説明

発光素子、電子デバイスおよび電子機器

【課題】高輝度で赤色発光し得るとともに、長寿命化を図ることができる発光素子、この発光素子を備えた信頼性の高い露光ヘッドおよび画像形成装置を提供すること。
【解決手段】発光素子74は、陰極748と、陽極741と、陰極748と陽極741との間に設けられ、赤色に発光する赤色発光材料を含んで構成された発光層744と、発光層744と陰極748との間に設けられ、含窒素化合物である第1の電子輸送材料を含んで構成された第1の電子輸送層746と、発光層744と第1の電子輸送層746との間でこれらに接するように設けられ、第1の電子輸送材料とは異なるガラス転移温度が150℃以上の第2の電子輸送材料を含んで構成された第2の電子輸送層745とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光素子、電子デバイスおよび電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
有機エレクトロルミネセンス素子(いわゆる有機EL素子)は、陽極と陰極との間に少なくとも1層の発光層を介挿した構造を有する発光素子である。このような発光素子では、陰極と陽極との間に電界を印加することにより、発光層に陰極側から電子が注入されるとともに陽極側から正孔が注入され、発光層中で電子と正孔が再結合することにより励起子が生成し、この励起子が基底状態に戻る際に、そのエネルギー分が光として放出される。
このような有機EL素子を、画像形成装置が備える露光装置(露光ヘッド)が有する発光素子に適用することが提案されている。
【0003】
より具体的には、電子写真方式を用いる複写機、プリンター等の画像形成装置は、回転する感光体の外表面を露光処理して静電潜像を形成する露光装置を備えている。そして、かかる露光装置として、複数の発光素子を感光体の回転軸線方向に配列した構造を有する露光ヘッドが知られており(例えば、特許文献1参照)、この露光ヘッドが有する発光素子に、有機EL素子を用いることが提案されている。
【0004】
ところで、露光ヘッド用の発光素子としては、例えば発光のピークが600nmの波長の光を用いる場合には20000cd/m以上の発光強度が望ましく、寿命(輝度が10%減衰するまでの時間)は1000時間以上であることが要求されている。
従来、高効率および長寿命で赤色発光する有機EL素子としては、ナフタセン誘導体およびジインデノペリレン誘導体を用いて発光層を形成したものが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
しかし、特許文献2にかかる有機EL素子は、前述したような露光ヘッド用の発光素子に要求される寿命特性を得るには不十分であった。
また、有機EL素子の寿命特性の問題は、有機EL素子を露光ヘッドのような電子デバイスに適用した場合に限らず、表示装置のような電子デバイスに適用した場合にも同様に生じている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平2−4546号公報
【特許文献2】特許第4024009号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、高輝度で発光し得るとともに、長寿命化を図ることができる発光素子、この発光素子を備えた信頼性の高い電子デバイスおよび電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の発光素子は、陰極と、
陽極と、
前記陰極と前記陽極との間に設けられ、電圧の印加により発光する発光層と、
前記発光層と前記陰極との間に設けられ、含窒素化合物である第1の電子輸送材料を含んで構成された第1の電子輸送層と、
前記発光層と前記第1の電子輸送層との間に設けられ、前記第1の電子輸送材料とは異なるガラス転移温度が150℃以上の第2の電子輸送材料を含んで構成された第2の電子輸送層とを有することを特徴とする。
これにより、発光素子は、高輝度で発光するとともに、長寿命化が図られたものとなる。
【0009】
本発明の発光素子では、前記第2の電子輸送材料は、トリス(8−キノリノラト)アルミニウムであることが好ましい。
これにより、発光層と第2の電子輸送層との界面で電子が滞留することに起因して、この界面付近が加熱されたとしても、第2の電子輸送材料の変質・劣化を的確に抑制または防止することができる。
【0010】
本発明の発光素子では、前記第2の電子輸送層は、主として前記第2の電子輸送材料で構成され、その厚さが、2nm以上、7nm以下であることが好ましい。
これにより、第1の電子輸送層が有する電子輸送性を阻害することなく、発光素子の耐久性を確実に向上させることができる。
本発明の発光素子では、前記第2の電子輸送層は、前記第2の電子輸送材料とは異なる第3の電子輸送材料を含んでいることが好ましい。
これにより、第2の電子輸送層に第3の電子輸送材料が備える特性を付与することができる。
【0011】
本発明の発光素子では、前記第2の電子輸送層は、主として前記第2の電子輸送材料および第3の電子輸送材料で構成され、その厚さが、2nm以上、10nm以下であることが好ましい。
これにより、第1の電子輸送層が有する電子輸送性を阻害することなく、発光素子の耐久性を確実に向上させることができるとともに、第2の電子輸送材料および第3の電子輸送材料の双方が有する特性を確実に発揮させることができる。
【0012】
本発明の発光素子では、前記第3の電子輸送材料は、前記第1の電子輸送材料と、同種または同一であることが好ましい。
第3の電子輸送材料として、第1の電子輸送材料と、同種または同一の電子輸送材料を選択して、例えば、電子輸送性がよりも高いのを選択すれば、第2の電子輸送層における電子輸送性をより向上させることができる。
【0013】
本発明の発光素子では、前記発光層は、赤色に発光し、主として赤色に発光する赤色発光材料で構成され、
前記赤色発光材料は、ジインデノペリレン誘導体であることが好ましい。
これにより、発光層をより高輝度で赤色発光させることができ、このように、高輝度で発光する発光素子に、本発明が好適に適用される。
【0014】
本発明の発光素子では、さらに前記発光層は、ナフタセン誘導体を含んで構成されていることが好ましい。
特に、赤色発光材料としてジインデノペリレン誘導体を用いる場合、このように発光層がナフタセン誘導体を含んで構成されていると、発光層をより高輝度かつ高効率で赤色発光させることができる。
【0015】
本発明の発光素子では、前記第1の電子輸送層は、アザインドリジン誘導体またはフェナントロリン誘導体を含んで構成されていることが好ましい。
これにより、第1の電子輸送層の電子輸送性を優れたものとすることができる。その結果、発光素子の高効率化を図ることができる。
本発明の電子デバイスは、発光素子を備えることを特徴とする。
これにより、耐久性に優れ信頼性の高い電子デバイスを得ることができる。
本発明の電子機器は、電子デバイスを備えることを特徴とする。
これにより、信頼性の高い電子機器を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態にかかる画像形成装置の全体構成を示す概略図である。
【図2】図1に示す画像形成装置に備えられた露光ヘッドの部分断面斜視図である。
【図3】図2中のA−A線断面図である。
【図4】図2に示す露光ヘッドを平面視したときのレンズと発光素子との位置関係を示す図である。
【図5】図2に示す露光ヘッドに備えられた発光素子の縦断面を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の発光素子、電子デバイスおよび電子機器を添付図面に示す好適な実施形態について説明する。
まず、本発明の発光素子を説明するのに先立って、本発明の電子機器について説明する。なお、以下では、本発明の電子機器を画像形成装置に適用した場合を一例に説明する。
(画像形成装置)
図1は、本発明の実施形態にかかる画像形成装置の全体構成を示す概略図、図2は、図1に示す画像形成装置に備えられた露光ヘッドの部分断面斜視図、図3は、図2中のA−A線断面図、図4は、図2に示す露光ヘッドを平面視したときのレンズと発光素子との位置関係を示す図、図5は、図2に示す露光ヘッドに備えられた発光素子の縦断面を模式的に示す図である。なお、以下では、説明の便宜上、図1〜図3および図5中の上側を「上」、下側を「下」とも言う。
【0018】
図1に示す画像形成装置1は、帯電工程・露光工程・現像工程・転写工程・定着工程を含む一連の画像形成プロセスによって画像を記録媒体Pに記録する電子写真方式のプリンターである。本実施形態では、画像形成装置1は、いわゆるタンデム方式を採用するカラープリンターである。
このような画像形成装置1は、図1に示すように、帯電工程・露光工程・現像工程のための画像形成ユニット10と、転写工程のための転写ユニット20と、定着工程のための定着ユニット30と、紙などの記録媒体Pを搬送するための搬送機構40と、この搬送機構40に記録媒体Pを供給する給紙ユニット50とを有している。
【0019】
画像形成ユニット10は、イエローのトナー像を形成する画像形成ステーション10Yと、マゼンタのトナー像を形成する画像形成ステーション10Mと、シアンのトナー像を形成する画像形成ステーション10Cと、ブラックのトナー像を形成する画像形成ステーション10Kとの4つの画像形成ステーションを備えている。
4つの画像形成ステーション10Y、10C、10M、10Kは、それぞれ、静電的な潜像を担持する潜像担持体である感光ドラム(感光体)11を有している。そして、各感光ドラム11の周囲(外周側)には、その回転方向に沿って、帯電ユニット12、露光ヘッド(露光ユニット)13、現像装置14、クリーニングユニット15が配設されている。なお、各画像形成ステーション10Y、10C、10M、10Kは、用いるトナーの色が異なる以外は、ほぼ同じ構成である。
【0020】
感光ドラム11は、全体形状が円筒状をなし、その軸線まわりに図1中矢印方向に回転可能となっている。そして、感光ドラム11の外周面(円筒面)付近には、有機感光体(OPC)、アモルファスシリコン(α−Si)等で構成された感光層(図示せず)が設けられている。このような感光ドラム11の外周面は、露光ヘッド13からの光L(出射光)を受光する受光面111を有している(図2参照)。
【0021】
帯電ユニット12は、コロナ帯電などにより感光ドラム11の受光面111を一様に帯電させるものである。
露光ヘッド13は、図示しないパーソナルコンピュータなどのホストコンピュータから画像情報を受け、これに応じて、感光ドラム11の受光面111に向けて光Lを照射するものである。一様に帯電された感光ドラム11の受光面111に光Lが照射されると、その光Lの照射パターンに対応した潜像(静電潜像)が受光面111上に形成される。なお、露光ヘッド13の構成については、後に詳述する。
【0022】
現像装置14は、トナーを貯留する貯留部(図示せず)を有しており、当該貯留部から、静電的な潜像を担持する感光ドラム11の受光面111にトナーを供給し、付与する。これにより、感光ドラム11上の潜像がトナー像として可視化(現像)される。
クリーニングユニット15は、感光ドラム11の受光面111に当接するゴム製のクリーニングブレード151を有し、後述する1次転写後の感光ドラム11上に残存するトナーをクリーニングブレード151により掻き落として除去するようになっている。
【0023】
転写ユニット20は、前述したような各画像形成ステーション10Y、10M、10C、10Kの感光ドラム11上に形成された各色のトナー像を一括して記録媒体Pに転写するようになっている。
このような4つの画像形成ステーション10Y、10C、10M、10Kでは、それぞれ、感光ドラム11が1回転する間に、帯電ユニット12による感光ドラム11の受光面111の帯電と、露光ヘッド13による受光面111の露光と、現像装置14による受光面111へのトナーの供給と、後述する1次転写ローラ22との圧着による中間転写ベルト21への1次転写と、クリーニングユニット15による受光面111のクリーニングとが順次行なわれる。
【0024】
転写ユニット20は、エンドレスベルト状の中間転写ベルト21を有し、この中間転写ベルト21は、複数(図1に示す構成では4つ)の1次転写ローラ22と駆動ローラ23と従動ローラ24とで張架されており、駆動ローラ23の回転により、図1に示す矢印方向に、感光ドラム11の周速度とほぼ同じ周速度で回転駆動される。
複数の1次転写ローラ22は、それぞれ、対応する感光ドラム11に中間転写ベルト21を介して対向配設されており、感光ドラム11上の単色のトナー像を中間転写ベルト21に転写(1次転写)するようになっている。この1次転写ローラ22は、1次転写時に、トナーの帯電極性とは逆の極性の1次転写電圧(1次転写バイアス)が印加される。
【0025】
中間転写ベルト21上には、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのうちの少なくとも1色のトナー像が担持される。例えば、フルカラー画像の形成時には、中間転写ベルト21上に、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のトナー像が順次重ねて転写されて、フルカラーのトナー像が中間転写像として形成される。
また、転写ユニット20は、中間転写ベルト21を介して駆動ローラ23に対向配設される2次転写ローラ25と、中間転写ベルト21を介して従動ローラ24に対向配設されるクリーニングユニット26とを有している。
【0026】
2次転写ローラ25は、中間転写ベルト21上に形成された単色あるいはフルカラーなどのトナー像(中間転写像)を、給紙ユニット50から供給される紙、フィルム、布等の記録媒体Pに転写(2次転写)するようになっている。2次転写ローラ25は、2次転写時に、中間転写ベルト21に押圧されるとともに2次転写電圧(2次転写バイアス)が印加される。このような2次転写時には、駆動ローラ23は、2次転写ローラ25のバックアップローラとしても機能する。
【0027】
クリーニングユニット26は、中間転写ベルト21の表面に当接するゴム製のクリーニングブレード261を有し、2次転写後の中間転写ベルト21上に残存するトナーをクリーニングブレード261により掻き落として除去するようになっている。
定着ユニット30は、定着ローラ301と、定着ローラ301に圧接される加圧ローラ302とを有しており、定着ローラ301と加圧ローラ302との間を記録媒体Pが通過するよう構成されている。また、定着ローラ301は、その内側に当該定着ローラの外周面を加熱するヒータが内蔵されており、通過する記録媒体Pを加熱および加圧することができる。このような構成の定着ユニット30より、トナー像の2次転写を受けた記録媒体Pを加熱および加圧して、トナー像を記録媒体Pに融着させて永久像として定着する。
【0028】
搬送機構40は、前述した2次転写ローラ25と中間転写ベルト21との間の2次転写部へ給紙タイミングを計りつつ記録媒体Pを搬送するレジストローラ対41と、定着ユニット30での定着処理済みの記録媒体Pを挟持搬送する搬送ローラ対42、43、44とを有している。
このような搬送機構40は、記録媒体Pの一方の面のみに画像形成を行う場合には、定着ユニット30によって一方の面に定着処理された記録媒体Pを搬送ローラ対42により挟持搬送して、画像形成装置1の外部へ排出する。また、記録媒体Pの両面に画像形成する場合には、定着ユニット30によって一方の面に定着処理された記録媒体Pを一旦搬送ローラ対42により挟持した後に、搬送ローラ対42を反転駆動するとともに、搬送ローラ対43、44を駆動して、当該記録媒体Pを表裏反転してレジストローラ対41へ帰還させ、前述と同様の動作により、記録媒体Pの他方の面に画像を形成する。
給紙ユニット50は、未使用の記録媒体Pを収容する給紙カセット51と、給紙カセット51から記録媒体Pを1枚ずつレジストローラ対41へ向け給送するピックアップローラ52とを備えている。
【0029】
(露光ヘッド)
ここで、露光ヘッド13について詳述する。なお、以下では、説明の都合上、前述した感光ドラム11の軸線方向(第1の方向)を「主走査方向」、感光ドラム11の受光面111の露光ヘッド13との対向部付近の移動方向に平行な方向(第2の方向)を「副走査方向」と言う。
【0030】
露光ヘッド13は、感光ドラム11の受光面111に対向して配置されている。
この露光ヘッド13は、レンズアレイ(第1のレンズアレイ)6’と、スペーサ84、レンズアレイ(第2のレンズアレイ)6と、遮光部材(第1の遮光部材)82と、絞り部材(開口絞り)83と、遮光部材(第2の遮光部材)81と、発光素子アレイ7とを有し、これらの部材がケーシング9内に収納されている。
【0031】
この露光ヘッド13では、発光素子アレイ7から出射した光Lが、絞り部材83で絞られた後に、レンズアレイ6’およびレンズアレイ6をこの順で通過し、感光ドラム11の受光面111に照射される。
図2に示すように、レンズアレイ6およびレンズアレイ6’は、それぞれ、外形が長尺状をなす板状体で構成されている。
【0032】
図3に示すように、レンズアレイ6の光Lが入射する下面(入射面)には、複数のレンズ面(凸曲面)62が形成されている。一方、レンズアレイ6の光Lが出射する上面(出射面)は、平坦面となっている。
すなわち、レンズアレイ6では、光Lの入射側の面を凸曲面とし、光Lの出射側の面を平面とする平凸レンズであるレンズ64が複数配置されている。ここで、レンズアレイ6の各レンズ64以外の部分は、各レンズ64を支持する支持部65を構成する。
【0033】
同様に、レンズアレイ6’の光Lが入射する下面(入射面)には、前述した複数のレンズ面62に対応して、複数のレンズ面(凸曲面)62’が形成されている。一方、レンズアレイ6’の光Lが出射する上面(出射面)は、平坦面となっている。
すなわち、レンズアレイ6’では、光Lの入射側の面を凸曲面とし、光Lの出射側の面を平面とする平凸レンズであるレンズ64’が複数配置されている。ここで、レンズアレイ6’の各レンズ64’以外の部分は、各レンズ64’を支持する支持部65’を構成する。
そして、対応する1対のレンズ64およびレンズ64’は、対応する発光素子群71の各発光素子74から放射された光を結像する結像光学系60を構成する。
【0034】
以下、レンズ64の配置について説明する。なお、レンズ64’の配置(平面視での配置)については、レンズ64の配置と同様であるので、その説明を省略する。
図4に示すように、レンズ64は、主走査方向(第1の方向)に複数列配置されるとともに、主走査方向およびレンズ64の光軸方向のそれぞれに直交する副走査方向(第2の方向)に複数行配置されている。
【0035】
より具体的には、複数のレンズ64は、3行n列(nは2以上の整数)の行列状に配置されている。なお、以下、1つの列(レンズ列)に属する3つのレンズ64のうち、中央に位置するレンズ64を「レンズ64b」と言い、それに対して図3中左側(図4中上側)に位置するレンズ64を「レンズ64a」と言い、図3中右側(図4中下側)に位置するレンズ64を「レンズ64c」と言う。また、レンズ64と対をなすレンズ64’について、レンズ64aに対応するレンズ64’を「レンズ64a’」と言い、レンズ64bに対応するレンズ64’を「レンズ64b’」と言い、レンズ64cに対応するレンズ64’を「レンズ64c’」と言う。
【0036】
本実施形態では、1つの列に属する複数のレンズ64(64a〜64c)のうち、副走査方向の中心側に最も近い位置のレンズ64bが、感光ドラム11の受光面111に対し、最も近い位置になるように露光ヘッド13が画像形成装置1に設置される。これにより、複数のレンズ64の光学的特性の設定が容易となる。
また、図3および図4に示すように、各レンズ列では、それぞれ、レンズ64a〜64cが順に主走査方向(図4中右方向)に等距離ずつずれて配置されている。すなわち、各レンズ列では、それぞれ、レンズ64a〜64cの各レンズ中心同士を結ぶ線が主走査方向および副走査方向に対して所定角度傾斜している。
【0037】
図3に示す断面でみたときに、1つのレンズ列に属する3つのレンズ64、すなわちレンズ64a〜64cでは、レンズ64aとレンズ64cとは、それらの光軸601同士がレンズ64bの光軸601を介して対称的に配置さている。また、レンズ64a〜64cは、互いの光軸601が平行となるように配置されている。
このようなレンズアレイ6、6’の構成材料としては、前述したような光学特性を発揮することができるものであれば、特に限定されないが、例えば、樹脂材料および/またはガラス材料が好適に用いられる。
【0038】
図2、図3に示すように、レンズアレイ6とレンズアレイ6’との間には、スペーサ84が設置されている。そして、レンズアレイ6とレンズアレイ6’とは、スペーサ84を介して接合されている。
スペーサ84は、レンズアレイ6とレンズアレイ6’との間の距離であるギャップ長を規制する機能を有している。
【0039】
スペーサ84の厚さを調整することで、レンズ64とレンズ64’との離間距離を所望の値に調整することができる。
このスペーサ84は、レンズアレイ6の外周部とレンズアレイ6’の外周部とにそれぞれ対応するように枠状をなし、これらの外周部のそれぞれに接合されている。なお、スペーサ84は、前述した機能を発揮することができるものであれば、前述した枠状のものに限定されず、例えば、レンズアレイ6、6’の外周部のうちの互いに対向する1つの辺に対応する部分のみに対応するように1対の部材で構成されていてもよいし、後述する遮光部材81、83のように板状部材に光路に対応した貫通孔を形成した構成であってもよい。
【0040】
このようなスペーサ84の構成材料としては、前述したような機能を発揮することができるものであれば、特に限定されず、樹脂材料、金属材料、ガラス材料、セラミックス材料などを用いることができる。
図3に示すように、レンズアレイ6の光Lの入射側には、遮光部材82、絞り部材83および遮光部材81を介して、発光素子アレイ7が設置されている。発光素子アレイ7は、複数の発光素子群(発光素子グループ)71と、支持体(ヘッド基板)72とを有している。
【0041】
支持体72は、各発光素子群71をそれぞれ支持するものであり、外形が長尺状をなす板状体で構成されている。この支持体72は、レンズアレイ6と平行に配置されている。
支持体72の構成材料としては、特に限定されないが、本実施形態のように、支持体72の裏面側に発光素子群71を設ける場合(すなわち発光素子74としてボトムエミッション型の発光素子を用いる場合)、各種ガラス材料や各種プラスチック等の透明性を有する材料が好適に用いられる。なお、発光素子74としてトップエミッション型の発光素子を用いる場合、支持体72の構成材料としては、透明性を有する材料に限定されず、例えば、アルミニウム、ステンレス鋼のような各種金属材料、各種ガラス材料や各種プラスチック等を単独または組み合わせて用いることができる。支持体72を各種金属材料や各種ガラス材料で構成した場合には、各発光素子74の発光により生じる熱を支持体72を介して効率良く放熱することができる。また、支持体72を各種プラスチックで構成した場合には、支持体72の軽量化に寄与する。
【0042】
また、支持体72の裏面側には、支持体72側に開放する箱状の収納部73が設置されている。この収納部73には、複数の発光素子群71やこれらの発光素子群71(各発光素子74)に電気的に接続された導線類(図示せず)、または、各発光素子74を駆動させるための回路(図示せず)が収納されている。
複数の発光素子群71は、前述した複数のレンズ64に対応して、互いに離間して、3行n列(nは2以上の整数)の行列状に配置されている(例えば、図4参照)。また、各発光素子群71は、それぞれ、複数(本実施形態では8つ)の発光素子74で構成されている。
【0043】
各発光素子群71を構成する8つの発光素子74は、図3に示す支持体72の下面721に沿って配置されている。この8つの発光素子74から発せられた光Lは、それぞれ、対応するレンズ64を経て、感光ドラム11の受光面111上で集光(結像)する。
また、図4に示すように、8つの発光素子74は、互いに離間して、主走査方向に4列配置され、副走査方向に2行配置されている。このように、8つの発光素子74は、2行4列の行列状をなしている。1つの列(発光素子列)に属する互いに隣接した2つの発光素子74同士は、主走査方向にずれて配置されている。
【0044】
そして、このように2行4列の行列状をなす8つの発光素子74では、主走査方向に隣接する発光素子74同士の間を、次の行の1つの発光素子74で補完している。
8つの発光素子74を例えばできる限り密に1つの行に配置するのには限界が生じるが、8つの発光素子74を前述したようにずらして配置することにより、これらの発光素子74の配置密度をより高いものとすることができる。これにより、画像を記録媒体Pに記録した際、その記録媒体Pに対する記録密度をより高めることができる。よって、解像度が高く、多階調で、かつ鮮明な画像が担持された記録媒体Pが得られる。
【0045】
なお、1つの発光素子群71に属する8つの発光素子74は、本実施形態では2行4列の行列状に配置されているが、これに限定されず、例えば、4行2列の行列状に配置されていてもよい。
前述したように、複数の発光素子群71は、互いに離間して、3行n列の行列状に配置されている。図4に示すように、1つの列(発光素子群列)に属する3つの発光素子群71は、主走査方向(図4中右方向)に等間隔にずれて配置されている。
【0046】
そして、このように3行n列の行列状をなす発光素子群71では、隣接する発光素子群71同士の間隔を、次の行の発光素子群71およびその次の行の発光素子群71で順次補完している。
複数の発光素子群71を例えばできる限り密に1つの行に配置するのには限界が生じるが、複数の発光素子群71を前述したようにずらして配置することにより、これらの発光素子群71の配置密度をより高いものとすることができる。これにより、1つの発光素子群71内の8つの発光素子74がずれて配置されていることと相まって、画像を記録媒体Pに記録した際、その記録媒体Pに対する記録密度を高めることができる。よって、解像度がより高く、多階調で色再現性が良く、より鮮明な画像が担持された記録媒体Pが得られる。
【0047】
また、各発光素子74は、ボトムエミッション構造の有機EL素子(有機エレクトロルミネッセンス素子)である。なお、発光素子74は、ボトムエミッション構造の素子に限定されず、トップエミッション構造の素子であってもよい。この場合、前述したように、支持体72には、光透過性は要求されない。
各発光素子74が有機EL素子であると、発光素子74同士の間隔(ピッチ)を比較的小さく設定することができる。これにより、画像を記録媒体Pに記録した際、その記録媒体Pに対する記録密度が比較的高くなる。また、各種成膜法を用いて高精度な寸法および位置で各発光素子74を形成することができる。よって、より鮮明な画像が担持された記録媒体Pが得られる。
【0048】
本実施形態では、各発光素子74がいずれも赤色光を発光するように構成されている。なお、発光素子74の構成については後に詳述する。
図3に示すように、レンズアレイ6と発光素子アレイ7との間には、遮光部材82、絞り部材83および遮光部材81が設置されている。
遮光部材81、82は、それぞれ、隣接する発光素子群71同士間の光Lのクロストークを防止するものである。
このような遮光部材81には、当該遮光部材81を図3中上下方向(厚さ方向)に貫通する複数の貫通孔(開口部)811が形成されている。これらの貫通孔811は、それぞれ、各レンズ64に対応した位置に配置されている。
【0049】
同様に、遮光部材82には、当該遮光部材82を図3中上下方向(厚さ方向)に貫通する複数の貫通孔821が形成されている。これらの貫通孔821は、それぞれ、前述した各レンズ64に対応した位置に配置されている。
貫通孔811、821は、それぞれ、発光素子群71からそれに対応するレンズ64までの光路を形成する。また、各貫通孔811、821は、それぞれ、平面視で円形をなしており、その内側に、当該貫通孔811、821に対応する発光素子群71の8つの発光素子74を包含している。
【0050】
なお、各貫通孔811、821は、図3に示す構成では円筒状をなしているが、これに限定されず、例えば、上方に向かって拡がった円錐台状をなしていてもよい。
このような遮光部材81、82の間には、絞り部材83が設置されている。
絞り部材83は、発光素子群71からレンズ64に入射する光Lを所定量に制限する開口絞りである。
【0051】
特に、この絞り部材83は、結像光学系60の前側焦点面付近に設けられている。これにより、結像光学系60が像側テレセントリックとなり、受光面111と露光ヘッド13との距離に取付誤差等による誤差があっても、発光素子74a、74d、74b、74cのそれぞれの像の位置ずれを防止することができる。
絞り部材83は、板状または層状をなし、当該絞り部材83を図3中上下方向(厚さ方向)に貫通する複数の貫通孔(開口部)831が形成されている。これらの貫通孔831は、それぞれ、各レンズ64に対応した位置(すなわち前述した貫通孔811、821)に配置されている。
【0052】
また、絞り部材83の貫通孔831は、平面視で円形をなし、その直径は、前述した遮光部材81の貫通孔811の直径よりも小さくなっている。
このような遮光部材81、82および絞り部材83は、レンズアレイ6と支持体72との間の距離、位置関係および姿勢を高精度に規定する機能をも有する。
各レンズ64のレンズ面62とそれに対応する発光素子群71との距離は、後述する結像光学系60の結像位置の図3中の上下方向の位置を定める上で重要な条件(要素)である。したがって、前述したように、遮光部材81、82および絞り部材83がレンズアレイ6と発光素子アレイ7との間の距離であるギャップ長を規制するスペーサとしても機能していると、高精度で、信頼性の高い画像形成装置1が得られる。
【0053】
また、遮光部材81、82および絞り部材83は、それぞれ、少なくとも内周面が黒色、茶褐色、紺色等の暗色となっているのが好ましい。
このような遮光部材81、82および絞り部材83の構成材料としては、それぞれ、光を透過しない材料であれば特に限定されず、例えば、各種着色剤や、クロム、酸化クロム等の金属系材料、カーボンブラックや着色剤を混練した樹脂等が挙げられる。
【0054】
図2、図3に示すように、前述したレンズアレイ6と発光素子アレイ7とスペーサ84と遮光部材81、82と絞り部材83とは、一括してケーシング9に収納さている。このケーシング9は、枠部材(ケーシング本体)91と、蓋部材(裏蓋)92と、蓋部材92を枠部材91に固定する複数のクランプ部材93とを有している(図3参照)。
図2に示すように、枠部材91は、全体形状が長尺なものである。
【0055】
また、枠部材91は、枠状をなしていて、図3に示すように、枠部材91には、その上側および下側に開口する内腔部911が形成されている。この内腔部911の幅は、図3中下方から上方に向かって、段階的に減少している。
内腔部911には、レンズアレイ6’とスペーサ84とレンズアレイ6と遮光部材82と絞り部材83と遮光部材81と発光素子アレイ7とがそれぞれはめ込まれており、これらが例えば接着剤で固定されている。これにより、レンズアレイ6’とスペーサ84とレンズアレイ6と遮光部材82と絞り部材83と遮光部材81と発光素子アレイ7とが枠部材91に一括して保持され、レンズアレイ6’とスペーサ84とレンズアレイ6と遮光部材82と絞り部材83と遮光部材81と発光素子アレイ7との主走査方向および副走査方向の位置決めがなされる。
【0056】
ここで、発光素子アレイ7の支持体72の上面722は、内腔部911の壁面に形成された段差部915と、第2の遮光部材81の下面とにそれぞれ当て付いて(当接して)いる。そして、内腔部911には、下方から蓋部材92がはめ込まれている。
蓋部材92は、その上部に収納部73が挿入される凹部922を有する長尺部材で構成されている。この蓋部材92の上端面は、枠部材91の境界部915との間で、発光素子アレイ7の支持体72の縁部を挟持している。
さらに、各クランプ部材93によって、蓋部材92が上方に押し付けられている。これにより、蓋部材92が枠部材91に固定される。また、押し付けられた蓋部材92によって、発光素子アレイ7と遮光部材81、82と絞り部材83とレンズアレイ6との主走査方向、副走査方向および図3中上下方向のそれぞれの位置関係が固定される。
【0057】
クランプ部材93は、主走査方向に沿って等間隔に複数配置されているのが好ましい。これにより、枠部材91と蓋部材92とを主走査方向に沿って均一に挟持することができる。
クランプ部材93は、金属板を折り曲げ加工することで形成されたものである。このクランプ部材93の両端部(図3にて左右の端部)には、それぞれ、爪部931が形成され、各爪部931は、それぞれ、枠部材91の肩部916に係合している。
【0058】
また、クランプ部材93の中間部には、上向きにアーチ状に湾曲した湾曲部932が形成されている。この湾曲部932の頂部は、前述したように各爪部931が肩部916に係合した状態で、蓋部材92の下面に圧接している。これにより、湾曲部932が弾性変形した状態で、蓋部材92を上方に付勢する。
なお、枠部材91と蓋部材92とを挟持している各クランプ部材93をそれぞれ取り外した場合には、枠部材91から蓋部材92を取り外すことができる。これにより、発光素子アレイ7の交換、修理等のメンテナンスを施すことができる。
【0059】
また、枠部材91および蓋部材92の構成材料としては、特に限定されず、例えば、支持体72と同様の構成材料を用いることができる。クランプ部材93の構成材料としては、特に限定されず、例えば、アルミニウム、ステンレス鋼が挙げられる。また、クランプ部材93は、硬質樹脂材料で構成されていてもよい。
さらに、図示しないが、枠部材91の長手方向での両端部には、それぞれ、上方に突出するスペーサが設けられている。このスペーサは、受光面111とレンズアレイ6との距離を規制するものである。
【0060】
(発光素子)
<第1実施形態>
次に、発光素子74の第1実施形態について詳述する。
図5に示す本実施形態の発光素子(エレクトロルミネッセンス素子)74は、赤色発光するものである。
【0061】
このような発光素子74は、陽極741と正孔注入層742と正孔輸送層743と発光層(赤色発光層)744と第2の電子輸送層745と第1の電子輸送層746と電子注入層747と陰極748とがこの順に積層されてなるものである。
言い換えすれば、発光素子74は、2つの電極間(陽極741と陰極748との間)に、陽極741側から陰極748側へ、正孔注入層742と正孔輸送層743と発光層744と第2の電子輸送層745と第1の第1の電子輸送層746と電子注入層747とがこの順に積層で積層された積層体749が介挿されて構成されている。
【0062】
そして、発光素子74は、その全体が支持体72上に設けられるとともに、封止部材75で封止されている。
このような発光素子74にあっては、発光層744に対し、陰極748側から電子が供給(注入)されるとともに、陽極741側から正孔が供給(注入)される。そして、発光層744では、正孔と電子とが再結合し、この再結合に際して放出されたエネルギーによりエキシトン(励起子)が生成し、エキシトンが基底状態に戻る際にエネルギー(蛍光やりん光)を放出(発光)する。これにより、発光素子74は、赤色発光する。
【0063】
特に、本発明では、発光素子74は、2層の電子輸送層(第1の電子輸送層746および第2の電子輸送層745)を有しているので、陰極748と陽極741との間に高電流を流しても、陽極741側から発光層744を介して陰極748側に通り抜けた正孔がさらに陰極748側に移動するのを防止または抑制することができる。そのため、高輝度で発光層を赤色発光させても、発光素子74の劣化を防止し、発光素子74の長寿命化を図ることができる。
【0064】
さらに、第2の電子輸送層745が、ガラス転移温度が150℃以上の第2の電子輸送材料を含んで構成されているため、発光層744と第2の電子輸送層745との界面で電子が滞留することに起因する電子輸送層(第1の電子輸送層746および第2の電子輸送層745)の変質・劣化を的確に抑制または防止することができ、その結果、発光素子74の長寿命化を図ることができる。
【0065】
以下、発光素子74を構成する各部を順次説明する。
(陽極)
陽極741は、後述する正孔注入層742を介して正孔輸送層743に正孔を注入する電極である。この陽極741の構成材料としては、仕事関数が大きく、導電性に優れる材料を用いるのが好ましい。
【0066】
陽極741の構成材料としては、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、In、SnO、Sb含有SnO、Al含有ZnO等の酸化物、Au、Pt、Ag、Cuまたはこれらを含む合金等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
このような陽極741の平均厚さは、特に限定されないが、10〜200nm程度であるのが好ましく、50〜150nm程度であるのがより好ましい。
【0067】
(陰極)
一方、陰極748は、後述する電子注入層747を介して第1の電子輸送層746に電子を注入する電極である。この陰極748の構成材料としては、仕事関数の小さい材料を用いるのが好ましい。
陰極748の構成材料としては、例えば、Li、Mg、Ca、Sr、La、Ce、Er、Eu、Sc、Y、Yb、Ag、Cu、Al、Cs、Rbまたはこれらを含む合金等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて(例えば、複数層の積層体等)用いることができる。
【0068】
特に、陰極748の構成材料として合金を用いる場合には、Ag、Al、Cu等の安定な金属元素を含む合金、具体的には、MgAg、AlLi、CuLi等の合金を用いるのが好ましい。かかる合金を陰極748の構成材料として用いることにより、陰極748の電子注入効率および安定性の向上を図ることができる。
このような陰極748の平均厚さは、特に限定されないが、100〜10000nm程度であるのが好ましく、100〜500nm程度であるのがより好ましい。
なお、本実施形態の発光素子74は、ボトムエミッション型であるため、陰極748に、光透過性は、特に要求されない。
【0069】
(正孔注入層)
正孔注入層742は、陽極741からの正孔注入効率を向上させる機能を有するものである。
この正孔注入層742の構成材料(正孔注入材料)としては、特に限定されないが、例えば、下記化学式(1)で表わされる化合物(N,N,N’,N’−テトラフェニル−p−ジアミノベンゼン)およびその誘導体等のアミン系化合物が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0070】
【化1】

【0071】
なお、上記化学式(1)で表わされる化合物の誘導体としては、特に限定されないが、例えば、下記化学式(2)〜(10)で表わされるものが挙げられる。
【0072】
【化2】

【0073】
【化3】

【0074】
【化4】

【0075】
【化5】

【0076】
【化6】

【0077】
【化7】

【0078】
【化8】

【0079】
【化9】

【0080】
【化10】

【0081】
このような正孔注入層742の平均厚さは、特に限定されないが、5〜150nm程度であるのが好ましく、10〜100nm程度であるのがより好ましい。
なお、この正孔注入層742は、省略することができる。
(正孔輸送層)
正孔輸送層743は、陽極741から正孔注入層742を介して注入された正孔を発光層744まで輸送する機能を有するものである。
この正孔輸送層743の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、下記化学式(11)で表わされる化合物(N,N,N’,N’−テトラフェニルベンジジン)およびその誘導体等のアミン系化合物が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0082】
【化11】

【0083】
また、上記化学式(11)で表わされる化合物の誘導体としては、特に限定されないが、例えば、下記化学式(12)〜(16)で表わされる化合物等が挙げられる。
【0084】
【化12】

【0085】
【化13】

【0086】
【化14】

【0087】
【化15】

【0088】
【化16】

【0089】
このような正孔輸送層743の平均厚さは、特に限定されないが、10〜150nm程度であるのが好ましく、10〜100nm程度であるのがより好ましい。
なお、この正孔輸送層743は、省略することができる。
(発光層)
この発光層744は、本実施形態では、赤色に発光する(600nm以上の波長域にピークを有する光を発する)赤色発光材料を含んで構成されている。
赤色発光材料としては、特に限定されず、各種赤色蛍光材料、赤色燐光材料を1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
【0090】
赤色蛍光材料としては、赤色の蛍光を発するものであれば特に限定されず、例えば、下記化学式(17)で表わされる化合物(ジインデノペリレン誘導体)等のペリレン誘導体、ユーロピウム錯体、ベンゾピラン誘導体、ローダミン誘導体、ベンゾチオキサンテン誘導体、ポルフィリン誘導体、ナイルレッド、2−(1,1−ジメチルエチル)−6−(2−(2,3,6,7−テトラヒドロ−1,1,7,7−テトラメチル−1H,5H−ベンゾ(ij)キノリジン−9−イル)エテニル)−4H−ピラン−4H−イリデン)プロパンジニトリル(DCJTB)、4−(ジシアノメチレン)−2−メチル−6−(p−ジメチルアミノスチリル)−4H−ピラン(DCM)等を挙げられる。
【0091】
【化17】

【0092】
中でも、赤色発光材料としては、ジインデノペリレン誘導体を用いるのが好ましい。これにより、発光層744をより高輝度で赤色発光させることができる。
赤色燐光材料としては、赤色の燐光を発するものであれば特に限定されず、例えば、イリジウム、ルテニウム、白金、オスミウム、レニウム、パラジウム等の金属錯体が挙げられ、これら金属錯体の配位子の内の少なくとも1つがフェニルピリジン骨格、ビピリジル骨格、ポルフィリン骨格等を持つものも挙げられる。より具体的には、トリス(1−フェニルイソキノリン)イリジウム、ビス[2−(2’−ベンゾ[4,5−α]チエニル)ピリジネート−N,C’]イリジウム(アセチルアセトネート)(btp2Ir(acac))、2,3,7,8,12,13,17,18−オクタエチル−12H,23H−ポルフィリン−白金(II)、ビス[2−(2’−ベンゾ[4,5−α]チエニル)ピリジネート−N,C’]イリジウム、ビス(2−フェニルピリジン)イリジウム(アセチルアセトネート)が挙げられる。
【0093】
また、発光層744中には、前述した赤色発光材料の他に、赤色発光材料をゲスト材料とするホスト材料が含まれていてもよい。
ホスト材料は、正孔と電子とを再結合して励起子を生成するとともに、その励起子のエネルギーを赤色発光材料に移動(フェルスター移動またはデクスター移動)させて、赤色発光材料を励起する機能を有する。このようなホスト材料を用いる場合、例えば、ゲスト材料である赤色発光材料をドーパントとしてホスト材料にドープして用いることができる。
【0094】
このようなホスト材料としては、用いる赤色発光材料に対して前述したような機能を発揮するものであれば、特に限定されないが、赤色発光材料が赤色蛍光材料を含む場合、例えば、下記化学式(18)で表わされる化合物等のナフタセン誘導体、ジスチリルアリーレン誘導体、ペリレン誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、ジスチリルアミン誘導体、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム錯体(Alq)等のキノリノラト系金属錯体、トリフェニルアミンの4量体等のトリアリールアミン誘導体、オキサジアゾール誘導体、シロール誘導体、ジカルバゾール誘導体、オリゴチオフェン誘導体、ベンゾピラン誘導体、トリアゾール誘導体、ベンゾオキサゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、キノリン誘導体、4,4’−ビス(2,2’−ジフェニルビニル)ビフェニル(DPVBi)等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0095】
【化18】

【0096】
中でも、発光層744のホスト材料としては、ナフタセン誘導体を用いるのが好ましい。特に、赤色発光材料としてジインデノペリレン誘導体を用いる場合、発光層744がナフタセン誘導体を含んで構成されていると、発光層744をより高輝度かつ高効率で赤色発光させることができる。
また、赤色発光材料が赤色燐光材料を含む場合、ホスト材料としては、例えば、3−フェニル−4−(1’−ナフチル)−5−フェニルカルバゾール、4,4’−N,N’−ジカルバゾールビフェニル(CBP)等のカルバゾール誘導体等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0097】
前述したような赤色発光材料(ゲスト材料)およびホスト材料を用いる場合、発光層744中における赤色発光材料の含有量(ドープ量)は、0.01〜10wt%であるのが好ましく、0.1〜5wt%であるのがより好ましい。赤色発光材料の含有量をこのような範囲内とすることで、発光効率を最適化することができる。
このような発光層744の平均厚さは、特に限定されないが、10〜150nm程度であるのが好ましく、10〜100nm程度であるのがより好ましい。
【0098】
(第1の電子輸送層)
第1の電子輸送層746は、陰極748から電子注入層747を介して注入された電子を第2の電子輸送層745に輸送する機能を有するものである。
このような第1の電子輸送層746は、含窒素化合物である電子輸送材料(以下、「第1の電子輸送材料」とも言う)を含んで構成されている。
【0099】
第1の電子輸送層746の構成材料(第1の電子輸送材料)としては、窒素を含有し電子輸送性を有するものであれば特に限定されないが、例えば、下記化学式(19)で表わされる化合物(BPhen)および下記化学式(20)で表わされる化合物(2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(BCP))等のアミン系材料(フェナントロリン誘導体)、アントラセンまたはフェニルアントラセンを含む下記化学式(21)で表わされる化合物のようなアザインドリジン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、キノキサリン誘導体およびニトロ置換フルオレン誘導体等が挙げられ、これらのうちの1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0100】
【化19】

【0101】
【化20】

【0102】
【化21】

【0103】
また、第1の電子輸送層746の構成材料の電子輸送性は、後述する第2の電子輸送層745の構成材料の電子輸送性よりも高いのが好ましい。これにより、たとえ、第2の電子輸送層745の構成材料の電子輸送性が低くても、陰極748側から発光層744へ電子を円滑に輸送することができる。
このような観点から、第1の電子輸送層746は、上記化学式(19)のようなフェナントロリン誘導体、または、アザインドリジン誘導体を含んで構成されているのが好ましい。これにより、第1の電子輸送層746の電子輸送性を優れたものとすることができる。その結果、発光素子74の高効率化を図ることができる。
第1の電子輸送層746の平均厚さは、特に限定されないが、8〜80nm程度であるのが好ましく、10〜50nm程度であるのがより好ましい。
【0104】
(第2の電子輸送層)
第2の電子輸送層745は、前述した第1の電子輸送層746から注入された電子を発光層744に輸送する機能を有するものである。
また、本発明では、第2の電子輸送層745に含まれる第2の電子輸送材料は、前述した第1の電子輸送材料とは異なるガラス転移温度が150℃以上のもので構成される。このような、第2の電子輸送材料は、第1の電子輸送層746に含まれる含窒素化合物である第1の電子輸送材料よりも耐熱性に優れるものである。
【0105】
ここで、発光層744と第2の電子輸送層745との界面で電子が滞留した際には、これに起因してこの界面付近が加熱される。特に、このような界面付近における加熱は、本実施形態のように、発光素子74を露光ヘッドに適用し、20000cd/m以上の発光強度が求められる場合に、より顕著に認められる。
そのため、この加熱により第1の電子輸送材料および第2の電子輸送材料が変質・劣化することとなるが、このように、第2の電子輸送材料をそのガラス転移温度が150℃以上のものとすることにより、第2の電子輸送材料の変質・劣化を的確に抑制または防止することができる。
【0106】
このような観点から、第2の電子輸送層745は、下記化学式(22)で表わされるトリス(8−キノリノラト)アルミニウム(Alq)やその誘導体等のキノリン誘導体、オキサジアゾール誘導体のうちガラス転移点が150℃以上のものを少なくとも1種含んで構成されているものが用いられる。これにより、第2の電子輸送材料の変質・劣化をより的確に抑制または防止することができる。その結果、発光素子74の長寿命化を確実に図ることができる。
【0107】
さらに、これらの中でも、特に、第2の電子輸送層745は、下記化学式(22)で表わされるトリス(8−キノリノラト)アルミニウム(Alq)を含んで構成されているのが好ましい。トリス(8−キノリノラト)アルミニウムは、特に耐久性に優れる電子輸送材料であることから、発光層744と第2の電子輸送層745との界面で加熱されたとしても、このものの電子輸送能が低下するのを確実に防止することができる。
【0108】
【化22】

【0109】
このような、第2の電子輸送層745の厚さは、特に限定されないが、2nm以上、7nm以下程度であるのが好ましく、3nm以上、5nm以下程度であるのがより好ましい。第2の電子輸送層745の厚さをかかる範囲内に設定することにより、第1の電子輸送層746が有する電子輸送性を阻害することなく、発光素子74の耐久性を確実に向上させることができる。
【0110】
また、第2の電子輸送層745は、発光層744と第1の電子輸送層746との間に部分的に設けられ、その面方向において、形成されている第1の部位と、形成されていない第2の部位とを有し、これら第1の部位または第2の部位が散点的に形成されているのが好ましい。これにより、第1の部位においては、発光層744と第1の電子輸送層746とが第2の電子輸送層745を介して接触し、第2の部位においては、発光層744と第1の電子輸送層746とが直接接触することとなる。すなわち、発光層744は、その面方向において、第1の電子輸送層746と接する領域と、第2の電子輸送層745と接する領域との双方を有することとなる。
【0111】
ここで、上述したように、第1の電子輸送層746と第2の電子輸送層745とは、それぞれに含まれる第1の電子輸送材料と第2の電子輸送材料とが異なる材料で構成されている。
そのため、第1の部位または第2の部位が散点的に形成される構成とすれば、第1の電子輸送材料と第2の電子輸送材料との双方の特性を効果的に発揮させることができるため、発光層744と第2の電子輸送層745との界面で電子が滞留することに起因する電子輸送層(第1の電子輸送層746および第2の電子輸送層745)の変質・劣化をより的確に抑制または防止することができ、その結果、発光素子74の長寿命化を図ることができる。
【0112】
また、かかる構成の第2の電子輸送層745において、第2の電子輸送層745が形成されている第1の部位は、島状をなしているのが好ましい。これにより、第2の電子輸送層745が形成されている第1の部位と、形成されていない第2の部位とを確実に形成することができるとともに、第2の電子輸送層745が形成されていない第2の部位において、発光層744と第1の電子輸送層746とを確実に接触させることができるようになる。
さらに、第2の電子輸送層745が形成されている第1の部位または第2の部位は、散点状をなしているが、第1の部位は、その面方向において、ほぼ均一に設けられているのが好ましい。これにより、第2の電子輸送層745の各部において、その特性にバラツキが生じるのを確実に防止することができるので、第2の電子輸送層745が局所的に変質・劣化するのを効果的に防止できる。
【0113】
(電子注入層)
電子注入層747は、陰極748からの電子注入効率を向上させる機能を有するものである。
この電子注入層747の構成材料(電子注入材料)としては、例えば、各種の無機絶縁材料、各種の無機半導体材料が挙げられる。
【0114】
このような無機絶縁材料としては、例えば、アルカリ金属カルコゲナイド(酸化物、硫化物、セレン化物、テルル化物)、アルカリ土類金属カルコゲナイド、アルカリ金属のハロゲン化物およびアルカリ土類金属のハロゲン化物等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらを主材料として電子注入層を構成することにより、電子注入性をより向上させることができる。特にアルカリ金属化合物(アルカリ金属カルコゲナイド、アルカリ金属のハロゲン化物等)は仕事関数が非常に小さく、これを用いて電子注入層747を構成することにより、発光素子74は、高い輝度が得られるものとなる。
【0115】
アルカリ金属カルコゲナイドとしては、例えば、LiO、LiO、NaS、NaSe、NaO等が挙げられる。
アルカリ土類金属カルコゲナイドとしては、例えば、CaO、BaO、SrO、BeO、BaS、MgO、CaSe等が挙げられる。
アルカリ金属のハロゲン化物としては、例えば、CsF、LiF、NaF、KF、LiCl、KCl、NaCl等が挙げられる。
アルカリ土類金属のハロゲン化物としては、例えば、CaF、BaF、SrF、MgF、BeF等が挙げられる。
【0116】
また、無機半導体材料としては、例えば、Li、Na、Ba、Ca、Sr、Yb、Al、Ga、In、Cd、Mg、Si、Ta、SbおよびZnのうちの少なくとも1つの元素を含む酸化物、窒化物または酸化窒化物等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
電子注入層747の平均厚さは、特に限定されないが、0.1〜1000nm程度であるのが好ましく、0.2〜100nm程度であるのがより好ましく、0.2〜50nm程度であるのがさらに好ましい。
【0117】
(封止部材)
封止部材75は、陽極741、積層体749、および陰極748を覆うように設けられ、これらを気密的に封止し、酸素や水分を遮断する機能を有する。封止部材75を設けることにより、発光素子74の信頼性の向上や、変質・劣化の防止(耐久性向上)等の効果が得られる。
【0118】
封止部材75の構成材料としては、例えば、Al、Au、Cr、Nb、Ta、Tiまたはこれらを含む合金、酸化シリコン、各種樹脂材料等を挙げることができる。なお、封止部材75の構成材料として導電性を有する材料を用いる場合には、短絡を防止するために、封止部材75と陽極741、積層体749、および陰極748との間には、必要に応じて、絶縁膜を設けるのが好ましい。
また、封止部材75は、平板状として、支持体72と対向させ、これらの間を、例えば熱硬化性樹脂等のシール材で封止するようにしてもよい。
【0119】
以上のように構成された発光素子74によれば、前述したような2層の電子輸送層(第1の電子輸送層746および第2の電子輸送層745)を有しているので、陰極748と陽極741との間に高電流を流しても、陽極741側から発光層744を介して陰極748側に通り抜けた正孔がさらに陰極748側に移動するのを防止または抑制することができる。そのため、高輝度で発光層を赤色発光させても、発光素子74の劣化を防止し、発光素子74の長寿命化を図ることができる。
【0120】
また、このような発光素子74を備える露光ヘッド13は、長寿命であり、高解像度で露光処理を行うことができる。
また、このような露光ヘッド13を備える画像形成装置1は、高品位な画像を得ることができ、信頼性に優れる。
以上のような発光素子74は、例えば、次のようにして製造することができる。
【0121】
[1] まず、支持体72を用意し、この支持体72上に陽極741を形成する。
陽極741は、例えば、プラズマCVD、熱CVDのような化学蒸着法(CVD)、真空蒸着等の乾式メッキ法、電解メッキ等の湿式メッキ法、溶射法、ゾル・ゲル法、MOD法、金属箔の接合等を用いて形成することができる。
[2] 次に、陽極741上に正孔注入層742を形成する。
正孔注入層742は、例えば、CVD法や、真空蒸着、スパッタリング等の乾式メッキ法等を用いた気相プロセスにより形成することができる。
また、正孔注入層742は、例えば、正孔注入材料を溶媒に溶解または分散媒に分散してなる正孔注入層形成用材料を、陽極741上に供給した後、乾燥(脱溶媒または脱分散媒)することによっても形成することができる。
【0122】
正孔注入層形成用材料の供給方法としては、例えば、スピンコート法、ロールコート法、インクジェット印刷法等の各種塗布法を用いることもできる。かかる塗布法を用いることにより、正孔注入層742を比較的容易に形成することができる。
正孔注入層形成用材料の調製に用いる溶媒または分散媒としては、例えば、各種無機溶媒や、各種有機溶媒、または、これらを含む混合溶媒等が挙げられる。
なお、乾燥は、例えば、大気圧または減圧雰囲気中での放置、加熱処理、不活性ガスの吹付け等により行うことができる。
【0123】
また、本工程に先立って、陽極741の上面には、酸素プラズマ処理を施すようにしてもよい。これにより、陽極741の上面を親液性を付与すること、陽極741の上面に付着する有機物を除去(洗浄)すること、陽極741の上面付近の仕事関数を調整すること等を行うことができる。
ここで、酸素プラズマ処理の条件としては、例えば、プラズマパワー100〜800W程度、酸素ガス流量50〜100mL/min程度、被処理部材(陽極741)の搬送速度0.5〜10mm/sec程度、支持体72の温度20〜90℃程度とするのが好ましい。
【0124】
[3] 次に、正孔注入層742上に正孔輸送層743を形成する。
正孔輸送層743は、例えば、CVD法や、真空蒸着、スパッタリング等の乾式メッキ法等を用いた気相プロセスにより形成することができる。
また、正孔輸送材料を溶媒に溶解または分散媒に分散してなる正孔輸送層形成用材料を、正孔注入層742上に供給した後、乾燥(脱溶媒または脱分散媒)することによっても形成することができる。
【0125】
[4] 次に、正孔輸送層743上に、発光層744を形成する。
発光層744は、例えば、CVD法や、真空蒸着、スパッタリング等の乾式メッキ法等を用いた気相プロセスにより形成することができる。
[5] 次に、発光層744上に、第2の電子輸送層745を形成する。
第2の電子輸送層745は、例えば、CVD法や、真空蒸着、スパッタリング等の乾式メッキ法等を用いた気相プロセスにより形成することができる。
また、第2の電子輸送層745は、例えば、電子輸送材料を溶媒に溶解または分散媒に分散してなる電子輸送層形成用材料を、発光層744上に供給した後、乾燥(脱溶媒または脱分散媒)することによっても形成することができる。
【0126】
[6] 次に、第2の電子輸送層745上に、第1の電子輸送層746を形成する。
第1の電子輸送層746は、例えば、CVD法や、真空蒸着、スパッタリング等の乾式メッキ法等を用いた気相プロセスにより形成することができる。
また、第1の電子輸送層746は、例えば、電子輸送材料を溶媒に溶解または分散媒に分散してなる電子輸送層形成用材料を、第2の電子輸送層745上に供給した後、乾燥(脱溶媒または脱分散媒)することによっても形成することができる。
【0127】
[7] 次に、第1の電子輸送層746上に、電子注入層747を形成する。
電子注入層747の構成材料として無機材料を用いる場合、電子注入層747は、例えば、CVD法や、真空蒸着、スパッタリング等の乾式メッキ法等を用いた気相プロセス、無機微粒子インクの塗布および焼成等を用いて形成することができる。
[8] 次に、電子注入層747上に、陰極748を形成する。
陰極748は、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、金属箔の接合、金属微粒子インクの塗布および焼成等を用いて形成することができる。
以上のような工程を経て、発光素子74が得られる。
最後に、得られた発光素子74を覆うように封止部材75を被せ、支持体72に接合する。
【0128】
以上のような発光素子74は、本実施形態では、発光層744が、主として赤色発光材料で構成され赤色に発光する場合について説明したが、かかる場合に限定されず、例えば、発光層744は、主として緑色発光材料で構成され緑色に発光するものであってもよいし、主として青色発光材料で構成され青色に発光するものであってもよい。さらに、これら赤色、緑色および青色に発光するそれぞれの層が順次積層された積層体で構成され、これにより、白色に発光するものであってもよい。
この場合、緑色発光材料としては、例えば、各種緑色蛍光材料および緑色燐光材料が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0129】
緑色蛍光材料としては、緑色の蛍光を発するものであれば特に限定されず、例えば、クマリン誘導体、下記化学式(23)に示すキナクリドン誘導体等のキナクリドンおよびその誘導体、9,10−ビス[(9−エチル−3−カルバゾール)−ビニレニル]−アントラセン、ポリ(9,9−ジヘキシル−2,7−ビニレンフルオレニレン)、ポリ[(9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジイル)−コ−(1,4−ジフェニレン−ビニレン−2−メトキシ−5−{2−エチルヘキシルオキシ}ベンゼン)]、ポリ[(9,9−ジオクチル−2,7−ジビニレンフルオレニレン)−オルト−コ−(2−メトキシ−5−(2−エトキシルヘキシルオキシ)−1,4−フェニレン)]等が挙げられる。
【0130】
【化23】

【0131】
緑色燐光材料としては、緑色の燐光を発するものであれば特に限定されず、例えば、例えば、イリジウム、ルテニウム、白金、オスミウム、レニウム、パラジウム等の金属錯体が挙げられ、具体的には、ファク−トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム(Ir(ppy)3)、ビス(2−フェニルピリジネート−N,C’)イリジウム(アセチルアセトネート)、ファク−トリス[5−フルオロ−2−(5−トリフルオロメチル−2−ピリジン)フェニル−C,N]イリジウム等が挙げられる。
また、青色発光材料としては、例えば、各種青色蛍光材料および青色燐光材料が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
【0132】
青色蛍光材料としては、青色の蛍光を発するものであれば、特に限定されず、例えば、下記化学式(24)で示されるジスチリルジアミン系化合物等のジスチリルアミン誘導体、フルオランテン誘導体、ピレン誘導体、ペリレンおよびペリレン誘導体、アントラセン誘導体、ベンゾオキサゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、クリセン誘導体、フェナントレン誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、テトラフェニルブタジエン、4,4’−ビス(9−エチル−3−カルバゾビニレン)−1,1’−ビフェニル(BCzVBi)、ポリ[(9.9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジイル)−コ−(2,5−ジメトキシベンゼン−1,4−ジイル)]、ポリ[(9,9−ジヘキシルオキシフルオレン−2,7−ジイル)−オルト−コ−(2−メトキシ−5−{2−エトキシヘキシルオキシ}フェニレン−1,4−ジイル)]、ポリ[(9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジイル)−コ−(エチルニルベンゼン)]等が挙げられる。
【0133】
【化24】

【0134】
青色燐光材料としては、青色の燐光を発するものであれば、特に限定されず、例えば、イリジウム、ルテニウム、白金、オスミウム、レニウム、パラジウム等の金属錯体が挙げられ、具体的には、ビス[4,6−ジフルオロフェニルピリジネート−N,C’]−ピコリネート−イリジウム、トリス[2−(2,4−ジフルオロフェニル)ピリジネート−N,C’]イリジウム、ビス[2−(3,5−トリフルオロメチル)ピリジネート−N,C’]−ピコリネート−イリジウム、ビス(4,6−ジフルオロフェニルピリジネート−N,C’)イリジウム(アセチルアセトネート)等が挙げられる。
【0135】
<第2実施形態>
次に、発光素子74の第2実施形態について説明する。
以下、第2実施形態にかかる発光素子74について説明するが、前記第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
本実施形態にかかる発光素子74は、発光素子74が備える第2の電子輸送層745の構成が異なること、すなわち、第2の電子輸送層745が、第2の電子輸送材料とは異なる第3の電子輸送材料をさらに含んでいること以外は、前記第1実施形態と同様である。
第3の電子輸送材料としては、第2の電子輸送材料と異なるものであれば、特に限定されず、前述した第1の電子輸送層746と同様の構成材料を用いることができる。
【0136】
本実施形態のように、第2の電子輸送材料とは異なる第3の電子輸送材料をさらに含有する構成とすることにより、第2の電子輸送層745に第3の電子輸送材料が備える特性を付与することができる。
第3の電子輸送材料として、第2の電子輸送材料と同種の電子輸送材料を選択して、ガラス転移温度が150℃以上のものを選択すれば、第2の電子輸送層745をより確実に耐熱性(耐久性)に優れるものとすることができる。
【0137】
また、第3の電子輸送材料として、第1の電子輸送材料と、同種または同一の電子輸送材料を選択して、例えば、電子輸送性がよりも高いのを選択すれば、第2の電子輸送層745における電子輸送性をより向上させることができる。
このような第2の電子輸送層745は、その厚さが、2nm以上、10nm以下程度であるのが好ましく、4nm以上、8nm以下程度であるのがより好ましい。これにより、第1の電子輸送層746が有する電子輸送性を阻害することなく、発光素子の耐久性を確実に向上させることができるとともに、第2の電子輸送材料および第3の電子輸送材料の双方が有する特性を確実に発揮させることができる。
【0138】
以上、本発明の発光素子、電子デバイスおよび電子機器を、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものでない。
例えば、発光層に対して陽極側の各層間や、第1の電子輸送層に対して陰極側の各層間に任意の層を追加してもよい。
また、本発明の電子デバイスとしては、露光ヘッドに適用する場合に限らず、表示装置や照明装置に適用することができる。
【0139】
さらに、本発明の電子デバイスを表示装置に適用する場合には、本発明の電子機器は、例えば、パーソナルコンピュータ(モバイル型パーソナルコンピュータ)、携帯電話機、ディジタルスチルカメラ、テレビ、ビデオカメラ、ビューファインダ型、モニタ直視型のビデオテープレコーダ、ラップトップ型パーソナルコンピュータ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳(通信機能付も含む)、電子辞書、電卓、電子ゲーム機器、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、防犯用テレビモニタ、電子双眼鏡、POS端末、タッチパネルを備えた機器(例えば金融機関のキャッシュディスペンサー、自動券売機)、医療機器(例えば電子体温計、血圧計、血糖計、心電表示装置、超音波診断装置、内視鏡用表示装置)、魚群探知機、各種測定機器、計器類(例えば、車両、航空機、船舶の計器類)、フライトシュミレータ、その他各種モニタ類、プロジェクター等の投射型表示装置等に適用することができる。
【実施例】
【0140】
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
1.発光素子の製造
(実施例1)
<1> まず、平均厚さ0.5mmの透明なガラス基板を用意した。次に、この基板上に、スパッタ法により、平均厚さ100nmのITO電極(陽極)を形成した。
そして、基板をアセトン、2−プロパノールの順に浸漬し、超音波洗浄した後、酸素プラズマ処理を施した。
【0141】
<2> 次に、ITO電極上に、真空蒸着法を用いて前述した化学式(7)で表わされる化合物で構成される平均厚さ50nmの正孔注入層を形成した。
<3> 次に、正孔注入層上に、真空蒸着法を用いて前述した化学式(13)で表わされる化合物で構成される平均厚さ20nmの正孔輸送層を形成した。
<4> 次に、正孔輸送層上に、真空蒸着法を用いて以下に示す発光層の構成材料で構成される平均厚さ40nmの発光層(赤色発光層)を形成した。
ここで、発光層の構成材料としては、赤色発光材料(ゲスト材料)として前述した化学式(17)で表わされる化合物(ジインデノペリレン誘導体)を用い、ホスト材料として前述した化学式(18)で表わされる化合物(ナフタセン誘導体)を用いた。また、発光層中の赤色発光材料(ドーパント)の含有量(ドープ濃度)は、1.0wt%とした。
【0142】
<5> 次に、発光層上に、真空蒸着法を用いて以下に示す第2の電子輸送層の構成材料(第2の電子輸送材料)で構成される平均厚さ5nmの第2の電子輸送層を形成した。
ここで、第2の電子輸送材料としては、前述した化学式(22)で表わされる化合物(Alq;ガラス転移点150℃)を用いた。
<6> 次に、第2の電子輸送層上に、真空蒸着法を用いて以下に示す第1の電子輸送層の構成材料(第1の電子輸送材料)で構成される平均厚さ25nmの第1の電子輸送層を形成した。
ここで、第1の電子輸送材料の構成材料としては、前述した化学式(21)で表わされる化合物を用いた。
【0143】
<7> 次に、第1の電子輸送層上に、真空蒸着法を用いてフッ化リチウム(LiF)で構成される、平均厚さ1nmの電子注入層を形成した。
<8> 次に、電子注入層上に、真空蒸着法を用いてAlで構成される、平均厚さ150nmの陰極を形成した。
<9> 次に、形成した各層を覆うように、ガラス製の保護カバー(封止部材)を被せ、エポキシ樹脂により固定、封止した。
以上の工程により、図1に示すような発光素子を製造した。
【0144】
(実施例2)
前記工程<5>において、第2の電子輸送層の構成材料として、前述した化学式(22)で表わされる化合物(Alq)(第2の電子輸送材料)と、前述した化学式(21)で表わされる化合物(第2の電子輸送材料)との混合材料を用いて、平均厚さ10nmの第2の電子輸送層を形成し、前記工程<6>において、第1の電子輸送層を、平均厚さ20nmの厚さで形成したこと以外は、前記実施例1と同様にして、図1に示す発光素子を製造した。
なお、混合材料中における、前記化学式(22)で表わされる化合物と、前記化学式(19)で表わされる化合物との混合比は、重量比で、1:1とした。
【0145】
(実施例3)
前記工程<5>において、前述した化学式(22)で表わされる化合物(Alq)で構成される第2の電子輸送層を、平均厚さ1nmの厚さで形成し、前記工程<6>において、第1の電子輸送層を、平均厚さ29nmの厚さで形成したこと以外は、前記実施例1と同様にして、図1に示す発光素子を製造した。
【0146】
(実施例4)
前記工程<5>において、前述した化学式(22)で表わされる化合物(Alq)で構成される第2の電子輸送層を、平均厚さ10nmの厚さで形成し、前記工程<6>において、第1の電子輸送層を、平均厚さ20nmの厚さで形成したこと以外は、前記実施例1と同様にして、図1に示す発光素子を製造した。
【0147】
(比較例1)
前記工程<5>における第2の電子輸送層の形成を省略するとともに、前記工程<6>において形成する第1の電子輸送層の厚さを30nmとしたこと以外は、前記実施例1と同様にして、図1に示す発光素子を製造した。
(比較例2)
前記工程<5>において、第2の電子輸送層の構成材料として、前述した化学式(22)で表わされる化合物(Alq)に代えて、前述した化学式(20)で表わされる化合物(BCP;ガラス転移点80℃)を用いて第2の電子輸送層を形成したこと以外は、前記実施例1と同様にして、図1に示す発光素子を製造した。
【0148】
2.評価
各実施例および各比較例の発光素子に対して、それぞれ、陽極と陰極との間に直流電源により200mA/cmの電流を流し、発光素子にかかる電圧、発光素子から放出された光の輝度および色度(x,y)を測定した。
また、各実施例および各比較例の発光素子について、それぞれ、輝度が20000cd/mとなるように発光素子に電流を流し、初期の輝度の90%となるまでの時間(LT90)を測定した。
これらの結果を表1に示す。
【0149】
【表1】

【0150】
表1から明らかなように、各実施例の発光素子は、第2の電子輸送層に含まれる第2の電子輸送材料をガラス転移点が150℃以上のAlqとしたことにより、長寿命化を図ることができた。なお、この際、かかる構成の第2の電子輸送層を設ける構成とした影響を受けることなく、感光体を露光するのに必要な輝度の光を有していた。
これに対し、各比較例の発光素子は、各実施例の発光素子と比較して、耐久性(寿命特性)が低いものとなった。
【符号の説明】
【0151】
1…画像形成装置 6…第2のレンズアレイ 6’…第1のレンズアレイ 60、60a、60b、60c…結像光学系 601…光軸 62、62’、62A…レンズ面 62a、62b、62c、62d、62e…領域 64、64’、64A、64a、64a’、64b、64b’、64c、64c’…レンズ 65、65’…レンズ支持部 7…発光素子アレイ 71…発光素子群(発光素子グループ) 72…支持体(ヘッド基板) 721…下面 722…上面 73…収納部 74、74a、74b、74c、74d…発光素子 81…第1の遮光部材 82…第2の遮光部材 83…絞り部材 811、821、831…貫通孔 84…スペーサ 9…ケーシング 91…枠部材(ケーシング本体) 911…内腔部 915…境界部(段差部) 916…肩部 92…蓋部材(裏蓋) 922…凹部 93…クランプ部材 931…爪部 932…湾曲部 10…画像形成ユニット 10C、10K、10M、10Y…画像形成ステーション 11…感光ドラム(感光体) 111…受光面 12…帯電ユニット 13…露光ヘッド 14…現像装置 15…クリーニングユニット 151…クリーニングブレード 20…転写ユニット 21…中間転写ベルト 22…一次転写ローラ 23…駆動ローラ 24…従動ローラ 25…二次転写ローラ 26…クリーニングユニット 261…クリーニングブレード 30…定着ユニット 301…定着ローラ 302…加圧ローラ 40…搬送機構 41…レジストローラ対 42、43、44…搬送ローラ対 50…給紙ユニット 51…給紙カセット 52…ピックアップローラ a…通過領域 P…記録媒体 741……陽極 742……正孔注入層 743……正孔輸送層 744……発光層 745……第2の電子輸送層 746……第1の電子輸送層 747……電子注入層 748……陰極 75……封止部材 749……積層体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
陰極と、
陽極と、
前記陰極と前記陽極との間に設けられ、電圧の印加により発光する発光層と、
前記発光層と前記陰極との間に設けられ、含窒素化合物である第1の電子輸送材料を含んで構成された第1の電子輸送層と、
前記発光層と前記第1の電子輸送層との間に設けられ、前記第1の電子輸送材料とは異なるガラス転移温度が150℃以上の第2の電子輸送材料を含んで構成された第2の電子輸送層とを有することを特徴とする発光素子。
【請求項2】
前記第2の電子輸送材料は、トリス(8−キノリノラト)アルミニウムである請求項1に記載の発光素子。
【請求項3】
前記第2の電子輸送層は、主として前記第2の電子輸送材料で構成され、その厚さが、2nm以上、7nm以下である請求項1または2に記載の発光素子。
【請求項4】
前記第2の電子輸送層は、前記第2の電子輸送材料とは異なる第3の電子輸送材料を含んでいる請求項1または2に記載の発光素子。
【請求項5】
前記第2の電子輸送層は、主として前記第2の電子輸送材料および第3の電子輸送材料で構成され、その厚さが、2nm以上、10nm以下である請求項4に記載の発光素子。
【請求項6】
前記第3の電子輸送材料は、前記第1の電子輸送材料と、同種または同一である請求項4または5に記載の発光素子。
【請求項7】
前記発光層は、赤色に発光し、主として赤色に発光する赤色発光材料で構成され、
前記赤色発光材料は、ジインデノペリレン誘導体である請求項1ないし6のいずれかに記載の発光素子。
【請求項8】
さらに、前記発光層は、ナフタセン誘導体を含んで構成されている請求項7に記載の発光素子。
【請求項9】
前記第1の電子輸送層は、アザインドリジン誘導体またはフェナントロリン誘導体を含んで構成されている請求項1ないし8のいずれかに記載の発光素子。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれかに記載の発光素子を備えることを特徴とする電子デバイス。
【請求項11】
請求項10に記載の電子デバイスを備えることを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−134810(P2011−134810A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−291438(P2009−291438)
【出願日】平成21年12月22日(2009.12.22)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】