説明

発光体およびその製造方法、ならびに発光素子

【課題】遷移金属や希土類元素などの発光付活元素の溶出が少なく、安定して発光体を製造できる発光体およびその製造方法、ならびに当該発光体を用いた発光素子を提供する
【解決手段】基板上に、第1バルブ金属陽極酸化膜と、第2バルブ金属陽極酸化膜とが順次設けられた構造を備える発光体であって、前記第1バルブ金属陽極酸化膜が発光付活元素を含有することを特徴とする発光体、および、基板上に、発光付活元素を含有する第1バルブ金属膜と、第2バルブ金属膜とを順次設け、第1バルブ金属膜と第2バルブ金属膜とを陽極酸化することを特徴とする発光体の製造方法、ならびに当該発光体を用いた発光素子。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、励起光により発光する発光体およびその製造方法、ならびに当該発光体を用いた発光素子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フォトルミネッセンス(PL)発光やエレクトロルミネッセンス(EL)発光付活元素を含有する金属膜を陽極酸化することにより、蛍光体やEL発光素子を形成する技術が提案されている。
【0003】
図17(a)は、蛍光付活元素として、1重量%のマンガンを含有する板厚6mmのアルミニウム板200の断面図である。たとえば特開昭60−258283号公報(特許文献1)には、このようなアルミニウム板200を陽極とし、ステンレス鋼板を陰極として、165g/lのKOH、35g/lのKFおよび35g/lのAl(OH)3を含有するアルカリ性浴中において陽極酸化処理する。特許文献1は、このようにしてアルミニウム板200の表面に、黄橙色の蛍光を発する陽極酸化膜201を形成する技術を開示する(図17(b))。
【0004】
また、特開昭62−52886号公報(特許文献2)には、EL発光に寄与する発光付活元素を含有するアルミニウム薄膜を用いたEL発光素子の製造方法が開示されている。すなわち、まず、透明基板202上に透明電極203が形成される(図18(a))。次に、該透明電極203上に遷移金属または希土類元素などのEL発光に寄与する発光付活元素を含有するアルミニウム薄膜204を形成する(図18(b))。次に、該アルミニウム薄膜204をシュウ酸中に浸し、陽極酸化することにより、遷移金属または希土類元素などのEL発光に寄与する発光付活元素を含有する陽極酸化アルミニウム薄膜205が形成される(図18(c))。最後に、前記陽極酸化アルミニウム薄膜205上に対向電極206を形成することで、EL発光素子が形成される(図18(d))。
【0005】
しかしながら、上記した従来技術では、アルミニウム中に含有させた遷移金属や希土類元素が選択的な溶出や凝集による偏析が発生するため、陽極酸化アルミニウム中に、適正量の遷移金属や希土類元素などの発光付活元素を均一に含有させることが困難であった。たとえば、陽極酸化アルミニウムの表面付近において、遷移金属や希土類元素の選択的溶出が発生する場合は発光付活元素が減少し、あるいは電極に近い場所から酸化が進行するために全面にわたり均一に酸化することが困難であり、発光強度が弱くまたは発光しないといった場合があった。
【0006】
また、図17に示すように、アルミニウム板200を用いる場合、遷移金属や希土類元素からなる蛍光付活元素が均一に含有されたアルミニウム板を形成するためには、蛍光付活元素の含有量を0.1〜5.0重量%の範囲とすることが必要である。より多量の蛍光付活元素を含有させようとすると、アルミニウム板を形成する過程で、不純物である蛍光付活元素の偏析が発生し、該偏析部分の局所的溶出が発生するとともに、実際にアルミニウム板に均一に含有されている蛍光付活元素の量が減少することになる。このような蛍光付活元素の偏析を完全に抑制するためには、該含有量を0.1〜2重量%程度の範囲にすることが望ましく、蛍光付活元素の絶対量が減少するとともに、アルミニウム板表面からの蛍光付活元素の選択的溶出が進行することにより、発光強度の弱いまたは発光しない発光素子ができる場合があった。
【0007】
また図19(a)は、図18に従って、EL発光素子を実際に形成する際の陽極酸化のために陽極酸化液220中に浸漬したときの透明基板のエッジ部207の拡大図を示し、図19(b)は陽極酸化を開始した初期、図19(c)は陽極酸化終了直前のそれぞれ図18に示した透明基板エッジ部207の拡大図を模式的に示している。なお、図19(a)〜(c)では陰極および通電を行なうための回路図は省略して示している。
【0008】
図19(a)〜(c)に示すように、遷移金属や希土類元素などの発光付活元素を含有するアルミニウム薄膜204は、透明基板202上に設けられた透明電極203が露出するように形成されており、透明電極203の露出した部分に、白金などの電極端子208が接触固定される。その後、シュウ酸溶液中において陽極酸化が行なわれる。ここで、陽極酸化過程において、電流が最も流れやすくなるのは、透明電極203とアルミニウム薄膜204との界面端部209であり、遷移金属や希土類元素などの発光付活元素の溶出が、該界面端部209で進行することになる。該元素の溶出反応に伴い、酸素が発生し、該界面端部において陽極酸化アルミニウム膜205の剥離が発生する。そして該元素の溶出と酸素発生による膜剥離が急速に進行し、広範囲の剥離部分210が形成されることになる。このような剥離部分210が形成されると、もはや、EL発光素子として使用することができなくなる。
【特許文献1】特開昭60−258283号公報
【特許文献2】特開昭62−52886号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、遷移金属や希土類元素などの発光付活元素の溶出が少なく、安定して発光体を製造でき(歩留りをよくする)発光体およびその製造方法、ならびに当該発光体を用いた発光素子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の発光体は、基板上に、第1バルブ金属陽極酸化膜と、第2バルブ金属陽極酸化膜とが順次設けられた構造を備え、前記第1バルブ金属陽極酸化膜が発光付活元素を含有することを特徴とする。
【0011】
本発明の発光体は、前記基板と前記第1バルブ金属陽極酸化膜との間に、導電膜が設けられてなるのが好ましい。また、前記導電膜が透明導電膜であることがより好ましい。
【0012】
本発明の発光体において、前記第2バルブ金属陽極酸化膜が、前記第1バルブ金属陽極酸化膜が露出しないように当該第1バルブ金属陽極酸化膜を覆って設けられているか、または、前記第1バルブ金属陽極酸化膜のエッジ部が露出しないように、エッジ保護膜が設けられていることが、好ましい。
【0013】
本発明は、基板上に、発光付活元素を含有する第1バルブ金属膜と、第2バルブ金属膜とを順次設け、第1バルブ金属膜と第2バルブ金属膜とを陽極酸化することを特徴とする発光体の製造方法を提供する。
【0014】
本発明はまた、基板上に、導電膜と、発光付活元素を含有する第1バルブ金属膜と、第2バルブ金属膜とを順次設け、第1バルブ金属膜と第2バルブ金属膜とを陽極酸化することを特徴とする発光体の製造方法も提供する。
【0015】
上述した本発明の発光体の製造方法においては、前記第1バルブ金属膜が露出しないように、当該第1バルブ金属膜を覆うようにして第2バルブ金属膜を設け、第1バルブ金属膜と第2バルブ金属膜とを陽極酸化することが好ましい。
【0016】
本発明はさらに、上述した本発明の発光体を用いた発光素子も提供する。
本発明の発光素子は、上述した本発明の発光体と、当該発光体の第2バルブ金属陽極酸化膜上に設けられた対向電極とを備えるものであることが好ましい。
【0017】
また本発明の発光素子は、上述した本発明の発光体と、当該発光体に励起光を照射する励起光源とを備え、発光体に励起光を照射することにより励起光の波長と異なる波長の光を発生し得るものであることが好ましい。
【0018】
本発明の発光素子は、上述した本発明の発光体が複数積層されてなることが好ましく、この場合、複数の発光体が発生する光の波長は互いに異なるように実現されたものであることがより好ましい。
【0019】
本発明の発光素子における前記励起光は、半導体レーザまたは発光ダイオードから発せられる光、または、プラズマ放電により発生する紫外線光であることが、好ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、第2バルブ金属膜が、発光付活元素を含有する第1バルブ金属膜の表面を覆うように形成された後、陽極酸化を行って第1バルブ金属陽極酸化膜および第2バルブ金属陽極酸化膜を形成するため、陽極酸化時に発光付活元素および第1バルブ金属膜の溶出あるいは発光付活元素の偏析を抑制でき、安定して発光体を製造でき、歩留りが向上される。これにより、発光むらのない発光体および発光素子を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の好ましい第1の実施形態の発光体1を模式的に示す断面図である。本発明の発光体1は、基板2上に、第1バルブ金属陽極酸化膜3と、第2バルブ金属陽極酸化膜4とが順次設けられた構造を基本的に備える。本発明の発光体1は、このような基本構造において第1バルブ金属陽極酸化膜3が発光付活元素を含有することを特徴とする。
【0022】
本発明の発光体1における基板2としては、たとえばガラス基板、プラスチック基板、金属基板などを用いることが可能である。当該発光体1からの光を基板2側に取り出す場合には、基板2として透光性を有するガラス基板またはプラスチック基板を用いることが好ましい。当該発光体1からの光を基板2とは反対側へ取り出す場合には、基板2としてセラミック基板などの透光性を有しない基板を用いることが可能である。
【0023】
本発明の発光体1における第1バルブ金属陽極酸化膜3は、後述するようにバルブ金属(弁金属)で形成された膜(第1バルブ金属膜6)を陽極酸化してなるものである。第1バルブ金属陽極酸化膜3の前駆体である第1バルブ金属膜6の形成材料としては、たとえば、Al、Ti、Mg、Taなどのバルブ金属や、これらの金属を合金化したバルブ金属合金を用いることができる。中でも、簡単な設備で陽極酸化可能であり、低電圧で厚い酸化膜を作製し易いという点で、第1バルブ金属膜6はAlにて形成されてなることが好ましい。
【0024】
また、第1バルブ金属陽極酸化膜3は、発光付活元素を含有する。発光付活元素とは、光や電気などのエネルギーによって、外殻電子が励起され、その励起エネルギーの解放によって、蛍光を発し得る元素であり、たとえば、Mn、Cr、Cuなどの遷移金属や、Nd、Sm、Eu、Gd、Tm、Tb、Dy、Erなどの希土類元素を例示することができるが、これらに制限されるものではない。なお、本発明における第1バルブ金属陽極酸化膜3は、上述したような発光付活元素を2種以上含有していても勿論よい。
【0025】
第1バルブ金属陽極酸化膜中における発光付活元素の含有量は特に制限されるものではないが、バルブ金属中の発光付活元素の重量比が0.5〜20重量%であるのが好ましく、1.5〜8重量%であるのがより好ましい。本発明の基本概念は第1バルブ金属膜を陽極酸化する場合に、第1バルブ金属膜中に含有させた発光付活元素の溶出、あるいは、第1バルブ金属膜が一端から他端に向けて順次酸化されていくことによって発光付活元素が偏析することを、第2バルブ金属膜の形成により封止または均一化することであるが、第1バルブ金属膜中に発光付活元素が20重量%を超えて存在する場合には、該第2バルブ金属膜を用いた場合であっても偏析を阻止することが困難であるという傾向にあるためであり、また第1バルブ金属陽極酸化膜中の発光付活元素が0.5重量%未満である場合には、第1バルブ金属に対する発光付活元素の濃度が十分でなく、十分な発光強度を有する発光体を作製することが困難であるという傾向にあるためである。なお、上記発光付活元素の含有量は、第1バルブ金属陽極酸化膜3が発光付活元素を2種以上含有する場合には、その合計量を指すものとする。このような発光付活元素の含有量は、発光体1と同組成の発光付活元素を含有した第1バルブ金属膜を、同組成の材料を含まない既知の基板材料(たとえば、珪素や純鉄などの金属)上に形成し、蛍光X線分析などの元素分析を行うことにより測定することができる。
【0026】
本発明の発光体1における第2バルブ金属陽極酸化膜4は、後述するようにバルブ金属(弁金属)で形成された膜(第2バルブ金属膜7)を陽極酸化してなるものである。第2バルブ金属陽極酸化膜4の前駆体である第2バルブ金属膜7の形成材料としては、第1バルブ金属膜6の形成材料として上述したのと同様、たとえば、Al、Ti、Mg、Taなどのバルブ金属や、これらの金属を合金化したバルブ金属合金を用いることができる。なお、第2バルブ金属膜7は、上述した第1バルブ金属膜6と同じバルブ金属にて形成されていてもよいし、異なるバルブ金属にて形成されていてもよい。簡単な設備で陽極酸化可能であり、低電圧で厚い酸化膜を作製し易いという点で、第2バルブ金属膜7はAlにて形成されてなることが好ましい。
【0027】
本発明の発光体1において、第2バルブ金属陽極酸化膜4の厚みは特に制限されるものではないが、30nm以上であるのが好ましく、50〜100nmであるのがより好ましい。第2バルブ金属陽極酸化膜4の厚みが30nm未満である場合には、面方向へ酸化膜が形成される前に酸化膜が第1バルブ金属膜6に達して、第1バルブ金属膜6の酸化が進むために第1バルブ金属膜6が面方向にむらになりやすくなり、さらに、発光付活元素として流出しやすいものを使用した場合には、当該発光付活元素の流出を十分に抑制することが困難となる傾向にあるためである。また、第2バルブ金属陽極酸化膜4の厚みが100nmを超える場合には、製造コストが高くなる傾向にある。
【0028】
本発明の発光体1において、第1バルブ金属陽極酸化膜3の厚みは特に制限されるものではないが、第1バルブ金属膜6と第2バルブ金属膜7の厚みの合計が350nm以上であるのが好ましく、350〜700nmであることがより好ましい。薄膜からなるバルブ金属を陽極酸化によって酸化する場合には、膜厚方向の酸化速度と膜面方向終端部への電流の到達に起因する膜厚に依存する電気抵抗との関係が薄膜全面を酸化するのに重要な因子となる。すなわち、第1バルブ金属膜6と第2バルブ金属膜7の厚みの合計が350nm未満である場合には、電気抵抗が大きく、膜厚方向への酸化が膜面方向終端部への電流の到達よりも早く終了してしまうために、膜面全面の酸化を終了させることが困難となる傾向にある。また、第1バルブ金属膜6と第2バルブ金属膜7との厚みの合計が700nmを超える場合には、スパッタリングなどの一般的な薄膜製造プロセスでは、薄膜を形成するのに多くの時間が必要となってしまい、製造コストが高くなると共に、透明発光体を形成させる場合には透過率が損失するという傾向にある。
【0029】
図2は、図1に示した発光体1を製造する方法を模式的に示す断面図である。図2(a)〜(c)には、基板2上に、発光付活元素を含有する第1バルブ金属膜6と、第2バルブ金属膜7とを順次設け、第1バルブ金属膜6と第2バルブ金属膜7とを陽極酸化することによって発光体1を製造する方法を段階的に示している。本発明は、このような発光体1の製造方法も提供するものである。
【0030】
本発明の製造方法では、まず、図2(a)に示すように、基板2上に、発光付活元素を含有する第1バルブ金属膜6を形成する。この第1バルブ金属膜6は、たとえばスパッタリング、真空蒸着、電気メッキなどの従来公知の適宜の方法にて形成することができ、その形成方法は特に制限されるものではない。なお、たとえばバルブ金属としてAl、発光付活元素としてEuを用いる場合、Alターゲット上に発光付活元素を付与するEuを含んだEu203などの材料からなるチップ材料を貼付し、バルブ金属であるAlと同時にスパッタリングを行うことによって第1バルブ金属膜を形成するようにしてもよい。この場合は、チップ材料の個数を変更することによって、発光付活元素が所定の含有量となるように調整することもできる。
【0031】
次に、図2(b)に示すように、第1バルブ金属膜6上に第2バルブ金属膜7を形成する。この第2バルブ金属膜7は、上述した第1バルブ金属膜6と同様の方法によって形成することができる。
【0032】
最後に、硫酸水溶液、シュウ酸水溶液あるいはリン酸またはそれらの混合酸水溶液である陽極酸化液を用いて第1バルブ金属膜6および第2バルブ金属膜7を陽極酸化し、第1バルブ金属陽極酸化膜3および第2バルブ金属陽極酸化膜4を形成する。この陽極酸化の詳細については後述する。このようにして、図2(c)に示すように、基板2上に、発光付活元素を含有する第1バルブ金属陽極酸化膜3と第2バルブ金属陽極酸化膜4とが順次設けられた、図1に示したような構造を備える発光体1を製造することができる。
【0033】
ここで、Al、Ti、Mg、Taなどで形成されたバルブ金属膜を、上述したような陽極酸化液を用いて陽極酸化した場合、バルブ金属膜の部分的溶出に伴い、膜の厚み方向に直径数nm〜数十nmのポア(孔)が形成され、同時に前記厚み方向に垂直な方向(膜面方向)に拡がるようにしてバルブ金属酸化膜が形成される。この陽極酸化の際、遷移金属や希土類元素から選ばれた発光付活元素を含有するバルブ金属膜の表面が露出した状態である場合には、当該発光付活元素がバルブ金属と比較して溶出しやすいものがあるため、バルブ金属膜表面における発光付活元素の溶出が顕著となる。このため、バルブ金属膜表面における発光付活元素の含有率が低下し、得られたバルブ金属陽極酸化膜の厚み方向に関し均一に発光付活元素を含有させることができなくなり、発光強度の低下と発光強度むらを招くことになる。また、陽極酸化は電極に近い側の一端から進行していくため、当該発光付活元素に溶出しにくい材料を用いても、発光付活元素を含有するバルブ金属膜表面が露出した状態である場合には、酸化後表面部に発光付活元素が凝集し、偏析する場合がある。
【0034】
本発明では、上述したように、発光付活元素を含有する第1バルブ金属膜6が露出しないように、第2バルブ金属膜7にて覆った状態で陽極酸化を行なうようにしている。したがって、陽極酸化の際、第1バルブ金属膜6の表面から発光付活元素が溶出または偏析してしまうことを抑制でき、厚み方向に関して均一に発光付活元素が含有された第1バルブ金属陽極酸化膜3を形成することができるとともに、第1バルブ金属陽極酸化膜3の厚みが陽極酸化の際に不所望に減少してしまうことがなく、安定して発光体1を製造でき、歩留りを向上することができる。
【0035】
図3は、本発明の好ましい第2の実施形態の発光体11を模式的に示す断面図である。図3に示す例の発光体11は、基板2と第1バルブ金属陽極酸化膜3との間に導電膜12が設けられたこと以外は、図1に示した例の発光体1と同様であり、発光体1と同様の構成を有する部分については、同一の参照符を付して説明を省略するものとする。
【0036】
発光体11における導電膜12としては、たとえばITOなどの透明導電膜やPt、Au、Cu、Niなどで形成された金属導電膜を用いることができる。なお、透明導電膜にて導電膜12を形成すると、基板2も透光性を有する基板で形成されている場合には、導電膜12および基板2を介して発光体11からの光を取り出すことができる構成を実現できるため、好ましい。
【0037】
また、第1バルブ金属陽極酸化膜3の前駆体である第1バルブ金属膜6よりも陽極酸化されにくいバルブ金属にて導電膜12を形成するようにしてもよい。たとえば、第1バルブ金属膜6をAlにて形成した場合には、このAlよりも陽極酸化されにくいバルブ金属であるTaやTiなどを用いて導電膜12を形成することができる。
【0038】
発光体11における導電膜12の厚みは、特に制限されるものではないが、10nm以上であるのが好ましく、30〜90nmであるのがより好ましい。導電膜12の厚みが10nm未満である場合には、膜面方向終端部までの電気抵抗が大きくなり、十分な電気伝導性を持たない傾向にあり、また、基板の反対側から励起光を入射して発光体を発光させる場合であっても、導電膜12の厚みが90nmであれば励起光が導電膜12を通過しないために十分な効率が得られることから、導電膜12の厚みが90nmを超える場合には、製造コストが増大する傾向にあるためである。
【0039】
図4は、図3に示した発光体11を製造する方法を模式的に示す断面図である。図4(a)〜(d)には、基板2上に、導電膜12と、発光付活元素を含有する第1バルブ金属膜6と、第2バルブ金属膜7とを順次設け、第1バルブ金属膜6と第2バルブ金属膜7とを陽極酸化することによって発光体11を製造する方法を段階的に示している。本発明は、このような発光体11の製造方法も提供するものである。
【0040】
本発明の製造方法では、まず、図4(a)に示すように、基板2上に、導電膜12を形成する。この導電膜12は、たとえばスパッタリング、真空蒸着、電気メッキなどの従来公知の適宜の方法にて形成することができ、その形成方法は特に制限されるものではない。
【0041】
次に、図4(b)に示すように、導電膜12上に第1バルブ金属膜6を形成する。その後、図4(c)に示すように、第1バルブ金属膜6上に第2バルブ金属膜7を形成する。これら第1バルブ金属膜6および第2バルブ金属膜7は、上述したのと同様の方法にて形成することができる。
【0042】
最後に、上述したような陽極酸化液を用い、導電膜12を下地電極として第1バルブ金属膜6および第2バルブ金属膜7を陽極酸化し、それぞれ第1バルブ金属陽極酸化膜3および第2バルブ金属陽極酸化膜4を形成する。この陽極酸化の詳細については後述する。このようにして、図4(d)に示すように、基板2上に、導電膜12と、発光付活元素を含有する第1バルブ金属陽極酸化膜3と第2バルブ金属陽極酸化膜4とが順次設けられた、図3に示したような構造を備える発光体11を製造することができる。
【0043】
ここで、陽極酸化の際には、陽極酸化に供する構造物に電流が流れる必要があり、第1バルブ金属膜6および第2バルブ金属膜7は初期材料の段階では直接通電可能な材料であるが、陽極酸化を施した酸化物は絶縁体に変化する。すなわち、薄膜で形成されたバルブ金属の面方向および厚さ方向への陽極酸化による絶縁膜の領域が広がっているということもできる。陽極酸化物は電極部に近い端部と遠い端部の2箇所の端部を持つことになり、第1バルブ金属膜と第2バルブ金属膜との厚みの合計が350nm以下の薄膜に形成した場合には特に、電極部に近い端部から遠い端部に酸化が進んでいく際に厚み方向への酸化が完了してしまうために、それら以降の端部方向への電力の供給がなくなってしまうために、端部にまで正常に陽極酸化が進まずに全面均一に陽極酸化することが困難となり、部分的に第1バルブ金属膜6が残ってしまう虞がある。部分的に第1バルブ金属膜6が残った発光体は、発光強度の低下を引き起こす可能性がある。図3および図4に示す場合においては、上述したように基板2上に、導電膜12と、発光付活元素を含有する第1バルブ金属膜6と、第2バルブ金属膜7とを順次設け、該第1バルブ金属膜6と該第2バルブ金属膜7とを陽極酸化することにより、第1バルブ金属膜6の陽極酸化を全面むらなく行なうことができ、発光強度むらのない発光体11を形成することができる。
【0044】
また、本発明は、上述したような導電膜12を設ける構成(第2の実施形態)に換えて、基板2自体に導電性をもたせるようにしてもよい(本発明の第3の実施形態の発光体)。このように基板2が導電性を有する構成とすることで、上述した第2の実施形態の構成を採ることなく、第1バルブ金属膜6の陽極酸化を完全に行なうことができ、発光強度むらのない発光体をより簡略化した工程にて低コストで、しかも歩留りよく得ることができる。
【0045】
基板2が導電性を有する場合、基板2としては、たとえばAl、Cu、Fe、Ni、Crなどの金属またはこれらの合金基板や、導電性プラスチック基板などを挙げることができるが、これらに制限されるものではない。また、導電性を有する基板2の少なくとも、陽極酸化液に接する部分を第1バルブ金属膜で覆うことが望ましい。
【0046】
ここで、バルブ金属の陽極酸化について、より詳細に説明する。図5には、たとえば、基板31上に、導電膜32、第1バルブ金属膜33および第2バルブ金属膜34が順次設けられた構成(すなわち、図4(c)に示したのと同様の構成)を代表的な例として示している。陽極酸化に際しては、図5に示すように、まず、第2バルブ金属膜34に対して電極端子35を圧接する。
【0047】
次に、図6に示すように、電極端子35を圧接した図5の構造物を陽極36とし、これを電源37を介して電気的に接続された電極端子38を圧接した白金陰極39とともに、陽極酸化槽40内に収容された陽極酸化液41中に浸漬する。このような状態で、電源37により、上述した陽極36および白金陰極39に電圧を印加することで、陽極36におけるバルブ金属(すなわち、第1バルブ金属33および第2バルブ金属膜34)を陽極酸化する。
【0048】
バルブ金属のみで形成されるバルブ金属膜を陽極酸化する場合、通常、上記方法によって陽極酸化液41中に浸漬された部分全体にわたり陽極酸化が完了する。しかしながら、本発明においては、上述のように第1バルブ金属膜33が発光付活元素としてMn、Cr、Cuなどの遷移金属や、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Erなどの希土類元素を含有している。これらの発光付活元素は、バルブ金属に比べて、陽極酸化時に溶出しやすく、図5および図6に示すように、基板の側方部分において、第1バルブ金属膜が露出しているような構成で陽極酸化を行なうと、側方部分からの発光付活元素の溶出が発生し、導電膜32との界面で当該溶出が進行することにより、陽極酸化膜(すなわち、第1バルブ金属陽極酸化膜42および第2バルブ金属陽極酸化膜43)が、側方部分で剥離してしまう虞がある(図7)。このように側方部分において第1バルブ金属陽極酸化膜42および第2バルブ金属陽極酸化膜43が基板31から剥離した剥離領域44が形成されてしまうと、この剥離領域44における陽極酸化膜が陽極酸化時に基板31から離脱するため陽極酸化液41の汚染や劣化の原因となり、また、得られた発光体は使用可能な陽極酸化膜の面積が減少してしまったものとなる虞がある。
【0049】
図8は、本発明の好ましい第4の実施形態の発光体51を模式的に示す断面図である。図8に示す例の発光体51は、第1バルブ金属陽極酸化膜52が露出しないように、その側方端部においても第2バルブ金属陽極酸化膜53にて覆うように形成されたこと以外は、図3に示した例の発光体11と同様であり、発光体11と同様の構成を有する部分については、同一の参照符を付して説明を省略するものとする。このような本発明の第4の実施形態の発光体51によれば、上述したような側方端部において剥離領域が形成されてしまう虞を完全に解消することができる。
【0050】
図8に示す例の発光体51では、基板2上に導電膜12が設けられ、この導電膜12上に、基板2および導電膜12よりも小さな面積に形成された第1バルブ金属陽極酸化膜52を備える。そして、この第1バルブ金属陽極酸化膜52のエッジ部(角部)54を含めた側方端部を完全に覆うようにして形成された第2バルブ金属陽極酸化膜53を備える。このような構造を備える発光体51における第1バルブ金属陽極酸化膜52、第2バルブ金属陽極酸化膜53および導電膜12の好ましい形成材料や厚みは、上述したのと同様である。
【0051】
図9は、図8に示した発光体51を製造する方法を模式的に示す断面図である。図9(a)〜(d)には、基板2上に、第1バルブ金属膜55のエッジ部56が露出しないように、当該第1バルブ金属膜55を覆うようにして第2バルブ金属膜57を設け、第1バルブ金属膜55と第2バルブ金属膜57とを陽極酸化することによって、発光体51を製造する方法を段階的に示している。本発明は、このような発光体51の製造方法も提供するものである。
【0052】
まず、図9(a)に示すように、基板2上に、導電膜12を形成する。この導電膜12の形成は、上述したのと同様の方法にて形成することができる。
【0053】
次に、図9(b)に示すように、導電膜12上に、導電膜12よりも小さな面積にて発光付活元素を含有する第1バルブ金属膜55を形成する。そして、図9(c)に示すように、この第1バルブ金属膜55上に、第1バルブ金属膜55のエッジ部56を含めた側方端部をも覆うようにして、第2バルブ金属膜57を形成する。これら第1バルブ金属膜55および第2バルブ金属膜57は、上述したのと同様の方法にて形成することができる。
【0054】
最後に、上述したような陽極酸化液を用い、第1バルブ金属膜55および第2バルブ金属膜57を陽極酸化し、第1バルブ金属陽極酸化膜52および第2バルブ金属陽極酸化膜53を形成する。このようにして、図9(d)に示すように、基板2上に、導電膜12と、発光付活元素を含有する第1バルブ金属陽極酸化膜52と、この第1バルブ金属陽極酸化膜52を覆うようして形成された第2バルブ金属陽極酸化膜53とが順次設けられた、図8に示したような構造を備える発光体51を製造することができる。このようにすることで、陽極酸化の際に、第1バルブ金属膜55のエッジ部56における発光付活元素の溶出が抑制され、第1バルブ金属陽極酸化膜52の側方端部における剥離領域の形成が完全に防止された発光体51を製造することができる。このため、陽極酸化液の汚染や劣化が抑制され、使用可能な陽極酸化膜の面積を予定通り得ることができる。
【0055】
図10は、本発明の好ましい第5の実施形態の発光体61を模式的に示す断面図である。図10に示す例の発光体61は、導電膜12を設けなかったこと以外は図8に示した例の発光体51と同様であり、発光体61と同様の構成を有する部分については、同一の参照符を付して説明を省略するものとする。このように、導電膜12を設けない場合であっても、第1バルブ金属陽極酸化膜52が露出しないようにその側方端部においても第2バルブ金属陽極酸化膜53にて覆うように形成されたならば、図8の例について上述したのと同様の効果を得ることができる。本実施形態における基板2は、第1バルブ金属陽極酸化膜および第2バルブ金属陽極酸化膜の厚みの合計が350nm以上である場合は特に限定されるものではないが、350nm未満の厚みで形成される場合には、基板2はたとえばSUS、Ni、Cu、Tiなどの金属やITO、ZnO、SnOなどの導電性酸化物を用いて形成することが望ましい。
【0056】
図11は、本発明の好ましい第6の実施形態の発光体71を模式的に示す断面図である。図11に示す例の発光体71は、エッジ保護膜72を設けたこと以外は図3に示した例の発光体11と同様であり、発光体11と同様の構成を有する部分については、同一の参照符を付して説明を省略するものとする。図11に示す例の発光体71は、基板2、導電膜12、第1バルブ金属陽極酸化膜3および第2バルブ陽極酸化膜4を順次積層した構造物において、当該構造物の側方部分の全面を覆うようにして、エッジ保護膜72が設けられてなることを特徴とする。このようなエッジ保護膜72を設けることでも、陽極酸化の際に、第1バルブ金属膜6のエッジ部を含めた側方端部における発光付活元素の溶出が抑制され、第1バルブ金属陽極酸化膜3の側方端部における剥離領域の形成が完全に防止された発光体71を製造することができるという効果を奏する。このため、陽極酸化液の汚染や劣化が抑制され、使用可能な陽極酸化膜の面積を予定通り得ることができる。また図8、図10に示した例の発光体51,61とは異なり、第1バルブ金属膜および第2バルブ金属膜の側方端部の処理を必要としないため、低コストで製造することができるという利点がある。
【0057】
図11に示す例において、エッジ保護膜72としては、陽極酸化の際に用いられる陽極酸化液に腐食されない材料を用いて形成されるならば、特に制限されるものではない。たとえば、ノボラック樹脂、紫外線硬化樹脂またはエポキシ樹脂などを第1バルブ金属膜の側方端部に塗布して硬化させることで、エッジ保護膜72を好適に実現することができる。中でも、塗布の容易さ、ならびに、陽極酸化液として用いられるシュウ酸に対し耐食性を有することから、エポキシ樹脂を用いてエッジ保護膜72を形成するのが好ましい。
【0058】
図12は、図11に示した発光体71を製造する方法を模式的に示す断面図である。まず、図12(a)に示すように、基板2上に導電膜12を形成した後、図12(b)に示すように、導電膜12上に第1バルブ金属膜6を形成し、図12(c)に示すように、第1バルブ金属膜6上に第2バルブ金属膜7を形成する。これら導電膜12、第1バルブ金属膜6および第2バルブ金属膜7は、上述したのと同様にして形成することができる。
【0059】
次に、図12(d)に示すように、第1バルブ金属膜6のエッジ部を含めた側方端部73を覆うようにして、エッジ保護膜72を形成する。図12(d)に示す例では、エッジ保護膜72は、基板2、導電膜12、第1バルブ金属膜6および第2バルブ金属膜7全ての側方端部を覆うようにして形成される。エッジ保護膜72は、上述したように、たとえば熱硬化性樹脂を前記側方端部に塗布後、硬化させることで形成することができる。
【0060】
最後に、上述したような陽極酸化液を用い、第1バルブ金属膜6および第2バルブ金属膜7を陽極酸化し、第1バルブ金属陽極酸化膜3および第2バルブ金属陽極酸化膜4を形成する。このようにして、図12(e)に示すように、基板2上に、導電膜12と、発光付活元素を含有する第1バルブ金属陽極酸化膜3と、第2バルブ金属陽極酸化膜4とが順次積層され、第1バルブ金属陽極酸化膜3のエッジ部が露出しないようにエッジ保護膜72が設けられた発光体71を製造することができる。
【0061】
なお、図11および図12には、基板2と第1バルブ金属陽極酸化膜3との間に導電膜12を設けた場合を示しているが、導電膜12を介さずに基板2上に第1バルブ金属陽極酸化膜3が直接設けられていても勿論よい。
【0062】
本発明は、上述した様々な実施形態にて実現される本発明の発光体を用いた発光素子も提供する。本発明の発光素子は、好ましくは、上述したいずれかの実施形態の発光体と、発光体の第2バルブ金属陽極酸化膜上に設けられた対向電極とを備える。図13は、本発明の好ましい第1の実施形態の発光素子81を模式的に示す断面図である。発光素子81は、基板2上に導電膜12が設けられ、この導電膜12上に、基板2および導電膜12よりも小さな面積に形成された第1バルブ金属陽極酸化膜52と、第1バルブ金属陽極酸化膜52を覆うように形成された第2バルブ金属陽極酸化膜53とを備える(すなわち、図8に示した本発明の第4の実施形態の発光体51)。図13に示す例の発光素子81は、このような発光体51と、第2バルブ金属陽極酸化膜53上に対向電極82が設けられてなる。このような構成を有する発光素子81は、導電膜12と対向電極82との間に、直流電圧または交流電圧を印加し、第1バルブ金属陽極酸化膜52に含有される発光付活元素を励起することにより、発光が得られる。
【0063】
なお、図13に示した構造を備える発光素子81において、発光体51から基板2を介して光を取り出す場合には、基板2および導電膜12をそれぞれ透光性を有する基板および透明導電膜を用い、対向電極82として光反射性を有する対向電極を好適に用いることができる。この場合、たとえば、透光性を有する基板としては、透明ガラス基板や透明プラスチック基板などを用いることができ、透明導電膜としては、ITO透明導電膜を用いることができる。また、光反射性を有する対向電極としては、たとえば、Al、Cu、Ti、Taなどの金属材料、もしくは、これらの金属からなる合金材料、もしくは、SUSなどの耐食性を有する合金材料を用いることが可能である。
【0064】
また図13に示した構造を備える発光素子81において、発光体51から対向電極82を介して光を取り出す場合には、基板2および導電膜12のいずれかを光反射性を有する材料にて形成し、対向電極82として透光性を有するものを用いる。この場合、たとえば、基板2としてAl基板やSUS基板などの導電性を有する光反射性を有する基板を用い、導電膜12として、たとえばCu、Ti、Taなどの金属材料、もしくは、これらの金属からなる合金材料、もしくは、SUSなどの耐食性を有する合金材料からなる光反射性を有する導電膜を用いることが可能である。透光性を有する対向電極82としては、上述したような透明電極を好適に用いることができる。ここで、光反射性を有する導電膜12としては、第1バルブ金属膜よりも陽極酸化されにくい材料を用いることが好ましい。光反射性を有する導電膜が陽極酸化されることにより導電性が劣化してしまうことを防止するためである。
【0065】
なお、図13には、図8に示した本発明の第4の実施形態の発光体51を用いた場合について示しているが、発光体として、上述したいずれの実施形態の発光体を用いても勿論よい。
【0066】
また本発明の発光素子は、上述したいずれかの実施形態の本発明の発光体と、当該発光体に励起光を照射する励起光源とを備える構成によっても好ましく実現される。このように構成される発光素子によれば、発光体に励起光を照射することで、励起光の波長と異なる波長の光を発する発光素子を実現することができる。図14は、本発明の好ましい第2の実施形態の発光素子91を模式的に示す断面図である。図14示す例では、発光体として図8に示した本発明の第4の実施形態の発光体51を用い、この発光体51に励起光93を照射する光源92とを備える。図14に示す例では、光源92からの励起光93が、第1バルブ金属陽極酸化膜52に含まれる発光不活元素を励起することにより、発光付活元素が励起光93の波長とは異なる発光付活元素特有の発光波長の放射光94を発生する。
【0067】
このような構成で実現される発光素子において、光源92としては特に制限されるものではないが、たとえば半導体レーザまたは発光ダイオードを用いることで、任意の発光色を発光する発光素子を実現することができる。また、光源として波長約410nmの青色レーザを用い、波長500nmの波長の発光を行なうEuなどの発光付活材料を用いた場合には、混合された光を放射光として得ることができる。
【0068】
この場合、励起光93の波長と放射光94の波長とによって決定される混合色発光が実現される。また、発光付活元素として、発光波長の異なる発光付活元素を第1バルブ金属陽極酸化膜に含有させることで、白色発光可能な発光素子を実現することもできる。
【0069】
図14に示した例において、励起光93または放射光94が通過する基板2および導電膜12は、当該励起光93および放射光94が通過可能な透光性を有する基板および透明電極であることが好ましい。なお、図14に示した例では、基板2として透光性を有する基板を用い、基板2側から励起光93を発光体51に入射させる構成を採用しているが、第2バルブ金属陽極酸化膜53側から励起光を入射させる構成とすることも可能である。また、
なお、図14には、図8に示した本発明の第4の実施形態の発光体51を用いた場合について示しているが、発光体として、上述したいずれの実施形態の発光体を用いても勿論よい。また、寸法の大きな発光体を切断したサイズの小さな発光体を光源の近傍に配置することで、小型の発光素子を実現するようにしても勿論よい。
【0070】
図15は、本発明の好ましい第3の実施形態の発光素子101を模式的に示す断面図である。本発明の発光素子は、上述した本発明の発光体を複数積層し、これに励起光を照射する光源を備えるように実現されていてもよい。図15に示す例の発光素子101は、たとえば、3つの本発明の発光体102,103,104が順次積層され、発光体102の基板側から励起光を入射させるように構成された光源92とを備える。これにより、放射光の割合を多くすることが可能であり、発光強度がさらに向上された発光素子を得ることができる。また、発光体を複数積層してなることで、混合色発光における発光色を容易に調整することが可能であり、また、複数積層された各発光体の第1バルブ金属陽極酸化膜に含有される発光付活元素を変えることで、発光色の異なる発光体を容易に形成することが可能となる。
【0071】
図16は、本発明の好ましい第4の実施形態の発光素子111を模式的に示す断面図である。本発明の発光素子は、上述した本発明の発光体と、当該発光体に励起光を照射する光源とを備える構成において、励起光がプラズマ放電により発生する紫外線光であってもよい。これにより、プラズマ放電面積と発光体面積を大きくすることができ、大面積の発光素子とすることができる。
【0072】
図16に示す例の発光素子111は、基板2上に導電膜12が設けられ、当該基板2上に、基板2および導電膜12よりも小さな面積に形成された第1バルブ金属陽極酸化膜52が設けられ、この第1バルブ金属陽極酸化膜52を覆うようにして第2バルブ金属陽極酸化膜53が形成された構造の発光体(すなわち、図8に示した本発明の第4の実施形態の発光体51)と、導電膜12上に第2バルブ金属陽極酸化膜53を側方から挟むようにして設けられた隔壁112と、隔壁112により発光体51と離間して設けられた電極保護膜113、対向電極114および対向基板115とを備える。発光体51の第2バルブ金属陽極酸化膜53側には、この第2バルブ金属陽極酸化膜53、隔壁112および電極保護膜113によって規定された空隙116が形成され、この空隙116には、プラズマ放電ガスが封入されている。このような構成において、基板2としては透光性を有する基板が用いられ、導電膜12としては透明導電膜が用いられる。
【0073】
図16に示す例の発光素子111においては、導電膜12と対向電極114との間に交流電圧を印加することで、空隙部116にプラズマ放電を誘起する。このプラズマ放電により発生する紫外線光が、励起光117として発光体51に照射され、励起光117が、第1バルブ金属陽極酸化膜52に含有される発光付活元素を励起することにより、発光付活元素特有の発光波長の放射光118が発生する。
【0074】
ここで、対向基板115としては、広範囲の波長域で透明度の高いガラス基板やプラスチック基板を用いることが好ましい。また対向電極114としては、たとえば、Al、Ti、Cuなどの金属膜、または、これらの金属を主に含む合金膜などを用いることで、プラズマ放電から発生する紫外線光および発光体から発生する放射光を効率よく反射することができるため、好ましい。また、電極保護膜113としては、対向電極114のプラズマ放電による劣化を防止する観点から、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化チタン、窒化チタン、酸化タンタル、窒化タンタルなどの誘電体膜を用いることが望ましい。隔壁112としては、空隙部116に封入されたガスが漏れ出さないように無機微粒子(たとえば酸化シリコン、酸化アルミナなど)と、バインダー樹脂(たとえばエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂やアクリル系紫外線硬化性樹脂などの光硬化性樹脂など)とで形成されるものを用いることが望ましい。また、空隙部116に封入される放電ガスとしては、有効に紫外線を発生させ得る観点から、NeXe混合ガスやHeXe混合ガスを用いることが好ましい。
【0075】
図16に示す例の発光素子111においても、発光付活元素として、発光波長の異なる複数種の発光付活元素を第1バルブ金属陽極酸化膜52に含有させることにより、白色発光可能な発光素子を実現することができる。また、図16には、図8に示した本発明の第4の実施形態の発光体51を用いた場合について示しているが、発光体として、上述したいずれの実施形態の発光体を用いても勿論よい。また、図15に示した例のように、発光体を複数積層して用いるようにしてもよい。
【0076】
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0077】
<実施例1>
図2に示した製造方法に従って、図1に示した例の本発明の第1の実施形態の発光体1を製造した。
【0078】
まず、厚さ0.5mmの透明ガラス基板2上に、バルブ金属であるAlターゲットと、発光付活元素であるEuを付活するEu23ターゲットとを用いたスパッタリングにより、発光付活元素としてEuを含有する第1バルブ金属膜6を形成した(図2(a))。ここで、第1バルブ金属膜6の厚みは400nmに形成した。また、第1バルブ金属膜6は、5重量%のEuを含有したAl膜となるように、各ターゲットに投入する電力を調整してスパッタリングを行なった。第1バルブ金属膜6を形成した後、バルブ金属であるAlのターゲットを用いたスパッタリングにより、第2バルブ金属膜7を形成した(図2(b))。ここで、第2バルブ金属膜7の厚みは40nmに形成した。
【0079】
次に、図6に示したようにして、第1バルブ金属膜6および第2バルブ金属膜7の陽極酸化を行なった。陽極酸化液としては、25℃、5%シュウ酸水溶液を用い、陰極39を接地電位として、陽極36に+30Vの直流電圧を印加して、陽極酸化電流が流れなくなるまで、すなわち、第1バルブ金属膜6と第2バルブ金属膜7が完全に陽極酸化されるまで酸化処理を行なった。このようにして、図1に示した例の発光体1を製造した。
【0080】
このような発光体1と、当該発光体1に励起光を照射する光源とを組み合わせ、本発明の発光素子を製造した。従来の発光素子では、約50%以上のものに発光強度の低下あるいは発光しないものが存在したが、本発明の構造の発光素子は、80%程度使用可能であった。
【0081】
<実施例2>
図4に示した製造方法に従って、図3に示した例の本発明の第2の実施形態の発光体11を製造した。
【0082】
まず、厚さ0.5mmの透明ガラス基板2上に、膜厚50nmのITO膜からなる導電膜12をスパッタリング法により形成した(図4(a))。次に、該導電膜12上に、バルブ金属であるAlのターゲットと、発光付活元素であるEuを付与するEu23ターゲットとを用いたスパッタリングにより、発光付活元素としてEuを含有する第1バルブ金属膜6を形成した(図4(b))。ここで、第1バルブ金属膜6の膜厚は200nmとした。また、第1バルブ金属膜6は5重量%のEuを含有したAl膜となるように、各ターゲットに投入する電力を調整してスパッタリングを行なった。第1バルブ金属膜6を形成した後、バルブ金属であるAlのターゲットを用いたスパッタリングにより、第2バルブ金属膜7を形成した(図4(c))。ここで、第2バルブ金属膜7の膜厚は40nmとした。その後、実施例1と同様にして陽極酸化を行い、図3に示した例の発光体11を製造した。
【0083】
こうして得られた発光体11の第2バルブ金属陽極酸化膜に、膜厚100nmのAl対向電極をスパッタリングにより形成して、本発明の発光素子を製造した。この構造を用いた発光素子を作製した場合、第1バルブ金属膜の厚さを薄くしても、全面にわたって、陽極酸化が可能であり、低コストで発光素子を作製することが可能となった。さらに、第1バルブ金属陽極酸化膜を薄くできるので、基板に微細な凹凸が形成されている場合であっても、表面形状を保持しながら発光層の形成が可能となる。本実施例の発光素子において、導電膜12および対向電極に電圧を印加することによって、発光付活元素を励起し発光を行なう、電気的発光素子として使用することができる。
【0084】
<実施例3>
基板として、導電性を有する金属および金属酸化物を用いた以外は、実施例1と同様にして、本発明の第3の実施形態の発光体を製造した。このように製造された発光体においても、基板自体に導電性をもたせたため、末端まで陽極酸化を進行させることができ、未酸化膜の残存がなく、安定して発光体を作製することができた。
【0085】
<実施例4>
図9に示した製造方法に従って、図8に示した例の本発明の第4の実施形態の発光体51を製造した。
【0086】
まず、厚さ0.5mmの透明ガラス基板2上に、膜厚20nmのTaからなる導電膜12をスパッタリング法により形成した(図9(a))。次に、該導電膜12上に、バルブ金属であるAlのターゲットと、発光付活元素であるEuを付与するEu23ターゲットとを用いたスパッタリングにより、発光付活元素としてEuを含有する第1バルブ金属膜52を形成した(図9(b))。ここで、第1バルブ金属膜55は、そのエッジ部を含めた側方端部が、基板2および導電膜12よりも5mm程度小さくなるように形成した。第1バルブ金属膜55を形成後、この第1バルブ金属膜55を覆うようにして、バルブ金属であるAlのターゲットを用いたスパッタリングにより、第2バルブ金属膜57を形成した。その後、実施例1と同様にして陽極酸化を行い、図8に示した例の発光体51を製造した。このようにして得られた発光体51は、第1バルブ金属陽極酸化膜52と導電膜12との間の剥離が生じず、より安定に発光体を作製することができた。
【0087】
<実施例5>
図12に示した製造方法に従って、図11に示した例の本発明の第5の実施形態の発光体71を製造した。
【0088】
まず、厚さ0.5mmの透明ガラス基板2上に、膜厚50nmのITO膜からなる導電膜12をスパッタリング法により形成した(図12(a))。次に、該導電膜12上に、バルブ金属であるAlのターゲットと、発光付活元素であるEuを付与するEu23ターゲットとを用いたスパッタリングにより、発光付活元素としてEuを含有する第1バルブ金属膜6を形成した(図12(b))。ここで、第1バルブ金属膜6の膜厚は200nmとした。また、第1バルブ金属膜6は5重量%のEuを含有させたAl膜となるように、各ターゲットに投入する電力を調整してスパッタリングを行なった。第1バルブ金属膜6を形成した後、バルブ金属であるAlのターゲットを用いたスパッタリングにより、第2バルブ金属膜7を形成した(図12(c))。ここで、第2バルブ金属膜7の膜厚は40nmとした。
【0089】
次に、熱硬化性エポキシ樹脂を、基板2、導電膜12、第1バルブ金属膜6および第2バルブ金属7のエッジ部を含む側方端部を覆うように塗布した後、90℃で30分ベークを行ない、エッジ保護膜72を形成した。その後、実施例1と同様にして陽極酸化を行い、図11に示した発光体71を製造した。このような実施例5では、上述した実施例4とは異なり、第1バルブ金属膜を基板および導電膜よりも小さな面積に加工することを要しないため、より安価に発光体を製造することができた。
【0090】
<実施例6>
まず、厚さ1mmのSUS板上に、バルブ金属であるAlのターゲットと、発光付活元素であるEuを付与するEu23ターゲットとを用いたスパッタリングにより、発光付活元素としてEuを含有する第1バルブ金属膜を形成した。
【0091】
その後、バルブ金属であるAlのターゲットを用いたスパッタリングにより、第2バルブ金属膜をSUS基板全面およびSUS基板の端面も含め陽極酸化液に接する箇所全面に形成した。
【0092】
次に、上記サンプルを、実施例1と同様の陽極酸化を行なったが、SUS板全体を陽極酸化液に浸漬するのではなく、第2バルブ金属を形成した部分のみを陽極酸化液に接触されるような方法で行なった。その後、ITOにより構成される透明対向電極を形成することにより、発光素子を作製した。
【0093】
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0094】
紫外光、可視光、電気、電磁波あるいは電子線などのエネルギーを励起エネルギーとして、可視光発光などへエネルギー変換を行い、安価に発光素子を形成する技術であり、イルミネーションや固体照明など発光素子全般に応用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本発明の第1の実施形態の発光体1を模式的に示す断面図である。
【図2】図1に示した例の発光体1を製造する方法を模式的に示す断面図である。
【図3】本発明の第2の実施形態の発光体11を模式的に示す断面図である。
【図4】図3に示した例の発光体11を製造する方法を模式的に示す断面図である。
【図5】バルブ金属の陽極酸化について説明するための図である。
【図6】バルブ金属の陽極酸化について説明するための図である。
【図7】バルブ金属の陽極酸化について説明するための図である。
【図8】本発明の第4の実施形態の発光体51を模式的に示す断面図である。
【図9】図8に示した例の発光体51を製造する方法を模式的に示す断面図である。
【図10】本発明の第5の実施形態の発光体61を模式的に示す断面図である。
【図11】本発明の第6の実施形態の発光体71を模式的に示す断面図である。
【図12】図11に示した例の発光体71を製造する方法を模式的に示す断面図である。
【図13】本発明の第1の実施形態の発光素子81を模式的に示す断面図である。
【図14】本発明の第2の実施形態の発光素子91を模式的に示す断面図である。
【図15】本発明の第3の実施形態の発光素子101を模式的に示す断面図である。
【図16】本発明の第4の実施形態の発光素子111を模式的に示す断面図である。
【図17】特許文献1に開示された従来の製法を示す模式図である。
【図18】特許文献2に開示された従来の製法を示す模式図である。
【図19】図18の製法を一部拡大して示す模式図である。
【符号の説明】
【0096】
1,11,51,61,71 発光体、2 基板、3,52 第1バルブ金属陽極酸化膜、4,53 第2バルブ金属陽極酸化膜、12 導電膜、81,91,101,111 発光素子、82 対向電極、92 光源、93,117 励起光、94,118 放射光。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に、第1バルブ金属陽極酸化膜と、第2バルブ金属陽極酸化膜とが順次設けられた構造を備える発光体であって、前記第1バルブ金属陽極酸化膜が発光付活元素を含有することを特徴とする発光体。
【請求項2】
前記基板と前記第1バルブ金属陽極酸化膜との間に、導電膜が設けられたことを特徴とする請求項1に記載の発光体。
【請求項3】
前記導電膜が透明導電膜であることを特徴とする請求項2に記載の発光体。
【請求項4】
前記基板が導電性を有することを特徴とする請求項1に記載の発光体。
【請求項5】
前記第2バルブ金属陽極酸化膜は、前記第1バルブ金属陽極酸化膜が露出しないように当該第1バルブ金属陽極酸化膜を覆って設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の発光体。
【請求項6】
前記第1バルブ金属陽極酸化膜のエッジ部分が露出しないように、エッジ保護膜が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の発光体。
【請求項7】
基板上に、発光付活元素を含有する第1バルブ金属膜と、第2バルブ金属膜とを順次設け、第1バルブ金属膜と第2バルブ金属膜とを陽極酸化することを特徴とする発光体の製造方法。
【請求項8】
基板上に、導電膜と、発光付活元素を含有する第1バルブ金属膜と、第2バルブ金属膜とを順次設け、第1バルブ金属膜と第2バルブ金属膜とを陽極酸化することを特徴とする発光体の製造方法。
【請求項9】
前記第1バルブ金属膜が露出しないように、当該第1バルブ金属膜を覆うようにして第2バルブ金属膜を設け、第1バルブ金属膜と第2バルブ金属膜とを陽極酸化することを特徴とする請求項7または8に記載の発光体の製造方法。
【請求項10】
請求項1〜6のいずれかに記載の発光体を用いた発光素子。
【請求項11】
請求項1〜6のいずれかに記載の発光体と、当該発光体の第2バルブ金属陽極酸化膜上に設けられた対向電極とを備える、発光素子。
【請求項12】
請求項1〜6のいずれかに記載の発光体と、当該発光体に励起光を照射する励起光源とを備え、発光体に励起光を照射することにより励起光の波長と異なる波長の光を発生し得るものである、発光素子。
【請求項13】
前記発光体が複数積層されてなることを特徴とする請求項12に記載の発光素子。
【請求項14】
前記複数の発光体が発生する光の波長が互いに異なることを特徴とする請求項13に記載の発光素子。
【請求項15】
前記励起光が半導体レーザまたは発光ダイオードから発せられる光であることを特徴とする請求項12に記載の発光素子。
【請求項16】
前記励起光がプラズマ放電により発生する紫外線光であることを特徴とする請求項12に記載の発光素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2007−258004(P2007−258004A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−81029(P2006−81029)
【出願日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】