説明

発光素子表示装置

【課題】表示装置の階調値−電圧特性をより正確に反映した表示を行うことができる発光素子表示装置を提供する。
【解決手段】発光素子表示装置は、設定値記憶部に記憶された前記設定値から、階調値に対する輝度を算出する階調値輝度算出部215と、印加された電圧に対する発光素子の輝度の測定結果を保存する電圧輝度保存部214と、階調値輝度算出部215と電圧輝度保存部214とから、階調値と電圧との関係を算出する階調値電圧情報算出部213と、各階調値に対応する電圧を出力するDAコンバータ部211と、を備え、DAコンバータ部211は、それぞれ可変抵抗器を含む第1ラダー抵抗部及び第2ラダー抵抗部と、階調数分の出力端子を有する第3ラダー抵抗部と、階調値電圧情報が保存される階調値電圧情報レジスタ212とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光素子表示装置に関し、自発光体である発光素子に発光させて表示を行う発光素子表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、有機発光ダイオード(Organic Light Emitting Diode)と呼ばれる自発光体を用いた画像表示装置(以下、「有機EL(Electro-luminescent)表示装置」という。)が実用化されている。この有機EL表示装置は、従来の液晶表示装置と比較して、自発光体を用いているため、視認性、応答速度の点で優れているだけでなく、バックライトのような補助照明装置を要しないため、更なる薄型化が可能となっている。
【0003】
特許文献1は、有機EL表示装置の駆動方式について開示している。特許文献2は、階調電圧生成回路と制御レジスタをRGBの3系統備えることにより、RGB間の自発光素子の特性ばらつきを吸収した駆動回路について開示している。特許文献3は、ガンマ補正を考慮した階調電圧の生成方法について開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−170788号公報
【特許文献2】特開2004−354625号公報
【特許文献3】特許第4199141号公報
【特許文献4】特許第4191931号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
有機発光ダイオードは電流の流れる量により明るさが変化するが、RGBの各色毎に電流−輝度特性が異なるのは勿論のこと、製造時の誤差によっても電流−輝度特性が異なってくる。また、有機発光ダイオードに流す電流量を決定する駆動用の薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)においても、製造誤差や設計値の違いにより、ゲート電圧−電流特性が異なってしまう。特に、発光を開始するゲート電圧に差が生じるため、黒表示等の低階調域において、色付き(例えば赤浮き)が生じてしまう恐れがある。
【0006】
本発明は、上述の事情に鑑みてされたものであり、表示装置の階調値−電圧特性をより正確に反映した表示を行うことができる発光素子表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の発光素子表示装置は、画質に関する設定値を記憶する設定値記憶部と、前記設定値記憶部に記憶された前記設定値から、階調値に対する輝度を算出する階調値輝度算出部と、印加された電圧に対する発光素子の輝度の測定結果を保存する電圧輝度保存部と、前記階調値輝度算出部と前記電圧輝度保存部とから、前記階調値と前記電圧との関係である階調値電圧情報を算出する階調値電圧情報算出部と、前記算出された前記階調値電圧情報により出力する電圧が制御され、各階調値に対応する電圧を出力するDAコンバータ部と、を備え、前記DAコンバータ部は、それぞれ可変抵抗器を含む第1ラダー抵抗部及び第2ラダー抵抗部と、階調数分の出力端子を有する第3ラダー抵抗部と、前記階調値電圧情報が保存される階調値電圧情報レジスタとを有し、前記可変抵抗器は、前記階調値電圧情報レジスタに保存された前記階調値電圧情報により制御される、ことを特徴とする発光素子表示装置である。
【0008】
また、本発明の発光素子表示装置において、前記第1ラダー抵抗部は、両端部に、それぞれ上位及び下位の基準電圧が印加され、複数種類の電圧を出力し、前記第2ラダー抵抗部は、前記複数種類の出力電圧を入力し、前記複数種類より多い種類の電圧を出力し、前記第3ラダー抵抗部は、前記第2ラダー抵抗部が出力する電圧を入力し、階調数分の電圧を出力する、とすることができる。
【0009】
また、本発明の発光素子表示装置では、前記第1ラダー抵抗部及び前記第2ラダー抵抗部のそれぞれにおいて、全階調範囲の上位4分の1の階調範囲における各出力端子の数が、下位4分の1の階調範囲における出力端子の数より多くてもよい。
【0010】
また、本発明の発光素子表示装置において、前記第1ラダー抵抗部は5種類の電圧を出力し、前記第2ラダー抵抗部は11種類の電圧を出力し、前記第3ラダー抵抗部は、階調数である64種類の電圧を出力する、とすることができる。
【0011】
また、本発明の発光素子表示装置において、前記電圧輝度保存部は、RGBの輝度のそれぞれを独立に保存してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1実施形態に係る有機EL表示装置について示す図である。
【図2】図1のTFT(Thin Film Transistor)基板について概略的に示す図である。
【図3】図2の画素の回路を概略的に示す図である。
【図4】図3の画素における、各信号の変化を示すタイミングチャートである。
【図5】図2のデータ信号駆動部の構成を概略的に示す図である。
【図6】図5の電圧輝度保存部に保存される測定データの一例を示すグラフである。
【図7】R(赤)の階調値D及びゲート電圧Vの関係を示すグラフである。
【図8】G(緑)の階調値D及びゲート電圧Vの関係を示すグラフである。
【図9】B(青)の階調値D及びゲート電圧Vの関係を示すグラフである。
【図10】図5のDAコンバータ部の構成を概略的に示す図である。
【図11】図10のR階調電圧生成回路の内部回路が概略的に示す図である。
【図12】本発明の第2実施形態に係る有機EL表示装置のTFT基板について概略的に示す図である。
【図13】図12の画素の回路を概略的に示す図である。
【図14】図13の画素における、各信号の変化を示すタイミングチャートである。
【図15】図12のデータ信号駆動部の構成を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の第1実施形態及び第2実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、図面において、同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0014】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態係る有機EL表示装置100について示す図である。この図に示されるように、有機EL表示装置100は、TFT(Thin Film Transistor)基板200及び不図示の封止基板から構成される有機ELパネルを挟むように固定する上フレーム110及び下フレーム120と、表示する情報を生成する回路素子を備える回路基板140と、その回路基板140において生成されたRGBの映像信号をTFT基板200に伝えるフレキシブル基板130と、により構成されている。
【0015】
図2には、図1のTFT基板200が概略的に示されている。TFT基板200は、マトリクス状に配置され、表示の最小単位であり、赤(R)、緑(G)及び青(B)の3種の有機発光素子のいずれかを有する画素280と、表示する階調値に対応するデータ電圧をデータ信号線250に印加するデータ信号駆動部210と、各画素280に複数配置されたTFTスイッチを制御するための信号を(ゲート)信号線261〜263に出力するゲート駆動部220と、発光素子を発光させる矩形波の発光基準電圧信号を発光基準電圧信号線270に出力する発光基準電圧信号駆動部230と、各画素280に配線された電源線240に接続された電源部241とを備えている。なお、この図においては、図が煩雑にならないよう画素280の数を減らし、簡略化して記載している。
【0016】
図3には、画素280の回路が概略的に示されている。この図に示されるように、画素280の回路は、自発光体である有機EL素子310と、信号選択信号線261に入力される信号選択信号により駆動され、発光基準電圧信号線270及びデータ信号線250のいずれを入力信号線255に接続するかを選択する第1選択スイッチ301及び第2選択スイッチ302と、有機EL素子310を発光させるスイッチとして機能し、有機EL素子310のアノード側が、後述する発光制御スイッチ308を介して、ドレイン側に接続されている駆動TFT306と、第1選択スイッチ301及び第2選択スイッチ302と駆動TFT306のゲート側との間に配置された記憶容量304と、駆動TFT306のドレイン側とゲート側とを結ぶように接続され、リセット信号線263に入力されるリセット信号により動作するリセットスイッチ314と、駆動TFT306のドレイン側にあり、発光制御信号線262に入力される発光制御信号により駆動する発光制御スイッチ308と、有機EL素子310のカソード側に接続された共通電極312と、を備えている。また、駆動TFT306のソース側は電源線240に接続されている。
【0017】
なお、第1選択スイッチ301、駆動TFT306及び発光制御スイッチ308はp型MOSにより形成されているため、ゲート信号がLowでオンとなる。一方、第2選択スイッチ302及びリセットスイッチ314は、n型MOSにより形成されているため、ゲート信号がHighでオンとなる。なお、本実施形態においては、各画素においては0〜63の64階調による表示を行う。
【0018】
図4は、図3の画素280の有機EL素子310の発光時における、各信号の変化を示すタイミングチャートである。このタイミングチャートには、図4のデータ信号線250、発光基準電圧信号線270、信号選択信号線261、リセット信号線263及び発光制御信号線262にそれぞれ印加されるデータ電圧、発光基準電圧、信号選択信号、リセット信号及び発光制御信号の各信号の変化の様子が示されている。
【0019】
この図に示されるように、まず、時刻T1において、信号選択信号と発光制御信号とが共にLow(アクティブ)となると、第1選択スイッチ301はオンとなり、第2選択スイッチ302はオフとなるため、入力信号線255にはデータ電圧が入力され、発光制御スイッチ308はオンとなる。次に、時刻T2において、リセット信号がHigh(アクティブ)となり、リセットスイッチ314がオンとなることにより、駆動TFT306のゲートとドレインは導通する。
【0020】
引き続き、時刻T3において、発光制御信号がHigh(ネガティブ)となると、発光制御スイッチ308がオフとなり、駆動TFT306のゲート電圧が上がり、駆動TFT306の閾値電圧となった時点で駆動TFT306は非導通となる。時刻T4において、リセット信号Low(ネガティブ)により、リセットスイッチ314がオフとなり、時刻T5において、データ信号線250にデータ電圧が印加されて、記憶容量304に階調電圧に対応する電圧が蓄えられる。
【0021】
時刻T6において、信号選択信号がHighとなると共に、発光基準電圧信号線270に発光基準電圧が設定され、発光制御信号がLow(アクティブ)となる。これにより、発光制御スイッチ308がオンとなると共に、入力信号線255は発光基準電圧信号線270と接続され、発光基準電圧が印加される。この結果、記憶容量304に蓄えられた電圧に対応する電圧が駆動TFT306のゲートに印加され、駆動TFT306のソース側からドレイン側に電流が流れ、有機EL素子310が発光する。
【0022】
図5には、データ信号駆動部210の構成が概略的に示されている。データ信号駆動部210は、製品の検査時において、RGB各色に印加される電圧Vとそれにより発光する輝度Lとの関係であるV−LテーブルR、V−LテーブルG及びV−LテーブルBを保存する電圧輝度保存部214と、最大輝度、最小輝度、色温度、RGB色度、及びRGB各色について階調値と駆動TFT306のゲートソース間電圧との関係におけるγカーブのγ値等の表示特性の設定値が記憶された設定値記憶部502から、これらの情報を読み出し、階調値Dと輝度Lとの関係を算出する階調値輝度算出部215と、電圧輝度保存部214及び階調値輝度算出部215からの情報を利用して、階調値D及びゲート電圧Vの関係を算出する階調値電圧情報算出部213と、各色毎に64階調の電圧を生成し、表示領域500の各列に印加するDAコンバータ部211と、を備え、DAコンバータ部211は、階調値電圧情報算出部213により算出された階調値D及びゲート電圧Vの関係を保存するDAC設定レジスタ(階調値電圧情報レジスタ)212を有している。
【0023】
次に、処理の流れに沿って、より詳細に図5について説明する。まず、製品の検査時において、パネル毎又は製造ロット毎にドライバ出力電圧と輝度の特性を測定し、RGBのそれぞれについて電圧輝度保存部214に書込む。ここで、電圧輝度保存部214は、ルックアップテーブルの形式で保存してもよいし、近似式の形式で保存されていてもよい。図6には、電圧輝度保存部214に保存される測定データの一例を示すグラフが示されている。
【0024】
次に、階調値輝度算出部215は、有機EL表示装置100の設定パラメータとしての最大輝度、最小輝度、色温度、RGB色度及びRGB各色について階調値と駆動TFT306のゲートソース間電圧との関係におけるγカーブのγ値等が記憶された設定値記憶部502のデータに基づいて、階調値Dと輝度Lとの関係を算出する。例えば、W(白)輝度が式(1)により表されるとすると、白色色温度とRGB各色の色度を用いて各階調の輝度比を算出する。
【0025】
【数1】

【0026】
各色の3刺激値をX、Y及びZ、輝度比をRrate、Grate及びBrateとして式(2)により3刺激値の輝度比が算出される。
【0027】
【数2】

【0028】
更に、式(3)の関係を用いて、各階調、各色の輝度を算出する。
【0029】
【数3】

【0030】
階調値電圧情報算出部213は、階調値輝度算出部215により算出された階調値Dと輝度Lとの関係と、電圧輝度保存部214に書込まれた測定データを用いて、RGB各色毎に階調値D及びゲート電圧Vの関係を算出する。算出された階調値D及びゲート電圧Vの関係は、DAコンバータ部211のDAC設定レジスタ212に保存される。
【0031】
図7〜9は、RGBそれぞれの階調値D及びゲートソース間電圧Vの関係を示すグラフである。このグラフに示されるように、全256階調のうち、低い階調域において、ゲートソース間電圧が急激に変化し、高い階調域において緩やかに変化していることがわかる。
【0032】
図10にはDAコンバータ部211の構成が概略的に示されている。DAコンバータ部211は、上述した階調値D及びゲート電圧Vの関係が保存されるDAC設定レジスタ212と、RGB毎の電圧生成回路用のレベルシフタ291と、赤の各階調の電圧を生成するR階調電圧生成回路292と、緑の各階調の電圧を生成するG階調電圧生成回路293と、青の各階調の電圧を生成するB階調電圧生成回路294と、映像信号とタイミング信号が入力され、各信号線に階調値のデジタル値を出力するラッチ回路295と、階調値のデジタル値のレベルシフタ296と、各階調電圧生成回路292〜294において生成された各階調電圧から、各階調値に対応する電圧を選択し、データ信号線250に印加するRデコーダ回路297、Gデコーダ回路298及びBデコーダ回路299と、から構成されている。DAC設定レジスタ212に設定された階調値D及びゲート電圧Vの関係は、レベルシフタ291を介して各RGBの階調電圧生成回路292〜294において生成される電圧値を制御する。
【0033】
図11には、R階調電圧生成回路292の内部回路が概略的に示されている。R階調電圧生成回路292は、第1ラダー抵抗部401と、第1バッファ部402と、第2ラダー抵抗部403と、第2バッファ部404と、第3ラダー抵抗部405とを備えている。第1ラダー抵抗部401は、Rを5kΩとして、接地側から4R、24R、5R、15R及び24Rの抵抗値の抵抗が直列的に接続され、調整用可変抵抗411を介して電源電圧VDHに接続されている。ここで、24R及び15Rは可変抵抗器であり、24Rには、16段階スイッチが2つと、8段階スイッチが1つ接続され、15Rには、16段階スイッチが1つ接続されている。したがって、第1ラダー抵抗部401の全階調範囲の上位4分の1の範囲における出力端子の数は3であり、下位4分の1の階調範囲における出力端子の数は1であるため、第1ラダー抵抗部401の全階調範囲の上位4分の1の範囲における各出力端子の数は、下位4分の1の階調範囲における出力端子の数より多く、電圧変化の緩やかな高階調域を詳細に設定することができるため、表示装置の階調値−電圧特性をより正確に反映することができる。
【0034】
第1ラダー抵抗部から出力された計5段階の電圧PreV、PreV39、PreV57、PreV61及びPreV63は、第1バッファ部402に入力される。第1バッファ部402を経た5段階の各出力は、第2ラダー抵抗部403に入力される。第2ラダー抵抗部403は、10個の可変抵抗と、各可変抵抗の間に接続された9個の固定抵抗からなり、各可変抵抗から計11段階の電圧を出力している。図に示された抵抗値Rは2kΩ、Rは5kΩ、Rは10kΩ及びRは20kΩである。第2ラダー抵抗部403の全階調範囲の上位4分の1の範囲における出力端子の数は4であり、下位4分の1の階調範囲における出力端子の数は3であるため、第2ラダー抵抗部403の全階調範囲の上位4分の1の範囲における各出力端子の数は、下位4分の1の階調範囲における出力端子の数より多く、電圧変化の緩やかな高階調域を詳細に設定することができるため、表示装置の階調値−電圧特性をより正確に反映することができる。
【0035】
各可変抵抗器からそれぞれ取り出された計11段階の階調電圧V0、V7、V15、V23、V31、V39、V47、V51、V57、V61及びV63は、第2バッファ部404に入力される。第2バッファ部404を経た11段階の各階調電圧は、第3ラダー抵抗部405において、それぞれ階調間の階調の数だけ分圧され、全体としてV0〜V63の64階調の電圧として出力される。なお、G階調電圧生成回路293及びB階調電圧生成回路294も同様の回路構成である。
【0036】
以上説明したように、本発明の第1実施形態によれば、表示において、図7〜9に示された各色の階調値−電圧特性をより正確に反映することができる。
【0037】
[第2実施形態]
図12には、本発明の第2実施形態に係るTFT基板800が概略的に示されている。ここで、このTFT基板800が収容される有機EL表示装置は、図1に示された、第1実施形態の有機EL表示装置100の構成と同様であるため説明を省略する。
【0038】
図12に示されるように、TFT基板800は、マトリクス状に配置され、表示の最小単位であり、赤(R)、緑(G)及び青(B)の3種の有機発光素子のいずれかを有する画素880と、表示する階調値に対応するデータ電圧をデータ信号線850に印加するデータ信号駆動部810と、各画素880に複数配置されたTFTスイッチ等を制御するための信号を(ゲート)信号線822〜823に出力するゲート駆動部820と、発光基準電圧信号線870及びデータ信号線850のいずれを入力信号線855に接続するかを、信号選択信号線821の信号により選択する第1選択スイッチ824及び第2選択スイッチ826と、発光素子を発光させる矩形波の発光基準電圧信号を発光基準電圧信号線870に出力する発光基準電圧信号駆動部830と、各画素880に配線された電源線840に接続された電源部841とを備えている。なお、第1実施形態の図2と同様に、この図においても図が煩雑にならないよう画素880の数を減らし、簡略化して記載している。
【0039】
図13は、画素880内の回路を概略的に示す図である。この図に示されるように、画素880は、自発光体である有機EL素子910と、有機EL素子910を駆動するスイッチとして機能し、有機EL素子910のアノード側が、後述する発光制御スイッチ908を介して、ドレイン側に接続されている駆動TFT906と、駆動TFT906のゲート側に配置された記憶容量901と、駆動TFT906のドレイン側とゲート側を結ぶように接続され、リセット信号線823に印加されたリセット信号により駆動するリセットスイッチ914と、駆動TFT906のドレイン側にあり、発光制御信号により駆動する発光制御スイッチ908と、有機EL素子910のカソード側に接続された共通電極912と、を備えている。また、駆動TFT906のソース側は電源線840に接続されている。
【0040】
なお、第1実施形態と異なり、発光制御スイッチ908はn型MOSにより形成されているため、発光制御スイッチ908のゲートはHighでオンとなる。
【0041】
図14には、図13の画素880の有機EL素子910の発光時における、制御される信号の変化を示すタイミングチャートが示されている。第2実施形態では、発光制御スイッチ908がn型MOSで形成されているため、このタイミングチャートでは、発光制御信号のLowとHighが、第1実施形態の発光制御信号とは逆となっている。この他の点については図4で示される第1実施形態のタイミングチャートと同じであり、同様の動作であるため、説明を省略する。
【0042】
図15には、データ信号駆動部810の構成が示されている。データ信号駆動部810は、製品の検査時において、RGB各色に印加される電圧Vとそれにより発光する輝度Lとの関係を示したW(白)色のV−Lテーブルを保存する電圧輝度保存部814と、最大輝度、最小輝度、色温度、RGB色度、及びRGB各色について階調値と駆動TFT906のゲートソース間電圧との関係におけるγカーブのγ値等の表示特性の設定値が記憶された設定値記憶部502から、これらの情報を読み出し、階調値Dと輝度Lとの関係を算出する階調値輝度算出部815と、電圧輝度保存部814及び階調値輝度算出部815の情報を利用して、階調値D及びゲート電圧Vの関係を算出する階調値電圧情報算出部813と、各色毎に64階調の電圧を生成し、表示領域900の各列に生成された電圧を印加するDAコンバータ部811と、を備え、DAコンバータ部811は、階調値電圧情報算出部813により算出された階調値D及びゲート電圧Vの関係をDAコンバータ部811により実現させるためのDAC設定レジスタ(階調値電圧情報レジスタ)812を有している。
【0043】
次に、処理の流れに沿って、図15について説明する。製品の検査時において、パネル毎又は製造ロット毎にドライバ出力電圧とW(白)色輝度の特性を測定し、測定データを電圧輝度保存部814に書込む。ここで、電圧輝度保存部814は、ルックアップテーブルの形式で保存してもよいし、近似式の形式で保存されていてもよい。
【0044】
また、階調値輝度算出部815は、有機EL表示装置100の設定パラメータとしての最大輝度、最小輝度、色温度、RGB色度及びRGB各色について階調値と駆動TFT906のゲートソース間電圧との関係におけるγカーブのγ値等が記憶された設定値記憶部502のデータに基づいて、階調値Dと輝度Lとの関係を算出する。例えば、W(白)輝度が式(1)により表されるとすると、白色色温度とRGB各色の色度を用いて各階調の輝度比を算出する。
【0045】
【数4】

【0046】
RGBの輝度(D)は、輝度比をRrate、Grate及びBrateとして式(5)により算出される。
【0047】
【数5】

【0048】
更に、電圧輝度保存部814より、各色の電圧Vに対する輝度Lを式(6)の関係を用いて、算出する。
【0049】
【数6】

【0050】
階調値電圧情報算出部813は、階調値輝度算出部815により算出された階調値Dと輝度Lとの関係と、電圧輝度保存部814に書込まれた測定データを用いて、RGB各色毎に階調値D及びゲート電圧Vの関係を算出する。算出された階調値D及びゲート電圧Vの関係は、DAコンバータ部811のDAC設定レジスタ812に保存される。DAコンバータ部811の構成は、第1実施形態の図10と同様であるため、重複する説明を省略する。
【0051】
以上説明したように、本発明の第2実施形態によれば、表示において、表示装置の階調値−電圧特性をより正確に反映することができる。
【符号の説明】
【0052】
100 表示装置、110 上フレーム、120 下フレーム、130 フレキシブル基板、140 回路基板、200 TFT基板、210 データ信号駆動部、211 DAコンバータ部、212 DAC設定レジスタ、213 階調値電圧情報算出部、214 電圧輝度保存部、215 階調値輝度算出部、220 ゲート駆動部、230 発光基準電圧信号駆動部、240 電源線、241 電源部、250 データ信号線、255 入力信号線、261 信号選択信号線、262 発光制御信号線、263 リセット信号線、270 発光基準電圧信号線、280 画素、291 レベルシフタ、292 R階調電圧生成回路、293 G階調電圧生成回路、294 B階調電圧生成回路、295 ラッチ回路、296 レベルシフタ、297 Rデコーダ回路、298 Gデコーダ回路、299 Bデコーダ回路、301 選択スイッチ、302 選択スイッチ、304 記憶容量、308 発光制御スイッチ、310 有機EL素子、312 共通電極、314 リセットスイッチ、401 第1ラダー抵抗部、402 第1バッファ部、403 第2ラダー抵抗部、404 第2バッファ部、405 第3ラダー抵抗部、411 調整用可変抵抗、500 表示領域、502 設定値記憶部、800 TFT基板、810 データ信号駆動部、811 DAコンバータ部、812 DAC設定レジスタ、813 階調値電圧情報算出部、814 電圧輝度保存部、815 階調値輝度算出部、820 ゲート駆動部、821 信号選択信号線、822 発光制御信号線、823 リセット信号線、824 選択スイッチ、826 選択スイッチ、830 発光基準電圧信号駆動部、840 電源線、841 電源部、850 データ信号線、855 入力信号線、870 発光基準電圧信号線、880 画素、900 表示領域、901 記憶容量、908 発光制御スイッチ、910 有機EL素子、912 共通電極、914 リセットスイッチ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画質に関する設定値を記憶する設定値記憶部と、
前記設定値記憶部に記憶された前記設定値から、階調値に対する輝度を算出する階調値輝度算出部と、
印加された電圧に対する発光素子の輝度の測定結果を保存する電圧輝度保存部と、
前記階調値輝度算出部と前記電圧輝度保存部とから、前記階調値と前記電圧との関係である階調値電圧情報を算出する階調値電圧情報算出部と、
前記算出された前記階調値電圧情報により出力する電圧が制御され、各階調値に対応する電圧を出力するDAコンバータ部と、を備え、
前記DAコンバータ部は、それぞれ可変抵抗器を含む第1ラダー抵抗部及び第2ラダー抵抗部と、階調数分の出力端子を有する第3ラダー抵抗部と、前記階調値電圧情報が保存される階調値電圧情報レジスタとを有し、
前記可変抵抗器は、前記階調値電圧情報レジスタに保存された前記階調値電圧情報により制御される、ことを特徴とする発光素子表示装置。
【請求項2】
前記第1ラダー抵抗部は、両端部に、それぞれ上位及び下位の基準電圧が印加され、複数種類の電圧を出力し、
前記第2ラダー抵抗部は、前記複数種類の出力電圧を入力し、前記複数種類より多い種類の電圧を出力し、
前記第3ラダー抵抗部は、前記第2ラダー抵抗部が出力する電圧を入力し、階調数分の電圧を出力する、ことを特徴とする請求項1に記載の発光素子表示装置。
【請求項3】
前記第1ラダー抵抗部及び前記第2ラダー抵抗部のそれぞれにおいて、全階調範囲の上位4分の1の階調範囲における各出力端子の数は、下位4分の1の階調範囲における出力端子の数より多い、ことを特徴とする請求項1に記載の発光素子表示装置。
【請求項4】
前記第1ラダー抵抗部は5種類の電圧を出力し、
前記第2ラダー抵抗部は11種類の電圧を出力し、
前記第3ラダー抵抗部は、階調数である64種類の電圧を出力する、ことを特徴とする請求項1に記載の発光素子表示装置。
【請求項5】
前記電圧輝度保存部は、RGBの輝度のそれぞれを独立に保存する、ことを特徴とする請求項1に記載の発光素子表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−98334(P2012−98334A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−243498(P2010−243498)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【出願人】(502356528)株式会社 日立ディスプレイズ (2,552)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】