説明

発光フィードバックのフラットパネルディスプレイ

【課題】発光効率の低下を補償するには、従来は複雑な回路を必要とした。
【解決手段】本発明のイメージディスプレイは、基板と、基板上に形成されたアドレス可能な光放射器であって光放射層と基板上に堆積された光放射層の両側の電極層とを含む光放射器のアレイと、イメージパターンで光を放射させるために光放射器を駆動するための駆動回路と、光放射器により放射された光を検出し該光に応答するフィードバック信号を発生するためにアレイ内の光放射器の光放射層と光学的に直接結合されたフォトセンサ層と、基板上に堆積されたフォトセンサ層の両側の電極層とを含む基板に形成された一つまたは複数のフォトセンサと、駆動回路を制御するためにフィードバック信号に応答するフィードバック制御回路と、一つまたは複数のフォトセンサに入射する周囲光を補償するための手段と、を備え、一つまたは複数のフォトセンサは個別にアドレス可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソリッドステートによるフラットパネルディスプレイデバイスに関し、より詳しくは、ディスプレイ内の各画素からの光フィードバック情報の使用により、各画素の発光を最適にする手段を備えたディスプレイデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
ソリッドステートの有機光放射ダイオード(OLED)イメージディスプレイデバイスは、優れたフラットパネルのデジタルディスプレイデバイスとして大きな関心事となっている。放射されたカラー光および電流から光へのエネルギー変換効率は、有機の薄膜材料の組成により決定される。更には、OLEDディスプレイデバイスに加え、他の光デバイスの統合を支援する、透明材質でもっぱら作製できる。Hungその他により1998年7月7日発効の米国特許5,776,623はそのようなシステムを開示している。
【0003】
OLED材料は、電磁照射にも反応し、電気回路にて適切にバイアスされたとき、周囲光に依存して電流を発生できる。例えば、Weiその他による1999年7月27日発効の米国特許5,929,845は、有機電子放射を用いた光を放射しかつ光を検出するシステムを開示している。透明有機体の放射性材料は、限られた周波数帯域の光のみ放射するが、極めて広いスペクトラムを吸収し、かつ、光の存在に光に電気的に応答できるように、他の吸収性材料がOLEDデバイス構成に追加されてもよい。シリコンフォトダイオードのごとき他のデバイスおよび材料も感光性である。
【0004】
OLEDデバイスの発光効率は、有機材料の不安定さにより、連続動作時に大きく低下することがしばしばある。この不安定さは、エージング、温度変化、湿度、または他の環境ストレスの結果である。発光効率は、OLEDに流れる単位平方m当たりの電流に対する、単位平方m当たりのカンデラ単位の出力光の比率である。これにより、OLEDの発光効率の低下は、同じ発光を達成するためには、OLEDにより多くの電流を流さなければならないことを意味する。更には、ディスプレイデバイスにおける電流制御は問題があり、特に電圧制御と比較して、より多くの回路を必要とし、その結果、ディスプレイ内の電子回路のサポートがより複雑となった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の問題のいくつかを克服するために、特定のディスプレイシステムを最適化する企てが従来からなされてきた。例えば、Wabbその他による1993年6月1日発効の米国特許5,216,504号は、手作業でもしくは自動化されたコンピュータ制御でもって、ディスプレイを校正するため、または他に最適化するために、ビデオモニター内のデジタル制御のデバイスを述べている。
【0006】
種々の状況下でよりフレキシブルな操作性または最適な使用を提供するために、いくつかのシステムは、ユーザーで制御される制御機構を統合している。例えば、ブライトネス、コントラストの制御は、CRTおよびLCDディスプレイデバイスにてしばしば利用される。これらの制御は、ディスプレイ内の基準ピクセルを用いて、デバイス自体からの情報に基づいて行われる。Eatonその他による1992年10月20日発効の米国特許5,157,525は、LCD基準エレメントを含むフィードバック構成を用いて、コントラストまたは絶対ブライトネスに対して予め選択された値を保持するための個別の制御により、基準ピクセルを使用することを開示している。そのフィードバック情報は、光検知器を用いてLCD材料の平均伝達を測定することにより、決定される。Hansenその他による1999年6月8日発効の米国特許5,910,792は、温度に関係したブライトネスの変化のためのフィードバック補償を得るために、抵抗性層を流れる電流と、電流源の電流とを比較している。これらのアプローチに付随する一つの問題は、フィードバックがピクセル自身の放射率に直接に反応しないこと、あるいはディスプレイ内の異なるタイプ(例えばカラー)に関するアドレス問題である。ディスプレイデバイスからの光出力を測定し、そしてデバイスで使用するための校正テーブルを構成する外部センサの使用により、ディスプレイデバイスを校正することも公知である。Bohanその他による1994年10月6日発効の米国5,371,537がある。このアプローチは、校正時にはセンサがディスプレイを見づらくし、リアルタイムの動作を提供できないという問題がある。
【0007】
それゆえ、光放射率のための改善した検出法および放射性ディスプレイのための制御が必要とされていた。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、光放射ピクセルをアドレスできるソリッドステートのディスプレイデバイスであり、ディスプレイ上に統合され、かつ、ディスプレイの光放射部と直接光学的に結合された光検出器の使用により、従来技術での問題を克服する。その光検出器は、光放射部から放射された光に依存する電流を生成する。所望の光出力を達成するために、その電流は、光放射ピクセルを流れる電流を制御するために、フィードバック機構として用いられる。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、放射ディスプレイデバイスに光フィードバックを与えるために、高度に一体化した小型で軽量な手段を提供する。このフィードバックは、デバイスの寿命を長くし、パワー消費を低減し、そして応用に対して柔軟性を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明によるフィードバックおよび制御回路を備えたディスプレイデバイスのブロック図である。
【図2】本発明によるディスプレイデバイスの好ましい実施形態の縦断面図である。
【図3】本発明によるディスプレイデバイスの別の実施形態の縦断面図である。
【図4】本発明によるディスプレイデバイスの更に別の実施形態の縦断面図である。
【図5】本発明によるディスプレイデバイスにおける光の放射および吸収を示した図である。
【図6】本発明による別のディスプレイデバイスにおける光の放射および吸収を示した図である。
【図7】本発明によるアナログ修正回路を備えたディスプレイデバイスのブロック図である。
【図8】本発明によるデジタル修正回路を備えたディスプレイデバイスのブロック図である。
【図9】本発明による修正回路の演算を示したフローチャートである。
【図10】本発明による修正回路の演算を示したアナログ回路のためのブロック図である。
【図11】公知の放射LEDの回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
装置は以下のごとく機能する。図1のディスプレイシステム10は、フィードバック制御デバイス14を備えたディスプレイ12およびそのディスプレイを駆動するコントローラ16を含む。コントローラ16はアナログデバイスまたは図示されるようにメモリ18を備えたコンピュータであってもよい。そのコントローラは、データ22、アドレス24および制御信号26を用い、特定のディスプレイエレメントに書き込む。アドレスラインはデマルチプレクサ28によりデコードされる。ディスプレイ内のフォトセンサにより発生したフィードバック信号30は、フィードバック回路14に導かれ、処理され、その処理信号はコントローラに導かれる。ディスプレイ内の光放射ピクセルは、ライン34を通じてパワーオンされ、図11のVddラインに接続される。
【0012】
図11は、公知の簡単な放射性LED回路を示し、Vddパワーライン100は、LED102に駆動トランジスタ104を通じてパワーを供給する。その駆動トランジスタ104は、データライン22およびセレクトライン110に応答するトランジスタ108により充電されるキャパシティ106に蓄えられた電荷に応答する。セレクトライン110上の信号は、アドレスライン24および接続ライン26上の信号から周知の手法により形成される。
【0013】
フォトセンサは、図2〜図4のいずれかに示したディスプレイデバイス接近して、光学的に結合された光応答材料を設置することにより達成される。これらの図において、放射性層44はフォトセンサ層50と光学的に結合されている。放射性層44の両側には電極42、46を、フォトセンサ層50の両側には電極48、52を有する。これらのエレメントは、基板40上に堆積され、そしてカバープレート54でカプセル化される。フォトセンサ層に対する放射性層の物理的な配置は、製造工程、材質の多様性、および回路設計に依存して変更できる。図2において、放射性層は、フォトセンサ材料50と基板40との間に図示されている。図3では、フォトセンサ層50と並んで放射性層44が位置する。図4では、フォトセンサ材料50は、放射性層44と基板40との間に位置し、この場合、放射性層44の一部を覆っている。放射性層からの光が見えるように、基板40もしくはカバー54の一方が透明体でなくてはならない。同じ理由で、光が透過できるようにいずれかのいずれの電極も透明体でなければならない。透明電極は、インジウム錫酸化物から作製され、これは公知の技術である。透明体でない層40または54は、光の使用を最大限とするための反射性である。
【0014】
光放射性材料は、実際は一つ以上の補助基板から構成され、例えば、正孔転位層および放射性層からなり、これらすべてを単一の層44として示している。当業者でき周知なように、光放射性材料は、四角の光放射領域にピクセル化され、行および列のピクセルを接続して、個別のピクセルをアドレスするために電極が使用される。図1の信号ライン22、24〜26からの入力信号を用い、ピクセルを選択し、そしてそれに情報を書き込むために種々の電極が使用される。
【0015】
フォトセンサ材料も同様に複数の層で構成される。電極48および52は、図1のフィードバック信号30を与えるために用いられる。図2において、フォトセンサ材料50および電極48および52を点線で分割したのは、個別にアドレス可能な要素への可能な分割を示したものであることに注目されたし。明白なように、本発明は、一般のピクセル間に、もしくは個別に、フォトセンサ層を有する装置を開示している。
【0016】
好ましい実施例では、光放射性材料44は、有機のLED材料で作製される。カバープレート54は、例えば、エナメルでコーティングした金属板、プラスチックまたはガラスである。フォトセンサ材料50は、半導体材料で作製され、それの堆積および処理は、ディスプレイのエレメント、例えば伝統的なクリスタルシリコン、ポリシリコンまたはアモルファスシリコン材料と両立する。他の両立できるフォトセンサ材料が使用されてもよく、例えば、層50は、光に応答できるように、電極48と52との間に堆積された有機材料から構成されてもよい。採用された製造工程に依存して、フォトセンサ層を最初に形成することが好ましいかもしれない。更には、ガラスのような透明体で電気的に絶縁性の別の層を、図2の電極46および48間に、および図4の電極42および52間に設けるのが望ましい。これとは、放射性およびフォトセンサの層に供給される信号の特性および極性に依存して、別に2つの隣接した電極の層を結合して一つの層としてもよい。いずれの場合でも、統合された工程がデバイスの組立てを簡略化し、そして完成したデバイスの強度を強める。
【0017】
能動化されたとき、かつ、図2に対応して、単純化した図5に示すように、放射性材料44は、電極42、46により、能動化される。放射性層44から放射された光650のいくらかは放射され、残りの光はフォトセンサ材料により直接に吸収される。光はまた、基板40またはディスプレイのカバー54から反射し、放射性材料44へ戻され、そして、フォトセンサ材料50により吸収される。その結果生じた電流は、電極48および52を通じて集められる。そのフォトセンサはまた、総合的な内部反射(光線62のように入射角に依存)を通じて、または、プレート面と放射性層との間の境界からの反射(光線64のごとく)により、または、プレート面と空気との間の境界からの反射(光線66のごとく)により、または、他のいずれかの光学的結合機構により、光放射部と光学的に結合されている。電極(図4では不図示)もまた反射のための機構として機能する。
【0018】
外光70も放射性層、基板またはカバーを通過して、フォトセンサ材料50内へ進む。光学的に結合した光と外光は、その後、フォトセンサ材料50により吸収され、そして、検出された光の明るさに依存した電流を呈する。この電流は、図1のフィードバック信号30である。図6は、図5に対応する似た構成を示す。いずれの場合でも、光は、基板40またはカバー54のいずれが透明体であるかによってそれを通じて放射されることに注目されたい。
【0019】
ディスプレイデバイス内の各ピクセルは、周知のごとくアドレス信号により、選択される。同様に、各フォトセンサエレメントも同じまたは異なるアドレス信号を用いて選択される。例えば、一般のディスプレイデバイス、メモリデバイス、CCDのごときイメージングデバイスのすべては同じ技術を用いる。フォトセンサエレメントは(ディスプレイのピクセルエレメントとして)個々に、またはグループで選択されてもよい。フォトセンサエレメントのグループは、より広い領域に対する強い光の測定を行えるように、物理的にまたは論理的に合計され、その結果、情報の明記およびサポート用のロジックおよび相互接続の必要性の双方を減じる。(このことは図2にて点線で示してある。) 特別の場合、フォトセンサエレメントは、一つの大きなエレメントに合算されてもよく、電流は、ディスプレイデバイス全体として光学的に結合された光を表す。
【0020】
フォトセンサエレメントで検出された電流は、検出された光からのフィードバックとして用いることができる。一般的に言えば、その発生した電流は、所望の明るさ(基準値)で発生した既知の電流値と比較される。ディスプレイ材料を駆動する電流は、その後、フォトセンサ層からの電流が所望値になるまで、大きくなるか小さくなる。そのことが起きると、光照射により発生した光は、所望のレベルにある。光の照射は時間と共に低下するので、効率が低下し、より少ない光を放射し、その結果、光電電流が減少し、減じた光出力を補償するために、駆動電流が増大するようになる。
【0021】
デジタルイメージディスプレイデバイスは、種々のレベルまたは明るさ、典型的に256または1024レベル(通常のバイナリーデジタルコンピュータシステムにおける8ビットまたは10ビット)で光を放射する。各レベルは、対応する明るさを生じるために必要となる特定のパワー合計に関連し、関連するレベルは、各ディスプレイレベルに対して発生され、そのため、各明るさのレベルに対し、所望の光出力を極めて正確に制御する。これらの関連は、個々の放射タイプのディスプレイ材料に対する明るさ/パワーのカーブにおけるいかなる不規則性に対しても補償する。基準値し、種々のソース、から、放射特性の形式から、典礼的なディスプレイでの測定値から、または、過去の同種のディスプレイから得ることができる。
【0022】
異なるディスプレイ材料が異なるカラーの光を生成するために用いられ、そして、これらの異なる材料は異なる効率および経時特性を持つ。各明るさのレベルが個々の基準を持つとき、各カラーは同様に校正できる。単一のフィードバックフォトセンサエレメントの場合、一度にただ一つの色を単にエネルギー化することにより、各カラーに対し、適した基準値を測定できる。もしデジタル的に行われたなら、カラーおよび明るさの校正は、(3色の8ビットシステムに対して)3入力の参照テーブルによる256を用いて実行され、これは極めて一般的な技術である。もし、フォトセンサエレメントがサブグループのピクセルと関連していたなら、フィードバック修正機構(例えば参照テーブル)は、そのサブグループと関係しなくてはならない。
【0023】
フィードバック制御を与えるために少なくとも好ましい2つの機構がある。図7に示した第1の機構では、ディスプレイからのフィードバック電流30は、フィードバック信号14により、単一のフィードバック信号32に集約される。この信号は次にコントローラ16により、ディスプレイの所望の明るさの出力を表す標準信号と比較される。Vdd電圧信号34は、所望の明るさになるように、大きくするか小さくされ、フィードバック信号がキャンセルされる。この場合、その信号34は、コントロールデバイス16により、管理され、電圧コントローラ80のようなアナログ回路で制御される。単純化した場合、同様に、比較は演算増幅器82により行われ、典型的なデバイスの最適な動作電圧を示す固定された値か、他の基準により選択された他のいくつかの値に設定される。
【0024】
フィードバック信号は異なる方法で集約できる。単純化した例において、放射できるグレイ階調レベルに対するディスプレイの明るさを示す各ブライトネス値に対して単一の信号が生成される。もし、このブライトネスがディスプレイの期待されたブライトネスに適合するなら、変更は行われない。もし、経時材料や他の理由により、ディスプレイが適した量の光を放射しないなら、ディスプレイがより多くの光を発するようにデータ値が変更される。図8を参照すると、この変更は、参照テーブル84を用い、極めて公知な技術によりって達成される。
【0025】
補償用信号は、ピクセルエレメントに相当すべきであり、そのフィードバックがエレメントを示す。もし、ただ一つの信号がデバイス全体の出力を示すなら、全てのデータ値が固定値により調節され得る。もし、各ブライトネスレベルに対する個別のフィードバック値が得られるなら、各ブライトネスレベルに対応するデータ値が調節され得る。もし、各カラーに対しフィードバック値が個別に得られたならば、各カラーは固定された量で調整できる。これらの種々のデータ値は、得られたフィードバックに依存して様々な方法で結合できる。更に、フィードバック値は、ブライトネスレベルのみよりは、ディスプレイ内のそれらのアドレスに依存するピクセル毎に得ることができる。各ピクセルは、そのため、出力を特注化した個別のテーブルを持つことができる。しかしながら、これらのテーブルのサイズが急速に肥大することに注意すべきである。もし参照テーブルが所望でないなら、修正を演算するために所望の特性をモデル化した数式を用いることも可能である。このアプローチは、必要メモリを低減するが、速度性能の上で影響に害を及ぼす。これらの参照テーブルおよび数式の方法は、当業者で十分に公知であり、多くのコンピュータ制御のシステムで標準の部分である。一般に、フィードバック修正は、連続的にまたは周期的に行われ、また、デバイスの使用時に、またはブート時にまたはセットアップに時になされる。唯一要求されることは、フィードバックの測定は、デバイスが既知のブライトネス値で表示している時に行わなければならないことである。
【0026】
この発明は、電流制御の使用により、ディスプレイ材料を制御を不必要にし、替わりに、電圧制御により、ディスプレイを駆動でき、これにより、ディスプレイ材料の効率による変化を補償するだけでなく、制御電子回路を簡素化することに注目される。
【0027】
フォトセンサ材料は、ディスプレイから、および外光への両方の光結合に曝すことが重要である。外光とディスプレイ光とを適切に区別するための最も単純な機構は、最初に外光電流を測定する。これは、単に光放射ピクセルへ電流0を適用してピクセルに光を発光させないことによりなされる。いずれかの残りの光/電の電流は、周囲への放射によるものであり、あらゆる基準の比較は、この残電流に対して調節しなければならない。この基準調節は、ディスプレイのスイッチオン時にまたは使用中に周期的に行う。
【0028】
この基準調整は、周囲環境の変化に対して自動的に補償するためにも使用され得る。暗い環境下(外光の放射無し)で見るときは、より明るい環境下(より多くの外光放射)で見るときと同じ明るさを必要としない。もし、ディスプレイデバイスの光出力が周期的に再校正されるなら、たとえ外光の変化があるとき、外光とディスプレイ光との間の固定された差異を維持する。暗い環境下では不必要なブライトネスを減じ、明るい環境下では、ディスプレイデバイスの表示を明るくすることにより、ディスプレイデバイスの寿命を長くする。もし、ピクセルのアドレスに基づきブライトネスの補償が行われたなら、ディスプレイの異なった個所を異なる方法で修正することも可能であり、例えば、ディスプレイに対し部分的に影をつけることもできる。
【0029】
図9は、各ブライトネスレベルに対して参照テーブルを計算するための簡単な手順を示す。デバイスは、最初にステップ120にてターンオンされ、そしてステップ122にてディスプレイをブランク(ブラック)のイメージまたはスクリーンにセットする。ステップ124にてフィードバック電流が測定され、外光を示す。ディスプレイは、ステップ126にて放射できる各ブライトネスの出力レベルを繰返し、そしてステップ128にて各レベルに対してフィードバック電流(現実の電流)が測定される。そのフィードバック電流は、外光と与えられたブライトネスで放射された光との合計を表す。修正電流を得るために、ステップ130にて、所望の光レベルに外光電流を加えたものに相当する所望の(基準)電流から、実際の電流が差し引かれる。ステップ132にて、この修正電流は、基準電流に加算され、そしてその合計が対応するブライトネスレベルに変換され、そしてステップ134にて、測定した元のブライトネスに対するテーブルに格納される。ステップ136にてディスプレイは修正されたブライトネスレベルを用いて動作する。
【0030】
もし、外光がゼロで実際に基準値と等しいなら、テーブル値は、基準値に等しく、つまり、テーブル値は、理想的な値であり、修正はされない(テーブル入力とテーブル出力が等しい)。次の数式は、関数Fが電流測測定値から対応するブライトネスレベルiへの変換を示す計算を述べている。
Ti=F(基準電流i+(基準電流i+外光電流−実際の電流i))
この計算は、コントローラ16およびその要素18および20を用いてなされる。
【0031】
電圧コントローラが用いられ、そして単一のフィードバック値が用いられる場合、全体の修正計算は、アナログの要素(例えば図7のような演算増幅器および電圧コントローラ)を用いて実行できる。図10は、これの詳細を示す。実際の値32は、理想的な基準値90および周囲値92の合計から減算され、そして電圧コントローラがセットされる名目上の電圧への修正電圧として用いられる。これらのアナログの演算技術およびデバイスは、当業者では周知である。周囲の明るさに対する補償が望まれるなら、その値は最初に、上述したコントローラ16を用いて修正され、そして格納されなくてはならない。デジタルまたはアナログの修正を用いて、修正値へ連続的な調整を与えることにより、演算をも反復して行うことができる。この場合、実際の測定は、現存の修正値および、演算され、適用された修正値への差異を用いてなされる。
【0032】
ディスプレイエレメント下のフォトセンサを、一部のピクセルに制限することも可能である。これにより、フィードバックをサポートするために必要となる論理的な内部構成を減じるが、ディスプレイの一部に対する修正が他の部分に同様に適用することを仮定する。
【0033】
フィードバック回路は、ディスプレイデバイスと同じ基板上に直接に一体化でき、あるいは、ディスプレイの外部で行うことができる。一般に、性能が高いほど、かつ、正確さが大きいほど、回路は直接にディスプレイデバイスに一体化され得るが、すべてのディスプレイデバイスに対して好ましいものではない。(例えば、ピクセルの技術および製造工程が回路とロジックとの統合を禁止している。) 本発明は、アクティブおよびパッシィブなマトリックスディスプレイデバイスの双方に適用できる。
【0034】
Tangその他による1998年9月6日発効のUS.特許4,769,292およびVanSlykeその他による1991年10月29日発効のUS.特許5,061,569に開示されているがこれに限定されない、小さい分子状重合体OLEDを含む有機光放射ダイオード(OLED)は、適したディスプレイデバイスを作製できる技術的基礎を提供する。OLED材料の多くの結合および変更もこのようなデバイスを組立てるために使用できることは明白である。
【符号の説明】
【0035】
10 ディスプレイシステム
12 ディスプレイ
14 フィードバック制御デバイス
16 コントローラ
18 メモリ
20 CPU
22 データ信号
24 アドレス信号
26 制御信号
28 デマルチプレクサ
30 フィードバック信号
40 基板
42 電極
44 光放射層
46 電極
50 フォトセンサ層
84 参照テーブル
102 LED
106 格納キャパシタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イメージディスプレイであって、
a)基板と、
b)前記基板上に形成されたアドレス可能な光放射器であって、光放射層と、前記基板上に堆積された、前記光放射層の両側の電極層とを含む前記光放射器のアレイと、
c)イメージパターンで光を放射させるために前記光放射器を駆動するための駆動回路と、
d)前記光放射器により放射された光を検出し、該光に応答するフィードバック信号を発生するために、前記アレイ内の前記光放射器の前記光放射層と光学的に直接結合されたフォトセンサ層と、前記基板上に堆積された、前記フォトセンサ層の両側の電極層とを含む、前記基板に形成された、一つまたは複数のフォトセンサと、
e)前記駆動回路を制御するために前記フィードバック信号に応答するフィードバック制御回路と、
f)前記一つまたは複数のフォトセンサに入射する周囲光を補償するための手段と、を備え、
前記一つまたは複数のフォトセンサは個別にアドレス可能であることを特徴とするイメージディスプレイ。
【請求項2】
前記光放射器によって放射された光を検出する単一のフォトセンサを有する、請求項1に記載のイメージディスプレイ。
【請求項3】
複数のフォトセンサを備え、各々が分離したグループの光放射器によって放射された光を検出するように配置されている、請求項1に記載のイメージディスプレイ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−235138(P2012−235138A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−145630(P2012−145630)
【出願日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【分割の表示】特願2001−268833(P2001−268833)の分割
【原出願日】平成13年9月5日(2001.9.5)
【出願人】(510059907)グローバル オーエルイーディー テクノロジー リミティド ライアビリティ カンパニー (45)
【Fターム(参考)】