説明

発光素子点灯装置及び該回路を有する照明装置

【課題】発光素子の半壊による異常を検知して、発光素子及び周辺回路を保護する保護手段を有する発光素子点灯装置を提供する。
【解決手段】本発明は、有機EL発光素子を用いる発光素子点灯装置(9a)において、発光素子に流れる電流を一定に制御する電流制御部(12、13a)と、発光素子の両端電圧の検出部(13b)と、を備える。電流制御部は、検出された電圧の時間当たりの電圧変化量を求め、求めた変化量が定格範囲内での動作時に検出される値よりも大きな値の閾値を越えた場合に、前記電源部が発光素子に供給する電流量を低減又は停止する。前記構成を採用することで、有機EL発光素子が使用中に半壊して変形した場合に、発光素子へ供給される電流を低減又は停止して発光素子及び周辺回路を保護する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機EL等の発光素子を点灯する発光素子点灯装置及び該回路を有する照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
前記発光素子点灯装置には、発光素子又は該発光素子の電源回路の破壊又は故障等の異常発生によって、発光素子に異常な電力供給が行われた場合に、回路の短絡又は開放があったと判断し、発光素子への電力供給を低減又は停止する回路を備えるものがある。
【0003】
例えば、特許文献1には、発光素子に印加される電圧を検知し、この電圧が上限値を越えた場合、又は、下限値を下回った場合に、異常発生と判断して回路内に流れる電流量を低減又は停止する手段を有する発光素子点灯装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−146329号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記特許文献1に記載の点灯装置は、発光素子点灯装置が発光素子へ定電流制御を行っている際に、発光素子が外部からの衝撃等によって半壊したときは、異常検出を行うことができないことがある。前記「半壊」とは、発光素子が例えば外部から力が掛けられて変形して壊れたが、完全に壊れて回路が短絡又は開放するに至っていない状態をいう。すなわち、抵抗値が急激に低くなったものの、その後に発光素子に印加される電圧が前記下限値を下回らなければ、前記特許文献1に記載の点灯装置では、異常は検出されない。この場合、発光素子が部分点灯する等の異常点灯が継続されるので、部分的な温度上昇により発光素子及び周辺回路がダメージを受けるおそれがある。特に有機EL発光素子は、薄型の面発光光源であるので、上述した半壊状態になりやすい。
【0006】
本発明は、従来の発光素子点灯装置の有する上記問題を解決するためになされたものであり、前記のような発光素子の半壊による異常を検知して、発光素子に流れる電流量を低減又は停止する保護機能を有する発光素子点灯装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明は、有機EL発光素子を点灯させる発光素子点灯装置において、前記発光素子に流れる電流を一定に制御する電流制御部と、前記発光素子の両端電圧を検出する電圧検出部と、を備え、前記電流制御部は、前記電圧検出部で検出した電圧の単位時間当たりの電圧変化量を算出し、前記算出した変化量が定格範囲内での動作時に検出される値よりも大きな値の閾値を越えた場合に、前記発光素子に流す電流量を低減又は停止する、ことを特徴とする。
【0008】
上記発光素子点灯装置において、前記閾値は、設定環境下での温度変化に伴い生じる電圧の変化量よりも大きな値に設定されていることが好ましい。
【0009】
上記発光素子点灯装置において、前記電流制御部は、更に、前記電圧検出部により検出された電圧が下限値を下回った場合又は上限値を越えた場合に、前記発光素子に流す電流を停止することが好ましい。
【0010】
上記発光素子点灯装置において、前記電流制御部は、入力される調光信号に応じて定められるデューティ比のPWM調光信号を生成し、該信号に基づいてPWM式の電流を前記発光素子に流すことが好ましい。
【0011】
本発明の照明装置は、1以上の有機EL発光素子と、各発光素子を点灯するための上記何れかの発光素子点灯装置と、該発光素子点灯装置に電力を供給する電源ユニットと、を有している発光パネルを備えることを特徴とする。
【0012】
上記照明装置において、前記電流制御部は、外部から入力された調光信号に応じて定められるデューティ比のPWM調光信号を生成し、該信号に基づいて電流制御を行うことが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、有機EL発光素子に印加される電圧が、定格動作時よりも急激に大きく変化した場合、電流制御部は、発光素子が故障したと判断する。従って、発光素子に印加される前記変化後の電圧が、発光素子の入出力端子間の短絡又は開放を表す値で無い場合であっても、発光素子とその周辺回路の回路素子を保護できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施例に係る発光素子点灯装置を有する照明装置の斜視図。
【図2】照明装置の構成図。
【図3】発光素子点灯装置の回路図。
【図4】比較器の入出力波形のタイムチャート。
【図5】制御部の実行する処理フローチャート。
【図6】発光素子に印加される電圧の時間の経過に伴う変化を示す一例。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
実施形態に係る照明装置の発光素子点灯装置は、発光素子に流れる電流を一定に制御する電流制御部と、発光素子の両端電圧の検出部と、を備える。前記電流制御部は、前記電圧の変化量が閾値を越えた場合に、前記発光素子に流す電流量を低減又は停止する。なお、前記発光素子は、有機EL発光素子のように、外部要因による半壊等の異常発生時、変形することによって内部抵抗が変化するものを用いる。前記電流制御部は、例えば、直流の定電流又はPWM調光信号に基づくPWM式の定電流を発光素子に流す。前記変化量は、発光素子に印加される電圧を周期的(例えば10ms毎)に検出し、検出した電圧の単位時間(例えば、100ms)当たりの変化量(|正又は負の変化値|/t)を算出して求める。前記閾値は、定格範囲内での動作時(又は回路の安定動作時)に検出される値よりも大きな値である。以下、上記構成を有する照明装置の実施例について説明する。
【0016】
図1は、前記構成の発光素子点灯装置を有している照明装置1の斜視図である。照明装置1は、発光部2と、発光部2を天井に吊り下げるための吊り具3と、発光部2と吊り具3とを繋ぐ電源コード4と、を備える。吊り具3は、天井に設けられている商用交流電圧の給電線と電源コード4とを接続する。これにより、電源コード4を介して発光部2に商用交流電圧が供給される。発光部2は、有機EL発光素子を有する発光パネル2aと、該発光パネル2aを囲むフレーム2bと、を備えている。
【0017】
図2は、前記発光パネル2aの構成を示す。発光パネル2aは、商用交流電圧が入力され、入力された交流電圧を直流電圧に変換して出力する電源ユニット5と、2つの同一構成の発光ユニット6、7を備えている。以下、発光ユニット6についてのみ説明する。発光ユニット6は、3つの同一構成の発光素子モジュール6a〜6cを備えている。以下、発光素子モジュール6aについてのみ説明する。発光素子モジュール6aは、有機EL発光素子8aと、該発光素子8aの発光素子点灯装置9aと、図示しないリモコンから送信されてくる調光信号を受信する受信部10aと、を備えている。発光素子8aは、例えば、定格電圧が7.5V、定格電流が0.3A、発光面積が64cm、の有機EL発光素子である。有機EL発光素子は、外部から力が掛けられて変形して半壊した場合に、内部抵抗が大幅に低下する。受信部10aは、受信した調光信号を発光素子点灯装置9aに出力する。発光素子点灯装置9aは、前記電源ユニット5から電力供給を受けるとともに、受信部10aからの調光信号に応じて定まるデューティ比のPWM調光信号を生成し、生成したPWM調光信号(PWM式の電流)を発光素子8aに供給する。発光素子点灯装置9aは、前記PWM調光信号の最大振幅値が安定するようにPWM式の定電流制御を行う。
【0018】
図3は、発光素子8aに接続されている発光素子点灯装置9aの回路図である。発光素子点灯装置9aは、内部回路用駆動電圧Vccの生成回路11と、発光素子8aに流れる電流を一定に制御する電流制御部として、発光素子8a用の信号生成回路12及び制御部13と、を備えている。
【0019】
駆動電源Vccの生成回路11は、直列に接続された抵抗R1及び抵抗R2によって電源ユニット5から供給される直流電圧を分圧して、前記信号生成回路12及び制御用IC13を駆動する駆動電圧Vccを生成する。
【0020】
信号生成回路12は、調光信号に応じたデューティ比のPWM信号を生成して出力するPWM調光信号生成回路12aと、該PWM調光信号に基づいて動作する降圧チョッパ回路12bと、発光素子8aに流れる電流を検出する電流検出部12cと、を備えている。降圧チョッパ回路12bは、平滑用コンデンサC1、スイッチングトランジスタQ1、ダイオードD1、リアクタンスL1、コンデンサC2を有し、図示する構成の一般的な降圧チョッパ回路である。降圧チョッパ回路12bは、PWM調光信号生成回路12aからのPWM調光信号のオン期間中に駆動トランジスタ12cをチョップする駆動信号の生成回路12dを有している。
【0021】
前記PWM調光信号生成回路12aは、2つの比較器OP1、OP2を備えている。比較器OP2は、調光信号に応じたPWM調光信号を出力する。比較器OP2の非反転入力端子(+)には、比較器OP1の出力が入力されている。比較器OP1は、前記PWM調光信号のデューティ比を定める基準電圧Vref0を出力する。比較器OP2の反転入力端子(−)には、スイッチングトランジスタQ8を、オンすることで0Vとなり、オフすることによって抵抗R14を介して入力される電源VccがコンデンサC4に蓄積されて高くなる電圧が印加される。前記スイッチングトランジスタQ8は、後述する制御IC13aの2番ピンから出力される信号に基づいてオン/オフされる。比較器OP2は、OP1から非反転入力端子(+)に入力される電圧よりも反転入力端子(−)に入力される電圧が低い期間、Highレベルの信号を出力する。
【0022】
図4は、(a)が2番ピン、(b)が比較器OP2の反転入力端子(−)、(c)が比較器OP2の非反転入力端子(+)、(d)が比較器OP2の出力端子、での信号を表す。本図に示すように、比較器OP1の出力する基準電圧Vref0に応じて、PWM調光信号のデューティ比が変化する。
【0023】
再び図3を参照する。信号生成回路12は、更に、発光素子8aへ点灯用の定電流を供給する電源部として機能する。比較器OP1の反転入力端子(―)には、電流検出部12cの電流検出抵抗R3によって検出される発光素子8aに流れる電流に比例した電流検出電圧が入力される。スイッチングトランジスタQ6は、直列接続されたR8、R9で構成される分圧回路の中点に接続されている。比較器OP1の非反転入力端子(+)には、スイッチングトランジスタQ6のオン/オフに応じて2種類の基準電圧Vref1/Vref2が入力される。異常の発生していない時、スイッチングトランジスタQ6はオフに設定され、比較器OP1の非反転入力端子(+)には、Vref2(>Vref1)が入力される。比較器OP1は、比較結果を比較器OP2の非反転入力端子(+)に出力する。上記構成により、電流検出部12cに流れる電流量に応じて比較器OP1の出力する基準電圧Vref0が増減され、この結果、比較器OP2の出力する信号のデューティ比が増減されて定電流制御が行われる。
【0024】
PWM調光信号生成回路12aは、更に、オンすることによって、比較器OP1の非反転入力端子(+)の電位を0VにするスイッチングトランジスタQ7を備えている。後述する異常検出時、スイッチングトランジスタQ7をオンすることで、比較器OP2からの信号出力を停止する。なお、Vref1の値を0.1〜1V等の0V近傍値に設定しておき、異常検出時にスイッチングトランジスタQ6をオンにする構成を採用し、比較器OP2からの信号出力を大幅に低減して発光素子8aに流れる電流を低減してもよい。後に説明するが、異常の程度、即ち、発光素子に印加される電圧の変化量に応じて、まず、スイッチングトランジスタQ6をオンにし、次に、スイッチングトランジスタQ7をオンにする構成を採用してもよい。
【0025】
制御部13は、制御IC13aと、直列接続された抵抗R4及び抵抗R5で構成される分圧回路13bと、を備えている。制御IC13aは、A/D変換部13cと、記憶部13dと、該記憶部13dに記憶しているプログラムを実行する演算部13eと、を有するコンピュータである。1番ピンには、前記駆動電源Vccの生成回路11によって生成された電源電圧Vccが入力される。2番ピン乃至5番ピンは、制御信号の出力端子である。6番ピンは、図2に示した受信部10aからの調光信号の入力端子である。7番ピンは、直列接続された抵抗R4及び抵抗R5で構成される分圧回路13bによって、発光素子8aに印加されている電圧Vlaの分圧値が入力される。前記A/D変換部13cは、7番ピンに接続されており、入力値を内部処理用にデジタル信号に変換して演算部13eに出力する。8番ピンは、接地されている。
【0026】
図5は、演算部13eが実行する処理フローを示す。電源投入に応じて、ステップ#1では、初期化処理を実行する。ステップ#2では、2番ピンから調光信号に応じて定まる周期のオン信号を出力し、PWM調光信号生成回路12aに、調光信号に応じて定まるデューティ比のPWM調光信号を生成させる。これにより、発光素子10aが発光する。ステップ#3では、7番ピンへの入力値に基づいて発光素子8aへの定電流制御を行う発光素子初期点灯処理を行う。ステップ#4では、7番ピンへの入力値に基づいて発光素子8aに印加されている電圧Vlaを計測し、記憶部13dに記憶する。前記計測は、7番ピンに入力される電圧を、異常を検知して処理するのに十分な極めて短い周期、例えば10msの周期で検出して行う。
【0027】
ステップ#5では、発光素子電圧Vlaの値が上限値Vth1以下で、かつ、下限値Vth2以上で無い場合(ステップ#5でNo)、ステップ#10に進む。ステップ#10では、3番ピンからオン信号を出力してPWM調光信号生成回路12aから出力される信号の電位を0Vにして回路を停止させた後、処理を終了する。前述したように、発光素子8aの定格電圧が7.5Vの場合、前記上限値Vth1は、例えば10数Vで、前記下限値Vth2は、例えば数Vである。前記処理を行うことによって、回路内で短絡又は開放が発生し、発光素子8aに印加される電圧が上限値を越え、又は、下限値を下回った場合に、発光素子8aへの給電を停止し、発光素子8a及び回路を保護することができる。演算部13eは、前記ステップ#5、#10を実行することによって、発光素子8aの短絡又は開放による異常発生時に発光素子へ供給される電流を停止して発光素子8a及び回路を保護する保護手段として機能する。
【0028】
ステップ#5では、発光素子電圧Vlaの値が上限値Vth1以下で、下限値Vth2以上の場合(ステップ#5でYes)、次のステップ#6へと進む。ステップ#6では、7番ピンへの入力値に基づいて発光素子8aへの定電流制御を行う発光素子定常点灯処理を行う。
【0029】
ステップ#7では、前記記憶部13dに記憶する電圧検出結果に基づいて、異常を検知して処理するのに十分短い周期、例えば100ms毎の電圧変化の傾き(|ΔVla|/t(例えばt=100ms))を求める。例えば100ms毎であれば、前記ステップ#4において10ms毎に行う電位検出10回分の変化量ΔVlaから傾きを算出する。
【0030】
ステップ#8において、ステップ#7で求めた傾きが閾値α以下の場合(ステップ#8でYes)、発光素子8aの消灯が検出されるまで(ステップ#9でNo)、前記ステップ#4乃至ステップ#8の処理を繰り返し実行する。前記閾値αは、定格範囲内での動作時に検出される値よりも大きな値であり、実際の統計データから、発光素子8aの半壊による異常発生を最もよく検出できる値に設定する。前記定格範囲内での動作時に検出される値とは、例えば、定格範囲内での動作時に、設定環境下での温度変化に伴い生じる電圧の変化量を表す値である。環境温度が37度から60度に変化する場合、前記変化量は、変化に要する期間Tにより変わるが、例えば|―10.3mV|/secであった。前記求めた傾きが閾値αを越えた場合(ステップ#8でNo)、又は、発光素子8aの消灯が確認された場合(ステップ#9でYes)には、ステップ#10に進む。ステップ#10では、3番ピンからオン信号を出力してPWM調光信号生成回路12aから出力される信号の電位を0Vにして回路を停止させた後、処理を終了する。
【0031】
図6は、点灯後の数10秒の間に、発光素子8aに印加される電圧(初期の電圧V0)の変化を示す図である。本図では、t1迄の発光素子8aに印加される電圧の変化量(例えば|−2.23mV|/sec)は、設定された環境下において生じる温度変化によるものである。前記閾値αは、この時間の経過に伴う温度変化によって生じる傾きよりも変化量の多い、異常発生時に現れる値(例えば、|−158mV|/sec)を検出できる値(例えばα=|―100mV|/sec)に設定する。t1の時に外部から衝撃を加えて発光素子8aを半壊させた。図示するように、発光素子8aの内部抵抗は、t1(例えば10秒)からt2(例えば12秒)迄の短い間(約2秒間)に大きく減少し、結果、電圧が|―100mV|/secより大きな変化量(例えば|―158mV|/sec)で大きく減少した。この場合、前記ステップ#8の処理を実行することで、発光素子8aの半壊を検知し、発光素子8aに流れる電流を停止することができる。なお、前述したように、ステップ#10では、4番ピンからオン信号を出力して発光素子8aに流れる電流を大幅に低減させてもよい。
【0032】
なお、一般の有機EL発光素子は、経時劣化に伴い前記初期の電圧V0が上昇する。予め定めた時間経過(例えば10000時間経過)することによって、初期の電圧が、予め設定した電圧V0より大きな閾値Vth1(上限値:例えば電圧V0の120%)にまで増大した場合、前記ステップ#5、#10の処理が実行された後、発光素子8aの取り換えが行われる。
【0033】
更には、前記ステップ#8では、閾値α1(例えば、α1=|−100mV|/sec)と、α2(例えばα2=|−150mV|/sec)と、を用いてもよい。この場合、変化量が閾値α1以上、α2未満の場合(例えば|―120mV|/sec)、ステップ#10で4番ピンからオン信号を出力し、変化量がα2以上の場合(例えば、|―158mV|/sec)、ステップ#10で3番ピンからオン信号を出力する。これにより、異常発生の程度に応じた回路保護処理を行うことができる。
【0034】
制御IC13aの演算部13eは、上記ステップ#8、#10の処理を実行することによって、発光素子8aが使用中に半壊し、内部抵抗が急激に変化した場合、発光素子へ供給される電流を低減又は停止して発光素子8a及び周辺回路を保護する保護手段として機能する。
【0035】
上記構成の点灯装置9aを用いることによって、発光素子8aが使用中に半壊し、内部抵抗が急激に変化したが、その後の電位が回路の短絡又は開放を表す値で無い場合でも、保護手段が作動して発光素子へ供給される電流を低減又は停止する。これによって、前記半壊した発光素子8a及び周辺回路の保護を行う。
【0036】
なお、本発明は、上記実施形態の構成に限られず、発明の趣旨を変更しない範囲で種々の変形が可能である。例えば、閾値αの値は、設定環境として、季節の変化に伴う温度変化等を考慮し、実際の使用状況で生じる温度変化で生じ得る電位変化よりも大きな値に設定するのが好ましい。また、有機EL発光素子は、半壊によって抵抗値が減少するが、本発明の発光素子点灯装置は、半壊によって抵抗値が増加するが、増加後の値が回路の開放を表す上限値を越えない発光素子にも、用いることができる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は、有機EL発光素子のように、回路の短絡又は開放以外に、内部抵抗の変化を伴うが、その後の電圧が短絡又は開放を表す程の値にならない「半壊」という異常の生じ得る発光素子に用いることができる。
【符号の説明】
【0038】
1 照明装置
2 発光部
2a 発光パネル
5 電源ユニット
6、7 発光ユニット
8a 有機EL発光素子
9a 発光素子点灯装置
11 駆動電圧Vccの生成回路
12 信号生成回路
13 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機EL発光素子を点灯させる発光素子点灯装置において、
前記発光素子に流れる電流を一定に制御する電流制御部と、
前記発光素子の両端電圧を検出する電圧検出部と、を備え、
前記電流制御部は、前記電圧検出部で検出した電圧の単位時間当たりの電圧変化量を算出し、前記算出した変化量が定格範囲内での動作時に検出される値よりも大きな値の閾値を越えた場合に、発光素子に流す電流量を低減又は停止する、
ことを特徴とする発光素子点灯装置。
【請求項2】
前記閾値は、設定環境下での温度変化に伴い生じる電圧の変化量よりも大きな値に設定されている、ことを特徴とする請求項1に記載の発光素子点灯装置。
【請求項3】
前記電流制御部は、更に、前記電圧検出部により検出された電圧が下限値を下回った場合又は上限値を越えた場合に、前記発光素子に流す電流を停止することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の発光素子点灯装置。
【請求項4】
前記電流制御部は、入力される調光信号に応じて定められるデューティ比のPWM調光信号を生成し、該信号に基づいてPWM式の電流を前記発光素子に流す、ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の発光素子点灯装置。
【請求項5】
1以上の有機EL発光素子と、各発光素子を点灯するための請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載の発光素子点灯装置と、該発光素子点灯装置に電力を供給する電源ユニットと、を有している発光パネルを備えることを特徴とする照明装置。
【請求項6】
前記電流制御部は、外部から入力された調光信号に応じて定められるデューティ比のPWM調光信号を生成し、該信号に基づいて電流制御を行う、ことを特徴とする請求項5に記載の照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−109964(P2013−109964A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−254226(P2011−254226)
【出願日】平成23年11月21日(2011.11.21)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】