する上記工程が、上記SRO膜をDCスパッタリングによって堆積するDCスパッタリング工程を含み、DCスパッタリング工程において、堆積温度、酸素分圧、およびスパッタリング電力が、SRO膜の屈折率および空隙率が所望の値となるように設定される、上記[21]に記載の方法。
【0096】
[25]屈折率が1.5〜2.1の範囲内にある上記SRO膜を形成する工程が、屈折率が約1.72であるSRO膜を形成する工程を含む、上記[20]に記載の方法。
【0097】
[26]高輝度シリコンエレクトロルミネセンスデバイスであって、基板と、屈折率が1.5〜2.1の範囲内にあり、かつ空隙率が5%〜20%の範囲内にある、上記基板を覆うシリコン過剰酸化物(SRO)膜と、上記SRO膜を覆う上部電極と、を備えているELデバイス。
【0098】
[27]上記SRO膜が、Siナノ結晶を有し、該Siナノ結晶が、上記SRO膜中の該Siナノ結晶の周囲に形成された二酸化ケイ素(SiO)層を有している、上記[26]に記載のELデバイス。
【0099】
[28]上記Siナノ結晶周囲の上記SiO層の厚さが1〜5ナノメートル(nm)の範囲内である、上記[27]に記載のELデバイス。
【0100】
[29]上記基板と上記SRO膜との間に挟まれている第一絶縁層と、上記SRO膜と上記上部電極との間に挟まれている第二絶縁層と、をさらに備えている、上記[26]に記載のELデバイス。
【0101】
[30]上記基板が、Si、N型Si、P型Si、Siガラス、ガリウムヒ素(GaAs)、炭化ケイ素(SiC)、窒化ガリウム(GaN)、Al2O3(サファイア)を含むグループから選択される物質、または、ガラス、プラスチック、および石英を含むグループから選択される温度感受性物質である、上記[29]に記載のELデバイス。
【0102】
[31]上記基板と上記第一絶縁層との間に挟まれている下部電極をさらに備えている、上記[28]に記載のELデバイス。
【0103】
[32]上記下部電極が、多結晶Si、インジウムスズ酸化物(ITO)、金(Au)、アルミニウム(Al)、酸化亜鉛(ZnO)、クロミウム(Cr)、Pt、Ir、AlCu、Ag、YBCO、RuO、およびLa1−xSrCoOのグループから選択される物質である、上記[31]に記載のELデバイス。
【0104】
[33]上記上部電極が、多結晶Si、ITO、Au、Al、ZnO、Cr、Pt、Ir、AlCu、Ag、YBCO、RuO、およびLa1−xSrCoOを含むグループから選択される物質である、上記[26]に記載のELデバイス。
【0105】
[34]上記第一および第二絶縁層が、SiO、HfO、ZrO、Ai、La、Si、TiO、Ta、およびNbのグループから選択される物質である、上記[26]に記載のELデバイス。
【0106】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【実施例】
【0107】
以下、実施例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0108】
本発明を説明するために、Si含有率が様々に異なるSRO膜の試料を作製した。これらの試料は、DCスパッタリングおよびPECVD技術を用いて形成され、様々な温度および異なる雰囲気中でポストアニーリングされたものである。
【0109】
以下の実施例を見れば、シリコンの含有率が特定範囲内にあるSRO膜を高温アニーリングすることによって、シリコン拡散プロセスが向上し、またSNPの成長が促進されること、シリコンの含有率の特定範囲は屈折率の特定範囲と対応していること、熱酸化処理をすることによって、SNPsが酸化され、またSiOとSNPとの良質な界面が形成されること、および、この界面によって非発光再結合が減少し、またフォトルミネセンス強度が大幅に上昇することが明らかになるであろう。
【0110】
実験の結果に基づくと、優れたPL特性を有するSRO膜の屈折率は、1.5〜2.1の範囲内でなければならない。ポストアニーリング温度は、900℃超でなければならない。熱酸化によって、SiO/SNP界面の質が改善される。ポストアニーリング処理のみならず、PECVDおよびDCスパッタリング堆積処理もまた、最適なPL特性を有するSRO薄膜を生成するために最適化することができる。
【0111】
(PECVD工程)
様々なPECVD堆積およびアニーリング条件が、表1、2、および3に列記されている。一般的に、Ar雰囲気中でのアニーリングはAET機器内で行われる。一方、酸素雰囲気中でのアニーリングはMRL機器内で行われる。
【0112】
その他の処理条件を固定する一方、様々なSi含有率または屈折率(n)を有するSROサンプルを堆積するために、異なるSiH流速を用いた。各SiH流速に対して、5つの異なるPL測定サンプルが示されている。
【0113】
アニーリング条件は以下の5通りである。(1)Ar(AET)中、1000℃で30分間アニーリングする。(2)Ar中、1000℃で30分間アニーリングした後、1%〜5%のO+N雰囲気(MRL)中、1100℃で10分間アニーリングする。(3)1〜5%のO+N雰囲気中、1050℃で30分間アニーリングする。(4)1〜5%のO+N雰囲気中、1050℃で60分間アニーリングする。(5)1〜5%のO+N雰囲気中、1100℃で10分間アニーリングする。
【0114】
これらのサンプルのPL特性は、ACCENT RPM2000 PL測定システムを用いて測定した。PL測定条件は以下の通りである。電力:2.5〜3.0mW、レーザー:266.0nm、フィルター:295nm LP、増幅率(Gain):x1〜16(corr.)、走査速度:5〜200スペクト/s、スプリット幅:0.5000mm、格子:300g/mm−762、範囲:300〜1000nm、検出器:CCD BT−TE。SRO酸化物のPL強度を比較するために、各SROサンプルのPLデータを標準化して測定条件を標準化し、そして比較するためにプロットした。
【0115】
【表1】

【0116】
【表2】

【0117】
【表3】

【0118】
図4は、異なるSiH流速における、SROサンプルの屈折率を示すグラフである。このグラフは、SiHの流速を上昇させることに伴って、SRO膜サンプルの屈折率が1.61から2.05へ変化する様子を示している。文献によると、SiOの屈折率は、通常は1.46であると記述されている。SRO膜の屈折率は、Si含有率を上昇させることに伴って1.46から上昇する。言い換えると、SRO膜の屈折率は、SRO材料中のSiの含有率を測定する簡素な手段である。この簡素な測定処理によって、Si含有率に対してさらに制御を加えることが可能になる。また、Si含有率は、最適なPL特性を有するSRO膜を形成するために用いることができる。図4は、異なるSi含有率を有する、PECVD処理によって堆積されたSRO膜を示す。
【0119】
図5は、異なる屈折率における、堆積SRO膜のPLスペクトルを示すグラフである。屈折率を上昇させることに伴ってPL強度が上昇し、屈折率が1.72になると、PL強度は最大値に達する。屈折率が1.72を超えると、PL強度は再び低下する。屈折率の上昇に従って、PL強度のピークは、より長い波長へと移動する。Ar雰囲気中においてポストアニーリングした後、屈折率が1.72未満であるSRO膜のPL強度は、アニーリング温度の上昇に従って増加する。高温によって、シリコン拡散プロセスが向上し、またSiナノ粒子の成長が助長される。しかし、1〜5%O+N雰囲気中におけるポストアニーリング後、屈折率が低い(1.72未満)SRO膜のPL強度は、アニーリング温度を上昇させることに伴って低下する。これは、Siナノ粒子が酸化するため、ナノ粒子数が減少するからである。屈折率が高い(1.72より大きい)SROサンプルのPL強度は、Ar雰囲気中でのアニーリング温度を上昇させることに伴って低下する。これは、Siナノ粒子の粒径の成長によるものである。しかし、屈折率が高い(1.72より大きい)SRO膜のPL強度は、1〜5%O+N雰囲気中におけるアニーリング温度を上昇させることに伴って増加する。これは、Siナノ粒子の熱酸化によって、SiO/SNP界面の質が改善され、またSiナノ粒子の粒径が小さくなるため、PL特性が強化されるからである。
【0120】
図6および図7は、異なるアニーリング条件に対して測定したPL強度を示すグラフである。具体的には、図6は、ポストアニーリング後の、様々な屈折率を有するSRO膜のPL強度を示している。図7は、様々なポストアニーリング条件におけるSRO膜のPL強度を示している。非常に優れたPL特性は、屈折率が約1.72であるSRO膜を、1〜5%O+N雰囲気中において、1100℃でアニーリングすることによって得られる。アニーリング前のSRO膜のデータと、酸素雰囲気中で1100℃におけるアニーリング後のデータとを比較すると、アニーリング温度および熱酸化の効果を見ることができる。300℃の堆積温度が、1〜5%O+N雰囲気中において1100℃まで上昇すると、屈折率が約1.72であるSRO膜のPL強度は大幅に増加し、25倍超になる。この効果は、おそらく、高アニーリング温度および酸化の結果として界面の質が改善したことと、Siナノ粒子数が増加したことと、の2つの理由によるものである。
【0121】
図8は、異なる屈折率における、SRO膜のPL波長を示すグラフである。文献においては、従来、SRO膜のPLピーク波長は、ナノSi粒子の粒径が大きくなるにつれて長くなると理解されている。図8では、様々なアニーリング条件を用いて屈折率を上昇させることに伴って、大部分のSRO膜のPLピークが、より長い波長へと移動することが分かる。この効果は、Si含有率の上昇に関連して結晶サイズが大きくなったことによるものである。またこの効果によって、Si粒子の成長が促進される。
【0122】
図9は、異なる屈折率および異なるアニーリング条件における、SRO膜のPLピーク波長を示すグラフである。Ar中において1000℃でアニーリングした後、大部分のSRO膜のPLピークは、Si粒子の成長のため、より長い波長へと移動する。しかし、SROサンプルは、1〜5%O+N雰囲気中において10〜60分間、1050〜1100℃でアニーリングした後、異なる性質を示している。この効果は、温度および酸素酸化の両方によるものである。高温によってシリコンの拡散処理が向上し、またSiナノ結晶の成長が促進される。一方、酸素酸化によってSiO/SNP界面の質が改善され、またSiナノ粒子の粒径が小さくなる。最終結果は、どちらの効果がより強いかによって異なる。屈折率が低い(1.72未満)SROサンプルのPLピークは、酸素中でアニーリングした後、より短い波長へと移動する。つまり、SiNPサイズは、高温よりも熱酸化の効果に、より左右される。屈折率が高い(1.72超)SROサンプルのPLピークは、酸素中で30分間、1050℃においてアニーリングした後、より長い波長へと移動する。そして、1050℃で60分間または1100℃で10分間、熱(酸素)アニーリングした後、この波長は、より短い波長へと再度移動する。この性質は、Si粒子の粒径が、温度の代わりに熱酸化効果に主に左右されることを示している。
【0123】
図10は、2工程および1工程による酸素アニーリング処理をした後の、SRO膜のPL特性を示すグラフである。高いPL特性を有するSRO膜の生成に必要な処理条件を探るため、2工程によるアニーリング処理(アルゴン中において1000℃で10分間、ならびに、1〜5%O+N雰囲気中において1100℃で10分間)と、1工程によるアニーリング処理(1〜5%O+N雰囲気中において1100℃で10分間)と、を比較した。
【0124】
図11は、2段階のアニーリングを経た後の、SRO膜のPL強度およびPLピーク波長を示すグラフである。2段階のアニーリング処理に関しては、Ar中においてアニーリングを行う最初の工程によって、シリコン拡散プロセスが向上し、SNPの成長が促進され、また膜の密度が上昇する。2番目の工程における酸素中でのアニーリングの結果として起こる熱酸化は、密度の高いSRO膜中のSNPに対して限定的な影響をもたらす。ここでは、温度による影響が優勢である。従って、図10に示されているように、酸素中でのアニーリング後、PL強度は変化せず、PLピークがより長い波長へと移動するのみである。1工程によるアニーリング処理に関しては、高温によってシリコン拡散プロセスが向上し、またSNPの成長が促進される。同時に、熱酸化によってナノSi粒子の粒径が均衡になり、一方でSiO/SNP界面の質が改善する。つまり、熱アニーリングによってナノSi粒子の粒径が大きくなるが、酸化によってナノSi粒子の粒径が小さくなる。このように、SRO膜のPLピークは、約540nmの、より短い波長へと移動し、PL強度は大幅に上昇する。
【0125】
要約すると、他の処理条件を固定することによって、様々なSi含有率を有するSROサンプルが堆積される。このとき、異なるSiH流速を用いて堆積させる。優れたPL特性を有するSRO膜を生成するためには、屈折率は1.5〜2.1の範囲内に制御されなければならない。ArまたはNキャリアガス中におけるポストアニーリング処理によって、SRO膜のPL特性を改善することができる。用いられる適切なアニーリング温度および雰囲気は、堆積SRO膜の屈折率によって異なる。最適なPL特性を有するSRO膜を得るため、アニーリング温度、酸素分圧、および屈折率を制御することができる。
【0126】
(DCスパッタリング)
図12は、ラザフォード後方散乱(RBS)および分光偏光解析法によって得られた、堆積SRO材料のシリコン含有率(屈折率)および光学特性を示すグラフである。SRO膜のDCスパッタリングは、Edwards360システムにおいて、4インチのシリコンターゲットを用いて、約250℃において、Arに酸素15%を混ぜた混合ガスを用いて実施することができる。シリコン含有率は、スパッタリング電力を変えることによって、10%〜50%の範囲内に制御される。図12は、異なるスパッタリング電力における材料の特性を示している。SiOx中の「x」値は、RBSを用いて測定した、材料のシリコン含有率を示している。屈折率(n)は、測定範囲内においては、上記x値と反比例している。詳細な堆積処理条件は表4に示されている。ポストアニーリング条件は、前出の表2および表3に示されている。
【0127】
【表4】

【0128】
図13は、1%〜5%のO+N雰囲気中で、1050℃において30分間アニーリングを行った後のPL強度の上昇を示すグラフである。アニーリング前、SROサンプルのPLレベルはノイズフロアーとほぼ等しい。アニーリング後、PL強度は2.5桁増加する。このレベルでは、発光が肉眼で確認できる。シリコン含有率50%のSRSOサンプルに対してPLを測定した。平均値を得るため、上記サンプルの異なる位置で4回測定した。
【産業上の利用可能性】
【0129】
本発明の発光デバイスおよびその製造方法は、表示装置等に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0130】
【図1】本発明の実施の一形態である発光デバイスの要部断面図である。
【図2】図1に示す発光デバイスのSRO膜の断面図である。
【図3】本発明の実施の他の形態である発行デバイスの要部断面図である。
【図4】異なるSiH流速における、SRO膜の屈折率を示すグラフである。
【図5】異なる屈折率における、アニーリング前のSRO膜のPLスペクトルを示すグラフである。
【図6】異なるアニーリング条件に対して測定したPL強度を示すグラフである。
【図7】異なるアニーリング条件に対して測定したPL強度を示すグラフである。
【図8】異なる屈折率における、SRO膜のPL波長を示すグラフである。
【図9】異なる屈折率および異なるアニーリング条件における、SRO膜のPLピーク波長を示すグラフである。
【図10】各条件でのアニーリング工程後の、SRO膜のPL特性を示すグラフである。
【図11】各条件でのアニーリング工程後の、SRO膜のPL強度およびPLピーク波長を示すグラフである。
【図12】ラザフォード後方散乱(RBS)および分光偏光解析法によって得られた、堆積SRO材料のシリコン含有率(屈折率)および光学特性を示すグラフである。
【図13】1%〜5%のO+N雰囲気中で、1050℃において30分間アニーリングを行った後のPL強度の上昇を示すグラフである。
【図14】本発明の実施の一形態であるSRO膜の製造方法を示すフローチャートである。
【図15】本発明の実施の一形態である発光デバイスを製造する方法を示すフローチャートである。
【図16】本発明の実施の一形態である発光デバイスのPLを最適化する方法を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0131】
1 SRO膜
100 発光デバイス
104 Si酸化物
200 Siナノ粒子
202 SiO

【特許請求の範囲】
【請求項1】
Si酸化物と、該Si酸化物中に存在するSiナノ粒子とを有するSRO(Silicon Rich Oxide)膜を備える発光デバイスであって、
上記SRO膜の屈折率が、1.5〜2.1の範囲内にあることを特徴とする発光デバイス。
【請求項2】
上記SRO膜の空隙率が、5%〜20%の範囲内にあることを特徴とする請求項1記載の発光デバイス。
【請求項3】
上記SRO膜において、上記Siナノ粒子の周囲にSiO層が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の発光デバイス。
【請求項4】
上記SiO層の厚さは、1〜5nmの範囲内であることを特徴とする請求項3に記載の発光デバイス。
【請求項5】
Si酸化物と、該Si酸化物中に存在するSiナノ粒子とを有するSRO膜を備える発光デバイスの製造方法であって、
屈折率が1.5〜2.1の範囲内にあるSRO膜を形成するSRO膜形成工程と、
上記SRO膜に対して酸素を含む雰囲気中でのポストアニーリングを行うアニーリング工程とを含むことを特徴とする製造方法。
【請求項6】
上記SRO膜形成工程は、空隙率が5%〜20%の範囲内にあるSRO膜を形成することを特徴とする請求項5に記載の製造方法。
【請求項7】
上記アニーリング工程後のSRO膜をHF(フッ化水素酸)/BOE(HF buffered oxide etch)溶液に晒すHF/BOE処理工程と、
SRO膜を酸化することによって、SRO膜に含まれるSiナノ粒子の周囲に二酸化ケイ素からなるSiO層を形成する酸化工程とをさらに含むことを特徴とする請求項5に記載の製造方法。
【請求項8】
上記HF/BOE処理工程は、BOE:HFの比率が10:1〜50:1の範囲内にあるHF/BOE溶液にSRO膜を晒す工程を含むことを特徴とする請求項7に記載の製造方法。
【請求項9】
上記酸化工程が、酸素雰囲気中でアニーリングを行う工程を含むことを特徴とする請求項7に記載の製造方法。
【請求項10】
上記酸化工程が、厚さが1〜5nmの範囲内にあるSiO層を形成する工程を含むことを特徴とする請求項7に記載の製造方法。
【請求項11】
上記SRO膜形成工程は、SiHを用いたPECVD(Plasma Enhanced CVD)によってSRO膜を形成するPECVD工程を含み、
上記PECVD工程におけるSiH流速および温度は、SRO膜の屈折率が1.5〜2.1の範囲内となるように設定されることを特徴とする請求項5に記載の製造方法。
【請求項12】
上記PECVD工程における温度は、SRO膜の空隙率が5〜20%の範囲内となるように設定されることを特徴とする請求項11に記載の製造方法。
【請求項13】
上記SRO膜形成工程が、SiHを用いたPECVDによってSRO膜を形成するPECVD工程を含み、
上記PECVD工程は、
SiHの流速が5〜30sccmの範囲内であり、
Oの流速が10〜50sccmの範囲内であり、
プラズマ電力が50〜700Wの範囲内であり、
圧力が20〜100mTorrの範囲内であり、
温度が20〜300℃の範囲内であり、
堆積時間が3〜120分の範囲内であり、
の流速が20〜200sccmの範囲内であり、
500〜30,000Åの範囲内の厚さのSRO膜を形成することを特徴とする請求項5に記載の製造方法。
【請求項14】
上記SRO膜形成工程が、
ターゲットをSi、電力を100W〜300Wの範囲内、堆積温度を20℃〜300℃、堆積圧力を2mTorr〜10mTorrの範囲内とし、酸素2%〜30%の雰囲気下で、ArおよびNを含むグループから選択されるガスを用いるDCスパッタリングによってSRO膜を形成する、DCスパッタリング工程を含むことを特徴とする請求項5に記載の製造方法。
【請求項15】
上記アニーリング工程が、
900℃〜1300℃の範囲内の温度、かつ酸素分圧が1%〜10%の範囲内にある雰囲気中において、
、NO、O+HOを含むグループから選択される酸化剤を、He、N、Ne、およびArを含むグループから選択されるキャリアガスとともに用いて、10分〜60分の範囲内の時間でアニーリングすることを特徴とする請求項5に記載の製造方法。
【請求項16】
上記酸化工程が、
SRO膜の屈折率を、酸化工程前の屈折率よりも低下させる工程と、
上記SRO膜中のSiナノ粒子を酸化する工程と、
上記SRO膜の密度を、酸化工程前の密度よりも高める工程とを含むことを特徴とする請求項7に記載の製造方法。
【請求項17】
上記SRO膜形成工程と上記アニーリング工程との間に、上記SRO膜を無酸素雰囲気中において熱アニーリングする第二アニーリング工程をさらに含むことを特徴とする請求項5に記載の製造方法。
【請求項18】
上記第二アニーリング工程が、
上記SRO膜の屈折率を、第二アニーリング工程前の屈折率よりも高める工程と、
上記SRO膜中にSiナノ粒子を形成する工程と、
上記SRO膜の密度を第二アニーリング工程前の屈折率よりも高める工程とを含むことを特徴とする請求項17に記載の製造方法。
【請求項19】
上記第二アニーリング工程が、
Ar雰囲気中において、900℃〜1300℃の範囲内の温度で、10分〜60分の範囲内の時間でアニーリングする工程を含むことを特徴とする請求項17に記載の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2006−236997(P2006−236997A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−35785(P2006−35785)
【出願日】平成18年2月13日(2006.2.13)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】