発光素子
【課題】 マルチチップ方式の発光素子における色制御の複雑さ、回路構成の複雑さを解消し、簡単な駆動方式により多色光、及び白色光の発光制御を可能とした発光素子を提供すること。
【解決手段】 複数の発光ダイオード2R、2G、2Bと、これらの発光ダイオードを駆動する駆動用IC3を一体化した発光素子1Aであって、前記駆動用IC3を、カウンタ12、信号制御回路13及び複数ビットドライバ15より構成する。
この発光素子1Aを外部端子7から入力された制御信号CRGBにより複数の発光ダイオード2R、2G、2Bを順次選択して発光させることにより、少ない端子数でありながら白色及び赤色から青色までの任意の色の光を発光させることができる発光素子1Aが得られる。
【解決手段】 複数の発光ダイオード2R、2G、2Bと、これらの発光ダイオードを駆動する駆動用IC3を一体化した発光素子1Aであって、前記駆動用IC3を、カウンタ12、信号制御回路13及び複数ビットドライバ15より構成する。
この発光素子1Aを外部端子7から入力された制御信号CRGBにより複数の発光ダイオード2R、2G、2Bを順次選択して発光させることにより、少ない端子数でありながら白色及び赤色から青色までの任意の色の光を発光させることができる発光素子1Aが得られる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の発光ダイオードとその駆動用のICを一体に備えるランプ型、チップ型等の発光素子にし、特に複数の発光ダイオードとその駆動用のICを一体に備え、赤(R)、緑(G)、青(B)の3原色を含み、白色光のみならず任意の色を発光させることのできる発光素子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、発光ダイオードとその発光色の補色の光を発する蛍光体との組み合わせによって、疑似的に白色光を発光可能な発光素子が特許文献1に開示されている。この場合、一般的に、発光ダイオードとして青色発光するものを使用し、蛍光体として青色光を吸収して黄色発光するものを組み合わせ、擬似的に人間の目に白色光と感じられるようにするものが多用されている。しかしながら、このような組合せでは特定の色成分が少ないため、すなわち前述のような青色と黄色の混色による場合には赤色成分が少ないことにより、演色性に欠けるという問題がある。
【0003】
また、白色光を発光させる別の方式として、RGBの各光を発する発光ダイオードを用いた3原色の混色を用いる例も知られている。しかしながら、3原色の混色によって白色発光させる場合は、例えば図11に示す典型的な各種発光ダイオードの発光強度−順電流特性から明らかなように、RGBのそれぞれの光を発する発光ダイオードの電気−光学特性に大きな差異があることから、各色の発光度合いを調整するための電流調整が非常に面倒になる。
【0004】
また、白色発光以外の場合においても、RGBの3色あるいはそれとは異なる色の複数の発光ダイオードを用いて所望の色や発光強度分布を得る必要がある場合も、それぞれの発光ダイオードの発光強度を調整する必要があるが、そのための電流調整が面倒になる。また、この電流調整は、外付けの回路によって調整することもできるが、個々の発光素子毎に外付けの回路を設ける必要があり、回路構成が複雑化するという問題点が存在している。
【0005】
従来、R、G、Bの3原色の各発光ダイオードを一体化したいわゆるマルチチップ式の発光素子は、R、G、Bの各発光ダイオードに流す電流値を制御することにより7色又は、多色の色制御を行っているが、カソード端子又はアノード端子以外はそれぞれ個別の配線を施す必要があるため、少なくとも4端子の外部端子が必要となり、なおかつ、数十mA程度の電流容量を確保した配線を施す必要がある。また、R、G、Bの3原色を全て点灯した場合に得られる白色光は、それぞれの発光ダイオードに流れる電流値を発光強度−順電流特性に合わせた設計上の電流値(例えば、R:10mA、G:7mA、B:10mAなど)に設定した場合でも、個々の発光ダイオードの電気−光学特性にバラツキがあるため、製品によって色度のバラツキが発生するという問題点が存在している。
【0006】
また、RGBの各光を発する発光ダイオードを用いた3原色の混色を用いた白色光は、図12の各種発光ダイオードのスペクトル分布特性図に示すように、RとGの発光スペクトルの間隔はGとBの発光スペクトルの間隔に比すると広いので、RとGの間に発光スペクトル分布が不連続な領域が存在する。したがって、より演色性の高い白色光を得るには、R、G、Bの3原色の各発光ダイオードだけでなく発光スペクトル分布がRとGの間に位置する橙色(O)及び黄色(Y)の発光ダイオードのうちの少なくとも1つがさらに使用されるが、そうするとこれらの発光ダイオードをマルチチップ化した発光素子の端子数はさらに多くなるため、上述の問題点はより大きく表れる。
【特許文献1】特開2001−217463号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記のような従来技術の問題点を解決すべくなされたものであり、その目的は、マルチチップ方式の発光素子における色制御の複雑さ、回路構成の複雑さを解消し、簡単な駆動方式により多色光、及び白色光の発光制御を可能とした発光素子を提供することにある。
【0008】
また、本発明の別の目的は、マルチチップ方式の発光素子において、例えば赤、緑、青の3原色の発光制御を行うためには少なくとも4端子の外部端子が必要であったが、これを3端子などの少ない外部端子により制御可能とし、少ない外部端子にて複雑な色の発光制御を可能とした発光素子を提供するものである。
【0009】
また、本発明のさらに別の目的は、R、G、Bの3原色の各発光ダイオードより得られる白色の色度のバラツキを簡便に精度良く制御できる構成の発光素子を提供することにある。
【0010】
さらに、本発明の別の目的は、マルチチップ方式の発光素子において、赤、緑、青の3原色による白色発光では、赤と緑の発光スペクトルの間隔が広いため、発光スペクトル分布に不連続な領域があり、白色光としては不完全であるが、これを赤から青まで連続的なスペクトル分布を有する白色光を容易に得ることができるようにした発光素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の上記各目的は以下の構成により達成し得る。すなわち、請求項1に係る発光素子の発明は、複数の発光ダイオードと、これらの発光ダイオードを駆動する駆動用ICを一体化した発光素子であって、前記駆動用ICは、電流供給回路、カウンタ、信号制御回路及び複数ビットドライバよりなることを特徴とする。この場合、複数の発光ダイオードとしては、任意の色の組み合わせのものが使用できるが、白色光が得られる組み合わせにする方が用途が広がるので好ましい。
【0012】
また、請求項2に係る発明は、請求項1に記載の発光素子において、前記複数ビットドライバは、前記複数の発光ダイオード毎の電流値もしくは前記複数の発光ダイオード間の電流比率を一定に制御するものであることを特徴とする。
【0013】
また、請求項3に係る発明は、請求項1に記載の発光素子において、前記複数ビットドライバは、前記複数の発光ダイオード毎の電流値もしくは前記複数の発光ダイオード間の電流比率を微調整する機能を備えていることを特徴とする。
【0014】
また、請求項4に係る発明は、請求項3に記載の発光素子において、前記微調整は、前記駆動用ICに内蔵した不揮発性メモリに記憶させた補正用のデータに基づいて行われることを特徴とする。
【0015】
また、請求項5に係る発明は、請求項1又は2に記載の発光素子において、前記駆動用ICのカウンタ回路は、少なくとも1つの外部信号端子により、前記複数の発光ダイオード毎の発光を順次切り替える構成としたことを特徴とする。この場合、カウンタ回路としては、発光ダイオードの数に応じて適宜選択して使用し得るが、白色光を発光させるためには3ビット以上が好ましい。
【0016】
また、請求項6に係る発明は、請求項1に記載の発光素子において、前記複数の発光ダイオードは、それらの光の混色によって白色発光が可能な発光色を備えることを特徴とする。
【0017】
また、請求項7に係る発明は、前記請求項6に記載の発光素子において、前記複数の発光ダイオードは、赤色、緑色、青色の3原色のそれぞれを発光するものを含むことを特徴とする。
【0018】
また、請求項8に係る発明は、前記請求項7に記載の発光素子において、前記複数の発光ダイオードは、さらに赤色と緑色の間に中心波長を有する発色光を有するものを含むことを特徴とする。
【0019】
また、請求項9に係る発明は、前記請求項7に記載の発光素子において、前記複数の発光ダイオードは、さらに橙色及び黄色の少なくとも1つを発光するものを含むことを特徴とする。
【0020】
また、請求項10に係る発明は、前記請求項1〜9のいずれかに記載の発光素子において、前記複数の発光ダイオードは前記駆動用ICの表面に設けられていることを特徴とする。
【0021】
また、請求項11に係る発明は、前記請求項1〜10のいずれかに記載の発光素子において、前記複数の発光ダイオードと前記駆動用ICは、同じ樹脂によって覆われていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明は上記構成を備えることにより以下に述べるような優れた効果を奏する。すなわち、請求項1の発明によれば、複数の発光ダイオードを制御する駆動用ICが複数の発光ダイオードとともに一体化されているので、外部へ接続する端子数が減少するとともに、この駆動用ICによりそれぞれの発光ダイオードへ供給される電流値を制御できるため、発光素子外部で複雑な電流制御を行うことなく、簡便に色度精度の良い発光素子を得ることができるようになる。
【0023】
また、請求項2の発明によれば、複数の発光ダイオードのそれぞれに供給する電流を一定値に制御できるためにその選択された発光ダイオードの発光強度を一定値に保つことができ、また、複数の発光ダイオード間の電流比率を一定に制御できるため合成された光の色度を一定に保つことができるようになる。
【0024】
また、請求項3の発明によれば、発光素子毎の同色の発光ダイオード間の電気−光学特性のバラツキを補正できるとともに、所定の合成された色の光を得るための各発光ダイオードに流れる電流値を制御できるため、発光素子毎の発光強度や発光色のバラツキを簡便に精度良く制御できる均一な品質の発光素子が得られる。
【0025】
また、請求項4の発明によれば、発光素子毎の発光強度や発光色のバラツキの補正用のデータを駆動用ICに内蔵した不揮発性メモリに記憶させて利用できるため、ユーザは発光素子毎のバラツキを考慮する必要がなくなるので、使用時の外部回路構成を簡略化できる発光素子が得られる。
【0026】
また、請求項5の発明によれば、カウンタを使用することにより、一つの外部信号により複数の発光ダイオードを適宜切換発光させることができる発光素子が得られる。
【0027】
また、白色光源は、液晶表示パネルのバックライト、照明光等、広い技術分野で要求されている光源であり、請求項6の発明によればこれらの広い技術分野への適用が可能な発光素子が得られる。
【0028】
また、請求項7の発明によれば、容易に演色性の高い白色光を発光することができる発光素子が得られる。
【0029】
また、請求項8、9の発明によれば、発光スペクトルの間隔が広い赤色発光ダイオードの発光スペクトルと緑色発光ダイオードの発光スペクトルとの間を、赤色と緑色の間に中心波長を有する発色光を有する発光ダイオード、または橙色発光ダイオード及び黄色発光ダイオードの少なくとも1つにより補うことができるため、赤から青まで実質的に連続的なスペクトル分布を有する白色光を得ることができる発光素子が得られる。
【0030】
また、請求項10の発明によれば、駆動用IC自体を複数の発光ダイオードを固定するための基板として用いることができるため、小型の発光素子が得られる。
【0031】
また、請求項11の発明によれば、複数の発光ダイオードと駆動用ICが同じ樹脂により覆われて一体化されているため、組立作業性のよい発光素子が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するためのRGBの3原色の発光ダイオードを備える発光素子の例を説明するものである。
【0033】
しかしながら、本発明は、RGBの3原色以外に例えば橙色及び黄色の少なくとも一方を発光し得る発光ダイオードと組み合わせた発光素子の場合にも、あるいはその他の色を発光し得る複数個の発光ダイオードを備える発光素子の場合にも等しく適用し得るものである。特に一般的にはRGBの発光ダイオードのスペクトル分布特性は、緑の発光ダイオードのピーク波長が、青と赤の発光ダイオードのピーク波長の中間点よりも青の発光ダイオード側に大きく偏った特性となり、緑と赤の発光ダイオードの間に波長の不連続な領域が存在しているが、赤と緑の発光ダイオードの中間にピーク波長を持つ橙色や黄色などの発光ダイオードを追加することによって、波長の不連続な領域を埋めることができ、演色性をより一層高めることができる。
【実施例1】
【0034】
実施例1の発光素子1Aを図1〜図4を用いて説明する。なお、図1は実施例1の発光素子1Aのモールド樹脂を透視した状態の外観斜視図であり、図2は図1の発光素子1Aの駆動用ICをブロック図で表した等価回路図であり、図3は実施例1で使用した駆動用ICの内部回路の一具体例を示す図であり、また、図4は実施例1の駆動用ICの動作を説明するためのタイミングチャートである。
【0035】
発光素子1Aは、小型の発光素子とするために、チップ状態の複数の発光ダイオード2をこれらの発光ダイオードを駆動する回路基板を兼ねる駆動用IC3上に一体化して構成されている。各発光ダイオード2は、ウエハから分割された状態のベアチップで構成され、裏面にカソード電極を備えている。本実施例1では、白色発光を行うために、複数の発光ダイオード2として3原色である赤(R)、緑(G)、青(B)の発光色を持つ3個の発光ダイオード2R、2G、2Bを用いた。
【0036】
駆動用IC3は、各発光ダイオード2R、2G、2Bに対応した出力端子3R、3G、3Bを表面に備え、各発光ダイオード2R、2G、2B毎の電流値もしくは各発光ダイオード2R、2G、2B間の電流比率を一定に制御するための駆動回路を内蔵している。この駆動回路によって、各出力端子の出力電流が調整され、各発光ダイオード2R、2G、2Bの発光強度が各々予め設定した範囲内に維持される。
【0037】
この駆動用IC3は、3つの発光ダイオード2R、2G、2Bの発光色が混色されることによって、それぞれの駆動パルス幅が同一の場合に白色が得られるように、各出力の電流値あるいは電流の比率が予め設定されている。
【0038】
発光素子1Aは、少なくとも3端子型の発光素子であり、3つの外部端子5〜7を備えている。回路基板を兼ねる駆動用IC3には、一方の電源端子として機能する外部端子5及び他方の電源端子として機能する外部端子6がそれぞれ電気的に絶縁された状態で駆動用IC3の下部表面及び側面の一部分に設けられ、このうち外部端子6の表面上に各発光ダイオード2R、2G、2Bのカソード電極側が導電材料を用いて固定配置されている。この駆動用IC3は、さらに表面に制御信号CRGB入力用の外部端子7及び複数の発光ダイオード2R、2G、2B用の出力端子3R、3G、3B等の端子が配置されており、このうち出力端子3R、3G、3Bとそれぞれの発光ダイオード2R、2G、2Bとの間は金線などのワイヤにより電気的に接続されている。
【0039】
本実施例1で使用した複数の発光ダイオード2R、2G、2Bは、裏面にカソード電極を備えているものを使用したので、導電材料により外部端子6に固定されているが、複数の発光ダイオード2R、2G、2Bが表面にアノードとカソードの両方の電極を備える場合は、これらの両方の電極にワイヤによる配線を施す必要がある。
【0040】
本実施例1の発光素子1Aは、これらの複数の発光ダイオード2R、2G、2Bを駆動用ICの表面に固定し、配線を施した後に、光透過性のモールド樹脂9によってこれらの表面を覆うことにより作製される。
【0041】
この発光素子1Aは、図2に示すように、駆動用IC3とそれに接続した各発光ダイオード2R、2G、2Bからなる発光回路を2つの外部端子5、6間に接続するとともに、外部端子7に制御信号CRGBが入力される回路構成をとる。従来例のように駆動用IC3を設けずに各発光ダイオード2R、2G、2Bのみを一体化する場合は最少で4端子が必要となるが、本実施例1の場合は3端子ですむ。なお、別途リセットSET端子を設けて4端子型の発光素子としてもよい。
【0042】
次に、本実施例1で使用した駆動用IC3の一具体例を、図3及び図4を用いて説明する。この駆動用IC3は、電流供給回路11、3ビットカウンタ12、各種信号制御回路13及び3ビットドライバ15を備えている。3ビットカウンタ回路12は、制御信号CRGBとして入力されたパルスの立ち上がりに同期してその3つの出力端子121〜123のうちの一つを順番に選択し、その出力端子1〜3にそれぞれ対応する発光ダイオード2R、2G、2Bのうちの一つに対し、各種信号制御回路13及び3ビットドライバ15を経て、電流供給回路11から所定の駆動電流を供給することにより発光させるようになっている。
【0043】
各種信号制御回路13は、カウンタ回路12からの出力信号を2つの反転回路を直列接続した波形成形回路13R、13G、13Bを介して3ビットドライバ15に送る。3ビットドライバ15は、図3の符号15R、15G、15Bに示すように、CMOS回路及びFETにより形成された基準電流供給回路であり、ここでは電源VDD2から供給される電流を各発光ダイオード2R、2G、2Bに供給するようになっている。なお、電源VDD2は電源端子である一方の外部端子5に直接接続ないしは所定の定電圧回路(図示せず)を経て接続されていてもよい。3ビットドライバ15から各発光ダイオード2R、2G、2Bのそれぞれに流れる電流はそれぞれのドライバ15R、15G、15Bの回路定数を変えることによりあるいは前記定電圧回路の電圧を変えることにより、それぞれの発光ダイオード2R、2G、2Bの駆動パルス幅が同一の場合に白色が得られるように調整されている。
【0044】
この駆動用IC3の動作は図4のタイミングチャートに示したとおりである。すなわち、駆動用IC3に電源電圧が供給されているとき、外部端子7にパルス状の制御信号CRGBが入力されると、そのパルスの立ち上がりに同期して3ビットカウンタ回路12の出力端子121〜123のうちの一つの端子に出力が現われ、そのパルスの立ち下がりに同期してその端子の出力が消失する。そして、外部端子7に次のパルスが入力されると、最初に選択された出力端子とは異なる次の端子に出力が現われる。すなわち、3ビットカウンタ回路12は、外部端子7にパルスが入力される毎に、出力端子121〜123の何れかが選択されて、その出力端子121〜123に対応する発光ダイオード2R、2G、2Bの何れか1つが発光し、出力端子121〜123のいずれも選択されていないときは発光ダイオード2R、2G、2Bのいずれも発光しないようになっている。
【0045】
したがって、本実施例1の発光素子1Aでは、3パルスで1周期となり、その1周期の間に各発光ダイオード2R、2G、2Bが順番に発光するようになる。したがって、図4に示したように、制御信号CRGBとして1周期内の3連続するパルスの幅が全て等しい場合(例えば、aの領域の場合)は、各発光ダイオード2R、2G、2Bのそれぞれの発光時間は等しくなるので、発光間隔を人の目の残像時間を考慮して定めれば、人の目に見える発光色は白色となる。また、制御信号CRGBとして3連続するパルスの幅がそれぞれ異なる場合(例えば、bの領域の場合)には、発光ダイオード2R、2G、2Bのそれぞれの発光時間は対応する制御信号CRGBのパルスの幅に等しくなり、人の目にみえる発光色は発光時間の長い色が強調された色となる。
【0046】
この場合、3ビットカウンタ12は、入力端子7にパルス状の制御信号CRGBが入力されると、出力端子121〜123に順番に出力を与えるから、各発光ダイオード2R、2G、2Bは予め定められた順番に発光することになる。したがって、例えば赤色光を得たい場合、制御信号CRGBにおける赤色発光ダイオード2Rに対応するパルス幅を1周期中で最も大きくし、緑色発光ダイオード2G及び青色発光ダイオード2Bに対応するパルス幅を3ビットカウンタ12が応答できる範囲内で最も小さくすればよい。なお、実施例1の発光素子1Aにおいては、必要に応じて3ビットカウンタ12をリセットするためのSET端子を設けてもよい。
【0047】
このように、制御信号CRGBとしての3連続するそれぞれのパルスの幅を必要とする発光色に応じて変化させることにより、赤色から青色まで実質的に無段階の色を発色させることができるとともに、白色光の場合には赤色、緑色、青色の発光成分を有して色度精度の高い白色光を得ることができる。
【実施例2】
【0048】
実施例1の発光素子1Aにおいては、3ビットドライバ15から各発光ダイオード2R、2G、2Bのそれぞれに流れる電流を、それぞれの発光ダイオード2R、2G、2Bに流れる電流値を発光強度−順電流特性に合わせるとともに個々の発光ダイオードの電気−光学特性のバラツキを補正するため、それぞれのドライバ15R、15G、15Bの回路定数を変えることによりあるいは前記定電圧回路の電圧を変えることにより、各発光ダイオード2R、2G、2Bの駆動パルス幅が同一の場合に白色が得られるように調整するようにしたが、このような調整方法は、発光素子1Aの組立中に行うことができる方法であって、発光素子1Aの組立終了後には調整が困難である。
【0049】
そこで、実施例2として、外部から各発光ダイオード2R、2G、2Bに流れる電流値を調整できるようにして、発光素子の組立後にそれぞれの発光ダイオード2R、2G、2B間の光学特性の差異を補正できるようにした発光素子1Bを作製した。
【0050】
この発光素子1Bを図5及び図6を用いて説明する。ここで、図5は実施例2の発光素子1Bの駆動用ICをブロック図で表した等価回路図であり、図6は実施例2で使用した制御用ICの内部回路の一具体例を示す図である。
【0051】
なお、図5及び図6においては、実施例1の発光素子1Aと同一の構成部分には同一の参照符号を付与して一部の説明は省略することとする。
【0052】
この実施例2の発光素子1Bは、駆動用IC3’とそれに接続した複数の発光ダイオード2R、2G、2Bからなる発光回路を2つの外部端子5、6間に接続するとともに、駆動用IC3’の入力端子7に制御信号CRGBが入力される回路構成をとっている点では実施例1の発光素子1Aと同じであるが、駆動用IC3’の構成は実施例1の駆動用IC3とは内部構成が相違している。
【0053】
すなわち、この実施例2の駆動用IC3’は、図5及び図6に示すように、電流供給回路11、3ビットカウンタ12、3×3ビット不揮発メモリ17、各種信号制御回路18及びドライバ19を備えており、そのうち3×3ビット不揮発メモリ17はそれぞれのビット毎に3ビット分、すなわち8段階の補正レベルを記憶しており、選択された補正レベルの出力は各種信号制御回路18及びドライバ19を経て各発光ダイオード2R、2G、2Bに対して所定の補正された電流を供給するようになっている。
【0054】
各種信号制御回路18は、各発光ダイオード2R、2G、2Bのそれぞれに対応する3つの信号制御回路ブロック18R、18G、18Bを備えており、各信号制御回路ブロック18R、18G、18Bは、例えば緑の発光ダイオード2G駆動用のものを例に取ると、2つの反転回路を直列接続した波形成形回路18G1と、3×3ビット不揮発メモリ17からの出力とカウンタ回路12の出力端子122の出力とのアンド出力をとる3つのアンド回路18G2〜18G4からなり、それぞれの信号制御回路ブロック18Gの出力は3×4ビットドライバ19Gの対応するドライバ19G1〜19G4に入力され、それぞれのドライバ19G1〜19G4の出力は並列に接続されて対応する緑の発光ダイオード2Gに供給されるようになっている。
【0055】
なお、赤の発光ダイオード2R及び青の発光ダイオード2B駆動用の各信号制御回路ブロック18R、18B及び3×4ビットドライバ19R、19Bも緑の発光ダイオード2G駆動用の信号制御回路ブロック18G及び3×4ビットドライバ19Gと同様の構成を備えているが、図示は省略した。
【0056】
この実施例2の発光素子1Bの発光色の調整は次のとおりの方法により行われる。まず、複数の発光ダイオード2R、2G、2Bのそれぞれの発光強度−順電流特性から白色光を得るための平均的な電流値TYPを求め、この値を中心とし、各発光ダイオードの製品毎のバラツキを考慮して所定の電流間隔、例えば、5%分ごとに、+20%、+15%、+10%、+5%、TYP、−5%、−10%、−15%の8レベルの電流値を定める。
【0057】
そして、3×4ビットドライバ19Gは、カウンタ回路12の端子122の出力によってのみ駆動されるドライバ19G1の出力電流として前記−15%に対応する電流値を供給するようにし、他の3つのドライバ19G2〜19G4はそれぞれ前記の所定の電流間隔に対応する+5%分、+10%分及び+20%分の電流を供給するようにする。
【0058】
そうすると、発光ダイオード2Gには、カウンタ回路12の端子122に出力が現われると、常にドライバ19G1から前記の−15%に対応する電流が供給されるとともに、3×3ビット不揮発メモリ17に記憶されたデータに基づく出力に応じて他の3つのドライバ19G2〜19G4からの出力電流が同時に供給されるため、発光ダイオード2Gに供給される電流値は−15%を最低値として、−10%、−5%、TYP、+5%、+10%、+15%、+20%の8レベルに変えることができる。
【0059】
このような構成を採用することにより、発光素子1Bの組立時ないしは組立後に、発光ダイオード2Gに対して所定の補正された電流を供給できるように3×3ビット不揮発メモリ17に対して所定の補正データを記憶させれば、所定の補正された電流値を発光ダイオード2Gに対して供給することができるようになる。
【0060】
なお、ここでは緑の発光ダイオード2Rを発光させる場合を例に取り説明したが、赤の発光ダイオード2R及び青の発光ダイオード2Bを発光させる場合についても同様であり、このようにして3つの発光ダイオード2R、2G、2Bの全てについて補正した電流値を供給することによって、所望の色度の発光素子が得られる。なお、本実施例2の発光素子1Bの駆動回路3’の動作も、実施例1の発光素子1Aの駆動回路3のタイミングチャートである図5に示したとおりであるので、その詳細な説明は省略する。
【実施例3】
【0061】
実施例1の発光素子1Aは、小型の発光素子とするために、チップ状態の複数の発光ダイオード2R、2G、2Bを回路基板を兼ねる駆動用IC3上に一体化した例を示したが、実施例3ではリードフレームを有する基板上に駆動用IC及び複数の発光ダイオード2R、2G、2Bを載置した発光素子1C及び1Dを作製した。
【0062】
この実施例3の発光素子1C及び1Dを図7及び図8を用いて説明する。なお、図7は実施例3の発光素子1Cの光透過性のモールド樹脂を透過して表した平面図であり、また図8は実施例3の別の態様の発光素子1Dの光透過性のモールド樹脂を透過して表した平面図であり、実施例1の発光素子1Aと同一の構成部分には同一の参照符号を付与して一部の説明は省略することとする。
【0063】
この実施例3の発光素子1Cが実施例1の発光素子1Aと大きく構成が相違している点は、基板4として4端子のリードフレームを有するモールド型のものを用い、このうち2つの他方の外部端子6、6間を接続する幅広のリードフレーム8上に各発光ダイオード2R、2G、2Bのカソード電極側を導電材料を用いて固定配置し、また、モールド部分上に駆動用IC3を載置した点であり、また、別の態様の発光素子1Dは、各発光ダイオード2R、2G、2Bだけでなく駆動用IC3もフレーム8上に載置して放熱効率を向上させるとともにリセット用端子SETを設けた点で実施例1の発光素子1Aと大きく構成が相違している。
【0064】
また、本実施例3で使用した駆動用IC3の表面には、各発光ダイオード用の出力端子3R、3G、3B、制御信号入力端子3C、電源電圧入力端子3V、共通端子3E等の端子が配置されており、このうち各発光ダイオード用の出力端子3R、3G、3Bとそれぞれの発光ダイオード2R、2G、2Bとの間、制御用信号入力端子3Cと外部端子7との間、電源電圧入力端子3Vと一方の外部端子5との間、GND端子3Eと他方の外部端子6との間はそれぞれ金線などにより電気的に接続されている。なお、実施例3の発光素子1C及び1Dの駆動用IC3の内部構成としては、実施例1の駆動用IC3及び実施例2の駆動用IC3’のどちらでも採用することができる。
【0065】
このような構成の実施例3の発光素子1C及び1Dによれば、2つの他方の外部端子6、6間を接続する幅広のリードフレーム8上に少なくとも各発光ダイオード2R、2G、2Bが設けられているため、各発光ダイオード2R、2G、2Bの発熱はリードフレーム8を経て効率よく放熱することができるので、各発光ダイオード2R、2G、2Bに大電流を流すことができ、明るい発光素子1Cないし1Dが得られる。また、駆動用IC3もリードフレーム8上に配置して放熱性を高めてもよい。
【実施例4】
【0066】
実施例4ではプラスチックモールドしたランプ型の発光素子を2種類作製した。ランプの場合、多数の端子を設けたり、発光ダイオード搭載部分に複雑な配線を施したりすることが困難であり、3端子などの少ない端子数でRGBの3色の発光ダイオード等の複雑な制御が出来れば非常に効果的である。その具体例を図9及び図10を用いて説明する。
【0067】
なお、図9は、実施例4のランプ型の発光素子の一例を示す図であり、図9(a)はモールド樹脂を透視した平面図であり、図9(b)は同じく側面図である。この発光素子1Eは、駆動用IC3の表面に各発光ダイオード2R、2G、2Bを配置し、この駆動用IC3を端子6上に載置するとともに、各発光ダイオード2R、2G、2Bと駆動用IC3の外部端子の間及び駆動用IC3の外部端子と各端子5〜7との間を金線などにより配線し、全体を光透過性のモールド樹脂で被覆したものである。
【0068】
また、図10は、実施例4のランプ型の発光素子の別の態様を示す図であり、図10(a)はモールド樹脂を透視した平面図であり、図10(b)は同じく側面図である。この発光素子1Fは、駆動用IC3及び各発光ダイオード2R、2G、2Bを端子6上に載置するとともに、各発光ダイオード2R、2G、2Bと駆動用IC3の外部端子の間及び駆動用IC3の外部端子と各端子5〜7との間を金線などにより配線し、全体を光透過性のモールド樹脂で被覆したものである。
【0069】
これらの実施例4の発光素子1E及び1Fは、駆動用IC3とそれに接続した各発光ダイオード2R、2G、2Bからなる発光回路を2つの外部端子5、6間に接続するとともに、外部端子7に制御信号CRGBが入力される回路構成をとっており、実施例1の発光素子1Aと同様の動作原理により各発光ダイオード2R、2G、2Bを個別に制御して所望の発光色を得ることができる。なお、この実施例4の発光素子1E及び1Fの駆動用IC3の内部構成としては、実施例1の駆動用IC3及び実施例2の駆動用IC3’のどちらでも採用することができる。
【0070】
以上述べたように、本発明の発光素子によれば、例えばRGBの3色の発光ダイオードを利用した方式による白色発光において、外部から複雑な電流制御を行うことなく、簡便に、色度精度の良い発光素子を提供することができるようになり、従来例のような疑似白色での問題点である演色性を改善することが可能となるため、最終製品として特にLCD表示を行った場合、演色性の良いディスプレーを提供することが可能となる。
【0071】
また、本発明は、白色発光のみでなく、RGB3原色などを点灯制御することにより、例えばシーケンシャル方式の液晶表示装置など、多色の発光を制御する用途にも適しており、特に3端子などの少ない外部端子にて複数の発光ダイオードを制御することができるため、RGB3原色又はそれ以上の発光色を制御するにも適している。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】実施例1の発光素子のモールド樹脂を透視した状態の斜視図である。
【図2】実施例1の発光素子の駆動用ICをブロック図で表した等価回路図である。
【図3】実施例1で使用した制御用ICの内部回路の一具体例を示す図である。
【図4】実施例1の駆動用ICの動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図5】実施例2の発光素子の駆動用ICをブロック図で表した等価回路図である。
【図6】実施例2で使用した制御用ICの内部回路の一具体例を示す図である。
【図7】実施例3の発光素子のモールド樹脂を透視した状態の平面図である。
【図8】実施例3の別の態様の発光素子のモールド樹脂を透視した状態の平面図である。
【図9】実施例4のランプ型の発光素子の一例を示す図であり、図9(a)はモールド樹脂を透視した平面図であり、図9(b)は同じく側面図である。
【図10】実施例4のランプ型の発光素子の別の例を示す図であり、図10(a)はモールド樹脂を透視した平面図であり、図10(b)は同じく側面図である。
【図11】典型的な各種発光ダイオードの発光強度−順電流特性図である。
【図12】各種発光ダイオードのスペクトル分布特性図である。
【符号の説明】
【0073】
1A〜1E 発光素子
2、2R、2G、2B 発光ダイオード
3、3’ 駆動用IC
4 回路基板
5〜7 外部端子
8 リードフレーム
9 光透過性のモールド樹脂
11 電流供給回路
12 3ビットカウンタ回路
13 各種信号処理回路
15、15R、15G、15B ドライバ
17 3×3ビット不揮発メモリ
18 各種信号制御回路
19、19R、19G、19B ドライバ
CRGB 制御信号
SET リセット端子
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の発光ダイオードとその駆動用のICを一体に備えるランプ型、チップ型等の発光素子にし、特に複数の発光ダイオードとその駆動用のICを一体に備え、赤(R)、緑(G)、青(B)の3原色を含み、白色光のみならず任意の色を発光させることのできる発光素子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、発光ダイオードとその発光色の補色の光を発する蛍光体との組み合わせによって、疑似的に白色光を発光可能な発光素子が特許文献1に開示されている。この場合、一般的に、発光ダイオードとして青色発光するものを使用し、蛍光体として青色光を吸収して黄色発光するものを組み合わせ、擬似的に人間の目に白色光と感じられるようにするものが多用されている。しかしながら、このような組合せでは特定の色成分が少ないため、すなわち前述のような青色と黄色の混色による場合には赤色成分が少ないことにより、演色性に欠けるという問題がある。
【0003】
また、白色光を発光させる別の方式として、RGBの各光を発する発光ダイオードを用いた3原色の混色を用いる例も知られている。しかしながら、3原色の混色によって白色発光させる場合は、例えば図11に示す典型的な各種発光ダイオードの発光強度−順電流特性から明らかなように、RGBのそれぞれの光を発する発光ダイオードの電気−光学特性に大きな差異があることから、各色の発光度合いを調整するための電流調整が非常に面倒になる。
【0004】
また、白色発光以外の場合においても、RGBの3色あるいはそれとは異なる色の複数の発光ダイオードを用いて所望の色や発光強度分布を得る必要がある場合も、それぞれの発光ダイオードの発光強度を調整する必要があるが、そのための電流調整が面倒になる。また、この電流調整は、外付けの回路によって調整することもできるが、個々の発光素子毎に外付けの回路を設ける必要があり、回路構成が複雑化するという問題点が存在している。
【0005】
従来、R、G、Bの3原色の各発光ダイオードを一体化したいわゆるマルチチップ式の発光素子は、R、G、Bの各発光ダイオードに流す電流値を制御することにより7色又は、多色の色制御を行っているが、カソード端子又はアノード端子以外はそれぞれ個別の配線を施す必要があるため、少なくとも4端子の外部端子が必要となり、なおかつ、数十mA程度の電流容量を確保した配線を施す必要がある。また、R、G、Bの3原色を全て点灯した場合に得られる白色光は、それぞれの発光ダイオードに流れる電流値を発光強度−順電流特性に合わせた設計上の電流値(例えば、R:10mA、G:7mA、B:10mAなど)に設定した場合でも、個々の発光ダイオードの電気−光学特性にバラツキがあるため、製品によって色度のバラツキが発生するという問題点が存在している。
【0006】
また、RGBの各光を発する発光ダイオードを用いた3原色の混色を用いた白色光は、図12の各種発光ダイオードのスペクトル分布特性図に示すように、RとGの発光スペクトルの間隔はGとBの発光スペクトルの間隔に比すると広いので、RとGの間に発光スペクトル分布が不連続な領域が存在する。したがって、より演色性の高い白色光を得るには、R、G、Bの3原色の各発光ダイオードだけでなく発光スペクトル分布がRとGの間に位置する橙色(O)及び黄色(Y)の発光ダイオードのうちの少なくとも1つがさらに使用されるが、そうするとこれらの発光ダイオードをマルチチップ化した発光素子の端子数はさらに多くなるため、上述の問題点はより大きく表れる。
【特許文献1】特開2001−217463号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記のような従来技術の問題点を解決すべくなされたものであり、その目的は、マルチチップ方式の発光素子における色制御の複雑さ、回路構成の複雑さを解消し、簡単な駆動方式により多色光、及び白色光の発光制御を可能とした発光素子を提供することにある。
【0008】
また、本発明の別の目的は、マルチチップ方式の発光素子において、例えば赤、緑、青の3原色の発光制御を行うためには少なくとも4端子の外部端子が必要であったが、これを3端子などの少ない外部端子により制御可能とし、少ない外部端子にて複雑な色の発光制御を可能とした発光素子を提供するものである。
【0009】
また、本発明のさらに別の目的は、R、G、Bの3原色の各発光ダイオードより得られる白色の色度のバラツキを簡便に精度良く制御できる構成の発光素子を提供することにある。
【0010】
さらに、本発明の別の目的は、マルチチップ方式の発光素子において、赤、緑、青の3原色による白色発光では、赤と緑の発光スペクトルの間隔が広いため、発光スペクトル分布に不連続な領域があり、白色光としては不完全であるが、これを赤から青まで連続的なスペクトル分布を有する白色光を容易に得ることができるようにした発光素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の上記各目的は以下の構成により達成し得る。すなわち、請求項1に係る発光素子の発明は、複数の発光ダイオードと、これらの発光ダイオードを駆動する駆動用ICを一体化した発光素子であって、前記駆動用ICは、電流供給回路、カウンタ、信号制御回路及び複数ビットドライバよりなることを特徴とする。この場合、複数の発光ダイオードとしては、任意の色の組み合わせのものが使用できるが、白色光が得られる組み合わせにする方が用途が広がるので好ましい。
【0012】
また、請求項2に係る発明は、請求項1に記載の発光素子において、前記複数ビットドライバは、前記複数の発光ダイオード毎の電流値もしくは前記複数の発光ダイオード間の電流比率を一定に制御するものであることを特徴とする。
【0013】
また、請求項3に係る発明は、請求項1に記載の発光素子において、前記複数ビットドライバは、前記複数の発光ダイオード毎の電流値もしくは前記複数の発光ダイオード間の電流比率を微調整する機能を備えていることを特徴とする。
【0014】
また、請求項4に係る発明は、請求項3に記載の発光素子において、前記微調整は、前記駆動用ICに内蔵した不揮発性メモリに記憶させた補正用のデータに基づいて行われることを特徴とする。
【0015】
また、請求項5に係る発明は、請求項1又は2に記載の発光素子において、前記駆動用ICのカウンタ回路は、少なくとも1つの外部信号端子により、前記複数の発光ダイオード毎の発光を順次切り替える構成としたことを特徴とする。この場合、カウンタ回路としては、発光ダイオードの数に応じて適宜選択して使用し得るが、白色光を発光させるためには3ビット以上が好ましい。
【0016】
また、請求項6に係る発明は、請求項1に記載の発光素子において、前記複数の発光ダイオードは、それらの光の混色によって白色発光が可能な発光色を備えることを特徴とする。
【0017】
また、請求項7に係る発明は、前記請求項6に記載の発光素子において、前記複数の発光ダイオードは、赤色、緑色、青色の3原色のそれぞれを発光するものを含むことを特徴とする。
【0018】
また、請求項8に係る発明は、前記請求項7に記載の発光素子において、前記複数の発光ダイオードは、さらに赤色と緑色の間に中心波長を有する発色光を有するものを含むことを特徴とする。
【0019】
また、請求項9に係る発明は、前記請求項7に記載の発光素子において、前記複数の発光ダイオードは、さらに橙色及び黄色の少なくとも1つを発光するものを含むことを特徴とする。
【0020】
また、請求項10に係る発明は、前記請求項1〜9のいずれかに記載の発光素子において、前記複数の発光ダイオードは前記駆動用ICの表面に設けられていることを特徴とする。
【0021】
また、請求項11に係る発明は、前記請求項1〜10のいずれかに記載の発光素子において、前記複数の発光ダイオードと前記駆動用ICは、同じ樹脂によって覆われていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明は上記構成を備えることにより以下に述べるような優れた効果を奏する。すなわち、請求項1の発明によれば、複数の発光ダイオードを制御する駆動用ICが複数の発光ダイオードとともに一体化されているので、外部へ接続する端子数が減少するとともに、この駆動用ICによりそれぞれの発光ダイオードへ供給される電流値を制御できるため、発光素子外部で複雑な電流制御を行うことなく、簡便に色度精度の良い発光素子を得ることができるようになる。
【0023】
また、請求項2の発明によれば、複数の発光ダイオードのそれぞれに供給する電流を一定値に制御できるためにその選択された発光ダイオードの発光強度を一定値に保つことができ、また、複数の発光ダイオード間の電流比率を一定に制御できるため合成された光の色度を一定に保つことができるようになる。
【0024】
また、請求項3の発明によれば、発光素子毎の同色の発光ダイオード間の電気−光学特性のバラツキを補正できるとともに、所定の合成された色の光を得るための各発光ダイオードに流れる電流値を制御できるため、発光素子毎の発光強度や発光色のバラツキを簡便に精度良く制御できる均一な品質の発光素子が得られる。
【0025】
また、請求項4の発明によれば、発光素子毎の発光強度や発光色のバラツキの補正用のデータを駆動用ICに内蔵した不揮発性メモリに記憶させて利用できるため、ユーザは発光素子毎のバラツキを考慮する必要がなくなるので、使用時の外部回路構成を簡略化できる発光素子が得られる。
【0026】
また、請求項5の発明によれば、カウンタを使用することにより、一つの外部信号により複数の発光ダイオードを適宜切換発光させることができる発光素子が得られる。
【0027】
また、白色光源は、液晶表示パネルのバックライト、照明光等、広い技術分野で要求されている光源であり、請求項6の発明によればこれらの広い技術分野への適用が可能な発光素子が得られる。
【0028】
また、請求項7の発明によれば、容易に演色性の高い白色光を発光することができる発光素子が得られる。
【0029】
また、請求項8、9の発明によれば、発光スペクトルの間隔が広い赤色発光ダイオードの発光スペクトルと緑色発光ダイオードの発光スペクトルとの間を、赤色と緑色の間に中心波長を有する発色光を有する発光ダイオード、または橙色発光ダイオード及び黄色発光ダイオードの少なくとも1つにより補うことができるため、赤から青まで実質的に連続的なスペクトル分布を有する白色光を得ることができる発光素子が得られる。
【0030】
また、請求項10の発明によれば、駆動用IC自体を複数の発光ダイオードを固定するための基板として用いることができるため、小型の発光素子が得られる。
【0031】
また、請求項11の発明によれば、複数の発光ダイオードと駆動用ICが同じ樹脂により覆われて一体化されているため、組立作業性のよい発光素子が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するためのRGBの3原色の発光ダイオードを備える発光素子の例を説明するものである。
【0033】
しかしながら、本発明は、RGBの3原色以外に例えば橙色及び黄色の少なくとも一方を発光し得る発光ダイオードと組み合わせた発光素子の場合にも、あるいはその他の色を発光し得る複数個の発光ダイオードを備える発光素子の場合にも等しく適用し得るものである。特に一般的にはRGBの発光ダイオードのスペクトル分布特性は、緑の発光ダイオードのピーク波長が、青と赤の発光ダイオードのピーク波長の中間点よりも青の発光ダイオード側に大きく偏った特性となり、緑と赤の発光ダイオードの間に波長の不連続な領域が存在しているが、赤と緑の発光ダイオードの中間にピーク波長を持つ橙色や黄色などの発光ダイオードを追加することによって、波長の不連続な領域を埋めることができ、演色性をより一層高めることができる。
【実施例1】
【0034】
実施例1の発光素子1Aを図1〜図4を用いて説明する。なお、図1は実施例1の発光素子1Aのモールド樹脂を透視した状態の外観斜視図であり、図2は図1の発光素子1Aの駆動用ICをブロック図で表した等価回路図であり、図3は実施例1で使用した駆動用ICの内部回路の一具体例を示す図であり、また、図4は実施例1の駆動用ICの動作を説明するためのタイミングチャートである。
【0035】
発光素子1Aは、小型の発光素子とするために、チップ状態の複数の発光ダイオード2をこれらの発光ダイオードを駆動する回路基板を兼ねる駆動用IC3上に一体化して構成されている。各発光ダイオード2は、ウエハから分割された状態のベアチップで構成され、裏面にカソード電極を備えている。本実施例1では、白色発光を行うために、複数の発光ダイオード2として3原色である赤(R)、緑(G)、青(B)の発光色を持つ3個の発光ダイオード2R、2G、2Bを用いた。
【0036】
駆動用IC3は、各発光ダイオード2R、2G、2Bに対応した出力端子3R、3G、3Bを表面に備え、各発光ダイオード2R、2G、2B毎の電流値もしくは各発光ダイオード2R、2G、2B間の電流比率を一定に制御するための駆動回路を内蔵している。この駆動回路によって、各出力端子の出力電流が調整され、各発光ダイオード2R、2G、2Bの発光強度が各々予め設定した範囲内に維持される。
【0037】
この駆動用IC3は、3つの発光ダイオード2R、2G、2Bの発光色が混色されることによって、それぞれの駆動パルス幅が同一の場合に白色が得られるように、各出力の電流値あるいは電流の比率が予め設定されている。
【0038】
発光素子1Aは、少なくとも3端子型の発光素子であり、3つの外部端子5〜7を備えている。回路基板を兼ねる駆動用IC3には、一方の電源端子として機能する外部端子5及び他方の電源端子として機能する外部端子6がそれぞれ電気的に絶縁された状態で駆動用IC3の下部表面及び側面の一部分に設けられ、このうち外部端子6の表面上に各発光ダイオード2R、2G、2Bのカソード電極側が導電材料を用いて固定配置されている。この駆動用IC3は、さらに表面に制御信号CRGB入力用の外部端子7及び複数の発光ダイオード2R、2G、2B用の出力端子3R、3G、3B等の端子が配置されており、このうち出力端子3R、3G、3Bとそれぞれの発光ダイオード2R、2G、2Bとの間は金線などのワイヤにより電気的に接続されている。
【0039】
本実施例1で使用した複数の発光ダイオード2R、2G、2Bは、裏面にカソード電極を備えているものを使用したので、導電材料により外部端子6に固定されているが、複数の発光ダイオード2R、2G、2Bが表面にアノードとカソードの両方の電極を備える場合は、これらの両方の電極にワイヤによる配線を施す必要がある。
【0040】
本実施例1の発光素子1Aは、これらの複数の発光ダイオード2R、2G、2Bを駆動用ICの表面に固定し、配線を施した後に、光透過性のモールド樹脂9によってこれらの表面を覆うことにより作製される。
【0041】
この発光素子1Aは、図2に示すように、駆動用IC3とそれに接続した各発光ダイオード2R、2G、2Bからなる発光回路を2つの外部端子5、6間に接続するとともに、外部端子7に制御信号CRGBが入力される回路構成をとる。従来例のように駆動用IC3を設けずに各発光ダイオード2R、2G、2Bのみを一体化する場合は最少で4端子が必要となるが、本実施例1の場合は3端子ですむ。なお、別途リセットSET端子を設けて4端子型の発光素子としてもよい。
【0042】
次に、本実施例1で使用した駆動用IC3の一具体例を、図3及び図4を用いて説明する。この駆動用IC3は、電流供給回路11、3ビットカウンタ12、各種信号制御回路13及び3ビットドライバ15を備えている。3ビットカウンタ回路12は、制御信号CRGBとして入力されたパルスの立ち上がりに同期してその3つの出力端子121〜123のうちの一つを順番に選択し、その出力端子1〜3にそれぞれ対応する発光ダイオード2R、2G、2Bのうちの一つに対し、各種信号制御回路13及び3ビットドライバ15を経て、電流供給回路11から所定の駆動電流を供給することにより発光させるようになっている。
【0043】
各種信号制御回路13は、カウンタ回路12からの出力信号を2つの反転回路を直列接続した波形成形回路13R、13G、13Bを介して3ビットドライバ15に送る。3ビットドライバ15は、図3の符号15R、15G、15Bに示すように、CMOS回路及びFETにより形成された基準電流供給回路であり、ここでは電源VDD2から供給される電流を各発光ダイオード2R、2G、2Bに供給するようになっている。なお、電源VDD2は電源端子である一方の外部端子5に直接接続ないしは所定の定電圧回路(図示せず)を経て接続されていてもよい。3ビットドライバ15から各発光ダイオード2R、2G、2Bのそれぞれに流れる電流はそれぞれのドライバ15R、15G、15Bの回路定数を変えることによりあるいは前記定電圧回路の電圧を変えることにより、それぞれの発光ダイオード2R、2G、2Bの駆動パルス幅が同一の場合に白色が得られるように調整されている。
【0044】
この駆動用IC3の動作は図4のタイミングチャートに示したとおりである。すなわち、駆動用IC3に電源電圧が供給されているとき、外部端子7にパルス状の制御信号CRGBが入力されると、そのパルスの立ち上がりに同期して3ビットカウンタ回路12の出力端子121〜123のうちの一つの端子に出力が現われ、そのパルスの立ち下がりに同期してその端子の出力が消失する。そして、外部端子7に次のパルスが入力されると、最初に選択された出力端子とは異なる次の端子に出力が現われる。すなわち、3ビットカウンタ回路12は、外部端子7にパルスが入力される毎に、出力端子121〜123の何れかが選択されて、その出力端子121〜123に対応する発光ダイオード2R、2G、2Bの何れか1つが発光し、出力端子121〜123のいずれも選択されていないときは発光ダイオード2R、2G、2Bのいずれも発光しないようになっている。
【0045】
したがって、本実施例1の発光素子1Aでは、3パルスで1周期となり、その1周期の間に各発光ダイオード2R、2G、2Bが順番に発光するようになる。したがって、図4に示したように、制御信号CRGBとして1周期内の3連続するパルスの幅が全て等しい場合(例えば、aの領域の場合)は、各発光ダイオード2R、2G、2Bのそれぞれの発光時間は等しくなるので、発光間隔を人の目の残像時間を考慮して定めれば、人の目に見える発光色は白色となる。また、制御信号CRGBとして3連続するパルスの幅がそれぞれ異なる場合(例えば、bの領域の場合)には、発光ダイオード2R、2G、2Bのそれぞれの発光時間は対応する制御信号CRGBのパルスの幅に等しくなり、人の目にみえる発光色は発光時間の長い色が強調された色となる。
【0046】
この場合、3ビットカウンタ12は、入力端子7にパルス状の制御信号CRGBが入力されると、出力端子121〜123に順番に出力を与えるから、各発光ダイオード2R、2G、2Bは予め定められた順番に発光することになる。したがって、例えば赤色光を得たい場合、制御信号CRGBにおける赤色発光ダイオード2Rに対応するパルス幅を1周期中で最も大きくし、緑色発光ダイオード2G及び青色発光ダイオード2Bに対応するパルス幅を3ビットカウンタ12が応答できる範囲内で最も小さくすればよい。なお、実施例1の発光素子1Aにおいては、必要に応じて3ビットカウンタ12をリセットするためのSET端子を設けてもよい。
【0047】
このように、制御信号CRGBとしての3連続するそれぞれのパルスの幅を必要とする発光色に応じて変化させることにより、赤色から青色まで実質的に無段階の色を発色させることができるとともに、白色光の場合には赤色、緑色、青色の発光成分を有して色度精度の高い白色光を得ることができる。
【実施例2】
【0048】
実施例1の発光素子1Aにおいては、3ビットドライバ15から各発光ダイオード2R、2G、2Bのそれぞれに流れる電流を、それぞれの発光ダイオード2R、2G、2Bに流れる電流値を発光強度−順電流特性に合わせるとともに個々の発光ダイオードの電気−光学特性のバラツキを補正するため、それぞれのドライバ15R、15G、15Bの回路定数を変えることによりあるいは前記定電圧回路の電圧を変えることにより、各発光ダイオード2R、2G、2Bの駆動パルス幅が同一の場合に白色が得られるように調整するようにしたが、このような調整方法は、発光素子1Aの組立中に行うことができる方法であって、発光素子1Aの組立終了後には調整が困難である。
【0049】
そこで、実施例2として、外部から各発光ダイオード2R、2G、2Bに流れる電流値を調整できるようにして、発光素子の組立後にそれぞれの発光ダイオード2R、2G、2B間の光学特性の差異を補正できるようにした発光素子1Bを作製した。
【0050】
この発光素子1Bを図5及び図6を用いて説明する。ここで、図5は実施例2の発光素子1Bの駆動用ICをブロック図で表した等価回路図であり、図6は実施例2で使用した制御用ICの内部回路の一具体例を示す図である。
【0051】
なお、図5及び図6においては、実施例1の発光素子1Aと同一の構成部分には同一の参照符号を付与して一部の説明は省略することとする。
【0052】
この実施例2の発光素子1Bは、駆動用IC3’とそれに接続した複数の発光ダイオード2R、2G、2Bからなる発光回路を2つの外部端子5、6間に接続するとともに、駆動用IC3’の入力端子7に制御信号CRGBが入力される回路構成をとっている点では実施例1の発光素子1Aと同じであるが、駆動用IC3’の構成は実施例1の駆動用IC3とは内部構成が相違している。
【0053】
すなわち、この実施例2の駆動用IC3’は、図5及び図6に示すように、電流供給回路11、3ビットカウンタ12、3×3ビット不揮発メモリ17、各種信号制御回路18及びドライバ19を備えており、そのうち3×3ビット不揮発メモリ17はそれぞれのビット毎に3ビット分、すなわち8段階の補正レベルを記憶しており、選択された補正レベルの出力は各種信号制御回路18及びドライバ19を経て各発光ダイオード2R、2G、2Bに対して所定の補正された電流を供給するようになっている。
【0054】
各種信号制御回路18は、各発光ダイオード2R、2G、2Bのそれぞれに対応する3つの信号制御回路ブロック18R、18G、18Bを備えており、各信号制御回路ブロック18R、18G、18Bは、例えば緑の発光ダイオード2G駆動用のものを例に取ると、2つの反転回路を直列接続した波形成形回路18G1と、3×3ビット不揮発メモリ17からの出力とカウンタ回路12の出力端子122の出力とのアンド出力をとる3つのアンド回路18G2〜18G4からなり、それぞれの信号制御回路ブロック18Gの出力は3×4ビットドライバ19Gの対応するドライバ19G1〜19G4に入力され、それぞれのドライバ19G1〜19G4の出力は並列に接続されて対応する緑の発光ダイオード2Gに供給されるようになっている。
【0055】
なお、赤の発光ダイオード2R及び青の発光ダイオード2B駆動用の各信号制御回路ブロック18R、18B及び3×4ビットドライバ19R、19Bも緑の発光ダイオード2G駆動用の信号制御回路ブロック18G及び3×4ビットドライバ19Gと同様の構成を備えているが、図示は省略した。
【0056】
この実施例2の発光素子1Bの発光色の調整は次のとおりの方法により行われる。まず、複数の発光ダイオード2R、2G、2Bのそれぞれの発光強度−順電流特性から白色光を得るための平均的な電流値TYPを求め、この値を中心とし、各発光ダイオードの製品毎のバラツキを考慮して所定の電流間隔、例えば、5%分ごとに、+20%、+15%、+10%、+5%、TYP、−5%、−10%、−15%の8レベルの電流値を定める。
【0057】
そして、3×4ビットドライバ19Gは、カウンタ回路12の端子122の出力によってのみ駆動されるドライバ19G1の出力電流として前記−15%に対応する電流値を供給するようにし、他の3つのドライバ19G2〜19G4はそれぞれ前記の所定の電流間隔に対応する+5%分、+10%分及び+20%分の電流を供給するようにする。
【0058】
そうすると、発光ダイオード2Gには、カウンタ回路12の端子122に出力が現われると、常にドライバ19G1から前記の−15%に対応する電流が供給されるとともに、3×3ビット不揮発メモリ17に記憶されたデータに基づく出力に応じて他の3つのドライバ19G2〜19G4からの出力電流が同時に供給されるため、発光ダイオード2Gに供給される電流値は−15%を最低値として、−10%、−5%、TYP、+5%、+10%、+15%、+20%の8レベルに変えることができる。
【0059】
このような構成を採用することにより、発光素子1Bの組立時ないしは組立後に、発光ダイオード2Gに対して所定の補正された電流を供給できるように3×3ビット不揮発メモリ17に対して所定の補正データを記憶させれば、所定の補正された電流値を発光ダイオード2Gに対して供給することができるようになる。
【0060】
なお、ここでは緑の発光ダイオード2Rを発光させる場合を例に取り説明したが、赤の発光ダイオード2R及び青の発光ダイオード2Bを発光させる場合についても同様であり、このようにして3つの発光ダイオード2R、2G、2Bの全てについて補正した電流値を供給することによって、所望の色度の発光素子が得られる。なお、本実施例2の発光素子1Bの駆動回路3’の動作も、実施例1の発光素子1Aの駆動回路3のタイミングチャートである図5に示したとおりであるので、その詳細な説明は省略する。
【実施例3】
【0061】
実施例1の発光素子1Aは、小型の発光素子とするために、チップ状態の複数の発光ダイオード2R、2G、2Bを回路基板を兼ねる駆動用IC3上に一体化した例を示したが、実施例3ではリードフレームを有する基板上に駆動用IC及び複数の発光ダイオード2R、2G、2Bを載置した発光素子1C及び1Dを作製した。
【0062】
この実施例3の発光素子1C及び1Dを図7及び図8を用いて説明する。なお、図7は実施例3の発光素子1Cの光透過性のモールド樹脂を透過して表した平面図であり、また図8は実施例3の別の態様の発光素子1Dの光透過性のモールド樹脂を透過して表した平面図であり、実施例1の発光素子1Aと同一の構成部分には同一の参照符号を付与して一部の説明は省略することとする。
【0063】
この実施例3の発光素子1Cが実施例1の発光素子1Aと大きく構成が相違している点は、基板4として4端子のリードフレームを有するモールド型のものを用い、このうち2つの他方の外部端子6、6間を接続する幅広のリードフレーム8上に各発光ダイオード2R、2G、2Bのカソード電極側を導電材料を用いて固定配置し、また、モールド部分上に駆動用IC3を載置した点であり、また、別の態様の発光素子1Dは、各発光ダイオード2R、2G、2Bだけでなく駆動用IC3もフレーム8上に載置して放熱効率を向上させるとともにリセット用端子SETを設けた点で実施例1の発光素子1Aと大きく構成が相違している。
【0064】
また、本実施例3で使用した駆動用IC3の表面には、各発光ダイオード用の出力端子3R、3G、3B、制御信号入力端子3C、電源電圧入力端子3V、共通端子3E等の端子が配置されており、このうち各発光ダイオード用の出力端子3R、3G、3Bとそれぞれの発光ダイオード2R、2G、2Bとの間、制御用信号入力端子3Cと外部端子7との間、電源電圧入力端子3Vと一方の外部端子5との間、GND端子3Eと他方の外部端子6との間はそれぞれ金線などにより電気的に接続されている。なお、実施例3の発光素子1C及び1Dの駆動用IC3の内部構成としては、実施例1の駆動用IC3及び実施例2の駆動用IC3’のどちらでも採用することができる。
【0065】
このような構成の実施例3の発光素子1C及び1Dによれば、2つの他方の外部端子6、6間を接続する幅広のリードフレーム8上に少なくとも各発光ダイオード2R、2G、2Bが設けられているため、各発光ダイオード2R、2G、2Bの発熱はリードフレーム8を経て効率よく放熱することができるので、各発光ダイオード2R、2G、2Bに大電流を流すことができ、明るい発光素子1Cないし1Dが得られる。また、駆動用IC3もリードフレーム8上に配置して放熱性を高めてもよい。
【実施例4】
【0066】
実施例4ではプラスチックモールドしたランプ型の発光素子を2種類作製した。ランプの場合、多数の端子を設けたり、発光ダイオード搭載部分に複雑な配線を施したりすることが困難であり、3端子などの少ない端子数でRGBの3色の発光ダイオード等の複雑な制御が出来れば非常に効果的である。その具体例を図9及び図10を用いて説明する。
【0067】
なお、図9は、実施例4のランプ型の発光素子の一例を示す図であり、図9(a)はモールド樹脂を透視した平面図であり、図9(b)は同じく側面図である。この発光素子1Eは、駆動用IC3の表面に各発光ダイオード2R、2G、2Bを配置し、この駆動用IC3を端子6上に載置するとともに、各発光ダイオード2R、2G、2Bと駆動用IC3の外部端子の間及び駆動用IC3の外部端子と各端子5〜7との間を金線などにより配線し、全体を光透過性のモールド樹脂で被覆したものである。
【0068】
また、図10は、実施例4のランプ型の発光素子の別の態様を示す図であり、図10(a)はモールド樹脂を透視した平面図であり、図10(b)は同じく側面図である。この発光素子1Fは、駆動用IC3及び各発光ダイオード2R、2G、2Bを端子6上に載置するとともに、各発光ダイオード2R、2G、2Bと駆動用IC3の外部端子の間及び駆動用IC3の外部端子と各端子5〜7との間を金線などにより配線し、全体を光透過性のモールド樹脂で被覆したものである。
【0069】
これらの実施例4の発光素子1E及び1Fは、駆動用IC3とそれに接続した各発光ダイオード2R、2G、2Bからなる発光回路を2つの外部端子5、6間に接続するとともに、外部端子7に制御信号CRGBが入力される回路構成をとっており、実施例1の発光素子1Aと同様の動作原理により各発光ダイオード2R、2G、2Bを個別に制御して所望の発光色を得ることができる。なお、この実施例4の発光素子1E及び1Fの駆動用IC3の内部構成としては、実施例1の駆動用IC3及び実施例2の駆動用IC3’のどちらでも採用することができる。
【0070】
以上述べたように、本発明の発光素子によれば、例えばRGBの3色の発光ダイオードを利用した方式による白色発光において、外部から複雑な電流制御を行うことなく、簡便に、色度精度の良い発光素子を提供することができるようになり、従来例のような疑似白色での問題点である演色性を改善することが可能となるため、最終製品として特にLCD表示を行った場合、演色性の良いディスプレーを提供することが可能となる。
【0071】
また、本発明は、白色発光のみでなく、RGB3原色などを点灯制御することにより、例えばシーケンシャル方式の液晶表示装置など、多色の発光を制御する用途にも適しており、特に3端子などの少ない外部端子にて複数の発光ダイオードを制御することができるため、RGB3原色又はそれ以上の発光色を制御するにも適している。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】実施例1の発光素子のモールド樹脂を透視した状態の斜視図である。
【図2】実施例1の発光素子の駆動用ICをブロック図で表した等価回路図である。
【図3】実施例1で使用した制御用ICの内部回路の一具体例を示す図である。
【図4】実施例1の駆動用ICの動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図5】実施例2の発光素子の駆動用ICをブロック図で表した等価回路図である。
【図6】実施例2で使用した制御用ICの内部回路の一具体例を示す図である。
【図7】実施例3の発光素子のモールド樹脂を透視した状態の平面図である。
【図8】実施例3の別の態様の発光素子のモールド樹脂を透視した状態の平面図である。
【図9】実施例4のランプ型の発光素子の一例を示す図であり、図9(a)はモールド樹脂を透視した平面図であり、図9(b)は同じく側面図である。
【図10】実施例4のランプ型の発光素子の別の例を示す図であり、図10(a)はモールド樹脂を透視した平面図であり、図10(b)は同じく側面図である。
【図11】典型的な各種発光ダイオードの発光強度−順電流特性図である。
【図12】各種発光ダイオードのスペクトル分布特性図である。
【符号の説明】
【0073】
1A〜1E 発光素子
2、2R、2G、2B 発光ダイオード
3、3’ 駆動用IC
4 回路基板
5〜7 外部端子
8 リードフレーム
9 光透過性のモールド樹脂
11 電流供給回路
12 3ビットカウンタ回路
13 各種信号処理回路
15、15R、15G、15B ドライバ
17 3×3ビット不揮発メモリ
18 各種信号制御回路
19、19R、19G、19B ドライバ
CRGB 制御信号
SET リセット端子
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の発光ダイオードと、これらの発光ダイオードを駆動する駆動用ICを一体化した発光素子であって、前記駆動用ICは、電流供給回路、カウンタ、信号制御回路及び複数ビットドライバよりなることを特徴とする発光素子。
【請求項2】
前記複数ビットドライバは、前記複数の発光ダイオード毎の電流値もしくは前記複数の発光ダイオード間の電流比率を一定に制御するものであることを特徴とする請求項1に記載の発光素子。
【請求項3】
前記復数ビットドライバは、前記複数の発光ダイオード毎の電流値もしくは前記複数の発光ダイオード間の電流比率を微調整する機能を備えていることを特徴とする請求項1に記載の発光素子。
【請求項4】
前記微調整は、前記駆動用ICに内蔵した不揮発性メモリに記憶させた補正用のデータに基づいて行われることを特徴とする請求項3に記載の発光素子。
【請求項5】
前記駆動用ICのカウンタ回路は、少なくとも1つの外部信号端子により、前記複数の発光ダイオード毎の発光を順次切り替える構成としたことを特徴とする請求項1又は2に記載の発光素子。
【請求項6】
前記複数の発光ダイオードは、それらの光の混色によって白色発光が可能な発光色を備えることを特徴とする請求項1に記載の発光素子。
【請求項7】
前記複数の発光ダイオードは、赤色、緑色、青色の3原色のそれぞれを発光するものを含むことを特徴とする請求項6に記載の発光素子。
【請求項8】
前記複数の発光ダイオードは、さらに赤色と緑色の間に中心波長を有する発色光を有するものであることを特徴とする請求項7に記載の発光素子。
【請求項9】
前記複数の発光ダイオードは、さらに橙色及び黄色の少なくとも1つを発光するものを含むことを特徴とする請求項7に記載の発光素子。
【請求項10】
前記複数の発光ダイオードは前記駆動用ICの表面に設けられていることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の発光素子。
【請求項11】
前記複数の発光ダイオードと前記駆動用ICは、同じ樹脂によって覆われていることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の発光素子。
【請求項1】
複数の発光ダイオードと、これらの発光ダイオードを駆動する駆動用ICを一体化した発光素子であって、前記駆動用ICは、電流供給回路、カウンタ、信号制御回路及び複数ビットドライバよりなることを特徴とする発光素子。
【請求項2】
前記複数ビットドライバは、前記複数の発光ダイオード毎の電流値もしくは前記複数の発光ダイオード間の電流比率を一定に制御するものであることを特徴とする請求項1に記載の発光素子。
【請求項3】
前記復数ビットドライバは、前記複数の発光ダイオード毎の電流値もしくは前記複数の発光ダイオード間の電流比率を微調整する機能を備えていることを特徴とする請求項1に記載の発光素子。
【請求項4】
前記微調整は、前記駆動用ICに内蔵した不揮発性メモリに記憶させた補正用のデータに基づいて行われることを特徴とする請求項3に記載の発光素子。
【請求項5】
前記駆動用ICのカウンタ回路は、少なくとも1つの外部信号端子により、前記複数の発光ダイオード毎の発光を順次切り替える構成としたことを特徴とする請求項1又は2に記載の発光素子。
【請求項6】
前記複数の発光ダイオードは、それらの光の混色によって白色発光が可能な発光色を備えることを特徴とする請求項1に記載の発光素子。
【請求項7】
前記複数の発光ダイオードは、赤色、緑色、青色の3原色のそれぞれを発光するものを含むことを特徴とする請求項6に記載の発光素子。
【請求項8】
前記複数の発光ダイオードは、さらに赤色と緑色の間に中心波長を有する発色光を有するものであることを特徴とする請求項7に記載の発光素子。
【請求項9】
前記複数の発光ダイオードは、さらに橙色及び黄色の少なくとも1つを発光するものを含むことを特徴とする請求項7に記載の発光素子。
【請求項10】
前記複数の発光ダイオードは前記駆動用ICの表面に設けられていることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の発光素子。
【請求項11】
前記複数の発光ダイオードと前記駆動用ICは、同じ樹脂によって覆われていることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の発光素子。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2006−54312(P2006−54312A)
【公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−234721(P2004−234721)
【出願日】平成16年8月11日(2004.8.11)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)鳥取三洋電機株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年8月11日(2004.8.11)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)鳥取三洋電機株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】
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