説明

発光素子照明灯装置

【課題】主光源の異常を検出したとき、主光源を消灯させて主光源および周辺回路への影響を防止して安全性、信頼性を向上させ、また、使用者、保守作業者に対する利便性を向上させた発光素子照明灯装置を提供する。
【解決手段】発光素子照明灯装置1は、第1電源部10から電力の供給を受けて点灯される主光源部20と、第1電源部10とは別に交流電源2に接続されて待機電源を構成する第2電源部30と、第2電源部30から電力の供給を受けて点灯される副光源部40と、全体の制御を実行する主制御部50とを備える。主光源部20は、発光素子LEDを有する主光源21と、主光源21を定電流で駆動する第1定電流制御部23と、主光源21の異常を検出する主光源異常検出部25とを備える。副光源部40は、副光源41(副発光素子SLED)と、副光源41を定電流で駆動する第2定電流制御部43とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光素子を有する主光源を備える発光素子照明灯装置に関する。
【背景技術】
【0002】
発光素子(例えば半導体発光ダイオード)の技術開発に伴い、電球あるいは蛍光灯に替えて発光素子を適用した照明装置が提案されている。しかし、発光素子であっても異常が全く生じないというわけでは無く、また、多数の発光素子が搭載されることから、異常の発生に対する対策が必要である。
【0003】
従来技術として、異常電流(予め設定している所定レベル以上の電流)を検出したとき、異常電流が流れた列の白色LEDの電流を遮断するなどの工夫をした照明用白色LED駆動回路が提案されている。(例えば、特許文献1参照。)
しかしながら、LEDを多数配置するLED照明灯では、LEDの搭載数が多くなるにしたがって、確率的に断線あるいは開放などの異常が生じる割合が増える虞がある。また、単にLEDに対する電流を遮断するだけでなく、異常状態であることを表示する(使用者ならびに保守作業者に認識させる)必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−252344号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、主光源の異常を検出したとき、主光源を消灯させて主光源および周辺回路への影響を防止して安全性、信頼性を向上させ、また、使用者が異常状態を容易に認識でき、更に、保守作業者が異常個所を的確に特定して迅速な保守作業を容易に実行することができる利便性の高い発光素子照明灯装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る発光素子照明灯装置は、
発光素子を有する主光源と、前記発光素子に定電流を供給する第1定電流制御部と、前記第1定電流制御部の状態に基づいて前記主光源の異常を検出する主光源異常検出部と、前記主光源異常検出部が前記主光源の異常を検出したときに出力する主光源異常検出信号に基づいて前記主光源を消灯し、その後、前記主光源を再起動する電力が供給されたとき、前記主光源を一定時間点灯する制御を行う主制御部とを備えることを特徴とする。
【0007】
したがって、本発明に係る発光素子照明灯装置は、主光源に異常が生じたとき、主光源を消灯させることによって主光源および周辺回路への影響を防止して安全性、信頼性を向上させ、主光源に対する再起動の電力が供給されたとき、一定時間に限って主光源を点灯することから、使用者が異常状態を容易に認識でき、また、保守作業者が異常個所を的確に特定して迅速な保守作業を容易に実行できるので、高い利便性を実現できる。
【0008】
また、本発明に係る発光素子照明灯装置では、前記主光源とは別の副発光素子を有する副光源を備え、前記副光源は、前記主光源が前記主光源異常検出信号に基づいて消灯されたとき点灯される構成とされていることを特徴とする。
【0009】
したがって、本発明に係る発光素子照明灯装置は、主光源の消灯に併せて副光源が点灯されることから、異常状態を表示することが可能となり、また、主光源の消灯に伴って周囲が暗い状態となった場合でも副光源の点灯によって必要な明るさを確保して安全性を確保することができる。
【0010】
また、本発明に係る発光素子照明灯装置では、前記主光源は、少なくとも1個の前記発光素子を有して相互に並列接続された複数の発光素子直列部を備え、前記第1定電流制御部は、複数の前記発光素子直列部のそれぞれに接続された複数の定電流回路を備え、前記主光源異常検出部は、複数の前記定電流回路の状態を示す状態信号を基準信号と比較して前記発光素子直列部の異常を検出する構成とされていることを特徴とする。
【0011】
したがって、本発明に係る発光素子照明灯装置は、複数の発光素子直列部のそれぞれに接続された複数の定電流回路の状態信号を基準信号と比較して発光素子直列部の異常を検出する主光源異常検出部を備えることから、いずれかの発光素子直列部での異常を検出することができるので主光源の異常を高精度に検出することが可能となる。
【0012】
また、本発明に係る発光素子照明灯装置では、前記主光源異常検出部は、前記発光素子直列部の開放状態を検出する第1コンパレータと、前記発光素子直列部の短絡状態を検出する第2コンパレータとを備えることを特徴とする。
【0013】
したがって、本発明に係る発光素子照明灯装置は、発光素子直列部の開放状態を検出する第1コンパレータと発光素子直列部の短絡状態を検出する第2コンパレータとを備えることから、主光源の異常として発光素子直列部の開放状態および短絡状態を併せて検出することができるので、安全性および信頼性を更に向上させることができる。
【0014】
また、本発明に係る発光素子照明灯装置では、前記主光源は、交流電源に接続された第1電源部が有する第1整流部から電力が供給され、前記副光源は、前記第1電源部とは別に設けられて前記交流電源に接続された第2電源部が有する第2整流部から電力が供給され、前記主制御部は、前記第2整流部から電力が供給される構成とされていることを特徴とする。
【0015】
したがって、本発明に係る発光素子照明灯装置は、主光源の異常に対して主光源の消灯および副光源の点灯を制御する主制御部の電源と副光源を点灯する副光源の電源とを、主光源の電源である第1電源部(第1整流部)とは異なる第2電源部(第2整流部)としていることから、主制御部の動作の信頼性、安全性、副光源の点灯の信頼性を向上させることができる。
【0016】
また、本発明に係る発光素子照明灯装置では、前記発光素子および前記副発光素子は、発光ダイオードであることを特徴とする。
【0017】
したがって、本発明に係る発光素子照明灯装置は、発光素子および副発光素子を発光ダイオードで形成することから、長寿命で信頼性が高く、低消費電力が可能な照明灯装置となる。
【0018】
また、本発明に係る発光素子照明灯装置では、前記発光素子の発光波長と、前記副発光素子の発光波長とは、互いに異なることを特徴とする。
【0019】
したがって、本発明に係る発光素子照明灯装置は、主光源の発光色と副光源の発光色とを異ならせることから、主光源の異常を容易にかつ正確に表示することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る発光素子照明灯装置は、主光源異常検出部が主光源の異常を検出したときに出力する主光源異常検出信号に基づいて主光源を消灯し、その後の主光源に対する再起動がされたときに一定時間に限って点灯する制御を行う主制御部を備える。
【0021】
したがって、本発明に係る発光素子照明灯装置は、主光源に異常が生じたとき、主光源を消灯させることによって主光源および周辺回路への影響を防止して安全性、信頼性を向上させ、主光源に対する再起動の電力が供給されたとき、一定時間に限って主光源を点灯することから、使用者が異常状態を容易に認識でき、また、保守作業者が異常個所を的確に特定して迅速な保守作業を実行できるので、高い利便性を実現できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施の形態に係る発光素子照明灯装置が備える各ブロックの相関を示すブロック図である。
【図2】図1に示した発光素子照明灯装置が備える主制御部での機能ブロックの概略を示す概略機能ブロック図である。
【図3A】図1に示した発光素子照明灯装置で実行される制御フローの内、主光源に対するオン/オフ制御の概略フローを示すフローチャートである。
【図3B】図1に示した発光素子照明灯装置1で実行される制御フローの内、主光源の異常を検出したときの概要フローを示すフローチャートである。
【図4】図1に示した発光素子照明灯装置が備える第1定電流制御部および主光源異常検出部の回路の概要を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0024】
図1ないし図4を参照して、本実施の形態に係る発光素子照明灯装置1について説明する。
【0025】
図1は、本発明の実施の形態に係る発光素子照明灯装置1が備える各ブロックの相関を示すブロック図である。
【0026】
本実施の形態に係る発光素子照明灯装置1は、例えば商用電源として配電された交流電源2(AC電源)に接続された第1電源部10と、第1電源部10から電力の供給を受けて点灯される主光源部20と、第1電源部10とは別に交流電源2に接続されて待機電源を構成する第2電源部30と、第2電源部30から電力の供給を受けて点灯される副光源部40と、発光素子照明灯装置1に対する全体の制御を実行する主制御部50とを備える。なお、発光素子照明灯装置1のオン/オフ(主光源21の点灯/消灯)は、外部に配置された可搬型のリモコン端末器52からの指示を受信した主制御部50によって制御される。
【0027】
第1電源部10は、交流電源2から供給された交流電力の力率を改善する力率改善回路11(PFC)と、力率改善回路11からの交流電力に対してスイッチングを施して電力の調整を行う第1電源制御部12(例えばAC/ACコンバータ:スイッチング電源回路)と、第1電源制御部12から供給された交流に対して電圧変換(第1電源制御部12の高い電圧を第1整流部14に適した低い電圧に変換する。)を施す第1変圧部13と、第1変圧部13から供給された交流を直流に変換して主光源部20へ直流電力を供給する第1整流部14とを備える。
【0028】
第1電源部10は、更に、主光源部20が有する第1定電流制御部23からの定電流信号Sccを第1電源制御部12に送信して第1電源制御部12のスイッチングを制御するホトカプラー16(PC1)とを備える。定電流信号Sccは、発光素子直列部22へ供給される電流値が定電流となるように、第1定電流制御部23から第1電源制御部12へ出力される信号であり、第1電源制御部12から出力される電圧を制御する。
【0029】
ホトカプラー16は、第1定電流制御部23からの信号(定電流信号Scc)を第1電源制御部12に伝達するとき光信号に変換して送信することから、第1定電流制御部23と第1電源制御部12との間の絶縁性を確保して信号伝達の信頼性を確保することができる。
【0030】
主光源部20は、発光素子LED(Light Emitting Diode:例えば、発光素子LED1〜発光素子LEDn。なお、以下では、発光素子LED1ないし発光素子LEDnを特に区別する必要がない場合は、単に発光素子LEDとすることがある。)を有する主光源21と、主光源21(発光素子LED)を定電流で駆動する第1定電流制御部23と、主光源21の異常を検出する主光源異常検出部25とを備える。
【0031】
第1定電流制御部23は、複数配置された発光素子直列部22に個別に接続されてそれぞれの発光素子直列部22を定電流で駆動する定電流回路24(図4参照)を備える。また、主光源異常検出部25は、各定電流回路24の電流の状態(状態信号Sst(図4参照))を検出して発光素子直列部22(第1定電流制御部23)の異常(主光源21の異常)を検出する。つまり、主光源異常検出部25は、第1定電流制御部23での電流の状態を検出して主光源21(発光素子LED)の異常を検出する。なお、主光源異常検出部25の動作については、図4で更に詳細を説明する。
【0032】
発光素子LED1、・・・、発光素子LEDnは、それぞれ少なくとも1個の発光素子LEDを備えた発光素子直列部22として形成されている。また、主光源21は、複数の発光素子直列部22が並列接続されて形成されている。発光素子LEDは、例えば白色で発光することが照明向けには好ましい。
【0033】
発光素子直列部22(発光素子LED1〜発光素子LEDn)は、仕様に応じた照度を確保するために供給された電流および電圧に対して適宜の個数の発光素子LEDが直列接続の形態で形成されている。また、発光素子直列部22は、必要な発光面を確保するために分散して並列接続されて配置され、並列接続の個数に応じた適宜の数の発光素子LEDが適宜のデザインで配置される。
【0034】
第2電源部30は、交流電源2から供給された交流電力に対してスイッチング制御を施す第2電源制御部31(スイッチング電源回路)と、第2電源制御部31から供給された交流に対して電圧変換(第2電源制御部31の高い電圧を第2整流部33の動作に適した電圧に変換する。)を施す第2変圧部32と、第2変圧部32から供給された交流を直流に変換して副光源部40、主制御部50(マイクロコンピュータ51)、および主光源異常検出部25へ直流電力を供給する第2整流部33とを備える。
【0035】
第2電源部30は、更に、第2整流部33の出力から得た電圧信号Svを処理する電圧信号処理部34と、電圧信号処理部34からの信号(電圧信号Sv)に基づいて第2電源制御部31のスイッチングを制御するホトカプラー35(PC2)とを備える。ホトカプラー35は、電圧信号処理部34からの信号(電圧信号Sv)を第2電源制御部31に伝達するとき光信号に変換して送信することから、電圧信号処理部34と第2電源制御部31との間の絶縁性を確保して信号伝達の信頼性を確保することができる。
【0036】
電圧信号処理部34は、第2整流部33の出力(電圧)から得た電圧信号Svに基づいて第2電源制御部31を制御することから、第2整流部33の出力を所定の電圧値に制御して副光源部40の駆動を高精度に実行する。つまり、電圧信号処理部34は、電圧信号Svに基づいて第2電源制御部31から第2変圧部32へ供給される電圧が副光源41(副発光素子SLED)を精度良く駆動できる規定電圧となるように、ホトカプラー35を介して第2電源制御部31から出力される電圧を制御する。
【0037】
第2電源部30は、常にオン状態(待機電源)とされ、主制御部50の電源を構成することから、主制御部50(マイクロコンピュータ51)は、常時待機状態とされ、リモコン端末器52からの指示であるリモコン信号Srcを何時でも受信することができる。
【0038】
副光源部40は、主光源21とは全く別に配置された副光源41(副発光素子SLED)と、副光源41(副発光素子SLED)を定電流で駆動する第2定電流制御部43とを備える。つまり、第2定電流制御部43は、定電流によって副発光素子SLEDを安定して動作させることができる。なお、副発光素子SLEDは、発光素子LEDとは異なる発光波長とされて発光素子LEDとの識別が可能な状態とされていることが好ましい。
【0039】
主制御部50は、主制御部50の主要部を形成するマイクロコンピュータ51と、外部(使用者)からの指示手段(制御手段)であるリモコン端末器52を介して指示信号としてのリモコン信号Srcを受信する赤外線受信部53(IRD:Infrared Detector)と、リモコン信号Srcが主光源21に対するオン/オフ(点灯/消灯)信号であるとき、マイクロコンピュータ51から出力される第1電源起動信号Spcを力率改善回路11へ送信するホトカプラー54(PC3)とを備える。
【0040】
ホトカプラー54は、マイクロコンピュータ51からの信号(第1電源起動信号Spc)を力率改善回路11に伝達するとき光信号に変換して送信することから、マイクロコンピュータ51と力率改善回路11との間の絶縁性を確保して信号伝達の信頼性を確保することができる。
【0041】
マイクロコンピュータ51は、赤外線受信部53(リモコン端末器52)からの信号(リモコン信号Src)、主光源異常検出部25からの主光源異常検出信号Sab、副光源異常検出信号Ss3を受信する。なお、副光源異常検出信号Ss3は、第2定電流制御部43の動作異常を検出したときに第2定電流制御部43から送信される信号である。
【0042】
また、マイクロコンピュータ51は、予め設定(インストール)されたコンピュータプログラムに基づいて、第1電源部10、第1定電流制御部23、第2定電流制御部43、ホトカプラー54のそれぞれに対する制御を実行する。
【0043】
マイクロコンピュータ51は、第1電源起動信号Spcに基づいて第1電源部10の起動(あるいは停止)を制御する。すなわち、第1電源起動信号Spcは、力率改善回路11に対する制御に基づいて第1電源部10を実質的に起動させ、あるいは第1電源部10を実質的に停止させて、主光源部20のオン(発光素子LEDの点灯)、オフ(発光素子LEDの消灯)を制御する。
【0044】
マイクロコンピュータ51は、リモコン信号Srcに基づいて第1電源起動信号Spcを力率改善回路11へ送信することができ、主光源部20の動作(主光源21の点灯、消灯)を制御することができる。
【0045】
マイクロコンピュータ51は、第1定電流制御部23に対して、主光源オン/オフ信号Sf1、PWM制御信号Sf2を送信して発光素子直列部22(主光源21)の点灯動作、消灯動作を制御する。
【0046】
マイクロコンピュータ51は、第2定電流制御部43に対して、副光源オン/オフ信号Ss1、PWM制御信号Ss2を送信して副発光素子SLED(副光源41)の点灯動作、消灯動作を制御する。
【0047】
なお、発光素子照明灯装置1は、絶縁区分DL(第1変圧部13、ホトカプラー16、第2変圧部32、ホトカプラー35、ホトカプラー54)によって、1次側と2次側との間での絶縁を確保して発光素子照明灯装置1の安全性、信頼性を確保している。
【0048】
図2は、図1に示した発光素子照明灯装置1が備える主制御部50での機能ブロックの概略を示す概略機能ブロック図である。
【0049】
主制御部50における制御は、主にマイクロコンピュータ51によって実行される。マイクロコンピュータ51は、CPU(中央処理装置)を備え、予めインストールされたプログラムに基づいて発光素子照明灯装置1における各種の制御を実行する。
【0050】
主制御部50(マイクロコンピュータ51)は、主光源21(発光素子LED)のオン/オフを制御する主光源オン/オフ制御部60と、主光源21の光量を調整するために主光源21に対するPWM(パルス幅変調:光量調整)を施す主光源PWM制御部61と、副光源41(副発光素子SLED)のオン/オフを制御する副光源オン/オフ制御部62と、副光源41の光量を調整するために副光源41に対するPWM(パルス幅変調:光量調整)を施す副光源PWM制御部63とを備える。
【0051】
主光源オン/オフ制御部60は、主光源オン/オフ信号Sf1を第1定電流制御部23へ出力し、主光源PWM制御部61は、PWM制御信号Sf2を第1定電流制御部23へ出力する。主光源オン/オフ信号Sf1およびPWM制御信号Sf2は、適宜合成されて定電流回路24(図4参照)へ入力される。
【0052】
副光源オン/オフ制御部62は、副光源オン/オフ信号Ss1を第2定電流制御部43へ出力し、PWM制御信号Ss2を第2定電流制御部43へ出力する。副光源オン/オフ信号Ss1およびPWM制御信号Ss2は、適宜合成されて副光源41を駆動する定電流回路(不図示。基本的な構成は、定電流回路24と同様であるので説明を省略する。)へ入力される。
【0053】
また、主制御部50(マイクロコンピュータ51)は、主光源異常検出部25からの信号である主光源異常検出信号Sabを受信する主光源異常検出信号受信部64と、第2定電流制御部43からの信号である副光源異常検出信号Ss3を受信する副光源異常検出信号受信部65とを備える。
【0054】
主光源異常検出信号Sabは、発光素子直列部22(発光素子LED1〜発光素子LEDn)の異常(発光素子LEDの開放状態、短絡状態)を検出した主光源異常検出部25から送信される。
【0055】
副光源異常検出信号Ss3は、副光源41(副発光素子SLED)を駆動する第2定電流制御部43(第2定電流制御部43が有する駆動回路)に異常があるとき、第2定電流制御部43から送信される。マイクロコンピュータ51で副光源異常検出信号Ss3が受信されると、マイクロコンピュータ51から第2定電流制御部43に副光源オン/オフ信号Ss1(ここでは、副光源41をオフするオフ信号)が送信され、副光源部40がオフ(消灯)状態となる。これによって、副光源部40の異常に対する信頼性を確保することができる。
【0056】
また、主制御部50は、第1電源制御信号発生部66と、タイマー部67と、IRD信号検出部68と、第1電源起動信号発生部69とを備える。
【0057】
第1電源制御信号発生部66は、第1定電流制御部23からの定電流信号Sccを受けて、第1定電流制御部23が発光素子直列部22に供給する電流が定電流となるようにホトカプラー16を介して第1電源制御部12を制御する。つまり、第1電源制御信号発生部66は、適宜のスイッチング制御によって出力を最適化する構成とされ、発光素子直列部22は、定電流で駆動される。
【0058】
タイマー部67は、主制御部50による制御で必要な時間(周期)を計時するために適用される。IRD信号検出部68(リモコン信号検出部)は、赤外線受信部53(IRD)を介して入力されたリモコン端末器52からのリモコン信号Srcを検出し、指示の内容に応じた処理が主制御部50(マイクロコンピュータ51)によって実行される。
【0059】
第1電源起動信号発生部69は、リモコン信号Srcが主光源21に対するオン/オフ(点灯/消灯)の指示信号であるとき、第1電源起動信号Spcを力率改善回路11に送信して第1電源部10を実質的に起動させる。つまり、第1電源起動信号発生部69は、リモコン信号Src(オン/オフ信号)を受信したとき、第1電源部10を機能させて主光源部20のオン/オフ(点灯/消灯)を実行する。
【0060】
図3Aは、図1に示した発光素子照明灯装置1で実行される制御フローの内、主光源に対するオン/オフ制御の概略フローを示すフローチャートである。
【0061】
図3Bは、図1に示した発光素子照明灯装置1で実行される制御フローの内、主光源の異常を検出したときの概要フローを示すフローチャートである。
【0062】
ステップS2〜ステップS14(図3A)、ステップS20〜ステップS34(図3B)のフローに基づいて、発光素子照明灯装置1での主要な処理フローについて説明する。なお、ステップS2からステップS34までの処理フローは、予めマイクロコンピュータ51にコンピュータプログラムとしてインストールされており、図2で示した機能実現手段としてのマイクロコンピュータ51(主光源オン/オフ制御部60、主光源PWM制御部61、第1電源起動信号発生部69など)その他によって実行される。
【0063】
ステップS2:
リモコン端末器52からオン信号を受信したか否かをIRD信号検出部68(マイクロコンピュータ51)によって判定する。なお、本ステップでのオン信号は、リモコン信号Srcが主光源21の点灯を指示する信号である。オン信号を受信していない場合(ステップS2:NO)は、元に戻り次の判定機会を待つ。オン信号を受信した場合(ステップS2:YES)は、ステップS4へ移行する。
【0064】
ステップS4:
外部からのオン信号を受信した主制御部50(マイクロコンピュータ51)は、主制御部50(マイクロコンピュータ51。第1電源起動信号発生部69)から第1電源部10へオン信号(第1電源起動信号Spc)を送信する。つまり、オン信号(ステップS2)を受信したマイクロコンピュータ51は、第1電源起動信号発生部69に第1電源起動信号Spcを生成させ、第1電源起動信号発生部69は、ホトカプラー54を介して力率改善回路11へ第1電源起動信号Spcを送信する。オン信号(第1電源起動信号Spc)によって、力率改善回路11が動作(起動)し、第1電源部10(力率改善回路11)が実質的に起動する。第1電源起動信号Spcが送信された後、ステップS6へ移行する。
【0065】
ステップS6:
第1電源起動信号Spcによって第1電源部10(力率改善回路11)が起動(動作)することから、第1電源制御部12、第1変圧部13、第1整流部14を介して主光源部20に電力が供給される。また、第1電源起動信号Spcの送信に併せて、主制御部50(マイクロコンピュータ51)から主光源部20(主光源21)へ制御信号(主光源オン/オフ信号Sf1:ここでは、主光源21をオンするオン信号)が送信される。つまり、第1電源部10から主光源部20への電力供給が開始され、併せてマイクロコンピュータ51から主光源21に対するオン信号(点灯信号)が送信され主光源21が点灯を開始する。
【0066】
主光源オン/オフ信号Sf1によって主光源21が点灯するとき、主制御部50(マイクロコンピュータ51)から主光源部20(主光源21)へ制御信号(PWM制御信号Sf2)が併せて送信される。つまり、主光源21(発光素子LED)が点灯されるとき、発光素子LEDに対する光量調整(点灯調整)が適宜なされる。
【0067】
なお、PWM制御信号Sf2は、光量調整の指示を受けて、異なるタイミングで別途送信されることがある。
【0068】
ステップS2ないしステップS6のフローで通常の点灯処理がなされる。なお、これらのステップにおいては、点灯前の状態で既に異常が内在している場合も同様に点灯される。点灯後、ステップS8へ移行する。
【0069】
ステップS8:
本ステップは、動作中に主光源21に異常が発生した場合、あるいは点灯前から異常が存在していた(以前の使用状態で発生した異常がある)場合において、異常を検出するステップである。
【0070】
つまり、主光源異常検出部25が主光源21の異常を検出したか否かが判定される。このときの判定は、主光源異常検出部25からマイクロコンピュータ51に対して主光源異常検出信号Sabを送信することによってなされる。なお、主光源異常検出部25の動作については、図4で別途説明する。
【0071】
異常を検出しない場合(ステップS8:NO)は、ステップS10へ移行する。異常を検出した場合(ステップS8:YES)は、ステップS20(図3B)へ移行する。
【0072】
ステップS10:
点灯状態であるから、点灯状態を維持するか、消灯状態とする指示を待つ状態である。なお、光量調整などの処理フローが適宜実行されるが本発明とは直接の関係は無いことから光量調整についての説明は省略する。
【0073】
リモコン端末器52からオフ信号(リモコン信号Srcが主光源21の消灯を指示する信号)を受信したか否かがマイクロコンピュータ51において判定される。
【0074】
オフ信号を受信しない場合(ステップS10:NO)は、ステップS8へ戻る。オフ信号を受信した場合(ステップS10:YES)は、ステップS12へ移行する。
【0075】
ステップS12:
通常の点灯状態から消灯状態への移行指示であることから、主制御部50(マイクロコンピュータ51)から第1電源部10(力率改善回路11)へオフ信号を送信する。本ステップでのオフ信号は、第1電源起動信号Spcを反転させた信号(オフ信号)を第1電源起動信号発生部69から力率改善回路11へ送信することによって実行される。主制御部50から第1電源部10へオフ信号を送信した後、ステップS14へ移行する。
【0076】
なお、併せて主光源オン/オフ信号Sf1のオフ信号が第1定電流制御部23へ送信される。
【0077】
ステップS14:
第1電源部10から主光源部20に対する電力の供給が停止され、また、主光源オン/オフ信号Sf1によって発光素子直列部22に対する定電流駆動が停止されるので主光源部20(主光源21、発光素子LED)はオフ(消灯状態)となる。
【0078】
ステップS20:
主光源異常検出部25は、主光源21の異常を検出したことから、主制御部50(マイクロコンピュータ51)へ主光源異常検出信号Sabを送信する。
【0079】
ステップS22:
主光源異常検出信号Sabを受信したマイクロコンピュータ51(主制御部50)は、それまでの履歴に基づいてステップS6に基づく起動(主光源21の点灯)が異常検出後の再起動か否かを判定する。ここで、異常検出後の再起動とは、前回の点灯時に異常が検出された後、修復処理(修理)がなされない状態のままで再び点灯(起動)された状態である。
【0080】
異常検出後の再起動である場合(ステップS22:YES)は、ステップS24へ移行する。異常検出後の再起動ではない場合(ステップS22:NO)は、ステップS26へ移行する。なお、異常検出後の再起動ではない場合とは、ステップS8での異常検出が初めての異常検出(あるいは、前回の修理後、初めての異常検出)である場合である。
【0081】
ステップS24:
マイクロコンピュータ51は、主光源異常検出信号Sabを受信した後(更に異常検出後の再起動と判定した後)、一定時間が経過したか否かを判定する。一定時間は、再起動による動作が主光源および周辺回路に影響を与えることのない適切な時間として予め設定されてあり、例えば、0.3秒から数秒程度の時間とされている。なお、一定時間は、タイマー部67を適用して適宜計時される。
【0082】
一定時間が経過した場合(ステップS24:YES)は、ステップS26へ移行する。一定時間が経過していない場合(ステップS24:NO)は、元に戻り、一定時間になるまで計時を継続する。
【0083】
本ステップでは、主制御部50(マイクロコンピュータ51)は、異常状態を維持したままで、一定時間、主光源21を点灯する。
【0084】
ステップS26:
マイクロコンピュータ51は、第1電源部10(力率改善回路11)へオフ信号(第1電源起動信号Spcによる第1電源部10をオフする信号)を送信する。つまり、マイクロコンピュータ51は、主光源異常検出信号Sabを受信したとき(ステップS22)からタイマー部67を動作させ、予め設定された一定時間がカウントされた後、主制御部50から第1電源部10へのオフ信号が送信される。
【0085】
また、第1電源部10に対するオフ信号の送信と併せて主制御部50(マイクロコンピュータ51)から、副光源部40(副光源41、副発光素子SLED)へ制御信号(副光源オン/オフ信号Ss1:ここでは、副光源41をオンするオン信号)が送信される。
【0086】
つまり、副光源部40に対する駆動回路である第2定電流制御部43へマイクロコンピュータ51から副光源41に対するオン信号(点灯信号)が送信され副光源41が点灯を開始する。
【0087】
副光源オン/オフ信号Ss1によって副光源41が点灯するとき、主制御部50(マイクロコンピュータ51)から副光源部40(副光源41)へ制御信号(PWM制御信号Ss2)が併せて送信される。つまり、副光源41(副発光素子SLED)が点灯されるとき、副発光素子SLEDに対する光量調整(点灯調整)が施される。
【0088】
すなわち、主制御部50は、主光源異常検出部25からの信号によって異常を検出したとき、従前の異常状態が維持されている場合は、すぐに点灯状態を遮断するのではなく、一定時間が経過した後(ステップS24)に、主光源21の消灯および副光源41の点灯を実行する構成とされている。
【0089】
なお、第1電源起動信号Spcのオフ信号に併せて、主光源オン/オフ信号Sf1のオフ信号がマイクロコンピュータ51から第1定電流制御部23へ送信され、第1定電流制御部23は停止状態とされる。したがって、第1電源部10および第1定電流制御部23によって確実に主光源21(主光源部20)をオフ状態(消灯状態)とすることができる。また、不要な回路動作を防止して消費電力を抑制している。
【0090】
ステップS28:
主制御部50による第1電源部10(第1定電流制御部23)のオフ制御、副光源部40(第2定電流制御部43)のオン制御によって、主光源部20(主光源21:発光素子LED)はオフ(消灯)状態となり、副光源部40(副光源41:副発光素子SLED)はオン(点灯)状態となる。
【0091】
つまり、異常が内在するとき、再点灯に対して、予め設定された一定時間点灯した後、主光源部20が消灯され、副光源部40が点灯されて異常を報知することができる。また、一定時間の点灯によって、主光源部20での点灯状況を把握することが可能となり、保守作業者が異常個所を的確に特定して迅速に保守作業を行うことができ、異常に対する認識度を高めて利便性を向上させることができる。
【0092】
通常は、本ステップでの点灯状態の変更(主光源21の点灯の停止、副光源41の点灯の開始。つまり、点灯状態の移行。)が使用者に認識され、使用者を含む保守作業者によって異常に対する補修などの対策を講じることができる。
【0093】
ステップS30:
リモコン端末器52から副光源部40に対するオフ信号(リモコン信号Srcが副光源40に対する消灯を指示する信号)を受信したか否かがマイクロコンピュータ51において判定される。オフ信号を受信した場合(ステップS30:YES)は、ステップS32へ移行する。また、オフ信号を受信していない場合(ステップS30:NO)は、ステップS30へ戻る。
【0094】
ステップS32:
主制御部50(マイクロコンピュータ51)から副光源部40へオフ信号を送信する。ここでのオフ信号は、マイクロコンピュータ51から第2定電流制御部43へ送信される副光源オン/オフ信号Ss1がオフを指示する信号であり、第2定電流制御部43がオフ状態とされて副光源41(副発光素子SLED)への電流の供給が停止され、PWM制御信号Ss2が停止状態とされる。
【0095】
ステップS34:
ステップS32での指示に伴って、副光源部40はオフ状態となり、副光源41(副発光素子SLED)は消灯する。
【0096】
図4は、図1に示した発光素子照明灯装置1が備える第1定電流制御部23および主光源異常検出部25の回路の概要を示す回路図である。
【0097】
主光源部20は、第1整流部14からの直流電力を受けて発光する発光素子LEDを有する主光源21と、主光源21に対する定電流駆動を実行する第1定電流制御部23(定電流回路24)と、第1定電流制御部23(定電流回路24)の状態信号Sstに基づいて発光素子LED(発光素子直列部22)の異常を検出する主光源異常検出部25とを備える。
【0098】
主光源21は、複数の発光素子直列部22を備え、発光素子直列部22は、第1定電流制御部23によって定電流駆動されている。なお、第1定電流制御部23は、発光素子直列部22に対応して配置(接続)された定電流回路24を備える。つまり、発光素子直列部22は、定電流回路24によって個別に定電流駆動されている。なお、定電流回路24は、電流経路のオンオフを制御するスイッチング素子としてのMOS電界効果トランジスタと、MOS電界効果トランジスタに直列に接続された抵抗とを備える。
【0099】
MOS電界効果トランジスタのゲート電極に接続されたオペアンプOP(演算増幅器)の非反転入力端子(+)にPWM制御信号Sf2を積分した直流電圧信号が入力されると、直流電圧信号と抵抗Rとの比で決定される電流によって発光素子LEDの光量調整が実行される。
【0100】
本実施の形態では、発光素子直列部22に個別に接続された定電流回路24と発光素子LED(発光素子直列部22)との接続点での電気的な状態を示す状態信号Sstを主光源異常検出部25によって検出することで、発光素子直列部22の異常を検出することができる。異常状態としては、発光素子直列部22(発光素子LED)の開放状態と短絡状態とがある。
【0101】
主光源異常検出部25は、発光素子LEDの開放状態を第1基準信号Vref1と比較して検出する第1コンパレータ26と、発光素子LEDの短絡状態を第2基準信号Vref2と比較して検出する第2コンパレータ27とを備える。発光素子直列部22のそれぞれに対応して出力される状態信号Sstは、第1コンパレータ26、第2コンパレータ27へそれぞれ並列に入力(オア入力)され、基準信号Vref(以下では、第1基準信号Vref1と第2基準信号Vref2とを特に区別する必要が無い場合は、単に基準信号Vrefとすることがある。)と比較される。基準信号Vrefとの比較によって異常が検出されたときは、第1コンパレータ26、第2コンパレータ27それぞれから異常信号が出力され、主光源異常検出信号Sabが主光源異常検出部25から出力される。
【0102】
並列に接続された複数の発光素子直列部22それぞれの状態を示す状態信号Sstのいずれか1つが、第1基準信号Vref1より低い場合は、発光素子LEDのいずれか1つは開放された状態であり、状態信号Sstのいずれか1つが、第2基準信号Vref2より高い場合は、発光素子LEDのいずれか1つは短絡された状態である。また、開放状態の発光素子直列部22では、少なくとも1個の発光素子LEDが開放状態となっており、また、短絡状態の発光素子直列部22では、少なくとも1個の発光素子LEDが短絡状態となっている。
【0103】
本実施の形態では、第1コンパレータ26の出力と第2コンパレータ27の出力とは論理和合成として出力されている。したがって、第1コンパレータ26および第2コンパレータ27の少なくともいずれか一方で異常が検出されたときは、主光源21での異常があるとして主光源異常検出信号Sabが出力される。
【0104】
なお、第1基準信号Vref1、第2基準信号Vref2は、発光素子LEDが有する順方向電圧(所定の電流を流したときの順方向電圧)を参酌して適宜設定することができる。
【0105】
したがって、第1コンパレータ26、第2コンパレータ27は、主光源21に配置された発光素子LEDのいずれかでの開放状態、短絡状態のいずれかを検出したときは、主光源異常検出信号Sabを発生し、主制御部50(マイクロコンピュータ51)へ送信する。主光源異常検出部25は、発光素子直列部22の開放状態あるいは短絡状態のいずれに対しても異常検出をすることが可能となり、安全性、信頼性を向上させる。
【0106】
なお、主光源異常検出信号Sabの発生は、例えば、信号をHレベルとすることによってなされる。また、基準信号Vrefのレベルを適宜設定することによって、開放異常、短絡異常に限らず、発光素子LEDの順方向電圧異常(Vf異常)についても検出することが可能である。
【0107】
上述したとおり、本実施の形態に係る発光素子照明灯装置1は、発光素子LEDを有する主光源21と、発光素子LEDに定電流を供給する第1定電流制御部23と、第1定電流制御部23の状態に基づいて主光源21の異常を検出する主光源異常検出部25と、主光源異常検出部25が主光源21の異常を検出したときに出力する主光源異常検出信号Sabに基づいて主光源21を消灯し、その後、主光源21を再起動する電力が供給されたとき、主光源21を一定時間点灯する制御を行う主制御部50とを備える。
【0108】
したがって、発光素子照明灯装置1は、主光源21に異常が生じたとき、主光源21を消灯させることによって主光源21および周辺回路への影響を防止して安全性、信頼性を向上させ、主光源21に対する再起動の電力が供給されたとき、一定時間に限って主光源21を点灯することから、使用者が異常状態を容易に認識でき、また、保守作業者が異常個所を的確に特定して迅速な保守作業を実行することができるので、高い利便性を実現できる。
【0109】
また、発光素子照明灯装置1では、主光源21とは別の副発光素子SLEDを有する副光源41を備え、副光源41は、主光源21が主光源異常検出信号Sabに基づいて消灯されたとき点灯される構成とされていることを特徴とする。
【0110】
したがって、発光素子照明灯装置1は、主光源21の消灯に併せて副光源41が点灯されることから、異常状態を表示することが可能となり、また、主光源21の消灯に伴って周囲が暗い状態となった場合でも副光源41の点灯によって必要な明るさを確保して安全性を確保することができる。
【0111】
また、発光素子照明灯装置1では、主光源21は、少なくとも1個の発光素子LEDを有して相互に並列接続された複数の発光素子直列部22(LED1〜LEDn)を備え、第1定電流制御部23は、複数の発光素子直列部22のそれぞれに接続された複数の定電流回路24を備え、主光源異常検出部25は、複数の定電流回路24の状態を示す状態信号Sstを基準信号Vref(発光素子直列部22の開放状態を検出するときの基準となる第1基準信号Vref1、発光素子直列部22の短絡状態を検出するときの基準となる第2基準信号Vref2)と比較して発光素子直列部22の異常を検出する構成とされている。
【0112】
したがって、発光素子照明灯装置1は、複数の発光素子直列部22のそれぞれに接続された複数の定電流回路24の状態信号Sstを基準信号Vref(第1基準信号Vref1および第2基準信号Vref2)と比較して発光素子直列部22の異常を検出する主光源異常検出部25を備えることから、いずれかの発光素子直列部22での異常を検出することができるので主光源21の異常を高精度に検出することが可能となる。
【0113】
また、発光素子照明灯装置1では、主光源異常検出部25は、発光素子直列部22の開放状態を検出する第1コンパレータ26と、発光素子直列部22の短絡状態を検出する第2コンパレータ27とを備える。
【0114】
したがって、発光素子照明灯装置1は、発光素子直列部22の開放状態を検出する第1コンパレータ26と発光素子直列部22の短絡状態を検出する第2コンパレータ27とを備えることから、主光源21の異常として発光素子直列部22の開放状態および短絡状態を併せて検出することができるので、安全性および信頼性を更に向上させることができる。
【0115】
また、発光素子照明灯装置1では、主光源21は、交流電源2に接続された第1電源部10が有する第1整流部14から電力が供給され、副光源41は、第1電源部10とは別に設けられて交流電源2に接続された第2電源部30が有する第2整流部33から電力が供給され、主制御部50は、第2整流部33から電力が供給される構成とされていることが好ましい。
【0116】
したがって、発光素子照明灯装置1は、主光源21の異常に対して主光源21の消灯および副光源41の点灯を制御する主制御部50の電源と副光源41を点灯する副光源41の電源とを、主光源21の電源である第1電源部10(第1整流部14)とは異なる第2電源部30(第2整流部33)としていることから、主制御部50の動作の信頼性、安全性、副光源41の点灯の信頼性を向上させることができる。
【0117】
また、発光素子照明灯装置1では、発光素子LEDおよび副発光素子SLEDは、発光ダイオードであることが好ましい。したがって、発光素子照明灯装置1は、発光素子LEDおよび副発光素子SLEDを発光ダイオードで形成することから、長寿命で信頼性が高く、低消費電力が可能な照明灯装置となる。
【0118】
また、発光素子照明灯装置1では、発光素子LEDの発光波長と、副発光素子SLEDの発光波長とは、互いに異なることが好ましい。したがって、発光素子照明灯装置1は、主光源21の発光色と副光源41の発光色とを異ならせることから、主光源21の異常を容易にかつ正確に表示することができる。
【0119】
なお、本実施の形態では、主光源21のオン/オフがリモコン端末器52によってなされるものとして説明したが、壁スイッチによるAC電源2のオン/オフにより電力の供給/遮断が行われて主光源21がオン/オフする場合についても本発明の適用範囲内であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0120】
1 発光素子照明灯装置
2 交流電源(AC電源)
10 第1電源部
11 力率改善回路(PFC)
12 第1電源制御部
13 第1変圧部
14 第1整流部
16 ホトカプラー(PC1)
20 主光源部
21 主光源
22 発光素子直列部
23 第1定電流制御部
24 定電流回路
25 主光源異常検出部
26 第1コンパレータ
27 第2コンパレータ
30 第2電源部
31 第2電源制御部
32 第2変圧部
33 第2整流部
34 電圧信号処理部
35 ホトカプラー(PC2)
40 副光源部
41 副光源
43 第2定電流制御部
50 主制御部
51 マイクロコンピュータ
52 リモコン端末器
53 赤外線受信部(IRD)
54 ホトカプラー(PC3)
60 主光源オン/オフ制御部
61 主光源PWM制御部
62 副光源オン/オフ制御部
63 副光源PWM制御部
64 主光源異常検出信号受信部
65 副光源異常検出信号受信部
66 第1電源制御信号発生部
67 タイマー部
68 IRD信号検出部(リモコン信号検出部)
69 第1電源起動信号発生部
DL 絶縁区分線
LED、LED1〜LEDn 発光素子
OP オペアンプ
Sab 主光源異常検出信号
Scc 定電流信号
Sf1 主光源オン/オフ信号
Sf2 PWM制御信号
SLED 副発光素子
Spc 第1電源起動信号
Src リモコン信号
Ss1 副光源オン/オフ信号
Ss2 PWM制御信号
Ss3 副光源異常検出信号
Sst 状態信号
Sv 電圧信号
Vref 基準信号
Vref1 第1基準信号
Vref2 第2基準信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子を有する主光源と、
前記発光素子に定電流を供給する第1定電流制御部と、
前記第1定電流制御部の状態に基づいて前記主光源の異常を検出する主光源異常検出部と、
前記主光源異常検出部が前記主光源の異常を検出したときに出力する主光源異常検出信号に基づいて前記主光源を消灯し、その後、前記主光源を再起動する電力が供給されたとき、前記主光源を一定時間点灯する制御を行う主制御部とを備えること
を特徴とする発光素子照明灯装置。
【請求項2】
請求項1に記載の発光素子照明灯装置であって、
前記主光源とは別の副発光素子を有する副光源を備え、
前記副光源は、前記主光源が前記主光源異常検出信号に基づいて消灯されたとき点灯される構成とされていること
を特徴とする発光素子照明灯装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の発光素子照明灯装置であって、
前記主光源は、少なくとも1個の前記発光素子を有して相互に並列接続された複数の発光素子直列部を備え、
前記第1定電流制御部は、複数の前記発光素子直列部のそれぞれに接続された複数の定電流回路を備え、
前記主光源異常検出部は、複数の前記定電流回路の状態を示す状態信号を基準信号と比較して前記発光素子直列部の異常を検出する構成とされていること
を特徴とする発光素子照明灯装置。
【請求項4】
請求項3に記載の発光素子照明灯装置であって、
前記主光源異常検出部は、前記発光素子直列部の開放状態を検出する第1コンパレータと、前記発光素子直列部の短絡状態を検出する第2コンパレータとを備えること
を特徴とする発光素子照明灯装置。
【請求項5】
請求項2から請求項4までのいずれか一つに記載の発光素子照明灯装置であって、
前記主光源は、交流電源に接続された第1電源部が有する第1整流部から電力が供給され、
前記副光源は、前記第1電源部とは別に設けられて前記交流電源に接続された第2電源部が有する第2整流部から電力が供給され、
前記主制御部は、前記第2整流部から電力が供給される構成とされていること
を特徴とする発光素子照明灯装置。
【請求項6】
請求項2から請求項5までのいずれか一つに記載の発光素子照明灯装置であって、
前記発光素子および前記副発光素子は、発光ダイオードであること
を特徴とする発光素子照明灯装置。
【請求項7】
請求項6に記載の発光素子照明灯装置であって、
前記発光素子の発光波長と、前記副発光素子の発光波長とは、互いに異なること
を特徴とする発光素子照明灯装置。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−51120(P2013−51120A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−188380(P2011−188380)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(505455945)コイズミ照明株式会社 (65)
【出願人】(000114215)ミネベア株式会社 (846)
【Fターム(参考)】