説明

発光制御部、発光装置、撮像装置及びプログラム

【課題】撮影された画像の画質が低下する。
【解決手段】発光制御部は、撮像装置への操作を受け付ける操作受付部と、前記撮像装置から露光時間の情報を取得する露光時間取得部と、前記操作受付部により操作が受け付けられた場合に、前記露光時間取得部により取得された前記情報が、バルブ撮影又は予め定められた閾値よりも長い露光時間の撮影である長時間露光を示すときは、前記情報がバルブ撮影でなくかつ前記閾値よりも短い露光時間の撮影である短時間露光を示すときよりも小さな単位時間当たりの光量で、前記操作に対応して発光部を露光中に発光させる駆動信号を出力する信号出力部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光制御部、発光装置、撮像装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶モニタ等の発光する発光部を、バルブ撮影又は長時間露光する場合に他の場合と異なる制御を行う技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1]特開2008−35389号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、バルブ撮影等においては、発光部からの光が、撮像素子に受光されてしまうので、撮影された画像の画質が低下するといった課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1の態様においては、撮像装置への操作を受け付ける操作受付部と、前記撮像装置から露光時間の情報を取得する露光時間取得部と、前記操作受付部により操作が受け付けられた場合に、前記露光時間取得部により取得された前記情報が、バルブ撮影又は予め定められた閾値よりも長い露光時間の撮影である長時間露光を示すときは、前記情報がバルブ撮影でなくかつ前記閾値よりも短い露光時間の撮影である短時間露光を示すときよりも小さな単位時間当たりの光量で、前記操作に対応して発光部を露光中に発光させる駆動信号を出力する信号出力部とを備える発光制御部を提供する。
【0005】
本発明の第2の態様においては、上述の前記発光制御部と、前記発光部とを有する発光装置であって、前記発光装置は、前記撮像装置に取り外し可能に取り付けられる発光装置を提供する。
【0006】
本発明の第3の態様においては、上述の前記発光制御部と、撮像した画像を画像表示部に自動再生させる表示制御部を備える前記撮像装置であって、前記表示制御部は、前記バルブ撮影又は前記長時間露光の場合、撮影後の前記自動再生を禁止する撮像装置を提供する。
【0007】
本発明の第4の態様においては、上述の前記発光制御部と、撮像した画像を画像表示部に自動再生させる表示制御部を備える前記撮像装置であって、前記表示制御部は、前記バルブ撮影又は前記長時間露光の場合、前記短時間露光の場合よりも、前記画像表示部の単位時間当たりの光量を小さくさせて画像を自動再生させる撮像装置を提供する。
【0008】
本発明の第5の態様においては、上述の前記発光制御部と、画像信号を記憶させる記憶部と、前記記憶部に前記画像信号を記憶させている間、発光する記憶発光部とを備える撮像装置であって、前記撮像装置は、前記信号出力部は、前記バルブ撮影又は前記長時間露光の場合、前記短時間露光の場合よりも、単位時間当たりの光量が小さい状態で前記記憶発光部を発光させる撮像装置を提供する。
【0009】
本発明の第6の態様においては、上述の前記発光制御部が内蔵されている撮像装置を提供する。
【0010】
本発明の第7の態様においては、コンピュータに発光制御を実行させるプログラムであって、撮像装置への操作を受け付ける操作受付段階と、前記撮像装置から露光時間の情報を取得する露光時間取得段階と、前記操作受付段階で操作が受け付けられた場合に、前記露光時間取得段階で取得された前記情報が、バルブ撮影又は予め定められた閾値よりも長い露光時間の撮影である長時間露光を示すときは、前記情報がバルブ撮影でなくかつ前記閾値よりも短い露光時間の撮影である短時間露光を示すときよりも小さな単位時間当たりの発光量で、前記操作に対応して発光部を露光中に発光させる駆動信号を出力する信号出力段階とをコンピュータに実行させるプログラムを提供する。
【0011】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】撮像システム10の正面図である。
【図2】撮像システム10の背面図である。
【図3】撮像装置12の制御系の全体構成を示すブロック図である。
【図4】リモコン受信機16の制御系を説明するブロック図である。
【図5】リモコン通信による撮影時の発光制御を説明するフローチャートである。
【図6】他の暗発光を説明するグラフである。
【図7】画像表示装置24の自動再生処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0014】
図1は、撮像システム10の正面図である。図2は、撮像システム10の背面図である。図1に矢印で示す上下左右を撮像装置の上下左右方向とする。また、撮像装置が撮影可能な方向、即ち、撮像装置から見て被写体が存在する方向を前方とする。図1及び図2に示すように、撮像システム10は、撮像装置12と、リモコン送信機14と、リモコン受信機16とを備える。
【0015】
撮像装置12は、筐体20と、撮影レンズ22と、画像表示装置24と、撮影を指示するためのレリーズスイッチ26と、画像保存中に点灯するアクセスランプ28と、操作部材30とを備える。撮影レンズ22は、筐体20の前面に設けられている。撮影レンズ22は、被写体像を合焦させる。画像表示装置24の一例は、TFT液晶表示装置である。画像表示装置24は、撮影された画像及び各種の設定をするための設定メニューを表示する。操作部材30は、ユーザによりオン/オフの切り替えを含む種々の操作指示を入力する。
【0016】
リモコン送信機14は、送信ボディ40と、リモコンスイッチ42とを備える。リモコンスイッチ42は、押圧可能に送信ボディ40に設けられている。ユーザがリモコンスイッチ42を押圧すると、リモコン送信機14は、操作に関する信号を赤外光又は電波による無線通信によって送信する。操作に関する信号の一例は、レリーズを開閉させるレリーズコマンドである。
【0017】
リモコン受信機16は、発光装置の一例である。リモコン受信機16は、撮像装置12の前面の左上部に着脱可能に取り付けられる。リモコン受信機16は、受信ボディ44と、発光部の一例である受信ランプ46とを備える。受信ボディ44は、受信ランプ46を保持する。受信ランプ46は、受信ボディ44の上部に設けられている。受信ランプ46は、撮像装置12の前方を含む四方に向けて発光する。受信ランプ46は、例えばリモコン送信機14からレリーズコマンドを受信すると応答確認用のために点灯する。また、受信ランプ46は、シャッターが開いている間、点灯する。受信ランプ46の一例は、発光ダイオードである。
【0018】
図3は、撮像装置12の制御系の全体構成を示すブロック図である。図3に示すように、撮像装置12は、画像処理部50と、撮像制御部52とを有する。
【0019】
画像処理部50は、撮像素子56と、A/D変換器58と、タイミングジェネレータ60と、画像処理回路62と、メモリ64と、イメージメモリ66と、メモリ70と、表示回路74と、リアルタイムクロック76と、画像表示装置24とを有する。
【0020】
撮像素子56は、CCD(Charge Coupled Device)センサ、又は、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサ等の光電変換素子を有する。撮像素子56は、撮影レンズ22によって焦点が結ばれた被写体像を受光する。撮像素子56は、受光した被写体像を光電変換した電気的なアナログ信号をA/D変換器58へと出力する。A/D変換器58は、撮像素子56から入力されたアナログ信号をデジタル信号の画像信号に変換して、画像処理回路62へと出力する。タイミングジェネレータ60は、撮像素子56にタイミング信号を与える。画像処理回路62は、A/D変換器58から入力された画像信号をイメージメモリ66に一時的に保存する。画像処理回路62は、その保存した画像信号に対して各種の画像処理を実行して、画像信号をメモリ70及び表示制御回路へと出力する。画像処理回路62は、画像処理した画像信号をJPEG等のファイル形式に圧縮処理する圧縮回路を含む。メモリ64は、画像処理回路62の動作を決定するデータを記憶する。メモリ64は、不揮発性メモリを有する。
【0021】
イメージメモリ66は、画像処理回路62から入力された複数の画像信号を一時的に保存する。メモリ70は、記憶部の一例であって、画像処理回路62から入力された画像信号を一時的に保存して、撮像装置12に着脱可能に取り付けられる記憶媒体72へと出力して記憶させる。アクセスランプ28は、記憶媒体72に画像信号を記憶させている間、点滅発光する。メモリ70は、不揮発性メモリを有する。表示回路74は、画像処理回路62から入力された画像信号に基づいて、撮影された画像を画像表示装置24に表示させる。また、表示回路74は、バブル撮影及び長時間撮影を含むシャッター速度等を設定するための各種設定メニューを画像表示装置24に表示させる。リアルタイムクロック76は、計時動作を実行して、時間情報を画像処理回路62へと出力する。
【0022】
撮像制御部52は、表示装置78と、シャッター80と、CPU82と、メモリ84と、レリーズスイッチ26と、アクセスランプ28と、操作部材30とを有する。表示装置78は、設定されたシャッター速度、露出等の設定情報を表示する。表示装置78は、画像表示装置24と比較して小型の液晶表示装置を有する。シャッター80は、CPU82から入力される開閉信号によって開閉する。CPU82は、撮像装置12の制御全般を司る。CPU82は、操作部材30によって入力された設定情報をメモリ84に保存する。設定情報の一例は、露光時間である。
【0023】
図4は、リモコン受信機16の制御系を説明するブロック図である。図4に示すように、リモコン受信機16は、受信モジュール92と、受信記憶部93と、電源回路94と、マイクロコンピュータ96と、受信ランプ46への過電流を防止する電流制限抵抗98と、受信ランプ46とを有する。
【0024】
受信モジュール92は、操作受け付け部の一例である。受信モジュール92は、赤外光又は電波による無線通信によってリモコン送信機14からの操作の信号を含む情報を受信する。受信モジュール92は、撮像装置12への操作の一例であるレリーズのコマンドをリモコン送信機14から受信する。尚、受信モジュール92が、レリーズのコマンドであるレリーズコマンド以外の操作コマンドを受信可能にしてもよい。受信モジュール92は、受信したレリーズコマンドをマイクロコンピュータ96へと出力する。
【0025】
受信記憶部93は、発光制御用のプログラム及び設定情報を記憶する。電源回路94は、電力供給線95を介して、撮像装置12から電力供給を受ける。電源回路94は、受けた電力を受信モジュール92、マイクロコンピュータ96、受信記憶部93及び受信ランプ46に電力を供給する。
【0026】
また、マイクロコンピュータ96は、信号伝達線97を介して、情報を入出力可能に撮像装置12のCPU82と接続されている。マイクロコンピュータ96が、CPU82へと出力する情報には、レリーズの開始及び停止を示すレリーズ信号が含まれる。尚、マイクロコンピュータ96は、受信モジュール92からレリーズコマンドが入力されると、レリーズ信号をCPU82へと出力する。マイクロコンピュータ96が、撮像装置12のCPU82から取得する情報の一例は、露光時間及び露光時間閾値の情報である。露光時間の情報は、バルブ撮影である情報を含む。露光時間閾値は、予め定められた閾値の一例である。露光時間閾値の一例は、1秒である。マイクロコンピュータ96は、取得した露光時間の情報がバルブ撮影の情報を含む場合、又は、露光時間が露光時間閾値より長い場合、ユーザによる撮影の設定がバルブ撮影又は長時間露光の撮影と判定する。一方、マイクロコンピュータ96は、取得した露光時間の情報がバルブ撮影の情報を含まず、且つ、露光時間が露光時間閾値より短い場合、ユーザの設定が短時間露光と判定する。
【0027】
マイクロコンピュータ96は、信号出力部の一例である。マイクロコンピュータ96は、受信記憶部93から発光制御用のプログラムを読み込んで実行する。マイクロコンピュータ96は、受信ランプに接続された出力ポートからHレベル、又は、Hレベルよりも低いLレベルの駆動信号を出力することによって、受信ランプ46の制御を行う。これにより、受信ランプ46は、発光を制御される。ここで、マイクロコンピュータ96は、出力ポートをLレベルにすることにより、受信ランプ46が点灯し、出力ポートをHレベルにすることにより受信ランプは消灯する。ここで、出力ポートをLとHで高速に切り換えれば、受信ランプの明るさを変更することができる。
【0028】
マイクロコンピュータ96は、受信モジュール92がリモコン送信機14からレリーズコマンドを受信すると、受信したことを応答するために受信ランプ46を点灯させる。これにより、ユーザは、撮像装置12から離れた位置からリモコン送信機14によってレリーズ信号を送信しても、受信されたことを認識できる。また、マイクロコンピュータ96は、受信モジュール92がレリーズコマンドを受信した場合であって、レリーズ中である場合、当該レリーズに対応させて受信ランプ46を発光させる。これにより、ユーザは、撮像装置12から離れた位置からでもシャッター80が開いて、露光中であることを認識できる。
【0029】
ここで、マイクロコンピュータ96は、バルブ撮影又は長時間露光の場合、出力ポートをHとLに高速に切り換えることで、短時間露光の場合よりも発光強度が小さい暗発光状態で受信ランプ46を発光させる。尚、短時間露光の場合、マイクロコンピュータ96は、出力ポートをLに設定して、バルブ撮影又は長時間露光の場合よりも発光強度の大きい明発光状態で受信ランプ46を発光させる。これにより、レリーズコマンドを受けた旨を示す発光及びレリーズ中を示す発光において、マイクロコンピュータ96は、バルブ撮影又は長時間露光の場合、短時間露光の場合よりも単位時間あたりの光量が小さい状態で受信ランプ46を発光させる。単位時間当たりの光量とは、発光中の光量を積算して、その光量を露光時間で除算した平均光量である。
【0030】
図5は、リモコン通信による撮影時の発光制御を説明するフローチャートである。図5に示すように、リモコン通信による撮影処理では、撮像装置12の電源がオンになると、撮像装置12のCPU82とリモコン受信機16のマイクロコンピュータ96との間で初期通信が実行される(S10)。この初期通信によって、マイクロコンピュータ96は、ユーザに設定されてメモリ84に保存された露光時間、及び、予め設定されている露光時間閾値の情報を取得する。次に、リモコン受信機16のマイクロコンピュータ96が、取得した露光時間の設定がバルブ撮影か否かを判定する(S12)。
【0031】
マイクロコンピュータ96はバルブ撮影と判定すると(S12:Yes)、ステップS16以降の処理を実行する。一方、マイクロコンピュータ96は、露光時間の設定がバルブ撮影でないと判定すると(S12:No)、露光時間が長時間露光か否かを判定する(S14)。具体的には、マイクロコンピュータ96は、CPU82を介してメモリ84に保存された露光時間閾値を取得して、露光時間閾値と設定された露光時間とを比較する。マイクロコンピュータ96は、露光時間閾値よりも設定された露光時間が長ければ、長時間露光と判定する。マイクロコンピュータ96が長時間露光と判定すると(S14:Yes)、マイクロコンピュータ96は、ステップS16以降の処理を実行する。一方、マイクロコンピュータ96は、バルブ撮影及び長時間露光でない、即ち、短時間露光であると判定すると(S14:No)、S34以降の処理を実行する。従って、バルブ撮影又は長時間露光の場合は、マイクロコンピュータ96は、ステップS16以降の処理を実行して、短時間露光である場合、マイクロコンピュータ96は、ステップS34以降の処理を実行する。
【0032】
まず、バルブ撮影又は長時間露光の場合に実行されるステップS16以降について説明する。マイクロコンピュータ96は、レリーズコマンドの待機状態となる(S16)。マイクロコンピュータ96は、受信モジュール92からの入力信号に基づいて、リモコン送信機14からレリーズコマンドを受信したと判定すると(S16:Yes)、受信に対する応答確認用として受信ランプ46を一定時間暗発光させる(S18)。暗発光では、マイクロコンピュータ96は、受信ランプに接続されたポートをHとLレベルに高速に切り換える駆動信号を出力して、受信ランプ46を短時間露光の場合よりも発光強度を下げて点灯させる。これにより、バルブ撮影又は長時間露光では、受信ランプ46の単位時間当たりの光量を短時間露光よりも小さくできる。マイクロコンピュータ96は、CPU82へのレリーズ信号の出力を開始する(S20)。これにより、撮像装置12では、CPU82が、レリーズ信号を受けて、シャッター80を開けて露光を開始する。
【0033】
次に、上述した受信ランプ46の発光制御を変更した例を説明する。例えば、他の点滅発光等によって暗発光を実現させてもよい。暗発光における受信ランプ46の単位時間当たりの光量を明発光における単位時間当たりの光量よりも少なくすればよい。単位時間当たりの光量とは、時間平均した光量である。例えば、単位時間当たりの光量を少なくする方法として、バルブ撮影又は長時間露光の場合、短時間露光の場合よりも単位時間当たりの発光時間が短い状態で受信ランプ46を発光させてもよい。
【0034】
次に、マイクロコンピュータ96は、レリーズ中を示す受信ランプ46の暗発光を開始する(S22)。暗発光では、マイクロコンピュータ96は、受信ランプに接続されたポートをHとLレベルに高速に切り換える駆動信号を出力して、受信ランプ46を短時間露光の場合よりも発光強度を下げて連続点灯させる。
【0035】
次に、マイクロコンピュータ96は長時間露光か否かを判定する(S24)。マイクロコンピュータ96は、設定された露光時間が長時間露光でない、即ち、バルブ撮影であると判定すると(S24:No)、レリーズコマンドの受信待機状態となる(S26)。尚、ここでのレリーズコマンドは、露光を終了させるためにリモコン送信機14によってユーザが送信する操作信号である。マイクロコンピュータ96は、受信モジュール92から入力された入力信号に基づいて、レリーズコマンドを受信したと判定すると(S26:Yes)、CPU82へレリーズの停止を指示するレリーズ信号を出力する(S28)。これにより、撮像装置12では、CPU82がレリーズ信号を受けて、シャッター80を閉じて露光を停止する。この後、マイクロコンピュータ96は、レリーズ中を示す受信ランプ46の暗発光を停止する(S30)。これにより、撮影処理が終了する。
【0036】
一方、マイクロコンピュータ96は、長時間露光であると判定すると(S24:Yes)、露光が終了か否かを判定する(S32)。マイクロコンピュータ96は、露光開始からの経過時間と、取得した露光時間とを比較して、露光の終了を判定する。尚、マイクロコンピュータ96は、CPU82から露光が終了した旨の信号を取得して、露光の終了を判定してもよい。マイクロコンピュータ96は露光が終了したと判定すると(S32:Yes)、ポートをHにして、レリーズ中を示す受信ランプ46の暗発光を停止する(S30)。これにより、撮影処理が終了する。
【0037】
次に、短時間露光において実行されるステップS34以降について説明する。マイクロコンピュータ96は、レリーズコマンドを受信したと判定すると(S34:Yes)、受信に対する応答として受信ランプ46を明発光させる(S36)。尚、明発光では、マイクロコンピュータ96は、Lレベルの駆動信号を出力して、暗発光の場合よりも受信ランプ46の発光強度を上げて一定時間点灯させる。
【0038】
マイクロコンピュータ96は、CPU82へのレリーズ信号の出力を開始するとともに(S38)、レリーズ中を示す明発光を開始する(S40)。明発光では、マイクロコンピュータ96は、Lレベルの駆動信号を出力して、暗発光の場合よりも受信ランプ46の発光強度を上げて連続点灯させる。マイクロコンピュータ96は、露光終了か否かを判定する(S42)。マイクロコンピュータ96は、露光が終了したと判定すると(S42:Yes)、Hレベルの駆動信号を出力して、レリーズ中を示す明発光を停止する(S44)。これにより、撮影処理が終了する。
【0039】
上述したように、リモコン受信機16では、マイクロコンピュータ96が、バルブ撮影又は長時間露光の場合、受信ランプ46の発光強度を下げた状態で暗発光させる。これにより、星の撮影等で暗い場所でバルブ撮影又は長時間露光する場合であっても、受信ランプ46の光及びその光が周りで反射されて撮像素子56に受光されることによる撮影画像の画質の低下を抑制できる。また、一般に暗い状況で行われるバルブ撮影又は長時間露光において、ユーザが眩しさを感じることを抑制しつつ、受信ランプ46の光及びその光の反射光による周りのユーザへの影響を抑制できる。
【0040】
一方、短時間露光では、明発光させることにより、ユーザは露光時間に合わせて短い時間点灯する受信ランプ46の光を暗い状態でも認識できる。これにより、ユーザは、暗い場所で短時間露光させても、昼間の明るい状態と同様に、レリーズが開いたことを認識できる。
【0041】
図6は、他の暗発光を説明するグラフである。図6において、上のグラフが明発光を示し、下のグラフが暗発光を示す。マイクロコンピュータ96の出力ポートがLの時は受信ランプ46は常時点灯し、最も明るい。マイクロコンピュータ96の出力ポートがHの時は受信ランプ46は消灯する。従ってHとLを高速に繰り返すことで、明るさを変えられる。Hの期間が長ければ暗くなる。
【0042】
図6に示す発光制御では、明発光及び暗発光の発光及び消灯の周期、即ち点滅の周期は同じである。また、明発光及び暗発光における発光時の受信ランプ46の発光強度は等しいとする。図6に示す発光制御では、暗発光において、1周期における出力ポートがHの時間を明発光よりも長くしている。このため、暗発光では、点滅の1周期当たりの消灯時間が明発光における発光時間よりも長くなる。これにより、暗発光における単位時間当たりの光量は、明発光における単位時間当たりの光量よりも小さくなる。この結果、バルブ撮影又は長時間撮影において暗発光を実行することにより、画質の劣化を抑制できる。更に、この発光制御は、発光強度を変更する場合に比べて、受信ランプ46のオンとオフとを切り替えることによって実現できる。これにより、リモコン受信機16の構成を複雑化することなく、マイクロコンピュータ96の制御により実現できる。
【0043】
マイクロコンピュータ96が、1周期の発光時間を等しくしつつ、バルブ撮影又は長時間露光の場合、短時間露光の場合よりも、受信ランプ46の点滅の周期を長くするように構成してもよい。別の例では、受信ランプ46を連続して点灯させつつ、バルブ撮影又は長時間露光の場合、受信ランプ46の発光強度を、短時間露光の場合の発光強度よりも小さくしてもよい。別の例では、明発光では連続点灯させて、暗発光では点滅発光させてもよい。更に、レリーズコマンドを受信した旨の応答時の発光に上述した発光制御を適用してもよい。
【0044】
上述した実施形態では、リモコン受信機16を撮像装置12に着脱可能に構成したが、リモコン受信機16の一部、例えば、マイクロコンピュータ96を撮像装置12に内蔵させてもよい。この場合、マイクロコンピュータ96とCPU82とを一体化してもよい。
【0045】
バルブ撮影又は長時間撮影において、他の発光部を短時間撮影と異なる制御をしてもよい。他の発光部は、リモコン受信機16等の外付けのアクセサリ部品の発光部であってもよく、撮像装置12の発光部であってもよい。異なる制御を実行させる発光部の例は、画像表示装置24、表示装置78、アクセスランプ28である。例えば、CPU82は、バルブ撮影又は長時間露光の場合、短時間露光の場合よりも、単位時間当たりの光量が小さい状態で、記憶発光部の一例であるアクセスランプ28を発光させる。この場合、CPU82が、信号出力部の一部として機能する。また、撮影レンズ22をズームさせるズーム信号を受信した場合に発光する発光部、セルフタイマー用の発光部、ピント用のAF補助光を発光する発光部に、バルブ撮影又は長時間撮影において、異なる制御を適用してもよい。更に、発光部は、前方以外の後方、上方、下方、横方向に発光してもよい。
【0046】
異なる制御の一例として画像表示装置24の自動再生制御について説明する。図7は、画像表示装置24の自動再生処理のフローチャートである。尚、自動再生処理とは、画像の撮影後、CPU82が、表示回路74を介して、撮影した画像を画像表示装置24に自動で再生する制御のことである。CPU82は、表示制御部の一例である。
【0047】
図7に示すように、CPU82は、バルブ撮影か否か、及び、長時間露光か否かを判定する(S50、S52)。CPU82は、バルブ撮影でもなく、長時間撮影でもない、即ち、短時間露光であると判定すると(S50:No、S52:No)、メモリ84に保存されている設定情報に基づいて、撮影後の自動再生がONに設定されているか否かを判定する(S54)。CPU82は、自動再生がONに設定されていると判定すると(S54:Yes)、表示回路74を介して、撮影された画像を画像表示装置24に自動で表示させる(S56)。
【0048】
CPU82は、メモリ84に設定された再生時間に基づいて、再生されている画像の再生が終了か否かを判定する(S58)。CPU82は、再生終了と判定すると(S58:Yes)、再生を終了する(S60)。これにより、自動再生処理は、終了する。
【0049】
一方、CPU82が、露光設定がバルブ撮影又は長時間撮影のいずれかであると判定すると(S50:Yes、S52:Yes)、自動再生処理を終了する。即ち、CPU82は、露光設定がバルブ撮影又は長時間露光である場合、撮影後の自動再生を禁止する。これにより、バルブ撮影又は長時間撮影においては、画像が自動再生されないので、再生されている画像の光による撮影中の画像の劣化を抑制できる。尚、自動再生がONに設定されていない場合、当然に、自動再生は実行されない。
【0050】
また、上述の実施形態では、バルブ撮影又は長時間露光の場合、自動再生を禁止する例を示したが、CPU82が、バルブ撮影又は長時間露光の場合、短時間露光の場合よりも、画像表示装置24の単位時間あたりの光量を小さくさせて画像を自動再生させてもよい。
【0051】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0052】
特許請求の範囲、明細書、及び図面中において示した装置、システム、プログラム、及び方法における動作、手順、ステップ、及び段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、及び図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0053】
10 撮像システム
12 撮像装置
14 リモコン送信機
16 リモコン受信機
20 筐体
22 撮影レンズ
24 画像表示装置
26 レリーズスイッチ
28 アクセスランプ
30 操作部材
40 送信ボディ
42 リモコンスイッチ
44 受信ボディ
46 受信ランプ
50 画像処理部
52 撮像制御部
56 撮像素子
58 A/D変換器
60 タイミングジェネレータ
62 画像処理回路
64 メモリ
66 イメージメモリ
70 メモリ
72 記憶媒体
74 表示回路
76 リアルタイムクロック
78 表示装置
80 シャッター
82 CPU
84 メモリ
92 受信モジュール
93 受信記憶部
94 電源回路
95 電力供給線
96 マイクロコンピュータ
97 信号伝達線
98 電流制限抵抗

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像装置への操作を受け付ける操作受付部と、
前記撮像装置から露光時間の情報を取得する露光時間取得部と、
前記操作受付部により操作が受け付けられた場合に、前記露光時間取得部により取得された前記情報が、バルブ撮影又は予め定められた閾値よりも長い露光時間の撮影である長時間露光を示すときは、前記情報がバルブ撮影でなくかつ前記閾値よりも短い露光時間の撮影である短時間露光を示すときよりも小さな単位時間当たりの光量で、前記操作に対応して発光部を露光中に発光させる駆動信号を出力する信号出力部と
を備える発光制御部。
【請求項2】
前記信号出力部は、前記バルブ撮影又は前記長時間露光の場合、前記短時間露光の場合よりも、単位時間当たりの発光時間が短い状態で前記発光部を点滅させる
請求項1に記載の発光制御部。
【請求項3】
前記信号出力部は、前記バルブ撮影又は前記長時間露光の場合、前記短時間露光の場合よりも、点滅の1周期当たりの発光時間が短く前記発光部を点滅させる
請求項2に記載の発光制御部。
【請求項4】
前記信号出力部は、前記バルブ撮影又は前記長時間露光の場合、前記短時間露光の場合よりも、点滅の周期を長くする
請求項2又は3に記載の発光制御部。
【請求項5】
前記信号出力部は、前記バルブ撮影又は前記長時間露光の場合、前記短時間露光の場合よりも、発光強度が小さい状態で前記発光部を連続して発光させる
請求項1から4のいずれか1項に記載の発光制御部。
【請求項6】
前記信号出力部は、前記バルブ撮影又は前記長時間露光の場合、前記短時間露光の場合よりも、単位時間当たりの光量が小さい状態で、前記操作を受けた旨を示す発光を前記発光部にさせる
請求項1から5のいずれか1項に記載の発光制御部。
【請求項7】
前記発光部は、前記撮像装置の前方に発光する
請求項1から6のいずれか1項に記載の発光制御部。
【請求項8】
前記操作受付部が受け付ける前記操作はレリーズを開閉させるレリーズコマンドである
請求項1から7のいずれか1項に記載の発光制御部。
【請求項9】
前記操作受付部は、無線通信によって操作を受け付ける
請求項1から8のいずれか1項に記載の発光制御部。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載の前記発光制御部と、
前記発光部と
を有する発光装置であって、
前記発光装置は、前記撮像装置に取り外し可能に取り付けられる
発光装置。
【請求項11】
請求項1から9のいずれか1項に記載の前記発光制御部と、
撮像した画像を画像表示部に自動再生させる表示制御部を備える前記撮像装置であって、
前記表示制御部は、前記バルブ撮影又は前記長時間露光の場合、撮影後の前記自動再生を禁止する撮像装置。
【請求項12】
請求項1から9のいずれか1項に記載の前記発光制御部と、
撮像した画像を画像表示部に自動再生させる表示制御部を備える前記撮像装置であって、
前記表示制御部は、前記バルブ撮影又は前記長時間露光の場合、前記短時間露光の場合よりも、前記画像表示部の単位時間当たりの光量を小さくさせて画像を自動再生させる撮像装置。
【請求項13】
請求項1から9のいずれか1項に記載の前記発光制御部と、
画像信号を記憶させる記憶部と、
前記記憶部に前記画像信号を記憶させている間、発光する記憶発光部とを備える撮像装置であって、
前記撮像装置は、
前記信号出力部は、前記バルブ撮影又は前記長時間露光の場合、前記短時間露光の場合よりも、単位時間当たりの光量が小さい状態で前記記憶発光部を発光させる撮像装置。
【請求項14】
請求項1から9のいずれか1項に記載の前記発光制御部が内蔵されている
撮像装置。
【請求項15】
コンピュータに発光制御を実行させるプログラムであって、
撮像装置への操作を受け付ける操作受付段階と、
前記撮像装置から露光時間の情報を取得する露光時間取得段階と、
前記操作受付段階で操作が受け付けられた場合に、前記露光時間取得段階で取得された前記情報が、バルブ撮影又は予め定められた閾値よりも長い露光時間の撮影である長時間露光を示すときは、前記情報がバルブ撮影でなくかつ前記閾値よりも短い露光時間の撮影である短時間露光を示すときよりも小さな単位時間当たりの発光量で、前記操作に対応して発光部を露光中に発光させる駆動信号を出力する信号出力段階と
をコンピュータに実行させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−55482(P2013−55482A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−191896(P2011−191896)
【出願日】平成23年9月2日(2011.9.2)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】